(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/42 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
G03F7/42
(21)【出願番号】P 2019172560
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】堀越 章
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭平
(72)【発明者】
【氏名】高辻 茂
(72)【発明者】
【氏名】河野 元宏
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 健司
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/148470(WO,A1)
【文献】特開2003-133290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液の液膜を形成する工程と、
前記液膜へプラズマを照射して前記液膜中にラジカルを発生させる工程と、
を備え、
前記プラズマを照射する工程は、前記プラズマ中の雰囲気を静的に保つ工程を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記プラズマを照射する工程は、前記基板の回転をともないながら、前記基板の回転にとっての周方向において部分的に配置された前記プラズマを用いて行われる、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記プラズマを照射する工程は、前記基板の回転にとっての半径方向において前記プラズマの位置を揺動させる工程を含む、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記プラズマを照射する工程は、前記基板の半径方向の位置の全体にわたって延在する前記プラズマを用いて行われる、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記液膜を形成する工程は、
前記基板上への前記処理液の供給を開始する工程と、
前記基板上への前記処理液の供給を停止する工程と、
を含み、
前記プラズマを照射する工程は、前記処理液の供給を開始する工程の後かつ前記処理液の供給を停止する工程の前に行われる、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記液膜を形成する工程は、
前記基板上への前記処理液の供給を開始する工程と、
前記基板上への前記処理液の供給を停止する工程と、
を含み、
前記プラズマを照射する工程は、前記処理液の供給を停止する工程の後に行われる、請求項1から
5のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理装置であって、
前記基板を保持する保持部と、
前記基板上に前記処理液の液膜が形成されるように前記基板上へ前記処理液を供給する液供給部と、
前記液膜へプラズマを照射して前記液膜中にラジカルを発生させるプラズマ源と、
を備え、
前記プラズマ源は、前記プラズマ源の周囲の雰囲気を静的に保ちつつ、前記プラズマ源の周囲の雰囲気をプラズマ化する、基板処理装置。
【請求項8】
硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理装置であって、
前記基板を保持する保持部と、
前記基板上に前記処理液の液膜が形成されるように前記基板上へ前記処理液を供給する液供給部と、
前記液膜へプラズマを照射するプラズマ源と、
を備え、
前記プラズマ源は、
ガスの供給を受けるガス入口と、前記基板の方を向くように配置されたガス出口と、を有する配管と、
前記配管中に配置された第1電極と、
前記配管外に配置された第2電極と、
を含む、
基板処理装置。
【請求項9】
硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理装置であって、
前記基板を保持する保持部と、
前記基板上に前記処理液の液膜が形成されるように前記基板上へ前記処理液を供給する液供給部と、
前記液膜へプラズマを照射するプラズマ源と、
を備え、
前記プラズマ源は、
前記液膜の方を向く第1面と、前記第1面と反対の第2面とを有する誘電体層と、
前記液膜から離れて前記第1面上に配置された第1電極と、
前記第2面上に配置された第2電極と、
を含む、
基板処理装置。
【請求項10】
前記基板の回転を得るために前記保持部を回転させる回転駆動部をさらに備え
前記プラズマ源は、前記基板の回転にとっての半径方向において揺動可能に構成されている、請求項
7から
9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板の回転を得るために前記保持部を回転させる回転駆動部をさらに備え、
前記プラズマ源は、前記基板の半径方向の位置の全体にわたって延在する前記プラズマを発生させる、請求項
