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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】半導体装置及び電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230831BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H03K17/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020027065
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021132482
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 和宏
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-258614(JP,A)
【文献】特開2016-059255(JP,A)
【文献】特開平04-273716(JP,A)
【文献】特開2001-320021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H03K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象外部端子を含む複数の外部端子が設けられた半導体装置において、
前記対象外部端子と所定の基準電位を有する基準導電部との間に設けられた対象トランジスタと、
Nチャネル型MOSFETとして構成された第1トランジスタ及びPチャネル型MOSFETとして構成された第2トランジスタの並列回路から成り、前記対象外部端子と所定の内部ノードとの間に設けられたアナログスイッチと、
前記第1トランジスタのゲート電位及び前記第2トランジスタのゲート電位を制御することにより前記アナログスイッチをオン又はオフするスイッチドライバと、を備え、
前記第1トランジスタは、第1電極と、第2電極と、第3電極であるゲートと、第4電極であるバックゲートとを有し、前記第1トランジスタのゲート電位に応じて前記第1トランジスタの第1電極及び第2電極間が導通又は非導通に制御され、
前記第2トランジスタは、第1電極と、第2電極と、第3電極であるゲートと、第4電極であるバックゲートとを有し、前記第2トランジスタのゲート電位に応じて前記第2トランジスタの第1電極及び第2電極間が導通又は非導通に制御され、
前記第1トランジスタの第1電極及び前記第2トランジスタの第1電極が前記対象外部端子に共通接続され、前記第1トランジスタの第2電極及び前記第2トランジスタの第2電極が前記内部ノードに共通接続され、
前記第1トランジスタのバックゲートは前記内部ノードに接続されて前記第1トランジスタのバックゲート及び第1電極間に第1寄生ダイオードが形成され、前記第2トランジスタのバックゲートは前記対象外部端子に接続されて前記第2トランジスタのバックゲート及び第2電極間に第2寄生ダイオードが形成され、
前記スイッチドライバは、前記第2トランジスタの第1電極及びゲート間に設けられた抵抗と、前記第2トランジスタのゲートと前記基準導電部との間に設けられたスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子をオン又はオフすることで、前記第2トランジスタのゲート電位を制御する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記スイッチドライバは、前記第1トランジスタのゲート電位を制御する第1スイッチドライバと、前記第2トランジスタのゲート電位を制御する第2スイッチドライバと、を備え、
前記スイッチング素子はNチャネル型MOSFET又はNPNバイポーラトランジスタから成り、前記スイッチング素子のドレイン又はコレクタは前記第2トランジスタのゲートに接続され、前記スイッチング素子のソース又はエミッタは前記基準導電部に接続され、
前記第1スイッチドライバは、前記第1トランジスタのゲートと前記基準導電部との間に設けられた第1プルダウン抵抗と、前記第1トランジスタのゲートに接続され、正の電源電圧に基づき前記第1トランジスタのゲート電位を制御する第1駆動回路と、を備え、
前記第2スイッチドライバは、前記抵抗及び前記スイッチング素子を備えるととともに、前記スイッチング素子のゲート又はベースと前記基準導電部との間に設けられた第2プルダウン抵抗と、前記スイッチング素子のゲート又はベースに接続され、前記電源電圧に基づき前記スイッチング素子をオン又はオフする第2駆動回路と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
当該半導体装置は、入力電圧から出力電圧を生成する電源装置を構成するための電源用半導体集積回路であって、
当該半導体装置は、前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフする出力電圧監視回路を更に備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記スイッチドライバを用いて前記アナログスイッチをオン又はオフに制御するスイッチ制御部と、
当該半導体装置の動作モードを第1モード又は第2モードに設定する動作モード設定部と、を更に備え、
前記スイッチ制御部は、前記動作モードが前記第1モードに設定されているときには前記アナログスイッチをオフとし、前記動作モードが前記第2モードに設定されているときには前記アナログスイッチをオンとし、
前記出力電圧監視回路は、前記動作モードが前記第1モードに設定されているときには前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフし、前記動作モードが前記第2モードに設定されているときには前記出力電圧に依らず前記対象トランジスタをオフに固定する
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記出力電圧監視回路は、前記動作モードが前記第1モードに設定されている場合において、前記出力電圧に応じた帰還電圧と設定電圧との高低関係に基づき、前記対象トランジスタをオン又はオフとする
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記アナログスイッチとしての第1アナログスイッチに加えて、前記内部ノードである第1内部ノードと所定の第2内部ノードとの間に第2アナログスイッチを更に設け、
前記第1内部ノードと前記基準導電部との間に他のスイッチング素子を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項7】
当該半導体装置は、入力電圧から出力電圧を生成する電源装置を構成するための電源用半導体集積回路であって、
当該半導体装置は、前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフする出力電圧監視回路を更に備える
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記スイッチドライバを用いて前記アナログスイッチをオン又はオフに制御するスイッチ制御部と、
当該半導体装置の動作モードを第1モード又は第2モードに設定する動作モード設定部と、を更に備え、
前記スイッチ制御部は、前記第2アナログスイッチ及び前記他のスイッチング素子のオン、オフの制御も行い、
前記スイッチ制御部は、前記動作モードが前記第1モードに設定されているときには前記第1アナログスイッチ及び前記第2アナログスイッチをオフするとともに前記他のスイッチング素子をオンとし、前記動作モードが前記第2モードに設定されているときには前記第1アナログスイッチ及び前記第2アナログスイッチをオンするとともに前記他のスイッチング素子をオフとし、
前記出力電圧監視回路は、前記動作モードが前記第1モードに設定されているときには前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフし、前記動作モードが前記第2モードに設定されているときには前記出力電圧に依らず前記対象トランジスタをオフに固定する
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記出力電圧監視回路は、前記動作モードが前記第1モードに設定されている場合において、前記出力電圧に応じた帰還電圧と設定電圧との高低関係に基づき、前記対象トランジスタをオン又はオフとする
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項3~5及び7~9の何れかに記載の半導体装置を電源用半導体集積回路として有して入力電圧から出力電圧を生成する電源装置と、
前記半導体装置における前記対象外部端子に接続された対象配線と、
前記対象配線と所定の正の電圧の印加端との間に接続されたプルアップ抵抗と、
前記対象配線における電圧を監視する電源管理装置と、を備えた
ことを特徴とする電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置を形成するために電源ICが利用されることが多く、電源ICには、電源装置の出力電圧の状態を外部装置に知らせるためのパワーグッド端子が設けられることも多い。図10に、入力電圧Viから出力電圧Voを生成するスイッチング電源装置901の構成例を示す。スイッチング電源装置901は、電源IC910と、電源IC910に外付け接続された複数のディスクリート部品から構成される。
【0003】
