(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】毛髪洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20230831BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230831BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230831BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230831BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230831BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230831BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/39
A61K8/44
A61K8/81
A61K8/9789
A61Q5/02
A61K8/33
(21)【出願番号】P 2020572101
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2019048807
(87)【国際公開番号】W WO2020166190
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2019025409
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019028826
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翔
(72)【発明者】
【氏名】浅野 ほたか
(72)【発明者】
【氏名】廣島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】大石 泉
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 英輔
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-003203(JP,A)
【文献】特開2010-275198(JP,A)
【文献】特開2017-214309(JP,A)
【文献】特開2017-081835(JP,A)
【文献】Rohto Pharmaceutical,Japan,Medical Shampoo,Mintel GNPD [online],2014年11月,[retrieved on 2020. 02. 25],Retrieved from the Internet:<URL : https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/>,ID# 2783861
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤と、
(B)両性界面活性剤と、
(C)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(D)アゾール系抗真菌剤と、
(E)ローズマリーエキス、フェノキシエタノール、及びセンブリエキスからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有し、
前記(A)成分が、下記一般式(A1)で表されるエーテルカルボン酸型界面活性剤であり、
【化1】
(ただし、前記一般式(A1)中、R
2
は、炭素数が10~14の、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示す。R
3
は、炭素数が2~4のアルキレン基を示す。oは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、該アルキレンオキサイドの平均付加モル数は1~10である。M
1
は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン、アンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す。)
前記(C)成分の塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が65モル%以上であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物。
【請求項2】
[(A)/(B)]で表される、前記(B)成分の含有量に対する、前記(A)成分の含有量の質量比が、0.8~16である請求項1に記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量が5質量%~11質量%であり、前記(B)成分の含有量が2.5質量%~10質量%である請求項1から2のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(C)成分の含有量が0.3質量%~2質量%である請求項1から3のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(D)成分の含有量が0.5質量%~1質量%であり、前記(E)成分の含有量が0.5質量%~1質量%である請求項1から4のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ミコナゾール等のアゾール系抗真菌剤は、頭皮の常在菌の1つであるマラセチア菌に対する抗菌効果が認められるため、アゾール系抗真菌剤をフケ防止剤として配合した毛髪洗浄剤組成物が市販されている。
しかしながら、毛髪洗浄剤組成物中の界面活性剤等の共存成分などにより、アゾール系抗真菌剤の経時的な安定性が悪くなることがあるという課題があった。
【0003】
この課題に対し、毛髪洗浄剤組成物中のアゾール系抗真菌剤を安定に保つための手段がいくつか報告されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来のアゾール系抗真菌剤が配合された毛髪洗浄剤組成物は、すすぎ時に有効成分(アゾール系抗真菌剤)が洗い流されてしまい、皮膚や毛髪に対して期待する効果を得ることが困難であるという課題があった。
【0004】
この課題に対し、前記有効成分を滞留させる方法のひとつとして、界面活性剤とカチオン性ポリマーのコアセルベーションの疎水的相互作用により前記有効成分を滞留させる技術を使用する方法が考えられる。
しかしながら、前記界面活性剤とカチオン性ポリマーとのコアセルベートも、多くの場合、すすぎ時に流されてしまい、前記有効成分の効果を十分に得ることができる程度の滞留性を得ることができないという課題があった(特許文献2参照)。
【0005】
したがって、前記アゾール系抗真菌剤の滞留性に優れ、その効果を十分に得ることができ、かつ、アゾール系抗真菌剤の安定性を維持することができる毛髪洗浄剤組成物は未だ提供されておらず、その速やかな開発が強く望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-47165号公報
