IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豐海(盤錦)水稻生物科技有限公司の特許一覧

特許7340590バイオマスホワイトカーボン及びその製造方法並びに用途
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】バイオマスホワイトカーボン及びその製造方法並びに用途
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/32 20060101AFI20230831BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20230831BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C01B33/32
C08L21/00
C08K3/36
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021500329
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 CN2019079153
(87)【国際公開番号】W WO2019179507
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】201810242351.1
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520364141
【氏名又は名称】豐海(盤錦)水稻生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】FENGHAI (PANJIN) RICE BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 超
(72)【発明者】
【氏名】張 貴 銀
(72)【発明者】
【氏名】況 沖
(72)【発明者】
【氏名】杜 鵬 舉
(72)【発明者】
【氏名】包 海 翔
【審査官】小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-080300(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1762802(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103468668(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108483455(CN,A)
【文献】特表2018-530512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00-33/46
C08L 21/00
C08K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸光度が0.2~0.7である、式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液であって、
前記水溶液は、以下の特徴を備える、水溶液。
2)前記吸光度は300nmでの吸光度である。
3)前記水溶液の比重は、1.000~1.280である。
4)液相部分におけるクマリン酸の含有量が5~15μg/mlである。
5)前記Mは、K又はNaである。
7)前記nは2~3.5である。
【請求項2】
請求項1に記載の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液の調製方法であって、
c1)籾殻灰と無機塩基とを水中で混合して反応し、スラリーCを得る工程と、
c2)上記工程c1で得られたスラリーCを固液分離し、前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を得る工程と、
を含むことを特徴とする、調製方法。
【請求項3】
前記籾殻灰中の2mm篩上物の重量百分率含有量が2.3重量%以下であり、
前記2mm篩上物の重量百分率含有量とは、籾殻灰が2mm篩を通過した後の篩上物質量の籾殻灰総質量に対する百分率を意味することを特徴とする、請求項2に記載の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液の調製方法。
【請求項4】
前記籾殻灰中の4-クマリン酸含有量は60~175μg/gである、請求項2に記載の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液の調製方法。
【請求項5】
前記籾殻灰の製造方法は、籾殻を燃焼して籾殻灰を得ることを含み、籾殻の燃焼は、単位時間当たりの酸素富化風体積と酸素欠乏風体積との比を制御しながら行い、及び/又は籾殻の燃焼は、単位時間当たりの酸素欠乏風の吹き込み量(立方メートル)と籾殻の質量(トン)との比を制御しながら行い、
前記単位時間当たりの酸素富化風体積と酸素欠乏風体積との比の制御は、酸素富化風体積と酸素欠乏風体積の比を調節することを意味し、単位時間当たりの酸素富化風体積と酸素欠乏風体積との比が5.1:1より大きくなるようにし、
前記制御された単位時間当たりの酸素欠乏風の吹き込み量(立方メートル)と籾殻の質量(トン)との比は、600:1以上であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液の調製方法。
【請求項6】
前記籾殻灰を製造する原料である籾殻において、前記籾殻篩上物の重量百分率含有量は0.3~3.3%であり、
前記籾殻篩上物の重量百分率含有量は、以下の方法により検出される。
1)1.5mmの試験篩と篩底を重ねて、試料スプーンで50g籾殻試料を取り出し1.5mmの篩の上に置き、籾殻の厚さは1cmで、篩蓋をかけて、時計回りと反時計回りに60秒ずつ回転させる。
2)1.5mm篩上の籾殻を送風機で吹き飛ばす:まず風速20m/min、籾殻からの風筒の距離40cm、1分間吹き飛ばし、残りの籾殻の厚さは0.5cmで、引き続き籾殻全体が篩にかけられるまで7m/minの風速で吹き飛ばしながら籾殻の吹き出し具合を検査し、篩上物の重さをm(g)とし、篩上物の含有量を、籾殻中の篩上物の不純物含有量(重量%)=m(g)×100%÷50gにより、算出することを特徴とする、請求項2~4のいずれかに記載の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液の調製方法。
【請求項7】
籾殻灰と無機塩基との水溶性混合反応により式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を得る工程と、
d1)前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を含む出発材料を酸と接触させてスラリーEを得る工程と、
d2)工程d1で得られたスラリーEを固液分離して固相部分を得、乾燥してホワイトカーボン製品を得る工程と、
を含み、
前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液の吸光度が0.2~0.7であり、
更に前記水溶液は、以下の特徴を備える、
2)前記吸光度は300nmでの吸光度である。
3)前記水溶液の比重は、1.000~1.280である。
4)液相部分におけるクマリン酸の含有量が5~15μg/mlである。
5)前記Mは、K又はNaである。
7)前記nは2~3.5である。
ことを特徴とする、ホワイトカーボンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスホワイトカーボン及びその製造方法並びに用途に関し、特に籾殻由来のホワイトカーボン及びその製造方法並びに用途に関し、化学工業材料分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ホワイトカーボンはアモルファスの水和シリカであり、その研究はドイツから始まり、最初は珪砂を原料とし、沈殿法で調製した。ホワイトカーボンは比表面積が大きく、多孔質、耐高温、電気絶縁性が強く、良好な補強作用及び不燃性などの特性を有するため、カーボンブラックの代わりにゴム製品の補強に使用すると、カーボンブラックと同様の補強効果が得られる。また外観が白いため、「ホワイトカーボン」と称される。ホワイトカーボンは強い補修性、分散性などの多種の性能を有するため、非常に重要な化学工業製品であり、現在、ラテックス、ゴム、プラスチック、塗料、化粧品、医薬、農薬及び食品などの多くの分野に広く応用されている。
