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特許7340559ロボットおよび他の用途のためのフェイルセーフブレーキ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ロボットおよび他の用途のためのフェイルセーフブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 67/02 20060101AFI20230831BHJP
   F16D 55/08 20060101ALI20230831BHJP
   F16D 7/02 20060101ALI20230831BHJP
   F16D 41/20 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
F16D67/02 D
F16D55/08
F16D7/02 F
F16D41/20 A
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021044749
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2021175917
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】62/994,542
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501228071
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エス.・エクリ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・カーンバウム
(72)【発明者】
【氏名】マリサ・エフ.・デ・ソウザ
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-279989(JP,A)
【文献】特開2019-190659(JP,A)
【文献】特開2008-101740(JP,A)
【文献】実開昭53-139450(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 67/02
F16D 55/08
F16D 7/02
F16D 41/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキであって、
第1の接触面および第2の接触面を有する入力部材と;
ブレーキ面を有し、前記入力部材が貫通するブレーキ部材であって、前記第1の接触面と前記第2の接触面とが、それぞれ、前記入力部材において、前記ブレーキ部材を挟んだ位置に配置される、ブレーキ部材と;
前記ブレーキ部材の前記ブレーキ面と接触しているブレーキパッドであって、前記ブレーキ部材の回転に対して対抗する、ブレーキパッドと;
第1の端部および第2の端部を有する第1のラップスプリングであって、前記第1のラップスプリングの第1の部分が、前記第1の端部に隣接し前記入力部材の前記第1の接触面と接触しており、前記第1のラップスプリングの第2の部分が、前記第2の端部に隣接し前記ブレーキ部材と接触している、第1のラップスプリングと;
第1のアクチュエータであって、
前記第1のアクチュエータは、前記第1のラップスプリングが係合モードになることを防止するように、および前記第1のラップスプリングが前記係合モードになることを可能にするように動作可能であり、
前記第1のラップスプリングが前記係合モードになることを防止することは、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第1の接触面と係合しないように、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止することを含み、
前記第1のラップスプリングが前記係合モードになることを可能にすることは、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が前記入力部材の前記第1の接触面と係合するように、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にして前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させることにより、前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗する、ことを含み、前記第1のラップスプリングの前記係合モードでは、第1の方向への前記入力部材の回転に対して前記ブレーキ部材が対抗する、第1のアクチュエータと;
第1の端部および第2の端部を有する第2のラップスプリングであって、前記第2のラップスプリングの第1の部分が、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部に隣接し前記入力部材の前記第2の接触面と接触しており、前記第2のラップスプリングの第2の部分が、前記第2のラップスプリングの前記第2の端部に隣接し前記ブレーキ部材と接触している、第2のラップスプリングと;
第2のアクチュエータであって、
前記第2のアクチュエータは、前記第2のラップスプリングが係合モードになることを防止するように、および前記第2のラップスプリングが前記係合モードになることを可能にするように動作可能であり、
前記第2のラップスプリングが前記係合モードになることを防止することは、前記第2のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第2の接触面と係合しないように、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止することを含み、
前記第2のラップスプリングが前記係合モードになることを可能にすることは、前記第2のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第2の接触面と係合するように、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にして前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させることにより、第2の方向への前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗し、前記第2の方向は、前記第1の方向とは反対である、ことを含む、第2のアクチュエータと;
を備えるブレーキ。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキであって、前記ブレーキは、スプリングを更に備え、前記ブレーキパッドが前記ブレーキ部材の回転に対して対抗するように、前記スプリングが、ハウジングと前記ブレーキパッドとの間に力を印加して、前記ブレーキパッドが前記ブレーキ面と接触している状態を維持する、ブレーキ。
【請求項3】
請求項1に記載のブレーキであって、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が前記入力部材の前記第1の接触面に係合しないように、前記第1のアクチュエータが、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止することは、前記第1のアクチュエータが前記ラップスプリングの前記第1の端部をハウジングに機械的に連結させることを含み、前記第1の端部は、前記ハウジングに対して回転することが防止されている、ブレーキ。
【請求項4】
請求項3に記載のブレーキであって、前記ブレーキは停止カラーを更に備え、前記第1のアクチュエータが、前記ラップスプリングの前記第1の端部を前記ハウジングに機械的に連結させることは、前記第1のアクチュエータが、前記停止カラーを前記ハウジングに機械的に連結させることを含み、前記入力部材が第1の方向に回転し、前記第1のアクチュエータが前記停止カラーを前記ハウジングに機械的に連結させている時に、前記第1の方向への前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の回転を防止する手段を前記停止カラーが含む、ブレーキ。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキであって、前記第1のアクチュエータは静電クラッチを備える、ブレーキ。
【請求項6】
請求項4に記載のブレーキであって、前記第1のアクチュエータは電磁クラッチを備える、ブレーキ。
【請求項7】
請求項1に記載のブレーキであって、前記ブレーキ部材はローターおよびハブを備え、前記ローターは前記ブレーキ面を含み、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は前記ハブと接触しており、前記ローターおよび前記ハブは、前記ローターおよび前記ハブの互いに対する回転を制限することを許容する手段を含む、ブレーキ。
【請求項8】
請求項1に記載のブレーキであって、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は、前記ブレーキ部材に堅固に取り付けられている、ブレーキ。
【請求項9】
請求項1に記載のブレーキであって、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は、前記ブレーキ部材の接触面と接触しており、前記第1のラップスプリングが前記係合モードになることを可能にすることは、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分が前記ブレーキ部材の前記接触面と係合するように前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にして前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させることにより、前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗すること、を含む、ブレーキ。
【請求項10】
請求項1に記載のブレーキであって、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分は、前記入力部材の前記第1の接触面内に位置している、ブレーキ。
【請求項11】
システムであって、
モーターと;
ブレーキであって、
第1の接触面および第2の接触面を有し前記モーターの出力に連結している入力部材と;
ブレーキ面を有し、前記入力部材が貫通するブレーキ部材であって、前記第1の接触面と前記第2の接触面とが、それぞれ、前記入力部材において、前記ブレーキ部材を挟んだ位置に配置される、ブレーキ部材と;
前記ブレーキ部材の前記ブレーキ面と接触しているブレーキパッドであって、前記ブレーキ部材の回転に対して対抗する、ブレーキパッドと;
第1の端部および第2の端部を有する第1のラップスプリングであって、前記第1のラップスプリングの第1の部分が、前記第1の端部に隣接し前記入力部材の前記第1の接触面と接触しており、前記第1のラップスプリングの第2の部分が、前記第2の端部に隣接し前記ブレーキ部材と接触している、第1のラップスプリングと;
第1の端部および第2の端部を有する第2のラップスプリングであって、前記第2のラップスプリングの第1の部分が、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部に隣接し前記入力部材の前記第2の接触面と接触しており、前記第2のラップスプリングの第2の部分が、前記第2のラップスプリングの前記第2の端部に隣接し前記ブレーキ部材と接触している、第2のラップスプリングと;
第1のアクチュエータであって、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部に連結している、第1のアクチュエータと;
を備えるブレーキと;
1つ以上のプロセッサを備えるコントローラであって、
前記コントローラは、
制動期間の後の、係合を解除する期間中に、前記モーターを動作させて、前記入力部材を第1の方向に回転させることにより、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分を前記入力部材の前記第1の接触面から係合解除させることであって、
前記第1のアクチュエータは、前記制動期間中に、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にし、前記制動期間中の前記入力部材の第2の方向への回転が、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分を前記入力部材の前記第1の接触面に係合させ、前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させることにより、前記第2の方向への前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗し、前記第2の方向は、前記第1の方向とは反対である、ことと;
前記係合を解除する期間の後に、(i)前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第1の接触面と係合しないように、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止するように前記第1のアクチュエータを作動させ、(ii)前記モーターを動作させて、前記入力部材を前記第2の方向に回転させる、ことと;
