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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】食器洗い機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20230831BHJP
   A47L 15/50 20060101ALI20230831BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A47L15/42 Z
A47L15/42 B
A47L15/50
A47L15/46 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019121088
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021006183
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】菊川 智之
(72)【発明者】
【氏名】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】衣川 潤
(72)【発明者】
【氏名】迫田 成正
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-262923(JP,A)
【文献】国際公開第2018/038129(WO,A1)
【文献】特開2001-212062(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0027413(US,A1)
【文献】実開昭63-160769(JP,U)
【文献】特開平08-112231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00~21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口部を有した洗浄槽と、
前記洗浄槽内に収納され、被洗浄物を載置する下かごと、
前記下かごに比べて上方に配置され、被洗浄物を載置する上かごと、
前記下かごと前記上かごを昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段による昇降動作に連動して、前記上かごを前記下かごに対して上方または水平方向に移動させる移動手段と、
を備え
前記上かごは、前記移動手段により、前記洗浄槽の上方から見て前記洗浄槽の開口部の外部に移動する
食器洗い機。
【請求項2】
上方に開口部を有した洗浄槽と、
前記洗浄槽内に収納され、被洗浄物を載置する下かごと、
前記下かごに比べて上方に配置され、被洗浄物を載置する上かごと、
前記下かごと前記上かごを昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段による昇降動作に連動して、前記上かごを前記下かごに対して上方または水平方向に移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、ガイドに沿って摺動可能なリンク構成からなり、
前記上かごと前記昇降手段とが前記移動手段によって接続され一体で動作する
食器洗い機。
【請求項3】
前記上かごは、前記移動手段により、前記洗浄槽の上方から見て前記下かごと少なくとも一部が重ならない位置に移動する請求項に記載の食器洗い機。
【請求項4】
前記移動手段と前記昇降手段の少なくとも1つを制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記上かごを前記移動手段により自動で移動させ、または、前記下かごを前記昇降手段により自動で昇降させる請求項1~のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【請求項5】
前記移動手段は、前記上かごを手動で移動させ、または、前記昇降手段は、前記下かごを手動で昇降させる請求項1~のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【請求項6】
前記洗浄槽は前方に前方開口部を有する筐体から前後に出し入れ可能に設けられている請求項1~のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【請求項7】
