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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】点火プラグ
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/54 20060101AFI20230831BHJP
   H01T 13/20 20060101ALI20230831BHJP
   H01T 13/52 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H01T13/54
H01T13/20 B
H01T13/52
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019205759
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021077603
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重永 真宏
(72)【発明者】
【氏名】青木 文明
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 明光
(72)【発明者】
【氏名】嶋本 大祐
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04892070(US,A)
【文献】米国特許第04930473(US,A)
【文献】特表2013-503447(JP,A)
【文献】特開昭55-142931(JP,A)
【文献】特開2009-270539(JP,A)
【文献】実開昭55-051831(JP,U)
【文献】特開2014-132535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 - 23/00
F02B 1/00 - 23/10
F02P 1/00 - 3/12
F02P 7/00 - 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ軸方向先端側に副室(2)を有する点火プラグ(1)であって、
上記副室を形成する副室形成部(30)と、
上記副室形成部を貫通して形成されて上記副室を主燃焼室(3)に連通させる複数の噴孔(35)と、
上記副室内に先端部(11)が位置する中心電極(10)と、
を備え、
上記副室は、第1領域(21)と、該第1領域よりもプラグ軸方向基端側(Y2)に位置するとともに上記第1領域よりもプラグ径方向に拡大した第2領域(22)とを含み、
上記副室形成部は、上記第1領域を形成する第1形成部(31)と、上記第2領域を形成する第2形成部(32)とを含み、
上記複数の噴孔は、上記第1形成部において、プラグ軸方向から見て放射状に広がる放射仮想線(P1~P6)に対して所定の角度で傾斜した仮想線(L~L6)に沿って形成されており、
上記第2形成部(32)と上記中心電極の先端部との間に、火花放電が生じるように構成された火花ギャップ(G)が形成されており、
上記中心電極を内側に保持するとともに、上記先端部を上記副室内に露出させる筒状の絶縁碍子(50)を備え、
上記絶縁碍子のプラグ軸方向先端側の端部(51)には、上記火花放電の少なくとも一部を上記中心電極の先端部から上記第2形成部の内周面に向けて沿面放電させる沿面経路を形成するように構成されている、点火プラグ。
【請求項2】
上記副室は、上記第1領域と上記第2領域との間に両者をつなぐ第3領域(23)を有し、
上記副室形成部は、上記第3領域を形成する第3形成部(33)を含み、
該第3形成部の内周面(33a)は段差部を有する、請求項に記載の点火プラグ。
【請求項3】
上記副室は、上記第1領域と上記第2領域との間に両者をつなぐ第3領域(23)を有し、
上記副室形成部は、上記第3領域を形成する第3形成部(33)を含み、
