(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】機能が改善された固形イソマルト
(51)【国際特許分類】
A23L 27/30 20160101AFI20230831BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20230831BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230831BHJP
A61K 31/7032 20060101ALI20230831BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230831BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A23L27/30 A
A23L33/125
A61K9/14
A61K31/7032
A61K47/26
A61P3/10
(21)【出願番号】P 2020542321
(86)(22)【出願日】2019-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2019052722
(87)【国際公開番号】W WO2019154786
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】102018201916.9
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515053771
【氏名又は名称】ズートツッカー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルド,ヨルク
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0202243(US,A1)
【文献】特開2015-218143(JP,A)
【文献】特開平07-051079(JP,A)
【文献】特開昭51-133217(JP,A)
【文献】特開平10-310595(JP,A)
【文献】特表2015-536687(JP,A)
【文献】特表平11-507243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコシル化イソマルト成分である1-O-(6'-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(6'-g-1,1-GPM)、6-O-(6'-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(6'-g-1,6-GPS)、1,6-ジ-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(1-g-1,6-GPS)及び1,6-ジ-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(6-g-1,1-GPM)を含み、イソマルト組成物中での6'-g-1,1-GPM:6'-g-1,6-GPS:1-g-1,6-GPS:6-g-1,1-GPMの重量比が1:(0.7~1.3):(0.3~1.1):(1~2)であり(それぞれ、グリコシル化イソマルト成分の重量%及び乾燥物
質に関する)
、且つイソマルト組成物の総重量に対して少なくとも40重量%の1,6-GPS(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)を含むことを特徴とする、固形のイソマルト組成物。
【請求項2】
イソマルト組成物中での6'-g-1,1-GPM:6'-g-1,6-GPS:1-g-1,6-GPS:6-g-1,1-GPMの重量比が1:(0.8~1):(0.7~1):(1.2~1.8)である、請求項1に記載のイソマルト組成物。
【請求項3】
イソマルト組成物の総重
量に対して0.01~0.2重量%の6'-g-1,1-GPMを含む、請求項1又は2に記載のイソマルト組成物。
【請求項4】
イソマルト組成物の総重
量に対して0.01~0.2重量%の6'-g-1,6-GPSを含む、請求項1又は2に記載のイソマルト組成物。
【請求項5】
イソマルト組成物の総重
量に対して0.01~0.2重量%の1-g-1,6-GPSを含む、請求項1又は2に記載のイソマルト組成物。
【請求項6】
イソマルト組成物の総重
量に対して0.01~0.4重量%の6-g-1,1-GPMを含む、請求項1又は2に記載のイソマルト組成物。
【請求項7】
イソマルト組成物の総重
量に対して少なくとも86重量%の1,6-GPS(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)及び1,1-GPM(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項8】
イソマルト組成物の総重
量に対して0.1~1.0重量%の1,1-GPS(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)を含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項9】
イソマルト組成物の総重
量に対して0.01~2.0重量%のデオキシ二糖アルコールを含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項10】
イソマルト組成物の総重
量に対して0.01~2.0重量%のグルコシルグリシトールを含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項11】
イソマルト組成物の総重量に対して0.01~0.3重量%のマンニトールを含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項12】
イソマルト組成物の総重量に対して0.01~0.4重量%のソルビトールを含む、請求項1から
11のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項13】
1000μmまでのサイズの粒子が少なくとも90%の粒径分布を有する、請求項1から
12のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項14】
100~1000μmのサイズの粒子が少なくとも90%の粒径分布を有する、請求項1から
13のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項15】
イソマルト組成物の総重量に対して、含水量が2~6重量%である、請求項1から
14のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
【請求項16】
食品又は嗜好品としての、請求項1から
