(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】除神経治療
(51)【国際特許分類】
A61B 34/10 20160101AFI20230831BHJP
A61B 18/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B18/00
(21)【出願番号】P 2020560871
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(86)【国際出願番号】 US2019013630
(87)【国際公開番号】W WO2019147434
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507029764
【氏名又は名称】メドトロニック アーディアン ルクセンブルク ソシエテ ア レスポンサビリテ リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】コーツ,ポール・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘットトリック,ダグラス・エイ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0074076(US,A1)
【文献】特開2015-2983(JP,A)
【文献】特開2001-190587(JP,A)
【文献】特表2015-502820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 90/98
A61N 7/00 ― 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断するステップと、
前記プロセッサによって、前記1つ又は複数の組織特性
および治療送達デバイスの特性に基づいて、前記血管内に配置された
前記治療送達デバイスによって送達される除神経(denervation)治療の推定される影響のあるボリューム(estimated volume of influence)を生成するステップと、
前記プロセッサによって、グラフィカルユーザインタフェースを生成するステップであって、前記グラフィカルユーザインタフェースは、前記標的神経及び前記血管に近接する前記組織のグラフィック表現、並びに前記推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含むステップと
、
前記プロセッサによって、前記推定される影響のあるボリュームに基づいて、前記治療送達デバイスによって除神経治療送達のための1つまたは複数の治療パラメータ値を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記推定される影響のあるボリュームは、損傷を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記除神経治療の前記推定される影響のあるボリュームは、第1の治療プログラムにしたがって、前記治療送達デバイスによって送達される第1の除神経治療の第1の推定される影響のあるボリュームを含み、前記方法は、
前記プロセッサによって、第2の治療プログラムにしたがって、前記治療送達デバイスによって送達される第2の除神経治療の第2の推定される影響のあるボリュームを判断するステップであって、前記第2の治療プログラムは、前記第1の治療プログラムのそれぞれの治療パラメータ値とは異なる、少なくとも1つの治療パラメータ値を含むステップ
をさらに含み、除神経治療送達のための前記1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するステップは、前記第1及び第2の推定される影響のあるボリュームのそれぞれに基づいて、前記第1の治療プログラム又は前記第2の治療プログラムの一方を選択するステップを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、除神経治療送達のための前記1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するステップは、前記標的神経の損傷、及び所定の有害効果のある局部の損傷の回避をもたらすと判断された、前記1つ又は複数の治療パラメータ値を選択するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の治療パラメータ値は、電気信号パラメータ、熱信号パラメータ、超音波信号パラメータ、マイクロ波信号パラメータ、光信号パラメータ、又は薬剤投与量パラメータのうちの少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ又は複数の治療パラメータ値にしたがって、前記プロセッサによって、除神経治療を前記標的神経に送達するための医療デバイスを制御するステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を記憶するよう構成されたメモリと、
前記メモリに結合されたプロセッサと
を備えるシステムであって、前記プロセッサは、
前記1つ又は複数の組織特性
および治療送達デバイスの特性に基づいて、前記血管内に配置された
前記治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成し、
前記標的神経及び前記血管に近接する前記組織のグラフィック表現、並びに前記推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む、グラフィカルユーザインタフェースを生成
し、
前記治療送達デバイスによって、前記推定される影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、システム。
【請求項8】
前記推定される影響のあるボリュームは、損傷を含む、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記除神経治療の前記推定される影響のあるボリュームは、第1の治療プログラムにしたがって、前記治療送達デバイスによって送達される第1の除神経治療の第1の推定される影響のあるボリュームを含み、前記プロセッサはさらに、
第2の治療プログラムにしたがって、前記治療送達デバイスによって送達される第2の除神経治療の第2の推定される影響のあるボリュームを判断するよう構成され、前記第2の治療プログラムは、前記第1の治療プログラムのそれぞれの治療パラメータ値とは異なる、少なくとも1つの治療パラメータ値を含み、
前記プロセッサは、前記第1及び第2の推定される影響のあるボリュームのそれぞれに基づいて、前記第1の治療プログラム又は前記第2の治療プログラムの一方を選択することによって、除神経治療送達のための、前記1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、前記プロセッサは、前記標的神経の損傷、及び所定の有害効果のある局部の損傷の回避をもたらすと判断された、前記1つ又は複数の治療パラメータ値を選択することによって、除神経治療送達のための前記1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ又は複数の治療パラメータ値は、電気信号パラメータ、熱信号パラメータ、超音波信号パラメータ、マイクロ波信号パラメータ、光信号パラメータ、又は薬剤投与量パラメータのうちの少なくとも1つを含む、請求項
8に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサはさらに、前記1つ又は複数の治療パラメータ値にしたがって、除神経治療を前記標的神経に送達するための医療デバイスを制御するよう構成される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ又は複数の治療パラメータ値に基づいて、除神経刺激を生成するよう構成される、治療ジェネレータをさらに備える、請求項
8に記載のシステム。
【請求項14】
前記治療ジェネレータに結合されるよう構成された前記治療送達デバイスをさらに備え、前記治療ジェネレータは、前記除神経治療を前記治療送達デバイスによって前記患者に送達するよう構成される、請求項1
3に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つの前記治療送達デバイスは、電極、無線周波数(RF)プローブ、熱プローブ、極低温プローブ、マイクロ波プローブ、超音波プローブ、光源、又は薬剤注入器のうちの少なくとも1つを含む、請求項
7に記載のシステム。
【請求項16】
前記標的神経及び前記血管を撮像するよう構成された撮像システムをさらに備える、請求項
7に記載のシステム。
【請求項17】
前記撮像システムは、X線透視システム、コンピュータ支援断層撮影(CAT)走査システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム、陽電子放出断層撮影(PET)走査システム、電気インピーダンス断層撮影(EIT)システム、超音波システム、又は光学撮像システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1
6に記載のシステム。
【請求項18】
前記標的神経は腎神経を含み、前記血管は腎動脈を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項19】
実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、
患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断させ、
前記1つ又は複数の組織特性
および治療送達デバイスの特性に基づいて、前記血管内に配置された
前記治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成させ、
前記標的神経及び前記血管に近接する前記組織のグラフィック表現、並びに前記推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む、グラフィカルユーザインタフェースを生成させ
、
前記推定される影響のあるボリュームに基づいて、前記治療送達デバイスによって除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定させる
命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断する手段と、
前記1つ又は複数の組織特性
および治療送達デバイスの特性に基づいて、前記血管内に配置された
前記治療送達
デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成する手段と、
前記標的神経及び前記血管に近接する前記組織のグラフィック表現、並びに前記推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む、グラフィカルユーザインタフェースを生成する手段と
、
前記推定される影響のあるボリュームに基づいて、前記治療送達デバイスによって除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定する手段と
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]この出願は、2018年1月24日に出願された米国仮特許出願第62/621,351号、名称「DENERVATION THERAPY」の利益を主張する。
[0002]本開示は、いくつかの例での、除神経治療のシステム及び技法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]過度に刺激された、又は過度に活動的な神経は、それぞれの神経が受け持つ器官又は組織に有害効果をもたらす可能性がある。たとえば、一部の患者では、心臓、循環器、又は腎疾患が、顕著な心腎交感神経の活動亢進と関連している場合がある。腎交感神経の刺激作用は、レニン放出の増加、ナトリウム(Na+)再吸収の増加、又は腎血流の減少のうちの1つ又は複数を引き起こす可能性がある。腎臓は、強い腎神経の刺激作用に反応した腎臓における交感神経伝達物質(ノルエピネフリンなど)の放出による、直接的な腎毒性によってダメージを受ける可能性がある。さらに、レニンの放出増加は、最終的に全身の血管収縮を増加させ、高血圧症を悪化させる可能性がある。かかる状態は、過活動神経の活動を調節することによって軽減され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明の一実施例は、例えば、除神経治療に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本開示は、神経調節治療とも呼ばれ得る除神経治療の、1つ又は複数のパラメータを決定するデバイス、システム、及び技法について説明する。除神経治療は、神経を不活性、非活動状態、又はさもなければ完全に又は部分的に機能低下させるために、電気、薬剤、光若しくはレーザ、マイクロ波、放射線、及び/又は熱エネルギーを神経に送達することを含み得る。この機能の完全な又は部分的な低下は、一時的又は永続的であり得る。本開示によるシステム及び技法は、標的神経に送達される除神経刺激の影響のあるボリュームを推定し、影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療の1つ又は複数のパラメータを決定するために使用され得る。いくつかの例では、推定される影響のあるボリュームに基づいて決定された除神経治療の1つ又は複数のパラメータが、除神経治療を患者に送達するように、医療デバイスを自動的に制御するために使用され得る。影響のあるボリュームは、患者の局部のデジタル再構成(digital reconstruction)によって生成されたコンピュータモデルに基づいて推定され得る。デジタル再構成は、組織の種類及び相対位置などのパラメータを示す。影響のあるボリュームとは、加えられた除神経刺激(本明細書では除神経刺激作用とも呼ばれる)が、たとえば、影響のあるボリューム内での焼灼又は損傷による除神経をもたらす、患者の所定の局部内のボリュームであると考えられ得る。影響のあるボリュームは、組織に対する除神経刺激の効果を示し得る。したがって、影響のあるボリューム内の神経の生存率は、所定の閾値未満に低減され得る。その結果、影響のあるボリューム内の神経は、活動が低減された、実質的に低減された、又は実質的にない状態を示す。いくつかの例では、除神経治療は、所定の有害効果のある局部、たとえば、非標的の非神経組織の損傷を回避しながら、標的神経の損傷をもたらし得る。
【0005】
[0005]いくつかの例では、本開示は、プロセッサによって、標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断すること、及びプロセッサによって、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを判断することを含む、例示的な技法について説明する。該技法は、プロセッサによって、グラフィカルユーザインタフェースを生成することをさらに含む。グラフィカルユーザインタフェースは、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む。
【0006】
[0006]いくつかの例では、本開示は、プロセッサによって、患者の局部のデジタル再構成に基づいてコンピュータモデルを決定することを含む、例示的な技法について説明し、ここで局部は、標的神経及び血管を含む。コンピュータモデルは、局部内の1つ又は複数の組織特性の空間表現を定義する。例示的な技法は、プロセッサによって、コンピュータモデルに基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを判断することをさらに含む。
【0007】
[0007]いくつかの例では、本開示は、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を記憶するよう構成されたメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを備える例示的なシステムについて説明する。プロセッサは、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成するよう構成される。プロセッサはさらに、グラフィカルユーザインタフェースを生成するよう構成される。グラフィカルユーザインタフェースは、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む。
【0008】
[0008]いくつかの例では、本開示は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断させ、且つ1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを判断させる命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体について説明する。命令はさらに、少なくとも1つのプロセッサに、グラフィカルユーザインタフェースを生成させる。グラフィカルユーザインタフェースは、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む。
【0009】
[0009]いくつかの例では、本開示は、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断する手段と、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達手段によって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを判断する手段とを備える、例示的なシステムについて説明する。例示的なシステムは、グラフィカルユーザインタフェースを生成する手段をさらに備える。グラフィカルユーザインタフェースは、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む。
【0010】
[0010]いくつかの例では、本開示は、プロセッサによって、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断することを含む、例示的な技法について説明する。例示的な技法は、プロセッサによって、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成することを含む。例示的な技法は、プロセッサによって、推定される影響のあるボリュームに基づいて、血管内の所定の位置に治療送達デバイスを移動させるために、手術用デバイスを制御することを含む。
【0011】
[0011]いくつかの例では、本開示は、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を記憶するよう構成されたメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを備える例示的なシステムについて説明する。プロセッサは、標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断し、且つ1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成するよう構成される。プロセッサは、推定される影響のあるボリュームに基づいて、血管内の所定の位置に治療送達デバイスを移動させるために、手術用デバイスを制御するよう構成される。
【0012】
[0012]いくつかの例では、本開示は、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断する手段と、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達手段によって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成する手段とを備える、例示的なシステムについて説明する。例示的なシステムは、推定される影響のあるボリュームに基づいて、血管内の所定の位置に治療送達手段を移動させるために、移動手段を制御する手段を備える。
【0013】
[0013]条項1:プロセッサによって、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断するステップと、プロセッサによって、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成するステップと、プロセッサによって、グラフィカルユーザインタフェースを生成するステップであって、グラフィカルユーザインタフェースは、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含むステップとを含む方法。
【0014】
[0014]条項2:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含む、条項1に記載の方法。
[0015]条項3:プロセッサによって、推定される影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するステップをさらに含む、条項1又は2に記載の方法。
【0015】
[0016]条項4:除神経治療の推定される影響のあるボリュームは、第1の治療プログラムにしたがって治療送達デバイスによって送達される第1の除神経治療の第1の推定される影響のあるボリュームを含み、該方法は、プロセッサによって、第2の治療プログラムにしたがって治療送達デバイスによって送達される第2の除神経治療の第2の推定される影響のあるボリュームを判断するステップであって、第2の治療プログラムは、第1の治療プログラムのそれぞれの治療パラメータ値とは異なる、少なくとも1つの治療パラメータ値を含むステップをさらに含み、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するステップは、第1及び第2の推定される影響のあるボリュームのそれぞれに基づいて、第1の治療プログラム又は第2の治療プログラムの一方を選択するステップを含む、条項3に記載の方法。
【0016】
