(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】内輪と外輪とセンサとを含む軸受、およびかかる軸受を含むシステム
(51)【国際特許分類】
F16C 41/00 20060101AFI20230831BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
F16C41/00
F16C19/06
(21)【出願番号】P 2020539133
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2017074824
(87)【国際公開番号】W WO2019063095
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520108822
【氏名又は名称】ヘラ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲーアーアー
【氏名又は名称原語表記】HELLA GMBH & CO.KGAA
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】オーベルマン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ザイフェルト,マルク
(72)【発明者】
【氏名】バルトシュト,マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,ホルスト
(72)【発明者】
【氏名】アレンツ,フェレーナ
(72)【発明者】
【氏名】シャミン,アレクサンダー
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-010083(JP,A)
【文献】特開2003-120701(JP,A)
【文献】特開2006-023172(JP,A)
【文献】特開2007-139075(JP,A)
【文献】特開2007-211840(JP,A)
【文献】米国特許第05898388(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 41/00
F16C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内輪(2)と、該内輪(2)に対して回転可能な外輪(4)と、前記内輪(2)に対する前記外輪(4)の回転に対応する測定変数を検出するためのセンサ(6)とを備える軸受であって、該センサ(6)がステータ(6.1)とロータ(6.2)とを含む、軸受において、
前記センサ(6)は、誘導センサ(6)として構築され、および
前記ステータ(6.1)が前記外輪(4)に接続されかつ前記ロータ(6.2)が前記内輪(2)に接続され、
前記内輪(2)および前記外輪(4)は、前記外輪(4)に対して前記内輪(2)を支えるための軸受領域(10)と、前記誘導センサ(6)を支持するためのセンサ領域(12)とを形成し、前記センサ領域(12)の空間的寸法は、前記内輪(2)および前記外輪(4)によって規定され、
前記内輪(2)および前記外輪(4)は、それぞれ肩部(2.1,4.1)を有し、
前記軸受の前記軸受領域(10)および前記センサ領域(12)は、前記内輪(2)および前記外輪(4)の各肩部(2.1,4.1)によって分けられており、
スペーサ(8)が、前記ステータ(6.1)と、前記ステータ(6.1)が接続されている前記外輪(4)との間に配設されており、
前記スペーサ(8)は、前記肩部(4.1)と前記誘導センサ(6)の前記ステータ(6.1)との間の規定距離を保つために、前記外輪(4)の前記肩部(4.1)に隣接して位置付けられ、
前記誘導センサ(6)の前記ロータ(6.2)は、前記内輪(2)の肩部(2.1)に隣接して配設され、
前記誘導センサ(6)の前記ステータ(6.1)および前記ロータ(6.2)は、前記スペーサ(8)によって互いに規定距離で配設されており、前記スペーサ(8)は、リング(8)のように構築されており、