15のいずれか一項に記載のイソマルト組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(1,6-GPS)及び1-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(1,1-GPM)、並びにさらなるグリコシル化イソマルト成分である1-O-(6'-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(6'-g-1,1-GPM)、6-O-(6'-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(6'-g-1,6-GPS)、1,6-ジ-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(1-g-1,6-GPS)及び1,6-ジ-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(6-g-1,1-GPM)を含む固形イソマルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
イソマルト(水素化イソマルツロース)は、主成分として1,6-GPS及び1,1-GPMを有する、その非う蝕原性、低カロリー値、及び糖尿病患者適性ゆえに有利である代替糖である。
【0003】
DE2520173A1は、イソマルツロースから1,6-GPS及び1,1-GPMを製造するための方法並びに代替糖としてのその使用に関する。EP0625578A1は、イソマルトの製造並びに様々な嗜好品及び食料品中での甘味料としてのその使用を開示する。
【0004】
EP0859006B2及びWO1997/008958A1は、1,6-GPS富化混合物及び1,1-GPM富化混合物並びに純粋な形態の1,6-GPS及び1,1-GPMを製造するための方法、並びにそれらの使用に関する。
【0005】
そのようなイソマルト組成物は、例えば、嗜好品及び食品領域における多くの製品中で使用される。イソマルト組成物の幅広い適用範囲は、最終製品、それに伴う消費者の要望、及び技術的な要求に応じて、異なる製品特性の提供に関して特別な順応性を必要とする。例えば、特定の最終製品及び/又は消費者の要望が、とりわけイソマルト組成物の保存後に、特に優れた流動性及び/又は自由流動性を有する乾燥イソマルト組成物を前提条件として必要とする。従来公知のイソマルト組成物は、とりわけイソマルト組成物の保存後のその流動性及び自由流動性の点で改善が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】DE2520173A1
【文献】EP0625578A1
【文献】EP0859006B2
【文献】WO1997/008958A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の基礎をなす技術的課題は、改善された自由流動性及び/又は流動性を示す、1,1-GPM及び1,6-GPSを含む固形イソマルト組成物、並びにこれらの糖アルコールを比較的大量に含有する混合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その技術的課題を、固形イソマルト組成物の提供によって解決し、固形イソマルト組成物は、1,1-GPM、1,6-GPS、並びにグリコシル化イソマルト成分である6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS及び6-g-1,1-GPMを有し、イソマルト組成物中での6'-g-1,1-GPM:6'-g-1,6-GPS:1-g-1,6-GPS:6-g-1,1-GPMの重量比は、グリコシル化イソマルト成分の重量%及び乾燥物質(TS)に関して、1:(0.7~1.3):(0.3~1.1):(1~2)である。
【0009】
本発明は、グリコシル化イソマルト成分である6'-g-1,1-GPM(1-O-(6'-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール)、6'-g-1,6-GPS(6-O-(6'-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、1-g-1,6-GPS(1,6-ジ-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)及び6-g-1,1-GPM(1,6-ジ-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール)を、本発明による特定の重量比で有する固形イソマルト組成物が、改善された自由流動性及び/又は流動性、とりわけ低下した固結傾向を示すという驚くべき発見に基づく。4つの成分、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS及び6-g-1,1-GPMは、以下、「グリコシル化成分」とも呼ぶ。
【0010】
イソマルト組成物の本発明による改善された流動性及び/又は改善された自由流動性は、驚くべきことに長期間にわたって、とりわけ固形イソマルト組成物を保存する際に維持されたままであり、とりわけ改善された流動性及び/又は自由流動性の阻害は認められないか、又はほぼ認められない。
【0011】
改善された流動性及び/又は改善された自由流動性は、本発明によるイソマルト組成物のより一様な注入及び分配を有利に可能にする。本発明によるイソマルト組成物は、塊の形成を減らし、水を周囲から吸収する傾向、とりわけ固形イソマルト組成物の粒子表面に結合する傾向を減らす。
【0012】
本発明に関して「流動性」とは、内部摩擦に応じて粉体又は粒状材料が、その上に配置される底面に対してその表面が角度をなす堆積を形成する特性と理解される。流動性は、好ましくは、European Pharmacopeia 8.0,第I巻,第2.9.36章(2013年7月15日刊行)に準拠するスランプ(Ausbreitmass)によって決定する。この際、該当する試料の堆積物(Schuettung)の安息角を検査する。その際、10mmの漏斗開口部を通して試料(試料体積は測定につきおよそ150mL)を基板上に流し、堆積物コーン(Schuettkegel)を形成する。次いで、このコーンの側面をレーザ光線で走査し、安息角を確定する。その安息角から、European Pharmacopeia中で示される分類に準拠した試料の流動性を得る。
【0013】
本発明に関して「自由流動性」という用語は、粉体又は凝集体の自由な可動性の程度を表す。自由流動性の決定は、例えば、測定用漏斗又は自由流動性検査器を用いて行い、設定質量又は設定体積における自由流動時間を測定する。
【0014】
