(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】バイパス流体流を有する擬似移動床分離法および装置
(51)【国際特許分類】
B01D 15/00 20060101AFI20230831BHJP
C07C 15/08 20060101ALI20230831BHJP
C07C 7/13 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B01D15/00 101A
B01D15/00 K
C07C15/08
C07C7/13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019111644
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2022-06-13
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ラインクーゲル ル コック
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール オチエ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-イヴ ル ゴフ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ランベール
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-161439(JP,A)
【文献】特開2010-247153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0201865(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0048973(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D15/00-15/42
C07B31/00-63/04
C07C1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似移動床分離装置による供給原料(F)の擬似移動床分離のための方法であって、
装置は:
それぞれが
2チャンバー分配/抽出システムを含むプレート(P
i)によって分離されている吸着剤の複数の床(A
i)を含む、少なくとも1つのカラムと;
2つの連続するプレート(P
i、P
i+1)に直接的に連結する外付けバイパスライン(L
i/i+1)と、
を含み、
各外付けバイパスラインは流体(F、D)フィード箇所と流出液(E、R)抜出箇所とを含み、
各プレート(P
i
)が、上流隣接プレート(P
i-1
)と前記プレート(P
i
)との間の上流外付けバイパスライン(L
i-1/i
)に、および、前記プレート(P
i
)と下流隣接プレート(P
i+1
)との間の下流外付けバイパスライン(L
i/i+1
)に接続され、
この方法において:
少なくとも1つのカラムは、供給原料(F)および脱着剤(D)をフィードされ、少なくとも1つの抽出液(E)および少なくとも1つのラフィネート(R)が少なくとも1つのカラムから抜出され、フィード箇所および抜出箇所は、ある切り替え時間(ST)をおいて1つの吸着剤床に対応する量ずつ経時的にずらされ、かつ
次の主要なゾーンを決め:
抽出液からの化合物の脱着のためのゾーン1(このゾーンは脱着剤(D)のフィードと抽出液(E)の抜出との間に含まれる)、
ラフィネートからの化合物の脱着のためのゾーン2(このゾーンは抽出液(E)の抜出と供給原料(F)のフィードとの間に含まれる)、
抽出液からの化合物の吸着のためのゾーン3(このゾーンは供給原料(F)のフィードとラフィネート(R)の抜出との間に含まれる)、および
ラフィネート(R)の抜出と脱着剤(D)のフィードとの間に位置するゾーン4;
流体(F、D)が、選ばれたプレート(P
i)の方へ、前記選ばれたプレート(P
i)に接続された外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)を介して注入されるときには、前記外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)の流量は、流体(F、D)の大部分が選ばれたプレート(P
i)の方へ注入され、かつ流体(F、D)の小部分が前記外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)に接続された隣接プレート(P
i-1、P
i+1)の方へ注入されるような様式でコントロールされ;およ
び
流出液(E、R)が選ばれたプレート(P
i)から前記選ばれたプレート(P
i)に接続された外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)を介して抜出されるときには、前記外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)の流量は、流出液(E、R)の大部分が選ばれたプレート(P
i)から抜出され、かつ流出液(E、R)の小部分が前記外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)に接続された隣接プレート(P
i-1、P
i+1)から抜出されるような様式でコントロールされる、
擬似移動床分離装置による供給原料(F)の擬似移動床分離のための方法。
【請求項2】
前記外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)に接続された隣接プレート(P
i-1、P
i+1)の方へ注入される流体(F、D)の小部分が、前記隣接プレート(P
i-1、P
i+1)のすすぎのレベルが100%+/-30%に等しいような様式で制御され;および/または
