(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】バクテリオシン及び抗菌ペプチドを作製するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
C07K 14/195 20060101AFI20230831BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230831BHJP
C07K 1/02 20060101ALI20230831BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230831BHJP
C07K 1/12 20060101ALN20230831BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20230831BHJP
【FI】
C07K14/195
C07K19/00
C07K1/02
C12P21/02 C ZNA
C07K1/12
C12N15/31
(21)【出願番号】P 2020512860
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 US2018048846
(87)【国際公開番号】W WO2019046577
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520067943
【氏名又は名称】シングロン エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ガバント,フィリップ
【審査官】吉門 沙央里
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0050253(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1807645(CN,A)
【文献】M. Montalban-Lopez, et al.,FEMS Microbiology Reviews,2017年,fuw034, 41,p.5-18
【文献】M.Klocke, et al.,APPLIED GENETICS AND MOLECULAR BIOTECHNOLOGY,2005年,67,p.532-538
【文献】Q. Ma, et al.,The Journal of Microbiology,2012年,Vol.50, No.2,p.326-331
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バクテリオシンを作製する方法であって、
単一のリーディングフレーム中の、
それぞれがバクテリオシンをコードする少なくとも3つのポリペプチドのコード配列と、前記単一のリーディングフレーム中の前記
少なくとも3つのポリペプチドのコード配列
のそれぞれの間に配置された切断部位のコード配列と、を含む核酸を発現させて、前記
少なくとも3つのポリペプチド、及びそれらの間に配置された前記切断部位を含むプロポリペプチドを生じさせることと、
(i)前記プロポリペプチドを
一又は複数の外因性の切断酵素に接触させることであって、前記切断部位のコード配列
のそれぞれが、前記
一又は複数の外因性の切断酵素の
少なくとも1つの切断部位をコードする、接触させること、及び
/又は(ii)前記切断部位によって含まれるペプチドリンカーの物理的処理をすることであって、ペプチドリンカーが、化学物質感受性又はpH感受性である、物理的処理をすること、により前記プロポリペプチドの前記切断部位を切断して、前記
少なくとも3つのポリペプチドを互いに分離し、
望ましい比率で少なくとも3つのバクテリオシン
のそれぞれを別個のポリペプチドとして含む組成物を生成することと、
を含
み、
前記少なくとも3つのバクテリオシンの少なくとも2つが互いに異なり、前記少なくとも3つのバクテリオシンの少なくとも2つが同じであり、前記望ましい比率が、前記核酸の前記単一のリーディングフレームのバクテリオシンのコード配列の比率により達成される、
方法。
【請求項2】
前記発現が
無細胞インビトロ
発現系で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発現が、前記バクテリオシンの少なくとも1つのための機能性免疫モジュレーターを産生しない微生物細胞によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記
少なくとも3つのバクテリオシンの少なくとも1つが前記プロポリペプチドの部分であるとき、前記
少なくとも3つのバクテリオシンの少なくとも1つが不活性である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記バクテリオシンの望ましい比率が、望ましくない微生物体若しくは望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択され、及び/又は
前記バクテリオシンの望ましい比率が、動物、ヒトの臓器、植物の根若しくは土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される、
請求項
1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記望ましい比率が、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、2:3、2:5、2:7、2:9、3:4、3:5、3:7、3:8、3:10、4:5、4:7、4:9、5:6、5:7、5:8、5:9、6:7、7:8、7:9、7:10、8:9又は9:10の
前記少なくとも3つのバクテリオシンのうちの互いに異なる前記少なくとも2つの比率を含
む、請求項
1から
5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、2018年8月21日に出願された米国仮出願第62/720,804号、及び2017年8月31日に出願された米国仮出願第62/552,835号の利益を主張する。前述の出願の内容は、それらの全体が、参照によって明確に本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表、表又はコンピュータープログラムの表に対する言及
[0002] 本出願は、電子フォーマットの配列表とともに出願される。配列表は、2018年8月29日に作成及び最終保存され、402,916バイトのサイズの、SYNG003WOSEQUENCE.TXTの名称のファイルとして提供される。配列表の電子フォーマット中の情報は、その全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
[0003] 微生物体が媒介するプロセスは、目的とする生成物の製造のため、例えば、原料の発酵のためのさまざまな工業的プロセスにおいて使用することができる。加えて、微生物体は、例えば、医薬品、生物製剤及び化粧品の製造において、無菌環境中で生成物を製造するために使用することができる。加えて、微生物体の集団は、例えば、ヒトの腸及び皮膚の微生物嚢、又は植物の根の培養物として、多細胞生物体の健康及び代謝機能の維持に関与する。これらのプロセスの効率及び有効性は、培養条件、及び培養中に存在する微生物体の表現型の特性によって影響を受け得る。
【0004】
[0004] 例えば、望ましくない微生物体を低減又は除去するための微生物体の集団の調整は、工業的プロセスを維持するため、及び微生物体を含む組織の健康を維持するために有用であり得る。
【0005】
分野
[0005] 本明細書における実施形態は、一般に、微生物の成長のコントロールのための遺伝子産物の産生に関する。より詳細には、いくつかの実施形態は、バクテリオシンを作製するための方法、試薬及びマイクロ流体デバイスに関する。バクテリオシンは、バクテリオシンの規定の混合物などの組成物において産生され得、これは、微生物体の集団の成長をコントロールするために有用であり得る。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンは、組成物において望ましい比率で産生される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] いくつかの実施形態は、バクテリオシンを作製する方法を含む。この方法は、単一のリーディングフレーム中のバクテリオシンのコード配列及び第2のポリペプチドのコード配列を含む核酸を発現させることを含み得、第2のポリペプチドは、バクテリオシン若しくはシグナル分子を含むか、バクテリオシン若しくはシグナル分子から実質的になるか、又はバクテリオシン若しくはシグナル分子からなる。核酸は、単一のリーディングフレーム中のバクテリオシンのコード配列及び第2のポリペプチドのコード配列の間に配置された切断部位のコード配列をさらに含み得る。したがって、バクテリオシン、第2のポリペプチド並びにバクテリオシン及び第2のポリペプチドの間に配置された切断部位を含むプロポリペプチドを生じさせることができる。いくつかの実施形態において、この方法は、切断部位を切断し、このようにして、バクテリオシン及び第2のポリペプチドを互いに分離することをさらに含む。この方法は、このようにして、バクテリオシン及び第2のポリペプチドを含む組成物を生成することができる。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドは、バクテリオシンを含むか、バクテリオシンから実質的になるか、又はバクテリオシンからなる。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドは、抗菌ペプチドを含むか、抗菌ペプチドから実質的になるか、又は抗菌ペプチドからなる。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドは、シグナル分子を含むか、シグナル分子から実質的になるか、又はシグナル分子からなる。いくつかの実施形態において、発現は、少なくとも1つのバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない微生物細胞によって行われる。いくつかの実施形態において、微生物細胞は、任意のバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない。いくつかの実施形態において、発現は、インビトロで行われる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバクテリオシンは、それがプロポリペプチドの部分であるときに、不活性である。いくつかの実施形態において、この方法は、切断する前に、プロポリペプチドを単離することをさらに含む。いくつかの実施形態において、単離は、プロポリペプチドをアフィニティー精製することを含み、アフィニティー精製は、核酸によってコードされるアフィニティータグを結合させることを含む。いくつかの実施形態において、核酸は、単一のリーディングフレーム中に3つのバクテリオシンのコード配列を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのバクテリオシンは、互いに異なる。いくつかの実施形態において、この組成物は、望ましい比率のバクテリオシン、又は望ましい比率のシグナル分子及びバクテリオシンを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも一部の望ましい比率は、核酸の単一のリーディングフレーム中の、バクテリオシンのコード配列又はバクテリオシン及びシグナル分子のコード配列の比率によって達成される。いくつかの実施形態において、望ましい比率は、バクテリオシンのコード配列の比率を含み、かつバクテリオシンのコード配列の間の切断部位をさらに含む、第2の核酸によってさらに達成される。いくつかの実施形態において、望ましい比率は、核酸の単一のリーディングフレーム中のバクテリオシンのコード配列の比率によって達成される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの望ましい比率は、望ましくない微生物体若しくは望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択され、及び/又はバクテリオシンの望ましい比率は、動物、ヒトの臓器、植物、植物の根及び/又は土壌(例えば、植物の根及び土壌の文脈において)のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される。いくつかの実施形態において、バクテリオシン及びシグナル分子の望ましい比率は、標的の微生物細胞の遺伝的浮動をコントロールするため、及び産生細胞の成長又は産生を刺激するために選択される。いくつかの実施形態において、望ましい比率は、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、2:3、2:5、2:7、2:9、3:4、3:5、3:7、3:8、3:10、4:5、4:7、4:9、5:6、5:7、5:8、5:9、6:7、7:8、7:9、7:10、8:9又は9:10の第1のバクテリオシンと第2のバクテリオシンの比率を含み、第1のバクテリオシンは、第2のバクテリオシンと異なる。いくつかの実施形態において、切断部位は、エンドペプチダーゼなどの、野生型、バリアント又は合成切断酵素のためのものである。いくつかの実施形態において、切断部位は、Arg-Cプロテイナーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ、BNPS-スカトール、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、キモトリプシン-高特異性、クロストリパイン(クロストリジオペプチダーゼB)、CNBr、エンテロキナーゼ、第Xa因子、ギ酸、グルタミルエンドペプチダーゼ、グランザイムB、ヒドロキシルアミン、ヨードソ安息香酸、LysC、好中球エラスターゼ、NTCB(2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸)、ペプシン(pH1.3)、ペプシン(pH>2)、プロリン-エンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、ブドウ球菌ペプチダーゼI、サーモリシン、トロンビン又はトリプシンからなる群から選択される切断酵素のためのものである。いくつかの実施形態において、切断部位は、単一の切断酵素のためのものであり、切断酵素は、バクテリオシン内を切断しない。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの切断部位は、第1の切断酵素のためのものであり、別の切断部位は、第2の切断酵素のためのものであり、第1の切断酵素も第2の切断酵素もバクテリオシン内を切断しない。いくつかの実施形態において、この組成物は、シグナル分子及びバクテリオシンのコード配列の間に配置された、シグナル分子(ここで、ヌクレオチドは、単一のリーディングフレーム中にシグナル分子のためのコード配列をさらに含む)並びに切断部位の配列をさらに含む方法によって生成する。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、クオラムセンシング分子、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン及びサイトカインからなる群から選択され、シグナル分子は、野生型、変異体又は合成物であり得る。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、クオラムセンシングペプチドを含むか、クオラムセンシングペプチドからなるか、又はクオラムセンシングペプチドから実質的になる。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、約2000以下のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施形態において、この方法は、2つのバクテリオシン及び切断部位の間に配置された2つのバクテリオシン及び切断部位を含む第2のプロポリペプチドをコードする第2の核酸を発現させることをさらに含み、第2のプロポリペプチドは、第1のプロポリペプチドと異なる。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドの切断は、切断部位によって含まれるペプチドリンカーの物理的処理を含み、ペプチドリンカーは、化学物質感受性又はpH感受性である。いくつかの実施形態において、この方法は、バクテリオシンを化学的に修飾することをさらに含む。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、共翻訳的に化学的に修飾される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、切断の後に化学的に修飾される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のプロポリペプチドは、バクテリオシンの代わりに2つ以上の抗菌ペプチドを含み、切断の際に、抗菌ペプチドを含む組成物が生成する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のプロポリペプチドは、1つ又は複数の抗菌ペプチド及び1つ又は複数のバクテリオシンを含み、切断の際に、抗菌ペプチド及びバクテリオシンの混合物を含む組成物が生成する。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態は、単一のリーディングフレーム中のバクテリオシンのコード配列及び第2のポリペプチドのコード配列を含む単離された核酸を含み、第2のポリペプチドは、バクテリオシン若しくはシグナル分子を含むか、バクテリオシン若しくはシグナル分子から実質的になるか、又はバクテリオシン若しくはシグナル分子からなる。単離された核酸は、バクテリオシンのコード配列の間で、単一のリーディングフレーム中に配置された切断部位のコード配列を含み得る。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドは、バクテリオシンを含むか、バクテリオシンから実質的になるか、又はバクテリオシンからなる。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドは、抗菌ペプチドを含むか、抗菌ペプチドから実質的になるか、又は抗菌ペプチドからなる。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドは、シグナル分子を含むか、シグナル分子から実質的になるか、又はシグナル分子からなる。いくつかの実施形態において、切断部位のコード配列は、切断酵素のための切断部位をコードし、バクテリオシンのコード配列は、切断酵素のための切断部位を含まない。いくつかの実施形態において、核酸は、単一のリーディングフレーム中に3つのバクテリオシンのコード配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、単一のリーディングフレーム中に少なくとも5、10、15又は20のバクテリオシン配列を含む。いくつかの実施形態において、切断部位のコード配列は、任意の2つの隣接するバクテリオシン及び/又はシグナル分子のコード配列の間のフレームに配置される。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのバクテリオシン配列は、互いに異なるバクテリオシンをコードする。いくつかの実施形態において、3つのバクテリオシン配列は、望ましい比率、又は一部の望ましい比率で存在する。いくつかの実施形態において、望ましい比率は、望ましくない微生物体又は望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの望ましい比率は、動物、ヒトの臓器、植物、植物の根及び/又は土壌(例えば、植物の根及び土壌の文脈において)のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される。いくつかの実施形態において、切断部位は、エンドペプチダーゼなどの、野生型、バリアント又は合成切断酵素のためのものである。いくつかの実施形態において、切断部位は、Arg-Cプロテイナーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ、BNPS-スカトール、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、キモトリプシン-高特異性、クロストリパイン(クロストリジオペプチダーゼB)、CNBr、エンテロキナーゼ、第Xa因子、ギ酸、グルタミルエンドペプチダーゼ、グランザイムB、ヒドロキシルアミン、ヨードソ安息香酸、LysC、好中球エラスターゼ、NTCB(2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸)、ペプシン(pH1.3)、ペプシン(pH>2)、プロリン-エンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、ブドウ球菌ペプチダーゼI、サーモリシン、トロンビン又はトリプシンからなる群から選択される切断酵素のためのものである。いくつかの実施形態において、第1の切断部位をコードする第1の切断部位のコード配列は、第1の切断酵素のためのものであり、第2の切断部位のコード配列は、第1の切断酵素と異なる第2の切断酵素のための切断部位をコードし、バクテリオシンは、第1又は第2の切断酵素のいずれかのための切断部位を含まない。いくつかの実施形態において、切断部位は、pH又は化学物質感受性リンカーを含む。いくつかの実施形態において、単離された核酸は、単一のリーディングフレーム中にシグナル分子のためのコード配列をさらに含み、切断部位のコード配列は、シグナル分子のためのコード配列及び隣接するバクテリオシンのコード配列の間に配置される。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、クオラムセンシング分子、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン及びサイトカインからなる群から選択され、シグナル分子は、野生型、変異体又は合成物であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の単離された核酸は、バクテリオシンのコード配列の代わりに2つ以上の抗菌ペプチドのコード配列を含み、抗菌ペプチドを含むプロポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の単離された核酸は、1つ又は複数の抗菌ペプチドのコード配列及び1つ又は複数のバクテリオシンのコード配列を含み、1つ又は複数の抗菌ペプチド及び1つ又は複数のバクテリオシンを含むプロポリペプチドをコードする。
【0008】
[0008]
[0007] いくつかの実施形態は、本明細書に記載の任意の実施態様の単離された核酸と作動可能に連結されたプロモーターを含む微生物細胞であって、単離された微生物細胞が、単離された核酸によってコードされるバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない、微生物細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、単離された核酸によってコードされる、任意のバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態は、2つのバクテリオシン、及び/又はバクテリオシン及びシグナル分子;バクテリオシンの間、及び/又はバクテリオシン及びシグナル分子の間に配置された切断部位;並びにアフィニティータグを含む、単離されたプロポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、2つのバクテリオシンを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、バクテリオシン及びシグナル分子を含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、3つのバクテリオシンを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、少なくとも5、10、15又は20のバクテリオシンを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、シグナル分子を含む。いくつかの実施形態において、切断部位は、切断酵素のためのものであり、バクテリオシンのコード配列は、切断酵素のための切断部位を含まない。いくつかの実施形態において、切断部位は、第1の切断酵素のためのものであり、別の切断部位は、第1の切断酵素と異なる第2の切断酵素のためのものであり、バクテリオシンは、第1又は第2の切断酵素のいずれかのための切断部位を含まない。いくつかの実施形態において、単離されたプロポリペプチドは、共翻訳修飾又は翻訳後修飾をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の単離されたプロポリペプチドは、バクテリオシンの代わりに2つ以上の抗菌ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の単離されたプロポリペプチドは、1つ又は複数の抗菌ペプチド及び1つ又は複数のバクテリオシンを含む。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態において、微生物細胞又は微生物細胞の集団を標的にするために選択された比率で2つ以上のバクテリオシンを含む組成物を記載する。この組成物のバクテリオシンのそれぞれは、そのN末端、C末端又はN末端及びC末端に、切断された切断配列の一部を含み得、バクテリオシンのN、C又はN及びC末端での切断配列の一部は、同一又は異なる切断酵素の切断部位のためのものである。いくつかの実施形態において、少なくともいくつかのバクテリオシンは、タグをさらに含む。いくつかの実施形態において、タグは、アフィニティータグ、シグナル配列又は安定性タグからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、この組成物は、望ましい比率のシグナル分子をバクテリオシンとともにさらに含み、シグナル分子は、そのN末端、C末端又はN末端及びC末端に、切断された切断配列の一部を含み、シグナル分子のN、C又はN及びC末端での切断配列の一部は、同一又は異なる切断酵素の切断部位のためのものである。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの比率は、望ましくない微生物体又は望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの比率は、動物、ヒトの臓器、植物、植物の根及び/又は土壌(例えば、植物の根及び土壌の文脈において)のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される。いくつかの実施形態において、この組成物は、ヒト対象への局所又は経口投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、この組成物は、マイクロバイオームの集団、例えば、動物、ヒトの臓器(腸又は皮膚など)、植物、植物の根及び/又は土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つ使用のためである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の単離されたプロポリペプチドは、1つ又は複数の抗菌ペプチドを含む。プロポリペプチドは切断することができ、この組成物は、N、C又はN及びC末端での切断配列の部分を含む1つ又は複数の抗菌ペプチドを含み得る。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態は、例えば、バクテリオシン及び/又は抗菌タンパク質の規定の混合物を生成するための方法を含む。この方法は、2つ以上の異なるバクテリオシン及び/又は抗菌タンパク質を含む組成物を選択することを含み得る。この方法は、抗菌ペプチド又はバクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質を含むマイクロ流体デバイスにおいて、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質を設置すること;別個のコード基質をインビトロの転写/翻訳溶液とともにインキュベートし、このようにして、別個のコード基質によってコードされる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生じさせること;並びにマイクロ流体デバイス中で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを混合し、このようにして、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成することを含み得る。いくつかの実施形態において、この方法は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物のサブセットをそれぞれ含む2つ以上のサブ混合物を生成すること、並びにサブ混合物を組み合わせて、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態において、選択は、規定の混合物の2つ以上の異なる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの化学量論を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、既定の化学量論を含み、サブ混合物を組み合わせることにより規定の化学量論がもたらされる。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、別々のチャンバー内に含まれる。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、そこに固定化された核酸を含む。いくつかの実施形態において、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質は、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置される。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液との別個のコード基質のインキュベートは、それぞれのチャンバーにインビトロの転写/翻訳溶液を流すことを含む。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液は、インビトロの転写試薬及び/又はインビトロの翻訳試薬を含む。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させた規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質の設置は、(i)別個のコード基質と流体連通させてインビトロの転写/翻訳溶液の供給源を設置するように、バルブを開放すること;(ii)インビトロの転写/翻訳溶液及び他の別個のコード基質の供給源の間の流体連通を阻害するように、バルブを閉鎖すること、又は(i)及び(ii)の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイス中での抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合は、流体リザーバーと流体連通させて別個のコード基質を設置するバルブを開放することを含み、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンは、流体リザーバー中で混合される。いくつかの実施形態において、この方法は、望ましい効果についてインサイチュで抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物をスクリーニングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける病原性微生物体の成長又は複製の阻害についてである。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物の有害効果の非存在についてである。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、リアルタイムで行われる。例えば、スクリーニングは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生じて、120分以内、60分以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内又は1分以内に行うことができる。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの安定化について、又は微生物バイオフィルムの破壊についてである。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の別個のコード基質は、抗プロテアーゼ活性を有する補助タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける非病原性微生物体の成長又は複製の増強についてである。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の別個のコード基質は、非病原性微生物体を誘引するか、又は対象のマイクロバイオーム中で非病原性微生物体の成長若しくは複製を増強する、補助タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、この方法は、チューブ類又は膜を介して創傷に抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を送達し、それによって、創傷を洗浄又はドレッシングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、望ましい効果は、抗菌活性を含む。いくつかの実施形態において、この方法は、微生物の感染に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の異なる混合物をスクリーニングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、この方法は、対象に、化学抗生剤及び/又はファージ抗生剤と組み合わせて、既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物を送達することをさらに含む。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液は、凍結乾燥され、インビトロの転写/翻訳溶液に水を添加することをさらに含む。いくつかの実施形態において、この方法は、バクテリオシンの規定の混合物を作製することを含む。このように、この方法は、バクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質を含むマイクロ流体デバイスにおいて、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて規定の混合物のバクテリオシンをコードする別個のコード基質を設置すること;別個のコード基質をインビトロの転写/翻訳溶液とともにインキュベートし、このようにして、別個のコード基質によってコードされるバクテリオシンを生じさせること;並びにマイクロ流体デバイス中でバクテリオシンを混合し、このようにして、バクテリオシンの規定の混合物を生成することを含み得る。いくつかの実施形態において、この方法は、抗菌ペプチドを含まないバクテリオシンの規定の混合物を作製することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、抗菌ペプチドの規定の混合物を作製することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、バクテリオシンを含まない抗菌ペプチドの規定の混合物を作製することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を作製することを含む。本明細書に記載の方法、マイクロ流体デバイス又はシステムが、抗菌ペプチドを含まないバクテリオシンの規定の混合物を作製するためのものである場合、このような方法、マイクロ流体デバイス又はシステムは、規定の混合物の部分として抗菌ペプチドを選択することを含む必要がなく、抗菌ペプチドをコードする別個のコード基質を含む必要がなく、かつ任意の抗菌ペプチドが、生成又は流れる必要がないことが理解されるであろう。本明細書に記載の方法、マイクロ流体デバイス又はシステムが、バクテリオシンを含まない抗菌ペプチドの規定の混合物を作製するためのものである場合、このような方法、マイクロ流体デバイス又はシステムは、規定の混合物の部分としてバクテリオシンを選択することを含む必要がなく、バクテリオシンをコードする別個のコード基質を含む必要がなく、かつ任意のバクテリオシンが、生成又は流れる必要がないことが理解されるであろう。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのマイクロ流体デバイスを含む。このデバイスは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質;インビトロの転写/翻訳溶液;流体リザーバー;並びに別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流体通路にそれぞれ配置されたバルブを含み得、それぞれのバルブは、別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流れを制御するように構成される。このデバイスは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物に基づいて、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質を、流体リザーバーと流体連通させて設置するようにバルブを構成し;規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンが生成されるように、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質とのインビトロの転写/翻訳溶液のインキュベーションを可能にし;バルブを通して流体リザーバーへの抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの流れを可能にし;流体リザーバー中で流体の流れをコントロールし、流れが、流体リザーバー中での抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの動きを含み、それによって、流体リザーバー中で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するように構成されたプロセッサとデータ通信させて設置されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのサブセットをそれぞれ含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる、2つ以上のサブ混合物を含み;プロセッサは、流体リザーバーへのそれぞれのサブ混合物の流れを可能にするように構成され、それによって、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成される。