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▶ ダイキョーニシカワ株式会社の特許一覧

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  • 特許-収納ボックス及びその組付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】収納ボックス及びその組付方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20230831BHJP
   B60N 3/10 20060101ALI20230831BHJP
   E05D 3/02 20060101ALI20230831BHJP
   E05D 5/10 20060101ALI20230831BHJP
   E05F 1/12 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60N3/10 Z
E05D3/02
E05D5/10 Z
E05F1/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019102616
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020196305
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田岡 裕司
(72)【発明者】
【氏名】北川 学
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201442(JP,A)
【文献】特開2011-031671(JP,A)
【文献】特開2009-067362(JP,A)
【文献】特開2010-215028(JP,A)
【文献】特開2000-272426(JP,A)
【文献】特開2018-034630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60N 3/10
E05D 3/02
E05D 5/10
E05F 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に開口するボックス部材(5)と、当該ボックス部材(5)の開口(5o)を開閉するリッド(11)と、上記ボックス部材(5)の開口(5o)の一端縁に上記リッド(11)の一端縁を回動可能に連結するヒンジ軸(13)と、上記ヒンジ軸(13)に外装され、上記リッド(11)をリッド開方向に付勢する捻りコイルばね(19)とを備えた収納ボックスの組付方法であって、
上記ボックス部材(5)のリッド(11)連結側の周壁部(5a)には、ブラケット(7)が固定手段(9)により外側から固定され、当該ブラケット(7)の一端部には、差込孔(7g)が形成され、
上記リッド(11)には、リッド側係止部(17h)が形成され、
上記捻りコイルばね(19)は、上記ヒンジ軸(13)に外装された巻回部(19a)、当該巻回部(19a)の一端に延設された第1延出部(19b)、及び当該巻回部(19a)の他端に延設された第2延出部(19c)を有し、上記第1延出部(19b)は、上記ブラケット(7)の差込孔(7g)に差し込まれている一方、上記第2延出部(19c)は、上記リッド(11)のリッド側係止部(17h)に係止され、
上記ボックス部材(5)の開口(5o)の一端縁に上記リッド(11)の一端縁を上記ヒンジ軸(13)により回動可能に連結し、上記捻りコイルばね(19)の巻回部(19a)を上記ヒンジ軸(13)に外装し、上記捻りコイルばね(19)の第2延出部(19c)を上記リッド(11)のリッド側係止部(17h)に係止させ、上記ブラケット(7)の反差込孔(7g)側端部を上記ボックス部材(5)の周壁部(5a)から離間させ、上記ブラケット(7)の差込孔(7g)に上記捻りコイルばね(19)の第1延出部(19b)を差し込み、かつ上記捻りコイルばね(19)に外力を加えていない状態から、上記ブラケット(7)の反差込孔(7g)側端部を上記ブラケット(7)の差込孔(7g)近傍を支点として回動させて上記ボックス部材(5)の周壁部(5a)に接近させることにより、上記捻りコイルばね(19)の第1延出部(19b)を上記ブラケット(7)の差込孔(7g)の外周縁によって押圧して回動させて当該捻りコイルばね(19)をその弾性力に抗して変形させ、この状態で、上記ボックス部材(5)の周壁部(5a)に上記ブラケット(7)を上記固定手段(9)により固定することを特徴とする収納ボックスの組付方法。