【0003】
従来のホワイトカーボンの製造方法には、熱処理法(例えば、気相法)や沈殿法(液相法とも呼ばれる)がある。その中で、沈殿法は現在の応用範囲が広い方法であり、非金属鉱、工業副産物、農業副産物(例えば、籾殻灰)などを原料としてホワイトカーボンを製造することがそれぞれ報告されている。沈殿法の研究では、酸化剤の種類によって強酸沈殿法、CO沈殿法、有機酸沈殿法、及びアルカリ活性化剤沈殿法に分類される。熱処理法に比べて沈殿法は設備が簡単でコストが低いなどの利点があり、また異なる界面活性剤を添加することで異なる性能を持ち、異なる需要を満たすホワイトカーボン製品を得ることができる。しかしながら、従来技術における沈殿法プロセスは、通常、プロセスが復雑であり、製品純度が低く、製造サイクルが長いなどの不足がある。また、従来技術における農業副産物源、特に籾殻源由来の(籾殻燃焼で得られた籾殻灰を原料として調製された)ホワイトカーボンには、例えば、その応用性能が不足し、石英砂などの鉱石を源とするホワイトカーボンと同等又は類似の性能を達成することが困難であり、籾殻由来のホワイトカーボンの応用が阻害されている。
【0004】
これらの問題を解決するために、様々な試みを行っている。例えば、中国特許出願201410020643.2では、籾殻灰原料と中間生成物中の金属不純物をキレート剤水溶液の洗浄操作により除去し、籾殻灰中のシリカの溶出率を高め、ホワイトカーボン白色度と純度を改善する試みがなされている。しかし、上記の不足を効果的に改善し、有機試薬の使用量をできるだけ低減したり、規模化生産に適したホワイトカーボンの製造方法をさらに開発したり、既存製品に対して、バイオマスホワイトカーボン源のゴム性能を改善するのに適したホワイトカーボンを提供したりする必要がある。
【発明の概要】
【0005】
上記技術的課題を改善するために、本発明は、MO・nSiO(Mは、K、Naなどのアルカリ金属元素からなる群より選ばれる。nはシリカとアルカリ金属酸化物とのモル比(「モジュール数」ともいう)である。)で示される珪酸塩を含む水溶液を提供する。好ましくは、nは2~3.5であり、前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液の吸光度(例えば300nmでの吸光度)は0.2~0.7である。
【0006】
本発明の実施形態によれば、前記水溶液の吸光度は0.3~0.7、例えば0.3、0.4、0.5、0.6、0.7である。好ましくは、前記吸光度は1.0cm比色皿で測定される。
【0007】
本発明の実施形態によれば、前記水溶液の比重は、1.000~1.280、例えば、1.100~1.180である。
【0008】
好ましくは、前記水溶液にはクマリン酸が含まれており、例えば、そのクマリン酸の含有量は5~15μg/mLである。例えば、前記クマリン酸は4-クマリン酸である。
【0009】
本発明による、前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を水ガラスと呼ぶこともできる。
【0010】
また、本発明は、
c1)籾殻灰と無機塩基とを水中で混合反応、スラリーCを得る工程と、
c2)上記工程c1で得られたスラリーCを固液分離し、上記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を得る工程と、
を含むことを特徴とする前記水溶液の製造方法を提供する。
【0011】
上記の製造方法の実施形態によれば、
工程c1において、籾殻灰と無機塩基の重量比は、1:2~1:6、例えば1:3~1:5とすることが好ましい。
【0012】
或いは、籾殻灰と無機アルカリの水溶液を混合反応させることができ、好ましくは、無機塩基の水溶液の質量百分率は、5~50重量%、例えば8~20重量%としてもよい。
【0013】
好ましくは、前記無機塩基は水に可溶な無機塩基を含み、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の1種又は複数種、例えば水酸化ナトリウムを含む。
【0014】
混合反応の時間は、2~6h、例えば3~5hとしてもよい。混合反応は加圧条件下で行ってもよい。例えば、前記加圧の圧力は、2~6キロ、例えば3~5キロとしてもよい。
【0015】
好ましくは、前記反応は、球状ボイラー中で行ってもよい。
工程c2では、スラリーCを濾過、液相部分である濾液AとケーキDを得てもよい。一例として、濾過は加圧条件下で行ってもよい。例えば、濾過圧力は2~10キロ、例えば4~6キロとしてもよい。
【0016】
好ましくは、得られた濾液Aの少なくとも一部を水と混合する、前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を得てもよい。
【0017】
得られるケーキDを水で1回又は複数回洗浄し、洗浄液Bを1部又は複数部得ることが好ましく、例えば、40~80℃、例えば50~80℃の水で1回又は複数回洗浄し、洗浄液Bを1部又は複数部得てもよい。洗浄液Bの相対密度(比重)が1.005~1.100、例えば1.010~1.050、例えば1.020~1.040、例えば1.030となると、洗浄を終了することが好ましい。好ましくは、洗浄液Bが存在する場合には、濾液Aの少なくとも一部と前記洗浄液Bの少なくとも一部とを混合して、前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を得る。
【0018】
一例として、工程c1の無機塩基が水酸化ナトリウムの場合、前記水溶性珪酸塩はNaO・nSiOである。工程c2で得られた濾液又は洗浄液は、必要に応じてさらに濾過して、含有する炭素粒子を除去することが好ましい。好ましくは、前記更なる濾過は珪藻土精密濾過機を用いて行ってもよい。好ましくは、液相部分は水ガラスである。
【0019】
好ましくは、前記液相部の吸光度(例えば300nmでの吸光度)は0.2~0.7であり、好ましくは、前記水溶液の吸光度は、0.3~0.7、例えば、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7であり、好ましくは、前記吸光度は、1.0cm比色皿で分光光度計を用いて測定する。本発明の実施形態によれば、前記水溶液の相対密度(比重)は、1.100~1.280g/cm、例えば、1.100~1.180g/cmである。
【0020】
液相部分にはクマリン酸(例えば4-クマリン酸)が含まれており、例えば、そのクマリン酸の含有量は5~15μg/mlであることが好ましい。
【0021】
好ましくは、濾液Aと洗浄液Bの割合を調整することにより、上記水溶液を得てもよい。
【0022】
本発明の製造方法の例によれば、前記方法は、
c1’)籾殻灰と水酸化ナトリウム水溶液を反応させ、スラリーを得る工程と、
c2’)工程c1’)で得られたスラリーを濾過し、濾液A’を得る工程と、
c3’)工程c2’)のケーキを水で洗浄し、洗浄液B’を得る工程と、
c4’)濾液A’と洗液B’を混合し、前記水溶液を得る工程と、
を含む。
【0023】
本発明はまた、ホワイトカーボンの製造における前記水溶液の使用を提供する。
本発明は、
d1)前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を含む出発材料を酸と接触させてスラリーEを得る工程と、
d2)工程d1で得られたスラリーEを固液分離して固相部分を得、乾燥してホワイトカーボン製品を得る工程と、
を含むホワイトカーボンの製造方法を提供する。
【0024】
上記の製造方法の実施形態によれば、
工程d1)において、前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液の比重を1.000~1.280、例えば1.100~1.180となるように調整した後、酸と接触してもよい。
【0025】
好ましくは、前記酸との接触は、無機酸又はその水溶液を加えてpHを調整することにより行ってもよい。例えば、pHを4.0から7.0未満、例えば4.5~6.5、例えば4.8~6.2となるように調整してもよい。無機酸又はその水溶液の添加速度は、10~15m/hとすることが好ましい。好ましくは、無機酸は、硫酸、塩酸等の酸のうちの1種又は複数種、例えば硫酸である。好ましくは、無機酸の水溶液を用いる場合、その質量百分率濃度は5~10重量%であってもよい。
