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特許7340427トンネルにおけるロックボルト端部定着装置及び状態判断方法
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  • 特許-トンネルにおけるロックボルト端部定着装置及び状態判断方法 図1
  • 特許-トンネルにおけるロックボルト端部定着装置及び状態判断方法 図2
  • 特許-トンネルにおけるロックボルト端部定着装置及び状態判断方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】トンネルにおけるロックボルト端部定着装置及び状態判断方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 20/00 20060101AFI20230831BHJP
   E21D 9/04 20060101ALI20230831BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230831BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
E21D20/00 W
E21D9/04 F
G06T7/00 350B
G06T7/00 610C
G01L5/00 103E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019208652
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021080731
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】平山 博靖
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122499(JP,A)
【文献】特表2013-545044(JP,A)
【文献】特開平11-101695(JP,A)
【文献】特許第3669765(JP,B2)
【文献】特開2018-199982(JP,A)
【文献】特開2002-181019(JP,A)
【文献】特開2007-046934(JP,A)
【文献】実開昭56-058438(JP,U)
【文献】AI活用ブログ ディープラーニングとは[Online],株式会社インキュビットのホームページ,2018年12月12日,http://www.incubit.co.jp/blog/6532
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 20/00
E21D 9/04
G06T 7/00
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトにおけるトンネル内へ突出された突出端部をトンネル壁面に定着させるロックボルト端部定着装置であって、
前記突出端部を通す挿通穴を有して、前記トンネル壁面に当接される受圧板と、
前記突出端部に螺合されたナットと、
前記受圧板と前記ナットとの間に挟まれ、前記ロックボルトの軸線に沿う圧縮力に応じて前記軸線と直交する径方向へ膨張変形される樹脂又はゴムからなる膨張性部材と、
を備え、前記膨張性部材が、前記圧縮力に応じた膨張度合いが互いに異なる複数の膨張材層を積層してなることを特徴とするトンネルのロックボルト端部定着装置。
【請求項2】
トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトにおけるトンネル内へ突出された突出端部をロックボルト端部定着装置によってトンネル壁面に定着させる際に、
前記ロックボルト端部定着装置における、前記突出端部を通す挿通穴を有して前記トンネル壁面に当接される受圧板と、前記突出端部に螺合されたナットとの間に、前記ロックボルトの軸線に沿う圧縮力に応じて、前記軸線と直交する径方向へ膨張変形される樹脂又はゴムからなる膨張性部材を挟み、
前記膨張性部材の膨張度合いによって前記ロックボルトの張力又は地山の状態を判断し、
前記膨張性部材が、前記圧縮力に応じた膨張度合いが互いに異なる複数の膨張材層を積層してなることを特徴とするトンネルの状態判断方法。
【請求項3】
圧縮力を印加された膨張性部材の画像を含む学習用画像データから前記膨張度合いを機械学習システムに学習させて生成した学習済みモデルを用意し、
実際の施工中のトンネル壁面を撮影した実画像データを取得し、