【請求項2】
請求項1に記載の収納ボックスの組付方法において、
上記捻りコイルばね(19)は、上記巻回部(19a)を1対有し、
上記第1延出部(19b)は、両上記巻回部(19a)を互いに連結する連結部であることを特徴とする収納ボックスの組付方法。
【請求項3】
一方に開口するボックス部材(5)と、当該ボックス部材(5)の開口(5o)を開閉するリッド(11)と、上記ボックス部材(5)の開口(5o)の一端縁に上記リッド(11)の一端縁を回動可能に連結するヒンジ軸(13)と、上記ヒンジ軸(13)に外装され、上記リッド(11)をリッド開方向に付勢する捻りコイルばね(19)とを備えた収納ボックスであって、
上記ボックス部材(5)のリッド(11)連結側の周壁部(5a)には、ブラケット(7)が固定位置に固定手段(9)により外側から固定されているとともに、下方に開口する挿入孔(5c)が形成され、当該ブラケット(7)の一端部には、差込孔(7g)が形成され、当該ブラケット(7)の他端部には、係止片部(7i)が上方に向けて突設され、当該ブラケット(7)の係止片部(7i)は、前記ボックス部材(5)の挿入孔(5c)に挿入されて当該ブラケット(7)の反差込孔(7g)側端部の上記周壁部(5a)から離間する方への移動を規制し、
上記リッド(11)には、リッド側係止部(17h)が形成され、
上記捻りコイルばね(19)は、上記ヒンジ軸(13)に外装された巻回部(19a)、当該巻回部(19a)の一端に延設された第1延出部(19b)、及び当該巻回部(19a)の他端に延設された第2延出部(19c)を有し、上記第1延出部(19b)は、上記ブラケット(7)の差込孔(7g)に差し込まれている一方、上記第2延出部(19c)は、上記リッド(11)のリッド側係止部(17h)に係止され、
上記ボックス部材(5)の開口(5o)の一端縁に上記リッド(11)の一端縁を上記ヒンジ軸(13)により回動可能に連結し、上記捻りコイルばね(19)の巻回部(19a)を上記ヒンジ軸(13)に外装し、上記捻りコイルばね(19)の第2延出部(19c)を上記リッド(11)のリッド側係止部(17h)に係止させ、上記ブラケット(7)の反差込孔(7g)側端部を上記ボックス部材(5)の周壁部(5a)から上記固定位置よりも離間させ、上記ブラケット(7)の差込孔(7g)に上記捻りコイルばね(19)の第1延出部(19b)を差し込み、かつ上記捻りコイルばね(19)に外力を加えていない状態から、上記ブラケット(7)の反差込孔(7g)側端部を上記ブラケット(7)の差込孔(7g)近傍を支点として回動させて上記ボックス部材(5)の周壁部(5a)に接近させると、上記捻りコイルばね(19)の第1延出部(19b)が上記ブラケット(7)の差込孔(7g)の外周縁によって押圧されて回動して当該捻りコイルばね(19)がその弾性力に抗して変形するように構成されていることを特徴とする収納ボックス。
【請求項4】
請求項3に記載の収納ボックスにおいて、
上記捻りコイルばね(19)は、上記巻回部(19a)を1対有し、
上記第1延出部(19b)は、両上記巻回部(19a)を互いに連結する連結部であることを特徴とする収納ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方に開口するボックス部材と、当該ボックス部材の開口を開閉するリッドとを備えた収納ボックス及びその組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方に開口するボックス部材と、当該ボックス部材の開口を開閉するリッドと、上記ボックス部材の開口の一端縁に上記リッドの一端縁を回動可能に連結するヒンジ軸と、上記ヒンジ軸に外装され、上記リッドをリッド開方向に付勢する捻りコイルばねとを備えた収納ボックスが開示されている。この収納ボックスでは、ボックス部材にボックス側係止部が形成されている一方、リッドにリッド側係止部が形成されている。