【0026】
好ましくは、前記接触は加熱条件下、例えば60~70℃で熟成してもよい。好ましくは、前記処理時間は、1~60min、例えば5~15min、例えば10minとしてもよい。本発明によれば、前記処理時間とは、pHの調整を開始してから熟成が完了するまでの時間である。好ましくは、pHを調整した後、加熱条件(例えば60~70℃)で静置することにより成熟化を完了させる。
【0027】
工程d2)では、前記固液分離は濾過により行ってもよい。例えば、前記固相部分は濾過により得られたケーキである。好ましくは、ケーキを叩解し、乾燥させてホワイトカーボン製品を得る。
【0028】
好ましくは、濾過は、例えばプレートフレームフィルターによって行ってもよい。乾燥は噴霧乾燥であることが好ましい。
【0029】
本発明はまた、上記の製造方法で得るホワイトカーボンを提供する。好ましくは、ホワイトカーボンの比表面積は、200~1000m/g、例えば250~500m/gとしてもよい。
【0030】
本発明はまた、ゴム、例えば加硫ゴムの製造における前記ホワイトカーボンの使用を提供する。
【0031】
本発明はまた、本発明に記載のホワイトカーボンを含む原料から調製するゴム、例えば加硫ゴムを提供する。
【0032】
本発明によれば、濾液と洗浄液の割合を調節することにより、上記水溶液、例えば水ガラスを得てもよい。或いは、前記籾殻灰は、既存のプロセスの籾殻灰を選別することにより得てもよい。例えば、籾殻灰中の2mm篩上物の重量百分率含有量は、2.3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、0.5~2重量%である。例えば、前記籾殻灰中の2mm篩上物の重量%含有量は、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%である。
【0033】
本発明による、2mm篩上物の重量百分率含有量とは、籾殻灰が2mm篩を通過した後の篩上物質量の籾殻灰総質量に対する百分率を意味する。
【0034】
好ましくは、前記籾殻灰抽出液の検出波長300~330nm、特に検出波長300nmにおける吸光度は、0.3~0.85、例えば0.4~0.8、例えば0.45~0.70であってもよい。
【0035】
一例として、吸光度は分光光度計で測定してもよい。1又は複数の実施形態において、吸光度比色皿は1cm比色皿である。
【0036】
本発明によれば、前記籾殻灰抽出液は、籾殻灰を溶媒又は溶液と接触させることにより得てもよい。一例としては、籾殻灰を還流及び/又は超音波条件下で溶媒又は溶液に接触させることにより得てもよい。
【0037】
1つ又は複数の実施形態において、本発明に記載の溶媒は、水、アルコール系溶媒(例えば、エタノール、メタノール)から選択される1種又は複数種であり、水、エタノール又はエタノール水溶液であることが好ましい。ここで、エタノール水溶液の質量百分率濃度は5%~95%、例えば20%~70%、例えば30%~60%、30%、40%、50%又は60%としてもよい。
【0038】
1つ又は複数の実施形態において、本発明に記載の溶液は、アルカリの水溶液又はアルコール溶液から選択される。前記アルコールは、例える、メタノール、エタノール又はその混合物であってもよい。前記アルカリは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はその混合物であってもよい。
【0039】
1つ又は複数の実施形態において、本発明に係る籾殻灰と溶媒又は溶液との質量体積比(g:mL)は、1:5~30、好ましくは1:8~20、例えば1:10~15である。
【0040】
1つ又は複数の実施形態において、本発明に係る籾殻灰と溶媒又は溶液との接触時間は、0.05~5時間、例えば0.5~3時間、例えば0.5~3時間、例えば2~2.5時間としてもよい。
【0041】
籾殻灰と水とを80~110℃の条件で接触する籾殻灰抽出液を得ることが好ましい。
籾殻灰と水とを1~5気圧条件下で接触する籾殻灰抽出液を得ることが好ましい。
【0042】
1つ又は複数の実施形態において、本発明に記載の方法では、籾殻灰が水と接触する時間は0.05~0.1時間である。
【0043】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の方法は、中速濾紙で濾過及び/又は有機相微孔フィルターで濾過する工程をさらに含んでもよい。
【0044】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の方法は、遠心工程をさらに含んでもよい。
1つ又は複数の実施形態において、本発明に係る遠心工程の回転数は6000~10000rpmであり、さらに好ましい遠心回転数は7000~9000rpmである。
【0045】
1つ又は複数の実施形態において、本発明の遠心工程時間は5~15分であり、さらに好ましくは8~12分である。
【0046】
一例として、籾殻灰の水抽出液の吸光度は0.8未満、例えば0.3~0.8であり、例えば0.4~0.7であってもよい。
【0047】
本発明によれば、前記籾殻灰中の4-クマリン酸の含有量は60~175μg/g、好ましくは、80~150μg/g、さらに好ましくは80~140μg/gであることが好ましい。一例として、前記4-クマリン酸の含有量は、60μg/g、70μg/g、80μg/g、90μg/g、100μg/g、110μg/g、120μg/g、130μg/g、140μg/g、150μg/g、160μg/g、170μg/g、175μg/gとしてもよい。
【0048】
籾殻灰抽出液を検出することにより、籾殻灰中の4-クマリン酸の相対含有量を測定することが好ましい。
【0049】
1つ又は複数の実施形態において、前記籾殻灰抽出液は、上記のような製造方法により得る。
【0050】
1つ又は複数の実施形態において、前記籾殻灰抽出液の製造方法において、前記溶媒は、質量百分率濃度が30%のエタノール(30質量%エタノールを含む)である。
【0051】
1つ又は複数の実施形態において、前記籾殻灰と質量百分率濃度30%のエタノールとを還流条件で接触することにより、籾殻灰抽出液を得る。
【0052】
1つ又は複数の実施形態において、前記籾殻灰と溶媒との接触時間は、1.25~1.75時間、好ましくは、1.4~1.6時間である。
【0053】
1つ又は複数の実施形態において、前記籾殻灰抽出液は遠心処理される。
1つ又は複数の実施形態において、前記籾殻灰抽出液は、有機相微孔フィルターで濾過得られる。
【0054】
1つ又は複数の実施形態において、4-クマリン酸対照品の検量線を作成し、さらに吸光度で濃度を線形回帰して検量線方程式を得ることをさらに含む。
【0055】
1つ又は複数の実施形態において、籾殻灰中の4-クマリン酸の相対含有量を検量線方程式から算出することをさらに含む。
【0056】
1つ又は複数の実施形態において、籾殻灰抽出液試料中の4-クマロン酸の相対含有量と合格籾殻灰抽出液中の4-クマロン酸の相対含有量とを対比することをさらに含む。
【0057】
本発明はまた、可溶性ガラス又は水ガラスの製造における前記籾殻灰の使用を提供する。
【0058】
本発明はまた、籾殻灰抽出液の吸光度及び/又は4-クマリン酸の含有量を測定することを含む籾殻灰の検出方法を提供する。
【0059】
本発明の実施形態によれば、籾殻を燃焼させて籾殻灰を得ることを含む籾殻灰の製造方法であって、籾殻燃焼は、制御された酸素富化風体積と酸素欠乏風体積の比で行われる籾殻灰の製造方法も提供される。
【0060】
本発明によれば、前記制御された酸素富化風体積と酸素欠乏風体積との比とは、酸素富化風体積と酸素欠乏風体積との比を調節することを意味し、例えば、酸素富化風体積と酸素欠乏風体積との比が5.1:1より大きく、例えば、5.5:1以上、例えば、6:1~10:1になるようにする。
【0061】
一例として、籾殻は正圧によりボイラ燃焼ゾーンに送られて燃焼してもよい。
本発明の実施形態によれば、前記籾殻灰は、
b1)籾殻をボイラー燃焼区に入れて燃焼させ、籾殻灰初材を得る工程と、
b2)工程b1)で得られた籾殻灰の原料を篩分けし、不純物を除去して籾殻灰を得る工程と、
を含む方法で製造されてもよい。
【0062】
