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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】導電性樹脂組成物及びその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/02 20060101AFI20230831BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20230831BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20230831BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20230831BHJP
   C08K 5/34 20060101ALI20230831BHJP
   G09B 23/30 20060101ALI20230831BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20230831BHJP
   H01B 1/20 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C08L53/02
C08L91/00
C08L101/12
C08L23/00
C08K5/34
G09B23/30
G09B9/00 Z
H01B1/20 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020539577
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 JP2019033847
(87)【国際公開番号】W WO2020045552
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2018161986
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 睦
(72)【発明者】
【氏名】見山 彰
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-079174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
G09B 9/00
G09B23/30
H01B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)MFR(温度230℃、荷重2.16kgで測定)1g/10分以下の水添スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部、及び成分(B)オイル100~1000質量部を含有し、
さらに、成分(C)MFR(190℃、荷重2.16kgで測定)8g/10分以上の重合体である帯電防止剤と、成分(D)イオン液体とを含有し、成分(C)の含有量が成分(A)100質量部に対して100~200質量部であり、成分(D)イオン液体の含有量が成分(A)100質量部に対して50~250質量部であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
【請求項2】
成分(A)MFR(温度230℃、荷重2.16kgで測定)1g/10分以下の水添スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部、及び成分(B)オイル100~1000質量部を含有し、
さらに、成分(C)MFR(190℃、荷重2.16kgで測定)8g/10分以上の重合体である帯電防止剤と、成分(D)イオン液体とを含有し、成分(C)の含有量が成分(A)100質量部に対して100~200質量部であり、成分(D)イオン液体の含有量が成分(A)100質量部に対して50~260質量部であることを特徴とする臓器モデル成形用導電性樹脂組成物。
【請求項3】
重合体である帯電防止剤が、ポリエーテルブロックと、ポリオレフィンのブロックとを含むブロック共重合体である、請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項4】
成分(D)イオン液体が、カチオンとアニオンから構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項5】
成分(C)と成分(D)との質量比が、4:1~2:5である、請求項1から4のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項6】
E硬度が3~70である、請求項1から5のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項7】
体積抵抗率が1.0×10~1.0×10Ω・cmである、請求項1から6のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項8】
エネルギーデバイスで切開及び/又は剥離するための臓器モデル成形用である、請求項1から7のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項9】
エネルギーデバイスが、電気メス及び超音波メスからなる群から選択される、請求項8に記載の導電性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物の成形品。
【請求項11】
臓器モデルである、請求項10に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性樹脂組成物、及びその臓器モデル等の成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人体に対する負担が少なく、早期の回復が期待できる低侵襲手術、たとえば内視鏡や腹腔鏡を用いた手術、に対する期待が高まり、その事例が増加している。例えば、臓器内部粘膜の下層に出来た腫瘍を内視鏡下で摘出する(内視鏡的粘膜下層剥離術:以下、ESD)ことにより、通常の開腹手術と比較して小規模な傷口で手術を行うことができる。そのため、患者にとって身体的負担が軽くなり、また、短い入院期間で早期の社会復帰が期待される。
また、使用される器具として、手術用エネルギーデバイスが用いられる事例が増えてきている。
【0003】
一方、上記のような医療行為には高度な技術が要求される。技術向上および医療行為の品質向上のため、手技訓練用の実物に近い臓器モデルの開発が求められており、これまでに、実際の臓器と類似した質感を実現できる臓器モデルが提案されている(特許文献1、2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-197483号公報
【文献】特開2016-038563号公報
【文献】特開2018-119020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の臓器モデルは、保存性に優れているが、エネルギーデバイスでの医療措置には対応していなかった。また、エネルギーデバイスに対応する臓器モデルも開発されたが、一定量の水やエチレングリコールなどの溶媒を含んでいるため、溶媒の管理や防腐措置のための手段(密閉容器を用いた冷蔵保存)が必要であり、そのような措置をとっても長期保存が困難であったり、溶媒が蒸発し形状変化が発生したり、ブリードアウトしやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、エネルギーデバイスに対応し、保存性に優れた導電性樹脂組成物及びその成形品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明者は、様々な手段を検討した結果、水添スチレン系熱可塑性エラストマー、オイル、疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体、イオン液体を含有する導電性樹脂組成物とすることで、エネルギーデバイスに対応し、かつ保存性に優れた導電性樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