7から
9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第2電極は、前記基板上へ供給される前記処理液の経路から離れている、請求項
8に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第2電極は、前記基板上へ供給される前記処理液の経路に接している、請求項
8に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法および基板処理装置に関し、特に、プラズマを用いた基板処理方法および基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法は、多くの場合、基板からレジスト膜を除去するためのウェット処理工程をともなう。この典型的な工程として、硫酸と過酸化水素水との混合液である処理液中で生成されるペルオキソ硫酸の酸化力を用いる方法がある。ペルオキソ硫酸を継続的かつ安定的に発生させるためには、通常、処理液へ過酸化水素水を追加添加しなければならない。それに起因して、排液処理の負担が増大したり、硫酸のリサイクルが困難となったりする。
【0003】
一方、特開2002-53312号公報(特許文献1)に開示されたレジスト除去方法においては、硫酸を含む溶液に酸素プラズマを照射することによって、ペルオキソ硫酸が発生させられる。そして、表面にレジストが形成されたウエハが、ペルオキソ硫酸を含む溶液に浸漬させられる。この方法によれば、酸素プラズマを硫酸に照射することによりペルオキソ硫酸の生成を促進することができる。上記公報によれば、これにより、硫酸と過酸化水素との混合液のレジスト除去能力を、過酸化水素を追加せずに維持することができる旨が主張されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板からレジスト膜を除去する工程は、時間、エネルギーおよび化学材料の多大な消費を要することが多く、よってその効率化が求められている。また、レジスト膜を除去する基板処理に限らず、他の基板処理についても、その効率化は製造者にとって、当然、有益である。
【0006】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、処理液の酸化力を用いた基板処理を効率的に行うことができる基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、基板処理方法であって、基板上に、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液の液膜を形成する工程と、前記液膜へプラズマを照射する工程と、を備える。
【0008】
第2態様は、第1態様の基板処理方法であって、前記プラズマを照射する工程は、前記基板の回転をともないながら、前記基板の回転にとっての周方向において部分的に配置された前記プラズマを用いて行われる。
【0009】
第3態様は、第2態様の基板処理方法であって、前記プラズマを照射する工程は、前記基板の回転にとっての半径方向において前記プラズマの位置を揺動させる工程を含む。
【0010】
第4態様は、第2態様の基板処理方法であって、前記プラズマを照射する工程は、前記基板の半径方向の位置の全体にわたって延在する前記プラズマを用いて行われる。
【0011】
第5態様は、第1から第4のいずれかの態様の基板処理方法であって、前記プラズマを照射する工程は、前記基板へプラズマジェットを吹き付ける工程を含む。
【0012】
第6態様は、第1から第4のいずれかの態様の基板処理方法であって、前記プラズマを照射する工程は、前記プラズマ中の雰囲気を静的に保つ工程を含む。
【0013】
第7態様は、第1から第6のいずれかの態様の基板処理方法であって、前記液膜を形成する工程は、前記基板上への前記処理液の供給を開始する工程と、前記基板上への前記処理液の供給を停止する工程と、を含み、前記プラズマを照射する工程は、前記処理液の供給を開始する工程の後かつ前記処理液の供給を停止する工程の前に行われる。
【0014】
第8態様は、第1から第7のいずれかの態様の基板処理方法であって、前記液膜を形成する工程は、前記基板上への前記処理液の供給を開始する工程と、前記基板上への前記処理液の供給を停止する工程と、を含み、前記プラズマを照射する工程は、前記処理液の供給を停止する工程の後に行われる。
【0015】
第9態様は、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理装置であって、前記基板を保持する保持部と、前記基板上に前記処理液の液膜が形成されるように前記基板上へ前記処理液を供給する液供給部と、前記液膜へプラズマを照射するプラズマ源と、を備える。
【0016】
第10態様は、第9態様の基板処理装置であって、前記基板の回転を得るために前記保持部を回転させる回転駆動部をさらに備え、前記プラズマ源は、前記基板の回転にとっての半径方向において揺動可能に構成されている。
【0017】
