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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】光コネクタ及び伝送装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20230831BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20230831BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20230831BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20230831BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/26
G02B6/42
G02B6/44 341
G02B6/02 421
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019135238
(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2021018370
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 剛久
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 崇
(72)【発明者】
【氏名】河西 賢一
(72)【発明者】
【氏名】八若 正義
(72)【発明者】
【氏名】大泉 晴郎
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05827267(US,A)
【文献】特開平08-220404(JP,A)
【文献】特表2016-533543(JP,A)
【文献】特開昭60-165953(JP,A)
【文献】特開2016-080231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02 - 6/10
G02B 6/24
G02B 6/255 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/36 - 6/44
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを収容するハウジングと、
前記ハウジング内で前記光ファイバの外周を囲んだ状態で固定する固定部材と、
前記ハウジング内において前記固定部材に対して前記光ファイバの軸方向の両側に設けられる流通部と、
2つの前記流通部のうち一方の前記流通部に冷却媒体を供給する供給部、及び他方の前記流通部から前記冷却媒体を排出する排出部と、
前記固定部材のうち前記光ファイバに面する部分に配置され、2つの前記流通部を連通する第1連通部と、
前記固定部材のうち前記光ファイバに面する部分とは異なる部分に設けられ、2つの前記流通部を連通する第2連通部と
を備える光コネクタ。
【請求項2】
前記固定部材は、前記ハウジングの内面に支持される第1スリーブと、前記第1スリーブの内面に支持される第2スリーブと、前記第2スリーブの内面に支持される第3スリーブとを有し、
前記第2連通部は、前記第2スリーブの外周面に配置される
請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記固定部材は、前記ハウジングの内面に支持される第1スリーブと、前記第1スリーブの内面に支持される第2スリーブと、前記第2スリーブの内面に支持される第3スリーブとを有し、
前記第2連通部は、前記第2スリーブの周方向に複数設けられる
請求項1又は請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
2つの前記流通部の一方は、前記光ファイバの端部を含む部分に設けられ、
他方の前記流通部は、前記第1連通部及び前記第2連通部と接続される部分に拡径部を有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記固定部材は、筒形状であり、前記ハウジングの内面に支持される第1スリーブと、前記第1スリーブの内面に支持される第2スリーブと、前記第2スリーブの内面に支持され第3スリーブとを有し、
前記第3スリーブは、前記光ファイバを保持し、
前記第2連通部は、前記第3スリーブの外周面が露出するように設けられる