上記課題を解決する本発明は、下記より構成される。
[1]成分(A)MFR(温度230℃、荷重2.16kgで測定)1g/10分以下の水添スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部、及び成分(B)オイル100~1000質量部を含有し、さらに、成分(C)MFR(190℃、荷重2.16kgで測定)8g/10分以上の疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体と、成分(D)イオン液体とを含有することを特徴とする導電性樹脂組成物。
[2]成分(C)の含有量が、成分(A)100質量部に対して100~200質量部である、[1]の導電性樹脂組成物。
[3]成分(D)イオン液体が、カチオンとアニオンから構成され、その含有量が成分(A)100質量部に対して50~250質量部である、[1]又は[2]の導電性樹脂組成物。
[4]成分(C)と成分(D)の質量比が、4:1~2:5である、[1]から[3]のいずれかの導電性樹脂組成物。
[5]E硬度が3~70である、[1]から[4]のいずれかの導電性樹脂組成物。
[6]体積抵抗率が1.0×10~1.0×10Ω・cmである、[1]から[5]のいずれかの導電性樹脂組成物。
[7]エネルギーデバイスで切開及び/又は剥離するための臓器モデル成形用である、[1]から[6]のいずれかの導電性樹脂組成物。
[8]エネルギーデバイスが、電気メス及び超音波メスからなる群から選択される、[1]から[7]のいずれかの導電性樹脂組成物。
[9][1]から[8]のいずれかの導電性樹脂組成物の成形品。
[10]臓器モデルである、[9]に記載の成形品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エネルギーデバイスに対応し、保存性に優れた導電性樹脂組成物及びその成形品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、導電性樹脂組成物の種々の実施形態を説明するが、一実施形態について記載した特定の説明が他の実施形態についても当てはまる場合には、他の実施形態においてはその説明を省略している。
【0011】
〔導電性樹脂組成物〕
本発明の導電性樹脂組成物は、成分(A)MFR(温度230℃、荷重2.16kgで測定)1g/10分以下の水添スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部、及び成分(B)オイル100~1000質量部を含有し、さらに成分(C)MFR(190℃、荷重2.16kgで測定)8g/10分以上の疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体と、成分(D)イオン液体とを含有する。
【0012】
[成分(A):水添スチレン系熱可塑性エラストマー]
本発明において、水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、メルトマスフローレート(MFR、温度230℃、荷重2.16kgで測定)が1g/10分以下である。MFRは、例えば、JIS K7210に従って測定することができる。
本発明の一実施形態における水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、芳香族ビニルから導かれるブロック重合単位(X)と共役ジエンから導かれるブロック重合単位(Y)とからなる芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体の水添物である。
【0013】
このような構成の芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体の形態は、たとえばX(YX)又は(XY)〔nは1以上の整数〕で示される。これらの中では、X(YX)の形態のもの、特にX-Y-Xの形態のものが好ましい。X-Y-Xの形態のものとしては、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン-ポリイソプレン・ブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体からなる群から選択される1種以上の共重合体が好ましい。
【0014】
このような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体では、ハードセグメントである芳香族ビニルブロック単位(X)が、共役ジエンゴムブロック単位(Y)の橋かけ点として存在して擬似架橋(ドメイン)を形成している。この芳香族ビニルブロック単位(X)間に存在する共役ジエンゴムブロック単位(Y)は、ソフトセグメントであってゴム弾性を有している。
【0015】
ブロック重合単位(X)を形成する芳香族ビニルとしては、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、p-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-ドデシルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの中では、スチレンが好ましい。
【0016】
ブロック重合単位(Y)を形成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン及びこれらの組合せ等が挙げられる。これらの中では、ブタジエン、イソプレン、ブタジエンとイソプレンとの組み合わせ(ブタジエン・イソプレンの共重合)からなる群から選択される1種以上の共役ジエンが好ましい。これらのうち1種以上の共役ジエンを組み合わせて用いることもできる。ブタジエン・イソプレン共重合単位からなる共役ジエンブロック重合単位(Y)は、ブタジエンとイソプレンとのランダム共重合単位、ブロック共重合単位、テーパード共重合単位の何れであってもよい。
【0017】
上記のような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体では、芳香族ビニルブロック重合単位(X)の含有量が5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。この芳香族ビニル単位の含有量は赤外線分光、NMR分光法等の常法によって測定することができる。
【0018】
成分(A)のメルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)は、1g/10分以下であり、好ましくは0.1g/10分以下である。MFR(温度230℃、荷重2.16kg)とは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定するMFRをいう。MFRが本値より高いと、オイルを添加した際にブリードアウトし易くなったり、力学的強度が低下したりしてしまう。
【0019】
上記のような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体は、種々の方法により製造することができる。製造方法としては、(1)n-ブチルリチウム等のアルキルリチウム化合物を開始剤として、芳香族ビニル、次いで共役ジエンを逐次重合させる方法、(2)芳香族ビニル、次いで共役ジエンを重合させ、これをカップリング剤によりカップリングさせる方法、(3)リチウム化合物を開始剤として、共役ジエン、次いで芳香族ビニルを逐次重合させる方法等を挙げることができる。
【0020】