前記外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)に接続された隣接プレート(P
i-1、P
i+1)から抜出される流出液(E、R)の小部分が、前記隣接プレート(P
i-1、P
i+1)のすすぎのレベルが100%+/-30%に等しいような様式で制御され、
隣接プレート(P
i-1、P
i+1)は、選ばれたプレート(P
i)の上流に位置する上流隣接プレート(P
i-1)または選ばれたプレート(P
i)の下流に位置する下流隣 接プレート(P
i+1)であり、
上流隣接プレート(P
i-1)のすすぎのレベルはQ
i-1×ST/(V
i-1+VL
i-1/i/2)によって定められ、
下流隣接プレート(P
i+1)のすすぎのレベルはQ
i+1×ST/(V
i+1+VL
i/i+1/2)によって定められ、
nはカラムの吸着剤床の個数であり、
iは1とnとの間に含まれる自然整数であり、
Q
i-1は上流隣接プレート(P
i-1)から流れる体積流量を表し、
Q
i+1は下流隣接プレート(P
i+1)の方へ流れる体積流量を表し、
V
i-1は上流隣接プレート(P
i-1)の分配/抽出システムの体積を表し;
V
i+1は下流隣接プレート(P
i+1)の分配/抽出システムの体積を表し;
VL
i-1/iは、上流隣接プレート(P
i-1)と選ばれたプレート(P
i)との間の上流外付けバイパスライン(L
i-1/i)の体積を表し、
VL
i/i+1は、選ばれたプレート(P
i)と下流隣接プレート(P
i+1)との間の下流外付けバイパスライン(L
i/i+1)の体積を表し、
STは切り替え時間を表す、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)に接続された隣接プレート(P
i-1、P
i+1)の方へ注入される流体(F、D)の小部分が、前記隣接プレート(P
i-1、P
i+1)のすすぎのレベルが100%+/-20%に等しいような様式で制御され;および/または
前記外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1)に接続された隣接プレート(P
i-1、P
i+1)から抜出される流出液(E、R)の小部分が、前記隣接プレート(P
i-1、P
i+1)のすすぎのレベルが100%+/-20%に等しいような様式で制御される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
プラスまたはマイナス10%以内までの同期が各他の外付けバイパスライン(L
j/j+1)において確立され、
同期流量が(V
j+V
j+1+VL
j/j+1)/STによって定められ、
jは1とnとの間に含まれる自然整数であり、iとは異なり、
nはカラムの吸着剤床の個数であり、
iは1とnとの間に含まれる自然整数であり、
V
jおよびV
j+1は、前記他の外付けバイパスライン(L
j/j+1)に接続されたプレート(P
jおよびP
j+1)の分配/抽出システムのそれぞれの体積を表し、
VL
j/j+1は前記他の外付けバイパスライン(L
j/j+1)の体積を表し、
STは切り替え時間を表す、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
プラスまたはマイナス5%以内までの同期が各他の外付けバイパスライン(L
j/j+1)において確立される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
nが6と24との間に含まれる自然整数である、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
供給原料(F)がC8芳香族炭化水素の混合物中にパラキシレンまたはメタキシレンを含有する、請求項1~
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
吸着剤の複数の床(A
i
)は、ゾーン1から4の間においてa/b/c/d型であると呼ばれる構成で分配され、床の分配は、次の通りである、請求項1に記載の方法:
aはゾーン1の床の個数であり;
bはゾーン2の床の個数であり;
cはゾーン3の床の個数であり;
dはゾーン4の床の個数である;
a=(n*0.208)*(1±0.2);
b=(n*0.375)*(1±0.2);
c=(n*0.292)*(1±0.2);
d=(n*0.125)*(1±0.2)。
【請求項9】
吸着剤の複数の床(A
i
)は、ゾーン1から4の間においてa/b/c/d型であると呼ばれる構成で分配され、床の分配は、次の通りである、請求項1に記載の方法:
aはゾーン1の床の個数であり;
bはゾーン2の床の個数であり;
cはゾーン3の床の個数であり;
dはゾーン4の床の個数である;
a=3;
b=6;
c=4;および
d=2。
【請求項10】
カラムはn個の吸着剤床(A
i
)を含み、nは6と24との間に含まれる自然整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
カラムはn個の吸着剤床(A
i
)を含み、nは8と15との間に含まれる自然整数である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留によって分離することが困難である天然または化学生成物の分離の分野に関する。それから、本明細書において以降では略語「SMB」によって呼ばれる、擬似向流または擬似並流どちらかを用いる擬似移動床分離法または装置の名称によって公知の、一群の方法および関連する装置の使用がなされる。
【0002】
該当する分野は、排他的にではなくとりわけて:
他方では分岐パラフィン、ナフテン、および芳香族分からの一方ではノルマルパラフィンの分離;
オレフィン/パラフィン分離;
他のC8芳香族異性体からのパラキシレンの分離;
他のC8芳香族異性体からのメタキシレンの分離;ならびに
他のC8芳香族異性体からのエチルベンゼンの分離、