本発明に関して「固結傾向」という用語は、保存期間にわたって起こる、本来は粉状の材料の少なくとも部分的又は完全な固化と理解される。固化は、視覚的に塊形成により認識できる。好ましくは、一定の温度及び相対湿度において外部圧力をかけることによって固結傾向を検査する。その際、固結の分類は、例5で記載するように行う。そのためには、試料をそれぞれ2度、円柱状容器(充填高さが総高の2/3)に満たす。試料をそれぞれ、フィルムディスクで覆い、質量1.2kgのピストンで押さえる。周囲との空気交換が起こり得るように、試料容器とピストンとの間にはおよそ1mmの間隙が存在する。充填した試料容器を、25℃及び相対湿度65%において、該当する期間にわたって保存する(2、4、8、12、24週間)。保存後、その際生成物表面を損なうことなくピストン及びフィルムを慎重に取り除く。試料を試料容器から出し、生成物が完全に容器から流れ出るかどうか、及び生成した堆積物内に塊が含有されているかどうかを評価する。その際、分類は次のように行った:
【0015】
【0016】
本発明に関して本発明によるイソマルト組成物とは、1,1-GPM(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール)、1,6-GPS(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、並びにグリコシル化イソマルト成分である6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS及び6-g-1,1-GPMを含む混合物と理解される。好ましい一実施形態では、イソマルト組成物が、その上、さらなる成分、例えば、1,1-GPS(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)、デオキシ二糖アルコール、グルコシルグリシトール、マンニトール、ソルビトール、及び/又は微量で生じるさらなる成分を含み得る。
【0017】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれグリコシル化イソマルト成分の重量%及び乾燥物質(TS)に関して、1:(0.7~1.3):(0.3~1.1):(1.0~2.0)の、好ましくは1:(0.7~1.2):(0.5~1.0):(1.1~1.9)の、好ましくは1:(0.7~1.0):(0.6~1.0):(1.3~1.9)の、好ましくは1:(0.8~1.0):(0.7~1.0):(1.2~1.8)の、好ましくは1:(0.8~1.0):(0.8~1.0):(1.4~1.8)の、好ましくは1:(0.9~1.1):(0.9~1.1):(1.4~1.8)の、好ましくは1:(0.9~1.1):(1.1~1.4):(1.8~2.2)の、又は好ましくは1:(0.9~1.1):(0.2~0.5):(1~1.2)の6'-g-1,1-GPM:6'-g-1,6-GPS:1-g-1,6-GPS:6-g-1,1-GPMの重量比を有する。
【0018】
本発明に関して、異なる指定がない限り及び/又は認識できない限り、成分の組成に関して記載される、個々の成分のパーセントでの分率は合計して100重量%に、すなわち組成物全体になる。
【0019】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、グリコシル化イソマルト成分の他に1,6-GPS及び1,1-GPMを有し、とりわけ1,6-GPS及び1,1-GPMの混合物を、43~57重量%の1,6-GPS及び57~43重量%の1,1-GPMの比率で有する(それぞれ1,6-GPS及び1,1-GPMの総量の乾燥物質(TS)に関する)。さらなる好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,6-GPS及び1,1-GPMからなる混合物を、1,1-GPMに富む形態で有し、とりわけ、57重量%超、好ましくは57.1重量%超、又は好ましくは57.2~99重量%の1,1-GPM及び43重量%未満、好ましくは42.9重量%未満、又は好ましくは42.8~1重量%の1,6-GPSが存在するような形態で有する(それぞれ1,6-GPS及び1,1-GPMの総量の乾燥物質(TS)に関する)。さらなる好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,6-GPS及び1,1-GPMからなる混合物を、1,6-GPSに富む形態で有し、とりわけ、57重量%超、好ましくは57.1重量%超、又は好ましくは57.2~99重量%の1,6-GPS及び43重量%未満、好ましくは42.9重量%未満、又は好ましくは42.8~1重量%の1,1-GPMが存在するような形態で有し、とりわけ混合物が、75~80重量%の1,6-GPS及び25~20重量%の1,1-GPMを有する(それぞれ1,6-GPS及び1,1-GPMの総量の乾燥物質(TS)に関する)。
【0020】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも82重量%、好ましくは少なくとも84重量%、好ましくは少なくとも86重量%、好ましくは少なくとも88重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも92重量%、好ましくは少なくとも94重量%、好ましくは少なくとも96重量%、又は好ましくは少なくとも98重量%の1,6-GPS及び1,1-GPMを含有し、特に好ましい実施形態では、この混合物が、前記で開示した互いの量比で1,6-GPS及び1,1-GPMを有する。
【0021】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも45重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは90重量%まで、好ましくは80重量%まで、好ましくは70重量%まで、好ましくは60重量%まで、好ましくは40~90重量%、好ましくは50~90重量%、好ましくは60~90重量%、好ましくは30~80重量%、好ましくは40~80重量%、又は好ましくは50~80重量%の1,6-GPSを有する。
【0022】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも45重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、好ましくは60重量%まで、好ましくは50重量%まで、好ましくは55重量%まで、好ましくは45重量%まで、好ましくは40重量%まで、好ましくは35重量%で、好ましくは30重量%まで、好ましくは25重量%まで、好ましくは10~60重量%、好ましくは20~60重量%、好ましくは20~50重量%、好ましくは20~40重量%、好ましくは10~50重量%、好ましくは10~40重量%、又は好ましくは10~30重量%の1,1-GPMを有する。
