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特許7340516電子機器を収納するためのエコロジカルな多層構造および関連する製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】電子機器を収納するためのエコロジカルな多層構造および関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20230831BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230831BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230831BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230831BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20230831BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20230831BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H05K1/02 A
G06F3/041 660
G06F3/044 120
G06F3/01 560
H05K1/18 Q
H05K3/28 C
B32B15/08 J
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020511165
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 FI2018050600
(87)【国際公開番号】W WO2019038480
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】15/687,157
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516089669
【氏名又は名称】タクトテク オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン,テロ
(72)【発明者】
【氏名】ケラーネン,アンティ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン,ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】サースキー,ヤルモ
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0135198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
G06F 3/041
G06F 3/044
G06F 3/01
H05K 1/18
H05K 3/28
B32B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を収納するための集積多層構造(100、400)であって、
関連する自然に成長した、または天然テキスタイル系の表面組織を含みこれを呈する、有機的な電気的に実質的に絶縁し、実質的に不透明な有機天然材料を含む第1の基板(102)を備え、前記第1の基板(102)は、前記集積多層構造のあらかじめ規定された前側に面し、前記集積多層構造のまたはその収納デバイスのユーザおよび/または使用環境に面するように任意に構成された第1の側(102A)と、反対側の第2の側(102B)とを有し、前記集積多層構造はさらに、
任意に熱可塑性または熱硬化性プラスチックを含み、前記第1の基板の前記第2の側に、少なくとも部分的に前記第2の側を覆うように成形されたプラスチック層(112)と、
前記第1の基板の前記第2の側に設けられ、前記プラスチック層の成形された材料に少なくとも部分的に埋込まれた回路(104、104B)とを備え、前記回路は、少なくとも1つの光源(104C、320、322)、任意にLEDもしくは具体的には底面撮影LEDを含み、
前記光源によって放射される光は、好ましくは選択された形状(220、222)に従って前記第1の基板の材料における薄い部分を透過して輝くように構成されており、前記第1の基板は、前記薄い部分において局所的に実質的に半透明である前記有機天然材料を含む、集積多層構造。
【請求項2】
前記回路は、導電トレース、導体パッド、電極、電子部品、電気機械部品、電気光学部品、放射発光部品、発光部品、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、側方撮影部品または他の光源、上部撮影LEDまたは他の光源、底面撮影LEDまたは他の光源、放射検知部品、光検知部品、フォトダイオード、フォトトランジスタ、光起電デバイス、センサ、マイクロメカニカル部品、スイッチ、タッチスイッチ、近接スイッチ、タッチセンサ、近接センサ、容量性スイッチ、容量センサ、投影型容量センサまたはスイッチ、単極容量性スイッチまたはセンサ、多極容量性スイッチまたはセンサ、自己容量センサ、相互容量センサ、誘導センサ、センサ電極、UI要素、ユーザ入力要素、振動要素、通信要素、データ処理要素、データ記憶要素、および電子サブアセンブリからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、請求項1に記載の集積多層構造。
【請求項3】
前記有機天然材料は、木材、一枚板、化粧板、プライウッド、樹皮、木の樹皮、樺の樹皮、コルク、天然皮革、天然テキスタイルまたは布材料、綿、羊毛、リネン、および絹からなる群から選択される少なくとも1つの部材を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の集積多層構造。
【請求項4】
前記第1の基板は成形可能である、任意に熱成形可能である、または冷間成形可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の集積多層構造。
【請求項5】
前記第1の基板および任意に全体的な構造が、少なくとも局所的に湾曲した形状(200、300)を包含する実質的に非平面状の3次元形状を呈する、請求項1~4のいずれか1項に記載の集積多層構造。
【請求項6】
前記光源によって放射される前記光は、反射器、光導波路、および/または透明もしくは半透明の窓(430A、430B)を包含する埋込まれた光誘導手段によってさらに制御されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の集積多層構造。
【請求項7】
前記第1の基板には、視覚的な表示器、または下に横たわる光源に対応する場所に任意に実質的に位置決めされ、かつ、光が透過可能になるように(430A、430B)光学的に透過性の、任意に実質的に透明もしくは半透明の材料で充填されたスルーホールによる装飾特徴が設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の集積多層構造。
【請求項8】
成形された前記プラスチック層の反対側の、任意にプラスチックフィルムタイプの第2の基板(103)を備え、前記第2の基板は、任意に光源を含む回路(104、104D)を好ましくは収容する、請求項1~7のいずれか1項に記載の集積多層構造。
【請求項9】
成形された前記プラスチック層は、弾性樹脂、熱硬化性材料、熱可塑性プラスチック材料、PC、PMMA、ABS、PET、ナイロン(PA、ポリアミド)、PP(ポリプロピレン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、ポリスチレン(GPPS)、TPSiV(熱可塑性シリコーン加硫物)、およびMS樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の集積多層構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の集積多層構造を備える収納デバイス(110)。
【請求項11】
電子端末デバイス、携帯端末デバイス、ハンドヘルド端末デバイス、ハンドヘルドコントローラ、乗物、車、トラック、飛行機、ヘリコプタ、車載電子機器、乗物ダッシュボード、乗物外面、乗物内装パネル、乗物ダッシュボードパネル、乗物ドアパネル、照明デバイス、乗物照明デバイス、家具、構造もしくは装飾要素、計測デバイス、コンピュータデバイス、インテリジェント衣服、ウェアラブル電子機器、マルチメディアデバイス、マルチメディアプレーヤ、産業機械、コントローラデバイス、および個人用通信デバイスからなる群から選択される少なくとも1つの要素を備える、請求項10に記載の収納デバイス。
【請求項12】
多層構造を製造するための方法(500)であって、
任意に多層積層体を包含する、複合要素である第1の基板を取得すること(504)を備え、前記第1の基板は、関連する自然に成長した、または天然テキスタイル系の表面組織を含みこれを呈する、有機的な電気的に実質的に絶縁し、実質的に不透明な有機天然材料を含み、好ましくは前記多層構造のあらかじめ規定された前側に面し、任意に前記多層構造のユーザおよび/または使用環境に面するように構成された第1の側と、反対側の第2の側とを有し、前記方法はさらに、
任意に、搭載によっておよび/またはプリンテッドエレクトロニクス技術によって、回路を前記第1の基板の少なくとも前記第2の側に設けること(506、508)を備え、前記回路は、少なくとも1つの光源(104C、320、322)、任意にLEDもしくは具体的には底面撮影LEDを含み、
前記第1の基板の前記第2の側に、少なくとも部分的に前記第2の側および前記回路を覆うようにプラスチック材料を成形すること(512)と、