である。
【0003】
製油所および石油化学コンプレックスの他にも数々の他の応用があり、グルコース/フルクトース分離、クレゾール位置異性体、光学異性体などの分離を包含する。
【背景技術】
【0004】
SMB分離は従来技術において周知である。一般的なルールとして、擬似移動床テクノロジーを用いるカラムは、少なくとも3つのゾーン、可能性としては4つまたは5つを含み、これらのゾーンのそれぞれは特定個数の連続する床からなり、各ゾーンはフィード箇所と抜出箇所との間におけるその位置によって定められる。典型的には、SMBカラムは分画されるべきである少なくとも1つの供給原料(feedstock)と脱着剤(場合によっては溶離剤と呼ばれる)とがフィードされ、少なくとも1つのラフィネートと抽出液とが前記カラムから抜出される。
【0005】
フィード箇所および抜出箇所は経時的に変更され、典型的には1つの床に対応する量ずつ同じ方向にずらされる。
【0006】
定義上、操作ゾーンのそれぞれは番号によって指定される:
ゾーン1=抽出液からの化合物の脱着のためのゾーン(このゾーンは脱着剤の注入と抽出液の取り出しとの間に含まれる);
ゾーン2=ラフィネートからの化合物の脱着のためのゾーン(このゾーンは、抽出液の取り出しと分画されるべきである供給原料の注入との間に含まれる);
ゾーン3=抽出液からの化合物の吸着のためのゾーン(このゾーンは供給原料の注入とラフィネートの抜出との間に含まれる);および
任意に、ラフィネートの抜出と脱着剤の注入との間に位置するゾーン4。
【0007】
従来技術は、擬似移動床による供給原料の分離を達成することを可能にする種々の装置および方法を掘り下げて記載している。
【0008】
特許文献1、2、3、4、5、6、7、8への具体的な言及がなされ得る。これらの特許はSMB装置の操作をも詳細に記載している。
【0009】
典型的には、SMB装置は、吸着剤の複数の連続する床へと分割された少なくとも1つのカラム(多くの場合には2つ)を含み、前記床同士はプレートによって分離される。
【0010】
典型的には、SMB装置のコントロールされた流体分配および抽出手段は、次の2つの幅広い型のテクノロジーの1つを利用する:
各プレートについて、流体をフィードもしくは抜出するための複数のコントロールされたオン/オフ弁。典型的には、これらの弁は対応するプレートの直近に位置する。それぞれ供給原料および脱着剤をフィードし、ならびに抽出液およびラフィネートを抜出するために、典型的には、各プレートは、オン/オフの原則でコントロールされる少なくとも4つの二方弁を含む;
または、プレートの全てについて、流体をフィードもしくは抜出するための多方ロータリー弁、
どちらかである。
【0011】
とりわけ、本発明は、種々の流体をフィードおよび抜出するために複数の弁を利用するSMB装置の範疇に入る。
【0012】
典型的には、プレートのそれぞれは、分配/抽出ラインまたはシステムによってフィードされる「DMEプレート」と呼ばれる複数の分配-混合-抽出パネルを含む。プレートはいずれかの型およびいずれかの幾何学的形状であり得る。一般的には、それらは、カラムの断面の隣接セクター同士に対応する複数パネルへと、例えば、特許文献9の
図8に開示されている通り扇形セクター同士による複数パネルへと、または特許文献10に記載されている通り円周から切られた平行セクター同士による複数パネルへと分割される。
【0013】
床のそれぞれにおける分配は、前の床から来る主要なストリームの収集、補助的な流体もしくは二次的な流体を注入しながら、同時にこれらの2つの流体を可能な限り良く混合する可能性、またはさもなければ収集された流体の一部を取り出し、それを装置から送り出すためにそれを抽出し、次の床において流体を再分配をもする可能性を要求する。
【0014】
全てのSMB装置の1つの全般的な課題は、フィード箇所および抜出箇所がSMB装置の操作の過程の間に変更されるときに、プレートに流体をフィードし、およびプレートから流体を抜出する流路(単数または複数)の種々のゾーンに在る液体によって生ずるコンタミネーションを最小化することである。
【0015】
具体的には、操作シーケンスの過程の間に、プレートのフィードのためのライン、チャンバーまたはゾーンがプロセス流体によってもはやフラッシュ(flush)されないときには、それは液体が滞るデッドゾーンになり、別のプロセス流体が再びそれを循環するまでは再び動きに戻らない。SMB装置が稼働する様式ゆえに、これは該当するラインに滞った流体とは一般的に異なるプロセス流体である。
【0016】
とりわけ異なる組成を有する流体同士の混合または短期的な循環は、組成の不連続性が避けられるべきである理想的な操作と比較して、該当するゾーンの濃度プロファイルに乱れをもたらす。
【0017】
別の課題は、プレートの種々のゾーン間の圧力の非常に小さい差異の結果として、1つの同じプレートの異なるゾーン間、より一般的には1つの同じプレートの分配/抽出システム全体の異なるゾーン間にあり得る再循環に在り、これは何かしら理想的な操作と比較してなお乱れをもたらす。
【0018】
再循環およびデッドゾーンに関連するこれらの課題に対処するために、従来技術において公知の種々の技術がある。
【0019】
比較的純粋な脱着剤または所望の生成物によって所与のプレートの分配/抽出システムをフラッシュすることがすでに提案されている。この技術は、所望の生成物がその抽出の時点においてコンタミネーションされることを避けることをまさしく実際に可能にする。しかしながら、フラッシュ液体はそれが置き換え(displace)ようとする液体とは大いに異なる組成を有するので、これは、理想的な操作にとって有害である組成の不連続性を導入する。典型的には、この第1のフラッシュ変形は、高い濃度勾配を有する短期的なフラッシュを行う。具体的には組成の不連続性の影響を限定するために、これらのフラッシュ操作は短期的である。
【0020】