【0023】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、成分1,6-GPS、1,1-GPM、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS及び6-g-1,1-GPM、並びに1,1-GPS、デオキシ二糖アルコール、GPI(グルコピラノシルイディトール(Glucopyranosyl-idit))、グリコシルグリシトール、マンニトール、及びソルビトールからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる成分を含む。
【0024】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、成分として1,6-GPS、1,1-GPM、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS及び6-g-1,1-GPMのみを有する。
【0025】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、イソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.3重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.16重量%、好ましくは0.01~0.14重量%、好ましくは0.01~0.12重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.08重量%、好ましくは0.03~1重量%、好ましくは0.03~0.6重量%、好ましくは0.03~0.4重量%、好ましくは0.03~0.3重量%、好ましくは0.03~0.2重量%、又は好ましくは0.03~0.1重量%の6'-g-1,1-GPMを有する。
【0026】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.3重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.16重量%、好ましくは0.01~0.14重量%、好ましくは0.01~0.12重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.08重量%、好ましくは0.03~1重量%、好ましくは0.03~0.6重量%、好ましくは0.03~0.4重量%、好ましくは0.03~0.3重量%、好ましくは0.03~0.2重量%、又は好ましくは0.03~0.1重量%の6'-g-1,6-GPSを有する。
【0027】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.3重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.16重量%、好ましくは0.01~0.14重量%、好ましくは0.01~0.12重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.08重量%、好ましくは0.03~1重量%、好ましくは0.03~0.6重量%、好ましくは0.03~0.4重量%、好ましくは0.03~0.3重量%、好ましくは0.03~0.2重量%、又は好ましくは0.03~0.1重量%の1-g-1,6-GPSを有する。
【0028】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~2重量%、好ましくは0.01~1.8重量%、好ましくは0.02~1.6重量%、好ましくは0.03~1.4重量%、好ましくは0.01~1.6重量%、好ましくは0.01~1.4重量%、好ましくは0.01~1.2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.3重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.16重量%、好ましくは0.01~0.14重量%、好ましくは0.01~0.12重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.08重量%、好ましくは0.03~1重量%、好ましくは0.03~0.6重量%、好ましくは0.03~0.4重量%、好ましくは0.03~0.3重量%、好ましくは0.03~0.2重量%、又は好ましくは0.03~0.1重量%の6-g-1,1-GPMを有する。
【0029】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、97.5~99.5重量%の1,6-GPS及び1,1-GPM並びに0.06~0.9重量%のグリコシル化イソマルト成分6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS及び6-g-1,1-GPM、好ましくは97.7~99.3重量%の1,6-GPS及び1,1-GPM並びに0.08~0.8重量%のグリコシル化イソマルト成分、又は好ましくは97.9~99.1重量%の1,6-GPS及び1,1-GPM並びに0.1~0.7重量%のグリコシル化イソマルト成分を有する。
【0030】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、97.5~99.5重量%の1,6-GPS及び1,1-GPM、0.01~0.2重量%の6'-g-1,1-GPM、0.01~0.2重量%の6'-g-1,6-GPS、0.01~0.2重量%の1-g-1,6-GPS及び0.01~0.4重量%の6-g-1,1-GPM、好ましくは97.7~99.3重量%の1,6-GPS及び1,1-GPM、0.02~0.18重量%の6'-g-1,1-GPM、0.02~0.18重量%の6'-g-1,6-GPS、0.02~0.18重量%の1-g-1,6-GPS及び0.02~0.34重量%の6-g-1,1-GPM、又は好ましくは97.9~99.1重量%の1,6-GPS及び1,1-GPM、0.03~1.6重量%の6'-g-1,1-GPM、0.03~1.6重量%の6'-g-1,6-GPS、0.03~1.6重量%の1-g-1,6-GPS及び0.04~0.28重量%の6-g-1,1-GPMを含む。
【0031】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、40~89重量%の1,6-GPS、10~59重量%の1,1-GPM並びに0.06~0.9重量%のグリコシル化イソマルト成分6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS及び6-g-1,1-GPM、好ましくは40~79重量%の1,6-GPS、20~59重量%の1,1-GPM及び0.08~0.8重量%のグリコシル化イソマルト成分、又は好ましくは50~79重量%の1,6-GPS、20~49重量%の1,1-GPM及び0.1~0.7重量%のグリコシル化イソマルト成分を有する。