[0017]条項5:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するステップは、標的神経の損傷、及び所定の有害効果のある局部の損傷の回避をもたらすと判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択するステップを含む、条項3に記載の方法。
【0017】
[0018]条項6:1つ又は複数の治療パラメータ値は、電気信号パラメータ、熱信号パラメータ、超音波信号パラメータ、マイクロ波信号パラメータ、光信号パラメータ、又は薬剤投与量パラメータのうちの少なくとも1つを含む、条項3に記載の方法。
【0018】
[0019]条項7:1つ又は複数の治療パラメータ値にしたがって、プロセッサによって、除神経治療を標的神経に送達するための医療デバイスを制御するステップをさらに含む、条項3から6のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
[0020]条項8:プロセッサによって、推定される影響のあるボリュームに基づいて、患者の体内の治療送達デバイスの指標づけされる位置を生成するステップをさらに含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
[0021]条項9:指標づけされる位置は、血管に対する治療送達デバイスの治療送達要素の位置である、条項8に記載の方法。
[0022]条項10:プロセッサによって、患者の局部のデジタル再構成に基づいてコンピュータモデルを決定するステップであって、局部は、標的神経及び血管を含み、コンピュータモデルは、局部内の1つ又は複数の組織特性の空間表現を定義するステップと、プロセッサによって、コンピュータモデルに基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成するステップとを含む、方法。
【0021】
[0023]条項11:デジタル再構成は、3次元(3D:three-dimensional)デジタル再構成である、条項10に記載の方法。
[0024]条項12:プロセッサによって、コンピュータモデルに複数の除神経刺激のデジタル表現を施すステップであって、複数の除神経刺激のうちのそれぞれの除神経刺激は、治療送達デバイスによって、血管に沿ったそれぞれの所定の向き及びそれぞれの所定の位置に送達されるステップと、コンピュータモデルに複数の除神経刺激のうちの各除神経刺激を施すステップの後に、プロセッサによって、それぞれの除神経刺激に対するコンピュータモデルのそれぞれの応答状態を生成するステップとをさらに含む、条項10又は11に記載の方法。
【0022】
[0025]条項13:局部は、少なくとも1つの非標的の非神経組織を含み、該方法は、プロセッサによって、選択される少なくとも1つの除神経刺激に伴うそれぞれの応答状態が、非標的の非神経組織の生存率が閾値よりも高いことを示すと判断したことに応答して、少なくとも1つの除神経刺激を選択するステップをさらに含む、条項12に記載の方法。
【0023】
[0026]条項14:プロセッサによって、選択される少なくとも1つの除神経刺激に伴うそれぞれの応答状態が、神経の生存率が閾値よりも低いことを示すと判断したことに応答して、少なくとも1つの除神経刺激を選択するステップと、プロセッサによって、選択された少なくとも1つの除神経刺激を含む治療プログラムを決定するステップとをさらに含む、条項12に記載の方法。
【0024】
[0027]条項15:局部は、少なくとも1つの非標的の非神経組織を含み、選択された少なくとも1つの除神経刺激に伴うそれぞれの応答状態が、非標的の非神経組織の生存率が閾値よりも高いことを示す、条項14に記載の方法。
【0025】
[0028]条項16:プロセッサによって、治療プログラムにしたがって、除神経治療を患者の局部に送達するための医療デバイスを制御するステップをさらに含む、条項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【0026】
[0029]条項17:医療デバイスを制御するステップは、治療プログラムに基づいて除神経刺激作用ジェネレータを制御するステップを含む、条項16に記載の方法。
[0030]条項18:1つ又は複数の組織特性は、電気インピーダンス、熱伝導率、音響インピーダンス、光透過率、又は薬剤拡散率のうちの少なくとも1つを含む、条項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【0027】
[0031]条項19:複数の除神経刺激のうちの各除神経刺激は、別々に、無線周波数(RF:radio frequency)刺激、熱刺激、極低温刺激、マイクロ波刺激、超音波刺激、光刺激、又は薬剤刺激のうちの少なくとも1つを含む、条項10から18のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
[0032]条項20:患者の局部の医療画像に基づいて、患者の局部のデジタル再構成を生成するステップをさらに含む、条項10から19のいずれか一項に記載の方法。
[0033]条項21:医療画像は、X線透視画像、コンピュータ支援断層撮影(CAT:computer aided tomography)走査、磁気共鳴撮像(MRI:magnetic resonance imaging)画像、陽電子放出断層撮影(PET:positron emission tomography)走査、断層撮影画像、超音波画像、又は光学画像のうちの少なくとも1つを含む、条項20に記載の方法。
【0029】
[0034]条項22:コンピュータモデルは有限要素モデルを含む、条項10から21のいずれか一項に記載の方法。
[0035]条項23:少なくとも1つの標的神経は腎神経を含み、血管は腎動脈を含む、条項10から22のいずれか一項に記載の方法。
【0030】
[0036]条項24:患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を記憶するよう構成されたメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを備えるシステムであって、プロセッサは、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成し、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む、グラフィカルユーザインタフェースを生成するよう構成される、システム。
【0031】
[0037]条項25:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含む、条項24に記載のシステム。
[0038]条項26:プロセッサは、推定される影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、条項24又は25に記載のシステム。
【0032】
[0039]条項27:除神経治療の推定される影響のあるボリュームは、第1の治療プログラムにしたがって治療送達デバイスによって送達される第1の除神経治療の第1の推定される影響のあるボリュームを含み、プロセッサはさらに、第2の治療プログラムにしたがって治療送達デバイスによって送達される第2の除神経治療の第2の推定される影響のあるボリュームを判断するよう構成され、第2の治療プログラムは、第1の治療プログラムのそれぞれの治療パラメータ値とは異なる、少なくとも1つの治療パラメータ値を含み、プロセッサは、第1及び第2の推定される影響のあるボリュームのそれぞれに基づいて、第1の治療プログラム又は第2の治療プログラムの一方を選択することによって、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、条項26に記載のシステム。
【0033】
[0040]条項28:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、プロセッサは、標的神経の損傷、及び所定の有害効果のある局部の損傷の回避をもたらすと判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択することによって、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、条項26又は27に記載のシステム。
【0034】
[0041]条項29:1つ又は複数の治療パラメータ値は、電気信号パラメータ、熱信号パラメータ、超音波信号パラメータ、マイクロ波信号パラメータ、光信号パラメータ、又は薬剤投与量パラメータのうちの少なくとも1つを含む、条項26から28のいずれか一項に記載のシステム。
【0035】
[0042]条項30:プロセッサはさらに、1つ又は複数の治療パラメータ値にしたがって、除神経治療を標的神経に送達するための医療デバイスを制御するよう構成される、条項26から29のいずれか一項に記載のシステム。
【0036】
[0043]条項31:プロセッサはさらに、推定される影響のあるボリュームに基づいて、患者の体内の治療送達デバイスの指標づけされる位置を生成するよう構成される、条項24から30のいずれか一項に記載のシステム。
【0037】
[0044]条項32:指標づけされる位置は、血管に対する治療送達デバイスの治療送達要素の位置である、条項31に記載のシステム。
[0045]条項33:1つ又は複数の治療パラメータ値に基づいて、除神経刺激を生成するよう構成された、治療ジェネレータをさらに備える、条項26に記載のシステム。
【0038】
[0046]条項34:治療ジェネレータに結合されるよう構成された治療送達デバイスをさらに備え、治療ジェネレータは、除神経治療を治療送達デバイスによって患者に送達するよう構成される、条項33に記載のシステム。
【0039】
[0047]条項35:少なくとも1つの治療送達デバイスは、電極、無線周波数(RF)プローブ、熱プローブ、極低温プローブ、マイクロ波プローブ、超音波プローブ、光源、又は薬剤注入器のうちの少なくとも1つを含む、条項24から34のいずれか一項に記載のシステム。
【0040】
[0048]条項36:標的神経及び血管を撮像するよう構成された撮像システムをさらに備える、条項24から35のいずれか一項に記載のシステム。
[0049]条項37:撮像システムは、X線透視システム、コンピュータ支援断層撮影(CAT)走査システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム、陽電子放出断層撮影(PET)走査システム、電気インピーダンス断層撮影(EIT:electrical impedance tomography)システム、超音波システム、又は光学撮像システムのうちの少なくとも1つを含む、条項36に記載のシステム。
【0041】
[0050]条項38:標的神経は腎神経を含み、血管は腎動脈を含む、条項24から37のいずれか一項に記載のシステム。
[0051]条項39:実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断させ、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成させ、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む、グラフィカルユーザインタフェースを生成させる命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0042】
[0052]条項40:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含む、条項39に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
[0053]条項41:実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、推定される影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定させる命令をさらに有する、条項39又は40に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0043】
[0054]条項42:除神経治療の推定される影響のあるボリュームは、第1の治療プログラムにしたがって治療送達デバイスによって送達される第1の除神経治療の第1の推定される影響のあるボリュームを含み、非一時的コンピュータ可読媒体は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、第2の治療プログラムにしたがって治療送達デバイスによって送達される第2の除神経治療の第2の推定される影響のあるボリュームを判断させる命令をさらに有し、第2の治療プログラムは、第1の治療プログラムのそれぞれの治療パラメータ値とは異なる、少なくとも1つの治療パラメータ値を含み、命令はプロセッサに、第1及び第2の推定される影響のあるボリュームのそれぞれに基づいて、第1の治療プログラム又は第2の治療プログラムの一方を選択することによって、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定させる、条項41に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0044】
[0055]条項43:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、命令は少なくとも1つのプロセッサに、標的神経の損傷をもたらし、且つ所定の有害効果のある局部の損傷を回避すると判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を少なくとも選択することによって、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定させる、条項41又は42に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0045】
[0056]条項44:1つ又は複数の治療パラメータ値は、電気信号パラメータ、熱信号パラメータ、超音波信号パラメータ、マイクロ波信号パラメータ、光信号パラメータ、又は薬剤投与量パラメータのうちの少なくとも1つを含む、条項41から43のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0046】
[0057]条項45:実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、1つ又は複数の治療パラメータ値にしたがって、除神経治療を標的神経に送達するための医療デバイスを制御させる命令をさらに有する、条項41から44のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0047】
[0058]条項46:実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、推定される影響のあるボリュームに基づいて、患者の体内の治療送達デバイスの指標づけされる位置を生成させる命令をさらに有する、条項39から45のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0048】
[0059]条項47:指標づけされる位置は、血管に対する治療送達デバイスの治療送達要素の位置である、条項46に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
[0060]条項48:標的神経は腎神経を含み、血管は腎動脈を含む、条項39から47のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0049】
[0061]条項49:患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断する手段と、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達手段によって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成する手段と、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む、グラフィカルユーザインタフェースを生成する手段とを備えるシステム。
【0050】
[0062]条項50:推定される影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定する手段をさらに備える、条項49に記載のシステム。
【0051】
[0063]条項51:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、1つ又は複数の組織特性を判断する手段は、標的神経の損傷をもたらし、且つ所定の有害効果のある局部の損傷を回避すると判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択する手段を備える、条項50に記載のシステム。
【0052】
[0064]条項52:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、1つ又は複数の組織特性を判断する手段は、所定の有害効果のある局部の損傷を回避すると判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択する手段を備える、条項50に記載のシステム。
【0053】
[0065]条項53:標的神経は腎神経を含み、血管は腎動脈を含む、条項50から52のいずれか一項に記載のシステム。
[0066]条項54:1つ又は複数の治療パラメータ値に基づいて、患者への除神経治療を生成する手段をさらに備える、条項50から53のいずれか一項に記載のシステム。
【0054】
[0067]条項55:プロセッサによって、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断するステップと、プロセッサによって、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成するステップと、プロセッサによって、推定される影響のあるボリュームに基づいて、治療送達デバイスを血管内の所定の位置に移動させるために、手術用デバイスを制御するステップとを含む方法。
【0055】
[0068]条項56:プロセッサによって、推定される影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するステップをさらに含む、条項55に記載の方法。
【0056】
[0069]条項57:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するステップは、標的神経の損傷、及び所定の有害効果のある局部の損傷の回避をもたらすと判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択するステップを含む、条項56に記載の方法。
【0057】
[0070]条項58:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するステップは、所定の有害効果のある局部の損傷を回避すると判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択するステップを含む、条項56に記載の方法。
【0058】
[0071]条項59:プロセッサによって、1つ又は複数の治療パラメータ値に基づいて、治療送達デバイスに、除神経治療を患者へ送達させるステップをさらに含む、条項56から58のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
[0072]条項60:患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を記憶するよう構成されるメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを備えるシステムであって、プロセッサは、標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断し、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成し、推定される影響のあるボリュームに基づいて、治療送達デバイスを血管内の所定の位置に移動させるために、手術用デバイスを制御するよう構成される、システム。
【0060】
[0073]条項61:プロセッサはさらに、推定される影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、条項60に記載のシステム。
【0061】
[0074]条項62:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、プロセッサは、標的神経の損傷、及び所定の有害効果のある局部の損傷の回避をもたらすと判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択することによって、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、条項61に記載のシステム。
【0062】
[0075]条項63:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、プロセッサは、所定の有害効果のある局部の損傷を回避すると判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択することによって、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定するよう構成される、条項61に記載のシステム。
【0063】
[0076]条項64:プロセッサはさらに、1つ又は複数の治療パラメータ値に基づいて、除神経治療を患者へ送達するための医療デバイスを制御するよう構成される、条項61から63のいずれか一項に記載のシステム。
【0064】
[0077]条項65:プロセッサ及び治療送達デバイスに結合された駆動ユニットをさらに備える、条項60から64のいずれか一項に記載のシステム。