特許文献11および12に記載されている別の解決策は、主要なストリームの大部分がカラムの内側の方へ流れ、かつこのストリームの小部分(典型的には、主要なストリームの1%から20%)が、連続するプレート間に走る外付けバイパスラインを介して外側の方へ流れさせることである。上のプレートから取られたストリームを用いるプレートのレベルにおける分配/抽出システムのこのフラッシュは典型的には連続的に行われ、その結果、分配/抽出システムのラインおよびゾーンはもはや「デッド」ではなく、絶えずフラッシュされる。
【0021】
バイパスラインを介する連続的なフラッシュを有するかかるシステムは特許文献13の
図2に開示されている。バイパスラインは一般的に直径が小さく、小径弁を含み、それによってシステムのコストを縮減する。
【0022】
特許文献11および12の教示に従うと、所望のアウトカムは、所与のプレートの分配/抽出システムが、置き換えされる液体(分配システムに存在するか、またはプレートのレベルで循環する液体)のものに非常に類似する組成を有する液体によってフラッシュされることである。この様式で、異なる組成の流体同士の混合は最小化され、組成の不連続性は縮減される。
【0023】
このために、特許文献11および12は、各バイパスの流量が、SMB装置の主要なストリームの濃度勾配が進む速度と実質的に同じであるように、バイパスのフラッシュ流量を実行することを推奨している。そのとき、フラッシュは「同期的」または「同期的な流量」であると言われる。それゆえに、種々のラインおよび体積は、その中に見出される液体のものと実質的に同一の組成を有する流体によってフラッシュされ、バイパスを循環する液体は、主要なストリームの組成が実質的に同一である箇所において再導入される。
【0024】
そのため、フラッシュ操作は同期的であり、長期的であり、低いまたはゼロの濃度勾配において行われる。従来技術の教示に従うと、1つのプレートから次のプレートの方へ来るフラッシュ流がV/STに等しいときに、フラッシュは「同期的」であると言われ、式中、Vは前記プレートの分配システムとこれらの2つのプレート間に延在するバイパスラインの体積との累積的な体積であり、STはSMB装置の切り替え時間(2つの連続するフィード/抽出切り替え間の時間)である。
【0025】
それゆえに:
「同期的な流量」=QSi/i+1=(Vi+Vi+1+VLi/i+1)/ST、式中:
QSi/i+1は、プレートPiから次のプレート(典型的には、下のプレート)Pi+1の方へ来るフラッシュ流の流量を表し;
Viは出発プレートPiの分配/抽出システムの体積を表し;
Vi+1は行先プレートPi+1の分配/抽出システムの体積を表し;
VLi/i+1は、PiとPi+1との間に延在するバイパスラインの体積を表し;
STは切り替え時間を表す。
【0026】
典型的には、同期的なフラッシュは、ゾーンのそれぞれに適合したコントロールされた流量のフラッシュを用いて実行され、これらのゾーンにおける同期的な流量の50%から150%の範囲であり、理想的には、同期的な流量の100%に相当する。SMB装置の4つのゾーンのバイパスラインの流量は各バイパスラインにおける制御手段によってコントロールされる。
【0027】
特許文献14は、所与の操作ゾーンのバイパスラインの流量を、少なくとも1つの閉鎖されたバイパスラインが前記ゾーンに存在するか否かに従って制御することによって、プロセスの性能を改善することが可能であるということを示している。より具体的には、少なくとも1つの閉鎖されたバイパスラインがあるゾーンの閉鎖されていないバイパスラインの過剰同期は、該当するゾーンの閉鎖されたバイパスラインの個数対そのゾーンのバイパスラインの総数、つまり該当するゾーンの床の個数の比として定められる。
【0028】
過剰な同期Sは次式によって定められる:
S=a+b(nf/nt)
式中:
aは-5と5との間に含まれる定数であり、
bは40と100との間に含まれる定数であり、
nfは該当するゾーンの閉鎖されたバイパスラインの個数を表し、
ntは該当するゾーンのバイパスラインの総数を表す。
【0029】
特許文献14は、注入される各ストリーム(供給原料および脱着剤)および抜出される各ストリーム(抽出液およびラフィネート)について1つのバイパスラインを閉鎖することが必要であるということをも教示している。
【0030】
上述のプロセスは商業的純度という目標を得ることを可能にする。しかしながら、出願人企業は、特許文献11、12、および14の「同期的なフラッシュ」教示は従来技術からの改善を賄えるが、驚くべきことに、擬似移動床分離法の操作および性能をさらに改善することが可能であるということを実証することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【文献】米国特許第2,985,589号明細書
【文献】米国特許第3,214,247号明細書
【文献】米国特許第3,268,605号明細書
【文献】米国特許第3,592,612号明細書
【文献】米国特許第4,614,204号明細書
【文献】米国特許第4,378,292号明細書
【文献】米国特許第5,200,075号明細書
【文献】米国特許第5,316,821号明細書
【文献】米国特許第6,537,451号明細書
【文献】米国特許第6,797,175号明細書
【文献】米国特許第5,972,224号明細書
【文献】米国特許第6,110,364号明細書
【文献】仏国特許発明第2,772,634号明細書
【文献】仏国特許発明第2,935,100号明細書
【発明の概要】
【0032】
本明細書において上に記載されている文脈において、本明細書の第1の目的は、供給原料から溶質をより高い収率で同じ純度で抽出することを可能にする擬似移動床分離法を提供することであり、とりわけ、ストリームが注入または抜出されるバイパスラインによるリーク流を提供することによる擬似移動床分離法を提供することである。第2の目的は、供給原料から溶質をより高い純度で抽出することを同等の収率で可能にする方法を提供することである。
【0033】