電源IC910は、入力電圧Viを受ける端子とグランドとの間に配置されたハーフブリッジ回路である出力段回路911と、出力電圧Voに応じた帰還電圧に基づき出力段回路911をスイッチング制御するスイッチング制御回路912を備える。当該スイッチング制御により入力電圧Viがスイッチングされて矩形波状の電圧が生成され、矩形波状の電圧がコイル及びコンデンサにて整流及び平滑化されることで直流の出力電圧Voが得られる。
【0004】
電源IC910は、更に、パワーグッド回路913と、オープンドレイン構成のNチャネル型MOSFETであるトランジスタ914と、パワーグッド端子915を備える。トランジスタ914のドレイン、ソースは、夫々、パワーグッド端子915及びグランドに接続される。パワーグッド回路913は、出力電圧Voに応じた帰還電圧が設定電圧以上であればトランジスタ914をオフとし、そうでなければ、トランジスタ914をオンとする。電源IC910は、図11に示す如く、半導体集積回路を収容した筐体と、筐体から露出した複数の外部端子を備える。パワーグッド端子915は複数の外部端子の内の1つである。
【0005】
図12に示す如く、パワーグッド端子915は配線930に接続され、配線930はプルアップ抵抗を介して正の電圧Vcの印加端に接続される。電源装置901を備えて構成される電源システムでは、電源管理装置902が設けられて配線930に接続される。電源管理装置902は配線930の電位を監視することで、出力電圧Voの正常/異常を判断することができる(例えば下記特許文献1の段落0031参照)。図13に示す如く、複数の電源IC910における複数のパワーグッド端子915が配線930に共通接続される電源システムもあり、この場合においても、電源管理装置902は配線930の電位を監視することで、複数の電源装置901における複数の出力電圧Voが全て正常であるか否かを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-15833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、電源IC910は、通常モード及びテストモードを含む複数のモードの何れかで動作できるよう構成されることが多い。テストモードは、電源IC910の出荷前の検査において利用されるモードであり、図12又は図13のような電源システムに組み込まれる状態では電源IC910は通常モードで動作する。
【0008】
テストモードでは、電源IC910の良否を判定するためのテスト装置(不図示)が用意され、電源IC910内における様々なノードの信号をテスト装置に取り出したり、電源IC910内の所望のノードに対しテスト装置から所望の信号を入力したりすることが要求される。テストモードにおいて、テスト用の信号を、テスト装置と電源IC910内のノードとの間でやり取りするためには、テスト用の信号の入出力端子が必要となる。
【0009】
電源IC910に設けられる外部端子の本数には限りがあるため、パワーグッド端子915をテスト用の信号の入出力端子として兼用することが検討される。この場合、テストモードでは、テスト装置が電源管理装置902の代わりにパワーグッド端子915に接続される。パワーグッド回路913は、出力電圧Voに応じた帰還電圧に基づくトランジスタ914のオン/オフを通常モードにおいてのみ行い、テストモードではトランジスタ914をオフ状態に固定する。
【0010】
図14に、テスト用回路が搭載された電源IC910の例として、電源IC910Aを示す。電源IC910Aはテスト用回路950を備える。テスト用回路950は、Pチャネル型MOSFETであるトランジスタ951とNチャネル型MOSFETであるトランジスタ952の直列回路を備える。トランジスタ951のソースに電源IC910A内の各回路の電源電圧として機能する電源電圧Vdが印加され、トランジスタ952のソースはグランドに接続される。トランジスタ951及び952のドレイン同士の接続ノードがパワーグッド端子915に接続される。通常モードにおいてはトランジスタ951及び952が共にオフとされる。テストモードにおいては、トランジスタ951及び952のオン/オフを制御することで、電源IC910A内の所望のノードの信号を二値信号としてパワーグッド端子915から取り出すことができる。
【0011】
図15に、テスト用回路が搭載された電源IC910の他の例として、電源IC910Bを示す。電源IC910Bは、アナログスイッチ961を有するテスト用回路960を備える。アナログスイッチ961は、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタ961N及びPチャネル型MOSFETであるトランジスタ961Pの並列回路を有する。トランジスタ961Nのバックゲートはグランドに接続され、トランジスタ961Pのバックゲートは電源電圧Vdの印加端に接続される。アナログスイッチ961は、パワーグッド端子915と、電源IC910B内の所望のノードとの間に配置される。通常モードにおいてはアナログスイッチ961がオフとされる。テストモードにおいては、アナログスイッチ961をオンにすることで、電源IC910B内の所望のノードの信号をパワーグッド端子915から取り出したり、パワーグッド端子915を介し電源IC910B内の所望のノードに所望の信号を供給したりすることが可能となる。
【0012】
ところで、図14の電源IC910Aにおいては、トランジスタ951の寄生ダイオードの存在により、パワーグッド端子915から電源電圧Vdの印加端に向かうダイオードパスが発生する。図15の電源IC910Bにおいては、トランジスタ961Dの寄生ダイオードの存在により、パワーグッド端子915から電源電圧Vdの印加端に向かうダイオードパスが発生する。アプリケーションによっては、これらのダイオードパスがあったとしても問題は無い。
【0013】
但し、電源IC910A又は910Bが汎用ICである場合など、電圧Vc(図12及び図13参照)が電源電圧Vdよりも高くなりうる場合には不都合が生じる。図12又は図13の電源システムに電源IC910A又は910Bを適用した場合において、“Vc>Vd”であると、上記ダイオードパスを通じて電圧Vcの印加端から電源電圧Vdの印加端に電流が逆流するためである。
【0014】
テスト専用の外部端子を設ければ、このような不都合は生じないが、外部端子数の制約によりテスト専用の外部端子を設置することが難しいことも多い。
【0015】
尚、電源ICのパワーグッド端子に注目して、本発明の関連技術を説明したが、オープンドレイン構成又はオープンコレクタ構成を有する任意の半導体装置において、同様の事情が存在する。
【0016】
本発明は、外部端子の状態制御と当該外部端子を通じた内部ノードへのアクセスとを良好に実現する半導体装置及び電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る半導体装置は、対象外部端子を含む複数の外部端子が設けられた半導体装置において、前記対象外部端子と所定の基準電位を有する基準導電部との間に設けられた対象トランジスタと、Nチャネル型MOSFETとして構成された第1トランジスタ及びPチャネル型MOSFETとして構成された第2トランジスタの並列回路から成り、前記対象外部端子と所定の内部ノードとの間に設けられたアナログスイッチと、前記第1トランジスタのゲート電位及び前記第2トランジスタのゲート電位を制御することにより前記アナログスイッチをオン又はオフするスイッチドライバと、を備え、前記第1トランジスタは、第1電極と、第2電極と、第3電極であるゲートと、第4電極であるバックゲートとを有し、前記第1トランジスタのゲート電位に応じて前記第1トランジスタの第1電極及び第2電極間が導通又は非導通に制御され、前記第2トランジスタは、第1電極と、第2電極と、第3電極であるゲートと、第4電極であるバックゲートとを有し、前記第2トランジスタのゲート電位に応じて前記第2トランジスタの第1電極及び第2電極間が導通又は非導通に制御され、前記第1トランジスタの第1電極及び前記第2トランジスタの第1電極が前記対象外部端子に共通接続され、前記第1トランジスタの第2電極及び前記第2トランジスタの第2電極が前記内部ノードに共通接続され、前記第1トランジスタのバックゲートは前記内部ノードに接続されて前記第1トランジスタのバックゲート及び第1電極間に第1寄生ダイオードが形成され、前記第2トランジスタのバックゲートは前記対象外部端子に接続されて前記第2トランジスタのバックゲート及び第2電極間に第2寄生ダイオードが形成され、前記スイッチドライバは、前記第2トランジスタの第1電極及びゲート間に設けられた抵抗と、前記第2トランジスタのゲートと前記基準導電部との間に設けられたスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子をオン又はオフすることで、前記第2トランジスタのゲート電位を制御する構成(第1の構成)である。
【0018】
上記第1の構成に係る半導体装置において、前記スイッチドライバは、前記第1トランジスタのゲート電位を制御する第1スイッチドライバと、前記第2トランジスタのゲート電位を制御する第2スイッチドライバと、を備え、前記スイッチング素子はNチャネル型MOSFET又はNPNバイポーラトランジスタから成り、前記スイッチング素子のドレイン又はコレクタは前記第2トランジスタのゲートに接続され、前記スイッチング素子のソース又はエミッタは前記基準導電部に接続され、前記第1スイッチドライバは、前記第1トランジスタのゲートと前記基準導電部との間に設けられた第1プルダウン抵抗と、前記第1トランジスタのゲートに接続され、正の電源電圧に基づき前記第1トランジスタのゲート電位を制御する第1駆動回路と、を備え、前記第2スイッチドライバは、前記抵抗及び前記スイッチング素子を備えるととともに、前記スイッチング素子のゲート又はベースと前記基準導電部との間に設けられた第2プルダウン抵抗と、前記スイッチング素子のゲート又はベースに接続され、前記電源電圧に基づき前記スイッチング素子をオン又はオフする第2駆動回路と、を備える構成(第2の構成)であっても良い。