前記第1の基板が薄い部分において局所的に実質的に半透明である前記有機天然材料を含み、それによって可視光を包含する電磁放射が前記薄い部分を介してさらに効果的に透過できるように、前記第1の基板の前記有機天然材料を選択的に薄くすることと、
前記光源によって放射される光が、前記第1の基板の前記有機天然材料における前記薄い部分を、好ましくは選択された形状に従って透過するように、前記光源および前記薄い部分を構成することとを備える、方法。
【請求項13】
1つ以上の部品および/または導電トレースを包含する、前記回路の少なくとも一部をその上に設けることに続いて、選択された基本的に3次元形状を呈するように、少なくとも局所的にまたはさらに広く前記第1の基板を形成すること(510)を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
任意に図形および/または電子機器をその上に収容する、任意にプラスチックフィルムを含む第2の基板を、前記第1の基板から離れて面するプラスチック層の側に設けることを備える、請求項12~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記有機天然材料は、レーザによって選択的に薄くされている、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
プリンテッドエレクトロニクス技術を利用した回路を包含する回路をその上に設けることに先立って、前記有機天然材料の上に、任意にニス、塗料、または着色料を含むプライマを少なくとも選択的に設けることを備える、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願に至るプロジェクトは、助成金申請第725076号の下で欧州連合のホライズン2020研究および革新的開発プログラムから資金の提供を受けている。
【0002】
発明の分野
本発明は概して、電子機器、関連デバイス、構造、および製造方法に関する。本発明は特に、電子要素を有する基板とその上に設けられた成形層とを組み込んだ、環境に優しい集積多層構造を設けることに関するが、これに限定されるわけではない。
【背景技術】
【0003】
背景
一般に、電子機器および電子製品に関連して、さまざまな異なる積層アセンブリおよび構造が存在する。
【0004】
電子機器および関連製品の集積の背後の動機は、関連使用状況と同じぐらい多岐にわたる場合がある。結果として導かれる解決策が最終的に積層の性質を示す場合、部品のサイズの削減、重量の削減、材料の削減、費用の削減、性能の向上または単に効率的な詰込みが求められることが比較的多い。その結果、関連する使用事例は、製品パッケージまたは食品の包装、デバイスの筐体、ウェアラブル電子機器、携帯用電子機器、ディスプレイ、検出器またはセンサ、車室、アンテナ、ラベル、車の電子機器、家具の視覚デザインなどに関連し得る。
【0005】
電子部品、IC(集積回路)、および導体などの電子機器は一般に、複数の異なる技法によって基板要素上に設けられ得る。たとえば、さまざまな表面搭載型デバイス(SMD)などの既製の電子機器は、最終的に多層構造の内側または外側界面層を形成する基板表面に搭載され得る。さらに、「プリンテッド・エレクトロニクス」という用語に該当する技術は、実際に電子機器を関連する基板に直接および基本的に付加的に製造するために適用され得る。この文脈における「プリンテッド(印刷)」という用語は、実質的に付加的な印刷プロセスによって、印刷された物から電子機器/電子要素を製造可能なさまざまな印刷技法を表し、スクリーン印刷、フレキソ印刷、およびインクジェット印刷を含むが、これらに限定されるわけではない。使用される基板は可撓性のある有機的な印刷物であり得るが、必ずしもそういうわけではない。
【0006】
回路基板などの基板またはさらにはプラスチックフィルムには電子機器が設けられ、成形層に少なくとも部分的に埋込まれた電子機器を有する多層構造を構築できるように、プラスチックによってオーバーモールドされてもよい。したがって、電子機器は、環境から隠され、水分、物理的衝撃、またはほこりなどの環境条件から保護される場合がある一方で、成形された層はさらに、美しさ、移動媒体、寸法記入などの観点でさまざまな付加的な使用を有する場合がある。
【0007】
しかしながら、エコロジカルな思考および持続可能な開発の観点では、通常使用されている材料の多くは、たとえば生分解が遅いことおよびリサイクル性が困難なことによる、廃棄物管理での関連する難題に関連して多大なストレスをさらに環境に与える可能性があるため、次善の策であるかもしれない。さらに、たとえば電子機器を含む構造が、たとえば使用環境およびユーザに直接面する、ユーザに見える事例を考慮すると、美的に比較的人工的で、冷たい感じの、または光沢のないことがある従来の材料は、全ての使用目的に十分適合しない場合がある。さらに、電気的機能または電子的機能を使用環境に最大限近づけることが必要とされるいくつかの事例では、それゆえ、たとえば電子機器を収納する従来の下に横たわる回路基板の上にさらに美しいマスク層を配設することは、好ましい解決策ではない。くわえて、この解決策の全体の厚さまたは重量に不必要に加えられやすいため、多くの使用事例では、可能であれば避けられるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
本発明の目的は、集積多層構造およびそれに埋込まれた電子機器の観点から、既存の解決策と関連する上述の欠点の1つ以上を少なくとも軽減することである。
【0009】
この目的は、本発明に係る多層構造および関連する製造方法のさまざまな実施形態で達成される。
【0010】
本発明の一実施形態によると、電子機器を収納するための集積多層構造は、
関連する自然に成長した、または天然テキスタイル系の表面組織を含みこれを呈する、有機的な電気的に実質的に絶縁した天然材料を含む、多層積層体などの複合要素の場合もある第1の基板を備え、第1の基板は、構造のあらかじめ規定された前側に面し、構造のまたはその収納デバイスのユーザおよび/または使用環境に面するように任意に構成された第1の側と、反対側の第2の側とを含み、集積多層構造はさらに、
第1の基板の第2の側に、少なくとも部分的に第2の側を覆うように成形された、熱可塑性または熱硬化性プラスチック層などのプラスチック層と、
好ましくは多くの導電トレース、パッド、電極、および/または少なくとも1つの電子部品、電気機械部品、および/または電気光学部品を含み、第1の基板の第2の側に設けられ、プラスチック層の成形されたプラスチック材料に少なくとも部分的に埋込まれた回路とを備える。
【0011】
さまざまな実施形態において、第1の基板は、木材、一枚板、化粧板、プライウッド、樹皮、木の樹皮、樺の樹皮、コルク(樹皮組織のコルク組織層を含む)、天然皮革、および天然テキスタイル、または綿、羊毛、リネン、もしくは絹などの布材料(織られていてももしくは編まれていてもよい、または他の態様では、たとえば天然繊維から製造されていてもよい)からなる群から選択される少なくとも1つの天然の、有機的に成長した材料のこともあるが必ずしもそうではない材料を含み得る、または、基本的にこれからなり得る。明らかに、上述の選択肢のいくつかは重複しており、たとえば木材および化粧板またはプライウッドに関して同時に行われてもよい。さまざまな好ましい実施形態では、第1の基板は、有機的で生物学的な生体材料など、またはこれらの材料の任意の組合せおよび可能な他の材料、場合によっては炭素系材料および/またはさまざまなプラスチックを実際に含む、または少なくとも主にそれからなる。
【0012】
さまざまな実施形態では、第1の基板は成形可能でもよい。第1の基板は、実質的に、熱成形材料などの成形可能材料で構成されてもよい、または、天然材料などの成形可能な層を少なくとも含んでもよい。そのため、当初は実質的に平面状のこともある、たとえばシート状の(xy方向にはるかに長く延在する一方で、厚さ/z寸法はそれよりも小さく基本的に一定である)第1の基板は、成形前または成形中に、たとえば凸部または凹部形状が構築された状態の所望の少なくとも局所的に3次元の形状(異なる厚さ、すなわち、z方向の異なる寸法)を呈するように、熱成形などの好適な形成法を用いて形成され得る。形成は、電子機器の複雑な3Dアセンブリを避けるためにまたは少なくとも抑制するために、回路の少なくとも一部を第1の基板に設けた後で行われてもよい。形成は、たとえば射出成形を用いて、たとえば別のプロセスステップとして、基板およびその上に設けられた回路にプラスチック層を成形して、それを少なくとも部分的にオーバーモールドすることに先立っても行われ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、形成は成形に関連して実行され得る。たとえば化粧板もしくはプライウッドなどの木製の基板でそのような形成を容易にする、または向上させるために、基板をまず湿らせてもよい。
【0013】
さまざまな実施形態では、第1の基板、または木材、テキスタイル、皮革もしくは他の有機的な天然基層などの少なくとも1つのサブポーションは、約数(たとえば2~6)mm未満の厚さでもよく、より好ましくは約1mm未満の厚さでもよく、さらに好ましくは約0.5mm未満の厚さでもよく、最も好ましくは約0.3mm未満の厚さでもよい。第1の基板がたとえば上述のテキスタイル、皮革、またはたとえば化粧板もしくはプライウッドからなる木製の層と、たとえばプラスチック材料(たとえば、熱可塑性フィルムなどのプラスチックフィルム)からなる少なくとも1つの別の層とを含む場合、最終的な基板構造の全厚は、依然として上述の制限内に少なくとも局所的にとどまっていてもよく、または、それよりわずかに大きくてもよく、フィルムの厚さに応じて最大で1または2ミリメートル大きいことが典型的である。
【0014】
