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特許7340618多出力電力コンバーターの連続伝導モード動作のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】多出力電力コンバーターの連続伝導モード動作のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
H02M3/28 V
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2021557601
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 US2020024403
(87)【国際公開番号】W WO2020205327
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】16/369,318
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【復代理人】
【識別番号】100125818
【弁理士】
【氏名又は名称】立原 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100100181
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 正博
(72)【発明者】
【氏名】ムーア カール
(72)【発明者】
【氏名】アントニウス ヤコブス ヨハネス ヴェルナー
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-198720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0322257(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0051469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続伝導モードスイッチングサイクル中に多出力スイッチング式電力コンバーターシステムを制御する方法であって、前記方法が、
エネルギー伝達デバイスの一次巻線にエネルギー供給するために一次スイッチを閉じることと、
第1の電流路におけるダイオードを介して前記第1の電流路における高電圧二次出力に二次電流を提供するために前記一次スイッチを開くことと、
前記連続伝導モードスイッチングサイクルの一部にわたって前記第1の電流路と並列な第2の電流路を有効にすることと、
前記第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に迂回電流を提供することであって、前記迂回電流が、前記第1の電流路から迂回させられて前記ダイオードのダイオード逆回復時間を短くする、提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記スイッチングサイクルが、連続伝導モード(CCM)スイッチングサイクルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高電圧二次出力が、定電流(CC)出力または定電圧(CV)出力である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記連続伝導モードスイッチングサイクルのうちの、前記第2の電流路が提供される前記一部が、次の連続伝導モードスイッチングサイクル前に前記第1の電流路における電流を実質的にゼロまで小さくするように構成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記高電圧二次出力の電圧が、前記より低い電圧の二次出力の電圧より大きい、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記より低い電圧の二次出力が、定電圧(CV)出力である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記より低い電圧の二次出力が、5ボルトから20ボルトの間の電圧をもつ出力を提供する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記高電圧二次出力が、20ボルトから100ボルトの間の電圧をもつ出力を提供する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ダイオードを介して前記第1の電流路における前記高電圧二次出力に前記二次電流を提供するために前記一次スイッチを開くことが、
少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に前記二次電流を提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の電流路と並列な前記第2の電流路を有効にすることが、
二次スイッチを閉じることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の電流路と並列な前記第2の電流路を有効にすることが、
動作モードを検出したことに応答して前記第2の電流路を有効にすることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記動作モードが、連続伝導モード(CCM)を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記動作モードを検出したことに応答して前記第2の電流路を有効にすることが、
フォワードピン信号を測定することを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記フォワードピン信号が、二次巻線電圧である、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に前記迂回電流を提供することが、
前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に電流を迂回させながら、同時に前記ダイオードを介して前記高電圧二次出力に前記二次電流を提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に前記迂回電流を提供することが、
クロスオーバー期間中に前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に前記迂回電流を提供することを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記クロスオーバー期間が、300ナノ秒から2マイクロ秒の間である、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の負荷の各々に対して、AC電力を調節されたDC電力に変換する多出力電力コンバーターにおいて複数の出力に伝送される電流を制御する方法であって、多出力電力コンバーターの前記複数の出力が、連続伝導モード(CCM)スイッチングサイクル中に、調節されたDC電力を提供し、前記複数の出力の電圧が、高電圧二次出力とより低い電圧の二次出力とを含み、前記方法が、
第1のスイッチングサイクルを開始するために一次スイッチをオンに切り替えることと、
前記一次スイッチをオフに切り替えることと、
第1の電流路におけるダイオードを介して前記第1の電流路における前記高電圧二次出力に二次電流を提供することと、
前記連続伝導モードスイッチングサイクルの一部中のいつ、前記第1の電流路と並列な第2の電流路を提供するかを特定することと、
前記連続伝導モードスイッチングサイクルの特定された部分中に、前記第1の電流路から前記第2の電流路に前記二次電流を迂回させることであって、前記第1の電流路からの前記二次電流の迂回が前記ダイオードのダイオード逆回復時間を短くする、迂回させることと、
第2のスイッチングサイクルを開始するために前記一次スイッチをオンに切り替えることと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記高電圧二次出力が、定電流(CC)出力または定電圧(CV)出力である、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記連続伝導モードスイッチングサイクルの前記一部のうちの、前記第2の電流路が提供される前記部分が、次の連続伝導モードスイッチングサイクル前に前記第1の電流路における電流を実質的にゼロまで小さくするように特定される、
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記より低い電圧の二次出力が、定電圧(CV)出力である、
請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記高電圧二次出力が、前記より低い電圧の二次出力の電圧より大きい電圧をもつ、
請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の電流路と並列な前記第2の電流路をいつ提供するかを特定することが、
前記より低い電圧の二次出力を示すフィードバック信号を受信することと、
前記フィードバック信号に応答して前記第2の電流路の二次スイッチをオンに切り替えることと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記高電圧二次出力から前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に前記二次電流を迂回させることが、
クロスオーバー期間中に前記高電圧二次出力から前記より低い電圧の二次出力に前記二次電流を迂回させることを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記高電圧二次出力から前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に前記二次電流を迂回させることが、
前記ダイオードの蓄積された電荷を減らすことを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記高電圧二次出力から前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に前記二次電流を迂回させることが、
前記より低い電圧の二次出力に迂回電流を提供することを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記高電圧二次出力から前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に前記二次電流を迂回させることが、
前記ダイオードを介して前記高電圧二次出力に前記二次電流を提供することと、同時に前記第2の電流路における前記より低い電圧の二次出力に前記迂回電流を提供することと、
を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
AC電力を調節されたDC電力に変換するように構成された、および連続伝導モードスイッチングサイクル中に複数の負荷の各々に電力を提供するように構成された多出力電力コンバーターであって、前記多出力電力コンバーターが、
一次巻線と複数の二次出力をもつ複数の二次巻線とを備える変圧器であって、前記一次巻線が、第1の電源からエネルギーを受信するように構成された、変圧器と、
前記一次巻線に電気的に結合された、および、スイッチングサイクルに従ってスイッチングするように構成された一次スイッチと、
複数の前記二次出力に電気的に結合された、および、複数の出力を備える二次スイッチブロックであって、前記複数の出力が、第1の電流路におけるダイオードを介して複数の前記二次巻線に電気的に結合された高電圧二次出力と、より低い電圧の二次出力とを含む、前記二次スイッチブロックと、