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記供給部及び前記排出部の一方は、前記ハウジングのうち前記光ファイバの軸線方向について側部に接続される側部接続部を有する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記第1連通部及び前記第2連通部とは別個に設けられ、前記ハウジングの外部を経由して一方の前記流通部と他方の前記流通部との間を接続するバイパス流路を更に備える
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項8】
光ファイバと、
前記光ファイバの基端部及び先端部をそれぞれ支持し、内部にそれぞれ流通部を有する光コネクタと、
前記光ファイバのうち2つの前記光コネクタから露出した部分を囲い、2つの前記光コネクタの前記流通部同士を接続する配管と、
前記配管とは別個に2つの前記光コネクタの前記流通部同士を接続し、2つの前記光コネクタの前記流通部と前記配管とを含む流路を介して前記冷却媒体を循環させる循環装置と、
を備え、
2つの前記光コネクタのうち少なくとも前記光ファイバの前記先端部を支持する前記光コネクタについて、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光コネクタが用いられる
伝送装置。
【請求項9】
2つの前記光コネクタの両方について、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光コネクタが用いられ、
前記循環装置は、一方の前記光コネクタの前記排出部と、他方の前記光コネクタの前記供給部とを接続し、
前記配管は、一方の前記光コネクタの前記供給部と、他方の前記光コネクタの前記排出部とを接続する
請求項8に記載の伝送装置。
【請求項10】
前記配管の内径をr、前記配管の長さをL、前記冷却媒体の流速をv、前記冷却媒体の密度をρ、前記配管の管摩擦係数をλとした場合、前記流通部内の圧力P及び前記冷却媒体の流量の目標値Qが、
P>λLρv/2r ・・・(式1)
Q=π(r/2) v ・・・(式2)
を満たすように設計される
請求項8又は請求項9に記載の伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光コネクタ及び伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを有する伝送装置によりレーザ光源のレーザ光をレーザ加工装置に伝送するとき、レーザ光源と光ファイバの一端部を光コネクタにより接続すると共に、光ファイバの他端部とレーザ加工装置を光コネクタにより接続する。このような伝送装置としては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-058547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバは、一般的に、ガラス製のコアの外側にガラス製のクラッドが設けられ、このコアとクラッドからなる素線が樹脂製の被覆部により被覆されて構成されている。このような光ファイバは、外気温等の影響や光ファイバ自体の発熱により加熱されることを防ぐため、効率よく冷却することが求められる。
【0005】
本開示では、光ファイバを効率よく冷却することが可能な光コネクタ及び伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る光コネクタは、光ファイバを収容するハウジングと、前記ハウジング内で前記光ファイバの外周を囲んだ状態で固定する固定部材と、前記ハウジング内において前記固定部材に対して前記光ファイバの軸方向の両側に設けられる流通部と、2つの前記流通部のうち一方の前記流通部に冷却媒体を供給する、または他方の前記流通部から前記冷却媒体を排出する給排部と、前記固定部材のうち前記光ファイバに面する部分に配置され、2つの前記流通部を連通する第1連通部と、前記固定部材のうち前記光ファイバに面する部分とは異なる部分に設けられ、2つの前記流通部を連通する第2連通部とを備える。
【0007】
本開示の第2態様に係る伝送装置は、光ファイバと、前記光ファイバの基端部及び先端部をそれぞれ支持し、内部にそれぞれ流通部を有する光コネクタと、前記光ファイバのうち2つの前記光コネクタから露出した部分を囲い、2つの前記光コネクタの前記流通部同士を接続する配管と、前記配管とは別個に2つの前記光コネクタの前記流通部同士を接続し、2つの前記光コネクタの前記流通部と前記配管とを含む流路を介して前記冷却媒体を循環させる循環装置と、を備え、2つの前記光コネクタのうち少なくとも前記光ファイバの前記先端部を支持する前記光コネクタは、上記の光コネクタが用いられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、光ファイバを効率よく冷却することが可能な光コネクタ及び伝送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の伝送装置を表す概略構成図である。