該第3形成部の内周面(33a)は、上記第1形成部の内周面(31a)と上記第2形成部の内周面(32a)とに滑らかに連続するようにプラグ軸方向において徐変している、請求項1又は2に記載の点火プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点火プラグとして、主燃焼室と連通する噴孔を有する副室を備え、噴孔を介して副室内に混合気を流入させて、副室内で生じた火炎を噴孔から主燃焼室内に噴出させるものがある。例えば、特許文献1には、複数の噴孔を備えており、それぞれの噴孔の中心軸は、点火プラグの軸方向から見て各噴孔とプラグ中心軸とを結ぶ直線に対して、同一方向に一定角度ずれて設定されている。かかる噴孔を介して混合気が副室内に流入することにより、副室内での混合気の流れを同一方向の渦流として形成できるため、副室のプラグ中心軸上に設定された放電ギャップ付近に未燃焼残留ガスがそのまま残ることを防止して、火炎形成の安定化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-270539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、混合気の流入により生じる渦流は副室の内側壁面上で流速が早くなっており、点火位置となる副室の中心位置では流速が低下している。そのため、ガス流の横渦を利用して、点火位置で形成された火花放電を拡大することが困難であった。そのため、着火性を向上させるには改善の余地がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、着火性の向上が図られる点火プラグを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、プラグ軸方向先端側に副室(2)を有する点火プラグ(1)であって、
上記副室を形成する副室形成部(30)と、
上記副室形成部を貫通して形成されて上記副室を主燃焼室(3)に連通させる複数の噴孔(35)と、
上記副室内に先端部(11)が位置する中心電極(10)と、
を備え、
上記副室は、第1領域(21)と、該第1領域よりもプラグ軸方向基端側(Y2)に位置するとともに上記第1領域よりもプラグ径方向に拡大した第2領域(22)とを含み、
上記副室形成部は、上記第1領域を形成する第1形成部(31)と、上記第2領域を形成する第2形成部(32)とを含み、
上記複数の噴孔は、上記第1形成部において、プラグ軸方向から見て放射状に広がる放射仮想線(P1~P6)に対して所定の角度で傾斜した仮想線(L~L6)に沿って形成されており、
上記第2形成部(32)と上記中心電極の先端部との間に、火花放電が生じるように構成された火花ギャップ(G)が形成されており、
上記中心電極を内側に保持するとともに、上記先端部を上記副室内に露出させる筒状の絶縁碍子(50)を備え、
上記絶縁碍子のプラグ軸方向先端側の端部(51)には、上記火花放電の少なくとも一部を上記中心電極の先端部から上記第2形成部の内周面に向けて沿面放電させる沿面経路を形成するように構成されている、点火プラグにある。
【発明の効果】
【0007】
上記点火プラグでは、副室においてプラグ軸心を回転中心として生じる横渦は、プラグ径方向において副室を形成する壁の内周面に近い位置ほど流速が早くなる。そして、当該副室を形成する副室形成部と中心電極の先端部との間に火花ギャップが形成されているため、火花ギャップに形成された放電が横渦の流れに沿って副室内に伸長しやすくなっている。これにより、副室内における混合気への着火性が向上する。
【0008】
さらに、火花放電によって副室の内周面側に初期火炎が発生すると、熱膨張により相対的に副室の中心側が低圧状態となって初期火炎が副室の中心側に移動する熱混合効果が生じる。そして、火花ギャップが設けられた第2領域は拡径しているため、熱混合効果により初期火炎を副室の内周面から離しやすくなっている。これにより、初期火炎の熱損失、いわゆる冷損を低減することができる。その結果、副室内の火炎成長が促されて噴孔から主燃焼室に火炎を噴出させやすくなり、主燃焼室における着火性の向上が図られる。
【0009】
以上のごとく、上記態様によれば、着火性の向上が図られる点火プラグを提供することができる。
【0010】
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1における、点火プラグの側面図。
図2図1における、II-II線位置断面一部拡大図。
図3】実施形態1における、点火プラグの底面図。
図4図1における、VI-VI線位置断面図。
図5】実施形態1における、点火プラグの使用態様を説明する概念図。
図6】実施形態2における、図1のII-II線位置相当断面一部拡大図。
図7】実施形態3における、図1のII-II線位置相当断面一部拡大図。
図8】実施形態4における、図1のII-II線位置相当断面一部拡大図。
図9】実施形態5における、図1のII-II線位置相当断面一部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
点火プラグの実施形態について、図1図5を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態の点火プラグ1は、プラグ軸方向先端側Y1に副室2を有する。