第11態様は、第9態様の基板処理装置であって、前記基板の回転を得るために前記保持部を回転させる回転駆動部をさらに備え、前記プラズマ源は、前記基板の半径方向の位置の全体にわたって延在する前記プラズマを発生させる。
【0018】
第12態様は、第9から第11のいずれかの態様の基板処理装置であって、前記プラズマ源は、ガスの供給を受けるガス入口と前記基板の方を向くように配置されたガス出口とを有する配管と、前記配管中に配置された第1電極と、前記配管外に配置された第2電極と、を含む。
【0019】
第13態様は、第12態様の基板処理装置であって、前記第2電極は、前記基板上へ供給される前記処理液の経路から離れている。
【0020】
第14態様は、第12態様の基板処理装置であって、前記第2電極は、前記基板上へ供給される前記処理液の経路に接している。
【0021】
第15態様は、第9から第11のいずれかの態様の基板処理装置であって、前記プラズマ源は、前記液膜の方を向く第1面と前記第1面と反対の第2面とを有する誘電体層と、前記液膜から離れて前記第1面上に配置された第1電極と、前記第2面上に配置された第2電極と、を含む。
【発明の効果】
【0022】
第1態様によれば、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液の液膜へプラズマが照射される。これにより、液膜中に、強い酸化力を有するラジカルが発生する。よって、処理液の酸化力を用いた基板処理を効果的に行うことができる。
【0023】
第2態様によれば、周方向において部分的に配置されたプラズマが用いられる。これにより、周方向において部分的にしか配置されないプラズマを用いつつ、基板の回転にともなって、周方向全体においてプラズマを照射することができる。
【0024】
第3態様によれば、半径方向においてプラズマの位置が揺動させられる。これにより、半径方向において部分的にしか配置されないプラズマを用いつつも、プラズマの揺動と基板の回転とにともなって、広範囲においてプラズマを照射することができる。
【0025】
第4態様によれば、半径方向の位置の全体にわたって延在するプラズマが用いられる。これにより、半径方向においてプラズマの位置を揺動させなくても、基板の回転にともなって、基板の全体に対してプラズマを照射することができる。
【0026】
第5態様によれば、基板へプラズマジェットが吹き付けられる。これにより、プラズマジェットによる基板処理を行うことができる。
【0027】
第6態様によれば、プラズマ中の雰囲気が静的に保たれる。これにより、雰囲気の流れによって液膜が乱されることが避けられる。
【0028】
第7態様によれば、処理液が供給されつつプラズマが照射される。これにより、プラズマ照射中に処理液が置換される。よって、処理液の劣化に起因しての処理効果の低減を抑えることができる。
【0029】
第8態様によれば、処理液の供給が停止された後にプラズマが照射される。これにより、処理液の消費量を抑えることができる。
【0030】
第9態様によれば、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液の液膜へプラズマが照射される。これにより、液膜中に、強い酸化力を有するラジカルが発生する。よって、処理液の酸化力を用いた基板処理を効果的に行うことができる。
【0031】
第10態様によれば、半径方向においてプラズマの位置が揺動させられる。これにより、半径方向において部分的にしか配置されないプラズマを用いつつも、プラズマの揺動と基板の回転とにともなって、広範囲においてプラズマを照射することができる。
【0032】
第11態様によれば、半径方向の位置の全体にわたって延在するプラズマが用いられる。これにより、半径方向においてプラズマの位置を揺動させなくても、基板の回転にともなって、基板の全体に対してプラズマを照射することができる。
【0033】
第12態様によれば、プラズマ源は、ガスの配管中に配置された第1電極と、配管外に配置された第2電極とを含む。これにより、配管から噴射されるガスを用いたプラズマジェットを生成することができる。
【0034】
第13態様によれば、第2電極は、基板上へ供給される処理液の経路から離れている。これにより、第1電極および第2電極を処理液に接触させることなく、プラズマを生成することができる。
【0035】
第14態様によれば、第2電極は、基板上へ供給される処理液の経路に接している。これにより、第1電極から処理液の液膜へ延びるプラズマを生成することができる。
【0036】
第15態様によれば、プラズマ源は、液膜の方を向く第1面と第1面と反対の第2面とを有する誘電体層と、液膜から離れて第1面上に配置された第1電極と、第2面上に配置された第2電極と、を含む。これにより、プラズマ中の雰囲気を静的に保ちつつプラズマを発生することができる。よって、雰囲気の流れによって液膜が乱されることが避けられる。よって、液膜の乱れに起因して基板処理が乱されることが避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施の形態1における基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の基板処理システムに含まれる制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態1における基板処理装置の構成を概略的に示す側面図である。
