IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 北京京東方光電科技有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図1
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図2
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図3
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図4
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図5
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図6
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図7a
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図7b
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図8
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図9
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図10
  • 特許-外骨格リハビリ支援装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】外骨格リハビリ支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/54 20060101AFI20230831BHJP
   A61F 2/50 20060101ALI20230831BHJP
   A61F 2/60 20060101ALI20230831BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61F2/54
A61F2/50
A61F2/60
B25J11/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020536632
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2019073702
(87)【国際公開番号】W WO2019184589
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】201810272761.0
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】シュエ バンツァン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ イェンジュン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103465253(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102793595(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0252254(US,A1)
【文献】特開2012-239818(JP,A)
【文献】韓国登録特許第1694369(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0296418(US,A1)
【文献】中国実用新案第204450526(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0346156(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0214524(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/54
A61F 2/50
A61F 2/60
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背部横梁、長さ調節可能な背部支持板、及び背部支持板に取り付けられた肩部空気圧筋肉部材を含む背部構造と、
腕部構造と、
前記腕部構造を前記背部構造の上端に接続する肩関節組立体と、
腰部構造と、
2つの大腿部構造及び股関節組立体であって、2つの前記大腿部構造はそれぞれ、前記股関節組立体によって前記腰部構造に接続されている、2つの大腿部構造及び股関節組立体と、を備える外骨格リハビリ支援装置であって、
前記背部支持板は、上端が前記背部横梁に固定接続され、下端が前記腰部構造に固定接続され、前記肩関節組立体は、弧状の肩関節接続板、肩部牽引輪、肩部牽引ワイヤ、第1のヒンジ機構、及び第2のヒンジ機構を含み、前記肩関節接続板の一端は、前記第1のヒンジ機構によって前記腕部構造の上端に接続されて、肩関節の屈曲-伸展回転対を形成し、前記肩関節接続板の他端は、前記第2のヒンジ機構によって前記背部横梁に接続されて、肩関節の外転-内転回転対と内旋-外旋回転対を形成し、さらに前記肩部牽引輪は、前記腕部構造の上端に固定されており、前記肩部牽引ワイヤは、一端が前記肩部牽引輪に接続され、他端が前記肩部空気圧筋肉部材に接続され、