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、既定の化学量論の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのサブセットの総和を含み、サブ混合物の組み合わせは、規定の化学量論を生み出す。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、別々のチャンバー内に含まれる。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、そこに固定化された核酸を含む。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、チップ、ビーズ、ナノ粒子、ウェル、膜、マトリックス、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖及び常磁性化合物からなる群から選択される、材料又は製品を含む。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液は、インビトロの転写試薬及び/又はインビトロの翻訳試薬を含む。いくつかの実施形態において、このデバイスは携帯型である。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の別個のコード基質は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの安定化のためのタンパク質、抗プロテアーゼ活性を有するタンパク質、又は微生物バイオフィルムの破壊のためのタンパク質を含むか、これらから実質的になるか、或いはこれらからなる補助タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の別個のコード基質は、非病原性微生物体を誘引するか、或いは皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける非病原性微生物体の成長又は複製を増強する、補助タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、流体リザーバーは、対象の組織と流体連通させて設置されるように構成される。いくつかの実施形態において、組織は、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などのマイクロバイオームを含む。いくつかの実施形態において、流体リザーバーは、対象の創傷と流体連通させて設置されるように構成される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、流体リザーバーがマイクロバイオーム若しくは創傷と流体連通させて設置される能力があるチューブ又は膜などの流体の通り道をさらに含み、ここを通って、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、マイクロバイオーム又は創傷に送達される能力がある。いくつかの実施形態において、それぞれの別個のコード基質は、異なるバクテリオシンをコードする。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、本明細書に記載の単一のリーディングフレーム中の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのコード配列並びに第2のポリペプチドのコード配列を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる、単離された核酸を含む。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、本明細書に記載の単離されたプロポリペプチドをコードする。実施形態において、マイクロ流体デバイスは、プロセッサをさらに含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物と混合するように構成された化学又はファージ抗生剤のリザーバーをさらに含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、化学抗生剤及び/又はファージ抗生剤を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる抗生剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液は凍結乾燥される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものである。このように、このデバイスは、バクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質;インビトロの転写/翻訳溶液;流体リザーバー;並びに別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流体通路にそれぞれ配置されたバルブを含み得、それぞれのバルブは、別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流れを制御するように構成される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチドを含まないバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものである。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシンを含まない抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態は、システムを含む。このシステムは、本明細書に記載のマイクロ流体デバイス、並びに(本明細書に記載の)抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物に基づいて、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質を、流体リザーバーと流体連通させて設置するようにバルブを構成し;規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンが生成されるように、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質とのインビトロの転写/翻訳溶液のインキュベーションを可能にし;バルブを通して流体リザーバーへの抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの流れを可能にし;流体リザーバー中で流体の流れをコントロールし、流れが、流体リザーバー中での抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの動きを含み、このようにして、流体リザーバー中で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するように構成されたプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、カートリッジに含まれ、このシステムは、プロセッサとデータ通信させてカートリッジを設置するための連結を含む。いくつかの実施形態において、このシステムは、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバーをさらに含む。いくつかの実施形態において、このシステムは、既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物と混合するように構成された化学及び/又はファージ抗生剤のリザーバーをさらに含む。いくつかの実施形態において、このシステムは、化学抗生剤及び/又はファージを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる抗生剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液は凍結乾燥される。いくつかの実施形態において、このシステムは、バクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものである。このように、このプロセッサは、(本明細書に記載の)抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物に基づいて、混合物のバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質を、流体リザーバーと流体連通させて設置するようにバルブを構成し;規定の混合物のバクテリオシンが生成されるように、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質とのインビトロの転写/翻訳溶液のインキュベーションを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態において、このシステムは、抗菌ペプチドを含まないバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものである。いくつかの実施形態において、このシステムは、抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。いくつかの実施形態において、このシステムは、抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。いくつかの実施形態において、このシステムは、バクテリオシンを含まない抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。いくつかの実施形態において、このシステムは、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのマイクロ流体デバイスを含む。このデバイスは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質、及び別個のコード基質に連結された流体通路にそれぞれ設置されたバルブを含み得る。それぞれのバルブは、別個のコード基質への流れ、又は別個のコード基質からの流れを制御するように構成され得る。このデバイスは、流体リザーバー及び/又はインビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、このデバイスは、流体リザーバー又はインビトロの転写/翻訳溶液をさらに含む。いくつかの実施形態は、バクテリオシンの規定の混合物を生成するためのマイクロ流体デバイスを含む。このデバイスは、バクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質、並びに別個のコード基質が流体リザーバー及び/又はインビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置されるように構成された、別個のコード基質への流体通路又は別個のコード基質からの流体通路にそれぞれ設置されたバルブを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0015]
図1は、バクテリオシンを含む組成物を作製するための従来の方法の模式図である。示されるように、バクテリオシン混合物の産生のための複数の株がある。しかしながら、異なるバクテリオシンが異なる濃度である([A]≠[B]≠[C]≠[D])非常に高い可能性があると考えられる。加えて、産生したバクテリオシンが産生の問題を引き起こすように、宿主に対して毒性である場合があると考えられる。
【
図2】[0016]
図2は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、バクテリオシン及び切断部位を含むプロポリペプチドをコードする核酸の実施形態の模式図である。示されるように、単一の細菌は、合成遺伝子によってコードされるプロポリペプチドを産生し得る。1つのバクテリオシンの分子比率は、プロポリペプチドにその複数のコピーを置くことによって変化させることができると考えられる。
【
図3】[0017]
図3は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、バクテリオシン及び切断部位を含む組成物の実施形態の模式図である。
【
図4A】[0018]
図4Aは、本明細書におけるいくつかの実施形態による、バクテリオシン、切断部位及びシグナル分子を含むプロポリペプチドの実施形態の模式図である。
【
図4B】[0019]
図4Bは、本明細書におけるいくつかの実施形態による、プロポリペプチドの切断後の、バクテリオシン及びシグナル分子を含む組成物の実施形態の模式図である。
【
図5】[0020]
図5は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、マイクロ流体デバイスを表す模式図である。
【
図6】[0021]
図6は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、マイクロ流体デバイスを表す模式図である。
【
図7】[0022]
図7は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するための方法を図示するフロー図である。
【
図8】[0023]
図8は、本明細書におけるいくつかの実施形態による、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを作製するための方法を図示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0024] 本明細書におけるいくつかの実施形態によれば、望ましい比率のバクテリオシンを作製するための方法及び組成物を記載する。いくつかの実施形態は、正確な比率又は化学量論でバクテリオシンを含む組成物を含み、これは、多くの適用、例えば、工業的バイオテクノロジー製造プロセス、医薬品、生物製剤及び化粧品の製造、並びに医療適用における、微生物体の集団を調整するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、切断部位によって分離される複数のバクテリオシンを含有する単一のプロポリペプチドは、核酸によってコードされ、核酸を含有する遺伝子操作された微生物細胞によって産生される(例えば、
図2を参照のこと)。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、微生物細胞及び/又は多細胞宿主の細胞の成長を調節することができるシグナル分子をさらに含み得る。プロポリペプチド中のバクテリオシンは、不活性形態であり得、したがって、微生物細胞は、これらのバクテリオシンに対する免疫を必要としない。プロポリペプチドは、例えば、アフィニティー精製によって単離することができる。プロポリペプチドの切断部位は、切断され得(例えば、
図3を参照のこと)、このようにして、活性なバクテリオシンの混合物が生成する。概念上は、プロポリペプチドは、複数の成分のバクテリオシンを含有する「スパゲッティ」の鎖として構想され得、これは、次いで、個々のバクテリオシンに切断することができる。本出願において、簡潔さのために、プロポリペプチドを「スパゲッティ」とも称する場合があることに留意されたい。いくつかの実施形態は、バクテリオシンの規定の混合物を作製するためのマイクロ流体デバイス及び方法を含む。本明細書におけるいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスのバクテリオシンの「規定の混合物」は、限定されるものではないが、バクテリオシンの組成(規定のバクテリオシンを含むように、及び/又は他のバクテリオシンを含まないように)、混合物のバクテリオシンの化学量論、及び任意選択により補助タンパク質の存在を含むパラメーターに従って、規定され得る。マイクロ流体デバイスは、バクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質を含み得る(例えば、
図5を参照のこと)。規定の混合物のバクテリオシンをコードする別個のコード基質は、規定の混合物のバクテリオシンをコードする別個のコード基質がインビトロの転写/翻訳溶液とともにインキュベートされるように、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置され得、このようにして、規定の混合物のバクテリオシンが生成される。次いで、規定の混合物のバクテリオシンは、マイクロ流体デバイスの流体リザーバーと流体連通させて設置され得、バクテリオシンは、流体リザーバーに流体的に移動し、このようにして、流体リザーバー中で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成される。いくつかの実施形態において、それぞれの別個のコード基質は、異なるバクテリオシンをコードする。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、2つ以上の異なるバクテリオシンをコードする。いくつかの実施形態において、別個のコード基質の少なくとも1つ又はすべてが、本明細書に記載の「スパゲッティ」プロポリペプチドをコードする。任意選択により、別個のコード基質は、本明細書に記載のプロテアーゼを含み得るか、又はコードすることができ、これは、別個のコード基質が規定の化学量論で2つ以上のバクテリオシンを生成することができるように、プロポリペプチドの切断部位を切断することができる。マイクロ流体デバイスは、組織、創傷、宿主のマイクロバイオーム又は管と流体連通させて抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を設置するように構成された出口を含み得る。バクテリオシンの規定の混合物は、例えば、ポイントオブケアの抗菌組成物として、及び/又は宿主の組織及び/又は宿主のマイクロバイオーム、例えば、望ましくない微生物体を含むものに対する規定の混合物の効果を試験するために、使用することができる。
【0017】
[0025] 有利には、プロポリペプチド中の異なるバクテリオシンの相対量は、切断後の混合物中のバクテリオシンの比率を正確に決定し、この比率は、異なる微生物細胞内又は異なる微生物細胞間でのポリペプチドの発現の割合にかかわらず、維持される。対照的に、バクテリオシンが、別々のペプチドとして翻訳されるか、又は異なる細胞によって産生される従来の方法は(
図1を参照のこと)、バクテリオシンの最終比率が本明細書における実施形態よりも正確さが劣るように、形質転換の効率、遺伝子操作の効率及び/又は遺伝子発現の効率(例えば、いくつかのバクテリオシンをコードするプラスミドは、他よりもより効率よく複製及び/又は翻訳を開始する)の変化を被り得る。別の利点として、それぞれの核酸は多くのバクテリオシンをコードすることができるので、本明細書におけるいくつかの実施形態は、特定のバクテリオシンをそれぞれコードする複数のコンストラクトを導入することを含む従来のアプローチよりもはるかに効率が良い宿主細胞の遺伝的改変を提供する。別の利点として、バクテリオシンはプロポリペプチド中で不活性形態で産生され得るので、バクテリオシンを産生する「働き者」の微生物体は、すべて、いくつか又はいずれかのこれらのバクテリオシンへの免疫により構成される必要はなく、このようにして、多くの異なるバクテリオシンのいずれかの混合物を生成するために容易に使用することができる。とはいえ、いくつかの実施形態において、微生物体の生成は、プロポリペプチド中に含まれる1つ若しくは複数又はすべてのバクテリオシンへの免疫により、自然に、又は人工的に構成され得る。
【0018】
[0026] 本明細書におけるいくつかの実施形態のバクテリオシン組成物によって標的にされる微生物体の集団は、ヒトの臓器、動物及び植物(例えば、根において、又は植物が成長する土壌中)などのマイクロバイオームにおいて、並びに食品(ヒト及び/又は動物用)、医薬製品及び化粧製品などの製品において、工業的培養、発酵槽、医薬品、生物製剤及び化粧品製造などの多くの商業的に有用な環境で存在することができる。理論によって制限されないが、これらの任意の環境における微生物体の集団は、定常状態で必ずしも共存する必要がないと考えられる。例えば、Jaramilloら, Nature Microbiology 2: 17119(2017)における概説のように、互いに(直接的又は間接的に)相互作用する微生物体の集団として、これらは、正又は負の方法で互いに影響を及ぼすことができるが、定常状態で存在するとは予想されず、これは、慣例的に、共培養の維持における課題をもたらす。いくつかの実施形態において、微生物体のある特定の集団が上記のある特定の閾値の量又は密度に達すると、本明細書におけるいくつかの実施形態の方法に従って、並びに/或いは本明細書におけるいくつかの実施形態の使用又はプロポリペプチド及び/又は核酸及び/又は微生物細胞によって、生成するバクテリオシンの混合物は、この集団の微生物細胞を標的にするために、環境に添加することができる。例えば、集団が大過剰の微生物体番号1、及びより小過剰の微生物体番号2を含有する場合、いくつかの実施形態によれば、バクテリオシン番号2(微生物体番号2を標的にする)に対するバクテリオシン番号1(微生物体番号1を標的にする)の比較的高い比率を含む混合物は、微生物体番号1を標的とするより大きな減少を伴って、微生物体番号1及び番号2の成長を減少させるように、集団に投与することができる。
【0019】
バクテリオシン及び抗菌ペプチド
[0027] 本明細書で使用される場合、「バクテリオシン」及びこの語幹の用語の変形は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有する。これは、宿主細胞によって分泌され、ポリペプチドが作製される個々の宿主細胞以外の少なくとも1つの細胞を中和することができる、ポリペプチドを指し、宿主細胞及び他の微生物細胞にクローン的に関連する細胞を含む。「バクテリオシン」は、このようなポリペプチドの無細胞又は化学合成バージョンも包含する。特定の「免疫モジュレーター」(本明細書においてより詳細に議論される)を発現する細胞は、特定のバクテリオシン又はバクテリオシンの群の中和効果に対して免疫性である。このように、バクテリオシンは、これらの細胞が適した免疫モジュレーターを産生しない限り、バクテリオシンを産生する細胞及び/又は他の微生物細胞を中和することができる。このように、宿主細胞は、バクテリオシンを分泌することによって、多数の他の微生物体に対する細胞毒性効果又は成長阻害効果を発揮することができる。微生物細胞の成長をコントロールするためにバクテリオシンを使用するための方法及び組成物を含む、バクテリオシンの詳細な説明は、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,333,227号に見ることができる。「バクテリオシン」は、ポリペプチドの起源によって限定されず、例として、天然に存在するバクテリオシン、合成バクテリオシン並びにこれらのバリアント及び組み合わせなどの任意のバクテリオシンを包含すると考えられる。
【0020】
[0028] いくつかの実施形態のバクテリオシンは、プロポリペプチド中において最初に産生し、次いで、これは、本明細書に記載のようにして切断されて、個々のバクテリオシンを生成することができる。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、微生物細胞の翻訳機構(例えば、リボソームなど)によって産生される。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、インビトロの発現系によって産生される。プロポリペプチドは、切断を受けて(例えば、天然に存在するプロテアーゼ又は合成プロテアーゼなどの切断酵素によるプロセシング)、バクテリオシンそれ自体のポリペプチドが生じ得る。このように、いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、前駆体ポリペプチドから生成される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、翻訳後の修飾、例えば、1つ若しくは複数の官能基の切断又は付加を受けたポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオシン及び切断部位を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる、プロポリペプチドは、化学的に合成される。
【0021】
[0029] 「抗生剤」及びこの語幹の用語の変形は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有する。これは、少なくとも1つの微生物細胞を死滅又は成長を阻止することができる、代謝産物又は代謝経路の中間体を指す。いくつかの抗生剤は、微生物細胞、例えば、細菌によって産生され得る。いくつかの抗生剤は、化学的に合成され得る。少なくとも、バクテリオシンが、遺伝子産物(これは、いくつかの実施形態において、追加の翻訳後プロセシングを受ける)又はその合成アナログを指すが、抗生剤が、代謝経路の中間体若しくは産物、又はその合成アナログを指すという点において、バクテリオシンが、抗生剤と区別されると理解される。
【0022】
[0030] バクテリオシンの中和活性は、例えば、微生物の複製の阻止又は細胞毒性を含み得る。いくつかのバクテリオシンは、細胞毒性活性(例えば、「殺菌」効果)を有し、このため、微生物体、例えば、細菌、酵母、藻類、合成微生物などを死滅させることができる。いくつかのバクテリオシンは、微生物体、例えば、細菌、酵母、藻類、合成微生物などの複製を、例えば、細胞周期の阻止によって、阻害することができる(例えば、「静菌」効果)。いくつかの中和には、微生物の複製の阻止、微生物体の複製の阻害及び/又は細胞毒性を含むか、これらからなるか、又はこれらから実質的になる。
【0023】
[0031] いくつかの実施形態において、特定の中和の活性又は活性の範囲(例えば、細胞毒性又は微生物の複製の阻止)は、望ましい微生物制御のタイプ、及び標的とする微生物体の特定の株又は種に基づいて、選択される。このように、いくつかの実施形態において、特定のバクテリオシン又はバクテリオシンの組み合わせが選択される。例えば、いくつかの実施形態において、微生物細胞は、遺伝子操作されて、制御される細胞に基づいて、特定のバクテリオシンを発現する。いくつかの実施形態において、例えば、汚染された細胞を死滅させる場合、少なくとも1つの細胞毒性バクテリオシンが提供される。いくつかの実施形態において、特定の培養、又は特定の地理的位置、又は特定の地理的位置において成長する特定のタイプの培養において一般に生じる汚染物質に対して有効であるバクテリオシン又はバクテリオシンの組み合わせが選択される。いくつかの実施形態、例えば、微生物細胞の比率の可逆的な制御が望まれる実施形態において、微生物の複製を阻害するバクテリオシンが提供される。任意の特定の理論によって限定されることなく、多くのバクテリオシンは、バクテリオシンを産生する種と同じ生態学的地位を典型的に占める微生物体に対する中和活性を有し得る。このように、いくつかの実施形態において、特定のバクテリオシンの活性のスペクトラムが望まれる場合、バクテリオシンは、バクテリオシンによって標的にされる微生物体又は生物体と同じ(又は同様の)生態学的地位を占める宿主種から選択される。いくつかの実施形態において、特定の混合物及び/又は比率は、単一の微生物体を標的にするために選択される(これは、ある微生物体のタイプ、例えば、クローン的に関連する微生物体の1つ又はそれ以上を標的にすることを含む)。例えば、特定のタイプの微生物体は、単一のバクテリオシンによってよりも、バクテリオシンの所定の混合物及び/又は比率によって、より効率よく標的にされ得る。
【0024】
[0032] いくつかの実施形態において、1つ又は複数のバクテリオシンの活性は、培養物の成長より前に選択され、望ましい化学量論でバクテリオシンを含むプロポリペプチドが調製される。プロポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、例えば、核酸合成及び/又は分子クローニングを使用して調製することができ、プロポリペプチドを生成するために使用することができる。ポリヌクレオチドは、例えば、微生物細胞における多くの適切な系、又はインビトロの発現系を使用して、転写(DNAの場合)及び翻訳することができる。いくつかの実施形態において、バクテリオシン(及びその比率)は、特定の培養において成長を試みる可能性がある1つ又は複数の侵入微生物を中和するそれらの能力に基づいて、選択され得る。いくつかの実施形態において、バクテリオシン(及びその比率)は、環境において、例えば、工業用原料において、或いは発酵槽において、或いは食品、医薬品又は化粧品の製造環境において、或いは腸又は皮膚のマイクロバイオームなどの組織環境において、或いは植物、植物の根及び/又は土壌における微生物の集団の維持又は調整において、或いは食品、薬物、化粧品の製品の品質の保存又は維持において、特定の有用な微生物株の成長を制限するそれらの能力に基づいて、選択され得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のバクテリオシンの活性(及び/又は比率)は、環境に存在する1つ若しくは複数の微生物株又は微生物株の集団に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態において、特定の侵入者が環境中で特定される場合、バクテリオシン(及びその比率)を中和するパネルを、特定された侵入者を中和するために選択することができる。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、例えば、新しい工業培養物が培養環境に導入され得るように培養環境における工業的培養物を排出するため、或いは医薬品若しくは化粧品の製品の製造環境の汚染を予防又は阻害するため、或いは食品、薬物若しくは化粧品の汚染又は損傷を予防又は最小化するために、環境中の微生物細胞のすべて又は実質的にすべてを中和するために選択される。
【0025】
[0033] 例えば、いくつかの実施形態において、抗真菌活性(抗酵母活性など)が望ましい。抗真菌活性を有する多くのバクテリオシンが特定されている。例えば、バチルス属からのバクテリオシンは、酵母株に対する中和活性を有することが示されており(Adetunji及びOlaoye (2013) Malaysian Journal of Microbiology 9: 130-13を参照のこと、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、エンテロコッカス・フェカリスペプチド(WLPPAGLLGRCGRWFRPWLLWLQ SGAQY KWLGNLFGLGPK、配列番号1)は、カンジダ属種に対する中和活性を有することが示されており(Shekh及びRoy (2012) BMC Microbiology 12: 132を参照のこと、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、シュードモナス属からのバクテリオシンは、クルブラリア・ルナータ、フザリウム属種、ヘルミントスポリウム属種及びビオポラリス属種などの真菌に対する中和活性を有することが示されている(Shalani及びSrivastava (2008) The Internet Journal of Microbiology. Volume 5 Number 2. DOI: 10.5580/27dd、archive.ispub.com/journal/the-internet-journal-of-microbiology/volume-5-number-2/screening-for-antifungal-activity-of-pseudomonas-fluorescens-against-phytopathogenic-fungi.html#sthash.d0Ys03UO.1DKuT1US.dpufのワールドワイドウェブにおいてアクセス可能、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。例として、枯草菌からのボトリシジンAJ1316(Zuber, Pら(1993)Peptide Antibiotics. In Bacillus subtilis and Other Gram-Positive Bacteria: Biochemistry, Physiology, and Molecular Genetics Sonensheinら編, pp. 897-916, American Society for Microbiologyを参照のこと、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)及びアリリンB1(Shenin et al.(1995) Antibiot Khimioter 50: 3-7を参照のこと、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)は、抗真菌活性を有することが示されている。このように、いくつかの実施形態、例えば、真菌微生物体の中和が望まれる実施形態において、バクテリオシンは、少なくとも1つのボトリシジンAJ1316又はアリリンB1を含む。
【0026】
[0034] 例えば、いくつかの実施形態において、特定の微生物(又は異なる微生物のコレクション)の培養物におけるバクテリオシン活性が望ましく、バクテリオシンは、望ましい微生物以外の微生物を中和するために、所定の比率で選択される。望ましい微生物体が、これらのバクテリオシンに対する関連する免疫モジュレーターをすでに産生し得るか、又は免疫モジュレーターを産生するように容易に遺伝子操作され得るので、望ましい微生物によって典型的に産生されるバクテリオシンを選択することができる。このように、選択されたバクテリオシンは、望ましい微生物体のわずかな中和を引き起こすか、中和を引き起こさずに、望ましくない微生物細胞を標的にすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、シアノバクテリアを保存しながら、シアノバクテリアの培養環境中で典型的に見られる侵入微生物体を中和するために、特定の比率で選択される。保存されたバクテリオシンポリペプチドのクラスターは、多種多様のシアノバクテリア種において特定されている。例えば、少なくとも145の推定のバクテリオシン遺伝子クラスターは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるWangら(2011), Genome Mining Demonstrates the Widespread Occurrence of Gene Clusters Encoding Bacteriocins in Cyanobacteria. PLoS ONE 6(7): e22384において報告されているように、少なくとも43のシアノバクテリア種において特定されている。例示的なシアノバクテリアのバクテリオシンを、配列番号420、422、424、426、428、430、432、434、436、438、440、442、444、446、448及び450として、表1.2に示す。
【0027】
[0035] いくつかの実施形態において、微生物細胞はバクテリオシンを産生する。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、バクテリオシンを産生する微生物細胞からの異なる種又は株の細胞を中和する。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、これらの細胞が適した免疫モジュレーターを欠く場合、宿主細胞と同じ種又は株の細胞を中和する。バクテリオシンは、宿主及び非宿主微生物体の両方の中和を媒介することができるので、当業者は、バクテリオシンが、宿主微生物がそれ自体のみを中和することができる内因性機構が関与する毒物の解毒系と区別されることを容易に認識するであろう。言い換えれば、バクテリオシンは、それらが産生される細胞以外の細胞を中和することができるが(例えば、バクテリオシンは、生態学的地位の保護剤として作用するように選択及び/又は遺伝子操作され得る)、毒物分子は、それらが産生される個々の細胞のみを死滅させる(例えば、自殺系として作用する)。
【0028】
[0036] 多くのバクテリオシンが、特定及び特徴付けられている。理論によって制限されないが、例示的なバクテリオシンは、典型的には翻訳後修飾を受ける「クラスI」バクテリオシン、及び典型的には未修飾の「クラスII」バクテリオシンとして、分類され得る。加えて、それぞれのクラスにおける例示的なバクテリオシンは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるCotter, P.D.ら“Bacteriocins- a viable alternative to antibiotics” Nature Reviews Microbiology(2013)11: 95-105が出典である、表1.1に要約された各種の下位群に分類され得る。
【0029】
[0037] 理論によって制限されないが、バクテリオシンは、さまざまな方法で、標的微生物細胞の中和をもたらすことができる。例えば、バクテリオシンは、細胞壁を透過性にすることができ、このようにして、細胞壁は脱分極され、呼吸が妨げられる。
【0030】
【0031】
[0038] 多くのバクテリオシンは、本明細書における実施形態に従って使用することができる。例示的なバクテリオシンを表1.2に示す。いくつかの実施形態において、表1.2のポリペプチド配列を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる少なくとも1つのバクテリオシンが提供される。表1.2に示されるように、いくつかのバクテリオシンは、分子のペアとして機能する。このように、特に明記されない限り、機能性「バクテリオシン」又は「バクテリオシンを提供すること」などが本明細書において議論される場合、機能性バクテリオシンのペアは、個々に機能するバクテリオシンと一緒に含まれる。表1.2を参照して、括弧内に列挙された「微生物の起源」は、示されたバクテリオシンを産生することが公知の生物体についての代替の名称及び/又は株の情報を示す。しかしながら、本明細書におけるいくつかの実施形態において、バクテリオシンは、望ましい微生物体によって産生され、このため、表1.2に示されるバクテリオシンを産生することが公知の生物体の例に限定されない。
【0032】