実際は、上述したようように、さまざまな実施形態では、第1の基板は観点によっては、被覆もしくはプライマなどの1つ以上の付加的な隣接する積層された層、および/または(たとえば、基板に積層されたまたは押し出された)プラスチック層をさらに含み得る、またはそれに取付けられ得る。そのような付加的な層または要素が、たとえば保護、形削り(形成)または強化目的で設けられていてもよい。それゆえ、回路は、基板の木材、皮革、コルク、もしくは天然テキスタイルタイプの基材に、および/または被覆もしくは積層フィルムに直接設けられ得る。
【0015】
さまざまな実施形態では、第1の基板または多層基板の場合はその少なくとも1つの層は、それを通して、下に横たわる成形されたプラスチック、および/または、その反対側のプラスチックの真下の別の基板または他の材料層などの他の特徴を見ることができる開口部、または一般に基板がない領域を画定し得る。それゆえ、可視的な表示器または装飾特徴が構築され得る。スルーホールなどの開口部は、光、またはたとえば何らかの他の所望の電磁放射に、その影響を受けることなく基板を透過させるように構成され得る。以下でさらに説明するように、いくつかの実施形態では、関連する光学的なビアまたは窓を構築するように、スルーホールなどの開口部が、たとえば光学的に透明または半透明の、すなわち透過性の材料で充填されていてもよい。開口部または窓は、さまざまな形状、たとえば実質的に円形の、角のある、または細長い(たとえば輪郭または線)形状を画定し得る。
【0016】
さまざまな実施形態では、基板、材料層(たとえば、被覆、インク、接着剤)、回路(たとえば、トレース、部品)および/または他の特徴を含む構造の要素のうち1つ以上は、少なくとも部分的に、すなわち、少なくとも複数の場所において、たとえば可視スペクトルにおいて選択された波長および/または構造のたとえば発光または光検出部品の動作周波数を考慮して、光学的に実質的に不透明、透明または半透明でもよい。これらの波長は、たとえばそれぞれ含まれる発光部品および光取得(たとえば感知)部品に関して多層構造の電子機器によって放出される、または受取られる波長を含み得る。当該要素の透過率は、たとえば要素が当該波長を考慮して光学的に透明であると考えられる場合は、約80%、85%、90%、95%でもよく、またはさらに高くてもよい。
【0017】
上記に関連して、第1の基板は実質的に、LEDなどの下に横たわるLED光源がそれを通して目に見えるように輝くように、透明ではないにせよ、少なくとも局所的に少なくとも半透明であってもよい。基板材料の透明度または透過率は、材料の厚さによって調整されてもよく、これは通常、厚さが小さいと透過率が大きくなること、および逆もまた同じであることを意味する。たとえば、通常きわめて不透明な材料であると考えられる化粧板などの多くの木製材料は、1ミリメートルまたはわずか数ミリメートルまたはそれより小さい層の厚さを設けることによって、近くの光源の視点から半透明に変わり得る。代替的にまたは追加的に、不透明な材料には、透明もしくは半透明の材料で充填された、または充填されていない開口部のままである上述のスルーホールタイプの窓が設けられてもよく、可視光などの電磁放射の所望の波長にそれ自体を透過させる。
【0018】
さまざまな実施形態では、図形または他の視覚的な特徴が、たとえばインクまたは塗料で画定された着色形状によって、たとえば基板表面の構造内に設けられ得る。これらの形状は、たとえば印刷によって構築され得る。代替的にまたは追加的に、図形または一般に視覚的な(表示器および/または美的)形状が、典型的にはユーザに見えるその第1の側(外側)の基板などの構造において、適切に形削りされ光を反射する、屈折する、回折する、および/または透過させる表面、微細構造、または光学ビア/窓(たとえば、充填されていない、または半透明もしくは透明の充填材料を有するスルーホール)によって設けられ得る。
【0019】
さまざまな実施形態では、図形もしくは開口部/窓、または他の選択された領域もしくは量などの、構造の多くの選択された表面タイプまたは埋込まれた特徴が、下に横たわる発光要素によって照射され得る、および/または、周囲の光またはそれに入射する他の光などの大幅に反射する外部からの光を大幅に反射し得る。反射率は、拡散性を有してもよく、および/または鏡のようなものでもよい。それゆえ、場合によってはたとえば制御入力位置を示す情報を与えるシンボル、アイコン、もしくは他の形状、メッセージまたは状態情報などの照射された特徴が、UI目的および/または装飾目的で構築され得る。たとえば、LEDまたはOLEDなどの底面撮影(bottom-shooting)光源は、ビア/窓を透過して第1の側および環境に対して輝くように、基板の第2の側およびたとえば関連する第2の面に、回路の少なくとも一部として設けられてもよい。潜在的な関連する付加的な利点として、光源そのものが、他の態様で構造に埋め込まれた別の光源によって引き起こされる起こり得る光の漏れを抑制または防止してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、有機的な天然材料、他の材料層、または別の特徴を含む基板のもののような構造の不透明な(たとえば着色された)もしくは半透明の領域または量は、たとえば外観検査から、たとえば可視光および/または他の波長を考慮して、回路などの選択された下に横たわる特徴を光学的に少なくとも部分的に隠すように構成され得る。そのため、基板または他の層は実際に、対象の波長などを考慮して示された色、透過率(不透明、半透明、透明)の観点から、所望の光学特性を有し得る。
【0021】
さまざまな実施形態では、回路は一般に、基板の表面に、その内部に、または他の態様ではそれと関連して設けられるトレース(配線)、導体パッド、電極、およびまたは他の種類の導電体もしくは一般に導電要素、または部品などの多くの特徴を表し得る。なお、さまざまな実施形態では、回路は、電子部品、電気光学部品、電気機械部品、放射発光部品、発光部品、LED(発光ダイオード)、OLED(有機LED)、側方撮影(side-shooting)(発光)部品または他の光源、上部撮影(top-shooting)LEDまたは他の光源、底面撮影LEDまたは他の光源、放射検知部品、光検知部品、フォトダイオード、フォトトランジスタ、セルなどの光起電デバイス、センサ、マイクロメカニカル部品、スイッチ、タッチスイッチ、近接スイッチ、タッチセンサ、近接センサ、容量性スイッチ、容量センサ、投影型容量センサまたはスイッチ、単極容量性スイッチまたはセンサ、多極容量性スイッチまたはセンサ、自己容量センサ、相互容量センサ、誘導センサ、センサ電極、UI要素、ユーザ入力要素、振動要素、通信要素、コントローラまたはプロセッサなどのデータ処理要素、およびメモリチップなどのデータ記憶要素からなる群から選択される少なくとも1つの部品を含み得る。なお、たとえばそれ自体の回路基板および部品を有する電子サブアセンブリが、構造の基板および/または他の層に設けられ得る。
【0022】
さまざまな実施形態では、回路および他の設けられ得る特徴が、スクリーン印刷またはインクジェットなどのプリンテッドエレクトロニクス技術を利用して、対象の基板層に(たとえば、上述の天然材料、または先にその上に設けられた被覆もしくはフィルムの表面に)設けられ得る。代替的にまたは追加的に、搭載(たとえば、SMT、表面実装技術)、積層、または転送積層、蒸着などに関して、多くの他の技術が利用可能である。同様に、たとえば光ガイドまたは図形などの補足的な部品など他の特徴を設けることが可能である。設けられた部品は、当業者によって容易に理解されるような好適な実装技術を用いて実装されていてもよい。なお、たとえば搭載可能な部品が、基板上の以前に印刷されたもしくは他の態様で設けられた導電トレース、パッド、または他の接続領域に設けられ得る。
【0023】
さまざまな実施形態では、第2の基板または他の、場合によっては複合要素も、成形されたプラスチックの反対側に設けられる。多くの使用事例および関連する実施形態では、第1の基板は、構造のユーザおよび使用環境に近接して位置し、少なくともその表面を考慮してユーザに見える可能性があるままであり得るという意味では前面基板とみなすことができる一方で、第2の基板は、たとえば収納デバイスまたは収納構造に面する構造の後側に位置することが多いが、ユーザおよび/または収納デバイスに対する基板の逆のまたは何らかの他の配置は、当業者によって容易に理解されるように、いくつかの他の実施形態および使用事例において技術的に実現可能である。第1および第2の基板は、それらの寸法、材料、形状、穴および/または収納されている部品または一般的な回路などの他の特徴を考慮して、相互に同様でもよく(たとえば、上述のリストを参照)、または異なっていてもよい。一般に、第1の基板に関する上述の考慮はそのため、第2の基板にも当てはまる。いくつかの実施形態では、第2の基板は、熱可塑性、熱硬化性などのプラスチック材料もしくは他のプライマを含み得る、または実質的にこれから構成され得る、または、木製材料(たとえば、化粧板、プライウッド、樹皮またはコルク)などの有機材料を含み得る。
【0024】
2つの基板を備えるさまざまな実施形態では、それらは少なくとも1つのプラスチック材料が(たとえば、マルチショット成形によって設けられ得る複数の中間成形材料/層であるため)それらの間に射出されて多層積層体が任意に1回で構築できるような金型の両側または半分に位置決めされ得る、すなわち挿入され得る。代替的に、第2の基板は、たとえば接着剤、高温および/または圧力を利用した接合を用いて実施可能な積層技術によって成形層に積層されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の基板は、第1の基板に導体材料を介して電気的に接続されている。追加的にまたは代替的に、基板または電子部品もしくはその上の他の回路などの特徴は、互いに、またはたとえばユーザの手、指もしくは(他の)スタイラスペンなどの外部要素に、関連する電磁場または電磁束によって、無線で電気的にまたは電磁的に接続され得る。