前記腰部構造は、前記背部支持板の下端に固定接続された腰部横板、及び前記大腿部構造に取り付けられた腰部空気圧筋肉部材を含み、
前記股関節組立体は、前記腰部横板に固定接続された腰部接続板、ヒンジ軸、前記腰部接続板に固定された第1の案内輪、前記大腿部構造に固定された第2の案内輪、及び腰部牽引ワイヤを含み、前記ヒンジ軸は、前記腰部接続板を前記大腿部構造に接続して股関節の屈曲-伸展回転対を形成し、前記腰部牽引ワイヤは、一端が第2の案内輪と第1の案内輪に亘るように延在して前記腰部接続板に固定され、他端が前記腰部空気圧筋肉部材に接続されている、外骨格リハビリ支援装置。
【請求項2】
前記大腿部構造は、前記腰部空気圧筋肉部材を取り付けるための腰部空気圧筋肉支持枠が設けられた大腿板と、大腿部ベルトを接続するためのベルト接続溝が設けられた大腿補強枠とを含む、請求項1に記載の外骨格リハビリ支援装置。
【請求項3】
前記腕部構造は、2つであり、各々の前記腕部構造は、上腕組立体、肘関節部材、前腕組立体、手首関節部材、及び手部組立体を含み、前記上腕組立体の上端は前記第1のヒンジ機構によって前記肩関節接続板に接続され、前記上腕組立体の下端は前記肘関節部材によって前記前腕組立体に接続されて、肘関節の屈曲-伸展回転対を形成し、前記前腕組立体は前記手首関節部材によって前記手部組立体に接続されて、手首関節の屈曲-伸展回転対を形成する、請求項1に記載の外骨格リハビリ支援装置。
【請求項4】
各々の前記上腕組立体は、外側上腕板、内側上腕板、及びそれらを互いに固定接続する上腕補強枠を含み、各々の前記前腕組立体は、外側前腕板、内側前腕板、及びそれらを互いに固定接続する前腕補強枠を含み、前記手部組立体は、内側支持板、外側支持板、及びそれらを互いに固定接続する手部補強枠を含み、前記外側上腕板と前記内側上腕板には、いずれも第1の肘部空気圧筋肉支持枠が設けられ、前記外側前腕板と前記内側前腕板には、いずれも第2の肘部空気圧筋肉支持枠及び第1の手首部空気圧筋肉支持枠が設けられ、前記内側支持板と外側支持板には、いずれも第2の手首部空気圧筋肉支持枠が設けられ、前記第1の肘部空気圧筋肉支持枠と前記第2の肘部空気圧筋肉支持枠には、前記肘関節を枢動させるように連動するための肘部空気圧筋肉部材が取り付けられ、前記第1の手首部空気圧筋肉支持枠と前記第2の手首部空気圧筋肉支持枠には、前記手首関節を枢動させるように連動するための手首部空気圧筋肉部材が取り付けられる、請求項3に記載の外骨格リハビリ支援装置。
【請求項5】
さらに、上腕ベルト、前腕ベルト、及び手部ベルトを備え、
前記外側上腕板と前記内側上腕板には、それぞれ前記上腕ベルトを接続するための上腕ベルト接続溝が設けられ、前記外側前腕板と前記内側前腕板には、それぞれ前記前腕ベルトを接続するための前腕ベルト接続溝が設けられ、前記内側支持板と前記外側支持板には、それぞれ前記手部ベルトを接続するための手部ベルト接続溝が設けられ、前記内側支持板と前記外側支持板には、それぞれ重量物の吊り下げに適した溝が設けられている、請求項4に記載の外骨格リハビリ支援装置。
【請求項6】
前記背部横梁の両端には、それぞれ接続シュートが設けられており、
前記第2のヒンジ機構は、ヒンジ軸とヒンジベースを含み、前記ヒンジベースは、一端が円筒状であり、他端が前記肩関節接続板を受け入れるのに適した溝部を有するように構成され、前記溝部の両側壁には、開孔が設けられており、前記肩関節接続板は、前記ヒンジ軸と前記開孔との嵌合によって前記ヒンジベースに接続されて、肩関節の外転-内転回転対を形成し、前記ヒンジベースの円筒状端部は、前記接続シュートに回転可能に収納され、位置決めボルトによって、前記ヒンジベースが前記接続シュート内で直線的に移動することを阻止するように位置決めされて、肩関節の内旋-外旋回転対を形成する、請求項1-5のいずれか1項に記載の外骨格リハビリ支援装置。
【請求項7】
さらに、前記肩部牽引ワイヤを案内するための肩部牽引ワイヤ案内管を備える、請求項6に記載の外骨格リハビリ支援装置。
【請求項8】
前記背部横梁の両端には、それぞれ接続シュートが設けられており、
前記第2のヒンジ機構は、ヒンジ軸とヒンジベースを含み、前記ヒンジベースは、一端が円筒状であり、他端が前記肩関節接続板を受け入れるのに適した溝部を有するように構成され、前記溝部の両側壁には、開孔が設けられており、前記肩関節接続板は、前記ヒンジ軸と前記開孔との嵌合によって前記ヒンジベースに接続されて、肩関節の外転-内転回転対を形成し、前記ヒンジベースの円筒状端部は、前記接続シュートに回転可能に収納され、位置決めボルトによって、前記ヒンジベースが前記接続シュート内で直線的に移動することを阻止するように位置決めされて、肩関節の内旋-外旋回転対を形成し、
前記腰部接続板には、前記腰部牽引ワイヤを固定するための腰部牽引ワイヤ固定部材が設けられている、請求項1または2に記載の外骨格リハビリ支援装置。
【請求項9】
前記背部構造は、2つの背部支持板を含み、各々の前記背部支持板は、相対的にスライド可能な第1のセクションと第2のセクションとを有し、前記背部支持板の長さ、ひいては腰部の位置が調節可能となり、また、前記第1のセクションと前記第2のセクションには、それぞれ位置決めスライド溝が設けられ、前記第1のセクションと前記第2のセクションは、前記位置決めスライド溝とロックボルトとの嵌合によって固定可能である、請求項1に記載の外骨格リハビリ支援装置。