図2図2は、本実施形態の光コネクタを表す断面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV断面図である。
図5図5は、図2のV-V断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る光コネクタ及び伝送装置の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0011】
図1は、本実施形態の伝送装置を表す概略構成図である。本実施形態において、図1に示すように、伝送装置100は、光ファイバ11と、配管12と、2つの光コネクタ10(入射側光コネクタ13、出射側光コネクタ14)と、循環装置15とを備えている。
【0012】
光ファイバ11は、ガラス製のコアの外側にガラス製のクラッドが設けられる素線11a(図3等参照)と、この素線11aを被覆する樹脂製の被覆部11b(図3等参照)とから構成されている。
【0013】
光コネクタ10は、光ファイバ11の両端に接続される。以下、光ファイバ11の基端部11r側に接続される光コネクタ10を入射側光コネクタ13とし、光ファイバ11の先端部11t側に接続される光コネクタ10を出射側光コネクタ14とする。なお、光ファイバ11の基端部11rは、光ファイバ11に光が入射する部分である。また、光ファイバ11の先端部11tは、光ファイバ11から光が出射する部分である。
【0014】
入射側光コネクタ13は、基端部13rに図示しない光源(例えば、レーザ発振器)が接続される。入射側光コネクタ13は、先端部13tから内部に光ファイバ11の基端部11rが挿入される。入射側光コネクタ13は、先端部13tにおいて光ファイバ11の基端部11rを支持する。入射側光コネクタ13は、内部に後述する流通部23を有する。
【0015】
出射側光コネクタ14は、基端部14rから内部に光ファイバ11の先端部11tが挿入される。出射側光コネクタ14は、基端部14rにおいて光ファイバ11の先端部11tを支持する。出射側光コネクタ14は、先端部14tに図示しない加工装置(例えば、レーザ切断装置)が接続される。出射側光コネクタ14は、内部に後述する流通部23を有する。
【0016】
配管12は、光ファイバ11のうち2つの光コネクタ10から露出した部分を囲うように設けられる。配管12は、基端部12rが入射側光コネクタ13に接続され、先端部12tが出射側光コネクタ14に接続される。配管12は、内部に流動部44が形成される。冷却媒体流動部44には、光ファイバ11が配置される。配管12は、入射側光コネクタ13と出射側光コネクタ14との間で冷却媒体を流通させる。本実施形態において、冷却媒体としては、例えば冷却水が用いられるが、これに限定されず、他の媒体であってもよい。
【0017】
循環装置15は、配管12とは別個に入射側光コネクタ13及び出射側光コネクタ14の流通部23同士を接続し、入射側光コネクタ13及び出射側光コネクタ14の流通部23と配管12とを含む流路を介して冷却媒体を循環させる。循環装置15は、供給経路L1及び排出経路L2に接続される。循環装置15は、排出経路L2から排出された冷却媒体を供給経路L1に供給する。供給経路L1は、出射側光コネクタ14の第1給排部24に接続される。排出経路L2は、出射側光コネクタ14の第1給排部24に接続される。
【0018】
入射側光コネクタ13と出射側光コネクタ14は、同様の構成をなすものである。以下の説明では、入射側光コネクタ13と出射側光コネクタ14との対応する構成については、同一の符号を付して説明する。なお、光コネクタ10を入射側光コネクタ13として使用する場合と、光コネクタ10を出射側光コネクタ14として使用する場合とでは、光ファイバ11と配管12と連結配管16の接続部分が逆になる。以下、光コネクタ10の説明については、出射側光コネクタ14を例に挙げて説明する。
【0019】
図2は、本実施形態の光コネクタを表す断面図、図3は、図2のIII-III断面図、図4は、図2のIV-IV断面図である。また、図5は、図2のV-V断面図である。
【0020】
図2から図4に示すように、出射側光コネクタ14は、ハウジング21と、固定部材22と、流通部23と、第1給排部24と、第2給排部25と、バイパス流路26とを備える。
【0021】