本発明による、籾殻は通常、投射された姿勢でボイラ燃焼ゾーンに入る。ボイラー燃焼区に入った後、籾殻は温度上昇とともに次第に乾燥、分解、ガス化を経験した。燃焼した籾殻は重力によって火炉底部が回転するグレートゾーンに徐々に落下し、温度は徐々に低下する。グレートゾーンの籾殻はさらに比較的高温で分解、炭化、ガス化などの一連の化学変化を起こし、熱を放出した後、最終的に籾殻灰に変換される。
【0063】
一般に、ボイラーの燃焼ゾーン(火炉又は火炉ゾーン)の温度は、例えば600~900℃、例えば600~800℃、600~700℃としてもよい。籾殻の炉内での滞在時間は10~60min、例えば10~30min、例えば15~20minとしてもよい。
【0064】
本発明の実施形態によれば、籾殻を酸素富化風とともにファンからボイラ燃焼ゾーンに吹き込みしてもよい。
【0065】
本発明の実施形態によれば、ボイラーの稼働中に燃焼状態を維持するために、通常、ボイラーに通じるガスは、2種類に分類され、即ち一次風及び二次風であり、一次風は、燃料を吹き込むための空気と、吹き込まれる酸素欠乏風とを含み、二次風は予熱処理された熱風を含んでもよい。
【0066】
一例として、ボイラーに通すことができる気流は、酸素富化風及び/又は酸素欠乏風から選択してもよい。
【0067】
本発明による、前記酸素富化風の総量は、ボイラの一次風のうち燃料を吹き込むための空気と全ての二次風の合計である。
【0068】
本発明によれば、前記酸素富化風中の酸素含有量は、10体積%以上、例えば15体積%以上、例えば約20体積%~約25体積%、例えば約21体積%であってもよい。一例として、酸素富化風は空気でもよい。
【0069】
本発明によれば、前記酸素欠乏風の酸素含有量は酸素富化風よりも低く、例えば10体積%未満、例えば5体積%未満、好ましくは3~5体積%であり、その例は籾殻燃焼後の排ガスであってもよい。
【0070】
本発明による、酸素欠乏風はボイラーに入る前に、浄化、熱交換の過程を経ってもよい。例えば、酸素欠乏風の温度は100~200℃とすることができる。
【0071】
好ましくは、前記製造方法は、単位時間当たりの酸素欠乏風の吹き込み量(m)と籾殻の質量(t)との比を制御ことをさらに含む。例えば、前記比は600:1以上、例えば600:1~1000:1、例えば650:1~900:1としてもよい。
【0072】
本発明に係る籾殻灰の製造方法は、籾殻を燃焼することにより得られた籾殻灰は、玄米、石などの不純物を除去するためにさらに篩分してもよい。例えば、前記篩分は、1~5mm(例えば2mm)の直線篩で行ってもよい。
【0073】
好ましくは、篩分された籾殻灰は、さらに負圧輸送条件下で分離器を経て、慣性により比重の異なる有機物不純物、例えば米粒の一部などを分離してもよい。
【0074】
本発明の実施形態によれば、グレートゾーンの温度は一般に400~500℃としてもよい。一例として、グレートはチェーンクローラの形状であり、グレートに落下する籾殻及び/又は籾殻灰を一定速度で運動させてボイラを排出してもよい。
【0075】
本発明はまた、上記の製造方法で得られた籾殻灰を提供する。好ましくは、籾殻灰製品の炭素含有量は、約10~40重量%、例えば約15~30重量%、例えば約15~25重量%としてもよい。
【0076】
本発明によれば、前記方法を用いて、既存の籾殻を原料として、前記籾殻灰を得てもよい。或いは、原料籾殻も篩にかけて処理する。例えば、前記籾殻篩上物の重量百分率含有量は0.3~3.3%、例えば、1~3.3%、例えば、1.5~2.5%である。
【0077】
本発明によれば、籾殻篩上物の重量百分率含有量は、以下の方法により検出される。
1)1.5mmの試験篩と篩底を重ねて、試料スプーンで50g籾殻試料を取り出し1.5mmの篩の上に置き、籾殻の厚さは約1cmで、篩蓋をかけて、時計回りと反時計回りに60秒ずつ回転させる。
【0078】
2)1.5mm篩上の籾殻を送風機で吹き飛ばす:まず風速20m/min、籾殻からの風筒の距離約40cm、1分間吹き飛ばし、残りの籾殻の厚さは約0.5cmで、引き続き籾殻全体が篩にかけられるまで7m/minの風速で吹き飛ばしながら籾殻の吹き出し具合を検査し、篩上物の重さをm(g)とし、篩上物の含有量を、籾殻中の篩上物の不純物含有量(重量%)=m(g)×100%÷50gにより、算出する。
【0079】
好ましくは、籾殻中の篩上物と全有機不純物との質量比は、0.1~0.8:1、例えば0.3~0.8:1、例えば0.5~0.75:1である。前記質量比は、篩上物の重量百分率含有量と全有機不純物の重量百分率含有量との比から算出してもよい。ここで、全有機不純物の重量百分率含有量とは、澱粉と蛋白での有機不純物の重量百分率含有量の合計である。
【0080】
好ましくは、本発明の籾殻中の澱粉含有量は、0.2~3.0%、例えば0.4~2.3%とすることができ;蛋白の含有量は2.0~2.8%、例えば2.1~2.4%としてもよい。
【0081】
本発明によれば、前記籾殻は以下の方法により製造してもよい。
a1)稲(例えば水稲)は篩分けて雑を取り除いた後、分離して籾殻を得る。
【0082】
a2)工程a1)で得られた籾殻を風選する。
例として、工程a1)中の稲はふるい分けにより不純物を除去した後、さらに矮谷機で分離して籾殻を得てもよい。
【0083】
工程a1)を経て得られた籾殻には主に籾殻及び豊満な谷物粒、粗砕米、不完全粒、潰谷とライスチャフ(谷芽尖とも呼ばれる)、稲毛、糠粉などの有機不純物;砂塵、土石、金属屑などの無機不純物が含まれている。
【0084】
本発明によれば、前記方法は、工程a2)において籾殻製品中の篩上物の重量百分率含有量、及び/又は篩上物と全有機不純物との質量比を制御することを含んでもよい。一例として、籾殻製品中の篩上物の重量百分率含有量、又は篩上物と全有機不純物との質量比を以下のように調整してもよい。
【0085】
1)送風機と籾殻の距離を40cmに設定し、送風機の風速を調整して厚さ1cmの籾殻原料を20m/minの風速で1min吹き飛ばし、吹き出した籾殻を集め、篩下物(B)と記す。
【0086】
2)籾殻のない篩上物(A)が得られるまで送風機の風速を7m/minの風速で吹き飛ばし続け、吹き出した籾殻を集めて篩下物(C)とする。
【0087】
3)篩下物(B)と(C)に篩上物(A)を混入する。
本発明の実施形態によれば、前記方法は、工程a2)において、得られた籾殻を40メッシュの篩で篩分けた後、籾製品中の篩上物の重量百分率含有量、又は篩上物と全有機不純物との質量比を制御するように篩上物と篩下物を混合することをさらに含む。
【0088】
本発明によれば、前記澱粉の測定方法はGB/T 5009.9-2003「食品中澱粉の測定」を採用することができ、前記蛋白の測定方法はGB 50095-2010「食品安全国家標準 食品中蛋白質の測定」第一法Kjeldahl窒素測定法を採用してもよい。
【0089】
本発明の実施形態によれば、
e1)前記式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を含む出発材料を提供し、MOでの濃度は1.4~4.1g/L、好ましくは、1.5~4g/L、さらに好ましくは1.6~3.9g/Lであり、その後硫酸水溶液を加えてpHを8~9.5、好ましくは8.5~8.9に調整する工程と、
e2)工程e1)の製品に水ガラスと硫酸水溶液を同時に加え、水ガラスと硫酸水溶液中の硫酸とのモル比は0.8~1、好ましくは0.85~0.95、さらに好ましくは0.88~0.94である工程と、
e3)pH=4~5.5、好ましくは、4.3~5.3、さらに好ましくは4.6~5.1に酸化し、スラリーE1を得る工程と、
を含む、ホワイトカーボン、特にゴム補強用ホワイトカーボンの製造方法がさらに提供される。
【0090】
好ましくは、工程e1における反応温度は70~80℃、好ましくは73~77℃である。
【0091】
好ましくは、前記工程e2において、水ガラスは、前記の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を含み、又は前記の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液からなる。
【0092】
好ましくは、前記工程e2において、8~15minのヘーズが15~100FAU、好ましくは10~13minのヘーズが25~60FAUとなるように、水ガラスと硫酸水溶液の流速を制御する。
【0093】