【0025】
複数の基板および/または成形されたプラスチック層の任意の側の他の層は、積層(熱、圧力、接着剤など)によって、および/またはたとえば機械的な固定手段によって、互いに接合され得る。これらの層は、可撓性を有し得る(可逆的に湾曲し得る)、または基本的に非可撓性である、もしくは剛性を有し得る(塑性変形)。
【0026】
さまざまな実施形態では、第1および/または第2の基板は、完成した構造において平面形状を呈し得る。しかしながら、当該形状は、代替的に少なくとも局所的に基本的に3次元でもよく、以下でより詳細に説明される熱成形または冷間成形などの成形によって構築されてもよい。
【0027】
さまざまな実施形態では、基板および/または成形層などの材料層を通る多くのビアが設けられていてもよく、または基本的に導電性材料で充填されていてもよく、この導電性材料は、たとえば、電気伝導性などのその所望の特性を考慮して少なくとも過度に破損することなく母材の(熱)成形に耐えるように、成形可能であることがさらに好ましい。
【0028】
さまざまな実施形態では、多層構造は、インカップリングした光を所望の態様で誘導できるように、たとえば寸法、材料(たとえば、関連する屈折率、透過率)などに関して構成された光導波路、具体的に光ガイドなどの少なくとも1つの光学的に透過性の要素を含む。光ガイドはたとえば、その選択された放射面を介してアウトカップリングするために、またはたとえば光ガイド内に設けられた、これに隣接して設けられた、または少なくともこれに任意に連結された感光性センサもしくは他の光学的な機能要素に到達するために、インカップリングされた光を選択された方向に案内し得る。光ガイドは、少なくとも部分的に基板(たとえば、第1、第2、または他の基板)もしくは構造の何らかの他の層の上に、印刷によって製造され得る、または既製の要素として設けられ得る(たとえば、積層によって取付けられ得る)。
【0029】
さまざまな実施形態では、構造は、第2の側に設けられ少なくとも局所的に第2の基板の関連する第2の面に接する可能性のある別の第2の成形層を含む。第2の成形層の材料は、反対の第1の側の第1の成形層と同じでも、または異なっていてもよい。また、同じもしくは異なる成形技法またはパラメータが、層を製造するために利用されていてもよい。
【0030】
場合によっては、上記したように、1回のプロセスで複数のプラスチック層を設けるために、マルチショット成形などのマルチ材料対応の成形技術が用いられてもよく、これは、本明細書で示唆される多層構造の選択された成形層の製造にも応用され得る。
【0031】
一般に、さまざまな実施形態では、多層構造に含まれる基板のいずれかに成形されるプラスチック層は、ポリマー、有機体、生体材料、有機体またはグラファイトなどの複合物などの材料、およびそれらの実現可能な組合せを含み得る。材料は、熱可塑性プラスチック材料であってもよい、またはこれを少なくとも含んでもよい。代替的にまたは追加的に、成形層は、熱硬化性材料からなってもよい、または少なくとも含んでもよい。
【0032】
さまざまな実施形態では、構造において材料層を製造するために使用される成形技法は異なっていてもよいが、たとえば射出成形、および反応射出成形などの反応成形を含み得る。成形プロセスは、場合によっては前述のマルチ材料で、および/または、マルチショットタイプとして構成されていてもよい。低圧成形は、たとえば超過圧力によって下に横たわる電子機器が損傷することを防止するために適用され得る。任意に、複数の成形材料が、基板および/またはその上に重ねられた複数の層の積層体上に1つ以上の成形層、たとえば、左右に位置する隣接した層を構築するために用いられ得る。基板の任意の側に構築された(たとえば印刷された)、搭載された、または他の態様で設けられた1つ以上の部品および/または他の回路は、導入された手順によって少なくとも部分的にオーバーモールドされていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、成形層を構築するために使用される材料は、光学的に実質的に不透明、透明、または半透明の材料を含む。透明または半透明の材料は、たとえば他の選択された波長の可視光または電磁放射がほぼ損失を発生することなく成形された材料を透過できるように選択されてもよい。所望の波長での十分な透過率は、たとえば約80%、85%、90%、もしくは95%でもよく、またはさらに高くてもよい。他の設けられた成形(熱)可塑性プラスチック材料は、選択された波長を考慮して、実質的に不透明または半透明でもよい。
【0034】
さらに、多層構造の実施形態および任意に多層構造を収納する、もしくはこれに少なくとも機能的に接続する収納タイプの構造またはデバイスの実施形態を含むシステムが提供され得る。
【0035】
任意の収納タイプならびに動作可能におよび/または物理的に(たとえば機械的に)接続された構造またはデバイスは、電子端末デバイス、携帯端末デバイス、ハンドヘルド端末デバイスもしくはコントローラ、乗物、車、トラック、飛行機、ヘリコプタ、車載電子機器、乗物ダッシュボード、乗物外面、乗物内装パネル、乗物ダッシュボードパネル、乗物ドアパネル、照明デバイス、乗物照明デバイス、家具、構造もしくは装飾要素、計測デバイス、コンピュータデバイス、インテリジェント衣服(たとえば、シャツ、ジャケット、もしくはズボン、またはたとえば圧縮帯)、他のウェアラブル電子機器(たとえば、リストップ(wristop)デバイス、ヘッドウェア、またはフットウェア)、マルチメディアデバイスもしくはプレーヤ、産業機械、コントローラデバイス、個人用通信デバイス(たとえば、スマートフォン、ファブレットもしくはタブレット)または他の電子機器からなる群から選択される少なくとも1つの要素を備え得る。
【0036】
本発明の他の一実施形態によると、多層構造を製造するための方法は、
多層積層体などの複合要素のこともある第1の基板を得ることを備え、第1の基板は、自然に成長した、または天然テキスタイル系の表面組織を含みこれを呈する、有機的な電気的に実質的に絶縁した天然材料を含み、好ましくは構造のあらかじめ規定された前側に面し、構造のまたはその収納デバイスのユーザおよび/または使用環境に面するように任意に構成された第1の側と、反対側の第2の側とを有し、方法はさらに、
任意に搭載によっておよび/またはプリンテッドエレクトロニクス技術によって、回路を第1の基板の少なくとも第2の側に設けることと、
第1の基板の第2の側に、少なくとも部分的に第2の側および回路を覆うようにプラスチック材料を成形することとを備える。
【0037】
上述したように、いくつかの実施形態では、別の基板、他の材料層および/または特徴が、構造に設けられ得る、たとえば成形手順におけるインサートとして使用され得る、既存の層へ積層され得る、または、たとえば成形もしくは印刷によって構造内に直接構築され得る。
【0038】
これによって、たとえば第2の基板、場合によってはプラスチック層が、上述したように成形されたプラスチックの他の側に設けられ得る。第2の基板は、積層された構造が間にプラスチック材料を射出することによって得られるように、第1の基板と共に金型に位置していてもよく、または、第2の基板は、成形されたプラスチック層に直接製造されない場合は好適な積層技法を用いて後で設けられてもよい。また、第2の基板は、(たとえば、成形されたプラスチック層に面する)その任意の側に電子機器およびたとえば図形(それゆえ、たとえばIML技法の適用も可能である)を有し得る。さらに、第2の基板は、保護目的および/または所望の光透過率、外観(たとえば色)または手触りなどの他の技術的な特徴を有し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、上述したように、第1のおよび/または別の、たとえば第2の基板には、その両側にプライマまたは(プラスチックフィルム)などの付加的な層が設けられてもよい。第1の基板、第2の基板および/またはそれに設けられた付加的な層は基本的に、1つの材料のみを含み得る、または複合タイプであり得る。さらに、回路は積層され得る。たとえば、導電トレースおよび/またはパッドが、最初に基板に設けられ、その後、多くの部品がトレース/パッドに配置されてもよい。
【0040】
実施可能な成形法の例としては、熱可塑性プラスチック材料と関連する射出成形、および特に熱硬化性物質と関連する反応射出成形などの反応成形が挙げられる。複数のプラスチック材料の場合、それらはツーショット成形法または一般にマルチショット成形法を用いて成形され得る。複数の成形ユニットを有する成形マシンを用いてもよい。代替的に、複数のマシンまたは1つの再構成可能なマシンが、順番に複数の材料を提供するために使用可能である。適用可能な成形技法およびパラメータを考慮すると、たとえば前述の射出成形および反応成形が、使用される材料、所望の材料特性などに応じて実際に実施可能な選択肢である。電子機器などの下に横たわる特徴への圧力を最小にするために、低圧(たとえば、約10バール未満)成形、たとえば第1の基板の第2の側およびその上の回路のオーバーモールドが、選択された成形動作において用いられてもよい。異なる成形技法が、たとえば強度などの所望の機械特性の観点で構造に異なる材料特性をもたらすために適用可能である。
【0041】
さまざまな実施形態では、結果として生じる構造の1つ以上の基板および/または他の材料層が形成されて、場合によっては熱成形されて、好ましくはその上の多くの部品、電極、導体および/または導体パッドなどの回路を設けることに続いて、実質的に平坦な形状ではなく所望の少なくとも局所的に3次元であることが典型的な目標形状を呈し得る。成形に先立って基板上に既に設けられている電子機器などの要素の材料、寸法、位置決めおよび他の構成は、破損することなく、成形によって生じる力に耐えることができるように選択されるものとする。成形によって、たとえば収納デバイスまたは構造内の構造を一体化しやすくすることができる。