[0078]条項66:患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断する手段と、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達手段によって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成する手段と、推定される影響のあるボリュームに基づいて、治療送達手段を血管内の所定の位置に移動させる移動手段を制御する手段とを備えるシステム。
【0065】
[0079]条項67:推定される影響のあるボリュームに基づいて、除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定する手段をさらに備える、条項66に記載のシステム。
【0066】
[0080]条項68:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、1つ又は複数の組織特性を判断する手段は、標的神経の損傷、及び所定の有害効果のある局部の損傷の回避をもたらすと判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択する手段を備える、条項66に記載のシステム。
【0067】
[0081]条項69:推定される影響のあるボリュームは、損傷を含み、1つ又は複数の組織特性を判断する手段は、所定の有害効果のある局部の損傷を回避すると判断された、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択する手段を備える、条項66に記載のシステム。
【0068】
[0082]条項70:1つ又は複数の治療パラメータ値に基づいて、患者への除神経治療を生成する手段をさらに備える、条項67から69のいずれか一項に記載のシステム。
[0083]条項71:血管に沿って治療送達手段を移動させる手段をさらに備える、条項66から70のいずれか一項に記載のシステム。
【0069】
[0084]本開示の1つ又は複数の態様の詳細は、添付図面及び以下の説明に示されている。この開示で説明された技法の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0070】
[0085]添付された図面が参照され、ここで同じ参照番号の指定を有する要素は、全体を通して以下図面で、同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】[0086]
図1Aは、除神経治療送達デバイス及び治療ジェネレータを備える例示的なシステムの模式的概念図である。 [0087]
図1Bは、少なくとも1つの電極を備える例示的な除神経治療送達デバイスの模式的概念図である。
【
図2】[0088]除神経治療を送達するための
図1Aの例示的なシステムの展開の、模式的概念図である。
【
図3】[0089]撮像システム及び例示的な治療送達デバイスに結合された、例示的なプログラマの模式的概念図である。
【
図4】[0090]除神経治療を送達するための例示的な技法を示す流れ図である。
【
図5】[0091]患者の局部のコンピュータモデルを生成する例示的な技法を示す流れ図である。
【
図6】[0092]除神経治療を送達するための例示的な技法を示す流れ図である。
【
図7】[0093]除神経治療を送達するための例示的な技法を示す流れ図である。
【
図8】[0094]
図3のプログラマのユーザインタフェースのディスプレイ上に提示され得る、例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI:graphical user interface)の模式図を示す。
【
図9】[0095]
図3のプログラマのディスプレイ上に提示され得る、GUIの別の例の概略図である。
【
図10】[0096]交感神経系(SNS:sympathetic nervous system)、並びにSNSを介した脳と体との間の情報伝達の概念的概略図である。
【
図11】[0097]左腎動脈を囲む腎神経叢を形成する、左腎臓を神経支配する神経の概念的解剖図である。
【
図12A】[0098]脳と腎臓との間の神経の遠心性及び求心性伝達を示す、人体の概念的解剖図である。
【
図12B】脳と腎臓との間の神経の遠心性及び求心性伝達を示す、人体の概念的解剖図である。
【
図13】[0099]
図13Aは、ヒトの動脈の脈管構造の概念的解剖図である。
図13Bは、ヒトの静脈の脈管構造の概念的解剖図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
[0100]除神経治療は、標的神経の焼灼又は損傷などによって、標的神経を不活性、非活動状態、又はさもなければ完全に又は部分的に機能を低下させるために使用され得る。いくつかの例では、標的神経は神経束の一部であり得る。除神経治療は、神経束の焼灼又は損傷のために使用され得る。除神経の後には、標的神経に沿った神経信号伝達の低減、又は阻止さえあり得る。過活動神経を除神経することは、患者に治療上の利益をもたらし得る。たとえば、腎除神経は、腎交感神経の過剰刺激に関連する症状を軽減し得る。除神経治療は、標的神経に電気エネルギー及び/若しくは熱エネルギーを送達すること、並びに/又は標的神経に薬剤を送達することを含み得る。腎除神経治療の場合、除神経エネルギー又は薬剤は、たとえば、腎神経に近接する血管(たとえば、腎動脈)内に配置される治療送達デバイス(たとえば、カテーテル)を使って送達され得る。除神経エネルギー又は薬剤による非標的の非神経組織、非標的神経、又は1つ若しくは複数の有害効果のある局部への過度の影響を最小限に又は回避しながら、標的神経を除神経するのに十分なエネルギー又は薬剤の送達を実現させる、除神経治療の1つ又は複数のパラメータを選択することが望ましい場合がある。他の場合には、除神経エネルギー又は薬剤による非標的の非神経組織、非標的神経、又は1つ若しくは複数の有害効果のある局部への影響を最小限に又は回避するための、除神経治療の1つ又は複数のパラメータを選択することが望ましい場合がある。
【0073】
[0101]本開示は、患者固有の組織特性及び解剖学的構造を考慮に入れるコンピュータモデルを使用して、除神経治療の1つ又は複数のパラメータを決定するデバイス、システム、及び技法を説明する。除神経治療の1つ又は複数のパラメータは、たとえば、電気信号パラメータ、熱信号パラメータ、超音波信号パラメータ、マイクロ波信号パラメータ、光信号パラメータ、又は薬剤投与量パラメータを含むことができ、除神経治療を提供するための医療デバイスによって送達される治療の種類に応じて変わり得る。除神経治療の1つ又は複数の決定されたパラメータは、医療デバイスプログラマ又は医療デバイスなどのデバイスによって、除神経治療を生成して患者に送達する医療デバイスによって使用され得る、治療プログラムとして記憶され得る。
【0074】
[0102]いくつかの例では、例示的なシステムは、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を記憶するよう構成されたメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、標的神経に近接する組織の1つ又は複数の特性(本明細書では「組織パラメータ」とも呼ばれる)、及び対応する血管(たとえば、それを通って標的神経がアクセスされ得る、標的神経に近接する血管)を決定するよう構成され得る。プロセッサは、1つ又は複数の組織特性及び治療送達デバイスの特徴(たとえば、電極の数、サイズ、及び場所、又は薬剤を送達するための開口の場所など)に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイスによって送達される、除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成するよう構成され得る。推定される影響のあるボリュームは、刺激が送達される組織の局部又はボリュームを超えて広がる可能性がある。いくつかの例では、電場又は別の除神経刺激は、組織の第1のボリューム内に広がるか、又は第1のボリュームを通過し得るが、影響のあるボリュームは、組織の第1のボリュームを超えて広がり得る。たとえば、第1のボリュームを超える組織の温度は、除神経温度又は別の除神経パラメータ閾値を超えて上昇する可能性がある。いくつかの例では、プロセッサは、局部内のそれぞれの組織特性(たとえば、熱伝導率、電気伝導率、密度、及び/又は類似のもの)を含む、組織の空間表現を定義するコンピュータモデルを使用して、推定される影響のあるボリュームを生成できる。プロセッサは、標的神経及び対応する血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を生成するよう構成され得る。
【0075】
[0103]いくつかの例では、推定される影響のあるボリュームに基づいて、プロセッサは、除神経刺激などの効果的な除神経治療を生成するために使用される、1つ又は複数の治療送達パラメータを定義する治療プログラムを決定することができる。除神経刺激は、標的神経が、閾値よりも低い生存率を示し、一方非標的組織の生存率が、閾値よりも高いままにしておくよう構成され得る。除神経刺激は、電気、熱、薬剤、光、マイクロ波、放射線、又は刺激が送達される組織の性質に影響を及ぼし得る、どんな好適な種類の刺激であってもよい。
【0076】
[0104]いくつかの例では、プロセッサは、影響のあるボリュームに対する様々な治療パラメータ値(治療セッション中に送達される除神経刺激を定義する一群の治療パラメータ値は、治療プログラム又は治療パラメータ値のセットと呼ばれ得る)の効果を判断し、対応する影響のあるボリュームに応じて様々な治療プログラムから治療プログラムを選択できる。たとえば、プロセッサは、第1の治療プログラムにしたがって、治療送達デバイスによって送達される第1の除神経治療の、第1の推定される影響のあるボリュームを判断できる。プロセッサはまた、第2の治療プログラムにしたがって、治療送達デバイスによって送達される第2の除神経治療の第2の推定される影響のあるボリュームを判断することもでき、ここで第2の治療プログラムは、第1の治療プログラムのそれぞれの治療パラメータ値とは異なる、少なくとも1つの治療パラメータ値を含む。プロセッサは、第1及び第2の推定される影響のあるボリュームのそれぞれに基づいて、第1の治療プログラム又は第2の治療プログラムの一方を選択することにより、除神経治療の1つ又は複数の治療パラメータ値を決定し得る。他の例では、プロセッサは、対応する影響のあるボリュームに基づいて、任意の好適な数の治療プログラムから選択できる。
【0077】
[0105]いくつかの例では、複数の治療プログラムは、たとえば腎神経、他の神経、又は対象となる標的組織部位を、除神経刺激によって同様に標的とするため、特定の患者に対して有効な結果を提供できる。しかし、相異なる治療プログラムによる除神経治療を送達した結果は、1つ又は複数の点で互いに異なり得る。たとえば、いくつかの治療プログラムは、生成するのに、1つ又は複数の他の治療プログラムよりも多くの電力を必要とする除神経刺激を定義することがあり、それによりいくつかの治療プログラムは、他よりも効果的であり得る(たとえば、電力使用に関して)。別の例として、いくつかの治療プログラムは、1つ又は複数の他の治療プログラムよりも多くの非標的組織の損傷をもたらす可能性がある。したがって、デバイスのプロセッサ(たとえば、医療デバイスのプログラマ)によって、又は臨床医によって選択された治療プログラムは、標的組織部位の推定される損傷に基づくだけでなく、治療セッション中に消費される電力、及び非標的組織部位への影響など、1つ又は複数の他の要因にも基づいて選択され得る。いくつかの例では、デバイスのプロセッサは、1つ又は複数のこうした他の要因に基づいて治療プログラムのリスト(たとえば、電力消費、又は治療によって影響を受ける非標的組織部位のボリュームなどに基づく昇順又は降順)を順序づけ、デバイスのディスプレイを使って治療プログラムの順序づけされたリストをユーザに提示できる。次いでプロセッサは、ユーザ入力に応答して、又は順序づけられたリストの上位の1つ又は複数の、所定数の治療プログラムに基づいて自動的に、患者への治療の送達を制御する1つ又は複数の治療プログラムを選択できる。
【0078】
[0106]いくつかの例では、プロセッサは、複数の治療プログラム(所与の治療パラメータの少なくとも1つの治療パラメータ値が互いに異なる)を生成し、複数の影響のあるボリュームを判断することができ、複数の影響のあるボリュームのうちの各影響のあるボリュームは、複数の治療プログラムのうちのそれぞれの治療プログラムに関連している。プロセッサは、非標的部位、たとえば、所定の有害効果のある部位を回避しながら、複数の影響のあるボリュームのうちの1つの影響のあるボリューム、たとえば、対象となる組織に広がる少なくとも1つの影響のあるボリュームを選択できる。少なくとも1つの選択された影響のあるボリュームに基づいて、プロセッサは、複数の治療プログラムのうちの1つの治療プログラムを選択できる。選択された治療プログラムは、少なくとも1つの影響のあるボリュームが、非標的組織部位に影響を与えない、又は非標的組織部位に広がることのないように、少なくとも1つの選択された影響のあるボリュームを標的組織部位に生成できる。
【0079】
[0107]いくつかの例では、プロセッサは、患者の局部のデジタル再構成に基づいてコンピュータモデルを決定することができ、ここで局部は、標的神経及び対応する血管を含む。プロセッサは、たとえば、任意の好適な画像化様式を使って生成された、局部の患者固有の画像を使用して、デジタル再構成を生成できる。
【0080】
[0108]標的神経の除神経は、所与の治療送達パラメータ値のセットに対する影響のあるボリュームのばらつきにより、十分に予測できない場合がある。影響のあるボリュームのばらつきは、たとえば、標的神経又は血管に隣接する組織の組織特性のばらつきに起因する可能性がある。たとえば、他の神経、骨、腱、筋肉、脂肪、リンパ節、血管、カルシウム沈着物、及び/又は器官が、標的神経と同じ付近に位置している可能性があり、この組織の組織特性は、除神経治療が組織にどのように作用するかに影響を与える可能性がある。例示的な組織特性は、電気インピーダンス又は導電率(たとえば、等方又は異方導電率)、熱伝導率、音響インピーダンス、薬剤拡散率、又は光透過率を含む。
【0081】
[0109]腎除神経治療の送達中に、実際の神経の位置の表示又は実際の神経の除神経を検証するための技法は、容易に利用できない場合がある。たとえば、1つ又は複数の患者のパラメータ(たとえば、治療用送達デバイス付近の温度及び/若しくはインピーダンス、血管の収縮、心拍数、血流、並びに/又は患者の動き)を感知することによる何らかのフィードバックが、臨床医にとって利用可能であり得るが、かかるフィードバックでは、効率的又は効果的に除神経治療を標的神経に向けて送ることができず、且つ/又は所定の有害効果のある局部の損傷を回避できない。所定の有害効果のある局部は、非標的組織、たとえば、非神経組織、又はさもなければ加療されることが意図されていないが、除神経刺激による損傷を受けやすい可能性がある組織を含み得る。いくつかの例では、有害効果のある局部は、脂肪、筋肉、骨格、又は除神経されることが意図されていない他の組織、器官、若しくは神経を含み得る。臨床医は、所定の有害効果のある局部を示す医療デバイスのプログラマにフィードバックを与えることができるか、又は所定の有害効果のある局部が、臨床医が入力をプログラミングすることなしに、医療デバイスのプログラマによって事前に記憶され得る。本明細書で説明されるコンピュータモデルは、除神経治療が標的神経及び/又は標的神経に近接する組織に及ぼす影響をより適切に推定及び視覚化するために使用され、それにより、標的神経をより適切に狙い、且つ/又はより適切に非標的組織に悪影響を及ぼすのを回避する治療プログラムを生成できる。
【0082】
[0110]たとえば、コンピューティングデバイスは、コンピュータモデルを使用して複数の除神経の位置を評価することができ、コンピューティングデバイスは、位置ごとに、その位置での効果的な損傷を実現させるための除神経治療パラメータ値(たとえば、電気、熱、薬剤、マイクロ波、放射線、又は光刺激を送達することに関する、且つ電気又は熱刺激の場合、それを用いて刺激が送達される電極に関する値)を決定できる。次いで、コンピューティングデバイスは、相異なる位置に関連する治療パラメータ値を含むデータセット全体を評価して、患者の局部に対する全体的な除神経の目標を達成するために、治療が送達され得る位置のサブセット(複数の除神経の位置から選択される)を決定できる。次いで、治療パラメータ値及び対応する位置は、除神経治療を患者に送達するよう構成された医療デバイスをプログラミングするために使用され得、且つ/又は推奨される治療方式としてコンピューティングデバイスのユーザインタフェースを介して臨床医に提示され得る。
【0083】
[0111]いくつかの例では、患者固有の組織特性及び解剖学的構造を使用して決定された治療パラメータ値が、標的神経の除神経の誘導を実行するために使用され得る。たとえば、除神経治療送達デバイス(たとえば、カテーテル)は、血管を通って誘導され、グラフィカルユーザインタフェースを補助的に使用して、臨床医によって手作業で、又はコンピュータ制御のロボット手術用デバイスなどのデバイスによって自動的に位置決めされ、方向づけされ、展開され得る。グラフィカルユーザインタフェースは、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに治療送達デバイスによって特定の治療プログラムにしたがって送達される治療の、推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含み得る。
【0084】
[0112]対象者の腎動脈を取り囲む解剖学的構造は、比較的複雑であり、相異なる熱的及び/又は電気的性質を有するいくつかの相異なる種類の組織を含む。さらに、腎動脈に対する腎神経の位置は、腎動脈の長さに沿って変わり得る。たとえば、腎神経の神経束は、大動脈に比べて比較的近接した位置で、腎動脈からより離れている可能性がある。腎神経の神経束は、腎臓に近いほど、一層腎動脈に近い可能性がある。さらに、動脈及び静脈などの特定の種類の組織は、電気伝導体又は熱伝導体として作用することがあり、腎神経の焼灼に必要とされるエネルギー量にも影響を与える可能性がある。
【0085】
[0113]組織の性質は様々であり、且つ腎動脈に対する腎神経の位置が一様でないため、効果的な腎除神経治療のための治療送達パラメータは、腎除神経治療が送達される腎動脈に沿った位置に応じて異なり得る。たとえば、腎神経と腎動脈との間の距離が変わることにより、除神経治療が腎臓からより離れて送達される場合、腎神経を焼灼又は損傷させるために、より多くのエネルギーが加えられる必要があり得る。しかし、組織の他の局部、たとえば、有害効果のある局部に悪影響を与えるほどにエネルギーを大きく設定しないことが望ましい場合がある。本明細書で説明されるコンピュータモデル化技法及び腎除神経の推定される影響のあるボリュームを使用して、医療デバイスプログラマのプロセッサは、組織特性に基づいて、組織の特定の局部(本明細書では、有害効果のある局部又は非標的局部と呼ばれる)を回避し、且つ/又は腎神経の除神経を実現できるエネルギーレベルを決定できる。
【0086】
[0114]除神経治療のための有効な治療パラメータ値を選択することの複雑さに加えて、いくつかの要因は、少なくとも部分的に患者の解剖学的構造に起因し得る。たとえば、様々な患者が、腎動脈により近い様々な種類の組織を有している場合があり、一部の患者では、腎神経が、他の患者よりも腎動脈に近い位置にあり得る。いくつかの例では、血管、たとえば腎動脈の血流量が、影響のあるボリュームに影響を与える可能性がある。たとえば、血流量が多いほど放熱が比較的速くなり、所与の除神経刺激に対する影響のあるボリュームが、より少ない血流量に伴う影響のあるボリュームよりも小さくなる。患者固有の解剖学的構造及び組織特性(標的組織部位又はその付近での血流量を含む)を考慮に入れる、本明細書で説明されるデバイス、システム、及び技法は、医療デバイスを使った除神経治療送達の効果、効率、又はその両方を、本明細書で説明されるコンピュータモデル化の助けなしに、アドホックに送達される除神経治療と比較して、高めるのに役立ち得る。患者固有の解剖学的構造は、たとえば、患者の様々な解剖学的構造(たとえば、器官、血管、及び標的組織部位など)の位置及び相対的配置構成、並びに血管を通る血流量、したがって血管の熱及び/又は電気伝導率に対応し得る、1本又は複数本の血管のサイズを含み得る。
【0087】
[0115]いくつかの例では、例示的な技法は、除神経前の画像化、デジタル再構成、及び患者の局部のコンピュータモデル化を含み得る。デバイス、たとえば医療デバイスプログラマのプロセッサは、患者の局部の再構成に基づいてコンピュータモデルを生成できる。プロセッサは、コンピュータモデルを使用して判断された、推定される影響のあるボリュームに基づいて除神経治療パラメータ値を決定し、除神経治療パラメータに基づいて除神経治療プログラムを決定できる。たとえば、プロセッサは、術前の視覚化によって生成された画像を使用して、腎動脈の周りの解剖学的構造をデジタル的に再構成する(たとえば、3次元(3D)で)ことができる。いくつかの例では、画像は、個々の神経束を確認するのに十分な解像度を有し得る。他の例では、解像度は、比較的大きな構造体(たとえば、筋肉、脂肪、リンパ節、血管、又は胃腸管)を確認するだけでなく、様々な組織部位のサイズ及び位置を測定して、患者の局部の比較的正確な3Dモデルの再構成を可能にするのに十分であり得る。
【0088】
[0116]プロセッサは、デジタル再構成を使用して、モデル、たとえば、コンピュータモデル又はベンチモデルを作成できる。ベンチモデルは、除神経されるべき患者の局部の物理モデル、たとえば、成型又は彫刻されたモデル、ラピッドプロトタイピングを使用して生成されたモデル、又は積層造形されたモデルを含み得る。いくつかの例では、ベンチモデルは、患者の局部内の様々な種類の組織又は解剖学的特徴を表す、様々な性質を有する様々な材料を含み得る。ベンチモデルは、除神経刺激源からベンチモデルのそれぞれの位置で受容された刺激を感知するために、様々な位置にセンサを備え得る。ベンチモデルの様々な位置で感知された刺激に基づいて、それぞれの位置での損傷の発生を推定でき、臨床医は、様々な位置に送達されるべき除神経刺激の位置及び大きさを含む、除神経治療のパラメータを決定できる。
【0089】