前記洗浄槽の開閉扉が前記洗浄槽の上方に設けられている請求項1~のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器などの被洗浄物を洗浄するための食器洗い機に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンのキャビネットなどに組み込まれる食器洗い機が提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された食器洗い乾燥機は、洗浄槽の上面に開閉扉が設けられており、上面の開閉扉から食器の出し入れを行うように構成されている。また、2段の洗いカゴが、食器カゴ昇降手段によって洗浄槽内で昇降するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-112231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された食器洗い乾燥機では、上側の洗いカゴが洗浄槽にセットされているときには、下側の洗いカゴから被洗浄物を出し入れすることができない。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、食器洗い機の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の食器洗い機は、上方に開口部を有した洗浄槽と、洗浄槽内に収納され、被洗浄物を載置する下かごと、下かごに比べて上方に配置され、被洗浄物を載置する上かごと、下かごと上かごを昇降させる昇降手段と、昇降手段による昇降動作に連動して、上かごを下かごに対して相対的に上方または水平方向に移動させる移動手段と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様もまた、食器洗い機である。この食器洗い機は、開口部を有した洗浄槽と、洗浄槽内に収納され、被洗浄物を載置する複数のかごと、複数のかごのうち少なくとも1つのかごを移動させる移動手段と、を備え、移動手段によるかごの移動に連動して、その他のかごも移動させる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、食器洗い機の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る食器洗い機の断面を概略的に示す図である。
図2】実施の形態1に係る食器洗い機の移動機構の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る食器洗い機の断面を概略的に示す図である。
図4】実施の形態1に係る食器洗い機の断面を概略的に示す図である。
図5図4に示した食器洗い機の上面を概略的に示す図である。
図6】実施の形態1に係る食器洗い機の別の例の上面を概略的に示す図である。
図7】実施の形態1に係る食器洗い機の別の例の断面を概略的に示す図である。
図8】実施の形態1に係る食器洗い機の別の例の断面を概略的に示す図である。
図9】実施の形態1に係る食器洗い機を制御するための制御手段の構成を示す図である。
図10】実施の形態2に係る食器洗い機の洗浄槽を概略的に示す図である。
図11】実施の形態2に係る食器洗い機におけるかごの移動方法を模式的に示す図である。
図12】実施の形態2に係る食器洗い機を制御するための制御手段の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明の食器洗い機は、上方に開口部を有した洗浄槽と、洗浄槽内に収納され、被洗浄物を載置する下かごと、下かごに比べて上方に配置され、被洗浄物を載置する上かごと、下かごと上かごを昇降させる昇降手段と、昇降手段による昇降動作に連動して、上かごを下かごに対して相対的に上方または水平方向に移動させる移動手段と、を備える。この態様によると、下かごから被洗浄物を出し入れしやすくすることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上かごは、移動手段により、洗浄槽の上方から見て下かごと少なくとも一部が重ならない位置に移動するように構成されたものである。この態様によると、下かごから被洗浄物を出し入れしやすくすることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0013】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上かごは、移動手段により、洗浄槽の上方から見て洗浄槽の開口部の外部に移動するように構成されたものである。この態様によると、下かごから被洗浄物を出し入れしやすくすることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0014】
第4の発明は、上記第1~3のいずれかの発明において、上かごは、昇降手段とリンク構成によって接続され一体で動作するように構成されたものである。この態様によると、食器洗い機の構成を簡略化することができる。
【0015】
第5の発明は、上記第1~4のいずれかの発明において、移動手段と昇降手段の少なくとも1つを制御する制御手段を備え、制御手段は、上かごを移動手段により自動で移動させ、または、下かごを昇降手段により自動で昇降させるように構成されたものである。この態様によると、使用者の利便性をさらに向上させることができる。
【0016】
第6の発明は、上記第1~5のいずれか発明において、移動手段は、上かごを手動で移動させ、または、昇降手段は、下かごを手動で昇降させるように構成されたものである。この態様によると、使用者の利便性を向上させることができる。
【0017】