【
図4】
図1の基板処理装置が有する液供給部およびプラズマ源の配置を概略的に説明する平面図である。
【
図5】
図4の線V-Vに沿う概略的な部分断面図である。
【
図6】
図5の線VI-VIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2における基板処理装置の構成を、
図5に対応する視野で概略的に示す部分断面図である。
【
図8】
図7の線VIII-VIIIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態3における基板処理装置が有する液供給部およびプラズマ源の配置を概略的に説明する平面図である。
【
図10】
図9の線X-Xに沿う概略的な部分断面図である。
【
図11】
図10の線XI-XIに沿う概略的な部分断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態4における基板処理装置の構成を、
図5に対応する視野で概略的に示す部分断面図である。
【
図13】
図12の線XIII-XIIIに沿う概略的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0039】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1における基板処理システム100の構成の例を概略的に示す平面図である。基板処理システム100は、ロードポートLPと、インデクサロボットIRと、センターロボットCRと、制御部90と、少なくとも1つの処理ユニットUT(
図1においては4つの処理ユニット)とを含む。複数の処理ユニットUTは、基板SB(ウエハ)を処理するためのものであり、そのうちの少なくとも1つが、詳しくは後述する基板処理装置101に対応する。基板処理装置101は、基板処理に用いることができる枚葉式の装置であり、具体的には、基板SBに付着した有機物を除去する処理に用いることができる枚葉式の装置である。この有機物は、典型的には、使用済のレジスト膜である。このレジスト膜は、例えば、イオン注入工程用の注入マスクとして用いられたものである。基板処理装置101は、チャンバ80を有していてよい。その場合、チャンバ80内の雰囲気を制御することによって、所望の雰囲気中での基板処理を行うことができる。
【0040】
制御部90は、基板処理システム100に備えられた各部の動作を制御することができる。キャリアCの各々は、基板SBを収容する収容器である。ロードポートLPは、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボットIRは、ロードポートLPと基板載置部PSとの間で基板SBを搬送することができる。センターロボットCRは、基板載置部PSおよび少なくとも1つの処理ユニットUTのいずれかひとつから他のひとつへと基板SBを搬送することができる。以上の構成により、インデクサロボットIR、基板載置部PSおよびセンターロボットCRは、処理ユニットUTの各々とロードポートLPとの間で基板SBを搬送する搬送機構として機能する。
【0041】
未処理の基板SBはキャリアCからインデクサロボットIRによって取り出され、基板載置部PSを介してセンターロボットCRに受け渡される。センターロボットCRはこの未処理の基板SBを処理ユニットUTに搬入する。処理ユニットUTは基板SBに対して処理を行う。処理済みの基板SBはセンターロボットCRによって処理ユニットUTから取り出され、必要に応じて他の処理ユニットUTを経由した後、基板載置部PSを介してインデクサロボットIRに受け渡される。インデクサロボットIRは処理済みの基板SBをキャリアCに搬入する。以上により、基板SBに対する処理が行われる。
【0042】
図2は、制御部90(
図1)の構成を概略的に示すブロック図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、記憶装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互接続するバスライン95とを有している。
【0043】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置等の不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネル等により構成されており、オペレータから処理レシピ等の入力設定指示を受ける。表示部97は、例えば液晶表示装置およびランプ等により構成されており、CPU91による制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、LAN(Local Area Network)等を介してのデータ通信機能を有している。記憶装置94には、基板処理システム(
