(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】シーラント用樹脂組成物、積層体、包装材及び包装容器
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20230831BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20230831BHJP
C08L 23/20 20060101ALI20230831BHJP
C08L 25/04 20060101ALI20230831BHJP
C08L 53/00 20060101ALI20230831BHJP
C08L 31/04 20060101ALI20230831BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230831BHJP
B32B 27/28 20060101ALI20230831BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
C09K3/10
C08L23/08
C08L23/20
C08L25/04
C08L53/00
C08L31/04 S
B32B27/00 H
B32B27/28
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2021509545
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013467
(87)【国際公開番号】W WO2020196673
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2019064698
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019168513
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174862
【氏名又は名称】三井・ダウポリケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 秀則
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-227790(JP,A)
【文献】特開2001-131307(JP,A)
【文献】特開2016-148003(JP,A)
【文献】特開2017-110112(JP,A)
【文献】特開2006-315385(JP,A)
【文献】特開2018-076398(JP,A)
【文献】特開2016-014129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00 - 3/32
C08L 1/00 - 101/14
B32B 27/00 - 27/42
B65D 65/00 - 65/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・ビニルエステル共重合体(A)と、
粘着付与樹脂(B)と、
4-メチル-1-ペンテン・プロピレン共重合体(C)と、
を含有し、
前記エチレン・ビニルエステル共重合体(A)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、10質量%以上80質量%以下であり、
前記粘着付与樹脂(B)が、環球法軟化点が100℃以上130℃以下である脂環族炭化水素樹脂であり、
前記4-メチル-1-ペンテン・プロピレン共重合体(C)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%~20質量%であ
り、
前記4-メチル-1-ペンテン・プロピレン共重合体(C)はDSCで測定される融点が認められない、シーラント用樹脂組成物。
【請求項2】
さらにスチレン系エラストマー(D)を含有する、請求項1に記載のシーラント用樹脂組成物。
【請求項3】
前記スチレン系エラストマー(D)がスチレン-エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)およびスチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載のシーラント用樹脂組成物。
【請求項4】
前記スチレン系エラストマー(D)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%~15質量%である、請求項2又は請求項3に記載のシーラント用樹脂組成物。
【請求項5】
前記エチレン・ビニルエステル共重合体(A)が、エチレン・酢酸ビニル共重合体である、請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物。
【請求項6】
前記エチレン・ビニルエステル共重合体(A)は、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有量が、1質量%以上30質量%以下である、請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物。
【請求項7】
前記シーラント用樹脂組成物は、メルトマスフローレート(JIS K7210-1999、190℃、2160g荷重)が、1g/10分~100g/10分である、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物。
【請求項8】
支持体と、
請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物を含むシーラント層と、
を含む積層体。
【請求項9】
請求項
8に記載の積層体を備える包装材。
【請求項10】
蓋材である請求項
9に記載の包装材。
【請求項11】
開口を有する容器本体と、
前記容器本体の前記開口を閉塞するための蓋体と、
を備え、
前記蓋体が請求項
10に記載の包装材からなる包装容器。
【請求項12】
前記容器本体が非晶性ポリエステルを含む請求項
11に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーラント用樹脂組成物、積層体、包装材及び包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の飲食品や医薬品の包装容器として、易開封性の蓋材を備えたプラスチック容器が広く使用されている。このような蓋材のシーラント層(シール層)に用いられる包装材は、ヒートシール温度の温度幅が広く、安定した剥離強度が得られるとともに容易に開封できることが求められている。容器の材質やその大きさ等によって、要求される剥離強度が異なっているため、従来種々の包装材が提案され、また使用されてきた。
【0003】
従来、容器材料としてポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどが広く使用されてきたため、これら材料の容器に適した包装材はすでに多くのものが知られている(例えば、特許文献1~2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平05-6513号公報
【文献】特開平02-185547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、高透明容器として注目されている非晶性ポリエステル容器に対しては、実用上、優れた剥離感を示す材料が見出されていない。具体的に、従来より提案されている包装材では、非晶性ポリエステルに対して、十分な剥離強度と、剥離する際のジッピング(剥離音及び微小な振動が生じる現象)の抑制と、の両立が困難であった。
【0006】