[0039] 本明細書における実施形態は、表1.2に記載のバクテリオシンに対する同一性を有するペプチド及びタンパク質も含む。「同一性」という用語は、本開示を考慮して、当業者によって理解されるその普通及び通常の意味を有する。これは、核酸又はタンパク質の配列の相同性又は三次元相同性を含むことを意味する。本明細書で使用される場合、バクテリオシン、シグナル分子、免疫モジュレーター、タグ(又は本明細書に記載のプロポリペプチドの任意の他のペプチドの成分)などのポリペプチドの「バリアント」は、本開示を考慮して、当業者によって理解されるその普通及び通常の意味を有する。これは、参照配列に対する本明細書に記載の同一性の、少なくとも約70%、例えば、少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を含むことが理解され、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、70%~100%、75%~100%、80%~100%、85%~100%、90%~100%、95%~100%、97%~100%、99%~100%、70%~99%、75%~99%、80%~99%、85%~99%、90%~99%、95%~99%、97%~99%、70%~95%、75%~95%、80%~95%、85%~95%、90%~95%、70%~90%、75%~90%、80%~90%、及び85%~90%を含む。ポリペプチドに対する核酸若しくはポリペプチドの配列の相同性及び/又は三次元相同性を決定するために、いくつかの技術が存在する。これらの方法は、1つの配列、ドメイン又はモデルが、標的の配列、ドメイン又はモデルに対して有する同一性の及ぶ範囲を発見するために日常的に利用される。同一性パーセントは、BLASTソフトウェア(Altschul, S.F.ら(1990)"Basic local alignment search tool." J. Mol. Biol. 215:403-410、blast.ncbi.nlm.nih.govのワールドワイドウェブにおいてアクセス可能)を使用して、初期設定のパラメーターで、決定され得る。
【0033】
[0040] 広範囲の機能性バクテリオシンは、本明細書に開示されるバクテリオシンの特徴を含み得、このようにして、表1.2におけるバクテリオシンに対する非常に高度の同一性を提供する。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、表1.2のポリペプチドのいずれか1つに対する、少なくとも約50%の同一性、例えば、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有し、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、70%~100%、75%~100%、80%~100%、85%~100%、90%~100%、95%~100%、97%~100%、99%~100%、70%~99%、75%~99%、80%~99%、85%~99%、90%~99%、95%~99%、97%~99%、70%~95%、75%~95%、80%~95%、85%~95%、90%~95%、70%~90%、75%~90%、80%~90%、及び85%~90%を含む。
【0034】
[0041] いくつかの実施形態において、表1.2におけるバクテリオシンに対する同一性を有するバクテリオシンが提供され、バクテリオシンは、本明細書に記載のプロポリペプチドにおいて使用される1つ又は複数の切断部位を除去するために修飾されている。理論によって制限されないが、切断部位を除去するためのバクテリオシンの修飾(例えば、小さな非極性アミノ酸から小さな非極性アミノ酸、例えば、Leu→Ile、又は小さな極性アミノ酸から小さな極性アミノ酸、例えば、Ser→Thrなどの保存的置換を行うことによる)は、プロポリペプチドが本明細書に記載のようにして切断されるときに、バクテリオシンそれ自体を切断されることから防ぐことができると考えられる。このように、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のプロポリペプチド中のバクテリオシン(例えば、表1.2のバクテリオシン又はそのバリアント)は、プロポリペプチドのバクテリオシン(又は他の要素)を分離するために使用される任意の切断部位を含有しない。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
[0042] 本明細書で使用される場合、「バクテリオシンポリヌクレオチド」は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有する。これは、バクテリオシンをコードするポリヌクレオチドを指す。本明細書で使用される場合、「バクテリオシンのコード配列」は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有する。これは、バクテリオシンのポリペプチド配列をコードする核酸のコード配列(例えば、RNA又はDNA)を指す。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、少なくとも1つのバクテリオシンを含む。
【0046】
[0043] 抗菌ペプチドは、自然免疫活性を付与して、微生物体を死滅させるか、又は微生物体の成長を阻止する、ペプチドのクラスである。本明細書で使用される場合、「抗菌ペプチド」(この語幹の用語の変形を含む)は、本開示を考慮して、当業者によって理解されるであろう、その普通及び通常の意味を有する。古典的には、抗菌ペプチドは、無脊椎動物及び脊椎動物の自然免疫系によって産生されるペプチドとして記載されている。このように、バクテリオシンは、古典的には、微生物体を標的にする微生物の遺伝子産物のクラスを指すが、抗菌ペプチドは、古典的には、微生物体を標的にする無脊椎動物及び脊椎動物の遺伝子産物のクラスと称される。本明細書におけるいくつかの実施形態の方法、マイクロ流体デバイス及びシステムのために適切な抗菌ペプチドの例は、当技術分野において公知であり、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、aps.unmc.edu/AP/のワールドワイドウェブにおいてアクセス可能な抗菌ペプチドデータベースで見ることができる。1000を超える抗菌ペプチド及びそのバリアントが、特定され、カタログに載せられている。抗菌ペプチドデータベースは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Wangら(2016), Nucleic Acids Res. 44(Database issue): D1087-D1093に記載されている。抗菌ペプチドの例としては、バクテリオシン、抗細菌ペプチド、抗ウイルスペプチド、抗HIVペプチド、抗真菌ペプチド、抗寄生虫ペプチド、並びにデルマセプチン-B2、アバエシン、Ct-AMP1、アンドロピン、オーレイン1.1、ラクトフェリシンB及びヘリオマイシンなどの抗がんペプチドが挙げられる。いくつかの実施形態の方法、組成物、システム及びマイクロ流体デバイスは、天然に存在する抗菌ペプチド、又はそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態の方法、組成物、システム及びマイクロ流体デバイスは、天然に存在しない抗菌ペプチド、又はそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態の方法、組成物、システム及びマイクロ流体デバイスは、天然に存在する抗菌ペプチドの変異若しくはバリアント、又はそれをコードする核酸を含む抗菌ペプチドを含む。いくつかの実施形態の方法、組成物、システム及びマイクロ流体デバイスは、天然に存在しないペプチド配列、若しくはそれをコードする核酸を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる抗菌ペプチドを含む。
【0047】
[0044] 本明細書におけるいくつかの実施形態の方法、システム及びマイクロ流体デバイスは、天然に存在する抗菌ペプチド、天然に存在する抗菌ペプチドのバリアント及び/又は合成抗菌ペプチドと併用することができるとさらに考えられる。このように、いくつかの実施形態の方法、システム及びデバイスの抗菌ペプチドは、天然に存在する抗菌ペプチド、天然に存在する抗菌ペプチドのバリアント及び/又は合成抗菌ペプチドを含み得るか、又はこれらから実質的になり得るか、又はこれらからなり得る。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチドのバリアントは、参照抗菌ペプチド(例えば、デルマセプチン-B2、アバエシン、Ct-AMP1、アンドロピン、オーレイン1.1、ラクトフェリシンB又はヘリオマイシン)と、少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、70%~100%、75%~100%、80%~100%、85%~100%、90%~100%、95%~100%、97%~100%、99%~100%、70%~99%、75%~99%、80%~99%、85%~99%、90%~99%、95%~99%、97%~99%、70%~95%、75%~95%、80%~95%、85%~95%、90%~95%、70%~90%、75%~90%、80%~90%、及び85%~90%を含む。本明細書においてバクテリオシンが言及されている場合はいつでも、本明細書に記載の任意の抗菌ペプチドが、述べられたバクテリオシンの1つ、2つ若しくはそれ以上、又はすべてに対して置換することができると明確に考えられる(しかし、バクテリオシン-免疫モジュレーターのペアなどのいくつかの文脈において、抗菌ペプチドが、バクテリオシンとは異なる性質及び異なる相互作用を有することが認識されるであろう)。したがって、本明細書に記載の方法及びマイクロ流体デバイスのいくつかの実施形態は、バクテリオシンのみを含み、本明細書に記載の方法及びマイクロ流体デバイスのいくつかの実施形態は、抗菌ペプチドのみを含み、本明細書に記載の方法及びマイクロ流体デバイスのいくつかの実施形態は、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの組み合わせを含む。したがって、いくつかの実施形態の方法及び組成物において、プロポリペプチドは、バクテリオシンに代えて抗菌ペプチドを含む。したがって、いくつかの実施形態の方法及び組成物において、プロポリペプチドは、1つ又は複数の抗菌ペプチド及び1つ又は複数のバクテリオシンを含む。
【0048】
バクテリオシン免疫モジュレーター
[0045] 例示的なバクテリオシン免疫モジュレーターを表2に示す。表2中の免疫モジュレーターは天然に存在するが、当業者は、表2の免疫モジュレーターのバリアント、表2の免疫モジュレーター以外の天然に存在する免疫モジュレーター、又は合成免疫モジュレーターを本明細書におけるいくつかの実施形態に従って使用することができることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、バクテリオシンを含むプロポリペプチドを産生する微生物細胞は、少なくとも1つのバクテリオシンに対する免疫モジュレーターを産生しない。理論によって制限されないが、いくつかの実施形態において、細胞がプロポリペプチドのこれらのバクテリオシンに対する免疫を必要としないように、プロポリペプチド中のバクテリオシンは不活性であり、したがって、細胞が、それを産生する細胞(若しくはそれを産生する細胞にクローン的に関連する細胞)を中和する能力がわずかであるか、又は有さないと考えられる。
【0049】
[0046] いくつかの実施形態において、特定の免疫モジュレーター又は免疫モジュレーターの特定の組み合わせは、免疫を、特定のバクテリオシン、特定のクラス若しくはカテゴリーのバクテリオシン、又はバクテリオシンの特定の組み合わせに付与する。免疫モジュレーターが免疫を付与することができる例示的なバクテリオシンを、表2において特定する。表2は、例示的な免疫モジュレーターについての「微生物の起源」を特定するが、これらの免疫モジュレーターは、他の天然に存在する遺伝子改変又は合成微生物中で容易に発現することができ、本明細書におけるいくつかの実施形態による望ましいバクテリオシンの免疫活性を提供する。このように、本明細書で使用される場合、「免疫モジュレーター」は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有し、本明細書において明示的に提供される構造を指すだけでなく、本明細書に記載の「免疫モジュレーター」の構造と同じ効果を実質的に有する構造も指し、これは、完全合成免疫モジュレーター、及び本明細書に開示されるバクテリオシンと同等に機能するバクテリオシンに対する免疫を提供する免疫モジュレーターを含む。
【0050】
[0047] 表2のポリペプチドをコードする例示的なポリヌクレオチド配列を表2に示す。当業者は、遺伝コードが変質し、その上、コドン使用頻度が、遺伝子産物が発現され、例えば、特定のペプチドが2つ以上のポリヌクレオチドによってコードされ得る特定の生物体に基づいて変化し得ることを容易に理解するであろう。いくつかの実施形態において、バクテリオシン免疫モジュレーターをコードするポリヌクレオチドは、バクテリオシン免疫モジュレーターを発現する生物体のコドン使用頻度に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、バクテリオシン免疫モジュレーターをコードするポリヌクレオチドは、バクテリオシン免疫モジュレーターを発現する特定の生物体に基づいてコドン最適化される。広範囲の機能性免疫モジュレーターは、本明細書に開示される免疫モジュレーターの特徴を含み得、このようにして、表2における免疫モジュレーターに対する非常に高度の同一性を提供する。いくつかの実施形態において、免疫モジュレーターは、表2のポリペプチドのいずれか1つと、少なくとも約50%の同一性、例えば、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性、又は先述の値のいずれか2つによって定義される同一性の範囲を有する。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
プロモーター
[0048] プロモーターは当技術分野において周知である。プロモーターは、1つ又は複数の遺伝子の転写を推進するために使用することができる。いくつかの実施形態において、プロモーターは、本明細書に記載の望ましい遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドの発現を推進する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、本明細書に記載の2つ以上のバクテリオシンを含むプロポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を推進する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、本明細書に記載の免疫モジュレーターポリヌクレオチドの発現を推進する。いくつかの実施形態において、プロモーターは、微生物細胞中の2つ以上のバクテリオシンを含むプロポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を推進するが、微生物細胞は、1つ又は複数のこれらのバクテリオシンに対する免疫モジュレーターを発現しない(例えば、細胞は、免疫モジュレーターの転写を推進するプロモーターを欠くことができ、又は免疫モジュレーターをコードする核酸を欠くことができる)。いくつかのプロモーターは、いつでも転写を推進することができる(「構成的プロモーター」)。いくつかのプロモーターは、例えば、環境条件、化学物質、遺伝子産物、細胞周期の段階などの存在又は非存在に応じて、選択された状況下のみで転写を推進することができる(「条件プロモーター」)。
【0055】
[0049] 当業者は、望ましい発現活性に応じて、適したプロモーターを選択することができ、発現される核酸配列とシスで置くことができることを認識するであろう。例示的な活性を有し、本明細書におけるいくつかの実施形態において有用な、例示的なプロモーターは、本明細書の表3.1~3.11に提示される。当業者は、いくつかのプロモーターが、特定の転写装置(例えば、RNAポリメラーゼ、一般的な転写因子など)と適合性であることを認識するであろう。このように、適合性の「種」は、本明細書に記載のいくつかのプロモーターについて特定されるが、いくつかの実施形態において、これらのプロモーターは、特定された種以外の微生物において、例えば、適合性の内因性転写装置を有する種、適合性の転写装置を含む遺伝子改変種、又は適合性の転写装置を含む完全合成微生物体において、容易に機能することができると考えられる。
【0056】
[0050] 本明細書における表3.1~3.11のプロモーターは、バイオブリックス財団から公表されている。バイオブリックス財団は、BioBrick(商標)Public Agreement(BPA)に従ってこれらのプロモーターの使用を奨励していることを留意されたい。
【0057】
[0051] 本明細書に記載の任意の「コード」ポリヌクレオチド(例えば、バクテリオシンポリヌクレオチド、免疫ポリヌクレオチド、又は2つ以上のバクテリオシンを含むプロポリペプチドをコードするヌクレオチド)が、一般に、望ましいプロモーターのコントロール下での発現を受け入れることが認識されるべきである。いくつかの実施形態において、単一の「コード」ポリヌクレオチドは、単一プロモーターのコントロール下にある。いくつかの実施形態において、2つ以上の「コード」ポリヌクレオチドは、単一のプロモーター、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のポリヌクレオチドのコントロール下にある。
【0058】
[0052] 一般に、特定の転写物のための翻訳開始は、転写物のコード配列の5’末端の5’での特定の配列によって制御される。例えば、コード配列は、イニシエーターのtRNAと対にするように構成された開始コドンにより開始し得る。天然に存在する翻訳系は、典型的には、開始コドンとしてMet(AUG)を使用するが、イニシエーターのtRNAは、遺伝子操作されて、任意の望ましいトリプレット又は複数のトリプレットと結合することができ、したがって、ある特定の実施形態において、AUG以外のトリプレットが開始コドンとして機能することができることは容易に認識されるであろう。加えて、開始コドンの近くの配列は、リボソームアセンブリ、例えば、Kozak配列((gcc)gccRccAUGG、配列番号542、ここで、Rは、「A」又は「C」を表す)、又は典型的な真核翻訳系における内部リボソームエントリー部位(IRES)、又は典型的な原核翻訳系におけるShine-Delgarno配列(GGAGGU、配列番号543)を促進することができる。このように、いくつかの実施形態において、「コード」ポリヌクレオチド配列を含む転写物、例えば、バクテリオシンポリヌクレオチド若しくは免疫ポリヌクレオチド、又は2つ以上のバクテリオシンを含むプロポリペプチドをコードするヌクレオチドは、適した開始コドン及び翻訳開始配列を含む。いくつかの実施形態において、例えば、2つ以上の「コード」ポリヌクレオチド配列が転写物においてシスに位置する場合、それぞれのポリヌクレオチド配列は、適した開始コドン及び翻訳開始配列を含む。いくつかの実施形態において、例えば、2つ以上の「コード」ポリヌクレオチド配列が転写物においてシスに位置する場合、2つの配列は、単一の翻訳開始配列のコントロール下にあり、どちらかが、コードされたシスのポリペプチドの両方で機能することができる単一のポリペプチドを提供する。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
[0053] 上記で参照したプロモーターは、非限定的な例のみとして提供される。当業者は、上記で参照したプロモーターの多くのバリアント、及び多くの他のプロモーター(天然に存在する生物体から単離されたプロモーター、その変形形態及び完全合成プロモーターを含む)が本明細書におけるいくつかの実施形態に従って容易に使用することができることが容易に認識されるであろう。
【0072】
切断部位
[0054] 本明細書で使用される場合、「切断部位」は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有する。これは、単一のポリペプチドを2つ以上の別個のポリペプチドに分離するためのポリペプチドの切断(例えば、ペプチド結合の加水分解による)を媒介するポリペプチド配列を指す。いくつかの実施形態において、切断部位は、ペプチダーゼなどの「切断酵素」による切断のためのコンセンサスポリペプチド配列を含むか、これらからなるか、又はこれらから実質的になる。いくつかの実施形態において、切断酵素は、野生型、バリアント又は合成切断酵素、例えば、野生型、バリアント又は合成エンドペプチダーゼである。多くの切断酵素の例及びこれらの対応する切断部位を、本明細書に記載する。参照のために、切断部位を、下記の式(I)を参照して記載する。
【0073】
[0055] Pn-P4-P3-P2-P1-||切断||-P1’-P2’-P3’-P4’-Pm’ (I)
ここで、切断を受ける基質中のアミノ酸残基は、切断される結合からN末端(又は「上流」)の方向で、P1、P2、P3、P4などと指定される。同様に、切断部位のC末端(又は「下流」)の方向の残基は、P1’、P2’、P3’、P4’などと指定される。
【0074】
[0056] 本明細書におけるいくつかの実施形態によって有用な切断酵素及びそれらの切断部位の例を下記の表4に記載する。
【0075】
[0057] 多くの切断酵素が、コンセンサス配列で切断し、したがって、特定の切断酵素が、切断酵素に対するコンセンサス配列(又は複数のコンセンサス配列)の範囲内にある2つ以上の特定のポリペプチド配列を切断することができることに留意されたい。このように、本明細書における便宜上、特に明記しない限り、2つの切断部位は、それらが2つの異なる配列であっても(切断酵素のコンセンサス配列の範囲内にあり得る)、それらが両方とも同じ条件下で同じ切断酵素によって切断される場合に、「同じ」と称され得る。例えば、DVADL(配列番号739)及びDVADI(配列番号740)の配列は両方とも、これらが両方とも、これらの切断部位が同一ではないとしても、カスパーゼ2のためのコンセンサス配列の範囲内にあるので、カスパーゼ2による切断の目的で「同じ」切断部位と称され得る。他方で、本明細書における便宜上、特に明記しない限り、2つの切断部位は、それらが異なる切断酵素によってそれぞれ切断されるが、同じ切断酵素によって切断されない場合、「異なる」と称され得る。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
[0058] 切断部位についての追加情報は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、web.expasy.org/peptide_cutter/peptidecutter_enzymes.htmlのワールドワイドウェブにおいて見ることができる。
【0080】
[0059] いくつかの実施形態において、切断部位は、表4の切断部位を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。このように、いくつかの実施形態において、切断部位は、Arg-Cプロテイナーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ、BNPS-スカトール、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、キモトリプシン-高特異性、クロストリパイン(クロストリジオペプチダーゼB)、CNBr、エンテロキナーゼ、第Xa因子、ギ酸、グルタミルエンドペプチダーゼ、グランザイムB、ヒドロキシルアミン、ヨードソ安息香酸、LysC、好中球エラスターゼ、NTCB(2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸)、ペプシン(pH1.3)、ペプシン(pH>2)、プロリン-エンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、ブドウ球菌ペプチダーゼI、サーモリシン、トロンビン又はトリプシンのための切断部位を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。このように、本明細書におけるいくつかの実施形態の方法において、1つ又は複数の列挙された酵素は、切断部位を切断するために使用される。
【0081】
[0060] いくつかの実施形態において、切断部位は、化学物質感受性又はpH感受性のリンカーを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。このようなリンカーは、適切な化学物質の存在中(化学物質感受性リンカーの場合において)、又は適切なpHで(pHリンカーの場合において)、切断を受けることができる。いくつかの実施形態において、pH感受性リンカーは、pHが適切な範囲にある場合、酵素が媒介する切断を受ける。例えば、バリン-シトルリン(vc)ジペプチドなどのpH感受性リンカーは、酸性のpH(例えば、4.8~6の範囲)で、カテプシンBによるpH感受性の方法で切断される(例えば、Jainら Pharmaceutical Research, 32: 3526-3540,(2015)を参照のこと、これはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、pH感受性リンカーは、pHが特定の範囲にある場合、切断事象を受ける。例えば、ホスホロアミデート主鎖ベースの調節可能なpH感受性リンカーも記載されており、これは、7.4未満のpHで加水分解を受け得ることが国際公開第2016/028700号に記載されており、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、化学物質感受性リンカーは、化学物質の存在中で切断事象を受ける。例えば、ジスルフィド架橋を含むか、ジスルフィド架橋から実質的になるか、又はジスルフィド架橋からなるリンカーは、グルタチオンの導入の際に放出され得る(例えば、Jainら Pharmaceutical Research, 32: 3526-3540,(2015)を参照のこと)。
【0082】
シグナル分子
[0061] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、1つ又は複数のシグナル分子を含む。本明細書で使用される場合、「シグナル分子」は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有する。これは、それを産生する細胞若しくは異なる細胞(対象の細胞は、微生物細胞又は非微生物細胞、例えば、動物若しくは植物などの多細胞生物体の細胞であり得る)における活性又はプロセスを、モジュレートするか、誘導するか、或いは阻害する能力がある、分泌された分子を指す。シグナル分子の例としては、限定されるものではないが、シグナル伝達ペプチド、クオラムセンシング分子(例えば、クオラムセンシングペプチド)、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン及びサイトカインが挙げられる。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、シグナル伝達ペプチド、クオラムセンシング分子(例えば、クオラムセンシングペプチド)、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン又はサイトカインを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、シグナル伝達ペプチド、クオラムセンシング分子(例えば、クオラムセンシングペプチド)、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン及びサイトカインの2つ以上を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなり、これは、2つ以上の同じタイプの分子の組み合わせ(例えば、2つのシグナル伝達ペプチドの組み合わせ、又は2つの受容体リガンドの組み合わせ)及び2つの異なる種類の分子の組み合わせ(例えば、サイトカイン及びホルモンの組み合わせ)を含み得る。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、微生物-宿主のダイアログのためであり、このように、シグナル分子は、宿主生物体、例えば、植物若しくは動物の1つ又は複数の細胞を標的にするために選択される。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、バクテリオシンの産生及び/又はフローラの亜集団の成長速度を、刺激、阻害、増加又は減少させる。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、クオラムセンシングペプチド又は本明細書に記載のそのバリアントを含むか、これらからなるか、又はこれらから実質的になる。
【0083】
[0062] いくつかの実施形態のプロポリペプチド、方法及び/又は核酸によるコードのために適切なクオラムセンシングペプチドの例としては、限定されるものではないが、下記の表5に示されるペプチドなどのクオラムセンシングペプチドが挙げられ、これらのペプチドのバリアント及びこれらのペプチドの任意の2つ以上の組み合わせを含む。理論によって制限されないが、グラム陽性細菌などの微生物細胞は、クオラムセンシングペプチドを使用して、細胞間の情報交換を統合すると考えられる。クオラムセンシングペプチドの概説は、Rajputら, PLoS One DOI:10.1371/journal.pone.0120066 March 17, 2015, pp. 1-16に見ることができ、これは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。クオラムセンシングペプチドは、標的微生物細胞における下流の応答制御因子及び/又は転写因子の活性化を誘導することができる。いくつかの実施形態において、下流の応答制御因子又は転写因子は、目的の標的核酸の転写を活性化又は抑えるように構成することができることに留意されたい。したがって、いくつかの実施形態において、標的微生物細胞は、遺伝子操作されて、プロポリペプチドのシグナルペプチドによる刺激の際に、目的の遺伝子産物の転写(及びその後の発現)を発現又は抑える。
【0084】
[0063] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドのシグナル分子は、標的微生物細胞中の1つ又は複数のバクテリオシンポリヌクレオチドの転写を刺激するシグナル分子(例えば、クオラムセンシングペプチドなどのクオラムセンシング分子)を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。標的微生物細胞は、遺伝子操作されて、クオラムセンシング分子に反応する転写因子のコントロール下で、1つ又は複数のバクテリオシンポリペプチドを判別することができる。いくつかの実施形態において、1つ又は複数のバクテリオシンポリヌクレオチドの転写は、クオラムセンシング分子に反応する転写因子(例えば、転写活性化因子)によって誘導されるように構成される。このように、プロポリペプチドのシグナル分子(例えば、クオラムセンシング分子)によるシグナル伝達は、標的微生物細胞による1つ又は複数の追加のバクテリオシンの産生を刺激することができる。
【0085】
[0064] いくつかの実施形態において、標的微生物細胞は、遺伝子改変されて、シグナル分子によるシグナル伝達の際に標的細胞中での自殺反応を誘導するように、シグナル分子(例えば、クオラムセンシングペプチドなどのクオラムセンシング分子)に反応する転写因子又は反応制御因子のコントロール下で、毒-解毒系の1つ又は複数の分子を判別する。バクテリオシンと区別される毒-解毒系は、自殺反応などを達成するために有用であり得、これは、同様にして、微生物細胞の封じ込め及び/又は選択的成長のために有用であり得る。例示的な毒-解毒系は、米国特許第5,910,438号、同第6,180,407号、同第7,176,029号及び同第7,183,097号に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、毒-解毒系は、細胞毒性(毒)ポリペプチド、及びシグナル細胞中の対応する抗毒素(解毒)ポリペプチドを含む。本明細書で使用される場合、「毒ポリヌクレオチド」は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有し、毒ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指すことができる。「解毒ポリヌクレオチド」は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有し、解毒ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指すことができる。このように、いくつかの実施形態において、標的微生物細胞は、標的微生物細胞において自殺反応を誘導するように、クオラムセンシング分子などのシグナル分子への反応において毒ポリヌクレオチドの転写を誘導するように構成される。いくつかの実施形態において、標的微生物細胞は、標的微生物細胞において自殺反応を誘導するように、クオラムセンシング分子などのシグナル分子への反応において、(対応する毒ポリペプチドの発現を継続しながら)抗体ポリヌクレオチドを転写的に抑えるように構成される。
【0086】
[0065] いくつかの実施形態において、クオラムセンシングペプチドは天然に存在する。いくつかの実施形態において、クオラムセンシングペプチドは、天然に存在するクオラムセンシングペプチドのバリアントを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。いくつかの実施形態において、クオラムセンシングペプチドは、合成ペプチドを含むか、合成ペプチドから実質的になるか、又は合成ペプチドからなる。配列の例を含むクオラムセンシングペプチドに対する情報は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、quorumpeps.ugent.be.のワールドワイドウェブにおいてアクセス可能なquorumpepsデータベースにおいて見ることができる。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
[0066] サイトカインは、典型的には、免疫系の細胞などの細胞によって産生されるシグナル分子のクラスであり、他の細胞における反応を誘導する能力がある。多くの異なるサイトカインを、本明細書におけるいくつかの実施形態のプロポリペプチド、方法及び/又は核酸によるコードにおいて使用することができる。いくつかの実施形態によるバクテリオシン及びサイトカインを含むプロポリペプチドは、(バクテリオシンによる)抗菌活性、及び宿主反応、例えば、(サイトカインによる)免疫細胞の抑制又は免疫細胞の刺激を誘導するのに有用であり得ると考えられる。いくつかの実施形態において、サイトカインは、天然に存在するサイトカイン、天然に存在するか若しくは合成サイトカインのバリアントを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。多くの適切なサイトカインは、本明細書におけるいくつかの実施形態による、プロポリペプチド、方法、組成物、細胞又は核酸によるコードにおいて使用することができ、限定されないが、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、TNF-α、TNF-β、TGF-β1、M-CSF、G-CSF、及びGM-CSF、これらの任意のバリアント、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせを含む。
【0093】
[0067] ホルモンは、典型的には、多細胞生物体の細胞及び他の細胞へのシグナルによって産生されるシグナル分子のクラスであり、しばしば、多細胞生物体の異なる組織及び/又は臓器を通って循環する。多くの異なるホルモンを、本明細書におけるいくつかの実施形態のプロポリペプチド、方法及び/又は核酸によるコードにおいて使用することができる。いくつかの実施形態によるバクテリオシン及びホルモンを含むプロポリペプチドは、(バクテリオシンによる)抗菌活性と一緒に、宿主反応、例えば、(ホルモンによる)細胞成長又は増殖を誘導するために有用であり得ると考えられる。いくつかの実施形態において、サイトカインは、天然に存在するホルモン、天然に存在するホルモンのバリアント、若しくは合成ホルモンを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。いくつかの実施形態のプロポリペプチド、方法及び/又は核酸によるコードのために適切なホルモンの例としては、限定されるものではないが、タンパク質及びペプチドホルモン、例えば、アクチビン及びインヒビン、アディポネクチン、脂肪由来ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、アグーチ遺伝子、アグーチシグナル伝達ペプチド、アラトスタチン、アミリン、アミリンファミリー、アンジオテンシン、ANGPTL8、アスプロシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ビッグガストリン、ウシソマトトロピン、ブラジキニン、脳由来神経栄養因子、カルシトニン、毛様体神経栄養因子、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、甲殻類神経ホルモンファミリー、エンドセリン、エンテログルカゴン、エリスロフェロン、フェルタミド、FGF15、FGF15/19、FGF19、FNDC5、卵胞刺激ホルモン、ガストリン、腸抑制ペプチド、グレリン、グルカゴン様ペプチド-1、ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモン、顆粒球コロニー刺激因子、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、ヘプシジン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトゲン、インクレチン、インスリン、インスリンアナログ、インスリンアスパルト、インスリンデグルデク、インスリングラルギン、インスリンリスプロ、インスリン様成長因子、インスリン様成長因子1、インスリン様成長因子2、レプチン、リモスタチン、リラグルチド、リトルガストリンI、黄体形成ホルモン、メラノコルチン、メラニン細胞刺激ホルモン、アルファ-メラニン細胞刺激ホルモン、ベータ-メラニン細胞刺激ホルモン、ガンマ-メラニン細胞刺激ホルモン、ミニガストリン、脳性ナトリウム利尿ペプチドのN末端プロホルモン、神経成長因子、神経ペプチドVF前駆体、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、NPHインスリン、オベスタチン、オステオカルシン、副甲状腺ホルモン、ペプチドホルモン、ペプチドYY、血漿レニン活性、プラムリンチド、プレプロホルモン、プロラクチン、リラキシン、リラキシンファミリーペプチドホルモン、レニン、サルカトニン、ソーバジン、セクレチン、セクレチンファミリー、シンカリド、スタンニオカルシン、硬骨類レプチン、テンポリン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、ウロコルチン、ウロコルチンII、ウロコルチンIII、血管作用性小腸ペプチド、ビテロジェニン、これらの任意のバリアント、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせが挙げられる。
【0094】
アフィニティータグ