図1)を構成する各装置の制御についての複数のモードが予め設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記複数のモードのうちの1つのモードが選択され、該モードによって各装置が制御される。また、処理プログラム94Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要は無く、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0044】
図3は、本実施の形態1における基板処理装置101の構成を概略的に示す側面図である。
図4は、基板処理装置101が有する液供給部20およびプラズマ源30の配置を概略的に説明する平面図である。
図5は、
図4の線V-Vに沿う概略的な部分断面図である。
図6は、
図5の線VI-VIに沿う概略的な部分断面図である。基板処理装置101は、処理液を用いて基板SBを処理するためのものである。具体的には、基板処理装置101は、処理液を用いて基板SBからレジスト膜(図示せず)を除去するためのものである。
【0045】
図3以降の各図において示されている構成は、チャンバ80(
図1)に囲まれていてよい。チャンバ80内の圧力は、おおよそ大気圧(例えば、0.5気圧以上、2気圧以下)であってよい。言い換えれば、後述するプラズマ源の各々は、大気圧プラズマ源であってよい。チャンバ80内の雰囲気は、例えば、空気または不活性ガスである。空気の場合、特別なガスを要しないのでプロセスコストを低減することができる。不活性ガスの場合、ガス中での酸素原子(特に酸素ラジカル)が基板処理へ悪影響を及ぼすことが避けられる。不活性ガスは、例えば、窒素ガスまたは希ガスである。希ガスは、例えば、アルゴンガスである。
【0046】
基板処理装置101は、基板ホルダ10(保持部)と、液ノズル20(液供給部)と、液送出部29と、プラズマ源30と、ガス送出部39と、交流電源40(電源)とを有している。基板ホルダ10は基板SBを保持する。液送出部29は液ノズル20へ処理液を送出する。処理液は、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む液、または過酸化水素を含む液であり、好ましくは硫酸を含む液である。処理液は、典型的には水溶液である。液ノズル20は、基板SB上に処理液の液膜LQが形成されるように、基板SB上へ処理液を供給する。ガス送出部39は、プラズマ源30へガスを送出する。このガスは、例えば、H2、O2、N2、ArまたはHeの少なくともいずれかを含むものである。例えば、ガスがO2を含む場合は、酸素プラズマを発生させることができる。プラズマ源30は液膜LQへプラズマPLを照射する。
【0047】
また基板処理装置101は、軸体11と、回転モータ12(回転駆動部)とを有している。軸体11は基板ホルダ10の中心に取り付けられている。回転モータ12は軸体を回転させる。この構成により、基板ホルダ10を回転させることができ、よって基板SBの回転を得ることができる。
【0048】
また基板処理装置は、アーム51と、軸体52と、角度アクチュエータ53(スキャン駆動部)とを有している。角度アクチュエータ53は軸体52の軸周りの角度を調整する。アーム51の一方端は軸体52に固定されており、アーム51の他方端は軸体52の軸から離れて配置されている。この他方端にプラズマ源30が取り付けられていることによって、プラズマ源30は、基板SBの回転にとっての半径方向DR(
図4)において、矢印DS(
図4)に示すように、揺動可能に構成されている。なお、揺動によるプラズマ源30の移動方向は、半径方向DRにおける成分を有していればよく、半径方向DRに厳密に平行である必要はない。
【0049】
本実施の形態においては、プラズマ源30と液ノズル20とが互いに固定されている。これにより、プラズマ源30の揺動と連動して液ノズル20も揺動する。なお変形例として、液ノズル20の位置が固定されていてもよく、あるいは、プラズマ源30のための上述した揺動機構とは別に、液ノズル20のための揺動機構が別途設けられていてもよい。
【0050】
プラズマ源30は、配管33と、第1電極31と、第2電極32とを有している。またプラズマ源30は、絶縁被覆部36を有していることが好ましい。配管33は、ガス送出部39からガスの供給を受けるガス入口(
図5における上側)と、基板SBの方を向くように配置されたガス出口(
図5における下側)とを有している。第1電極31は、少なくともその一部が配管33中に配置されている。
図5に示されているように、第1電極31は、ガス入口から突出していてよい。一方、第1電極31は、ガス出口からは突出していないことが好ましい。言い換えれば、第1電極31は、ガス出口よりも上方に配置されていることが好ましい。第2電極32は配管33外に配置されている。また第2電極32は、基板SB上へ供給される処理液の経路から離れている。具体的には、第2電極32は、配管33の側面上に取り付けられており、配管33と、配管33の内部空間と、絶縁被覆部36とを介して、第1電極31に対向している。絶縁被覆部36は、プラズマPLが発生することになる空間と第1電極31との間を隔てるように第1電極31を被覆している。