上記の事情に鑑み、本開示では、基材に対する剥離強度(特に非晶性ポリエステルに対する接着強度)に優れ、且つ、剥離時のジッピングを抑制する、即ち剥離感に優れるシーラント用樹脂組成物、積層体、包装材及び包装容器を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1>エチレン・極性モノマー共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)と、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)と、を含有し、前記4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%~20質量%である、シーラント用樹脂組成物。
<2>さらにスチレン系エラストマー(D)を含有する、<1>に記載のシーラント用樹脂組成物。
<3>前記スチレン系エラストマー(D)がスチレン-エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)およびスチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<2>に記載のシーラント用樹脂組成物。
<4>前記スチレン系エラストマー(D)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%~15質量%である、<2>又は<3>に記載のシーラント用樹脂組成物。
<5>前記4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、融点が110℃未満又は認められない、<1>~<4>のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物。
<6>前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)が、エチレン・酢酸ビニル共重合体である、<1>~<5>のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物。
<7>前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)は、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有量が、1質量%以上30質量%以下である、<1>~<6>のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物。
<8>前記シーラント用樹脂組成物は、メルトマスフローレート(JIS K7210-1999、190℃、2160g荷重)が、1g/10分~100g/10分である、<1>~<7>のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物。
<9>支持体と、<1>~<8>のいずれか1項に記載のシーラント用樹脂組成物を含むシーラント層と、を含む積層体。
<10><9>に記載の積層体を備える包装材。
<11>蓋材である<10>に記載の包装材。
<12>開口を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口を閉塞するための蓋体と、を備え、前記蓋体が<11>に記載の包装材からなる包装容器。
<13>前記容器本体が非晶性ポリエステルを含む<12>に記載の包装容器。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、基材に対する剥離強度及び剥離感に優れるシーラント用樹脂組成物、積層体、包装材及び包装容器が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0010】
なお本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
-シーラント用樹脂組成物-
本開示のシーラント用樹脂組成物は、エチレン・極性モノマー共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)と、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)と、を含有し、前記4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%~20質量%である。
【0012】
本開示のシーラント用樹脂組成物は、特に、エチレン・極性モノマー共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)に加え、応力緩和性に優れる4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を含み、且つ、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を上記範囲内とする。これにより、本開示のシーラント用樹脂組成物は、例えば、包装材として用いた場合においても、基材に対する剥離強度及び剥離感に優れると考えられる。
【0013】
≪シーラント用樹脂組成物の性質≫
シーラント用樹脂組成物のメルトマスフローレート(以下、「MFR」とも称す。190℃、2160g荷重)は、基材に対する剥離強度及び剥離感をより優れたものとする観点から、1g/10分~100g/10分であることが好ましく、5g/10分~50g/10分であることがより好ましく、8g/10分~30g/10分であることがさらに好ましく、10g/10分~30g/10分であることが特に好ましい。
シーラント用樹脂組成物のMFRは、JIS K7210-1999に準拠して上記の温度及び荷重下にて測定される値である。
【0014】
シーラント用樹脂組成物のMFRを上記範囲内とする手法は、特に制限されないが、例えば、後述するエチレン・極性モノマー共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)及び4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の配合比の調整等の手法が挙げられる。
【0015】
≪エチレン・極性モノマー共重合体(A)≫
本開示のシーラント用樹脂組成物は、エチレン・極性モノマー共重合体(A)を含む。
エチレン・極性モノマー共重合体(A)は、1種単独であっても、2種以上の併用であってもよい。
エチレン・極性モノマー共重合体(A)は、エチレンと極性モノマーとの2元系又は多元系の共重合体である。エチレン・極性モノマー共重合体は、エチレンと1種の極性モノマーとの共重合体であっても、エチレンと2種以上の極性モノマーとの共重合体であってもよい。
【0016】
エチレン・極性モノマー共重合体(A)における極性モノマーに由来する構成単位の含有量は、基材に対する剥離強度及び剥離感をより優れたものとする観点から、全構成単位に対して、1質量%~30質量%であることが好ましく、2質量%~30質量%であることがより好ましく、3質量%~30質量%であることがさらに好ましい。なお、エチレン・極性モノマー共重合体(A)が、組成比は異なるが同じ構成単位を有する2種以上のエチレン・極性モノマー共重合体からなる場合、含有する極性モノマーの合計量が前記範囲を満たすことが好ましい。
シーラント用樹脂組成物が後述するスチレン系エラストマー(D)を含有する場合、エチレン・極性モノマー共重合体(A)における極性モノマー(特に、酢酸ビニル)の構成単位の含有量は、基材に対する剥離強度及び剥離感をより優れたものとする観点から、全構成単位に対して、1質量%~30質量%であることが好ましく、2質量%~30質量%であることがより好ましく、3質量%~30質量%がさらに好ましく、5質量%~30質量%であることがよりさらに好ましく、5質量%~26質量%であることが特に好ましく、5質量%~15質量%が最も好ましい。