【0032】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,6-GPS、1,1-GPM、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS、6-g-1,1-GPM、及び1,1-GPS(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)を含む。
【0033】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.1~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、好ましくは0.1~6重量%、好ましくは0.1~5重量%、好ましくは0.1~4重量%、好ましくは0.1~3重量%、好ましくは0.1~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、好ましくは0.1~0.8重量%、好ましくは0.1~0.6重量%、好ましくは0.1~0.4重量%、好ましくは0.2~10重量%、好ましくは0.2~8重量%、好ましくは0.2~6重量%、好ましくは0.2~5重量%、好ましくは0.2~4重量%、好ましくは0.2~3重量%、好ましくは0.2~2重量%、好ましくは0.2~1重量%、好ましくは0.2~0.8重量%、好ましくは0.2~0.6重量%、好ましくは0.2~0.4重量%、好ましくは0.5~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、好ましくは0.5~6重量%、好ましくは0.5~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、好ましくは0.5~3重量%、好ましくは0.5~2重量%、好ましくは0.5~1重量%、好ましくは0.5~0.8重量%、1~10重量%、好ましくは1~8重量%、好ましくは1~6重量%、好ましくは1~5重量%、好ましくは1~4重量%、好ましくは1~3重量%、又は好ましくは1~2重量%の1,1-GPSを有する。
【0034】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,1-GPSを含有しない。
【0035】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,6-GPS、1,1-GPM、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS、6-g-1,1-GPM、及びデオキシ二糖アルコールを含む。
【0036】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.8重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.5重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、0.03~1.0重量%、好ましくは0.03~0.8重量%、好ましくは0.03~0.6重量%、好ましくは0.03~0.4重量%、好ましくは0.03~0.2重量%、好ましくは0.03~0.5重量%、好ましくは0.03~0.1重量%、好ましくは0.1~1重量%、好ましくは0.1~2重量%、好ましくは0.1~4重量%、好ましくは0.1~8重量%、好ましくは0.2~2重量%、好ましくは0.4~1重量%、又は好ましくは0.4~2重量%のデオキシ二糖アルコールを含む。
【0037】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、デオキシ二糖アルコールを含有しない。
【0038】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,6-GPS、1,1-GPM、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS、6-g-1,1-GPM、及びグリコシルグリシトールを有する。
【0039】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.8重量%、好ましくは0.01~0.6重量%、好ましくは0.01~0.5重量%、好ましくは0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、0.03~1.0重量%、好ましくは0.03~2.0重量%、好ましくは0.03~0.8重量%、好ましくは0.03~0.6重量%、好ましくは0.03~0.5重量%、好ましくは0.03~0.4重量%、好ましくは0.03~0.2重量%、好ましくは0.03~0.1重量%、0.04~1.0重量%、好ましくは0.04~2.0重量%、好ましくは0.04~0.8重量%、好ましくは0.04~0.6重量%、好ましくは0.04~0.5重量%、好ましくは0.04~0.4重量%、好ましくは0.04~0.2重量%、好ましくは0.04~0.1重量%、好ましくは0.1~0.4重量%、好ましくは0.1~0.6重量%、好ましくは0.1~0.8重量%、好ましくは0.1~1重量%、好ましくは0.1~2重量%、好ましくは0.1~4重量%、好ましくは0.1~8重量%、好ましくは0.2~2重量%、好ましくは0.4~2重量%、又は好ましくは0.4~1重量%のグリコシルグリシトールを有する。
【0040】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、グリコシルグリシトールを含有しない。
【0041】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,6-GPS、1,1-GPM、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS、6-g-1,1-GPM、及びマンニトールを含む。
【0042】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~0.3重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.16重量%、好ましくは0.01~0.12重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.08重量%、好ましくは0.01~0.06重量%、好ましくは0.01~0.04重量%、好ましくは0.02~0.3重量%、好ましくは0.02~0.2重量%、好ましくは0.02~0.16重量%、好ましくは0.02~0.1重量%、好ましくは0.02~0.06重量%、好ましくは0.04~0.16重量%、好ましくは0.04~0.2重量%、好ましくは0.04~0.1重量%、好ましくは0.04~0.08重量%、好ましくは0.06~0.2重量%、好ましくは0.06~0.14重量%、好ましくは0.06~0.1重量%、又は好ましくは0.06~0.08重量%のマンニトールを含む。