【請求項10】
制御システム及び請求項1-9のいずれか1項に記載の外骨格リハビリ支援装置を具備する外骨格リハビリ支援システムであって、
前記制御システムは、ガスジェネレータと、コントローラと、空気圧減圧弁と、肩部空気圧筋肉部材、腰部空気圧筋肉部材、肘部空気圧筋肉部材および手首部空気圧筋肉部材にそれぞれ接続された電磁弁群と、前記コントローラと前記電磁弁群との間に配置された駆動回路基板とを含み、前記コントローラは、前記ガスジェネレータからのガスを減圧するように前記空気圧減圧弁を制御し、前記電磁弁群の信号入力端は、前記コントローラからの予め設定された制御指令を受信するための前記駆動回路基板に接続される、外骨格リハビリ支援システム。
【請求項11】
請求項1-9のいずれか1項に記載の外骨格リハビリ支援装置に用いる制御方法であって、
前記外骨格リハビリ支援装置は、空気圧筋肉制御システムを含み、前記空気圧筋肉制御システムは、ガスジェネレータ、コントローラ、空気圧減圧弁、左半部分岐路、右半部分岐路、及び駆動回路基板を有し、前記コントローラは、前記空気圧減圧弁と前記駆動回路基板にそれぞれ接続され、前記駆動回路基板は、前記左半部分岐路と前記右半部分岐路にそれぞれ接続され、前記駆動回路基板は、前記コントローラと電磁弁群との間に配置され、
前記左半部分岐路と前記右半部分岐路の各々は、前記電磁弁群、及びそれぞれ前記電磁弁群に接続された肩部空気圧筋肉部材、腰部空気圧筋肉部材、肘部空気圧筋肉部材、手首部空気圧筋肉部材を含み、
前記制御方法は、
前記空気圧筋肉制御システムが、前記コントローラにより、前記ガスジェネレータからのガスを減圧するように前記空気圧減圧弁を制御するステップと、
前記コントローラからの制御指令に基づいて、前記電磁弁群を制御して、前記肩部空気圧筋肉部材、前記腰部空気圧筋肉部材、前記肘部空気圧筋肉部材及び前記手首部空気圧筋肉部材の充気及び放気を制御するステップと、有する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、生体模倣機械の技術分野に関し、特に空気圧筋肉駆動による外骨格リハビリ支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、介護者による高齢者や患者の搬送時に、彼らに肢体支援を提供し、双方の安全を確保した上で、介護者の肉体労働強度を大きく軽減し、介護者がより手軽に、効率よく働くことができるような、外骨格支援装置の開発が社会的に求められている。また、筋肉機能が退化した高齢者にとって、外骨格支援装置は、日常的生活のセルフサービスの遂行に寄与することができる。さらに、腕の損傷を抱える患者の場合、日常のリハビリトレーニングを自分で完成し、身体機能を速やかに回復させるためにも、外骨格支援装置が不可欠である。
【0003】
外骨格リハビリ支援装置とは、センシング、制御、情報取得、モバイルコンピューティングなどの技術を統合し、装着者の制御下で一定の機能やタスクを遂行させることができる典型的なマンマシン一体化システムである。従来の外骨格の多くは、従来のモータ、油圧シリンダ、空気圧シリンダなどを採用して駆動されるが、このような従来の駆動方式は、高コスト、低電力対質量比、油漏れし易く、低順応性などの不具合を有して、外骨格製品全体の重量が大きく、軽便性、柔軟性の要件を満たさないほか、高価で、幅広い使用に適合しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、構造が簡単、高安全性、及び高順応性などの利点を有する外骨格リハビリ支援装置を提供することを目的とする。
【0005】
上述した目的を達成するため、本開示に係る外骨格リハビリ支援装置は、背部横梁、長さ調節可能な背部支持板、及び背部支持板に取り付けられた肩部空気圧筋肉部材を含む背部構造と、腕部構造と、前記腕部構造を前記背部構造の上端に接続する肩関節組立体と、腰部構造とを備え、前記背部支持板は、上端が前記背部横梁に固定接続され、下端が前記腰部構造に固定接続され、前記肩関節組立体は、弧状の肩関節接続板、肩部牽引輪、肩部牽引ワイヤ、第1のヒンジ機構、及び第2のヒンジ機構を含み、前記肩関節接続板の一端は、前記第1のヒンジ機構によって前記腕部構造の上端に接続されて、肩関節の屈曲-伸展回転対を形成し、前記肩関節接続板の他端は、当該第2のヒンジ機構によって前記背部横梁に接続されて、肩関節の外転-内転回転対と内旋-外旋回転対を形成し、さらに前記肩部牽引輪は、前記腕部構造の上端に固定されており、前記肩部牽引ワイヤは、一端が前記肩部牽引輪に接続され、他端が前記肩部空気圧筋肉部材に接続される。
【0006】
本開示の一実施例において、さらに、2つの大腿部構造及び股関節組立体を備え、前記2つの大腿部構造は、それぞれ前記股関節組立体によって前記腰部構造に接続され、前記腰部構造は、前記背部支持板の下端に固定接続された腰部横板、及び前記大腿部構造に取り付けられた腰部空気圧筋肉部材を含み、前記股関節組立体は、前記腰部横板に固定接続された腰部接続板、ヒンジ軸、及び前記腰部接続板に固定された第1の案内輪、大腿部構造に固定された第2の案内輪、及び腰部牽引ワイヤを含み、前記ヒンジ軸は、前記腰部接続板を前記大腿部構造に接続して股関節の屈曲-伸展回転対を形成し、前記腰部牽引ワイヤは、一端が第2の案内輪と第1の案内輪を通って延在して前記腰部接続板に固定され、他端が前記腰部空気圧筋肉部材に接続される。