好ましくは、前記工程e2において、ヘーズが3500FAU以上になると、例えば3800FAU又は4000FAUになると、75~90℃、好ましくは、78~88℃、さらに好ましくは80~86℃に昇温する。
【0094】
好ましくは、前記工程e2において、昇温速度は0.5~1.5℃/minである。
好ましくは、前記工程e2において、前記水ガラスと硫酸水溶液とを同時に加える時間は、55~85min、好ましくは60~80minである。
【0095】
好ましくは、前記工程e2において、前記仕込み比は12:1~22:1、好ましくは14:1~20:1である。
【0096】
好ましくは、前記工程e2において、前記仕込み比は、工程e2において仕込まれる水ガラスと、工程e1の出発材料における式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液との質量比である。
【0097】
好ましくは、前記工程e3において、前記酸化に用いられる酸は硫酸又はその水溶液である。
【0098】
好ましくは、前記工程e3において、反応系が3~10min、好ましくは4~8min、さらに好ましくは、5~7min内で前記pHに達するように硫酸又はその水溶液の流速を制御する。
【0099】
好ましくは、前記硫酸水溶液の質量百分率濃度は5~10%である。
好ましくは、前記工程e3は、熟成工程をさらに含む。
【0100】
好ましくは、酸化した製品をさらに熟成する。本発明において、前記熟成工程とは、全ての供給を停止し、反応パラメータを一定に維持し、一定時間保持することをいう。
【0101】
前記熟成時間は、5~15min、さらには7~13min、さらには8~12minとしてもよい。
【0102】
好ましくは、前記製造方法は、濾過、洗浄、乾燥の工程をさらに含む。
好ましくは、前記乾燥工程の前にケーキをコロイドミルで液化するスラリーE2を得る。
【0103】
好ましくは、前記乾燥工程の前に前記スラリーE2のpH=5~7、好ましくは、5.5~6.5、さらに好ましくは5.8~6.2となるように調整する。
【0104】
好ましくは、前記乾燥は、噴霧乾燥を用いる。
本発明の実施形態によれば、
f1)式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を含む出発材料を提供し、SiOでの濃度は65~85g/L、好ましくは70~80g/L、さらに好ましくは74~78g/Lである工程と、
f2)硫酸水溶液を加えて、20~26分のヘーズが15~100FAU、好ましくは22~25分のヘーズが25~60FAUとなるように酸流量を制御し、硫酸水溶液の流量をpH=7.0~9.0、好ましくは7.5~8.5、好ましくは、7.8~8.2に保つ工程と、
f3)pH=4~5.5、好ましくは4.2~5、さらに好ましくは4.5~4.9に酸化し、スラリーF1を得る工程と、
を含む、ホワイトカーボン、特にゴム補強用ホワイトカーボンの製造方法がさらに提供される。
【0105】
好ましくは、前記工程f1において、前記出発材料の温度は70~90℃、好ましくは73~89℃、さらに好ましくは、75~87℃である。
【0106】
好ましくは、前記工程f1において、前記出発材料には硫酸ナトリウム2~20g/Lが含まれ、好ましくは、硫酸ナトリウム4.4~18.5g/Lが含まれる。
【0107】
好ましくは、前記工程f1において、前記出発材料には硫酸ナトリウム水溶液が含まれている。
【0108】
好ましくは、前記工程f1において、硫酸ナトリウム水溶液の質量百分率濃度は3~5%である。
【0109】
あるいは、前記硫酸ナトリウム水溶液は、回収され、再利用された溶液に由来してもよい。
【0110】
好ましくは、前記工程f1において、前記出発材料中のアルカリ金属イオンは、例えば、Naイオン濃度が0.8~1.5 mol/L、好ましくは、0.9~1.2 mol/L、さらに好ましくは、1~1.3 mol/Lである。
【0111】
好ましくは、前記工程f2において、前記ヘーズが3500FAU、例えば3800FAU又は4000FAUとなると、90~98℃、好ましくは、93~96℃に昇温する。
【0112】
好ましくは、前記工程f2において、昇温速度は0.5~1.5℃/minである。
好ましくは、前記工程f2において、前記昇温操作が前記温度に達した後、水ガラスと硫酸水溶液とを同時に加えることをさらに含む。
【0113】
好ましくは、前記工程f2において、硫酸と水ガラスとのモル比を1.04~1.07、好ましくは1.05~1.06に制御する。
【0114】
好ましくは、前記工程f2において、前記水ガラスと硫酸水溶液とを同時に加える時間は、10~30min、好ましくは15~25minである。
【0115】
好ましくは、前記工程f2において、水ガラスには、上記の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液を含み、又は上記の式MO・nSiOで示される珪酸塩を含む水溶液からなる。
【0116】
好ましくは、前記工程f3において、前記酸化に用いられる酸は硫酸又はその水溶液である。
【0117】
好ましくは、前記工程f3において、反応系が3~10min、好ましくは4~8min、さらに好ましくは、5~7min内で前記pHに達するように硫酸水溶液の流速を制御する。
【0118】
好ましくは、硫酸の質量百分率濃度は5~10%である。
好ましくは、前記工程f3は、熟成工程をさらに含む。
【0119】
好ましくは、前記熟成時間は5~15minであり、さらに好ましくは、7~13minであり、さらに好ましくは、8~12minである。
【0120】
好ましくは、前記製造方法は、スラリーを濾過、洗浄、乾燥する工程をさらに含む。
好ましくは、乾燥工程前にケーキをコロイドミルで液化するスラリーF2を得る。
【0121】
好ましくは、前記乾燥工程前に前記スラリーF2のpH=5~7、好ましくは、5.5~6.5、さらに好ましくは5.8~6.2になるように調整する。
【0122】
好ましくは、前記乾燥は、噴霧乾燥を用いる。
本発明によれば、前記希硫酸の比重は、1.010~1.100、例えば、1.030~1.070としてもよい。
【0123】
本発明の発明者は、プロセス開発の過程で、不純物含有量は最終的なホワイトカーボン製品の性能パラメータには著しく影響しないが、このホワイトカーボン製品をゴム製品に応用する場合、異なる性能変化を示すことを発見した。具体的には、本発明の発明者は、ホワイトカーボンを製造する水ガラスには、クマリン酸に代表される有機物が顕著に存在し、この有機物の含有量を本発明の範囲内に制御すれば、鉱石由来のホワイトカーボンに匹敵するパラメータ性能を得てもよいとともに、このホワイトカーボン製品は、この製品を適用したゴム製品の応用性能を向上させたことを発見した。
【0124】
本発明者は、籾殻灰中の水溶性不純物の含有量とホワイトカーボン製品の応用性能との間に相関があり、特にゴム引張強度と強い相関があり、ゴムの他のパラメータとホワイトカーボンの上流籾殻灰原料中の不純物含有量との間にはほとんど相関がないことを発見した。その原理は明らかではないが、発明者らによる一つの推測として、ホワイトカーボンパラメーターが安定し、かつ目標の要求を満たすことを保証した上で、原料ホワイトカーボンの不純物が適切に残留し、ホワイトカーボンの脂溶性が向上し、ゴムなどの弾性重合体の炭素鎖がホワイトカーボンと結合しやすくなり、ゴムの引張強度が向上するによるものである。別の推測として、不純物が直接ホワイトカーボンに吸着するのではなく、ホワイトカーボン合成過程において、適切な不純物含有量が溶液ζ電位に影響し、シリカ微粒子間の堆積方式を変化させ、見かけ上はホワイトカーボンBET、CTABなどの表面パラメータの変化は少ないが、ミクロレベルではゴムのような弾性重合体の炭素鎖とホワイトカーボンがより密に絡みやすく、製品の引張強度が微妙に変化するによるものである。もちろん、上記2つの理論が同時に存在し、同時に影響を及ぼす可能性もあるし、他の理論が共同で影響を及ぼす可能性もある。
【0125】
本発明において、これらの有機物の含有量は籾殻原料、燃焼過程、籾殻灰原料、水ガラスの制御によって得ることができ、余分にエネルギーの消費を増加させることなく、資源の浪費を招くことなく、同時に廃水廃液の排出を減少させ、極めて高い経済効果と環境効果を有する。
【0126】
有益な効果