を含むコントローラ動作を実行するように構成されている、コントローラと;
を備える、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記ブレーキ部材はローターおよびハブを備え、前記ローターは前記ブレーキ面を含み、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は前記ハブと接触しており、前記ローターおよび前記ハブは、前記ローターおよび前記ハブの互いに対する回転を制限することを許容する手段を含む、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、前記コントローラ動作はまた、前記制動期間中に、前記第1のアクチュエータを動作させて前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にすることにより前記入力部材が前記第2の方向へと回転し、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第1の接触面と係合することを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2020年3月25日に出願された米国特許出願番号第62/994,542号に対する優先権を主張し、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書において示されない限り、本セクションに記載される事柄は、本出願における特許請求の範囲に関する従来技術ではなく、本セクションに含めることにより従来技術であると認めるものではない。
【0003】
ロボット、車両、または他の機械的システムはクラッチを含んで、アクチュエータ、エフェクタ、またはそのような入力を受け取り得る他の要素から、回転、並進、トルク、および/または力の供給源に対して選択的に連結および/または連結解除することができる。例えば、クラッチは、エンジンを車両のトランスミッションに選択的に連結させ、それにより、エンジンから「負荷を受けていない」間に、トランスミッションがギヤを変えることを可能にし、車両が停止している間に、エンジンが動作し続けることを可能にし、または、車両のいくつかの他の動作を可能にし得る。クラッチは、様々な要素を含んでもよく、様々な方法で作動されてもよい。例えば、摩擦クラッチは、別の摩擦面と選択的に接触するパッドまたは他の摩擦面を含み、それにより、摩擦面の間でのトルクの段階的な伝達を可能にしながら、ある程度のスリップも可能にしてもよい(例えば、摩擦面の相対速度が大幅に異なる、摩擦面を一緒にクラッチする初期フェーズの間)。水力、空気圧、電磁気、または他の手段を使用して、パッド、ラップスプリング、ドラム、またはクラッチの他の要素を作動させてもよい。
【0004】
ラップスプリングクラッチはクラッチの一種であり、シャフト(または他の機械式部材)の周りに、かつそれと接触して配置されたスプリングが巻き付き動作をする結果、ラップスプリングはシャフトと係合し、それにより、ラップスプリングはシャフトに機械的に連結される。ラップスプリングが2つの(またはより多くの)シャフトと接触している場合、ラップスプリングは2つの(またはより多くの)部材の両方と係合し、したがって、それらを一緒に機械的に連結する(またはそれらを一緒に「クラッチする」)ように構成されていてもよい。したがって、このようなラップスプリングクラッチの作動は、ラップスプリングが係合し、そのような係合をラップスプリングが呈することを可能にする方向への、両方の部材の回転を含む。したがって、このようなラップスプリングクラッチの作動は、(例えば、「突起部」またはスプリングの他の末端要素に力および/または変位を作用させることにより)ラップスプリングの端部を制御して、ラップスプリングが部材に更に下向きに巻き付くことにより部材と係合することを防止することを含み得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態はブレーキを提供し、ブレーキは、(i)第1の接触面を有する入力部材と;(ii)ブレーキ面を有するブレーキ部材と;(iii)ブレーキ部材のブレーキ面と接触しているブレーキパッドであって、ブレーキ部材の回転に対して対抗する、ブレーキパッドと;(iv)第1の端部および第2の端部を有する第1のラップスプリングであって、第1のラップスプリングの第1の部分が、第1の端部に隣接し入力部材の第1の接触面と接触しており、第1のラップスプリングの第2の部分が、第2の端部に隣接しブレーキ部材と接触している、第1のラップスプリングと;(v)第1のアクチュエータであって、第1のアクチュエータは、第1のラップスプリングの係合モードを防止するように、および第1のラップスプリングの係合モードを可能にするように動作可能であり、第1のラップスプリングの係合モードを防止することは、第1のラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第1の接触面と係合しないように、第1のラップスプリングの第1の端部の動きを防止することを含み、第1のラップスプリングの係合モードを可能にすることは、第1のラップスプリングの第1の部分が入力部材の第1の接触面と係合するように、第1のラップスプリングの第1の端部の動きを可能にし、それにより、入力部材をブレーキ部材に機械的に連結させ、その結果、入力部材の回転に対してブレーキパッドが対抗すること、を含む、第1のアクチュエータと;を含む。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態はシステムを提供し、システムは、(i)モーターと;(ii)ブレーキであって、(a)第1の接触面を有し、モーターの出力に連結している、入力部材と、(b)ブレーキ面を有するブレーキ部材と;(c)ブレーキ部材のブレーキ面と接触しているブレーキパッドであって、ブレーキ部材の回転に対して対抗する、ブレーキパッドと;(d)第1の端部および第2の端部を有する第1のラップスプリングであって、第1のラップスプリングの第1の部分が、第1の端部に隣接し入力部材の第1の接触面と接触しており、第1のラップスプリングの第2の部分が、第2の端部に隣接しブレーキ部材と接触している、第1のラップスプリングと;(e)第1のアクチュエータであって、第1のラップスプリングの第1の端部に連結している、第1のアクチュエータと;を備えるブレーキと;(iii)1つ以上のプロセッサを備えるコントローラであって、コントローラは、(1)制動期間後の係合解除期間中に、モーターを動作させて、入力部材を第1の方向に回転させ、それにより、第1のラップスプリングの第1の部分を入力部材の第1の接触面から係合解除させることであって、第1のアクチュエータは、制動期間中に、第1のラップスプリングの第1の端部の動きを可能にし、それにより、制動期間中の入力部材の第2の方向への回転が、第1のラップスプリングの第1の部分を入力部材の第1の接触面に係合させ、それにより、入力部材をブレーキ部材に機械的に連結させ、その結果、第2の方向への入力部材の回転に対してブレーキパッドが対抗し、第2の方向は、第1の方向とは反対である、ことと;(2)係合解除期間の後に、(I)第1のラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第1の接触面と係合しないように、第1のラップスプリングの第1の端部の動きを防止するように第1のアクチュエータを動作させ、(II)モーターを動作させて、入力部材を第2の方向に回転させる、ことと;を含むコントローラ動作を実行するように構成されている、コントローラと;を含む。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態はクラッチを提供し、クラッチは、(i)接触面を有する入力部材と;(ii)出力部材と;(iii)第1の端部および第2の端部を有するラップスプリングと;を含み、ラップスプリングの第1の部分が、第1の端部に隣接し入力部材の接触面と接触しており、ラップスプリングの第2の部分が、第2の端部に隣接し出力部材と接触しており、ラップスプリングの第1の部分は、入力部材の接触面内に位置しており、入力部材に対する、ラップスプリングの第1の端部の動きが防止されない場合、入力部材が第1の方向へと回転する結果、ラップスプリングの第1の部分が入力部材の接触面と係合し、それにより、入力部材は出力部材に連結され、その結果、出力部材は入力部材から第1の方向へのトルクを受け取る。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態はクラッチを提供し、クラッチは、(i)第1の接触面および第2の接触面を有する入力部材と;(ii)出力部材と;(iii)第1の端部および第2の端部を有する第1のラップスプリングであって、第1のラップスプリングの第1の部分が、第1のラップスプリングの第1の端部に隣接し入力部材の第1の接触面と接触しており、第1のラップスプリングの第2の部分が、第2の端部に隣接し出力部材と接触している、第1のラップスプリングと;(iv)第1の端部および第2の端部を有する第2のラップスプリングであって、第2のラップスプリングの第1の部分が、第2のラップスプリングの第1の端部に隣接し入力部材の第2の接触面と接触しており、第2のラップスプリングの第2の部分が、第2の端部に隣接し出力部材と接触している、第2のラップスプリングと;(v)第1のラップスプリングの第1の端部、および第2のラップスプリングの第1の端部に連結されたアクチュエータと;を含み、アクチュエータは、(A)第1のラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第1の接触面と係合しないように、第1のラップスプリングの第1の端部の動きを防止し、アクチュエータが第1のラップスプリングの第1の端部の動きを防止していない場合、入力部材が第1の方向へと回転する結果、第1のラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第1の接触面と係合し、それにより、入力部材は出力部材に連結され、その結果、出力部材は入力部材から第1の方向へのトルクを受け取るように動作可能であり、ならびに、(B)第2のラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第2の接触面と係合しないように、第2のラップスプリングの第1の端部の動きを防止し、アクチュエータが第2のラップスプリングの第1の端部の動きを防止していない場合、入力部材が第2の方向へと回転する結果、第2のラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第2の接触面と係合し、それにより、入力部材は出力部材に連結され、その結果、出力部材は入力部材から第2の方向へのトルクを受け取るように動作可能であり、第2の方向は、第1の方向とは反対である。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態はクラッチを提供し、クラッチは、(i)接触面を有する入力部材と;(ii)出力部材と;(iii)第1の端部および第2の端部を有するラップスプリングであって、ラップスプリングの第1の部分が、第1の端部に隣接し入力部材の接触面と接触しており、第1のラップスプリングの第2の部分が、第2の端部に隣接し出力部材と接触している、ラップスプリングと;(iv)静電アクチュエータであって、静電アクチュエータは、ラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第1の接触面と係合しないように、ラップスプリングの第1の端部の動きを防止するように動作可能であり、アクチュエータが第1のラップスプリングの第1の端部の動きを防止していない場合、入力部材が第1の方向へと回転する結果、第1のラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第1の接触面と係合し、それにより、入力部材は出力部材に機械的に連結され、その結果、出力部材は入力部材から第1の方向へのトルクを受け取る、静電アクチュエータと;を含む。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態はクラッチを提供し、クラッチは、(i)第1の接触面を有する入力部材と;(i)第2の接触面を有する出力部材と;(iii)第1のサブスプリングおよび第2のサブスプリングを有する、入れ子になったダブルラップスプリングと;を含み、第1のサブスプリングは、入力部材の第1の接触面と接触しており、第2のサブスプリングは、出力部材の第2の接触面と接触しており、第1のサブスプリングは、第1の端部および第2の端部を有し、第1のサブスプリングは、第2の端部を経て第2のサブスプリングに連結しており、(i)第1のサブスプリングは第2のサブスプリング内で入れ子になっている、または(ii)第2のサブスプリングは第1のサブスプリングの内側で入れ子になっている、のうちの1つであり、第1のサブスプリングの第1の端部の動きが防止されない場合、入力部材が第1の方向へと回転する結果、第1のサブスプリングが入力部材の第1の接触面と係合し、それにより、入力部材は出力部材に機械的に連結され、その結果、出力部材は入力部材から第1の方向へのトルクを受け取る。