【0007】
本開示の一実施例において、前記大腿部構造は、前記腰部空気圧筋肉部材を取り付けるための腰部空気圧筋肉支持枠が設けられた大腿板と、大腿部ベルトを接続するためのベルト接続溝が設けられた大腿補強枠とを含む。
【0008】
本開示の一実施例において、前記腕部構造は、2つであり、各々の前記腕部構造は、上腕組立体、肘関節部材、前腕組立体、手首関節部材、及び手部組立体を含み、前記上腕組立体の上端は前記第1のヒンジ機構によって前記肩関節接続板に接続され、前記上腕組立体の下端は前記肘関節部材によって前記前腕組立体に接続されて、肘関節の屈曲-伸展回転対を形成し、前記前腕組立体は前記手首関節部材によって前記手部組立体に接続されて、手首関節の屈曲-伸展回転対を形成する。
【0009】
本開示の一実施例において、各々の前記上腕組立体は、外側上腕板、内側上腕板、及びそれらを互いに固定接続する上腕補強枠を含み、各々の前記前腕組立体は、外側前腕板、内側前腕板、及びそれらを互いに固定接続する前腕補強枠を含み、前記手部組立体は、内側支持板、外側支持板、及びそれらを互いに固定接続する手部補強枠を含み、前記外側上腕板と前記内側上腕板には、いずれも第1の肘部空気圧筋肉支持枠が設けられ、前記外側前腕板と前記内側前腕板には、いずれも第2の肘部空気圧筋肉支持枠及び第1の手首部空気圧筋肉支持枠が設けられ、前記内側支持板と前記外側支持板には、いずれも第2の手首部空気圧筋肉支持枠が設けられ、前記第1の肘部空気圧筋肉支持枠と前記第2の肘部空気圧筋肉支持枠には、前記肘関節を枢動させるように連動するための肘部空気圧筋肉部材が取り付けられ、前記第1の手首部空気圧筋肉支持枠と前記第2の手首部空気圧筋肉支持枠には、前記手首関節を枢動させるように連動するための手首部空気圧筋肉部材が取り付けられる。
【0010】
本開示の一実施例において、さらに、上腕ベルト、前腕ベルト、及び手部ベルトを備え、前記外側上腕板と前記内側上腕板には、それぞれ前記上腕ベルトを接続するための上腕ベルト接続溝が設けられ、前記外側前腕板と前記内側前腕板には、それぞれ前記前腕ベルトを接続するための前腕ベルト接続溝が設けられ、前記内側支持板と前記外側支持板には、それぞれ前記手部ベルトを接続するための手部ベルト接続溝が設けられ、前記内側支持板と前記外側支持板には、さらに、それぞれ重量物の吊り下げに適した溝が設けられている。
【0011】
本開示の一実施例において、前記背部横梁の両端には、それぞれ接続シュートが設けられており、前記第2のヒンジ機構は、ヒンジ軸とヒンジベースとを含み、前記ヒンジベースは、一端が円筒状であり、他端が前記肩関節接続板を受け入れるのに適した溝部を有するように構成され、前記溝部の両側壁には開孔が設けられており、前記肩関節接続板は、前記ヒンジ軸と前記開孔との嵌合によって前記ヒンジベースに接続されて、肩関節の外転-内転回転対を形成し、前記ヒンジベースの円筒状端部は、前記接続シュート内に回転可能に収納され、且つ位置決めボルトによって、前記ヒンジベースが前記接続シュート内で直線的に移動することを阻止するように位置決めされて、肩関節の内旋-外旋回転対を形成する。
【0012】
本開示の一実施例において、前記外骨格リハビリ支援装置は、さらに、前記肩部牽引ワイヤを案内するための肩部牽引ワイヤ案内管をさらに備える。
本開示の一実施例において、前記背部横梁の両端には、それぞれ接続シュートが設けられており、前記第2のヒンジ機構は、ヒンジ軸とヒンジベースとを含み、前記ヒンジベースは、一端が円筒状であり、他端が前記肩関節接続板を受け入れるのに適した溝部を有するように構成され、前記溝部の両側壁には開孔が設けられており、前記肩関節接続板は、前記ヒンジ軸と前記開孔との嵌合によって前記ヒンジベースに接続されて、肩関節の外転-内転回転対を形成し;前記ヒンジベースの円筒状端部は、前記接続シュート内に回転可能に収納され、且つ位置決めボルトによって、前記ヒンジベースが前記接続シュート内で直線的に移動することを阻止するように位置決めされて、肩関節の内旋-外旋回転対を形成し、前記腰部接続板には、前記腰部牽引ワイヤを固定するための腰部牽引ワイヤ固定部材が設けられている。
【0013】
好ましくは、前記背部構造は、2つの背部支持板を含み、各々の前記背部支持板は、相対的にスライド可能な第1のセクションと第2のセクションとを有し、前記背部支持板の長さ、ひいては腰部の位置が調節可能とし、また、前記第1のセクションと前記第2のセクションには、それぞれ位置決めスライド溝が設けられ、前記第1のセクションと前記第2のセクションは、前記位置決めスライド溝とロックボルトとの嵌合によって固定可能である。
【0014】
本開示は、さらに、制御システム及び上述した外骨格リハビリ支援装置を具備する外骨格リハビリ支援システムを提供する。前記制御システムは、ガスジェネレータと、コントローラと、空気圧減圧弁と、肩部空気圧筋肉部材、腰部空気圧筋肉部材、肘部空気圧筋肉部材および手首部空気圧筋肉部材にそれぞれ接続された電磁弁群と、前記コントローラと前記電磁弁群との間に配置された駆動回路基板とを含み、前記コントローラは、前記ガスジェネレータからのガスを減圧するように前記空気圧減圧弁を制御し、前記電磁弁群の信号入力端は、前記コントローラからの予め設定された制御指令を受信するための前記駆動回路基板に接続される。
