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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】駐車設備及び駐車設備の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
E04H6/18 601G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019208253
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021080719
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】巽 慎太郎
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特許第5457539(JP,B1)
【文献】特開2017-214799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機械式駐車装置が連立された駐車設備であって、
入庫時に入庫させる前記機械式駐車装置の号機番号を案内する入庫案内装置を備え、
前記入庫案内装置は、車両の出庫履歴を記憶する記憶部と、車両の入庫時に入庫対象車両を特定する車両判別部と、前記出庫履歴から前記入庫対象車両の次回の出庫予測時間を算出する演算部と、前記入庫対象車両の出庫予測時間が既入庫車両の出庫予測時間と重複しないように前記号機番号を決定する処理部と、決定した前記機械式駐車装置の号機番号を前記入庫対象車両に指示する指示部と、を備える、
ことを特徴とする駐車設備。
【請求項2】
前記演算部は、前記出庫予測時間を所定の幅を持った分単位で算出するように構成されている、請求項1に記載の駐車設備。
【請求項3】
前記記憶部は、車両の入庫履歴を記憶するように構成されており、前記演算部は、前記入庫履歴を参照して前記出庫予測時間を算出するように構成されている、請求項1に記載の駐車設備。
【請求項4】
前記処理部は、前記機械式駐車装置の稼働状況を確認し、稼働していない前記機械式駐車装置の中から前記号機番号を決定するように構成されている、請求項1に記載の駐車設備。
【請求項5】
前記演算部は、人工知能を用いたプログラムを含む、請求項1に記載の駐車設備。
【請求項6】
複数の機械式駐車装置が連立された駐車設備の制御方法であって、
車両の出庫履歴を記憶する出庫情報記憶工程と、
車両の入庫時に入庫対象車両を特定する車両判別工程と、
記憶した前記出庫履歴から前記入庫対象車両の次回の出庫予測時間を算出する出庫予測時間演算工程と、
前記入庫対象車両の出庫予測時間が既入庫車両の出庫予測時間と重複しないように前記機械式駐車装置の号機番号を決定する号機番号決定工程と、
決定した前記号機番号を前記入庫対象車両に指示する指示工程と、
を含むことを特徴とする駐車設備の制御方法。
【請求項7】
前記出庫予測時間は、所定の幅を持った分単位で算出される、請求項6に記載の駐車設備の制御方法。
【請求項8】
入庫予定の全ての車両の前記出庫予測時間を予備演算する予備演算工程と、重複する前記出庫予測時間の個数と前記機械式駐車装置の台数との関係に基づいて前記所定の幅を決定する解像度決定工程と、を含む請求項7に記載の駐車設備の制御方法。
【請求項9】
車両の入庫履歴を記憶する入庫情報記憶工程を含み、前記出庫予測時間は前記入庫履歴を参照して算出される、請求項6に記載の駐車設備の制御方法。
【請求項10】
前記号機番号決定工程の前に、前記機械式駐車装置の稼働状況を確認する確認工程を含み、前記号機番号は稼働していない前記機械式駐車装置の中から決定される、請求項6に記載の駐車設備の制御方法。
【請求項11】
前記出庫情報記憶工程~前記指示工程を含む制御方法は、出庫する車両が多い時刻帯にのみ用いられる、請求項6に記載の駐車設備の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車設備及び駐車設備の制御方法、特に、複数の機械式駐車装置が連立された駐車設備の出庫待ち時間を短縮することができる、駐車設備及び駐車設備の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
限られた敷地内にできるだけ多くの車両を駐車させるための駐車設備として、立体の機械式駐車装置が知られている。例えば、高層集合住宅や大型商業施設では、機械式駐車装置として、車両を載置したパレットを昇降させて昇降路の左右の棚に収容するエレベータ式駐車装置が広く普及している。