[0068] 本明細書におけるいくつかの実施形態のプロポリペプチド、方法及びプロポリペプチドをコードする核酸において、プロポリペプチド又はそのペプチド成分(例えば、バクテリオシン又はシグナル分子)はアフィニティータグを含む。任意選択により、1つ又は複数の切断部位は、アフィニティータグ及びプロポリペプチドの残部の間に位置して、アフィニティー精製後のアフィニティータグの除去を容易にすることができる。アフィニティータグは、例えば、ビーズなどの固相上に固定化されたアフィニティータグに結合する分子との接触による精製において使用することができる。本明細書におけるいくつかの実施形態のプロポリペプチド、方法及び核酸によるコードのために適切なアフィニティータグの例は、His-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タグ、FLAGタグ、strepタグ、マルトース結合タンパク質(MBP)、キチン結合タンパク質(CBP)、mycタグ、HAタグ、NEタグ及びV5タグ、これらの任意のバリアント、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせを含み得、これらから実質的になり得、又はこれらからなり得る。
【0095】
微生物体
[0069] いくつかの実施形態において、遺伝子操作された微生物を提供する。本明細書で使用される場合、遺伝子操作された「微生物体」、「微生物」及びこれらの語幹の用語の変形(例えば、複数形など)は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、それらの普通及び通常の意味を有する。これらは、任意の天然に存在する種、又は完全合成の原核若しくは真核多細胞生物体、及び古代の種の遺伝子改変体を包含する。したがって、この表現は、細菌種、真菌種及び藻類の細胞を指すことができる。
【0096】
[0070] 本明細書における実施形態により使用することができる例示的な微生物としては、限定されるものではないが、細菌、酵母及び藻類、例えば、光合成微細藻類が挙げられる。さらにまた、完全合成微生物のゲノムを、合成し、単一の微生物細胞に移植して、連続的な自己複製の能力がある合成微生物を生成することができる(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Gibsonら(2010), “Creation of a Bacterial Cell Controlled by a Chemically Synthesized Genome,” Science 329: 52-56を参照のこと)。このように、いくつかの実施形態において、微生物は完全合成物である。遺伝子発現を制御するエレメント、及び遺伝子産物(例えば、バクテリオシン、免疫モジュレーター、毒、解毒剤及び工業的に有用な分子)をコードするエレメントを含む遺伝エレメントの望ましい組み合わせを、望ましいシャーシに対して、部分的又は完全な合成微生物にアセンブルすることができる。工業的適用のための遺伝子操作された微生物体の記載は、Wrightら(2013)“Building-in biosafety for synthetic biology” Microbiology 159: 1221-1235に見ることもできる。
【0097】
[0071] さまざまな細菌の種及び株を本明細書における実施形態に従って使用することができ、遺伝子改変バリアント又は公知の種の「シャーシ」に基づく合成細菌を提供することができる。本明細書における実施形態に従って使用することができる、工業的に適用可能な特性を有する例示的な細菌としては、限定されるものではないが、バチルス属種(例えば、バチルス・コアグランス、枯草菌及びバチルス・リケニフォルミス)、パエニバチルス属種、ストレプトマイセス属種、ミクロコッカス属種、コリネバクテリウム属種、アセトバクター属種、シアノバクテリア種、サルモネラ属種、ロドコッカス属種、シュードモナス属種、ラクトバチルス属種、エンテロコッカス属種、アルカリゲネス属種、クレブシエラ属種、パエニバチルス属種、アルスロバクター属種、コリネバクテリウム属種、ブレビバクテリウム属種、サームス・エクアティカス、シュードモナス・スツッツェリ、クロストリジウム・サーモセラム及び大腸菌が挙げられる。
【0098】
[0072] さまざまな酵母の種及び株を本明細書における実施形態に従って使用することができ、遺伝子改変バリアント又は公知の種の「シャーシ」に基づく合成酵母を提供することができる。本明細書における実施形態に従って使用することができる、工業的に適用可能な特性を有する例示的な酵母としては、限定されるものではないが、サッカロミセス属種(例えば、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・ブラウディ)、カンジダ属種(例えば、カンジダ・ユチリス、カンジダ・クルーセイ)、シゾサッカロミセス属種(例えば、シゾサッカロミセス・ポンベ、シゾサッカロミセス・ジャポニカス)、ピキア属種又はハンゼヌラ属種(例えば、ピキア・パストリス又はハンゼヌラ・ポリモルファ)、及びブレタノマイセス属種(例えば、ブレタノマイセス・クラウセニ)が挙げられる。
【0099】
[0073] さまざまな藻類の種及び株を本明細書における実施形態に従って使用することができ、遺伝子改変バリアント又は公知の種の「シャーシ」に基づく合成藻類を提供することができる。いくつかの実施形態において、藻類は、光合成微細藻類を含む。バイオ燃料のために有用であり得、本明細書における実施形態に従って使用することができる例示的な藻類の種としては、ボトリオコッカス・ブラウニ、クロレラ属種、ドウナリエラ・テルチオレクタ、グラシラリア属種、円石藻及びサルガッスム属種が挙げられる。加えて、多くの藻類が、食品製品、発酵製品、排泄物の中和、環境の復旧及び炭水化物の製造(例えば、バイオ燃料)のために有用であり得る。
【0100】
プロポリペプチド及びプロポリペプチドをコードする核酸の設計
[0074] 本明細書におけるいくつかの実施形態による望ましい比率の選択されたバクテリオシンを含むプロポリペプチドは、さまざまなアプローチを使用して設計することができる。例えば、1つのオプションは、単一オープンリーディングフレーム中に、バクテリオシン、切断部位、並びにアフィニティータグ及び/又はシグナル分子などのプロポリペプチドの他の特徴を含む核酸コード配列を設計することである。次いで、この配列を有するポリヌクレオチドを配列決定することができる。加えて、計算ツールが、いくつかの実施形態によるプロポリペプチド(及びこれをコードする核酸)の設計を容易にするために利用可能である。例えば、Nielsenら, “Genetic circuit design automation” Science(2016)352: aac7341(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されているように、コンピューターに基づく設計環境であるCelloは、使用者が、DNA配列に自動的に変換されたVerilogコードを書くことを可能にする。したがって、いくつかの実施形態において、テキストベースのアプローチは、バクテリオシンが切断部位を切断する切断酵素によって切断されない方法で、バクテリオシン及びバクテリオシンを分離する切断部位の特定の組み合わせ及び/又は比率などのプロポリペプチドの望ましいエレメントをコードする核酸を生成するために容易に使用することができる。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、望ましい比率で選択されたバクテリオシン及び抗菌ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、望ましい比率で選択された抗菌ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、望ましい比率で選択されたバクテリオシンを含む。
【0101】
核酸の発現のための微生物体の遺伝子改変
[0075] 微生物を遺伝子改変する技術は、当技術分野において周知である。いくつかの実施形態の方法及び組成物において、微生物は、バクテリオシン、例えば、本明細書に記載のバクテリオシンを含むプロポリペプチドの発現及びコードを制御する核酸配列を含むように、遺伝子改変される。本明細書におけるいくつかの実施形態の方法及び組成物において、プロポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、微生物に運ぶことができ、これらの微生物の染色体に安定的に組み込むことができ、又はゲノムなしで、例えば、プラスミド、染色体外アレイ、エピソーム、ミニ染色体などに存在することができる。
【0102】
[0076] 微生物細胞の遺伝子改変のための例示的なベクターとしては、限定されるものではないが、プラスミド、ウイルス(バクテリオファージを含む)及び転位因子が挙げられる。加えて、望ましい配列を含む微生物ゲノム全体を、合成し、細胞内でアセンブルすることができることが認識されるであろう(例えば、Gibsonら(2010), Science 329: 52-56を参照のこと)。このように、いくつかの実施形態において、バクテリオシンポリヌクレオチドなどの望ましい特徴を有する微生物ゲノム(又はその部分)が合成され、微生物細胞に導入される。
【0103】
[0077] いくつかの実施形態において、1つ若しくは複数の望ましいバクテリオシン及び/又は免疫モジュレーターポリヌクレオチドをポリヌクレオチド配列に挿入する(例えば、発現ベクター、バクテリオシンを含むプロポリペプチドをコードするカセットに挿入する)ためのカセットが提供される。例示的なカセットとしては、限定されるものではないが、Cre/loxカセット又はFLP/FRTカセットが挙げられる。いくつかの実施形態において、カセットは、望ましいプロポリペプチドをコードする望ましいポリヌクレオチドを有するプラスミドを微生物細胞に容易に導入することができるように、プラスミド上に位置する。いくつかの実施形態において、カセットは、微生物細胞のゲノム中の望ましい位置に位置する。
【0104】
[0078] いくつかの実施形態において、プラスミドコンジュゲーションは、「ドナー」微生物細胞からレシピエント微生物細胞に望ましいプラスミドを導入するために使用することができる。Goni-Morenoら(2013)Multicellular Computing Using Conjugation for Wiring. PLoS ONE 8(6): e65986、これはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、プラスミドコンジュゲーションは、ドナー微生物細胞からレシピエント微生物細胞にコンジュゲーションプラスミドを導入することによって、レシピエント微生物細胞を遺伝子改変することができる。任意の特定の理論によって限定されることなく、複製遺伝子の同じ又は機能的に同じセットを含むコンジュゲーションプラスミドは、典型的には、同じ微生物細胞中に共存することができない。このように、いくつかの実施形態において、プラスミドコンジュゲーションは、レシピエント細胞に存在していた別のコンジュゲーションプラスミドに取って代わるための新しいコンジュゲーションプラスミドを導入することによって、レシピエント微生物細胞を「初期化する」。いくつかの実施形態において、プラスミドコンジュゲーションは、プロポリペプチドをコードする特定の核酸、又は異なるプロポリペプチドをコードする異なる核酸の組み合わせで微生物細胞を遺伝子操作する(又は再操作する)ために使用される。いくつかの実施形態によれば、さまざまな異なるプロポリペプチドを含む異なる核酸を含むさまざまなコンジュゲーションプラスミドが提供される。プラスミドは、本明細書に記載の追加の遺伝エレメント、例えば、プロモーター、翻訳開始部位などを含み得る。いくつかの実施形態において、さまざまなコンジュゲーションプラスミドは、望ましいプラスミドを含むドナー細胞をプラスミドコンジュゲーションのために選択することができるように、ドナー細胞のコレクションにおいて提供される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの特定の組み合わせ及び/又は比率が選択され、適したドナー細胞(特定のプロポリペプチドをコードする)は、目的の微生物細胞とコンジュゲートされて、その組み合わせを含むコンジュゲーションプラスミドがレシピエント細胞に導入される。
【0105】
プロポリペプチド
[0079] 本明細書で使用される場合、「プロポリペプチド」は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有する。これは、望ましい比率の少なくとも2つのペプチド成分(例えば、少なくとも1つのバクテリオシン及び少なくとも1つのシグナル分子、又は2つ以上のバクテリオシン、及び任意選択により1つ若しくは複数の本明細書に開示される他のペプチド(例えば、シグナル伝達ペプチド、クオラムセンシングペプチドなどのクオラムセンシング分子、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン、サイトカイン又は列挙されたものの任意の2つ以上の組み合わせ)、並びにプロポリペプチドのペプチド成分を分離する少なくとも1つの切断部位を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる前駆体ポリペプチドを指す。いくつかの実施形態によるプロポリペプチドの例を、
図2において模式的に図示する。ペプチド成分は、切断の際に、ペプチド成分が、互いに分離され、プロポリペプチド中のそれぞれのペプチド成分のコピーの数によって決定される比率で存在するように、切断部位によって互いに分離され得る(
図3を参照されたい)。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドの1つ又は複数のペプチド成分は、不活性形態であり、周囲のポリペプチド配列からの切断の際に活性になる。理論によって制限されないが、いくつかの実施形態において、有利には、プロポリペプチドが、不活性なこれらのバクテリオシンに対する免疫を必要としない微生物細胞によって産生及び/又は改変され得るように、バクテリオシンがプロポリペプチドの部分である場合に、バクテリオシンの少なくともいくつか又はいくつかの実施形態ではすべてが不活性であると考えられる。本明細書に記載のプロポリペプチドが、本明細書に記載の任意の方法及びキットによるコンジュゲーションにおいて使用することができると明確に考えられる。さらにまた、本明細書に記載の任意のプロポリペプチドのために、ポリヌクレオチド又は複数のポリヌクレオチドは(複数の可能なコドンが存在する限りにおいて)、当業者の遺伝コードの理解に基づいて容易に認識されるであろうことが、認識されるであろう。
【0106】
[0080]
図4Aは、本明細書におけるいくつかの実施形態によるプロポリペプチド100を図示する模式図である。プロポリペプチドは、バクテリオシン110、112、114を含み得る。バクテリオシンは、同じ又は異なり得る(例えば、すべてのバクテリオシンが同じであり得、又はいくつかのバクテリオシンは同じであり得るが、他は異なり、又はすべてのバクテリオシンが互いに異なり得る)。プロポリペプチドは、バクテリオシン及び/又は他のポリペプチドとプロポリペプチドの間に配置された1つ又は複数の切断部位120、122、124及び126をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、タグ130をさらに含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、本明細書に記載のようなシグナル分子140、例えば、クオラムセンシングペプチドなどのクオラムセンシング分子をさらに含む。いくつかの実施形態において、切断部位120、122、124及び126は、バクテリオシン、タグ及びシグナル分子の間に配置される。いくつかの実施形態において、タグは、プロポリペプチドを精製するために有用である。いくつかの実施形態において、切断部位(例えば、120、122、124及び126)は、エンドペプチダーゼなどの酵素のための2つ以上のコンセンサス部位を含む。いくつかの実施形態において、切断部位は、2つ以上の切断コンセンサス配列(同じ又は異なり得る)を含有し、そのペプチドの切断部位の任意の痕跡を実質的に取り除くことができるか又はそのペプチドの全体を取り除くことができるように、その少なくとも1つが、上流ペプチドのC末端のすぐ下流にあるか、及び/又はその少なくとも1つが、下流ポリペプチドのN末端のすぐ上流にある。いくつかの実施形態において、「切断部位」は、2つ以上のコンセンサス配列を含み、その少なくとも1つは、切断の際にペプチドからその切断部位の任意の痕跡が除去されるように、ペプチド(例えば、バクテリオシン)のすぐ上流又は下流にあるように構成される。いくつかの実施形態において、「切断部位」は、2つのコンセンサス配列を含み、両方の切断部位での切断の際に、上流ペプチドのC末端部分から、及び下流ペプチドのN末端部分から、その切断部位の任意の痕跡が除去されるように、この1つは、上流のペプチド(例えば、バクテリオシン)のすぐ下流にあり、その他のものが、下流のポリペプチド(例えば、バクテリオシン)のすぐ上流にあるように構成される。任意選択により、追加の切断部位は、これらの2つの切断部位の間に位置する。
【0107】
[0081]
図4Bは、本明細書におけるいくつかの実施形態によるプロポリペプチド100から作られたバクテリオシン101を含む組成物を図示する模式図である。この組成物は、バクテリオシン110、112、114を含み得る。バクテリオシンは、同じ又は異なり得る(例えば、すべてのバクテリオシンが同じであり得、又はいくつかのバクテリオシンは同じであり得るが、他は異なり、又はすべてのバクテリオシンが互いに異なり得る)。任意選択により、バクテリオシン110、112、114のいくつかは、切断部位121、123、125、127の痕跡をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、この組成物は、本明細書に記載のタグ130及び/又はシグナル分子140をさらに含む。バクテリオシン110、112、114のいくつか、及び/又はタグ130、及び/又はシグナル分子140は、切断部位121、123、125、127の痕跡をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、切断の後、バクテリオシンは、切断部位の痕跡として、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個以下のアミノ酸を含み、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、切断部位の任意の痕跡を含まない。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、そのN末端に、そのC末端に、又はそのN及びC末端に、切断部位の痕跡を含む。いくつかの実施形態において、シグナル分子及び/又はタグは、本明細書に記載の痕跡も含むと考えられる。いくつかの実施形態において、シグナル分子及び/又はタグは、本明細書に記載の任意の痕跡を含まない。
【0108】
[0082] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、それぞれのバクテリオシン又はシグナル分子を、切断部位の切断によってプロポリペプチドの残部と分離することができるように、少なくとも1つのバクテリオシン、少なくとも1つのシグナル分子、並びにバクテリオシン及びシグナル分子の間に配置された1つ又は複数の切断部位を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。いくつかの実施形態において、バクテリオシン及びシグナル分子は、望ましい比率である。
【0109】
[0083] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、バクテリオシン、少なくとも1つの追加のペプチド成分(バクテリオシン又はシグナル分子)及びペプチド成分の間に配置された切断部位を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる、第1のペプチド成分を含む。プロポリペプチドは、アフィニティータグをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、アフィニティータグは、プロポリペプチドのアフィニティー精製の後に、アフィニティータグが切断されて、プロポリペプチドからそれが除去され得るように、切断部位によってプロポリペプチドのバクテリオシン(及び/又は他のペプチド成分)から分離される。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、少なくとも2つのバクテリオシン、及び任意選択により、少なくとも1つのシグナル分子を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。いくつかの実施形態において、単離されたプロポリペプチドは、3つ以上のバクテリオシン、例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50のバクテリオシンを含み、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、3~10、3~20、3~30、3~50、5~10、5~20、5~30、5~50、7~10、7~20、7~30、7~50、10~20、10~30又は10~50のバクテリオシンを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、少なくとも5つのバクテリオシンを含む。
【0110】
[0084] プロポリペプチドは、微生物細胞と、又は宿主生物体とのコミュニケーションを容易にすることができるシグナル分子を含み得るとさらに考えられる。したがって、いくつかの実施形態のプロポリペプチド、方法及び核酸において、プロポリペプチドはシグナル分子をさらに含む。シグナル分子は、切断部位によって、プロポリペプチドの他のペプチド成分から分離することができる。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、本明細書に記載のクオラムセンシング分子(例えば、クオラムセンシングペプチド)、サイトカイン又はホルモンを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。いくつかの実施形態において、標的細胞は、クオラムセンシング分子に反応して、追加の遺伝子産物、例えば、バクテリオシンを産生するように構成される。標的細胞は、1つ又は複数のバクテリオシンポリヌクレオチドが、クオラムセンシング分子に反応する転写因子のコントロール下にあるように、遺伝子操作され得、その結果、クオラムセンシング分子によるシグナル伝達の際に、バクテリオシンポリヌクレオチドが、転写され、標的細胞は、追加のバクテリオシンを産生する。
【0111】
[0085] いくつかの実施形態において、1つ又は複数の切断部位は、プロポリペプチドの任意の2つの隣接するペプチド成分(例えば、バクテリオシン、シグナル分子)の間のフレームに配置される。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の切断部位は、プロポリペプチドの任意の2つの隣接するバクテリオシンの間のフレームに配置される。いくつかの実施形態のプロポリペプチド、方法及び核酸において、プロポリペプチドのN若しくはC末端又はその近くに位置するペプチド成分(例えば、バクテリオシン及び/又はシグナル分子)或いはアフィニティータグは、切断部位の近くに位置して、プロポリペプチドの残部からそれらを分離することができるが、これらは、両側の切断部位に隣接しないことに留意されたい。例えば、バクテリオシンのN末端におけるバクテリオシンのためには、バクテリオシンからC末端の方向に切断部位が存在し得るが、バクテリオシンのN末端側に切断部位は存在しない。いくつかの実施形態において、例えば、ペプチド成分又はアフィニティータグがプロポリペプチドのN又はC末端の近くにあるが、ペプチド成分又はアフィニティータグを超えて追加のN又はC末端配列が存在する場合、ペプチド成分は、追加のN又はC末端配列の除去を容易にするように、両側に切断部位を含み得る。いくつかの実施形態において、いくつかの追加のN又はC末端配列は、ペプチド成分に残ったままであり得る。
【0112】
[0086] いくつかの実施形態において、切断部位は、切断酵素によって標的にされる配列を含み得ることに留意されたい。プロポリペプチドのバクテリオシン若しくは他のペプチド成分(例えば、シグナル分子)の切断を最小化又は回避するために、いくつかの実施形態において、ペプチド成分それ自体は、ペプチド成分の間の切断部位を標的にする切断酵素のための切断部位を含有しないと考えられる。このように、いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、バクテリオシンの間の切断部位を標的にする切断酵素又は複数の切断酵素のための切断部位を含まない。いくつかの実施形態において、2つ以上の切断酵素は、プロポリペプチドのペプチド成分の間のすべての切断部位を標的にするために使用されるが、バクテリオシンは、これらの任意の切断酵素によって標的にされる切断部位を含有しない。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの切断部位は、第1の切断酵素のためのものであり、別の切断部位は、第1の切断酵素と異なる第2の切断酵素のためのものであり、バクテリオシンは、第1又は第2の切断酵素のいずれかのための切断部位を含まない。
【0113】
[0087] いくつかの実施形態において、シグナル分子は、バクテリオシン及びシグナル分子の間の切断部位を標的にする切断酵素又は複数の切断酵素のための切断部位を含まない。いくつかの実施形態において、切断が、プロポリペプチドのアフィニティー精製の後に行われることに留意されたい。そのため、アフィニティータグが、切断が行われる時まで不要であり得るように、1つ又は複数の切断部位を含むことは、アフィニティータグそれ自体のために許容され得る。
【0114】
[0088] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドのペプチド成分を分離する切断部位は、単一の酵素を、プロポリペプチドを望ましい比率の別々のバクテリオシン(及び任意選択により、他のペプチド)に切断するために使用することができるように、同じ切断酵素によってすべて標的にされる。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドのペプチド成分を分離する切断部位は、多くの切断酵素が、プロポリペプチド中の多くの切断部位よりも小さくなるように、切断酵素の組み合わせによって、まとめて標的にされる。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドのペプチド成分を分離する切断部位は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の切断酵素によって、まとめて標的にされる。いくつかの実施形態において、切断部位は、化学物質又はpH感受性リンカーを含む。このように、いくつかのこれらの実施形態において、プロポリペプチドのペプチド成分を分離する切断部位は、同じ化学物質及び/又は同じpH条件によって、まとめて切断される。
【0115】
[0089] いくつかの実施形態において、バクテリオシンそれ自体は、タグ、例えば、アフィニティータグ、シグナル配列(分泌、内部移行、各局在化などのため)又は安定性タグを含む。任意選択により、タグは、プロポリペプチドから切断可能であり得る。このように、バクテリオシンは、それ自体及びタグの間の切断部位を含み得る。ペプチド成分がプロポリペプチドから切断された後に、バクテリオシンに付けられたままであることは、タグのために有用であり得る。このように、いくつかの実施形態において、バクテリオシン及びタグの間の切断部位は、互いにペプチド成分を分離する切断部位以外の異なる切断酵素(及び/又は異なる化学若しくはpH条件下で切断される)によって標的にされ得る。
【0116】
[0090] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、翻訳後又は共翻訳後の修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、メチル化、PEG化、SUMO化、ユビキチン化、又はこれらの任意の2つ以上をさらに含む。
【0117】
[0091] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、望ましい比率又は一部の望ましい比率で、2つ以上の異なるペプチド成分(例えば、バクテリオシン及び/又はシグナル分子)の量を含む。例えば、第1のバクテリオシンと第2の(異なる)バクテリオシン又はシグナル分子との比率は、約1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、2:3、2:5、2:7、2:9、3:4、3:5、3:7、3:8、3:10、4:5、4:7、4:9、5:6、5:7、5:8、5:9、6:7、7:8、7:9、7:10、8:9又は9:10であり得る。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、望ましい比率又は一部の望ましい比率で、2つ以上の異なるバクテリオシンの量を含む。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの望ましい比率は、望ましくない微生物体又は望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの望ましい比率は、動物、ヒトの臓器、植物の根及び/又は土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される。いくつかの実施形態において、バクテリオシン及び/又はシグナル分子は、一部の望ましい比率で存在し、望ましい比率は、適切な比率で、追加のバクテリオシン及び/又はシグナル分子を添加することによって達成することができる(例えば、2つの異なるプロポリペプチドの生成物が一緒に組み合わされる場合、これらは、望ましい比率の、バクテリオシン及び/又はシグナル分子などのポリペプチド成分を生じることができる)。
【0118】
[0092] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、20,000以下のアミノ酸の長さ、例えば、20,000、15,000、10,000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、900、800、700、600、500、400、300、200又は100以下のアミノ酸の長さを有し、これは、列挙された値の任意の2つの間、例えば、100~20,000;100~10,000;100~5000;100~2000;100~1000;500~20,000;500~10,000;500~5000;500~2000;500~1000;1000~20,000;1000~10,000;1000~5000;又は1000~2000のアミノ酸の長さを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、5000以下のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、2000以下のアミノ酸の長さを有する。
【0119】
核酸
[0093] 本明細書におけるいくつかの実施形態の方法、キット、微生物細胞及び/又は核酸は、プロポリペプチドをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、単一のリーディングフレーム中のバクテリオシン及びシグナル分子をコードし、バクテリオシン及びシグナル分子のコード配列の間に配置された切断部位のコード配列をコードする。いくつかの実施形態において、単離された核酸は、単一のリーディングフレーム中に2つのバクテリオシンのコード配列を含む。単離された核酸は、バクテリオシンのコード配列の間で、単一のリーディングフレーム中に配置された切断部位のコード配列をさらに含み得る。本明細書におけるいくつかの実施形態の方法、核酸、微生物細胞及び/又はキットにおいて、核酸は、本明細書に記載の任意のプロポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載の1つ又は複数のプロポリペプチドを含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、キットは、プロポリペプチドを発現する能力がある微生物細胞をさらに含む。
【0120】
[0094] 本明細書において述べられるように、いくつかの実施形態の核酸について、これは、切断後に無傷のままで残る核酸によってコードされるバクテリオシン(又は他のポリペプチド)のために有利であり得る。このように、いくつかの実施形態において、核酸は、切断酵素のための切断部位をコードし、そのバクテリオシン及び/又はシグナル分子のコード配列は、切断酵素のための切断部位を含まないバクテリオシン及び/又はシグナル分子を(それぞれ)コードする。いくつかの実施形態において、核酸の切断部位のコード配列は、切断酵素のための切断部位をコードし、バクテリオシンのコード配列は、切断酵素のための切断部位を含まないバクテリオシンをコードする。
【0121】
[0095] いくつかの実施形態において、核酸は、単一のリーディングフレーム中に3つ以上のバクテリオシンのコード配列、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50のバクテリオシンのコード配列を含み、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、3~10、3~20、3~30、3~50、5~10、5~20、5~30、5~50、7~10、7~20、7~30、7~50、10~20、10~30又は10~50のバクテリオシンのコード配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、単一のリーディングフレーム中に少なくとも3つのバクテリオシン配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、単一のリーディングフレーム中に少なくとも5つのバクテリオシン配列を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのバクテリオシンのコード配列は、互いに異なるバクテリオシンをコードする。
【0122】
[0096] いくつかの実施形態において、1つ又は複数の切断部位のコード配列は、単離された核酸の任意の2つの隣接するバクテリオシンのコード配列の間のフレーム中に配置される。本明細書において述べられるように、単一の切断酵素が、プロポリペプチドの複数又はすべてのペプチド成分を分離することが可能であることは有利であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、それぞれのバクテリオシンのコード配列(及び、存在するならば、シグナル分子のコード配列)は、同じ酵素のためのフレーム中の切断部位のコード配列によって、互いに分離される。このように、核酸の翻訳の際に、生じるプロポリペプチドは、単一の酵素によって、そのペプチド成分に切断することができる。
【0123】
[0097] いくつかの実施形態において、切断部位のコード配列は、第1の切断酵素のための切断部位をコードし、別の切断部位のコード配列は、異なる切断酵素のための別の切断部位をコードする。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、第1又は第2の切断酵素のいずれかのための切断部位を組まないバクテリオシンのコード配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、分散した切断部位を切断する任意の切断酵素のための切断部位を含む単離された核酸によってコードされない。
【0124】
[0098] いくつかの実施形態において、すべてのバクテリオシンのコード配列(及び、存在するならば、シグナル分子のコード配列)は、フレーム中の切断部位のコード配列によって互いに分離され、これは、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の切断酵素の組み合わせによってまとめて切断される。このように、核酸の翻訳の際に、切断酵素のこの組み合わせは、プロポリペプチドをそのペプチド成分に切断するために使用することができる。
【0125】
[0099] いくつかの実施形態において、切断部位のコード配列は、本明細書、例えば、表4に記載の切断酵素のための切断部位をコードする。いくつかの実施形態において、切断部位のコード配列は、本明細書に記載の化学及び/又はpH感受性である切断部位をコードする。
【0126】
[0100] いくつかの実施形態において、単離された核酸のペプチド成分(例えば、バクテリオシン及び/又はシグナル分子)のコード配列は、望ましい比率又は一部の望ましい比率で存在する。いくつかの実施形態において、3つ以上のバクテリオシン配列は、望ましい比率又は一部の望ましい比率で存在する。いくつかの実施形態において、望ましい比率は、望ましくない微生物体又は望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの望ましい比率は、動物、ヒトの臓器、又は植物の根及び/又は土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される。
【0127】
[0101] いくつかの実施形態において、単離された核酸は、単一のリーディングフレーム中にシグナル分子のためのコード配列をさらに含む。切断部位のコード配列は、シグナル分子のためのコード配列及び隣接するバクテリオシンのコード配列又は複数のコード配列の間に配置され得る。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、クオラムセンシング分子、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン又はサイトカインを含む。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、野生型、変異体又は合成物であり得る。
【0128】
バクテリオシンを作製するための微生物細胞
[0102] いくつかの実施形態の方法、キット及び微生物細胞は、本明細書に記載の単離された核酸を含む微生物細胞を含む。このような微生物細胞は、本明細書に記載の望ましい比率でバクテリオシンを含むプロポリペプチドを産生するために有用であり得る。微生物細胞は、本明細書に記載のプロモーターを含み得る。プロモーターは、単離された核酸に作動可能に連結され得る。このように、微生物細胞は、単離された核酸を転写し、バクテリオシンを含むプロポリペプチドにそれを翻訳するように構成され得る。本明細書において述べられるように、プロポリペプチドのバクテリオシンは、それらがプロポリペプチドの一部である間は不活性であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、単離された微生物細胞は、単離された核酸によってコードされるバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない。例えば、微生物細胞は、免疫モジュレーターのためのコード配列を欠くことができ、或いは、それが免疫モジュレーターのためのコード配列を含む場合、コード配列は、転写的に無変化であり得(例えば、プロモーターの欠如に起因して)、及び/又はコード配列は、コード配列によって産生される任意の免疫モジュレーターが非機能性であるように、変異され得る。いくつかの実施形態において、核酸に作動可能に連結されたプロモーターは、表3.1~3.11の任意のプロモーターを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。
【0129】
バクテリオシンを作製する方法