前記学習済みモデルに前記実画像データを入力して前記実画像データ中の膨張性部材の膨張度合いを判定させることを特徴とする請求項に記載の状態判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばNATM(New Austrian Tunneling Method)工法等によるトンネル施工において、ロックボルトの端部を定着させる装置等に関し、特にロックボルトに作用する張力や地山の状態に感応する機能が付与されたロックボルト端部定着装置及び該装置によって前記張力や地山の状態を判断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のトンネル施工においては、二次覆工前のトンネル壁面から周辺の地山にロックボルトを打ち込んで地山を支持している。ロックボルトにおけるトンネル内への突出端部にはナットを螺合させて締め付けることで、ロックボルトに張力を加えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-199982号公報([0021]、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ロックボルトに所要の張力が加えられているか否かは、例えば、ナットの螺合時の締め付けトルクをトルクゲージ等で測定することで管理される。しかし、締め付けトルクひいては張力の大きさがロックボルトの突出端部等に見える形で現れることはないために、トルクゲージの読み誤り等があっても確認するのは困難である。また、地山が崩れようとしている兆候をロックボルトの突出端部等を見て判断することは難しい。
本発明は、かかる事情に鑑み、トンネルの施工中、ロックボルトに加えられた張力や地山が崩れようとしている兆候などを視覚的に容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明装置は、
トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトにおけるトンネル内へ突出された突出端部をトンネル壁面に定着させるロックボルト端部定着装置であって、
前記突出端部を通す挿通穴を有して、前記トンネル壁面に当接される受圧板と、
前記突出端部に螺合されたナットと、
前記受圧板と前記ナットとの間に挟まれ、前記ロックボルトの軸線に沿う圧縮力に応じて前記軸線と直交する径方向へ膨張変形される樹脂又はゴムからなる膨張性部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
前記膨張性部材が、前記圧縮力に応じた膨張度合いが互いに異なる複数の膨張材層を積層したものであってもよい。
【0007】
本発明に係るトンネルの状態判断方法は、
トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトにおけるトンネル内へ突出された突出端部をロックボルト端部定着装置によってトンネル壁面に定着させる際に、
前記ロックボルト端部定着装置における、前記突出端部を通す挿通穴を有して前記トンネル壁面に当接される受圧板と、前記突出端部に螺合されたナットとの間に、前記ロックボルトの軸線に沿う圧縮力に応じて、前記軸線と直交する径方向へ膨張変形される樹脂又はゴムからなる膨張性部材を挟み、
前記膨張性部材の膨張度合いによって前記ロックボルトの張力又は地山の状態を判断することを特徴とする。
【0008】
圧縮力を印加された膨張性部材の画像を含む学習用画像データから前記膨張度合いを機械学習システムに学習させて生成した学習済みモデルを用意し、
実際の施工中のトンネル壁面を撮影した実画像データを取得し、
前記学習済みモデルに前記実画像データを入力して前記実画像データ中の膨張性部材の膨張度合いを判定させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トンネル施工中、ロックボルトに加えられた張力や地山が崩れようとしている兆候などを膨張性部材の膨張度合いから容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るロックボルト端部定着装置を、トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトに設置された状態で示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2実施形態に係るロックボルト端部定着装置を、トンネルの周辺の地山に打ち込まれたロックボルトに設置された状態で示す断面図である。