[0117]ベンチモデルの代わりに、又はベンチモデルに加えて、臨床医又はコンピューティングデバイスは、患者の局部のコンピュータモデルを使用して、様々な除神経刺激の効果及び除神経の位置を判断できる。たとえば、コンピュータモデルは、各組織の種類に関連する電気的、熱的、及び他の適切な性質を組み込むことによって、様々な種類の組織の組織特性及び不均質性の違いを考慮できる。プロセッサは、コンピュータモデルを使用して、様々な治療送達プログラムのシミュレーションを実行できる。たとえば、プロセッサは、コンピュータモデルの血管に沿った様々な位置に、様々な量の除神経の大きさで、シミュレートされた除神経刺激を加えることができる。プロセッサは、除神経刺激の推定される影響のあるボリュームに基づいて、モデル内の除神経標的神経及び神経に隣接する他の非標的組織に対する、除神経刺激の影響を監視できる。したがって、プロセッサは、コンピュータモデルを使用して、目標とするレベルの除神経を達成するために、その部位に送達されるべき標的除神経刺激の送達位置、向き、及び大きさのセットを含む、治療計画を生成できる。
【0090】
[0118]医療デバイスのプロセッサは、治療計画(本明細書では治療プログラムとも呼ばれる)を使用して、患者に施される除神経治療を制御できる。たとえば、プログラマは、治療ジェネレータを含む医療デバイスに治療プログラムを伝達でき、ここで治療プログラムは、血管に沿った1つ又は複数の加療位置に送達されるべきエネルギーの量を示すことができる。たとえば、治療送達デバイスは、患者の血管に沿って導入されて進むカテーテル上の無線周波数(RF)電極を備え得る。カテーテルの位置は、医師の入力によって、又は撮像システム(たとえば、X線透視システム又はカテーテル/電極の位置若しくは向きを測定する他の何らかのツール)からフィードバックを受信するプロセッサによる直接の相互作用を通じて、治療ジェネレータに提供され得る。
【0091】
[0119]画像化の解像度が特定の神経、たとえば腎神経を発見又は識別するのに十分でない場合でも、本開示による例示的なシステム及び技法は、非標的組織に損傷を与えることなく可能な、最も大きな損傷を生み出す位置に送達され得る、最大の除神経刺激を決定するために使用され得る。画像化の解像度が、神経が識別されるのを可能にする場合、本開示による例示的なシステム及び技法は、非標的組織の損傷を閾値より小さく維持しながら、標的閾値を超えて神経の除神経を増加させる、好適な位置及び治療パラメータを決定するために使用され得る。
【0092】
[0120]臨床医が、経験的手順にしたがって治療送達デバイス(たとえば、バルーン、バスケット、又は弦巻き線上の単極又は多極電極を使用して)を使ってRFエネルギーの送達を制御する、いくつかの提案された腎除神経技法とは対照的に、本明細書で説明されるデバイス、システム、及び技法は、患者固有の解剖学的構造に基づく、効果的な除神経治療の治療パラメータ値/設定を決定するために使用され得る。パラメータは、たとえば、患者の体内の治療送達デバイスの1つ又は複数の向き及び/又は位置(たとえば、前部、後部、又は下部、上部)、エネルギー送達パラメータ(たとえば、周波数、デューティサイクル、及び/又はRF信号の振幅)、並びに他の任意の好適なパラメータを含み得る。たとえば、以下でさらに詳細に説明されるように、医療デバイスプログラマのプロセッサは、単独で、又は臨床医の助けを借りて、患者の体内の治療送達デバイスの向き及び/若しくは位置、又は標的神経の効果的な除神経をもたらすことが期待される1つ又は複数のエネルギー送達パラメータを決定でき、患者の他の非標的組織への悪影響を実質的に回避する。解剖学的に多様で広範なセットに適用される汎用のルールのセットにしたがってカテーテルを患者の腎動脈の中に導入し、そうしたルールにしたがってRFエネルギーを送達するのではなく、
図1Aから
図13Bに関連して本明細書で説明される例示的なデバイス、システム、及び技法は、患者固有の解剖学的構造に基づいて生成される腎除神経治療を提供できる。かかる治療は、除神経刺激を標的神経により適切に送達し、且つ/又は非標的組織への悪影響を回避することができるという点で、より効果的であり得る。加えて、場合によっては、患者固有の解剖学的構造に基づいて生成される腎除神経治療は、治療送達デバイスが血管を最初に通過すると標的神経を除神経するように、除神経刺激をより適切に供給できるので、より効率的な医療処置をもたらし得る。以下で論じられるように、医療処置中に、もし1つ又は複数の血管の閉塞があれば、閉塞に起因し得る有害効果を低減するために、除神経処置の時間を短縮することが望ましい場合がある。
【0093】
[0121]
図1Aは、除神経治療送達デバイス12及び治療ジェネレータ14を備える例示的なシステム10の模式的概念図である。除神経治療送達デバイス12(治療送達デバイス12とも呼ばれる)は、除神経刺激を標的神経に送達するよう構成された任意のデバイスを含み得る。除神経刺激は、たとえば、RF刺激、熱刺激、極低温刺激、マイクロ波刺激、超音波刺激、マイクロ波刺激、放射線刺激、光刺激、又は薬剤刺激のうちの少なくとも1つを含むことができ、治療送達デバイス12は、これらに限定されるものではないが、電極、RFプローブ、熱プローブ、極低温プローブ、マイクロ波プローブ、超音波プローブ、又は薬剤を患者の組織に送達するよう構成されたカテーテルのうちの少なくとも1つなどの、1つ又は複数の治療送達要素を備え得る。いくつかの例では、治療送達デバイス12の1つ又は複数の治療送達要素は、カテーテル20内に組み込まれるか、又はカテーテル20に装着され得る。
【0094】
[0122]たとえば、
図1Bは、少なくとも1つの電極を備える例示的な除神経治療送達デバイス12aの模式的概念図である。複数の電極16aが
図1Bに示され、まとめて電極16aと呼ばれる。
図1Bに示される例では、除神経治療送達デバイス12aは、螺旋形状に配置構成された4つの電極を備える。たとえば、電極16aは、螺旋の中心を走る軸を通してデバイス12aを見ると、約90度離れて配置構成され得る。電極16aは、互いに任意の好適な距離で間隔をあけて配置され得る。電極16a間の間隔だけでなく治療送達デバイス12aの他の寸法も、治療送達デバイス12aが使用されることが意図される特定の用途に基づいて変わり得る。たとえば、らせんに沿って、治療送達デバイス12aの長手方向軸に直交する方向に得られる治療送達デバイス12aの最大幅は、たとえば3mmから8mmであり得るが、他の幅も考えられる。いくつかのかかる例では、電極16aは、導線、たとえば、カテーテル20aを通って走る導電性のリード線を介して、ジェネレータ14に結合され得る。
【0095】
[0123]
図1A及び
図1Bに示される例では、治療送達デバイス12、12aは、治療送達デバイス12の近位部分の近位領域にハンドル18を具備する細長いシャフトと、近位部分に対して遠位方向に延在する遠位部分20(20a)とを備え得る。治療送達デバイス12、12aは、遠位部分20に治療組立体又は加療セクションをさらに備える。たとえば、
図1Bに示されるように、治療送達デバイス12、12aは、血管、たとえば、腎動脈内に導入され、血管に沿って進むよう構成される、少なくとも1つの電極、又は2つ以上の電極のアレイ16aを備え得る。治療送達デバイス12が、薬剤を組織に送達するよう構成される例などの他の例では、加療セクションは、治療剤送達デバイス12、12aのルーメンに1つ又は複数の開口を有することができ、開口を通して薬剤が送達され得る。
【0096】
[0124]治療送達デバイス12、12aは、
図1Aに示されるほぼ直線形状のような低背形状で、患者の体中、たとえば、患者の血管内に送達されるよう構成され得る。血管内且つ血管に沿った標的位置へ送達されるとすぐに、治療送達デバイス12、12aは、治療送達デバイス12、12aの1つ又は複数の治療送達要素が血管に接触できる拡張状態(たとえば、概して弦巻き又は螺旋形状)に展開され得る。拡張状態では、治療送達デバイス12、12aは、加療部位にエネルギーを送達し、治療上有効な電気的及び/又は熱的に誘起される除神経を提供できる。螺旋又は弦巻き形状が
図1Bの例に示されているが、電極16aは別法として、
図1Aに示されるように、ほぼ真っ直ぐで細長い治療送達デバイス12に沿って配置されるか、又は拡張可能なバスケット、若しくは外方へ延在する指形小片などに沿った、他の任意の好適な電極の形態であってもよい。
【0097】
[0125]いくつかの例では、治療送達デバイス12は、遠隔操作で、たとえば、ハンドル18によって担持されるノブ、ピン、又はレバーなどのアクチュエータを使って、展開された状態又は配置構成に置かれる又は変形され得る。しかし他の例では、治療送達デバイス12は、他の好適な仕組み又は技法を使用して、送達状態と展開状態との間で変形され得る。たとえば、治療送達デバイス12は、形状記憶材料を含んでもよく、その結果、治療送達デバイス12は、外側シースによって加えられた力の下で比較的低背型の送達形態をとるよう構成され、シースが引き抜かれると、治療送達デバイス12は自動的に展開状態をとることができる。
【0098】
[0126]治療送達デバイス12の遠位端は、たとえば、非外傷性の丸みを帯びた先端又はキャップで、終端をなし得る。加えて、又はその代わりに、治療送達デバイス12の遠位端は、システム10又は治療送達デバイス12の別の要素と係合するよう構成され得る。たとえば、治療送達デバイス12の遠位端は、オーバザワイヤ(「OTW:over-the-wire」)又はラピッドエクスチェンジ(「RX:rapid exchange」)技法を使用して加療デバイスを送達するための、ガイドワイヤ(図示せず)と係合する通路を画定し得る。
【0099】
[0127]治療送達デバイス12は、ジェネレータ14から除神経エネルギーを受け取り、除神経刺激の形態でエネルギーを隣接する組織に送達するよう構成される。ジェネレータ14は、1つ又は複数の導電性リード線を通って電極16aに最終的に送出されるエネルギーを生成できる。除神経刺激が非電気刺激、たとえば、薬剤、光刺激、又は超音波を含む例では、ジェネレータ14は、非電気刺激の供給源(たとえば、所定の量又は濃度の薬剤を所定の流量で送り込む貯蔵器及びポンプ、光源又はレーザ源、マイクロ波源、放射線源、又は超音波発生器)を含み得る。
【0100】
[0128]いくつかの例では、ジェネレータ14は、電源、たとえばRFエネルギージェネレータを備える。ジェネレータ14は、治療送達デバイス12を介して標的加療部位に送達するために、選択された形態及び大きさのエネルギーを生成するよう構成される。ジェネレータ14は、1つ又は複数の導電体を含むケーブルを介して、治療送達デバイス12に電気的に結合され得る。少なくとも1本の供給ワイヤ(図示せず)は、治療送達デバイス12の壁内又は治療送達デバイス12のルーメンを通過して電極16aまで通っており、除神経刺激を電極16aに送出できる。いくつかの例では、電極16aの各電極は、それぞれの供給ワイヤに結合され得る。しかし他の例では、電極16aの2つ以上の電極は、同じ供給ワイヤに電気的に結合されてもよい。
【0101】
[0129]2次入力21、たとえばフットペダルは、臨床医が、電力送達を含むがこれに限定されない、ジェネレータ14の様々な操作上の特徴を開始、終了、及び必要に応じて調整できるようにするため、ジェネレータ14に接続(たとえば、空気圧接続又は電気接続)され得る。システム10はまた、無菌フィールド(sterile field)に置かれ、治療送達デバイス12又はジェネレータ14の一方又は両方に動作可能に結合され得る、遠隔制御デバイス(図示せず)を備え得る。遠隔制御デバイスは、電極16aを選択的にオン/オフすることを可能にするよう構成され得る。他の例では、遠隔制御デバイスは、ハンドル18に組み込まれ得る。
【0102】
[0130]システム10は、
図3を参照してさらに詳細に説明されるプログラマ24を備え得る。ジェネレータ14は、ジェネレータがそれを使って除神経治療を生成し、プログラマ24を介して送達する、1つ又は複数の治療パラメータ値を受信するよう構成され得る。いくつかの例では、ジェネレータ14又はプログラマ24は、除神経治療の前、最中、及び/又は後に臨床医にフィードバックを提供するための、1つ又は複数の評価又はフィードバックモジュールを備え得る。
【0103】
[0131]いくつかの例では、ジェネレータ14は、単極の形態である電極16aを介して、除神経刺激を送達するよう構成される。たとえば、システム10は、ジェネレータ14に電気的に接続され、患者の外面に取り付けられた電極22(又は分散電極)を備え得る。他の例では、ジェネレータ14は、多極の形態である複数の電極16a、22を介して、除神経刺激を送達するよう構成される。
【0104】
[0132]さらに、1つ又は複数の温度(たとえば、熱電対、又はサーミスタなど)、インピーダンスセンサ、圧力センサ、光センサ、流量センサ、化学センサ、又は他のセンサなどの1つ又は複数のセンサ(図示せず)が、電極16aに近接して又は電極内に配置され、1本又は複数本の供給ワイヤ(図示せず)に接続され得る。たとえば、合計2本の供給ワイヤが備えられてもよく、その場合、両方のワイヤがセンサからの信号を送信でき、一方のワイヤが2つの目的を果たし、エネルギーを電極16aに運ぶこともできる。別法として、エネルギーを電極16aに伝達するために、異なる数の供給ワイヤが使用され得る。センサは、たとえば、PCT国際出願PCT/US2011/057756号で説明され、PCT国際公開WO2012/061161A1号として公開され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているように、除神経治療の送達を制御するために、治療ジェネレータ14のプロセッサによって使用され得る。
【0105】
[0133]ジェネレータ14は、マイクロプロセッサなどの処理回路及びディスプレイを備え得るデバイス又はモニタの一部であり得る。いくつかの例では、プログラマ24を参照して他のところで説明される機能は、ジェネレータ14によって実行されてもよく、システム10は、別個のプログラマを備えなくてもよい。したがって、システム10は、患者の標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を記憶するよう構成された(たとえば、ジェネレータ14又はプログラマ24内の)メモリと、メモリに結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を判断するよう構成される。プロセッサは、1つ又は複数の組織特性に基づいて、血管内に配置された治療送達デバイス12によって送達される除神経治療の推定される影響のあるボリュームを生成するよう構成される。プロセッサは、除神経治療を視覚化し、様々な治療送達パラメータの効果を判断するのに役立つ情報を臨床医に提供する、GUIを生成するよう構成される。いくつかの例では、GUIは、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含む。
【0106】
[0134]いくつかの例では、臨床医は、GUIをガイドとして使用し、一連の標的位置を決定し、治療送達デバイス12を一連の標的位置に沿って移動させ得る。臨床医は、X線透視ディスプレイを使用して、一連の標的位置に沿ったデバイス12の動きを検証できる。場合によっては、臨床医は、ジェネレータ14が特定の位置で除神経刺激を与える前に、一連の位置のそれぞれで、正しいデバイス配置を確認するプロセッサへの入力を、プロセッサに提供できる。プロセッサは、一連の位置の、位置ごとに適切な焼灼パラメータを有する、刺激作用をジェネレータに送達させることができる。刺激作用は、組織(たとえば、標的神経)の焼灼又は損傷をもたらすが、患者の神経又は心臓組織を直接刺激しない場合もある。いくつかの例では、GUI又は別のディスプレイ(たとえば、X線透視ディスプレイ)は、一連の標的位置のうちの1つ又は複数のグラフィック表現を含むことができ、推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含んでも含まなくてもよい。
【0107】
[0135]したがって、本開示によるシステム及び技法は、少なくとも除神経治療システム10自体に対する改善を構成し得る。たとえば、本開示による例示的なシステム及び技法は、より効果的な除神経治療を提供できる。いくつかの例では、除神経治療は、たとえば、治療送達位置の比較的により均等な分布のために、より短い加療時間で送達され得る。さらに、本開示によるシステム及び技法は、たとえば、システムが好適な配置、位置決め、向き、及び除神経治療パラメータを臨床医に示すことができるので、臨床医が配置、位置決め、向き、及び除神経治療パラメータを決定するに当たって試行錯誤する必要性を低減又は回避できる。
【0108】
[0136]
図2は、除神経治療を送達するための
図1Aの例示的なシステム10の展開の模式的概念図である。治療送達デバイス12は、大腿動脈(図示)、上腕動脈、橈骨動脈、又は腋窩動脈の経皮的アクセス部位などの血管内経路Pを通って、それぞれの腎動脈RA内の標的加療部位へ、腎神経叢RPへのアクセスを可能にする。図示されるように、シャフトの近位部分のセクションは、ハンドル18の近くで患者の外部に露出されている。血管内経路Pの外部からハンドル18及び治療送達デバイス12の外側セクションを操作することにより、臨床医は、時に蛇行する血管内経路Pを通して遠位部分20を進め、遠位部分20を遠隔操作できる。
【0109】
[0137]臨床医の操作を支援するために、画像誘導、たとえば、コンピュータ断層撮影(CT:computed tomography)、X線透視法、血管内超音波(IVUS:intravascular ultrasound)、光干渉断層撮影(OCT:optical coherence tomography)、若しくは別の好適な誘導様式、電極インピーダンス断層撮影(EIT:electrode impedance tomography)、又はその組合せが使用され得る。さらに、いくつかの例では、画像誘導構成要素(たとえば、IVUS、電極インピーダンス断層撮影、又はOCT)は、治療送達デバイス12自体に組み込まれ得る。治療送達デバイス12は、腎動脈RA内の所望の場所に位置決めされた後、電極16aが腎動脈RAの内壁と安定して接触するまで、ハンドル18又は他の好適な手段を使用して径方向に拡張、さもなければ展開され得る。次いで、電極16aからの意図的なエネルギーの印加が、腎動脈の局所化された局部、及び腎動脈RAの外膜内に、外膜に隣接して、又は外膜に近接して密接に横たわる、腎神経叢RPの隣接する局部に、1つ又は複数の所望の除神経の効果を誘起するために、組織に与えられる。意図的なエネルギーの印加が、腎神経叢RPのすべて又は少なくとも一部に沿った、除神経を実現させることができる。
【0110】
[0138]除神経の効果は、概して、少なくとも部分的に、電力、時間、電極16aと血管壁との間の接触、及び血管を通る血流に依存し得る。除神経の効果は、他の効果、たとえば、熱焼灼、及び非焼灼的熱変化(non-ablative thermal alteration)又は損傷(たとえば、持続的な加熱及び/又は抵抗加熱による)が伴う場合がある。望ましい加熱の効果は、標的の神経線維の温度を所望の閾値より高くして非焼灼的熱変化を実現させること、又はより高温にして焼灼的熱変化を実現させることを含み得る。たとえば、目標温度は、体温より高い(たとえば、約37℃)が非焼灼的熱変化のため約45℃未満であってもよく、又は目標温度は、焼灼的熱変化のため約45℃以上であってもよい。望ましい非熱的除神経の効果は、神経に伝えられる電気信号を変化させる、たとえば、電気信号を減衰させることを含み得る。
【0111】
[0139]約37℃の体温を超えるが約45℃の温度未満の熱エネルギー(たとえば、加熱)に曝すことは、標的神経線維又は標的線維を灌流する血管構造体の適度な加熱によって熱変化を誘起し得る。血管構造体が影響を受ける例では、標的神経線維は灌流を拒まれ、神経組織の壊死をもたらす。たとえば、これは、線維又は構造体に非焼灼的熱変化を誘起し得る。約45℃を超える温度、又は約60℃を超える温度の熱に曝すことは、線維又は構造体への実質的な加熱によって熱変化を誘起し得る。たとえば、かかるより高い温度は、標的神経線維又は血管構造体を熱的に焼灼し得る。一部の患者では、標的神経線維又は血管構造体を熱的に焼灼するが、約90℃未満、約85℃未満、約80℃未満、又は約75℃未満の温度を実現させることが望ましい場合がある。熱的神経調節を誘起するために利用される、熱への曝露の種類に関係なく、腎交感神経活動(「RSNA:renal sympathetic nerve activity)」)の低下が予測される。関係する患者の解剖学及び生理学のより詳細な説明は、
図10から
図13Bを参照して説明される。
【0112】
[0140]いくつかの例では、電極16aは、支持構造体に近接し、隣接し、又は担持され(たとえば、接着、ねじ込み、巻き付け、及び/若しくは圧着され)得る。支持構造体の近位端は、連結部(図示せず)を介して治療送達デバイス12の遠位部分20に連結され得る。連結部は、細長いシャフトと一体の構成要素であってもよく(すなわち、別個の部品でなくてもよく)、又は連結部は、支持構造体を細長いシャフトに固定するための、細長いシャフトの外面の周りに巻き付けられたカラー(たとえば、放射線不透過性バンド)などの別個の部品であってもよい。しかし、他の例では、支持構造体は、別の配置構成及び/又は相異なる特徴を使用して、細長いシャフトと連結されてもよい。
【0113】
[0141]複数の電極16aが設けられる場合、電極16aは、同時に、選択的に、若しくは順次に独立して電力を送達してもよく(すなわち、単極式で使用され得る)、且つ/又は要素の任意の所望の組合せ間で電力を送達してもよい(すなわち、双極式で使用され得る)。さらに、臨床医、ジェネレータ14、又はプログラマ24は、様々な所定の形状又はパターンを有する腎動脈内にカスタマイズされた損傷を形成するために、電力送達にどの電極16aが使用されるかを必要に応じて選択できる。それを使って除神経刺激が組織に送達される、特定の電極16aの選択は、プログラマ24が、本明細書で説明されるコンピュータモデル化技法を使用して決定できる治療送達パラメータ値の一例である。
【0114】
[0142]治療送達デバイス12及びジェネレータ14の機能は、除神経治療の推定される影響のあるボリュームに基づいて、プログラマ24によって制御され得る。たとえば、プログラマ24は、患者の標的局部で所定のレベルの除神経を実現させるための、治療プログラムの1つ又は複数の治療パラメータを決定できる。
【0115】