システム制御モジュールであって、
前記連続伝導モードスイッチングサイクルの一部中のいつ、前記第1の電流路に並列な第2の電流路を提供するかを特定することと、
前記スイッチングサイクル中、前記連続伝導モードスイッチングサイクルの特定された部分中に、前記第1の電流路から前記第2の電流路に二次電流を迂回させることであって、前記第1の電流路から前記第2の電流路への電流の迂回が前記ダイオードのダイオード逆回復時間を低減させる、迂回させることと、
をするように構成された、システム制御モジュールと、
を備える、多出力電力コンバーター。
【請求項29】
前記高電圧二次出力が、定電流(CC)出力または定電圧(CV)出力である、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項30】
前記連続伝導モードスイッチングサイクルの前記一部のうちの、前記第2の電流路が提供される前記部分が、次の連続伝導モードスイッチングサイクル前に前記第1の電流路における電流を実質的にゼロまで小さくするように特定される、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項31】
前記高電圧二次出力の電圧が、前記より低い電圧の二次出力の電圧より大きい、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項32】
前記より低い電圧の二次出力が、定電圧(CV)出力である、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項33】
前記より低い電圧の二次出力が、5ボルトから20ボルトの間の電圧をもつ出力を提供する、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項34】
前記高電圧二次出力が、20ボルトから100ボルトの間の電圧をもつ出力を提供する、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項35】
前記高電圧二次出力が、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に前記二次電流を提供するように構成された、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項36】
前記二次スイッチブロックが、前記ダイオードと二次スイッチとを備え、
前記システム制御モジュールが、前記より低い電圧の二次出力に前記二次電流を迂回させるために前記二次スイッチを閉じるように構成された、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項37】
前記システム制御モジュールが、連続伝導モード(CCM)を検出したことに応答して、前記二次電流を迂回させるように構成された、
請求項28に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項38】
前記変圧器が、前記システム制御モジュールにフォワードピン信号を提供するように構成された二次巻線を備え、
前記システム制御モジュールが、前記フォワードピン信号から前記連続伝導モードを検出したことに応答して、前記二次電流を迂回させるように構成された、
請求項37に記載の多出力電力コンバーター。
【請求項39】
前記システム制御モジュールが、フォワードピン信号を受信するように、および、前記フォワードピン信号から前記連続伝導モードを検出したことに応答して前記二次電流を迂回させるように構成された、
請求項37に記載の多出力電力コンバーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる、2019年3月29日に出願された米国特許出願第16/369,318号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、多出力電力コンバーターにおけるダイオード逆回復電流を減らすことに関し、更には特に、多出力電力コンバーターシステムにおいて連続伝導モード(CCM:continuous conduction mode)中にダイオード逆回復電流を減らすことに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの電子デバイス、例えば携帯電話、ラップトップなどは、電源から取得された直流電流(DC:direct current)の電力により給電される。従来の壁のコンセントは、概して、消費者向け電子デバイスのための電源として使用されるために調節されたDC電力に変換される必要がある高電圧の交流電流(AC:alternating current)電力を伝送する。スイッチング式電源(SMPS:switch mode power supplies)とも呼ばれるスイッチング式電力コンバーターは、それらの高効率さ、小さいサイズ、および軽量さを理由として、高電圧AC電力を調節されたDC電力に変換するために一般的に使用される。
【0004】
多くの電子デバイスは複数の負荷を含み、動作するために1つより多いDC電源を必要とする。例えば、オーディオ電子デバイスは、5ボルトで動作するシステムコンポーネント、および12から20ボルトの間で動作するオーディオコンポーネントを含み得る。これらの用途では、多出力電力コンバーターが、複数の負荷の各々に、すなわちシステムコンポーネントおよびオーディオコンポーネントに調節されたDC電力を提供するために、AC電力を複数のDC電力出力に変換する。幾つかの用途では、調節されたDC電力出力は調節された定電流(CC:constant current)出力および/または調節された定電圧(CV:constant voltage)出力である。
【発明の概要】
【0005】
多出力電力コンバーターにおける連続伝導モード動作の非限定的かつ非網羅的な実施形態が以下の図を参照しながら説明され、異なる図の中の同様の参照符号は、別段の指定がない限り同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】一実施形態による、多出力電力コンバーターシステムを含む適用製品を示す。
図1B】一実施形態による、多出力電力コンバーターシステムを示す。
図2A】一実施形態による、調節された電力をCC出力およびCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステムのシステムブロック図を示す。
図2B】一実施形態による、調節された電力をCC出力およびCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステムのシステムブロック図を示す。
図2C】電界効果トランジスタ(FET:field effect transistor)を使用した図2Bのシステムレベルの図の実現例を示す。
図3A】一実施形態による、調節された電力をCC出力およびCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステムの詳細なブロック図を示す。
図3B】別の実施形態による、調節された電力をCC出力およびCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステムの詳細なブロック図を示す。
図3C】一実施形態による、調節された電力をCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステムの詳細なブロック図を示す。
図4】本明細書における教示による、スイッチングサイクル中における波形を示す。
図5A】一実施形態による、多出力電力コンバーターシステムのスイッチングサイクル中に複数の出力を制御するためのフローチャートを示す。
図5B】別の実施形態による、多出力電力コンバーターシステムのスイッチングサイクル中に複数の出力を制御するためのフローチャートを示す。
図6】本明細書における教示による、スイッチングサイクル中に多出力電力コンバーターシステムを制御するための概念的なフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面中の複数の図にわたり、対応する参照符号が、対応するコンポーネントを示す。当業者は、図中の要素が簡潔かつ明確であるように描かれること、および、一定の縮尺で描かれるとは限らないことを理解する。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、本明細書における教示の様々な実施形態をより理解しやすくするために他の要素より誇張される場合がある。更に、市販に適した実施形態において有用または必要な、一般的だが良く理解される要素は、多くの場合、多出力電力コンバーターにおける連続伝導モード動作のこれらの様々な実施形態の図が見づらくならないように図示されていない。
【0008】
以下の説明では、多出力電力コンバーターにおける連続伝導モード動作の十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細事項が記載される。しかし、本明細書における教示を実施するために特定の詳細事項が使用されるとは限らないことが当業者に明らかである。他の例において、本開示を不明瞭にしないために、よく知られた材料または方法は詳細には説明されていない。
【0009】
本明細書中での「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、または「例」についての言及は、実施形態または例との関連で説明される特定の特徴、構造、または特性が、多出力スイッチング式電力コンバーターシステムにおける連続伝導モード動作の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所における「一実施形態において」、「実施形態において」、「一例」、または「例」といった表現の使用は、すべてが同じ実施形態または例に関連するとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性が、1つまたは複数の実施形態または例において、任意の適切な組み合わせ、および/または部分的組み合わせで組み合わされてもよい。特定の特徴、構造、または特性は、説明される機能を提供する集積回路、電子回路、結合論理回路、または他の適切なコンポーネントに含まれてもよい。加えて、本明細書とともに提供される図が当業者への説明を目的としていること、および図面が一定の縮尺で描かれるとは限らないことが理解される。
【0010】
本出願に関する文脈において、トランジスタが「オフ状態」または「オフ」であるとき、トランジスタは電流を遮断する、および/または実質的に電流を流さない。逆に、トランジスタが「オン状態」または「オン」であるとき、トランジスタは実質的に電流を流すことができる。例示として、1つの実施形態において、高電圧トランジスタは、第1の端子であるドレインと第2の端子であるソースとの間において高電圧がサポートされるNチャネル金属-酸化物-半導体(NMOS:N-channel metal-oxide-semiconductor)電界効果トランジスタ(FET)を備える。幾つかの実施形態において、集積型制御装置回路は、負荷に提供されるエネルギーを調節するときに電力スイッチを駆動するために使用され得る。更に、本開示の目的において、「グランド」または「グランド電位」は、基準電圧または基準電位を表し、この基準電圧または基準電位に対して、電子回路または集積回路(IC:Integrated circuit)のすべての他の電圧または電位が規定され、または測定される。
【0011】