【0043】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、マンニトールを含有しない。
【0044】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,6-GPS、1,1-GPM、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS、6-g-1,1-GPM、及びソルビトールを有する。
【0045】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~0.4重量%、好ましくは0.01~0.3重量%、好ましくは0.01~0.24重量%、好ましくは0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.06重量%、好ましくは0.02~0.3重量%、好ましくは0.02~0.2重量%、好ましくは0.02~0.1重量%、好ましくは0.02~0.06重量%、好ましくは0.04~0.3重量%、好ましくは0.04~0.24重量%、好ましくは0.04~0.2重量%、好ましくは0.04~0.1重量%、好ましくは0.04~0.08重量%、好ましくは0.06~0.24重量%、好ましくは0.06~0.2重量%、好ましくは0.06~0.14重量%、好ましくは0.06~0.1重量%、又は好ましくは0.06~0.08重量%のソルビトールを有する。
【0046】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、ソルビトールを含有しない。
【0047】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、1,6-GPS、1,1-GPM、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS、6-g-1,1-GPM、及びGPIを有する。
【0048】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量(TS)に対して、0.01~0.2重量%、好ましくは0.01~0.16重量%、好ましくは0.01~0.12重量%、好ましくは0.01~0.1重量%、好ましくは0.01~0.08重量%、好ましくは0.01~0.06重量%、好ましくは0.01~0.04重量%、好ましくは0.02~0.3重量%、好ましくは0.02~0.2重量%、好ましくは0.02~0.16重量%、好ましくは0.02~0.1重量%、好ましくは0.02~0.06重量%、好ましくは0.04~0.16重量%、好ましくは0.04~0.2重量%、好ましくは0.04~0.1重量%、好ましくは0.04~0.08重量%、好ましくは0.06~0.2重量%、好ましくは0.06~0.14重量%、又は好ましくは0.06~0.1重量%のGPIを有する。
【0049】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、GPIを含有しない。
【0050】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それぞれイソマルト組成物の総重量に対して、10重量%まで、好ましくは8重量%まで、好ましくは6重量%まで、好ましくは4重量%まで、好ましくは2重量%まで、好ましくは2~10重量%、好ましくは2~8重量%、好ましくは2~6重量%、好ましくは2~4重量%、好ましくは1~8重量%、好ましくは1~6重量%、好ましくは1~4重量%、又は好ましくは1~2重量%の水を含有する。特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が無水である。
【0051】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、結晶の形態で存在する。さらなる好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、半結晶又は非結晶の形態で存在する。
【0052】
好ましい一実施形態では、固形イソマルト組成物が、粒子の形態で存在する。好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それによると少なくとも90%の粒子が1000μmまで、好ましくは800μmまで、好ましくは600μmまで、好ましくは500μmまで、好ましくは400μmまで、好ましくは300μmまで、好ましくは200μmまで、好ましくは100μmまで、好ましくは80μmまで、又は好ましくは60μmまでのサイズの粒径分布を有する。好ましい実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それによると少なくとも90%の粒子が100~1000μm、好ましくは100~800μm、好ましくは100~500μm、好ましくは200~800μm、好ましくは300~600μm、好ましくは10~90μm、好ましくは20~80μm、好ましくは30~80μm、好ましくは40~80μm、好ましくは50~80μm、好ましくは50~100μm、好ましくは50~200μm、好ましくは10~50μm、好ましくは10~60μm、好ましくは20~50μm、好ましくは20~60μm、好ましくは1~200μm、又は好ましくは1~100μmの粒径を有する粒径分布を有する。
【0053】
特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それによると少なくとも90%、とりわけ90%の粒子が100μmまで、とりわけ<100μmの粒径を有する粒径分布を有する。特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それによると少なくとも90%、とりわけ90%の粒子が200~710μmの粒径を有する粒径分布を有する。さらなる特に好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、それによると少なくとも90%、とりわけ90%の粒子が500~3500μmのサイズの粒径分布を有する。
【0054】
好ましい一実施形態では、本発明による固形イソマルト組成物が、少なくとも1つの甘味増強剤を有する。
【0055】
本発明に関して甘味増強剤とは、強力甘味料とは異なりそれ自体は甘味を有さないか、又はほぼ有さない、すなわち固有甘味(Eigensuesse)がないか、非常にわずかにすぎないが、別の甘味物質の甘味を増強できる物質と理解される。
【0056】
本発明は、人間及び/又は動物の飲食用製品中での、本発明によるイソマルト組成物の使用も提供し、好ましくは、人間及び/又は動物の飲食用製品が、食品若しくは嗜好品又は医薬品である。