【0003】
また、利用者が多い駐車設備では、複数の機械式駐車装置が連立されていることが多い。かかる駐車設備では、一つの機械式駐車装置に同じ時間に出庫したい利用者が偏ると出庫待ち時間が発生することとなる。かかる出庫待ち時間を短縮する方法が既にいくつか提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、出庫予約車両を格納されていた駐車室から待機用駐車室へ事前に移載する方法が開示されている。また、特許文献2には、同一の立体駐車装置に出庫が連続せず、複数の立体駐車装置が交互に出庫を行うように、予約情報により示される予約の順番を入れ替える方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-360418号
【文献】特許第5457539号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、待機用駐車室を設置しなければならず、限られた空間に設置しなければならない駐車設備では駐車効率が低下してしまうという問題がある。また、特許文献2に記載された発明では、出庫の予約時間を入れ替える必要があることから、利用者が出庫したい時間に出庫することができず、実質的に出庫待ち時間が生じてしまうという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、駐車効率を低下させることなく出庫待ち時間を短縮することができる、駐車設備及び駐車設備の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、複数の機械式駐車装置が連立された駐車設備であって、入庫時に入庫させる前記機械式駐車装置の号機番号を案内する入庫案内装置を備え、前記入庫案内装置は、車両の出庫履歴を記憶する記憶部と、車両の入庫時に入庫対象車両を特定する車両判別部と、前記出庫履歴から前記入庫対象車両の次回の出庫予測時間を算出する演算部と、前記入庫対象車両の出庫予測時間が既入庫車両の出庫予測時間と重複しないように前記号機番号を決定する処理部と、決定した前記機械式駐車装置の号機番号を前記入庫対象車両に指示する指示部と、を備える、ことを特徴とする駐車設備が提供される。
【0009】
前記演算部は、前記出庫予測時間を所定の幅を持った分単位で算出するように構成されていてもよい。
【0010】
前記記憶部は、車両の入庫履歴を記憶するように構成されており、前記演算部は、前記入庫履歴を参照して前記出庫予測時間を算出するように構成されていてもよい。
【0011】
前記処理部は、前記機械式駐車装置の稼働状況を確認し、稼働していない前記機械式駐車装置の中から前記号機番号を決定するように構成されていてもよい。
【0012】
前記演算部は、人工知能を用いたプログラムを含んでいてもよい。
【0013】
また、本発明によれば、複数の機械式駐車装置が連立された駐車設備の制御方法であって、車両の出庫履歴を記憶する出庫情報記憶工程と、車両の入庫時に入庫対象車両を特定する車両判別工程と、記憶した前記出庫履歴から前記入庫対象車両の次回の出庫予測時間を算出する出庫予測時間演算工程と、前記入庫対象車両の出庫予測時間が既入庫車両の出庫予測時間と重複しないように前記機械式駐車装置の号機番号を決定する号機番号決定工程と、決定した前記号機番号を前記入庫対象車両に指示する指示工程と、を含むことを特徴とする駐車設備の制御方法が提供される。
【0014】
前記出庫予測時間は、所定の幅を持った分単位で算出されてもよい。
【0015】
前記駐車設備の制御方法は、入庫予定の車両の前記出庫予測時間を予備演算する予備演算工程と、重複する前記出庫予測時間の個数と前記機械式駐車装置の台数との関係に基づいて前記所定の幅を決定する解像度決定工程と、を含んでいてもよい。
【0016】
前記駐車設備の制御方法は、車両の入庫履歴を記憶する入庫情報記憶工程を含み、前記出庫予測時間は前記入庫履歴を参照して算出されてもよい。
【0017】
前記駐車設備の制御方法は、前記号機番号決定工程の前に、前記機械式駐車装置の稼働状況を確認する確認工程を含み、前記号機番号は稼働していない前記機械式駐車装置の中から決定されてもよい。
【0018】