【0011】
これらの、ならびに他の態様、利点および変形形態は、必要に応じて添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによって、当業者にとって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、例示的実装形態による、ラップスプリングクラッチの要素を示す。
【0013】
図1B図1Bは、例示的実装形態による、ラップスプリングクラッチの要素を示す。
【0014】
図2A図2Aは、例示的実装形態による、ブレーキ機構の要素を断面で示す。
【0015】
図2B図2Bは、例示的実装形態による、図2Aのブレーキ機構の要素を断面で示す。
【0016】
図3A図3Aは、例示的実装形態による、ブレーキ機構の要素を示す。
【0017】
図3B図3Bは、例示的実装形態による、図3Aのブレーキ機構の要素を示す。
【0018】
図4図4は、例示的実装形態による、ブレーキ機構の要素を示す。
【0019】
図5図5は、例示的実装形態による、ブレーキ機構の要素を示す。
【0020】
図6図6は、例示的実装形態による、ブレーキ機構の要素を示す。
【0021】
図7図7は、例示的実装形態による、ブレーキ機構の要素を示す。
【0022】
図8A図8Aは、例示的実装形態による、ハイブリッドラップスプリングを示す。
【0023】
図8B図8Bは、例示的実装形態による、図8Aのハイブリッドラップスプリングを含むブレーキ機構の要素を示す。
【0024】
図9図9は、例示的方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の詳細な説明では、その一部を形成する添付図面を参照する。図では、別途の指示がない限り、典型的には、類似のシンボルは類似な構成要素と同一と見なす。詳細な説明、図面、および請求項に記載されている例示的実施形態は、限定的であることを意図するものではない。本明細書で提示される要旨の範囲を逸脱することなく、他の実施形態を使用してもよく、他の変更を行ってもよい。本明細書に全般的に記載され図面に示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成にて配置、置換、組み合わせ、分離、および設計することができることが容易に理解され、その全ての構成が本明細書において明確に企図される。
【0026】
I.概要
動いている要素を減速または停止させる、および/または動いていない要素が動くことを防止するために、様々なシステムおよび機構がブレーキを含む。例えば、ロボットアームは、ロボットアームの整備中にアームが動くことを防止するために、緊急状態(例えば、電力の喪失、ユーザによる緊急停止ボタンの作動)の間、アームの動きを急速に停止させるために、またはいくつかの他の便益をもたらすために、その自由度のそれぞれに対してブレーキ(例えば、非常ブレーキ)を含み得る。ブレーキを含むシステムのサイズおよび重量を減らし、このようなシステムを駆動するために使用するモーターまたは他の要素のサイズ、重量および/またはコストを減らし、このようなシステムのブレーキに必要とされる制動動力を減らし、このようなシステムのコストを減らし、または、このようなシステムの制動機構のサイズおよび/または重量を減らすことに関連するいくつかの他の利点をもたらすために、制動動力の所与のレベルに対して、そのようなブレーキのサイズおよび/または重量を減らすことは一般的に望ましい。
【0027】
本明細書における実施形態は、クラッチとしてラップスプリングを適用して、駆動シャフト(例えば、モーターの出力シャフト、トランスミッションの入力シャフトまたは出力シャフト、ホイールまたはロボット関節の駆動シャフト)をブレーキローターに選択的に連結させる。ブレーキローターの回転に連続的に抵抗を加えるように、パッドまたは他の手段がブレーキローターと接触した状態が維持される。したがって、ラップスプリングが駆動シャフトと係合することを可能にすることにより、駆動シャフトの制動が実現され、それにより、ブレーキパッドがラップスプリングおよびブレーキローターを介して大きい制動力を駆動シャフトに印加することができるように、駆動シャフトがブレーキローターに連結される。
【0028】
このような「安全ブレーキ」装置は、ロボットならびに他の用途で使用するために適用されてもよい。このようなブレーキ装置を使用して、ロボット肢部の関節を任意の向きで「フリーズ」させてもよい。例えば、ロボットが工場環境において稼働している場合、「光カーテン」などの様々な安全装置を使用して、ロボットの作業空間内における人の存在を検出してもよい。人が検出された場合、安全予防措置として、ロボットは自動的に「シャットダウンモード」に入ることができる。このモードでは、ロボットの各関節は、人が検出された時点で、その向きで「ロック」され得る。このような「シャットダウンモード」の安全を改善するために、各関節をロックするために用いるブレーキは、通電が断たれた場合に「係合する」(すなわち、ロックする)ように構成することができる。したがって、停電の場合には、このような制動機構を含むロボットは、動きに対して安全に「ロックされる」ことになる。
【0029】
このような制動機構は、ラップスプリングクラッチの比較的低い、力および/またはトルクの作動要件により制動力が係合することを可能にしながら、(ブレーキローターおよびブレーキパッドのサイズまたは他の特性に関連する)大きな制動力を提供することができる。ラップスプリングが駆動部材と係合することを防止または許容するのに十分なアクチュエータのサイズ、重量、複雑さ、および/またはコストは、例えば、ブレーキパッドによってブレーキローターへと印加される力の量を制御することによって、ブレーキパッドおよびローターを「直接」作動させるのに十分なアクチュエータのサイズ、重量、複雑さ、および/またはコストと比較して、非常に小さい可能性がある。例えば、駆動シャフトに対する、ラップスプリングクラッチの突起部の動きを防止するのに十分なアクチュエータのサイズ、重量、複雑さ、および/またはコストは、ブレーキパッドとブレーキローターとの間に印加される力の程度を制御することによってブレーキを制御するのに十分な銅ソレノイドコイル、鉄「磁極片」、および電磁アクチュエータの他の構成要素のサイズ、重量、複雑さ、および/またはコストよりも非常に小さい場合がある。ブレーキローターを駆動シャフトから機械的に連結解除されたままにしておくことはまた、このようなブレーキ機構が、従来のブレーキ機構と比較して、低減された回転慣性を示すことを許容し得る。これは特に、ロボットまたは他の機構が迅速な動きを繰り返すことにより、サイクルタイムの短縮と、生産性および効率の向上とを許容する用途において大きな利点となり得る。
【0030】
このような制動機構は、単に、ラップスプリングクラッチを使用して駆動シャフトを機械グランドに(例えば、ロボットアームのセグメントの上部構造に)連結させることと比較して利点をもたらす。制動動力の程度、減速プロファイル、静止摩擦と運動摩擦の関係、またはラップスプリングクラッチ式ブレーキ機構の他の特性は、ブレーキローターおよび/またはブレーキパッドのサイズ、構成、表面特性、または他の態様を、ラップスプリングクラッチの特性とは実質的に独立して指定することにより、用途に合わせて調整することができる。これにより、ラップスプリングクラッチの迅速な係合によって引き起こされる比較的大きな制動力の結果として生じ得る、ロボットアームまたは他の機構への損傷の発生を、このような制動機構が回避することが可能になる。ブレーキとして単独で使われる場合に、このようなラップスプリングクラッチによって提供される制動動力が大きいことは、駆動シャフトに「下向きに巻き付く」ラップスプリングの一般に非常に迅速なプロセスに関連している。この迅速な係合挙動はラップスプリングクラッチの動作に固有であり、それにより、制動力/トルクの非常に大きな大きさと突然さに起因して、ラップスプリングクラッチを単独でブレーキとして使用することは多くの用途において非実用的になる。このような大きく急激な負荷は、疲労の増加、装置寿命の低下、および構成要素の故障につながり得る。
【0031】
上述したパラグラフの課題とは対照的に、本発明では、ラップスプリングクラッチは迅速に係合するが、関連するトルク(したがって、加速)は装置の摩擦ブレーキ部分によって制限される。
【0032】
多くの従来の安全ブレーキは、ブレーキパッドとブレーキローターとの間に作用する力の程度を制御するために、制御可能で大きな力を作用させるように構成されている電磁コイルおよび関連する鉄の「磁極片」を含む。所望の制動トルクの所与のレベルに対して、関連するコイルおよび磁極片は比較的重い。ロボット肢部または他のロボットアセンブリ内に位置する構成要素の重量は、ロボットにとって、特に人間と協働することが意図されるロボット(協働ロボット(cobot))にとって著しく不利な場合がある。本開示のラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置のブレーキパッドは対照的に、ブレーキ装置のブレーキローターの対応する接触面と接触した状態が維持され、ラップスプリングの係合および/または作動に関わらず、ブレーキローターの回転に連続的に対抗する。したがって、制動動力の所与のレベルに対する、本開示のブレーキ装置の重量は、同等の力を有する従来ブレーキ(例えば、従来の電磁気作動ブレーキ)の重量よりも遥かに小さい場合がある。なぜなら、本開示のブレーキ装置は、印加する制動動力のレベルを制御するために、ラップスプリングの係合(または係合の不在)を使用するからである。したがって、本開示のブレーキ装置は大きく重い電磁コイルおよび磁極片を省略することができ、または、制動が望まれるまでラップスプリングの係合を防止するために、ラップスプリングに比較的小さい力を印加するように構成されている比較的小さいコイルおよび磁極片を含んでもよい。この重量における利点は、より高速、より安全、かつより低価格の、より軽いロボットを得るために活用され得る。
【0033】
本開示のブレーキ装置はまた、制動動力の所与のレベルに対して、従来のブレーキと比較して、材料、アセンブリ、および/または構成要素のコストの低減を提示し得る。材料コストは、従来の電磁ブレーキの総コストの極めて大きな部分であり得る。特に、電磁コイル用の銅線のコストは、総コストの極めて大きな割合であり得る。このようなコイルを巻くためのコストも極めて大きい場合がある。本開示の安全ブレーキ装置は、比較的小さい電磁コイルを用いてもよく、および/または電磁コイルを完全に省略してもよい(例えば、静電アクチュエータを使用してラップスプリングの係合を制御してもよい)。これは、従来の電磁ブレーキと比較して、より低い材料コストにつながり得る。このようなブレーキは、従来のブレーキと比較して、電力消費の減少を提示し得る。
【0034】
また、このラップスプリングクラッチ式ブレーキの実施形態に対する様々な改良形態が本開示において提供される。そのような改善は、静電アクチュエータを適用してラップスプリングを作動させることと、単一のアクチュエータを使用して2つのラップスプリングを共通して作動させて、それぞれの異なる方向に制動することと、駆動シャフトを取り囲む接触面にラップスプリングが「上向きに巻き付く」ように構成することと、第1の部材(例えば駆動シャフト)に「下向きに巻き付く」第1の部分を有し、第2の部材(例えば、ブレーキローター)を取り囲む接触面に「上向きに巻き付く」第2の部分を有することにより係合するように構成されているハイブリッド型ラップスプリングを使用することと、他の改善と、を含む。このような改善は、本明細書に記載されているブレーキ機構の改善との関連で記載されているが、一般的なラップスプリングクラッチ機構を改善するために用いられてもよいと理解されている。
【0035】
本開示の全体にわたって、入力部材、出力部材、駆動部材、駆動シャフト、ブレーキ部材、およびグランド部材を参照し、ブレーキおよび/またはクラッチ機構が、入力部材を介して回転入力を受け取り、出力部材を介して回転出力を提供し、グランド部材を機械的にグランドに接続する、と一般的に記載されるような特徴を組み込んでいることに留意されたい。しかしながら、これら実施形態は、例示を目的とした非限定的実施例として意図されている。当業者は、入力、出力、およびグランドの機能が、用途に応じて様々な形態で、本明細書に記載されているブレーキ、クラッチ、または他の機構の様々な要素に割り当てられてもよいことを理解するであろう。
【0036】
更に、「部材」という用語(例えば、入力部材のような)は、特に明記しない限り、幅広い意味を持つことを意図している。そのような部材は、本明細書では例として、単一の、別の方法で形成されたプレートまたは別の方法で成形された要素を鋳造、機械加工したものとして示している場合があるが、「部材」は、ボルト締め、溶接、ねじ留め、クリップ留め、プレス嵌め、または別の方法で一緒に締結された複数の要素を含んでもよいことが意図されている。「部材」の複数の要素は、それらが密接して接触しているように、ボルト締め、プレス嵌め、または別の方法で一緒に締結されてもよく(例えば、単一の「部材」のそのような複数の要素の大きな表面が接触するように)、または、部材の中間的な追加要素によって一緒に締結されてもよい(例えば、装置のいくつかの介在部材または他の要素における対応する穴を貫通し得るロッド、ピン、円柱、またはねじのセットによって)。例えば、「ブレーキ部材」は、(i)そこを介してラップスプリングがブレーキ部材に係合し得る1つ以上の接触面を有するハブ、および(ii)そこを介してブレーキパッドがブレーキ部材へと制動力を作用させることができるブレーキ面を有するローター、を含んでもよい。「ブレーキ部材」全体のこのようなハブおよびローターが、堅固にまたは柔軟に一緒に連結されていてもよい。例えば、ローターおよびハブは、ハブおよびローターが、互いに対する回転の程度が制限された状態で係合することを許容するように構成された歯、歯車、または他のフィーチャを含むことができる。