【文献】特開2007-277227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、フケ及びかゆみの改善効果に優れ、かつ、高温での保存安定性に優れる毛髪洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、(A)カルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤と、(B)両性界面活性剤と、(C)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、(D)アゾール系抗真菌剤と、(E)ローズマリーエキス、フェノキシエタノール、及びセンブリエキスからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有し、前記(C)成分の塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が65モル%以上である毛髪洗浄剤組成物が、フケ及びかゆみの改善効果に優れ、かつ、高温での保存安定性も優れることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
(A)カルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤と、
(B)両性界面活性剤と、
(C)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(D)アゾール系抗真菌剤と、
(E)ローズマリーエキス、フェノキシエタノール、及びセンブリエキスからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有し、
前記(C)成分の塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が65モル%以上であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、フケ及びかゆみの改善効果に優れ、かつ、高温での保存安定性に優れる毛髪洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(毛髪洗浄剤組成物)
本発明の毛髪洗浄剤組成物は、(A)カルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤と、(B)両性界面活性剤と、(C)カチオン性ポリマーと、(D)アゾール系抗真菌剤と、(E)ローズマリーエキス、フェノキシエタノール、及びセンブリエキスからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0012】
<(A)カルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤>
前記(A)成分のカルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤は、フケ及びかゆみの改善効果を向上させるために含有させることができる。
【0013】
前記(A)成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エーテルカルボン酸型界面活性剤、アミノ酸型界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エーテルカルボン酸型界面活性剤が好ましい。
【0014】
<<エーテルカルボン酸型界面活性剤>>
前記エーテルカルボン酸型界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A1)又は(A2)で表される化合物などが挙げられる。前記エーテルカルボン酸型界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化1】
【0015】
前記一般式(A1)及び(A2)中、R2は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示す。前記R2の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フケ及びかゆみの改善効果の点から、10~14が好ましく、11~13がより好ましい。
【0016】
前記一般式(A1)中、R3は、アルキレン基を示す。前記R3の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2~4が好ましく、2がより好ましい。前記R3は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0017】
前記一般式(A1)中、oは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す。前記アルキレンオキサイドの平均付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フケ及びかゆみの改善効果の点から、1~10が好ましく、3~6がより好ましい。
【0018】
前記一般式(A1)及び(A2)中、M1は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン、アンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す。これらの中でも、アルカリ金属が好ましく、ナトリウムがより好ましい。
【0019】
前記一般式(A1)又は(A2)で表されるエーテルカルボン酸型界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩のようなポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ラウリルグリコール酢酸塩のようなアルキルグリコール酢酸塩などが挙げられる。これらの中でも、前記エーテルカルボン酸型界面活性剤は、フケ及びかゆみの改善効果の点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩が好ましい。
【0020】
前記エーテルカルボン酸型界面活性剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記エーテルカルボン酸型界面活性剤の市販品としては、例えば、エナジコールEC-30(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ライオン株式会社製)、ビューライト LCA-25F(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライトLCA(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-30D(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-H(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸)、ビューライト LCA-25NH(ラウレス-4カルボン酸)、ビューライト SHAA(ラウリルグリコールカルボン酸ナトリウム)(以上、三洋化成工業株式会社製)、カオーアキポRLM-45NV(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(エチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数:4.5))、カオーアキポRLM-100NV(ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム(EOの平均付加モル数:10))(以上、花王株式会社製)などが挙げられる。