前記出庫情報記憶工程~前記指示工程を含む制御方法は、出庫する車両が多い時刻帯にのみ用いられてもよい。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明に係る駐車設備及び駐車設備の制御方法によれば、入庫対象車両の次回の出庫予測時間を算出し、入庫させる機械式駐車装置の号機番号を決定するようにしたことから、同一の機械式駐車装置に同一の出庫時間の車両を入庫させることがなく、入庫車両を分散させることができ、出庫時における出庫待ち時間を短縮することができる。また、本発明によれば、待機用駐車室を設置する必要もないことから、駐車効率を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る駐車設備を示す全体構成図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る駐車設備の制御方法を示すフロー図である。
図3図2に示した制御方法を説明する概念図であり、(A)は出庫予測時間演算工程、(B)は号機番号決定工程、を示している。
図4】本発明の第二実施形態に係る駐車設備の制御方法を示すフロー図である。
図5図4に示した制御方法を説明する概念図であり、(A)は予備演算工程、(B)は解像度決定工程、を示している。
図6図4に示した制御方法における号機番号決定工程を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図1図6を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係る駐車設備を示す全体構成図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る駐車設備の制御方法を示すフロー図である。図3は、図2に示した制御方法を説明する概念図であり、(A)は出庫予測時間演算工程、(B)は号機番号決定工程、を示している。
【0022】
本発明の一実施形態に係る駐車設備1は、複数の機械式駐車装置2(一号機21~四号機24)が連立された駐車設備であって、入庫時に入庫させる機械式駐車装置2の号機番号を案内する入庫案内装置3を備え、入庫案内装置3は、車両の出庫履歴を記憶する記憶部31と、車両の入庫時に入庫対象車両4を特定する車両判別部32と、出庫履歴から入庫対象車両4の次回の出庫予測時間を算出する演算部33と、入庫対象車両4の出庫予測時間が既入庫車両の出庫予測時間と重複しないように機械式駐車装置2の号機番号を決定する処理部34と、決定した機械式駐車装置2の号機番号を入庫対象車両4に指示する指示部35と、を備えている。
【0023】
駐車設備1は、例えば、4台の機械式駐車装置2を備えている。機械式駐車装置2は、例えば、車両を載置したパレットを昇降させて昇降路の左右の棚に収容するエレベータ式駐車装置である。4台の機械式駐車装置2は、図の左から一号機21、二号機22、三号機23、四号機24の順に連立されているものとする。本明細書において、「号機番号」とは、一号機21~四号機24の番号を意味している。
【0024】
入庫案内装置3は、例えば、駐車設備1の出入口5の近傍に配置される。なお、指示部35のみを出入口5の近傍に配置し、記憶部31~処理部34の部分は出入口5から離れた位置にある機械室等に配置されていてもよい。また、入庫案内装置3は、いわゆるコンピュータ(電子計算機)によって構成される。入庫案内装置3は、例えば、図1に示したフロー図に基づいて処理を行う。
【0025】
図1に示した第一実施形態に係る駐車設備1の制御方法は、入庫していた車両が出庫する出庫工程Step1と、車両の出庫履歴を記憶する出庫情報記憶工程Step2と、入庫対象車両4が駐車設備1の出入口5で待機する入庫待機工程Step3と、入庫対象車両4を特定する車両判別工程Step4と、記憶した出庫履歴から入庫対象車両の次回の出庫予測時間を算出する出庫予測時間演算工程Step5と、機械式駐車装置2の稼働状況を確認する確認工程Step6と、入庫対象車両4の出庫予測時間が既入庫車両の出庫予測時間と重複しないように機械式駐車装置2の号機番号を決定する号機番号決定工程Step7と、決定した機械式駐車装置2の号機番号を入庫対象車両4に指示する指示工程Step8と、入庫対象車両4が指示された号機番号の機械式駐車装置2に入庫する入庫工程Step9と、車両の入庫履歴を記憶する入庫情報記憶工程Step10と、を備えている。
【0026】
例えば、高層集合住宅のような大規模マンションでは、駐車設備1の利用者が決まっていることから、車両にID番号を付与することによって車両を特定することができる。また、このような施設では、多くの車両が決まった時刻に入出庫することが多く、その履歴をデータとして記録することができる。
【0027】
出庫工程Step1は、ID番号が付与された車両が入庫していた機械式駐車装置2から駐車設備1の出入口5を通過して外部に出庫する工程である。
【0028】