【0015】
本開示は、さらに、上述した外骨格リハビリ支援装置に用いる制御方法を提供する。前記制御方法は、コントローラにより、ガスジェネレータからのガスを減圧するように空気圧減圧弁を制御するステップと、コントローラからの制御指令に基づいて、肩部空気圧筋肉部材、腰部空気圧筋肉部材、肘部空気圧筋肉部材及び手首部空気圧筋肉部材にそれぞれ接続された電磁弁群を制御して、前記肩部空気圧筋肉部材、前記腰部空気圧筋肉部材、前記肘部空気圧筋肉部材及び前記手首部空気圧筋肉部材に対する充気及び放気を制御するステップと、を有する。
【0016】
本開示に係る外骨格リハビリ支援装置は、合計12の自由度を有し、その内、肩関節の両方は、それぞれ屈曲-伸展、外転-内転、内旋-外旋との3つ自由度を有し、肘関節と手首関節は、それぞれ1つの屈曲-伸展自由度を有し、背部構造は、腰部位置を調節するように上下にスライド可能であり、腰部構造は、2つの同じ構造の股関節を含み、いずれも1つの回転自由度を有するため、着用者の前屈み及び直立動作に追従する外骨格リハビリ支援スーツを実現することができる。本開示は、構造が簡単で、電力密度比が高く、安全性に優れ、順応性が高いなどの利点を有し、着用者が重量物を持ち上げる際の身体機能の力を大幅に向上させることができ、リハビリ医療、ホームサービス、災害救援、及び資材運搬などの分野に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施例を説明する。
【0018】
図1】本開示の一実施例に係る外骨格リハビリ支援装置の全体構造を示す図である。
図2図1の外骨格リハビリ支援装置の上部構造を示す図である。
図3図1の外骨格リハビリ支援装置の背部構造を示す図である。
図4図1の外骨格リハビリ支援装置の腰部構造及び大腿部構造を示す図である。
図5図1の外骨格リハビリ支援装置の大腿部構造を示す図である。
図6図1の外骨格リハビリ支援装置の外側上腕の部分構造を示す図である。
図7a図1の外骨格リハビリ支援装置の背部横梁の構造を示す図である。
図7b図1の外骨格リハビリ支援装置の背部横梁の構造を示す図である。
図8】本開示の肩関節組立体のヒンジベースの構造を示す図である。
図9】本開示の肩関節組立体の肩部牽引輪の構造を示す図である。
図10】空気圧筋肉部材の構造を示す図である。
図11】本開示の空気圧筋肉制御システムの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の例示的な実施例を詳細に説明する。以下に記載され、図面に示される例示的な実施例は、本開示の原理を教示して、当業者が若干の異なる環境、及び若干の異なる用途において、本開示を実施及び適用可能にすることを意図している。
【0020】
本開示を説明する前に、空気圧筋肉部材の技術的原理を説明する。図10は、本開示に用いる空気圧筋肉部材の概略構造図を示している。空気圧筋肉部材とは、ゴム管Dを主体とする新型アクチュエータであり、ゴム管の外側にはPET製の編組メッシュCが被せられている。ゴム管Dの両端は、それぞれ、その両端に位置する塞栓に套設され、一端の塞栓Fには通気孔が設けられておらず、ゴム管を完全に塞いでガスの漏れを防止し、他端の塞栓E内部には、空気圧筋肉部材の内部を充気又は放気するための通気孔が設けられている。また、接着テープを両端の塞栓E、Fの内凹部に2~3ターン巻き付けて、ゴム管と編組メッシュとを塞栓の内凹部で緊密に接着させることを主として意図する。編組メッシュCの高圧下での外れを防止するように、両端の塞栓の内凹部の縁辺に銅線Aを1ターン巻き付け、そして編組メッシュCを折り返し、銅線を編組メッシュCの端部の折り返しに配置させ、折り返した編組メッシュが塞栓の尾部の位置まで延伸し、フープBで塞栓E、Fの内凹部をしっかりと締め付け、空気圧筋肉部材のガス漏れを防止する一方、内部の高圧状態で、空気圧筋肉部材の崩壊を防止する。塞栓EとFの設計は非常に柔軟であり、接続方法の必要に応じて、異なる接続形式を適宜採用可能である。
【0021】
ゴム管Dは、一定の靱性と弾性を有し、充気・放気状態で膨張・収縮可能程度の靱性と弾性を有し、耐疲労性に優れることが要求され、編組メッシュCは、非常に高い非延性を有し、強度と靭性に優れるが、引張変形がないことが要求される。塞栓EとFの材質は、緻密性が非常に高い硬性非金属材料であってもよいし、高強度で低密度の金属材料であってもよく、フープBは、通常に使用されるステンレス製のフープ材であってもよいし、自力設計の強度の高いアルミニウム合金部材であってもよい。
【0022】
空気圧筋肉部材は、生体筋肉の収縮を模倣できる新型アクチュエータであり、柔軟性が高く、軽量で、使いやすく、応答速度が速く、低コストなどの利点があるため、種々の生体模倣機械などの駆動分野に幅広く適用されている。
【0023】
従来のモータ、油圧シリンダ、空気圧シリンダ等の剛性アクチュエータに比べて、空気圧筋肉部材は、高電力対質量比、優れた順応性と安全性、軽量化、柔軟性などの利点を有するほか、材料が入手し易く、製造し易く、低コストである。従って、空気圧筋肉部材で外骨格リハビリ支援装置を駆動すると、比較的大きな駆動力を保証した上で、軽便性、順応性、安全性が良好で、さらにコストも大幅に削減でき、幅広い使用に適する。
【0024】
