(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】1-イミダゾチアジアゾロ-2H-ピロール-5-オン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 513/04 20060101AFI20230831BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230831BHJP
A61K 31/433 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C07D513/04 301
C07D513/04 CSP
A61P25/08
A61K31/433
(21)【出願番号】P 2020560493
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019061498
(87)【国際公開番号】W WO2019215062
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514232085
【氏名又は名称】ユーシービー バイオファルマ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャントー、ユーグ
(72)【発明者】
【氏名】ケスネル、ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】デラトゥール、クロード
(72)【発明者】
【氏名】プロバン、ローラン
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-508321(JP,A)
【文献】国際公開第2012/143116(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/132139(WO,A1)
【文献】特表2014-511883(JP,A)
【文献】特表2008-542323(JP,A)
【文献】特表2021-505639(JP,A)
【文献】C.G.WERMUTH編,『最新 創薬化学 上巻』,株式会社テクノミック,1998年08月15日,235-271頁,13章 等価置換に基づく分子の変換
【文献】野崎正勝ら,創薬化学,化学同人,1995年07月01日,p.98-99
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)による化合物、またはその薬学的に許容される塩:
【化1】
式中、
R
1が、C
1-4アルキルまたはC
3-5シクロアルキルであり、これらの基のいずれかが、1つ以上のハロゲン置換基によって場合により置換されており、
R
2が、1つのヒドロキシ置換基またはアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルであり、
R
3が、ハロゲンであるか;C
1-4アルキルまたはC
3-4シクロアルキルであり、これらの基のいずれかが、1つ以上のハロゲン原子によって場合により置換されている、式(I)による化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
2が、アルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
3が、1つ以上のハロゲン原子によって置換されたC
1-4アルキルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
1が、n-プロピル、2,2-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチルまたは2,2-ジフルオロシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
1が、3,3,3-トリフルオロプロピルまたは2,2-ジフルオロシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
2が、ヒドロキシメチルまたはメトキシメチルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
2がメトキシメチルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
3が、メチル基、ジフルオロメチル基、塩素基またはトリフルオロメチル基である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
3が、メチルまたはジフルオロメチルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン
;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン
;
1-[[6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン;
3-(2-クロロ-2,2-ジフルオロ-エチル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
3-(2,2-ジフルオロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2-ジフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
3R-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
3S-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3R-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3S-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3R-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3S-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン;
3-(2,2-ジフルオロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(ヒドロキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(ヒドロキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;および
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(ヒドロキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物
を含む医薬組成物。
【請求項12】
薬学的に許容される希釈剤または担体
を含む、請求項
11に記載
の医薬組成物。
【請求項13】
てんかん、てんかん発作、発作性疾患、痙攣、特に難治性発作の治療に使用するための、請求項
11または12に記載の
医薬組成物。
【請求項14】
てんかん、てんかん発作、発作性疾患、痙攣の治療および/または予防のための、特に難治性発作の治療のための薬剤を製造するための、請求項1から10のいずれか一項に記載
の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-イミダゾチアジアゾロ-2H-ピロール-5-オン誘導体、それらを調製するためのプロセス、それらを含有する医薬組成物、および医薬品としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
SV2A結合親和性と抗痙攣効力との間に機能的相関が存在し、SV2Aタンパク質がてんかんの病態生理で役割を発揮していると思われることが、文献(Kaminski et al.in Neuropharmacology,54,(2008)715)から知られている(Loscher et al.in CNS drugs,October 2016)。
【0003】
いくつかのSV2Aリガンドは、本発明者らの同時係属特許出願における以下に記載さするものを含め、先行技術に記載されている。
【0004】
国際公開第2011/047860号パンフレットは、以下の式Aの2-オキソ-1-ピロリジニルイミダゾチアジアゾール誘導体化合物を開示している:
【化1】
式中、
R
1は、少なくとも1つのハロゲン置換基を含むC
1-4アルキルであり、
R
2は、ハロゲン、または少なくとも1つのハロゲン置換基を含むC
1-4アルキルのいずれかであり、
R
3は、少なくとも1つのヒドロキシ置換基またはアルコキシ置換基を含むC
1-4アルキルである。
【0005】
国際公開第2008/132139号パンフレットでは、式(B)の抗てんかん化合物が開示されている:
【化2】
式中、
Yは、OまたはSであり、
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり、
R
2は、水素であり、
R
3は、-CONR
5R
6、-COR
7、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリダジニルであり、
R
5、R
6は、同じであるか異なり、水素およびC
1-6アルキルから独立して選択され、
R
7は、C
1-6アルキルであり、
Zは、イミダゾリジン-1-イル、1,3-オキサゾリジン-3-イル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル、1,3-チアゾール-3(2H)-イル、1,3-チアゾリジン-3-イル、ピペリジン-1-イル、アゼパン-1-イル、5,6-ジヒドロ-4H-チエノ[3,2-b]ピロール-4-イル、ヘキサヒドロ-4H-チエノ[3,2-b]ピロール-4-イル、2,3-ジヒドロ-1H-チエノ[3,4-b]ピロール-1-イル、1,3-ベンゾチアゾール-3(2H)-イル、1,3-ベンゾオキサゾール-3(2H)-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-1(2H)-イル、3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル、3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル、1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-2-ベンズアゼピン-2-イル、1,2,4,5-テトラヒドロ-3H-3-ベンズアゼピン-3-イルからなる群から選択される単環式または二環式複素環部分である。
【0006】
国際公開第2008/132139号パンフレットの特定の実施形態では、式(B)のZ=Y部分は、以下であり得る:
【化3】
【0007】
上記の化合物は、てんかん、てんかん発作、発作性疾患、痙攣、特に難治性発作の治療に対する薬剤としての使用について記載されている。
【0008】
発作制御では、抗てんかん薬が利用可能であるにもかかわらず、現在利用可能な治療にまったく反応しないか、不十分にしか反応しない患者に生じる持続的な問題が依然として存在する。
【0009】
これらの患者は治療に抵抗性であると考えられており、医学界にとって大きな課題となっている。てんかん患者の約30%が難治性として分類されると推定される。したがって、この患者集団を特に対象とする新たな薬剤を開発する必要がある。
【0010】
さらに、治療に使用するための化合物を開発する際に直面する可能性のある問題が、特定の化合物がCYP450酵素を誘導する能力である。そのような酵素の誘導は、そのような化合物、またはそれとともに同時投与され得る他の化合物の患者への曝露に影響を及ぼし、それによって、それらのそれぞれの安全性または有効性を潜在的に変化させる可能性がある。したがって、そのような誘導の可能性も最小限に抑える化合物を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、式(I)を有する1-イミダゾチアジアゾロ-2H-ピロール-5-オン誘導体、それらの幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、同位体および混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を提供する:
【化4】
【0012】
本発明のさらなる態様は、詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、式(I)による1-イミダゾチアジアゾロ-2H-ピロール-5-オン誘導体に関する:
【化5】
式中、
R
1は、C
1-4アルキルまたはC
3-5シクロアルキルであり、これらの基のいずれかは、1つ以上のハロゲン置換基によって場合により置換されており、
R
2は、1つのヒドロキシ置換基またはアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルであり、
R
3は、ハロゲンであるか;C
1-4アルキルまたはC
3-4シクロアルキルであり、これらの基のいずれかは、1つ以上のハロゲン原子によって場合により置換されている。
【0014】
式(I)の化合物の互変異性体、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、同位体および混合物または薬学的に許容される塩、ならびに任意の重水素化変異体もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0015】
したがって、式(I)による化合物は、先行技術に開示されている化合物とは異なる。
【0016】
一実施形態では、R1は、1つ以上のハロゲン置換基によって場合により置換されたC1-4アルキルである。この実施形態の第1の態様では、R1は、非置換のC1-4アルキルである。この実施形態の第2の態様では、R1は、1つ以上のハロゲンによって置換されたC1-4アルキルである。好適には、この特定の態様では、ハロゲン置換基は、クロロ置換基またはフルオロ置換基である。
【0017】
別の実施形態では、R1は、1つ以上のハロゲン置換基によって場合により置換されたC3-5シクロアルキルである。この実施形態の第1の態様では、R1は、非置換のC3-5シクロアルキルである。この実施形態の第2の態様では、R1は、1つ以上のハロゲンによって置換されたC3-5シクロアルキルである。好適には、この特定の態様では、ハロゲン置換基はフルオロ置換基である。
【0018】
特定の実施形態では、R1は、1つ以上のハロゲン置換基によって置換されたC1-4アルキルである。この特定の実施形態の特定の態様では、R1は、1つ以上のフルオロ置換基によって置換されたC1-4アルキルである。
【0019】
R1基の好適な例には、n-プロピル、2,2-ジフルオロプロピル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル2-フルオロエチルおよび2,2-ジフルオロシクロプロピルが挙げられる。
【0020】
R1基の特定の例には、n-プロピル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2,2,2-トリフルオロエチルおよび2,2-ジフルオロシクロプロピルが挙げられる。好ましい実施形態では、R1は、3,3,3-トリフルオロプロピルまたは2,2-ジフルオロシクロプロピルである。