[0143]
図3は、医療撮像システム46及び例示的な治療送達デバイス12に結合された、例示的なプログラマ24の模式的概念図である。様々な回路、アルゴリズム、モジュール、及び機能が
図3のプログラマ24を参照して説明されているが、他の例では、ジェネレータ14又は別の医療デバイスが、プログラマ24を参照して説明された特徴を有し、機能を実行し得る。
【0116】
[0144]プログラマ24は、プロセッサ25、ユーザインタフェース26、及びメモリ28を備える。メモリ28は、プロセッサ25によって実行されると、プログラマ24に様々な機能を実行させるコンピュータ可読命令を有する。プロセッサ25は、1つ又は複数の任意のマイクロプロセッサ、コントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field-programmable gate array)、又は同等の離散型若しくは集積型デジタル若しくはアナログ論理回路を含むことができ、本明細書でのプロセッサ25に起因する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はその任意の組合せとして具体化され得る。
【0117】
[0145]メモリ28は、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、読取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、不揮発性RAM(NVRAM:non-volatile RAM)、電気的に消去可能プログラマブルROM(EEPROM:electrically-erasable programmable ROM)、フラッシュメモリ、又は他の任意のデジタル媒体などの、任意の揮発性、不揮発性、磁気、光学、又は電気媒体を含み得る。メモリ28は、患者識別情報を含む任意の好適な情報、及びそれを用いてジェネレータ14が除神経治療を生成して患者に送達する、1つ又は複数の治療プログラムを生成するための情報を記憶できる。たとえば、メモリ28は、患者の解剖学的再構成30、コンピュータモデル32、治療プログラム34、刺激作用アルゴリズム36、及び操作命令のうちの1つ又は複数を、メモリ28内の別個のメモリ又はメモリ28内の別個のエリアに記憶できる。
【0118】
[0146]各治療プログラム34は、それを使って患者に刺激が伝達される1つ又は複数の電極16a、電極の極性(該当する場合)、デューティサイクル、電流若しくは電圧の振幅及び/若しくは周波数、又は除神経刺激が非電気刺激を含む例における適切な非電気的パラメータなどの除神経刺激作用パラメータのそれぞれの値に関して、特定の治療プログラムを定義する。メモリ28はまた、それにしたがってプロセッサ25がプログラマ24の動作を制御する動作命令を記憶でき、電極16aのインピーダンスを測定し、且つ/又は血管に沿った電極16aの配置及び向きを決定するための命令を有し得る。
【0119】
[0147]ジェネレータ14は、プログラマ24から1つ又は複数の治療プログラム34を受信し、受信された1つ又は複数の治療プログラム34で指定された振幅、デューティサイクル、及び周波数などの除神経治療パラメータ値を使用して、除神経刺激を生成するよう構成される。たとえば、ジェネレータ14は、刺激作用回路38を制御して、特定の治療プログラムに応じた除神経刺激作用信号を生成し、治療送達デバイス12を介して除神経刺激作用信号を送達できる。刺激作用回路38は、任意の好適な技法を使用して、治療送達デバイス12の1本又は複数本の導体に電気的に結合され得る。たとえば、ジェネレータ14は、刺激作用回路38によって生成された刺激作用を相異なる電極間で切り替えるよう構成された切替回路を備えてもよく、又はジェネレータ14は、一度に複数の電極を駆動する複数のエネルギー源を備えてもよい。
【0120】
[0148]いくつかの例では、ジェネレータ14は、たとえば、電気的測定値、フィードバック、又はジェネレータ14のプロセッサが、治療送達デバイス12を介した除神経刺激作用信号の送達を自動的に制御できる信号、たとえば、インピーダンスを受信するように、治療送達デバイス12に結合された感知回路40を備え得る。
【0121】
[0149]いくつかの例では、システム10は、治療送達デバイスに最終的に結合されて、治療送達デバイス12が配置される血管に沿った治療送達デバイス12の動き、位置、又は向きのうちの1つ又は複数を制御する、駆動回路41又は駆動ユニット48の一方又は両方を備え得る。たとえば、駆動ユニット48は、ステッピングモータ、サーボモータ、若しくは好適なモータ、又は磁気レール、或いは血管に沿って治療送達デバイス12を前進、後退、回転、及び再配置するための他の任意の好適な仕組みを備え得る。駆動回路41は、たとえば、プロセッサ25から駆動ユニット48への制御信号を増幅するか又は送信することにより、駆動ユニット48の動作を制御できる。いくつかの例では、駆動回路41は、治療送達デバイス12の現在の位置又は向き、及び治療送達デバイス12の移動の自由度又は移動に対する抵抗性を示すフィードバック信号を駆動ユニット48から受信でき、かかるフィードバック信号を、治療送達デバイス12の動き及び場所を最終的に制御するためにプロセッサ25へ送信できる。
【0122】
[0150]ユーザである臨床医又は患者は、ユーザインタフェース26を介してプロセッサ25と相互作用できる。ユーザインタフェース26は、刺激作用による治療に関連する情報を提示するための液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)ディスプレイ、又は他の画面などのディスプレイと、プログラマ24に入力を提供するためのボタン又はパッドとを備え得る。ユーザインタフェース26が3D環境を必要とする例では、ユーザインタフェースは、ホログラフィックディスプレイ、立体視ディスプレイ、自動立体視ディスプレイ、ヘッドマウント3Dディスプレイ、又はユーザへ3D画像を提示できる他の任意のディスプレイなどの、3D環境に対応し得る。ユーザインタフェース26の釦は、オン/オフスイッチ、ズームイン若しくはズームアウト、又はオプションをナビゲートするためのプラス及びマイナス釦、入力を選ぶ又は記憶するための選択釦、並びにポインティングデバイス、たとえばマウス、トラックボール、又はスタイラスを含み得る。他の入力デバイスは、オプションをスクロールするためのホイール、又はディスプレイ上のポインティングデバイスを動かすためのタッチパッドであってもよい。いくつかの例では、ディスプレイは、ユーザがディスプレイ画面から直接オプションを選択可能にするタッチスクリーンであってもよい。
【0123】
[0151]いくつかの例では、プログラマ24は、プログラマ24と、ジェネレータ14又はプロセッサ25の制御下の別のコンピューティングデバイスとの間の、有線又は無線通信に対応し得る、テレメトリモジュールを備え得る。臨床医又は別のユーザは、プログラマ24と相互作用して、治療送達デバイス12を介して送達するための治療プログラム34を生成及び/又は選択できる。いくつかの例では、プログラマ24は、臨床医が目標とする影響のあるボリュームを定義し、適切な治療送達パラメータ値を生成して所望の影響のあるボリュームを実現させることを可能にし得る。プログラマ24は、ユーザインタフェース26を介して臨床医に解剖学的局部を提示し、治療プログラム34を選択し、コンピュータモデル32を操作することにより、又はユーザインタフェース26のGUI上に提示される推定される影響のあるボリュームにより、新しい治療プログラム34を生成し、選択された治療プログラム34をジェネレータ14に伝達するために使用され得る。
【0124】
[0152]プログラマ24は、プログラマ24の構成要素に動作電力を供給するための電源を備え得る。電源は、少なくとも1つの電池と、動作電力を作り出すための発電回路とを備え得る。いくつかの例では、電池は、長時間動作を可能にするため、充電式であり得る。再充電は、近接誘導相互作用、又は基部の回路若しくは再充電ステーションと電気的に接触することにより達成され得る。他の例では、1次電池(たとえば、ニッケルカドミウム又はリチウムイオン電池)が使用されてもよい。加えて、プログラマ24は、交流電源に直接結合されてもよく、これは、パーソナルコンピュータなどの一部のコンピューティングデバイスの場合であろう。電源は、電池内に残っている電力を監視するための回路を備え得る。このようにして、電池が交換又は再充電される必要がある場合、ユーザインタフェース26は、現在の電池レベルインジケータ又は低電池レベルインジケータを提示できる。場合によっては、電源は、現在の電池を使用して動作の残り時間を推定できる可能性がある。
【0125】
[0153]いくつかの例では、プログラマ24は、医療撮像システム46に通信可能に結合されてもよく、さもなければ、医療撮像システム46から患者の1枚又は複数枚の医療画像を受信してもよい。医療撮像システム46は、標的神経(たとえば、除神経されることが意図されている)及び場合によっては対応する血管を含む、患者の局部の医療画像を生成するよう構成され得る。対応する血管は、たとえば、それを通って標的神経が治療送達デバイスによってアクセスされ得る動脈又は別の血管であり得る。医療撮像システム46によって生成された1枚又は複数枚の医療画像は、プログラマ24によってメモリ28に記憶されるか、さもなければプロセッサ25によって使用され、患者の解剖学的なデジタル再構成30を生成できる。医療画像は、回避すべき組織局部(たとえば、特定の筋肉、リンパ節、他の血管静脈/動脈、腎臓自体、消化管、又は他の解剖学的特徴若しくは組織)を識別するのに十分な解像度を備える、任意の医療画像であり得る。
【0126】
[0154]場合によっては、プログラマ24のメモリ28又は別のデバイス(たとえば、遠隔デバイス)は、たとえば、同じか又はほぼ同じ患者の局部の複数の医療画像であり得る、患者の複数の医療画像を記憶できる。場合によっては、除神経治療セッション間に比較的長い時間の(たとえば、数週間、数か月、さらには数年程度の)隔たりがあった場合、臨床医は、医療撮像システム46を使用して、1枚又は複数枚の更新された患者の医療画像を生成するか、さもなければ患者の更新された医療画像を取得するかを選択し、1枚又は複数枚の更新された医療画像に基づいて、ジェネレータ14で使用される1つ又は複数の治療プログラムを更新できる。いくつかの例では、複数の医療画像は、患者の局部の任意の好適で利用可能な医療画像、たとえば除神経治療以外の治療のために取得された患者の局部から得られた画像を含み得る。体重増加、又は体重減少などに起因して、特定の患者の解剖学的構造及び/又は組織特性が、経時的に変化する場合がある。
【0127】
[0155]いくつかの例では、医療撮像システム46は、X線透視システム、コンピュータ支援断層撮影(CAT)走査システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム、陽電子放出断層撮影(PET)走査システム、電気インピーダンス断層撮影(EIT)システム、超音波システム、又は光学撮像システムのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの例では、EITは、神経、脂肪、及び腎静脈などの血管外構造体の全体的な位置を識別するために使用され得る。いくつかの例では、こうした構造体又は他の構造体を、たとえばEITによって3次元空間に置くことは、デジタル再構成30又はコンピュータモデル32を改善し得る。プロセッサ25は、患者の解剖学的再構成30に基づいて、コンピュータモデル32を開発するよう構成され得る。いくつかの例では、コンピュータモデル32は、有限要素モデルを含む。いくつかの例では、デジタル再構成30は、3次元(3D)再構成を含む。プロセッサ25は、デジタル再構成30又はコンピュータモデル32の一方又は両方を使用して、除神経治療の推定される影響のあるボリュームを判断し、
図4、
図6、及び
図7を参照して説明されるように、推定される影響のあるボリュームに基づいて、1つ又は複数の治療プログラム34を決定できる。プロセッサ25はさらに、
図4、
図6、及び
図7を参照して説明されるように、治療プログラム34に基づいて、ジェネレータ14による除神経治療を送達し、その送達を監視するためにも使用され得る。
【0128】
[0156]
図4は、除神経治療を送達するための例示的な技法を示す流れ図である。
図4から
図7の例示的な技法は、
図1A、
図1B、
図2、及び
図3の例示的なシステムを参照して説明される。しかし、
図4から
図7の例示的な技法は、任意の好適なシステム又はデバイスを使用して実行されてもよい。いくつかの例では、
図4の例示的な技法は、プロセッサ25によって、標的神経及び血管に近接する組織の1つ又は複数の組織特性を決定すること(50)を含む。組織特性は、電気インピーダンス、熱伝導率、音響インピーダンス、薬剤拡散率、光透過率、又は組織の密度のうちの1つ又は複数を含み得るが、それに限定されるものではない。組織は、血液、筋肉、脂肪、神経、体液、骨、腎臓、カルシウム沈着物、又は任意の好適な組織を含み得る。いくつかの例では、プロセッサ25は、
図5を参照して説明されるように、標的神経及び血管を含むデジタル再構成30に基づいて、少なくともコンピュータモデル32を生成することによって組織特性を決定できる。
【0129】
[0157]プロセッサ25は、1つ又は複数の組織特性に基づいて、1つ又は複数のそれぞれの治療プログラムにしたがって、血管内に配置された治療送達デバイス12によって送達される、除神経治療の少なくとも1つの推定される影響のあるボリュームを生成できる(52)。たとえば、患者の局部のコンピュータモデル32から識別された様々な組織の種類に関連する熱及び電気伝導率に基づいて、プロセッサ25は、エネルギー又は除神経刺激作用が電極16aから電気的又は熱的に伝導され得る、ボリューム到達範囲を(又は概ね、治療送達デバイス12、12aの治療送達要素の位置及び向きから)判断できる。一例として、プロセッサ25は、伝導率及び密度などの組織の性質に基づいて、所定の周波数及び振幅を有するRF信号の推定される伝搬、並びに熱波の推定される伝搬を判断できる。別の例として、患者の局部のコンピュータモデル32で示される組織の薬剤拡散率に基づいて、プロセッサ25は、治療送達デバイス12、12aによって送達される薬剤の送達によって生じる薬剤刺激作用のボリューム到達範囲を判断できる。
【0130】
[0158]いくつかの例では、コンピュータモデル32は、患者の局部内の1つ又は複数の血管の血流量を考慮できる。たとえば、血管、たとえば腎動脈の血流量が、治療送達デバイス12によって送達される刺激作用に起因して、影響のあるボリュームに影響を与える可能性がある。たとえば、血流量が多いほど放熱が比較的速くなり、所与の除神経刺激に対する影響のあるボリュームが、より少ない血流量に伴う影響のあるボリュームよりも小さくなる可能性がある。いくつかの例では、コンピュータモデル32は、標的組織部位又はその付近の血流量を含むことができ、これは、コンピュータモデル32の助けなしに、アドホックに送達される除神経治療と比較して、治療送達デバイス12、12aによる除神経治療送達の有効性、効率、又はその両方を高めるのに役立ち得る。患者固有の解剖学的構造は、たとえば、患者の様々な解剖学的構造体(たとえば、器官、血管、及び標的組織部位など)の位置及び相対的配置構成、並びに血管を通る血流量、したがって血管の熱及び/又は電気伝導率に対応し得る、1つ又は複数の血管のサイズを含み得る。
【0131】
[0159]いくつかの例では、コンピュータモデル32はまた、1つ又は複数の除神経刺激の影響のあるボリュームを推定するために、治療送達デバイス12、12aの電極又は他のエネルギー送達要素と患者の組織との間の接触の程度を考慮できる。
【0132】
[0160]プロセッサ25は、様々な刺激が様々な種類の組織にどのように影響するかを数値的に表す、有限要素モデル又は別のアルゴリズムを含むがそれに限定されるものではない、推定される影響のあるボリュームを判断する任意の好適な技法を使用できる。刺激が電気刺激か、熱刺激か、薬剤による刺激か、光による刺激か、それとも他の種類の刺激であるかどうかに関係なく、推定される影響のあるボリュームは、除神経刺激の程度を示すことができ、且つ除神経刺激を受ける神経及び非神経組織の生存率を示し得る。たとえば、プロセッサ25は、推定される影響のあるボリューム内に損傷が形成され得る一方で、推定される影響のあるボリュームの外側の組織に損傷が形成され得ないことを判断できる。したがって、いくつかの例では、推定される影響のあるボリュームは、損傷、たとえば、除神経による損傷を含む。いくつかの例では、影響又は損傷の1つ又は複数のボリュームは、血管を中心にして周方向に、たとえば、血管に沿った軸の周りに約180°を超えて囲み、軸の周りに約270°を超えて囲み、軸の周りに約300°を超えて囲み、又は血管の周りにほぼ360°を囲んで広がり得る。いくつかの例では、血管の周囲部は、軸に垂直なほぼ円形の断面を有し得る。他の例では、断面は非円形、たとえば任意の閉じた曲線の場合がある。いくつかの例では、影響又は損傷のボリュームは、軸を中心にしてほぼ円形の経路に沿って広がり得る。他の例では、影響又は損傷のボリュームは、軸の周りに、非円形経路、閉経路、又は開経路(たとえば、弦巻き状経路)に沿って広がる場合がある。
【0133】
[0161]いくつかの例では、プロセッサ25は、それぞれの治療プログラムに基づいて、2つ以上の推定される影響のあるボリュームを判断できる。たとえば、プロセッサ25は、治療プログラム34の第1の治療プログラムにしたがって、治療送達デバイス12によって送達される第1の除神経治療の第1の推定される影響のあるボリュームを生成し、治療プログラム34の第2の治療プログラムにしたがって、治療送達デバイス12によって送達される第2の除神経治療の第2の推定される影響のあるボリュームを決定できる。第2の治療プログラムは、第1の治療プログラムのそれぞれの治療パラメータ値とは異なる、少なくとも1つの治療パラメータ値を含む。
【0134】
[0162]いくつかの例では、プロセッサ25は、たとえば腎神経、他の神経、又は対象となる標的組織部位を、除神経刺激によって同様に標的とするため、特定の患者に対してそれぞれが有効な結果を提供する、複数の治療プログラムを決定できる。しかし、相異なる治療プログラムにより除神経治療を送達した結果は、1つ又は複数の点で互いに異なり得る。たとえば、いくつかの治療プログラムは、生成するのに、1つ又は複数の他の治療プログラムよりも多くの電力を必要とする除神経刺激を定義することがあり、それによりいくつかの治療プログラムは、他よりも効果的であり得る(たとえば、電力使用に関して)。別の例として、いくつかの治療プログラムは、1つ又は複数の他の治療プログラムよりも多くの非標的組織の損傷をもたらす可能性がある。したがって、プロセッサ25は、治療プログラムを、標的組織部位の推定される損傷に基づくだけでなく、治療セッション中に消費される電力、及び非標的組織部位への影響など、1つ又は複数の他の要因にも基づいて選択できる。いくつかの例では、プロセッサ25は、1つ又は複数のこうした他の要因に基づいて治療プログラムのリスト(たとえば、電力消費、又は治療によって影響を受ける非標的組織部位のボリュームなどに基づく昇順又は降順)を順序づけ、ユーザインタフェース26のディスプレイを使って治療プログラムの順序づけされたリストをユーザに提示できる。次いでプロセッサ25は、ユーザ入力に応答して、又は順序づけられたリストの上位の1つ又は複数の、所定数の治療プログラムに基づいて自動的に、患者への治療の送達を制御する1つ又は複数の治療プログラムを選択できる。
【0135】
[0163]いくつかの例では、プロセッサ25は、複数の治療プログラム(所与の治療パラメータの少なくとも1つの治療パラメータ値が互いに異なる)を生成し、複数の影響のあるボリュームを判断することができ、複数の影響のあるボリュームのうちの各影響のあるボリュームは、複数の治療プログラムのうちのそれぞれの治療プログラムに関連している。プロセッサ25は、複数の影響のあるボリュームのうちの1つの影響のあるボリューム、たとえば、非標的部位、たとえば、所定の有害効果のある部位を回避しながら、対象となる組織に広がる少なくとも1つの影響のあるボリュームを判断できる。少なくとも1つの影響のあるボリュームに基づいて、プロセッサ25は、患者に除神経治療を送達するための、複数の治療プログラムのうちの1つの治療プログラムを選択できる。プロセッサ25は、ジェネレータ14を制御して、影響のある少なくとも1つのボリュームが、非標的組織部位に影響を与えない又は非標的組織部位内に広がらないように、選択された治療プログラムによって定義された治療送達パラメータにしたがって、除神経治療を生成して送達し、標的組織部位での少なくとも1つの影響のあるボリュームを生成できる。
【0136】
[0164]いくつかの例では、プロセッサ25は、複数の治療プログラム(少なくとも、血管に沿った影響のあるボリュームの位置が互いに異なる)を生成できる。たとえば、プロセッサ25は、血管に沿った複数箇所の位置、たとえば、血管の長さに沿った6箇所、9箇所、12箇所、又は任意の好適な数の位置に送達される、複数の治療プログラムを生成できる。プロセッサ25は、複数の影響のあるボリュームを判断でき、複数の影響のあるボリュームのうちの各影響のあるボリュームは、血管に沿った位置のうちのそれぞれの位置に関連する。いくつかの例では、血管に沿った影響のある2つ以上のボリュームが、ボリューム内で重複する場合がある。いくつかの例では、プロセッサ25は、治療の影響のある比較的単純なパターンを実現させる治療プログラム、たとえば血管に沿った焼灼を選択できる。たとえば、単純なパターンは、電力使用量又は治療セッションの継続期間に関して最も効率的であり得るか、臨床医にとって送達するのが最も簡単であり得るか、血管に沿った非標的組織部位において、血管に沿って比較的に有害効果が最も小さいという結果になり得るか、又はさもなければ、血管に沿った治療送達の所与のパターンをもたらすものであり得る。いくつかの例では、プロセッサ25は、所与の治療送達デバイス、たとえば、治療送達デバイスに沿ったカテーテル又は電極の所与の種類、形状、又は向きのための、血管に沿った影響のあるボリュームのパターンを生成する治療プログラムを選択し得る。いくつかの例では、所与の治療送達デバイスは、螺旋又は弦巻き部分を画定するカテーテル、及び螺旋又は弦巻き部分に沿って同時に治療を送達する3つ、4つ、又はさらに多くの電極又は任意の好適な治療送達要素を含み得る。