第1の態様に従うと、先述の目的は、他の利点と一緒に、擬似移動床分離装置による供給原料の擬似移動床分離のための方法によって得られ、
装置は:
それぞれが分配/抽出システムを含むプレートによって分離されている吸着剤の複数の床を含む、少なくとも1つのカラムと;
2つの連続するプレートに直接的に連結する外付けバイパスラインと、
を含み、
各外付けバイパスラインは流体フィード箇所と流出液抜出箇所とを含み、
この方法において:
少なくとも1つのカラムは供給原料および脱着剤をフィードされ、少なくとも1つの抽出液および少なくとも1つのラフィネートが少なくとも1つのカラムから抜出され、フィード箇所および抜出箇所は、ある切り替え時間をおいて1つの吸着剤床に対応する量ずつ経時的にずらされ、装置の複数の操作ゾーン、とりわけ次の主要なゾーンを決め:
抽出液からの化合物の脱着のためのゾーン1(このゾーンは脱着剤のフィードと抽出液の抜出との間に含まれる)、
ラフィネートからの化合物の脱着のためのゾーン2(このゾーンは抽出液の抜出と供給原料のフィードとの間に含まれる)、
抽出液からの化合物の吸着のためのゾーン3(このゾーンは供給原料のフィードとラフィネートの抜出との間に含まれる)、および
ラフィネートの抜出と脱着剤のフィードとの間に位置するゾーン4;
流体が、選ばれたプレートの方へ、前記選ばれたプレートに接続された外付けバイパスラインを介して注入されるときには、前記外付けバイパスラインの流量は、流体の大部分が選ばれたプレートの方へ注入され、かつ流体の小部分が前記外付けバイパスラインに接続された隣接プレートの方へ注入されるような様式でコントロールされ;および/または
流出液が、選ばれたプレートから、前記選ばれたプレートに接続された外付けバイパスラインを介して抜出されるときには、前記外付けバイパスラインの流量は、流出液の大部分が選ばれたプレートから抜出され、かつ流出液の小部分が前記外付けバイパスラインに接続された隣接プレートから抜出されるような様式でコントロールされる。
【0034】
1つ以上の実施形態に従うと、前記外付けバイパスラインに接続された隣接プレートの方へ注入される流体の小部分は、前記隣接プレートのすすぎのレベルが100%+/-30%に等しいような様式で制御され;および/または、前記外付けバイパスラインに接続された隣接プレートから抜出される流出液の小部分は、前記隣接プレートのすすぎのレベルが100%+/-30%に等しいような様式で制御され、
隣接プレートは、選ばれたプレートの上流に位置する上流隣接プレートまたは選ばれたプレートの下流に位置する下流隣接プレートであり、
上流隣接プレートのすすぎのレベルはQi-1×ST/(Vi-1+VLi-1/i/2)によって定められ、
下流隣接プレートのすすぎのレベルはQi+1×ST/(Vi+1+VLi/i+1/2)によって定められ、
nはカラムの吸着剤床の個数であり、
iは1とnとの間に含まれる自然整数であり、
Qi-1は上流隣接プレートから流れる体積流量を表し、
Qi+1は下流隣接プレートの方へ流れる体積流量を表し、
Vi-1は上流隣接プレートの分配/抽出システムの体積を表し、
Vi+1は下流隣接プレートの分配/抽出システムの体積を表し、
VLi-1/iは、上流隣接プレートと選ばれたプレートとの間の上流外付けバイパスラインの体積を表し、
VLi/i+1は、下流隣接プレートと選ばれたプレートとの間の下流外付けバイパスラインの体積を表し、
STは切り替え時間を表す。
【0035】
1つ以上の実施形態に従うと、前記外付けバイパスラインに接続された隣接プレートの方へ注入される流体の小部分は、前記隣接プレートのすすぎのレベルが100%+/-20%に等しいような様式で制御され;および/または、前記外付けバイパスラインに接続された隣接プレートから抜出される流出液の小部分は、前記隣接プレートのすすぎのレベルが100%+/-20%に等しいような様式で制御される。
【0036】
1つ以上の実施形態に従うと、プラスまたはマイナス10%以内までの同期が各他の外付けバイパスラインにおいて確立され、
同期流量は(Vj+Vj+1+VLj/j+1)/STによって定められ、
jは1とnとの間に含まれる自然整数であり、iとは異なり、
nはカラムの吸着剤床の個数であり、
iは1とnとの間に含まれる自然整数であり;
VjおよびVj+1は、前記他の外付けバイパスラインに接続されたプレートの分配/抽出システムのそれぞれの体積を表し、
VLj/j+1は前記他の外付けバイパスラインの体積を表し、
STは切り替え時間を表す。
【0037】
1つ以上の実施形態に従うと、プラスまたはマイナス5%以内までの同期が各他の外付けバイパスラインにおいて確立される。
【0038】
1つ以上の実施形態に従うと、nは、6と24との間に、好ましくは8と15との間に含まれる自然整数である。
【0039】
1つ以上の実施形態に従うと、各プレートは、上流隣接プレートと前記プレートとの間の上流外付けバイパスラインに、および前記プレートと下流隣接プレートとの間の下流外付けバイパスラインに接続される。
【0040】
1つ以上の実施形態に従うと、各プレートは、非対称なフィードを有する平行セクター型の複数の分配-混合-抽出パネルを含む。
【0041】
1つ以上の実施形態に従うと、供給原料はC8芳香族炭化水素の混合物中にパラキシレンまたはメタキシレンを含有する。
【0042】
第1の態様に従う実施形態は、第1の態様に従う方法の他の特徴および利点と一緒に、限定なしにもっぱら例示として与えられる次の説明を読むことによって、および次の図面の参照によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本明細書の実施形態に従う方法に用いられるSMB装置を図示しており、装置は、連続するプレート(P
i-1、P
i、P
i+1、P
i+2)および床(A
i-1、A
i、A
i+1、A
i+2)と外付けバイパスライン(L
i-1/i、L
i/i+1、L