【0037】
II.例示的ラップスプリングクラッチ機構
ラップスプリングクラッチは、少なくとも1つのラップスプリングを含むクラッチ機構である。ラップスプリングは、駆動シャフト、入力部材、出力部材、または関心の対象である他の機械部材の接触面の周囲に(またはその中に)巻き付けられ、それらと滑り接触している。このような駆動シャフトが特定の方向に回転すると、その結果、ラップスプリングは、駆動シャフトへと「下向きに巻き付き」、駆動シャフトの接触面と係合し、それによりラップスプリングは駆動シャフトに強く機械的に連結される。したがって、駆動シャフトは、ラップスプリングに連結する他の機械要素(例えば、ブレーキ部材、出力シャフト、または他の機械部材)に機械的に連結されることができる。ラップスプリングは、直接(例えば、溶接、ボルト締め、プレス嵌めにより、または、他の要素に直接連結されて)、または、ラップスプリングの一部が他の要素の接触面と係合する「巻き付き」プロセスを介して、そのような他の要素に連結されてもよい。
【0038】
このような、「下向きに巻き付いて」駆動シャフトに係合することは、ラップスプリングの係合をもたらした特定の方向とは反対方向に駆動シャフトを回転させることによって逆転させる(すなわち、ラップスプリングを接触面から「係合解除する」)ことができる。加えてまたは代替として、ラップスプリング(例えば、ラップスプリングの端部に形成された他のフィーチャの突起部)に十分な力を加えて、ラップスプリングを駆動シャフトから係合解除させることにより、および/または、駆動シャフトが回転している間にラップスプリングが回転することを防止してラップスプリングを駆動シャフトから係合解除させることにより、ラップスプリングを駆動シャフトから直接、係合解除させることができる。
【0039】
図1Aおよび図1Bは、例示的なラップスプリングクラッチ100の要素を示し、図1Aは、展開されたまたは分解された要素を示す。ラップスプリング130によって入力部材110が出力部材120にクラッチされることが可能である。図1Bを参照すると、組み立てられた時、ラップスプリング130の第1の部分135aが入力部材110の円筒状接触面115と接触し、ラップスプリング130の第2の部分135bが出力部材120の円筒状接触面125と接触している。
【0040】
ラップスプリングが係合していない時(例えば、ラップスプリングの端部が、下にある接触面と共に動き、したがって「下向きに巻き付いて」その接触面と係合することが防止される時)、ラップスプリングがその下にある接触面と「接触」することにより、接触面がワープスプリングに対して回転することが許容される。しかしながら、これは直接的な機械的接触であり、ある程度の滑り摩擦によって特徴付けられる。したがって、接触面がラップスプリングに対して動く時に、ラップスプリングと入力部材110の接触面との間の滑り摩擦を介して、ゼロではない一定程度のトルクが、ラップスプリングと下にある接触面との間に伝達されることになる。
【0041】
曲線状の矢印によって示される方向に入力部材110が回転して、ラップスプリング130が「下向きに巻き付いて」、入力部材110および出力部材120の両方と係合し、それにより、入力部材110が出力部材120に機械的に連結され、その結果、示される方向への回転またはトルクが、ラップスプリング130を介して、出力部材120に伝達される結果となり得る。下にある接触面に対するラップスプリングのこのような「係合」は、例えば、ラップスプリングによって接触面へと加えられる垂直力の増加に起因する、ラップスプリングと接触面との間の著しく大きな機械的連結によって特徴付けられる。垂直力のこの増加は、ラップスプリングと接触面との間の機械的連結の増加に関連するキャプスタン効果および/または他の効果に部分的に起因し得る。それに応じて、その下にある接触面と「係合」しているラップスプリングが、「係合」方向へと更に相対運動した場合に、ラップスプリングが接触面から係合解除されている(したがって、単に「接触」している)場合と比較して、接触面に作用する非常に大きなトルクを呈し得る。このようなトルクの増加は、「キャプスタン効果」と呼ばれることもある効果に主に起因し、これは、(ロープを駆動するための、および/またはロープを使用して他の部材を駆動するための)キャプスタンなどの装置で活用されている。実際には、これら要素、ならびに他のプロセス(例えば、接触面を支えている部材の圧縮)により、「係合」方向へと更に相対運動させるために、接触面と「係合」しているラップスプリングが接触面に機能的に堅固に連結される結果となってもよい。
【0042】
反対方向に回転すると、ラップスプリング130が接触面115、125から係合解除され、入力部材110から出力部材120へのトルク伝達が実質的に存在しない結果になる(ラップスプリング130と接触面115、125との間の摩擦に起因して、僅かな量のトルク伝達が生じる場合がある)。
【0043】
このようにして追加要素なしで構成されたラップスプリングクラッチは、「一方向」または「オーバーランニング」クラッチと呼ばれる場合がある。なぜなら、入力部材110は出力部材120を一方向に駆動することができる一方で、反対方向に回転している時は出力部材120に対して「オーバーランニング」するからである。追加要素またはフィーチャを追加して、このクラッチ挙動の制御を提供して、例えば、ラップスプリングが「下向きに巻き付いて」入力部材110の接触面115と係合することを防止することにより、入力部材110が、「前方」方向にもオーバーランすることを可能にしてもよい。これは、ラップスプリング130の端部137が入力部材110の接触面115と「共に」回転することを防止することによって、実施することができる。ラップスプリング130の端部137のこのような動きを防止することは、例えばアクチュエータを用いて端部137を機械グランドに連結させることにより、ラップスプリング130の端部137のあらゆる動きを防止することを含み得る。他の例では、スリップクラッチ機構または他のシステムが用いられて、ラップスプリング130の端部137の回転速度を、矢印の方向に、指定された量(例えば、指定されたRPM)より大きく、入力部材110の回転速度よりも小さいレベルに維持することができる。このような実施例では、出力部材120は指定されたRPMで回転するが、入力部材110にはごく僅かなトルクだけが加えられる。
【0044】
「スタートストップクラッチ」構成と呼ばれる場合がある、クラッチのクラッチ挙動の制御を許容するこのような構成は、ラップスプリング130の端部137の動きを制御するためのアクチュエータまたは他の構成要素を含んでもよい。これは、図1Aおよび図1Bに示すように、ラップスプリング130の端部137に形成される「突起部」に力を加えることを含み得る。制御突起部137が自由に回転できる場合、この構成は、オーバーラン構成と同様に機能する。すなわち、ラップスプリング130が接触面115、125と係合することにより、入力は出力を一方向(矢印で示す)にのみ駆動することができる。しかしながら、何らかの「停止部」が突起部137の回転を防止している場合、入力部材110は回転し得るが、出力部材120は入力部材によって駆動されない。
【0045】
このような停止された突起部137により、ラップスプリング130が入力部材110と共に回転して入力部材110の接触面115に「下向きに巻き付く」ことが防止され、よって入力部材110は、スプリング130または出力部材120を回転させることなく、回転することが可能になる。突起部137の停止を生じさせるために、(電気ソレノイドまたは他の手段によって作動されてもよい)「フィンガ」または「つめ」を用いて、制御突起部を直接停止させてもよい。いくつかの実施形態では、スプリング130の制御突起部137を取り囲むように適合された凹部を有する環状「停止カラー」が設けられる。その時、カラーの回転を停止させるために、追加の「フィンガ」または「つめ」が、停止カラーの周辺にある歯車様のフィーチャと係合することができる。次いで、これが制御突起部137の回転を防止し、それにより、ラップスプリング130が入力部材110と「係合する」ことが防止される。
【0046】
このようなラップスプリングクラッチのラップスプリングのコイルは、右ねじおよび左ねじと類似して、「右巻き」であっても「左巻き」であってもよい。図1Aおよび図1Bにおけるワープスプリング130の「巻き方向」は、どちらの回転方向がラップスプリングの係合に至ることになるか(矢印で示す方向)、どちらがラップスプリングのオーバーランおよび/または係合解除に至ることになるかを決定する。したがって、ラップスプリングクラッチは、使用するスプリングの巻き方向に応じて、出力部材を時計方向または反時計方向に駆動するように構成されていてもよい。両方向へのクラッチ動作を許容するように、複合クラッチが複数のラップスプリングを含んでもよい。
【0047】
本明細書に記載される、ラップスプリングクラッチのラップスプリング、または他の機構は、一般に、ラップスプリングの内側に取り囲まれた駆動シャフトの接触面上へと「下向きに巻き付き」、それにより、ラップスプリングを接触面と係合させ、ラップスプリングが接触面から係合解除されて接触している時よりも、より多くの実質的なトルクを駆動シャフトとラップスプリングとの間で伝達することを許容するものとして説明されていることに留意されたい。しかしながら、以下で更に詳細に説明するように、クラッチ、ブレーキ、または他の機構のラップスプリングが、ラップスプリングを取り囲む駆動部材(例えば、ドラム状の部材)の接触面へと「上向きに巻き付く」ことも可能である。このような構成は、多数の利点を提供することができる。例えば、このような「内から外に向かう」ラップスプリングクラッチにより、内側接触面を取り囲むラップスプリングクラッチが「下向きに巻き付く」ことが、生成される求心力のレベルに起因して阻止または防止され得る駆動シャフトの回転速度においてさえ、ラップスプリングが、それを取り囲む接触面と係合することが許容され得る。本開示の全体にわたって、ラップスプリングが係合する接触面を取り囲む「標準」ラップスプリングの例が、代替として、適切な所に適切な修正を伴って、ラップスプリングが接触面の内側に位置し、ラップスプリングが接触面へと「上向きに巻き付く」ことにより係合する「内から外に向かう」ラップスプリングとして構成されていてもよいことを理解すべきである。
【0048】
III.例示的ブレーキ機構
上で簡潔に述べたように、従来のブレーキ機構と比較して、サイズ、重量、複雑さ、コスト、および他の要素に関して優れたブレーキ機構を設けることができる。これは、駆動シャフトを、急速にかつ高い電力定格で、ブレーキパッドに接触した状態が維持されているブレーキローターに機械的に連結できるラップスプリングクラッチを作動させることにより実現できる。(例えば、制御突起部またはラップスプリングの他の末端部分の動きを選択的に防止するかまたは許容することにより)ラップスプリングを作動させるのに必要な力/電力は、ブレーキパッドによってブレーキローター上に作用される力の量を制御することによってブレーキを作動させるのに必要な電力/力よりも、実質的に小さい可能性がある。したがって、このような力の制御を遂行するためのアクチュエータに関連するブレーキのサイズ、重量、コスト、複雑さ、または他の要因が改善される場合がある。
【0049】
図2Aおよび図2Bは、例として、そのような制動機構200の態様を断面で示す。装置200はロボットの一部であってもよく、例えば、装置200のインスタンスが、ロボットの各「自由度」(DOF)に対する非常ブレーキとして含まれていてもよい。各DOFは、モーター、「安全ブレーキ」200、およびトランスミッションの組み合わせによって駆動され得る。ブレーキ装置200は、モーターとトランスミッション入力シャフトとの間に位置していてもよい。しかしながら、本明細書に記載されているようなブレーキは、本開示の教示から逸脱することなく、システムの様々な場所に、例えば、モーターの「背面」端部に、またはモーター内に組み込まれて、またはトランスミッションの中間ステージにおいて、取り付けられてもよいことに留意されたい。
【0050】
入力部材10は、ブレーキ装置200の中心を貫通している。入力部材10の第1の端部11aはモーターに連結することができ(したがって、装置200の「入力」端部と呼ばれる)、入力部材10の第2の端部11bは、トランスミッション、駆動シャフト、または他の構成要素に連結することができる(したがって、装置200の「出力」端部と呼ばれる)。図示するように、このような入力部材10は、一緒に連結された複数の構成要素を含んでもよく、例えば、構成要素は、例えば、キー、ボルト、溶接、プレス嵌め、またはいくつかの他の連結手段を介して出力シャフトに取り付けられるように構成されている、テーパ状ハブを有する入力シャフトを含んでもよい。入力部材10は、円筒状で外向きの第1の接触面12と、円筒状で外向きの第2の接触面13とを含む。
【0051】