前記ステータ(6.1)が支持部(6.1.1)、電子機器(6.1.2)および鋳造化合物(6.1.3)を備えており、前記電子機器(6.1.2)が、前記支持部(6.1.1)によって支持され、そして前記鋳造化合物(6.1.3)によって少なくとも部分的に覆われており、前記支持部(6.1.1)が前記鋳造化合物(6.1.3)の規定領域を形成するためのカラー部(6.1.1.1)を備えており、前記電子機器(6.1.2)およ
び前記鋳造化合物(6.1.3)は、前記スペーサ(8)の介在なしで前記カラー部(6.1.1.1)と前記外輪(4)との間に配設されていることを特徴とする軸受。
【請求項2】
内輪(2)と、該内輪(2)に対して回転可能な外輪(4)と、前記内輪(2)に対する前記外輪(4)の回転に対応する測定変数を検出するためのセンサ(6)とを備える軸受であって、該センサ(6)がステータ(6.1)とロータ(6.2)とを含む、軸受において、
前記センサ(6)は、誘導センサ(6)として構築され、および
前記ステータ(6.1)が前記外輪(4)に接続されかつ前記ロータ(6.2)が前記内輪(2)に接続され、
前記内輪(2)および前記外輪(4)は、前記外輪(4)に対して前記内輪(2)を支えるための軸受領域(10)と、前記誘導センサ(6)を支持するためのセンサ領域(12)とを形成し、前記センサ領域(12)の空間的寸法は、前記内輪(2)および前記外輪(4)によって規定され、
前記内輪(2)および前記外輪(4)は、それぞれ肩部(2.1,4.1)を有し、
前記軸受の前記軸受領域(10)および前記センサ領域(12)は、前記内輪(2)および前記外輪(4)の各肩部(2.1,4.1)によって分けられており、
スペーサ(8)が、前記ステータ(6.1)と、前記ステータ(6.1)が接続されている前記外輪(4)との間に配設されており、
前記スペーサ(8)は、前記肩部(4.1)と前記誘導センサ(6)の前記ステータ(6.1)との間の規定距離を保つために、前記外輪(4)の前記肩部(4.1)に隣接して位置付けられ、
前記誘導センサ(6)の前記ロータ(6.2)は、前記内輪(2)の肩部(2.1)に隣接して配設され、
前記誘導センサ(6)の前記ステータ(6.1)および前記ロータ(6.2)は、前記スペーサ(8)によって互いに規定距離で配設されており、
前記ステータ(6.1)が支持部(6.1.1)、電子機器(6.1.2)および鋳造化合物(6.1.3)を備えており、前記電子機器(6.1.2)が、前記支持部(6.1.1)によって支持され、そして前記鋳造化合物(6.1.3)によって少なくとも部分的に覆われており、前記スペーサ(8)が前記鋳造化合物(6.1.3)の規定領域を形成するためのスリーブ(8)のように構築されており、前記スペーサ(8)は、前記ステータ(6.1)および前記ロータ(6.2)の間に規定距離をもたらすために肩部(8.1)を備えており、前記ステータ(6.2)の前記支持部(6.1.1)は、前記スリーブ(8)の前記肩部(8.1)に接触していることを特徴とする軸受。
【請求項3】
前記誘導センサ(6)は、アブソリュート誘導センサ(6)として構築されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の軸受。
【請求項4】
前記センサ領域(12)および前記誘導センサ(6)は、前記誘導センサ(6)の前記ステータ(6.1)および前記ロータ(6.2)が前記センサ領域(12)に完全に受けられるように構築および配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の軸受。
【請求項5】
前記内輪(2)および前記外輪(4)は、前記軸受の中心軸(14)に対して半径方向に配設されており、互いに対応する前記誘導センサ(6)の前記ステータ(6.1)および前記ロータ(6.2)の電磁結合要素(6.2)は、前記軸受の前記中心軸(14)に対して実質的に垂直に配設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の軸受。
【請求項6】
前記軸受は、前記誘導センサが前記軸受の周囲に対して封止されるように構築および配設されている封止材を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の軸受。
【請求項7】
ハウジングと、該ハウジングに対して回転可能な回転部と、請求項1~6のいずれか1項に記載の軸受とを備えており、