【0137】
[0165]いくつかの例では、プロセッサ25は、血管に沿った相異なる場所で、たとえば、相異なる幾何学的ボリュームに広がる、相異なる影響のあるボリュームを生成する治療プログラムを選択できる。特定の位置での個々の影響のあるボリュームは、たとえば、治療送達デバイスに対する標的組織部位(たとえば、腎神経)の位置に対応し得る。いくつかの例では、治療プログラムは、血管に沿った1箇所又は複数箇所の位置で、より小さなボリュームの影響を生成し、血管に沿った他の位置に沿って、より大きな影響のあるボリュームを生成できる。いくつかの例では、影響のあるボリュームは、血管に沿って、ボリュームが徐々に増大するか、ボリュームが徐々に減少し得る。
【0138】
[0166]いくつかの例では、プロセッサ25は、複数の治療プログラムを選択することができ、複数の治療プログラムのうちの各治療プログラムは、血管に沿った様々な位置のうちの1つの位置に関連する。複数の治療プログラムのうちの相異なる治療プログラムは、相異なる位置で、1つ又は複数の治療パラメータが異なり得る。いくつかの例では、それぞれの治療プログラムの治療パラメータのそれぞれの大きさは、血管に沿って徐々に増加するか、又は徐々に減少し得る。
【0139】
[0167]いくつかの例では、プロセッサ25は、標的神経及び血管に近接する組織のグラフィック表現、並びに推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含み得る、GUI26を生成する(54)。このGUI26は、特定の患者に対する特定の治療プログラムの治療効果を、かかる患者固有のモデル化を提供しない既存の腎除神経治療プログラミングでは不可能かもしれないやり方で、比較的迅速に確認するための情報を臨床医に提供できる。
【0140】
[0168]GUI26を生成することに加えて、又は生成する代わりに、プロセッサ25は、推定される影響のあるボリュームに基づいて、効果的な除神経治療送達のための1つ又は複数の治療パラメータ値を決定し得る(56)。たとえば、プロセッサ25は、結果として得られた、推定される影響のあるボリューム(52)に基づいて、1つ又は複数のモデル化された治療プログラム34を選択できる。治療パラメータ値は、たとえば、電気信号パラメータ、熱信号パラメータ、超音波信号パラメータ、マイクロ波信号パラメータ、又は薬剤投与量パラメータのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの例では、治療パラメータ値は、たとえば、除神経刺激を送達する患者の体内のそれぞれの位置を含み得る。プロセッサ25は、任意の好適な1つ又は複数の基準を使用して、1つ又は複数の治療パラメータ値を選択できる。たとえば、場合によっては、プロセッサ25は、標的神経の損傷、及び所定の有害効果のある局部の損傷の回避をもたらすよう決定された、1つ又は複数の治療パラメータ値(又は治療プログラム)を少なくとも選択することにより、1つ又は複数の治療パラメータ値を決定する。他の例では、プロセッサ25は、必ずしも推定される標的神経の損傷が得られることなく、所定の有害効果のある局部の損傷を回避するよう決定された、1つ又は複数の治療パラメータ値(又は治療プログラム)を少なくとも選択することにより、1つ又は複数の治療パラメータ値を決定する。
【0141】
[0169]プロセッサ25が推定される影響のあるボリュームを生成する例では、プロセッサ25は、複数のモデル化された治療プログラムのサブセット(たとえば、1つ又は複数の治療プログラム)を少なくとも選択することにより、除神経治療送達の1つ又は複数の治療パラメータ値を決定する。たとえば、プロセッサ25が、第1及び第2の推定される影響のあるボリュームのそれぞれに基づいて、第1の治療プログラム及び第2の治療プログラムのそれぞれについての推定される影響のあるボリュームを生成する上記の例では、プロセッサ25は、除神経標的神経を包囲する、且つ/又は所定の有害効果のある局部(たとえば、損傷させることが求められていない組織又は器官)の損傷を回避する影響のあるボリュームが結果として得られる、影響のあるボリュームに関連する治療プログラムを選択できる。
【0142】
[0170]いくつかの例では、プロセッサ25は、判断された有効性(たとえば、標的神経の損傷、及び/若しくは有害効果のある局部の損傷の回避をもたらす)に基づいて治療プログラム34を順序づけするGUI26を生成し得るか、又はさもなければ、臨床医が、治療プログラム34の1つを選択できる。たとえば、プロセッサ25は、記憶された各治療プログラム34を、関連する推定される影響のあるボリュームに基づく数値スコアと関連づけることができ、スコアは、たとえば、推定される影響のあるボリュームの、標的神経と重なる量及び/又は有害効果のある局部と重なる量を示す。次いで、プロセッサ25は、スコアに基づいて、治療プログラム34を昇順又は降順に順序づけできる。次いで、臨床医は、順序づけられた治療プログラムのリストを迅速に検討し、ジェネレータ14をプログラミングするためにどの1つ又は複数の治療プログラムが使用されるべきかを決定できる。
【0143】
[0171]いくつかの例では、プロセッサ25は、決定された1つ又は複数の治療パラメータ値34に基づいて、除神経治療を生成して患者に送達するようジェネレータ14を制御できる(58)。たとえば、プロセッサ25は、有線又は無線通信を介して、1つ又は複数の選択された治療プログラム34をジェネレータ14に送信するか、又は選択された治療プログラム34に基づいて、刺激作用回路38を直接制御して、除神経治療を生成及び送達できる。
【0144】
[0172]いくつかの例では、例示的な技法は、プロセッサ25によって、推定される影響のあるボリュームに基づいて、患者の体内の治療送達デバイス12の指標づけされる位置を生成し、指標づけされる位置を特定の治療プログラムに関連づけることをさらに含む。たとえば、指標づけされる位置は、血管に沿った(又は治療送達デバイス12のシャフトに沿った)位置であり得る。また指標づけされる位置は、血管若しくは別の解剖学的ランドマーク、又は治療送達デバイス12上のランドマークに対応した、治療送達デバイス12の治療送達要素(たとえば、電極16a)の位置であり得る。指標づけされる位置は、治療送達デバイス12が血管内を進んでいる程度か、それとも治療送達デバイス12、12aの1つ又は複数の治療送達要素(たとえば、電極16a)の近接を判断するために使用され得る。たとえば、GUI26又は別のディスプレイは、1つ又は複数の指標位置のグラフィック表現を含み得る。いくつかの例では、GUI26又は別のディスプレイは、影響のあるボリュームのグラフィック表現を含むことなく、1つ又は複数の指標位置のグラフィック表現を含んでもよい。いくつかの例では、駆動ユニット48は、指標位置、たとえば、体の血管の外側で確認可能であり得る治療送達デバイス12上の指標位置を監視することによって、血管に沿って治療送達デバイス12、12aを前進又は後退させ得る。
【0145】
[0173]治療送達デバイス12の場所を制御するために、駆動ユニット48のプロセッサによって、任意の好適な技法が使用され得る。たとえば、駆動ユニット48は、治療送達デバイス12上の可視マーカを監視して、患者への入口点に対する治療送達デバイス12の相対場所を判断する光学ユニットを備え得る。別の例として、治療送達デバイス12は、磁気マーカを備えることができ、駆動ユニット48は、磁気マーカを、たとえば、磁気マーカによって生成され、駆動ユニット48のセンサによって感知された磁場の大きさを利用して、治療送達デバイス12の(たとえば、プログラマ24に対する)相対場所を判断し得る。いくつかの例では、治療送達デバイス12は、X線透視下で検出可能な放射線不透過性、すなわちX線マーカを備えることができ、臨床医又は駆動ユニット48は、X線透視画像又は他の医療画像のディスプレイ上に重ね合わされた所定の登録マーカと位置を揃えることができる。表示された医療画像上に重ね合わされた放射線不透過性マーカは、臨床医が治療送達デバイス12の位置調整を手動で評価することを可能にし得る。
【0146】
[0174]いくつかの例では、プロセッサ25は、患者の局部のX線透視画像などの画像を含むGUIを生成でき、画像上にマーカを重ね合わせて、患者の解剖学的構造に対して指標づけされる位置がどこにあるかを、臨床医に示すことができる。プロセッサ25は、除神経刺激を送達するように、臨床医を次の位置に誘導するのを助けるために、1度に1つのマーカを重ね合わせてもよく、又は1度に複数のマーカを重ね合わせてもよい。たとえば、臨床医は、重ね合わされたマーカを、指標づけされる位置を示すマーカ、たとえば、治療送達デバイス12上の放射線不透過性マーカと比較できる。臨床医はこの情報を使用して、医療処置中に治療送達デバイス12を患者の体内の相異なる位置に手動で誘導できる。他の例では、プロセッサ25は、X線透視撮像システム又は別の撮像システムと通信でき、次いで、前述の例と同様に、患者の医療画像上に1つ又は複数のマーカを重ね合せできる。
【0147】
[0175]いくつかの例では、標的神経又は神経束は、画像化によって知覚できない場合がある。いくつかのかかる例では、プロセッサ25又は臨床医は、非標的組織に有害効果を引き起こすことなく、神経の存在が疑われるか又は予測され得る標的局部の損傷を試み得る。いくつかのかかる例では、プロセッサ25又は臨床医は、たとえば血管に沿って治療送達の部位の数を減らしながら、全体的な損傷のボリュームを増大させる治療プログラムを決定し得る。
【0148】
[0176]上記で論じられたように、いくつかの例では、プロセッサ25は、患者の局部のコンピュータモデルを生成し、ここでコンピュータモデルは、局部内のそれぞれの組織特性(たとえば、熱伝導率、電気伝導率、密度、及び/又は類似のもの)を含む、組織の空間表現を定義する。プロセッサ25は、任意の好適な技法を使用して、コンピュータモデルを生成できる。
図5は、患者の局部のコンピュータモデルを生成する例示的な技法を示す流れ図である。
【0149】
[0177]
図5の例では、プロセッサ25は、患者の局部の少なくとも1枚の医療画像を、医療撮像システム46から受信する(51)。どんな好適な画像化様式が医療画像に使用されてもよく、その例は上記で説明されている。少なくとも1枚の画像に基づいて、プロセッサ25は、少なくとも1枚の画像内の相異なる種類の組織を識別できる(53)。例示的な組織の種類は、骨、腱、筋肉、脂肪、リンパ節、血管、及び/又は器官を含むが、それに限定されるものではない。別の例として、例示的な組織の種類は単に、組織の熱又は電気伝導率、組織の密度、組織の薬剤拡散率、たとえば音速若しくは減衰などの音波若しくは超音波パラメータ、又はその任意の組合せなどの、しかしこれらに限定されるものではない、組織特性に基づき得る。
【0150】
[0178]たとえば、プロセッサ25は、位置、サイズ、又は画像の1つ若しくは複数の視覚的特徴(たとえば、画像の色の深度)に基づいて、或いは相異なる組織の種類の予測される密度に対応づけて、少なくとも1枚の画像内の所定の組織の種類を識別できる。別の例として、プロセッサ25は、画像内の相異なる組織の種類を識別するユーザインタフェース26(
図3)を介して、ユーザ入力を受信できる。たとえば、ユーザは、組織の種類の様々な部分的局部の輪郭を表す入力を与えることができ、様々な部分的局部に特定の組織の種類を割り当てることなどによって、組織の種類を識別する。しかし、プロセッサ25はまた、いくつかの例では、画像処理技法、たとえば、エッジ検出を使用して、相異なる種類の組織間の境界を見つけることなどによって、該識別を自動的に行うことができる。少なくとも1枚の画像内の相異なる種類の組織を識別することにより、プロセッサ25は、標的神経及び関連する血管に近接する組織の相対位置及び種類を示す、患者の局部のマップを生成できる。
【0151】
[0179]プロセッサ25は、相異なる種類の組織に、既知の組織の種類に関連する、対応する組織特性を割り当てることができる(55)。たとえば、プロセッサ25は、医療画像内の相異なる識別された組織の種類に、それぞれの組織の種類に関連する熱及び/又は電気伝導率の値、光透過率、又は薬剤拡散率の値それぞれを割り当てることができる。いくつかの例では、相異なる組織の種類に関する熱又は電気伝導率及び組織密度のうちの1つ又は複数は、患者に、又は少なくともある部類の患者には一般的であり得る(たとえば、新生児の組織特性は互いに類似している可能性があり、一方老齢期の患者の組織特性は互いに類似している可能性がある)。プロセッサ25は、相異なる組織の種類を、プログラマ24のメモリ28(
図3)又は別のデバイスのメモリ内の、それぞれの組織特性と関連づけできる。
【0152】
[0180]プロセッサ25は、少なくとも1枚の画像に加えて、又は画像の代わりに、患者の局部の電気的マップ、たとえば、患者の局部に導入された複数の電極によって決定されるインピーダンスマップを使用して、コンピュータモデルを生成できる。いくつかの例では、臨床医は、組織の種類を指定でき、プロセッサ25は、臨床医によって識別された組織の種類にそれぞれの組織特性(たとえば、熱及び電気伝導率、並びに密度)を割り当てることができる。このようにして、組織特性を少なくとも1枚の画像で識別された相異なる組織の種類の空間関係と組み合わせることにより、プロセッサ25は、画像内の患者の局部内の相異なる部位での組織特性を表す、コンピュータモデル32を生成できる。コンピュータモデル32は、たとえば、患者の局部のデジタル再構成であってもよい。
【0153】
[0181]いくつかの例では、プロセッサ25は、複数の画像を処理して、2D又は3Dコンピュータモデル32を生成できる。電気的マップ及び/又は画像は、画像及び/又はマップ内で可視の解剖学的ランドマーク(たとえば骨のランドマーク)を位置揃えすることなどによって、任意の好適な手法を使用して互いに位置合せされ得る。
【0154】
[0182]
図6は、除神経治療を送達するための別の例示的な技法を示す流れ図である。
図6に示される技法は、
図4の技法のより具体的な例であり得る。
図6に示される技法のいくつかの例では、プロセッサ25は、患者の局部のデジタル再構成30に基づいて、コンピュータモデル32を決定する(60)。局部は、標的神経及び血管を含む。コンピュータモデル32は、局部内の1つ又は複数の組織特性の空間表現を定義する。プロセッサ25は、たとえば
図5に関して説明された技法を使用してコンピュータモデル32を生成することにより、又はプログラマ24のメモリ28又は別のデバイスのメモリから既に生成されたコンピュータモデル32を読み出すことにより、コンピュータモデル32を決定できる。
【0155】
[0183]プロセッサ25は、コンピュータモデル32に複数の除神経刺激のデジタル表現を施す(64)。除神経刺激のデジタル表現のそれぞれについて、プロセッサ25は、血管に沿ってそれぞれの所定の向きで、且つそれぞれ所定の位置での、治療送達デバイス12(のデジタル表現)による、患者の組織のデジタル再構成での各除神経刺激の送達をシミュレーションする。プロセッサ25は、除神経刺激のデジタル表現のそれぞれに対するコンピュータモデル32のそれぞれの応答状態を決定する(66)。たとえば、プロセッサ25は、除神経刺激の大きさ、向き、及び方向に基づいて、且つ標的神経及び血管に隣接する組織の組織性質(コンピュータモデル32に表されるような)に基づいて、推定される影響のあるボリュームを生成し得る。応答状態は、治療送達デバイス12の治療送達要素に近接する組織の組織特性を考慮に入れて、除神経刺激の除神経効果が、患者の体内の治療送達デバイス12からどの程度遠くまで伝播することが予測されるかを示し得る。
【0156】
[0184]
図6に示される技法では、プロセッサ25は、コンピュータモデル32に複数の除神経刺激のデジタル表現を施し、それぞれの除神経刺激に対するコンピュータモデル32の応答状態を判断することにより、特定の治療プログラムにしたがって除神経治療送達デバイス12を送達することによって生じると予測される、推定される影響のあるボリュームを生成する。
【0157】
[0185]プロセッサ25は、判断された応答状態に基づいて、患者に治療を送達するための除神経刺激を選択できる。たとえば、プロセッサ25は、応答状態に基づいて標的神経の生存率を判断でき、生存率を閾値と比較できる(68)。いくつかの例では、プロセッサ25は、標的神経又は隣接する組織が達すると予測される温度、及び標的神経又は隣接する組織が温度を維持すると予測される時間に基づいて、生存率を判断し得る。たとえば、予測される温度が比較的高い場合、生存率に影響を与えるためには、より短い時間で十分であり得る。神経の生存率が閾値未満である場合、応答状態は、標的神経の除神経を示し得る(神経の生存率が閾値未満に低下しているので)。いくつかのかかる例では、プロセッサ25は、選択される少なくとも1つの除神経刺激に伴うそれぞれの応答状態が、神経の生存率が閾値よりも低いことを示すと判断したことに応答して、少なくとも1つの除神経刺激を選択し得る(70)。かかる例では、プロセッサ25は、除神経刺激を生成するために使用される治療プログラムを、治療プログラム34内に有効な治療プログラムとして、又は治療プログラムを、治療プログラム34に追加される新しい治療プログラムとして記憶することによって、記憶できる。いくつかの例では、プロセッサ25は、その治療プログラムを特定の標的神経に関連づけることができ、それにより、プロセッサ25又は別のデバイスは、その標的神経が除神経されるべきである場合、該治療プログラムを選択できる。いくつかの例では、標的神経は神経束の一部であり得る。治療プログラムは、該神経束に関連づけられ得る。
【0158】
[0186]いくつかの例では、患者の局部は、少なくとも1つの非標的の非神経組織を含む。いくつかのかかる例では、標的神経の非生存率又は低い生存率に加えて、又はその代わりに、非標的組織(たとえば、非神経組織又は器官)の十分に高い生存率が求められ得る。いくつかのかかる例では、選択された少なくとも1つの除神経刺激に伴うそれぞれの応答状態は、非標的の非神経組織の生存率が閾値よりも高いことを示し得る。したがって、いくつかの例では、プロセッサ25は、選択される少なくとも1つの除神経刺激に伴うそれぞれの応答状態が、非標的の非神経組織の生存率が閾値よりも高いことを示すと判断したことに応答して、少なくとも1つの除神経刺激を選択する。プロセッサ25は、除神経刺激を生成するために使用される治療プログラムを、治療プログラム34内に有効な治療プログラムとして、又は治療プログラムを、治療プログラム34に追加される新しい治療プログラムとして記憶することによって、記憶できる。いくつかの例では、プロセッサ25は、その治療プログラムを特定の標的神経に関連づけることができ、それにより、プロセッサ25又は別のデバイスは、その標的神経が除神経されるべきである場合、該治療プログラムを選択できる。
【0159】
[0187]プロセッサ25は、その後、1つ又は複数の選択された除神経刺激(又はその結果得られる治療プログラム)を使用して、ジェネレータ14を使って除神経治療を制御できる。たとえば、プロセッサ25は、除神経刺激(又はその結果得られる治療プログラム)にしたがって、除神経治療を生成し、治療送達要素12を使って患者の局部に送達するよう、ジェネレータ14を制御できる(72)。
【0160】
[0188]臨床医は、治療送達デバイス12を使って除神経刺激の送達場所、向き、及び開始を展開及び操作できるが、いくつかの例では、プログラマ24は、自動又は半自動での治療送達デバイスの位置調整、方向づけ、又はトリガすることによって、臨床医を管理又は支援し得る。
【0161】
[0189]
図7は、医療処置中に患者の体内の治療送達デバイス12の場所を制御する、例示的な技法を示す流れ図である。プログラマ24のメモリ28又は別のデバイスのメモリは、治療送達デバイス12のための複数の指標づけされる位置を記憶できる。指標づけされる位置は、デバイス12の治療送達要素が血管の長さに沿って位置決めされ、除神経刺激の均等な分布をもたらし得る(たとえば、何らかの既知のランドマークに関連する)位置に対応できる。加えて、又は代わりに、指標づけされる位置は、それぞれの位置に対して選択された特定の治療プログラムに対応し、望ましい影響のあるボリュームを提供できる。上記で論じられたように、血管に沿った相異なる場所で組織特性が変わるので、所望の治療効果をもたらす影響のあるボリュームを生成するために必要な除神経治療パラメータ値は、患者の体内の位置に基づいて異なり得る。
図7の技法は、既知の位置を(コンピュータモデル32を使用して)決定されているそれぞれの治療プログラムと関連づけることにより、システム10が、より短時間でより効率的且つ効果的な除神経治療を提供するのを助けることができ、結果的に、患者への効果的な治療の送達が得られる可能性が高い。
【0162】
[0190]
図7に示される技法にしたがって、プロセッサ25は、治療送達デバイス12を血管内の所定の位置に移動させるために、手術用デバイスを制御する(80)。たとえば、プロセッサ25は、1つ又は複数の制御信号を、駆動回路41を通して又は他の方法で駆動ユニット48に送信でき、駆動ユニット48は、治療送達デバイス12と係合し、治療送達デバイス12を前進、後退、又は回転させ、血管に沿って、標的神経又は所定の非神経組織に対する所定の場所及び向きをとらせ得る。治療送達デバイス12が所望の所定の位置に来ると、プロセッサ25はジェネレータ14を制御して、1つ又は複数の治療パラメータ値に基づいて除神経治療を患者に送達できる(82)。たとえば、プロセッサ25は、ジェネレータ14に除神経刺激を送達させる制御信号を、ジェネレータ14に送信できる。別の例として、プロセッサ25は臨床医に、ジェネレータ14を次いで手動で制御し、除神経刺激を送達できることを通知し得る。
【0163】
[0191]上記で論じられたように、いくつかの例では、プロセッサ25はGUI26を生成し、プログラマ24のユーザインタフェース26のディスプレイ上にGUIを提示する。GUIは、たとえば、標的神経、及び関連する場合は対応する血管を含む、患者の局部のグラフィック表現を提示できる。対応する血管は、たとえば、それを通って標的神経にアクセスするために治療送達デバイス12が導入される血管であり得る。いくつかの例では、GUIは、標的神経、及び関連する場合は対応する血管を含む、患者の局部のグラフィック表現だけを含み得る。他の例では、GUIは、治療送達要素12を使った患者の組織への除神経刺激の送達によってもたらされると予測される、推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現など、他のグラフィック要素を含み得る。いくつかの例では、GUI又は別のディスプレイ(たとえば、X線透視ディスプレイ)は、プロセッサ25によって決定された治療を送達するための、一連の標的位置のうちの1つ又は複数のグラフィック表現を含むことができ、推定される影響のあるボリュームのグラフィック表現を含んでも含まなくてもよい。かかるGUIは、臨床医が、除神経治療をより適切に視覚化し、患者の体内の治療送達要素の位置を含む、様々な治療パラメータ値が影響のあるボリュームに与え得る効果の、より適切な理解を得るのに役立ち得る。