第7の発明の食器洗い機は、開口部を有した洗浄槽と、洗浄槽内に収納され、被洗浄物を載置する複数のかごと、複数のかごのうち少なくとも1つのかごを移動させる移動手段と、を備え、移動手段によるかごの移動に連動して、その他のかごも移動させる。この態様によると、かごから被洗浄物を出し入れしやすくすることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0018】
第8の発明は、上記第7の発明において、移動手段によりかごが移動される移動経路はループ状に構成され、かごは移動開始位置に戻ることができるように構成されたものである。この態様によると、かごの数が増えても、かごから被洗浄物を出し入れしやすくすることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0019】
第9の発明は、上記第7または8の発明において、複数のかごのうち少なくとも1つのかごの移動経路は、そのかごの移動途中にそのかごの上方に別のかごが存在しないような経路とするように構成されたものである。この態様によると、かご同士が干渉することを低減させることができる。
【0020】
第10の発明は、上記第7~9の発明において、移動手段を制御する制御手段を備え、制御手段は、かごを移動手段により自動で移動させるように構成されたものである。この態様によると、使用者の利便性をさらに向上させることができる。
【0021】
第11の発明は、上記第7~9の発明において、移動手段は、かごを手動で移動させるように構成されたものである。この態様によると、使用者の利便性を向上させることができる。
【0022】
第12の発明は、上記第1~11の発明において、洗浄槽は前方に前方開口部を有する筐体から前後に出し入れ可能に設けられているように構成されたものである。この態様によると、使用者の利便性を向上させることができる。
【0023】
第13の発明は、上記第1~12の発明において、洗浄槽の開閉扉が洗浄槽の上方に設けられているように構成されたものである。この態様によると、使用者の利便性を向上させることができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、複数の実施の形態のそれぞれに記載された技術的特徴は、可能な範囲で組み合わされてもよい。
【0025】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る食器洗い機の断面を概略的に示す。食器洗い機の本体1は、前方開口部を有する筐体であり、内部に洗浄槽2を備える。洗浄槽2は、引き出しレール等の手段(図示せず)により、本体1の前方開口部から前後に引き出し可能に支持される。洗浄槽2は、上方に開口部を有し、開口部から食器等の被洗浄物8の出し入れが可能となっている。洗浄槽2の中には、上かご13と下かご14の上下二段からなるかごが設置されている。上かご13は、洗浄槽2の前方寄りに設けられ、下かご14の上方を一部覆うように構成されている。通常、大皿などの大きめの被洗浄物が下かご14に載置され、コップなどの小さめの被洗浄物が上かご13に載置される。
【0026】
被洗浄物8を洗浄する際には、給水弁3を介して外部から洗浄槽2内に水または湯が供給される。洗浄槽2内に供給された洗浄水は、洗浄槽2の底部に設けられた排水孔4から排水された後、排水孔4に連通する洗浄ポンプ5により洗浄ノズル7から被洗浄物8へ噴射されて、洗浄槽2の内部を循環する。洗浄ノズル7と洗浄槽2の底部との間には、洗浄水加熱用のヒータ9が設けられる。排水孔4には、残さいを捕集するための残さいフィルタ6が設けられる。制御手段12は、給水弁3や洗浄ポンプ5等の電装部品を制御する。
【0027】
上かご13は、リンク15を介して下かご14に接続される。2本のリンク15のうち一方の下端は、ガイド21に沿って摺動可能に構成される。したがって、上かご13は、リンク15とガイド21によって構成される移動機構の作用により、下かご14に対して相対的に水平方向に移動可能である。移動機構の詳細については、図2を参照して後述する。
【0028】
上かご13の側面にはガイド16が設けられる。ガイド16は、水平方向に長い穴を有する。リンク15の上端部に設けられた突起がガイド16の長穴に沿って摺動可能に構成される。したがって、上かご13は、リンク15に対して相対的に水平方向に移動することにより、下かご14に対して相対的に水平方向に移動可能である。
【0029】
上かご13および下かご14は、洗浄槽2が本体1から引き出された状態において、昇降手段により昇降可能に構成される。上かご13と下かご14は、リンク15により接続されているので、昇降手段により一体的に昇降される。昇降手段は、洗浄槽2の底部に固着された固定プレートと、Xの字形状の昇降リンク18、19とを備える。昇降リンク18、19は、同じ長さを有し、中央の軸17にて交差するように設置される。昇降リンク18、19の少なくとも一方の下端は、固定プレートの左右端に設けられた長穴に枢支される。昇降リンク18または19の下端が長穴を摺動することにより、昇降リンク18、19の上端が昇降し、昇降リンク18、19の上に載置支持された下かご14と上かご13が一体的に昇降する。昇降手段として、ボールねじやベルト、エアシリンダのようなアクチュエータを用いて上かご13と下かご14を昇降させてもよい。