空気圧筋肉部材は、内部を充気する過程において、径方向に膨張すると共に、軸方向に収縮するので、その軸方向収縮で生じる軸方向の駆動力によって外部負荷を駆動し得る。また、空気圧筋肉部材は、内部圧力の増大に伴い剛性が大きくなり、内部圧力の低下に伴い剛性が小さくなる。このような空気圧筋肉部材の特性から、新型のリニアアクチュエータとして利用可能である。従来の油圧シリンダ、空気圧シリンダ、モータ等のアクチュエータに比べて、非常に軽量化され、駆動ストロークの必要に応じて、空気圧筋肉部材自体の収縮率に合わせて空気圧筋肉部材の長さを設計することができ、その結果、オーバーストロークによる危険を回避することができ、コストが大分安くなり、そして最も重要なのは、空気圧筋肉部材が優れた順応性と安全性を有し、リハビリ医療分野で広く適用することができる。
【0025】
以下、本開示の一実施例に係る外骨格リハビリ支援装置に合わせて、本開示を重点的に説明する。
【0026】
図1に示すように、一実施例において、外骨格リハビリ支援装置は、例えば、2つの腕部構造1、背部構造2、腰部構造3、及び2つの同じ大腿部構造4を備える。各々の腕部構造1は肩関節組立体によって背部構造2に接続され、且つ肘関節と手首関節を有する。各々の腕部構造1は5つの自由度を有する。各々の肩関節組立体は屈曲-伸展、外転-内転、内旋-外旋との3つの自由度を有する。肘関節と手首関節は、それぞれ屈曲-伸展との1つの自由度を有する。そして、各々の大腿部構造4は、股関節組立体によって腰部構造3に接続され、屈曲-伸展との1つの自由度を有する。従って、外骨格リハビリ支援装置は全体として、12の自由度を有する。
【0027】
図2及び図3は、それぞれ上述した実施例の外骨格リハビリ支援装置の上部構造及び背部構造を示す図である。図から分かるように、各々の腕部構造1は、上腕組立体11、肘関節部材12、前腕組立体13、手首関節部材14及び手部組立体15を含む。背部構造2は、背部横梁21及び2つの背部支持板22を含む。背部横梁21には、2つの第1の肩部空気圧筋肉支持枠211が設けられている。各々の背部支持板22は、一端が背部横梁21に固定接続され、他端には1つの第2の肩部空気圧筋肉支持枠220が設けられている。各々の背部支持板22には、一端が第1の肩部空気圧筋肉支持枠211に固定接続され、他端が第2の肩部空気圧筋肉支持枠220に固定接続され、肩関節を枢動させるように連動するための1つの肩部空気圧筋肉部材5が取り付けられている。当業者であれば、ここでの背部支持板及び肩部空気圧筋肉部材の数は、単なる例示であると理解されるだろう。必要に応じて、他の適切な数は、設定可能である。
【0028】
好ましくは、背部支持板22の長さは、腰部構造の位置を調節するように調節可能である。より具体的には、図3に示すように、各々の背部支持板22は、相対的にスライド可能な第1のセクション221と第2のセクション222とを有する。例えば、第1のセクションは第2のセクション内にスライド可能に収容され、且つ、第1のセクション221と第2のセクション222には、いずれも位置決めスライド溝が設けられる。第1のセクションと第2のセクションとは、相対的なスライドを防止するため、位置決めスライド溝とロックボルトとの嵌合によってロックされ得る。腰部構造の位置を調節する必要がある時、ロックボルトを解除し、第1のセクションと第2のセクションとを相対的に所望の位置にスライドさせて背部支持板の長さを調節することができる。
【0029】
図7aおよび図7bは、それぞれ、異なる角度から見た背部横梁の構造を示す図である。図から分かるように、背部横梁21には、背部ベルト接続溝212、背部支持板位置決め孔213、接続シュート214及び位置決め溝215がさらに設けられている。前記背部ベルト接続溝212は、着用者の背中と接続するための背部ベルト(図示せず)との接続に用いられる。
【0030】
さらに、より具体的に、図6に示すように、右腕を例に挙げると、各々の上腕組立体11は、外側上腕板111、内側上腕板112、及びそれらを互いに固定接続するための上腕補強枠113を含み、且つ、外側上腕板111及び内側上腕板112には、上腕ベルト(図示せず)を接続して着用者の人体の上腕に接続するための上腕ベルト接続溝114が設けられている。さらに、外側上腕板111と内側上腕板112には、いずれも第1の肘部空気圧筋肉支持枠115が設けられている。
【0031】
さらに、各々の前腕組立体13は、外側前腕板131、内側前腕板132、及びそれらを互いに固定接続するための前腕補強枠133を含み、且つ外側前腕板131及び内側前腕板132には、前腕ベルト(図示せず)と接続して着用者の人体の前腕と接続するための前腕ベルト接続溝134が設けられている。さらに、外側前腕板131と内側前腕板132には、いずれも第2の肘部空気圧筋肉支持枠135及び第1の手首部空気圧筋肉支持枠136が設けられている。
【0032】
さらに、各々の手部組立体15は、外側支持板151、内側支持板152、及びそれらを互いに固定接続する手首部補強枠153を含み、且つ外側支持板151及び内側支持板152には、手首部ベルト(図示せず)と接続して着用者の人体の手首部と接続するための手首部ベルト接続溝154が設けられている。また、内側支持板と外側支持板には、いずれも第2の手首部空気圧筋肉支持枠155と、重量物の吊り下げに適した溝156とが設けられている。
【0033】