出庫情報記憶工程Step2は、出庫した車両のID番号と出庫時間とを関連付けてデータを蓄積する工程である。かかる工程は、入庫案内装置3の記憶部31によって処理される。出庫時間は、出入口5を通過して時点で計測してもよいし、部屋やスマートフォンから入力された出庫予約時間で計測してもよい。また、蓄積されたデータには、月、日、曜日等のデータも含まれる。
【0029】
入庫待機工程Step3は、出庫していた車両が入庫するために駐車設備1の出入口5で待機する工程である。本実施形態では、この出入口5で待機している車両を入庫対象車両4と称している。
【0030】
車両判別工程Step4は、入庫対象車両4のID番号を特定する工程である。かかる工程は、入庫案内装置3の車両判別部32によって処理される。大規模マンションでは、一般に、契約車両を特定するためのシステムを導入していることから、車両判別部32は、備え付けのシステムを利用するように構成されていてもよい。なお、本制御方法を実施するために新たなID番号を付与するようにしてもよい。
【0031】
出庫予測時間演算工程Step5は、入庫対象車両4が入庫した後、次に出庫すると予測される出庫予測時間を算出する工程である。かかる工程は、入庫案内装置3の演算部33によって処理される。演算部33は、人工知能(AI)を用いたプログラムを含んでいてもよい。
【0032】
演算部33は、記憶部31に蓄積されたデータ(出庫履歴)を用いて出庫予測時間を算出する。出庫予測時間を算出するプログラムは学習機能を備えており、データ量が増えるほど正確な出庫予測時間を算出することができる。なお、算出プログラムは、人工知能(AI)を用いずに、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)で組んだものであってもよい。
【0033】
また、演算部33は、出庫予測時間を所定の幅を持った分単位で算出するように構成されている。この分単位の幅の大きさによって出庫予測時間の精度が異なることから、以後、本明細書において出庫予測時間の分単位の幅を「解像度」と称する。
【0034】
ここで、図3(A)は、ID番号ごとに出庫予測時間を一覧表に纏めたものである。図示したように、出庫予測時間は、例えば、5分単位で算出される。出庫予測時間が「8:20」の場合、出庫予測時間が「8:18~8:22」の5分の幅を持っていることを意味している。
【0035】
確認工程Step6は、機械式駐車装置2が他の車両の入出庫処理をしているか否かの稼働状況を確認する工程である。かかる工程は、例えば、入庫案内装置3の処理部34によって処理される。この確認工程Step6を備えることにより、入庫対象車両4を入庫させる機械式駐車装置2が号機番号を決定する際に、現在、稼働していない機械式駐車装置2の中から選択して決定することができる。
【0036】
号機番号決定工程Step7は、入庫対象車両4を入庫させる機械式駐車装置2の号機番号を決定する工程である。かかる工程は、入庫案内装置3の処理部34によって処理される。具体的には、入庫対象車両4の出庫予測時間が、既に機械式駐車装置2に入庫されている車両(以下、「既入庫車両」という。)の出庫予測時間と重複しないように号機番号を選択する。
【0037】
ここで、図3(B)は、図3(A)に示したID番号の車両が上から順に駐車設備1に入庫する場合を想定して入庫させる機械式駐車装置2の号機番号を決定したものを一覧表にしたものである。なお、表中の空白部分は車両が入庫していない状態を示している。
【0038】
説明の便宜上、出庫予測時間が8:00~8:50の時間帯において、一号機21~四号機24は既入庫車両が存在していない空車の状態とする。いまID001の車両が入庫しようとした場合、その出庫予測時間は8:20である。図3(B)の時間8:20の枠において、一号機21~四号機24は全て空車であることから、最も番号の若い一号機21にID001の車両を入庫させる。
【0039】
次に、ID002の車両が入庫しようとした場合、その出庫予測時間は8:45である。図3(B)の時間8:45の枠において、一号機21~四号機24は全て空車であることから、最も番号の若い一号機21にID002の車両を入庫させる。通常、入庫可能な機械式駐車装置2が複数存在する場合には、最も若い号機番号の機械式駐車装置2が選択される。
【0040】
次に、ID003の車両が入庫しようとした場合、その出庫予測時間は8:25である。図3(B)の時間8:25の枠において、一号機21~四号機24は全て空車であることから、最も番号の若い一号機21にID003の車両を入庫させる。
【0041】