上述のように、多出力電力コンバーターは、複数の負荷に調節されたDC電力を提供するために使用されてもよい。負荷は、ディスクリート型半導体デバイス、マイクロプロセッサ、制御装置、混合型信号回路コンポーネントなどを包含する受動負荷および/または能動負荷であり得る。調節されたDC電力を提供することにおいて、多出力電力コンバーターは、定電流(CC)出力への出力電流を調節し、および/または、定電圧(CV)出力への出力電圧を調節し得る。更に、システム電圧は、多出力電力コンバーターが電力をどのように提供するかに関連して規定され得る。例えば、多出力電力コンバーターは、約40ボルトで動作するCC出力、12ボルトに調節されたCV出力、約7ボルトで動作するCC出力、および、3ボルトに調節されたCV出力を提供し得る。比較として、約40ボルトで動作するCC出力は「最高」電圧をとると表現され得、3ボルトのCV出力は「最低」電圧をもつと表現され得る。更に、12ボルトのCV出力および約7ボルトで動作するCC出力は、各々が「中間」電圧をとると表現され得る。
【0012】
本明細書において更に詳しく説明されるように、電力は、スイッチングサイクルに従ってエネルギー伝達デバイス(例えば変圧器)を介して一次側から二次側に伝達され得る。例えば、一次スイッチは、スイッチングサイクルに従ってスイッチングし得、この場合において、一次巻線がスイッチングサイクルの一部にわたって入力電力を受信し、1つまたは複数の二次巻線がスイッチングサイクルの別の部分にわたって電力を提供する。二次側巻線における電流(すなわち二次巻線電流)がスイッチングサイクルの完了前に実質的にゼロまで小さくなるように電力が伝達されるとき、動作モードは不連続伝導モード(DCM:discontinuous conduction mode)と呼ばれ得る。しかし、二次巻線電流がゼロに達する前に新しいサイクルが始まるように電力が伝達されるとき動作モードは、連続伝導モード(CCM)と呼ばれ得る。
【0013】
更に、本明細書において更に詳しく説明されるように、多出力電力コンバーターは、ダイオードを介して電流を提供し得る。多出力電力コンバーターは、ダイオードに関連した逆回復電流を防ぐために、DCMにおいて動作させられ得る。しかし、現代の多出力電力コンバーターおよび顧客の要求は、CCMにおいて多出力電力コンバーターを動作させることを必要とし得る。残念ながら、逆回復電流は、望ましくない電力損失、一次電流波形における望ましくない電流スパイクをもたらし得、スイッチング異常をもたらし得る。したがって、CCM中に逆回復電流を軽減する必要性が存在する。
【0014】
多出力電力コンバーターにおける連続伝導モード動作のための方法および装置が本明細書において説明されている。スイッチングサイクル中に、二次電流は、ダイオードを介して二次出力(例えば最高電圧二次出力)に伝送され得る。後続のスイッチングサイクルを始める前に、迂回電流が、並列経路において、より低い電圧の二次出力に提供され得る。この手法により、ダイオード電流は、CCMにおいて動作しながら、後続のスイッチングサイクル前に実質的にゼロまで小さくなり得る。
【0015】
図1Aは、一実施形態による、多出力電力コンバーターシステム100を含む適用製品20を示す。多出力電力コンバーターシステム100は、多出力電力コンバーター22、最高電圧負荷24、中間電圧負荷26、および最低電圧負荷28を含む。例示として、適用製品20はテレビであり得、最高電圧負荷24、中間電圧負荷26、および最低電圧負荷28は、それぞれ、40ボルトで動作するディスプレイ、12ボルトで動作するスピーカー、および5ボルトで動作するマイクロプロセッサを含み得る。他の用途において、最高電圧負荷24は20ボルトから100ボルトの間において動作し得、中間負荷26および/または最低電圧負荷28は5ボルトから20ボルトの間において動作し得る。示されるように、適用製品20は交流電流(AC)「配電線」入力電力PACを更に受信し得、任意選択的な整流器21を使用して、AC電力を整流されたACライン入力電圧VINおよびライン電流IINに変換し得る。多出力電力コンバーター22は、整流されたACライン入力電圧VIN(およびライン電流IIN)を受信し、複数の出力電圧VO1~VO3および負荷電流IL1~IL3を、最低電圧負荷28、中間電圧負荷26、および最高電圧負荷24に伝送し得る。更に、定常状態において、多出力電力コンバーター22は、複数の出力電圧VO1~VO3および/または負荷電流IL1~IL3のうちの1つまたは複数を調節し得る。
【0016】
本明細書における教示では、多出力電力コンバーターシステム100が出力電圧(例えば、複数の出力電圧VO1~VO3のうちの1つまたは複数)を定常状態において一定に調節するとき、出力は定電圧(CV)出力と呼ばれ得る。更に、多出力電力コンバーターシステム100が負荷電流(例えば負荷電流IL1~IL3のうちの1つまたは複数)を定常状態において一定に調節するとき、出力は定電流(CC)出力と呼ばれ得る。更に、多出力電力コンバーターシステム100は3つである複数の出力を含むが、より多くの、またはより少ない複数の出力を含む構成が可能である。
【0017】
多出力電力コンバーターシステム100は、複数の出力のために調整された、変圧器などのエネルギー伝達要素を含むスイッチング式電力コンバーターを使用して実現され得る。例えば、スイッチング式電力コンバーターは、複数の出力の二次側を含む変圧器を含む、フォワードコンバータートポロジーにより、および/または、フライバックコンバータートポロジーにより実装され得る。定常状態において、電力は一次側から二次側に伝達され得、複数の出力は、制御装置および/またはシステム制御モジュール108により独立して調節され得る。幾つかの構成において、制御装置および/またはシステム制御モジュール108は、複数の出力の二次側のCV出力から電力を受信し得、制御装置は、CCおよび/またはCV(CC/CV)出力を調節するように構成されたフィードバックループ(すなわち制御ループ)を使用し得る。
【0018】
図1Bは、一実施形態による多出力電力コンバーターシステム100を示す。多出力電力コンバーターシステム100は、変圧器102、二次スイッチブロック104、複数の負荷106、システム制御モジュール108、およびクランプ110を含む。変圧器102は、一次巻線112および複数の二次巻線114、116、118を含む。二次スイッチブロック104はダイオード120を含み、更に、システム制御モジュール108は、一次スイッチ152および連続伝導モード(CCM)バイパス(BP:bypass)制御ブロック153を含む。
【0019】
図示されるように、一次巻線112および一次スイッチ152は、整流されたACライン電圧VINを受信する入力端子101と103との間において直列接続され得る。システム制御モジュール108は、一次グランドGNDに対して、一次制御信号VCSを使用して、一次巻線112における一次電流ISWを制御(すなわちスイッチング)し得、および、一次巻線112から複数の二次巻線114、116、118のうちの1つまたは複数に電力が伝達されるように、一次制御信号VCSが一次スイッチ152をゲーティング(すなわちスイッチング)し得る。クランプ110は、スイッチ電圧VSWを制限する(すなわちクランプする)ために一次巻線112と並列接続され得る。更に示されるように、二次巻線114、116、118は、二次戻り電位SRTNに対する二次巻線電圧VSEC1~VSEC3を提供するために、二次スイッチブロック104と電気的に結合され得る。
【0020】
多出力電力コンバーターシステム100は、整流されたACライン電圧VINに関連した入力電力を、二次グランドRTNに対する複数の出力電圧VO1~VO3に変換し得、二次電流IS1~IS3を提供し得る。システム制御モジュール108は、二次スイッチ信号105を送信する、および受信するように二次スイッチブロック104と電気的に結合され、および、負荷フィードバック信号107を送信する、および受信するように複数の負荷106と更に結合され得る。更に、システム制御モジュール108は、二次スイッチ信号105を提供することにより、複数の出力電圧VO1~VO3および/または二次電流IS1~IS3のうちの1つまたは複数を調節し得る。
【0021】
多出力電力コンバーターシステム100は、対応する二次電流IS1~IS3とともに複数の出力VO1~VO3を提供するためのスイッチング式構成(すなわちフライバック構成)を示すが、より多くの、またはより少ない複数の出力をともなう他の構成も可能である。例えば、本明細書における教示は、複数の二次巻線を含む変圧器を使用したフォワードコンバーターおよび/または他のコンバータートポロジーに適用可能でもあり得る。更に、当業者が理解し得るように、複数の二次巻線を含む変圧器は、独立して制御および調節される出力のすべてのための共通戻り線を使用した、直列(すなわちスタック状)巻線、並列巻線、または直列巻線と並列巻線との両方の任意の結合の組み合わせにより構成され得る。
【0022】
多出力電力コンバーターシステム100は、1つまたは複数のダイオード(例えばダイオード120)を介して電流(例えば二次電流IS3)を提供し得る。例えば、ダイオード120は、二次電流IS3を提供するために、二次巻線118と複数の負荷106との間に電気的に結合されている。本明細書における教示によると、ダイオード120の逆回復電流がCCM中に大幅に減らされるように、および/または無くされるように、ダイオード120における電流(すなわち二次電流IS3)が制御され得る。更に、システム制御モジュール108は、二次電流IS3の一部またはすべてが迂回電流(例えば二次電流IS1~IS2のうちの任意の1つ)をともなって迂回させられる(すなわちバイパスさせられる)ように、CCMバイパス制御ブロック153を使用して二次スイッチブロック104を制御し得る。
【0023】
図2Aは、一実施形態による、調節された電力をCC出力およびCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステム100のシステムブロック図を示す。変圧器102は、整流されたAC電力を二次スイッチブロック104に伝達するための、一次巻線212と複数の直列接続された二次巻線214、216、218とを含む。二次スイッチブロック104は、二次戻り電位SRTNに対する二次電圧VSEC1~VSEC3を受信し得、二次グランドRTNに対する、複数の負荷106への複数の出力電圧VO1~VO3および対応する負荷電流IS1~IS3を提供し得る。
【0024】
二次スイッチブロック104は、ダイオード220、221と二次スイッチ222、225、228とを含む。ダイオード220は、二次電圧VSEC3を受信するように、および、複数の負荷106のCC/CV3ポート(例えばCC出力および/またはCV出力)に二次電流IS3を提供するように二次巻線218に電気的に結合されている。CC/CV3ポートは、CC出力および/またはCV出力であり得る最高電圧負荷を示す。更に示されるように、ダイオード221および二次スイッチ222は、二次電圧VSEC2を受信するように、および、複数の負荷106のCV2ポート(すなわちCV出力)に二次電流IS2を提供するように、二次巻線216に電気的に結合されており、二次スイッチ225は、二次電圧VSEC1を受信するように、および、複数の負荷106のCV1ポート(すなわちCV出力)に二次電流IS1を提供するように、二次巻線214に電気的に結合されている。二次スイッチ228は、二次グランドRTNから変圧器二次戻り電位SRTNへの戻り経路を提供し得る。
【0025】
システム制御モジュール108は、パルス幅変調(PWM:pulse width modulated)信号を使用して一次スイッチ152をゲーティングする(すなわちスイッチングする)ための一次制御信号Vcsを提供し得る。一次スイッチ152がスイッチングサイクルに従ってオンおよびオフに切り替わるように、PWM信号がスイッチングサイクルにより特徴付けられ得る。スイッチングサイクル中、クランプ110は、スイッチ電圧VSWのピーク値をクランプするために使用され得、一次スイッチ152のPWM制御は、エネルギーが一次巻線212から二次巻線214、216、218に伝達することを可能にし得る。更に、システム制御モジュール108は、二次グランドRTNから二次巻線214、216、218を通る電流の流れを制御するために、二次スイッチ228にゲート制御信号Vcrを提供し得る。
【0026】