【0042】
さまざまな実施形態では、可能な第2の基板の第2の側および関連する第2の表面も、少なくとも1つの材料によって少なくとも部分的にオーバーモールドされ得る。たとえば、低圧成形が、上で考察したように、部品または他の回路などの下に横たわる要素を保護するために用いられ得る。
【0043】
多層構造で設けられる電子機器は、本明細書のどこかで説明されるような、制御、測定、UI、データ処理、記憶などの目的を有し得る。
【0044】
さまざまな方法の項目の相互の実行順序は異なるものでもよく、各特定の実施形態で場合毎に決定されてもよい。たとえば、設けられ得る第2の基板の第2の側は、第1の側に先立って(そのため、第2の基板の第1の側は第1の基板の第2の側に面し、間に成形された材料を有する)、第1の側の後でまたは実質的にそれと同時にオーバーモールドされてもよい。たとえば、成形された材料は、たとえばその既存のまたは圧力によって生じるスルーホールを介して、第2の基板の第1の側から反対側まで伝播するように注入され得る。
【0045】
多層構造のさまざまな実施形態について提示された考察は、当業者によって理解されるように、必要な変更を加えて関連する製造方法の実施形態に柔軟に応用可能であり、その逆も同様である。さらに、さまざまな実施形態は、当業者によって柔軟に組合わされて、本明細書で概して開示された特徴の好ましい組合せを思いつくであろう。
【0046】
本発明の有用性は、実施形態に応じて複数の問題から生じる。たとえば射出成形された構造的な電子機器の一般的な文脈でさまざまな電子デバイスおよび配置を構築するために少なくとも1つの基板層、成形層、および間に位置する電子機器層を有する積層されたサンドイッチ構造は、本物の木材、本革、および天然テキスタイルなど、環境に優しい、好ましくは再生可能で容易にリサイクルが可能な天然材料を用いて構築され得る。
【0047】
そのため、耐久性および保護性などのそのような材料の自然な外観、感触および/または他の好ましい特性は、電子機器も含む機能的な構造に関連する使用に活かされてもよい。実際に、いくつかの実施形態では、材料は、構造のまたは関連する収納デバイスの外面の、または少なくとも表面近くの層の少なくとも一部を構築してもよい。これによって次に、たとえば内装に関して乗り物内で電子的な機能をさまざまな対象デバイス、構造および表面と、たとえば視覚的に途切れないように一体化することが容易になり得る。それにもかかわらず、天然材料は電子機器および場合によっては別の特徴の基板材料としても設けることができるため、構造は比較的薄く軽く維持され得る。構造が薄いために、たとえば検知電子機器などの埋込まれた電子機器と環境との間の距離について補足的な利点が生じることがあるが、これは、いくつかの使用事例では最小限にする必要がある、または、少なくともある範囲内にとどめる必要がある。
【0048】
オーバーモールドを適用する提案された製造方法は、比較的採用しやすく、さらに有益だと考えられることに、たとえば印刷されたインモールド電子機器に依拠する場合、全く新しいまたは特に複雑な製造技術を必要としない。基板が依然として実質的に平面状である状態でその上に部品およびたとえば配線などの電子機器を設けた後に基板を所望の3D形状に(熱)成形することによって、基板上に電子機器の負担となる3Dアセンブリの必要性および他の3Dの集中的な処理の必要性がさらに低減され得る、または取り除かれ得る。
【0049】
一般に、得られた多層構造は、所望のデバイス、すなわち、たとえばインテリジェント衣服(たとえば、シャツ、ジャケット、もしくはズボン、またはたとえば圧縮帯)などの収納デバイスまたは収納構造のモジュール、他のウェアラブル電子機器(たとえば、リストップデバイス、ヘッドウェア、またはフットウェア)、乗り物の外部要素または内部要素などの乗り物(たとえば、内装パネル、ダッシュボードまたは他の表面に埋込まれた車載電子機器)、個人用通信デバイス(たとえば、スマートフォン、ファブレットもしくはタブレット、またはそのスマートカバー)、センサ、または本明細書で説明される他の電子機器を構築するために用いられ得る。得られた構造の集積レベルは高くてもよく、その厚さなどの所望の寸法は小さくてもよい。
【0050】
基板などの使用される材料層は、(たとえば皮革トレースまたは木目など、それら自体の独特な特徴的な図による特徴を有し得る皮革、木材または布地を考慮して)それらの自然な手触りに加えて図形および他の視覚的におよび/または触覚的に検知可能な特徴をその上に保持するように構成され得る。多層構造に含まれる材料は、所望の色を呈し得る。そのため構造は一般に、テキスト、写真、シンボル、トレースなどの図形を任意に決定する1つ以上の色/着色層を組込む。
【0051】
成形されたプラスチック材料は、埋込まれた電子機器の固定および保護、ならびに外部デバイスまたは一般的な構造への接続を含むさまざまな目的で最適化され得る。材料はたとえば、水分、熱、寒さ、ほこり、衝撃などの環境条件から電子機器を保護するように構成され得る。さらに、たとえば光透過率および/または弾性を考慮して所望の特性を有し得る。埋込まれた電子機器が発光部品または他の放射線放出または受光部品を含む場合、材料は、たとえば光を透過させるのに十分な透過率を有し得る。成形された材料は、本来多くの色を呈し得る、または、たとえばインク、塗料、フィルム、複合物、それと同等のもの、被覆によって、後で着色され得る。
【0052】
「多くの(a number of)」という表現は、1から始まる任意の正の整数を表し得る。
「複数の(a plurality of)」という表現は、それぞれ2から始まる任意の正の整数を表し得る。
【0053】
本明細書における「第1の」および「第2の」という用語は、他の態様で明確に記載されていない場合、1つの要素を他の要素と区別するために用いられ、特に要素に優先順位または順序を付けるように用いられるものではない。
【0054】
本発明の異なる実施形態は、添付の従属項に開示されている。
本発明について、添付の図面を参照してさらに詳細に以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】本発明に係る多層の一実施形態を示す図である。
図2】環境およびユーザに面する、図1のような多層構造の一実施形態を、基本的に前面側を描く軸測投像図によって示す図である。
図3】反対側の裏面から図2の実施形態を示す図である。
図4】本発明に係る、多層構造の別の実施形態、すなわち、図1の実施形態を基本的に拡張したものを示す図である。
図5】本発明に係る方法のある実施形態を開示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
詳細な説明
図1は、側面断面図を用いて、100で示す多層構造の1つの例示に過ぎない実現によって、本発明のさまざまな実施形態の多くの一般概念を示す図である。項目101は、環境に位置する構造100の可能な使用環境(屋外、屋内、車内など)および可能な人間のユーザ(存在している場合)を表す一方で、破線の輪郭線で示される項目110は、収納デバイスまたは収納構造110を表す。
【0057】
完成した多層構造100は、たとえば電子デバイスなどそれ自体の最終製品を実際に構築してもよい、または、装飾的な動機および機能的な動機の両方を有するパネルなどの集合部品またはモジュールとして、収納デバイスに配設されてもよい。当然のことながら、構造100は、図示されていない多くの別の要素または層を含み得る。
【0058】
構造100は、以下で説明するような少なくとも1つの基板102を含む。基板102は、たとえば、木材、皮革、または天然テキスタイル材料に関して以下で説明するような有機天然材料からなる、またはこれを少なくとも含む。光学的に、たとえば設けられる材料層の厚さにもよるが、材料は実質的に不透明または半透明であることが典型的である。基板102は、第1の側102Aおよび第2の側102Bと、関連する面とを有する。第1の側/面102Aは、たとえば本明細書における環境およびユーザに面し得る一方で、第2の側/面102Bは、内部構造物に面し得る。
【0059】
基板102には、1つの材料層のみが設けられてもよく、または、基板102は、複数の材料および/または材料層の積層体もしくは複合物であってもよい。基板102は、主な天然材料に加えて、たとえば、1つの材料または複合被覆(たとえば、プライマー)と呼ばれることもある(副)層114、または、たとえば回路104を直接収容可能なプラスチックフィルムなどを組み込んでもよく、または、これに隣接していてもよい。追加的にまたは代替的に、たとえばプラスチックおよび/または複合物のこともある他の材料(たとえば、透明もしくは半透明の、または窓/スルーホールを少なくとも複数の箇所に含む層)からなる少なくとも1つの別の表面層116が、たとえば、保護、感触および/または美的目的のために含まれてもよい。回路104は、たとえばトレースの印刷電子機器層、およびたとえば、特定の回路配置を構築する接続パッドおよび配置によって収容された多くの電子部品を表し得る。基板102は、たとえば、フィルム状の薄い可撓性(たとえば、屈曲性)を有することもある要素、またはさらに剛性を有する薄い要素でもよい。図示された場合では、基板102および全体構造100は両方とも実質的に平面状であるが、後の図で示すように、3D形状も十分に実施可能で一般的であり、たとえば熱成形などの成形によって得ることができる。
【0060】