【0021】
一実施形態では、R2は、1つのヒドロキシによって置換されたC1-4アルキルである。別の実施形態では、R2は、1つのアルコキシ置換基によって置換されたC1-4アルキルである。この実施形態の特定の態様では、R2は、メトキシ置換基によって置換されたC1-4アルキルである。
【0022】
特定の実施形態では、R2は、ヒドロキシメチルまたはメトキシメチルである。
【0023】
好ましい実施形態では、R2はメトキシメチルである。
【0024】
第1の実施形態では、R3は、1つ以上のハロゲン原子によって場合により置換されたC1-4アルキルである。この実施形態の第1の態様では、R3は、非置換のC1-4アルキルである。この実施形態の第2の態様では、R3は、1つ以上のハロゲン原子によって置換されたC1-4アルキルである。好適には、この特定の態様では、R3は、1つ以上のフルオロ原子によって置換されたC1-4アルキルである。
【0025】
第2の実施形態では、R3は、1つ以上のハロゲン原子によって場合により置換されたC3-4シクロアルキルである。この実施形態の第1の態様では、R3は、非置換のC3-4シクロアルキルである。この実施形態の第2の態様では、R3は、1つ以上のハロゲン原子によって置換されたC3-4シクロアルキルである。好適には、この特定の態様では、R3は、1つ以上のフルオロ原子によって置換されたC3-4シクロアルキルである。
【0026】
第3の実施形態では、R3はハロゲンである。この実施形態の特定の態様では、R3はクロロである。
【0027】
R3の好適な例には、メチル、ジフルオロメチル、クロロ、トリフルオロメチルおよび1-フルオロシクロプロピルが挙げられる。
【0028】
好ましい実施形態では、R3は、メチルまたはジフルオロメチルである。
【0029】
R1基、R2基およびR3基の上記の実施形態および例のあらゆる組合せが、本発明の範囲内に包含される。
【0030】
さらに特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下のものである:
・R1は、C1-4アルキルまたはC3-5シクロアルキルであり、これらの基のいずれかは、1つ以上のハロゲン置換基によって場合により置換されており、
・R2は、アルコキシ置換基によって置換されたC1-4アルキルであり、
・R3は、1つ以上のハロゲン原子によって置換されたC1-4アルキルである。
【0031】
本発明による特定の化合物は、以下からなる群から選択されるものである:
1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン;
3-(2-クロロ-2,2-ジフルオロ-エチル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
3-(2,2-ジフルオロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2-ジフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
3R-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
3S-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3R-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3S-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3R-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3S-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン;
3-(2,2-ジフルオロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン;
1-[[2-(ヒドロキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(ヒドロキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン;および
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(ヒドロキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン。
【0032】
以下の段落は、本発明による化合物を構成する様々な化学部分の定義を提供し、他に明確に示された定義がさらに広範囲な定義を提供しない限り、明細書および請求項全体を通して均一に適用されることを意図している。
【0033】
「C1-4アルキル」とは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基を指す。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどの基によって例示される。「C1-4アルキル」基は、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシから選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0034】
本明細書で使用される用語「C3-5シクロアルキル」は、飽和単環式炭化水素に由来する、3~5個の炭素原子の一価基を指す。例示的なC3-5シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルが含まれる。C3-5シクロアルキル基の例には、C3-4シクロアルキルがあり、C3-4シクロアルキルとは、3~4個の炭素原子を有する基を指す。例示的なC3-4シクロアルキル基は、シクロプロピルおよびシクロブチルである。
【0035】
式(I)の任意の部分「H」は、同位体水素、重水素またはトリチウムであり得る。
【0036】
「ヒドロキシ」は、式-OHの基を表す。
【0037】
「アルコキシ」は、Rが「C1-4アルキル」を含む基-O-Rを指す。
【0038】
「ハロゲン」は、フルオロ原子、クロロ原子、ブロモ原子およびヨード原子、好ましくはフルオロおよびクロロを指す。
【0039】
本発明による「薬学的に許容される塩」には、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な非毒性の酸性塩または塩基塩の形態が含まれる。
【0040】
塩基としてその遊離形態で生じる式(I)の化合物の酸付加塩形態は、適切な酸、例えば、無機酸、例えば、ハロゲン化水素、例えば、塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;または、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモ酸などのような有機酸によって遊離塩基を処理することにより得ることができる。
【0041】
酸性プロトンを含む式(I)の化合物は、適切な有機塩基および無機塩基を用いた処理により、それらの治療的に活性な非毒性の塩基付加塩形態、例えば金属塩またはアミン塩に変換され得る。適切な塩基塩形態には、例えば、アンモニウム塩、アルカリ塩およびアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば、N-メチル-D-グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびにアミノ酸との塩、例えば、アルギニン、リジンなどとの塩が含まれる。
【0042】
逆に、上記塩形態は、適切な塩基または酸を用いて処理することにより遊離形態に変換することができる。
【0043】
式(I)の化合物およびそれらの塩は、本発明の範囲内に含まれる溶媒和物の形態であり得る。そのような溶媒和物には、例えば、水和物、アルコラートなどが含まれる。
【0044】
式(I)の化合物および/またはそれらの中間体は、それらの構造中に少なくとも1つの不斉中心を有し得る。この不斉中心は、RまたはS配置で存在してもよく、上記RおよびS表記は、Pure Appl.Chem.,45(1976)11-30に記載の規則に対応して使用される。したがって、本発明はまた、式(I)の化合物またはそれらの混合物(立体異性体のあらゆる可能な混合物を含む)の鏡像異性体形態およびジアステレオ異性体形態などのあらゆる立体異性体形態に関する。本発明に関して、単数または複数の化合物への言及は、特定の異性体形態が具体的に言及されない限り、その可能な異性体形態およびそれらの混合物のそれぞれにおけるその化合物を包含することが意図される。本明細書で使用される「鏡像異性的に純粋な」という表現は、95%を超える鏡像異性体過剰率(ee)を有する化合物を指す。
【0045】
本発明による化合物は、様々な多形形態で存在し得る。上記の式では明確に示されていないが、そのような形態は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0046】
本発明による式(I)の化合物は、合成有機化学の当業者によって理解されるように、従来の方法と同様に調製することができる。
【0047】
一実施形態によれば、R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである一般式(I)を有する化合物は、以下の式に従って、式(II)のアミンを用いて、式(III)のヒドロキシラクトンを還元的アミノ化することによって調製され得る:
【化6】
式中、R
1およびR
3は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有する。
【0048】
この反応は、国際公開第01/62726号パンフレット、国際公開第2006/128792号パンフレットおよび国際公開第2008/132139号パンフレットの特許出願に記載されている手順に従って行われてもよい。
【0049】
式(III)の化合物は、国際公開第01/62726号パンフレットもしくは国際公開第2006/128792号パンフレットの特許出願に記載されている方法に従って、または当業者に公知の任意の方法に従って調製され得る。
【0050】
R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである式(II)の化合物は、以下の式に従って、式(IV)の化合物を還元することによって調製され得る:
【化7】
式中、R
3は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有する。
【0051】
この反応は、室温でTHF/水混合物中のトリフェニルホスフィンなどの還元剤を使用して、または当業者に公知の任意の方法に従って行われてもよい。
【0052】
R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである式(IV)の化合物は、以下の式に従って、式(V)の化合物を変換することによって調製され得る:
【化8】
式中、R
3は、式Iの化合物について上で定義されたものと同じ定義を有する。
【0053】
この反応は、ジクロロメタン中のN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下、0℃で、メタンスルホニルクロリドなどの塩化スルホニルを用いて、または当業者に公知の任意の他の方法に従って化合物(V)を処理し、続いて、0℃でDMF中のアジ化ナトリウムなどのアジド誘導体を用いて中間体を処理することにより、2段階系列で行われてもよい。
【0054】
あるいは、化合物(II)は、ジクロロメタン中のN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基または塩化チオニルなどの塩素化剤の存在下、0℃で、メタンスルホニルクロリドなどの塩化スルホニルを用いて、または当業者に公知の任意の他の方法に従って化合物(V)を処理し、続いてヘキサメチレンテトラミンを用いて中間体を処理し、続いて中間体の第四級アンモニウム塩を酸加水分解することにより、3段階系列で調製されてもよい。
【0055】
R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである式(V)の化合物は、以下の式に従って、式(VI)の化合物のヒドロキシメチル化によって調製され得る:
【化9】
式中、R
3は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有する。
【0056】
この反応は、100℃のジオキサンなどの極性溶媒中、酸性条件下でパラホルムアルデヒドなどのホルミル化剤を使用して、または当業者に公知の任意の他の方法に従って行われてもよい。
【0057】
R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである式(VI)の化合物は、以下の式に従って、式(VII)の化合物と式(VIII)のブロモ誘導体とを反応させることにより合成され得る:
【化10】
式中、R
3は、式(I)の化合物について上記されたものと同じ定義を有する。
【0058】
この反応は、文献に記載されているか当業者に公知の手順を使用して行われてもよい。
【0059】
式(VII)および式(VIII)の化合物は、市販されているか、当業者に公知の任意の方法に従って合成され得る。
【0060】
別の実施形態によれば、R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである式(I)の化合物は、以下の式に従って、式(V)の化合物と式(IX)のピロロンとを反応させることにより合成され得る:
【化11】
式中、R
1およびR
3は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有する。
【0061】
この反応は、高温でスルホランなどの非プロトン性溶媒中、p-トルエンスルホン酸などの酸を使用して行われてもよい。
【0062】
式(IX)の化合物は、以下の式に従って、式(X)の化合物を脱保護することにより調製され得る:
【化12】
式中、R
1は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有し、Pは、場合により置換されたベンジル基などの保護基である。
【0063】
この反応は、当業者に公知の任意の標準的な脱保護方法に従って行われてもよい。
【0064】
式(X)の化合物は、式(XI)のアミンを用いて、式(III)のヒドロキシラクトンを還元的アミノ化することによって調製され得
【化13】
式中、R
1は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有し、Pは、場合により置換されたベンジル基などの保護基である。
【0065】
この反応は、国際公開第01/62726号パンフレット、国際公開第2006/128792号パンフレットおよび国際公開第2008/132139号パンフレットの特許出願に記載されている手順に従って行われてもよい。
【0066】