i+1/i+2)とを有するカラムを含む。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の目的は、特許US5,972,224、US6,110,364、およびFR2,935,100の教示と比較して、擬似床分離装置の性能を改善することである。
【0045】
図1の参照によって、SMBテクノロジーを用いて達成可能な分離性能を改善するために、本発明は、少なくとも1つのカラムを持つSMB装置による供給原料FのSMB分離のための方法を提案し、前記カラムは、それぞれが分配/抽出システムを含むプレートP
iによって分離された吸着剤の複数の床A
iからなる。さらに、SMB装置は、2つの連続するプレートP
i、P
i+1に直接的に連結する外付けバイパスラインL
i/i+1を含み、とりわけ前記プレートがフラッシュされることを許す。これらのバイパスラインL
i/i+1のそれぞれはフラッシュ流量を制御するための自動手段を含むことが可能である。
【0046】
1つ以上の実施形態に従うと、カラムはn個の吸着剤床Aiを含む。1つ以上の実施形態に従うと、nは6と24との間に、好ましくは8と15との間に含まれる自然整数であり、iは1とnとの間に含まれる自然整数である。
【0047】
SMB分離法は次のステップを含む:供給原料Fおよび脱着剤Dがフィードされ、少なくとも1つの抽出液Eおよび少なくとも1つのラフィネートRが抜出され、フィード箇所および抜出箇所は、ある切り替え時間(STと表される)をおいて1つの吸着剤床に対応する量ずつ経時的にずらされ、SMB装置の複数の操作ゾーン、とりわけ次の主要なゾーンを決める:
抽出液からの化合物の脱着のためのゾーン1(このゾーンは脱着剤Dのフィードと抽出液Eの抜出との間に含まれる);
ラフィネートからの化合物の脱着のためのゾーン2(このゾーンは抽出液Eの抜出と供給原料Fのフィードとの間に含まれる);
抽出液からの化合物の吸着のためのゾーン3(このゾーンは供給原料のフィードとラフィネートRの抜出との間に含まれる);および
ラフィネートRの抜出と脱着剤Dのフィードとの間に位置するゾーン4。
【0048】
2つの連続するプレートPi、Pi+1に直接的に連結する外付けバイパスラインLi/i+1はあるゾーンに属すると言われ、このときにプレートPiおよびPi+1の間に位置する床Aiは前記ゾーンに属するということに注意すべきである。加えて、n個の吸着剤床Aiは、ゾーン1から4の間においてa/b/c/d型であると呼ばれる構成で分配され、これは床の分配が次の通りであると言うことを意味する:
aはゾーン1の床の個数であり;
bはゾーン2の床の個数であり;
cはゾーン3の床の個数であり;
dはゾーン4の床の個数である。
【0049】
1つ以上の実施形態に従うと:
a=(n*0.208)*(1±0.2);
b=(n*0.375)*(1±0.2);
c=(n*0.292)*(1±0.2);
d=(n*0.125)*(1±0.2)。
【0050】
特許FR2,935,100は、注入される各ストリーム(供給原料および脱着剤)および抜出される各ストリーム(抽出液およびラフィネート)について1つのバイパスラインを閉鎖することが必要であるということを教示している。
【0051】
対照的に、本発明に従う方法においては、バイパスラインは開放されたままに保たれ、それゆえに生ずるリーク流量はコントロールされる。
【0052】
より具体的には、流体(供給原料Sまたは脱着剤D)が選ばれたプレートPiに注入されるときには、注入ラインLFまたはLDの使用がなされる。このラインは、前記プレートに接続されたバイパスラインに、つまりバイパスラインLi-1/iまたはバイパスラインLi/i+1
のどちらかに接続される。「前記バイパスラインに接続された隣接プレート」は、該当するバイパスラインがラインLi-1/iである場合にはプレートPi-1と呼ばれ、または該当するバイパスラインがラインLi/i+1である場合にはプレートPi+1と呼ばれる。用いられる注入ラインに接続されたバイパスラインが何であれ、前記ラインの流量は、注入されるストリームの大部分が選ばれたプレートPiの方へ流れ、かつ注入されるストリームのある(ゼロではない)部分が前記バイパスラインに接続された隣接プレートに流れる(例えば、ストリームの1%から20%)ような様式でコントロールされる。
【0053】
1つ以上の実施形態に従うと、前記バイパスラインに接続された隣接プレートの方へ流れるストリームの小部分は、100%+/-30%に等しい、好ましくは100%+/-20%に等しい、好ましくは100%+/-10%に等しい前記バイパスラインに接続された隣接プレートのすすぎのレベルを保証するような様式で制御される。
【0054】
同様に、流出液(抽出液EまたはラフィネートR)が選ばれたプレートPiから抜出されるときには、抜出ラインLEまたはLRの使用がなされる。この抜出ラインは、前記プレートに接続されたバイパスラインに、つまりバイパスラインLi-1/iまたはバイパスラインLi/i+1
のどちらかに接続される。「前記バイパスラインに接続された隣接プレート」は、該当するバイパスラインがラインLi-1/iである場合にはプレートPi-1と呼ばれ、または該当するバイパスラインがラインLi/i+1である場合にはプレートPi+1と呼ばれる。用いられる抜出ラインに接続されたバイパスラインが何であれ、前記ラインの流量は、抜出されるストリームの大部分が選ばれたプレートPiから流れ、かつ抜出されるストリームのある(ゼロではない)部分が前記バイパスラインに接続された隣接プレートから流れるような様式でコントロールされる。
【0055】
1つ以上の実施形態に従うと、前記バイパスラインに接続された隣接プレートから流れるストリームの小部分は、100%+/-20%に等しい前記バイパスラインに接続された隣接プレートのすすぎのレベルを保証するような様式で制御される。
【0056】