[0103] いくつかの実施形態は、バクテリオシンを作製する方法を含む。この方法は、望ましい比率でバクテリオシン(及び任意選択により、シグナル分子などの他の分子)を含む組成物を作製するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、バクテリオシンを作製する方法は、核酸を発現させることを含む。核酸は、単一のリーディングフレーム中に2つのバクテリオシンのコード配列、又は単一のリーディングフレーム中にバクテリオシン及びシグナル分子のコード配列を含み得る(例えば、
図8を参照のこと)。核酸は、バクテリオシンのコード配列の間(又はバクテリオシン及びシグナル分子のコード配列の間)で単一のリーディングフレーム中に配置された切断部位のコード配列をさらに含み得る。核酸は、それらの間に配置されたバクテリオシン及び切断部位を含むプロポリペプチドを生じるように発現し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバクテリオシン(及び/又はシグナル分子)をコードする核酸は、本明細書に記載のポリペプチドを産生するような遺伝子発現系によって発現される。
【0130】
[0104] いくつかの実施形態において、例えば、バイオ医薬品の生産におけるように半コントロール環境でバクテリオシンが生成される場合、プロポリペプチドは、バクテリオシンのコード配列、シグナル分子のコード配列、並びにバクテリオシン及びシグナル分子のコード配列の間に配置された切断部位を含む。このようなプロポリペプチドは、望ましい比率でバクテリオシン及びシグナル分子を含む組成物を生成するために使用することができ、これは、微生物体の遺伝的浮動を阻害するために有用であり得ると考えられる(バクテリオシンを介して;例えば、標的生物体の免疫がある特定の遺伝的状態のそれらの維持に関係している;このアプローチは、米国特許第9,333,227号にさらに詳細に記載されている)。加えて、シグナル分子は、環境中での産生細胞による望ましい生成物の成長、増殖又は生成を促進することができる(例えば、遺伝子操作された微生物細胞、又はCHO若しくはBHK細胞などの哺乳動物細胞培養物)。
【0131】
[0105] いくつかの実施形態において、この方法は、切断部位を切断し、このようにして、バクテリオシン(及び/又はシグナル分子)を互いに分離することをさらに含む。バクテリオシン(及び/又はシグナル分子)の分離の際に、バクテリオシン(又はバクテリオシン及びシグナル分子の組み合わせ)を含む組成物は、このようにして生成される。いくつかの実施形態において、切断部位は、本明細書に記載の、例えば、表4における切断酵素又は切断酵素の組み合わせによって切断される。いくつかの実施形態において、切断部位は、pH感受性又は化学物質感受性リンカーを含むペプチドが切断を誘導するpH又は化学条件に曝露されることによって、切断される。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、切断の前の期間、例えば、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、4週、1か月、2か月又は3か月の間、保管され、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲を含む。
【0132】
[0106] いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、それらがプロポリペプチドの部分である場合、不活性である。したがって、いくつかの実施形態において、微生物細胞は、少なくとも1つのバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生せず、例えば、微生物細胞は、免疫モジュレーターのためのコード配列を欠くことができ、或いはそれが免疫モジュレーターのためのコード配列を含む場合、コード配列は、転写的に無変化であり得(例えば、プロモーターの欠如に起因して)、及び/又はコード配列は、コード配列によって産生される任意の免疫モジュレーターが非機能性であるように、変異され得る。いくつかの実施形態において、微生物細胞は、大腸菌又は枯草菌を含む。
【0133】
[0107] いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバクテリオシンは、それがプロポリペプチドの部分であるときに、不活性である。
【0134】
[0108] いくつかの実施形態において、核酸はインビトロで発現される。無細胞発現系を、インビトロで核酸を転写及び/又は翻訳するために使用することができる。いくつかの実施形態において、インビトロの発現系は、細胞抽出物を含むか、細胞抽出物からなるか、又は細胞抽出物から実質的になる。いくつかの実施形態において、インビトロの発現系は、RNAポリメラーゼ、リボソーム、tRNA(及び対応するアミノ酸)、エネルギー源及び酵素補助因子を含む。インビトロの発現系は、共翻訳修飾若しくは翻訳後修飾のための酵素、及び/又は熱ショックタンパク質などのタンパク質のフォールディングを媒介する細胞成分をさらに含み得る。
【0135】
[0109] いくつかの実施形態において、この方法は、切断する前に、プロポリペプチドを単離することをさらに含む。プロポリペプチドは、本明細書に記載の、微生物細胞から、又はインビトロの発現系から単離することができる。いくつかの実施形態において、単離は、プロポリペプチドを精製することを含む。いくつかの実施形態において、単離は、プロポリペプチドをアフィニティー精製することを含む。アフィニティー精製は、本明細書に記載のアフィニティータグを使用して行うことができる。核酸は、プロポリペプチド上のアフィニティータグをコードすることができる。アフィニティータグは、アフィニティータグに対して特異的な適切な結合剤(例えば、mycタグのための抗myc抗体、又はGSTのためのGST被覆ビーズ、又はHisタグのためのニッケル若しくはコバルト)によって結合することができる。結合剤は、アフィニティータグの結合の際に、プロポリペプチドが固相上で固定化されるように、固相上に固定化することができる。固相は、微生物細胞及び/又はインビトロの発現系から除去することができる。任意選択により、固相は洗浄することができる。アフィニティータグ化されたプロポリペプチドは、次いで、固相から放出され得る。例えば、プロポリペプチドは、免疫沈降、アフィニティークロマトグラフィーなどによって単離することができる。
【0136】
[0110] いくつかの実施形態において、核酸は、単一のリーディングフレーム中に少なくとも3つのバクテリオシンのコード配列、例えば、少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50のバクテリオシンを含み、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、約3~10、3~20、3~30、3~50、5~10、5~20、5~30、5~50、7~10、7~20、7~30、7~50、10~20、10~30又は10~50のバクテリオシンを含む。このように、核酸は、示された数のバクテリオシンを含むプロポリペプチドを生成することができる。
【0137】
[0111] いくつかの実施形態において、少なくとも2つのバクテリオシンは、互いに異なる。いくつかの実施形態において、2つ以上のバクテリオシンは同じである。いくつかの実施形態において、少なくとも2つのバクテリオシンは、互いに異なり、少なくとも2つのバクテリオシンは同じである。
【0138】
[0112] プロポリペプチドの切断の際に、バクテリオシンを含む組成物が生成され得る。いくつかの実施形態において、この組成物は、望ましい比率のバクテリオシンを含む。いくつかの実施形態において、望ましい比率の少なくとも一部は、核酸の単一のリーディングフレーム中におけるバクテリオシンのコード配列の比率によって達成される。理論によって制限されないが、いくつかの実施形態において、核酸は、望ましい相対量の2つ以上の異なるシスのバクテリオシンのコード配列をコードし、対応するプロポリペプチドは、これらの比率のバクテリオシンも有すると考えられる。例えば、核酸が切断部位によってそれぞれ分離された「バクテリオシンA」のための2つのコード配列及び「バクテリオシンB」の3つのコード配列を含む場合、生じるプロポリペプチドは、2:3の比率のバクテリオシンAとバクテリオシンBを含む。切断の際に、溶液は、これらの比率でバクテリオシンを含む。いくつかの実施形態において、核酸によってコードされる追加のタンパク質又はポリペプチドは、望ましい比率で、例えばシグナル分子も生成することに留意されたい。このように、所定の比率又は比率の範囲でバクテリオシン及びシグナル分子を含む溶液が生成され得る。いくつかの実施形態において、所定の比率は、核酸の単一のリーディングフレーム中の、バクテリオシンのコード配列の比率によって達成される。
【0139】
[0113] いくつかの実施形態において、核酸は、一部の望ましい比率で、バクテリオシン(及び任意選択により、シグナル分子などの追加ペプチド)をコードする。追加成分は、望ましい最終の比率を達成するために添加することができる。例えば、第2の異なるプロポリペプチドは、第2の比率で、バクテリオシン及び/又はシグナル分子を含み得る。2つの異なるポリペプチドは、目的のバクテリオシン(及び任意選択により、シグナル分子などの他のペプチド)の望ましい最終の比率を一緒に提供することができる。このように、いくつかの実施形態において、望ましい比率は、バクテリオシンのコード配列の比率を含み、かつバクテリオシンのコード配列の間の切断部位をさらに含む、第2の核酸によってさらに達成される。
【0140】
[0114] 望ましい比率は、多くの適用のために選択することができる。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの望ましい比率は、望ましくない微生物体又は望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択される。例えば、培養培地、原料、発酵槽、バイオリアクター又はマイクロバイオームなどの環境が、望ましくない微生物体の集団を含有する危険性を含むか、このような危険性がある場合、バクテリオシンの比率は、これらの望ましくない微生物体を標的にするために選択され得る。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの望ましい比率は、動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ロバ、イヌ、ネコ、又は非ヒト霊長類)のマイクロバイオームの集団、ヒト臓器(例えば、皮膚又は腸)、又は植物の根若しくは土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つため、或いは食品製品(ヒト又は非ヒト動物)、医薬製品又は化粧製品などの製品を保存するために選択される。いくつかの実施形態において、望ましい比率は、約1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、2:3、2:5、2:7、2:9、3:4、3:5、3:7、3:8、3:10、4:5、4:7、4:9、5:6、5:7、5:8、5:9、6:7、7:8、7:9、7:10、8:9又は9:10のプロポリペプチド中の2つのバクテリオシンの間の比率を含み(例えば、第1と第2のバクテリオシン、第1と第3、第2と第3、又は第3と第4、又は第4と第5)、第1(又は第2、又は第3、又は第4)のバクテリオシンは、第2(又は第3、又は第4、又は第5)のバクテリオシンと異なる。プロポリペプチド中の異なるペアのバクテリオシンは、互いに異なる比率を有することができることに留意されたい。したがって、3つ以上のバクテリオシンの互いの比率は、バクテリオシンの互いの個々の(対での)比率によって確かめることができると考えられる。例えば、第1及び第2のバクテリオシンは、1:2の比率を有することができ、第2及び第3のバクテリオシンは、2:5の比率を有することができ、その結果、第1と第2と第3のバクテリオシンの比率は、それぞれ、1:2:5である。いくつかの実施形態において、望ましい比率は、約1:1:2、1:2:2、1:1:3、1:2:3、1:3:3、2:2:3又は2:3:3の第1のバクテリオシンと第2のバクテリオシンと第3のバクテリオシンの比率を含む。
【0141】
[0115] 本明細書において述べられるように、プロポリペプチドの切断の後に、バクテリオシンが無傷のままであることが有利であり得る。このように、いくつかの実施形態において、プロポリペプチドのバクテリオシンは、バクテリオシン(又はシグナル分子などの任意の他のポリペプチド)を分離する任意の切断部位を含有しない。切断部位の切断の際に、バクテリオシンは無傷のままであり得る。いくつかの実施形態において、切断部位は、単一の切断酵素のためのものであり、切断酵素は、バクテリオシン内を切断しない。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの切断部位は、第1の切断酵素のためのものであり、別の切断部位は、第2の切断酵素のためのものであり、第1の切断酵素も第2の切断酵素もバクテリオシン内を切断しない。
【0142】
[0116] いくつかの実施形態において、この方法によって生成する組成物は、本明細書に記載のシグナル分子を含む。核酸は、プロポリペプチドの他の成分(例えば、バクテリオシン)として、同じリーディングフレーム中でシグナル分子をコードすることができる。切断部位の配列は、シグナル分子及びバクテリオシンのコード配列又は複数のコード配列の間に配置された。このように、切断部位の切断の際に、シグナル分子は、バクテリオシンから分離することができる。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、クオラムセンシング分子、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン若しくはサイトカイン、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。いくつかの実施形態において、シグナル分子は、野生型、変異体又は合成物である。
【0143】
[0117] いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、20,000以下のアミノ酸の長さ、例えば、20,000、15,000、10,000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、900、800、700、600、500、400、300、200又は100以下のアミノ酸の長さを有し、これは、列挙された値の任意の2つの間、例えば、100~20,000;100~10,000;100~5000;100~2000;100~1000;500~20,000;500~10,000;500~5000;500~2000;500~1000;1000~20,000;1000~10,000;1000~5000;又は1000~2000のアミノ酸の長さを含む。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、5000以下のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施形態において、プロポリペプチドは、2000以下のアミノ酸の長さを有する。
【0144】
[0118] 本明細書において述べられるように、バクテリオシン(及びシグナル分子などの他のポリペプチド)の比率は、分子(例えば、バクテリオシン、シグナル分子)の特定の比率及び/又は組み合わせを得るために、2つ以上の異なるプロポリペプチドを使用することによって、さらに調整することができる。いくつかの実施形態において、この方法は、バクテリオシンの間に配置された2つのバクテリオシン及び切断部位を含む第2のプロポリペプチドをコードする第2の核酸を発現させること含む。第2のプロポリペプチドは、第1のプロポリペプチドと異なり得、そのため、第2のプロポリペプチドの切断は、切断されるとすぐに、第1のプロポリペプチドとは異なる比率のバクテリオシン及び/又はシグナル分子を生成する。
【0145】
[0119] いくつかの実施形態において、この方法は、バクテリオシンを化学的に修飾することをさらに含む。化学修飾の例としては、限定されるものではないが、グリコシル化、アセチル化、メチル化、PEG化、SUMO化、ユビキチン化、又はこれらの任意の2つ以上が挙げられる。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、共翻訳的に化学的に修飾される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、翻訳後に化学的に修飾される。例えば、微生物細胞は、共翻訳修飾又は翻訳後修飾のための酵素を含み得、又はこれらを含むように遺伝子操作され得る。例えば、インビトロの発現系は、共翻訳修飾又は翻訳後修飾のための酵素を含み得る。例えば、インビトロの発現系は、翻訳後修飾のための酵素を含み得、及び/又は発現系(インビトロ又は微生物細胞)からのプロポリペプチドの単離の後に、プロポリペプチドは、望ましい翻訳後修飾を生成する酵素と接触させることができる。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは、プロポリペプチドが切断された後に化学的に修飾される。
【0146】
[0120] いくつかの実施形態は、バクテリオシンを含む組成物を含み、これは、
図3に示される本明細書におけるいくつかの実施形態の方法に従って作製することができる。いくつかの実施形態において、この組成物は、本明細書に記載のプロポリペプチドの切断によって生成する。バクテリオシンは、例えば、エンドペプチダーゼによる、プロポリペプチドの切断によって放出され得る。結果は、細菌の死滅の観点から、所定及び/又は望ましい結果による正しい分子のブレンドによる混合物であり得る。いくつかの実施形態において、宿主細胞の1つの株は、1発酵において複数のバクテリオシン混合物を生成することができる。生成の間に毒性効果が存在し得ない(及びこのため、宿主細胞において免疫が必要ではない)と考えられる。任意選択により、プロポリペプチド(及び/又は「切断された」バクテリオシン)の精製は、タグによる精製を行うことができる。任意選択により、バクテリオシンの間の分子の調節を行うことができる。
【0147】
バクテリオシンを含む組成物
[0121] いくつかの実施形態において、望ましい比率でバクテリオシンを含む組成物が提供される。任意選択により、この組成物は、バクテリオシン及び/又は互いに望ましい比率で、追加のポリペプチド、例えば、シグナル分子をさらに含み得る。
【0148】
[0122] いくつかの実施形態において、組成物は、微生物細胞又は微生物細胞の集団を標的にするために選択された比率で2つ以上のバクテリオシンを含む。それぞれのバクテリオシンは、N末端、C末端又はN末端及びC末端で、切断された切断配列の部分を含み得る。本明細書に記載の複数のバクテリオシンを含むプロポリペプチドがその切断部位で切断される場合、少なくともいくつかのバクテリオシンは、切断部位に応じて、それらのN及び/又はC末端で切断部位の痕跡を含むと考えられる。このように、組成物のバクテリオシンが非常に高い精度で望ましい比率になるだけでなく、さらに、多く又はすべてのバクテリオシンが切断部位、例えば、一部の切断部位のN及び/又はC末端の痕跡を含むという点で、バクテリオシンは、構造的に区別されると考えられる。いくつかの実施形態において、バクテリオシンのN、C又はN及びC末端での切断配列の部分は、同じ切断酵素の切断部位のためのものである。いくつかの実施形態において、バクテリオシンのN、C又はN及びC末端での切断配列の部分は、2つ以上の異なる切断酵素の切断部位のためのものである。
【0149】
[0123] いくつかの実施形態において、組成物のいくつか又はすべてのバクテリオシンは、タグをさらに含む。いくつかの実施形態において、タグは、アフィニティータグ、シグナル配列又は安定性タグからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、切断部位は、タグ及びバクテリオシンの間に配置される。
【0150】
[0124] いくつかの実施形態において、この組成物は、本明細書に記載のシグナル分子をさらに含む。シグナル分子はまた、望ましい比率であり得る。シグナル分子はまた、そのN及び/C末端で切断部位の痕跡を含み得る。
【0151】
[0125] いくつかの実施形態において、組成物中のバクテリオシンの比率は、工業製造環境、発酵槽、食品、薬物若しくは化粧品の製品の製造環境などの環境、又は保存される製品(例えば、食品、薬物又は化粧品の製品)の望ましくない微生物体或いは望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択される。いくつかの実施形態において、バクテリオシンの比率は、動物、ヒトの臓器、又は植物の根及び/又は土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つため、或いは製品(食品、薬物又は化粧品の製品など)を保存するために選択される。いくつかの実施形態において、この組成物は、ヒト対象への局所又は経口投与のために製剤化される。
【0152】
コード基質
[0126] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイス及びシステムによれば、コード基質が提供される。コード基質は、本明細書に記載の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシン(及び任意選択により、補助タンパク質)などのタンパク質又はペプチドをコードする核酸を含み得る。いくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスのコード基質は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードし、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するために使用することができる。コード基質は、別個であり得、互いから流体的単離への設置が可能である(これは、本明細書において、「別個の」コード配列を指し得る)。例えば、いくつかの実施形態の方法又はマイクロ流体デバイスにおいて、いくつかの別個のコード基質は、インビトロの転写/翻訳の方法によって抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するために使用され得、(i)規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質のみが、インビトロの転写/翻訳溶液と接触及びインキュベートされ、(ii)規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生成するコード基質のみが、規定の混合物が形成される流体リザーバーと流体連通させて設置され、又は(i)及び(ii)である。例えば、本明細書に記載のバルブは、別個のコード基質(又は別個のコード基質を収容するチャンバー)へのインビトロの転写/翻訳溶液の流れ、及び/又は別個のコード基質(又は別個のコード基質を収容するチャンバー)からの抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの流れをコントロールすることができる。いくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスにおいて、互いに異なる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする異なるコード基質は、(本明細書に記載のマイクロ流体デバイスの)別々のチャンバーに収容され得、このそれぞれは、バルブによってインビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置され得る。このように、いくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスにおいて、マイクロ流体デバイスの別個のコード基質は、別々のチャンバー内に含まれる。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、ビーズを含むか、ビーズから実質的になるか、又はビーズからなる。例として、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするビーズ(しかし、他の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするビーズではない)は、機械的に、又は適したビーズに流体を向かわせるバルブの開放及び/又は閉鎖のいずれかによって、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置され得る。いくつかの実施形態において、異なる別個のコード基質は、互いに異なる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする。いくつかの実施形態は、プロセッサを含むシステムを含む。このシステムは、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスと流体連通及び/又はデータ通信させて設置されるよう構成され得る。任意選択により、このシステムは、ポンプ、及び/又はマイクロ流体デバイスと流体連通させて設置され得る試薬(例えば、インビトロの転写/翻訳溶液)のリザーバーを含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、システムへの挿入のためのカートリッジとして形式を合わせられる。いくつかの実施形態において、コード基質は、バクテリオシンをコードするが、抗菌ペプチドをコードしない。いくつかの実施形態において、コード基質は、抗菌ペプチドをコードするが、バクテリオシンをコードしない。いくつかの実施形態において、コード基質は、抗菌ペプチド及びバクテリオシンの組み合わせをコードする。
【0153】
[0127] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイス及びシステムによれば、コード基質は別個のコード基質である。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、チャンバー内に含まれる。したがって、いくつかの実施形態において、複数の別個のコード基質は、別々のチャンバー内にそれぞれ含まれる。いくつかの実施形態において、2つ以上の別個のコード基質は、単一のチャンバーが2つ以上の別個のコード基質を含有するように、同じチャンバー内に含まれ、このようにして、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物及び/又は化学量論が生成され得る。いくつかの実施形態において、チャンバーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、100、1000、5000、10,000、500,000、1,000,000、10,000,000又は100,000,000の別個のコード基質を含み、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、1~3、1~5、1~10、1~50、2~3、2~5、2~10、2~20、2~50、2~100、10~50、50~100、50~500、50~1000、100~500、100~1000、500~1000、1000~5000、5000~10,000、10,000~50,000、50,000~100,000、100,000~500,000、500,000~1,000,000、1,000,000~10,000,000、10,000,000~100,000,000、又は100,000,000~1,000,000,000の別個のコード基質を含む。
【0154】
[0128] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイス及びシステムによれば、別個のコード基質を含むマイクロ流体デバイスのチャンバーは、マイクロスケールのチャンバーである。例えば、チャンバーは、1、5、10、20、50、100、250又は500マイクロリットル以下の体積をそれぞれ有し得、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、1~5マイクロリットル、1~10マイクロリットル、1~20マイクロリットル、1~50マイクロリットル、1~100マイクロリットル、1~500マイクロリットル、5~10マイクロリットル、5~20マイクロリットル、5~50マイクロリットル、5~100マイクロリットル、5~500マイクロリットル、10~20マイクロリットル、10~50マイクロリットル、10~100マイクロリットル、10~500マイクロリットル、50~100マイクロリットル又は50~500マイクロリットルを含む。いくつかの実施形態において、チャンバーは、ウェル、ナノウェル、膜、マトリックス、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖及び常磁性化合物、若しくはこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、材料又は製品を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、コード基質は、チップ、ビーズ、ナノ粒子、ウェル、ナノウェル、膜、マトリックス、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖及び常磁性化合物、若しくはこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、材料又は製品を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。いくつかの実施形態は、1つ又は複数のビーズをそれぞれ含む別々のマイクロチャンバーを含むマイクロ流体デバイスを含み、このそれぞれは、コード基質を含むか、コード基質から実質的になるか、又はコード基質からなる。ビーズは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする核酸をそれぞれ含み得る。いくつかの実施形態において、このデバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10~50、50~100、100~500、500~1000又は1000~5000のチャンバー、又はこれらの間の任意の数を含む。
【0155】
[0129] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイス及びシステムによれば、コード基質はそこに固定化された核酸を含む。例えば、核酸は、コード基質に共有結合し得、コード基質にハイブリダイズされ得、及び/又は静電力などの1つ若しくは複数の力によってコード基質と会合し得る。いくつかの実施形態において、核酸はDNAを含む。いくつかの実施形態において、核酸はRNAを含む。
【0156】
[0130] いくつかの実施形態において、コード基質は、さらに、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの安定化のためのタンパク質、抗プロテアーゼ活性を有するタンパク質(例えば、セルペンチン)、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの安定化のためのタンパク質、微生物バイオフィルムの破壊のためのタンパク質(例えば、ディスペルシンBなどのバイオフィルム破壊剤)、フェロモンタンパク質、非病原性微生物体を誘引するタンパク質又は対象のマイクロバイオーム中の非病原性微生物体の成長又は複製を増強するタンパク質などの補助タンパク質をコードするか、又はこれらを含む。理論によって制限されないが、このような補助タンパク質は、例えば、特定の環境で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを安定化することによって、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを分解するであろう特定の環境からのプロテアーゼを阻害することによって、及び/又は抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンによる細菌接触を増強する微生物バイオフィルムの小線維を分解することによって、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの発現及び/又は活性を増強することができる。いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、補助タンパク質に加えて、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする。いくつかの実施形態において、第1のコード基質は、補助タンパク質をコードし、第2のコード基質は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする。いくつかの実施形態において、補助タンパク質は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンとともに選択される。例えば、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物が、特定のプロテアーゼ、例えば、トリプシンを含む環境のためである場合、そのプロテアーゼの阻害剤をコードするコード基質は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物をコードするコード基質と一緒に選択することができる。いくつかの実施形態において、コード基質は、抗プロテアーゼ活性を有する補助タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、抗プロテアーゼを有する補助タンパク質は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの安定化のためのタンパク質である。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の別個のコード基質は、非病原性微生物体を誘引するか、或いは皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける非病原性微生物体の成長又は複製を増強する、補助タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、補助タンパク質は、非病原性微生物体などの望ましい微生物体(いくつかの実施形態においてであるが、病原性微生物体は望ましい微生物体である)の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを誘導するフェロモンペプチドである。このように、例えば、いくつかの実施形態において、別個のコード基質は、別の細菌の成長若しくは複製を阻害する抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを分泌する細菌を誘導或いは引き起こす補助タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の別個のコード基質は、非病原性微生物体を誘引するか、又は対象のマイクロバイオーム中で非病原性微生物体の成長若しくは複製を増強する、タンパク質をコードする。いくつかの実施形態において、バクテリオシンは使用されるが、抗菌ペプチドは使用されない。
【0157】
[0131] 成長又は複製の阻害は、本開示を考慮して、当業者によって理解される、その普通及び通常の意味を有する。これは、微生物体の増殖の減少又は抑止(又は微生物体の増殖の速度の減少)、例えば、微生物体の細胞周期の抑止又は死滅を指す。同様に、成長又は複製の増強は、微生物体の増殖又は増殖の速度の増加を指す。当技術分野において公知の任意の方法を、成長若しくは複製の阻害又は増強を検出するために使用してもよい。
【0158】
インビトロの転写/翻訳溶液
[0132] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法、システム及びマイクロ流体デバイスによれば、転写/翻訳溶液は、コード基質によってコードされる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生成するために使用することができる。このように、転写/翻訳溶液は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するための方法又はマイクロ流体デバイスにおいて、ペプチド又は抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生じさせるために有用であり得る。「インビトロの転写/翻訳溶液」という用語は、コード基質からの抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生成するために十分なインビトロの転写溶液及び/又はインビトロの翻訳溶液を包含する。例として、コード基質が抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするRNA転写物を含む実施形態において、翻訳溶液を含むか、翻訳溶液から実質的になるか、又は翻訳溶液からなる「インビトロの転写/翻訳溶液」は十分であると考えられる(RNAがすでに転写物であると理解されるため)。例として、コード基質が抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするDNAを含む実施形態において、「インビトロの転写/翻訳溶液」は、転写溶液(DNAをRNAに転写するため)及び翻訳溶液(RNAをポリペプチドに翻訳するため)を含むと考えられる。いくつかの実施形態において、転写及び翻訳溶液は、単一の溶液中に一緒にある。いくつかの実施形態において、転写及び翻訳溶液は、別々の溶液中、例えば、単一の溶液中に懸濁されたベシクル中、及び/又は連続して適用される別々の溶液中にある。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液の成分は、凍結乾燥され、水の添加の際にインビトロの転写/翻訳溶液に再構成されるように構成される。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液は、凍結乾燥された成分に水を添加することによって再構成される。
【0159】
[0133] 翻訳溶液は、本明細書に記載の方法、システム及び/又はマイクロ流体デバイスによれば、核酸を翻訳するために有用であり得る。適切な翻訳溶液は、インビトロの翻訳のための試薬(これは、便宜上、本明細書において「翻訳試薬」と称され得る)を含み得るか、これらから実質的になり得るか、又はこれらからなり得、このようにして、RNAなどの転写物のインビトロの翻訳のために構成され得る。いくつかの実施形態は、転写のための試薬(これは、便宜上、本明細書において「転写試薬」と称され得る)を含む転写溶液を含み、このようにして、例えば、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシン又は本明細書に記載の他のペプチドをコードする核酸を転写並びに翻訳するために、インビトロの転写及び翻訳のために構成される。単一の溶液(例えば、本明細書に記載の翻訳溶液をさらに含む転写溶液)中のインビトロの転写及び翻訳は、いくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシン又は他のペプチドのインビトロの生成を効率よく促進することができると考えられる。このように、本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、インビトロの転写/翻訳溶液は、インビトロの転写試薬及び/又はインビトロの翻訳試薬を含む。