【0017】
極性モノマーとしては、酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;一酸化炭素などが挙げられる。上記の中でも、極性モノマーとしては、ビニルエステルが好ましく、酢酸ビニルがより好ましい。つまり、エチレン・極性モノマー共重合体(A)が、エチレン・ビニルエステルであることが好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体であることがより好ましい。
【0018】
前記エチレン・極性モノマー共重合体(A)は、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有量(以下、単に「酢酸ビニル単位の含有量」ともいう)が、全構成単位に対して、1質量%~30質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましい。
酢酸ビニル単位の含有量が1質量%以上であると、シーラント用樹脂組成物の基材に対する剥離強度がより優れる傾向にある。
酢酸ビニル単位の含有量が30質量%以下であると、シーラント用樹脂組成物の基材に対する剥離強度及び剥離感により優れる傾向にある。
【0019】
エチレン・極性モノマー共重合体(A)は、成形加工性、ヒートシールによる接着強度を向上させる観点から、190℃、2160g荷重におけるメルトマスフローレート(MFR)が、1g/10分~15g/10分であることが好ましく、2g/10分~10g/10分であることがより好ましい。
【0020】
メルトマスフローレートが1g/10分以上であると、ヒートシールによる接着強度がより向上する傾向にある。一方、メルトマスフローレートが15g/10分以下であると、成形加工性に優れる傾向にある。シーラント用樹脂組成物がエチレン・極性モノマー共重合体(A)を2種以上含む場合、前記2種以上のエチレン・極性モノマー共重合体(A)を混合した混合物が、前記メルトマスフローレートを満たすことが好ましい。
エチレン・極性モノマー共重合体のメルトマスフローレートは、JIS K7210-1999に準拠して上記の温度及び荷重下にて測定される値である。
【0021】
エチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量は、剥離強度により優れたものとする観点からは、シーラント用樹脂組成物中の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。エチレン・極性モノマー共重合体(A)の含有量は、加工性の観点からは、シーラント用樹脂組成物中の全質量に対して、80質量%以下であることが好ましい。
【0022】
エチレン・極性モノマー共重合体(A)の極性モノマー(酢酸ビニル)の構成単位の含有量は、シーラント用樹脂組成物中の全質量に対して、0.1質量%~24質量%であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましく、5質量%~20質量%であることがさらに好ましい。
極性モノマー(酢酸ビニル)の構成単位の含有量が0.1質量%以上であると、シーラント用樹脂組成物の基材に対する剥離強度がより優れる傾向にある。
極性モノマー(酢酸ビニル)の構成単位の含有量が24質量%以下であると、シーラント用樹脂組成物の加工性により優れる傾向にある。
【0023】
≪粘着付与樹脂(B)≫
本開示のシーラント用樹脂組成物は、粘着付与樹脂(B)を含む。
粘着付与樹脂(B)は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0024】
粘着付与樹脂(B)としては、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、スチレン樹脂、テルペン樹脂、ロジン類、等が挙げられる。
【0025】
脂肪族炭化水素樹脂としては、1-ブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3-ペンタジエン、イソプレン、ピペリレンなどのC4~C5モノまたはジオレフィンを主成分とするモノマー原料の重合体等が挙げられる。
脂環族炭化水素樹脂としては、スペントC4~C5留分中のジエン成分を環化二量体化後重合させた樹脂、シクロペンタジエンなどの環状モノマーを重合させた樹脂、芳香族炭化水素樹脂を核内水添した樹脂、等が挙げられる。
芳香族炭化水素樹脂の例としては、ビニルトルエン、インデン、α-メチルスチレンなどのC9~C10のビニル芳香族炭化水素を主成分とするモノマー原料の重合体等が挙げられる。
【0026】
スチレン樹脂としては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、イソプロペニルトルエン等を主成分とするモノマー原料の重合体が挙げられる。
【0027】
テルペン樹脂としては、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン-フェノール共重合体、α-ピネン-フェノール共重合体、水素化テルペン樹脂等が挙げられる。
【0028】
ロジン類としては、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、ロジンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂のエステル、等が挙げられる。
【0029】
粘着付与樹脂としては、脂環族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、又はテルペン樹脂(特に、水素化テルペン)が好ましく、脂環族炭化水素樹脂がより好ましい。
【0030】
粘着付与樹脂の環球法軟化点は、好ましくは70℃以上150℃以下であり、より好ましくは100℃以上130℃以下である。
環球法軟化点は、JIS K6863(1994年)に準拠して測定された値を意味する。
【0031】
粘着付与樹脂(B)の含有量は、剥離強度により優れたものとする観点からは、シーラント用樹脂組成物中の全質量に対して、3質量%以上であることが好ましい。
粘着付与樹脂(B)の含有量は、加工性の観点からは、シーラント用樹脂組成物中の全質量に対して、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0032】
≪4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)≫
本開示のシーラント用樹脂組成物は、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を含む。
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0033】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位と、α-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く、以下同様。)に由来する構成単位と、を含む共重合体である。
【0034】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、基材に対する剥離強度及び剥離感をより優れたものとする観点から、全構成単位に対して、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を、15モル%~75モル%で含むことが好ましく、20モル%~75モル%で含むことがより好ましく、60モル%~75モル%以下で含むことがさらに好ましい。