図示されるように、システム制御モジュール108は、二次スイッチ信号105を通して、複数の出力電圧VO1~VO3および/または二次電流IS1~IS3のうちの1つまたは複数を制御し得る。例えば、システム制御モジュール108は、負荷フィードバック信号107に応答して二次スイッチブロック104と通信し得、二次スイッチ225および二次スイッチ222を制御するために制御信号VC1およびVC2をそれぞれ提供し得る。制御信号VC1は、出力電圧VO1(すなわちCV1出力)を調節するために、二次スイッチ225にゲーティング信号を提供するために使用され得、制御信号VC2は、出力電圧VO2(すなわちCV2出力)を調節するために、二次スイッチ222にゲーティング信号を提供するために使用され得る。
【0027】
更に、システム制御モジュール108は、スイッチングサイクルに従って制御を提供し得る。例えば、スイッチングサイクル中に、CV1出力は、CV2出力より多くの電力を要求し得る。それに応答して、システム制御モジュール108は、二次スイッチ225を閉じるために、および二次スイッチ222を開くために制御信号VC1およびVC2を提供し得る。この手法により、CV1出力における、より大きい負荷要求を満たすために、スイッチングサイクル中に電力が提供され得る。
【0028】
本明細書における教示によると、システム制御モジュール108は、並列経路を通して二次電流IS3の一部および/またはすべてを迂回させることにより、ダイオード220における逆回復電流を更に軽減し得る。例えば、制御信号VC1、VC2が二次スイッチ222と225との両方を開くように提供されるスイッチングサイクル中、ダイオード220は、経路270に沿ってCC/CV3出力に二次電流IS3を伝導し得る。CCMスイッチングサイクル中に、システム制御モジュール108は、並列経路を有効にするように二次スイッチ222および225の一方または両方をオンに切り替えることにより、電流IS3を迂回させ(すなわちバイパスさせ)得る。例えば、CCMバイパス制御ブロック153は、CCMスイッチングサイクルの一部(すなわち期間の一部または時間インターバル)にわたって二次スイッチ225を閉じるように制御信号VC1を提供するために、CCM中に動作し得る。この手法により、CV1出力への並列経路272は、二次電流IS1が二次電流IS3の一部および/またはすべてを迂回させることを可能にし得る。したがって、二次電流IS1(すなわち迂回電流)は並列経路272において二次電流IS3(すなわちダイオード220電流)をバイパスさせる。代替的に、および追加的に、CCMバイパス制御ブロック153は、CCMスイッチングサイクルの一部(すなわち期間の一部または時間インターバル)にわたって二次スイッチ222を閉じるように制御信号VC2を提供するようにCCM中に動作し得る。この手法により、CV2出力への並列経路271は、二次電流IS2が二次電流IS3の一部および/またはすべてを迂回させることを可能にし得る。したがって、二次電流IS2(すなわち迂回電流)は、並列経路271において二次電流IS3(すなわちダイオード220電流)をバイパスさせる。
【0029】
図2Bは、一実施形態による、調節された電力をCC出力およびCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステム100のシステムレベル図を示す。複数の負荷106は、複数の並列接続された発光ダイオード(LED:light emitting diode)ストリング283~284、第1の負荷242、および第2の負荷238を含む。図示されるように、LEDストリング283~284は負荷電流IL3を要求し(すなわち受信し)、第1の負荷242および第2の負荷238は、それぞれ負荷電流IL1、IL2を要求する。
【0030】
複数の負荷106は、システム制御モジュール108にフィードバック信号Vfb1、Vfb2、Vfb3をそれぞれ提供し得るフィードバックネットワーク240、236、232を含む。更に、複数の負荷106は、第1の負荷242、第2の負荷238、およびLEDストリング283~284に電気的にそれぞれ結合された、フィルタコンデンサC1~C3を含む。定常状態において、図2Bの多出力電力コンバーターシステム100は、CC出力(すなわち調節負荷電流IL3)としてLEDストリング283~284に伝送される電力を調節するように、および、CV1出力(すなわち調節出力電圧VO1)として第1の負荷242に伝送される電力を調節するように、および、CV2出力(すなわち調節出力電圧VO2)として第2の負荷238に伝送される電力を調節するように構成され得る。
【0031】
図2Bの実施形態はLEDストリング283~284にCC出力を提供するように、および、CV1出力およびCV2出力を提供するように構成されているが、1つより多いまたは少ないCC出力、および、2つ(すなわちCV1出力およびCV2出力)より多いまたは少ないCV出力を含む他の構成も可能である。
【0032】
二次スイッチブロック104は、ダイオード220、221と、二次スイッチ222、225、228とを含む。ダイオード220は、二次電圧VSEC3を受信するために、およびCC出力に二次電流IS3を提供するために、二次巻線218と複数の並列接続されたLEDストリング283~284との間に電気的に結合されている。ダイオード221および二次スイッチ222は、CV2出力を提供するために二次巻線216と第2の負荷238との間に電気的に結合されており、二次スイッチ225は、CV1出力を提供するために二次巻線214と第1の負荷242との間に電気的に結合されている。図示されるように、CC出力は、調節負荷電流IL3を伴う最高電圧出力(すなわち出力電圧VO3)を含み得る。CV2出力は、負荷電流IL2を伴う調節された中間電圧(すなわち出力電圧VO2)であり得、CV1出力は、負荷電流IL1を伴う調整された電圧(すなわち出力電圧VO1)であり得る。
【0033】
更に示されるように、二次スイッチ222、225、228は、2方向に電流が流れることを可能にする双方向スイッチであり得る。例えば、二次スイッチ228は、制御信号Vcrによりゲーティングされるゲーティング対象スイッチ229を含み、およびダイオード230を含む。二次スイッチ225は、制御信号VC1によりゲーティングされるゲーティング対象スイッチ226を含み、およびダイオード227を含み、二次スイッチ222は、制御信号VC2によりゲーティングされるゲーティング対象スイッチ223を含み、およびダイオード224を含む。図2Cに関連して以下で説明されるように、二次スイッチ222、225、および228は、FETを含んで実現され得る。
【0034】
システム制御モジュール108は、スレーブサブシステムブロック250とマスターサブシステムブロック260とを含む。スレーブサブシステムブロック250は、一次スイッチ152、一次制御ブロック254、および二次制御ブロック256を含む。マスターサブシステムブロック260は、マスター制御モジュール262、CCMバイパス制御ブロック153、および負荷制御回路264を含む。
【0035】
スレーブサブシステムブロック250およびマスターサブシステムブロック260は、マスターサブシステムブロック260とスレーブサブシステムブロック250との間において情報を通信するために、マスター対スレーブ信号251を送信する、および受信するように電気的に結合され得る。例えば、マスター対スレーブ信号251は、マスターサブシステムブロック260とスレーブサブシステムブロック250との間において始動および/または定常状態制御情報を通信するために使用され得る。制御情報は、スイッチングモード(例えばCCMおよび/またはDCM)に関連した情報を含み得る。更に、始動中、二次制御ブロック256がカップリング信号REQを介して一次制御ブロック254に「ハンドシェイク信号」を送信し得るように、マスターサブシステムブロック260からスレーブサブシステムブロック250に状態を通信するためにマスター対スレーブ信号251が使用され得る。
【0036】
DCMモードにおける、および/またはCCMモードにおける動作中、一次スイッチ152のパルス幅変調(PWM)制御が、一次巻線212から二次巻線214、216、218にエネルギーが伝達されることを可能にする。一次制御ブロック254は、パルス幅変調(PWM)信号を使用して一次スイッチ152をゲーティングする(すなわちスイッチングする)ための一次制御信号Vcsを提供し得る。更に、クランプ110は、スイッチングサイクル中にスイッチ電圧VSWのピーク値をクランプするために使用され得る。
【0037】
二次制御ブロック256は、二次グランドRTNから二次巻線214、216、218を通る電流の流れを制御するために、二次スイッチ228にゲート制御信号Vcrを提供し得る。二次戻り電位SRTNは抵抗器Rwを介して二次制御ブロック256に提供され得、これは、一次スイッチ152のスイッチング状態および/またはスイッチングモード(すなわちCCMおよび/またはDCM)を特定するためのフォワードピン信号Vfwdに役立ち得る。例えば、二次制御ブロック256は、スイッチングモード(すなわちCCMおよび/またはDCM)を特定するために、フォワードピン信号Vfwdの特徴(例えば、リンギング、デューティサイクル、振幅、および/または周期)を監視し得る。代替的に、および追加的に、二次制御ブロック256は、閾値(例えば負の2ミリボルト)に対するフォワードピン信号Vfwdに応じてゲート制御信号Vcrを提供し得る。フォワードピン信号Vfwdが閾値未満に小さくなったこと、および閾値より大きくなったことに応答して、それぞれ二次スイッチ228がオンおよびオフに切り替わるように、ゲート制御信号Vcrが提供され得る。
【0038】
図示されるようにマスターサブシステムブロック260は、負荷フィードバック信号107に応答して二次スイッチブロック104と通信し得、二次スイッチ225と二次スイッチ222とをそれぞれ制御するための制御信号VC1およびVC2を提供し得る。幾つかの実施形態において、マスター制御モジュール262は、複数の負荷106に調節を提供するためにVfb1、Vfb2、および/またはVfb3を含む負荷フィードバック信号107を使用し得る。例えば、制御信号VC1は、出力電圧VO1(すなわちCV1出力)を調節するために二次スイッチ225にゲーティング信号を提供するために使用され得、制御信号VC2は、出力電圧VO2(すなわちCV2出力)を調節するために二次スイッチ222にゲーティング信号を提供するために使用され得る。更に、負荷制御回路264は、LEDストリング電流IS3AおよびIS3Bを制御することにより、負荷電流IL3(すなわちCC出力)を制御するために使用され得る。
【0039】
ここまでに説明されているように、CCMにおいて動作する(すなわちスイッチングする)ときに問題が発生し得る。本明細書における教示では、マスターサブシステムブロック260内における更なる回路および制御の特徴が、ダイオード220における逆回復を軽減するために使用され得る。例えば、マスターサブシステムブロック260は、ダイオード220における二次電流IS3を迂回させる(すなわちバイパスさせる)ためのCCMバイパス制御ブロック153を含み得る。CCMスイッチングサイクル中に、CCMバイパス制御ブロック153は、二次スイッチ222および225のうちの1つまたは複数をオンに切り替えるための制御信号VC1および/または制御信号VC2を提供し得る。二次スイッチ222および225の一方または両方をオンに切り替えることにより、ダイオード220との並列経路(例えば並列経路271、272のうちの一方または両方)が、二次電流IS1およびIS2のうちの1つまたは複数がダイオード電流(すなわち二次電流IS3)を迂回させる(すなわちバイパスさせる)ことを可能にする。
【0040】