ここで、肘部空気圧筋肉部材6は、肘関節を枢動させるように連動するためのものであり、一端が第1の肘部空気圧筋肉支持枠115に固定接続され、他端が第2の肘部空気圧筋肉支持枠135に固定接続されている。手首部空気圧筋肉部材7は、手首関節を枢動させるように連動するためのものであり、一端が第1の手首部空気圧筋肉支持枠136に固定接続され、他端が第2の手首部空気圧筋肉支持枠155に固定接続されている。
【0034】
本実施例において、肩関節組立体は、弧状の肩関節接続板8、肩部牽引輪9、肩部牽引ワイヤ10、第1のヒンジ機構及び第2のヒンジ機構を含む。ここで、第1のヒンジ機構は、ヒンジ軸81であり、第2のヒンジ機構は、ヒンジ軸82と、背部横梁21の接続シュート214に回動可能に収容されるヒンジベース83(図8参照)とを含み、前記ヒンジベースは、一端が円筒状であり、他端が前記肩関節接続板8を受け入れるのに適した溝部84を有するように構成され、前記溝部の両側壁には、開孔85が設けられている。前記肩関節接続板8の一端は、ヒンジ軸82と開孔85との嵌合によって前記ヒンジベース83に枢動接続されて、肩関節の外転-内転回転対を形成し、前記肩関節接続板8の他端は、ヒンジ軸81によって上腕組立体11の外側上腕板111に枢動接続されて、肩関節の屈曲-伸展回転対を形成する。
【0035】
好ましくは、背部横梁21に接続シュート214を設け、必要に応じて、接続シュート内でヒンジベース83の位置を左右移動させることにより肩部の幅を調節することができる。ヒンジベースの位置を固定する必要がある場合、位置決めボルトと位置決め溝215との嵌合により、ヒンジベース83を接続シュート214内で回転可能だが直線移動不能に位置決めさせて、肩部の幅を固定する。さらに、ヒンジベース83は接続シュート214内で回転可能だが前記接続シュート214に沿って直線移動不能であるため、肩関節の内旋-外旋回転対を形成するようになる。
【0036】
図9に示すように、肩部牽引輪9は、中心に接続軸90を一体に有し、さらに肩部牽引輪9の外周面には、固定孔91が設けられている。肩部牽引輪9は、接続軸90と外側上腕板111の接続孔との嵌合によって、前記外側上腕板に固定されており、肩部牽引ワイヤ10は、一端が固定孔91によって前記肩部牽引輪9に接続され、他端が肩部空気圧筋肉部材5に接続されている。図3に示すように、肩部牽引ワイヤ10を案内するための肩部牽引ワイヤ案内管101がさらに設けられることが好ましく、肩部牽引ワイヤ10は一部が肩部牽引輪に巻き付けられても良い。本実施例において、肩部牽引ワイヤ案内管101は、自転車のブレーキワイヤのスリーブと同様であり、一定の剛性と一定の可撓性とを有し、良好に案内できるだけでなく、肩関節の動きを阻害することがない。人体の腕が自然に垂れ下がる時、肩部空気圧筋肉部材5は張力のない状態に保たれ、肩部空気圧筋肉部材5が充気されて収縮すると、肩部牽引ワイヤ10が肩部牽引輪9を連動回転させ、上腕11を枢動させるように連動する。
【0037】
図4及び図5に示すように、腰部構造3は、背部支持板22の下端に固定接続された腰部横板31と、腰部空気圧筋肉部材32とを含む。大腿部構造4は、腰部空気圧筋肉部材32を取り付けるための腰部空気圧筋肉支持枠43が設けられた大腿板41と、大腿部ベルト(図示せず)と接続して着用者の大腿と接続するためのベルト接続溝44が設けられた大腿補強枠42とを含む。股関節組立体は、腰部横板31に固定接続された腰部接続板38、ヒンジ軸34、腰部接続板38に固定された第1の案内輪35、大腿部構造4に固定された第2の案内輪36、及び腰部牽引ワイヤ37を含み、前記ヒンジ軸34は、前記腰部接続板38を大腿板41に枢動接続させて股関節の屈曲-伸展回転対を形成する。腰部接続板38には、さらに腰部牽引ワイヤ固定部材39が設けられており、腰部牽引ワイヤ37は、一端が第2の案内輪36及び第1の案内輪35に亘るように延在して、腰部接続板38の腰部牽引ワイヤ固定部材39に固定され、他端が腰部空気圧筋肉部材32に接続されている。
【0038】
2つの同じ構造の股関節は、いずれも1つの回転自由度を有し、外骨格リハビリ補助スーツが着用者の前屈み及び直立運動に追従することを可能にする。着用者の腰部が直立する時、腰部空気圧筋肉部材32が最短位置まで収縮し、腰部牽引ワイヤ37をプリテンションを持たせて取り付ける。着用者の腰部が屈む過程中に、腰部空気圧筋肉部材32を放気して、股関節を人体の腰部と共に回転させて屈み動作を実現し、人体が直立する過程中に、腰部空気圧筋肉部材32を充気して股関節を回転連動させ、人体の腰部に対する支援を完成させる。
【0039】
図1に示すように、本開示の外骨格リハビリ支援装置は、バイオニクスの原理に基づいて設計された左右対称の構造であり、便宜上、現在は、右半部を例に外骨格リハビリ支援装置に適用する空気圧筋肉部材制御システムを説明する。
【0040】
図11に示すように、空気圧筋肉制御システムは、ガスジェネレータ1a、コントローラ1b、空気圧減圧弁1c、左半部分岐路L、右半部分岐路R、及び駆動回路基板1eを有する。ガスジェネレータ1aは、空気圧減圧弁1cを介して左半部分岐路Lと右半部分岐路Rにそれぞれ接続され、コントローラ1bは、空気圧減圧弁1cと駆動回路基板1eにそれぞれ接続され、駆動回路基板1eも、左半部分岐路Lと右半部分岐路Rにそれぞれ接続されている。ここで、左半部分岐路と右半部分岐路は同じ構造であるため、右半部分岐路のみについて説明する。右半部分岐路は、電磁弁群1d、及びそれぞれ前記電磁弁群に接続された肩部空気圧筋肉部材5、腰部空気圧筋肉部材32、肘部空気圧筋肉部材6、手首部空気圧筋肉部材7を含む。駆動回路基板1eは、コントローラと電磁弁群との間に配置され、前記コントローラは、前記ガスジェネレータからのガスを減圧するように前記空気圧減圧弁を制御し、前記電磁弁群の信号入力端は、前記コントローラからの予め設定された制御指令を受信するための前記駆動回路基板に接続される。