本発明で用いられる水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、上記のような芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体を公知の方法により水添した物であることが好ましく、水添率は90モル%以上である。この水添率は、共役ジエンブロック重合単位(Y)中の炭素-炭素二重結合の全体量を100モル%としたときの値である。このような水添スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック(SEP)、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン(SEPS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック-ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン(SEEPS)等が挙げられる。より具体的には、SEPTON(クラレ(株)社製)、クレイトン(Kraton;シェル化学(株)社製)、クレイトンG(シェル化学(株)社製)、タフテック(旭化成(株)社製)(以上商品名)等が挙げられる。
【0021】
水添率は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)等の公知の方法により測定する。
【0022】
本発明では、水添スチレン系熱可塑性エラストマーとして、SEEPSが好ましい。水添スチレン系熱可塑性エラストマーの形状は、混練前のオイル吸収作業の観点から、粉末又は無定形(クラム)状が好ましい。
【0023】
[成分(B):オイル]
オイルとしては、特に限定されないが、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルや流動パラフィン等の鉱物油系オイル、シリコンオイル、ヒマシ油、アマニ油、オレフィン系ワックス、鉱物系ワックス等が挙げられる。これらの中では、パラフィン系及び/又はナフテン系のプロセスオイルが好ましい。プロセスオイルとしては、ダイアナプロセスオイルシリーズ(出光興産社製)、JOMOプロセスP(ジャパンエナジー社製)等が挙げられる。
オイルは、例えば、樹脂組成物を軟質化し、臓器モデルの弾性率や硬度を調整するために用いる。上記のうち1種以上のオイルを組み合わせて用いることもできる。
オイルは、事前に水添スチレン系熱可塑性エラストマーに吸収させておくのが作業性の点で好ましい。
【0024】
オイルの含有量は、成分(A)100質量部に対して、100~1000質量部が好ましく、100~700質量部がより好ましく、100~600質量部がさらに好ましく、200~500質量部が最も好ましい。オイルの含有量は、上記の範囲内で、実際にモデルとなる臓器の部位、病変により調製される。オイルの含有量を、成分(A)100質量部に対して100質量部以上とすることで軟質性が不足するのを抑制し、1000質量部以下とすることで水添スチレン系熱可塑性エラストマーがオイルを吸蔵しきれないためにコンパウンドができないのを抑制することができる。
【0025】
[成分(C):疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体]
本発明において、疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体は、MFR(190℃、荷重2.16kgで測定)が8g/10分以上である。
疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体としては、帯電防止能を有するものであれば特に限定されないが、例えば特開2001-278985号公報、特開2013-213195号公報、特開2015-096595号公報、特開2016-166332号公報、特開2017-101217号公報、国際公開第2016/084954号に記載される帯電防止剤を、本発明の一実施形態における疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体として用いることができる。
【0026】
より具体的には、親水基を有しブロック共重合されているポリエーテル類(ポリエーテルエステルアミド類、エチレンオキシド-エピクロルヒドリン類、ポリエーテルエステル類などの非イオン型、ポリスチレンスルホン酸類などのアニオン型、第4級アンモニウム含有ポリ(メタ)アクリレート類などのカチオン型など)が挙げられる。なかでも、ポリエーテルブロックとポリオレフィンブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロック共重合体を用いることができ、その一例として、体積抵抗率が10~1011Ω・cmの親水性ブロックであるポリエーテルブロックと、ポリオレフィンのブロックとが繰り返し交互に結合した構造のブロック共重合体が挙げられる。当該ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は2000~60000であることが好ましい。
【0027】
また、市販される共重合体としては、例えば三洋化成工業社製の商品名「ペレスタット(登録商標)」(「ペレスタット300」、「ペレスタット230」、「ペレスタットNC6321」、「ペレスタットNC6322」、「ペレスタットNC7350」、「ペレスタットHC250」など)、「ペレクトロン(登録商標)」(「ペレクトロンPVH」、「ペレクトロンPVL」、「ペレクトロンHS」、「ペレクトロンLMP-FS」など)、三光化学工業社製の商品名「サンコノール(登録商標)」(「サンコノールTBX-65」など)、三井・デュポン社製の商品名「エンティラ(登録商標)AS」、アルケマ社製の商品名「ペバックス(登録商標)」、ルーブリゾール社製の商品名「スタットライト(登録商標)」、IonPhasE社製の「IonPhasE(登録商標)IPE(登録商標) U2」などが挙げられ、それらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0028】
また、ポリオレフィンのブロックと、ポリイソブチレンのブロックと、体積抵抗率が1×10~1×1011Ω・cmの親水性ポリマーのブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合及びウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して結合したブロックポリマーを本実施形態の共重合体として用いることができる。
【0029】
また、ポリエーテルを有しない疎水性ポリマーのブロック、親水性ポリマーのブロック、および芳香環含有疎水性ポリエーテルのブロックを構成単位とするブロックポリマーや、ポリオレフィンのブロックと、体積抵抗率が10~1011Ω・cmの親水性ポリマーのブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有することを特徴とするブロックポリマーや、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリアミドイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の疎水性ポリマーのブロック、親水性ポリマーのブロック、並びに芳香環含有疎水性ポリエーテルのブロックを構成単位とするブロックポリマーなどを用いることもできる。
【0030】
本発明における共重合体のMn、重量平均分子量(以下Mwと略記する)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :PU-980[JASCO社製]、ERC-3310[ERMA社製]、AS-8020[東ソー(株)製]、U-620[Sugai社製]、UV-970[JASCO社製]、2414 Refractive Index Detector[Waters社製]
カラム(一例):「TSK GEL Multipore Hxl-M」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.1重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