そして、点火プラグ1は、副室形成部30、噴孔35、中心電極10を備える。
副室形成部30は副室2を形成している。
噴孔35は複数備えられ、副室形成部30を貫通して形成されて副室2を主燃焼室3に連通させる。
中心電極10は、副室2内に先端部11が位置している。
副室2は第1領域21と、第1領域21よりもプラグ軸方向基端側Y2に位置するとともに第1領域21よりもプラグ径方向Xに拡大した第2領域22とを含む。
副室形成部30は、第1領域21を形成する第1形成部31と、第2領域22を形成する第2形成部32とを含む。
図2に示すように、複数の噴孔35は、第1形成部31において、プラグ軸方向Yから見て放射状に広がる放射仮想線P1~P6に対して所定の角度で傾斜した仮想線L1~L6に沿って形成されている。
そして、第2形成部32と中心電極10の先端部11との間に、火花放電が生じるように構成された火花ギャップGが形成されている。
【0013】
以下、本実施形態の点火プラグ1について、詳述する。
図1に示すように、本実施形態の点火プラグ1は、先端が内燃機関の主燃焼室3に露出するように内燃機関のシリンダヘッド101に取り付けられる。図2に示すように、点火プラグ1は、プラグ軸方向Yを長手方向とする筒状のハウジング40を有する。ハウジング40内にはハウジング40と同軸上に筒状の絶縁碍子50が配置されている。ハウジング40のプラグ軸方向先端側Y1には副室2を形成する副室形成部30が設けられている。絶縁碍子50の内側には絶縁碍子50と同軸上に中心電極10が配置されている。中心電極10のプラグ軸方向先端側Y1の先端部11は、副室2内に露出している。
【0014】
図2に示すように、副室2は第1領域21、第2領域22を含む。第1領域21はプラグ軸方向先端側Y1に位置し、第2領域22は第1領域21よりもプラグ軸方向基端側Y2に位置する。本実施形態では、副室2は第1領域21と第2領域22との間に両者に連続する第3領域23を有する。そして、副室2を形成する副室形成部30は、第1領域21を形成する第1形成部31と、第2領域22を形成する第2形成部32と、第1領域21と第2領域22とを連続させる第3領域を形成する第3形成部33を有する。
【0015】
図2に示すように、本実施形態では第1形成部31が有底の円筒形状を有し、第2形成部32は円筒形状を有する。そして、第2形成部32の内径D2は、第1形成部31の内径D1よりも大きくなっている。内径D1、D2の比D2/D1は、限定されないが、例えば、1.01≦D2/D1≦1.5とすることができ、好ましくは、1.01≦D2/D1≦1.2とすることができる。なお、第1形成部31の外径と第2形成部32の外径とは実質的に互いに一致しており、第2形成部32の肉厚T2は、第1形成部31の肉厚T1よりも小さくなっている。
【0016】
図2に示すように、第3形成部33の内周面33aは、第1形成部31から第2形成部32に向かうにつれて拡径するように徐変する傾斜面からなる段差部を形成している。そして、本実施形態では、内周面33aは、第1領域21を形成する内周面31aと第2領域22を形成する内周面32aとに滑らかに連続するようにプラグ軸方向において徐変している。第3形成部33の外径は、第1形成部31及び第2形成部32の外径に一致している。なお、本実施形態では、ハウジング40と副室形成部30とは別体となっているが、両者が一体品であってもよい。また、副室形成部30を主燃焼室3を形成するシリンダヘッドと一体で形成してもよい。
【0017】
第1形成部31、第2形成部32及び第3形成部33のプラグ軸方向Yの大きさは特に限定されず、副室2の形状や第1領域21及び第2領域22の容積を考慮して適宜決定することができる。本実施形態では、第1形成部31のプラグ軸方向Yの大きさ、すなわち、高さH1は、第2形成部32のプラグ軸方向Yの高さH2と同等となっている。また、第3形成部33のプラグ軸方向Yの高さを実質的にゼロにして内周面33aの段差部を直角の形状にして、副室形成部30において、第3形成部33を第1形成部31と第2形成部32との境界線としてもよい。
【0018】
図2に示すように、中心電極10におけるプラグ軸方向先端側Y1の先端部11は、副室形成部30の第2形成部32の内周面32aに向けて、プラグ径方向Xに平行に突出している。突出方向の先端面11aは、内周面32aに設けられた接地電極パッド321と所定距離をおいて対向している。そして、先端面11aと接地電極パッド321との間に火花ギャップGが形成されている。中心電極10に所定の電圧が印加されることにより、火花ギャップGにおいて気中放電により火花が発生するように構成されている。