【0030】
下かご14と上かご13は、自動的に昇降可能に設けられてもよい。この場合、昇降手段は、昇降リンク18、19を昇降させるためのモータなどの駆動手段と、駆動手段を制御するための制御手段とを備える。制御手段は、使用者によるボタン操作などに応じて下かご14と上かご13を昇降させてもよいし、洗浄槽2が本体1から引き出されたことがセンサなどにより検知されたときに自動的に下かご14と上かご13を昇降させてもよい。下かご14と上かご13は、使用者により手動で昇降可能に設けられてもよい。この場合、昇降手段は、昇降リンク18、19を昇降させるための回転軸などの昇降機構と、昇降機構を動作させるためのハンドルなどの操作手段とを備える。昇降機構は、洗浄槽2が本体1から引き出されたときにバネなどにより昇降リンク18、19を昇降させる機構であってもよい。
【0031】
上かご13は、昇降手段による昇降動作に連動して、移動手段により下かご14に対して相対的に上方または水平方向に移動される。上かご13は、昇降動作に連動して自動的に上方または水平方向に移動されてもよい。この場合、移動手段は、上かご13を水平方向に移動させるためのモータなどの駆動手段と、駆動手段を制御するための制御手段とを備える。制御手段は、昇降手段により下かご14が昇降されているときに、その昇降動作に連動して、例えばガイド16に沿って摺動させることにより上かご13を移動させる。上かご13は、昇降動作に連動して手動で上方または水平方向に移動されてもよい。この場合、移動手段は、昇降リンク18、19の昇降動作に連動して上かご13を移動させるための移動機構を備える。
【0032】
図2は、実施の形態1に係る食器洗い機の移動機構の例を示す。図2(a)および(b)は、上かご13と下かご14の底面を側方から見た様子を簡略的に示す。移動機構は、リンク15a、15bと、ガイド21とを備える。リンク15bは、平板状に形成され、上端が上かご13の外枠に、下端が下かご14に、それぞれ回動可能に軸支される。リンク15aは、リンク15bと同じ長さを有する長辺部と、長辺部に略直角に交わる短辺部とを有するL字状に形成され、長辺部の上端が上かご13の外枠に、長辺部と短辺部の交点が下かご14に、それぞれ回動可能に軸支される。リンク15aの短辺部の端20は、ガイド21に沿って摺動可能に構成される。ガイド21は、鉛直方向に形成された長辺部と、長辺部の上方において斜め後方に向かって形成された短辺部とを有する略L字状に形成され、洗浄槽2の側面に固定される。下かご14が下がっているときには、図2(a)に示すように、上かご13の少なくとも一部が下かご14を覆うように配置される。下かご14と上かご13が昇降手段により上方に移動されると、図2(b)に示すように、その昇降動作に連動してリンク15aの端20がガイド21に沿って摺動し、端20がガイド21の短辺部に到達すると、L字状のリンク15aが前方に倒れるように回動することにより、上かご13が下かご14に対して相対的に水平方向に移動される。
【0033】
図3は、実施の形態1に係る食器洗い機の断面を概略的に示す。本図の例では、上かご13と下かご14が昇降手段により上方に移動されると、それに連動して、上かご13が前方に移動される。図3の例では、上かご13は下かご14と重ならない位置まで移動される。
【0034】
図4は、実施の形態1に係る食器洗い機の断面を概略的に示す。本図の例では、上かご13と下かご14が昇降手段により上方に移動されると、それに連動して、上かご13が上方かつ前方に移動される。図4の例では、上かご13は洗浄槽2の開口部の外側の位置まで移動される。
【0035】
図5は、図4に示した食器洗い機の上面を概略的に示す。本図に示すように、上かご13は、移動手段により、洗浄槽2の上方から見て下かご14と少なくとも一部が重ならない位置に移動されてもよい。より好ましくは、上かご13は、移動手段により、洗浄槽2の上方から見て洗浄槽2の開口部の外部に移動されてもよい。なお、上かご13は、洗浄槽2の上方から見て洗浄槽2の開口部の内部で移動されてもよい。この場合、上かご13は、下かご14に被洗浄物が載置されていない位置に移動されてもよい。被洗浄物の載置状態は、カメラやセンサなどを用いて検知されてもよい。
【0036】
上かご13は、図5に示すように、下かご14に対して相対的に前後方向に移動されてもよいし、図6に示すように、下かご14に対して相対的に左右方向に移動されてもよいし、左右方向の成分と前後方向の成分の双方を有する斜め方向に移動されてもよい。また、上かご13は、下かご14に対して相対的に水平方向に移動されてもよいし、水平方向の成分と鉛直方向の成分の双方を有する斜め方向に移動されてもよい。また、上かご13は、下かご14に対して相対的に真上の方向に移動されてもよい。要は、下かご14の上方に、下かご14から被洗浄物8を出し入れするのに十分な空間が確保されるように、上かご13が移動されればよい。上かご13は、昇降手段の昇降に連動して上方または水平方向に移動された後、さらに、手動または自動で上下方向または水平方向に移動可能に設けられてもよい。