ハウジング21は、光ファイバ11を収容する。ハウジング21は、長尺の円筒形状をなし、長手方向の中間部に位置する本体部31と、長手方向の先端部14t側に位置する第1連結部32と、長手方向の基端部14r側に位置する第2連結部33とから構成されている。本体部31は、最大の内径が確保されている。第1連結部32は、本体部31の内径より小さい内径が確保され、先細形状をなしている。第2連結部33は、第1連結部32の内径より小さい内径が確保され、先細形状をなし、外部連結部としての連結孔33aが形成されている。なお、ハウジング21は、本体部31と第1連結部32と第2連結部33とを3分割として構成してもよく、また、4部材以上に分割してもよい。
【0022】
ハウジング21は、内部に光ファイバ11を固定する固定部材22が配置されている。固定部材22は、ハウジング21の内面に支持される第1スリーブ34と、第1スリーブ34の内面に支持される第2スリーブ35と、第2スリーブ35の内面に支持される第3スリーブ36とから構成されている。ハウジング21と第1スリーブ34との間に円筒形状をなす隙間部37が形成されている。
【0023】
第1スリーブ34は、円筒形状をなし、大径部34aと小径部34bとを有し、大径部34aの外面がハウジング21の本体部31の内面に嵌合して固定され、小径部34bがハウジング21の第1連結部32の内面に嵌合して固定される。
【0024】
第2スリーブ35は、光ファイバ11を囲う円筒形状をなし、大径部35aと小径部35bとを有し、大径部35aの外面が第1スリーブ34の大径部34aの内面に嵌合して固定される。
【0025】
第3スリーブ36は、光ファイバ11の軸方向に延びる棒状をなし、第2スリーブ35の大径部35aの内面に嵌合して固定される。
【0026】
図5に示すように、第3スリーブ36は、V-V断面視において光ファイバ11の円周方向に複数、例えば4つ配置される。なお、第3スリーブ36は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。複数の第3スリーブ36は、例えば円周方向に等ピッチで配置される。第3スリーブ36は、断面視において径方向の内側の面36aが光ファイバ11の被覆部11bの外周面に当接する。複数の第3スリーブ36によって被覆部11bの外周面が周方向に保持されることで、光ファイバ11が固定される。
【0027】
また、図5に示すように、第3スリーブ36がV-V断面視において光ファイバ11の周方向に間隔を空けて配置される。このため、第3スリーブ36が設けられない箇所において、第2スリーブ35の内周面35cと、光ファイバ11の外周面との間には、第1連通部43が形成される。本実施形態において、第1連通部43は、V-V断面視において例えば光ファイバ11の周方向に複数、例えば4箇所設けられる。第1連通部43は、例えばスリット状であり、ハウジング21のうち後述する光ファイバ11の先端側の第1流通部41と基端側の第2流通部42との間を連通する。つまり、第1連通部43を介して、光ファイバ11の先端側の第1流通部41から基端側の第2流通部42に冷却媒体が流通するようになっている。第1連通部43は、固定部材22のうち光ファイバ11に面する位置に配置される。この構成により、第1連通部43を流れる冷却媒体が光ファイバ11に接触するため、光ファイバ11を直接的に冷却可能となる。
【0028】
また、図5に示すように、第2スリーブ35の外周面35dには、スリット状の第2連通部45が設けられている。なお、外周面35dは、固定部材22のうち光ファイバ11に面する部分とは異なる部分に設けられる。第2連通部45は、光ファイバ11の軸方向に沿って延びており、第1流通部41と第2流通部42とを連通する。したがって、固定部材22には、第1流通部41と第2流通部42とを連通する連通部として、第1連通部43と第2連通部45とが設けられる。このため、第1連通部43が単独で設けられる構成に比べて、連通部の断面積が大きくなる。第1連通部43及び第2連通部45は、冷却媒体が流れる部分である。したがって、第1連通部43及び第2連通部45が設けられることにより、光ファイバ11の固定部分において冷却媒体の詰まり等を抑制し、冷却媒体の円滑な流通を図ることができる。
【0029】
第2連通部45は、第2スリーブ35の周方向に複数、例えば図5における上下左右の4箇所に等ピッチで設けられる。なお、第2連通部45は、第2スリーブ35の周方向に3箇所以下又は5箇所以上に設けられてもよい。本実施形態において、第2連通部45は、第3スリーブ36と対応する位置に設けられる。この場合、第2連通部45は、第3スリーブ36の外周面36bが露出するように設けられる。この構成により、第2連通部45は、第3スリーブ36の外周面36bに面した状態となっている。なお、第2連通部45は、第3スリーブ36の外周面36bが露出しない状態で設けられてもよい。