前記外輪(4)が前記ハウジングに接続され、かつ前記内輪(2)が前記回転部に接続されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記誘導センサが、前記軸受の周囲に対して
封止されるように構築および配設されている
封止材を備えていることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および2の前提部分に係る軸受、および請求項7の前提部分に係るシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような軸受およびシステムは、既に異なる実施形態で知られている。
【0003】
欧州特許出願公開第2644921号明細書から、耐トルク部と、該耐トルク部に対して回転可能な回転部と、内輪および外輪を含む軸受とを備え、前記外輪が前記耐トルク部にトルクに耐えるように接続され、前記内輪が前記回転部にトルクに耐えるように接続されているシステムが知られている。前記公知のシステムの前記軸受は、前記内輪と、該内輪に対して回転可能な外輪と、前記内輪に対する前記外輪の回転に対応する測定変数を検出するためのセンサとを備え、前記センサがステータおよびロータを備えている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、よりコンパクトに設計された、システムおよび軸受を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1および2に係る軸受によって解決され、前記センサが誘導センサとして構築され、および前記ステータが前記内輪にトルクに耐えるように接続され、かつ前記ロータが前記外輪にトルクに耐えるように接続される、または、前記ステータが前記外輪にトルクに耐えるように接続されており、かつ前記ロータが前記内輪および請求項7に記載のシステムにトルクに耐えるように接続されている。
【0006】
本発明に係る、軸受およびシステムの主な利点は、前記軸受および前記システムをさらにコンパクトに設計することが可能であることである。前記ステータを前記内輪にトルクに耐えるように接続し、かつ前記ロータを前記外輪にトルクに耐えるように接続する、または、前記ステータを前記外輪にトルクに耐えるように接続し、かつ前記ロータを前記内輪にトルクに耐えるように接続するので、本発明の設計は、既知の設計よりもはるかに一体的である。さらに、本発明の軸受、および本発明のシステムの取扱いおよび製造は改善される。
【0007】
基本的に、前記誘導センサは、任意の、有用で適用可能な種類、材料、寸法、および配設のものであってよい。前記誘導センサは、回転速度を検出するために、または軸の回転数を計数するために、インクリメンタル型誘導センサ、たとえばインクリメンタル角度センサであってよい。有利には、前記誘導センサは、アブソリュート誘導センサとして構築される。このようにして、軸の回転速度または回転数などを測定するだけでなく、前記軸受の前記外輪に対する前記内輪の特定の位置を測定することが可能である。さらに、前記誘導センサがアブソリュート誘導センサである場合、前記内輪を前記外輪に対して回転させることなく、前記軸受の前記外輪に対する前記内輪の特定の位置を測定することが可能である。アブソリュート誘導センサを使用すると、測定変数の高解像度測定も可能である。
【0008】
本発明に係る軸受のさらなる有利な発展は、前記内輪および前記外輪が、前記外輪に対して前記内輪を支えるための軸受領域、および前記誘導センサを支持するためのセンサ領域を形成し、前記センサ領域は、前記内輪および前記外輪によって規定されることである。これによって、一方の側で前記外輪に対して前記内輪を支え、他方の側で前記誘導センサを支持するための、明確に規定された領域が構築される。したがって、前記軸受領域および前記センサ領域の両方の領域は、特定の用途のために設計することができる。
【0009】
上述の実施形態の有利な発展は、前記センサ領域および前記誘導センサが、前記誘導センサの前記ステータおよび前記ロータが前記センサ領域に完全に受けられるように構築および配設されることである。このようにして、前記誘導センサおよび前記軸受の取扱いおよび製造がさらに改善される。