そして、上記捻りコイルばねの一端が、上記ボックス側係止部に係止されている一方、捻りコイルばねの他端が、上記リッド側係止部に係止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許2018-34630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、上記ボックス部材の開口の一端縁に上記リッドの一端縁を上記ヒンジ軸により回動可能に連結するとともに、上記捻りコイルばねの巻回部を上記ヒンジ軸に外装した後、上記リッドを閉じた状態で上記捻りコイルばねの両端を上記ボックス部材及びリッドに取り付けるには、捻りコイルばねの一端をボックス側係止部及びリッド側係止部のうちの一方の係止部に係止させた後、捻りコイルばねをその弾性力に抗して変形させながら捻りコイルばねの他端を指又は保持具でつまんで他方の係止部に係止させる必要がある。したがって、捻りコイルばねの付勢力を大きくする場合、指又は保持具に大きな力をかける必要が生じ、捻りコイルばねの組付作業が困難になる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、収納ボックスの捻りコイルばねの組付作業を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、捻りコイルばねをブラケットを介してボックス部材に取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、第1の発明は、一方に開口するボックス部材と、当該ボックス部材の開口を開閉するリッドと、上記ボックス部材の開口の一端縁に上記リッドの一端縁を回動可能に連結するヒンジ軸と、上記ヒンジ軸に外装され、上記リッドをリッド開方向に付勢する捻りコイルばねとを備えた収納ボックスの組付方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明は、上記ボックス部材のリッド連結側の周壁部には、ブラケットが固定手段により外側から固定され、当該ブラケットの一端部には、差込孔が形成され、上記リッドには、リッド側係止部が形成され、上記捻りコイルばねは、上記ヒンジ軸に外装された巻回部、当該巻回部の一端に延設された第1延出部、及び当該巻回部の他端に延設された第2延出部を有し、上記第1延出部は、上記ブラケットの差込孔に差し込まれている一方、上記第2延出部は、上記リッドのリッド側係止部に係止され、上記ボックス部材の開口の一端縁に上記リッドの一端縁を上記ヒンジ軸により回動可能に連結し、上記捻りコイルばねの巻回部を上記ヒンジ軸に外装し、上記捻りコイルばねの第2延出部を上記リッドのリッド側係止部に係止させ、上記ブラケットの反差込孔側端部を上記ボックス部材の周壁部から離間させ、上記ブラケットの差込孔に上記捻りコイルばねの第1延出部を差し込み、かつ上記捻りコイルばねに外力を加えていない状態から、上記ブラケットの反差込孔側端部を上記ブラケットの差込孔近傍を支点として回動させて上記ボックス部材の周壁部に接近させることにより、上記捻りコイルばねの第1延出部を上記ブラケットの差込孔の外周縁によって押圧して回動させて当該捻りコイルばねをその弾性力に抗して変形させ、この状態で、上記ボックス部材の周壁部に上記ブラケットを上記固定手段により固定することを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、一方に開口するボックス部材と、当該ボックス部材の開口を開閉するリッドと、上記ボックス部材の開口の一端縁に上記リッドの一端縁を回動可能に連結するヒンジ軸と、上記ヒンジ軸に外装され、上記リッドをリッド開方向に付勢する捻りコイルばねとを備えた収納ボックスを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第2の発明は、上記ボックス部材のリッド連結側の周壁部には、ブラケットが固定位置に固定手段により外側から固定されているとともに、下方に開口する挿入孔が形成され、当該ブラケットの一端部には、差込孔が形成され、当該ブラケットの他端部には、係止片部が上方に向けて突設され、当該ブラケットの係止片部は、前記ボックス部材の挿入孔に挿入されて当該ブラケットの反差込孔側端部の上記周壁部から離間する方への移動を規制し、上記リッドには、リッド側係止部が形成され、上記捻りコイルばねは、上記ヒンジ軸に外装された巻回部、当該巻回部の一端に延設された第1延出部、及び当該巻回部の他端に延設された第2延出部を有し、上記第1延出部は、上記ブラケットの差込孔に差し込まれている一方、上記第2延出部は、上記リッドのリッド側係止部に係止され、上記ボックス部材の開口の一端縁に上記リッドの一端縁を上記ヒンジ軸により回動可能に連結し、上記捻りコイルばねの巻回部を上記ヒンジ軸に外装し、上記捻りコイルばねの第2延出部を上記リッドのリッド側係止部に係止させ、上記ブラケットの反差込孔側端部を上記ボックス部材の周壁部から上記固定位置よりも離間させ、上記ブラケットの差込孔に上記捻りコイルばねの第1延出部を差し込み、かつ上記捻りコイルばねに外力を加えていない状態から、上記ブラケットの反差込孔側端部を上記ブラケットの差込孔近傍を支点として回動させて上記ボックス部材の周壁部に接近させると、上記捻りコイルばねの第1延出部が上記ブラケットの差込孔の外周縁によって押圧されて回動して当該捻りコイルばねがその弾性力に抗して変形するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1及び第2の発明によれば、捻りコイルばねをその弾性力に抗して変形させる工程を、捻りコイルばねの第1延出部をブラケットの差込孔に差し込む差込工程、及び捻りコイルばねの第2延出部をリッドのリッド側係止部に係止させる係止工程とは別に設けたので、捻りコイルばねの付勢力を大きくする場合でも、上記差込工程及び係止工程で捻りコイルばねをその弾性力に抗して大きく変形させなくてよい。したがって、捻りコイルばねの組付作業が容易になる。
【0012】
また、ブラケットの反差込孔側端部にかけた力がブラケットの差込孔近傍を支点として捻りコイルばねの第1延出部に作用するので、てこの原理により比較的小さい力で捻りコイルばねを変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る収納ボックスとしてのコンソールボックスの後端部を示す斜視図である。
図2】ボックス部材の後端部の斜視図である。
図3】ブラケットの斜視図である。
図4】ブラケットの下端部周りの斜視図である。
図5】リッドの後端部の斜視図である。
図6】捻りコイルばねの斜視図である。
図7】ブラケットの反差込孔側端部が離間位置にあるときの図1相当図である。
図8】ブラケットをボックス部材に締結する前の図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、自動車の運転席と助手席との間に設置される本発明の実施形態に係る収納ボックスとしてのコンソールボックス1を示す。このコンソールボックス1は、図2にも示すボックス部材5を備えている。ボックス部材5は、上方に開口する開口5oを有するボックス本体5’を有している。ボックス本体5’は、車両前後方向に長い略直方体状をなしている。このボックス本体5’は、前壁部(図示せず)、後壁部5a、右側壁部(図示せず)、左側壁部5a’、及び底壁部(図示せず)を備えている。このボックス本体5’の後壁部5aの上下方向中央よりも下寄りの位置には、その板面を上下方向に向けた段差形成面5bが、当該段差形成面5bよりも下側の領域が上側の領域よりも車両前方に位置するように形成されている。当該段差形成面5bの車幅方向両端部近傍には、下方に開口する矩形状の挿入孔5cが形成されている。このボックス本体5’の後壁部5aの段差形成面5bよりも上側の領域における上端部を除く領域は上方に向かって車両後方に傾斜している。また、後壁部5aの段差形成面5bよりも上側の領域には、上下方向に延び、車両後方に膨出する4つの膨出部5dが、車幅方向に間隔を空けて形成されている。後壁部5aの段差形成面5bよりも上側の領域の上端部よりも若干下がった位置には、車両後方に突出する1対の上側ボス部5eが車幅方向に間隔を空けて形成されている。後壁部5aの段差形成面5bよりも上側の領域の下端部近傍には、車両後方に突出する1対の下側ボス部5fが車幅方向に間隔を空けて形成されている。上側ボス部5e及び下側ボス部5fには、第1タッピング孔5gが形成されている。下側ボス部5fの先端面は、車幅方向両端の膨出部5dの膨出面と面一をなしている。後壁部5aの後面(外面)における両下側ボス部5fに車幅方向外側から隣接する箇所には、下方に向かって車両前方に傾斜するガイド面5hが形成されている。当該ガイド面5hは、平面視で下方に向かって徐々に幅狭となる略台形状をなしている。これらガイド面5hは、上記挿入孔5cに車両後方から隣接している。また、ボックス本体5’の後壁部5aの車幅方向両側端縁の上端部には、その板面を車幅方向に向けた板状のヒンジ部5iが突設されている。当該ヒンジ部5iには、円形の貫通孔5jが形成されている。ヒンジ部5iの車幅方向外側の面における貫通孔5j周縁には、ヒンジ軸用ボス部5kが突設されている。ヒンジ部5iのヒンジ軸用ボス部5kの前方には、上記貫通孔5jの外周に沿う円弧状に延びるガイド孔5mが形成されている。