【0051】
交流電源40は、第1電極31と第2電極32との間に交流電圧を印加する。その場合、第2電極32の電位が基準電位とされてよい。変形例として、交流電源40に代わって直流パルス電源が用いられてもよい。その場合、例えば、第1電極31が陽極とされ、第2電極32が陰極とされる。
【0052】
次に、基板処理装置101を用いた基板処理方法について、以下に説明する。
【0053】
基板ホルダ10が基板SBを保持する。基板ホルダ10の回転によって、基板SBが回転させられる。液送出部29が液ノズル20へ処理液を送出する。これにより液ノズル20から基板SB上へ処理液が吐出される。その結果、基板SB上に処理液の液膜LQが形成される。ここで、液膜LQの厚みは、0.3~2.0mmの範囲が好ましく、1mm程度がより好ましい。
【0054】
ガス送出部39がプラズマ源30の配管33中へ、
図5の矢印に示すように、ガスを送出し、また、交流電源40が第1電極31と第2電極
32との間に交流電圧を印加する。これによりプラズマ源30がプラズマPLを生成する。プラズマPLは、配管33のガス出口から液膜LQへと、ガスの流れと共に延びる。これにより液膜LQへプラズマPLが照射される。言い換えれば、基板SBへプラズマジェットが吹き付けられる。
【0055】
上記照射は、基板SBの回転をともないながら、基板SBの回転にとっての周方向DP(
図4)において部分的に配置されたプラズマPLを用いて行われる。また上記照射は、基板SBの回転にとっての半径方向DR(
図4)においてプラズマPLの位置を揺動させながら行われる。
【0056】
上記液膜LQの形成は、基板SB上への処理液の供給を開始することによって開始され、基板SB上への処理液の供給を停止することによって停止される。なお、処理液の供給を停止した後も、基板SBが高速回転していなければ、液膜LQの存在は維持され得る。プラズマPLの照射は、処理液の供給を開始した後かつ処理液の供給を停止する前に行われる。これにより、処理液を供給しつつプラズマPLを照射する工程が行われる。
【0057】
プラズマPLの照射を受けて、液膜LQ中でラジカルが生成される。このラジカルの酸化力によって、基板SBへの処理が促進される。具体的には、基板SBからのレジスト膜(図示せず)の除去が促進される。
【0058】
なお上記基板処理の後、通常は、基板SBのリンス工程および乾燥工程が行われる。例えば、リンス工程は、基板SBへ純水を吐出することによって行われ、乾燥工程はイソプロピルアルコール(IPA)乾燥によって行わる。
【0059】
本実施の形態によれば、硫酸、硫酸塩、ペルオキソ硫酸およびペルオキソ硫酸塩の少なくともいずれかを含む処理液または過酸化水素を含む処理液の液膜LQへプラズマPL(
図5)が照射される。これにより、液膜LQ中に、強い酸化力を有するラジカルが発生する。よって、処理液の酸化力を用いた基板処理を効果的に行うことができる。具体的には、基板SBからレジスト膜を効果的に除去することができる。
【0060】
処理液は硫酸を含有していることが好ましい。この場合、硫酸へのプラズマ照射によってペルオキソ一硫酸(カロ酸)を生成することができる。この生成は、プラズマ照射を用いることによって、過酸化水素を用いることなく行われてよい。その場合、排液処理の負担を軽減したり、硫酸のリサイクルを容易としたりすることができる。ここで、硫酸を含有する処理液を用いる場合、硫酸の濃度は、94~98%の範囲が好ましく、96%程度がより好ましい。
【0061】
プラズマPL(
図5)は、周方向DP(
図4)において部分的に配置される。このように周方向DPにおいて部分的にしか配置されないプラズマPLを用いつつも、基板SBの回転にともなって、周方向DP全体においてプラズマPLを照射することができる。
【0062】
半径方向DR(
図4)において、プラズマ源30の位置、すなわちプラズマPL(
図5)の位置、が揺動させられる。これにより、半径方向DRにおいて部分的にしか配置されないプラズマPLを用いつつも、プラズマPLの揺動と基板SBの回転とにともなって、広範囲においてプラズマPLを照射することができる。
【0063】
プラズマPLの照射中、処理液が供給される。これにより、プラズマPLの照射中に処理液が置換される。よって、処理液の劣化に起因しての処理効果の低減を抑えることができる。
【0064】
プラズマPLの照射は、基板SBへのプラズマジェットの吹き付けとして行われる。すなわち、プラズマジェットによる基板処理を行うことができる。
【0065】
プラズマ源30は、ガスの配管33中に配置された第1電極31と、配管33外に配置された第2電極32とを含む。これにより、配管33から噴射されるガスを用いたプラズマジェットを生成することができる。
【0066】
第2電極32は、基板SB上へ供給される処理液の経路から離れている。これにより、第1電極31および第2電極32のいずれも処理液に接触させることなく、プラズマPLを生成することができる。
【0067】