【0164】
[0192]いくつかの例では、上記のいくつかの例で論じられた既知の治療プログラムに基づいて影響のあるボリュームのグラフィック表現を生成するのではなく、ユーザが、GUI内の所望の影響のあるボリュームのグラフィック表現を示す入力を提供でき、プロセッサ25は、それに応答して、結果的に影響のあるボリュームがもたらされると予測される治療パラメータ値を決定できる。次いで、プロセッサ25は、こうした治療パラメータ値を使用してジェネレータ14をプログラムでき、治療パラメータ値は治療プログラムとして記憶され得る。
【0165】
[0193]
図8は、
図3のプログラマ24のユーザインタフェース26のディスプレイ上に提示され得る、例示的なGUI90の模式図を示す。GUI90と相互作用することにより、ユーザは、影響のあるボリュームの一例であり得る電気刺激作用場(electrical stimulation field)のグラフィック表現を生成し得る。いくつかの例では、ユーザは、刺激作用場を作り出し、プロセッサ25に、刺激作用場に最も整合するはずである治療パラメータ値のセット(たとえば、治療プログラム)を生成するよう指示でき得る。いくつかの例では、ユーザは、カーソル又はスタイラス制御などのグラフィック入力媒体を使用して、GUI90内の刺激作用場のサイズ、形状、又は場所を変更できる。生成された電気刺激作用場は、生成されたパラメータ、たとえば、電気除神経刺激に伴う影響のあるボリュームに関連する、治療場のコンピュータモデルとして利用され得る。したがって、影響のあるボリュームは、GUI90を使用して臨床医によって観察され得る。臨床医は、観察された影響のあるボリュームに基づいて、治療プログラム34のうちの1つ又は複数を選択又は修正できる。
【0166】
[0194]GUI90は、多電極の幾何形状を含む、治療送達デバイス12のグラフィック表現を示す。
図8の例では、治療送達デバイス12は、概ねリング状に配置構成された、軸方向の相異なる場所にある4つの電極を備える。各電極は、治療送達デバイス12内のそれぞれの導電体に結合されている。したがって、治療送達デバイス12は、リード線の近位端からそれぞれの電極まで延在し、電極を電気端子に、たとえばジェネレータ14の電気端子に電気的に結合する、複数の導電体、たとえば、ワイヤ、又はケーブルなどを備える。
【0167】
[0195]各電極は、刺激作用エネルギーが相異なる軸方向場所及び角度場所に送達され得るように、ジェネレータ14によって別々に給電される。いくつかの例では、治療送達デバイス12は、複雑な電極アレイの幾何形状及び単純な電極アレイの幾何形状の組合せを備え得る。たとえば、リード線のおおよそ全周囲に延在するリング電極は、相異なる軸方向場所及び角度場所に配置された電極と組み合わせて使用され得る。治療送達デバイス12によって担持される電極を選択的に活動化させることで、標的の解剖学的局部の周りの刺激作用場を分離するために、治療送達デバイス12の特定の側面に向けられ得る、カスタマイズ可能な刺激作用場を生成できる。
【0168】
[0196]GUI90は、血管98内に導入されて示されている治療送達デバイス12の側面図を示す。
図8又は
図9には示されていないが、治療送達デバイス12のグラフィック表現は、螺旋状であり、血管98のグラフィック表現の内壁と接触し得る。治療送達デバイス12によって生成される刺激作用場104のサイズ及び形状は、組織の一般的な物理的特性に基づくだけでなく、治療送達デバイス12の電極の既知の物理的特性にも基づいて確定され得る。言い換えれば、GUI90に表示される刺激作用場104は、刺激作用場が、標的神経を含む患者の局部内で存在するであろうものの近似にすぎない場合がある。しかし、いくつかの例では、刺激作用場104を生成するために、加療されている患者の実際の解剖学的構造体の物理的特性が使用され得る。この解剖学的構造体の情報は、CT、MRI、又は他の任意のボリューム画像化システムなどの画像化様式によって生成され、メモリ28(
図3)内に記憶される、患者の解剖学的データの形態でプログラマ24に提供され得る。プロセッサ25は、たとえば、組織インピーダンスモデル、又は場伝搬モデルなどを使用して、刺激作用場104を生成し得る。いくつかの例では、刺激作用場104は、一般的なヒトの組織特性又は患者固有の組織特性に加えられる、電場、電流密度、電圧勾配、又は神経細胞活性化の表現であり得る。加えて、ユーザは必要に応じて、こうした表現のいずれにも切り替えることができ得る。
【0169】
[0197]ユーザは、垂直スクロールバー116又は何らかの同様の制御インタフェースを使用して、刺激作用場104を、治療送達デバイス12の長手方向軸に対して上下に移動させ得る。刺激作用場104がユーザ入力に応答して上下に移動すると、プログラマ24は、GUI90内の刺激作用場104の垂直移動に対応するために、適切な電極を自動的に選択する。GUI90は、ユーザが相異なる回転視野間を遷移するのを可能にする、矢印119又は同様の入力媒体を備える。
【0170】
[0198]加えて、ユーザは、たとえば、全視野内に示されていない他の組織部位に対する刺激作用場104を視覚化するために、水平スクロールバー110又は同様の何らかの制御デバイスを使用して、GUI90に示される視野を回転できる。解剖学的構造体に対する治療送達デバイス12の向きを示すために、矢印112が水平スクロールバー110の隣に設けられ得る。
【0171】
[0199]スクロールバー116又は同様の入力媒体を使用する、GUI90内での刺激作用場104の移動は、ユーザが、手動で電極を選択し、手動でパラメータ値を入力する必要なしに、相異なる刺激作用場の場所の評価を可能にし得る。そうではなくて、プログラマ24のプロセッサ25は、ユーザによる刺激作用場104の移動に応答して、電極及びパラメータ値を自動的に選択する。スクロールバー116が、刺激作用場104の移動用の入力媒体の例として示されているが、他の種類の入力媒体が使用されてもよい。例は、上下矢印若しくは左右矢印を含み、タッチスクリーン上に表示されるか、又はプログラマ24上の釦若しくはキーを使って形成され得る。
【0172】
[0200]刺激作用場104を操作するさらなる代替手段として、ユーザは、スタイラス、マウス、又は他のポインティングデバイスを用いて刺激作用場104を選択し、場を上方へ、下方へ、又は回転的にドラッグできる。いくつかの例では、マウス又は他のポインティングデバイスは、左又は右クリック機能に対応し、刺激作用場104に関連する相異なる操作を実行できる。スタイラスを使用して、刺激作用場104上での最初のクリックで移動を開始でき、スタイラスによるドラッグが、GUI90の治療薬送達デバイス12の概略図に対する移動を方向づけ、2度目のクリックで移動が終了し得る。いずれの場合も、プログラマ24のプロセッサ25は、GUI90によって提示された刺激作用場104の特性を近似するように、電極の組合せ及び刺激作用パラメータを自動的に調整することによって、指定された移動に応答する。刺激作用パラメータ値が変化すると、ディスプレイ上に提示される刺激作用場104のサイズ及び形状が変化する。同様に、電極の組合せが極性又は電極の選択に関して変化すると、ディスプレイ上に提示される刺激作用場104のサイズ、形状、又は方向が変化する。
【0173】
[0201]いくつかの例では、プログラマ24のプロセッサ25は、刺激作用場104を実現させる治療パラメータ値を生成するために、刺激作用テンプレートを利用して、新しく修正された刺激作用場104に最も適合する刺激作用テンプレートセットを選択できる。刺激作用テンプレートは、プログラマ24のプロセッサ25が、ユーザから所望された刺激作用場104にほぼ合わせ得る、所定のボリュームの刺激作用場である。プロセッサ25にとって、ユーザによって定義された刺激作用場に適合する刺激作用パラメータ値を生成するアルゴリズムは、刺激作用パラメータを生成するために複数の方程式又はルックアップテーブルを参照するアルゴリズムと比較して、計算集約的でない可能性がある。刺激作用テンプレートは、一般的なヒトの組織に加えられる電場又は他の電気刺激作用関連特性、たとえば、電流密度、電圧勾配、若しくは神経細胞活性化の表現であり得る。記憶された刺激作用テンプレートについて、プロセッサ25は、RFエネルギーを調整し、刺激作用テンプレートのサイズを変更して、ユーザから所望された刺激作用場104を覆うことができる。
【0174】
[0202]プログラマ24のプロセッサ25は、GUI90内の刺激作用場104の移動速度を制限できる。言い換えれば、刺激作用場104は、GUI90内、又はユーザが刺激作用場をドラッグすることを可能にする他の任意のユーザインタフェース内で、毎秒ある一定のステップ数だけ移動し得る。この移動速度の制限が、不必要な計算を行わないようにするか、又はリアルタイムプログラミングの例において、患者の快適性を確保できる。
【0175】
[0203]刺激作用場104を移動させることに加えて、GUI90は、ユーザが、刺激作用場104の再配置をもたらす1つ又は複数の操作を実行することを可能にし得る。たとえば、ユーザは、刺激作用場104の境界、すなわち、外周上をクリックし、外周を内側又は外側へドラッグして、刺激作用場のサイズを変更できる。GUI90で刺激作用場104を拡大又は縮小することによってサイズを変更することは、結果的にRFエネルギーの増大又は減少、及びそれによって、刺激作用場104を生成するために使用される治療プログラムのパラメータ値の変更をもたらし得る。いくつかの例では、刺激作用場104を拡大又は縮小することはまた、結果的に既存の電極の組合せに含まれる電極の選択又は選択解除をももたらし得る。いずれの場合でも、プログラマ24のプロセッサ25は、ユーザによる刺激作用場104の拡大又は縮小に応答して、電極の組合せ及び/又はパラメータ値を調整する。
【0176】
[0204]ユーザが刺激作用場104の境界をクリックしてドラッグすると、刺激作用場全体が、等しい比率で2次元に拡張され得る。別法として、刺激作用場104は、ユーザが刺激作用場をドラッグする方向にしか拡張し得ない。たとえば、刺激作用場104を拡大するために場の周囲を水平にドラッグすることは、結果的に刺激作用場104の断面サイズの全体的な拡大をもたらし、垂直と水平の縦横比を一定に保ち得る。別法として、水平方向へのドラッグは、結果的に水平方向のみの拡張をもたらし、垂直方向の寸法を一定のままにさせておくことができる。一定又は変化する縦横比の使用は、ユーザが好むように、ユーザによって指定され得る。別法として、プログラマ24は、刺激作用場104の拡張及び縮小のために、選択的に相異なる縦横比モードを提供できる。
【0177】
[0205]刺激作用場104を拡大又は縮小するために、ユーザは、GUI90内の刺激作用場の境界上をただクリックするだけでよい。別法として、
図8に示されるように、ユーザは、増大/縮小釦118上をクリックし、次いで刺激作用場104の境界上をクリックして境界を内側又は外側にドラッグし、それにより刺激作用場のサイズを調整できる。それに応答して、プログラマ24のプロセッサ25は、選択される電極及び/又は刺激パラメータ値を自動的に設定しなおして、サイズ変更された刺激作用場を近似できる。このようにして、ユーザは、刺激作用場104を直接操作することによって、影響のあるボリュームを生成できる。いずれの場合も、ユーザは、GUI90上に提示された刺激作用場104の表現を単に変更するだけで刺激作用場104を変更し、それにより、電極及びパラメータ値を手動で選択する必要性を回避する。
【0178】
[0206]ユーザは、たとえば、標的神経をより的確に標的とし、且つ/又は有害効果のある局部を回避するために、刺激作用場104のサイズ、形状、及び/若しくは位置(又は他の例では、別の種類の影響のあるボリューム)を操作できる。したがって、
図8には示されていないが、GUI90は、標的神経、有害効果のある局部、及び/若しくは他の対象となる組織部位のグラフィック表現を含むことができるか、又は治療送達要素12及び刺激作用場104のグラフィック表現と重ね合わされた、患者の局部の医療画像を少なくとも含み得る。場合によっては、標的神経が医療画像内で見えないことがある。こうした例では、有害効果のある局部及び/又は他の対象となる組織部位のグラフィック表現は、それでもなお有害効果のある局部を回避できる除神経治療パラメータ値を選択するようユーザを誘導することになるので、依然として提示するのに有用な情報であり得る。
【0179】
[0207]望ましい刺激作用場104を選択した後、プログラマ24のプロセッサ25は、たとえば、コンピュータモデル32に基づいて、望ましい刺激作用場104をもたらすことが予測される1つ又は複数の治療パラメータ値を決定できる。プロセッサ25は、いくつかの例では、ジェネレータ14又は別の医療デバイスを制御して、1つ又は複数の治療パラメータ値にしたがって患者の局部に除神経治療を送達できる。
【0180】
[0208]
図9は、プログラマ24のディスプレイ上に提示され得る、GUI120の別の例の概略図である。ユーザは、除神経治療の影響のある所望のボリュームを選択するために、プログラマ24のユーザインタフェース26を介してGUI120と相互作用できる。GUI120は、患者の解剖学的局部、たとえば、標的神経102を含む局部の表現を含む。GUI120では、治療送達デバイス12を表すデバイスのアイコン124が、血管100のグラフィック表現内に表示される。
【0181】
[0209]GUI120の種々の陰影を付けた部分は、局部内の組織の様々な密度を示す。たとえば、より暗い部分は、密度が一層高い組織を示し得る。ユーザは、GUI120を見ることにより、相異なる解剖学的構造体又は組織の種類を認識できる場合がある。
図9に示されるディスプレイ120は、単に例示的な画像であり、実際の画像は、より広い範囲の陰影及びより高い画像解像度を含み得ることに留意されたい。
【0182】
[0210]ディスプレイ120は、ポインタ128、前の矢印132、次の矢印134、微調整入力機構136、及び制御スライド138をさらに有する。ポインタ128は、マウス、及び釦、トラックボール、タッチパッド、タッチ画面、又はプログラマ24のユーザインタフェース26の一部であり得る他の動き入力デバイスによって制御され得る。ユーザは、ポインタ128を使用して、デバイスアイコン124を所定の位置にドラッグするか、又はデバイスアイコン124を回転させ得る。ユーザは、解剖学的局部のより大きな視野を得るために、視野にズームイン若しくはズームアウトするか、又は局部のより大きな若しくはより小さな部分を見るために、上下左右に移動できる。
【0183】
[0211]GUI120は、ユーザが、影響のあるボリューム126のサイズ、及びいくつかの例では、他の直交視野でさらに画定され得る形状を、選択及び調整することを可能にする。ユーザは、ポインタ128を使用して、影響のあるボリューム126をドラッグし、より低い又はより高いRFエネルギーレベルに対応し得る、より小さい又はより大きいサイズを画定できる。たとえば、ユーザは、影響のあるボリューム126の境界又は周囲上をクリックし、次いで境界をドラッグして、影響のあるボリューム126を拡大又は収縮できる。この調整は、影響のあるボリューム126のサイズの粗調整である。ユーザは、ポインタ128を使用して、制御スライド138を上に動かして、影響のあるボリューム126のサイズをわずかに増大させるか、又は下に動かして、影響のあるボリューム126のサイズをわずかに減少させ得る。
【0184】
[0212]プログラマ24のプロセッサ25は、影響のあるボリューム126の移動速度を制限できる。たとえば、プロセッサ25は、GUI120内の影響のあるボリューム126の移動を、毎秒ある一定のステップ数に制限できる。この移動速度制限は、影響のあるボリューム126の修正を伴う除神経治療パラメータ値パラメータのリアルタイムでの変更における、不必要な計算を行わないようにできる。
【0185】
[0213]視野釦130は、ユーザが、局部の別の視野へ切り替えることを可能にし得る。他の視野は、たとえば、異なる向きからの視野、又は異なる画像化技法に基づく視野を含み得る。
【0186】
[0214]以下の考察は、腎除神経治療に関連し得るので、患者の解剖学及び生理学に関するさらなる詳細を提供する。このセクションは、関連する解剖学及び生理学に関する以前の議論を補足及び拡張し、開示された技術及び腎除神経に関連する治療上の利点に関する、付加的な観点を提供することが意図されている。たとえば、腎脈管構造のいくつかの性質が、血管内アクセスによる腎神経調節を実現させるための、加療デバイス及び関連する方法の設計に情報を与え、かかるデバイスに特定の設計要件を課すことがある。特定の設計要件は、腎動脈へアクセスすること、治療送達デバイスのエネルギー送達要素と腎動脈の管腔表面又は管腔壁との間の安定した接触を円滑にすること、及び/又は治療送達デバイスを使って腎神経を効果的に調節することを含み得る。
【0187】
[0215]交感神経系(SNS)は、腸神経系及び副交感神経系と共に自律神経系の枝である。交感神経系は常に基礎レベルで活性であり(交感神経の緊張と呼ばれる)、ストレス時により活性になる。神経系の他の部分と同様に、交感神経系は、相互接続された一連の神経細胞を通じて動作する。交感神経細胞は、末梢神経系(PNS:peripheral nervous system)の一部と見なされることが多いが、多くは中枢神経系(CNS:central nervous system)内にある。(CNSの一部である)脊髄の交感神経細胞は、一連の交感神経節を介して末梢交感神経細胞と情報伝達する。神経節内では、脊髄交感神経細胞は、シナプスを介して末梢交感神経細胞につながる。したがって、脊髄交感神経細胞はシナプス前(又は節前)神経細胞と呼ばれ、一方末梢交感神経細胞はシナプス後(又は節後)神経細胞と呼ばれる。
【0188】
[0216]交感神経節内のシナプスでは、節前交感神経細胞は、節後神経細胞のニコチン性アセチルコリン受容体に結合して活性化する化学的伝令である、アセチルコリンを放出する。この刺激に応答して、節後神経細胞は主にノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を放出する。長時間の活性化は、副腎髄質からのアドレナリンの放出を誘発し得る。放出されると、ノルエピネフリン及びエピネフリンは、末梢組織のアドレナリン受容体に結合する。アドレナリン受容体への結合は、神経細胞及びホルモンの応答を引き起こし得る。生理学的症状は、瞳孔散大、心拍数増加、時折の嘔吐、又は血圧上昇のうちの1つ又は複数を含む。汗腺のコリン作動性受容体の結合により、発汗の増加も見られ得る。
【0189】
[0217]交感神経系は、生物における多くの恒常性メカニズムの上方制御及び下方制御を担当する。SNSの線維は、ほぼすべての器官系の組織を神経支配し、瞳孔径、腸の運動性、尿量など、様々なものに少なくとも何がしかの調節機能を提供する。この反応はまた、副腎髄質で末端となる節前交感神経線維が(他のすべての交感神経線維も)、アセチルコリンを分泌し、アドレナリン(エピネフリン)の分泌を活性化し、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)がより少なくなる、体の交感神経副腎反応としても知られている。したがって、主に心血管系に作用するこの反応は、交感神経系を通って送信されるインパルスによって直接伝達され、副腎髄質から分泌されるカテコールアミンによって間接的に伝達される。
【0190】
[0218]
図10は、対象者の交感神経系(SNS)の概念的概略図である。
図10に示されるように、SNSは、脳の体との情報伝達を可能にする神経のネットワークを提供する。交感神経は、脊柱の内側から発し、中間帯外側細胞柱(又は側角)の脊髄の中央に向かい、脊髄の第1胸節から始まって第2又は第3腰節に伸びると考えられている。その細胞は脊髄の胸部領域及び腰部領域で始まるので、SNSは胸腰椎流出があると言われる。こうした神経の軸索は、前根糸/根を通して脊髄を離れる。軸索は脊髄(感覚)神経節の近くを通過し、そこで脊髄神経の前枝に入る。しかし、体性神経支配とは異なり、軸索は、脊椎傍(脊柱の近くにある)又は脊髄前(大動脈分岐部の近くにある)神経節に接続し、脊柱に並んで延在する、白枝コネクタ(white rami connector)を通って素早く分離する。
【0191】
[0219]標的器官及び腺に到達するために、軸索は体内を長距離移動する必要があり、これを達成するために、多くの軸索は、シナプス伝達によってメッセージを第2の細胞まで中継する。軸索の末端は、空間、すなわちシナプスをわたって、第2の細胞の樹状突起につながる。第1の細胞(シナプス前細胞)は、神経伝達物質をシナプスの間隙をわたって送り、そこで第2の細胞(シナプス後細胞)を活性化する。次いで、メッセージは最終の宛先に伝えられる。
【0192】
[0220]SNS及び末梢神経系の他の構成要素では、こうしたシナプスは、神経節と呼ばれる部位で作られる。線維を送る細胞は節前細胞と呼ばれ、一方その線維が神経節を離れる細胞は節後細胞と呼ばれる。前述のように、SNSの節前細胞は、脊髄の第1の胸(T1)節と第3の腰(L3)節との間にある。節後細胞は、神経節にその細胞体があり、節後細胞の軸索を標的器官又は腺に送る。
【0193】
[0221]神経節は、交感神経幹だけでなく、交感神経線維を頭及び胸部器官に送る(上、中、及び下)頸神経節、並びに腹腔及び腸間膜神経節(交感神経線維を腸に送る)も含む。
【0194】
[0222]
図11は、対象者の左腎動脈を囲む腎神経叢を形成する、左腎臓を神経支配する神経の概念的解剖図である。
図11に示されるように、腎臓は、腎動脈と密接に結合された腎神経叢RPによって神経支配されている。腎神経叢RPは、腎動脈を囲み、腎動脈の外膜内に埋め込まれた自律神経叢である。腎神経叢RPは、腎臓の実体に到達するまで腎動脈に沿って延在する。腎神経叢RPに寄与する線維は、腹腔神経節、上腸間膜神経節、大動脈腎神経節、及び大動脈神経叢から起始する。腎神経とも呼ばれる腎神経叢RPは、主に交感神経構成要素からなる。腎臓の副交感神経支配はない(又は少なくとも最小限)。