【0037】
上記のように食器洗い機を構成することにより、下かご14に被洗浄物8を出し入れしやすくすることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。また、上かご13は、上かご13と下かご14の昇降動作に連動して上方または水平方向に相対移動されるので、上かご13と下かご14が上昇されたときには、下かご14から被洗浄物を出し入れするのに邪魔にならない位置に上かご13を移動させておくことができる。したがって、使用者がわざわざ上かご13を移動させる手間を省くことができるので、使用者の利便性を向上させることができる。上かご13を前後方向に移動させる場合は、使用者は引き出した洗浄槽2の左右どちら側に立って作業しても、上かご13に邪魔されることなく下かご14から被洗浄物8を出し入れすることができる。上かご13を左右方向に移動させる場合は、使用者は引き出した洗浄槽2の手前側に立って作業することにより、上かご13に邪魔されることなく下かご14から被洗浄物8を出し入れすることができる。
【0038】
図7は、実施の形態1に係る食器洗い機の別の例の断面を概略的に示す。本図の例では、上かご13が洗浄槽2の奥行き方向後方寄りに設けられている。上かご13は、昇降手段により上かご13と下かご14が上方に移動されたときに、それに連動して後方に移動される。
【0039】
図8は、実施の形態1に係る食器洗い機の別の例の断面を概略的に示す。上かご13と下かご14が昇降手段により上方に移動されると、それに連動して、上かご13が後方に移動される。この場合、キッチンのワークトップ上に上かご13が移動されるので、上かご13内にコップなどの小物類を整然と配置することが容易となる。また、被洗浄物8を誤って床に落として破損してしまったり、被洗浄物8の汚れが床に落ちて床を汚してしまったりすることを低減させることができる。また、使用者は、引き出した洗浄槽2の左右どちら側に立って作業しても、上かご13に邪魔されることなく下かご14から被洗浄物8を出し入れすることができる。
【0040】
上記のように構成された食器洗い機の動作を説明する。使用者が洗浄槽2を食器洗い機の本体1から前方に引き出し、上かご13と下かご14を上方に移動させると、それに連動して、上かご13が下かご14に対して相対的に上方または水平方向に移動する。使用者が上かご13または下かご14に被洗浄物8を載置し、上かご13と下かご14を下方に移動させると、それに連動して、上かご13が下かご14に対して相対的に下方または水平方向に移動して元の位置関係に戻る。使用者は、洗浄槽2内に洗剤を投入し、洗浄槽2を本体1に収納して洗浄を開始させる。
【0041】
制御手段12は、給水弁3を開いて洗浄槽2内に水または湯を供給する。洗浄槽2内に供給された洗浄水は、残さいフィルタ6を通過して排水孔4から洗浄ポンプ5に吸い込まれ、洗浄ポンプ5より洗浄槽2の内底部に設けられた洗浄ノズル7に供給される。洗浄ノズル7から噴射された洗浄水は、被洗浄物8を洗浄した後、再び排水孔4に戻るという経路で循環する。この際、被洗浄物8から脱落した残さい等は、洗浄水とともに残さいフィルタ6に流入し、この残さいフィルタ6を通過できない大きさの残さいは、残さいフィルタ6に捕集される。
【0042】
洗浄後に被洗浄物を取り出す際には、使用者が洗浄槽2を食器洗い機の本体1から前方に引き出し、上かご13と下かご14を上方に移動させると、それに連動して、上かご13が下かご14に対して相対的に上方または水平方向に移動する。使用者が上かご13または下かご14から被洗浄物8を取り出し、上かご13と下かご14を下方に移動させると、それに連動して、上かご13が下かご14に対して相対的に下方または水平方向に移動して元の位置関係に戻る。
【0043】
図9は、実施の形態1に係る食器洗い機を制御するための制御手段の構成を示す。制御手段12は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、集積回路などのハードウェアにより実現される。本図は、昇降手段と移動手段のうち少なくとも一方が自動制御される場合の制御手段12の構成を示す。
【0044】
制御手段12は、工程制御部23、駆動制御部24、及びメモリ25を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0045】
工程制御部23は、食器洗い機による洗浄運転を制御する。工程制御部23は、食器洗い機の本体1に設けられたボタンやスイッチなどにより構成される操作部22から使用者による指示を受け付け、指示にしたがって洗浄運転を制御する。工程制御部23は、洗浄工程、すすぎ工程、および乾燥工程を連続的に実行してもよいし、いずれかの工程のみを実行してもよいし、いずれか2以上の工程の組合せを任意の順序で実行してもよい。
【0046】