装置200は加えて、ハブ15およびローター19を含むブレーキ部材を含む。ハブ15は、入力部材10と同軸であり、入力部材10の一部の周囲に配置されている。ハブ15は、2つのベアリング16aおよび16b(例えば、真鍮ブッシング、ローラーベアリングなど)によって入力部材10上で支持されている。したがって、ハブ15は、入力部材10上で自由に回転できる。ハブ15は、第1の接触面17aおよび第2の接触面17bを含む。ローター19は、ハブ15上に取り付けられ、止め輪22によってハブ15に対して適所に維持され、止め輪22は、2つ以上の締結具23、例えばリベットまたはねじによってハブ15に締結されている。以下で更に詳細に説明するように、ローター19は、指定された量よりも少ない量だけ、ハブ15に対して回転することができる。しかしながら、ブレーキ部材のこのような構成は非限定的な実施例として意図されており、本明細書に記載されているようなラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置のブレーキ部材が、類似する形態または異なる形態で構成された、より多くのまたはより少ない構成要素を含み得ることに留意されたい。例えば、ブレーキ部材は、ブレーキパッド用の接触面と、1つ以上のラップスプリングと接触するおよび/または係合する円筒状接触面との両方を含む単一の材料片(例えば、鋳造された金属片)から形成され得る。
【0052】
一対のブレーキパッド31aおよび31bが、バッキングプレート32aおよび32bに接合されている。これらのブレーキパッド31a、31bは、対応するローター19の接触面と接触した状態が維持される。ブレーキパッド31a、31bは、コイルスプリング33によってローター19に対して押しつけられる。内側バッキングプレート32aは、ハウジング(機械グランド)27の内側表面上の類似のフィーチャ(図示せず)と嵌合する、その周辺部にあるスプライン状のフィーチャによって、回転が防止される。外側バッキングプレート32bは、締結具34でハウジング27に締結される。ブレーキパッド31a、31b、バッキングプレート32a、32b、およびスプリング33の組み合わせが、一定のトルク(装置にとっての「公称トルク」)に達するまで、ハウジング27に対するローター19の回転を防止する。ラップスプリング18a、18bのうちの少なくとも1つが係合して入力部材10をローター19に連結している間に、入力端部11aおよび出力端部11bに外部から印加されるトルクの合計が公称トルクを超えると、ローター19はハウジング27に対して回転し始める。
【0053】
図2Aから分かるように、装置200は、第1のラップスプリング18aおよび第2のラップスプリング18bをなお更に含む。第1のラップスプリング18aは、入力部材10の第1の接触面12と接触している第1の部分(図2A図2Bの左側)、およびブレーキ部材のハブ15の第1の接触面17aと接触している第2の部分(図2A図2Bの右側)を含む。第2のラップスプリング18bは、入力部材10の第2の接触面13と接触している第1の部分(図2A図2Bの右側)、およびブレーキ部材のハブ15の第2の接触面17bと接触している第2の部分(図2A図2Bの左側)を含む。
【0054】
停止カラー24aおよび24bはそれぞれ、2つのラップスプリング18a、18bの停止突起部25aおよび25bを停止させるために取り付けられる。これらのカラーはそれぞれ、第1のアクチュエータ26aおよび第2のアクチュエータ26bの面に対しても回転する。アクチュエータ26a、26bは、それらの対応する停止カラー25a、25bを機械グランド27に機械的に連結させ、それにより、それらの対応する停止突起部25a、25bの動きを防止するように動作させることができる。したがって、入力部材10が、ラップスプリング18a、18bのどちらか一方を介して、ブレーキ部材に機械的に連結されること、そしてそれにより、ブレーキパッド31a、31bの動作によって、ブレーキ部材のローター19を中心にして回転することが阻止されること、を防止するために、アクチュエータ26a、26bは作動できる。これは、「安全ブレーキ」が係合解除された、ロボットの「通常作動」と呼ぶことができる。アクチュエータ26a、26bがこのように係合していると、関連する停止カラー24a、24bは、回転することが防止される。それにより、停止カラー24aおよび24bは、それらの関連する突起部25a、25bが、回転することを防止する。上述したように、そのような突起部が回転を防止された場合、それらの対応するラップスプリング18a、18bは入力部材10の対応する接触面12、13から係合解除される。したがって、ハブ15は、入力部材10から効果的に接続解除される。したがって、入力部材10は、例えばモーターによって駆動されて、いずれの方向にも自由に回転できる。
【0055】
代替として、アクチュエータ26a、26bは、停止カラー24a、24b、したがって、それらの対応する停止突起部25a、25bが回転することを許容するように動作させることができる。したがって、アクチュエータ26a、26bは、ラップスプリング18a、18bが、入力部材10およびハブ15の、第1の接触面12、17aおよび/または第2の接触面13、17bと係合し、それにより、入力部材10をローター19に機械的に連結することを可能にするように動作させることができる。ラップスプリング18a、18bのどちらか一方が係合するには、対応する停止カラー24a、24bの移動と、対応する方向への入力部材10の回転との両方を、アクチュエータが許容し、それにより、対応する停止突起部25a、25bが回転し、対応するラップスプリング18a、18bが「下向きに巻き付く」ことが必要であることに留意されたい。この回転は、モーター、慣性、例えば入力部材10によって駆動されるロボット肢部に作用する重力、および/または入力部材10を回転させるいくつかの他の原因、によって作用するトルクに起因していてもよい。
【0056】
装置200が「非常ブレーキ」(例えば、ロボットアームのDOFのための)として用いられる実施形態では、アクチュエータ26a、26bは、電力が取り除かれた時に、停止カラーの回転を許容するように構成されることができる(いわゆる「フェイルセーフ」動作)。このような実施例では、装置200を非制動の動作状態に維持することは、幾らかのゼロでない量の電力の入力を必要とし得る(例えば、アクチュエータ26a、26bの静電クラッチを、「クラッチ状態」に維持するための、高電圧における小電流、または、停止カラーの回転を防止するための「フィンガ」もしくは「つめ」を所定位置に維持するための、アクチュエータ26a、26bのソレノイドのコイルを通る低電圧における大電流。
【0057】
電磁的に動作するアクチュエータ26a、26bの別の実施形態では、停止カラー24a、24bは、関連するアクチュエータ26a、26bと接触し強磁性材料(例えば、鉄)で構成されている面を有する。各アクチュエータ26a、26bは、カップ形状の強磁性「コア」を含み、コア内の凹部内にはソレノイドコイルが固定(例えば、接着)されている(そのようなコアは一般に「ポットコア」と呼ばれる)。コイルが通電されていない場合、停止カラー24a、24bは自由に回転できる。その場合、ラップスプリングは入力部材10と自由に係合でき、したがって、装置は入力部材10に制動トルクを作用させることになる。コイルが通電されている場合、コイルは磁場を生成し、磁場は強磁性停止カラー24a、24bを引き付けて、強磁性コアの面に密接に接触させる。したがって、停止カラー24a、24bの強磁性面と、アクチュエータ26a、26bの強磁性コアとの間の摩擦が、停止カラー24a、24bの回転を防止することになる。それに応じて、そのような状態では、関連するラップスプリングは係合することがないので、装置は入力部材10にごく僅かなトルクを印加することになる。
【0058】
入力部材10がラップスプリング18a、18bのうちの一方の係合を介してローター19に機械的に連結する時に、入力部材10は制動トルクを受ける。この制動トルクの大きさは、スプリング33のスプリング力、ブレーキパッド31a、31bと接触しているローター19の接触面の平均半径、およびローター19の接触面とブレーキパッド31a、31bとの間の摩擦係数に関係し得る。これらのスプリングおよびローターパラメータの適切な選択により、この制動トルクを、用途の特別な要件を満たすように選ぶことができる。したがって、ブレーキが係合する時、ロボットDOFまたは他の機構は非常に急速に減速するが、それが損傷を受けるほど急速ではない。
【0059】
アクチュエータ26a、26bは様々な要素を含み、それらの対応するラップスプリング18a、18bの動きを防止または許容するようにアクチュエータが動作可能となるように(停止カラー24a、24bおよび/または停止突起部25a、25bの動きの制御を介して)、様々な方法で構成することができる。例えば、アクチュエータ26a、26bは、静電クラッチまたは静電積層クラッチ、ソレノイド、モーター、水力、空気圧、加熱ワックスアクチュエータ、またはラップスプリング18a、18bの挙動を防止、許容、または制御するように構成された他の要素、を含むことができる。アクチュエータ26a、26bは、ラップスプリング18a、18bのいかなる動きまたは回転をも防止するために、例えば、停止カラー24a、24bを機械グランド27に機械的に連結させることによって、動作することができる。代替として、アクチュエータ26a、26bは、スリップクラッチ機構または他のシステムを含むことができ、それらは、ラップスプリング18a、18bの端部25a、25bの回転速度を、指定された量(例えば、指定されたRPM)よりも大きく、かつ、それらの対応する反対方向への入力部材10の回転速度よりも小さいレベルに維持するように構成されている。
【0060】
いくつかの実施例では、アクチュエータ26a、26bは、静電クラッチを含むことができる。静電クラッチは、特に、低電力要件、オン/オフ動作の性質、その薄さ、およびその作動力がその静電電極の領域に関連していること、に起因して、非常ブレーキのラップスプリングクラッチ、または本明細書に記載されるような別様に構成されたラップスプリングクラッチ機構の作動によく適合されている。このような静電クラッチは、絶縁性の誘電体材料の少なくとも1つの層によって分離された第1および第2のプレートまたは電極を含む。第1のプレートおよび第2のプレートにわたって高電圧を加圧すると、その結果、プレート間に引力が生じて、プレート間の相対運動(例えば、摺動)が防止される。このような静電アクチュエータのプレートのうちの1つは、例えば、停止カラー24a、24b、または本明細書に記載されているようなラップスプリングクラッチおよび/またはブレーキ装置の他の要素上に形成され得る。いくつかの実施例では、このような静電クラッチは、静電積層クラッチであってもよい。このような静電積層クラッチは、その電極間に、綿密に調整された、一定の抵抗率範囲内の抵抗率を呈する、誘電体材料を有する。このような静電積層クラッチの詳細は2016年7月25日に出願された米国特許第10,138,953号において開示されており、その内容が参照により本明細書に含まれる。
【0061】
停電の場合、(電力の欠如により)このような静電クラッチへの通電が断たれる可能性があり、それにより、装置200は(例えば、装置がその一部をなすロボットDOFの)ブレーキとして機能し得る。したがって、そのような装置は、電力が喪失された場合にDOFの回転を停止させることになるという点で、フェイルセーフ」である。このような動作は、静電クラッチのプレート間に接続される高抵抗ブリーダー抵抗器の導入によって促進されることができ、高抵抗ブリーダー抵抗器は、(例えば、高電圧発生器によって)プレートに印加される電圧が中止された場合に、プレート間の電圧の関数である、プレート間の保持力が、少なくとも指定された割合で減少することを確実にする。
【0062】
したがって、装置200は、ブレーキパッド、またはブレーキローター/パッドアセンブリ自体の他の要素を作動させる代わりに、ラップスプリングクラッチを作動させて入力部材を「常に制動された」ブレーキローターまたはパッドに連結させることにより、大量の制御可能な制動動力を提供する一方で、そのような制動力を制御するのに必要なアクチュエータのサイズ、重量、コスト、または他の特性を低減させる。しかしながら、ラップスプリングの係合の後に、このようなラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置200を係合解除させるには、ラップスプリングおよび/または入力部材に極めて大きなトルクを作用させることが必要となり得る。これらの力/トルクは、例えば、ロボット肢部セグメントへの重力、ロボット肢部のあらゆるペイロード、または入力部材によって機械的に駆動され、したがって入力部材に連結している他の構成要素、によって入力部材に作用するあらゆるトルクに対抗するのに必要なトルクを含み得る。ラップスプリング18a、18bの係合解除は、係合したラップスプリングを入力部材10の対応する接触面12、13から「巻き付きを解く」ように入力部材10を逆方向に駆動することを含み得る。加えてまたは代替として、十分な力をラップスプリング18a、18bに(例えば、停止突起部25a、25bに)直接作用させて、ラップスプリングを入力部材10の接触面から係合解除させるように、アクチュエータ26a、26bおよび/またはいくつかの他の構成要素を構成することができる。
【0063】