【0031】
疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体の含有量は、成分(A)100質量部に対して、100~200質量部が好ましく、100~150質量部がより好ましい。疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体の含有量を、成分(A)100質量部に対して100質量部以上とすることで体積抵抗率の上昇を抑制し、200質量部以下とすることで材料の硬度上昇を抑制することができる。
【0032】
[成分D:イオン液体]
イオン液体としては、特に限定されないが、カチオンとアニオンから構成されるものが挙げられる。本発明の一実施形態におけるイオン液体は、水やエチレングリコールなどの溶媒の添加を必要とするものではなく、実質的に含有しない。
【0033】
カチオンとしては、アミジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン及びグアニジニウムカチオン等が挙げられる。
【0034】
アミジニウムカチオンとしては、1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウムカチオン、1,3,4-トリメチル-2-エチルイミダゾリニウムカチオン、1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1,3-ジメチル-2,4-ジエチルイミダゾリニウムカチオン、1,2-ジメチル-3,4-ジエチルイミダゾリニウムカチオン、1-メチル-2,3,4-トリエチルイミダゾリニウムカチオン、1,2,3,4-テトラエチルイミダゾリニウムカチオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリニウムカチオン、1,3-ジメチル-2-エチルイミダゾリニウムカチオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1,2,3-トリエチルイミダゾリニウムカチオン、4-シアノ-1,2,3-トリメチルイミダゾリニウムカチオン、3-シアノメチル-1,2-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-シアノメチル-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、4-アセチル-1,2,3-トリメチルイミダゾリニウムカチオン、3-アセチルメチル-1,2-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、4-メチルカルボキシメチル-1,2,3-トリメチルイミダゾリニウムカチオン、3-メチルカルボキシメチル-1,2-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、4-メトキシ-1,2,3-トリメチルイミダゾリニウムカチオン、3-メトキシメチル-1,2-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、4-ホルミル-1,2,3-トリメチルイミダゾリニウムカチオン、3-ホルミルメチル-1,2-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、3-ヒドロキシエチル-1,2-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、4-ヒドロキシメチル-1,2,3-トリメチルイミダゾリニウムカチオン及び2-ヒドロキシエチル-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン等が挙げられる。
【0035】
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジエチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-2-エチルイミダゾリウムカチオン、1,2-ジメチル-3-エチル-イミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリエチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3,4-テトラエチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-2-フェニルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチル-2-ベンジルイミダゾリウムカチオン、1-ベンジル-2,3-ジメチル-イミダゾリウムカチオン、4-シアノ-1,2,3-トリメチルイミダゾリウムカチオン、3-シアノメチル-1,2-ジメチルイミダゾリウムカチオン、2-シアノメチル-1,3-ジメチル-イミダゾリウムカチオン、4-アセチル-1,2,3-トリメチルイミダゾリウムカチオン、3-アセチルメチル-1,2-ジメチルイミダゾリウムカチオン、4-メチルカルボキシメチル-1,2,3-トリメチルイミダゾリウムカチオン、3-メチルカルボキシメチル-1,2-ジメチルイミダゾリウムカチオン、4-メトキシ-1,2,3-トリメチルイミダゾリウムカチオン、3-メトキシメチル-1,2-ジメチルイミダゾリウムカチオン、4-ホルミル-1,2,3-トリメチルイミダゾリウムカチオン、3-ホルミルメチル-1,2-ジメチルイミダゾリウムカチオン、3-ヒドロキシエチル-1,2-ジメチルイミダゾリウムカチオン、4-ヒドロキシメチル-1,2,3-トリメチルイミダゾリウムカチオン及び2-ヒドロキシエチル-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
【0036】
テトラヒドロピリミジニウムカチオンとしては、1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、8-メチル-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセニウムカチオン、5-メチル-1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノネニウムカチオン、4-シアノ-1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、3-シアノメチル-1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-シアノメチル-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、4-アセチル-1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、3-アセチルメチル-1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、4-メチルカルボキシメチル-1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、3-メチルカルボキシメチル-1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、4-メトキシ-1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、3-メトキシメチル-1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、4-ホルミル-1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、3-ホルミルメチル-1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、3-ヒドロキシエチル-1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、4-ヒドロキシメチル-1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン及び2-ヒドロキシエチル-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