【0021】
<<アミノ酸型界面活性剤>>
前記アミノ酸型界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A3)で表される化合物などが挙げられる。前記アミノ酸型界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化2】
【0022】
前記一般式(A3)中、R2は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示す。前記R2の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5~23が好ましく、8~18がより好ましい。
【0023】
前記一般式(A3)中、R4は、水素原子又はアルキル基を示す。前記R4がアルキル基である場合、その炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~3が好ましい。
【0024】
前記一般式(A3)中、R5及びR6は、水素原子又は-(CH2)m-COOM2を示す。前記R5及び前記R6は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0025】
前記一般式(A3)中、m及びnは、0~20の数を示す。前記m及び前記nは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0026】
前記一般式(A3)中、M1及びM2は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン、アンモニウム又は塩基性アミノ酸を示す。前記M1及び前記M2は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0027】
前記アミノ酸型界面活性剤の親水部のアミノ酸構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシン、グルタミン酸、メチルアラニンなどが好ましい。
【0028】
前記一般式(A3)で表されるアミノ酸型界面活性剤の具体例としては、N-ココイル-グリシンカリウム(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)等のN-アシル-グリシン又はその塩;N-ミリストイル-N-カルボキシエチル-グリシンナトリウム等のN-アシル-N-カルボキシエチル-グリシン又はその塩;N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-パーム脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸又はその塩;N-ラウロイルアスパラギン酸、N-ミリストイルアスパラギン酸、N-パルミトイルアスパラギン酸等のN-アシルアスパラギン酸又はその塩;N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンカリウム、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニントリエタノールアミン、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ミリストイルメチル-β-アラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミン等のN-アシル-N-メチル-β-アラニン又はその塩;ココイルアラニンナトリウム、N-ココイル-β-アラニントリエタノールアミン等のN-アシル-β-アラニン又はその塩;ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン等のN-アシルサルコシン又はその塩などが挙げられる。これらの中でも、前記アミノ酸型界面活性剤は、フケ及びかゆみの改善効果の点から、N-アシルサルコシン塩、N-アシルアラニン塩、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルアスパラギン酸塩などが好ましい。
【0029】
前記アミノ酸型界面活性剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記アミノ酸型界面活性剤の市販品としては、例えば、アミソフト(登録商標)CS-11(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)CS-22(N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム液)、アミソフト(登録商標)LS-11(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)MS-11(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS-11P(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS-11P(F)(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS21(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ジナトリウム)、アミライト(登録商標)ACS-12(ココイルアラニンナトリウム)(以上、味の素ヘルシーサプライ株式会社製)、アミノサーファクト(登録商標)AMMS-P1(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)(旭化成ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL サルコシネート MN(ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム)、NIKKOL アラニネート LN-30(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム液)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、アラノンACE(ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム液)、アラノンAME(ミリストイルメチル-β-アラニンナトリウム液)、アラノンALE(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム液)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、エナジコール L-30AN(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム液)(ライオン株式会社製)、ソフティルトAT-L(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム液)(日油株式会社製)などが挙げられる。