係合解除には、ラップスプリング18a、18bの端部と、下にある入力部材10の接触面との間の、一定量の相対運動(例えば、数度)が必要である。ラップスプリングを係合解除させるのに必要なトルクの量を減らすために、ブレーキ部材のハブ15およびローター19は、ハブ15とローター19との間において対応する量の相対運動を許容するフィーチャを含み得る。これにより、係合解除のために必要なトルクの大きさを、ブレーキパッド31a、31bによってローター19に加えられる制動トルクに相当する量だけ低下させることができる。このようなフィーチャの実施例を図3Aおよび図3Bに示す。ブレーキ部材のローター19の中心は2つの切欠き20を含み、その切欠きは、ブレーキ部材のハブ15の整合するフィーチャ21の周りに適合するように設計されている。これらのフィーチャによって、ローター19とハブ15との間に極めて大きな制動力を伝達できる一方で、ローター19およびハブ15が僅かな量だけ(図3Bにおいて距離「b」によって表される)、互いに自由に回転することも許容される。距離「b」のサイズは、ローター19とハブ15が互いに自由に回転できる量が、ラップスプリング18a、18bを係合解除させるのに必要な回転量に対応するように指定することができる。これにより、ラップスプリング18a、18bのうちの1つが係合した後に、ローター19を回転させるのに十分なトルクをブレーキパッド31a、31bに対して作用させる必要なく、ブレーキ200を係合解除させることが可能になる。
【0064】
ラップスプリングを係合解除するのに必要な少ない回転量は、ブレーキとロボット関節の駆動部材との間に介在するトランスミッションの伝達比(産業用ロボット用途では典型的には50:1~150:1)に起因して、関連するロボット関節の運動(または、いくつかの他のエフェクタの回転または運動)の程度の僅かな部分に対応し得ることに留意されたい。
【0065】
ラップスプリングクラッチに対する、および/またはラップスプリングクラッチブレーキ装置200の他の態様に対する、様々な修正態様が可能である。例えば、ラップスプリングクラッチブレーキ装置は、ラップスプリングクラッチを1つだけを含み、それにより、制動動作/クラッチ動作を一方向にだけ促進することができる。いくつかの実施例では、ラップスプリングクラッチ式ブレーキは2つのラップスプリングを含むことができ、この2つのラップスプリングは、単一のアクチュエータによって、例えば、2つのラップスプリングの突起部または他のフィーチャと相互作用するフィーチャを有する単一の停止カラーに作用する単一のアクチュエータによって、作動される。これにより、サイズ、重量、コスト、および複雑さの低減、または他の利点が提供され得る。代替として、(例えば、図2Aおよび図2Bで示すように)2つのアクチュエータを設けて、時計回り方向および反時計回り方向への制動の独立制御を可能にすることができ、またはいくつかの他の利点を提供することができる。
【0066】
いくつかの実施例では、ラップスプリングクラッチのラップスプリング、および/またはラップスプリングクラッチ式ブレーキのラップスプリングは、ブレーキ部材へと「下向きに巻き付く」ことを介するよりはむしろ、第1の端部を介して「下向きに巻き付き」、反対側の第2の端部を介してブレーキ部材(または入力部材)と堅固に連結されることにより、入力部材(またはブレーキ部材)と係合するように構成され得る。これは、クラッチ/ブレーキのサイズの縮小、または他の利点をもたらし得る。代替として、ラップスプリングは、入力部材とブレーキ部材との両方に「巻き付く」ように構成され得る。これは、クラッチ力/トルクの増加、ラップスプリング全体にわたる力分布の改善、装置寿命の増加、ラップスプリングにおける応力の低減、または他の利点をもたらし得る。
【0067】
図4は、単一のアクチュエータ450、およびブレーキ部材420に堅固に連結された(または「テールが取り付けられた」)2つのラップスプリング430a、430bを有する、例示的なラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置400を示す。ラップスプリング430a、430bは、入力部材410の対応する接触面と接触し、それらに「下向きに巻き付いて」係合し、それにより、入力部材410はブレーキ部材420に機械的に連結されることが可能である。ブレーキ部材420の接触面が、ブレーキパッド425に接触した状態が維持され、したがって、ブレーキパッドがブレーキ部材420の回転に対して連続的に対抗する。(図4に示すような静電クラッチを含む)アクチュエータ450は、停止カラー440を機械グランド470に機械的に連結させることによって、ラップスプリング430a、430bのこのような係合を防止し、それにより、対応するラップスプリング430a、430bの端部における停止突起部437a、437bの動きを防止するように動作し得る。
【0068】
代替として、「テールが取り付けられた」双方向のラップスプリングクラッチブレーキ装置が、2つのアクチュエータを含むことができる(例えば、制動の方向を独立して制御することを許容するために)。図5は、2つのアクチュエータ550a、550b、およびブレーキ部材520に堅固に連結された(または「テールが取り付けられた」)2つのラップスプリング530a、530bを有する、例示的なラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置500を示す。ラップスプリング530a、530bは、入力部材510の対応する接触面と接触し、それらに「下向きに巻き付いて」係合し、それにより、入力部材510はブレーキ部材520に機械的に連結されることが可能である。ブレーキ部材520の接触面が、ブレーキパッド525に接触した状態が維持され、したがって、ブレーキパッドがブレーキ部材520の回転に対して連続的に対抗する。(図5に示すような静電クラッチを含む)アクチュエータ550a、550bは、対応する停止カラー540a、540bを機械グランド570に機械的に連結させることにより、それらの対応するラップスプリング530a、530bのそのような係合を防止し、それにより、対応するラップスプリング530a、530bの端部における対応する停止突起部537a、537bの動きを防止するように動作し得る。
【0069】
上述した、ラップスプリングクラッチおよび/またはラップスプリングクラッチブレーキのラップスプリングは、ラップスプリングの内側に取り囲まれている入力部材、ブレーキ部材、または他の機械要素の接触面へと「下向きに巻き付き」、それにより、ラップスプリングが接触面と係合し、ラップスプリングが接触面から係合解除されて接触している時よりも、より多くの実質的な力を機械要素とラップスプリングとの間で伝達することを許容することにより動作する。しかしながら、以下で更に詳細に説明するように、クラッチ、ブレーキ、または他の機構のラップスプリングが、ラップスプリングを取り囲む駆動部材(例えば、凹状、ドラム状の部材)の接触面へと「上向きに巻き付く」ことも可能である。このような構成は、多数の利点を提供することができる。例えば、このような「内から外に向かう」のラップスプリングクラッチにより、ラップスプリングの内側に位置する接触面にラップスプリングクラッチが「下向きに巻き付く」ことが、生成される求心力のレベルに起因して阻止または防止され得る駆動シャフトの回転速度においてさえ、ラップスプリングが、それを取り囲む接触面と係合することが許容され得る。
【0070】
図6は、2つアクチュエータ650a、650b、および2つの「インサイドアウト」ラップスプリング630a、630bを有する、例示的なラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置600を示す。これらラップスプリング630a、630bは、入力部材610の対応する内向きの接触面に接触し、それに「上向きに巻き付く」ことにより、それと係合することが可能な、対応する第1の部分を有する。これらラップスプリング630a、630bはまた、ブレーキ部材620の対応する内向きの接触面に接触し、それに「上向きに巻き付く」ことにより、それと係合することが可能な、対応する第2の部分を有する。ブレーキ部材620の接触面が、ブレーキパッド625に接触した状態が維持され、したがって、ブレーキパッドがブレーキ部材620の回転に対して連続的に対抗する。(図6に示すような静電クラッチを含む)アクチュエータ650a、650bは、対応する停止カラー640a、640bを機械グランド670に機械的に連結させることにより、それらの対応するラップスプリング630a、630bのそのような係合を防止し、それにより、対応するラップスプリング630a、630bの端部における対応する停止突起部(図示せず)の動きを防止するように動作し得る。
【0071】
停止カラー640a、640bと、突起部またはラップスプリング630a、630bの他のフィーチャとの間の機械的連結は、様々な方法で達成され得る。いくつかの実施例では、ラップスプリングの突起部は、対応する停止カラーと物理的に接触するように、延長されて、ラップスプリングのコイルの内部を通り、そしてチャネルを、またはブレーキ部材620(図示せず)内に形成された他のフィーチャを通ることができる。いくつかの実施例では、停止カラーおよびラップスプリングは、停止カラーと、対応するラップスプリングの突起部または他の要素との間のトルクを、磁場を介して連結するのに十分な磁石または他の磁気材料を含むことができる。例えば、停止カラーは複数の永久磁石を含むことができ、これらは対称的に構成され、磁場結合の入力部材を形成しており、磁気結合の第2の部材が、入力部材610の一部の内部に、対応するラップスプリング(図示せず)の突起部に極めて接近して位置している。このような実施例では、停止カラーの磁気結合入力部材と、ラップスプリングの突起部または他の部分に関連する対応する磁気結合出力部材との間での磁気結合における干渉を減らすように、入力部材610を取り囲む接触面および/または他の部分のいずれかが、非磁性材料(例えば、低透磁率材料)で構成されることができる。いくつかの実施例では、ラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置600の構成の順序、相対位置、または他の態様が、ラップスプリングとその停止カラー/アクチュエータとの間の機械的連結を促進するために変更され得る。
【0072】
このような「内から外に向かう」のラップスプリングの他の利点は、双方向ラップスプリングクラッチおよび/またはラップスプリングクラッチ式ブレーキが、「従来の」ラップスプリングを、「内から外に向かう」ラップスプリングの内部で入れ子にして含むことができ、したがって、ラップスプリングクラッチおよび/またはラップスプリングクラッチ式ブレーキのサイズを低減させること(例えば、軸方向に沿った長さの低減)が可能になることである。図7は、例示的なラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置700を示し、これは、単一のアクチュエータ750、「内から外に向かう」ラップスプリング730a、および「内から外に向かう」ラップスプリング730aの内部で入れ子になった「標準の」ラップスプリング730bを有する。「内から外に向かう」ラップスプリング730aは、入力部材710およびブレーキ部材720の、それぞれの内向きの接触面と接触しており、それに「上向きに巻き付く」ことにより、それらと係合することが可能である。「標準」ラップスプリング730bは、対応する入力部材710およびブレーキ部材720の、対応する外向きの接触面と接触しており、それに「下向きに巻き付く」ことにより、それらと係合することが可能である。ブレーキ部材720の接触面が、ブレーキパッド725に接触した状態が維持され、したがって、ブレーキパッドがブレーキ部材720の回転に対して連続的に対抗する。(図7に示すような静電クラッチを含む)アクチュエータ750は、停止カラー740を機械グランド770に機械的に連結させることによって、ラップスプリング730a、730bのこのような係合を防止し、それにより、対応するラップスプリング730a、730bの端部における対応する停止突起部(図示せず)の動きを防止するように動作し得る。停止カラー740と、突起部またはラップスプリング730a、730bの他のフィーチャとの間の機械的連結は、様々な方法で達成され得る。これは、図6に関連して上述したフィーチャまたは方法のうちの1つ以上を用いることを含み得る。
【0073】
いくつかの実施例では、ラップスプリングクラッチおよび/またはラップスプリングクラッチ式ブレーキは、入れ子になったダブルラップスプリングを含むことができる。このような入れ子になったダブルラップスプリングは第1のサブスプリングを含むことができ、第1のサブスプリングは、第2のサブスプリングの内側で入れ子になり、(対応するスプリング端部を介して)第2のサブスプリングに堅固に連結されている。第1のサブスプリングは、内側部材(例えば、入力部材)の外向きの接触面と接触し、その接触面へと「下向きに巻き付く」ことができ、第2のサブスプリングは、外側部材(例えば、出力部材、ブレーキ部材)の内向きの接触面と接触し、その接触面へと「上向きに巻き付く」ことができる。このような入れ子になったダブルラップスプリングの使用により、ラップスプリングクラッチおよび/またはラップスプリングクラッチ式ブレーキのサイズの削減(例えば、軸方向に沿った長さの削減)、または他の利点が可能になり得る。
【0074】