【0019】
図2図4に示すように、副室形成部30の第1形成部31には、副室2を主燃焼室3に連通させる複数の噴孔35が、副室形成部30を貫通して形成されている。本実施形態では、複数の噴孔35は、副室形成部30のプラグ軸方向先端側Y1に形成されている。本実施形態では、図3図4に示すように、複数の噴孔35は、第1噴孔351、第2噴孔352、第3噴孔353、第4噴孔354、第5噴孔355及び第6噴孔356を含む。各噴孔351~356はそれぞれ、仮想線L1~L6に沿って形成されている。すなわち、仮想線L1~L6はそれぞれ噴孔351~356の中心を通る直線となっている。
【0020】
図3に示すように、仮想線L1~L6は、プラグ軸方向Yから見て中心電極10から放射状に広がる放射仮想線P1~P6に対して所定の傾斜角度αで傾斜している。本実施形態では、放射仮想線P1~P6は、図3に示すようにプラグ軸方向Yから見たときの中心電極10の中心位置と、副室形成部30の外周面30bにおける噴孔351~356の開口の中心位置とを通る仮想直線である。また、本実施形態では、仮想線L1~L6は放射仮想線P1~P6に対してそれぞれ周方向において同一側に傾斜しており、仮想線L1~L6と放射仮想線P1~P6とのなす角である傾斜角度αはいずれも同一の角度である。なお、当該傾斜角度αは特に限定されないが、10~80°、好ましくは30~60°とすることができる。
【0021】
次に、本実施形態の点火プラグ1における、火炎の伝播について説明する。
図5(a)に示すように、副室2には、主燃焼室3で発生するスワール流に起因して複数の噴孔35から混合気が流入してガス流Fが生じる。図3図4に示すように複数の噴孔35を構成する噴孔351~356はそれぞれ傾斜した仮想線L1~L6に沿って形成されているため、図5(a)に示すように、ガス流Fは副室2内において横渦を形成することとなる。そして、火花ギャップGに生じた火花放電により混合気に着火して初期火炎Sが形成され、初期火炎Sはガス流Fによって副室形成部30の内周面30aに沿って広がる。
【0022】
その後、図5(b)に示すように、熱混合効果によって、初期火炎Sは副室形成部30から離れて副室2の中心側へ移動する。そして、図5(c)に示すようにさらに火炎成長がなされる。そして、火炎が十分に成長すると噴孔35から火炎が噴出されることとなる。
【0023】
次に、本実施形態の点火プラグ1における作用効果について、詳述する。点火プラグ1では、副室2においてプラグ軸心10aを回転中心として生じる横渦は、プラグ径方向Xにおいて副室形成部30の内周面30aに近い位置ほど流速が速くなる。そして、副室2を形成する副室形成部30と中心電極10の先端部11との間に火花ギャップGが形成されているため、火花ギャップGに形成された放電が横渦の流れに沿って副室2内に伸長しやすくなっている。これにより、副室2内における混合気への着火性が向上する。
【0024】
さらに、火花放電によって副室2の内周面側に初期火炎Sが発生すると、熱膨張により相対的に副室2の中心側が低圧状態となって初期火炎Sが副室2の中心側に移動する熱混合効果が生じる。そして、火花ギャップGが設けられた第2領域22は拡径しているため、熱混合効果により初期火炎を副室2の内周面30aから離しやすくなっている。これにより、初期火炎Sの熱損失、いわゆる冷損を低減することができる。その結果、副室2内の火炎成長が促されて噴孔35から主燃焼室3に火炎を噴出させやすくなり、主燃焼室3における着火性の向上が図られる。
【0025】
また、本実施形態では、主燃焼室3内のスワール流を利用して、副室2内に横渦のガス流Fを生じさせて上述の如く主燃焼室3における着火性を向上させている。主燃焼室3内のタンブル流を利用する場合には、火花ギャップGを吸気弁側に位置するように点火プラグ1の位置や取り付け向きを調整する必要がある。しかしながら、本実施形態では、上述のようにスワール流を利用することができるため、かかる調整をする必要がなく、組付作業性の向上が図られる。また、燃焼サイクルにおいてスワール流はタンブル流に比べて長い期間存在するため、スワール流を利用することにより着火性の向上が一層期待できる。
【0026】
また、本実施形態では、中心電極10の先端部11は、第2領域22を形成する副室形成部30の内周面32aに向かって突出している。これにより、火花ギャップGを内周面32aに近い位置に形成することができ、火花ギャップGに生じた放電や初期火炎Sを副室2内の横渦によって拡大しやすくなっている。その結果、副室2内の混合気への着火性を向上することができる。
【0027】