図3図3は、本発明の第3実施形態に係る状態判断システムの解説図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1)>
図1は、NATM工法によって施工中のトンネル1を示したものである。地山2が掘削されて、掘削面に吹付けコンクリート3が吹付けられている。該吹付けコンクリート3からなるトンネル壁面3aから周辺の地山2に多数(図においては1つだけ図示)のロックボルト4が打ち込まれている。
なお、図示は省略するが、ロックボルト4の設置後、トンネル壁面3a上に防水シートが張設され、更にそのトンネル内側に二次覆工が構築される。したがって、吹付けコンクリート3によってトンネル壁面3aが構成されている期間は一時的である。
【0012】
ロックボルト4の一端部4aが、トンネル壁面3aからトンネル1内へ突出されている。突出端部4aには、ロックボルト端部定着装置10が設けられている。定着装置10は、突出端部4aをトンネル壁面3aに定着させる機能を有する。更に、定着装置10には、ロックボルト4に作用する張力や地山2の状態に感応する状態感応機能が付与されている。
【0013】
詳しくは、ロックボルト端部定着装置10は、ナット12と、受圧板11と、膨張性部材20とを含む。受圧板11は、例えば鋼板によって構成されている。該受圧板11がトンネル壁面3aに当接されている。受圧板11の中央部には挿通穴11cが形成されている。挿通穴11cにロックボルト4の突出端部4aが通されている。受圧板11より先端側の突出端部4aにナット12が螺合されている。ナット12の締め付けによって、突出端部4aがトンネル壁面3aに定着されるとともに、ロックボルト4に所要の張力が付与されている。
【0014】
受圧板11とナット12との間に膨張性部材20が介在されている。膨張性部材20は、環状に形成されており、その中心穴20cにロックボルト4の突出端部4aが通されている。膨張性部材20は、ロックボルト4の軸線に沿う軸方向の圧縮力に応じて、前記軸線と直交する径方向へ膨張変形されるゴム又は樹脂からなる。膨張性部材20における軸方向の収縮度合いに対して径方向の膨張度合いが大きくてもよい。軸方向の圧縮力がある大きさを越えたとき、膨張性部材20が径方向に急に膨張されてもよい。
膨張性部材20の材料として、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴムなどの一般的な合成ゴムや、天然ゴムを用いることができる。
図示は省略するが、ナット12と膨張性部材20との間にワッシャが設けられていてもよい。
【0015】
ロックボルト端部定着装置10は、トンネル1の施工の際、次のように使用される。
地山2を掘削し、ロックボルト4をトンネル壁面3aから周辺の地山2に打ち込んだ後、ロックボルト4の突出端部4aに定着装置10を設置する。すなわち、突出端部4aの外周に受圧板11、膨張性部材20、ナット12の順に嵌める。言い換えると、受圧板11とナット12との間に膨張性部材20を挟む。
【0016】
そして、ナット12を締め込む。これによって、ロックボルト4に張力が作用するとともに、突出端部4aがトンネル壁面3aに定着される。同時に、膨張性部材20が、受圧板11とナット12とによって強く挟み付けられて軸方向に圧縮され径方向へ膨張される。したがって、ナット12の締め付け中の作業者は、膨張性部材20の膨張度合いを目視観察することによって、ロックボルト4に作用する張力度合いを判断することができる。併せて、トルクゲージなどで締め付けトルクを測定してもよい。
図1の二点鎖線にて示すように、ナット12の締め付けトルクが規定の大きさ(適正値)以上になったとき、膨張性部材20が径方向に所定量以上膨張される。これによって、前記作業者は、ロックボルト4に作用する張力が所要の大きさ以上となったことを目視によって容易に判断できる。トルクゲージなどで締め付けトルクを測定する場合、測定値の読み間違いがあっても簡単に確認できる。この結果、ナット12を過不足なく締め付けることができ、締め付け作業を容易化できる。
その後、作業状況の点検の際も、膨張性部材20の膨張度合いを目視観察することによって、ロックボルト4に所要の張力が作用しているか否かを容易に判断できる。要するに、ロックボルト端部定着装置10によれば、ロックボルト4に作用する張力を「見える化」できる。
【0017】
さらに、ロックボルト端部定着装置10によれば、地山2の状態を感知することも可能である。