図8Aは、例示的な入れ子になったダブルラップスプリング830aを示し、内側の第1のサブスプリング831aが、外側の第2のサブスプリング833aの内側で入れ子になっている。第2のサブスプリング833aの第1の端部が停止突起部837aにおいて終わり、停止突起部837aを使用して、例えば、入れ子になったダブルラップスプリング830aの動きを防止し、それにより、入れ子になったダブルラップスプリング830aが、入力部材、ブレーキ部材、出力部材、または他の機械要素の接触面に係合することを防止することができる。第1のサブスプリング831aは、第1のサブスプリング831aの端部839aにおいて、第2のサブスプリング833aに堅固に連結されている。
【0075】
図8Bは、入れ子になったダブルラップスプリング830aを含む、例示的なラップスプリングクラッチ式ブレーキ装置800を示す。装置800は、単一のアクチュエータ850、入れ子になったダブルラップスプリング830a、および追加の入れ子になったダブルラップスプリング830bを含む。第1の入れ子になったダブルラップスプリング830aの第1のサブスプリング831aは、入力部材810の外向きの接触面に接触し、それに「下向きに巻き付き」、よって、それに係合すること可能である。第1の入れ子になったダブルラップスプリング830aの第2のサブスプリング833aは、ブレーキ部材820の内向きの接触面に接触し、それに「上向きに巻き付き」、よって、それに係合すること可能である。ブレーキ部材820の接触面が、ブレーキパッド825に接触した状態が維持され、したがって、ブレーキパッドがブレーキ部材820の回転に対して連続的に対抗する。(図8に示すような静電クラッチを含む)アクチュエータ850は、停止カラー840を機械グランド870に機械的に連結させることによって、入れ子になったダブルラップスプリング830a、830bのこのような係合を防止し、それにより、対応する入れ子になったダブルラップスプリング830a、830bの端部における対応する停止突起部(図8Bでは図示せず)の動きを防止するように動作し得る。停止カラー840と、突起部またはラップスプリング830a、830bの他のフィーチャとの間の機械的連結は、様々な方法で達成され得る。これは、図6に関連して上述したフィーチャまたは方法のうちの1つ以上を用いることを含み得る。
【0076】
IV.例示的方法
上述したように、本明細書に記載されているようなラップスプリングクラッチ式ブレーキは、ラップスプリングが入力部材(または他の機械部材)と係合することを許容することにより制動力を提供し、それにより、ブレーキパッドによってその回転が抑制されているブレーキ部材に入力部材を機械的に連結させるように動作し、ブレーキパッドはブレーキ部材に連続的に接触した状態が維持されている、ことに留意されたい。このようなブレーキを係合解除するために、ラップスプリングを入力部材の接触面から係合解除させることができる。これは、専用のアクチュエータ(例えば、ラップスプリングがすでに係合解除されている場合、ラップスプリングの係合を防止するために力を作用させるのに使用したものと同じアクチュエータ)によって実現でき、それにより、ブレーキとして係合および係合解除するのに追加の要素/動作を必要としないという点で、ブレーキアセンブリを「プラグアンドプレイ」により適したものにする。しかしながら、ラップスプリングを係合解除するのに必要な力は、ラップスプリングが係合するのを防止するのに必要な力よりも大幅に大きく、入力部材に作用する力に対抗するのに必要な量だけ(例えば、入力部材に連結するロボット肢部セグメントに作用する重力によって)増加させてもよい。このことは、ラップスプリングの係合を防止するようにだけ構成されているアクチュエータよりも、それ自体でワープスプリングを係合解除できるアクチュエータが、遥かに大きく、より重く、および/またはより高価または複雑であり得ることを意味する。
【0077】
加えてまたは代替として、通常(すなわち、非制動)動作中に、入力部材を駆動するために使用するモーターまたは他の駆動要素を用いてラップスプリングを係合解除してもよい。このようなモーターは、(例えば、ロボット肢部セグメントへの重力の力によって)入力部材および/またはブレーキに作用するトルクよりも大きいかまたはそれと少なくとも同程度である、大きなトルクを作用させることができる可能性がある。したがって、ラップスプリングの係合解除は、このようなモーターを、ラップスプリングを係合解除するのに十分な量(通常、数度未満)だけ「逆」方向に駆動することを含み得る。これは、トルクを作用させてラップスプリングを係合解除するための、ラップスプリングクラッチ式ブレーキのアクチュエータの動作と協働させて行うことができる。アクチュエータとモーターの、このような協調動作は、モーターがトルクを作用させて入力部材を係合解除する方向に回転させている際に、ラップスプリングの突起部または他の要素にアクチュエータが直接、係合解除の力を作用させることを含み得る。代替として、アクチュエータとモーターの、このような協調動作は、単に、係合解除のための方向にトルクを作用させて入力部材を回転させるためのモーターの動作を妨げるいかなる力も、アクチュエータがラップスプリングに作用させないことを含み得る(例えば、アクチュエータは、ラップスプリングを機械グランドに連結させるように動作することはなく、そうすることは、ラップスプリングを入力部材から係合解除させるのに必要なラップスプリングの動きを妨げ得る。
【0078】
いったんラップスプリングが係合解除されると、次いで、ラップスプリングの再係合を、例えばラップスプリングの端部を機械グランドに連結させることにより防止し、それにより、再係合に至る可能性があるラップスプリングの端部の動きを防止するように、ブレーキの対応するアクチュエータを動作させることができる。同時に、そのような係合を防止するアクチュエータの動作に起因して、モーターは、ラップスプリングの再係合を生じさせることなく、最近係合解除されたラップスプリングに対して、入力部材を「前方」方向に回転させるように動作することができる。ラップスプリングクラッチ式ブレーキが、異なる方向に係合するラップスプリングに対応する複数のアクチュエータを含む場合、これらアクチュエータは、モーターと協働して動作して、入力部材を「ジョギング」して、以前に係合されているラップスプリングを係合解除する結果として、いかなる他のラップスプリングとの係合も防止することができる(例えば、係合したラップスプリングの端部の動きを許容しながら、係合したラップスプリングをモーターが係合解除している際に、他のラップスプリングの端部の動きを防止することにより)。
【0079】
図9は、ラップスプリングクラッチ式ブレーキの入力シャフトを駆動するモーターと、そのブレーキのアクチュエータとを動作させて、(例えば、電力損失により、またはブレーキを係合する積極的な動作により)ブレーキが係合された後にブレーキを係合解除させるための方法900のフローチャートである。ブレーキは、(i)第1の接触面を有する入力部材であって、モーターの出力に連結している、入力部材と;(ii)ブレーキ面を有するブレーキ部材と;(iii)ブレーキ部材のブレーキ面と接触しているブレーキパッドであって、ブレーキ部材の回転に対して対抗する、ブレーキパッドと;(iv)第1の端部および第2の端部を有する第1のラップスプリングであって、第1のラップスプリングの第1の部分が、第1の端部に隣接し入力部材の第1の接触面と接触しており、第1のラップスプリングの第2の部分が、第2の端部に隣接しブレーキ部材と接触している、第1のラップスプリングと;(v)第1のアクチュエータであって、第1のラップスプリングの第1の端部に連結している、第1のアクチュエータと;を含む。ブレーキおよびモーターはシステムの一部であり、システムはまたコントローラを含み、コントローラは、他の動作の中でも、方法900のステップを実施するためにモーターおよびアクチュエータを動作させることが可能である。システムは、ロボットアームの一部、または、そのような制動およびその後のブレーキの係合解除が有利ないくつかの他のシステムの一部であり得る。
【0080】
方法900は、制動期間の後の係合解除期間中に、モーターを動作させて、入力部材を第1の方向に回転させ、それにより、第1のラップスプリングの第1の部分を入力部材の第1の接触面から係合解除させることを含み、第1のアクチュエータは、制動期間中に、第1のラップスプリングの第1の端部の動きを可能にし、それにより、制動期間中の入力部材の第2の方向への回転が、第1のラップスプリングの第1の部分を入力部材の第1の接触面に係合させ、それにより、入力部材をブレーキ部材に機械的に連結させ、その結果、第2の方向への入力部材の回転に対してブレーキパッドが対抗し、第2の方向は、第1の方向とは反対である(910)。方法900は加えて、係合解除期間の後に、(i)第1のラップスプリングの第1の部分が、入力部材の第1の接触面と係合しないように、第1のラップスプリングの第1の端部の動きを防止するように第1のアクチュエータを作動させること、および、(ii)モーターを動作させて、入力部材を第2の方向に回転させること、を含む(920)。方法900は、追加のまたは代替のステップおよび特徴を含んでもよい。
【0081】
V.結論
図に示される特定の構成は、限定的であると見なされるべきではない。他の実施形態が、所与の図に示される要素の各々を、より多くまたはより少なく含んでもよいことを理解すべきである。更に、図示した要素のいくつかは、組み合わされてもよく、または省略されてもよい。それでもなお、例示的な実施形態は、図面に図示されていない要素を含んでもよい。
【0082】
加えて、様々な態様および実施形態が本明細書で開示されているが、一方で他の態様および実施形態が当業者には明白である。本明細書で開示される様々な態様および実施形態は例示を目的とし、限定することは意図しておらず、真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されている。本明細書で提示される主題の趣旨または範囲を逸脱することなく、他の実施形態を使用してもよく、他の変更を行ってもよい。本明細書に全般的に記載され図面に示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成にて配置、置換、組み合わせ、分離、および設計することができることが容易に理解され、その全ての構成が本明細書において企図される。本開示は以下の適用例としても実現できる。
[適用例1]
ブレーキであって、
第1の接触面を有する入力部材と;
ブレーキ面を有するブレーキ部材と;
前記ブレーキ部材の前記ブレーキ面と接触しているブレーキパッドであって、前記ブレーキ部材の回転に対して対抗する、ブレーキパッドと;
第1の端部および第2の端部を有する第1のラップスプリングであって、前記第1のラップスプリングの第1の部分が、前記第1の端部に隣接し前記入力部材の前記第1の接触面と接触しており、前記第1のラップスプリングの第2の部分が、前記第2の端部に隣接し前記ブレーキ部材と接触している、第1のラップスプリングと;
第1のアクチュエータであって、前記第1のアクチュエータは、前記第1のラップスプリングの係合モードを防止するように、および前記第1のラップスプリングの前記係合モードを可能にするように動作可能であり、前記第1のラップスプリングの前記係合モードを防止することは、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第1の接触面と係合しないように、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止することを含み、前記第1のラップスプリングの前記係合モードを可能にすることは、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が前記入力部材の前記第1の接触面と係合するように、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にし、それにより、前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させ、その結果、前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗する、ことを含む、第1のアクチュエータと;
を備えるブレーキ。
[適用例2]
適用例1に記載のブレーキであって、前記ブレーキは、スプリングを更に備え、前記ブレーキパッドが前記ブレーキ部材の回転に対して対抗するように、前記スプリングが、機械グランドと前記ブレーキパッドとの間に力を印加して、前記ブレーキパッドが前記ブレーキ面と接触している状態を維持する、ブレーキ。
[適用例3]
適用例1に記載のブレーキであって、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が前記入力部材の前記第1の接触面に係合しないように、前記第1のアクチュエータが、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止することは、前記第1のアクチュエータが前記ラップスプリングの前記第1の端部を機械グランドに機械的に連結させることを含み、前記第1の端部は、前記機械グランドに対して回転することが防止されている、ブレーキ。
[適用例4]