【0057】
好ましい一実施形態では、食品又は嗜好品が、甘い菓子、甘い菓子用のフィリング、ソフトキャラメル、ハードキャラメル、フォンダン、ヨーグルト、焼菓子、チューインガム、アイスクリーム、乳、乳製品、飲料、果汁、果汁濃縮液、フルーツ調製物、マーマレード、ゼリー、又はスムージーである。
【0058】
好ましい一実施形態では、食品又は嗜好品が、食品又は嗜好品の総重量(TS)に対して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、とりわけ99重量%の本発明による固形イソマルト組成物を有する。
【0059】
本発明による固形イソマルト組成物は、例えばEP0625578A1に記載されるように、例えば、とりわけグリコシル化イソマルト成分をそれぞれ個別に、クロマトグラフィー法を利用して、従来のそれ自体公知のイソマルト組成物から単離することにより製造できる。この文書は、そこでは甘味料と呼ばれるイソマルト組成物の製造及びその組成の記載に関し、内容全体が本発明の開示に援用される。
【0060】
好ましい実施形態では、単離された、個別に存在するグリコシル化イソマルト成分(6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS及び6-g-1,1-GPM)を、本発明による固形イソマルト組成物を製造するために、それら個別成分の本発明により想定される重量比及び量で互いに、及びさらなる成分、とりわけ1,1-GPM、1,6-GPS、及び適宜1,1-GPSと混合してもよい。
【0061】
本発明のさらなる有利な形態は、従属請求項から得られる。
【0062】
本発明を、例示的実施形態をもとにより詳細に説明する。
【実施例】
【0063】
[実施例1]
本発明による結晶性イソマルト組成物の製造(未篩過)
一方では1,6-GPS及び1,1-GPMを43~57重量%の1,6-GPS対57~43重量%の1,1-GPMの等モル比で有し、以下ではイソマルトSTベース組成物(イソマルトSTベース)と呼ばれる、本発明によるイソマルト組成物と同様に比較イソマルト組成物も製造した(表1を参照)。その上、1,6-GPS及び1,1-GPMを70~80重量%の1,6-GPS対30~20重量%の1,1-GPMの比率で有し、イソマルトGSベース組成物(イソマルトGSベース)と呼ばれる、本発明によるイソマルト組成物及び比較イソマルト組成物を製造した(表1を参照)。
【0064】
前記イソマルトベース組成物を製造するために、EP0625578A1の実施例1に従って、そこでは水素化異性化ショ糖と呼ばれるイソマルト組成物(甘味料)を製造し、この組成物中に含有されている成分1,1-GPM、1,6-GPS、1,1-GPS、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS、6-g-1,1-GPM、デオキシ二糖アルコール画分、及びグリコシルグリシトール画分のクロマトグラフィー分離を行った。分離後に獲得された、単離された形態で得られる個々の成分を、市販されているマンニトール及びソルビトールと、後記の表1から読み取れる量及び量比において互いに混合し、実質的に結晶性の混合物を得た。
【0065】
得られた本発明による結晶性イソマルト組成物(試料17~32)及び比較イソマルト組成物(試料1~16)(それぞれ未篩過)の組成を、6'-g-1,1-GPM、6'-g-1,6-GPS、1-g-1,6-GPS、6-g-1,1-GPM、1,1-GPM、1,6-GPS、1,1-GPS、マンニトール、ソルビトール、デオキシ二糖アルコール、及びグリコシルグリシトールの量を示しつつ表1に列挙する。
【0066】
試料3(比較イソマルト組成物)は、EP0625578A1の実施例1中で挙げた異性化ショ糖溶液及び続くクロマトグラフィー精製に対する方法条件の適用によっても得られる。
【0067】
比較イソマルト組成物も本発明によるイソマルト組成物も、同一成分を有し、とりわけ、4つのグリコシル化成分の存在によって特徴付けられる。本発明によるイソマルト組成物は、比較イソマルト組成物と比べて、とりわけ、4つのグリコシル化成分の異なる互いの量比によって特徴付けられる。
【0068】
【0069】
[実施例2]
定義された粒径分布を有する本発明による結晶性生成物の製造
本発明によるイソマルト組成物(試料17~32)及び比較イソマルト組成物(試料1~16)から、定義された粒径分布を有する組成物を獲得した。定義された粒径分布を有する結晶性生成物(篩過済み)を表2に示す。
【0070】
【0071】
以下(実施例3~5)では、0.5~3.5mmの粒径を有する本発明によるイソマルト組成物及び比較イソマルト組成物を試料シリーズa、90%が0.2~0.71mmの粒径分布を有する本発明によるイソマルト組成物及び比較イソマルト組成物を試料シリーズb、並びに90%<0.1mmの粒径分布を有する本発明によるイソマルト組成物及び比較イソマルト組成物を試料シリーズcと呼ぶ。
【0072】
[実施例3]
流動性の検査(試料シリーズa及びb)
流動性は、European Pharmacopeia 8.0,第I巻,第2.9.36章(Powder flow,粉体流)(2013年7月15日刊行)に従って検査し、次のように分類した。この際、ERWEKA社のGTB粉体及び顆粒試験器を用いて、該当する試料の堆積物の安息角を検査した。その際、10mmの漏斗開口部を通して試料(試料体積は測定につきおよそ150mL)を基板上に流し、堆積物コーンを形成した。次いで、このコーンの側面をレーザ光線で走査し、安息角を確定した。その安息角から、European Pharmacopeia中で示される分類に準拠して試料の流動特性を得た。結果(表3)は、それぞれ3つの単一測定からの平均値である。
【0073】
本発明によるイソマルト組成物(試料17~32)の流動性は、試料シリーズa及びbの全試料に関して優良であったが、それに対して比較イソマルト組成物(試料1~16)の流動性(「流動特性(Flow property)」)は、驚くべきことに著しく悪かった。驚くべきことに、とりわけ、4つのグリコシル化成分の互いの量比が、イソマルト組成物の流動性を向上させる著しい影響を有する。
【0074】
その際、分類は次のように行った:
【0075】
【0076】
【0077】
[実施例4]
保存後の流動性(試料シリーズa及びb)
シリーズa及びbの試料を、25℃、相対湿度65%において、全部で24週間追加的に保存し、0、2、4、8、12及び24週間後に流動性を決定した。その際、本発明によるイソマルト組成物(試料17~32)においては、比較イソマルト組成物(試料1~16)と比べて、保存期間にわたり、抜群の流動性に対して実質的に低い阻害が認められた(表4及び5を参照)。
【0078】
【0079】
【0080】
[実施例5]
固結傾向の検査(試料シリーズc):