【0035】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、全構成単位に対して、α-オレフィンに由来する構成単位を、25モル%~85モル%で含むことが好ましく、25モル%~80モル%で含むことがより好ましく、25モル%~40モル%で含むことがさらに好ましい。
【0036】
前記α-オレフィンは、1種類単独であっても、2種以上の併用であってもよい。なお、2種以上を併用する場合、α-オレフィンに由来する構成単位の総和(総含有量)として、前記範囲を満たせばよい。
【0037】
前記4-メチル-1-ペンテンと前記α-オレフィンとの構成単位の合計は、100モル%であることが好ましい。
【0038】
4-メチル-1-ペンテンとα-オレフィンとにそれぞれ由来する構成単位の割合を前記範囲内にすることによって、得られる4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の融点を、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が110℃未満、又は、融点(Tm)が認められないように調整することができる。
【0039】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよく、透明性、成形性の観点からは、ランダム共重合体が好ましい。
【0040】
α-オレフィンは、炭素原子数が2~20であることが好ましい。炭素原子数2~20のα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が好適な例として挙げられる。
【0041】
上記の中でも、共重合性および得られる共重合体の物性(応力緩和性等)の観点からは、炭素原子数2~20のα-オレフィンは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン及び1-オクタデセンが好ましく、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン及び1-オクタデセンがより好ましく、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン及び1-オクタデセンがさらに好ましい。上記の中でも、炭素原子数2~4のα-オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテンが好適な例として挙げられる。
上記の中でも、共重合性、分散性を向上させる観点からは、炭素原子数2~20のα-オレフィンは、プロピレンが好ましい。
【0042】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、本発明の目的を損なわない範囲で、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位および炭素原子数2~20のα-オレフィンに由来する構成単位以外の重合性化合物(以下、重合性化合物ともいう)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0043】
前記重合性化合物としては、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等の共役ジエン類;1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等の非共役ポリエン類などが挙げられる。
【0044】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、前記重合性化合物に由来する構成単位を、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)に含まれる全ての重合性化合物に由来する構成単位の和に対して、10モル%以下で含まれていてもよく、5モル%以下で含まれていてもよく、3モル%以下で含まれていてもよい。
【0045】
(損失正接tanδ)
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)における-40℃~150℃の温度範囲で、周波数1.6Hz、昇温速度2℃/minで動的粘弾性測定を行って得られる損失正接tanδの最大値(以下「tanδピーク値」ともいう。)は、基材に対する剥離感をより優れたものとする観点から、1.0~5.0であることが好ましく、1.5~5.0であることがより好ましく、2.0~4.0であることがさらに好ましい。
【0046】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の損失正接tanδの測定条件は、以下の通りである。4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を、190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaの圧力でシート成形し、厚さ3mmのプレスシートを作製する。このプレスシートから、動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出す。粘弾性測定装置(ANTONPaar社製MCR301)を用いて、周波数1.6Hz、昇温速度2℃/minで-40℃~180℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、ガラス転移温度に起因する損失正接(tanδ)がピーク値(最大値)となる際の温度(以下「ピーク時温度」ともいう。)、及びその際の損失正接tanδの値を測定する。
損失正接tanδが最大値となる際の温度(ピーク時温度)は特に制限されないが、例えば、-40℃~80℃、好ましくは0℃~50℃、より好ましくは10℃~40℃であってもよい。
【0047】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の損失正接tanδの最大値を上記範囲内とする手法は、特に制限されないが、例えば、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位とα-オレフィンに由来する構成単位との組成比を調整する等の手法が挙げられる。
【0048】
(極限粘度)
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.5dL/g~5.0dL/gであることが好ましく、1.0dL/g~4.0dL/gであることがより好ましく、1.2dL/g~3.5dL/gであることがさらに好ましい。
前記極限粘度[η]の値は、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を製造する際の重合時の水素の添加量により、調整することができる。
【0049】
極限粘度[η]の値が前記範囲にあると、シーラント用樹脂組成物の製造時や各種成形時において良好な流動性が得られる傾向にある。また、エチレン・極性モノマー共重体(A)への、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の分散性が向上する傾向にある。
【0050】
前記4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の極限粘度[η]は、下記の方法により測定することができる。
約20mgの4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、前記と同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)とする。
【0051】
(分子量分布(Mw/Mn))
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、1.0~3.5であることが好ましく、1.0~3.0であることがより好ましく、1.5~2.5であることがさらに好ましい。