【0160】
[0134] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、翻訳溶液は、1つ若しくは複数の翻訳試薬又はインビトロの翻訳試薬を含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなる。翻訳試薬の例としては、限定されるものではないが、リボソーム、緩衝液、アミノ酸、tRNA(アミノ酸とコンジュゲートされ得る)、大腸菌可溶化液若しくは大腸菌抽出物などの可溶化液若しくは抽出物、及びMg2+などの補助因子若しくは金属イオン、又は列挙された事項のいずれかの2つ以上の組み合わせが挙げられる。本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法、システム及びキットによれば、翻訳溶液は、転写溶液をさらに含み、このようにして、インビトロの転写及び翻訳のために構成される。本明細書に記載されるように、翻訳溶液をさらに含む転写溶液は、インビトロの転写及び翻訳のために適切な単一溶液を考慮する。このように、翻訳溶液をさらに含む転写溶液は、単一の転写/翻訳溶液を包含する。転写及び/又は翻訳溶液のいくつかの成分、例えば、リボソームは、液体でなくてもよく、例えば、ろ過及び/又は遠心分離によって、転写及び/又は翻訳溶液から潜在的に単離することができることが認識されるであろう。本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスの翻訳溶液(本明細書に記載の翻訳溶液に含まれ得る)は、1つ若しくは複数の転写試薬を含み得るか、これらから実質的になり得るか、又はこれらからなり得る。転写試薬の例としては、RNAポリメラーゼ、緩衝液、核酸ミックス(例えば、ATP、GTP、CTP及びUTPを含むNTP)、補助因子又はMg2+などの金属イオン、転写誘導因子(転写因子、IPTG又はラクトースなど)、ポリアデニル化酵素、キャッピング酵素、細菌可溶化液若しくは抽出物などの可溶化液若しくは抽出物、例えば、大腸菌可溶化液若しくは大腸菌抽出物、SP6ポリメラーゼ、T3ポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、又は列挙された事項のいずれかの2つ以上の混合物が挙げられる。転写溶液は、本明細書に記載の候補核酸などのテンプレートを転写するために有用であり得る。いくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスの翻訳溶液は、1つ又は複数の翻訳試薬と組み合わせて、1つ又は複数の転写試薬を含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイス及び/又はシステムは、本明細書に記載のインビトロの転写/翻訳溶液を含むリザーバーを含む。いくつかの実施形態において、リザーバーは、インビトロの転写/翻訳溶液を生成するために組み合わせることができる、インビトロの転写溶液及びインビトロの翻訳溶液を含む。
【0161】
[0135] いくつかの実施形態において、翻訳溶液は、翻訳後修飾酵素を含む。翻訳後修飾酵素の例としては、限定されるものではないが、切断酵素、キナーゼ、ホスファターゼ、グリコシルトランスフェラーゼ又は列挙された事項のいずれか2つの混合物が挙げられる。
【0162】
[0136] 本明細書に記載のいくつかの実施形態のシステム、方法及びマイクロ流体デバイスによれば、翻訳溶液は、マイクロリットルスケールでコード基質に提供される。例えば、翻訳溶液は、1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの体積を有し得る。
【0163】
[0137] 本明細書に記載のいくつかの実施形態のシステム、方法及びマイクロ流体デバイスによれば、インビトロの転写/翻訳溶液は、凍結乾燥される。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液は、水などの溶液で再構成されるように構成される。このように、いくつかの実施形態のマイクロ流体デバイスは、インビトロの転写/翻訳溶液の有効性に実質的に影響を及ぼすことなく、周囲温度で一定期間安定に保管することができる。したがって、いくつかの実施形態のマイクロ流体デバイスは、ポイントオブケア処置のために適切であり、必要により(例えば、特定の損傷、感染及び/又は外科的手法への反応において)、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を調製するために使用することができると考えられる。
【0164】
マイクロ流体デバイス及びシステム
[0138] マイクロ流体デバイスを含む流体システムは、本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイス及びシステムに従って、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、システムは、システムがインビトロの転写/翻訳によって抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するためにマイクロ流体デバイスを指示することができるように、本明細書に記載の別個のコード基質を含むマイクロ流体デバイスの受け入れるように構成される。いくつかの実施形態において、このシステムは、デバイスと流体連通及び/又はデータ通信するように構成される。例えば、使い捨てのカートリッジは、本明細書に記載のシステムとの併用のためのマイクロ流体デバイスを含み得るか、これらから実質的になり得るか、又はこれらからなり得る。抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、特定の適用のため、例えば、特定の対象の特定のマイクロバイオームとの相互作用のため、又は特定の感染症を標的にするためにカスタマイズすることができると考えられるので、単回使用の使い捨てのマイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物の化学量論及び組成で相互作用し得る(例えば、残ったバクテリオシンからの)混入物を最小化することができ、対象に対する医学的使用のための無菌状態を維持するために有用であり得ると考えられる。このように、いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは無菌である。いくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスにおいて、流体デバイスは、マイクロ流体デバイスを含む。「マイクロ流体デバイス」は「流体デバイス」の一種であると理解されるので、「流体デバイス」が本明細書において言及される場合はいつでも、マイクロ流体デバイスが明確に考慮される。加えて、他に明記されない限り、本明細書における流体デバイス(マイクロ流体デバイスなど)の任意の開示は、いくつかの実施形態のマイクロ流体デバイス、及び本明細書に記載のマイクロ流体デバイスを含む方法に適用可能であることが理解される。
【0165】
[0139] いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのマイクロ流体デバイスが提供される。いくつかの実施形態において、このデバイスは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをそれぞれコードする、本明細書に記載の別個のコード基質を含む。このデバイスは、本明細書に記載のインビトロの転写/翻訳溶液をさらに含み得る。このデバイスは、流体リザーバー、1つ又は複数のバルブをさらに含み得、及び/又は本明細書に記載のプロセッサとデータ通信させて設置されるように構成され得る。バルブは、転写/翻訳溶液、別個のコード基質及び/又は流体リザーバーの間の流体連通を制御することができる。プロセッサは、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンが生成されるように、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするコード基質を設置するために、バルブをコントロールするように構成され得る。プロセッサは、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンが流体リザーバーに流れるように、流体リザーバーと流体連通させて混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを設置するマイクロ流体デバイス中で、バルブ(及び、いくつかの実施形態において、流体の流れ)をコントロールするように構成され得、このようにして、流体リザーバー中に抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が提供される。任意選択により、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンは、流体リザーバー中で能動的に混合される。いくつかの実施形態において、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンは、流体リザーバー中で(能動的に混合されないが)受動的に混合される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、プロセッサを含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスそれ自体はプロセッサを含まないが、プロセッサとデータ通信させて設置されるように構成される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものであるが、抗菌ペプチドを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものであるが、バクテリオシンを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。
【0166】
[0140] 本明細書に記載の方法及びマイクロ流体デバイスのいくつかの実施形態は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのマイクロ流体デバイスを含む。このデバイスは、バクテリオシン及び/又は抗菌ペプチドをそれぞれコードする別個のコード基質;インビトロの転写/翻訳溶液;流体リザーバー;別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流体通路にそれぞれ配置されたバルブを含み得、それぞれのバルブは、別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流れを制御するように構成される。このデバイスは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物に基づいて、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質を、流体リザーバーと流体連通させて設置するようにバルブを構成し;規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンが生成されるように、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質とのインビトロの転写/翻訳溶液のインキュベーションを可能にし;バルブを通して流体リザーバーへの抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの流れを可能にし;流体リザーバー中で流体の流れをコントロールし、流れが、流体リザーバー中での規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを含む流体の動きを含み、このようにして、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するように構成されたプロセッサとデータ通信させて設置されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、プロセッサを含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものであるが、抗菌ペプチドを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものであるが、バクテリオシンを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。
【0167】
[0141] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、マイクロ流体デバイスは、別個のコード基質を含むが、流体リザーバー及び/又はインビトロの転写/翻訳溶液を含まない。このように、マイクロ流体デバイスは、本明細書に記載のシステムと流体連通及びデータ通信させて設置され得、このシステムは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成され得るように、流体リザーバー及び/又はインビトロの転写/翻訳溶液を提供することができる。したがって、いくつかの実施形態において、このシステムは、本明細書に記載の流体リザーバー及び/又はインビトロの転写/翻訳溶液を含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、流体リザーバー、インビトロの転写/翻訳溶液及び/又はシステムの任意の他の構成要素を含まず、それがシステムとデータ通信及び/又は流体連通させて設置されるまで、システムのこれらの構成要素から分離される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、流体リザーバー、インビトロの転写/翻訳溶液及び/又はシステムの別の構成要素に取り付けられるように構成される。例えば、このデバイスは、流体リザーバー、インビトロの転写/翻訳溶液及び/又はシステムの他の構成要素への外部(カートリッジに対して)と流体連通させてカートリッジの別個のコード基質を設置するシステムに挿入されるように構成されたカートリッジを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、カートリッジは消耗品である。例えば、カートリッジは、規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物を生成するために、本明細書に記載のシステムに挿入され、次いで廃棄されるように構成された別個のコード基質を含んでいていてもよく、その後、他の別個のコード基質を含む別のカートリッジが、規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの異なる混合物を生成するために、システムに挿入されてもよい。いくつかの実施形態において、カートリッジは、インビトロの転写/翻訳溶液が、規定の混合物のバクテリオシン及び/又は抗菌ペプチドをコードするカートリッジの別個のコード基質と接触するように、システムからインビトロの転写/翻訳溶液を受け入れるように構成される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものであるが、抗菌ペプチドを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものであるが、バクテリオシンを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。
【0168】
[0142] このシステム及び/又はマイクロ流体デバイスが乾燥している実施形態も考慮される。いくつかの実施形態において、このシステム又はマイクロ流体デバイスは、水などの流体に溶解するように構成された凍結乾燥された試薬を含む。
【0169】
[0143]
図5は、本明細書におけるいくつかの実施形態のマイクロ流体デバイス500を表す模式図である。マイクロ流体デバイス500は、別個のコード基質510a、510b、510cを含み得る(3つの別個のコード基質は例として示されるが、本明細書における実施形態のマイクロ流体デバイスは、本明細書に記載されるように、他の量の別個のコード基質を含み得ると考えられる)。このデバイスは、例として、別個のコード基質510a、510b、510cから生成する抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを受け入れることができる流体リザーバー540を含み得、このようにして、本明細書に記載の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を含有することができる。バルブ520a、520b、520c及び/又は570a、570b、570cは、別個のコード基質510a、510b、510cへの流体の流れ及び別個のコード基質510a、510b、510cからの流体の流れを制御することができる。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体デバイスの流体リザーバー540から外への流れを可能にし得る出口590をさらに含む。例えば、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、出口590を通って、本明細書に記載の組織、創傷、対象のマイクロバイオーム及び/又は容器に流れることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のプロセッサ595は、デバイスとデータ通信しており、バルブ520a、520b、520c、及び/又は570a、570b、570c、及び/又は550、及び/又は580を通る流れをコントロールする。いくつかの実施形態において、このデバイスそれ自体は、プロセッサ595を含まず、バルブ520a、520b、520c、及び/又は570a、570b、570c、及び/又は550、及び/又は580を通る流れをコントロールするために、本明細書に記載のプロセッサ595とデータ通信させて設置されるように構成される。本明細書におけるいくつかの実施形態のマイクロ流体デバイス及び方法によれば、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの生成は、別個のコード基質510a、510b、510cのサブセットのみを第1の場所でインビトロの転写/翻訳溶液と接触させることによって(いくつかの別個のコード基質のみが抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生成するために使用されるように)、及び/又は別個のコード基質510a、510b、510cから生成した抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのサブセットが流体リザーバー540に入ることを可能にすることのみによって、達成することができると考えられる。別個のコード基質のサブセットのみのインビトロの転写/翻訳溶液との接触は、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードしないコード基質におけるインビトロの転写/翻訳溶液の使用を回避することによって、効率を増強することができることに留意されたい。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバーを含まないカートリッジ591の部分である。カートリッジ591は、プロセッサ595を含むシステムとデータ通信させてマイクロ流体デバイスを設置するように構成され得る。任意選択により、カートリッジは、システムと流体連通させて設置することもできる。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530を含むカートリッジ592の部分である。カートリッジ592は、プロセッサ595を含むシステムとデータ通信させてマイクロ流体デバイスを設置するように構成され得る。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、
図5におけるマイクロ流体デバイス500と同様に、別個のコード基質610a、610b、610c、チャネル660、並びにバルブ620a、620b、620c、670a、670b、670c及び/又は680を含む、
図6に示されるマイクロ流体デバイス600を含むか、これから実質的になるか、又はこれからなる。マイクロ流体デバイスは、任意選択により、含まれない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイス600は、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530、若しくは流体リザーバー540を含むシステムと流体連通させて、又は加熱要素555とデータ通信させて設置され得る。例えば、使い捨てのカートリッジは、マイクロ流体デバイス600を含み得るか、マイクロ流体デバイス600をから実質的になり得るか、又はマイクロ流体デバイス600をからなり得、インビトロの転写/翻訳溶液530及び流体リザーバー540を含むシステムと流体連通させて設置されるように構成され得る。マイクロ流体デバイス600はまた、システムのプロセッサ595及び/又は加熱要素555とデータ通信させて設置され得る。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものであるが、抗菌ペプチドを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものであるが、バクテリオシンを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。
【0170】
[0144] いくつかの実施形態において、バルブ520a、520b及び520cは、別個のコード基質510a、510b、510c及び流体リザーバー540の間の流れを制御する。バルブ570a、570b及び570cは任意であり、及び/又はバルブ550及び580は任意であり、及び/又はチャネル560は任意である。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530は、流体リザーバー540と流体連通し得る。任意選択により、バルブ550は、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530及び流体リザーバー540の間に配置され、流体リザーバー540へのインビトロの転写/翻訳溶液の流れを制御する。いくつかの実施形態において、
図6のマイクロ流体デバイス600は、カートリッジの部分である。
【0171】
[0145] いくつかの実施形態において、例えば、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのみがコード基質510a、510b、510cから流体リザーバー540に入ることを可能にする場合、バルブ570a、570b及び570cは、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530及び別個のコード基質510a、510b、510cの間の流れを制御し、バルブ520a、520b、520cは任意であり、及び/又はバルブ550は任意であり、及び/又はバルブ580は任意である。チャネル560は、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530を別個のコード基質510a、510b、510cと、リザーバー530及びチャネル560の間の任意の介入バルブ580、及び/又はチャネル560及び別個のコード基質510a、510b、510cの間の任意の介入バルブ570a、570b、570cと、連結することができる。いくつかの実施形態において、バルブ570a、570b及び570cは、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530及び別個のコード基質510a、510b、510cの間の流れを制御し、バルブ520a、520b、520cは、別個のコード基質510a、510b、510c及び流体リザーバー540の間の流れを制御する。任意選択により、チャネル560は、リザーバー530を別個のコード基質510a、510b、510cと連結することができる。バルブ580は任意であり、及び/又はバルブ550は任意である。
【0172】
[0146] マイクロ流体デバイスは出口590をさらに含み得る。出口590は、本明細書に記載の対象の組織、創傷及び/又は対象のマイクロバイオームと流体連通させて流体リザーバー(及びその中の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの任意の混合物)を設置することができる。いくつかの実施形態において、出口590はバルブを含む。いくつかの実施形態において、出口590は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を保管するための容器、例えば、試験管、バッグ又はウェルと流体連通させて設置することができる。
【0173】
[0147] いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530は、チャネル560と流体連通している。任意のバルブ580は、リザーバー530からチャネル560をコントロールする。いくつかの実施形態において、バルブ570a、570b及び570cは、チャネル560から別個のコード基質510a、510b、510cへの転写/翻訳溶液の流れを制御する。例として、別個のコード基質510a及び510b(510cではない)によってコードされる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを含む抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するために、転写/翻訳溶液530の別個のコード基質510a及び510bへの流れを可能にするが、510cへの流れを可能にしないように、バルブ570a及び570bは、開放されるが、バルブ570bは閉鎖される。いくつかの実施形態において、別個のコード基質510a、510b及び/又は510cは、インビトロの転写/翻訳溶液とともにインキュベートされて、バルブ520a、520b及び/又は520cを介して流体リザーバー540に放出される抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成する。
【0174】
[0148] いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液は、流体リザーバー540を通って、別個のコード基質510a、510b及び/又は510cに流れる。インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530は、任意選択により、介入バルブ550によって制御される流れとともに、流体リザーバー540と流体連通し得る。任意選択により、バルブ520a、520b、520cは、流体リザーバー540から別個のコード基質510a、510b及び510cへの流れを制御する。このように、インビトロの転写/翻訳溶液は、適した別個のコード基質とともにインキュベートされて、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生成することができ、次いで、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンは、バルブ520a、520b及び520cを通って、流体リザーバー540に流れることができる。バルブ570a、570b、570c、チャネル560及びバルブ580は任意であり得る。いくつかの実施形態において、別個のコード基質510a、510b及び/又は510cは、インビトロの転写/翻訳溶液とともにインキュベートされて、バルブ520a、520b及び/又は520cを介して流体リザーバー540に放出される抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成される。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、出口590を通って、本明細書に記載の、創傷、組織、対象のマイクロバイオーム及び/又は容器に流れる。
【0175】
[0149] いくつかの実施形態において、バルブ550は、インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバー530から流体リザーバー540への流れを制御し、バルブ520a、520b及び/又は520cは、別個のコード基質510a、510b及び/又は510cから流体リザーバー540への流れを制御する。バルブ570a、570b、570c及び580、並びにチャネル560は任意である。このように、インビトロの転写/翻訳溶液は、流体リザーバー540から別個のコード基質510a、510b及び/又は510cに流れることができ、別個のコード基質510a、510b及び/又は510cとともにインキュベートされて、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生成することができ、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンは、流体リザーバー540に流れることができる。いくつかの実施形態において、プロセッサ595は、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質のみがインビトロの転写/翻訳溶液を受け入れるように、バルブ520a、520b及び520cを通る、別個のコード基質510a、510b及び/又は510cへのインビトロの転写/翻訳溶液の流れを制御する。いくつかの実施形態において、プロセッサ595は、バルブ520a、520b及び520cを通る、流体リザーバー540から既定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質510a、510b及び/又は510cへのインビトロの転写/翻訳溶液の流れを可能にし、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンがインビトロの転写翻訳によって生成された後、プロセッサ595は、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのみが流体リザーバー540に入るように、バルブ520a、520b、520cを制御する。
【0176】
[0150]
図5に表される流体デバイス500のいくつかの実施形態において、バルブ550、570a、570b、570c、580及びチャネル560は任意であることが認識され得る。例えば、流体デバイスのいくつかの実施形態は、バルブ580、570a、570b及び570c、並びに流れ手段560を含むが、バルブ550は含まない。いくつかの他の実施形態において、流体デバイスは、バルブ550を含むが、バルブ570a、570b、570c、若しくは580、又は流れ手段560を含まない。いくつかの実施形態において、流体デバイスは、バルブ550、570a、570b、570c及び580、並びに流れ手段560を含む。いくつかの実施形態において、バルブ580は含まれるが、バルブ570a、570b及び570cは除かれる。いくつかの実施形態において、バルブ580は除かれ、バルブ570a、570b及び570cは含まれる。流体デバイス500のいくつかの実施形態において、出口590はバルブを含まないことも認識され得る。
【0177】
[0151] いくつかの実施形態において、出口590は、流体リザーバー540への洗浄液を可能にし、任意の他のバルブは、開放されて、任意の他の流体的に連結されたデバイスの部分への洗浄液の流れを可能にする。いくつかの実施形態において、洗浄液は、緩衝液又は洗浄剤を含む。追加のバルブは、マイクロ流体デバイスに存在して、デバイスの任意の流体の部分で流体の流入又は流出を可能にしてもよいことが認識され得る。
【0178】
[0152] いくつかの実施形態において、チャネル560は、マイクロチャネル、チューブ、パイプ及びホースを含むか、これらから実質的になるか、又はこれらからなり、このように、流体の流れを含有及び/又は指示することができる。いくつかの実施形態において、チャネル560は、ゴム、プラスチック、金属などの材料を含む。
【0179】
[0153] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、マイクロ流体デバイスは携帯型である。例えば、このデバイスのいくつかの実施形態は、実験室から出され、科学者が規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのさまざまな混合物で試験を行う自然環境に持ち込まれてもよい。
【0180】
[0154] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、マイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が創傷に送達される出口590を含む。例えば、出口590は、膜又はチューブを介して創傷に連結され得る。したがって、いくつかの実施形態において、このデバイスは、創傷のドレッシング、又は創傷洗浄デバイスを含む。
【0181】
[0155] いくつかの実施形態において、流体は、デバイスの1つの構成要素から別の構成要素に受動的に移動する。いくつかの実施形態のマイクロ流体デバイスは、デバイスの1つの構成要素から別の構成要素に流体を能動的に送るポンプ565を含む。
【0182】
[0156] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、マイクロ流体デバイスは、加熱ブロックなどの加熱要素555を含む。いくつかの実施形態において、加熱要素は、インキュベーション工程を行う、流体リザーバー540及び/又は別個のコード基質510a、510b及び/又は510cなどのマイクロ流体デバイスの部分を加熱するように構成される。いくつかの実施形態において、インキュベーション工程は、少なくとも約0℃、4℃、25℃、30℃、37℃、38℃、40℃であり、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、0~40℃、又は36~38℃、又は4~40℃を含む。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液とのインキュベーションは、少なくとも1、10、30、60秒、又は少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25又は30分であり、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、1~30秒、30~60秒、1~2分、2~5分、5~10分、10~15分、15~30分、又は30~60分、1~2時間、2~5時間、5~10時間、10~15時間、15~24時間、24~48時間、又は48~72時間を含む。いくつかの実施形態において、インビトロの転写/翻訳溶液とのインキュベーションは、異なる時間で、2つ以上の温度を含む。
【0183】
[0157] 本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、マイクロ流体デバイスは、既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物と混合するように構成された化学及び/又はファージ抗生剤のリザーバーをさらに含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、化学抗生剤及び/又はファージを含む抗生剤を含む。いくつかの実施形態において、このシステムは、既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物と混合するように構成された化学又はファージ抗生剤のリザーバーを含む。本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、マイクロ流体デバイスは、化学抗生剤及び/又はファージを含む抗生剤を含む。
【0184】
流体リザーバー
[0158] 本明細書におけるいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスにおいて、流体デバイスは、流体リザーバー540を含む。いくつかの実施形態において、流体リザーバーは、少なくとも1つの別個のコード基質(任意選択により、本明細書に記載のバルブによって分離される)と流体連通しているか、又は流体連通するように構成される。いくつかの実施形態において、流体リザーバーは、本明細書に記載されるように、別個のコード基質と流体連通しているか、又は別個のコード基質を収容するチャンバー中にある。いくつかの実施形態において、流体リザーバーは、チャネル、チューブ類、マイクロ流体チューブ類、膜、メッシュ、開口、通路又はこれらの2つ以上による、別個のコード基質(又はチャンバー)と流体連通させて設置される。例として、いくつかの実施形態のチャネル、チューブ類、マイクロ流体チューブ類、膜、メッシュ、開口及び/又は通路は、ゴム、ガラス、プラスチック、金属、有機化合物又はこれらの2つ以上などの材料を含み得る。いくつかの実施形態において、流体リザーバーは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物の規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを受け入れるように構成される。規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンは、流体リザーバー中で混合され得、例えば、受動的混合によって、及び/又は能動的混合によって、混合物が形成される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、2つ以上の流体リザーバーを含む。いくつかの実施形態において、流体リザーバーは、少なくとも1μl、例えば、少なくとも1、5、10、100、500又は1000μlの体積を有し、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲、例えば、1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、500μl~1000μl、1ml~1000ml、1ml~50ml、1ml~500ml、1ml~900ml、50ml~100ml、50ml~500ml、50ml~1000ml、100ml~200ml、100ml~500ml、100ml~1000ml、200ml~500ml、200ml~1000ml、500ml~900ml、500ml~1000mlを含む。
【0185】
バルブ