【0030】
前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フケ及びかゆみの改善効果の点から、前記毛髪洗浄剤組成物全量に対して、1質量%~20質量%が好ましく、5質量%~11質量%がより好ましい。前記(A)成分の含有量が、1質量%~20質量%であると、フケ及びかゆみの改善効果が良好である。
【0031】
<(B)両性界面活性剤>
前記(B)成分の両性界面活性剤は、フケ及びかゆみの改善効果を向上させるために含有させることができる。
【0032】
前記(B)成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フケ及びかゆみの改善効果の点から、ベタイン型両性界面活性剤が好ましい。
【0033】
前記ベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、ヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤、アミドスルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記アルキルベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。
【0035】
前記アミドベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
【0036】
前記スルホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。
【0037】
前記ヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。
【0038】
前記アミドスルホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルアミドプロピルベタインなどが挙げられる。前記アルキルアミドプロピルベタインとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタインなどが挙げられる。
【0039】
前記ホスホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。前記アルキルヒドロキシホスホベタインとしては、例えば、ラウリルヒドロキシホスホベタイン、ミリスチルヒドロキシホスホベタイン、ステアリルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。
【0040】
前記イミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
【0041】
これらの中でも、前記(B)成分は、フケ及びかゆみの改善効果の点から、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤などが好ましく、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどがより好ましい。
【0042】
前記(B)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(B)成分の市販品としては、例えば、エナジコールL-30B(ラウリン酸アミドプロピルベタイン液)(ライオン株式会社製)、アンヒトール 20AB(ラウリン酸アミドプロピルベタイン)、アンヒトール 55AB(コカミドプロピルベタイン)、アンヒトール20YB(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエテルイミダゾリニウムベタイン)、アンヒトール 20BS(ラウリルベタイン)(以上、花王株式会社製)、レボン 2000L(ラウリン酸アミドプロピルベタイン液)、レボン 2000(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液)、レボンCIB(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、レボン105(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)(以上、三洋化成工業株式会社製)、ソフタゾリンLPB(ラウリン酸アミドプロピルベタイン液)、ソフタゾリン CPB(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液)、ソフタゾリン CPB-R(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液)、ソフタゾリン CH(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、ソフタゾリン CH-R(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、アンホレックス30S(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、アンホレックス35N(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、アンホレックス50(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、アンホレックスK-80(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)(ミヨシ油脂株式会社製)、NIKKOL AM-101(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン)、NIKKOL AM-301(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
【0043】
前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フケ及びかゆみの改善効果の点から、前記毛髪洗浄剤組成物全量に対して、1質量%~20質量%が好ましく、2.5質量%~~10質量%がより好ましい。前記(B)成分の含有量が1質量%~20質量%であると、フケ及びかゆみの改善効果が良好である。
【0044】
<質量比[(A)/(B)]>
[(A)/(B)]で表される、前記(B)成分の含有量(質量%)に対する、前記(A)成分の含有量(質量%)の質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フケ及びかゆみの改善効果の点から、0.8~16が好ましく、1~8がより好ましい。前記質量比が、0.8~16であると、フケ及びかゆみの改善効果が良好である。