図2Cは、電界効果トランジスタ(FET)を使用した図2Bのシステムレベル図の実現例を示す。二次スイッチ222、225、228は、それぞれNチャネルFET222b、225b、228bを使用して実現され得、FET222b、225b、228b内における内部ボディダイオードが、それぞれダイオード224、227、230として動作し得る。更に、ツェナーダイオードD1は、二次電圧VSEC1をクランプし、出力電圧VO1がツェナー電圧より高くなることを防止し得る。更に示されるように、一次スイッチ152は、NチャネルFET252を使用して実現され得る。二次スイッチ信号105は、出力電圧VO1、フォワードピン信号Vfwd、制御信号Vcr、VC1、VC2、および二次グランドRTNを更に含み得、および、負荷フィードバック信号107は、二次グランドRTN、出力電圧VO1、VO2、VO3、フィードバック信号Vfb1、Vfb2、Vfb3、およびLEDストリング電流IS3A、IS3Bを含み得る。更に、二次グランドRTNおよび複数の出力電圧VO1、VO2、VO3は、二次制御ブロック256およびマスターサブシステムブロック260に電力を提供し得る。
【0041】
図2Cの実施形態は、二次スイッチ222、225、228および一次スイッチ152を実現するために、それぞれNチャネルFET222b、225b、228b、および252を使用した多出力電力コンバーターシステム100の実現例を示すが、他の構成も可能である。当業者が理解し得るように、スイッチは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated gate bipolar transistor)および/または逆極性FET(例えばPチャネルFET)を包含する集積型、および/またはディスクリート型半導体コンポーネントを使用して実現され得、能動デバイスはシリコン、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素などに基づく材料加工を使用して実現され得る。更に、複数の負荷106は2つのLEDストリング283、284を含むものとして示されるが、2つより多いまたは少ないLEDストリング283、284を使用した負荷が可能である。
【0042】
図3Aは、一実施形態による、調節された電力をCC出力およびCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステム100の詳細なブロック図を示す。図3Aは、CV1、CV2、およびCC出力を調節するための制御ループを含むマスターサブシステムブロック260の実施形態を示す。マスターサブシステムブロック260は、負荷制御回路264、比較器291~294、および出力レギュレータブロック296を含み、出力レギュレータブロック296はCCMバイパス制御ブロック153を含む。
【0043】
動作中、比較器291~293はそれぞれ、フィードバック信号Vfb1~Vfb3を基準信号Vref1~Vref3と比較して、出力レギュレータブロック296に制御信号Vm1~Vm3を提供し得る。幾つかの実施形態において、マスター対スレーブ信号251は、CC出力およびCV出力(例えば出力電圧VO1~VO3)の閉ループ制御および開ループ制御のために、出力レギュレータブロック296から入手可能な情報を通信し得る。出力レギュレータブロック296は、比較器291~293の状態に部分的に基づいて制御信号VC1およびVC2を更に提供し得る。
【0044】
更に動作および始動過渡動作中に、比較器294は、出力電圧VO3を基準Vref4と比較することにより最高電圧出力(すなわち出力電圧VO3)に対するウェイクアップ機能を提供し得る。例えば、比較器294は、「パワーグッド」状態を信号伝達するために出力レギュレータブロック296に制御信号Vm4を提供し得る。「パワーグッド」状態は、出力電圧VO3が負荷を駆動する(すなわち、2つのLEDストリング283、284を駆動する)ための「適切な」値に達しているときを表し得る。
【0045】
本明細書における教示によると、システム制御モジュール108は、多出力電力コンバーター100がCCMにおいて動作しているときを認識するように、および、ダイオード逆回復電流(例えばダイオード220における逆回復電流)を大幅に減らす、および/または無くすように構成され得る。例えば、スレーブサブシステムブロック250および/または二次制御ブロック256はフォワードピン信号Vfwdを監視し、特性(例えば、リンギング特性および/またはアイドルリンギング状態)に基づいてCCMおよび/またはDCMを特定し得る。
【0046】
CCMと判定したことに応答して、システム制御モジュール108は、ダイオード220との並列経路を提供するために、二次スイッチブロック104のスイッチのうちの1つまたは複数を選択(すなわち制御)し得る。例えば、ダイオード220が二次電流IS3を伝導している間のCCMにおけるスイッチングサイクル(すなわちCCMスイッチングサイクル)中に、比較器291は、第1の負荷242がより多くの電力を要求していること(例えば、フィードバック信号Vfb1が基準信号Vref1未満に低下していること)を示す制御信号Vm1を提供し得る。それに応答して、CCMスイッチングサイクルの一部中に二次スイッチ225を閉じる(すなわち選択する)ために制御信号VC1が提供され得る。この手法により、ダイオード電流(すなわち二次電流IS3)の一部および/または実質的にすべてが小さくされ得、したがって、ダイオード220におけるダイオード逆回復電流の一部および/またはすべてが減らされ、および/または無くされ得る。
【0047】
代替的に、および追加的に、ダイオード220が電流を伝導している間のCCMにおけるスイッチングサイクル中に、比較器292は、第2の負荷238がより多くの電力を要求していること(例えば、フィードバック信号Vfb2が基準信号Vref2未満に低下したこと)を示す制御信号Vm2を提供し得る。それに応答して、ダイオード電流(すなわち二次電流IS3)の一部および/またはすべてをバイパスさせる(すなわち迂回させる)ために、CCMスイッチングサイクルの一部中に二次スイッチ222を閉じるために、制御信号VC2が提供され得る。
【0048】
当業者が理解し得るように、CCMバイパス制御ブロック153およびマスターサブシステムブロック260の制御ループは、他の混合信号および/またはアナログ回路を使用して実現されてもよく、したがって、マスターサブシステムブロック260により示される実現例は限定的な実施形態ではない。例えば、幾つかの構成において、制御ループは、アナログ・デジタルコンバーター(ADC:analog to digital converter)を使用して実現され得、フィードバック信号Vfb1~Vfb3は、デジタルドメインにおいて基準信号Vref1~Vref3と比較され得る。更に、基準信号Vref1~Vref3はデジタル的に生成されて、フィードバック信号Vfb1~Vfb3のデジタル表現と比較され得る。他の実施形態において、CCMバイパス制御ブロック153は、更なるハードウェアおよび/または回路を使用して実現されてもよい。
【0049】
図3Bは、別の実施形態による、調節された電力をCC出力およびCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステム100の詳細なブロック図を示す。図3Bの多出力電力コンバーターシステム100が負荷238に調節されたCV2出力を提供しないことを除いて、図3Bの多出力電力コンバーターシステム100は図3Aの多出力電力コンバーターシステム100と同様である。代替的に、出力電圧VO2は未調節であり、マスターサブシステムブロック260に未調節電圧を提供する。出力電圧VO2は、制御ループを伴わず、比較器292を使用せず、および、二次スイッチ222を使用せず、補助的未調節電源電圧としてマスターサブシステムブロック260内において使用され得る。
【0050】
図示されるように、ダイオード220は二次電流IS3を伝導し得、ダイオード221は二次電流IS2を伝導し得る。CCMと判定したことに応答して、システム制御モジュール108は、並列経路272を提供するために二次スイッチブロック104の二次スイッチ225を選択(すなわち制御)し得る。ダイオード220および/またはダイオード221が電流(すなわち二次電流IS3および/または二次電流IS2)を伝導している間の、CCMにおけるスイッチングサイクル(すなわちCCMスイッチングサイクル)中に、CCMスイッチングサイクルの一部中に二次スイッチ225を閉じる(すなわち選択する)ために、制御信号VC1が提供され得る。この手法により、ダイオード電流(すなわち二次電流IS3および/または二次電流IS2)の一部および/または実質的にすべてが迂回させられ(すなわちバイパスさせられ)得る。
【0051】
図3Aの多出力電力コンバーターシステム100はLEDストリング283、284へのCC出力として、および、負荷242へのCV1出力として、および、負荷238への出力CV2として、複数の負荷106に伝送される電力を提供する、および制御するための構成を示すが、他の構成も可能である。例えば図3Bに示される構成といった幾つかの構成において、負荷は調節を必要としない場合があり得る。代替的に、および追加的に、幾つかの用途は、より少ない、またはより多いCCおよび/またはCV調節負荷を含み得る。例えば、図3Cは、CV出力を含む電力コンバーターシステム100を示す。
【0052】
図3Cは、一実施形態による、調節された電力をCV出力に提供するための多出力電力コンバーターシステム100の詳細なブロック図を示す。図3Cの多出力電力コンバーターシステム100がLEDストリング283、284にCC出力を提供しないことを除いて、図3Cの多出力電力コンバーターシステム100は図3Aの多出力電力コンバーターシステム100と同様である。代替的に、電力がCV出力(すなわちCV3出力)として負荷285に伝送され得るように、出力電圧VO3が調節される。
【0053】
図4は、本明細書における教示による、スイッチングサイクル中における波形402~410を示す。波形402、403、404、および407は、それぞれ、時間に対する、電流の単位(例えばアンペア)で表された一次電流ISW、二次電流IS3、二次電流IS1、および二次電流IS2に対応し得、波形405、406、408、409、および410は、それぞれ、電圧の単位(例えばボルト)で表された制御信号Vm1、制御信号VC1、制御信号Vm2、制御信号VC2、およびカップリング信号REQに対応し得る。
【0054】
時点t0から時点t4までの期間はCCMスイッチングサイクルを表し得、この場合において、時点t0から時点t4までの期間(すなわちスイッチング周期)中、多出力電力コンバーターシステム100はCCMにおいて動作する。更に、時点t0から時点t4までのCCMスイッチングサイクル中、ダイオード220が二次電流IS3を伝導し得る。時点t0において、カップリング信号REQ(すなわち波形410)がパルス(すなわち、時点t0から時点t1まで持続するパルス)を提供し得る。それに応答して、一次スイッチ152が閉じ(すなわちオンに切り替わり)得、一次巻線212における一次電流ISWを伝導する。この点について、一次スイッチは、一次巻線212にエネルギー供給し得る。したがって、一次電流ISWは、時点t0において実質的にゼロから第1の電流値ISWA(例えば、500ミリアンペア)に遷移し、時点t2において第2の電流値ISWBまで(例えば、3アンペアまで)増加する。更に、時点t0から時点t2までに図示されるように、二次電流IS1、IS2、IS3(すなわち、波形404、407、403)は実質的にゼロであり得、一次スイッチ152が閉じていることを示し、制御信号VC1、VC2、Vm1、Vm2(すなわち、波形406、409、405、408)は実質的にゼロであり得、負荷(例えばCV2、CV1出力における負荷242、238)がイン・レギュレーション状態(in regulation)であり得、および/または電力を必要としていないことを示す。
【0055】
時点t2において一次スイッチ152が開き(すなわちオフに切り替わり)得、エネルギー(すなわち電力)が一次巻線212から二次巻線218に伝達し得る。したがって、時点t2において、波形402(すなわち一次電流ISW)が実質的にゼロに遷移し、波形403(すなわち二次電流IS3)がピーク電流値IS3Aまで(例えば10アンペアまで)増加する。