後壁部5aの車幅方向両側端縁におけるヒンジ部5i突設箇所の下側には、その板面を車幅方向に向けた板状の側壁部5nが全長に亘って突設されている。各側壁部5nは、ヒンジ部5iと連続している。また、後壁部5aの上端縁には、その板面を上下方向に向けた板状の上壁部5pが全長に亘って突設されて上記ヒンジ部5iの上端縁を連結している。また、後壁部5aの下端縁には、その板面を上下方向に向けた板状の下壁部5qが全長に亘って突設されている。上記側壁部5nの上下方向中央よりも下寄りの位置には、車幅方向外側に突出するヒンジ部側ボス部5rが形成されている。ヒンジ部側ボス部5rには、第2タッピング孔5sが形成されている。また、ボックス部材5には、リッド閉状態で後述するリッド11の被係合部(図示せず)と係合することでリッド11の開動作を規制する係合部(図示せず)が設けられている。また、ボックス部材5の一方のヒンジ部5i周りには、制動ギヤ(図示せず)を有する回転ダンパー(図示せず)が取り付けられている。
【0016】
上記ボックス部材5の後壁部5aには、図3にも示す金属製のブラケット7が固定されている。ブラケット7は、板面を略車両前後方向に向けた板状の主面部7aを備えている。当該主面部7aは、車幅方向に間隔を空けて上下方向に延びる1対の縦板部7bと、両縦板部7bの長手方向中央よりも若干上寄りの箇所を互いに連結するように車幅方向に延びる横板部7cと、両縦板部7bの上端部を連結する連結板部7dとを有している。両縦板部7bの上端部及び下端部を除く領域、及び横板部7c全体は、上記ボックス本体5’の後壁部5aに沿うように上方に向かって車両後方に傾斜している。各縦板部7bの上下方向両端部には、タッピングねじ挿通孔7eが貫通形成されている。連結板部7dの上端縁には、板面を上下方向に向けた上側突出板部7fが車両後方に向けて突設されている。当該上側突出板部7fには、車幅方向に長い長孔状の差込孔7gが貫通形成されている。したがって、当該差込孔7gは、ブラケット7の一端部に位置している。一方、両縦板部7bの下端縁には、その板面を上下方向に向けた平面視矩形状の下側突出板部7hが車両前方に向けて突設されている。下側突出板部7hの車幅方向外側端縁の前端部には、その板面を車幅方向に向けた板状の係止片部7iが上方に向けて突設されている。
【0017】
上記ブラケット7は、図4にも示すように、両係止片部7iを上記ボックス部材5の挿入孔5cに挿入させ、かつそのタッピングねじ挿通孔7eを上記ボックス部材5の第1タッピング孔5gに対応させた状態で、固定手段としての第1タッピングねじ9を車両後方(外側)から上記タッピングねじ挿通孔7e及び第1タッピング孔5gに挿入して締結することにより、ボックス部材5の後壁部5aに外側から固定位置に固定されている。
【0018】
上記ボックス部材5の開口5oの後端縁には、ボックス部材5の開口5oを開閉する図5にも示すリッド11の後端縁がヒンジ軸13により回動可能に連結されている。したがって、ボックス部材5の後壁部5aが、リッド11連結側の周壁部を構成している。リッド11は、車両前後方向に長い略長方形板状のリッド本体15を備えている。リッド本体15は、リッド11を閉じた状態でアームレストとして利用可能になっている。リッド本体15の裏面の後端部の車幅方向両端部近傍には、アーム部17が突設されている。各アーム部17は、その板面を車幅方向に向けた略板状の主壁部17aを備え、当該主壁部17aは、リッド本体15の裏面から所定の幅で突出してその突出方向に向かって後方に略円弧状に湾曲する湾曲部17bと、当該湾曲部17bから反突出方向に向かって斜め後方に突出する突出部17cとを有している。突出部17cの先端縁は、半円弧状をなしている。主壁部17aの湾曲部17bの車幅方向内側の面の幅方向中途部には、リッド本体15から離れる方向に向かって後方に湾曲して延びる略円弧状の突条部17dが突設されている。当該突条部17dの車両後側の面には、ギヤ17kが形成されている。突出部17cの先端には、略円形の軸受孔17eが貫通形成され、当該軸受孔17eの外周縁には、車幅方向外側に突出するアーム部側ボス部17fが形成されている。突出部17cの軸受孔17eよりも基端側の後端部には、車幅方向外側に凹み、かつ後方に開放する凹所17gが形成され、当該凹所17gの底面にリッド側係止部としてのリッド側係止孔17hが貫通形成されている。主壁部17aの外周縁には、車幅方向外側に向かって突出する外周リブ17iが全周に亘って形成されている。外周リブ17iの内側の主壁部17aには、車幅方向外側に向かって突出する内側リブ17jが略蜂の巣状に形成されてアーム部側ボス部17f及び外周リブ17iと連続している。また、リッド11の車両前側には、ボックス部材5の上記係合部(図示せず)と係合する被係合部(図示せず)が設けられている。