[0159] いくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスにおいて、マイクロ流体デバイスは、1つ又は複数のバルブを含む。本明細書で使用される場合、「バルブ」は、機械バルブ、並びに電磁場、条件付き拡散膜、及び液体の流れを許可及び制限するための当技術分野で理解されている他のデバイスを包含する。いくつかの実施形態において、バルブは、別個のコード基質から流体リザーバーを分離し、別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流体の流れをコントロールする。それぞれのバルブは、別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流体通路に配置され得る。それぞれのバルブは、別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流れを制御するように構成され得る。いくつかの実施形態において、それぞれの別個のコード基質は、別個のコード基質から流体リザーバーへの流体の流れをコントロールするように構成されたバルブによって、流体リザーバーから分離される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバルブは、水力バルブ、空気圧バルブ、手動バルブ、ソレノイドバルブ、電動バルブ、若しくはソケットボールバルブ、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバルブは、2ポート、3ポート又は4ポートのバルブを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバルブは、ソレノイドマイクロバルブ、スクリューマイクロバルブ、空気圧マイクロバルブ、若しくはこれらの2つ以上の組み合わせなどのマイクロ流体バルブ又はマイクロバルブを含む。いくつかの実施形態において、バルブを通る流れが「オン」又は「オフ」のいずれかであるように、バルブは二元である。いくつかの実施形態において、バルブは、バルブを通る流れの速度を制御する。
【0186】
[0160] いくつかの実施形態において、バルブ520a、520b、520cは、流体リザーバー540及びコード基質510a、510b、510cの間に配置される。例えば、いくつかの実施形態において、バルブは、流体リザーバー及びコード基質の間、並びにコード基質及び流体リザーバーの間に配置される。流体リザーバー及びコード基質の間の単一バルブは、開放されて、転写/翻訳流体を有するコード基質のいくつか又はすべてを洗い流し、次いで、インキュベーションの後に、目的のコード基質及びリザーバーの間のバルブのみが解放され、その結果、目的の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのみが抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物中に含まれ、流体リザーバーへの流れを可能にする。
【0187】
[0161] いくつかの実施形態において、セパレートバルブは、セパレートバルブが転写/翻訳溶液との接触で目的の別個のコード基質のみを設置するように開放及び閉鎖され得るように、転写/翻訳溶液及び別個のコード基質の間に配置され、このようにして、転写/翻訳溶液との目的の別個のコード基質のインキュベーションの際に、規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物が生成する。本開示を考慮して、当業者は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物の規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのみが、流体リザーバー540の混合物中で得られるように、別個のコード基質への流れ及び別個のコード基質からの流れを制御するバルブのための複数の方法があることを認識するであろう。
【0188】
[0162] スマート包帯は、プロセッサ、センサー(pH及び/又は温度センサーなど)、及び治療剤の供給源を含み得、プロセッサは、治療剤の投与をコントロールするように構成される。例えば、センサーは、炎症を検出することができ、プロセッサは、検出された炎症に反応して、抗炎症剤の量を投与することができる。適切なスマート包帯の例は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、www.cnet.com/news/this-smart-bandage-can-deliver-drugs-monitor-chronic-woundsのワールドワイドウェブにおいて見ることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスは、スマート包帯を含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイス又はシステムは、スマート包帯と流体連通させて設置されるように構成される。例えば、マイクロ流体デバイスのポートは、スマート包帯が、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物の対象への送達をコントロールすることができるように、スマート包帯のリザーバーと流体連通させて設置され得る。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物がスマート包帯を介して対象に送達され得るように、スマート包帯をさらに含む使い捨てカートリッジに含まれ、流体リザーバーと流体連通している。任意選択により、スマート包帯及びマイクロ流体デバイスを含む使い捨てカートリッジは、対象の組織、例えば、皮膚への直接適用のための接着剤を含む。このように、いくつかの実施形態のマイクロ流体デバイスは、医学的使用のためである。いくつかの実施形態において、スマート包帯は、創傷又は炎症の部位を監視し、本明細書に記載の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を皮膚又は創傷部位に送達する。
【0189】
プロセッサ
[0163] プロセッサ595は、いくつかの実施形態のマイクロ流体デバイス及び方法において、バルブを制御することができる。プロセッサは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物に基づいて、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない、別個のコード基質を、流体リザーバーと流体連通させて設置されるバルブを構成するように構成され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、混合物の規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンが生成されるように、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質とのインビトロの転写/翻訳溶液のインキュベーションを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサは、バルブを通って、規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの流体リザーバーへの流れを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサは、流体リザーバー中で流体の流れをコントロールするように構成される。いくつかの実施形態において、流れは、流体リザーバーへの及び/又は流体リザーバー内での規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを含む流れの動きを含み、このようにして、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成される。例えば、流れは、これらが流体リザーバー中に存在すると、異なるコード基質からのバクテリオシンを混合することができ、このようにして抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成される。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、プロセッサを含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスそれ自体はプロセッサを含まないが、プロセッサとデータ通信させて設置されるように構成される。
【0190】
[0164] 本明細書におけるいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を、2つ以上のサブ混合物から形成することができると考えられる。例えば、1:1の比率のバクテリオシンA及びBの第1のサブ混合物は、同じ量の1:1の比率のバクテリオシンB及びCの第2のサブ混合物と混ぜることができ、このようにして、1:2:1の比率のバクテリオシンA、B及びCの混合物が生成される。本明細書に記載のいくつかの実施形態の方法及びマイクロ流体デバイスによれば、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのサブセットをそれぞれ含む2つ以上のサブ混合物を含み;プロセッサは、流体リザーバーへのそれぞれのサブ混合物の流れを可能にするように構成され、それによって、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成される。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、既定の化学量論のバクテリオシンのサブ混合物の総和を含み、サブ混合物の組み合わせは、規定の化学量論の混合物を生み出す。
【0191】
抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するための方法
[0165] いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するための方法が提供される。この方法は、別個のコード基質によってコードされるバクテリオシンのインビトロの転写及び翻訳によって、他のバクテリオシンではないが、規定の混合物のバクテリオシンを生成し、次いで、インビトロの転写及び翻訳からの選択されたバクテリオシンを混合して、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成することを含み得る。いくつかの実施形態において、この方法は、別個のコード基質によってコードされるバクテリオシンのインビトロの転写及び翻訳によって、バクテリオシンを生成し、次いで、他のバクテリオシン(あれば)ではないが、規定の混合物のバクテリオシンを混合して、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成することを含む。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するための方法は、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスにおいて行われる。いくつかの実施形態において、この方法は、バクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものであるが、抗菌ペプチドを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、この方法は、抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものであるが、バクテリオシンを生成するためのものではない。いくつかの実施形態において、この方法は、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである。
【0192】
[0166]
図7は、いくつかの実施形態の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するための方法を図示するフロー
図700である。この方法は、2つ以上の異なる規定のバクテリオシンを含む規定の混合物を選択すること710;抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質を含むマイクロ流体デバイスにおいて、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが他の別個のコード基質をコードしない、別個のコード基質を設置すること720;別個のコード基質をインビトロの転写/翻訳溶液とともにインキュベートし、このようにして、別個のコード基質によってコードされる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生じさせること730;並びにマイクロ流体デバイス中でバクテリオシンを混合し、このようにして、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成すること740を含み得る。
【0193】
[0167] いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成する方法は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物のサブセットをそれぞれ含む2つ以上のサブ混合物を生成すること、並びにサブ混合物を組み合わせて、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成することをさらに含む。例えば、この方法は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの第1の規定のサブ混合物を生成するために以下の(a)から(d)を行うことを含み得る:(a)2つ以上の異なる規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを含むようにサブ混合物を選択すること;(b)抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質を含むマイクロ流体デバイスにおいて、サブ混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質を、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置すること;(c)別個のコード基質をインビトロの転写/翻訳溶液とともにインキュベートし、それによって、別個のコード基質によってコードされる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生じさせること;(d)マイクロ流体デバイス中で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを混合し、それによって、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定のサブ混合物を生成すること;抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの第2の規定のサブ混合物を生成するために(a)から(d)を繰り返すこと;並びに抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの第1の規定のサブ混合物と抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの第2の規定のサブ混合物を組み合わせて、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成すること。
【0194】
[0168] 抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成する方法のいくつかの実施形態において、選択は、2つ以上の異なる規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの化学量論を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、既定の化学量論を含み、サブ混合物を組み合わせることにより規定の化学量論がもたらされる。例えば、バクテリオシン「A」の第1のサブ混合物は、1:1の比率のバクテリオシン「A」及び「B」の第2のサブ混合物と組み合わされて、2:1の比率の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシン「A」及び「B」の規定の混合物を生成することができる。
【0195】
[0169] 抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成する方法のいくつかの実施形態において、別個のコード基質のインビトロの転写/翻訳溶液とのインキュベートは、混合物のバクテリオシンをコードするそれぞれの別個のコード基質にインビトロの転写/翻訳溶液を流すことを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質を、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置することを含み、(i)別個のコード基質と流体連通させてインビトロの転写/翻訳溶液の供給源を設置するように、バルブを開放すること;(ii)インビトロの転写/翻訳溶液及び他の別個のコード基質の供給源の間の流体連通を阻害するように、バルブを閉鎖すること、又は(i)及び(ii)の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイス中での抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合は、流体リザーバーと流体連通させて別個のコード基質を設置するバルブを開放することを含み、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンは、流体リザーバー中で混合される。
【0196】
[0170] いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成する方法は、望ましい効果についてインサイチュで抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物をスクリーニングすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける病原性微生物体の成長又は複製の阻害についてである。例えば、病原性細菌は、迅速に進化する細菌、又は抗生剤耐性を示す細菌、例えば、MRSAであり得る。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物の有害効果の非存在についてである。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、リアルタイムで行われる。例えば、スクリーニングは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生じて、120分以内、60分以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内又は1分以内に行うことができる。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの安定化について、又は微生物バイオフィルムの破壊についてである。いくつかの実施形態において、スクリーニングは、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける非病原性微生物体の成長又は複製の増強についてである。
【0197】
[0171] いくつかの微生物体は素早く進化し得る。有利には、本明細書に記載の方法、デバイス及びシステムは、微生物体による対象の感染症に合わせた規定のバクテリオシンの混合物を迅速に生成することによって、迅速に進化する微生物体と戦うために使用することができる。いくつかの実施形態において、対象は、MRSAなどのスタフィロコッカス属、インフルエンザウイルス、西ナイルウイルス又はジカウイルスに感染している。いくつかの実施形態において、対象は、糖尿病であるか、及び/又は手若しくは足などの四肢に感染を有する。
【0198】
[0172] 従来の化学抗生剤及び/又はファージ抗生剤と併用する抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの使用も構想される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、規定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物、並びに化学抗生剤及び/又はファージの組み合わせによる微生物感染の処置を含む。いくつかの実施形態は、対象に、化学抗生剤及び/又はファージ抗生剤と組み合わせて、既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物を送達することを含む。また、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のマイクロ流体デバイス及び/又はシステムは、従来の抗生剤、例えば、ファージ抗生剤、又は代謝産物などの低分子抗生剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイス及び/又はシステムは、抗生剤のリザーバーをさらに含む。抗生剤は、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸(アモキシシリン+クラブラン酸)、アンピシリン、ベンザチンベンジルペニシリン、ベンジルペニシリン、セファレキシン、セファゾリン、セフィキシム、セフォタキシム、セフトリアキソン、クロキサシリン、ペニシリン、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV)、ピペラシリン/タゾバクタム、プロカイン、ベンジルペニシリン、セフタジジムα、メロペネムα、アズトレオナムα、イミペネム/シラスタチン、アミカシン、アジスロマイシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、スペクチノマイシン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、トリメトプリム、バンコマイシン、クロファジミン、ダプソン、リファンピシン、エタンブトール/イソニアジド、エタンブトール/イソニアジド/ピラジナミド/リファンピシン、エタンブトール/イソニアジド/リファンピシン、イソニアジド、イソニアジド/ピラジナミド/リファンピシン、イソニアジド/リファンピシン、ピラジナミド、リファブチン、リファンピシン、リファペンチン、アミカシン、ベダキリン、カプレオマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、デラマニド、エチオナミド、カナマイシン、レボフロキサシン、リネゾリド、モキシフロキサシン、p-アミノサリチル酸、リファブチン、リファペンチン、リファラジル、リファキシミン、ストレプトマイシン、ファージ、又はこれらの抗生剤の2つ以上の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0199】
[0173] 抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成する方法のいくつかの実施形態は、チューブ類又は膜を介して創傷に抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を送達し、それによって、創傷を洗浄又はドレッシングすることをさらに含む。例えば、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、切り傷又は開いた傷口の上に置かれ、次いで、切り傷又は傷口が閉じられ、及び/又は包帯されてもよい。
【0200】
[0174] 抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成する方法のいくつかの実施形態は、マイクロ流体デバイスの洗浄を含む。洗浄は、洗浄液によってであり得る。例えば、いくつかの実施形態は、転写溶液とのインキュベーション工程、続いて洗浄工程、続いて、翻訳溶液との別々のインキュベーションを含む。
【0201】
[0175] いくつかの実施形態において、この方法は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を、処置を必要とする対象に投与することをさらに含む。例えば、対象は、感染した創傷、外科的切開、及び糖尿病に関連する四肢の感染、及び/又はバイオフィルムなどの感染を有し得る。抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、感染の微生物体を標的にするために選択することができ(又は感染の微生物体を標的にする候補として選択される)、本明細書に記載のマイクロ流体デバイス中で生成することができる。抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、本明細書に記載の対象に、例えば、感染部位又はその近くに投与することができる。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイス自体は、感染に直接適用される(例えば、本明細書に記載のスマート包帯として)。いくつかの実施形態において、この方法は、処置を必要とする感染を有する対象を選択することをさらに含む。この方法は、感染を標的にする抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を選択すること、並びに本明細書に記載のマイクロ流体デバイス中で規定の混合物を生成することをさらに含み得る。感染の危険性を、処置するため、阻害するため、予防するため及び/又は低減するためのマイクロ流体デバイスの医学的使用も考慮される。いくつかの実施形態において、この方法(又は医学的使用)は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物並びに本明細書に記載の抗生剤(例えば、低分子抗生剤及び/又はファージ)を対象に投与することを含む。
【0202】
[0176] いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、獣医学的使用のため、例えば、飼育動物若しくは家畜の感染を処置するため、及び/又は動物の成長を促進するための抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するためである。有利には、家畜における抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物の使用により、食品生産における抗生剤の使用を回避することができる。世界保健機関の推奨において述べられるように、そうすることにより、抗生剤耐性微生物体の発達及び増殖を低減することができる。
【0203】
[0177] いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、例えば、小さい発酵槽中で混入する生物体を標的にするバクテリオシンの規定の混合物を生成するために、小さい発酵槽(例えば、100リットル、50リットル、40リットル、30リットル、20リットル、10リットル、5リットル、2リットル又は1リットル以下の容積の発酵槽、これは、列挙された値の任意の2つの間の範囲を含む)における使用のためである。
【0204】
[0178] いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、医療デバイスを無菌化する使用のためである。例えば、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、医療デバイスにおけるMRSAなどの混入物を標的にするために選択することができ、オンサイト、例えば、病院で医療デバイスに適用することができる。いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、感染及び/又はバイオフィルムの形成を阻害又は予防するために、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物でインプラントを事前に処置する使用のためである。
【0205】
[0179] いくつかの実施形態において、マイクロ流体デバイスは、例えば、エピデミック又はバイオテロの防御において、病原体に対する防御における使用のためである。病原体(例えば、バイオテロ剤)に対処するバクテリオシンの規定の混合物は、本明細書に記載のシステムに、手動又は自動的に分配することができ、病原体(例えば、バイオテロ剤)を標的にするバクテリオシンの規定の混合物は、病原体(例えば、バイオテロ剤)の部位又はその近くでマイクロ流体デバイスにおいて生成することができる。
【0206】
[0180] いくつかの実施形態において、この方法は、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を別の試薬又は抗微生物化合物と混合して、最終混合物を生成することをさらに含む。例えば、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、化学物質又は天然液体と組み合わされてもよい。いくつかの実施形態において、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物は、抗生物質又はファージと組み合わされて、最終混合物が生成する。いくつかの実施形態において、最終混合物は、例えば、抗疼痛治療などの治療のための製剤の部分である。
【実施例】
【0207】
実施例1
[0181] 単一のリーディングフレーム中で、バクテリオシンのスブチリンのコード配列の1つのコピー、バクテリオシンのババリシン-MNのコード配列の2つのコピー、及びクオラムセンシング因子のBsEDFのためのコード配列の1つのコピーをコードする核酸が提供される。核酸は、バクテリオシンのコード配列及びBsEDFのコード配列にそれぞれ隣接する、同じリーディングフレーム中のカスパーゼ2のための切断部位をさらにコードする。このように、核酸は、カスパーゼ2の切断部位にそれぞれ隣接する、スブチリンの1つのコピー、ババリシン-MNの2つのコピー、及びBsEDFの1つのコピーを含むプロポリペプチドをコードする。核酸は、大腸菌細胞において発現し、これは、サブチロシン-A又はババリシン-MNのいずれかのための免疫モジュレーターのためのコード配列を含まず、したがって、これらのバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない。プロポリペプチドは、大腸菌によって産生され、スブチリン及びババリシン-MNをそれらの不活性形態で含有する。プロポリペプチドは、ニッケル含有基質を使用して、そのHisタグの方法によって精製される。精製されたプロポリペプチドは、次いで、カスパーゼ2を使用して切断され、スブチリン、ババリシン-MN及びBsEDFを1:2:1の比率で含む組成物を生成する。この組成物は、工業材料に添加されて、(バクテリオシンを介して)望ましくない微生物体の増殖を妨げ、及び(BsEDFを介して)遺伝子改変枯草菌の成長をコントロールする。
【0208】
実施例2
[0182] バクテリオシンである、ムンドチシン、セラシン-P、ツリシン-17及びプランタリシンJの1:2:3:4の比率が、保管の間に動物性食品中の望ましくない微生物細胞の集団を標的にするために有用であると決定される。ムンドチシンのコード配列の1つのコピー、セラシン-Pのコード配列の2つのコピー、ツリシン-17のコード配列の3つのコピー及びプランタリシンJのコード配列の4つのコピーをコードする核酸を合成する。すべてのバクテリオシンのコード配列は、単一のリーディングフレーム中にあり、それぞれのバクテリオシンのコード配列は、グランザイムB切断部位をコードする配列によって他のバクテリオシンのコード配列から分離される。核酸はまた、オープンリーディングフレームの3’末端かつグランザイムBの切断部位のコード配列のすぐ下流で、GSTをコードする。このようにして、核酸は、C末端GSTタグと一緒に、ムンドチシン、セラシン-P、ツリシン-17及びプランタリシンJを4:3:2:1の比率でそれぞれ含むプロ-ペプチドをコードする。核酸は、プロポリペプチドを産生するように、インビトロの翻訳系において発現する。プロポリペプチドは、GST被覆ビーズを使用して精製される。次いで、プロポリペプチドは、グランザイムBによって切断され、1:2:3:4の比率で活性なムンドチシン、セラシン-P、ツリシン-17及びプランタリシンJを含む溶液が生成する。GSTタグに直接隣接した切断部位も切断され、その結果、GSTを含むバクテリオシンはない。1:2:3:4の比率のバクテリオシンを含む組成物は、動物性食品に添加され、このようにして、動物性食品中の望ましくない微生物細胞の集団を標的にする。
【0209】
実施例3
[0183] 244個のチャンバーを含むマイクロ流体デバイスが提供される。それぞれのチャンバーは、別個のコード基質を含む。それぞれの別個のコード基質は、チップであり、それぞれのチップは、表1.2のバクテリオシンをそれぞれコードする、10,000~20,000のDNA分子を含む。それぞれのチャンバー中のDNA分子は、それぞれの他のチャンバー中のDNA分子と比較して、別々のバクテリオシンをコードする。それぞれのチャンバーは、流体リザーバーへのバルブによって連結される。流体リザーバーはまた、転写/翻訳溶液のチャンバーに収容された転写/翻訳溶液へのバルブによって連結される。このデバイスは、流体リザーバーを転写/翻訳溶液に連結するバルブを開放して、転写/翻訳溶液が流体リザーバーに流れるのを可能にし、流体リザーバーを転写/翻訳溶液に連結するバルブを閉鎖して、転写/翻訳溶液のチャンバーに流体が逆流することを防ぎ、流体リザーバーを選択されたコード基質が収容されたチャンバーに連結するバルブを開放して、転写/翻訳溶液が流体リザーバーから選択されたコード基質が収容されたチャンバーに流れるのを可能にし、選択されたコード基質を37℃でインキュベートし、それによって、選択されたコード基質からバクテリオシンを生成し、並びにコード基質を流体リザーバーに連結するバルブなどの1つ又は複数のバルブを開放して、流体リザーバー及び/又は器にバクテリオシンを放出するように構成されたプロセッサを含む。
【0210】
[0184] このデバイスは、電話、タッチスクリーン、キーボード、ボタン、マウス若しくはコンピューターなどのユーザー入力デバイスに電子的又は無線で接続される。プロセッサは、ユーザー入力デバイスに入れられたユーザー入力に基づいて、又は事前にプログラムされた一連の指示に従って、バクテリオシンを選択する。
【0211】
実施例4
[0185] 本明細書に記載のデバイスは、第1のバクテリオシンの規定の混合物を作製するために使用される。バクテリオシンは、熱傷を有する対象に適用される経皮パッチに適用される。対象の熱傷が治癒していない場合、デバイスは、第1のバクテリオシンの規定の混合物とは異なる第2のバクテリオシンの規定の混合物を作製するために使用される。第2のバクテリオシンの規定の混合物は、次いで、熱傷に適用される新しい経皮パッチに適用される。バクテリオシンの規定の混合物の複数の変形形態は、バクテリオシンの特定の製剤が熱傷の治癒のために有益であると予想されるか否か、又は試験される特定の製剤が望ましいか否かに応じて、さまざまな対象の熱傷、又は複数の熱傷に適用され得る。
【0212】
オプション
[0186] 上記の事項に加えて、以下のオプションを説明する。
1.バクテリオシンを作製する方法であって、
単一のリーディングフレーム中の、バクテリオシンのコード配列、及びバクテリオシン又はシグナル分子である第2のポリペプチドのコード配列;並びに
単一のリーディングフレーム中のバクテリオシンのコード配列及び第2のポリペプチドのコード配列の間に配置された切断部位のコード配列
を含む核酸を発現させ、
それによって、バクテリオシン、第2のポリペプチド及びそれらの間に配置された切断部位を含むプロポリペプチドを生じさせることを含む、方法。
2.切断部位を切断し、それによって、バクテリオシン及び第2のポリペプチドを互いに分離し、それによって、バクテリオシン及び第2のポリペプチドを含む組成物を生成することをさらに含む、オプション1に記載の方法。
3.第2のポリペプチドが、バクテリオシンである、オプション1又は2のいずれか1つに記載の方法。
4.第2のポリペプチドが、シグナル分子である、オプション1又は2のいずれか1つに記載の方法。
5.発現が、少なくとも1つのバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない微生物細胞によって行われる、オプション1から4のいずれか1つに記載の方法。
6.微生物細胞が、任意のバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない、オプション5に記載の方法。
7.発現が、インビトロで行われる、オプション1から4のいずれか1つに記載の方法。
8.少なくとも1つのバクテリオシンが、それがプロポリペプチドの部分であるときに、不活性である、オプション1から7のいずれか1つに記載の方法。
9.切断する前に、プロポリペプチドを単離することをさらに含む、オプション2から8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記単離が、プロポリペプチドをアフィニティー精製することを含み、アフィニティー精製が、核酸によってコードされるアフィニティータグを結合させることを含む、オプション9に記載の方法。
11.核酸が、単一のリーディングフレーム中に3つのバクテリオシンのコード配列を含む、オプション1から8のいずれか1つに記載の方法。
12.少なくとも2つのバクテリオシンが、互いに異なる、オプション1から3又は5から11のいずれか1つに記載の方法。
13.組成物が、望ましい比率のバクテリオシン、又は望ましい比率のシグナル分子及びバクテリオシンを含む、オプション2から12のいずれか1つに記載の方法。
14.少なくとも一部の望ましい比率が、核酸の単一のリーディングフレーム中の、バクテリオシンのコード配列又はバクテリオシン及びシグナル分子のコード配列の比率によって達成される、オプション13に記載の方法。
15.望ましい比率が、バクテリオシンのコード配列の比率を含み、バクテリオシンのコード配列の間の切断部位をさらに含む、第2の核酸によってさらに達成される、オプション12から14のいずれか1つに記載の方法。
16.望ましい比率が、核酸の単一のリーディングフレーム中の、バクテリオシンのコード配列の比率によって達成される、オプション15に記載の方法。
17.バクテリオシンの望ましい比率が、望ましくない微生物体若しくは望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択され、及び/又は
バクテリオシンの望ましい比率が、動物、ヒトの臓器、植物の根若しくは土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される、
オプション12から16のいずれか1つに記載の方法。
18.バクテリオシン及びシグナル分子の望ましい比率が、標的の微生物細胞の遺伝的浮動をコントロールするため、及び産生細胞の成長又は産生を刺激するために選択される、オプション12から16のいずれか1つに記載の方法。
19.望ましい比率が、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、2:3、2:5、2:7、2:9、3:4、3:5、3:7、3:8、3:10、4:5、4:7、4:9、5:6、5:7、5:8、5:9、6:7、7:8、7:9、7:10、8:9又は9:10の第1のバクテリオシンと第2のバクテリオシンの比率を含み、第1のバクテリオシンが、第2のバクテリオシンと異なる、オプション10から18のいずれか1つに記載の方法。