【0056】
時点t2から時点t3までの期間中に、ダイオード220は、波形403に従って二次電流IS3を伝導し得る。示されるように、波形403は時点t2におけるピーク電流値IS3Aから、時点t3における残存電流値IS3Bまで(例えば1アンペアまで)減少する。数学的には、波形403は、時点t2と時点t3との間において傾き(すなわち、波形403の時間微分)をもつものとして特徴付けられ得、時点t2と時点t3との間の傾きの大きさは電流減衰速度を表し得る。CCMスイッチングサイクル中、迂回電流(例えば二次電流IS1および/またはIS2)が、ダイオード220における二次電流IS3の一部および/または実質的にすべてをバイパスさせるために使用され得る。例えば、時点t3において、制御信号Vm1(すなわち波形405)がハイに遷移し得、CV1出力(すなわち出力電圧VO1)の負荷242が電力を必要としていることを示す。それに応答して、二次スイッチブロック104における二次スイッチ225をオンに切り替える(すなわち選択する)ために、制御信号VC1(すなわち波形406)がハイに遷移し得る。更に、CCMバイパス制御ブロック153は、時点t3においてローからハイへの波形406の遷移(すなわち立ち上がりエッジ)を有効にし得る。
【0057】
時点t3から時点t4まで、二次スイッチ225は、波形404に従って二次電流IS1を伝導し得る。図示されるように、二次電流IS1(すなわち波形404)は、時点t3における実質的にゼロから、時点t4におけるピーク迂回値IS1Aまで(例えば2アンペアまで)増加する。同時に、二次電流IS3(すなわち波形403)はより急な傾き(すなわち、より急な時間微分)で時点t3における残存電流値IS3Bから、時点t4における実質的にゼロまで減少する。波形403に示されるように、時点t3と時点t4との間の電流減衰速度は、時点t3と時点t4との間の電流減衰速度より大きい(すなわちより急な)ものであり得る。
【0058】
時点t3から時点t4まで、二次電流IS3がダイオード220において伝導する間に同時に、二次電流IS1が二次スイッチ225(すなわち並列経路)を通って伝導する。この手法により、二次電流IS1は、二次電流IS3のうちの一部および/またはすべてをバイパスさせるための迂回電流となり得る。有益には、一次スイッチ152が時点t4において再度オンに切り替わる(すなわち閉じる)前に、二次電流IS3は時点t4において実質的にゼロに達する。この手法により、ダイオードの蓄積された電荷は時点t4において実質的にゼロであり得、ダイオード220におけるダイオード逆回復電流は、実質的に軽減され(すなわち、減らされ、および/または無くされ)得る。
【0059】
更に、時点t4において示されているように、二次制御ブロック256は、カップリング信号REQ(すなわち波形410)を再度提供し得る。それに応答して、一次スイッチ152が再度オンに切り替わり得、後続のスイッチングサイクルを開始する。時点t4において始まる後続のスイッチングサイクル中に、CV1出力および第1の負荷242に電力が伝達するように、制御信号VC1(すなわち波形406)はハイに留まり得る。例えば、一次スイッチ152がオフに切り替わる時点t5において(すなわち、一次電流が実質的にゼロまで小さくなるとき)、波形404が実質的にゼロからピーク電流IS1Bまで遷移するように、電力がCV1出力に伝達し得る。
【0060】
波形402~410は、制御信号VC1が時点t3において遷移するCCMスイッチングサイクルに対応し得るが他の波形も可能である。例えば、時点t3において第2の負荷238が電力を要求し得、制御信号Vm1(すなわち波形405)の代わりに制御信号Vm2(すなわち波形408)がハイに遷移するような、別の負荷構成が存在し得る。したがって、迂回(すなわちバイパス)電流として二次電流IS1の代わりに二次電流IS2を使用するために、二次スイッチ225の代わりに二次スイッチ222が閉じられ得る。代替的に、および追加的に、CV1出力および/またはCV2出力がイン・レギュレーション状態であり、および、第1の負荷242および第2の負荷238が時点t3において電力を必要としていないとき、CCMバイパス制御ブロック153は、時点t3においてダイオード電流を迂回させる(すなわち二次電流IS3を迂回させる)ために、二次スイッチ225または二次スイッチ222を選択し得る。
【0061】
更に、本明細書における教示によると、スイッチ(例えば二次スイッチ222および/または二次スイッチ225)が選択された(すなわちオンに切り替えられた)ときから、一次スイッチ(例えば一次スイッチ152)がオンに切り替わるときまでの期間は「クロスオーバー期間」と呼ばれ得る。例えば、時点t0から時点t4までのCCMスイッチングサイクル中、時点t3から時点t4までのサイクルの一部(すなわちインターバル)が「クロスオーバー期間」と呼ばれ得る。幾つかの実施形態において、クロスオーバー期間は、CCMスイッチングサイクルの1パーセントから25パーセントの間の値をもつように制御され得る。例えば、1つの実施形態において、時点t0から時点t4までの期間は、130キロヘルツ(kHz)から50kHzの間のサイクル周波数に対応して7.7マイクロ秒(μs)から20μsの間であり得、対応するクロスオーバー期間は、300ナノ秒から2マイクロ秒の間であり得る。
【0062】
図5Aは、一実施形態による、多出力電力コンバーターシステム100のスイッチングサイクル中に複数の出力を制御するためのフローチャート500aを示す。ステップ502は、一次巻線212における一次電流ISWを伝導するために一次スイッチ152をオンに切り替える(すなわち閉じる)ことを表し得る。例えば、カップリング信号REQのパルスに応じて、一次制御ブロック254は、一次スイッチ152をゲーティングする(すなわち閉じる)ために一次制御信号Vcsを提供し得る。ステップ504は、その後に、エネルギーが一次巻線212から二次巻線214、215、218のうちの1つまたは複数に伝達し得るように、一次スイッチ152をオフに切り替える(すなわち開く)ことに対応し得る。
【0063】
次の判断ステップ506は制御判断に対応し得、ここで、システム制御モジュール108は、CC出力および/またはCV出力(例えばCV1、CV2、および/またはCC/CV3出力)のうちの1つまたは複数が電力を必要としているか判定する。図3Aを参照すると、システム制御モジュール108は、電力要求を特定することにおいて、マスターサブシステムブロック260を使用し得る。電力要求は、負荷(例えば、LEDストリング283、284、負荷238、および/または負荷242)のうちの1つまたは複数の負荷状態に少なくとも部分的に依存し得る。例えば、比較器293は、フィードバック信号Vfb3が基準信号Vref3未満に低下したことを示す制御信号Vm3を提供し得、負荷制御回路264が更にLEDストリング283、284に更なる電力(例えば更なる負荷電流IL3)を提供することの必要性を示し得る。代替的に、および追加的に、比較器292は、CV2出力が電力を必要としていること(例えばフィードバック信号Vfb2が基準信号Vref2未満に低下したこと)を示す制御信号Vm2を提供し得、比較器291は、CV1出力が電力を必要としていること(例えばフィードバック信号Vfb1が基準信号Vref1未満に低下したこと)を示す制御信号Vm1を提供し得る。
【0064】
CC出力および/またはCV出力のうちの少なくとも1つが電力を必要としていることを特定した場合、次のステップは判断ステップ508である。判断ステップ508は、モード、CCMまたはDCMを特定することに対応し得る。上述のように、CCMまたはDCMは、フォワードピン信号Vfwdの測定および/またはサンプリングに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。図3Aを再度参照すると、スレーブサブシステムブロック250および/または二次制御ブロック256はフォワードピン信号Vfwdを受信し得、特徴および/または状態(例えば、リンギング特性および/またはアイドルリンギング状態)に基づいてモード(すなわち、CCMまたはDCM)を特定する。それに応答して、スレーブサブシステムブロック250は、マスター対スレーブ信号251のうちの1つまたは複数を介してマスターサブシステムブロック260にモード(すなわち、CCMまたはDCM)を通信し得る。
【0065】
判断ステップ508中に、システム制御モジュール108(例えばスレーブサブシステムブロック250)が、多出力電力コンバーターシステム100がDCMにおいて動作していることを特定した場合、次のステップはステップ514となる。
【0066】
ステップ514は、DCMモード動作に対応し得、負荷要求に基づいてCC出力および/またはCV出力(例えば、CV1、CV2、および/またはCC/CV3出力)に電力が提供され得る。例えば、図3Aを参照すると、フィードバック信号Vfb3が基準信号Vref3未満に低下したことを制御信号Vm3が示している場合、電力(すなわち二次電流IS3)がCC出力に流れてLEDストリング283、284に負荷電流IL3を提供するように、出力レギュレータブロック296が制御信号VC1、VC2を提供し得る。したがって、二次スイッチ222、225が開く(すなわちオフに切り替えられる)ように、制御信号VC1、VC2が提供され得る。他方、フィードバック信号Vfb2が基準信号Vref2未満に低下したことを制御信号Vm2が示している場合、電力(すなわち二次電流IS2)がCV2出力に流れて負荷238に負荷電流IL2を提供するように、出力レギュレータブロック296が制御信号VC1、VC2を提供し得る。したがって、二次スイッチ222が閉じられる(すなわちオンに切り替えられる)ように制御信号VC2が提供され得るとともに、二次スイッチ225が開く(すなわちオフに切り替えられる)ように制御信号VC1が提供され得る。同様に、フィードバック信号Vfb1が基準信号Vref1未満に低下したことを制御信号Vm1が示している場合、電力(すなわち二次電流IS1)がCV1出力に流れて負荷242に負荷電流IL1を提供するように、出力レギュレータブロック296が制御信号VC1、VC2を提供し得る。したがって、二次スイッチ225が閉じられる(すなわちオンに切り替えられる)ように制御信号VC1が提供され得るとともに、二次スイッチ222が開く(すなわちオフに切り替えられる)ように制御信号VC2が提供され得る。
【0067】
ステップ514の後のステップ524は、一次スイッチをオンに切り替えるための要求を示すためにカップリング信号REQ(例えば波形410)を提供することに対応している。したがって、ステップ524の後に、ステップ502に戻って一次スイッチ152をオンに切り替える(すなわち閉じる)ことによりスイッチングサイクルが繰り返される。
【0068】
判断ステップ508中に、システム制御モジュール108(例えばスレーブサブシステムブロック250)が、多出力電力コンバーターシステム100がCCMにおいて動作していると判定した場合、次のステップは判断ステップ510となる。
【0069】
判断ステップ510は、CCMに伴ってCC/CV3出力が選択されているか否かを判定することに対応し得る。CC/CV3出力が選択されたことに対する基準は、判断ステップ506中にどの出力が電力を必要としていたかに部分的に基づき得る。判断ステップ506において、CC/CV3出力(例えばLEDストリング283、284)が電力を必要としていた、および、CV2出力およびCV1出力が電力を必要としていなかった場合、それは、CC/CV3出力を選択するための基準を満たし得る。CC/CV3出力が選択されていない場合、図示されるように、次のステップはステップ514となる。CC/CV3出力が選択されている場合、ダイオード220が二次電流IS3を伝導するように、一次巻線212からのエネルギーが二次巻線218に伝達し得る。
【0070】