【0045】
<(C)カチオン性ポリマー>
前記(C)成分のカチオン性ポリマーは、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種であり、フケ及びかゆみの改善効果を向上させるために含有させることができる。
【0046】
前記(C)成分のうちの前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体は、塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が65モル%以上であり、下記一般式(C1)で表される。
【化3】
ただし、前記一般式(C1)中、n及びmは各構造単位のモル比率(モル%)を示し、n+m=100であり、前記mは65モル%以上である。
【0047】
前記(C)成分のうちの前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率としては、フケ及びかゆみの改善効果の点から、65モル%以上であり、95モル%以上が好ましい。前記モル比率が、65モル%未満であると、フケ及びかゆみの改善効果を実感することができない。
前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記(C)成分のうちの前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における各構造単位のモル比率は、核磁気共鳴(NMR)により下記測定条件で測定することで決定することができる。
[測定条件]
溶媒:重水(D2O)
測定器:JNM-LA300(300MHz、日本電子株式会社製)
【0049】
前記(C)成分のカチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10,000~1,000,000が好ましく、15,000~450,000がより好ましい。
前記(C)成分のカチオン性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、SEC-MALLS-RIシステム(測定条件:カラム:東ソー株式会社製TSKgelαシリーズ α-Mカラム30cm、溶媒:硝酸ナトリウム0.3M水溶液)で測定することができる。
【0050】
前記(C)成分のカチオン性ポリマーの固形分30質量%~44質量%の溶液の25℃での粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mPa・s~15,000mPa・sが好ましく、20mPa・s~12,000mPa・sがより好ましい。
前記粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて測定することができる。
【0051】
前記(C)成分のカチオン性ポリマーは、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
マーコート(MERQUAT)100(塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、ルーブリゾール社製、固形分39質量%~44質量%の25℃での粘度:8,000mPa・s~12,000mPa・s、重量平均分子量:150,000)。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.3のローターを使用し、6回転/分間の条件において測定することができる。
【0052】
マーコート295(塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体、ルーブリゾール社製、固形分35質量%~40質量%の25℃での粘度:3,500mPa・s~9,000mPa・s、重量平均分子量:190,000、前記一般式(C1)におけるn:m=5:95(モル比)、塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が95モル%)。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.4のローターを使用し、30回転/分間の条件において測定することができる。
【0053】
マーコート280(塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体、ルーブリゾール社製、固形分39質量%~43質量%の25℃での粘度:3,000mPa・s~6,000mPa・s、重量平均分子量:450,000、前記一般式(C1)におけるn:m=35:65(モル比)、塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が65モル%)。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.4のローターを使用し、60回転/分間の条件において測定することができる。
【0054】
前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記毛髪洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%~5質量%が好ましく、0.3質量%~2質量%がより好ましく、0.5質量%~1質量%が特に好ましい。前記(C)成分の含有量が、0.1質量%~5質量%であると、フケ及びかゆみの改善効果が良好である。
【0055】
<(D)アゾール系抗真菌剤>
前記(D)成分のアゾール系抗真菌剤は、フケ及びかゆみの改善効果を向上させるために含有させることができる。
【0056】
前記(D)成分としては、アゾール系抗真菌剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、ビフォナゾール、ラノコナゾール、ルリコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ネチコナゾール、スルコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、クロコナゾール、又はこれらの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記これらの塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硝酸塩、塩酸塩などが挙げられる。
これらの中でも、前記(D)成分は、フケ及びかゆみの改善効果の点から、ミコナゾール及び/又はその塩が好ましく、ミコナゾール硝酸塩がより好ましい。
【0057】
前記(D)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ミコナゾール硝酸塩(長瀬産業株式会社製)などが挙げられる。
【0058】
前記(D)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フケ及びかゆみの改善効果、並びに、高温保存安定性の点から、前記毛髪洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%~1質量%が好ましく、0.5質量%~1質量%がより好ましい。前記(D)成分の含有量が、0.1質量%以上であると、フケ及びかゆみの改善効果が良好であり、1質量%以下であると、高温保存安定性が良好である。