別の実施形態によれば、R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである式(I)の化合物は、以下の式に従って、式(VI)の化合物と式(XII)のピロロンとのFriedel-Crafts型反応によって合成され得:
【化14】
式中、R
1およびR
3は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有する。
【0067】
この反応は、100~120℃の範囲の温度でスルホランまたはジオキサンなどの極性溶媒中の塩化亜鉛または塩化第二鉄などのルイス酸の存在下で、塩素原子またはp-トルエンスルホニル基などの脱離基(Y)を有する式(XII)のピロロンを用いて、または文献に記載されているか当業者に公知の任意の手順に従って行われてもよい。
【0068】
式(XII)の化合物は、PCT特許出願国際公開第2006/128693号パンフレットに記載されている方法に従って、または当業者に公知の任意の他の方法に従って、式(IX)の対応するピロロンから調製され得る。
【0069】
あるいは、R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである式(I)の化合物は、以下の式に従って、式(XIII)の化合物を酸化することにより合成され得る:
【化15】
式中、R
1およびR
3は、式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有する。この反応は、室温で、メタノールなどの極性溶媒中の過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤を使用して、または当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。
【0070】
R
2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC
1-4アルキルである式(XIII)の化合物は、以下の式に従って、式(V)の化合物と式(XIV)のピロリドンとを反応させることにより調製され得る:
【化16】
【0071】
この反応は、高温でスルホランなどの非プロトン性溶媒中、p-トルエンスルホン酸などの酸を使用して行われてもよい。
【0072】
R
1が式(I)の化合物について上で定義されたものと同じ定義を有する式(XIV)のピロリドンは、以下の式に従って、保護されたピロリドン(XVI)のセレニル化によって得られた式(XV)のピロリドンの脱保護によって、3段階系列で合成され得る:
【化17】
【0073】
保護-脱保護工程は、当業者に公知の任意の方法によって行われてもよい。セレニル化反応は、-78℃などの低温で、テトラヒドロフランなどの極性溶媒中でリチウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどの強塩基を使用して脱プロトン化し、続いてフェニルセレネニルクロリドまたはブロミドなどのセレニル化剤によってエノラートを捕捉することによって行われてもよい。
【0074】
ピロリドン(XVII)または(XVI)は、国際公開第2006/128792号パンフレットもしくは国際公開第2011/047860号パンフレットの特許出願に記載されている方法に従って、または当業者に公知の任意の方法に従って調製され得る。
【0075】
R2が1つのヒドロキシ置換基によって置換されたC1-4アルキルである式(I)の化合物は、R2が1つのアルコキシ置換基によって置換されたC1-4アルキルである式(I)の化合物の脱アルキル化によって調製され得る。この反応は、室温でジクロロメタンなどの無極性溶媒中で三臭化ホウ素もしくは三塩化物などの脱アルキル化試薬を使用して、または当業者に公知の任意の方法に従って行われてもよい。
【0076】
本発明の化合物は、てんかん、てんかん発作、発作性疾患、痙攣、特に難治性発作の治療に有益である。
【0077】
したがって、別の実施形態では、本発明は、薬剤として使用するための、上で定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0078】
その実施形態の一態様では、本発明はまた、てんかん、てんかん発作、発作性疾患、痙攣、特に難治性発作の治療および/または予防に使用するための、上で定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0079】
さらなる実施形態では、本発明は、てんかん、てんかん発作、発作性疾患、痙攣の治療および/または予防のための、特に難治性発作の治療のための薬剤を製造するための、上記で定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。患者が最大耐量で2つ以上の抗てんかん薬を用いた先行技術治療で12カ月以上にわたる無発作期間を達成できない場合、発作は難治性として分類され得る。国際抗てんかん連盟(ILAE)は、薬剤耐性てんかんを「持続的な無発作期間を達成するための、耐容性があり、適切に選択および使用された2つのAEDスケジュール(単剤療法または併用)の十分な試験の失敗」と定義している。
【0080】
本発明の方法は、上記の状態または障害に罹患している哺乳動物(好ましくはヒト)に対して、障害または状態を緩和または予防するのに十分な量の本発明による化合物を投与することを含む。
【0081】
化合物は、限定するものではないが、1単位剤形当たり1~2000mg、好ましくは1~1000mg、さらに好ましくは1~500mgの活性成分を含有する単位剤形を含む、任意の好適な単位剤形で適宜投与される。
【0082】
本明細書で使用される用語「治療」は、治癒的治療および予防的治療を含む。
【0083】
「治癒的」とは、障害または状態の現在の症候性エピソードの治療における効能を意味する。
【0084】
「予防的」とは、障害または状態の発生または再発の予防を意味する。
【0085】
本明細書で使用される用語「てんかん」は、非誘発性再発性てんかん発作を特徴とする慢性神経学的状態を指す。てんかん発作は、一連の脳ニューロンの異常かつ過剰な同期化放電の発現であり、その臨床症状は突然で一過性である。本明細書で使用される用語「てんかん」はまた、発作の周期的な発生を特徴とする脳機能の障害を指し得る。発作は、高熱または毒素への曝露などの条件によって正常な脳で引き起こされると「非てんかん性」になり得るか、明らかな誘発無しに誘発されると「てんかん性」になり得る。
【0086】
本明細書で使用される用語「発作」は、脳ニューロンの集団の無秩序で同期的かつ律動的な発火による挙動の一過的変化を指す。
【0087】
本発明のさらなる態様は、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて式(I)の化合物の有効量を含む医薬組成物に関する。
【0088】
上記の適応症のいずれかにおける活性は、言うまでもなく、特定の適応症について、および/または一般的な臨床試験のデザインにおいて、当業者に公知の方法で好適な臨床試験を実施することによって決定することができる。
【0089】
疾患を治療するために、式(I)の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩は、有効な一日投与量で使用され、医薬組成物の形態で投与され得る。
【0090】
したがって、本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物に関する。
【0091】
本発明による医薬組成物を調製するために、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上が、当業者に公知の従来の医薬配合技術に従って医薬希釈剤または担体と密接に混合される。
【0092】
好適な希釈剤および担体は、所望の投与経路、例えば、経口、直腸、非経口または鼻腔内に応じて、多種多様な形態を取り得る。
【0093】
本発明による化合物を含む医薬組成物は、例えば、経口、非経口、すなわち、静脈内、筋肉内もしくは皮下、髄腔内、経皮(パッチ)、吸入または鼻腔内投与することができる。
【0094】
経口投与に適した医薬組成物は、固体または液体であり得、例えば、錠剤、丸剤、糖衣錠、ゼラチンカプセル、溶液、シロップ、チューインガムなどの形態であり得る。
【0095】
この目的のために、活性成分は、不活性希釈剤またはデンプンもしくはラクトースなどの非毒性の薬学的に許容される担体と混合されてもよい。場合により、これらの医薬組成物はまた、微結晶セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどの結合剤、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤、スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤、または着色剤、もしくはペパーミントもしくはサリチル酸メチルなどの香味剤を含有することができる。
【0096】
本発明は、制御された方法で活性物質を放出することができる組成物も企図する。
【0097】
非経口投与に使用することができる医薬組成物は、アンプル、使い捨て注射器、ガラスもしくはプラスチックのバイアルまたは注入容器に一般的に含まれる水性または油性の溶液または懸濁液などの従来の形態である。
【0098】
活性成分に加えて、これらの溶液または懸濁液はまた、注射用水、生理食塩水、油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤、ベンジルアルコールなどの抗菌剤、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、アセタート、シトラートまたはホスファートなどの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧調整剤を場合により含有することができる。
【0099】
これらの医薬形態は、薬剤師が常用的に使用している方法を使用して調製される。
【0100】
医薬組成物中の活性成分の量は、幅広い濃度の範囲内になり得、患者の性別、年齢、体重および病状、ならびに投与方法などの様々な因子に応じて決まる。したがって、経口投与用の組成物中の式(I)の化合物の量は、少なくとも0.5重量%であり、組成物の総重量に対して最大80重量%であり得る。
【0101】
本発明によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、単独で、または他の薬学的に活性な成分と組み合わせて投与することができることも見出された。本発明による化合物と組み合わせて使用するために挙げることができるそのような追加の化合物の非限定的な例には、抗ウイルス薬、鎮痙薬(例えば、バクロフェン)、制吐薬、抗躁気分安定剤、鎮痛薬(例えば、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモール)、麻薬性鎮痛薬、局所麻酔薬、オピオイド鎮痛薬、リチウム塩、抗うつ薬(例えば、ミアンセリン、フルオキセチン、トラゾドン)、三環系抗うつ薬(例えば、イミプラミン、デシプラミン)、抗痙攣薬(例えば、バルプロ酸、カルバマゼピン、フェニトイン)、統合失調症治療薬(例えば、リスペリドン、ハロペリドール)、神経遮断薬、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、クロナゼパム)、フェノチアジン(例えば、クロルプロマジン)、カルシウムチャネル遮断薬、アンフェタミン、クロニジン、リドカイン、メキシレチン、カプサイシン、カフェイン、クエチアピン、セロトニン拮抗薬、β遮断薬、抗不整脈薬、トリプタン、麦角誘導体およびアマンタジンがある。
【0102】
経口組成物の場合、一日投与量は、式(I)の化合物の1mg~2000mgの範囲である。好ましくは、式(I)の化合物の1mg~1000mg、最も好ましくは、1mg~500mgの範囲である。
【0103】
非経口投与用の組成物では、存在する式(I)の化合物の量は、少なくとも0.5重量%であり、組成物の総重量に対して最大33重量%であり得る。好ましい非経口組成物の場合、投与単位は、式(I)の化合物の1mg~2000mgの範囲である。
【0104】
一日用量は、式(I)の化合物の幅広い投与単位の範囲内に収まり得、一般に1~2000mg、好ましくは1~1000mgの範囲である。ただし、具体的な用量は、医師の裁量で、個々の要件に応じて特定の症例に適合させることができることを理解すべきである。
【0105】
本発明によって提供されるSV2タンパク質結合化合物およびその標識化誘導体は、SV2タンパク質に結合する試験化合物(例えば、潜在的な医薬品)の能力を決定する際の標準物質および試薬として有用であり得る。
【0106】
本発明によって提供される、SV2タンパク質のリガンドの標識化誘導体はまた、陽電子放出断層撮影(PET)イメージングまたは単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)のための放射性トレーサーとしても有用であり得る。
【0107】
したがって、本発明は、SV2タンパク質に対するさらに強力な結合に基づいて、潜在的な医薬品を発見するため、特に本明細書に記載される状態を治療および予防するため、組織内でSV2タンパク質を局在化するため、ならびに精製SV2タンパク質を特性評価するための化学ライブラリーをスクリーニングするためのツールとしての標識化リガンドをさらに提供する。SV2タンパク質にはSV2A、SV2BおよびSV2Cが含まれ、SV2Aは抗発作薬レベチラセタムおよびその類似体の結合部位である。SV2アイソフォームSV2A、SV2BまたはSV2Cは、ヒト、ラットまたはマウスを含む任意の哺乳動物種の組織、特に、脳に由来し得る。あるいは、アイソフォームは、異種発現され、アッセイに使用される、ヒト、ラットおよびマウスを含む任意の哺乳動物種のクローン化されたバージョンであり得る。スクリーニング方法は、哺乳動物もしくはヒトの脳膜などの脳膜、またはSV2タンパク質もしくはその断片、特にSV2AおよびSV2Cを発現するがSV2Bを含む細胞株を推定薬剤に曝露し、膜またはタンパク質もしくは断片および薬剤を式(I)の標識化合物とインキュベートすることを含む。この方法は、タンパク質に対する式(I)の化合物の結合が推定薬剤によって阻害されるかどうかを決定し、それによって、タンパク質の結合パートナーを特定することをさらに含む。したがって、スクリーニングアッセイにより、SV2タンパク質と相互作用する新たな薬物または化合物の特定が可能になる。本発明はまた、SV2タンパク質の光活性化可能なリガンドを提供する。
【0108】
標識化リガンドはまた、可溶化、精製およびクロマトグラフィー後のSV2タンパク質の立体構造状態を評価するためのツールとして使用することができる。標識化リガンドは、直接的または間接的に標識され得る。好適な標識の例には、3Hなどの放射性標識、蛍光標識、酵素、ユーロピウム、ビオチン、およびこの種のアッセイのための他の従来の標識が挙げられる。
【0109】