【0019】
上記第1又は第2の構成に係る半導体装置において、当該半導体装置は、入力電圧から出力電圧を生成する電源装置を構成するための電源用半導体集積回路であって、当該半導体装置は、前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフする出力電圧監視回路を更に備える構成(第3の構成)であっても良い。
【0020】
上記第3の構成に係る半導体装置において、前記スイッチドライバを用いて前記アナログスイッチをオン又はオフに制御するスイッチ制御部と、当該半導体装置の動作モードを第1モード又は第2モードに設定する動作モード設定部と、を更に備え、前記スイッチ制御部は、前記動作モードが前記第1モードに設定されているときには前記アナログスイッチをオフとし、前記動作モードが前記第2モードに設定されているときには前記アナログスイッチをオンとし、前記出力電圧監視回路は、前記動作モードが前記第1モードに設定されているときには前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフし、前記動作モードが前記第2モードに設定されているときには前記出力電圧に依らず前記対象トランジスタをオフに固定する構成(第4の構成)であっても良い。
【0021】
上記第4の構成に係る半導体装置において、前記出力電圧監視回路は、前記動作モードが前記第1モードに設定されている場合において、前記出力電圧に応じた帰還電圧と設定電圧との高低関係に基づき、前記対象トランジスタをオン又はオフとする構成(第5の構成)であっても良い。
【0022】
上記第1又は第2の構成に係る半導体装置において、前記アナログスイッチとしての第1アナログスイッチに加えて、前記内部ノードである第1内部ノードと所定の第2内部ノードとの間に第2アナログスイッチを更に設け、前記第1内部ノードと前記基準導電部との間に他のスイッチング素子を設けた構成(第6の構成)であっても良い。
【0023】
上記第6の構成に係る半導体装置において、当該半導体装置は、入力電圧から出力電圧を生成する電源装置を構成するための電源用半導体集積回路であって、当該半導体装置は、前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフする出力電圧監視回路を更に備える構成(第7の構成)であっても良い。
【0024】
上記第7の構成に係る半導体装置において、前記スイッチドライバを用いて前記アナログスイッチをオン又はオフに制御するスイッチ制御部と、当該半導体装置の動作モードを第1モード又は第2モードに設定する動作モード設定部と、を更に備え、前記スイッチ制御部は、前記第2アナログスイッチ及び前記他のスイッチング素子のオン、オフの制御も行い、前記スイッチ制御部は、前記動作モードが前記第1モードに設定されているときには前記第1アナログスイッチ及び前記第2アナログスイッチをオフするとともに前記他のスイッチング素子をオンとし、前記動作モードが前記第2モードに設定されているときには前記第1アナログスイッチ及び前記第2アナログスイッチをオンするとともに前記他のスイッチング素子をオフとし、前記出力電圧監視回路は、前記動作モードが前記第1モードに設定されているときには前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフし、前記動作モードが前記第2モードに設定されているときには前記出力電圧に依らず前記対象トランジスタをオフに固定する構成(第8の構成)であっても良い。
【0025】
上記第8の構成に係る半導体装置において、前記出力電圧監視回路は、前記動作モードが前記第1モードに設定されている場合において、前記出力電圧に応じた帰還電圧と設定電圧との高低関係に基づき、前記対象トランジスタをオン又はオフとする構成(第9の構成)であっても良い。
【0026】
本発明に係る電源システムは、上記第3~第5及び第7~第9の構成の何れかに係る半導体装置を電源用半導体集積回路として有して入力電圧から出力電圧を生成する電源装置と、前記半導体装置における前記対象外部端子に接続された対象配線と、前記対象配線と所定の正の電圧の印加端との間に接続されたプルアップ抵抗と、前記対象配線における電圧を監視する電源管理装置と、を備えた構成(第10の構成)である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、外部端子の状態制御と当該外部端子を通じた内部ノードへのアクセスとを良好に実現する半導体装置及び電源システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る電源装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る電源システムの概略全体構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る電源ICの外観斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る電源ICの動作フローチャートである。
図5】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、電源ICに設けられるテスト用回路の構成図である。
図6図5における2つの内部ノード間に設けられたアナログスイッチの構成図である。
図7】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、通常モードにおける各制御信号及び各素子の状態と、テストモードにおける各制御信号及び各素子の状態と、を示す図である。
図8】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、電源ICに設けられるテスト用回路の変形構成図である。
図9】本発明の実施形態に属する第2実施例に係り、電源システムの構成図である。
図10】参考技術に係る電源装置の構成図である。
図11図10に示される電源ICの外観斜視図である。
図12】参考技術に係り、電源装置と電源管理装置との接続を示す図である。
図13】参考技術に係り、複数の電源装置と電源管理装置との接続を示す図である。
図14】参考技術に係り、電源IC内のテスト用回路の構成例を示す図である。
図15】参考技術に係り、電源IC内のテスト用回路の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、素子又は部位等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、素子又は部位等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“10”によって参照される電源ICは(図2参照)、電源IC10と表記されることもあるし、IC10と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0030】
まず、本発明の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。ICとは集積回路(Integrated Circuit)の略称である。グランドとは、0V(ゼロボルト)の基準電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本発明の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グランドから見た電位を表す。
【0031】
レベルとは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。或る任意の注目した信号について、注目した信号がハイレベルであるとき、当該注目した信号の反転信号はローレベルをとり、注目した信号がローレベルであるとき、当該注目した信号の反転信号はハイレベルをとる。
【0032】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。
【0033】
MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。以下に示される任意のMOSFETについて、特に記述無き限り、バッグゲートはソースに接続されているものとする。MOSFETとして構成された任意のトランジスタにおいて、ゲート-ソース間電圧とは、ソースの電位から見たゲートの電位を指す。
【0034】
本発明の実施形態に係る図1の電源装置1について説明する。電源装置1は入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成する。電源装置1は電源IC10を備える。電源IC10は電源装置1を構成するための電源用半導体集積回路から成る。入力電圧Vin及び出力電圧Voutは正の電圧であっても良いし、負の電圧であっても良いが、ここでは、入力電圧Vin及び出力電圧Voutが正の直流電圧であるとする。
【0035】