【0059】
<(E)ローズマリーエキス、フェノキシエタノール、及びセンブリエキスからなる群より選択される少なくとも1種>
前記(E)成分のローズマリーエキス、フェノキシエタノール、及びセンブリエキスからなる群より選択される少なくとも1種は、高温保存安定性を向上させるために含有させることができる。これらの中でも、前記(E)成分は、ローズマリーエキス、フェノキシエタノールなどが好ましく、高温保存安定性の点から、フェノキシエタノールがより好ましい。
【0060】
前記(E)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ニューポールEFP(フェノキシエタノール、三洋化成工業株式会社製)、レオミールWL(ローズマリーエキス、豊玉香料株式会社製)、センブリ抽出リキッドET(センブリエキス)、センブリ抽出リキッドSS(センブリエキス)(以上、丸善製薬株式会社製)などが挙げられる。
【0061】
前記(E)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高温保存安定性の点から、前記毛髪洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%~2質量%が好ましく、0.5質量%~1質量%がより好ましい。前記(E)成分の含有量が0.1質量%~2質量%であると、高温安定性が良好である。
【0062】
<その他>
前記毛髪洗浄剤組成物における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、通常の毛髪洗浄剤組成物に用いられる成分の中から適宜選択することができ、例えば、溶媒(精製水等)、前記(A)成分及び前記(B)成分以外の界面活性剤、油分、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、クエン酸、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等)、乳白化剤(ジイソステアリン酸エチレングリコール、魚鱗、雲母片等)、色素、防腐剤、防黴剤、清涼剤、香料、香料組成物などが挙げられる。これらの中でも、前記毛髪洗浄剤組成物は、精製水を含むことが好ましい。
【0063】
前記(A)成分及び前記(B)成分以外の界面活性剤としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物などが挙げられる。
【化4】
【0064】
前記一般式(1)中、R1は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を示すが、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。
前記R1の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、8~18が好ましく、11~13がより好ましい。
【0065】
前記一般式(1)中、R2及びR3は、それぞれ独立して、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を示すが、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
前記一般式(1)中、R2及びR3は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記R2の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~3が好ましい。
前記R3の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~3が好ましい。
【0066】
これらの中でも、前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(1)中のR1のアルキル鎖長が8~18のアルキルジメチルアミンオキシドが好ましく、前記一般式(1)中のR1のアルキル鎖長が11~13のアルキルジメチルアミンオキシドがより好ましい。
【0067】
前記一般式(1)で表される化合物は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、ユニセーフA-LM(ラウリルジメチルアミンオキシド)、ユニセーフA-LMR(ラウリルジメチルアミンオキシド)、ユニセーフA-LE(ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド)、ユニセーフA-SM(ステアリルジメチルアミンオキシド)(以上、日油株式会社製)、アンヒトール20N(ラウリルジメチルアミンオキシド、花王株式会社製)、ソフタミンL(ラウリルジメチルアミンオキシド、東邦化学工業株式会社製)、ゲナミノックスK-12(ラウリルジメチルアミンオキシド)、ゲナミノックスKC(ココアミンオキシド)(以上、クラリアントジャパン株式会社製)、アデカミンLDM(ラウリルジメチルアミンオキシド、株式会社ADEKA製)、AX剤CS(ラウリルジメチルアミンオキシド)、カデナックスDM12D-W(ラウリルジメチルアミンオキシド)(以上、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、スタンダモックスC1214(ラウリルジメチルアミンオキシド、Cognis(BASF)社製)などが挙げられる。
【0068】
前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記毛髪洗浄剤組成物が前記一般式(1)で表される化合物を含有する場合、その含有量としては、前記毛髪洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%~4質量%が好ましく、0.4質量%~4質量%がより好ましい。
【0069】
-高温保存安定性-
本発明の前記毛髪洗浄剤組成物は、高温安定性に優れるものであるため、前記(D)成分の効果を十分に得ることができる点で有利である。
前記高温安定性は、前記毛髪洗浄剤組成物について、加速試験を行い、加速試験前後の前記(D)成分の含有量を定量し、その定量値に基づき確認することができる。
前記加速試験及び前記(D)成分の含有量の定量方法は、下記実施例に記載の方法を用いることができる。
【0070】
-製造方法-
本発明の前記毛髪洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、前記(E)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分を混合し、溶解させることにより製造する方法などが挙げられる。
前記毛髪洗浄剤組成物は、装置を用いて製造してもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断力があり、全体を混合することができる攪拌羽根を備えた攪拌装置などが挙げられる。
前記攪拌羽根としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどが挙げられる。