適用例3に記載のブレーキであって、前記ブレーキは停止カラーを更に備え、前記第1のアクチュエータが、前記ラップスプリングの前記第1の端部を前記機械グランドに機械的に連結させることは、前記第1のアクチュエータが、前記停止カラーを前記機械グランドに機械的に連結させることを含み、前記入力部材が第1の方向に回転し、前記第1のアクチュエータが前記停止カラーを前記機械グランドに機械的に連結させている時に、前記第1の方向への前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の回転を防止するフィーチャを前記停止カラーが含む、ブレーキ。
[適用例5]
適用例4に記載のブレーキであって、前記第1のアクチュエータは静電クラッチを備える、ブレーキ。
[適用例6]
適用例4に記載のブレーキであって、前記第1のアクチュエータは電磁クラッチを備える、ブレーキ。
[適用例7]
適用例1に記載のブレーキであって、前記ブレーキ部材はローターおよびハブを備え、前記ローターは前記ブレーキ面を含み、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は前記ハブと接触しており、前記ローターおよび前記ハブは、前記ローターおよび前記ハブの互いに対する回転の程度を制限することを許容するコギングフィーチャを含む、ブレーキ。
[適用例8]
適用例1に記載のブレーキであって、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は、前記ブレーキ部材に堅固に取り付けられている、ブレーキ。
[適用例9]
適用例1に記載のブレーキであって、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は、前記ブレーキ部材の接触面と接触しており、前記第1のラップスプリングの前記係合モードを可能にすることは、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分が前記ブレーキ部材の前記接触面と係合するように前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にし、それにより、前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させ、その結果、前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗すること、を含む、ブレーキ。
[適用例10]
適用例9に記載のブレーキであって、(i)前記第1のラップスプリングの前記第1の部分は、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分の内側で入れ子になっている、または(ii)、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分の内側で入れ子になっている、のうちの1つである、ブレーキ。
[適用例11]
適用例1に記載のブレーキであって、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分は、前記入力部材の前記第1の接触面内に位置している、ブレーキ。
[適用例12]
適用例1に記載のブレーキであって、前記入力部材は、第2の接触面を有し、前記第1のラップスプリングの前記係合モードでは、第1の方向への前記入力部材の回転に対して前記ブレーキ部材が対抗し、
前記ブレーキは、
第1の端部および第2の端部を有する第2のラップスプリングであって、前記第2のラップスプリングの第1の部分が、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部に隣接し前記入力部材の前記第2の接触面と接触しており、前記第2のラップスプリングの第2の部分が、前記第2のラップスプリングの前記第2の端部に隣接し前記ブレーキ部材と接触している、第2のラップスプリングと;
第2のアクチュエータであって、前記第2のアクチュエータは、前記第2のラップスプリングの係合モードを防止するように、および前記第2のラップスプリングの前記係合モードを可能にするように動作可能であり、前記第2のラップスプリングの前記係合モードを防止することは、前記第2のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第2の接触面と係合しないように、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止することを含み、前記第2のラップスプリングの前記係合モードを可能にすることは、前記第2のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第2の接触面と係合するように、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にし、それにより、前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させ、その結果、第2の方向への前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗し、前記第2の方向は、前記第1の方向とは反対である、ことを含む、第2のアクチュエータと;
を更に備える、ブレーキ。
[適用例13]
適用例1に記載のブレーキであって、前記入力部材は、第2の接触面を有し、前記第1のラップスプリングの前記係合モードでは、第1の方向への前記入力部材の回転に対して対抗し、
前記ブレーキは、
第1の端部および第2の端部を有する第2のラップスプリングを更に備え、
前記第2のラップスプリングの第1の部分が、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部に隣接し前記入力部材の第2の接触面と接触しており、前記第2のラップスプリングの第2の部分が、前記第2のラップスプリングの前記第2の端部に隣接し前記ブレーキ部材と接触しており、前記アクチュエータは、前記第2のラップスプリングの係合モードを防止するように、および前記第2のラップスプリングの前記係合モードを可能にするように動作可能であり、前記第2のラップスプリングの前記係合モードを防止することは、前記第2のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第2の接触面と係合しないように、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止することを含み、前記第2のラップスプリングの前記係合モードを可能にすることは、前記第2のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第2の接触面と係合するように、前記第2のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にし、それにより、前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させ、その結果、第2の方向への前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗し、前記第2の方向は、前記第1の方向とは反対である、ブレーキ。
[適用例14]
適用例13に記載のブレーキであって、
(i)前記第1のラップスプリングの前記第1の部分は前記第2のラップスプリングの前記第1の部分の内側で入れ子になっており、前記第2のラップスプリングの前記第1の部分は前記入力部材の前記第2の接触面内に位置している、または、(ii)前記第2のラップスプリングの前記第1の部分は前記第1のラップスプリングの前記第1の部分の内側で入れ子になっており、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分は前記入力部材の前記第1の接触面内に位置している、のうちの1つである、ブレーキ。
[適用例15]
システムであって、
モーターと;
ブレーキであって、
第1の接触面を有し前記モーターの出力に連結している入力部材と;
ブレーキ面を有するブレーキ部材と;
前記ブレーキ部材の前記ブレーキ面と接触しているブレーキパッドであって、前記ブレーキ部材の回転に対して対抗する、ブレーキパッドと;
第1の端部および第2の端部を有する第1のラップスプリングであって、前記第1のラップスプリングの第1の部分が、前記第1の端部に隣接し前記入力部材の前記第1の接触面と接触しており、前記第1のラップスプリングの第2の部分が、前記第2の端部に隣接し前記ブレーキ部材と接触している、第1のラップスプリングと;
第1のアクチュエータであって、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部に連結している、第1のアクチュエータと;を備えるブレーキと;
1つ以上のプロセッサを備えるコントローラであって、
前記コントローラは、
制動期間の後の係合解除期間中に、前記モーターを動作させて、前記入力部材を第1の方向に回転させ、それにより、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分を前記入力部材の前記第1の接触面から係合解除させることであって、前記第1のアクチュエータは、前記制動期間中に、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にし、それにより、前記制動期間中の前記入力部材の第2の方向への回転が、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分を前記入力部材の前記第1の接触面に係合させ、それにより、前記入力部材を前記ブレーキ部材に機械的に連結させ、その結果、前記第2の方向への前記入力部材の回転に対して前記ブレーキパッドが対抗し、前記第2の方向は、前記第1の方向とは反対である、ことと;
前記係合解除期間の後に、(i)前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第1の接触面と係合しないように、前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを防止するように前記第1のアクチュエータを作動させ、(ii)前記モーターを動作させて、前記入力部材を前記第2の方向に回転させる、ことと;
を含むコントローラ動作を実行するように構成されている、コントローラと;
を備える、システム。
[適用例16]
適用例15に記載のシステムであって、前記ブレーキ部材はローターおよびハブを備え、前記ローターは前記ブレーキ面を含み、前記第1のラップスプリングの前記第2の部分は前記ハブと接触しており、前記ローターおよび前記ハブは、前記ローターおよび前記ハブの互いに対する回転の程度を制限することを許容するコギングフィーチャを含む、システム。
[適用例17]
適用例15に記載のシステムであって、前記コントローラ動作はまた、前記制動期間中に、前記第1のアクチュエータを動作させて前記第1のラップスプリングの前記第1の端部の動きを可能にし、それにより、前記入力部材が前記第2の方向へと回転する結果、前記第1のラップスプリングの前記第1の部分が、前記入力部材の前記第1の接触面と係合することを含む、システム。
[適用例18]
クラッチであって、
接触面を有する入力部材と;
出力部材と;
第1の端部および第2の端部を有するラップスプリングと;を備え、
前記ラップスプリングの第1の部分が、前記第1の端部に隣接し前記入力部材の前記接触面と接触しており、前記ラップスプリングの第2の部分が、前記第2の端部に隣接し前記出力部材と接触しており、前記ラップスプリングの前記第1の部分は、前記入力部材の前記接触面内に位置しており、前記入力部材に対する、前記ラップスプリングの前記第1の端部の動きが防止されない場合、前記入力部材が第1の方向へと回転する結果、前記ラップスプリングの前記第1の部分が前記入力部材の前記接触面と係合し、それにより、前記入力部材は前記出力部材に連結され、その結果、前記出力部材は前記入力部材から前記第1の方向へのトルクを受け取る、クラッチ。
[適用例19]
適用例18に記載のクラッチであって、前記ラップスプリングの前記第2の部分は、前記出力部材の接触面と接触しており、前記ラップスプリングの前記第2の部分は、前記出力部材の前記接触面内に位置しており、前記入力部材に対する、前記ラップスプリングの前記第1の端部の動きが防止されない場合、前記入力部材が第1の方向へと回転する結果、前記ラップスプリングの前記第2の部分が前記出力部材の前記接触面と係合し、それにより、前記入力部材は前記出力部材に連結され、その結果、前記出力部材は前記入力部材から前記第1の方向へのトルクを受け取る、クラッチ。
[適用例20]
適用例18に記載のクラッチであって、前記ラップスプリングは、第1のサブスプリングおよび第2のサブスプリングを有する、入れ子になったダブルラップスプリングであり、前記第1のサブスプリングは、前記ラップスプリングの前記第1の部分を備え、前記第2のサブスプリングは、前記ラップスプリングの前記第2の部分を備え、前記ラップスプリングの前記第2の部分は、前記出力部材の接触面と接触しており、前記ラップスプリングの前記第2の部分は、前記ラップスプリングの前記第1の部分の内側に位置しており、前記入力部材に対する、前記ラップスプリングの前記第1の端部の動きが防止されない場合、前記入力部材が第1の方向へと回転する結果、前記ラップスプリングの前記第2の部分が前記出力部材の前記接触面と係合し、それにより、前記入力部材は前記出力部材に連結され、その結果、前記出力部材は前記入力部材から前記第1の方向へのトルクを受け取る、クラッチ。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9