電源装置1はシリーズレギュレータであっても良いし、スイッチングレギュレータであっても良い。電源装置1がスイッチングレギュレータであるとき、電源装置1は、入力電圧Vinを昇圧して入力電圧Vinより高い出力電圧Voutを生成する昇圧型DC/DCコンバータであっても良いし、入力電圧Vinを降圧して入力電圧Vinより低い出力電圧Voutを生成する降圧型DC/DCコンバータであっても良い。また、電源装置1は、入力電圧Vinの昇圧及び降圧を行いうる昇降圧型DC/DCコンバータであっても良い。電源装置1は、入力電圧Vinに基づき、トランスを用いて入力電圧Vinから絶縁された出力電圧Voutを生成する絶縁型の電源装置であっても良い。
【0036】
図2に、電源装置1及び電源管理装置(パワーマネジメントIC)2を含む電源システムSYSの構成例を示す。図2の構成例においては、電源装置1が降圧型DC/DCコンバータとされている。以下、電源装置1が図2に示す降圧型DC/DCコンバータの構成を有しているものとして、電源システムSYSの構成及び動作を説明する。
【0037】
図2の電源装置1は、電源IC10と、IC10に対して外付け接続される複数のディスクリート部品と、を備え、当該複数のディスクリート部品には、出力コンデンサとしてのコンデンサC1と、帰還抵抗としての抵抗R1及びR2と、コイルL1とが含まれる。図2の電源装置1は、外部から供給される入力電圧Vinより所望の出力電圧Voutを生成する降圧型DC/DCコンバータとして構成されている。出力端子OUTに出力電圧Voutが生じる。即ち、出力端子OUTは出力電圧Voutの印加端(出力電圧Voutが加わる端子)である。出力電圧Voutは出力端子OUTに接続された任意の負荷(不図示)に供給される。入力電圧Vin及び出力電圧Voutは正の直流電圧であって、出力電圧Voutは入力電圧Vinよりも低い。例えば入力電圧Vinが12Vであるとき、抵抗R1及びR2の抵抗値を調整することで12V未満の所望の正の電圧値(例えば3.3Vや5V)にて出力電圧Voutを安定化させることができる。
【0038】
電源IC10は、図3に示すような、半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品(半導体装置)である。電源IC10の筐体に複数の外部端子が露出して設けられており、その複数の外部端子には、図2に示される入力端子IN、スイッチ端子SW、帰還端子FB、パワーグッド端子PG及びグランド端子GNDが含まれる。これら以外の端子も、上記複数の外部端子に含まれうる。尚、図3に示される電源IC10の外部端子の数及び電源IC10の外観は例示に過ぎない。
【0039】
電源IC10の外部構成について説明する。電源IC10の外部より入力電圧Vinが入力端子INに供給される。スイッチ端子SWと出力端子OUTとの間にコイルL1が直列に介在している。即ち、コイルL1の一端はスイッチ端子SWに接続され、コイルL1の他端は出力端子OUTに接続される。また、出力端子OUTはコンデンサC1の一端に接続され、コンデンサC1の他端はグランドに接続される。故にコンデンサC1の両端間に出力電圧Voutが加わる。更に、出力端子OUTは抵抗R1の一端に接続され、抵抗R1の他端は抵抗R2を介してグランドに接続される。抵抗R1及びR2間の接続ノードが帰還端子FBに接続される。グランド端子GNDはグランドに接続される。
【0040】
電源IC10の内部構成について説明する。電源IC10は、出力段回路11と、出力段回路11を制御するためのスイッチング制御回路12と、パワーグッド回路13と、動作モード設定部14と、テスト用回路15と、対象トランジスタM0と、を備える。
【0041】
出力段回路11は、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)として構成されたトランジスタ11H及び11Lを備える。トランジスタ11H及び11Lは、入力端子INとグランド端子GND(換言すればグランド)との間に直列接続された一対のスイッチング素子であり、それらがスイッチング駆動されることで入力電圧Vinがスイッチングされてスイッチ端子SWに矩形波状のスイッチ電圧Vswが現れる。トランジスタ11Hがハイサイド側に設けられ、トランジスタ11Lがローサイド側に設けられる。具体的には、トランジスタ11Hのドレインは入力電圧Vinの印加端である入力端子INに接続され、トランジスタ11Hのソース及びトランジスタ11Lのドレインはスイッチ端子SWに共通接続される。トランジスタ11Lのソースはグランドに接続される。但し、トランジスタ11Lのソースとグランドとの間に電流検出用の抵抗が挿入される場合もある。
【0042】
トランジスタ11Hは出力トランジスタとして機能し、トランジスタ11Lは同期整流トランジスタとして機能する。コイルL1及びコンデンサC1は、スイッチ端子SWに現れる矩形波状のスイッチ電圧Vswを整流及び平滑化して出力電圧Voutを生成する整流平滑回路を構成する。抵抗R1及びR2は出力電圧Voutを分圧する分圧回路を構成し、抵抗R1及びR2間の接続ノードに出力電圧Voutの分圧である帰還電圧Vfbが生じる。抵抗R1及びR2間の接続ノードが帰還端子FBに接続されることで帰還電圧Vfbが帰還端子FBに入力される。
【0043】
トランジスタ11H、11Lのゲートには、駆動信号として夫々ゲート信号GH、GLが供給され、トランジスタ11H及び11Lはゲート信号GH及びGLに応じてオン、オフされる。ゲート信号GHがハイレベルであるとき、トランジスタ11Hはオン状態となり、ゲート信号GHがローレベルであるとき、トランジスタ11Hはオフ状態となる。同様に、ゲート信号GLがハイレベルであるとき、トランジスタ11Lはオン状態となり、ゲート信号GLがローレベルであるとき、トランジスタ11Lはオフ状態となる。基本的には、トランジスタ11H及び11Lが交互にオン、オフされるが、トランジスタ11H及び11Lが共にオフ状態に維持されることもある。トランジスタ11H及び11Lが共にオン状態とされることは無い。
【0044】
スイッチング制御回路12は、帰還電圧Vfbに基づきゲート信号GH及びGLのレベル制御を通じてトランジスタ11H及び11Lの夫々のオン/オフ状態を制御し、これによって出力端子OUTに帰還電圧Vfbに応じた出力電圧Voutを発生させる。例えば、帰還電圧Vfbと所定の正の電圧値を有する基準電圧とが一致するように、トランジスタ11H及び11Lを交互にオン、オフすることで、出力電圧Voutを基準電圧に基づく所定の目標電圧Vtg(例えば3.3Vや5V)に安定化させる。
【0045】
尚、ここでは、同期整流方式を用いることを想定しているが、出力段回路11においてダイオード整流方式を採用するようにして良い。ダイオード整流方式が採用される場合、出力段回路11からトランジスタ11Lが削除され、代わりに、アノードがグランドに接続され且つカソードがスイッチ端子SWに接続された同期整流ダイオード(不図示)が出力段回路11に設けられる。トランジスタ11L及び同期整流ダイオードの夫々は、トランジスタ11H(出力トランジスタ)がオフ状態であるときに、コイルL1の蓄積エネルギに基づく電流をグランドから出力端子OUTに導く整流用素子として機能する。
【0046】
パワーグッド回路13は出力電圧Voutを監視する出力電圧監視回路の例である。パワーグッド回路13は出力電圧Voutが正常であるか異常であるかを判別し、出力電圧Voutが正常であると判別した場合には対象トランジスタM0をオフとし、出力電圧Voutが異常であると判別した場合には対象トランジスタM0をオンとする。ここでは、パワーグッド回路13に対して帰還電圧Vfbと設定電圧Vsetが入力され、帰還電圧Vfbと設定電圧Vsetとの高低関係に基づき出力電圧Voutの正常又は異常が判別されるものとする。設定電圧Vsetは入力電圧Vinを元に電源IC10内で生成される所定電圧であり、固定された正の直流電圧値(例えば600mV)を有する。
【0047】
パワーグッド回路13は、対象トランジスタM0のゲートに接続され、帰還電圧Vfb及び設定電圧Vset間の高低関係に応じて対象トランジスタM0のゲート電位を制御することで対象トランジスタM0の状態を制御する。パワーグッド回路13は、帰還電圧Vfbと設定電圧Vsetを比較するコンパレータを有し、後述される通常モードにおいて、帰還電圧Vfbが設定電圧Vsetよりも高いときには出力電圧Voutが正常であると判断して上記コンパレータから対象トランジスタM0のゲートにローレベルの信号を供給することにより対象トランジスタM0をオフ状態とし、帰還電圧Vfbが設定電圧Vsetよりも低いときには出力電圧Voutが異常であると判断して上記コンパレータから対象トランジスタM0のゲートにハイレベルの信号を供給することにより対象トランジスタM0をオン状態とする。“Vfb=Vset”のとき、上記コンパレータから対象トランジスタM0のゲートに供給される信号のレベルはローレベル及びハイレベルの何れかとなり、故に、対象トランジスタM0はオフ状態及びオン状態の何れかとなる。実際には上記コンパレータにおいてヒステリシス特性が付与される。出力電圧Voutと目標電圧Vtgとの関係において“Vout=Vtg×k”が成立するときに“Vfb=Vset”となる。係数kは1より小さい正の所定値を有し、例えば“k=0.8”である。
【0048】
対象トランジスタM0のドレインはパワーグッド端子PGに接続され、対象トランジスタM0のソースはグランドに接続される。即ち、パワーグッド端子PGに対し、オープンドレイン構成の対象トランジスタM0が接続される。パワーグッド端子PGは、電源IC10の外部に設けられた対象配線である配線WRpgに接続される。
【0049】