既存の理論にとらわれたくないが、発明者は驚いたことに、水ガラスのパラメータを本発明の範囲内に制御することにより、籾殻由来のホワイトカーボンの特性を他のプロセスパラメータと同じ条件で顕著に改善し、前記ホワイトカーボンを充填剤として調製したゴムの機械的特性、特に引張強度などを顕著に向上させ、鉱石源ホワイトカーボンの技術指標を達成できる。かかる水ガラスは、濾液と洗浄液との混合、原料パラメータの調整、製造プロセスパラメータ等の様々な経路のいずれかによって得ることができ、いずれも本発明の目的を達成してもよい。また、本発明のホワイトカーボンの製造方法は簡便であり、測定しやすい水ガラスパラメータを制御することにより、上記技術的効果を達成することができ、規模化生産に非常に適している。
【発明を実施するための形態】
【0127】
以下、本発明の実施形態を説明することにより、本発明の上記及びその他の特性及び利点をより詳細に解釈し、説明する。以下の実施例は、本発明の技術案を例示的に説明するが、特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明の範囲をいかなる限定することも意図していないことを理解すべきである。
【0128】
特に明記されていない限り、本明細書における材料及び試薬はすべて市販品であるか、又は当業者が従来技術に従って製造してもよい。
【0129】
機器と試薬
籾殻と籾殻灰、メーカー:益海(佳木斯)食粮工業有限公司
水酸化ナトリウム、濃度32%、メーカー:黒竜江曇華化学工業有限公司
硫酸、濃度93%、メーカー:吉林隆源駿化学工業有限責任公司
加圧濾過機型番:XAZG224/1250-UK、メーカー:建華グループ濾過機有限公司
乾燥塔形式:VG6500、メーカー:無錫斯普瑞乾燥機工場。
【0130】
特に断りのない限り、以下の実施例における原料、基質又は試薬はすべて市販品であるか、又は適切であれば、当該分野で既知の方法で製造することもできる。前記百分率比は、いずれも質量百分率比である。
【0131】
水ガラス吸光度測定方法
水ガラス試料を1.0cmの比色皿に取り込み、純水を空白対照として、波長300mnで吸光度を測定した。
【0132】
水ガラスクマリン酸含有量の検出方法
水ガラス試料を0.45μmの有機相微孔濾過メンブレンで濾過し、測定に用意した。
【0133】
対照品溶液の調製:4-クマリン酸対照品10.0mgを精密に秤量し、30%エタノールを加えて溶解し50mlに定容し、30%エタノールで濃度約10.0、5.0、2.5、1.0、0.5μg/mlの対照品溶液に希釈し、測定に用意した。
【0134】
検量線の作成:30%エタノールを空白対照とし、調製した異なる濃度の対照品溶液を300nmで吸光度を測定し、吸光度で濃度を線形回帰し、検量線方程式を得た。
【0135】
曲線勾配補正:4-クマリン酸対照品10.0mgを精密に秤量し、30%NaOH溶液を加え溶解して50mL定溶し、30%NaOH溶液で濃度約2.5μg/mlの校正溶液に希釈し、300nmで吸光度を測定し、濃度と吸光度から吸光係数を算出し、当該吸光係数を検量線方程式勾配とした。
【0136】
試料測定:純水を空白対照として、300nmで被験試料溶液の吸光度を測定し、検量線方程式に基づいて、試料中の4-クマリン酸の相対含有量を算出した。
【0137】
籾殻灰吸光度水の発色検出方法
籾殻灰試料を均一に混合して粉砕し、籾殻灰20gを秤量し500mlビーカーに入れ、蒸留水200mlを加え、電気炉で3~5分間煮沸し、ビーカーを取りおろし冷却後、上部水溶液を中速濾紙を入れた100mlビーカーに入れて濾過し、濾液を1.0cm比色皿に吸い込み、純水を空白対照とし、波長300nmとした。
【0138】
籾殻灰中の4-クマリン酸含有量の検出方法
被験品溶液の調製:籾殻灰試料5gを精密に秤量し、30%エタノール100mlを精密に加え、2h還流抽出し、抽出液を遠心分離し(8000 rpm、10min)、上清液0.45μm有機相微孔濾過メンブレンを通し、測定に用意した。
【0139】
対照品溶液の調製:4-クマリン酸対照品10.0mgを精密に秤量し、30%エタノールを加えて溶解し50mlに定容し、30%エタノールで濃度約10.0、5.0、2.5、1.0、0.5μg/mlの対照品溶液に希釈し、測定に用意した。
【0140】
検量線の作成:30%エタノールを空白対照とし、調製した異なる濃度の対照品溶液を300nmで吸光度を測定し、吸光度で濃度を線形回帰し、検量線方程式を得た。
【0141】
試料測定:30%エタノールを空白対照とし、300nmで被験品溶液の吸光度を測定し、検量線方程式から試料中の4-クマリン酸含有量(μg/g)を算出した。
【0142】
籾殻灰2mm篩上物の検出方法
孔径2.0mmの試験篩と篩底を重ね、試料スプーンで20g取り出した試料を2.0mmの篩にかけ、篩蓋をして時計回りと反時計回りに60秒ずつ回転させ、各篩層の籾殻灰重量を計量した。データを計算した。
【0143】
ゴムの製造と性能試験方法
練りゴム方式は密練機密錬で、具体的には中国特許出願CN201210423251.1の実施例1を参考にして、下記表1の処方に従って行った。
【0144】
【表1】
【0145】
密錬プロセス:
第1段階の混練:密練機ローター回転数45rpm、圧砕圧力0.6MPaで、まず溶液重合スチレンブタジエンゴムとブタジエンゴムを密練室に投入し、30s混練し、さらにホワイトカーボン、シランカップリング剤(シリコーン-69)を密練室に投入し、100秒間混練を続け、ゴム材温度は120℃に達し、5秒間圧砕解消し、ローター回転数を30rpmに調整し、圧砕混練を90秒間行い、ゴム材温度を150℃にし、ゴムを排出して、第1段階の混煉ゴムを得て、第1段階の混煉ゴムを空気中で室温まで冷却した。
【0146】
第2段階の混練:密練機ローター回転数45rpm、圧砕圧力0.6MPaで、第1段階の混練ゴムを密練機混練室に投入し、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤(4020とDTPD)を加え、110秒間圧砕混練し、ゴム材温度は130℃に達し、5秒間圧砕解消し、ローター回転数を30rpmに調整し、圧砕混練を90秒間行い、ゴム材温度を150℃にし、ゴムを排出して、第2段階の混煉ゴムを得て、第2段階の混煉ゴムを空気中で室温まで冷却した。
【0147】
第3段階の混練:密練機ローター回転数35rpm、圧砕圧力0.6MPaで、第2段階の混練ゴム、促進剤(CBSとDPG)と硫黄を密練機混練室に投入し、60秒間圧砕混練し、10秒間圧砕解消し、圧砕混練を50秒間行い、ゴム材温度を85℃にし、ゴムを排出して、加硫ゴムを得た。
【0148】
物理機械性能(引張強度)測定:
測定条件:加硫ゴムの物理機械性能は相応のASTM基準に従って測定し、XLL-250型万能材料試験機(イギリスLLOYD器械会社製品)を用いて測定した。
【0149】
調製例1~7
下記ロットの籾殻灰2000g、水酸化ナトリウム904.3g、水9940gをそれぞれ採取し、オートクレーブに入れて反応昇温を行い、圧力が3kgに上昇すると計時を開始し、反応時間は4hであった。反応終了後、圧力抜きを冷却し、反応スラリーを加圧濾過機を用いて濾過し、濾液を集め、濃水ガラスとした。濾過ケーキは60℃の水で洗浄し、洗浄中に洗浄液を取って比重を検出し、洗浄液の比重が1.030となるときに洗浄が終了し、洗浄液を集め、希水ガラスとした。水ガラスモジュールは2.6であった。
【0150】
【表2】
【0151】
実施例1~9 ホワイトカーボンの調製(方法2)
下記表3の配合割合に従って、上記調製例の濃水ガラス及び希水ガラスを取りそれぞれ十分に混合して、水ガラス母液(モジュール2.6)を得て、調製した水ガラス母液の濃度及び吸光度を下記表3に示した。
【0152】
開始段階:
攪拌器と蒸気加熱装置を搭載した反応器に以下のものを導入した。
【0153】
水ガラス母液5700g(モジュール2.6)、硫酸ナトリウム水溶液2335g(NaSO濃度3.8%)、軟水398gをベースとし(ベースのSiOでの濃度は76g/L、Na濃度1.09mol/Lであった。)、温度79℃に加熱した。
【0154】
酸化段階
酸ポンプをオンにして、希硫酸(比重1.050)を92.4g/minの流量で反応器に入れ、酸化段階で5分間に1回pHを測定し、反応系が23分間でヘーズ60FAUになるように反応系のヘーズを測定し、流速をpH=8に保ち、本段階で合計酸使用量は4623gであり、酸添加時間は50minで、その間にヘーズが4000FAUに達すると昇温を開始し、1℃/minの速度で94℃まで昇温し、合計15minで15℃まで昇温し、温度は94℃のまま最終反応が終了するまで保持し、酸化後の水ガラスを得た。