式(I)の標識化合物は、この方法では、SV2タンパク質(SV2A、SV2BおよびSV2C)に結合する新たな化合物または薬剤をスクリーニングするためのアッセイのプローブとして有用である。そのようなアッセイの実施形態では、リガンドは、修飾することなく使用することができるか、様々な方法で、例えば、検出可能なシグナルを直接的または間接的に提供する部分を共有結合的または非共有結合的に結合するなどの標識によって修飾することができる。これらのアッセイのいずれでも、材料は直接的または間接的に標識することができる。直接標識の可能性には、限定するものではないが、[3H]、[14C]、[32P]、[35S]または[125I]を含む放射性標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼなどの酵素、ならびに限定するものではないが、フルオレセインまたはローダミンを含む、蛍光強度、波長シフトまたは蛍光偏光の変化をモニタリングすることができる蛍光標識などの標識群が含まれる。間接標識の可能性には、1つの成分をビオチン化した後、上記の標識群のうちの1つに結合したアビジンに結合させること、または抗リガンド抗体を使用することが含まれる。化合物が固体支持体に結合される場合、化合物はまた、スペーサーまたはリンカーを含み得る。SV2タンパク質(特にSV2AおよびSV2C)に対する結合について、本発明による標識化リガンドと競合または相互作用する薬剤または化合物を特定するために、SV2AもしくはSV2CまたはSV2タンパク質全体もしくはその断片を含有するインタクトな細胞、細胞断片または膜断片を使用することができる。薬剤または化合物は、標識化レベチラセタムまたはその類似体もしくは誘導体とのインキュベーションの前、それと同時、またはその後に、細胞、膜、SV2タンパク質または断片とインキュベートされてもよい。アッセイは、SV2タンパク質またはその断片に対するレベチラセタムの結合またはその誘導体もしくは類似体の結合をモニタリングするハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイを含め、任意の利用可能な形式で修飾または調製され得る。化合物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムでは、所定の期間に調査する化合物の数を最大化するために、ハイスループットアッセイが望ましい。そのようなスクリーニングアッセイは、SV2を含有するインタクトな細胞、細胞断片または膜断片、および精製または半精製タンパク質によって誘導され得るような無細胞系または無膜系を使用してもよい。SV2タンパク質およびペプチドまたは精製SV2タンパク質およびペプチドを含有する膜断片を用いたアッセイの利点は、試験化合物の細胞毒性および/または生物学的利用能の作用を一般に無視することができ、代わりに、アッセイでは、例えば、2つの分子間の結合の阻害に現れ得るような分子標的に対する薬物の効果に主に重点を置かれることである。アッセイは、SV2もしくはSV2断片に対する本発明による標識化リガンドの結合、またはSV2もしくはSV2タンパク質断片に対する標識化レベチラセタムもしくはそれらの誘導体もしくは類似体の結合を阻害する試験薬剤または化合物の能力を検出するように組み立てることができる。複合体形成の阻害は、濾過アッセイ、Flashplates(Perkin Elmer)、シンチレーション近接アッセイ(SPA、GE)などの様々な技術によって検出され得る。ハイスループットスクリーニング(HTS)の場合、生体膜によってコーティングされたマイクロスフェアまたは生体膜によってコーティングされたフラッシュプレートを使用するシンチレーション近接アッセイが、分離工程または洗浄工程を必要としない強力な方法である。
【0110】
治療に使用するための化合物を開発する際に直面する可能性のある課題が、本発明の化合物(犠牲薬物(victim drug))とともに同時投与され得る特定の化合物(加害薬物(perpetrator drug))が、CYP450酵素、特にCYP3A4/5を誘導する能力である。加害薬物によるそのような酵素の誘導は、CYP450酵素、特にCYP3A4/5によって主に代謝される場合、犠牲薬物の曝露に影響を及ぼし、それによって、それらの有効性プロファイルを潜在的に変化させ得る。したがって、CYP3A4/5酵素による代謝の可能性が限定された化合物を開発することが望ましい。
【0111】
アザムリンなどの選択的CYP3A4/5阻害剤の非存在下および存在下でのヒト肝細胞クリアランスの比を計算することによって、本発明による化合物の代謝全体に対するCYP3A4/5の寄与を評価した。
【0112】
本特許出願に記載されたプロトコルに従ってこのアッセイで試験した場合、添付の例による化合物は、典型的には45%未満の、CYP3A4/5によって代謝される画分(Fm,CYP3A4/5)を示し、したがって、CYP450誘導剤と同時投与した場合の薬物-薬物相互作用のリスクを最小限に抑える。
【0113】
さらに、本発明による化合物が低い固有のクリアランスを示すことは有益であり得る。
【0114】
実験セクション
略語/再現試薬
Ac:アセチル
ACN:アセトニトリル
ブライン:飽和塩化ナトリウム水溶液
nBu:n-ブチル
tBu:tert-ブチル
Bz:ベンゾイル
CV:カラム体積
DCM:ジクロロメタン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
Et:エチル
EtOH:エタノール
Et2O:ジエチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
h:時間
HPLC:高圧液体クロマトグラフィー
LC:液体クロマトグラフィー
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析
MeOH:メタノール
min.:分
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
NMR:核磁気共鳴
iPrOH:イソプロパノール
PTSA:p-トルエンスルホン酸
RT:室温
SFC:超臨界流体クロマトグラフィー
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
【0115】
分析方法
空気または水分に敏感な試薬を含むあらゆる反応は、乾燥溶媒およびガラス器具を使用して、窒素またはアルゴン雰囲気下で行った。マイクロ波照射を必要とする実験は、オペレーティングソフトウェアのバージョン2.0によってアップグレードされたBiotage Initiator Sixty電子レンジを用いて行う。実験は、可能な限り速く必要な温度に到達するように実行する(最大照射電力:400W、外部冷却なし)。市販の溶媒および試薬は、一般に、適切な場合は無水溶媒(一般に、Aldrich Chemical Company製のSure-Seal(商標)製品またはACROS Organics製のAcroSeal(商標))を含め、さらに精製することなく使用した。一般に、反応に続いて薄層クロマトグラフィー、HPLCまたは質量分析を行った。
【0116】
HPLC分析は、Waters XBridge MS C18、5pm、150×4.6mmカラムを取り付けたAgilent 1100シリーズHPLCシステムを使用して行う。勾配は、6分間で100%溶媒A(水/ACN/ギ酸アンモニウム溶液85/5/10(v/v/v))から100%溶媒B(水/ACN/ギ酸アンモニウム溶液5/85/10(v/v/v))、100%Bで5分間保持して実行する。流量は6分間8mL/分に設定し、次いで、2分間3mL/分に増加させ、3分間3mL/分で保持する。API源の直前に1/25の分割を使用する。クロマトグラフィーは45℃で行う。ギ酸アンモニウム溶液(pH約8.5)は、水(1L)にギ酸アンモニウム(630mg)を溶解し、水酸化アンモニウム30%(500μL)を加えることにより調製する。
【0117】
異なる分析条件が使用される場合、LCデータについて異なる保持時間が得られる可能性があることは、当業者には明らかであろう。
【0118】
LCMSモードでの質量分析測定は以下の通り行う:
・塩基性溶出の場合、分析は以下を使用して行う:
LCMS分析には、QDA Watersの単純な四重極質量分析計を使用する。この分光計は、ESI源と、ダイオードアレイ検出器(200~400nm)を備えたUPLC Acquity Hclassとを装備している。データは、塩基性溶出を用いたポジティブモードでm/z 70~800のフルMSスキャンで取得する。逆相分離は、塩基性溶出では、Waters Acquity UPLC BEHC18 1.7μm(2.1×50mm)カラムを用いて45℃で行う。勾配溶出は、水/ACN/ギ酸アンモニウム(95/5/63mg/L)(溶媒A)およびACN/水/ギ酸アンモニウム(95/5/63mg/L)(溶媒B)を用いて行う。注入量:1μL。MSの全流量。
【表1】
【表2】
【0119】
・酸性溶出の場合、分析は以下を使用して行う:
LCMS分析には、QDA Watersの単純な四重極質量分析計を使用する。この分光計は、ESI源と、ダイオードアレイ検出器(200~400nm)を備えたUPLC Acquity Hclassとを装備している。データは、酸性溶出を用いたポジティブモードでm/z 70~800のフルMSスキャンで取得する。逆相分離は、酸性溶出では、Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μm(2.1×50mm)カラムを用いて45℃で行う。勾配溶出は、水/ACN/TFA(95/5/0.5mL/L)(溶媒A)およびACN(溶媒B)を用いて行う。注入量:1μL。MSの全流量。
【表3】
【表4】
【0120】
粗物質は、順相クロマトグラフィー、(酸性または塩基性)逆相クロマトグラフィー、キラル分離または再結晶によって精製され得る。
【0121】
通常の逆相クロマトグラフィーは、シリカゲルカラム(100:200メッシュシリカゲル、またはInterchim製のPuriflash(登録商標)-50SIHC-JPカラム)を使用して行う。
【0122】
分取逆相クロマトグラフィーは以下の通り行う:
・LCMS精製には、SQDまたはQM Watersトリプル四重極質量分析計を使用したLCMS精製(塩基性モード、LCMS prep)を使用する。この分光計は、ESI源と、ダイオードアレイ検出器(210~400nm)を備えたPrep LCコントローラーWatersクォータナリポンプとを装備している。
【0123】
MSパラメーター:ESIキャピラリー電圧3kV。コーンおよび抽出器電圧10。ソースブロック温度120℃。脱溶媒温度300℃。コーンガス流量30L/時間(窒素)、脱溶媒ガス流量650L/時間。データは、酸性溶出または塩基性溶出を用いたポジティブモードでm/z 100~700のフルMSスキャンで取得する。
【0124】
LCパラメーター:逆相分離は、XBridge prep OBD C18カラム(5μm、30×50mm)を用いて室温で行う(塩基性溶出)。勾配溶出は、水(溶媒A)、ACN(溶媒B)、重炭酸アンモニウム水溶液8g/L+500μL/L NH
4OH 30%(溶媒C)(pH約8.5)を用いて行う。HPLC流量:35mL/分~60mL/分、注入量:1mL。MSに対して分割比を+/-1/6000に設定する。
【表5】
【0125】
生成物は、一般に、最終分析前、および生物学的試験に供する前に真空下で乾燥させた。
【0126】
NMRスペクトルは、Bruker Topspin 3.2ソフトウェアを実行するWindows7ワークステーションと、Z勾配プローブヘッドを備えた5mm BBI S1とを搭載したBRUKER AVANCE III Ultrashield Nanobay 400MHz NMR分光計を用いて記録する。一部のNMRスペクトルは、Bruker Topspin 3.2 pl2ソフトウェアを実行するWindows7ワークステーションと、5mm Prodigy BBO 500 S1クライオプローブとを搭載したBRUKER AVANCE III HD Ascend 500MHz NMR分光計を用いて記録する。化合物は、300Kのプローブ温度でd3-クロロホルムまたはd6-DMSO溶液中で試験する。機器は、使用した溶媒の重水素シグナルでロックする。化学シフトは、内部標準として使用されるTMS(テトラメチルシラン)からのppm低磁場で示す。
【0127】
化合物名は、Accelrys Draw 4.0またはBiovia Draw 16.1によって生成する。
【0128】
以下の例は、式(I)により包含される化合物がどのように合成され得るかを例示する。それらは例示目的のみのために提供されており、いかなる方法でも本発明を限定することを意図しておらず、また本発明を限定すると解釈されるべきではない。当業者であれば、本発明の趣旨または範囲を超えることなく、以下の例の常用的な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。
【0129】
中間体
A.2-ヒドロキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-フラン-5-オンIIの合成
【化18】
A.1.ナトリウム;4,4,4-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-ブタン-1-スルホナートIの合成
4,4,4-トリフルオロブチルアルデヒド(CAS:406-87-1、1.0当量、12.75g、101mmol)に、亜硫酸水素ナトリウム(1.0当量、10.50g、101mmol)の水溶液(25mL)を0℃で加え、混合物を0℃で30分間撹拌した。沈殿物を濾過し、0℃で冷メタノール(500mL)で洗浄した。得られた固体を高真空下40℃で16時間乾燥させて、ナトリウム;4,4,4-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-ブタン-1-スルホナートI(15.4g、66.9mmol)を白色固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
収率:66%
【数1】
【0130】
A.2.2-ヒドロキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-フラン-5-オンIIの合成
水(6mL)と1,4-ジオキサン(6mL)との混合物中のグリオキシル酸一水和物(1.5当量、1.8g、19.5mmol)とモルホリン塩酸塩(1.5当量、2.4g、19.5mmol)との混合物に、ナトリウム;4,4,4-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-ブタン-1-スルホナートI(1.0当量、3.0g、13.0mmol)および塩酸(2.0当量、2.2mL、26mmol)を室温で加えた。混合物を110℃で20時間撹拌し、次いで室温に冷却した。混合物に水を加え、MTBEを用いて水層を抽出した(3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、2-ヒドロキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-フラン-5-オンII(900mg、4.5mmol、推定純度90%)を得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
収率:34%
【数2】
【0131】
4,4-ジフルオロペンタナール(CAS:1546331-97-8)から出発して同じ2段階の手順に従って、3-(2,2-ジフルオロプロピル)-2-ヒドロキシ-2H-フラン-5-オンII-Aを調製した。
収率:40%
【0132】