【0030】
図2に戻り、ハウジング21は、第1連結部32の内面に第4スリーブ38が固定されている。第4スリーブ38は、円筒形状をなし、内面に円柱形状をなすプローブ39が固定されている。プローブ39は、一端部が第1スリーブ34の小径部34bの端部と接触している。また、プローブ39は、一端部に第2スリーブ35側に突出する円錐形状をなす接合部39aが設けられ、第2スリーブ35の小径部35bとの間に隙間が確保されている。また、ハウジング21は、第2連結部33の連結孔33aの内面に連結配管16の先端部が嵌合して連結されている。
【0031】
光ファイバ11は、先端部11tが連結配管16からハウジング21の内部に挿入されている。光ファイバ11は、素線11aと被覆部11bとから構成され、被覆部11bが第2スリーブ35の小径部35bの中間位置まで延出され、素線11aがプローブ39まで延出されている。光ファイバ11は、被覆部11bが第3スリーブ36内に挿入されて固定支持され、素線11aの先端部がプローブ39の接合部39aに接触して融着接合されている。また、上述したように、第2スリーブ35の第2連通部45を介して、第1流通部41と第2流通部42とが連通されている。このため、第2連通部45を介して、光ファイバ11の先端側の第1流通部41から基端側の第2流通部42に冷却媒体が流通し、当該冷却媒体により第2スリーブ35が冷却されるようになっている。
【0032】
流通部23は、ハウジング21内で固定部材22に支持される光ファイバ11の外側に設けられている。流通部23は、固定部材22に対して光ファイバ11の軸方向における先端側に設けられる第1流通部41と、固定部材22に対して光ファイバ11の軸方向における基端側に設けられる第2流通部42とを有する。
【0033】
第1流通部41は、第1スリーブ34と第2スリーブ35の大径部35aと第3スリーブ36とプローブ39とにより区画された空間である。第2流通部42は、ハウジング21の本体部31及び第2連結部33と第1スリーブ34と第2スリーブ35と第3スリーブ36とにより区画された空間である。なお、第1流通部41と第2流通部42の間には、光ファイバ11を固定支持する第3スリーブ36が設けられる。上述したように、第3スリーブ36の第1連通部43を介して、第1流通部41と第2流通部42とが連通されている。このため、第1連通部43を介して、光ファイバ11の先端側の第1流通部41から基端側の第2流通部42に冷却媒体が流通し、当該冷却媒体により光ファイバ11の固定支持部が冷却されるようになっている。また、第3スリーブ36は、上述したように、外周面36bが第2連通部45に露出した構成となっている。このため、第2連通部45を流通する冷却媒体により、第3スリーブ36が冷却されるようになっている。
【0034】
第2流通部42は、拡径部42aを有する。拡径部42aは、第1連通部43及び第2連通部45に接続される側に設けられている。この構成により、第2流通部42は、拡径部42aにおいて冷却媒体の流路抵抗が低減される。このため、第1連通部43及び第2連通部45と第2流通部42との間で冷却媒体を円滑に流通させることができる。
【0035】
配管12と光ファイバ11との間に冷却媒体流動部44が確保されている。第2流通部42は、ハウジング21に接続される配管12の冷却媒体流動部44に連通される。
【0036】
第1給排部24及び第2給排部25は、ハウジング21の流通部23に対して冷却媒体の給排を行う。第1給排部24は、ハウジング21の本体部31のうち光ファイバ11の軸線方向について側部に配置される側部接続部31aを有する。第2給排部25は、ハウジング21のうち第2連結部33側に配置され、配管12に接続される。
【0037】
出射側光コネクタ14において、第1給排部24は、第1流通部41に冷却媒体を供給する給排部として機能する。また、第2給排部25は、第2流通部42から冷却媒体を排出する給排部として機能する。なお、入射側光コネクタ13において、第1給排部24は、第1流通部41から冷却媒体を排出する給排部として機能する。また、第2給排部25は、第2流通部42に冷却媒体を供給する給排部として機能する。
【0038】