電源システムSYSにおいて、端子VCCは、所定の正の電源電圧Vccの印加端(電源電圧Vccが加わる端子)である。電源電圧Vccの印加端VCCと配線WRpgとの間にプルアップ抵抗R3が設けられる。即ち、配線WRpgはプルアップ抵抗R3を介して電源電圧Vccの印加端VCCに接続される。配線WRpgにおける電圧を監視対象電圧Vpgと称する。電源管理装置2は配線WRpgに接続され、監視対象電圧Vpgを監視することで出力電圧Voutが正常であるか否かを判断及び監視する。電源管理装置2は電圧Vccに基づいて駆動する装置であって良い。対象トランジスタM0がオンであるときには監視対象電圧Vpgのレベルがローレベルとなり、対象トランジスタM0がオフであるときには監視対象電圧Vpgのレベルがハイレベルとなる。故に電源管理装置2は、監視対象電圧Vpgのレベルがハイレベルであれば出力電圧Voutが正常であると判断し、監視対象電圧Vpgのレベルがローレベルであれば出力電圧Voutが異常であると判断する。より具体的には、電源管理装置2において、電圧Vccより小さく且つ0Vよりも大きい所定の判定電圧が設定され、監視対象電圧Vpgが判定電圧以上であれば監視対象電圧Vpgのレベルはハイレベルに分類され、監視対象電圧Vpgが判定電圧未満であれば監視対象電圧Vpgのレベルはローレベルに分類される。電源管理装置2は、出力電圧Voutに異常であると判断したとき、上位システム(非図示)にその旨を伝達すること処理等を含む所定の異常対応処理を行う。
【0050】
動作モード設定部14は、電源IC10の動作モードを複数のモードの何れかに設定する。上記複数のモードは通常モードとテストモードを含む。テストモードは電源IC10の出荷前の検査において利用されるモードである。図4に示す如く、電源IC10は原則として通常モードで動作し、電源IC10の起動時には電源IC10の動作モードは通常モードに設定される(ステップS1、S2)。電源IC10に対し、図示されない外部装置から所定のテスト信号が入力された場合に限り(ステップS3のY)、動作モード設定部14により電源IC10の動作モードがテストモードに設定され、電源IC10内の各回路がテストモードにて動作する(ステップS4)。テストモードへの設定後、電源IC10に対する入力電圧Vinの供給が遮断され、その後、電源IC10に対する入力電圧Vinの供給が再開されると、電源IC10の動作モードは通常モードとなる。上記複数のモードに通常モード及びテストモード以外のモードが含まれていても良いが、以下では、通常モードとテストモードにのみ注目する。以下の説明において、“通常モードにおいて”という表現又はそれに類する表現は、電源IC10の動作モードが通常モードに設定されている状況を指し、“テストモードにおいて”という表現又はそれに類する表現は、電源IC10の動作モードがテストモードに設定されている状況を指す。
【0051】
テスト用回路15は、テストモードにおいて有意に機能する回路である。以下の第1~第4実施例において、テスト用回路15の構成例や、電源システムSYSに関わる応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の第1~第4実施例に適用され、後述の各実施例の記載を解釈するにあたり、上述した事項と矛盾する事項については各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、第1~第4実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0052】
[第1実施例]
第1実施例を説明する。図5に、第1実施例に係るテスト用回路15の構成を、対象トランジスタM0及びパワーグッド回路13と共に示す。図5のテスト用回路15は、アナログスイッチASW1及びASW2と、N側ドライバ110及びP側ドライバ120と、トランジスタ130と、スイッチ制御部140と、を備える。
【0053】
アナログスイッチASW1はトランジスタM1及びM2の並列回路から成る。
【0054】
トランジスタM1はNチャネル型MOSFETであって、トランジスタM1の第1~第4電極である電極E1a、E1b、E1c及びE1dを備える。電極E1cはトランジスタM1のゲートであり、電極E1dはトランジスタM1のバックゲート(サブストレート)である。電極E1a及びE1bの内、一方はトランジスタM1のソースとして機能し、他方はトランジスタM1のドレインとして機能する。電極E1a及びE1bの内、より低い電位が与えられた方の電極がソースとして機能する。
【0055】
トランジスタM1において、バックゲートである電極E1dは、電極E1bに接続(短絡)される一方、電極E1aに対しては開放される(即ち非接続とされる)。このため、トランジスタM1において電極E1a及びE1d間に寄生ダイオードD1が形成されることになる。寄生ダイオードD1は、電極E1bにアノードが形成され且つ電極E1aにカソードが形成されたダイオード(即ち、電極E1bから電極E1aへ向かう方向を順方向とするダイオード)である。
【0056】
トランジスタM2はPチャネル型MOSFETであって、トランジスタM2の第1~第4電極である4つの電極E2a、E2b、E2c及びE2dを備える。電極E2cはトランジスタM2のゲートであり、電極E2dはトランジスタM2のバックゲート(サブストレート)である。電極E2a及びE2bの内、一方はトランジスタM2のソースとして機能し、他方はトランジスタM2のドレインとして機能する。電極E2a及びE2bの内、より高い電位が与えられた方の電極がソースとして機能する。
【0057】
トランジスタM2において、バックゲートである電極E2dは、電極E2aに接続(短絡)される一方、電極E2bに対しては開放される(即ち非接続とされる)。このため、トランジスタM2において電極E2b及びE2d間に寄生ダイオードD2が形成されることになる。寄生ダイオードD2は、電極E2bにアノードが形成され且つ電極E2aにカソードが形成されたダイオード(即ち、電極E2bから電極E2aへ向かう方向を順方向とするダイオード)である。
【0058】
トランジスタM1の電極E1a及びトランジスタM2の電極E2aはパワーグッド端子PGに共通接続される一方、トランジスタM1の電極E1b及びトランジスタM2の電極E2bはノードND1に共通接続される。ノードND1及び後述のノードND2は、互いに異なる所定の第1及び第2内部ノードであって、電源IC10内の所定の第1及び第2箇所に設けられる。
【0059】
既に述べたように、対象トランジスタM0のドレインはパワーグッド端子PGに接続され、対象トランジスタM0のソースはグランドに接続される。
【0060】
N側ドライバ110は、トランジスタM1のゲート電位を制御することによりトランジスタM1をオン又はオフする第1スイッチドライバの例である。トランジスタM1のオンとは、トランジスタM1の電極E1a及びE1b間のチャネルが導通している状態を指し、トランジスタM1のオフとは、トランジスタM1の電極E1a及びE1b間のチャネルが非導通となっている状態(遮断されている状態)を指す。N側ドライバ110は、トランジスタM1のゲート電位の制御を通じ、トランジスタM1の電極E1a及びE1b間を導通/非導通に制御することでトランジスタM1をオン又はオフする、と言える。
【0061】
N側ドライバ110は、プルダウン抵抗111及びインバータ回路112を備える。プルダウン抵抗111によりトランジスタM1のゲート(即ち電極E1c)はグランドに対しプルダウンされている。即ち、プルダウン抵抗111の一端はトランジスタM1のゲートに接続され、プルダウン抵抗111の他端はグランドに接続される。
【0062】
インバータ回路112は、電源電圧Vddを正側の電源電圧として且つグランドを負側の電源電圧として動作する論理回路である。電源電圧Vddは入力電圧Vinに基づく正の直流電圧である。入力電圧Vinそのものが電源電圧Vddであっても良いし、入力電圧Vinに基づき電源IC10内で生成された電圧が電源電圧Vddであっても良い。或いは、電源IC10における複数の外部端子の中に、入力電圧Vinと異なる直流電圧を受けるための電源入力端子(不図示)が設けられていても良く、この場合、電源入力端子に供給された直流電圧に基づく電圧を電源電圧Vddとして用いても良い。
【0063】
電源電圧Vddは、原則としてトランジスタM1のゲート閾値電圧Vth1及びトランジスタM2のゲート閾値電圧Vth2の絶対値|Vth2|よりも大きく(例外については後述)、特に述べない限り、電源電圧Vddは、ゲート閾値電圧Vth1及びゲート閾値電圧Vth2の絶対値|Vth2|よりも大きいものとする。ゲート閾値電圧Vth1は正の電圧である。ゲート閾値電圧Vth2は負の電圧である。ゲート閾値電圧Vth1及びVth2は実質的に同じ絶対値を有していて良いが、互いに異なる絶対値を有していても良い。電源電圧Vddと上述の電源電圧Vccと異なり、故に、電源電圧Vdd及びVccは互いに異なる電圧値を有しうるが、電源電圧Vdd及びVccは互いに同じ電圧値を有する場合もある。単一の電圧が電源電圧Vdd及びVccとして利用されることがあっても良い。
【0064】
トランジスタM1のゲート-ソース間電圧がゲート閾値電圧Vth1(例えば0.5V)以上であるとき、即ちトランジスタM1のソース電位から見てトランジスタM1のゲート電位がゲート閾値電圧Vth1以上高いとき、トランジスタM1はオンとなり、そうでないとき、トランジスタM1はオフとなる。
トランジスタM2のゲート-ソース間電圧がゲート閾値電圧Vth2(例えば-0.5V)以下であるとき、即ちトランジスタM2のソース電位から見てトランジスタM2のゲート電位がゲート閾値電圧Vth2の絶対値|Vth2|以上低いとき、トランジスタM2はオンとなり、そうでないとき、トランジスタM2はオフとなる。少なくとも、トランジスタM2のゲート-ソース間電圧の絶対値がゲート閾値電圧Vth2の絶対値|Vth2|を下回っていれば、トランジスタM2はオフとなる。
【0065】