また、本実施形態では、副室2は、第1領域21と第2領域22との間に両者をつなぐ第3領域23を有し、第3領域23を形成する第3形成部33の内周面33aが段差部を有している。これにより、第2領域22を第1領域21に対して確実に拡径することができ、その結果、副室2内の混合気への着火性を一層向上することができる。
【0028】
本実施形態では、第3形成部33の内周面33aは、第1形成部31の内周面31aと第2形成部32の内周面32aとに滑らかに連続するようにプラグ軸方向において徐変している。これにより副室2内に生じるガス流Fの流れが乱されることが抑制され、着火性の向上が図られる。
【0029】
なお、本実施形態では、図2に示すように、中心電極10の中心軸10aが、点火プラグ1の中心軸と一致しているが、これに替えて、中心電極10の中心軸10aが点火プラグ1の中心軸に対して偏心した位置にあってもよい。
【0030】
以上のごとく、本実施形態によれば、着火性の向上が図られる点火プラグ1を提供することができる。
【0031】
(実施形態2)
上述の実施形態1では図1に示すように中心電極10の先端部11は、プラグ径方向Xに平行に突出していたが、本実施形態2では図6に示すように、先端部11は先端に向かうほどプラグ軸方向先端側Y1に位置するように、プラグ軸方向先端側Y1に傾斜して突出している。この場合も、先端部11の先端面11aと内周面32aに設けられた接地電極パッド321の間に火花ギャップGが形成されている。
【0032】
なお、実施形態2においてその他の構成要素は実施形態1の場合と同様であり、実施形態1の場合と同一の符号を用いてその説明を省略する。本実施形態2においても実施形態1と同等の作用効果を奏する。
【0033】
(実施形態3)
上記実施形態1では、副室形成部30における第1形成部31を有底の円筒形状としたが、これに替えて、図7に示すように、第1形成部31をプラグ中心軸10aを中心としてプラグ軸方向基端側Y2に広がった部分円錐形状としてもよい。これにより、第1領域21はプラグ軸方向先端側Y1に向かうにつれて内径が小さくなっている。第1形成部31のプラグ軸方向基端側Y2の端部における内径は第2領域22の内径とほぼ同等となっている。そして、第3形成部33のプラグ軸方向Yの高さは実質的にゼロであって、副室2の第3領域23は第1形成部31と第2形成部32との境界線となっている。なお、本実施形態3におけるその他の構成について、実施形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。そして、本実施形態3においても、上記実施形態1の場合と同等の作用効果を奏する。
【0034】
(実施形態4)
本実施形態4の点火プラグ1では、図8に示すように、中心電極10の先端部11と、ハウジング40又は副室形成部30との間に生じる火花放電の少なくとも一部が、絶縁碍子50のプラグ軸方向先端側Y1の端部51を介した沿面放電Crを形成するように構成されている。かかる構成において、火花ギャップGは沿面放電Crの沿面経路を含む。なお、本実施形態4におけるその他の構成について、実施形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
本実施形態4の点火プラグ1では、副室2内に生じる火花放電が沿面放電Crを呈するが、この場合においても、副室2内の横渦の流れに乗って放電が副室2内に伸長しやすくなり、実施形態1の場合と同様の作用効果を生じる。
【0036】
(実施形態5)
本実施形態5では、図9に示すように副室形成部30を第1分割体301と第2分割体302との2部品からなる。第1分割体301と第2分割体302とはプラグ軸方向Yに互いに組付けられ、両者の接合部303において溶接されて副室形成部30が形成されている。これにより、副室形成部30は2部品からなるため、成形しやすくなっている。なお、本実施形態5におけるその他の構成について、実施形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。そして、本実施形態5においても実施形態1の場合と同様の作用効果を生じる。
【0037】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 点火プラグ
2 副室
3 主燃焼室
10 中心電極
11 先端部
21 第1領域
22 第2領域
23 第3領域
30 副室形成部
35、351~356 噴孔
Cr 沿面放電
G 火花ギャップ
L1~L6 仮想線
P1~P6 放射仮想線
S 初期火炎
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9