バイパス流路26は、上記の第1連通部43及び第2連通部45とは別個に設けられ、ハウジング21の外部を経由して第1流通部41と第2流通部42との間を接続する。バイパス流路26は、第1連通部43及び第2連通部45を迂回するように設けられる。バイパス流路26が設けられることにより、第1流通部41及び第2流通部42への冷却媒体の圧力を抑制しつつ、第1連通部43及び第2連通部45に冷却媒体を流通させることができる。バイパス流路26は、第1流通部41に接続される第1接続部分26aと、第2流通部42に接続される第2接続部分26bとを有する。第1接続部分26aは、第1連通部43の端部に対応する位置に配置される。また、第1接続部分26aは、光ファイバ11の軸方向について、第1給排部24に対応する位置に配置される。このため、出射側光コネクタ14の外形において対応する位置に突出部分が形成されることで、外形上のバランスが確保される。また、第2接続部分26bは、第2流通部42のうち拡径部42aよりも第2連結部33側の位置に配置される。なお、本実施形態において、バイパス流路26は、設けられなくてもよい。
【0039】
本実施形態において、循環装置15は、出射側光コネクタ14の第1給排部24と、入射側光コネクタ13の第1給排部24とを接続する。また、配管12は、出射側光コネクタ14の第2給排部25と、入射側光コネクタ13の第2給排部25とを接続する。このため、入射側光コネクタ13、循環装置15、出射側光コネクタ14、及び配管12からなる一系統の流路が形成される。このため、光ファイバ11の全体を確実に冷却することが可能となっている。
【0040】
また、循環装置15は、冷却媒体の温度の調整に加えて、流量及び圧力に関する調整を行う。温度については、例えば上記固定部材22の温度及び配管12を流れる冷却媒体の温度を測定し、測定結果が所定の閾値を超えないように冷却媒体の温度を調整することができる。また、流量及び圧力については、例えば循環装置15に流れ込む冷却媒体の流量と、バイパス流路26を流れる流路との差を算出し、当該算出結果が第1連通部43及び第2連通部45を流れる冷却媒体の流量であると推定する。循環装置15は、この算出結果に基づいて冷却媒体の流量及び圧力を調整する。
【0041】
また、出射側光コネクタ14は、第1給排部24から第1流通部41に供給された冷却媒体を光ファイバ11の軸方向に沿って流動させる案内部材51を有する。案内部材51は、第2スリーブ35の小径部35bにより形成されている。即ち、第2スリーブ35は、大径部35aが第1スリーブ34に固定され、小径部35bがプローブ39側に延出されている。案内部材51としての小径部35bは、第1流通部41に位置し、一端部が大径部35aに支持された片持ち支持となっている。案内部材51としての小径部35bは、外面と第1スリーブ34の内面との間に隙間が確保されると共に、他端部とプローブ39との間に隙間が確保されている。
【0042】
案内部材51の小径部35bは、第1給排部24と第2給排部25に対して径方向に対向して配置されている。案内部材51の小径部35bは、円筒形状をなし、軸方向の一端部に第1流通部41に連通する第1開口部52が設けられ、軸方向の他端部に第2給排部25に連通する第2開口部53が設けられている。
【0043】
以下、本実施形態の伝送装置100における作用について説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の伝送装置100は、例えばレーザ光源が非放射線領域に配置され、レーザ加工装置が高放射線領域に配置される状況下で用いられる。つまり、伝送装置100は、非放射線領域にあるレーザ光源と、高放射線領域にあるレーザ加工装置とを接続する。レーザ光源のレーザ光が伝送装置100の光ファイバ11によりレーザ加工装置に伝送され、レーザ加工装置を遠隔操作することで、レーザ切断作業などを実施することができる。このような使用態様では、高放射線領域でレーザ光を伝送することにより、光ファイバ11の先端部11t側において素線11aが発熱し、被覆部11bの耐熱温度に近づく可能性がある。
【0044】
これに対して、本実施形態に係る循環装置15は、供給経路L1を介して冷却媒体を出射側光コネクタ14の第1給排部24に供給する。出射側光コネクタ14では、第1給排部24に供給された冷却媒体が第1流通部41を流通し、一部が第1連通部43を介して第2流通部42に到達する。また、第1流通部41を流通する冷却媒体の一部は、第2連通部45を介して第2流通部42に到達する。なお、第1流通部41を流通する冷却媒体の一部は、バイパス流路26を介して第2流通部42に到達する。
【0045】
このように、冷却媒体が第1流通部41、第1連通部43、第2流通部42を流動することで、光ファイバ11が直接的に冷却される。また、第1連通部43を流れる冷却媒体により、光ファイバ11が直接冷却されることに加えて、第3スリーブ36についても冷却される。このため、光ファイバ11のうち第3スリーブ36に支持された部分は、当該第3スリーブ36によって間接的に冷却されることになる。