駆動制御部24は、上かご13と下かご14を昇降させるための昇降手段を制御する。駆動制御部24は、昇降手段による上かご13と下かご14の昇降動作に連動して上かご13を下かご14に対して相対移動させる移動手段を制御する。駆動制御部24は、昇降手段により上かご13と下かご14を昇降させるのと同時に上かご13を下かご14に対して相対移動させてもよいし、上かご13と下かご14が所定位置まで移動したときに上かご13を下かご14に対して相対移動させてもよい。例えば、上かご13の少なくとも一部が洗浄槽2の開口部の外部に移動される場合、駆動制御部24は、上かご13の底面が洗浄槽2の開口部よりも高い位置まで移動されたときに、上かご13を下かご14に対して相対移動させてもよい。また、上かご13の少なくとも一部がキッチンのワークトップ上に移動される場合、駆動制御部24は、上かご13の底面がワークトップよりも高い位置まで移動されたときに、上かご13を下かご14に対して相対移動させてもよい。
【0047】
上かご13を下かご14に対して相対移動させる方向、量、タイミングなどは、使用者により設定可能としてもよい。この場合、操作部22を介して使用者により設定された内容は、メモリ25に記憶される。駆動制御部24は、昇降手段を制御して上かご13と下かご14を昇降させるときに、メモリ25に記憶されている設定内容を読み出し、設定内容にしたがって移動手段を制御して、上かご13を下かご14に対して相対移動させる。
【0048】
[実施の形態2]
図10は、実施の形態2に係る食器洗い機の洗浄槽を概略的に示す。実施の形態2に係る食器洗い機は、複数のかご30a、30b、30cをチェーン31により連動して移動させることにより、それぞれのかご30a、30b、30cから被洗浄物を出し入れできるように構成する。それ以外の構成は、実施の形態1の食器洗い機と同様である。実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0049】
図10では、理解しやすいように、複数のかご30の底面のみを図示しているが、実際には、複数のかご30は、図1に示した実施の形態1に係る食器洗い機と同様に、側壁を有している。複数のかご30は、それぞれ、洗浄槽2の内側面に設けられたループ状のチェーン31に固定される。図10には、かご30の底面の対角の2点が2つのチェーン31にそれぞれ固定される例を示しているが、固定されていない対角の2点を係止するためのチェーンがさらに設けられてもよいし、ベルト、ワイヤー、リンク等の別の方式により同様の移動方法が実現されてもよい。
【0050】
図11は、実施の形態2に係る食器洗い機におけるかごの移動方法を模式的に示す。図11は、洗浄槽2を横から見たときに、複数のかご30において被洗浄物を載置可能な空間を矩形で示したものである。チェーン31が時計回りに回転されると、複数のかご30は、図11(c)、図11(b)、図11(a)、図11(d)、図11(e)の順に移動される。チェーン31が反時計回りに回転されると、複数のかご30は、図11(e)、図11(d)、図11(a)、図11(b)、図11(c)の順に移動される。
【0051】
かご30aから被洗浄物を出し入れする場合は、図11(a)または図11(d)に示すようにチェーン31を回転させればよい。かご30bから被洗浄物を出し入れする場合は、図11(d)または図11(e)に示すようにチェーン31を回転させればよい。かご30cから被洗浄物を出し入れする場合は、図11(b)または図11(c)に示すようにチェーン31を回転させればよい。このように、実施の形態2に係る食器洗い機によれば、複数のかご30のそれぞれから被洗浄物を出し入れしやすくすることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0052】
複数のかご30の全てに、高さが比較的高い被洗浄物を載置可能とすると、複数のかご30を連動して移動させる際に、かご30と別のかごに載置された被洗浄物とが接触する可能性がある。したがって、複数のかご30のうち、かご30aには、大皿などの高さのある被洗浄物を載置可能であるが、それ以外のかご30b、30cには、高さの低い被洗浄物のみを載置可能とする。
【0053】
図11に示すように、かご30aには高さのある被洗浄物を載置可能とするので、ループ状の移動経路の底辺を移動させると、別のかご30b、30cと干渉する可能性が高まる。したがって、かご30aの移動経路は、チェーン31のループの底辺を通らない経路とする。これにより、かご30aの移動途中にかご30aの上方に別のかご30b、30cが存在しないようにすることができるので、かご30aと別のかご30b、30cとが干渉する可能性を低減させることができる。
【0054】
かご30の移動経路は、かご30と、かご30に載置可能な被洗浄物とが占める空間の容積、形状、高さや、かご30の移動中における相対的な位置関係などに応じて設定されてもよい。例えば、かご30aがループの底辺の一部を移動してもかご30b、30cと干渉しない場合は、かご30aがループの底辺の一部を移動可能としてもよい。また、かご30の移動経路は、かご30と、かご30に実際に載置された被洗浄物とが占める空間の容積、形状、高さや、かご30の移動中における相対的な位置関係などに応じて動的に設定されてもよい。例えば、カメラやセンサなどにより、かご30への被洗浄物の載置状態を検知し、検知された被洗浄物の載置状態に応じて、かご30と被洗浄物とが接触しないように、かご30の移動経路を算出してもよい。