なお、液膜LQの形成は、基板SB上への処理液の供給を開始することによって開始され、基板SB上への処理液の供給を停止することによって停止される。処理液の供給を停止した後も、基板SBが高速回転していなければ、液膜LQの存在は維持され得る。その場合、プラズマPLの照射は、処理液の供給を停止した後に行われてもよい。これにより、基板SB上へ処理液を追加することなくプラズマPLが照射される。よって、処理液の消費量を抑えることができる。
【0068】
変形例として、プラズマPLの照射中、基板SBが回転させられることなく停止させられていてよい。その場合、プラズマ源30は、揺動方向(
図4における矢印DS)に交差する方向において大きなサイズを有していることが好ましい。それにより、基板SBが回転させられなくても、プラズマ源30の揺動によって、基板SB上の広範囲へプラズマPLを照射することができる。この場合、基板SBを回転させるための機構は省略されていてよい。
【0069】
<実施の形態2>
図7は、本実施の形態2における基板処理装置102の構成を、
図5に対応する視野で概略的に示す部分断面図である。
図8は、
図7の線VIII-VIIIに沿う概略的な部分断面図である。基板処理装置102は、プラズマ源30(
図5および
図6:実施の形態1)に代わって、プラズマ源30Aを有している。
【0070】
プラズマ源30Aは、第1電極31Aおよび第2電極32Aを有している。またプラズマ源30Aは、絶縁被覆部36Aを有していることが好ましい。第1電極31Aおよび絶縁被覆部36Aの配置は第1電極31および絶縁被覆部36(
図5および
図6:実施の形態1)と同様であってよい。ただし第1電極31Aの、液膜LQに面する面は、広い面積を有していることが好ましい。このように広い面積を確保するために、ガスの流れ方向に垂直な配管33の断面(
図8の視野での面積)において、第1電極31Aの面積は、配管33の内部空間の面積の半分以上であってよい。第2電極32Aは、配管33外に配置されており、基板SB上へ供給される処理液の経路に接している。具体的には、第2電極32Aは、少なくともその一部が液ノズル20中に配置されている。
図7に示されているように、第2電極32Aは、液ノズル20の液入口から突出していてよい。
【0071】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0072】
本実施の形態によれば、第2電極32Aは、基板SB上へ供給される処理液の経路に接している。これにより、第1電極31Aから処理液の液膜LQへ延びるプラズマPLを生成することができる。
【0073】
<実施の形態3>
図9は、本実施の形態3における基板処理装置103が有する液ノズル20Bおよびプラズマ源30Bの配置を概略的に説明する平面図である。液ノズル20Bおよびプラズマ源30Bのそれぞれは、液ノズル20およびプラズマ源30A(
図7および
図8:実施の形態2)に代わって基板処理装置103に設けられているものである。
図10は、
図9の線X-Xに沿う概略的な部分断面図である。
図11は、
図10の線XI-XIに沿う概略的な部分断面図である。
【0074】
プラズマ源30Bは、配管33Bと、第1電極31Bと、第2電極32Bとを有している。またプラズマ源30Bは、絶縁被覆部36Bを有していることが好ましい。第2電極32Bは、第2電極32A(
図7および
図8:実施の形態2)と同様、少なくともその一部が液ノズル20B中に配置されている。絶縁被覆部36Bは、プラズマPLが発生することになる空間と第1電極31Bとの間を隔てるように第
1電極3
1Bを被覆している。
【0075】
プラズマ源30Bは、基板SBの半径方向DR(
図9)の位置の全体にわたって延在するプラズマPL(
図10)を発生させることができるように構成されている。その目的で、
図9に示されているように、好ましくはプラズマ源30Bは基板SBの半径方向DR(
図9)の位置の全体にわたって延在しており、より好ましくは第1電極31Bが基板SBの半径方向DR(
図9)の位置の全体にわたって延在している。
【0076】
上記構成により、プラズマ源30Bは、基板SB(基板ホルダ10)の中央位置の上方に位置することになる。液ノズル20Bは、中央位置から外れて配置されつつ、その吐出口がこの中央位置の方を向く姿勢を有していることが好ましい。言い換えれば、吐出口が中央位置の方を向くように、液ノズル20Bの延在方向が傾斜されていることが好ましい。これにより、液ノズル20Bが中央位置に配置されていなくても、処理液を中央位置へ供給することができる。
【0077】
基板処理装置103を用いた基板処理方法におけるプラズマ照射は、基板SBの回転をともないながら、基板SBの半径方向DRの位置の全体にわたって延在するプラズマPLを用いて行われる。よって基板処理装置103は、実施の形態1において説明した、基板SBを回転させるための機構を有しているが、プラズマPLの揺動は行われず、よってそのための機構は省略されてよい。
【0078】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1または2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0079】