次に、ID004の車両が入庫しようとした場合、その出庫予測時間は8:10である。図3(B)の時間8:10の枠において、一号機21~四号機24は全て空車であることから、最も番号の若い一号機21にID004の車両を入庫させる。
【0042】
次に、ID005の車両が入庫しようとした場合、その出庫予測時間は8:25である。図3(B)の時間8:25の枠において、一号機21には既にID003の車両が入庫済みであることから、二号機22~四号機24が入庫可能な機械式駐車装置2の候補として選定される。いま、二号機22が稼働中であるとすれば、ID005の車両を入庫させる機械式駐車装置2は、三号機23又は四号機24のうち若い号機番号である三号機23に決定される。
【0043】
次に、ID006の車両が入庫しようとした場合、その出庫予測時間は8:20である。図3(B)の時間8:20の枠において、一号機21には既にID001の車両が入庫済みであることから、二号機22~四号機24が入庫可能な機械式駐車装置2の候補として選定される。いま、二号機22が稼働中でないとすれば、ID006の車両を入庫させる機械式駐車装置2は、最も若い号機番号である二号機22に決定される。
【0044】
次に、ID007の車両が入庫しようとした場合、その出庫予測時間は8:25である。図3(B)の時間8:25の枠において、一号機21及び三号機23には既入庫車両が存在していることから、二号機22又は四号機24が入庫可能な機械式駐車装置2の候補として選定される。いま、二号機22が稼働中でないとすれば、ID007の車両を入庫させる機械式駐車装置2は、若い号機番号である二号機22に決定される。
【0045】
最後に、ID008の車両が入庫しようとした場合、その出庫予測時間は8:25である。図3(B)の時間8:25の枠において、一号機21~三号機23には既入庫車両が存在していることから、ID008の車両を入庫させる機械式駐車装置2は四号機24に決定される。このとき、仮に、四号機24が稼働中である場合には、出庫予測時間の重複を回避する方を優先し、四号機24が空くまでID008の車両を待機させるようにすればよい。
【0046】
指示工程Step8は、入庫対象車両4にどの機械式駐車装置2に入庫すればよいかを指示する工程である。かかる工程は、入庫案内装置3の指示部35によって処理される。指示部35は、例えば、視覚によって利用者に号機番号を伝達するディスプレイである。指示部35は、音声や光によって入庫する機械式駐車装置2を利用者に案内するものであってもよいし、利用者の携帯端末(スマートフォン等)に号機番号を伝達するものであってもよい。
【0047】
入庫工程Step9は、入庫対象車両4が入庫案内装置3により指示された号機番号の機械式駐車装置2に入庫する工程である。入庫対象車両4が指示された号機番号と異なる機械式駐車装置2に進入した場合には、入庫できないようにしたり、号機番号が誤っている旨を表示したりするようにしてもよい。
【0048】
入庫情報記憶工程Step10は、入庫対象車両4が駐車設備1の出入口5で待機を開始した時刻、すなわち、車両判別工程Step4でID番号が判別した時刻を入庫対象車両4の入庫時間として入庫履歴を記憶する工程である。かかる工程は、例えば、入庫案内装置3の記憶部31によって処理される。
【0049】
例えば、早い時刻に入庫したときは次の出庫時間が早くなったり、遅い時刻に入庫したときは次の出庫時間が遅くなったりすることがあり、入庫時間と出庫時間との間に何らかの相関性が認められる場合がある。したがって、入庫履歴を参照することによって出庫予測時間の精度を向上させることができる。なお、入庫時間のデータ蓄積は必須の項目ではなく任意に省略することができる。
【0050】
なお、上述した本実施形態に係る制御方法は、出庫する車両が多い時間帯にのみ適用するようにしてもよい。例えば、朝の出勤ラッシュに相当する時間7:00~9:00の時間帯に出庫予測時間が該当する場合にのみ、本実施形態に係る制御方法が適用される。
【0051】
上述した本実施形態に係る駐車設備1及びその制御方法によれば、入庫対象車両4の次回の出庫予測時間を算出し、入庫させる機械式駐車装置2の号機番号を決定するようにしたことから、同一の機械式駐車装置2に同一の出庫時間の車両を入庫させることがなく、入庫車両を分散させることができ、出庫時における出庫待ち時間を短縮することができる。また、本実施形態によれば、待機用駐車室を設置する必要もないことから、駐車効率を低下させることがない。
【0052】