【0041】
ガスジェネレータ1aは、ガスボンベに貯蔵されるような十分な量のガスを発生することができる。ガスジェネレータは、ガスの最高圧力値を設定し、自動的に始動・停止して、ガスを補充することができる。ガスはガスジェネレータから供給され、空気圧減圧弁1cによって空気圧筋肉部材に入る最高空気圧を制御する。通常の場合、ガスジェネレータからのガスの圧力値は、作動圧力値よりも高いため、空気圧減圧弁によって減圧処理を行う必要がある。減圧されたガスは、空気圧減圧弁1cから流出して電磁弁群1dに流入し、電磁弁群からのガスは、ガス配管を介して対応する空気圧筋肉部材におけるエアジョイントに接続される。電磁弁群の内部において、対応する各々の空気圧筋肉部材は、2つの二位置二方弁であるサブ電磁弁の協働により、空気圧筋肉部材の充気、放気及び保持の3状態を制御させてもよいし、1つの三位置三方弁であるサブ電磁弁により、空気圧筋肉部材の充気、放気及び保持の3状態を単独で制御させてもよい。右半部分岐路には、手首部空気圧筋肉部材7、肘部空気圧筋肉部材6、肩部空気圧筋肉部材5、腰部空気圧筋肉部材32がある。手首部空気圧筋肉部材にとっては、コントローラが充気指令を発信した後、電磁弁群の手首部空気圧筋肉部材に対応する分岐路の給気口が開放され、ガスがガス配管を介して手首部空気圧筋肉部材の内部に流入する。そして、手首が所定の屈曲角度値に達した後、コントローラが電源の遮断指令を発信する。この時、電磁弁群の手首部空気圧筋肉部材に対応する分岐路が全て閉塞され、手首部空気圧筋肉部材の内部のガスは、手首部空気圧筋肉部材の内部に閉じ込められて原位置のままとなり、コントローラが放気指令を発信する時、電磁弁群の手首部空気圧筋肉部材7に対応する排気口が開放され、手首部空気圧筋肉部材7の内部の気体が放出され、空気圧筋肉部材が初期状態に戻る。肘部空気圧筋肉部材、肩部空気圧筋肉部材及び腰部空気圧筋肉部材の動作原理は同じであり、また、左半部の原理は右半部と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0042】
着用者が本開示に係る外骨格リハビリ支援装置を着用する時、人体の肩部には可撓性の背部ベルトが装着され、背部構造と着用者の背部とが柔軟に接続され、上腕組立体11、前腕組立体13、及び手部組立体15が、それぞれの対応するベルトによって着用者の腕と柔軟に接続され、人体の腕が外骨格リハビリ支援装置内に置かれ、大腿部構造4は、大腿補強枠42及び大腿部ベルトによって着用者の両脚に柔軟に接続される。着用者が重量物を持ち上げる時、手首部空気圧筋肉部材7、肘部空気圧筋肉部材6、肩部空気圧筋肉部材5を充気し、各々の空気圧筋肉部材が充気されて収縮する。その結果、手首部空気圧筋肉部材7は手首関節を連動回転させ、肘部空気圧筋肉部材6は肘関節を連動回転させ、肩部空気圧筋肉部材5は、肩部牽引輪に巻き付けられる肩部牽引ワイヤを介して、上腕組立体11を連動回転させる。この時、前腕補強枠が着用者の前腕に密着し、上腕補強枠が着用者の上腕に密着して、腕を上方に連動移動させ、重量物を持ち上げる過程を完成させる。着用者が重量物を持ち降ろす必要がある時、各々の空気圧筋肉部材が放気され、外骨格リハビリ支援装置によって補助される両腕は、重量物の重力の作用下で下方へ移動し、重量物を降ろす過程を完成させる。このように、動作過程では、充気及び放気の速度を調節することによって腕の移動速度が変化される。着用者が重量物を持ち上げる過程に腰部が屈む時、腰部空気圧筋肉部材32が放気され、外骨格リハビリ支援スーツの股関節を人体腰部の屈みに追従して回転させる。そして、着用者の腰部が直立する時、腰部空気圧筋肉部材32が充気され、外骨格リハビリ支援スーツの股関節を連動回転させて、人体の背部を動かすように連動し、着用者の腰部に対する支援を実現する。動作過程中に、外骨格リハビリ支援装置の力点は、着用者の両肩部と脚部に集中するため、人体の腕の筋肉と腰の筋肉が負担する力を、人体の骨格が負担するように変換する。
【0043】
本開示は、筋肉損傷のある人、又は筋肉能力が衰弱している高齢者を支援するだけでなく、腕の損傷や腰の損傷を抱える患者の日常的なリハビリ訓練の遂行に寄与し、身体機能を迅速に回復させ得る。
【0044】
なお、上記の説明は、単なる例示的なものであり、当業者は、上記の説明に基づいて本開示の実施例に対して様々な変更及び変形を行うことができるが、これらの変更及び変形は、本開示の保護範囲内のものである。
【0045】
この出願は、2018年3月29日に出願された出願番号が201810272761.0である中国特許出願を基礎出願とする優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本出願に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11