【0037】
ジヒドロピリミジニウムカチオンとしては、1,2,3-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5-テトラメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、8-メチル-1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7,9-ウンデカジエニウムカチオン、5-メチル-1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5,7-ノナジエニウムカチオン、4-シアノ-1,2,3-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、3-シアノメチル-1,2-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-シアノメチル-1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、4-アセチル-1,2,3-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、3-アセチルメチル-1,2-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、4-メチルカルボキシメチル-1,2,3-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、3-メチルカルボキシメチル-1,2-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、4-メトキシ-1,2,3-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、3-メトキシメチル-1,2-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、4-ホルミル-1,2,3-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、3-ホルミルメチル-1,2-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、3-ヒドロキシエチル-1,2-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、4-ヒドロキシメチル-1,2,3-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン及び2-ヒドロキシエチル-1,3-ジメチル-1,4-ヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
【0038】
ピリジニウムカチオンとしては、3-メチル-1-プロピルピリジニウムカチオン、1-プロピル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3,4-ジメチルピリジニウムカチオン及び1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムカチオン等が挙げられる。
【0039】
ピラゾリウムカチオンとしては、1、2-ジメチルピラゾリウムカチオン、1-メチル-2-プロピルピラゾリウムカチオン、1-n-ブチル-2-メチルピラゾリウムカチオン及び1-n-ブチル-2-エチルピラゾリウムカチオン等が挙げられる。
【0040】
グアニジニウムカチオンとしては、イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン、イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン等が挙げられる。
【0041】
イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオンとしては、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1-メチル-3,4-ジエチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1-メチル-3,4-ジエチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3,4-テトラエチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1-エチル-3-メチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジエチルイミダゾリニウムカチオン、1,5,6,7-テトラヒドロ-1,2-ジメチル-2H-イミド[1,2a]イミダゾリニウムカチオン、1,5-ジヒドロ-1,2-ジメチル-2H-イミド[1,2a]イミダゾリニウムカチオン、1,5,6,7-テトラヒドロ-1,2-ジメチル-2H-ピリミド[1,2a]イミダゾリニウムカチオン、1,5-ジヒドロ-1,2-ジメチル-2H-ピリミド[1,2a]イミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-シアノ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-シアノメチル-1-メチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-アセチル-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-アセチルメチル-1-メチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-メチルカルボキシメチル-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-メチルカルボキシメチル-1-メチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-メトキシ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-メトキシメチル-1-メチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-ホルミル-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-ホルミルメチル-1-メチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-ヒドロキシエチル-1-メチルイミダゾリニウムカチオン及び2-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシメチル-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン等が挙げられる。
【0042】
イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオンとしては、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチルイミダゾリウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1-メチル-3,4-ジエチルイミダゾリウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1-メチル-3,4-ジエチルイミダゾリウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3,4-テトラエチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジエチルイミダゾリウムカチオン、1,5,6,7-テトラヒドロ-1,2-ジメチル-2H-イミド[1,2a]イミダゾリウムカチオン、1,5-ジヒドロ-1,2-ジメチル-2H-イミド[1,2a]イミダゾリウムカチオン、1,5,6,7-テトラヒドロ-1,2-ジメチル-2H-ピリミド[1,2a]イミダゾリウムカチオン、1,5-ジヒドロ-1,2-ジメチル-2H-ピリミド[1,2a]イミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-シアノ-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-シアノメチル-1-メチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-アセチル-1,3-ジメチルイミダゾリニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-アセチルメチル-1-メチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-メチルカルボキシメチル-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-メチルカルボキシメチル-1-メチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-メトキシ-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-メトキシメチル-1-メチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-ホルミル-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-ホルミルメチル-1-メチルイミダゾリウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-ヒドロキシエチル-1-メチルイミダゾリウムカチオン及び2-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシメチル-1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
【0043】
テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオンとしては、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1-メチル-3,4-ジエチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1-メチル-3,4-ジエチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3,4-テトラエチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1-エチル-3-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジエチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1,2-ジメチル-2H-イミド[1,2a]ピリミジニウムカチオン、1,3,4,6-テトラヒドロ-1,2-ジメチル-2H-イミド[1,2a]ピリミジニウムカチオン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1,2-ジメチル-2H-ピリミド[1,2a]ピリミジニウム、1,3,4,6-テトラヒドロ-1,2-ジメチル-2H-ピリミド[1,2a]ピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-シアノ-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-シアノメチル-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-アセチル-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-アセチルメチル-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-メチルカルボキシメチル-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-メチルカルボキシメチル-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-メトキシ-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-メトキシメチル-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-ホルミル-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-ホルミルメチル-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-ヒドロキシエチル-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン及び2-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシメチル-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
【0044】
ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオンとしては、2-ジメチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3,4-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-4-エチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1-メチル-3,4-ジエチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1-メチル-3,4-ジエチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3,4-テトラエチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-1-エチル-3-メチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジエチルアミノ-1,3-ジエチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,6,7,8-テトラヒドロ-1,2-ジメチル-2H-イミド[1,2a]ピリミジニウムカチオン、1,6-ジヒドロ-1,2-ジメチル-2H-イミド[1,2a]ピリミジニウムカチオン、1,6,7,8-テトラヒドロ-1,2-ジメチル-2H-ピリミド[1,2a]ピリミジニウムカチオン、1,6-ジヒドロ-1,2-ジメチル-2H-ピリミド[1,2a]ピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-シアノ-1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-シアノメチル-1-メチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