cシリーズからの試料の流動特性の確定には、固結テストを適用する。そのためには、試料をそれぞれ2度、円柱状容器(充填高さが総高の2/3)に満たす。試料をそれぞれ、フィルムディスクで覆い、質量1.2kgのピストンで押さえる。周囲との空気交換が起こり得るように、試料容器とピストンとの間にはおよそ1mmの間隙が存在する。充填した試料容器を、25℃及び相対湿度65%において、該当する期間にわたって保存する(2、4、8、12、24週間)。保存後、その際生成物表面を損なうことなくピストン及びフィルムを慎重に取り除く。試料を試料容器から出し、生成物が完全に容器から流れ出るかどうか、及び生成した堆積物内に塊が含有されているかどうかを評価する。その際、分類は次のように行った:
【0081】
【0082】
結果は、次の表6から得られる。
【0083】
【0084】
本発明によるイソマルト組成物(試料17~32)においては、比較イソマルト組成物(試料1~16)と比べて、保存期間にわたり、抜群の流動性に対して実質的に低い阻害が認められ、とりわけ、本発明によるイソマルト組成物(試料17~32)の固結傾向は、比較イソマルト組成物(試料1~16)と比べて低かった。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
グリコシル化イソマルト成分である1-O-(6'-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(6'-g-1,1-GPM)、6-O-(6'-O-α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(6'-g-1,6-GPS)、1,6-ジ-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール(1-g-1,6-GPS)及び1,6-ジ-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール(6-g-1,1-GPM)を含み、イソマルト組成物中での6'-g-1,1-GPM:6'-g-1,6-GPS:1-g-1,6-GPS:6-g-1,1-GPMの重量比が1:(0.7~1.3):(0.3~1.1):(1~2)である(それぞれ、グリコシル化イソマルト成分の重量%及び乾燥物質(TS)に関する)ことを特徴とする、固形のイソマルト組成物。
(実施形態2)
イソマルト組成物中での6'-g-1,1-GPM:6'-g-1,6-GPS:1-g-1,6-GPS:6-g-1,1-GPMの重量比が1:(0.8~1):(0.7~1):(1.2~1.8)である、実施形態1に記載のイソマルト組成物。
(実施形態3)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.01~0.2重量%の6'-g-1,1-GPMを含む、実施形態1又は2に記載のイソマルト組成物。
(実施形態4)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.01~0.2重量%の6'-g-1,6-GPSを含む、実施形態1又は2に記載のイソマルト組成物。
(実施形態5)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.01~0.2重量%の1-g-1,6-GPSを含む、実施形態1又は2に記載のイソマルト組成物。
(実施形態6)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.01~0.4重量%の6-g-1,1-GPMを含む、実施形態1又は2に記載のイソマルト組成物。
(実施形態7)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して少なくとも86重量%の1,6-GPS(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)及び1,1-GPM(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-マンニトール)を含む、実施形態1から6のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態8)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して少なくとも40重量%の1,6-GPS(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)を含む、実施形態1から7のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態9)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.1~1.0重量%の1,1-GPS(1-O-α-D-グルコピラノシル-D-ソルビトール)を含む、実施形態1から8のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態10)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.01~2.0重量%のデオキシ二糖アルコールを含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態11)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.01~2.0重量%のグルコシルグリシトールを含む、実施形態1から10のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態12)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.01~0.3重量%のマンニトールを含む、実施形態1から11のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態13)
イソマルト組成物の総重量(TS)に対して0.01~0.4重量%のソルビトールを含む、実施形態1から12のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態14)
1000μmまでのサイズの粒子が少なくとも90%の粒径分布を有する、実施形態1から13のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態15)
100~1000μmのサイズの粒子が少なくとも90%の粒径分布を有する、実施形態1から14のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態16)
イソマルト組成物の総重量に対して、含水量が2~6重量%である、実施形態1から15のいずれか一項に記載のイソマルト組成物。
(実施形態17)
食品又は嗜好品としての、実施形態1から16のいずれか一項に記載のイソマルト組成物の使用。