【0010】
本発明に係る軸受のさらなる有利な発展は、前記内輪および前記外輪が、前記軸受の中心軸に対して半径方向に配設され、互いに対応する前記誘導センサの前記ステータおよび前記ロータの電磁結合要素が、前記軸受の前記中心軸に対して実質的に垂直に配設されることである。これによって、本発明の軸受は、一方の側では非常にコンパクトであり、他方の側では、前記誘導センサの前記ステータおよび前記ロータのための十分な空間がある。
【0011】
本発明に係る軸受の別の有利な発展は、スペーサが、前記ステータと、該ステータがトルクに耐えるように接続された、前記内輪または前記外輪との間に配設されることである。したがって、前記スペーサは、前記ステータが前記内輪または前記外輪のどちらに接続されるかに応じて、前記ステータと前記内輪との間、または前記ステータと前記外輪との間に配設される。このようにして、前記誘導センサの前記ステータと前記ロータとの間に正しい距離を確立することが非常に容易である。
【0012】
一般に、上述の実施形態に係る前記スペーサは、任意の、有用で適用可能な、種類、設計、材料、寸法、および配設のものであってよい。有利には、前記スペーサは、リングが標準ユニットであり、多くの様々な設計および材料で入手可能であるので、リングのように構築されている。
【0013】
上述の実施形態とは対照的に、スペーサを備える本発明に係る軸受の別の好ましい実施形態は、前記ステータが支持部、電子機器および鋳造化合物を備え、前記電子機器が、前記支持部によって支持され、少なくとも部分的に前記鋳造化合物によって覆われ、前記スペーサは、前記電子機器を少なくとも部分的に封止するための前記鋳造化合物のための規定領域を形成するためのスリーブのように構築される。これによって、前記スペーサは、前記誘導センサの前記ステータと前記ロータとの間に規定距離を生み出すためだけでなく、前記鋳造化合物を鋳造するために支持するためのものでもある。
【0014】
本発明に係る軸受の別の有利な発展は、前記ステータが、支持部、電子機器および鋳造化合物を備え、前記電子機器が、前記支持部によって支持され、少なくとも部分的に前記鋳造化合物によって覆われ、前記支持部が前記鋳造化合物のための規定領域を形成するためのカラー部を備える。上述の実施形態と同様に、前記カラー部を有する前記支持部は、前記電子部品を少なくとも部分的に封止するために前記鋳造化合物を鋳造するために支持する。
【0015】
本発明に係る軸受のさらなる有利な発展は、前記軸受が、前記誘導センサが前記軸受の周囲に対して封止されるように構築および配設される封止材を備えることである。したがって、誘導センサは、前記軸受の周囲に対して完全に封止される。
【0016】
上述の軸受の有利な発展と同様に、本発明に係るシステムの有利な発展は、前記システムが、前記誘導センサが前記軸受の周囲に対して封止されるように構築および配設される封止材を備えることである。
【0017】
本発明に係る軸受の特に有利な発展は、前記軸受が、前記誘導センサのための規定された電磁環境が形成されるように構築および配設される電磁要素を備えることである。このようにして、前記環境の影響を受ける前記誘導センサの電磁パラメータを、さらに容易に取扱うことができる。
【0018】
上述の軸受の有利な発展と同様に、本発明に係るシステムの有利な発展は、前記システムが、前記誘導センサのための規定された電磁環境が形成されるように構築および配設される電磁要素を備えることである。
【0019】
図は、本発明に係る、軸受およびシステムの概略図であり、本発明の理解に必要な詳細のみが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る軸受およびシステムの第1実施形態を分解組立図で示す。
【
図2】軸受およびシステムの前記第1実施形態を断面図で示す。
【
図3】本発明に係る軸受およびシステムの第2実施形態を分解組立図で示す。
【