回路104は、たとえば印刷または搭載された部品に加えて、たとえば電気接続を部品におよび/または部品間に配置するために、任意にプリンテッドエレクトロニクス技術によって設けられた接続パッドおよび/または導電トレース(導電体)などの多くの接続要素104Bを特に含んでもよい。接続パッドだけでなく他の導体もしくはトレース、またはたとえば(電気)遮蔽要素が、たとえば炭素もしくは他の伝導性粒子を含む銅、銀、アルミニウム、もしくは導電性エラストマーなどの導電材料、または、パッドがその上もしくは内部に位置する表面の見栄えを場合によっては高めるような他の材料を含んでもよい、またはこれから形成されてもよい。接続パッドの形状は、任意の好適な幾何学形状でもよい。
【0061】
印刷されたバージョンに加えてまたはこれに代えて、これらの部品は、いわゆる表面搭載要素など、基板102(の表面)に搭載された既製の部品を含み得る。たとえば、電子機器を基板に機械的に固定するために接着剤を利用可能である。導電接着剤および/または半田などの付加的な導体材料が、導電トレースおよび部品などのさまざまな要素間に電気的節接続および機械的接続を構築するために設けられてもよい。
【0062】
部品104は、印刷された、たとえばスクリーン印刷された部品および/または電子サブアセンブリなどの受動部品、能動部品、パッケージ化された部品、IC(集積回路)を含み得る。まず、たとえば、1つ以上の部品が、FPC(フレキシブルプリント回路)、またはたとえば剛性のたとえばFR4タイプ(難燃性)の基板などの別の基板上に設けられ、その後、全体が(すなわちサブアセンブリとして)対象の基板102に取付けられてもよい。
【0063】
好ましくは少なくとも部分的に電子または電気の性質を有する回路104に戻ると、これらは、他の選択肢のうちで、光電電子部品、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、信号処理部、DSP(デジタル信号処理部)、センサ、スイッチ、タッチスイッチ、近接スイッチ、プログラム可能な論理チップ、メモリ、トランジスタ、レジスタ、キャパシタ、インダクタ、容量性スイッチ、電極要素、メモリアレイ、メモリチップ、データインターフェース、トランシーバ、無線トランシーバ、送信機、受信機、無線送信機、および無線受信機からなる群から選択される少なくとも1つの電子部品を含み得る。
【0064】
なお、構造100が収納する回路104の部品は、少なくとも1つの光電電子部品を含み得る。少なくとも1つの光電電子部品は、たとえば、LED(発光ダイオード)、OELD(有機LED)、または何らかの他の発光部品を含み得る。これらの部品は、側方撮影(すなわち、側面発光(side-emitting)または「側面加熱(side-firing)」)、底面撮影または上部撮影のものでもよい。代替的にまたは追加的に、これらの部品は、フォトダイオード、フォトレジスタ、もしくは他の光検出器、またはたとえば光起電電池などの受光部品もしくは感光部品を含み得る。OLEDなどの光電電子部品は、搭載されるのではなく、プリンテッドエレクトロニクス技術の好ましい方法を用いて、基板102に印刷されていてもよい。実際、たとえば異なる検知および/または他の機能が、埋込まれたIC、専用の部品、共用のIC/電子機器(多目的電子機器)、および/または他の回路によって実現可能である。ある部品が構造100において位置決めされてもよく、構造100は、この部品が環境101と十分な程度相互作用可能になるように概ね構成されていてもよい。たとえば、基板102の材料の種類、質感および厚さは、部品が放射する光を透過させ、ユーザによって感知されるとはっきりと輝くように選択可能である。基板102にはスルーホールなどの開口部またはたとえば目的のために好ましくは透明または半透明の材料で充填された窓が設けられ得る一方で、下に横たわる好ましくは近くに位置する光源が放射する光が透過可能な程度に、基板102の厚さを小さく維持すれば十分であり得る場合もある。
【0065】
成形されたプラスチック層112は、少なくとも基板102の第2の側102Bに設けられている。そのため、部品、トレース104Bなどの他の回路104、および/または別の特徴が、成形された材料112に少なくとも部分的に埋込まれてもよい。使用される成形技法およびパラメータは、複数の順番に成形された層を含む場合、実施形態によって、さらに実施形態内で変わり得る。圧力または熱損傷が回路104に生じるのを避けるために、たとえば、それを埋めるために低圧成形(たとえば、約15バール未満の圧力が好ましく、約10バール未満がさらに好ましい)が用いられてもよい。場合によっては、積層構造100に別の層を導入するために、続いて(さらに)高い圧力の成形を適用してもよい。
【0066】
層112は一般に、他の選択肢のうち弾性樹脂を組み込んでもよい。より詳細に、層112は、PC、PMMA、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン(PA、ポリアミド)、PP(ポリプロピレン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン樹脂)、ポリスチレン(GPPS)、TPSiV(熱可塑性シリコーン加硫物)、およびMS樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む1つ以上の熱可塑性プラスチック材料を含み得る。いくつかの実施形態では、熱硬化性材料は、代替的にまたは追加的に、反応成形などの好適な成形法と共に用いられてもよい。
【0067】
また、たとえば第1の基板102のものと同じもしくは類似の天然材料、またはプラスチック(たとえば、熱可塑性フィルム)、複合材料などの他の材料からなる任意の第2の基板103が、多層積層体100に存在していてもよい。第2の基板103も、第1の基板102と同様に、電子機器104、図形、および/または有利だと考えられる他の特徴をその任意の側に収容してもよい。基板102、103は、機能的に、たとえば電気的に、プラスチック112に任意に埋込まれた導体材料などの中間接続要素によって接続されてもよい。
【0068】
図形または着色フィルムもしくは層、被覆、カーボンファイバなどの別のフィルムおよび/または他の材料層108がさらに、ここでも第1の基板102と同様に、たとえば美しさ、保護/絶縁および/または他の目的で、第2の基板103(明確にするために、第1の側でのみ示されている)のいずれかの側に任意に設けられ得る。
【0069】
上述のように、構造100、具体的にたとえばそれと一体化された電子回路104は、可能な機械的固定の代わりにまたはこれに加えて、無線で(たとえば、光学、超音波、無線周波数、容量結合または誘導結合によって)および/または有線で、収納デバイスまたは構造110などの外部要素に動作可能に接続され得る。後者の場合、電気または光学配線、コネクタ、ケーブルなどの多くの好適な接続要素105を使用可能である。たとえば、電力および/または制御信号を、所望の方向にそのような要素105を介して移送可能である。
【0070】
さまざまな実施形態では、接続要素105は、場合によっては可撓性または剛性(たとえば、FR4)タイプのプリント回路基板のような回路基板を含み得る。さまざまな実施形態では、接続要素105は、トランジスタまたは集積回路(IC)、たとえばオペアンプ(当然のことながら、個々の部品で構成することが可能である)などの少なくとも1つの電子部品を含み得る。
【0071】
それゆえ、接続要素105は、たとえば天然基板に搭載または製造するのが困難である、または実際には不可能である部品を収容するように構成されてもよい。接続要素105は、たとえば接着剤、ペースト、導電接着剤、機械固定手段などを用いて、基板102、103(単なる例であり、図示された場合では、要素105は基板103/およびその要素104Bに接続されている)に固定され得る。たとえば基板102、103上の実際の回路設計と接続要素105との間の電気的接続は、たとえば、半田、導電接着剤またはペースト、配線、接触領域/パッド、ピン、可撓性のあるケーブルおよび/または電気伝導性を考慮して異方性材料からなる要素、場合によってはACF(異方性導電膜)などの同じ特徴または専用の特徴によって実現可能である。
【0072】
材料の選択を考慮して、第2の基板103は、ポリマー、熱可塑性プラスチック材料、PMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、メチルメタクリレートとスチレンとの共重合体(MS樹脂)、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、炭素繊維、有機材料、生体材料、皮革、木材、テキスタイル、布、金属などからなる群から選択される少なくとも1つの材料から実質的に構成され得る、またはこれを含み得る。使用される材料は、少なくとも局所的に導電性である、またはより一般に、絶縁性であり得る。なお、光学特性は、不透明度/透明度、透過率などを考慮して実施形態によって異なり得る。
【0073】
第1の基板102および任意の第2の基板103などの材料層は、各使用事例によって設定される必要条件に従って、処理および成形され得る。これらの基板102、103は、たとえば、矩形、円形、または正方形の全体形状を呈し得る。これらの基板102、103は、実質的に無孔でもよく、または、他の要素への取付け、ならびに電気およびたとえば関連する電力または他の信号を伝えること、電子機器または他の部品の固定、光もしくは他の放射、流体などのための通路または薄い部分の提供などのさまざまな目的で、他の材料によって任意に充填された凹部、切欠き、ビア、カットまたは開口部を含んでもよい。
【0074】
基板102、103およびプラスチック層112または設けられ得る別の層108、114、116(塗料、インク、フィルムなど)は、外部から認識できる所望の色または図パターンを示すように構成され得る。たとえば、IML(インモールドラベリング)手順が、埋込まれた図形を構造100に配置するために用いられてもよい。
【0075】