【0195】
[0223]節前神経細胞体は、脊髄の中間外側細胞柱内にある。節前軸索は、傍脊椎神経節を通過し(節前軸索は、シナプス形成しない)、より小さい内臓神経となり、最も小さい内臓神経となり、第1腰内臓神経、第2腰部内臓神経となり、腹腔神経節、上腸間膜神経節、及び大動脈腎神経節まで進む。節後神経細胞体は、腹腔神経節、上腸間膜神経節、及び大動脈腎神経節から腎神経叢RPに出て、腎脈管構造に分配される。
【0196】
[0224]メッセージは、双方向の流れでSNSを介して移動する。遠心性メッセージは、体の様々な部分の変化を同時にトリガできる。たとえば、交感神経系は、心拍数を加速させ、気管支を広げ、大腸の運動性(動き)を減少させ、血管を収縮させ、食道の蠕動を増加させ、瞳孔散大、立毛(鳥肌)、及び発汗(汗をかくこと)を引き起こし、且つ血圧を上昇させ得る。求心性メッセージは、体内の様々な器官及び感覚受容体から他の器官、及び特に脳に信号を伝搬する。
【0197】
[0225]高血圧、心不全、及び慢性腎疾患は、SNS、特に腎交感神経系の慢性活性化から生じ得る、多くの疾患状態のうちのいくつかである。SNSの慢性的な活性化は、こうした疾患状態の進行を促進する不適応な応答である。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS:renin-angiotensin-aldosterone system)の医薬の取り扱いは、SNSの過剰活性を減らすための積年の、しかしやや効果の薄い手法であった。
【0198】
[0226]上記のように、腎交感神経系は、実験及びヒトでの両方において、高血圧、容量過負荷の状態(心不全など)、及び進行性腎疾患の複雑な病態生理の主な要因として特定されている。腎臓から血漿へのノルエピネフリンのオーバフローを測定するために放射性トレーサ希釈法を使用する研究は、本態性高血圧症の患者、特に若い高血圧の被験者における腎ノルエピネフリン(NE:norepinephrine)漏出率の増加を明らかにしており、これは、心臓からのNE漏出の増加に呼応した、初期の高血圧に典型的に見られ、心拍数、心拍出量、及び腎血管抵抗の増加を特徴とする、血行力学的プロファイルと整合している。本態性高血圧は一般に神経原性であり、多くの場合、顕著な交感神経系の過剰活性を伴うことが現在知られている。
【0199】
[0227]この患者群における心臓及び腎臓から血漿へのNEオーバフローの過剰増加によって実証されているように、心腎交感神経活動の活性化は、心不全においてさらに顕著であり得る。この概念と一致するのは、鬱血性心不全患者の全原因による死亡率及び心臓移植に関する、腎交感神経活性化の極めて悲観的な予測値についての最近の実証であり、これは、全体的な交感神経活動、糸球体濾過率、及び左心室駆出分画率とは無関係である。こうした調査結果は、腎交感神経刺激作用を減らすよう設計された加療方式が、心不全患者の生存率を向上させる可能性があるという概念を裏づけている。
【0200】
[0228]慢性腎疾患及び末期腎疾患はどちらも、交感神経の活性化が高まることを特徴とする。末期腎疾患の患者において、中央値を超えるノルエピネフリンの血漿レベルで、全原因による死亡及び心血管疾患からの死亡の両方を予測できることが実証されている。これは、糖尿病又は造影剤腎症を罹患する患者にも当てはまる。罹患した腎臓から生じる感覚求心性信号が、この患者群での中心交感神経性流出増加(elevated central sympathetic outflow)開始及び持続の主な要因であることを示唆する説得力のある証拠があり、これは、高血圧、左心室肥大、心室性不整脈、心臓突然死、インスリン抵抗性、糖尿病、代謝症候群などの、慢性交感神経過剰活性のよく知られた有害な結果を生じやすくする。
【0201】
[0229]腎臓への交感神経は、血管、傍糸球体装置、及び腎尿細管で終わる。腎交感神経の刺激作用は、レニン放出の増加、ナトリウム(Na+)再吸収の増加、及び腎血流の減少を引き起こす。腎機能の神経調整のこうした構成要素は、交感神経緊張が高まることを特徴とする疾患状態でかなり刺激され、明らかに高血圧患者の血圧上昇の原因となる。腎交感神経性遠心性刺激作用の結果としての腎血流及び糸球体濾過率の低下は、通常、患者の臨床状態及び加療により変動する臨床的経過を伴う、慢性心不全の進行性合併症としての腎機能不全である心腎症候群での、腎機能喪失の基となる可能性が高い。腎遠心性交感神経刺激作用の結果を阻止するための薬理学的戦略は、中枢作用性交感神経遮断薬、ベータブロッカ(レニン放出を減少させることが意図された)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、及び受容体ブロッカ(レニン放出に起因するアンジオテンシンII及びアルドステロン活性化の働きを妨げることが意図された)、及び利尿薬(腎交感神経性媒介ナトリウム(renal sympathetic mediated sodium)貯留及び水分貯留に対抗することが意図された)を含む。ただし、現在の薬理学的戦略には、有効性の限界、服薬遵守の問題、副作用などを含む、かなりの制限がある。
【0202】
[0230]腎臓は、腎感覚求心性神経を介して中枢神経系の統合構造体と情報伝達する。「腎損傷」のいくつかの形態は、感覚求心性信号の活性化を誘発し得る。たとえば、腎虚血、1回の拍出量若しくは腎血流の減少、又は多量のアデノシン酵素は、求心性神経伝達の活性化をトリガし得る。
【0203】
[0231]
図12A及び
図12Bは、それぞれ、脳と腎臓との間の神経の遠心性及び求心性伝達を示す、人体の概念的解剖図である。
図12A及び
図12Bに示されるように、この求心性伝達は、腎臓から脳への場合もあり、又は(中枢神経系を介した)一方の腎臓から他方の腎臓への場合もある。こうした求心性信号は、一元的に統合され、交感神経の流出の増加をもたらし得る。この交感神経ドライブは腎臓に向けられ、それによってRAASを活性化し、レニン分泌の増加、ナトリウム貯留、容積貯留、及び血管収縮を引き起こす。中心交感神経過剰活性はまた、心臓及び末梢脈管構造などの交感神経によって神経支配されている他の器官及び体の構造体にも影響を及ぼし、その結果、交感神経活性化の前述の有害効果が生じ、有害効果のいくつかの側面も血圧上昇の一因となる。
【0204】
[0232]したがって、生理学は、(i)遠心性交感神経を含む組織の調節が、不適切なレニン放出、塩分貯留、及び腎血流の減少を低減し得ること、及び(ii)求心性感覚神経を含む組織の調節が、視床下部後部ばかりでなく対側腎への直接的な影響を通じて、中心交感神経緊張の増加に伴う高血圧及び他の疾患状態への全身的寄与を低減し得ることを示している。求心性腎除神経の中心血圧降下の効果に加えて、心臓及び脈管構造などの、他の様々な交感神経支配された器官への中心交感神経性流出の望ましい減少が期待される。
【0205】
[0233]上記で提示されたように、腎除神経は、高血圧、代謝症候群、インスリン抵抗性、糖尿病、左心室肥大、慢性末期腎疾患、心不全での不適切な体液貯留、心腎症候群、及び突然死などの、全体的な、特に腎交感神経の活動増加を特徴とする、いくつかの臨床状態の加療において有益であり得る。求心性神経信号の減少は、交感神経の緊張/ドライブの全身的な減少に寄与するので、腎除神経は、全身性交感神経活動亢進に関連する他の状態の加療にも役立ち得る。したがって、腎除神経はまた、
図10で特定されたものを含む、交感神経によって神経支配される他の器官及び体の構造体にも恩恵をもたらし得る。たとえば、前記で論じられたように、中心交感神経のドライブ低下は、代謝症候群及びII型糖尿病の人々を苦しめるインスリン抵抗性を低下させ得る。さらに、骨粗鬆症の患者はまた、交感神経を活性化されており、腎除神経に伴う交感神経ドライブの下方調節の恩恵も受け得る。
【0206】
[0234]本技術によれば、左及び/又は右腎動脈と密接に関連する左及び/又は右腎神経叢RPの神経調節(たとえば、除神経)は、血管内アクセスによって実現し得る。
[0235]
図13A及び
図13Bは、それぞれ、対象者の動脈及び静脈の脈管構造の概念的解剖図である。
図13Aに示されるように、心臓の収縮によって移動した血液は、大動脈によって心臓の左心室から運ばれる。大動脈は胸部を通って下降し、左右の腎動脈に分岐する。腎動脈の下方で、大動脈は、左右の腸骨動脈に、二股に分かれる。左右の腸骨動脈は、それぞれ左右の脚を通って下降し、左右の大腿動脈につながる。
【0207】
[0236]
図13Bに示されるように、血液は静脈に集まり、大腿静脈を通って腸骨静脈及び下大静脈へ入り、心臓に戻る。下大静脈は、左右の腎静脈に分岐する。腎静脈の上方へ、下大静脈が上昇し、血液を心臓の右心房に運ぶ。右心房から、血液は右心室を通って肺に送り込まれ、そこで酸素が加えられる。肺から、酸素が加えられた血液が左心房に運ばれる。左心房から、酸素が加えられた血液は、左心室によって大動脈に戻される。
【0208】
[0237]大腿動脈は、鼠径靭帯の中点よりわずかに下の大腿三角の底部でアクセスされ、カニューレが導入され得る。カテーテルは、このアクセス部位を介して大腿動脈に経皮的に挿入され、腸骨動脈及び大動脈を通過し、左腎動脈内又は右腎動脈内のいずれかに置かれ得る。これは、それぞれの腎動脈及び/又は他の腎血管への最小侵襲性アクセスを提供する、血管内経路を含む。
【0209】
[0238]手首、上腕、及び肩の領域は、動脈系へのカテーテル導入のための他の場所を提供し得る。たとえば、橈骨動脈、上腕動脈、又は腋窩動脈のいずれかのカテーテル治療は、特定の場合に利用され得る。これらのアクセス箇所を通って導入されたカテーテルは、標準的な血管造影法を使用して、左側の鎖骨下動脈を通過し(又は右側の鎖骨下動脈及び腕頭動脈を経由して)、大動脈弓を通過し、下行大動脈を下って、腎動脈に入り得る。
【0210】
[0239]左及び/又は右腎神経叢RPの神経調節は、血管内アクセスを経て、本技術にしたがって実現できるので、腎脈管構造の性質及び特性は、かかる腎神経調節を実現させるための装置、システム、及び方法の設計に制約を課し、且つ/又は情報を与え得る。こうした性質及び特性のいくつかは、患者集団全体で、且つ/又は特定の患者の体内で時間によって、並びに高血圧、慢性腎疾患、血管疾患、末期腎疾患、インスリン抵抗性、糖尿病、代謝症候群などの疾患状態に応じて、異なり得る。本明細書で説明されているように、こうした性質及び特性は、処置の有効性及び血管内デバイスの特定の設計に関係し得る。対象となる性質は、たとえば、材料的/機械的、空間的、流体力学的/血行力学的、及び/又は熱力学的性質を含み得る。
【0211】
[0240]前記で論じられたように、カテーテル又は別の治療送達デバイスは、最小侵襲的な血管内経路を通って、左腎動脈又は右腎動脈のいずれかに経皮的に進み得る。しかし、たとえば、カテーテルを使用して通常アクセスされる他のいくつかの動脈と比較して、腎動脈は非常に曲がりくねっていることが多く、比較的小径な場合があり、且つ/又は長さが比較的短い場合があるので、最小侵襲的な腎動脈へのアクセスは困難であり得る。さらに、腎動脈アテローム性動脈硬化症は、多くの患者、特に心血管疾患の患者によく見られる。腎動脈の解剖学的構造はまた、患者によっても大きく異なる場合があり、それが最小侵襲的なアクセスをさらに難しくする。たとえば、相対的な屈曲度、直径、長さ、及び/又はアテローム斑の負荷、並びに腎動脈が大動脈から分岐する箇所での分岐角度において、患者間でかなりのばらつきが見られ得る。血管内アクセスによって腎神経調節を実現させるための装置、システム、及び方法は、腎動脈に最小侵襲的にアクセスするときに、腎動脈解剖学的構造のこうした側面及び他の側面、並びに患者集団全体での腎動脈解剖学的構造のばらつきを考慮できる。
【0212】
[0241]腎動脈へのアクセスを難しくすることに加えて、腎臓の解剖学的構造の細部はまた、治療送達デバイスと腎動脈の管腔表面又は管腔壁との間の安定した接触の確立を難しくする場合がある。治療送達デバイスが電極などのエネルギー送達要素を備えるとき、予測可能な除神経治療送達のために、エネルギー送達要素によって血管壁に対して一貫した位置決め及び適切な接触力が加えられることが、望ましい場合がある。しかし、腎動脈内の狭い空間ばかりでなく動脈の屈曲によって、誘導が妨げられ得る。さらに、一貫した接触を確立することが、患者の動き、呼吸、及び/又は心周期によって難しい場合がある。というのは、これらの要因が大動脈に対する腎動脈の著しい動きを引き起こすことがあり、心周期が腎動脈を一時的に拡張させ得るからである(すなわち、動脈壁に脈動を引き起こす)。
【0213】
[0242]腎動脈にアクセスし、治療送達デバイスと動脈の管腔表面との間で安定した接触を円滑にした後でさえも、動脈の外膜内及び外膜の周りの神経は、治療送達デバイスによって安全に調節され得る。腎動脈内から効果的に熱による加療を施すことは、かかる加療に関連する、潜在的な臨床的合併症を考えると、重要なことであり得る。たとえば、腎動脈の内膜及び中膜は、熱傷に対して比較的脆弱である。以下でより詳細に論じられるように、血管内腔を血管の外膜から分離する内膜-中膜の厚さは、標的腎神経が、動脈の内腔表面から数ミリメートル離れる場合があることを意味する。標的腎神経を調節するために、壁が凍結、乾燥、さもなければ望ましくないほど潜在的に影響を受ける程度まで、血管壁を過度に冷却又は加熱することなく、十分なエネルギーが標的腎神経に送達され、又は標的腎神経から熱が取り除かれ得る。過度の加熱に関連する潜在的な臨床的合併症は、動脈を流れる血液の凝固による血栓形成である。この血栓が腎臓梗塞を引き起こし、それにより腎臓に不可逆的なダメージをもたらす場合があることを考えると、腎動脈内からの熱による加療は慎重に適用される場合がある。したがって、腎動脈内からのエネルギー印加(たとえば、熱エネルギー加熱)及び/又は組織からの熱除去(たとえば、熱状態冷却)において、加療中に腎動脈に存在する複雑な流体力学及び熱力学的条件、特に加療部位での熱伝達ダイナミクスに影響を与える可能性がある条件が考慮され得る。
【0214】
[0243]加療位置も臨床効果に影響を与え得るので、治療送達デバイスはまた、腎動脈内でのエネルギー送達要素の調整可能な位置決め及び再配置を可能にするよう構成され得る。たとえば、腎神経が腎動脈の周りに周方向に間隔をあけて配置され得ることを考えると、腎動脈内から全周方向への加療を施すことは魅力的であり得る。いくつかの状況では、連続する周方向の加療によっておそらく生じる周回する損傷が、腎動脈狭窄症に関係する可能性があり得る。したがって、本明細書に説明されているメッシュ構造体を通った、腎動脈の長手方向の次元に沿ったより複雑な損傷の形成、及び/又は複数の加療位置への治療送達デバイスの再配置が望ましい場合があり、これらは、上記のコンピュータモデル化技法によって支援され得る。しかし、周方向の焼灼を作り出すことの利点は、腎動脈狭窄症の可能性より重要であり得るか、又は特定の実施形態若しくは特定の患者では減じられる可能性があり、周方向の焼灼を作り出すことが目標であり得ることに留意されたい。さらに、治療送達デバイスの可変的な位置決め及び再配置は、腎動脈が特に曲がりくねっている状況、又は腎動脈の主血管から離れた近位分岐血管があり、特定の位置での加療を難しくしている状況で、有用であると証明できる。腎動脈内のデバイスの操作はまた、デバイスと腎動脈との間での潜在的に有害な機械的相互作用も考慮できる。たとえば、挿入すること、操作すること、屈曲部を通り抜けることなどによる動脈内のデバイスの動きは、切開、穿孔、内膜の露出、又は内弾性板の破壊の原因となり得る。
【0215】
[0244]腎動脈を通る血流は、合併症を最小限に抑えるか、又は合併症なしに、短時間一時的に閉塞され得る。しかし、虚血などの腎臓への危害を防ぐために、かなりの時間の閉塞は回避され得る。すべての閉塞を回避すること、又は閉塞が有益である場合、閉塞の持続時間を、たとえば2~5分に制限することは有益であり得る。
【0216】
[0245]上記の課題(1)腎動脈介入治療、(2)血管壁に対する加療要素の一貫して安定した配置、(3)血管壁を介する加療の効果的な適用、(4)複数の加療位置を可能にするための、加療装置の位置決め及び場合によっては再配置、並びに(5)血流閉塞を回避、又は血流閉塞の持続時間を制限することに基づいて、対象となり得る腎脈管構造の様々な独立した性質、及び依存する性質は、たとえば、(a)血管径、血管の長さ、内膜-中膜の厚さ、摩擦係数、及び屈曲度、(b)血管壁の伸張性、硬さ、及び弾性率、(c)収縮期最高血流速度、拡張終期血流速度ばかりでなく、平均収縮期-拡張期最高血流速度、及び平均/最大容積血流量、(d)血液及び/若しくは血管壁の比熱容量、血液及び/若しくは血管壁の熱伝導率、並びに/又は血管壁加療部位を通過する血流の熱伝達率及び/若しくは放射熱伝達、(e)呼吸、患者の動き、及び/又は血流の拍動によって誘発される、大動脈に対する腎動脈の動き、そして(f)大動脈に対する腎動脈の分岐角度、を含む。これらの性質は、腎動脈に関してより詳細に議論されることになる。しかし、腎神経調節を実現させるために利用される装置、システム、及び方法に依存して、腎動脈のかかる性質はまた、設計の特性を導き、且つ/又は制約し得る。
【0217】
[0246]上記のように、腎動脈内に位置決めされる装置は、動脈の幾何形状に適合し得る。腎動脈血管直径、DRAは、約2~10mmの範囲内にあり、患者集団のほとんどは、DRAが約4mmから約8mmで、平均は約6mmであり得る。大動脈/腎動脈接合部での腎動脈の小孔と腎動脈の遠位分岐部との間の腎動脈血管長、LRAは、約5~70mmの範囲内にあり得、患者集団のかなりの部分は、約20~50mmの範囲内にあり得る。標的腎神経叢は、腎動脈の外膜内に埋め込まれているので、複合した内膜-中膜の厚さ、IMT(Intima-Media Thickness、すなわち、動脈の管腔表面から標的神経構造体を含む外膜までの、径方向外側の距離)も注目すべきであり、一部の患者では約0.5~2.5mmの範囲内にあり、平均約1.5mmであり得る。加療のある一定の深度で、標的神経線維に到達する可能性があるが、加療は、非標的組織及び腎静脈などの解剖学的構造体を回避するために、深すぎてはいけない場合がある(たとえば、腎動脈の内壁から5mmを超える)。
【0218】
[0247]対象となり得る腎動脈のさらなる性質は、呼吸及び/又は血流の拍動によって誘発される、大動脈に関連する腎臓の動きの程度である。腎動脈の遠位端にある患者の腎臓は、頭蓋のように呼吸可動域と共に、4インチ(約10センチメートル)も動き得る。これは、大動脈と腎臓とを接続する腎動脈にかなりの動きを与える可能性があり、それにより治療送達デバイスには、呼吸周期の間、熱又は電気加療要素と血管壁との間の接触を維持するための、剛性と柔軟性との独特のバランスが必要となる。さらに、腎動脈と大動脈との間の分岐角度は、患者間で大幅に異なることがあり、また、たとえば、腎臓の動きにより、一患者の中でも動的に変化することもある。分岐角度は、概して、約30°~135°の範囲内にあり得る。
【0219】
[0248]この開示で説明される技法は、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はその任意の組合せで実施され得る。たとえば、説明された技法の様々な態様は、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の任意の同等の集積型又は離散型論理回路ばかりでなく、かかる構成要素の任意の組合せを含む処理回路内で実施され得る。用語「プロセッサ」又は「処理回路」は、概して、単独で、又は他の論理回路と組み合わせた、前述の論理回路のいずれか、又は他の任意の同等の回路を指し得る。ハードウェアを備える制御ユニットはまた、この開示の1つ又は複数の技法を実行できる。
【0220】
[0249]かかるハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアは、この開示で説明される様々な技法に対応するために、同じデバイス内又は別個のデバイス内に実装され得る。加えて、説明された命令、ユニット、モジュール、又は構成要素のいずれも、離散的であるが相互運用可能な論理デバイスとして、一体に又は別々に実装され得る。モジュール又はユニットとしての様々な機能の記述は、様々な機能的側面を強調することが意図されており、かかるモジュール又はユニットが、別々のハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェア構成要素で実現される必要があることを必ずしも含意しない。それどころか、1つ又は複数のモジュール又はユニットに関連する機能は、別々のハードウェア、ファームウェア、若しくはソフトウェア構成要素によって実行されるか、又は共通若しくは別々のハードウェア、ファームウェア、若しくはソフトウェア構成要素内に統合されてもよい。
【0221】
[0250]この開示で説明される技法はまた、命令を格納する、コンピュータシステム可読記憶媒体などのコンピュータシステム可読媒体で、具現化されるか又は符号化され得る。コンピュータシステム可読記憶媒体を含むコンピュータシステム可読媒体に組み込まれた又は符号化された命令は、コンピュータシステム可読媒体に含まれた又は符号化された命令が処理回路によって実行されるときなどに、1つ又は複数のプログラム可能なプロセッサ又は他のプロセッサに、本明細書で説明された技法の1つ又は複数を実施させ得る。コンピュータシステム可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM:programmable read only memory)、消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read only memory)、電子的に消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read only memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、コンパクトディスクROM(CD-ROM:compact disc ROM)、フロッピーディスク、カセット、磁気媒体、光学媒体、又は他のコンピュータシステム可読媒体を含み得る。いくつかの例では、製品は、1つ又は複数のコンピュータシステム可読記憶媒体、たとえば、非一時的コンピュータシステム可読記憶媒体を含み得る。
【0222】
[0251]様々な例が説明されてきた。こうした例及び他の例は、以下の特許請求の範囲内にある。