図4】軸受およびシステムの第2実施形態を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、内輪2と、該内輪2に対して回転可能な外輪4と、前記内輪2に対して前記外輪4の回転に対応する測定変数を検出するための誘導センサ6とを備え、前記誘導センサ6がステータ6.1およびロータ6.2を備えている、本発明に係る軸受およびシステムの第1実施形態を示している。前記誘導センサ6は、前記軸受の前記外輪4に対する前記内輪2の角度位置を測定するためのアブソリュート誘導センサ6として構築されている。したがって、前記外輪4に対する前記内輪2の前記位置は、前記内輪2に対する前記外輪4の回転に対応する前記測定変数である。
【0022】
前記軸受は、玉軸受のように構築され、前記内輪2を介して回転軸に接続され、前記外輪4を介してハウジングに接続されている。前記ハウジングおよび前記ハウジングに対して回転可能な前記軸は示されていない。上述の構成要素、すなわち前記軸受、前記ハウジングおよび前記軸は、本発明に係るシステムの一部であり、該システムは、耐トルク部、すなわち前記ハウジングと、前記耐トルク部に対して回転可能な回転部、すなわち前記軸とを備え、前記軸受が前記内輪2および前記外輪4を備え、前記外輪4が前記耐トルク部にトルクに耐えるように接続され、前記内輪2が前記回転部にトルクに耐えるように接続されている。
【0023】
前記誘導センサ6の前記ステータ6.1は、支持部6.1.1、電子機器6.1.2および鋳造化合物6.1.3を備え、前記電子機器6.1.2が前記支持部6.1.1によって支持され、少なくとも部分的に前記鋳造化合物6.1.3によって覆われている。前記ステータ6.1の前記電子機器6.1.2は、当業者に知られている、前記ロータ6.2との電磁結合のための電磁結合要素、たとえば、前記電子機器6.1.2のプリント回路基板6.1.2.1の表面に配設された、送信機トラックおよび受信機トラックを備えている。前記ステータ6.1の前記電磁結合要素は、示されていない。前記ステータ6.1の前記鋳造化合物6.1.3をより容易に鋳造するために、前記ステータ6.1の前記支持部6.1.1が前記鋳造化合物6.1.3のための規定領域を形成するためのカラー部6.1.1.1を備えている。前記ステータ6.1は前記軸受の前記外輪4にトルクに耐えるように接続されており、前記ロータ6.2は前記軸受の前記内輪2にトルクに耐えるように接続されている。
【0024】
前記誘導センサ6の前記ステータ6.1をトルクに耐える前記外輪4に、したがって前記耐トルク部、すなわち前記ハウジングに接続することは、前記誘導センサ6の前記ステータ6.1を前記回転可能な内輪2に、したがって前記回転部、すなわち前記軸に接続することに比べて有利である。なぜなら、ワイヤを介する前記ステータ6.1の前記電子機器6.1.2の電子接続を容易に設計することができるからである。前記誘導センサ6の前記ステータ6.1と前記ロータ6.2との間の規定空間を維持するために、前記軸受はスペーサ8も備えている。前記誘導センサ6の前記ステータ6.1と前記ロータ6.2との間の前記電磁結合に影響を与えないようにするために、前記スペーサ8はリング8のように構築され、プラスチック材料から作製されている。
【0025】
図2では、第1実施形態に係る軸受が組み立てられた状態で示されている。
図2から明らかなように、前記内輪2および前記外輪4は前記外輪4に対して前記内輪2を支える軸受領域10と、前記誘導センサ6を支持するためのセンサ領域12とを形成しており、前記センサ領域12の空間寸法は、前記軸受の前記内輪2および前記外輪4によって規定されている。前記内輪2および前記外輪4は、それぞれ単一部品として構築され、前記軸受の中心軸14に対して半径方向に配設されている。前記軸受領域10および前記センサ領域12を形成するために、前記内輪2および前記外輪4が、標準的な軸受、たとえば玉軸受と比較して、前記軸受の前記中心軸14に平行に延びている。前記軸受の、前記軸受領域10および前記センサ領域12は、前記内輪2および前記外輪4の肩部2.1,4.1によって分けられている。
【0026】
前記スペーサ8は、前記肩部4.1と前記誘導センサ6の前記ステータ6.1との間の規定距離を保つために、前記軸受の前記外輪4の前記肩部4.1に隣接して位置づけられている。前記誘導センサ6の前記ロータ6.2は、前記軸受の前記内輪2に前記内輪2の前記肩部2.1に隣接して配設されている。したがって、前記誘導センサ6の前記ステータ6.1および前記ロータ6.2は、前記スペーサ8によって互いに規定距離で配設されている。