選ばれたプレートPiに隣接するプレートが、選ばれたプレート(Pi)の上流に位置する上流隣接プレート(Pi-1)または選ばれたプレート(Pi)の下流に位置する下流隣接プレート(Pi+1)のどちらかであるとすると、プレートPi-1のすすぎのレベルはQi-1×ST/(Vi-1+VLi-1/i/2)として定められ、プレートPi+1のすすぎのレベルはQi+1×ST/(Vi+1+VLi/i+1/2)として定められる。これらの式において:
Qi-1はプレートPi-1から流れる体積流量を表し;
Qi+1はプレートPi+1の方へ流れる体積流量を表し;
Vi-1は上流隣接プレートPi-1の分配/抽出システムの体積を表し;
Vi+1は下流隣接プレートPi+1の分配/抽出システムの体積を表し;
VLi/i+1はPiとPi+1との間に延在するバイパスラインの体積を表し;
VLi-1/iはPi-1とPiとの間に延在するバイパスラインの体積を表し;
STは切り替え時間を表す。
【0057】
本発明に従う方法の全ての他のバイパスライン(すなわち、流体(例えば供給原料もしくは脱着剤)が注入されていないまたは流出液(例えば抽出液もしくはラフィネート)が抜出されていないバイパスライン)においては、プラスまたはマイナス10%以内、好ましくはプラスまたはマイナス5%以内までの同期に対応する流量が確立され、同期流量は(Vj+Vj+1+VLj/j+1)/STによって定められ、この式において:
jは1とnとの間に含まれる自然整数であり、iとは異なり;
VjおよびVj+1は、前記他の外付けバイパスライン(Lj/j+1)に接続されたプレート(PjおよびPj+1)の分配/抽出システムのそれぞれの体積を表し;
VLj/j+1はPjとPj+1との間に延在するバイパスラインの体積を表し;
STは切り替え時間を表す。
【0058】
各プレートPiは、供給原料Fをフィードまたは脱着剤Dを注入およびラフィネートRまたは抽出液Eを抽出する一連の操作を成し遂げるために、2つのチャンバーを含む。本発明は、プレートPiあたり2つのチャンバーを有するカラムに関する。2つのチャンバーを用いるためのいくつもの可能な解決策があり、それらのそれぞれのものは1つ以上のストリームの注入または抜出のために用いられることができる。例えば、第1のチャンバーが供給原料Fまたは脱着剤Dを注入する操作を行い、他方のチャンバーはラフィネートRまたは抽出液Eを抜出する操作を行う。別の可能なシナリオは1つのチャンバーを供給原料Fを注入およびラフィネートRを抜出するために用いることであり、他方は脱着剤Dの注入および抽出液Eの抜出を取り扱う。これらの2つの例は非限定的であり、2つのチャンバーの他の使用が可能である。各床iは、上流プレートの1つのチャンバーを下流プレートの1つのチャンバーに接続するバイパスラインを備える。
【0059】
1つ以上の実施形態に従うと、供給原料は本質的にC8芳香族化合物の混合物(例えば、キシレンおよびエチルベンゼン)からなる群から選択される。1つ以上の実施形態に従うと、混合物は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%(例えば少なくとも99%)の本質的にC8芳香族化合物を含む。
【0060】
より具体的には、本発明に従う方法は、C8芳香族炭化水素の混合物中にパラキシレンまたはメタキシレンを含有する供給原料の分離に適用される。1つ以上の実施形態に従うと、供給原料は、供給原料の総重量に対して少なくとも15wt%のパラキシレンおよび/または少なくとも30wt%(完了するには)のメタキシレンを含む。
【0061】
大いに産業上重要なSMB分離法の1つの例は、商業的純度のパラキシレンを典型的には少なくとも99.7wt%の純度で、ならびにエチルベンゼン、オルトキシレン、およびメタキシレンに富むラフィネートを生成するためのC8芳香族留分の分離である。
【0062】
1つ以上の実施形態に従うと、吸着剤はNaY、BaX、BaKX、BaLSX型のフォージャサイト型のゼオライトからなる群から選択される。好ましくは、吸着剤はBaX、BaKX、NaYからなる群から選択される。
【0063】
1つ以上の実施形態に従うと、脱着剤はジエチルベンゼンの1つ以上の異性体およびトルエンからなる群から選択される。好ましくは、脱着剤はパラジエチルベンゼンおよびトルエンからなる群から選択される。
【0064】
1つ以上の実施形態に従うと、カラムの温度は120℃と190℃との間に含まれる。好ましくは、カラムの温度は150℃と180℃との間に含まれる。
【0065】
1つ以上の実施形態に従うと、カラムの圧力は0.3MPaと3MPaとの間に含まれる。1つ以上の実施形態に従うと、カラムの圧力は0.5MPaと3MPaとの間に含まれる。1つ以上の実施形態に従うと、カラムの圧力は0.8MPaと3MPaとの間に含まれる。好ましくは、カラムの圧力は1MPaと2MPaとの間に含まれる。
【0066】
1つ以上の実施形態に従うと、用いられる切り替え時間STは20秒と120秒との間に含まれる。好ましくは、用いられる切り替え時間STは40秒と100秒との間に含まれる。
【0067】
当然のことながら、これらの応用例は全体的に非限定的であり、とりわけノルマルおよびイソパラフィンまたはノルマルおよびイソオレフィンの分離の分野において他の応用が可能である。
【実施例】
【0068】
本発明は次の実施例を読むことによってより良く理解されるであろう。
(実施例1(参照法))
供給原料注入ラインLF、脱着剤(これは溶離剤または溶媒とも呼ばれ得る)注入ラインLD、抽出液抜出ラインLE、およびラフィネート抜出ラインLRを有する、長さ1.3mおよび内部半径3.5mの15個の床からなるSMBユニットを検討する。プレートは2つの混合チャンバーを有し、1つは注入タンク(供給原料Fおよび脱着剤D)であり、他方は抜出タンク(抽出液EおよびラフィネートR)である。
【0069】
総体積(Vi+Vi+1+VLi/i+1)はプレートPiとプレートPi+1との間に含まれる床の体積の3%に相当し、式中、VLi/i+1はプレートPiからプレートPi+1までのバイパスラインの体積であり、式中、ViはプレートPiの分配/抽出システムの体積である。