インバータ回路112に対しスイッチ制御部140から制御信号CNT1が入力される。制御信号CNT1はハイレベル又はローレベルの何れかをとる二値化信号である。インバータ回路112の出力端子はトランジスタM1のゲート(即ち電極E1c)に接続され、インバータ回路112は、制御信号CNT1の反転信号をトランジスタM1のゲートに供給する。制御信号CNT1及びインバータ回路112の出力信号におけるハイレベルは、実質的に電源電圧Vddのレベルと一致し、制御信号CNT1及びインバータ回路112の出力信号におけるローレベルは、実質的にグランドのレベルと一致する。
【0066】
P側ドライバ120は、トランジスタM2のゲート電位を制御することによりトランジスタM2をオン又はオフする第2スイッチドライバの例である。トランジスタM2のオンとは、トランジスタM2の電極E2a及びE2b間のチャネルが導通している状態を指し、トランジスタM2のオフとは、トランジスタM2の電極E2a及びE2b間のチャネルが非導通となっている状態(遮断されている状態)を指す。P側ドライバ120は、トランジスタM2のゲート電位の制御を通じ、トランジスタM2の電極E2a及びE2b間を導通/非導通に制御することでトランジスタM2をオン又はオフする、と言える。
【0067】
P側ドライバ120は、抵抗121、トランジスタ122、プルダウン抵抗123及びインバータ回路124を備える。
【0068】
抵抗121はトランジスタM2の電極E2a及びE2c間に設けられる。即ち、抵抗121の一端及び他端は、夫々、電極E2a及びE2cに接続される。トランジスタ122はトランジスタM2の電極E2cとグランドとの間に設けられたスイッチング素子である。図5においてトランジスタ122はNチャネル型MOSFETとして構成される。トランジスタ122のドレインは電極E2cに接続され、トランジスタ122のソースはグランドに接続される。プルダウン抵抗123によりトランジスタ122のゲートはグランドに対しプルダウンされている。即ち、プルダウン抵抗123の一端はトランジスタ122のゲートに接続され、プルダウン抵抗123の他端はグランドに接続される。
【0069】
インバータ回路124は、電源電圧Vddを正側の電源電圧として且つグランドを負側の電源電圧として動作する論理回路である。インバータ回路124に対しスイッチ制御部140から制御信号CNT2が入力される。制御信号CNT2はハイレベル又はローレベルの何れかをとる二値化信号である。インバータ回路124の出力端子はトランジスタ122のゲートに接続され、インバータ回路124は、制御信号CNT2の反転信号をトランジスタ122のゲートに供給する。制御信号CNT2及びインバータ回路124の出力信号におけるハイレベルは、実質的に電源電圧Vddのレベルと一致し、制御信号CNT2及びインバータ回路124の出力信号におけるローレベルは、実質的にグランドのレベルと一致する。
【0070】
N側ドライバ110及びP側ドライバ120によりスイッチドライバが構成される。スイッチドライバは、トランジスタM1及びM2の各ゲート電位を制御することによりアナログスイッチASW1をオン又はオフする。アナログスイッチASW1のオンとはトランジスタM1及びM2の双方がオンとなることを指し、アナログスイッチASW1のオフとはトランジスタM1及びM2の双方がオフとなることを指す。
【0071】
トランジスタ130はノードND1とグランドとの間に設けられたスイッチング素子である。図5においてトランジスタ130はNチャネル型MOSFETとして構成されている。トランジスタ130のドレインはノードND1に接続され、トランジスタ130のソースはグランドに接続される。トランジスタ130のゲートには制御信号CNT3が入力される。尚、トランジスタ130並びに上述のトランジスタM0及び122において、バックゲートはソースに接続されている。
【0072】
アナログスイッチASW2は、ノードND1とノードND2との間に設けられたアナログスイッチである。アナログスイッチASW2には制御信号CNT4が入力され、制御信号CNT4に応じてアナログスイッチASW2がオン又はオフとなる。アナログスイッチASW2がオンであるときノードND1及びND2間が導通し、アナログスイッチASW2がオフであるときノードND1及びND2間が非導通となる(遮断される)。
【0073】
アナログスイッチASW1は上述の如く特異な構成を有するが、アナログスイッチASW2は一般的な双方向アナログスイッチであって良い。
【0074】
図6にアナログスイッチASW2の構成例を示す。図6のアナログスイッチASW2は、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタ151と、Pチャネル型MOSFETであるトランジスタ152と、インバータ回路153を備える。トランジスタ151は第1電極及び第2電極とゲート及びバックゲートを備える。トランジスタ151において、第1電極及び第2電極の内の一方がソースとして機能し、他方がドレインとして機能する。トランジスタ152は第1電極及び第2電極とゲート及びバックゲートを備える。トランジスタ152において、第1電極及び第2電極の内の一方がソースとして機能し、他方がドレインとして機能する。トランジスタ151及び152の各第1電極はノードND1に共通接続され、トランジスタ151及び152の各第2電極はノードND2に共通接続される。トランジスタ151のバックゲートはグランドに接続され、トランジスタ152のバックゲートは電源電圧Vddの印加端(電源電圧Vddが印加される端子)に接続される。トランジスタ151のゲートには制御信号CNT4が供給される。インバータ回路153は制御信号CNT4を受けて制御信号CNT4の反転信号を生成し、制御信号CNT4の反転信号をトランジスタ152のゲートに供給する。
【0075】
スイッチ制御部140は、動作モード設定部14により設定された動作モードに応じ制御信号CNT1~CNT4を生成及び出力することにより、アナログスイッチASW1のオン/オフ、アナログスイッチASW2のオン/オフ、トランジスタ130のオン/オフを制御する。制御信号CNT1を受けたN側ドライバ110の動作及び制御信号CNT2を受けたP側ドライバ120の動作により、アナログスイッチASW1がオン、オフする。このため、スイッチ制御部140は、上述のスイッチドライバ(N側ドライバ110及びP側ドライバ120)を用いてアナログスイッチASW1をオン又はオフに制御する、と言える。
【0076】
スイッチ制御部140は電源電圧Vddを正側の電源電圧として且つグランドを負側の電源電圧として用いて、制御信号CNT1~CNT4のレベルを制御する。このため、制御信号CNT1~CNT4におけるハイレベルは、実質的に電源電圧Vddのレベルと一致し、制御信号CNT1~CNT4におけるローレベルは、実質的にグランドのレベルと一致する。
【0077】
図7に動作モードに応じた制御信号CNT1~CNT4の状態を示す。
【0078】
スイッチ制御部140は、電源IC10の動作モードが通常モードに設定されているときにおいては、制御信号CNT1、CNT2及びCNT3をハイレベルとし且つ制御信号CNT4をローレベルとする。
【0079】
制御信号CNT1がハイレベルであるとき、トランジスタM1のゲート電位がローレベル(実質的にグランドのレベル)となる。電源システムSYS及び電源IC10においてパワーグッド端子PGにおける電圧及びノードND1における電圧が負になることはないため、制御信号CNT1がハイレベルとされてトランジスタM1のゲート電位がローレベル(実質的にグランドのレベル)となるときには、トランジスタM1のゲート-ソース間電圧がゲート閾値電圧Vth1未満となり、結果、トランジスタM1はオフとなる。
【0080】
制御信号CNT2がハイレベルであるとき、トランジスタ122のゲート電位がローレベルとなってトランジスタ122がオフし、結果、トランジスタM2の電極E2a及びE2c間の電位差はゼロとなる。図2の電源システムSYSにおいては、トランジスタ122がオフであるとき、トランジスタM2の電極E2a及びE2cに等しく電圧Vccが加わる。また通常モードでは後述されるようにトランジスタ130がオンとなるので、電極E2aがトランジスタM2のソースとして機能する。故に、トランジスタ122がオフであるときにはトランジスタM2のゲート-ソース間電圧の絶対値がゲート閾値電圧Vth2の絶対値|Vth2|を下回るので、トランジスタM2はオフとなる。
【0081】
このように、通常モードにおいては、トランジスタM1及びM2が共にオフとなるのでアナログスイッチASW1がオフとなる。また、通常モードにおいて、制御信号CNT3がハイレベルとされることでトランジスタ130がオンとなり、制御信号CNT4がローレベルとされることでアナログスイッチASW2がオフとなる。
【0082】
スイッチ制御部140は、電源IC10の動作モードがテストモードに設定されているときにおいては、制御信号CNT1、CNT2及びCNT3をローレベルとし且つ制御信号CNT4をハイレベルとする。
【0083】
制御信号CNT1がローレベルであるとき、トランジスタM1のゲート電位がハイレベル(実質的に電源電圧Vddのレベル)となり、トランジスタM1がオンとなる。但し、ここにおけるトランジスタM1のオンとは、詳細には、パワーグッド端子又は及びノードND1における電圧が電圧(Vdd-Vth1)以下であるときにおいて、トランジスタM1の電極E1a及びE1b間のチャネルを通じパワーグッド端子PG及びノードND1間が導通することを指す。
【0084】