本実施の形態によれば、半径方向DR(
図9)の位置の全体にわたって延在するプラズマPL(
図10)が用いられる。これにより、半径方向DRにおいてプラズマPLの位置を揺動させなくても、基板SBの回転にともなって、基板SBの全体に対してプラズマPLを照射することができる。
【0080】
<実施の形態4>
図12は、本実施の形態4における基板処理装置104の構成を、
図5に対応する視野で概略的に示す部分断面図である。
図13は、
図12の線XIII-XIIIに沿う概略的な部分断面図である。
【0081】
基板処理装置104は、プラズマ源30(
図5および
図6:実施の形態1)に代わって、プラズマ源30Cを有している。プラズマ源30Cは、誘電体層33Cと、第1電極31Cと、第2電極32Cとを有している。またプラズマ源30
Cは、絶縁被覆部36Cおよび絶縁被覆部37Cを有していることが好ましい。誘電体層33Cは、液膜LQの方を向く下面F1(第1面)と、上面F2(第1面と反対の第2面)とを有している。第1電極31Cは、液膜LQから離れて下面F1上に配置されている。第2電極32Cは上面F2上に配置されている。第1電極31Cおよび第2電極32Cは、
図13に示されているように、誘電体層33Cに平行な平面レイアウトにおいて、互いに噛み合う1対の櫛歯電極であることが好ましい。絶縁被覆部36Cは、プラズマPLが発生することになる空間と第1電極31Cとの間を隔てるように第1電極31Cを被覆している。絶縁被覆部37Cは、プラズマPLが発生することになる空間と第2電極32Cとの間を隔てるように第2電極32Cを被覆している
【0082】
基板処理装置10
4を用いた基板処理方法におけるプラズマPLの生成は、プラズマ源30Cの周囲の雰囲気をプラズマ化することによって行われる。よって実施の形態においては、ガス送出部39(
図3:実施の形態1)は不要である。プラズマ源30Cの周囲の雰囲気は実質的に静的であってよい。なお、チャンバ80(
図1)中の雰囲気を緩やかに置換するためのわずかな流れは、前述した実施の形態1~3のようなプラズマジェットの生成のための流れに比して、はるかに小さい。よって、前者の流れに起因して静的状態がわずかに乱されている状態も、本明細書においては静的な状態とみなす。本実施の形態におけるプラズマPLの照射は、プラズマPL中の雰囲気を静的に保ちながら行われる。
【0083】
プラズマ源30Cは、プラズマ源30(
図4:実施の形態1)と同様に揺動される。この揺動と、基板SBの回転とが行われれることによって、基板SB上の広範囲へプラズマPLを照射することができる。第1の変形例として、プラズマ源30Cは、プラズマ源30B(
図9:実施の形態3)と同様に、基板SBの半径方向DRの位置の全体にわたって延在するプラズマPLを発生させるものであってもよい。その場合、好ましくはプラズマ源30Cは基板SBの半径方向DRの位置の全体にわたって延在している。本変形例においては、プラズマ源30Cの揺動は不要である。第2の変形例として、プラズマ源30Cは、基板SBの全面を実質的に覆うプラズマPLを発生させるものであってもよい。その場合、好ましくはプラズマ源30Cは基板SBの全面を実質的に覆っている。本変形例においては、プラズマ照射の観点では、基板SBの回転も不要である。ただし、液膜LQの形成の観点で基板SBが回転させられてもよい。なお、本実施の形態4における上記第1および第2の変形と同様にプラズマ源が大型化されることによって、前述した他の実施の形態においても、揺動の省略、または、揺動および回転の両方の省略が可能である。
【0084】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1~3のいずれかの構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0085】
本実施の形態によれば、プラズマPL中の雰囲気を静的に保ちつつプラズマPLを発生することができる。これにより、雰囲気の流れによって液膜LQが乱されることが避けられる。よって、液膜LQの乱れに起因して基板処理が乱されることが避けられる。
【0086】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0087】
10 :基板ホルダ(保持部)
11,52 :軸体
12 :回転モータ(回転駆動部)
20,20B :液ノズル(液供給部)
30,30A~30C:プラズマ源
31,31A~31C:第1電極
32,32A~32C:第2電極
33,33B :配管
33C :誘電体層
39 :ガス送出部
40 :交流電源(電源)
50 :スキャン機構
51 :アーム
53 :角度アクチュエータ(スキャン駆動部)
80 :チャンバ
100 :基板処理システム
101~104 :基板処理装置
C :キャリア
CR :センターロボット
DP :周方向
DR :半径方向
F1 :下面(第1面)
F2 :上面(第2面)
IR :インデクサロボット
LQ :液膜
PL :プラズマ
PS :基板載置部
SB :基板
UT :処理ユニット