【0155】
同時仕込み段階
同時仕込み過程を開始し、上記水ガラス母液(モジュール2.6)を68.8g/minの流速で加え、希硫酸流速は64g/min、硫酸と水ガラスとのモル比は1.055で、pH測定を行い、酸流量を調節してスラリーのpHを8±0.05に安定させた。本段階では水ガラスと酸の合計添加量は3984gであった。
【0156】
後処理段階
この段階はpHが低下する段階で、希硫酸を通してpHを4.5に低下した。
【0157】
10分間熟成後、反応スラリーをプレートフイルターでろ過して、軟水で洗浄し、ホワイトカーボンケーキ(含水量81%)を得て、コロイドミルでケーキを固体から液体スラリーに変更し、スラリーのpHを6に調整した。
【0158】
噴霧乾燥塔を用いて乾燥し、ホワイトカーボン製品を産出した。
【0159】
【表3】
【0160】
実施例10~18 ホワイトカーボンの製造(方法1)
下記表4の配合割合に従って、上記調製例の濃水ガラス及び希水ガラスを取りそれぞれ十分に混合して、水ガラス母液を得て、モジュールは2.6であり、調製した水ガラス母液の濃度及び吸光度を下記表4に示した。
【0161】
開始段階
攪拌器と蒸気加熱装置を搭載した反応器に以下のものを導入した。
【0162】
水ガラス母液300.5g(モジュール2.6、比重1.140)をベースとし(ベースのNaOでの濃度は2.66g/L)、軟水4720g、温度75℃に加熱した。
【0163】
酸化段階
温度は75℃に保たれ、酸化段階を開始し、比重1.050希硫酸を71g/minの流量で加え、pH=8.72まで酸化し、合計酸使用量は236gとした。
【0164】
同時仕込み段階
同時仕込み過程を開始し、温度を75℃に保ち、水ガラスポンプをオンにして85g/minで仕込み、希硫酸は流量70.5/minで仕込み、硫酸と水ガラスとのモル比は0.92に制御した。11分間でヘーズは30FAUに達し、1回/minの頻度でpH検査を行い、希硫酸流量を調節してスラリーのpHを8.7±0.02に安定させた。昇温時間は同時仕込みから30分間で開始し、ヘーズが4000FAUに達すると1℃/minの速度で昇温し、5分間で温度は80℃に達した。最終反応が終了するまで定温80℃とした。仕込み比は15.8とした。ここで、仕込み比は、同時仕込み段階で添加される水ガラス水溶液と、開始段階のベースに添加される水ガラス水溶液との質量比であった。
【0165】
後処理段階
pH低下段階で硫酸54g/minを加え、pHは4.7に低下した。
【0166】
10分間熟成し、反応時間は合計83.33分間であった。
熟成したスラリーをプレートフイルターでろ過して、軟水で洗浄し、ホワイトカーボンケーキ(含水量81%)を得て、コロイドミルでケーキを固体から液体スラリーに変更し、スラリーのpHを5.8~6に調整した。その後、噴霧乾燥塔を用いる乾燥を行い、ホワイトカーボン製品を産出した。
【0167】
【表4】
【0168】
応用実施例
本発明に係る方法によれば、上記実施例で得られたホワイトカーボン製品をゴムの製造に用いた結果を下記表5及び表6に示した。
【0169】
【表5】
【0170】
【表6】
【0171】
上記の試験結果から、本発明の方法で得るホワイトカーボンは、鉱砂由来のホワイトカーボンと同等の物理的機械的性能を有することがわかった。水ガラスのパラメータを本発明の範囲内に制御することにより、ゴムの引張強度を改善できるホワイトカーボン製品を得ることができた。
【0172】
調製例19~31 籾殻の調製
籾は清掃し、矮谷を経て籾殻を得て、籾殻を風選工程を経て篩上物(A)、篩下物(B)、篩下物(C)を得て、具体的な風選工程は以下の通りであった。
【0173】
1)送風機と籾殻の距離を40cmに設定し、送風機の風速を調整して厚さ1cmの籾殻原料を20m/minの風速で1min吹き飛ばし、吹き出した籾殻を集め、篩下物(B)とした。
【0174】
2)籾殻のない篩上物(A)が得られるまで送風機の風速を7m/minの風速で吹き飛ばし続け、吹き出した籾殻を集めて篩下物(C)とした。
【0175】
3)下記表7に記載の篩上物含有量比に従って篩下物(B)と(C)に篩上物(A)を混入し、得られた混合物中の澱粉とタンパク質含有量を検出した。前記籾殻試料の含有量を下記表7にまとめた。
【0176】
【表7】
【0177】
実施例19~31 ホワイトカーボンの調製(方法2)
1)籾殻灰の調製:従来のプロセスを用いて、上記籾殻灰試料をそれぞれ3トン/時間の速度でボイラー炉内に正圧輸送して燃焼させ、炉内燃焼温度は800℃、炉内に籾殻が滞在する時間を30分間となるようにグレート回転数を調節制御し、炉尾部から排出された原料である籾殻灰を収集した。
【0178】
2)籾殻灰の不純物除去:工程1)で製造した原料籾殻灰を2mm直線篩で篩分け、玄米石などの不純物を除去し、篩分けた籾殻灰を慣性分離器で籾殻灰中の米粒などの有機物不純物を除去し、得られた籾殻灰を採取した。
【0179】
3)水ガラスの調製:工程2)の籾殻灰2000g、水酸化ナトリウム904.3g、水9940gをそれぞれ秤量し、オートクレーブに入れて反応昇温を行い、圧力が3kgに上昇すると計時を開始し、反応時間は4h、反応終了後、放圧、冷却し、反応スラリーを加圧濾過機でろ過して60℃の温水で洗浄し、洗浄中に洗浄液を取って比重を検出し、洗浄液の比重が1.030となるときに洗浄が終了し、ろ過液を集めて濃水ガラスを得て、洗浄液が希水ガラスとなった。
【0180】
4)工程3)で得られた濃水ガラスと希水ガラスを比例に従って調合タンクに入れ、調合した水ガラス水溶液の比重は1.140であり、用意した。
【0181】
5)開始段階:
攪拌器と蒸気加熱装置を搭載した反応器に以下のものを導入した。
【0182】
水ガラス水溶液5700g(モジュール2.6)、硫酸ナトリウム水溶液2335g(NaSO濃度3.8%)、軟水398g、ベースのSiOでの濃度76g/l、Na濃度1.09mol/Lとなるように、温度79℃に加熱した。
【0183】
酸化段階
酸ポンプをオンにして、希硫酸(比重1.050)を92.4g/minの流量で反応器に入れ、酸化段階で5分間に1回pHを測定し、反応系が23分間でヘーズ60FAUになるように反応系のヘーズを測定し、流速をpH=8に保ち、本段階で合計酸使用量は4623gであり、酸添加時間は50minで、その間にヘーズが4000FAUに達すると昇温を開始し、1℃/minの速度で94℃まで昇温し、合計15minで15℃まで昇温し、温度は94℃のまま最終反応が終了するまで保持した。
【0184】
同時仕込み段階
同時仕込み過程を開始し、上記水ガラス水溶液(モジュール2.6)を68.8g/minの流速で加え、希硫酸流速は64g/min、硫酸と水ガラスとのモル比は1.055で、pH測定を行い、酸流量を調節してスラリーのpHを8±0.05に安定させた。本段階では水ガラスと酸の合計添加量は3984gであった。
【0185】
後処理段階
pH低下段階で希硫酸を通してpHを4.5に低下させた。
【0186】
10分間熟成後、反応スラリーをプレートフイルターでろ過して、軟水で洗浄し、ホワイトカーボンケーキ(含水量81%)を得て、コロイドミルでケーキを固体から液体スラリーに変更し、スラリーのpHを6に調整した。噴霧乾燥塔を用いて乾燥し、ホワイトカーボン製品を産出した。性能測定の結果は以下の通りであった。
【0187】
【表8】
【0188】
調製例32~37 籾殻灰の調製
1)籾殻灰の調製:同一ロットの籾殻をそれぞれ表9の流量でボイラー炉内に正圧輸送して燃焼させ、表9のパラメータに基づいて炉底酸素富化風(空気)と酸素欠乏風流量を制御して燃焼し、炉ボア燃焼温度は800℃、炉ボア内に籾殻が滞在する時間を15分間となるようにグレート回転数を調節制御し、炉尾部から排出された原料である籾殻灰を収集した。
【0189】
2)籾殻灰の不純物除去:工程1)で製造した原料籾殻灰を2mm直線篩及び慣性分離器で不純物を除去し、得られた籾殻灰を採取し、用意した。
【0190】
【表9】
【0191】
実施例32~37 ホワイトカーボンの調製(方法2)
1)水ガラスの調製:上記調製例で得られた籾殻灰試料をそれぞれ2000g、水酸化ナトリウム904.3g、水9940gをそれぞれ秤量し、オートクレーブに入れて反応昇温を行い、圧力が3kgに上昇すると計時を開始し、反応時間は4h、反応終了後、放圧、冷却し、反応スラリーを加圧濾過機でろ過して60℃の温水で洗浄し、洗浄中に洗浄液を取って比重を検出し、洗浄液の比重が1.030となるときに洗浄が終了し、ろ過液を集めて濃水ガラスを得て、洗浄液が希水ガラスとなった。