前記分子量分布(Mw/Mn)の値は、例えば、後述するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することができる。
【0052】
分子量分布(Mw/Mn)の値が前記範囲にある4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を含むシーラント用樹脂組成物は、相対的に低い分子量成分の含有率が少ない傾向にある。そのため、前記低分子量体のブリードアウトが少なく、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を含むシーラント用樹脂組成物をペレットやフィルム成形を行った際に、ブロッキング性が低下する、フィルム物性全般に優れる(特に機械強度に優れる。)傾向にある。
【0053】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出することができる。
【0054】
測定装置:GPC(ALC/GPC 150-C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6-HT(東ソー株式会社製)2本、及びGMH6-HTL(東ソー株式会社製)2本を直列に接続
溶離液:o-ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
【0055】
(密度)
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、密度が、825kg/m3~860kg/m3であることが好ましく、830kg/m3~855kg/m3であることがより好ましく、830kg/m3~850kg/m3であることがさらに好ましく、830kg/m3~845kg/m3の範囲であることが特に好ましい。
【0056】
前記密度の値は、4-メチル-1-ペンテンと共に重合する他のα-オレフィンの種類や配合量を調整することにより、調整することができる。
密度の値が前記範囲にある4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を含むシーラント用樹脂組成物であると、耐熱性及び軽量性に優れる傾向にある。
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定される値である。
【0057】
(MFR)
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、メルトマスフローレートが、成形時の流動性の観点、並びに、基材に対する剥離強度及び剥離感をより優れたものとする観点から、0.01g/10分~100g/10分であることが好ましく、0.5g/10分~50g/10分であることがより好ましく、0.5g/10分~30g/10分であることがさらに好ましい。
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)のメルトマスフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定される値である。
【0058】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)のメルトマスフローレート(MFR)を上記範囲内とする手法は、特に制限されないが、例えば、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位とα-オレフィンに由来する構成単位との組成比を調整する等の手法が挙げられる。
【0059】
(融点)
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)で測定した融点(Tm)が110℃未満又は認められないことが好ましく、100℃未満又は認められないことがより好ましく、85℃未満又は認められないことがさらに好ましい。
【0060】
融点(Tm)が110℃未満又は認められない4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を含むシーラント用樹脂組成物は、成形性に優れる傾向にある。
【0061】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)を用い、下記の方法により測定することができる。
約5mgの4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を、セイコーインスツル株式会社製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に密封し、室温(23℃)から10℃/minで200℃まで加熱する。4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで-50℃まで冷却する。-50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行ない、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の融点(Tm)とする。そして、この2度目の加熱において、-50℃から200℃までの範囲で融解ピークが観測されない場合、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は融点が認められないとする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
【0062】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を、融点が認められない性質とする手法、及び、融点を上記範囲内とする手法としては、例えば、後述するオレフィン重合用触媒を用いて、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の立体規則性を調製する方法;α-オレフィンに由来する構成単位の含有量を調製する方法等が挙げられる。
【0063】
(合成)
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)は、市販品であっても、合成品であってもよい。4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を合成する場合、例えば、オレフィン重合用触媒の存在下、4-メチル-1-ペンテンと上述したα-オレフィン、さらに必要に応じて前記重合性化合物を含んで重合することにより、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)を得ることができる。
【0064】
オレフィン重合用触媒としては、例えば、メタロセン触媒が挙げられる。
好ましいメタロセン触媒としては、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3-193796号公報、特開平02-41303号公報中あるいは国際公開第06/025540号パンフレット、国際公開第2014/050817号パンフレット中に記載のメタロセン触媒が挙げられる。
【0065】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の含有量は、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%~20質量%であり、3質量%~16質量%であることが好ましく、3.5質量%~16質量%であることがより好ましく、4質量%~16質量%であることがさらに好ましい。