詳しくは、ロックボルト4の設置後、地山2が崩れようとしているときは、受圧板11が地山2からの力によって変形され、膨張性部材20に前記既定の締め付けトルクの印加時よりも大きな軸方向圧縮力が働く。それに応じて、膨張性部材20の径方向への膨張度合いが大きくなる。作業者は、該膨張度合いを目視観察することで、地山2が崩れようとする兆候を把握することができる。言い換えると、ロックボルト端部定着装置10によれば、地山2が崩れようとする兆候を「見える化」できる。これによって、事前に適切な対応を行なうことができる。
【0018】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(図2)>
図2に示すように、本発明の第2実施形態のロックボルト端部定着装置10Bにおいては、膨張性部材20Bが、2つ(複数)の膨張材層21,22を含んでいる。受圧板11側に第1膨張材層21が配置され、ナット12側に第2膨張材層22が配置されている。これら膨張材層21,22がロックボルト4の軸方向に積層されている。第1膨張材層21は相対的に薄肉であり、第2膨張材層22は相対的に厚肉である。
【0019】
これら膨張材層21,22は、ロックボルト4の軸方向に沿う圧縮力に応じた径方向の膨張度合いが互いに異なる。第1膨張材層21は相対的に膨張されやすく、第2膨張材層22は相対的に膨張されにくい。
好ましくは、図2の二点鎖線にて示すように、第1膨張材層21は、ナット12の規定締付トルク以上の第1圧縮力で径方向へ大きく膨張される。第2膨張材層22は、前記第1圧縮力ではあまり膨張されず、第1圧縮力より大きな第2圧縮力で径方向へ大きく膨張される。
【0020】
第2実施形態によれば、ロックボルト4を地山2に打ち込んだ後、端部4aにロックボルト端部定着装置10Bを設けて、ナット12を締め込んでいくと、規定締付トルク以上になったとき、膨張性部材20Bへの軸方向圧縮力が第1圧縮力以上になり、第1膨張材層21が径方向へ大きく膨張される。これによって、ロックボルト4の張力が所要以上になったことを、作業者の目視観察によって容易に判断できる。前記作業者は、ロックボルト端部定着装置10Bの直ぐ近くでナット12の締め込み作業を行うため、第1膨張材層21の厚みが小さくても、該第1膨張材層21の膨張変形を容易に目視観察できる。
このとき、膨張性部材20Bへの軸方向圧縮力は第2圧縮力未満であるから、第2膨張材層22はあまり膨張されていない。作業者は、該第2膨張材層22をも目視観察することで、締め付けトルクが過度ではないことを把握できる。
【0021】
ロックボルト4の設置工程後の点検時には、膨張性部材20Bの特に第2膨張材層22を目視観察する。
地山2が崩れようとしているときは、受圧板11が地山2からの力によって変形される。このため、膨張性部材20Bへの軸方向圧縮力が第2圧縮力以上になり、第2膨張材層22が径方向へ大きく膨張される。該第2膨張材層22の膨張度合いを目視観察することで、地山2が崩れようとする兆候を把握でき、事前に適切な対応を行なうことができる。要するに、ロックボルト端部定着装置10Bによれば、ロックボルト4の締め付けトルクによる張力状態に加えて、地山2の状態をも「見える化」できる。
第2膨張材層22を厚肉に形成しておくことで、定着装置10Bから離れた場所からでも、第2膨張材層22の膨張変形を容易に確認できる。
第2膨張材層22を第1膨張材層21よりナット12側に配置しておくことで、定着装置10Bから離れた場所から第2膨張材層22の膨張変形を一層容易に確認できる。
【0022】
<第3実施形態(図3)>
図3は、本発明の第3実施形態に係る状態判断システム5を示したものである。状態判断システム5は、第2実施形態と同様のロックボルト端部定着装置10Bと、カメラ機能6c(撮影手段)を有する携帯通信端末6と、機械学習システム30を含む。携帯通信端末6は、スマートフォンによって構成されているが、カメラ機能及び通信機能を有する携帯可能なコンピュータ(PC)であればノートパソコンであってもよい。携帯通信端末6に照明機能が付属されていてもよい。
【0023】
機械学習システム30は、AI(人工知能)コンピュータによって構成されている。携帯通信端末6と機械学習システム30とは、無線又は有線の通信回線7を介して相互通信可能である。機械学習システム30は、学習部31と、判定部32を含む。学習部31は、種々の大きさの圧縮力を印加された膨張性部材の画像を含む学習用画像データから、その画像中の膨張性部材の膨張度合いを学習して、学習済みモデル33を生成する。具体的には、例えば、多数のトンネル壁面の学習用画像データからロックボルト端部定着装置における膨張性部材の特に第2膨張材層を抽出し、該第2膨張材層の膨張度合いが前記第2圧縮力以上の圧縮力によるものか否かを判定することを学習する。前記学習用画像データとして、ロックボルト端部定着装置と形状や色合いが似た石などが露出した地山の画像データを用い、石と本物のロックボルト端部定着装置とを区別することをも学習させてもよい。前記地山の画像データには、本物のロックボルト端部定着装置と石の両方が映っていてもよく、本物のロックボルト端部定着装置は写っておらず石だけが映っていてもよい。