判断ステップ512は、CC/CV3出力において電力に対する要求がある間に(すなわち、ダイオード220が二次電流IS3を伝導している間に)、CV1出力および/またはCV2出力が電力を必要としているか否かを判定することに対応し得る。ステップ512において、CC/CV3出力における電力に対する要求のみが存在する場合、ダイオード220が二次電流IS3を伝導し続け得、多出力電力コンバーターシステム100は判断ステップ506に戻り得る。判断ステップ512から判断ステップ506に戻るとき、多出力電力コンバーターシステム100はDCMに戻り得る。しかし、判断ステップ512において、CV2出力および/またはCV1出力において電力に対する要求が同時に存在する場合、多出力電力コンバーターシステム100は、判断ステップ516に進んで、CV2出力および/またはCV1出力を通して並列経路を選択することを開始し得る。
【0071】
判断ステップ516において、CV2出力が電力を必要としている場合(例えば、負荷238がより多くの負荷電流IL2を必要としている場合)、次のステップは、二次スイッチ222を選択することによりCV2出力を有効化することに対応したステップ520であり得る。例えば、図3Aを参照すると、ステップ520中に、制御信号VC2が二次スイッチ222を閉じる(すなわちオンに切り替える)ように、CCMバイパス制御ブロック153が制御信号Vm2に基づいて二次スイッチ222の選択を有効にし得る。この手法により、二次電流IS2が、ダイオード220における電流IS3の一部またはすべてをバイパスさせるための迂回電流となり得る。代替的に、CV2出力が電力を必要としていない場合、次のステップは、二次スイッチ225を選択することによりCV1出力を有効化することに対応したステップ518となり得る。CV1出力は最低電圧(すなわち出力電圧VO1)に対応し得、二次スイッチ225の選択により選択され得る。例えば、CV2出力が電力を必要としていない場合、ステップ518中に、CCMバイパス制御ブロック153は、判断ステップ516後の初期設定として二次スイッチ225の選択を有効にし得る。この手法により、二次電流IS1は、ダイオード220における電流IS3の一部またはすべてをバイパスさせる迂回電流となり得る。
【0072】
ステップ518およびステップ520の後に、迂回電流(例えば二次電流IS1または二次電流IS2)がクロスオーバー期間に対応した期間にわたって提供され得ることを示すステップ522が続く。次のステップ524は、次に、カップリング信号REQを介したパルス(例えば波形510の時点t0から時点t1までのパルス)を使用して新しいサイクルを開始し得る。
【0073】
図4を参照すると、時点t0と時点t4との間のCCMスイッチングサイクルは、時点t0においてステップ502から始まり、時点t2においてステップ504に進むシーケンスに対応し得る。時点t2の後であって時点t3の前に、シーケンスは、時点t2における判断ステップ506から判断ステップ512を通るようにたどり得る。時点t3において、システムはステップ516に遷移し得、ここで、CV2出力が電力を必要としていないと判定され得る。したがって、システムは時点t3においてステップ518に続く。同時に、制御信号Vm1およびVC1(すなわち、波形405および406)は、二次スイッチ225を選択する(すなわち、オンに切り替える)ためにハイに遷移し得る。ステップ522は、時点t3から時点t4までのクロスオーバー期間に対応し得る。ステップ524および次のステップ502が、波形410(すなわちカップリング信号REQ)の立ち上がりエッジに対応し得、時点t4における一次スイッチ152の次のオン切り替え遷移を伴う。
【0074】
図5Bは、別の実施形態による、多出力電力コンバーターシステム100のスイッチングサイクル中に複数の出力を制御するためのフローチャート500bを示す。フローチャート500bは、判断ステップ512の条件(すなわち、CC/CV3出力が電力を必要としているという条件)が成り立つとき、判断ステップ512が異なるシーケンスを進めることを除いてフローチャート500aと同様である。フローチャート500aと比べると、ステップ506に戻る代わりに、判断ステップ512の後の次のステップはステップ532となる。ステップ532において、CV1出力またはCV2出力のいずれかが、それぞれ、二次スイッチ225または222を介して迂回電流(すなわち、二次電流IS1または二次電流IS2)を提供することを可能にされる。次のステップ534は、ダイオード220における二次電流IS3が実質的にゼロまで小さくなることを可能にするためにクロスオーバー期間を待つことに対応し得、次のステップ536は、CC/CV3出力を選択することに対応し得る。CC/CV3出力(例えば、LEDストリング283~284に対応した出力電圧VO3)を選択することは、CV1出力およびCV2出力を選択解除することに対応し得る。例えば、CC/CV3出力を選択することは、二次スイッチ222および二次スイッチ225を開く(すなわちオフに切り替える)ことに対応し得る。
【0075】
フローチャート500aおよび500bは、CV1、CV2、およびCC/CV3出力を含む3つの出力に対するステップおよび判断ステップを含むが、他のフローチャートも可能である。例えば、当業者が理解し得るように、3つより多いまたは少ない出力をもつ多出力コンバーターシステムが可能であり、したがって、3つより多いまたは少ない出力に対する対応するフローチャートが更に可能である。
【0076】
図6は、本明細書における教示による、スイッチングサイクル中に多出力電力コンバーターシステム100を制御するための概念的なフロー図600を示す。ステップ602は、一次巻線(例えば一次巻線212)における一次電流ISWを提供するためのスイッチングサイクルを開始するために一次スイッチ(例えば一次スイッチ152)をオンに切り替えることに対応し得る。ステップ604は、エネルギーを二次巻線(例えば、二次巻線214、216、および/または218)に伝達するために一次スイッチ152をオフに切り替えることに対応し得る。
【0077】
ステップ606は、ダイオードを介して高電圧(例えば最高電圧)二次出力に二次電流を提供することに対応し得る。例えば、ステップ606は、負荷電流IL3を使用してLEDストリング283~284を駆動するためにCC/CV3出力(例えば出力電圧VO3)に二次電流IS3を提供することに対応し得、ダイオード220が二次電流IS3を伝導し得る。ステップ608は、より低い電圧の二次出力に並列経路をいつ提供するかを特定することに対応し得る。例えば、ステップ608は、モード、CCMまたはDCMを特定するためにフォワードピン信号Vfwdを測定することを含み得、フォワードピン信号Vfwdは、二次巻線(例えば二次巻線214)に由来する二次巻線電圧であり得る。ステップ608は、CV2出力および/またはCV1出力が選択され得るか否かを判定するための判断ステップ(例えば判断ステップ516)を更に含み得る。CV2出力および/またはCV1出力は、二次スイッチ(例えば二次スイッチ222および/または二次スイッチ225)をオンに切り替えるために(すなわち選択するために)制御信号(例えば制御信号VC2および/またはVC1)を提供することにより選択され得る。
【0078】
本明細書における教示によると、ステップ610は、迂回電流(例えば二次電流IS2および/またはIS1)を伴ってダイオード電流(例えば二次電流IS3)を迂回させることに対応し得る。例えば、図4および波形402~410を参照すると、ステップ602は、時点t0において一次スイッチ152をオンに切り替えるサイクル(すなわちCCMスイッチングサイクル)に対応し得る。ステップ604は、時点t2において一次スイッチ152をオフに切り替えることに対応し得る。ステップ606は、時点t2において始まる二次電流IS3を提供することに対応し得、ダイオード220が二次電流IS3を伝導し得る。ステップ608およびステップ610は、制御信号Vm1およびVC1が時点t3においてハイに遷移したとき、二次スイッチ225をオンに切り替える(すなわち選択する)ことに対応し得る。時点t3と時点t4との間において、二次電流IS1が、ダイオード220からCV1出力への(すなわち負荷242への)二次電流IS3を迂回させ得る。有益には、迂回電流(すなわち二次電流IS1)は、ダイオード電流(すなわち、ダイオード220における二次電流IS3)を実質的にゼロまで小さくし得、したがって、時点t4において始まる後続のサイクル中、ダイオード逆回復電流が実質的に低減され、または除去され得る。
【0079】
説明および例示的な図面において、独立して制御されるCC/CV多出力の概念が主に、エネルギー伝達要素(例えば変圧器)における二次巻線の直列結合とともに示されていることが理解される。しかし、それは限定とみなされてはならず、本明細書の教示により、用途および複数の出力の各々における負荷電力要求に基づいて、独立して調節されるCV/CC出力が、独立して制御および調節される出力のすべてのための共通戻り線を使用した、直列巻線、並列巻線、または直列巻線と並列巻線との両方の任意の結合の組み合わせにより構成され得ることが理解される。
【0080】
提案されるコンバータートポロジーは、複数の別々に調節される定電圧および/または定電流出力を伴う用途を対象とした単一段多出力フライバックコンバーターの一例である。このような製品に対する例示的な対象は、例えば40~50Vの電圧降下を伴う調節された調節可能な(例えば調光する)定電流出力を必要とするバックライトLEDの並列なストリング(例えばアレイ)のためのCC制御される出力と、各出力に対して厳しい調節精度要件を満たさなければならない論理部、ユニバーサルシリアルバス(USB:universal serial bus)、およびオーディオに給電するための1つまたは複数のCV制御される出力とを含むモニターおよびテレビ用途を包含し得る。
【0081】
本明細書において提示されているように、本教示の一態様はスイッチングサイクル中に多出力スイッチング式電力コンバーターシステムを制御する方法であって、一次スイッチを閉じることと、一次スイッチを開くことと、第2の電流路を有効にすることと、迂回電流を提供することとを含む方法である。一次スイッチは、エネルギー伝達デバイス(例えば変圧器)の一次巻線にエネルギー供給するために閉じられ得、一次スイッチは、ダイオード(例えばダイオード270)を介して第1の電流路(例えば経路270)における高電圧二次出力に二次電流を提供するために開かれ得る。第2の電流路(例えば並列経路271および/または並列経路272)は、第1の電流路と並列であり得、迂回電流が第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に提供され得る。多出力スイッチング式コンバーターシステムスイッチングサイクルを制御する方法は、連続伝導モード(CCM)スイッチングサイクルであり得る。
【0082】
別の一態様において、多出力電力コンバーターは複数の負荷に電力を提供するように構成される。多出力電力コンバーターは多出力電力コンバーターシステムに対応し得、変圧器、一次スイッチ、二次スイッチブロック、およびシステム制御モジュールを備え得る。変圧器(例えば変圧器102)は、一次巻線と複数の二次巻線(例えば、複数の直列接続された二次巻線214、216、218)とを備える。複数の二次巻線は、複数の二次出力(例えば、二次戻り電位SRTNに対する二次巻線電圧VSEC1~VSEC3を含む二次出力)を伴い、一次巻線は、電源からエネルギーを受信するように電気的に結合されている。一次スイッチは一次巻線に電気的に結合されており、スイッチングサイクル(例えばCCMスイッチングサイクル)に従ってスイッチングするように構成されている。二次スイッチブロックは複数の二次出力に電気的に結合されており、複数の出力を備える。複数の出力は、高電圧二次出力(例えば、最高電圧出力VO3を含むCC/CV3出力)と、より低い電圧の二次出力(例えば、最低電圧出力VO1を含むCV1出力)とを含む。高電圧二次出力は、ダイオード(例えばダイオード220)を介して複数の二次巻線に電気的に結合されている。システム制御モジュールは、スイッチングサイクル中に高電圧二次出力からより低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させるように構成されている。