制御信号CNT2がローレベルであるとき、トランジスタ122のゲート電位がハイレベルとなってトランジスタ122がオンし、結果、トランジスタM2のゲート電位が実質的にゼロボルトまで低下するので、トランジスタM2がオンとなる。但し、ここにおけるトランジスタM2のオンとは、詳細には、パワーグッド端子PG又はノードND1における電圧がゲート閾値電圧Vth2の絶対値|Vth2|以上であるときにおいて、トランジスタM2の電極E2a及びE2b間のチャネルを通じパワーグッド端子PG及びノードND1間が導通することを指す。
【0085】
このように、テストモードにおいては、トランジスタM1及びM2が共にオンとなることでアナログスイッチASW1がオンとなり、ゼロボルトから電源電圧Vddまでの電圧範囲における信号を、アナログスイッチASW1を介し、パワーグッド端子PG及びノードND1間で伝搬することができる。また、テストモードにおいて、制御信号CNT3がローレベルとされることでトランジスタ130がオフとなり、制御信号CNT4がハイレベルとされることでアナログスイッチASW2がオンとなる。故に、テストモードにおいては、ゼロボルトから電源電圧Vddまでの電圧範囲における信号を、アナログスイッチASW1及びASW2を介し、パワーグッド端子PG及びノードND2間で伝搬することができる。
【0086】
尚、制御信号CNT1~CNT3は互いに同じレベルを有しているため、スイッチ制御部140は単一の制御信号を制御信号CNT1~CNT3として出力するようにしても良い。また、制御信号CNT4がハイレベルであるときにアナログスイッチASW2がオフとなり且つ制御信号CNT4がローレベルであるときにアナログスイッチASW2がオンとなるようにアナログスイッチASW2を変形しても良い。この変形が適用された場合には、通常モードにおいて制御信号CNT4はハイレベルとされ且つテストモードにおいて制御信号CNT4はローレベルとされる。そうすると、上記変形が適用された場合には、制御信号CNT1~CNT4が互いに同じレベルを有することとなるため、スイッチ制御部140は単一の制御信号を制御信号CNT1~CNT4として出力するようにしても良い。
【0087】
パワーグッド回路13は、電源IC10の動作モードが通常モードに設定されているときにおいては、出力電圧Voutに応じて(詳細には帰還電圧Vfbに基づき)対象トランジスタM0をオン又はオフする。即ち、通常モードにおいて、パワーグッド回路13は、帰還電圧Vfbが設定電圧Vsetよりも高いときには対象トランジスタM0のゲートにローレベルの信号を供給することで対象トランジスタM0をオフ状態とし、帰還電圧Vfbが設定電圧Vsetよりも低いときには対象トランジスタM0のゲートにハイレベルの信号を供給することで対象トランジスタM0をオン状態とする。一方、電源IC10の動作モードがテストモードに設定されているとき、パワーグッド回路13は、出力電圧Voutに依らず(詳細には帰還電圧Vfbに依らず)対象トランジスタM0をオフ状態で固定する。
【0088】
図2に示す如く、電源システムSYSの中に電源IC10が組み込まれるとき、電源IC10は通常モードで動作する。このとき、パワーグッド端子PGから電源電圧Vddの印加端に向かうダイオードパスを発生させないことが肝要である。これを考慮し、電源IC10では、以下の第1~第3対策を講じている。
第1対策として、電源IC10では、Pチャネル型MOSFETであるトランジスタM2のバックゲートを電源電圧Vddの印加端ではなくパワーグッド端子PGに接続する。これにより、トランジスタM2のバックゲートを介した電源電圧Vddの印加端へのダイオードパスが生じない。
第2対策として、通常モードにてアナログスイッチASW1をオフ状態に維持すべくトランジスタM2の電極E2a及びE2c間に抵抗121を設ける。
第1対策を行ったとしても、仮に、電源電圧Vddを元に動作する回路にてトランジスタM2のゲートを直接駆動する構成を採用したならば(例えばインバータ回路124の出力端子をトランジスタM2のゲートに直接接続する構成を採用したならば)、その回路を通じて、パワーグッド端子PGから電源電圧Vddの印加端に向かうダイオードパスが発生する。これを封じるべく、第3対策として、トランジスタM2のゲートとグランドとの間にスイッチング素子(ここではトランジスタ122)を設けて当該スイッチング素子の状態制御によりトランジスタM2のオン/オフを実現する。
【0089】
これらの対策により、通常モードにおいてはアナログスイッチASW1がオフとされ、電源電圧Vddより高い電圧がパワーグッド端子PGに加わったとしても(即ち“Vcc>Vdd”であったとしても)ダイオードパスによる逆流は生じない。
【0090】
テストモードでは、電源IC10の良否を判定するためのテスト装置(不図示)が用意され、テスト装置が電源管理装置2の代わりにパワーグッド端子PGに接続される。そして、テストモードにおいてはアナログスイッチASW1及びASW2がオンとされ且つトランジスタ130がオフとされる。このため、パワーグッド端子PGを介して、テスト装置はノードND2の信号を読み込んだり、ノードND2に対して所望の信号を出力したりすることが可能となり、これらの信号の読み込み及び出力を通じて、電源IC10の良否を判定することができる(電源IC10が良品であるか不良品であるかの判定を行うことができる)。
【0091】
ノードND2は、電源IC10内の任意のノードであっても良い。例えば、帰還電圧Vfbからゲート信号GH及びGLを生成する過程で必要とされるエラーアンプ又はコンパレータの入力端子又は出力端子や、電源IC10の温度に応じた電圧が加わるべき端子(サーマルシャットダウン回路内の端子)が、ノードND2であって良い。
【0092】
尚、テスト用回路15からトランジスタ130及びアナログスイッチASW2を削除する変形を施すようにしても良い。図8に、この変形が施されたテスト用回路15’の構成を示す。テスト用回路15’において、制御信号CNT3及びCNT4は不要となり、ノードND1はノードND2に直結される(換言すればノードND1とノードND2は同じものを指す)。但し、この変形が施された場合、通常モードにおいて、パワーグッド端子PGに加わるノイズがアナログスイッチASW1の容量結合を通じてノードND2に伝わる。一方で、ノードND2は、電源電圧Vddの印加端に接続される回路素子に接続されたり、出力段回路11のスイッチング制御のための回路素子に接続されたりするので、低ノイズであることが望ましい。これを考慮すれば、図5に示すようにトランジスタ130及びアナログスイッチASW2を設けておくことが好ましい。
【0093】
通常モードにおいて電源電圧Vddの元となる電圧(例えば入力電圧Vin)の低下等により、電源電圧Vddが各トランジスタのゲート閾値電圧の大きさよりも小さくなったとき、インバータ回路112及び124並びにスイッチ制御部140は各トランジスタを正しくオン/オフ制御するための信号を出力できなくなる。但し、この場合でも、
トランジスタM1はプルダウン抵抗111により確実にオフとされ、
トランジスタM2は抵抗121により確実にオフとされる(プルダウン抵抗123に基づきトランジスタ122がオフとなることと、抵抗121の存在と、が協働して確実にオフとされる)。
このとき、トランジスタ130のオフを確保できなくなるが、アナログスイッチASW1がオフしているので問題は生じない。通常モードでトランジスタ130がオフ状態であると、パワーグッド端子PGに加わるノイズがアナログスイッチASW1及びASW2の容量結合を通じてノードND2に伝わるが、トランジスタ130のオフを確保できなくなる程度の減電時において、上記ノイズの存在は実体的な弊害を生まない。
【0094】
第1実施例の構成により、パワーグッド端子PGのオープンドレイン特性(電源端子Vddの印加端へのダイオードパス無し)を保ちながら、テストモードにてパワーグッド端子PGを通じ内部ノード(ND1、ND2)にアクセスすることが可能となる。
【0095】
[第2実施例]
第2実施例を説明する。電源システムSYSには、図9に示す如く、上述の電源IC10を含む電源装置1が複数設けられていても良い。図9の電源システムSYSでは、複数の電源装置1にて個別に出力電圧Voutが生成され、複数の電源装置1における複数の電源IC10の夫々にパワーグッド端子PGが設けられる。複数の電源IC10における複数のパワーグッド端子PGは上述の配線WRpgに共通接続される。
【0096】
図9の電源システムSYSにおける電源管理装置2は、監視対象電圧Vpgを監視することで、複数の電源装置1における複数の出力電圧Voutが全て正常であるか否かを判断することができる。即ち、電源管理装置2は、監視対象電圧Vpgのレベルがハイレベルであれば電源システムSYSにおける全ての出力電圧Voutが正常であると判断し、監視対象電圧Vpgのレベルがローレベルであれば電源システムSYSにおける1以上の出力電圧Voutが異常であると判断する。上述の如く例えば、電源管理装置2において、電圧Vccより小さく且つ0Vよりも大きい所定の判定電圧が設定され、監視対象電圧Vpgが判定電圧以上であれば監視対象電圧Vpgのレベルはハイレベルに分類され、監視対象電圧Vpgが判定電圧未満であれば監視対象電圧Vpgのレベルはローレベルに分類される。
【0097】
[第3実施例]
第3実施例を説明する。図2又は図9の電源システムSYSは自動車等の車両に搭載されて良い。この場合、車両に設けられた任意の電子機器に電源システムSYSで生成された出力電圧Voutが供給され、当該電子機器は出力電圧Voutに基づいて動作する。出力電圧Voutに基づいて動作する電子機器は、例えば、カーナビゲーション装置、デジタルメータ、エアバック、各種のECU(Electronic Control Unit)、センサ、又は、先進運転支援システムを構成する各部品である。
【0098】