【0046】
更に、冷却媒体が第1流通部41、第2連通部45、第2流通部42を流動することで、第2スリーブ35が冷却される。また、本実施形態では、第2連通部45が第3スリーブ36の外周面36bを露出するように形成されるため、冷却媒体が第2連通部45を流通することで、第3スリーブ36が冷却される。このため、第2スリーブ35及び第3スリーブ36を介して光ファイバ11が間接的に冷却されることになる。
【0047】
また、本実施形態において第1流通部41及び第2流通部42に比べて第1連通部43が狭隘である。これに対して、一部の冷却媒体が第1連通部43及び第2連通部45の2つの連通部を介して第2流通部42に到達することで、これらの連通部に冷却媒体を流通させつつ、内圧の上昇を抑制できる。なお、バイパス流路26が設けられることにより、同様に内圧の上昇が抑制される。
【0048】
第2流通部42に到達した冷却媒体は、第2給排部25から配管12に流れ込み、配管12の冷却媒体流動部44に沿って流通し、入射側光コネクタ13の第2給排部25に供給される。入射側光コネクタ13では、第2給排部25に供給された冷却媒体が第2流通部42を流通し、一部が第1連通部43を介して第1流通部41に到達する。また、第2流通部42を流通する冷却媒体の一部は、第2連通部45を介して第1流通部41に到達する。なお、第1流通部41を流通する冷却媒体の一部は、バイパス流路26を介して第2流通部42に到達する。このように、入射側光コネクタ13においても同様に、冷却媒体が第2流通部42、第1連通部43、第1流通部41の経路と、第2流通部42、第2連通部45、第1流通部41の経路とを流動することで、光ファイバ11が冷却される。また、一部の冷却媒体がバイパス流路26を介して第2流通部42に到達することで、第1連通部43及び第2連通部45に冷却媒体を流通させつつ、内圧の上昇を抑制できる。
【0049】
第1流通部41に到達した冷却媒体は、第1給排部24から排出経路L2に流れ込み、循環装置15に供給される。循環装置15は、排出経路L2から供給された冷却媒体に対して温度調整等を行った後、当該冷却媒体を再び供給経路L1に循環させる。このように、一系統の流路に冷却媒体を流通させることで、光ファイバ11の全体が確実に冷却され、素線11aの温度上昇が抑制される。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る光コネクタ10は、光ファイバ11を収容するハウジング21と、ハウジング21内で光ファイバ11の外周を囲んだ状態で固定する固定部材22と、ハウジング21内において固定部材22に対して光ファイバ11の軸方向の両側に設けられる流通部23と、2つの流通部23のうち一方の流通部23に冷却媒体を供給し他方の流通部23から冷却媒体を排出する第1給排部24及び第2給排部25と、固定部材22のうち光ファイバ11に面する部分に配置され、2つの流通部23を連通する第1連通部43と、固定部材22のうち光ファイバ11に面する部分とは異なる部分に設けられ、2つの流通部23を連通する第2連通部45とを備える。
【0051】
従って、第1連通部43を流れる冷却媒体により、光ファイバ11のうち固定部材22で固定される部分が直接的に冷却されることになる。このため、冷却効率を向上させることができる。また、第1連通部43とは別個に設けられる第2連通部45を介して第1流通部41から第2流通部42に冷却媒体を迂回させることができるため、第1連通部43が狭隘であっても、流通部23内の圧力の上昇を抑制しつつ、第1連通部43に冷却媒体を流通させることができる。したがって、ハウジング21内に冷却媒体を円滑に流すことができる。また、第2連通部45により固定部材22が冷却されることで、固定部材22を介して光ファイバ11が間接的に冷却される。これにより、光ファイバ11の発熱を抑制して信頼性の向上を図る光コネクタ10が提供される。
【0052】
本実施形態に係る光コネクタ10において、第2連通部45は、第2スリーブ35の外周面35dに配置される。したがって、第2連通部45を容易に形成することができる。
【0053】
本実施形態に係る光コネクタ10において、第2連通部45は、固定部材22の周方向に複数設けられる。したがって、固定部材22を周方向の複数の位置で冷却することができるため、冷却効率を高めることができる。
【0054】