【0027】
前記ステータ6.1は、前記ステータ6.1の前記支持部6.1.1を介して前記スペーサ8に配設されている。前記ステータ6.1の前記電子機器6.1.2は、前記支持部6.1.1上に配設され、前記ステータ6.1の前記鋳造化合物6.1.3によって少なくとも部分的に覆われている。前記鋳造化合物6.1.3を鋳造するために、前記鋳造化合物6.1.3は、前記カラー部6.1.1.1および前記軸受の前記外輪4を有する前記支持部6.1.1によって規定された領域に入れられている。
【0028】
図2から最もよく分かるように、前記センサ領域12および前記誘導センサ6は、前記誘導センサ6の前記ステータ6.1および前記ロータ6.2が前記センサ領域12に完全に受けられるように構築および配設されている。さらに、
図2は、前記ステータ6.1および前記ロータ6.2の前記電磁結合要素、すなわち、互いに対応する前記誘導センサ6の前記ロータ6.2の翼部6.2.1が、前記軸受の前記中心軸14に実質的に垂直に配設されることを明確に示している。
【0029】
図3および
図4は、本発明に係る軸受およびシステムの第2実施形態を示している。以下では、
図1および
図2に係る第1実施形態と、
図3および
図4に係る第2実施形態との間の違いのみが述べられている。これらの図では、類似または同一の部分には同一の参照番号が付されている。
【0030】
第1実施形態と比較して、
図3および
図4に係る第2実施形態は、異なるスペーサ8を有している。第2実施形態に係る前記スペーサ8は、前記誘導センサ6の前記ステータ6.1の前記鋳造化合物6.1.3の規定領域を形成するスリーブのように構築されている。したがって、前記ステータ6.1の前記電子機器6.1.2を少なくとも部分的に覆う前記鋳造化合物6.1.3は、前記カラー部6.1.1.1を有する前記支持部6.1.1と前記スリーブ8とによって規定される領域に入れられている。このことは、
図4で最もよく分かる。前記スリーブ8は、本発明の第2実施形態に係る前記軸受の、前記ステータ6.1および前記ロータ6.2の間に規定距離をもたらすために肩部8.1を備えている。前記ステータ6.1の前記支持部6.1.1は、前記スリーブ8の前記肩部8.1に接触しており、したがって、前記支持部6.1.1、前記電子機器6.1.2および前記鋳造化合物6.1.3を備える前記ステータ6.1と、前記外輪4の前記肩部4.1との間に規定距離を提供するので、前記誘導センサ6の前記ステータ6.1と前記ロータ6.2との間に規定距離を提供する。
【0031】
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されない。
【0032】
軸受は、耐トルク部および該耐トルク部に対して回転可能な回転部に対して、有用で適用可能な、種類、材料、寸法および配設のものであってもよい。スペーサについても同様であり、ラジアルシャフトシーリングリングなどのように構築可能である。誘導センサは、アブソリュート誘導センサである必要はなく、インクレメンタル誘導センサであってもよい。
【0033】
たとえば、軸受は、自動車などの車輪の角度位置を検出するための車輪軸受として構築することができ、車輪軸受は、そこに組み込まれる。
【0034】
さらに、測定変数は、軸受の外輪に対する内輪の回転位置に限定されない。軸受の前記内輪に対する前記外輪の回転に対応する、任意の有用で適用可能な測定変数が可能である。
【0035】
たとえば、上述の車輪軸受は、車輪速度、または自動車などの位置のような車輪の回転に対応する、より間接的な測定変数を決定するために使用することができる。車輪の位置を検出することによって検出された自動車の位置は、自動運転の分野の用途に使用することができる。本発明の軸受および本発明のシステムの誘導センサは、車輪センサとして通常使用される他のセンサよりもはるかに正確であるので、本発明のシステムおよび本発明の軸受は、その高解像度の検出によって自動運転のニーズを満たしている。
【0036】