【0019】
そして、上記ボックス部材5のヒンジ部5iを上記リッド11のアーム部17の車幅方向内側に配置した状態で、上記ボックス部材5のヒンジ部5iの貫通孔5j、及び上記リッド11のアーム部17の軸受孔17eにヒンジ軸13が挿通されている。また、ボックス部材5に取り付けられた回転ダンパー(図示せず)の制動ギヤが、リッド11のアーム部17のギヤ17kに噛み合っている。当該ヒンジ軸13には、図6にも示す捻りコイルばね19が外装されている。捻りコイルばね19は、上記ヒンジ軸13に外装された1対の巻回部19aと、両巻回部19aの車幅方向内側の端部(一端)に延設されて両巻回部19aを互いに連結する第1延出部としての連結部19bと、両巻回部19aの車幅方向外側の端部(他端)に延設された第2延出部としての外側延出部19cとを有している。連結部19bは、両巻回部19aの車幅方向内側の端部から共通の方向(ヒンジ軸13の接線方向)に直線状に延設された1対の直線部19dと、半円弧状に湾曲して両直線部19dを接続する接続部19eとからなる。
【0020】
そして、捻りコイルばね19の連結部19bは、下方に突出した状態で上記ブラケットの差込孔7gに上方から差し込まれている。また、捻りコイルばね19の両外側延出部19cの先端近傍は、上記リッド11のリッド側係止孔17hに係止されている。詳しくは、両外側延出部19cの先端近傍は、上記リッド11のリッド側係止孔17hを挿通することで、捻りコイルばね19の周方向への移動を規制されている。また、両外側延出部19cのリッド側係止孔17h挿通部分よりも基端側は、上記ボックス部材5のガイド孔5mを挿通している。この状態で、捻りコイルばね19は、リッド11をリッド開方向に付勢している。
【0021】
また、ボックス本体5’の左右両側には、その板面を車幅方向に向けた板状のサイドカバー21が取り付けられている。サイドカバー21の後端部には、タッピングねじ締結孔(図示せず)が貫通形成され、当該タッピングねじ締結孔(図示せず)を上記ボックス部材5の第2タッピング孔5sに対応させた状態で、第2タッピングねじ23が当該タッピングねじ締結孔及び第2タッピング孔5sに挿通されて締結されている。
【0022】
上述のように構成されたコンソールボックス1では、リッド閉状態で、ボックス部材5の係合部(図示せず)がリッド11の被係合部(図示せず)に係合することで、リッド11の開動作を規制する。そして、この状態からボックス部材5の係合部(図示せず)とリッド11の被係合部(図示せず)との係合を解除させると、リッド11が捻りコイルばね19の付勢力によりヒンジ軸13周りに上方に回動して開位置に達し、捻りコイルばね19の付勢力により開状態を維持する。このとき、リッド11が閉位置から開位置に回動する過程で、ボックス部材5に取り付けられた回転ダンパー(図示せず)の減衰力により、リッド11の回転速度が抑制される。このとき、リッド11と連動して捻りコイルばね19の外側延出部19cが、ガイド孔5m内を回動する。また、リッド開状態からリッド11を下方に押圧することにより、リッド11を捻りコイルばね19の付勢力に抗して閉位置に回動させることができる。このときも、捻りコイルばね19の外側延出部19cは、リッド11と連動してガイド孔5m内を回動する。
【0023】
そして、上述のように構成されたコンソールボックス1を組み付けるには、まず、上記ボックス部材5の両ヒンジ部5iを上記リッド11の両アーム部17の内側に配置し、上記ボックス部材5の両ヒンジ部5iの貫通孔5jと上記リッド11の両アーム部17の軸受孔17eとを対向させるとともに、捻りコイルばね19の両外側延出部19cを、ボックス部材5のガイド孔5mに挿通させ、次いでリッド11のリッド側係止孔17hに挿通(係止)させる。そして、ヒンジ軸13を、リッド11の一方のアーム部17の軸受孔17e、ボックス部材5の一方のヒンジ部5iの貫通孔5j、捻りコイルばね19の両巻回部19a、ボックス部材5の他方のヒンジ部5iの貫通孔5j、及びリッド11の他方のアーム部17の軸受孔17eに順に挿通させる。