本実施形態に係る光コネクタ10において、2つの流通部23の一方である第1流通部41は、光ファイバ11の端部を含む部分に設けられ、他方の流通部23である第2流通部42は、第1連通部43及び第2連通部45と接続される部分に拡径部42aを有する。したがって、拡径部42aにおいて冷却媒体の流路抵抗を低減することができるため、第1連通部43及び第2連通部45と第2流通部42との間で冷却媒体を円滑に流通させることができる。
【0055】
本実施形態に係る伝送装置100は、光ファイバ11と、光ファイバ11の基端部11r及び先端部11tをそれぞれ支持し、内部にそれぞれ流通部23を有する光コネクタと、光ファイバ11のうち2つの光コネクタから露出した部分を囲い、2つの光コネクタの流通部23同士を接続する配管12と、配管12とは別個に2つの光コネクタの流通部23同士を接続し、2つの光コネクタの流通部23と配管12とを含む流路を介して冷却媒体を循環させる循環装置15と、を備え、2つの光コネクタのうち少なくとも光ファイバの先端部を支持する出射側光コネクタ14は、上記の光コネクタ10が用いられる。この伝送装置100では、バイパス流路26が設けられることで、流通部23内の圧力の上昇を抑制しつつ、連通部43に冷却媒体を流通させることができる。したがって、配管12内において光ファイバ11に十分な冷却能力を有する冷却媒体を必要な流量だけ確保することができる。また、出射側光コネクタ14を高放射線領域で用いる場合等において、出射側光コネクタ14に接続される光ファイバ11の発熱を抑制することができる。
【0056】
本実施形態に係る伝送装置100において、2つの光コネクタの両方について、上記の光コネクタ10が用いられ、循環装置15は、一方の光コネクタ10の第1給排部24と、他方の光コネクタ10の第2給排部25とを接続し、配管12は、一方の光コネクタ10の第2給排部25と、他方の光コネクタ10の第1給排部24とを接続する。これにより、一方の光コネクタ10、循環装置15、他方の光コネクタ10、及び配管12からなる一系統の流路が形成される。このため、光ファイバ11の全体を確実に冷却することが可能となる。
【0057】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上述した実施形態では、ハウジング21に配管12を連結した構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば連結配管16を介してハウジング21に配管12を連結する構成としてもよい。
【0058】
また、上記した実施形態において、配管12の内径を調整することにより、光コネクタ10の流通部23内の冷却媒体の圧力を調整するようにしてもよい。ここで、配管12の内径をr、配管12の長さをL、冷却媒体の流速をv、冷却媒体の密度をρ、配管12の管摩擦係数をλとすると、光コネクタ10の流通部23内の耐圧P及び冷却媒体の流量の目標値Qが以下の式1及び式2を満たすように各部が設計される。
【0059】
P>λLρv/2r ・・・(式1)
Q=π(r/2) v ・・・(式2)
【0060】
上記式1及び式2により、例えば冷却媒体の流量3L/minを確保する場合、ファイバ伝送距離(配管12の長さL)を100mとし、光コネクタ10の流通部23内の耐圧Pを1MPaとすると、配管12の内径はΦ8mm程度となる。
【0061】
また、上述した実施形態では、冷却媒体として冷却水を適用したが、冷却媒体は冷却水に限定されるものではなく、例えば、空気でもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、入射側光コネクタ13と出射側光コネクタ14を同じ構成のものとしたが、異なる構成のものであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 光コネクタ
11 光ファイバ
11a 素線
11b 被覆部
11r,12r,13r,14r 基端部
11t,12t,13t,14t 先端部
12 配管
13 入射側光コネクタ
14 出射側光コネクタ
15 循環装置
16 連結配管
21 ハウジング
22 固定部材
23 流通部
24 第1給排部
25 第2給排部
26 バイパス流路
26a 第1接続部分
26b 第2接続部分
31 本体部
31a 側部接続部
32 第1連結部
33 第2連結部
33a 連結孔
34 第1スリーブ
34a,35a 大径部
34b,35b 小径部
35 第2スリーブ
35c 内周面
35d,36b 外周面
36 第3スリーブ
36a 面
37 隙間部
38 第4スリーブ
39 プローブ
39a 接合部
41 第1流通部
42 第2流通部
42a 拡径部
43 第1連通部
44 流動部
45 第2連通部
51 案内部材
52 第1開口部
53 第2開口部
100 伝送装置
L1 供給経路
L2 排出経路
図1
図2
図3
図4
図5