誘導センサのステータおよびロータは、センサ領域内に完全に配設される必要はなく、その空間的寸法は、本発明に係る軸受の内輪および外輪によって規定される。さらに、ステータが前記内輪にトルクに耐えるように接続され、前記ロータが前記外輪にトルクに耐えるように接続されてもよい。前記誘導センサの前記ステータを前記トルクに耐える外輪に、したがって前記耐トルク部に、すなわち前記ハウジングに接続することは、前記誘導センサの前記ステータを前記回転可能な内輪に、したがって前記回転部に、すなわち前記軸に接続することと比べて有利である。なぜなら、ワイヤを介して前記ステータの前記電子機器の電子接続を容易に設計することができるからである。もちろん、前記誘導センサの前記ステータと前記ロータとの他の配設、ならびに前記ステータの前記電子機器と本発明の軸受および本発明のシステムの周囲との間の他の電子接続技術も可能である。
【0037】
詳細に説明された本発明の2つの実施形態とは対照的に、誘導センサのステータおよびロータの電磁結合要素は、軸受の中心軸に実質的に平行に配設され、一方、内輪および外輪が軸受の中心軸に対して半径方向に配設されてもよい。たとえば、前記ステータの前記電磁結合要素は、前記軸受の前記中心軸に対して周方向に配設された前記軸受の前記内輪または前記外輪の表面に接続されたフレキシブルプリント回路基板の表面に配設されてもよく、前記ロータの前記電磁結合要素は、前記ステータが接続され、前記軸受の前記中心軸に対して周方向に配設される、前記内輪または前記外輪に対応する、前記軸受の前記外輪または前記内輪に配設されてもよい。
【0038】
ステータおよびロータの、対応する内輪および外輪への耐トルク接続は、当業者に知られている任意の有用で適用可能なタイプのものであってもよい。鋳造化合物および鋳造化合物の鋳造についても同様である。
【0039】
上述の本発明の2つの実施形態とは異なり、軸受は、誘導センサが軸受の周囲に対して封止されるように構築および配設された封止材を備えてもよい。本発明に係るシステムについても同様であり、該システムは、誘導センサが軸受の周囲に対して封止されるように構築および配設された封止材を備える。したがって、誘導センサは、軸受の周囲に対してだけでなく、誘導センサを備える軸受の内部に対しても封止される。
【0040】
さらに、軸受は、誘導センサのための規定された電磁環境が形成されるように構築および配設された電磁要素を備えてもよく、ならびに/またはシステムは、誘導センサのための規定された電磁環境が形成されるように構築および配設された電磁要素を備えてもよい。このようにして、そのような電磁要素を採用しない軸受の全く規定されていない電磁環境は、電磁要素を用いて確立された完全に規定された電磁環境に置き換えられ、前記電磁要素の電磁パラメータは、軸受、または軸受を備えるシステムの設計者に知られている。
【0041】
たとえば、前記電磁要素は、リング形状の金属板であって、前記軸受の内部を実質的に覆う金属板のように、よって、未知の電磁条件の前記環境に関して前記誘導センサを実質的に覆うリング形状の金属板のように構築することができる。
【0042】
さらに、前記電磁要素および前記封止材は、組み合わされた要素のように構築することができ、したがって、両方の機能を単一の部品に統合することができる。
【0043】
本発明に係る軸受または軸受を備えたシステムを採用することによって、軸受、および軸受の内輪に対する外輪の回転に対応する測定変数を検出するためのセンサを備えたシステムのよりコンパクトな設計が可能である。さらに、本発明の軸受および本発明のシステムの取扱いおよび製造が改善される。
【符号の説明】
【0044】
2 玉軸受のように構築された軸受の内輪
2.1 内輪2の肩部
4 軸受の外輪
4.1 外輪4の肩部
6 アブソリュート誘導センサのように構築された誘導センサ、
6.1 誘導センサ6のステータ
6.1.1 ステータ6.1の支持部
6.1.1.1 支持部6.1.1のカラー部
6.1.2 ステータ6.1の電子機器
6.1.2.1 電子機器6.1.2のプリント回路基板
6.1.3 ステータ6.1の鋳造化合物
6.2 誘導センサ6のロータ
6.2.1 ロータ6.2の翼部
8 軸受のスペーサ
8.1 スペーサ8の肩部(第2実施形態のみ)
10 軸受の軸受領域
12 軸受のセンサ領域
14 軸受の中心軸