学習の結果、判定部32には、確度の高い学習済みモデル33が格納されている。
【0024】
状態判断システム5によれば、次のようにして、地山2等の状態を判断できる。
ロックボルト4の設置工程後、現場点検者Aが、携帯通信端末6のカメラ機能6cによって、トンネル壁面3aを撮影する。これによって、施工中のトンネル壁面3aの実画像データ6dが取得される。好ましくは、実画像データ6dには1又は複数のロックボルト端部4aひいては膨張性部材20Bを含むロックボルト端部定着装置10Bの画像が含まれている。トンネル壁面3aの各所をスキャンするように撮影することで、多数の画像データ6dを取得してもよい。
【0025】
実画像データ6dは、携帯通信端末6から機械学習システム30へ送信される。
機械学習システム30においては、受信した実画像データ6dを判定部32の学習済みモデル33に入力して、該実画像データ6d内の膨張性部材20Bの膨張度合いを判定する。特に第2膨張材層22の膨張度合いを判定する。
判定結果は、機械学習システム30から携帯通信端末6へ送信され、携帯通信端末6のディスプレイに表示される。判定結果を携帯通信端末6から音声出力してもよい。
【0026】
地山2が崩れようとしているときは、受圧板11が地山2からの力によって変形され、膨張性部材20Bに対する軸方向圧縮力が第2圧縮力以上になり、第2膨張材層22が径方向へ大きく膨張される。該第2膨張材層22の膨張度合いが機械学習システム30によって判定されて、判定結果が携帯通信端末6から報知される。これによって、現場点検者Aは、地山2が崩れようとする兆候(地山の状態)を把握することができ、事前に適切な対応を行なうことができる。
【0027】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、第2実施形態において、第1膨張材層21がナット12側に配置され、第2膨張材層22が受圧板11側に配置されていてもよい。膨張材層21,22の厚みが同程度でもよい。膨張性部材が、軸方向の圧縮力に応じた膨張度合いが互いに異なる膨張材層を3つ以上含んでいてもよい。
【0028】
第3実施形態(図3)において、学習部31と判定部32が異なるコンピュータによって構成されていてもよい。状態判断システム5は、学習部31及び判定部32のうち少なくとも判定部32を有していればよい。学習部31は、外部コンピュータによって構成されていてもよい。携帯通信端末6が、学習済みモデル33をも有し、機械学習システム30の判定部32を兼ねていてもよい。
機械学習システム30による判断結果は、現場点検者Aの携帯通信端末6に送信されるだけでなく、地上の管理コンピュータにも送信されるようにしてもよい。
第3実施形態では、状態判断システム5によって、ロックボルト4の設置工程後の地山状態を判断していたが、ナット12の締め付けトルクひいてはロックボルト4の張力状態を状態判断システム5によって判断してもよい。機械学習システム30の学習部31によって、膨張性部材20又は第1膨張材層21の膨張度合いを判定する学習済みモデル33を生成し、該学習済みモデル33を判定部32に格納してもよい。
第3実施形態(図3)において、第2実施形態と同様のロックボルト端部定着装置10Bを、第1実施形態と同様のロックボルト端部定着装置10に置換してもよい。
ロックボルトは鏡ボルトであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、例えばNATM工法によるトンネル施工に適用できる。
【符号の説明】
【0030】
A 現場点検者
1 トンネル
2 地山
3 吹付けコンクリート
3a トンネル壁面
4 ロックボルト
4a 突出端部
5 状態判断システム
6 携帯通信端末
6c カメラ機能(撮影手段)
6d 実画像データ
7 通信回線
10,10B ロックボルト端部定着装置
11 受圧板
11c 挿通穴
12 ナット
20,20B 膨張性部材
20c 中心穴
21 第1膨張材層
22 第2膨張材層
30 機械学習システム
31 学習部
32 判定部
図1
図2
図3