20.切断部位が、エンドペプチダーゼなどの、野生型、バリアント又は合成切断酵素のためのものである、オプション1から18のいずれか1つに記載の方法。
21.切断部位が、Arg-Cプロテイナーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ、BNPS-スカトール、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、キモトリプシン-高特異性、クロストリパイン(クロストリジオペプチダーゼB)、CNBr、エンテロキナーゼ、第Xa因子、ギ酸、グルタミルエンドペプチダーゼ、グランザイムB、ヒドロキシルアミン、ヨードソ安息香酸、LysC、好中球エラスターゼ、NTCB(2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸)、ペプシン(pH1.3)、ペプシン(pH>2)、プロリン-エンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、ブドウ球菌ペプチダーゼI、サーモリシン、トロンビン又はトリプシンからなる群から選択される切断酵素のためのものである、オプション1から20のいずれか1つに記載の方法。
22.切断部位が、単一の切断酵素のためのものであり、切断酵素が、バクテリオシン内を切断しない、オプション1から21のいずれか1つに記載の方法。
23.少なくとも1つの切断部位が、第1の切断酵素のためのものであり、別の切断部位が、第2の切断酵素のためのものであり、第1の切断酵素も第2の切断酵素もバクテリオシン内を切断しない、オプション1から22のいずれか1つに記載の方法。
24.組成物が、シグナル分子をさらに含み、ヌクレオチドが、
単一のリーディングフレーム中にシグナル分子のためのコード配列;並びに
シグナル分子及びバクテリオシンのコード配列の間に配置された、切断部位の配列をさらに含む、オプション1から23のいずれか1つに記載の方法。
25.シグナル分子が、クオラムセンシング分子、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン及びサイトカインからなる群から選択され、シグナル分子が、野生型、変異体又は合成物であり得る、オプション1から2又は4から24のいずれか1つに記載の方法。
26.プロポリペプチドが、約2000以下のアミノ酸の長さを有する、オプション1から25のいずれか1つに記載の方法。
27.2つのバクテリオシン及び切断部位の間に配置された2つのバクテリオシン及び切断部位を含む第2のプロポリペプチドをコードする第2の核酸を発現させることをさらに含み、第2のプロポリペプチドが、第1のプロポリペプチドと異なる、オプション1から26のいずれか1つに記載の方法。
28.プロポリペプチドの切断が、切断部位によって含まれるペプチドリンカーの物理的処理を含み、ペプチドリンカーが、化学物質感受性又はpH感受性である、オプション2から19又は24から27のいずれか1つに記載の方法。
29.バクテリオシンを化学的に修飾することをさらに含む、オプション1から28のいずれか1つに記載の方法。
30.バクテリオシンが、共翻訳的に化学的に修飾される、オプション29に記載の方法。
31.切断の後にバクテリオシンを化学的に修飾することをさらに含む、オプション2から30のいずれか1つに記載の方法。
32.単一のリーディングフレーム中の、バクテリオシンのコード配列、及びバクテリオシン又はシグナル分子である第2のポリペプチドのコード配列;並びに
バクテリオシンのコード配列の間で、単一のリーディングフレーム中に配置された切断部位のコード配列
を含む、単離された核酸。
33.第2のポリペプチドが、バクテリオシンである、オプション32に記載の単離された核酸。
34.第2のポリペプチドが、シグナル分子である、オプション32に記載の単離された核酸。
35.切断部位のコード配列が、切断酵素のための切断部位をコードし、バクテリオシンのコード配列が、切断酵素のための切断部位を含まない、オプション32から34のいずれか1つに記載の単離された核酸。
35.核酸が、単一のリーディングフレーム中に3つのバクテリオシンのコード配列を含む、オプション32から35のいずれか1つに記載の単離された核酸。
36.核酸が、単一のリーディングフレーム中に少なくとも5、10、15又は20のバクテリオシンの配列を含む、オプション32から35のいずれか1つに記載の単離された核酸。
37.切断部位のコード配列が、任意の2つの隣接するバクテリオシン及び/又はシグナル分子のコード配列の間のフレームに配置される、オプション32から36のいずれか1つに記載の単離された核酸。
38.少なくとも2つのバクテリオシン配列が、互いに異なるバクテリオシンをコードする、オプション32から36のいずれか1つに記載の単離された核酸。
39.3つのバクテリオシン配列が、望ましい比率、又は一部の望ましい比率で存在する、オプション35に記載の単離された核酸。
40.望ましい比率が、望ましくない微生物体又は望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択される、オプション39に記載の単離された核酸。
41.バクテリオシンの望ましい比率が、動物、ヒトの臓器、植物の根又は土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される、オプション39に記載の単離された核酸。
42.切断部位が、エンドペプチダーゼなどの、野生型、バリアント又は合成切断酵素のためのものである、オプション32から41のいずれか1つに記載の単離された核酸。
43.切断部位が、Arg-Cプロテイナーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ、BNPS-スカトール、カスパーゼ1、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ4、カスパーゼ5、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、カスパーゼ10、キモトリプシン-高特異性、クロストリパイン(クロストリジオペプチダーゼB)、CNBr、エンテロキナーゼ、第Xa因子、ギ酸、グルタミルエンドペプチダーゼ、グランザイムB、ヒドロキシルアミン、ヨードソ安息香酸、LysC、好中球エラスターゼ、NTCB(2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸)、ペプシン(pH1.3)、ペプシン(pH>2)、プロリン-エンドペプチダーゼ、プロテイナーゼK、ブドウ球菌ペプチダーゼI、サーモリシン、トロンビン又はトリプシンからなる群から選択される切断酵素のためのものである、オプション32から42のいずれか1つに記載の単離された核酸。
44.第1の切断部位をコードする第1の切断部位のコード配列が、第1の切断酵素のためのものであり、第2の切断部位のコード配列が、第1の切断酵素と異なる第2の切断酵素のための切断部位をコードし、バクテリオシンが、第1又は第2の切断酵素のいずれかのための切断部位を含まない、オプション42から43のいずれか1つに記載の単離された核酸。
45.切断部位が、pH又は化学物質感受性リンカーを含む、オプション32から41のいずれか1つに記載の単離された核酸。
46.単離された核酸が、単一のリーディングフレーム中にシグナル分子のためのコード配列をさらに含み、切断部位のコード配列が、シグナル分子のためのコード配列及び隣接するバクテリオシンのコード配列の間に配置される、オプション32、33又は35から44のいずれか1つに記載の単離された核酸。
47.シグナル分子が、クオラムセンシング分子、シグナル変換受容体リガンド、成長因子、ホルモン及びサイトカインからなる群から選択され、シグナル分子が、野生型、変異体又は合成物であり得る、オプション32又は24から46のいずれか1つに記載の単離された核酸。
48.オプション32から47のいずれか1つに記載の単離された核酸と作動可能に連結されたプロモーターを含む微生物細胞であって、単離された微生物細胞が、単離された核酸によってコードされるバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない、微生物細胞。
49.細胞が、単離された核酸によってコードされる任意のバクテリオシンのための機能性免疫モジュレーターを産生しない、オプション48に記載の微生物細胞。
50.2つのバクテリオシン、及び/又はバクテリオシン及びシグナル分子;
バクテリオシンの間、及び/又はバクテリオシン及びシグナル分子の間に配置された切断部位;並びに
アフィニティータグ
を含む、単離されたプロポリペプチド。
51.プロポリペプチドが、2つのバクテリオシンを含む、オプション50に記載の単離されたプロポリペプチド。
52.プロポリペプチドが、バクテリオシン及びシグナル分子を含む、オプション50に記載の単離されたプロポリペプチド。
53.プロポリペプチドが、3つのバクテリオシンを含む、オプション50から52のいずれか1つに記載の単離されたプロポリペプチド。
54.プロポリペプチドが、少なくとも5、10、15又は20のバクテリオシンを含む、オプション50から52のいずれか1つに記載の単離されたプロポリペプチド。
55.プロポリペプチドが、シグナル分子を含む、オプション50、51、53又は54のいずれか1つに記載の単離されたプロポリペプチド。
56.切断部位が、切断酵素のためのものであり、バクテリオシンのコード配列が、切断酵素のための切断部位を含まない、オプション50から55のいずれか1つに記載の単離されたプロポリペプチド。
57.切断部位が、第1の切断酵素のためのものであり、別の切断部位が、第1の切断酵素と異なる第2の切断酵素のためのものであり、バクテリオシンが、第1又は第2の切断酵素のいずれかのための切断部位を含まない、オプション50から55のいずれか1つに記載の単離されたプロポリペプチド。
58.共翻訳修飾又は翻訳後修飾をさらに含む、オプション50から57のいずれか1つに記載の単離されたプロポリペプチド。
59.微生物細胞又は微生物細胞の集団を標的にするために選択された比率で2つ以上のバクテリオシンを含む組成物であって、
それぞれのバクテリオシンが、そのN末端、C末端又はN末端及びC末端に、切断された切断配列の一部を含み、バクテリオシンのN、C又はN及びC末端での切断配列の一部が、同一又は異なる切断酵素の切断部位のためのものである、組成物。
60.少なくともいくつかのバクテリオシンが、タグをさらに含む、オプション59に記載の組成物。
61.タグが、アフィニティータグ、シグナル配列又は安定性タグからなる群から選択される、オプション60に記載の組成物。
62.望ましい比率のシグナル分子をバクテリオシンとともにさらに含み、シグナル分子が、そのN末端、C末端又はN末端及びC末端に、切断された切断配列の一部を含み、シグナル分子のN、C又はN及びC末端での切断配列の一部が、同一又は異なる切断酵素の切断部位のためのものである、オプション59から61のいずれか1つに記載の組成物。
63.バクテリオシンの比率が、望ましくない微生物体又は望ましくない微生物体の集団を標的にするために選択される、オプション59から62のいずれか1つに記載の組成物。
64.バクテリオシンの比率が、動物、ヒトの臓器、植物の根又は土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つために選択される、オプション59から63のいずれか1つに記載の組成物。
65.組成物が、ヒト対象への局所又は経口投与のために製剤化される、オプション64に記載の組成物。
66.組成物が、動物、ヒトの臓器、植物の根又は土壌のマイクロバイオームの集団のバランスを保つための使用のために製剤化される、オプション64又は65に記載の組成物。
67.バクテリオシン及び/又は抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するための方法であって、
2つ以上の異なるバクテリオシン及び/又は抗菌ペプチドを含むように混合物を選択すること;
バクテリオシン又は抗菌ペプチドをそれぞれコードする別個のコード基質を含むマイクロ流体デバイスにおいて、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて規定の混合物の抗菌ペプチド又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質を設置すること;
別個のコード基質をインビトロの転写/翻訳溶液とともにインキュベートし、それによって、別個のコード基質によってコードされる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生じさせること;並びに
マイクロ流体デバイス中で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを混合し、それによって、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成すること
を含む、方法。
68.抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物のサブセットをそれぞれ含む2つ以上のサブ混合物を生成すること;並びに
サブ混合物を組み合わせて、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成すること
をさらに含む、オプション67に記載の方法。
69.選択が、規定の混合物の2つ以上の異なる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの化学量論を選択することをさらに含む、オプション67又は68に記載の方法。
70.抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が、既定の化学量論を含み、サブ混合物を組み合わせることにより規定の化学量論がもたらされる、オプション68から69のいずれか1つに記載の方法。
71.別個のコード基質が、別々のチャンバー内に含まれる、オプション67から70のいずれか1つに記載の方法。
72.別個のコード基質が、そこに固定化された核酸を含む、オプション67から71のいずれか1つに記載の方法。
73.規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質が、インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置される、オプション67から72のいずれか1つに記載の方法。
74.インビトロの転写/翻訳溶液との別個のコード基質のインキュベートが、それぞれのチャンバーにインビトロの転写/翻訳溶液を流すことを含む、オプション67から73のいずれか1つに記載の方法。
75.インビトロの転写/翻訳溶液が、インビトロの転写試薬及び/又はインビトロの翻訳試薬を含む、オプション67から74のいずれか1つに記載の方法。
76.インビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させた規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質の設置が、(i)別個のコード基質と流体連通させてインビトロの転写/翻訳溶液の供給源を設置するように、バルブを開放すること;(ii)インビトロの転写/翻訳溶液及び他の別個のコード基質の供給源の間の流体連通を阻害するように、バルブを閉鎖すること、又は(i)及び(ii)の組み合わせを含む、オプション67から75のいずれか1つに記載の方法。
77.マイクロ流体デバイス中での抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合が、流体リザーバーと流体連通させて別個のコード基質を設置するバルブを開放することを含み、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンが、流体リザーバー中で混合される、オプション67から76のいずれか1つに記載の方法。
78.望ましい効果についてインサイチュで抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物をスクリーニングすることをさらに含む、オプション67から77のいずれか1つに記載の方法。
79.スクリーニングが、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける病原性微生物体の成長又は複製の阻害についてである、オプション78に記載の方法。
80.スクリーニングが、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物の有害効果の非存在についてである、オプション78に記載の方法。
81.前記スクリーニングが、リアルタイムで行われる、オプション78に記載の方法。
82.スクリーニングが、微生物バイオフィルムの破壊のための抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの安定化についてである、オプション78に記載の方法。
83.1つ又は複数の別個のコード基質が、抗プロテアーゼ活性を有する補助タンパク質をコードする、オプション82に記載の方法。
84.スクリーニングが、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける非病原性微生物体の成長又は複製の増強についてである、オプション78に記載の方法。
85.1つ又は複数の別個のコード基質が、非病原性微生物体を誘引するか、又は対象のマイクロバイオーム中で非病原性微生物体の増殖若しくは複製を増強する、補助タンパク質をコードする、オプション84に記載の方法。
86.チューブ又は膜を介して創傷に抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を送達し、それによって、創傷を洗浄又はドレッシングすることをさらに含む、オプション67から85のいずれか1つに記載の方法。
87.抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのマイクロ流体デバイスであって、
抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質;
インビトロの転写/翻訳溶液;
流体リザーバー;並びに
別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流体通路にそれぞれ配置されたバルブを含み、それぞれのバルブが、別個のコード基質及び流体リザーバーの間の流れを制御するように構成され、デバイスが、
抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物に基づいて、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質を、流体リザーバーと流体連通させて設置するようにバルブを構成し;
規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質とのインビトロの転写/翻訳溶液のインキュベーションを可能にし、それによって、規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンが生成し;
バルブを通して流体リザーバーへの抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの流れを可能にし
流体リザーバー中で流体の流れをコントロールし、流れが、流体リザーバー中での抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの動きを含み、それによって、流体リザーバー中で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成する
ように構成されたプロセッサとデータ通信させて設置されるように構成された、マイクロ流体デバイス。
88.抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのサブセットをそれぞれ含む2つ以上のサブ混合物を含み;
プロセッサが、流体リザーバーへのそれぞれのサブ混合物の流れを可能にするように構成され、それによって、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が生成される、オプション87に記載のマイクロ流体デバイス。
89.抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が、既定の化学量論の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンのサブセットの総和を含み、サブ混合物の組み合わせが、規定の化学量論を生み出す、オプション88に記載のマイクロ流体デバイス。
90.別個のコード基質が、別々のチャンバー内に含まれる、オプション87から89のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
91.別個のコード基質が、そこに固定化された核酸を含む、オプション87から90のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
92.別個のコード基質が、チップ、ビーズ、ナノ粒子、ウェル、膜、マトリックス、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖及び常磁性化合物からなる群から選択される、材料又は製品を含む、オプション91に記載のマイクロ流体デバイス。
93.インビトロの転写/翻訳溶液が、インビトロの転写試薬及び/又はインビトロの翻訳試薬を含む、オプション87から92のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
94.デバイスが、携帯型である、オプション87から93のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
95.1つ又は複数の別個のコード基質が、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの安定化のためのタンパク質、抗プロテアーゼ活性を有するタンパク質、若しくは微生物バイオフィルムの破壊のためのタンパク質を含む補助タンパク質をコードする、オプション87から94のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
96.1つ又は複数の別個のコード基質が、非病原性微生物体を誘引するか、或いは皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などの対象のマイクロバイオームにおける非病原性微生物体の成長又は複製を増強する、補助タンパク質をコードする、オプション87から95のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
97.流体リザーバーが、対象の組織と流体連通させて設置されるように構成される、オプション87から96のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
98.組織が、皮膚、腸、消化管、乳腺、胎盤、組織、生物流体、精液、子宮、腟、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜若しくは胆管などのマイクロバイオームを含む、オプション97に記載のマイクロ流体デバイス。
99.流体リザーバーが、対象の創傷と流体連通させて設置されるように構成される、オプション87から98のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
100.流体リザーバーがマイクロバイオーム若しくは創傷と流体連通しているチューブ又は膜などの流体の通り道をさらに含み、ここを通って、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物が、マイクロバイオーム又は創傷に送達される能力がある、オプション97から99のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
101.それぞれの別個のコード基質が、異なる抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする、オプション87から100のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
102.別個のコード基質が、オプション32から49のいずれかに記載の単離された核酸を含む、オプション87から102のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
103.別個のコード基質が、オプション50から58のいずれか1つに記載の単離されたプロポリペプチドをコードする、オプション87から102のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
104.プロセッサをさらに含む、オプション87から103のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
105.オプション87から104のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス、並びに
抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物に基づいて、混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードするが、他の別個のコード基質をコードしない別個のコード基質を、流体リザーバーと流体連通させて設置するようにバルブを構成し;
規定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをコードする別個のコード基質とのインビトロの転写/翻訳溶液のインキュベーションを可能にし、それによって、既定の混合物の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンを生成し;
バルブを通して流体リザーバーへの抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの流れを可能にし;
流体リザーバー中で流体の流れをコントロールし、流れが、流体リザーバー中での抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの動きを含み、それによって、流体リザーバー中で抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成する
ように構成されたプロセッサ
を含むシステム。
106.マイクロ流体デバイスが、カートリッジに含まれ(又はカートリッジであり)、システムが、プロセッサとデータ通信させてカートリッジを設置するための連結を含む、オプション105に記載のシステム。
107.インビトロの転写/翻訳溶液のリザーバーをさらに含む、オプション105又は106のいずれか1つに記載のシステム。
108.抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのマイクロ流体デバイスであって、
抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンをそれぞれコードする別個のコード基質;
別個のコード基質に連結された流体通路にそれぞれ配置されたバルブを含み、それぞれのバルブが、別個のコード基質への流れ、又は別個のコード基質からの流れを制御するように構成され、デバイスが、流体リザーバー又はインビトロの転写/翻訳溶液と流体連通させて設置されるように構成される、マイクロ流体デバイス。
109.流体リザーバー又はインビトロの転写/翻訳溶液をさらに含む、オプション108に記載のマイクロ流体デバイス。
110.望ましい効果が、抗菌活性を含む、オプション78に記載の方法。
111.微生物の感染に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の異なる混合物をスクリーニングすることをさらに含む、オプション110に記載の方法。
112.対象に、化学抗生剤及び/又はファージ抗生剤と組み合わせて、既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物を送達することをさらに含む、オプション67から86のいずれか1つに記載の方法。
113.インビトロの転写/翻訳溶液が、凍結乾燥され、インビトロの転写/翻訳溶液に水を添加することをさらに含む、オプション67から86のいずれか1つに記載の方法。
114.既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物と混合するように構成された化学又はファージ抗生剤のリザーバーをさらに含む、オプション87から104のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
115.化学抗生剤及び/又はファージを含む抗生剤をさらに含む、オプション87から104のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
116.インビトロの転写/翻訳溶液が、凍結乾燥される、オプション87から104のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
117.既定の抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンの混合物と混合するように構成された化学又はファージ抗生剤のリザーバーをさらに含む、オプション105から107のいずれか1つに記載のシステム。
118.化学抗生剤及び/又はファージを含む抗生剤をさらに含む、オプション105から107のいずれか1つに記載のシステム。
119.インビトロの転写/翻訳溶液が、凍結乾燥される、オプション107に記載のシステム。
120.方法が、バクテリオシンを含まない抗菌ペプチドの規定の混合物を作製するためのものである、オプション67から86及び110から113のいずれか1つに記載のシステム。
121.方法が、抗菌ペプチドを含まないバクテリオシンの規定の混合物を作製するためのものである、オプション67から86及び110から113のいずれか1つに記載のシステム。
122.方法が、バクテリオシン及び抗菌ペプチドの規定の混合物を作製するためのものである、オプション67から86及び110から113のいずれか1つに記載のシステム。
123.デバイスが、抗菌ペプチドを含まないバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものである、オプション87から104、108、109及び114から116のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
124.デバイスが、バクテリオシンを含まない抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである、オプション87から104、108、109及び114から116のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
125.デバイスが、抗菌ペプチド及びバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものである、オプション87から104、108、109及び114から116のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
126.システムが、抗菌ペプチドを含まないバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものである、オプション105から107及び117から119のいずれか1つに記載のシステム。
127.システムが、バクテリオシンを含まない抗菌ペプチドの規定の混合物を生成するためのものである、オプション105から107及び117から119のいずれか1つに記載のシステム。
128.システムが、抗菌ペプチド及びバクテリオシンの規定の混合物を生成するためのものである、オプション105から107及び117から119のいずれか1つに記載のシステム。
【0213】
[0187] 本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態において、実施形態において使用される1つ又は複数の要素は、そのような置き換えが技術的に実行可能ではない場合を除き、別の実施形態において互換可能に使用することができる。当業者には、特許請求の範囲にかかる主題の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及び構造に対して、各種の他の省略、追加及び修正を行ってもよいことが理解されるであろう。このようなすべての修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内であることが意図される。
【0214】
[0188] 本明細書における実質的に任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は適用に適するように、複数形から単数形に、及び/又は単数形から複数形に、言い換えることができる。各種の単数形/複数形の並べ替えは、明確にするために、本明細書において明示的に示される場合がある。
【0215】
[0189] 一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、「オープン」な用語(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、これに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも、有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、これに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)として一般に意図されることが当業者に理解されるであろう。さらに、当業者には、導入された特許請求の範囲の具体的な数の記述が意図される場合、このような意図は、特許請求の範囲において明示的に記述され、このような記述がない場合には、このような意図が存在しないことが理解されるであろう。例えば、理解の助けとして、以下に添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記述を導入するための「少なくとも1つ(at least one)」及び「1つ又は複数(one or more)」という導入句の使用を含む場合がある。しかしながら、このような語句の使用は、同じ特許請求の範囲が「1つ又は複数(one or more)」又は「少なくとも1つ(at least one)」という導入句、及び「a」若しくは「an」などの不定冠詞を含む場合でさえ、「a」若しくは「an」という不定冠詞による特許請求の範囲の記述の導入が、このように導入された特許請求の範囲の記述を含む、あらゆる特定の特許請求の範囲を、1つのこのような記述のみを含む実施形態に限定するという意味を含むように解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ(at least one)」又は「1つ又は複数(one or more)」を意味するとして解釈されるべきである);特許請求の範囲の記述を導入するために使用される定冠詞の使用についても同様に当てはまる。加えて、導入された特許請求の範囲の記述の特定の数が明示的に記述される場合であっても、当業者は、そのような記述が、少なくとも記述された数を意味するように解釈されるべきであることを認識するだろう(例えば、「2つの記述」のそのままの記述は、他の修飾がない場合には、少なくとも2つの記述、又は2つ以上の記述を意味する)。さらにまた、「A、B及びCなどの少なくとも1つ(at least one of A, B, and C, etc.)」に類似した規則が使用されるこれらの例において、一般に、このような解釈は、当業者がこの規則を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、及び/又はA、B及びCを一緒になどを、有するシステムを含むが、これらに限定されないであろう)。「A、B又はCなどの少なくとも1つ(at least one of A, B, or C, etc.)」に類似した規則が使用されるこれらの例において、一般に、このような解釈は、当業者がこの規則を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B又はCの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、及び/又はA、B及びCを一緒になどを、有するシステムを含むが、これらに限定されないであろう)。当業者には、2つ以上の代替の用語を提示する実質的に任意の離接語及び/又は句は、明細書、特許請求の範囲又は図面においてであっても、この用語の1つ、この用語のいずれか、又はその両方の用語を含む可能性を考慮することが理解されるべきであることが、さらに理解されるであろう。例えば、「A又はB(A or B)」という語句は、「A」、「B」又は「A及びB(A and B)」の可能性を含むことが理解されるであろう。
【0216】
[0190] 加えて、本開示の特徴又は態様が、マーカッシュ群の観点で記載される場合、当業者は、この開示も、それによって、このマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又は下位群のメンバーの観点で記載されることを、理解するであろう。
【0217】
[0191] 当業者によって理解されるように、明細書を提供する観点などのありとあらゆる目的のために、本明細書において開示されるすべての範囲は、ありとあらゆる可能な部分的な範囲及びその部分的な範囲の組み合わせも包含する。任意に列挙される範囲は、同じ範囲が、少なくとも半等分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを、十分に記載し、かつ可能にするものとして、容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書において議論されるそれぞれの範囲は、下位3分の1、中位3分の1及び上位3分の1などに容易に分解することができる。また当業者によって理解されるように、「最大で、まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「を超える(greater than)」、「未満(less than)」などのようなすべての語は、記述される数を含み、続いて、本明細書において議論されるような部分的な範囲に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、それぞれの個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3つの物品を有する群は、1、2又は3個の物品を有する群を指す。同様に、1~5個の物品を有する群は、1、2、3、4又は5個の物品を有する群などを指す。
【0218】
[0192] 各種の態様及び実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態は、当業者に明らかであろう。本明細書に開示の各種の態様及び実施形態は、説明の目的のためであって、限定することを意図するものではなく、真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲に示される。
【配列表】