5,5,5-トリフルオロペンタナール(CAS:250253-47-5)から出発して同じ2段階の手順に従って、2-ヒドロキシ-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-フラン-5-オンIIIを調製した。
収率:55%(第1段階)および73%(第2段階)。
【0133】
2-ヒドロキシ-3-プロピル-2H-フラン-5-オンIII-Aは、市販されているか(CAS:78920-10-2)、ブチルアルデヒドから出発して同じ手順に従って調製され得る。
【0134】
わずかに改変された手順に従って、2-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)アセトアルデヒドから3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-2-ヒドロキシ-2H-フラン-5-オンIII-Bを調製した:
【化19】
【0135】
モルホリンの混合物(1.1当量、1.07g、676.0mmol)のヘプタン溶液(55mL)にグリオキシル酸(0.95当量、965mg、614.5mmol)を0℃で加え、混合物を40℃で2時間撹拌した。次いで、混合物を室温に冷却し、2-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)アセトアルデヒド(CAS:1823961-57-4、1.1当量、1.07g、676.0mmol)を加え、混合物を40℃で16時間撹拌した。0℃に冷却した混合物に塩酸(1.75当量、1075.5mmol、12.2mL、36.5質量%)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、ジクロロメタンを真空下25℃で蒸発させ、得られた混合物に水を加えた。水層をヘプタンで洗浄し(3回)、Na
2CO
3の飽和水溶液をpH=6~7になるまで加えた。酢酸エチルを用いて水層を抽出し(3回)、合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-2-ヒドロキシ-2H-フラン-5-オンIII-B(1.5g、7.7mmol、90質量%、
19F-NMRに基づく推定純度)を褐色油として得、これを次の工程でそのまま使用した。
収率:69%
【数3】
【0136】
B.[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVの合成
【化20】
B.1 2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールIVの合成
5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-アミン(CAS:15884-86-3、国際公開第2011/047860号パンフレット、1.0当量、7.0g、48.2mmol)のDMF(95mL)溶液に、ブロモアセトン(1.0当量、4.2mL、46.2mmol、純度97%)のDMF(5mL)溶液を100℃で滴下した。反応混合物を100℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温(RT)に冷却し、高真空下で溶媒を蒸発乾固させて、褐色油を得た。フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(14CVを通じてジクロロメタン中0%~10%メタノールの勾配の100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって粗生成物を精製し、純粋な画分を蒸発乾固させて、2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールIV(5.0g、25.11mmol)を黄色/オレンジ色の固体として得た。
収率:52%
【数4】
【0137】
B.2 [2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVの合成
密閉管内で、2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールIV(1.0当量、5.0g、25.1mmol)、パラホルムアルデヒド(6.0当量、4.50g、150mmol)および塩酸(4N)水溶液(2当量、12.55mL、50.2mmol)を1,4-ジオキサン(12.5mL)中で混合した。混合物を100℃で18時間撹拌し、次いで粗混合物を室温に温め、pH=6~7になるまでNaHCO
3の飽和水溶液を加えた。酢酸エチルを用いて水層を抽出し(3回)、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(12CVを通じてジクロロメタン中0%~5%メタノールの勾配の100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって粗生成物を精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固させて、[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールV(4.0g、18.57mmol)を白色固体として得た。
収率:74%
【数5】
【0138】
C.[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVIIの合成
【化21】
C.1.6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVIの合成
5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-アミン(CAS:15884-86-3、1.0当量、6.5g、45mmol)のDMF(100mL)溶液に、3-ブロモ-1,1-ジフルオロ-プロパン-2-オン(CAS:883233-85-0、1.05当量、8.1g、47mmol)のDMF(5mL)溶液を100℃で滴下した。反応混合物を100℃で3時間加熱し、LC/MSによって完了を確認した。NaHCO
3の飽和水溶液を加え、酢酸エチルを用いて有機層を抽出した(3回)。合わせた有機層を水で洗浄し(5回)、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、褐色固体(7.6g)を得た。フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(12CVを通じてジクロロメタン中0%~5%メタノールの勾配の100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって粗生成物を精製し、純粋な画分を合わせ、高真空下で蒸発させて、6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVI(3.95g、17.8mmol)をオレンジ色固体として得た。
収率:40%
【数6】
【0139】
C.2.[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVIIの合成
密閉管内で、6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVI(1.0当量、3.95g、18.0mmol)、パラホルムアルデヒド(6.0当量、3.24g、108mmol)および塩酸(2N)水溶液(0.9当量、8.1mL、16.2mmol)を1,4-ジオキサン(8mL)中で混合した。混合物を100℃で3.5時間撹拌し、LC/MSによって反応を確認した。粗混合物を室温に温め、pH=6~7になるまでNaHCO
3の飽和水溶液を加えた。酢酸エチルを用いて水層を抽出し(3回)、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(15CVを通じてジクロロメタン中0%~10%メタノールの勾配の100g KP-SNAPシリカゲルカラム)によって粗生成物を精製して、黄色油(3g)を得、これを逆相HPLC(KROMASIL-Eternity XT C
18 10μm/20/80/0.1~50/50/0.1のACN/H
2O/NH
4OH勾配)によって2回精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固させて、[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVII(2g、8.02mmol)を白色固体として得た。
収率:45%
【数7】
【0140】
D.[6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVII-A
【化22】
D.1.6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVI-Aの合成
5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-アミン(1当量、2.0g、13.7mmol)のDMF(30mL)溶液に、2-クロロ-1-(1-フルオロシクロプロピル)エタノン(CAS:151697-21-1、1.05当量、1.97g、14.4mmol)のDMF(2mL)溶液を10℃で滴下した。反応混合物を100℃で2時間30分加熱し、次いでNaHCO
3の飽和水溶液を加え、酢酸エチルを用いて水層を抽出した(3回)。合わせた有機層を水で洗浄し(5回)、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて褐色油を得た。逆相分取HPLC Gilson(YMC Triart C18 80×204-10μm-500g-勾配ACN/H
2O 40/60~95/05)によって粗生成物を精製して、6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVI-A(1.16g、5.10mmol)をベージュ色固体として得た。
収率:37%
【数8】
【0141】
D.2.[6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVII-Aの合成
6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール(VI-A、1当量、395mg、1.74mmol)およびパラホルムアルデヒド(6当量、312.8mg、10.43mmol)の1,4-ジオキサン(1.7mL)溶液に塩酸(4当量、1.82g、6.95mmol、4mol/L)を加え、混合物を100℃で1時間撹拌した。NaHCO
3の飽和水溶液を加え、酢酸エチルを用いて水層を抽出した(3回)。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて褐色油を得、これをSFC(PREP 600、カラムP4VP 50×174-5μm-200g、共溶媒MeOH5%)によって精製して、[6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVII-A(250mg、0.92mmol)をベージュ色固体として得た。
収率:53%
【数9】
【0142】
例
1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン1の合成
【化23】
1.1 2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVIIIの合成。
1,2-ジメトキシエタン(6L)中の5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-アミン(CAS:15884-86-33、46g、2.4mol、1当量)の懸濁液に、3-ブロモ-1,1,1-トリフルオロアセトン(CAS:431-35-6、478g、2.5mol、1.05当量)を20℃で加える。反応混合物を最大転化率(<24時間)まで80℃に加熱する。反応混合物に水(4L)を32℃で加え、予測される化合物を反応混合物から結晶化させる。結晶性懸濁液を10℃に冷却して結晶化プロセスを完了し、濾過し、結晶性沈殿物を水(1.5L)で洗浄して、266gの純粋な2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVIIIを得る。
収率:47%
【数10】
【0143】
1.2 [2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールIXの合成。
2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールVIII(10g、42.16mmol、1当量)、ホルムアルデヒド(16g、421.6mmol、10当量)および塩酸(37%、8.2ml、2当量)をスルホラン(250ml)中に希釈する。反応混合物を110℃で一晩加熱する。水(500ml)を加え、混合物を50℃で2時間加熱する。次いで、溶媒を減圧下で除去する。シリカゲル上でクロマトグラフィー(勾配;溶離液:CH
2Cl
2/MeOH/NH
4OH 100/0/0~99/1/0.1)によって残留物を精製して、6.5gの[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールIXを黄色固体として得る。
収率58%
【数11】
【0144】
1.3 5-(アジドメチル)-2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXの合成。
[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールIX(1.33g、4.98mmol、1当量)のジクロロメタン(30ml)溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.22g、24.88mmol、5当量)およびメタンスルホニルクロリド(0.855g、7.47mmol、1.5当量)を0℃で順次ゆっくりと加える。DMF(5ml)に懸濁したアジ化ナトリウム(0.485g、7.47mmol、1.5当量)を0℃で加え、次いで室温まで温め、反応混合物を一晩撹拌する。加水分解(H
2O)、およびジエチルエーテルによる抽出後、合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、1.45gの5-(アジドメチル)-2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXを得る。
収率:100%
【数12】
【0145】
[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVから出発して同じ手順に従って、5-(アジドメチル)-2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXIを調製する。
収率:62%
【数13】
【0146】
1.4 1-[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXIIの合成。
THF/H