【0192】
2)工程1)で得られた濃水ガラスと希水ガラスを比例に従って調合タンクに入れ、調合した水ガラス水溶液の比重は1.140であり、用意した。
【0193】
3)開始段階:
攪拌器と蒸気加熱装置を搭載した反応器に以下のものを導入した。
【0194】
水ガラス水溶液5700g(モジュール2.6)、硫酸ナトリウム水溶液2335g(NaSO濃度3.8%)、軟水398g、ベースのSiOでの濃度76g/l、Na濃度1.09mol/Lとなるように、温度79℃に加熱した。
【0195】
酸化段階
酸ポンプをオンにして、希硫酸(比重1.050)を92.4g/minの流量で反応器に入れ、酸化段階で5分間に1回pHを測定し、反応系が23分間でヘーズ60FAUになるように反応系のヘーズを測定し、流速をpH=8に保ち、本段階で合計酸使用量は4623gであり、酸添加時間は50minで、その間にヘーズが4000FAUに達すると昇温を開始し、1℃/minの速度で94℃まで昇温し、合計15minで15℃まで昇温し、温度は94℃のまま最終反応が終了するまで保持した。
【0196】
同時仕込み段階
同時仕込み過程を開始し、水ガラス水溶液(モジュール2.6)を68.8g/minの流速で加え、希硫酸流速は64g/min、硫酸と水ガラスとのモル比は1.055で、pH検査を行い、酸流量を調節してスラリーのpHを8±0.05に安定させた。本段階では水ガラスと酸の合計添加量は3984gであった。
【0197】
後処理段階
pH低下段階で希硫酸を通してpHを4.5に低下させた。
【0198】
10分間熟成後、反応スラリーをプレートフイルターでろ過して、軟水で洗浄し、ホワイトカーボンケーキ(含水量81%)を得て、コロイドミルでケーキを固体から液体スラリーに変更し、スラリーのpHを6に調整した。噴霧乾燥塔を用いて乾燥し、ホワイトカーボン製品を産出した。
【0199】
【表10】
【0200】
上記の方法で水ガラス吸光度及びクマリン酸含有量を測定し、得られたホワイトカーボン製品をゴムの製造に用いて、性能試験結果は以下の通りであった。
【0201】
【表11】
【0202】
調製例38~41 籾殻灰の調製
同一ロットの籾殻灰(2mm篩上物含有量3.6%、籾殻灰吸光度0.95,4-クマリン酸含有量1.8335μg/g)を取り、2mm直線篩処理により2mm篩上物(A)及び2mm篩下物(B)を得て、下記表12に示す2mm篩上物の割合(重量比)で再配合し、下記表12の籾殻灰を得た。
【0203】
【表12】
【0204】
調製例42~44 籾殻灰の調製
同一ロットの籾殻灰(2mm篩上物含有量3.6%、籾殻灰吸光度0.95,4-クマリン酸含有量1.8335μg/g)を取り、2mm直線篩処理により2mm篩上物(A)及び2mm篩下物(B)を得て、下記表13に示す割合で未篩分の籾殻灰と2mm直線篩篩分処理後の篩上物を十分混合し、相応する籾殻灰を得た。
【0205】
【表13】
【0206】
調製例45 籾殻灰の調製
同一ロットの籾殻灰(2mm篩上物含有量3.6%、籾殻灰吸光度0.95,4-クマリン酸含有量1.8335μg/g)を取り、2mm直線篩処理により2mm篩上物(A)を得て、下記表14に示す割合で調製例44で混合した籾殻灰と2mm篩上物(A)とをさらに混合し、相応する籾殻灰を得た。
【0207】
【表14】
【0208】
調製例46~47
同じロットの籾を取り、清掃し、矮谷を経て籾殻を得て、籾殻を風選工程を経て篩上物(A)、篩下物(B)、篩下物(C)を得て、具体的な風選工程は以下の通りであった。
【0209】
1)送風機と籾殻の距離を40cmに設定し、送風機の風速を調整して厚さ1cmの籾殻原料を20m/minの風速で1min吹き飛ばし、吹き出した籾殻を集め、篩下物(B)とした。
【0210】
2)籾殻のない篩上物(A)が得られるまで送風機の風速を7m/minの風速で吹き飛ばし続け、吹き出した籾殻を集めて篩下物(C)とした。
下記表15に記載の篩上物含有量比に従って篩下物(A)、篩下物(B)及び(C)を混合し、得られた混合物中の澱粉とタンパク質含有量を検出した。前記籾殻試料46及び47の含有量を下記表15にまとめた。
【0211】
【表15】
【0212】
試料46~47の籾殻をそれぞれ3トン/時間の速度でボイラー炉内に正圧輸送して燃焼させ、炉燃焼温度は800℃、炉内に籾殻が滞在する時間を30分間となるようにグレート回転数を調節制御し、炉尾部から排出された調製例46~47の籾殻灰を収集した。得る籾殻灰の2mm篩上物含有量及び水煮吸光度を測定した結果を下記表16に記した。
【0213】
【表16】
【0214】
上記の方法により、籾殻灰の吸光度と4-クマリン酸含有量を検出したところ、以下のようになった。
【0215】
【表17】
【0216】
実施例38~47 ホワイトカーボンの製造(方法2)
1)水ガラスの調製:調製例38~47の籾殻灰2000g、水酸化ナトリウム904.3g、水9940gをそれぞれ採取し、オートクレーブに入れて反応昇温を行い、圧力が3kgに上昇すると計時を開始し、反応時間は4hであった。反応終了後、圧力抜きを冷却し、反応スラリーを加圧濾過機を用いて濾過し、60℃の温水で洗浄し、洗浄中に洗浄液を取って比重を検出し、洗浄液の比重が1.030となるときに洗浄が終了し、濾過液を集め、希水ガラスとした。
【0217】
2)工程1)で得られた濃水ガラスと希水ガラスを比例に従って調合タンクに入れ、調合した水ガラス水溶液の比重は1.140であり、用意した。
【0218】
3)
開始段階:
攪拌器と蒸気加熱装置を搭載した反応器に以下のものを導入した。
【0219】
水ガラス水溶液5700g(モジュール2.6)、硫酸ナトリウム水溶液2335g(NaSO濃度3.8%)、軟水398g、ベースのSiOでの濃度は76g/l、Na濃度1.09mol/Lとなるように、温度79℃に加熱した。
【0220】
酸化段階
酸ポンプをオンにして、希硫酸(比重1.050)を92.4g/minの流量で反応器に入れ、酸化段階で5分間に1回pHを測定し、反応系が23分間でヘーズ60FAUになるように反応系のヘーズを測定し、流速をpH=8に保ち、本段階で合計酸使用量は4623gであり、酸添加時間は50minで、その間にヘーズが4000FAUに達すると昇温を開始し、1℃/minの速度で94℃まで昇温し、合計15minで15℃まで昇温し、温度は94℃のまま最終反応が終了するまで保持した。
【0221】
同時仕込み段階
同時仕込み過程を開始し、水ガラス母液(モジュール2.6)を68.8g/minの流速で加え、希硫酸流速は64g/min、硫酸と水ガラスとのモル比は1.055で、pH検査を行い、酸流量を調節してスラリーのpHを8±0.05に安定させた。本段階では水ガラスと酸の合計添加量は3984gであった。
【0222】
後処理段階
pH低下段階で希硫酸を通してpHを4.5に低下させた。
【0223】
10分間熟成後、反応スラリーをプレートフイルターでろ過して、軟水で洗浄し、ホワイトカーボンケーキ(含水量81%)を得て、コロイドミルでケーキを固体から液体スラリーに変更し、スラリーのpHを6に調整した。噴霧乾燥塔を用いて乾燥し、ホワイトカーボン製品を産出した。
【0224】
ここで、実施例38~47のホワイトカーボンは、それぞれ製造例38~47の籾殻灰に対応した。上記の方法を用いて、ホワイトカーボンをゴムの製造に用いた結果を以下にまとめた。
【0225】
【表18】
【0226】
上記実施例によると、本発明の要求を満たすホワイトカーボンを得るためには、籾殻、籾殻灰等のパラメータ、例えば、篩上/篩下物比率、澱粉基タンパク質含有量、合計有機の不純物含有量、あるいは籾殻灰を製造する過程パラメータを調整することにより、本発明の要求を満たす水ガラスを得て、ホワイトカーボン性能を改善し、バイオマスホワイトカーボン由来のゴム機械性能を著しく向上させた。
【0227】
なお、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではない。当業者は、本発明の目的を達成するために、本発明の開示に従って上述の実施例及び具体的な実施形態を変更又は変形することができる。このような変更及び変形は、本願の請求項に限定された保護範囲に含まれるものとする。