これにより、ヒンジ軸13に捻りコイルばね19の両巻回部19aが外装されるとともに、上記ボックス部材5の開口5oの後端縁に上記リッド11の後端縁がヒンジ軸13により回動可能に連結される。また、リッド11を閉状態とする。この状態で、図7に示すように、捻りコイルばね19に外力は加わっておらず、捻りコイルばね19の連結部19bは車両後方に突出している。そして、上記ブラケット7の上側突出板部7fをその板面を車両前後方向に向けた状態で上記捻りコイルばね19の連結部19bに車両後方から接近させることで、上記ブラケット7の差込孔7gに上記捻りコイルばね19の連結部19bを差し込む。この状態で、ブラケット7の反差込孔7g側端部がボックス部材5の後壁部5aから上記固定位置よりも後方に離間している。そして、この状態から、ブラケット7の反差込孔7g側端部をブラケット7の差込孔7g近傍を支点として前方に(図7中矢印Xで示す方向に)回動させてボックス部材5の後壁部5aに接近させることにより、捻りコイルばね19の連結部19bをブラケット7の差込孔7gの外周縁によって上側から押圧して下方に回動させる。これにより、捻りコイルばね19がその弾性力に抗して変形する。このとき、ブラケット7の反差込孔7g側端部にかけた力がブラケット7の差込孔7g近傍を支点として捻りコイルばね19の連結部19bに作用するので、てこの原理により比較的小さい力で捻りコイルばね19を変形させることができる。また、ブラケット7の係止片部7iは、ブラケット7を回動させる過程でボックス部材5のガイド面5hに摺接して撓み、図4及び図8に示すように挿入孔5cに達すると元の形状に復帰して挿入孔5cの端縁に前方から当接してブラケット7の反差込孔7g側端部の後方への移動を規制する。次いで、ブラケット7のタッピングねじ挿通孔7eと上記ボックス部材5の第1タッピング孔5gとに第1タッピングねじ9を挿通して締結することにより、ブラケット7をボックス部材5の後壁部5aに固定する。このように、捻りコイルばね19をその弾性力に抗して変形させる工程を、捻りコイルばね19の連結部19bをブラケット7の差込孔7gに差し込む差込工程、及び捻りコイルばね19の外側延出部19cをリッド11のリッド側係止孔17hに係止させる係止工程とは別に設けたので、捻りコイルばねの付勢力を大きくする場合でも、差込工程及び係止工程で捻りコイルばね19をその弾性力に抗して大きく変形させなくてよい。したがって、捻りコイルばね19の組付作業が容易になる。最後に、サイドカバー21のタッピングねじ締結孔(図示せず)を上記ボックス部材5の第2タッピング孔5sに対応させて第2タッピングねじ23を当該タッピングねじ締結孔及び第2タッピング孔5sに挿通して締結することにより、ボックス本体5’の左右両側にサイドカバー21を取り付ける。
【0024】
したがって、本実施形態によれば、ブラケット7を金属で構成したので、樹脂で構成した場合に比べ、ブラケット7の差込孔7gの周縁部が捻りコイルばね19の弾性力により破損しにくい。
【0025】
なお、本実施形態では、ブラケット7に、縦板部7b及び係止片部7iを2つずつ設けたが、1つずつ設けるようにしてもよい。また、ブラケット7を金属製のプレートを折り曲げた形状としたが、棒状としてもよい。
【0026】
また、本実施形態では、ブラケット7をボックス本体5の後壁部5aのみに締結したが、右側壁部(図示せず)、左側壁部5a’、及び底壁部(図示せず)のうちの少なくとも1つにもさらに締結するようにしてもよい。これにより、ボックス本体5の剛性を向上できる。
【0027】
また、本実施形態では、ボックス部材5の開口5oの後端縁にリッド11の後端縁を連結したが、ボックス部材5の開口5oの他の一端縁にリッド11の他の一端縁を連結してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、一方に開口するボックス部材と、当該ボックス部材の開口を開閉するリッドとを備えた収納ボックス及びその組付方法として有用である。
【符号の説明】
【0029】
1 コンソールボックス(収納ボックス)
5 ボックス部材
5a 後壁部(周壁部)
5c 挿入口
5o 開口
7 ブラケット
7g 差込孔
7i 係止片部
9 第1タッピングねじ(固定手段)
11 リッド
13 ヒンジ軸
17h リッド側係止孔(リッド側係止部)
19 捻りコイルばね
19a 巻回部
19b 連結部(第1延出部)
19c 外側延出部(第2延出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8