2O(18ml/2ml)中の5-(アジドメチル)-2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールX(1.45g、4.98mmol、1当量)の懸濁液に、トリフェニルホスフィン(1.31g、4.98mmol、1当量)を室温で加える。反応混合物を室温で60時間撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物に水を加え、5N HCl水溶液を用いて溶液をpH2に酸性化し、次いでEt
2O(1×50ml)を用いて抽出する。水層をNa
2CO
3水溶液を加えて塩基性化し(pH8)、ジクロロメタン(2×50ml)を用いて抽出し、蓄積した有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、1.16gの1-[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXIIを得る。
収率:88%
【数14】
【0147】
5-(アジドメチル)-2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXIから出発して同じ手順に従って、[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXIIIを調製する。逆相分取HPLC(KROMASIL-Eternity XT C
18 10μm/20/80/0.1~95/5/0.1のACN/H
2O/NH
4OH勾配)によって粗混合物の精製を行った。
収率:74%
【数15】
【0148】
1.5 1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン1の合成
2-ヒドロキシ-3-プロピル-2H-フラン-5-オンIII-A(CAS:78920-10-2、160.8mg、1.127mmol、1当量)および1-[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXII(300mg、1.127mmol、1当量)を乾燥メタノール(3ml)に溶解し、混合物を室温で3時間30分撹拌し、次いで0℃で冷却する。水素化ホウ素ナトリウム(42.8mg、1.127mmol、1当量)を加え、反応物を0℃で1時間撹拌する。0.5mlの酢酸を加え、混合物を室温で一晩撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物に水およびジクロロメタンを加え、ジクロロメタンを用いて混合物を3回抽出する。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。シリカゲル(CH
2Cl
2/MeOH/NH
4OH 99/1/0.1)上でクロマトグラフィーによって残留物(327mg)を精製し、ヘプタン/ジエチルエーテル(80/20)からさらに再結晶化させて、127.6mgの純粋な1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン1を得る。
収率:30%
【数16】
【0149】
2-ヒドロキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-フラン-5-オンIIから出発して同じ手順に従って、1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン2を調製する。
収率:30%
【数17】
【0150】
2-ヒドロキシ-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-フラン-5-オンIIIから出発して同じ手順に従って、1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン3を調製する。
収率:34%
【数18】
【0151】
[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXIIIおよび2-ヒドロキシ-3-プロピル-2H-フラン-5-オンIII-A(CAS:78920-10-2)から出発して同じ手順に従って、1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン4を調製する。
収率:30%
【数19】
【0152】
1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン5の合成
【化24】
2.1 tert-ブチル[5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-イル]カルバマートXIVの合成。
ジクロロメタン(1L)中の5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-アミン(CAS:15884-86-33、100g、0.69mol、1当量)の懸濁液に、ジ-tert-ブチルカーボナート(132g、0.76mol、1.1当量)およびN,N-ジメチルアミノ-ピリジン(8.35g、0.069mol、0.1当量)を室温で順次かつそれぞれ一度に加える。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を1N HCl(pH5)で洗浄して、N,N-ジメチルアミノピリジンを除去する。溶媒を減圧下で除去し、ジイソプロピルエーテルから残留物を再結晶化させて、148.9gの純粋なtert-ブチル[5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-イル]カルバマートXIVを得る。
収率:88%
【数20】
【0153】
2.2 {2-[(tert-ブトキシカルボニル)イミノ]-5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-3(2H)-イル}酢酸XVの合成。
tert-ブチル[5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-2-イル]カルバマートXIV(360g、1.47mol、1当量)のテトラヒドロフラン(3L)溶液に、ヨード酢酸(409.3g、2.2mol、1.5当量)を室温で一度に加える。次いで、30分以内に水素化ナトリウム(52.8g、2.2mol、1.5当量)を室温で少しずつ加える。反応混合物を60℃で一晩加熱し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残留物に水を加え、6N HCl水溶液を用いて溶液をpH=2に酸性化し、次いでCH
2Cl
2を用いて抽出する。有機層を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、蒸発乾固させて、455.7gの{2-[(tert-ブトキシ-カルボニル)イミノ]-5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-3(2H)-イル}酢酸XVを得、これをさらに精製することなく次の工程で直接使用する。
収率:90%
【数21】
【0154】
2.3 6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXVIの合成。
{2-[(tert-ブトキシカルボニル)イミノ]-5-(メトキシメチル)-1,3,4-チアジアゾール-3(2H)-イル}酢酸XV(418g、1.38mol、1当量)のアセトニトリル(2.5L)溶液に、トリエチルアミン(278.9g、2.76mol、2当量)を室温で順次ゆっくりと加え、次いで、オキシ塩化リン(633.9g、4.13mol、3当量)を加える。反応混合物を80℃で1時間加熱する。反応完了後、水(2.2L)を50℃でゆっくりと注意深く加える。ジクロロメタン(2×1.2L)を用いて反応混合物を抽出し、合わせた有機層をNaOH/NaCl水溶液(1.4Lの飽和NaCl溶液+400mlの2N NaOH)により洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で凝縮する。アセトニトリル/水(1/1)から残留物を再結晶化させて、99.8gの純粋な6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXVIを得る。
収率:36%
【数22】
【0155】
2.4 6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-カルバルデヒドXVIIの合成。
0℃に冷却したジメチルホルムアミド(5ml)に、オキシ塩化リン(2.75ml、3当量)を非常にゆっくりと加える。温度を50℃に上昇させる。反応混合物を60℃に加熱し、次いで、6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXVI(2g、9.82mmol、1当量)を2.5時間かけて少しずつ加える。氷/水混合物に反応混合物を注ぐ。沈殿物を濾過し、水で洗浄する。残留物を減圧下40℃で一晩乾燥させて、1.8gの6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-カルバルデヒドXVIIを固体として得る。
収率:79%
【数23】
【0156】
2.5 [6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]-メタノールXVIIIの合成。
6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-カルバルデヒドXVII(2.97g、12.94mmol、1当量)をエタノール(80ml)に溶解し、0℃で冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(578mg、15.53mmol、1.2当量)を0℃で少しずつ加える。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで0℃で冷却し、飽和NH
4Cl水溶液(100ml)を加える。有機溶媒を減圧下で蒸発させ、沈殿物を濾過し、真空下20℃で乾燥させて、1.99gの[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールXVIIIを得る。
収率:66%
【数24】
【0157】
2.6 5-(アジドメチル)-6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXIXの合成。
[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールXVIII(0.5g、2.14mmol、1当量)のジクロロメタン(12.5ml)溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.7mmol、5当量)およびメタンスルホニルクロリド(0.368g、3.21mmol、1.5当量)を0℃で順次ゆっくりと加える。DMF(5ml)に懸濁したアジ化ナトリウム(0.209g、3.21mmol、1.5当量)を0℃で加え、次いで室温まで温め、反応混合物を一晩撹拌する。加水分解(H
2O)、およびジエチルエーテルによる抽出後、合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、434mgの5-(アジドメチル)-6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXIXを得、これをさらに精製することなく次の工程で使用する。
収率:78%
【数25】
【0158】
2.7 [6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXXの合成
THF/H
2O(7.5ml/0.75ml)中の5-(アジドメチル)-6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾールXIX(0.434g、1.68mmol、1当量)の懸濁液に、トリフェニルホスフィン(0.438g、1.68mmol、1当量)を室温で加える。反応混合物を室温で15時間撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物に水を加え、5N HCl水溶液を用いて溶液をpH2に酸性化し、次いでEt
2O(1×50ml)を用いて抽出する。水層をNa
2CO
3水溶液を加えて塩基性化し(pH8)、ジクロロメタン(2×50ml)を用いて抽出し、蓄積した有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、0.34gの1-[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXXを得る。
収率:87%
【数26】
【0159】
2.8 1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン5の合成
2-ヒドロキシ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-フラン-5-オン(340mg、1.87mmol、1当量)および1-[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXX(434mg、1.87mmol、1当量)を乾燥メタノール(10ml)に溶解し、混合物を室温で一晩撹拌し、次いで0℃で冷却する。水素化ホウ素ナトリウム(77mg、2.03mmol、1.08当量)を加え、反応物を0℃で1時間撹拌する。1mlの酢酸を加え、混合物を室温で1時間撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物に水およびジクロロメタンを加え、ジクロロメタンを用いて混合物を3回抽出する。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。シリカゲル(CH
2Cl
2/MeOH 98/2)上でフラッシュクロマトグラフィーによって残留物(800mg)を精製し、アセトニトリルからさらに再結晶化させて、119mgの純粋な1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン5を得る。
収率:16%
【数27】
【0160】
2-ヒドロキシ-3-プロピル-2H-フラン-5-オンIII-A(CAS:78920-10-2)から出発して同じ手順に従って、1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン6を調製する。
収率:50%
【数28】
【0161】
2-ヒドロキシ-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-フラン-5-オンIIIから出発して同じ手順に従って、1-[[6-クロロ-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン7を調製する。
収率:24%
【数29】
【0162】
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン8の合成
【化25】
3.1.ヘキサメチレンテトラミン塩XXIの合成