図2は、図1に示すような多層構造の一実施形態を、環境およびユーザに面する前面側を基本的に描く軸側投像図によって、200で大まかに示す図である。これに対応して、図3は、関連する大まかな図によって、設けられ得る裏側を300で示す図である。両方の図から、成形層112および設けられ得る別の層ならびに本明細書の他の箇所で説明される多くの他の選択肢の特徴が、当業者が理解しやすいように省略されている。これらの図から、天然材料を含む基板102の実質的に3次元の非平面状の湾曲した全体形状が用意に分かる。
【0076】
構造100の前面は、(「こんにちは」という言葉の形状の)輝く可視表示220を表し、これは、たとえば搭載、転写積層、および/または印刷による製造の間に、場合によってはたとえばそのような光を伝える適切に形成された光ガイドと共に、基板102の裏側に多くのLEDまたはOLEDなどの光源を含む回路320を設けることによって作成されていてもよい。回路320は、電子機器の3Dアセンブリを避けるために、最初は実質的に平面状の基板102の成形に先立って設けられていてもよい。基板102の第2の側102B上に(および、木材、皮革、テキスタイルなどの天然材料のそれぞれの表面、または被覆/プライマまたはたとえばプラスチックフィルムなどの隣接する別の層の表面上に)、底面撮影LEDなど、十分に強い光源を配設することによって表示が輝くことができるようになっていてもよい。光源の位置決めおよび配置などの物理的な構成によって、ならびに、基板102の光導波路、スルーホール、充填された窓、薄い部分、図形、および/または材料組織などの照射される、設けられ得る別の一体化された特徴によって、表示220の形状などの特徴を各目的に合わせてもよい。表示220は、テキスト、数、シンボル、アイコン、図パターン、図などを示し得る。表示220は、装飾的なおよび/または機能的な(たとえば、UIの一部として、情報を与えるもの、たとえば、メッセージまたは状態表示器)目的を有し得る。
【0077】
代替的にまたは追加的に、UI(ユーザインターフェース)および特に第1の側102Aからアクセス可能な(使用可能な)タッチまたはジェスチャ入力特徴などの多くの制御入力特徴222が、出力タイプの表示器220の代わりにまたはこれに加えて、基板102の他の(第2の)側102Bに埋込まれた回路322によって、少なくとも部分的に実現可能である。回路322は、たとえば、動作しているときおよび/または入力が検出されると選択的な態様で(たとえば、輝度、点灯順序、選択的な制御)特徴222を照射するための多くの光源を含み得る。回路322はさらに、第2の側102Bに搭載、印刷、および/または他の態様で設けられていてもよい容量センサおよび/または他のセンサなどのジェスチャまたはタッチ検出要素を含み得る。回路322の構成および特徴222の提供または照射に関連する、設けられ得る別の特徴は一般に、たとえば表示220に対して上述したように実現可能である。
【0078】
点線の対角ストライプパターンによって図示するように、基板102の天然材料は、有利なことに、基板102の前面(第1の側102A)に、たとえばニスを塗ることまたは積層(たとえば、フィルム)によってたとえば保護被覆が設けられ得るにもかかわらず、少なくとも環境に対して可視的な場所にありそこでユーザによって認識される程度の特徴テクスチャを有する自然な外観を呈する。先に考察したように、成形されたプラスチック層に加えて、基板102の第2の側102Bに、たとえばプラスチック、炭素繊維などの単一材料または複合材料の多くの他の層を設けてもよい。
【0079】
構造100、関連する基板102、103、材料層/被覆108、112、114、116、回路104(たとえば、導体トレース、パッド、部品)、および/または他の特徴430A、430B(たとえば、薄い部分、充填された窓、スルーホール)などのさまざまな異なる、設けられ得る実施形態を考慮して、関連する形状が、各特定の使用事例の必要条件に従って所望されるように選択され得る。たとえば、丸いまたは湾曲した、直線の、角のある、楕円形状、三角形状、六角形状、八角形状、矩形状、正方形状状、または他の幾何学形状なども実現可能である。これらの形状は、たとえば数字の、文字の、幾何学的な、および/または図によるセットを構築してもよい、または、これらに類似したものでもよい。
【0080】
図4は、本発明に係る多層構造の別の実施形態を400で示す図である。本実施形態は、前述の実施形態の適合したバージョンと考えることができ、その結果、2つの実施形態のさまざまな特徴が柔軟におよび選択的に組合わされて、当業者によって理解されるような別の実施形態を思いつくであろう。
【0081】
化粧板またはたとえばプライウッドなどの天然材料を含む第1の基板102には、電力/制御信号転送トレース104Bと、逆に搭載された(底面撮影)LEDなど、少なくとも1つの発光部品104Cとが設けられ得る。いくつかの実施形態では、被覆またはフィルムなどの少なくとも1つの付加的な表面層116が、保護、美しさ/装飾、および/または手触りのために、天然材料の上に設けられ得る。基板102の光源104Cは、特徴的な第1の色を放射するように構成されてもよい。基板層102の天然材料および任意のその付加的な層は、場合によっては、たとえばレーザーカッターまたはドリルによって構築されたスルーホールに対して少なくとも1つの透過的な特徴430Aをさらに備えてもよく、このスルーホールは、場合によっては、光源104が放射する光に天然材料を透過させ、かつ、たとえば特徴によって構築されるアイコン、シンボル、文字または数字などの形状を目に見えるように照射するように、透明または半透明の材料のような光学的に透過性の材料で充填されている。
【0082】
構造はさらに、成形されたプラスチック112の他方の側に、たとえばトレース104Bと少なくとも1つの他の光源、たとえばLED104Dなどの回路とを収容する、たとえば木などの天然材料またはたとえばプラスチックフィルムからなる別の基板103を含み得る。それぞれ、任意に異なる第2の色の光源104Dが放射する光について、第1の基板102は少なくとも1つのスルーホールまたは、好適な材料で充填された窓などの、場合によっては専用の光学的に透過性の特徴430Bを含み得る。そのため、光源104Dが放射する光は、光源104が照射するもの以外の構造の他の表面領域/特徴を照射するために、および/または、異なる色を放射するために利用され得る。都合のいいことに、第1の基板102の光源104Cはまた、望ましくない光の漏れまたは混合を避けるために、光源104Dが放射する光の特徴430Aへの入射を阻止し得る。したがって、光の管理に効果的な手段が、異なる光源104C、104Dおよび照射された特徴間で特徴の数が過度に増加することなく、または、不必要な光の漏れ/光害を引き起こすことなく達成可能である。
【0083】
いくつかの実施形態では、光源104Dは、第1の基板102上で画定されたさらに広い表面積、たとえば輪郭を照射するように利用可能である一方で、対象にさらに近接して位置する光源104Cは、可能な異なるさらに小さな対象のさらにスポット状の照射に用いられる。この構造にはさらに、基板102、103のどちらか一方または両方で必要な場合に、反射器、マスクまたは光導波路などの、埋込まれた光伝達要素および光誘導要素が設けられ得る。これらの要素は、収納基板上に、場合によっては印刷によって既製のものまたは直接製造されたものとして搭載されてもよい。
【0084】
図5は、本発明に係る方法のある実施形態を開示するフローチャート500である。
多層構造を製造するための方法の初めに、開始段階502が実行され得る。開始502の間、材料、部品、器具、および道具の選択、取得、較正、および他の構成などの必要なタスクが行われ得る。設計、部品、および材料の選択が連携するように、かつ、製造プロセスの仕様およびたとえば部品のデータシートに基づいて、またはたとえば多くの製造された試作品の調査および試験によって前もって確かめられることが当然のことながら好ましい選択された製造プロセスに耐えるように、特定の注意が払われなければならない。とりわけ、成形/IML、積層、接合、(熱)成形、電子機器アセンブリ、切削、穿孔および/または印刷機器などの使用される機器はそのため、この段階で既にまたは後の段階で動作可能な状態に強化され得る。
【0085】
504で、電子機器を収容するための、フィルム状またはより厚いこともある少なくとも1つの基板が得られる。上述したように、1つの基板のみで十分である実施形態もあれば、異なる材料の場合もある複数の基板が多層構造に含まれる実施形態もある。しかし、最終的に必要とされる基板全てが必ずしも回路を保持しているわけではない。既製の要素、たとえば化粧板もしくはプライウッドなどの木材、コルク、皮革、または布(テキスタイル)などは、基板材料としての使用のために取得されてもよい。いくつかの実施形態では、基板そのものが、テキスタイルの場合にヤーンなどの所望の出発材料から内部でまず製造されてもよい。基板は、実質的に同質でもよく、ただ1つの天然材料からなる実質的に1つの材料層を含んでもよく、または代替的に、関連する積層体を形成するために共に積層された別の材料からなる付加的な層を含んでもよい。たとえば、強化支持層が、皮革またはテキスタイル材料などの天然材料に、たとえば剛性を付加するように(積層、噴霧、印刷などによって)設けられてもよい。付加的な層、たとえばプライマを有する被覆が、天然材料がその上に後で印刷されるたとえば導体材料を過度に吸収するのを避けるために、および/またはそれらの接合を増強するために用いられ得る。
【0086】
最初は、基板は実質的に平坦でもよい(基本的に2次元であり、これは、長さおよび幅と比べて厚さが著しく小さいことを表す)。好ましくは、使用される天然材料は、加工されても、および/またはニス、フィルムまたは他の被覆などの別の層が追加されても、用途に適合するように、少なくともある程度それら固有の、自然に成長した(たとえば木を考える)または自然なテキスタイルを利用した表面組織を呈し、自然な外観および/または天然材料に起因する他の特性が、たとえば合成および人工的に見える材料と対称的に望まれる。