尚、電源装置1及び電源システムSYSの用途は車載用途に限らず任意であり、任意の電子機器に電源装置1及び電源システムSYSを搭載することができる。
【0099】
[第4実施例]
第4実施例を説明する。
【0100】
対象トランジスタM0をNPNバイポーラトランジスタにて構成しても良い。この場合、上述の説明における対象トランジスタM0のドレイン、ソース、ゲートを、夫々、コレクタ、エミッタ、ベースに読み替え、対象トランジスタM0のコレクタ、エミッタを、夫々、パワーグッド端子PG、グランドに接続すれば良い。対象トランジスタM0がバイポーラトランジスタにて構成されていてもパワーグッド回路13の動作は上述した通りであり、パワーグッド回路13は対象トランジスタM0のベースを駆動することで対象トランジスタM0をオン又はオフすれば良い。
【0101】
トランジスタ122は、トランジスタM2のゲート及びグランド間に配置されるスイッチング素子の例である。スイッチング素子としてのトランジスタ122を、NPNバイポーラトランジスタにて構成するようにしても良い。この場合、上述の説明におけるトランジスタ122のドレイン、ソース、ゲートを、夫々、コレクタ、エミッタ、ベースに読み替え、トランジスタ122のコレクタ、エミッタを、夫々、トランジスタM2のゲート、グランドに接続すれば良い。トランジスタ122がバイポーラトランジスタにて構成されていても、インバータ回路124の動作は上述した通りであり、インバータ回路124はトランジスタ122のベースを駆動することでトランジスタ122をオン又はオフすれば良い。
【0102】
トランジスタ130は、ノードND1及びグランド間に配置される他のスイッチング素子の例である。他のスイッチング素子としてのトランジスタ130を、NPNバイポーラトランジスタにて構成するようにしても良い。この場合、上述の説明におけるトランジスタ130のドレイン、ソース、ゲートを、夫々、コレクタ、エミッタ、ベースに読み替え、トランジスタ130のコレクタ、エミッタを、夫々、ノードND1、グランドに接続すれば良い。トランジスタ130がバイポーラトランジスタにて構成されていても、スイッチ制御部140の動作は上述した通りであり、スイッチ制御部140は制御信号CNT3の出力を通じトランジスタ130のベースを駆動することでトランジスタ130をオン又はオフすれば良い。
【0103】
電源IC10において、帰還端子FBに出力電圧Voutを直接入力することも可能であり、この場合、帰還電圧Vfbは出力電圧Voutそのものとなる。帰還電圧Vfbが出力電圧Voutそのものであっても、帰還電圧Vfbが出力電圧Voutに応じた帰還電圧(出力電圧Voutに比例する帰還電圧)であることに変わりは無い。
【0104】
電源IC10の各回路素子は半導体集積回路の形態で形成され、当該半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置が構成される。但し、複数のディスクリート部品を用いて電源IC10内の回路と同等の回路を構成するようにしても良い。電源IC10内に含まれるものとして上述した幾つかの回路素子(例えばトランジスタ11H及び11L)は、電源IC10外に設けられて電源IC10に外付け接続されても良い。
【0105】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。
【0106】
電源ICのパワーグッド端子に注目して、本発明の実施形態を説明したが、オープンドレイン構成又はオープンコレクタ構成を有する任意の半導体装置において、本発明を広く適用することができる。本発明に係る半導体装置は、電源IC10にて具体化された電源用半導体集積回路であって良い他、例えば、LEDドライバ、モータドライバ、メモリ、マイクロコンピュータであって良い。本発明に係る装置(例えば半導体装置)は、例えば、対象外部端子(上述の端子PGに対応)を含む複数の外部端子と、対象外部端子とグランドとの間に配置された対象トランジスタ(上述のトランジスタM0に対応)と、監視対象の正常/異常を判別し判別結果に応じて対象トランジスタをオン又はオフする回路(上述の回路13に対応)とを備える装置であると良い。電源IC10における監視対象は出力電圧Voutであるが、本発明において、監視対象は、電圧、電流、温度、信号、データなど、任意である。
【0107】
<<本発明の考察>>
上述の実施形態にて具体化された本発明について考察する。
【0108】
本発明の一側面に係る半導体装置(以下、半導体装置Wと称する)は、対象外部端子(例えばパワーグッド端子PG)を含む複数の外部端子が設けられた半導体装置において、前記対象外部端子と所定の基準電位を有する基準導電部との間に設けられた対象トランジスタ(例えば対象トランジスタM0)と、Nチャネル型MOSFETとして構成された第1トランジスタ(例えばトランジスタM1)及びPチャネル型MOSFETとして構成された第2トランジスタ(例えばトランジスタM2)の並列回路から成り、前記対象外部端子と所定の内部ノード(例えばND1)との間に設けられたアナログスイッチ(例えばアナログスイッチASW1)と、前記第1トランジスタのゲート電位及び前記第2トランジスタのゲート電位を制御することにより前記アナログスイッチをオン又はオフするスイッチドライバと、を備え、前記第1トランジスタは、第1電極と、第2電極と、第3電極であるゲートと、第4電極であるバックゲートとを有し、前記第1トランジスタのゲート電位に応じて前記第1トランジスタの第1電極及び第2電極間が導通又は非導通に制御され、前記第2トランジスタは、第1電極と、第2電極と、第3電極であるゲートと、第4電極であるバックゲートとを有し、前記第2トランジスタのゲート電位に応じて前記第2トランジスタの第1電極及び第2電極間が導通又は非導通に制御され、前記第1トランジスタの第1電極及び前記第2トランジスタの第1電極が前記対象外部端子に共通接続され、前記第1トランジスタの第2電極及び前記第2トランジスタの第2電極が前記内部ノードに共通接続され、前記第1トランジスタのバックゲートは前記内部ノードに接続されて前記第1トランジスタのバックゲート及び第1電極間に第1寄生ダイオード(例えばダイオードD1)が形成され、前記第2トランジスタのバックゲートは前記対象外部端子に接続されて前記第2トランジスタのバックゲート及び第2電極間に第2寄生ダイオード(例えばダイオードD2)が形成され、前記スイッチドライバは、前記第2トランジスタの第1電極及びゲート間に設けられた抵抗(例えば抵抗121)と、前記第2トランジスタのゲートと前記基準導電部との間に設けられたスイッチング素子(例えばトランジスタ122)を有し、前記スイッチング素子をオン又はオフすることで、前記第2トランジスタのゲート電位を制御する。
【0109】
本発明において、対象トランジスタはオープンドレイン構成又はオープンコレクタ構成のトランジスタであれば任意であり、対象外部端子は当該対象トランジスタに接続される外部端子であれば任意である。
【0110】
具体的には例えば、前記半導体装置Wにおいて、前記スイッチドライバは、前記第1トランジスタのゲート電位を制御する第1スイッチドライバ(例えばN側ドライバ110)と、前記第2トランジスタのゲート電位を制御する第2スイッチドライバ(例えばP側ドライバ120)と、を備え、前記スイッチング素子はNチャネル型MOSFET又はNPNバイポーラトランジスタから成り、前記スイッチング素子のドレイン又はコレクタは前記第2トランジスタのゲートに接続され、前記スイッチング素子のソース又はエミッタは前記基準導電部に接続され、前記第1スイッチドライバは、前記第1トランジスタのゲートと前記基準導電部との間に設けられた第1プルダウン抵抗(例えばプルダウン抵抗111)と、前記第1トランジスタのゲートに接続され、正の電源電圧(例えば電源電圧Vdd)に基づき前記第1トランジスタのゲート電位を制御する第1駆動回路(例えばインバータ回路112)と、を備え、前記第2スイッチドライバは、前記抵抗(例えば抵抗121)及び前記スイッチング素子(例えばトランジスタ122)を備えるとともに、前記スイッチング素子のゲート又はベースと前記基準導電部との間に設けられた第2プルダウン抵抗(例えばプルダウン123)と、前記スイッチング素子のゲート又はベースに接続され、前記電源電圧に基づき前記スイッチング素子をオン又はオフする第2駆動回路(例えばインバータ回路124)と、を備える。
【0111】
本発明において、第1駆動回路は第1トランジスタのゲート電位を制御できる回路であれ任意であり、インバータ回路であっても良いし、インバータ回路に分類されない電圧又は電流の出力回路であっても良い。同様に、本発明において、第2駆動回路は前記スイッチング素子をオン又はオフできる回路であれ任意であり、インバータ回路であっても良いし、インバータ回路に分類されない電圧又は電流の出力回路であっても良い。
【0112】
当該半導体装置Wは、入力電圧から出力電圧を生成する電源装置を構成するための電源用半導体集積回路であって良く、この場合、当該半導体装置Wは、前記出力電圧に応じて前記対象トランジスタをオン又はオフする出力電圧監視回路(例えばパワーグッド回路13)を更に備えていると良い。
【0113】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 電源装置
2 電源管理装置
10 電源IC
11 出力段回路
12 スイッチング制御回路
13 パワーグッド回路
14 動作モード設定部
15 テスト用回路
M0 対象トランジスタ
PG パワーグッド端子
R3 プルアップ抵抗
WRpg 配線
ASW1、ASW2 アナログスイッチ
110 N側ドライバ
120 P側ドライバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15