【0070】
流出液抜出ライン(ラフィネートRのLRおよび抽出液EのLE)はバイパスライン隔離弁の下流に(より単純には「バイパスライン弁の下流に」と呼ばれる)位置する。注入ライン(供給原料FのLFおよび脱着剤DのLD)は隔離弁の上流に位置する。
【0071】
流体(供給原料Fまたは脱着剤D)がプレートPiにおいて注入されるときには、バイパスラインLi/i+1に接続された注入ラインの使用がなされる。参照法に従うと、バイパスラインLi/i+1を隔離する隔離弁が閉鎖されて、注入される流体がプレートPiの方へまさしく実際に流れるということを保証する。
【0072】
流出液(抽出液EまたはラフィネートR)がプレートPiにおいて抜出されるときには、バイパスラインLi-1/iに接続された抜出ラインの使用がなされる。参照法に従うと、バイパスラインLi-1/iを隔離する隔離弁が閉鎖されて、注入される流体がプレートPiの方へまさしく実際に流れるということを保証する。
【0073】
とりわけ、これの結果は、この型のバイパスラインの使用が:
ゾーン1における2つのバイパスラインの閉鎖(ゾーン1の第1の床をバイパスするバイパスラインに接続されたラインを介する脱着剤の注入、およびゾーン1の最後の床をバイパスするバイパスラインに接続されたラインを介する抽出液の抜出)と;
ゾーン3における2つのバイパスラインの閉鎖(ゾーン3の第1の床をバイパスするバイパスラインに接続されたラインを介する供給原料の注入、およびゾーン3の最後の床をバイパスするバイパスラインに接続されたラインを介するラフィネートの抜出)と、
に至るということである。
【0074】
床は3/6/4/2構成で分配され、これは床の分配が次の通りであると言うことを意味する:
ゾーン1に3つの床;
ゾーン2に6つの床;
ゾーン3に4つの床;および
ゾーン4に2つの床。
【0075】
用いられる吸着剤はBaX型のゼオライトであり、脱着剤はパラジエチルベンゼンである。カラムの温度は175℃であり、圧力は1.5MPaである。
【0076】
供給原料は、供給原料の総重量に対して23wt%のパラキシレン、22wt%のオルトキシレン、50wt%のメタキシレン、および5wt%のエチルベンゼンからなる。
【0077】
利用される切り替え時間STは45秒である。
【0078】
供給原料および脱着剤の注入液体流量は次の通りである:
供給原料は816m3.h-1;および
脱着剤は1026m3.h-1、
つまり、溶媒比S/F=1.3。
【0079】
同期は全ての開放されたバイパスラインについて100%にセットされる。
【0080】
シミュレーションによると、99.76%というパラキシレン純度および96.27%というパラキシレン収率が得られる。
(実施例2(本発明に従う方法))
供給原料注入ラインLF、脱着剤(これは溶離剤または溶媒とも呼ばれ得る)注入ラインLD、抽出液抜出ラインLE、およびラフィネート抜出ラインLRを有する、長さ1.3mおよび内部半径3.5mの15個の床からなるSMBユニットを検討する。プレートは2つの混合チャンバーを有し、1つは注入タンク(供給原料Fおよび脱着剤D)であり、他方は抜出タンク(抽出液EおよびラフィネートR)である。
【0081】
総体積(Vi+Vi+1+VLi/i+1)はプレートPiとプレートPi+1との間に含まれる床の体積の3%に相当し、式中、VLi/i+1はプレートPiからプレートPi+1までのバイパスラインの体積であり、式中、ViはプレートPiの分配/抽出システムの体積である。
【0082】
流出液抜出ライン(ラフィネートRのLRおよび抽出液EのLE)はバイパスライン隔離弁の下流に(より単純には「バイパスライン弁の下流に」と呼ばれる)位置する。注入ライン(供給原料FのLFおよび脱着剤DのLD)は隔離弁の上流に位置する。
【0083】
流体(供給原料Fまたは脱着剤D)がプレートPiにおいて注入されるときには、バイパスラインLi/i+1に接続された注入ラインの使用がなされる。本発明に従う方法に従うと、注入される流体は主にプレートPiの方へ流れ、注入される流体の小部分がバイパスラインLi/i+1をプレートPi+1の方へ流れる。この小部分は、プレートPi+1について100%というすすぎのレベルを保証するような様式で制御される。
【0084】
流出液(抽出液EまたはラフィネートR)がプレートPiにおいて抜出されるときには、バイパスラインLi-1/iに接続された抜出ラインの使用がなされる。本発明に従う方法に従うと、抜出される流体は主にプレートPiから来、抜出される流体の小部分がプレートPi-1から来る。この小部分は、プレートPi-1について100%というすすぎのレベルを保証するような様式で制御される。
【0085】
床は3/6/4/2構成で分配され、これは床の分配が次の通りであると言うことを意味する:
ゾーン1に3つの床;
ゾーン2に6つの床;
ゾーン3に4つの床;および
ゾーン4に2つの床。
【0086】
用いられる吸着剤はBaX型のゼオライトであり、脱着剤はパラジエチルベンゼンである。カラムの温度は175℃であり、圧力は1.5MPaである。
【0087】
供給原料は、供給原料の総重量に対して23wt%のパラキシレン、22wt%のオルトキシレン、50wt%のメタキシレン、および5wt%のエチルベンゼンからなる。
【0088】
利用される切り替え時間STは45秒である。
【0089】
供給原料および脱着剤の注入液体流量は次の通りである:
供給原料は816m3.h-1;および
脱着剤は1026m3.h-1、
つまり、溶媒比S/F=1.3。
【0090】
同期は全ての開放されたバイパスラインについて100%にセットされる。
【0091】
シミュレーションによると、99.78%というパラキシレン純度および97.16%というパラキシレン収率が得られる。
【符号の説明】
【0092】
A 吸着剤床
L ライン
LD 脱着剤注入ライン
LE 抽出液抜出ライン
LF 供給原料注入ライン
LR ラフィネート抜出ライン
P プレート