-アセチル-1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-アセチルメチル-1-メチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-メチルカルボキシメチル-1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-メチルカルボキシメチル-1-メチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-メトキシ-1,3-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-メトキシメチル-1-メチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-4-ホルミル-1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-ホルミルメチル-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、2-ジメチルアミノ-3-ヒドロキシエチル-1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン及び2-ジメチルアミノ-4-ヒドロキシメチル-1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
【0045】
アニオンとしては、下記に例示する酸からプロトンを除いたアニオンが挙げられる。アニオンは2種以上の混合物であってもよい。
【0046】
アニオンとして、カルボン酸を用いることができ、具体的には、モノカルボン酸{炭素数1~30の脂肪族モノカルボン酸[飽和モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸等)、フッ素原子含有カルボン酸(トリフルオロ酢酸等)及び不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸及びオレイン酸等)]及び芳香族モノカルボン酸(安息香酸、ケイ皮酸及びナフトエ酸等)}、ポリカルボン酸(2~4価のポリカルボン酸){脂肪族ポリカルボン酸[飽和ポリカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸等);不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等)];芳香族ポリカルボン酸[フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸等];脂肪族オキシカルボン酸[グリコール酸、乳酸及び酒石酸等];芳香族オキシカルボン酸[サリチル酸及びマンデル酸等];硫黄原子含有ポリカルボン酸[チオジプロピオン酸等];その他のポリカルボン酸[シクロブテン-1,2-ジカルボン酸、シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸、フラン-2,3-ジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ-2-エン-2,3-ジカルボン酸及びビシクロ[2,2,1]ヘプタ-2,5-ジエン-2,3-ジカルボン酸]等}が挙げられる。
【0047】
アニオンとして、スルホン酸を用いることができ、具体的には、炭素数1~30のアルカンスルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、オクタンスルホン酸及びドデカンスルホン酸等);炭素数7~30のアルキルベンゼンスルホン酸(オクチルベンゼンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸等)が挙げられる。
【0048】
アニオンとして、無機酸を用いることができ、具体的には、フッ酸、塩酸、硫酸、リン酸、HClO、HBF、HPF、HAsF、及びHSbF等が挙げられる。
【0049】
アニオンとして、ハロゲン原子含有アルキル基置換無機酸(アルキル基の炭素数1~30)を用いることができ、具体的には、HBF(CF4-n(nは0~3の整数)、HPF(CF6-n(nは0~5の整数)、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ペンタクロロプロパンスルホン酸、ヘプタクロロブタンスルホン酸、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ペンタフルオロブタン酸、トリクロロ酢酸、ペンタクロロプロピオン酸及びヘプタクロロブタン酸等が挙げられる。
【0050】
アニオンとして、ハロゲン原子含有スルホニルイミド(炭素数1~30)を用いることができ、具体的には、ビス(フルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及びビス(フルオロスルホニル)イミド等が挙げられる。
【0051】
アニオンとして、ハロゲン原子含有スルホニルメチド(炭素数3~30)を用いることができ、具体的には、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド等が挙げられる。
【0052】
アニオンとして、ハロゲン原子含有カルボン酸アミド(炭素数2~30)を用いることができ、具体的には、ビス(トリフルオロアセト)アミド等が挙げられる。
【0053】
アニオンとして、ニトリル基含有イミドを用いることができ、具体的には、HN(CN)等が挙げられる。
【0054】
アニオンとして、ニトリル含有メチドを用いることができ、具体的には、HC(CN)等が挙げられる。
【0055】
アニオンとして、炭素数1~30のハロゲン原子含有アルキルアミンを用いることができ、具体的には、HN(CF等が挙げられる。
【0056】
アニオンとして、シアン酸を用いることができ、具体的には、チオシアン酸等が挙げられる。
【0057】
また、市販のイオン液体を用いることもできる。市販のイオン液体としては、例えばCIL312(N-ブチル-3-メチルピリジニウム・ビストリフルオロメタンスルホニルイミド、日本カーリット社製)、アミノイオンAS100(日本乳化剤社製)、アミノイオンAS300(日本乳化剤社製)、FC-4400(トリ-n-ブチルメチルアンモニウム ビストリフルオロメタンスルホンイミド、3M社製)、ヒシコーリン(ドデシルトリブチルホスホニウムクロライド、日本化学工業社製)が挙げられる。
【0058】
イオン液体の溶解性パラメーター(以下SP値と略記する)は、好ましくは8.0~12.0(cal/cm1/2、であり、更に好ましくは8.5~11.5(cal/cm1/2、特に好ましくは9.0~10.8(cal/cm1/2である。
【0059】
なお、イオン液体のSP値は、以下の方法により求めた数値である。
メタクリル酸メチル50gとイオン液体50gを混合して得られた懸濁液に、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルを滴下していき、懸濁液が透明になった時点を目視で確認し、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルの滴下量(g)を用いて、以下の計算式からイオン液体のSP値を算出した。
イオン液体のSP値=(9.9P+13.5Q)/100
9.9:メタクリル酸メチルのSP値
P:メタクリル酸メチル及びメタクリル酸2-ヒドロキシエチルの合計重量に基づくメタクリル酸メチルの重量比率(重量%)
13.5:メタクリル酸2-ヒドロキシエチルのSP値
Q:メタクリル酸メチル及びメタクリル酸2-ヒドロキシエチルの合計重量に基づくメタクリル酸2-ヒドロキシエチルの重量比率(重量%)
【0060】
イオン液体の合成方法としては、目的とするイオン液体が得られれば特に限定されないが、例えば「イオン性液体-開発の最前線と未来-」[大野弘幸、2003年発行、シーエムシー出版]に記載されている、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法及び中和法等が挙げられる。