シーラント用樹脂組成物が後述するスチレン系エラストマー(D)を含有する場合、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の含有量は、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%~20質量%であり、6質量%~14質量%であることが好ましく、7質量%~12質量%であることがより好ましい。
【0066】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%以上であると、剥離感により優れる傾向にある。
一方、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、20質量%以下であると、剥離強度がより優れる傾向にある。
【0067】
≪スチレン系エラストマー(D)≫
本開示のシーラント用樹脂組成物は、スチレン系エラストマー(D)を含んでもよい。
スチレン系エラストマー(D)は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0068】
スチレン系エラストマー(D)は、ジエンブロック(ジエン重合体部)からなるソフトセグメントとスチレンブロック(スチレン重合体)からなるハードセグメントとを有するブロック共重合体である。ブロック共重合体は水素添加物の状態であってもよい。
【0069】
ブロック共重合体及びその水素添加物として具体的には、例えば、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SI)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、及びそれらブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。ブロック共重合体の水素添加物は、スチレンブロックとジエンブロックの全てが水素添加されたブロック共重合体であっても、ジエンブロックのみ水素添加されたブロック共重合体あるいはスチレンブロックとジエンブロックの一部が水素添加されたブロック共重合体等の部分水素添加物であってもよい。
【0070】
上述したブロック共重合体又はその水素添加物の中でも、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SB)の水素添加物であるスチレン-エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物であるスチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物であるスチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)が、押出成形時の熱安定性、加工時の安定性、劣化物の発生抑制及び臭いの発生抑制の点で好ましい。
なかでも、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)及びスチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)がより好ましく、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)がさらに好ましい。
【0071】
スチレン系エラストマー(D)は、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体から選択される少なくとも一種の化合物によりグラフト変性された酸変性スチレン系エラストマーであってもよい。
酸変性スチレン系エラストマーにおける上記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。これらの中でも、上記不飽和カルボン酸は、酸変性スチレン系エラストマーの生産性、衛生性等の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、マレイン酸を含むことがより好ましい。
【0072】
酸変性スチレン系エラストマーにおける上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸等の酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等の酸エステル、酸アミド、酸ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中でも、上記不飽和カルボン酸の誘導体は無水マレイン酸を含むことが好ましい。
【0073】
これらの不飽和カルボン酸および上記不飽和カルボン酸の誘導体は1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0074】
酸変性スチレン系エラストマーとしては、スチレン系エラストマーに不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体から選択される少なくとも一種の化合物をラジカル開始剤の存在下において溶融状態でグラフトさせたものを用いることもできる。ラジカル開始剤はポリオレフィンのグラフト反応に一般的に用いられるものであればよい。
【0075】
酸変性スチレン系エラストマーの酸価は、0mgCH3ONa/gを超え20mgCH3ONa/g未満が好ましく、0mgCH3ONa/gを超え11mgCH3ONa/g未満がより好ましく、0.5mgCH3ONa/g以上11mgCH3ONa/g以下がさらに好ましい。
【0076】
スチレン系エラストマー(D)のMFR(メルトフローレート;ASTM D-1238に準拠、190℃、2160g荷重)は特に限定されないが、通常0.1g/10分~100g/10分であり、0.5g/10分~50g/10分の範囲が好ましい。
【0077】
スチレン系エラストマー(D)の含有量は、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%~15質量%であることが好ましく、2質量%~10質量%であることがより好ましく、2質量%~8質量%であることがさらに好ましい。
【0078】
スチレン系エラストマー(D)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、1質量%以上であると、シーラント用樹脂組成物の基材に対する剥離強度により優れる傾向にある。
一方、スチレン系エラストマー(D)の含有量が、シーラント用樹脂組成物の全質量に対し、15質量%以下であると、シーラント用樹脂組成物の基材に対する剥離感により優れる傾向にある。
【0079】
≪その他の成分≫
本開示のシーラント用樹脂組成物は、上述した成分以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、スリップ剤、離ロール剤等の添加剤が挙げられ、スリップ剤及び離ロール剤を含有することが好ましい。
添加剤の含有量は、シーラント用樹脂組成物における樹脂成分の全質量に対し、好ましくは0.01質量%~3質量%であり、より好ましくは0.01質量%~2質量%である。
【0080】
≪シーラント用樹脂組成物の調製方法≫
本開示のシーラント用樹脂組成物の調製方法としては特に限定されないが、例えば、エチレン・極性モノマー共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)と、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)と、必要に応じて添加されるスチレン系エラストマー(D)またはその他の成分と、をドライブレンドして混合することにより調製する方法;エチレン・極性モノマー共重合体(A)と、粘着付与樹脂(B)と、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C)と、必要に応じて添加されるスチレン系エラストマー(D)またはその他の成分と、を押出機等で溶融混練することにより調製する方法などを採用することができる。