次に、本発明の第二実施形態に係る駐車設備1の制御方法について、図4図6を参照しつつ説明する。ここで、図4は、本発明の第二実施形態に係る駐車設備の制御方法を示すフロー図である。図5は、図4に示した制御方法を説明する概念図であり、(A)は予備演算工程、(B)は解像度決定工程、を示している。図6は、図4に示した制御方法における号機番号決定工程を示す概念図である。
【0053】
なお、駐車設備1の構成は、図1に示したものと実質的に同じであることから重複した説明を省略する。また、上述した第一実施形態に係る駐車設備1の制御方法と同一の工程については、重複した説明を省略する。
【0054】
本発明の第二実施形態に係る駐車設備1の制御方法は、図4に示したように、入庫予定の全ての車両の出庫予測時間を予備演算する予備演算工程Step11と、重複する出庫予測時間の個数と機械式駐車装置2の台数との関係に基づいて出庫予測時間の分単位の幅(解像度)を決定する解像度決定工程Step12と、を含むものである。
【0055】
予備演算工程Step11及び解像度決定工程Step12は、例えば、出庫情報記憶工程Step2と入庫待機工程Step3との間に挿入される。具体的には、出庫予測時間が重複しやすい朝の出勤ラッシュの時間帯から一定時間経過した後、出勤ラッシュの時間帯に出庫した車両が入庫し始める前の時間(例えば、12:00~15:00の間等)に予備演算工程Step11及び解像度決定工程Step12を実行する。
【0056】
例えば、図5(A)に示したように、ID001~ID008の車両の出庫予測時間を5分単位(解像度:5分)で算出した場合に、ID002~ID007の車両の出庫予測時間が8:15になったものとする。このとき、ID002~ID007の車両の出庫予測時間は8:13~8:17の時間帯に含まれている。
【0057】
ここで、仮に解像度を1分に設定した場合、図5(A)に示したように、ID002~ID007の車両の出庫予測時間は、順に8:15、8:17、8:14、8:15、8:13、8:17であるものとする。いま、8:08~8:28の時間帯における出庫予測時間の解像度を1分単位、5分単位及び3分単位に設定した結果を併記すれば、図5(B)に示したように表示される。
【0058】
したがって、出庫予測時間の解像度を3分単位に設定した場合には、ID002の車両の出庫予測時間は8:15、ID003の車両の出庫予測時間は8:18、ID004の車両の出庫予測時間は8:15、ID005の車両の出庫予測時間は8:15、ID006の車両の出庫予測時間は8:12、ID007の車両の出庫予測時間は8:18、と算出される。
【0059】
出庫予測時間の解像度が5分の場合には、ID002~ID007の6台の車両の出庫予測時間が8:15で重複していることから、図6の上段図に示したように、機械式駐車装置2の台数(4台)を超えており、8:15の枠に2台の車両(例えば、ID006及びID007の車両)を入庫させることができない。
【0060】
そこで、本実施形態では、出庫予測時間の解像度を5分から3分に変更することにより、出庫予測時間の精度をあげることができ、出庫予測時間が重複していた車両を分散させることができる。具体的には、図6の下段図に示したように、ID006の車両を出庫予測時間8:12に振り分けることができ、ID003及びID007の車両を出庫予測時間8:18に振り分けることができる。
【0061】
このように、出庫予測時間の解像度を3分単位に設定することにより、重複する出庫予測時間の個数を機械式駐車装置2の台数(4台)以下に抑えることができる。また、出庫予測時間の解像度を3分単位に設定した場合に、重複する出庫予測時間の個数が機械式駐車装置2の台数を超えた場合には、出庫予測時間の解像度を2分又は1分に変更するようにすればよい。
【0062】
なお、上述した出庫予測時間の解像度は単なる例示であり、5分又は3分に限定されるものではない。出庫予測時間の解像度は、例えば、1分~10分程度の範囲内で任意に設定することができる。
【0063】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
1 駐車設備
2 機械式駐車装置
3 入庫案内装置
4 入庫対象車両
5 出入口
21 一号機
22 二号機
23 三号機
24 四号機
31 記憶部
32 車両判別部
33 演算部
34 処理部
35 指示部
Step1 出庫工程
Step2 出庫情報記憶工程
Step3 入庫待機工程
Step4 車両判別工程
Step5 出庫予測時間演算工程
Step6 確認工程
Step7 号機番号決定工程
Step8 指示工程
Step9 入庫工程
Step10 入庫情報記憶工程
Step11 予備演算工程
Step12 解像度決定工程

図1
図2
図3
図4
図5
図6