【0071】
-用途-
本発明の前記毛髪洗浄剤組成物は、フケ及びかゆみの改善効果に優れ、かつ、高温での保存安定性に優れるため、シャンプー、リンスインシャンプー、コンディショニングシャンプー、トリートメントインシャンプーなどに幅広く利用することができる。
【実施例】
【0072】
以下に実施例及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0073】
実施例及び比較例に記載の各成分の含有量は「質量%」で示し、全て純分換算した値である。また、前記(B)成分の含有量(質量%)に対する、前記(A)成分の含有量(質量%)の質量比[(A)/(B)]は、小数点以下第2位を四捨五入し、小数点以下第1位まで求め、記載した。
【0074】
(実施例1~29及び比較例1~9)
下記表1~表4に示す組成及び含有量の毛髪洗浄剤組成物を以下の方法で調製した。
具体的には、(A)成分又は(A)成分の比較成分、(B)成分、(C)成分又は(C)成分の比較成分、(D)成分、(E)成分又は(E)成分の比較成分、及び共通成分としての精製水を混合し、溶解させることにより実施例及び比較例の各毛髪洗浄剤組成物を調製した。
【0075】
調製した実施例1~29及び比較例1~9の毛髪洗浄剤組成物について、以下のようにして、「フケ及びかゆみの改善効果」及び「高温保存安定性」を評価した。結果を下記表1~表4に示した。
【0076】
<フケ及びかゆみの改善効果>
頭皮が乾燥してフケ及びかゆみを感じる20歳~30歳の男性専門パネラー20名が、実施例及び比較例の各毛髪洗浄剤組成物をそれぞれ通常の使用量(3g)で用い、1日1回、7日間洗髪を行った。各毛髪洗浄剤組成物の7日間使用後に、各毛髪洗浄剤組成物の使用前と比較した「フケ及びかゆみの改善効果」を、下記評価基準により評価した。
-「フケ及びかゆみの改善効果」の評価基準-
5点:「フケ及びかゆみの改善効果の実感がある」と回答した人数が20名中17名以上
4点:「フケ及びかゆみの改善効果の実感がある」と回答した人数が20名中13名以上16名以下
3点:「フケ及びかゆみの改善効果の実感がある」と回答した人数が20名中9名以上12名以下
2点:「フケ及びかゆみの改善効果の実感がある」と回答した人数が20名中5名以上8名以下
1点:「フケ及びかゆみの改善効果の実感がある」と回答した人数が20名中4名以下
なお、上記評価基準において、3点以上が「フケ及びかゆみの改善効果」を有するものとする。
【0077】
<高温保存安定性>
実施例及び比較例の各毛髪洗浄剤組成物について、以下の方法で加速試験を行った。
具体的には、(D)成分であるミコナゾール硝酸塩の吸着や水分蒸発のない容器(SV-50A、日電理化硝子株式会社製)に入れ、温度50℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽に1ヶ月間保管した。
1ヶ月間保管した後、各毛髪洗浄剤組成物のサンプリングを行い、以下の測定条件で高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により、前記加速試験前後の有効成分(ミコナゾール硝酸塩)の含有量を定量した。
前記加速試験前の前記有効成分の含有量の定量値(以下、「初期値」と称することがある)に対する、前記加速試験後の前記有効成分の含有量の定量値の割合(%)を下記式(1)に基づき求め、下記評価基準により「高温保存安定性」を評価した。
加速試験後の有効成分の含有量の初期値に対する割合(%)=(加速試験後の有効成分の含有量の定量値)/(加速試験前の有効成分の含有量の定量値)×100 ・・・式(1)
[HPLC測定条件]
・装置
高圧ポンプ:LC-20AD(株式会社島津製作所製)
オートサンプラー:SIL-20A(株式会社島津製作所製)
カラムオーブン:CTO-20A(株式会社島津製作所製)
UV検出器:SPD-M20A(株式会社島津製作所製)(測定波長:230nm)
・カラム:オクタデシルシリル化シリカゲルカラム(ジーエルサイエンス株式会社製)
・カラム温度:40℃
・移動相:メタノール/0.05mol/Lリン酸二水素アンモニウム溶液の混合液(4/1(体積比))
・流速:1.3mL/分間
・注入量:10μL
-「高温保存安定性」の評価基準-
◎:加速試験後の有効成分の含有量の初期値に対する割合が98%以上
〇:加速試験後の有効成分の含有量の初期値に対する割合が95%以上、98%未満
×:加速試験後の有効成分の含有量の初期値に対する割合が95%未満
なお、上記評価基準において、「◎」又は「○」が「高温保存安定性」を有するものとする。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
以上の実施例及び比較例の結果より、実施例1~29の毛髪洗浄剤組成物では、前記(D)成分のアゾール系抗真菌剤を含有する、前記(A)成分のカルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤と、前記(B)両性界面活性剤と、前記(C)成分のカチオン性ポリマーとからなる疎水性の高いコアセルベートが生成され、前記コアセルベートがすすぎ時に析出し、毛髪や頭皮に密着することにより優れた抗菌効果を発揮し、フケ及びかゆみの改善効果に優れるものと考えられた。
【0083】
前記実施例及び比較例で使用した各成分の詳細について、下記表5に示す。
【0084】
【0085】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1>(A)カルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤と、
(B)両性界面活性剤と、
(C)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(D)アゾール系抗真菌剤と、
(E)ローズマリーエキス、フェノキシエタノール、及びセンブリエキスからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有し、
前記(C)成分の塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が65モル%以上であることを特徴とする毛髪洗浄剤組成物である。
<2>[(A)/(B)]で表される、前記(B)成分の含有量に対する、前記(A)成分の含有量の質量比が、0.8~16である前記<1>に記載の毛髪洗浄剤組成物である。
<3>前記(A)成分の含有量が5質量%~11質量%であり、前記(B)成分の含有量が2.5質量%~10質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物である。
<4>前記(C)成分の含有量が0.3質量%~2質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の毛髪洗浄剤組成物である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の前記毛髪洗浄剤組成物は、フケ及びかゆみの改善効果に優れ、かつ、高温での保存安定性に優れるため、シャンプー、リンスインシャンプー、コンディショニングシャンプー、トリートメントインシャンプーなどに好適に利用可能である。