【0081】
≪好ましい用途≫
本開示のシーラント用樹脂組成物は、基材に対する高い剥離強度及び優れた剥離感が要求される、あらゆる用途に適用できる。
本開示のシーラント用樹脂組成物の用途には特に制限はないが、好ましくは、包装材として用いられる。
【0082】
包装材としては、例えば、食品、玩具、文房具、生活雑貨、化粧品、医薬品、医薬部外品、医療器具等を蓋するための蓋材が挙げられる。
【0083】
-積層体-
本開示の積層体は、支持体と、上述した本開示のシーラント用樹脂組成物を含むシーラント層と、を含む。
本開示の積層体は、上述した本開示のシーラント用樹脂組成物を含むシーラント層を含むので、基材に対する剥離強度及び剥離感に優れる。
【0084】
≪支持体≫
支持体の材質には特に制限はない。
支持体の構造は、単層構造であってもよいし、2層以上からなる積層構造であってもよい。
支持体としては、延伸あるいは無延伸のフィルムであって、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、紙、アルミ箔、アルミニウム、シリカ、アルミナなどを蒸着したフィルム、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどのガスバリア材をコーティングしたフィルムなどを例示することができる。
【0085】
支持体は、シーラント層との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンカーコート処理等を行ってもよい。
【0086】
≪シーラント層≫
シーラント層は、上述した本開示のシーラント用樹脂組成物を含む層である。
シーラント層の構造は、単層構造であってもよいし、2層以上からなる積層構造であってもよい。
シーラント層は、例えば、本開示のシーラント用樹脂組成物(及び、必要に応じ添加剤等の他の成分)を用いた溶融押出しによって製造される。
シーラント層における、本開示のシーラント用樹脂組成物の含有量は、シーラント層の全質量に対し、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。
【0087】
≪その他の層≫
本開示の積層体は、包装材に様々な機能を付与する観点から、支持体及びシーラント層以外の層(以下、その他の層とも称す。)を有していてもよい。
その他の層としては、例えば、発泡層、金属層、無機物層、ガスバリア性樹脂層、帯電防止層、ハードコート層、接着層、反射防止層、防汚層等を挙げることができる。その他の層は1層単独で用いてもよいし、2層以上を組み合わせて用いてもよい。なお、接着層は、各層同士の接着性を高めるために設けられる層である。
【0088】
本開示の積層体の形状には特に制限はないが、例えば、シート形状(即ち、フィルム形状)が好適である。
【0089】
本開示の積層体の厚さには特に制限はないが、好ましくは40μm以上300μm以下であり、より好ましくは50μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。
【0090】
積層体におけるシーラント層の厚さには特に制限はないが、好ましくは1μm以上500μm以下であり、より好ましくは2μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上200μm以下である。
【0091】
積層体における支持体の厚さ(2層以上からなる積層構造である場合には総厚)には特に制限はないが、好ましくは4μm以上300μm以下であり、より好ましくは5μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上200μm以下である。
【0092】
≪積層体の好ましい製造方法≫
本開示の積層体は、公知の方法を用いて製造することができる。
積層体の製造方法としては、例えば、押出ラミネーション法、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法等が挙げられる。中でも、積層体の製造方法としては、押出ラミネーション法が好ましい。
【0093】
本開示の積層体には、必要に応じて、任意の率で一軸または二軸延伸を加えてもよい。
【0094】
≪積層体の好ましい用途≫
本開示の積層体の用途については特に制限はない。
本開示の積層体の好ましい用途は、前述した本開示のシーラント用組成物の好ましい用途と同様である。
【0095】
-包装材-
本開示の包装材は、本開示の積層体、つまり、支持体と、本開示のシーラント用樹脂組成物を含むシーラント層と、を含む積層体を備える。
本開示の包装材は、例えば、蓋材として好適に用いることができる。
本開示の包装材は、基材に対する剥離強度及び剥離感に優れる。
本開示の包装材は、特に非晶性ポリエステル製の容器等の基材に対し、剥離強度及び剥離感に優れる。そのため、本開示の包装材は、非晶性ポリエステル製の容器の蓋体を構成する蓋材として特に好適に用いることができる。
【0096】
-包装容器-
本開示の包装容器は、開口を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口を閉塞するための蓋体と、を備える。前記蓋体は、本開示の包装材からなる。
本開示の包装容器は、本開示の包装材からなる蓋体を用いることで、開口を有する容器本体に対し、剥離強度及び剥離感に優れる。
【0097】
本開示の包装容器は、容器本体が非晶性ポリエステルを含む包装容器であることが好ましく、容器本体が非晶性ポリエチレンテレフタレートを含む包装容器であることがより好ましい。
【0098】
容器本体としては、非晶性ポリエチレンテレフタレート等の非晶性ポリエステルを含む容器の他に、他の材料を含む容器、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等を含む容器であってもよい。
本開示の包装容器は、例えば、食品、医薬品、工業用品、日用品、化粧品等を包装するために用いられる包装容器として好適に用いることができ、食品および医薬品の包装容器として特に好適に用いることができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。なお、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
【0100】
なお、各材料のMFRは、先述の発明を実施するための形態に記載した測定方法により測定した値である。
以下、「エチレン単位含有量」、及び「酢酸ビニルの構成単位の含有量」は、それぞれ、エチレンに由来する構成単位の含有量、及び酢酸ビニルに由来する構成単位の含有量を意味する。
【0101】
以下の実施例及び比較例において、シーラント用樹脂組成物の作製に用いる成分の詳細は以下の通りである。
【0102】
(エチレン・極性モノマー共重合体(A))
・(EVA-1):
種類:エチレン・酢酸ビニル共重合体
酢酸ビニルの構成単位の含有量(VA含量):10質量%
MFR(190℃、荷重2160g)9g/10分
・(EVA-2):
種類:エチレン・酢酸ビニル共重合体
酢酸ビニルの構成単位の含有量(VA含量):10質量%
MFR(190℃、荷重2160g)3g/10分
・(EVA-3):
種類:エチレン・酢酸ビニル共重合体
酢酸ビニルの構成単位の含有量(VA含量):28質量%
MFR(190℃、荷重2160g)6g/10分
・(EVA-4):
種類:エチレン・酢酸ビニル共重合体
酢酸ビニルの構成単位の含有量(VA含量):19質量%
MFR(190℃、荷重2160g)2.5g/10分
【0103】
(粘着付与樹脂(B))
・粘着付与樹脂
種類:脂環族炭化水素樹脂「アルコン P-115(荒川化学工業株式会社製)」
環球法軟化点115℃