[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVII(1.0当量、500mg、2.0mmol)の混合物のジクロロメタン(10mL)溶液に、塩化チオニル(1.2当量、287mg、2.4mmol)を0℃で加えた。反応物を0℃で10分間、次いで室温で1時間撹拌した。粗混合物を蒸発乾固させ、得られた接着剤をジクロロメタン(10mL)中で可溶化させた後、ヘキサメチレンテトラミン(3.0当量、852mg、6.0mmol)を加えた。次いで、反応物を35℃で2時間撹拌し、0℃に冷却し、濾過し、冷却したジクロロメタンで洗浄して、XXI(900mg、1.87mmol、推定純度85%)をベージュ色固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
収率:93%
【数30】
【0163】
[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールVから出発して同じ手順に従って、ヘキサメチレンテトラミン塩XXIIを調製する。
収率:定量的
【数31】
【0164】
3.2.[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミン塩酸塩XXIIIの合成
ヘキサメチレンテトラミン塩XXI(1.0当量、818mg、1.70mmol、推定純度85%)の混合物のメタノール(5mL)溶液に、塩酸(4.5当量、914mg、9.0mmol)を室温で加えた。反応物を45℃で1時間撹拌し、混合物を濾過した。次いで、得られた濾液を蒸発乾固させて、[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミン;塩酸塩XXIII(900mg、1.74mmol、推定純度55%)を不純なベージュ色固体として得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
収率:定量的
【数32】
【0165】
ヘキサメチレンテトラミン塩XXIIから出発して同じ手順に従って、[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミン塩酸塩XXIVを調製する。
収率:55%
【数33】
【0166】
3.3.1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン8の合成
[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミン塩酸塩XXIII(1当量、210mg、0.48mmol、推定純度65%)と、2-ヒドロキシ-3-プロピル-2H-フラン-5-オンIII-A(3.0当量、241mg、1.44mmol、
1H NMR純度85%)と、水酸化ナトリウム(2.0当量、39mg、0.96mmol)との混合物のメタノール(2mL)溶液を室温で2時間撹拌した。0℃に冷却した溶液に水素化ホウ素ナトリウム(2当量、36mg、0.96mmol)を加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。次いで酢酸(5.0当量、144mg、2.4mmol)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。粗混合物を蒸発乾固させてオレンジ色の接着剤を得、これを逆相分取HPLC(KROMASIL-Eternity XT C
18 10μm/30/70/0.1~60/40/0.1のACN/H
2O/NH
4OH勾配)により精製して、1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-プロピル-2H-ピロール-5-オン8(42mg、0.12mmol)をベージュ色固体として得た。
収率:24%
【数34】
【0167】
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン9の合成
【化26】
4.1.tert-ブチル(4S)-2-オキソ-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキシラートXXVの合成
(4S)-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-2-オン(国際公開第2011/047860号パンフレット、CAS1444464-14-5、1当量、30g、179mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(1.5当量、33g、267mmol)との混合物のアセトニトリル(900mL)溶液に、ジ-tert-ブチルカーボナート(1.2当量、48g、213mmol)を0℃で加えた。次いで、混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、得られた混合物に水を加えた。酢酸エチルを用いて水層を抽出し(2回)、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて黄色油を得た。
【0168】
順相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(12CVを通じてDCM中0%~5%メタノールの勾配のSNAP SiO
2 100g)によって粗混合物を精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固させて、tert-ブチル(4S)-2-オキソ-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキシラートXXV(24.5g、91.5mmol)を白色固体として得た。
収率:51%
【数35】
【0169】
以下の化合物は、同じ手順に従って調製した。
【表6】
【0170】
4.2.tert-ブチル(4S)-2-オキソ-3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキシラートXXVIの合成
tert-ブチル(4S)-2-オキソ-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキシラートXXV(1当量、10g、37.4mmol)のテトラヒドロフラン(250mL)溶液に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(2当量、52mL、75.4mmol、1.45mol/L)を-78℃で加え、混合物を-78℃で1時間撹拌した。次いで、フェニルセレネニルクロリド(1.1当量、8.0g、41.7mmol)のテトラヒドロフラン(85mL)溶液を-78℃で加え、混合物を-78℃で1時間撹拌した。次いで、撹拌溶液に水を加え、酢酸エチルを用いて水層を抽出し(3回)、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて褐色油(15g)を得、これを順相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(12CVを通じてヘプタン中10%~20%酢酸エチルの勾配のSNAP SiO
2 340g)によって精製した。最も純粋な画分を蒸発乾固させて、tert-ブチル(4S)-2-オキソ-3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキシラートXXVI(6.2g、14mmol)を透明な黄色油として得た。
収率:38%
【数36】
【0171】
以下の化合物は、同じ手順に従って調製した。
【表7】
【0172】
4.3.(4S)-3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-2-オンXXVIIの合成
tert-ブチル(4S)-2-オキソ-3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキシラートXXVI(1当量、6.2g、15mmol)の混合物のジクロロメタン(150mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(14当量、15mL、200mmol)を0℃で加え、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を蒸発乾固させ、水で希釈し、pH=6~7になるまでNaHCO
3固体を用いて中和した。酢酸エチルを用いて有機層を抽出し(3回)、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて、(4S)-3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-2-オンXXVII(4.5g、14mmol)を白色固体として得た。生成物は、さらに精製することなく、次の工程でそのまま使用した
収率:95%
【数37】
【0173】
以下の化合物は、同じ手順に従って調製した。
【表8】
【0174】
4.4.(4S)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-2-オンXXVIIIの合成
p-トルエンスルホン酸一水和物(0.7当量、1.3g、6.8mmol)と、[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタノールV(1当量、2g、9.37mmol)と、3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-2-オンXXVII(1当量、3g、9.31mmol)との混合物のスルホラン(95ml)溶液を130℃で16時間撹拌した。混合物を水に注ぎ、pH=6~7になるまでNaHCO
3の飽和水溶液を加えた。MTBEを用いて有機層を抽出した(2回)。合わせた有機層を水で洗浄し(3回)、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて褐色油を得た。分取LC YMC Triart C18(80×204-10μm-500g、水中60%~90%ACNの勾配)によって褐色油を精製して、(4S)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-2-オンXXVIII(450mg、0.82mmol)を褐色油として得た。
収率:9%
【数38】
【0175】
以下の化合物は、同じ手順に従って調製した。
【表9】
【0176】
4.5. 1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン9の合成
メタノール(5.5ml)と水(1.1mL)との混合物中の(4S)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-フェニルセラニル-4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-2-オンXXVIII(1当量、430mg、0.8311mmol)の溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(9当量、1.6mg、7.48mmol)を室温で加えた。反応物を室温で30分間撹拌した。次いで、混合物にNH
4Clの飽和水溶液を加え、EtOAcを用いて水層を抽出した(3回)。合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて黄色油を得、これを中性条件の逆相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(12CVを通じて水中5%~95%ACNの勾配のC18 SNAP 30gゲルカラム)によって精製した。最も純粋な画分を直接凍結乾燥して、1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン9(71mg、0.1970mmol)を白色固体として得た。
収率:23%
【数39】
【0177】
以下の化合物は、同じ手順に従って調製した。
【0178】
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン10は、XXVIII-Aから出発して調製した。
収率:45%
【数40】
【0179】
1-[[6-(1-フルオロシクロプロピル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン11は、XXVIII-Bから出発して調製した。
収率:9%
【数41】
【0180】
3-(2-クロロ-2,2-ジフルオロ-エチル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン12は、XXVIII-Cから出発して調製した。
収率:9%
【数42】
【0181】
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン13は、XXVIII-Dから出発して調製した。
収率:53%
【数43】
【0182】
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン14は、XXVIII-Eから出発して調製した。
収率:52%
【数44】
【0183】
3-(2,2-ジフルオロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン15は、XXVIII-Fから出発して調製した。
収率:41%
【数45】
【0184】
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2-ジフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン16は、XXVIII-Gから出発して調製した。
収率:14%
【数46】
【0185】
3-[(1R)-2,2-ジフルオロシクロプロピル]-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン17Aおよび3-[(1S)-2,2-ジフルオロシクロプロピル]-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン17Bの合成
【化27】
5.1.3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン17の合成
[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メタンアミンXII(1当量、700mg、2.44mmol、93質量%)の2-プロパノール(12mL)溶液に、3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-2-ヒドロキシ-2H-フラン-5-オンIII-B(1当量、500mg、2.44mmol、80質量%)を室温で加え、反応物を室温で1時間撹拌した。次いで、混合物に水素化ホウ素ナトリウム(1当量、92mg、2.44mmol)の水溶液(3.5mL)を室温で加え、反応物を室温で2時間撹拌した。次いで、混合物に追加量の水素化ホウ素ナトリウム(1当量、92mg、2.44mmol)を加え、反応物を室温で15分間撹拌した。第3の量の水素化ホウ素ナトリウム(1当量、92mg、2.44mmol)、続いて酢酸(35当量、5mL、87.08mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。0℃に冷却した混合物にNaHCO