【0087】
たとえば基板として利用される天然材料は、場合によっては、(たとえば、この段階または後の段階において)薄くされてもよい。薄くすることによって、材料の透過率または実際は透光性である材料の光学特性を含む様々な特性が増大することがあり、これによって、そのような動機を有する実施形態において、光の輝きまたは一般に伝達が増大し得る。場合によってはレーザ加工によって薄くすることは、天然材料がいずれの場所でも等しく薄くなることがないように選択的に実施可能である。たとえば、下に横たわる光源もしくは光源の場所に対応する、または対応する光路の途中に位置する場所は、他の領域と比べて薄くてもよいが、完全に薄くなっていなくても、またはより少ない程度に薄くなっていてもよい。いくつかの実施形態では、結果として生じる凹部、および/または極端な事例では自然なスルーホールを介した天然材料における図形形状、テキスト、数、シンボル、アイコンなどの表面の特徴を定義するように、薄くすることが選択的に適用され得る。この特徴は、より詳細に説明したように、目に見えるようにまたは少なくともその可視性を増大するように、下に横たわる光源で照射することによって、さらに強調されてもよい。
【0088】
506において、電子部品を電気的に結合するための導体トレース、電極、および/または導体パッドなどの多くの導体が、基板に選択的に設けられ得る。これは、プリンテッドエレクトロニクス技術のうち1つ以上の技法によることが好ましいが、必ずしもそうではない。たとえば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、またはオフセットリソグラフ印刷を用いてもよい。ここで、たとえば図形、可視的表示などの基板への印刷を含む、基板を磨く別の処置が行われてもよい。いくつかの実施形態では、図形層またはマスキング層は、基板上への印刷に加えてまたはこれに代えて、当該基板上への別の図形/不透明フィルムまたはシートの積層によって設けられ得る。
【0089】
当業者であれば、たとえばプラスチック基板と関連して通常利用される一般的なものから初めることによって、印刷パラメータなどの好適な製造パラメータおよび利用可能な天然材料の適用可能な材料特性を見つけ、次に試験によって、各使用事例について最適なプロセスパラメータおよび印刷材料を決定するであろう。
【0090】
508において、基板上への搭載および/または印刷によって、多くの電子部品が設けられる。好ましくは、少なくとも使用の際に前側に位置する基板が少なくともその第2の側、すなわち裏側に設けられて、その後たとえばLED、制御および/または検知回路でオーバーモルドされる一方で、その第1の側も、場合によっては多くの部品および/または他の回路を含んでもよく、または当該特定の実施形態によっては、それらを含んでいなくてもよい。
【0091】
さまざまなSMDなどの既製の部品は、半田および/または接着剤によって基板上の接続領域に取付けられ得る。代替的にまたは追加的に、実際にOELDなどの部品の少なくとも一部を基板上に直接製造するために、プリンテッドエレクトロニクス技術を適用してもよい。
【0092】
しかし、光導波路または他の光学要素などのさまざまな別の特徴をこの段階で、または搭載もしくはたとえば印刷による直接製造によって、項目506に関連して基板に設けてもよい。
【0093】
収納デバイスなどの、多層構造を外部デバイス(および/または複数の基板同士)に電気的に接続するための電気コネクタまたは導体パッドなどの接続要素も、この段階で、または形成もしくは成形の後で基板に準備されてもよい。
【0094】
項目506および508などのさまざまな方法の項目の実行は図1図4に示される上述の実施形態を考慮して当業者に明らかなように、実際は、さまざまな実施形態では交互にまたは重複して行われてもよい。たとえば、同様のタスクも含む可能性のある反対側の処理への切り替えの前に、基板の一方の側にまずトレース、部品および他の特徴が、さらには成形層(項目512を参照)が設けられ得る。
【0095】
項目509は、1つ以上のサブシステムまたは「サブアセンブリ」の基板への可能な取付けを表す。サブアセンブリは、当初は別の、ICおよび/またはさまざまな部品などの電子機器が設けられた第2の基板を搭載し得る。多層構造の電子機器のうち少なくとも一部は、そのようなサブアセンブリを介して基板に設けられてもよい。場合によっては、サブアセンブリは、保護プラスチック層によって少なくとも部分的にオーバーモールドされた、および/または関連する主基板への取付けの前に他の材料(たとえば、エポキエシ)で覆われてもよい。たとえば、接着剤、圧力および/または熱が、サブアセンブリのプライマリ(収納)基板との機械的な接合のために用いられてもよい。半田、配線および導電性インクは、サブアセンブリの要素間に、および収納基板上の残りの電気要素との電気接続を設けるための適用可能な選択肢の例である。
【0096】
510では、好ましくはさまざまな部品および/または他の回路などの電子機器を既に含んでいる1つ以上の基板は、当初は平面形状の代わりに所望の基本的に3次元形状を少なくとも部分的に呈するように任意に形成される。適用可能な形成法の例として、熱成形および冷間成形が挙げられる。
【0097】
512において、少なくとも1つのたとえば熱可塑性または熱硬化性材料層が、その上の関連する面、ならびにその上のトレース、部品および/または図形層などの設けられ得る特徴を少なくとも部分的に覆うように、必須の第1の基板の第2の側に成形される。場合によってはたとえば別の電子機器または他の特徴を組み込む第2(裏)の基板が設けられているいくつかの実施形態では、プラスチック層は、それらの間に成形され得る。代替的に、第2の基板がその後、多層構造の黒い部分における成形層に積層されてもよい。利用可能な成形技法として、射出成形(熱可塑)および反応射出成形(熱硬化)が挙げられる。
【0098】
実際は、基板がたとえば射出成形プロセスにおけるインサートとして使用可能である。2つ(第1および第2)の基板が用いられる場合、それらの両方が、間にプラスチック層が注入されるように、それら自体の金型の半分に挿入されてもよい。
【0099】
場合によっては、第2の基板の第2の側も、たとえば、保護または他の何らかの理由で、プラスチック材料内で電子機器および/または他の特徴を埋込むために少なくとも部分的にオーバーモールドされてもよい。連続成形動作の順番は、各実施形態および関連する使用事例に最も適合するように、当業者によって選択されてもよい。
【0100】
場合によっては、基板上の選択された特徴(電子機器、ビア/スルーホール、光学部品など)を、成形された材料で汚染されないように、および/またはそれらに生じる圧力を低減するように、成形中は案内するために、成形プラスチックおよび/または壁などの成形構造物から保護および/または分離するために、成形手順と関連して用いられてもよい。その後、そのような間隔をとる要素は除去され、その後剥がされてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、基板の形成は、成形の際に行われてもよい。成形は、まず基板に、最初に引き起こされた圧力によって成形された(壁)形状をたどらせて、それによって基板を形成するピンなどの多くの特徴を含み得る。一般に木材などの天然材料の形成を考慮して、成形前に材料を湿らせることによって、その成形性が増大されてもよい。
【0102】
電子部品などの壊れやすい特徴を保護するために、使用されるオーバーモールド技法は、比較的低い成形圧力(たとえば、15バール以下、より好ましくは約10バール以下)を利用してもよい。それより敏感でない部分では、異なる材料特性をもたらすためにさらに高い圧力が利用されてもよい。
【0103】
オーバーモールドに加えてまたはその代わりに、選択された電子部品および/または他の特徴が、たとえば注封または樹脂の投入によって保護されてもよい。
【0104】
得られる積層構造の最終的な全厚は、製造およびその後の使用を考慮して、使用される材料および必要な力を提供するような関連する最小材料厚さに大きく左右される。これらの側面は、個々の状況によって考慮されなければならない。たとえば、構造の全厚は約1ミリメートルまたは数ミリメートルでもよいが、それより大幅に厚いまたは薄い実施形態も十分実施可能である。
【0105】
項目514は、行われ得る後処理タスクを表す。別の層が、積層または好適な被覆(たとえば、蒸着)手順によって多層構造に追加され得る。これらの層は、保護的な、表示の、触覚の、および/または美的価値(図形、色、図面、テキスト、数値データ、表面プロファイルなど)の層でもよい。電子機器または接続要素(たとえば、電気配線、ケーブル)などの付加的な要素が、構造の裏側部分における基板の外面など、構造の外面において取付けられてもよい。形削り/切削が行われてもよい。接続要素は、外部収納デバイスまたは収納構造のコネクタなどの所望の外部要素に接続され得る。多層構造は、もしあれば、対象のデバイスまたは構造(たとえば、筐体)に取付けられ得る。
【0106】
516において、方法の実行が終了する。
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって決定される。当業者であれば、開示された実施形態は例示的な目的でのみ構成されたものであり、上述の原則の多くを適用する他の配置が各潜在的な使用事例に最も適合するように容易に準備可能であることを理解するであろう。当業者であれば、本発明の上述の例示に過ぎない実施形態は、選択された特徴の観点から柔軟におよび容易に組み合わされて別の実施形態を思いつくことを容易に理解するであろう。さらに、別の特徴が上述のまたは組み合わされた実施形態に導入可能である。
図1
図2
図3
図4
図5