【0104】
(4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体(C))
・種類:4-メチル-1-ペンテン・プロピレン共重合体
密度840kg/m3、MFR(230℃、2160g荷重)10g/10分、融点なし、周波数1.6Hz、昇温速度2℃/minで測定した時の損失正接tanδピーク温度30℃、損失正接tanδピーク値2.7(三井化学株式会社製 アブソートマー(登録商標)EP-1001)
【0105】
(スチレン系エラストマー(D))
・(SEBS-1):
種類:無水マレイン酸変性スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体
酸価10mgCH3ONa/g、MFR(190℃、2160g荷重)0.5g/10分(旭化成株式会社製、タフテックM1943)
・(SEBS-2):
種類:スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体
MFR(190℃、2160g荷重)2.8g/10分(クレイトン社製、クレイトンG1657)
【0106】
(比較用オレフィン共重合体)
・エチレン・1-ブテン共重合体
密度885kg/m3、MFR(190℃、2160g荷重)3.6g/10分(三井化学株式会社製 タフマー(登録商標)A4085S)
【0107】
(低密度ポリエチレン:LDPE)
・種類:低密度ポリエチレン
MFR(190℃、荷重2160g)3.7g/10分、密度917kg/m3。
【0108】
(その他の成分:添加剤)
・スリップ剤(PEG):ポリエチレングリコール(日本精化株式会社製)
・離ロール剤(ELA):エルカ酸アミド(日油株式会社製)
【0109】
[実施例1~6、比較例1~6]
-シーラント用樹脂組成物の作製-
下記表1に示す組成となるように、各成分を65mmφ単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製、L/D=26、スクリュータイプ:先端ダルメージフライトスクリュー)で樹脂温度180℃にて溶融混練してシーラント用樹脂組成物を作製した。
【0110】
-評価用の試験片の作製-
表1に示す組成のシーラント用樹脂組成物を40mmφシングル押出ラミネーター(田辺プラスチックス機械株式会社製、L/D=32)を用いて、押出機ダイ出口樹脂温度220℃、引取速度30m/分、成形後のシーラント用樹脂組成物からなるシーラント層の厚みが30μmとなるような押出条件で、前記シーラント用樹脂組成物をTダイから支持体(PET層(12μm)/PE層(15μm)の2層積層体)のPE層上に溶融押出し、サンド基材側からシリコンPETフィルム(厚み25μm、東レ社製、セラピール(登録商標))を挿入し、4層積層体(PET層(12μm)/PE層(15μm)/シーラント層(30μm)/シリコンPETフィルム(25μm))を作製した。評価前に前記4層積層体のうち、シリコンPETフィルムを剥離した状態のフィルムを評価用の試験片とした。
【0111】
-評価-
得られた試験片を用いて、以下の評価を行った。非晶性ポリエチレンテレフタレート容器(以下、「A-PET容器」とも称す。)としては、竹内産業株式会社製のTAPS92-375、及びフジナップ株式会社製のFP92-375を、それぞれ用いて評価を行った。各評価結果を、表1に示す。なお、表1における空欄は、該当する成分が含有されていないことを意味する。
【0112】
≪剥離感の評価≫
剥離感の評価は、以下の方法により行った。
A-PET容器をカップホルダーにセットし、実施例および比較例で得られた10cm×10cmのサイズに切り出した試験片のシーラント層側を、A-PET容器の上に載せ、カップシーラー(エーシンパック工業株式会社社製)にて、表1に示す加熱温度、シール時間1秒間及びシール圧力0.1MPaの条件でヒートシールした。その後、室温(23℃)で24時間放置した。
次いで、23℃の環境下において、手で剥離し、剥離時に剥離音(ジッピング)の有無を、以下の基準で評価した。なお、表中、「接着せず」とは、上記の条件で試験片がA-PET容器に接着しなかったことを意味する。
(評価基準)
A:ジッピングを伴う剥離現象がなく、滑らかに剥離する。
B:ジッピングを伴う剥離現象が発生する。
【0113】
≪剥離強度の評価≫
剥離強度の測定は、以下の方法により行った。
A-PET容器をカップホルダーにセットし、実施例および比較例で得られた10cm×10cmのサイズに切り出した試験片のシーラント層側をA-PET容器の上に載せ、カップシーラー(エーシンパック工業株式会社社製)にて、表1に示す加熱温度、シール時間1秒間、シール圧力0.1MPaの条件でヒートシールした。その後、室温(23℃)で24時間放置した。
次いで、23℃の環境下において、剥離試験機(IM-20X、株式会社インテスコ製)にセットし、A-PET容器を固定した状態で初期剥離角度を45°として引張速度:300mm/minの速度でA-PET容器から引き離し、最大応力をA-PET容器に対する剥離強度(N)として算出した。表中、「-」とは、上記の条件で試験片がA-PET容器に接着しなかったため、測定していないことを意味する。
【0114】
【0115】
[実施例7~11、比較例7~12]
-シーラント用樹脂組成物の作製-
下記表2に示す組成となるように、実施例1と同様にしてシーラント用樹脂組成物を作製し、評価用の試験片を作製した。
【0116】
-評価-
得られた試験片を用いて、以下の評価を行った。非晶性ポリエチレンテレフタレート容器(以下、「A-PET容器」とも称す。)としては、フジナップ株式会社製のFP92-375を用いて評価を行った。各評価結果を、表2に示す。なお、表2における空欄は、該当する成分が含有されていないことを意味する。
【0117】
≪剥離感の評価≫
剥離感の評価は、以下の方法により行った。
A-PET容器をカップホルダーにセットし、実施例および比較例で得られた10cm×10cmのサイズに切り出した試験片のシーラント層側を、A-PET容器の上に載せ、カップシーラー(エーシンパック工業株式会社社製)にて、表2に示す加熱温度、シール時間1秒間及びシール圧力0.1MPaの条件でヒートシールした。その後、室温(23℃)で1日放置した。
次いで、23℃の環境下において、手で剥離し、剥離時に剥離音(ジッピング)の有無を、以下の基準で評価した。
【0118】
(評価基準)
A:ジッピングが発生しない。
B:軽微なジッピングが発生する。
C:顕著にジッピングが発生する。
【0119】
≪剥離強度の評価≫
剥離強度の測定は、以下の方法により行った。
A-PET容器をカップホルダーにセットし、実施例および比較例で得られた10cm×10cmのサイズに切り出した試験片のシーラント層側をA-PET容器の上に載せ、カップシーラー(エーシンパック工業株式会社製)にて、表2に示す加熱温度、シール時間1秒間、シール圧力0.1MPaの条件でヒートシールした。その後、室温(23℃)で1日放置した。
次いで、23℃の環境下において、剥離試験機(IM-20X、株式会社インテスコ製)にセットし、A-PET容器を固定した状態で初期剥離角度を45°として引張速度:300mm/minの速度でA-PET容器から引き離し、最大応力(N)を測定した。5個のサンプルの最大応力(N)の算術平均値をA-PET容器に対する剥離強度(N)として算出した。
【0120】
【0121】
表1及び表2に示すように、実施例のシーラント用樹脂組成物は、非晶性ポリエステルを含むA-PET容器において、比較例のシーラント用樹脂組成物に比べ、剥離強度及び剥離感に優れることがわかった。
【0122】
日本国特許出願第2019-064698号及び第2019-168513号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。