3の飽和水溶液を加え、MTBEを用いて水層を抽出した(2回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて(最大25℃)、褐色油を得た。中性モードの逆相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(10CVを通じて5%~95%ACNの勾配によるSNAP C18 60gカラム)によって褐色油を精製し、最も純粋な画分を凍結乾燥して、3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン17(570mg、1.35mmol)を白色固体として得た。
収率:55%
【数47】
【0186】
キラルSFC(AS 50×265-5μm-300g*EtOH 10%、360mL/分、35℃)によって鏡像異性体の混合物(105mg)を分離して、3-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン(鏡像異性体17-A、第1の溶出、27mg、0.066mmol)および3-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-1-[[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン(鏡像異性体17-B、第2の溶出、27mg、0.066mmol)を得た。
分析用キラルSFC(カラムAS、3mL/分、30℃、20%MeOH、100bar):鏡像異性体17-A:1.19分、鏡像異性体17-B:1.63分
【0187】
分離後、中性モードの逆相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(10CVを通じて水中5%~95%ACNの勾配によるSNAP C18 12gカラム)によって両鏡像異性体を再精製し、直接凍結乾燥した。
【0188】
以下の化合物は、同じ手順に従って調製した。
3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン18は、XIIIおよびIII-Bから出発して調製した。
収率:50%
【数48】
【0189】
キラルSFC(AS 50×265-5μm-300g*MeOH 10%、360mL/分、35℃)によって鏡像異性体の混合物(110mg)を分離して、1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン(鏡像異性体18-A、第1の溶出、15mg、0.042mmol)および1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン(鏡像異性体18-B、第2の溶出、19mg、0.053mmol)を得た。
分析用キラルSFC(カラムAS、3mL/分、30℃、20%MeOH、100bar):鏡像異性体18-A:1.04分、鏡像異性体18-B:1.31分
【0190】
分離後、中性モードの逆相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(10CVを通じて水中5%~95%ACNの勾配によるSNAP C18 12gカラム)によって両鏡像異性体を精製し、直接凍結乾燥した。3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン19は、XXIII(遊離塩基として)およびIII-Bから出発して調製した。
収率:11%
【数49】
【0191】
キラルSFC(AS 50×265-5μm-300g*EtOH 15%、360mL/分、35℃)によって鏡像異性体の混合物(138mg)を分離して、1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-2H-ピロール-5-オン(鏡像異性体19-A、第1の溶出、15mg、0.038mmol)および3-[2,2-ジフルオロシクロプロピル]-1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(メトキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン(鏡像異性体19-B、第2の溶出、19mg、0.048mmol)を得た。
分析用キラルSFC(カラムAS、3mL/分、30℃、20%EtOH、100bar):鏡像異性体19-A:1.39分、鏡像異性体19-B:1.87分
【0192】
分離後、中性モードの逆相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(10CVを通じて水中5%~95%ACNの勾配によるSNAP C18 12gカラム)によって両鏡像異性体を精製し、直接凍結乾燥した。
【0193】
3-(2,2-ジフルオロプロピル)-1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-2H-ピロール-5-オン20は、XIIIおよびII-Aから出発して同じ方法に従って調製した。
収率:16%
【数50】
【0194】
1-[[2-(ヒドロキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン21の合成
【化28】
1-[[2-(メトキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン13(1当量、100mg、0.26mmol)の混合物のジクロロメタン(1.5mL)溶液に、三臭化ホウ素(5当量、1.3mL、1.3mmol)を室温で加え、次いで混合物を1時間撹拌した。混合物にメタノールをゆっくりと加え(発熱反応)、次いで、溶媒を蒸発乾固させて黄色油を得た。中性条件で逆相フラッシュクロマトグラフィーBiotage Isolera Four(水中10%~95%ACNの勾配のSNAP 30g C18)によって黄色油を精製した。最も純粋な画分を合わせ、凍結乾燥して、1-[[2-(ヒドロキシメチル)-6-メチル-イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン21(26mg、0.07mmol)を白色固体として得た。
収率:27%
【数51】
【0195】
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(ヒドロキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-2H-ピロール-5-オン22は、14から出発して同じ方法に従って調製した。
収率:6%
【数52】
【0196】
1-[[6-(ジフルオロメチル)-2-(ヒドロキシメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2H-ピロール-5-オン23は、10から出発して同じ方法に従って調製した。
収率:14%
【数53】
【0197】
表(I)は、化合物のIUPAC名(またはAccelerys Draw 4.0もしくはBiovia Draw 16.1から生成された名称)、質量分析で観察されたイオンピーク、および1H NMRの説明を示している。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【表10-5】
【表10-6】
【0198】
インビトロおよびインビボアッセイ
1.SV2AおよびSV2Cに対する結合アッセイ
ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞にヒトSV2AおよびSV2Cタンパク質を発現させた。Gillardら(Eur.J.Pharmacol.2006,536,102-108)に記載されているように、HEK SV2AおよびHEK SV2C膜調製物を調製した。非標識化合物の親和性を測定するために、以下の通り競合実験を行った:2mM MgCl2、0.1%ジメチルスルホキシドおよび10漸増濃度の非標識試験化合物(0.1nM~10μM)を含有する0.2mlの50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4)中の[3H]-2-[4-(3-アジドフェニル)-2-オキソ-1-ピロリジニル]ブタンアミド(5nM)および/または[3H]-4R-(2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル)-1-{[2-(メトキシメチル)-6-(トリフルオロメチル)イミダゾ[2,1-b][1,3,4]チアジアゾール-5-イル]メチル}ピロリジン-2-オン(25nM)とともに、SV2タンパク質を発現する膜(1アッセイ当たり5~15μgのタンパク質)を37℃で60分インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、0.1%ポリエチレンイミンに予め浸漬したGF/Cガラス繊維フィルターを通した迅速濾過により、膜結合放射性リガンドを回収した。アッセイ容量の少なくとも4倍の氷冷50mM Tris HCl緩衝液(pH7.4)で膜を洗浄した。フィルターを乾燥させ、液体シンチレーションによって放射能を決定した。濾過工程全体は10秒を超えなかった。測定された親和性pIC50値は、ChengおよびPrusoff(Biochem.Pharmacol.1973,22(23),3099-3108)に従ってpKiに補正した。
【0199】
本発明による式(I)の化合物は、典型的には、少なくとも6.5のpKi SV2A値および少なくとも6.0のpKi SV2C値を示す。
【0200】
例18-B、21、22および23は、6.5超7.5以下のpki SV2A値を示す。例2、5、11、18-Aおよび20は、7.5超8.0以下のpki SV2A値を示す。例1、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17-A、17-B、19-Aおよび19-Bは、8.0以上8.5未満のpki SV2A値を示す
【0201】
2.発作モデル
全実験に体重22~32gのオスのNMRIマウス(Charles River,Germany)を使用する。動物は、午前6時にライトを点灯させる12時間/12時間の明暗サイクルに置き、20~21℃に維持された温度および約40%の湿度で収容する。マウスは1ケージ当たり10匹の群で収容する(タイプIII)。全動物に標準的なペレット状の食物および水を自由に摂取させてから、各10匹のマウスからなる実験群に無作為に割り付ける。動物実験はいずれも、動物実験に関する国内規則に従って行い、欧州共同体理事会指令2010/63/EUのガイドラインに従って実施する。地元の倫理委員会が実験プロトコルを承認した。
【0202】
6.1 6Hz発作モデル
6Hzモデルは、以前に記載されたプロトコル(Kaminski et al.,Epilepsia(2004),45,864-867)に従って行う。要約すると、定電流装置(ECT Unit 57800;Ugo Basile,Comerio,Italy)によって、角膜刺激(44mA、0.2ms持続時間、6Hzで3秒間の単極矩形波)を供給する。電気刺激の前に0.4%塩酸オキシブプロカイン(Unicaine,Thea,France)を眼に滴下する。刺激中、マウスを手動で拘束し、通電直後に、観察ケージ(38×26×14cm)に解放する。多くの場合、発作の前に、短期間(約2~3秒)の激しい自発運動興奮がある(激しい走行および跳躍)。その後、動物は、立ち上がり、前肢の自動運動およびクローヌス、感覚毛の単収縮、ならびに挙尾を伴う「気絶した」姿勢を示す。発作の最後に、動物は正常な探索行動を再開する。実験エンドポイントは、発作からの保護である。刺激から7秒以内に正常な探索行動を再開した場合、動物は保護されていると考えられる。
【0203】
試験化合物について決定されたインビボ活性は、典型的には、単回IP投与後0.05mg/kgから10mg/kgの間に含まれる。
【0204】
6.2 ペンチレンテトラゾール(PTZ)発作モデル
以前に確立された89mg/kgのCD97用量(マウスの97%に対して四肢すべての間代性痙攣を誘発する痙攣性用量)でペンチレンテトラゾールを使用する(Klitgaard et al.,Eur.J.Pharmacol.(1998),353,191-206)。ペンチレンテトラゾール注射の直後に、Perspexケージにマウスを個別に入れ、四肢すべての間代性痙攣、および緊張性後肢伸張の存在について60分間観察する。
【0205】
試験した場合、添付の例の化合物について決定されたインビボ活性は、典型的には、単回IP投与後、0.5mg/kgから30mg/kgの間に含まれる。
【0206】
3.アザムリンアッセイ
供給者の情報に従って、凍結保存したヒト肝細胞(ドナー20例のプール、Celsis/IVT/Bioreclamation製のBSUバッチ)を解凍した。生存率(トリパンブルー排除)は75%超であった。穏やかな撹拌(振動撹拌機、Titramax 100、約300rpm)下で30分間にわたり、インキュベーター(5%CO2)中、+37℃の48ウェルプレート内で、2mMのグルタミンおよび15mMのHepesを含有するウィリアム培地を用いて、プレインキュベーション(2×106個の肝細胞/mLの肝細胞懸濁液250μL)を行った。プレインキュベーション後、アザムリン(6μM-特異的CYP3A4/5阻害剤)の存在下または非存在下で、UCB化合物(1μM)またはミダゾラム(陽性対照)を含有する250μLの培養培地(上記組成を参照)を肝細胞に加えることによって、インキュベーションを開始した。培養物中のUCB化合物およびアザムリンの最終濃度は、それぞれ0.5μMおよび3μMである。2回のピペット出し入れ操作によって、細胞懸濁液を急速に再均質化した。インキュベーションの0、30、60、120、180および240分後、ケトコナゾール1μMを内部標準として含む50μLの氷冷アセトニトリルを含有する96ウェルプレートから適切なウェルに50μlの培養物を移すことによって、反応を停止した。各サンプリングの前に、2回のピペット出し入れ操作によって細胞培養物を再均質化する。
【0207】
インキュベーションの終了後、96ウェルプレートを約3700rpm、+4℃で15分間遠心分離する。150μLのH2O Milliporeが加えられた他のディープウェルプレートのウェルに50μLの上清を移す。親消失、および代謝産物形成のモニタリングのために、マイクロUPLC/HR-MSによって、これらの試料を分析した。
【0208】
以下の式を使用することによって、アザムリンの非存在下および存在下で、CLint(親親薬物消失に基づく)の比から、各化合物について、CYP3A4/5によって代謝される画分(f
m,CYP3A4/5)として知られるCYP3A4/5の寄与を計算した:
【数54】
【0209】
試験した場合、添付の例の化合物のCYP3A4/5によって代謝される画分(fm,CYP3A4/5)は、典型的には、0から45%の間に含まれる。
【0210】
例5、9、13および16は、0から10%の間に含まれる、CYP3A4/5によって代謝される画分(fm,CYP3A4/5)を示す。例1、3、6、7、8、10、15および20は、10%超20%以下の、CYP3A4/5によって代謝される画分(fm,CYP3A4/5)を示す。例2、3、11、12、14、17-Aおよび17-Bは、20%超45%以下の、CYP3A4/5によって代謝される画分(fm,CYP3A4/5)を示す。