【0061】
イオン液体の含有量は、成分(A)100質量部に対して、50~250質量部が好ましく、50~240質量部がより好ましく、70~210質量部がさらに好ましい。イオン液体の含有量を成分(A)100質量部に対して50質量部以上とすることで体積抵抗率上昇の抑制及び軟質性の付与に寄与し、250質量部以下とすることで材料からイオン液体がブリードアウトすることを抑制することができる。
【0062】
また、成分(C)と成分(D)との質量比は、4:1~2:5であることが好ましく、2:1~5:11であることがより好ましい。成分(C)の質量を成分(D)の質量に対して2:5以上とすることでブリードアウト及び体積抵抗率の上昇を抑制し、4:1以下とすることで材料の硬度の上昇を抑制することができる。
【0063】
(樹脂組成物)
本実施形態に係る導電性樹脂組成物は、エネルギーデバイスに対応し、かつ保存性に優れている。また、本発明の一実施形態において、導電性樹脂組成物は、水やエチレングリコールなどの溶媒を実質的に含有しない。
導電性樹脂組成物のE硬度は、好ましくは3~70であり、より好ましくは3~40である。E硬度は、例えば厚5.0mmのシートを重ね、JIS K7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に従い、23±1℃の条件にて測定することができる。
【0064】
導電性樹脂組成物の体積抵抗率は、好ましくは1.0×10~1.0×10Ω・cmであり、より好ましくは1.0×10以上~5.0×10未満Ω・cmである。
体積抵抗率は、例えばJIS C2139に従い、厚さ1.0mm、任意の形状のシートを、市販の機械(例えば株式会社三菱ケミカルアナリテック製ハイレスタUXMCP-HT800等)を用いて、23±1℃の条件にて測定することができる。
【0065】
[導電性樹脂組成物の用途]
本発明の一実施形態における導電性樹脂組成物は、エネルギーデバイスで切開及び/又は剥離される臓器モデルを形成するために用いられる。
エネルギーデバイスとしては、電気メス、超音波メス、高周波ラジオ波メス等が挙げられる。
モデルとなる臓器としては、例えば肺、心臓、胸壁、腹壁、横隔膜、胆嚢、胃、肝臓、腎臓、膀胱、血管、又は皮膚等が挙げられる。
【0066】
なお、本発明の導電性樹脂組成物には、必要に応じて上記、その他の樹脂、エラストマー、ゴム、可塑剤、フィラ-や安定剤、老化防止剤、耐光性向上剤、紫外線吸収剤、軟化剤、滑剤、加工助剤、着色剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、結晶核剤、発泡剤等を配合し、用いることが出来る。本発明の導電性樹脂組成物を製造するには、公知の適当なブレンド法を用いることができる。例えば、単軸、二軸のスクリュー押出機、バンバリー型ミキサー、プラストミル、コニーダー、加熱ロールなどで溶融混合を行うことができる。溶融混合を行う前に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、タンブラーなどで各原料を均一に混合しておくこともよい。溶融混合温度はとくに制限はないが、100~300℃、好ましくは150~250℃が一般的である。本発明の各種組成物の成形法としては、真空成形、射出成形、ブロー成形、押出し成形等公知の成形法を用いることができる。
【0067】
〔成形品〕
本発明の成形品は、本発明の導電性樹脂組成物を成形してなる。
【0068】
本発明の一実施形態における成形品は、例えば肺、心臓、胸壁、腹壁、横隔膜、胆嚢、胃、肝臓、腎臓、膀胱、血管、又は皮膚等の臓器モデルとして使用できる。
【0069】
本発明の導電性樹脂組成物の臓器モデルでの利用に際し、目的を阻害しない範囲で、例えば、顔料、染料等の着色剤、香料、酸化防止剤、抗菌剤等の添加剤を使用しても良い。本発明の臓器モデルを生体の臓器に近似させるために、着色剤により生体の臓器に近似した色に着色することが好ましい。
【0070】
臓器モデルは、公知の成形方法により成形することができる。例えば、内型(中子)と外型を用い、その間の空間に注型し成形する場合など、内型を取り出す際に樹脂成形体に切り込みを入れてそこから内型を取り出すことがあるが、その際に、切り込みを接着し臓器モデルを完成させることもできる。また、射出成形等で複数の臓器部分を別々に成形し、その後接着させて臓器モデルを完成させることもできる。
【実施例
【0071】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
【0072】
実施例等で用いた各種原料は以下の通りである。
(A)水添スチレン系熱可塑性エラストマー
・SEEPS(SEPTON 4055、クラレ社製)(MFR(温度230℃、荷重2.16kg)0.0g/10分、スチレン含有量30質量%、水添率90モル%以上)
(B)オイル
・パラフィンオイル(ダイアナプロセスオイルPW90、出光興産社製)
(C)疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体
・ポリオレフィン/ポリエーテル共重合体(ペレクトロンPVL、三洋化成工業社製)(MFR(190℃、荷重2.16kgで測定)8~15g/10分)
(D)イオン液体
・CIL-312(日本カーリット社製)
【0073】
実施例および比較例で作製したシートについての各種特性の評価方法は以下の通りである。
【0074】
(E硬度)
厚さ5.0mmのシートを重ね、JIS K7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に従い、23±1℃の条件にてタイプEのデュロメーター硬度を求めた。この硬度は瞬間値である。評価基準を表1に示す。
【0075】
(体積抵抗率)
JIS C2139に従い、5.0cm×5.0cm×1.0mm、厚さ1.0mmのシートを、株式会社三菱ケミカルアナリテック社製ハイレスタUXMCP-HT800及び、ロレスタ-GP(MCP-T610)を用いて、23±1℃の条件にて体積抵抗率を測定した。評価基準を表1に示す。
【0076】
(表面の状態)
5cm角、厚さ2mmのシートを作製し、3日間保存した後に、表面からのオイル等の染み出し(ブリードアウト)の有無を確認した。評価基準を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
[実施例1]
水添スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対し、300質量部のオイルを滴下し、十分に染みこませた。数日後、ブラベンダープラスチコーダー(ブラベンダー社製PL2000型)を使用し、水性ポリマーと親水性ポリマーとの共重合体と、イオン液体とを投入した後、180℃、回転速度50回/分、6分間混練した。
【0079】
次に、加熱プレス法(180℃、時間5分、圧力50kg/cm)により、評価項目に合わせて、各種厚さ(1.0mm、5.0mm)の物性評価用のサンプルシートを作製し、上記の項目について評価した。結果を表2に示す。
【0080】
[実施例2~5、比較例1~3]
表2に記載される含有量とした以外は、実施例1の方法に従ってシートを作製し、上記の項目について評価した。結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
実施例1~5で用いた樹脂組成物は、臓器・組織・器官に近い硬度を持つ軟質材料であるだけでなく、体積抵抗率が低く、エネルギーデバイスによる切開が可能であり、保存性に優れていることがわかった。
【0083】
これに対し、比較例1~3で用いた樹脂組成物は、体積抵抗率が高いため通電せず、エネルギーデバイスにより切開できる成形品を作製できないことがわかった。なお、比較例3で用いた樹脂組成物は、材料が相分離したため成形することができず、体積抵抗率及びE硬度を測定することができなかった。