【0055】
図12は、実施の形態2に係る食器洗い機を制御するための制御手段の構成を示す。実施の形態2に係る食器洗い機の制御手段12は、図9に示した実施の形態1に係る食器洗い機の制御手段12の構成に加えて、載置状態取得部33、移動経路設定部34、および警告部35を備える。また、駆動制御部24に代えて、複数のかご30の移動を制御する移動制御部36を備える。それ以外の構成および動作は、実施の形態1と同様である。これらの機能ブロックも、ハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できる。
【0056】
載置状態取得部33は、かご30に載置された被洗浄物の状態を示す情報を、洗浄槽2内に設置されたセンサ32から取得する。センサ32は、かご30に載置された被洗浄物を撮像するカメラであってもよいし、かご30に載置された被洗浄物の高さを検知する赤外線センサなどであってもよいし、かご30への被洗浄物の載置状態を検知可能な任意のセンサであってもよい。また、センサ32は、かご30同士の接触や、かご30に載置された被洗浄物と別のかごとの接触などを検知するためのカメラ、マイクロフォン、振動センサなどであってもよい。
【0057】
移動経路設定部34は、載置状態取得部33により取得された被洗浄物の載置状態に応じて、複数のかご30の移動経路を設定する。移動制御部36は、移動経路設定部34により設定された移動経路にしたがって、複数のかご30を移動させる。移動制御部36は、複数のかご30が移動可能な範囲で、チェーン31を回転させることにより複数のかご30を連動して移動させる。
【0058】
移動経路設定部34は、例えば、所定値以上の高さを有する被洗浄物が載置されたかご30が別のかごの下方を通過しないように制限してもよい。移動制御部36は、複数のかご30を連動して移動させているときに、センサ32により接触が検知された場合、チェーン31の回転を停止させ、複数のかご30を停止させる。この場合、移動経路設定部34は、接触が発生した位置にかご30を移動させないように、移動経路を再設定してもよい。移動制御部36は、いったんチェーン31を逆方向に回転させて、複数のかご30を接触が発生する前の位置に戻した後、移動経路設定部34により再設定された移動経路にしたがって複数のかご30を移動させてもよい。
【0059】
警告部35は、載置状態取得部33により、載置可能な高さを超える被洗浄物がかご30に載置されていることが検知された場合、その被洗浄物を取り出すか、その被洗浄物を載置可能な別のかご30に載置するよう使用者に警告する。これにより、かご30同士の接触や、かご30に載置された被洗浄物と別のかごとの接触などを抑えることができる。載置可能な高さを超える被洗浄物がかご30に載置されないようにするために、かご30の開口部に蓋などを設けてもよい。
【0060】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0061】
実施の形態では、上方に開口部を有する洗浄槽2が、前方に前方開口部を有する本体1から前後に出し入れ可能に設けられる例を示したが、別の例では、洗浄槽2の開閉扉が洗浄槽2の上方に設けられていてもよい。この場合、洗浄槽2は本体1から前後に出し入れ可能に設けられてもよいし、本体1の内部に固定的に収納されてもよい。
【0062】
実施の形態では、食器洗い機がキッチンの内部に収納される例を示したが、別の例では、食器洗い機は独立した装置として構成されてもよい。
【0063】
実施の形態では、使用者自らが被洗浄物8を載置したり、取り出したりしたが、それを例えばロボットアーム等を用いてキッチンのワークトップ上やシンク上に置かれた被洗浄物8を自動でかご30に載置、または自動でかご30から取り出す構成としてもよい。この場合、かご30を昇降および水平方向に移動させることにより、ロボットアームのリーチの限界や上かご13が邪魔になり下かご14までアームが届きにくい課題を軽減させ、被洗浄物8の載置性および取り出し性の向上を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、食器などの被洗浄物を洗浄するための食器洗い機に利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 本体、2 洗浄槽、2a 回転支持部、3 給水弁、4 排水孔、5 洗浄ポンプ、6 フィルタ、7 洗浄ノズル、8 被洗浄物、9 ヒータ、12 制御手段、13 上かご、14 下かご、15 リンク、16 ガイド、17 軸、18,19 昇降リンク、20 端、21 ガイド、22 操作部、23 工程制御部、24 駆動制御部、25 メモリ、31 チェーン、32 センサ、33 載置状態取得部、34 移動経路設定部、35 警告部、36 移動制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12