【0083】
別の一態様において、連続伝導モード(CCM)中に複数の出力に伝送される電流を制御する方法は、第1のスイッチングサイクルを開始するために一次スイッチをオンに切り替えることと、一次スイッチをオフに切り替えることと、二次電流を提供することと、第2の電流路をいつ提供するかを特定することと、二次電流を迂回させることと、第2のスイッチングサイクルを開始するために一次スイッチをオンに切り替えることとを含む。二次電流はダイオードを介して第1の電流路における高電圧二次出力に提供され、第2の電流路は第1の電流路と並列である。二次電流は、高電圧二次出力から、第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に迂回させられる。
【0084】
本開示の示される例の上述の説明は、要約で説明される事項を含め、網羅的であることを意図したものではなく、開示される形態そのものへの限定であることを意図したものでもない。多出力スイッチング式コンバーターおよび多出力スイッチング式電力コンバーターシステムの連続伝導モード動作の特定の実施形態および例は、本明細書において例示を目的として説明されており、本開示のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく様々な同等な変更が可能である。実際、具体的で例示的な電圧、電流、周波数、出力範囲値、時間などが説明のために提示されること、および、本明細書の教示に従って他の実施形態および例において他の値も使用され得ることが理解される。
【0085】
本発明は請求項において規定されるが、本発明が代替的に以下の例により規定され得ることが理解されなければならない。
【0086】
例1:エネルギー伝達デバイスの一次巻線にエネルギー供給するために一次スイッチを閉じることと、ダイオードを介して第1の電流路における高電圧二次出力に二次電流を提供するために一次スイッチを開くことと、第1の電流路と並列な第2の電流路を有効にすることと、第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に迂回電流を提供することとを含む、スイッチングサイクル中に多出力スイッチング式電力コンバーターシステムを制御する方法。
【0087】
例2:スイッチングサイクルが、連続伝導モード(CCM)スイッチングサイクルである、第1の例に記載の方法。
【0088】
例3:高電圧二次出力が、定電流(CC)出力である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
例4:高電圧二次出力が、定電圧(CV)出力である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
例5:高電圧二次出力の電圧が、より低い電圧の二次出力の電圧より大きい、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
例6:より低い電圧の二次出力が、定電圧(CV)出力である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
例7:より低い電圧の二次出力が、5ボルトから20ボルトの間の電圧をもつ出力を提供する、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
例8:高電圧二次出力が、20ボルトから100ボルトの間の電圧をもつ出力を提供する、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
例9:ダイオードを介して第1の電流路における高電圧二次出力に二次電流を提供するために一次スイッチを開くことが、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に二次電流を提供することを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
例10:第1の電流路と並列な第2の電流路を有効にすることが、二次スイッチを閉じることを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
例11:第1の電流路と並列な第2の電流路を有効にすることが、動作モードを検出したことに応答して第2の電流路を有効にすることを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
例12:動作モードが、連続伝導モード(CCM)を含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
例13:動作モードを検出したことに応答して第2の電流路を有効にすることが、フォワードピン信号を測定することを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
例14:フォワードピン信号が、二次巻線電圧である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
例15:第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に迂回電流を提供することが、第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に電流を迂回させながら、同時に、ダイオードを介して高電圧二次出力に二次電流を提供することを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
例16:第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に迂回電流を提供することが、クロスオーバー期間中に、第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に迂回電流を提供することを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
例17:クロスオーバー期間が、300ナノ秒から2マイクロ秒の間である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
例18:複数の負荷に電力を提供するように構成された多出力電力コンバーターであって、多出力電力コンバーターが、一次巻線と複数の二次出力をもつ複数の二次巻線とを備える変圧器であって、一次巻線が、第1の電源からエネルギーを受信するように構成された、変圧器と、一次巻線に電気的に結合された、および、スイッチングサイクルに従ってスイッチングするように構成された一次スイッチと、複数の二次出力に電気的に結合された、および、複数の出力を備える二次スイッチブロックであって、複数の出力が、ダイオードを介して複数の二次巻線に電気的に結合された高電圧二次出力と、より低い電圧の二次出力とを備える、二次スイッチブロックと、スイッチングサイクル中に高電圧二次出力からより低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させるように構成されたシステム制御モジュールとを備える、多出力電力コンバーター。
【0104】
例19:高電圧二次出力が、定電流(CC)出力である。前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0105】
例20:高電圧二次出力が、定電圧(CV)出力である、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0106】
例21:高電圧二次出力の電圧が、より低い電圧の二次出力の電圧より大きい、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0107】
例22:より低い電圧の二次出力が、定電圧(CV)出力である、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0108】
例23:より低い電圧の二次出力が、5ボルトから20ボルトの間の電圧をもつ出力を提供する、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0109】
例24:高電圧二次出力が、20ボルトから100ボルトの間の電圧をもつ出力を提供する、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0110】
例25:高電圧二次出力が、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)に二次電流を提供するように構成された、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0111】
例26:二次スイッチブロックが、ダイオードと二次スイッチとを備え、システム制御モジュールが、より低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させるために二次スイッチを閉じるように構成された、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0112】
例27:システム制御モジュールが、連続伝導モード(CCM)を検出したことに応答して二次電流を迂回させるように構成された、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0113】
例28:変圧器が、システム制御モジュールにフォワードピン信号を提供するように構成された二次巻線を備え、システム制御モジュールが、フォワードピン信号から連続伝導モードを検出したことに応答して二次電流を迂回させるように構成された、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0114】
例29:システム制御モジュールが、フォワードピン信号を受信するように、および、フォワードピン信号から連続伝導モードを検出したことに応答して二次電流を迂回させるように構成された、前述の例のいずれか1つに記載の多出力電力コンバーター。
【0115】
例30:連続伝導モード(CCM)中に多出力電力コンバーターシステムにおいて複数の出力に伝送される電流を制御する方法であって、複数の出力の電圧が、高電圧二次出力とより低い電圧の二次出力とを含み、方法が、第1のスイッチングサイクルを開始するために一次スイッチをオンに切り替えることと、一次スイッチをオフに切り替えることと、ダイオードを介して第1の電流路における高電圧二次出力に二次電流を提供することと、第1の電流路と並列な第2の電流路をいつ提供するかを特定することと、高電圧二次出力から第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させることと、第2のスイッチングサイクルを開始するために一次スイッチをオンに切り替えることとを含む、方法。
【0116】
例31:高電圧二次出力が、定電流(CC)出力である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
例32:高電圧二次出力が、定電圧(CV)出力である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
例33:より低い電圧の二次出力が、定電圧(CV)出力である、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
例34:高電圧二次出力が、より低い電圧の二次出力の電圧より大きい電圧をもつ、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
例35:第1の電流路と並列な第2の電流路をいつ提供するかを特定することが、より低い電圧の二次出力を示すフィードバック信号を受信することと、フィードバック信号に応答して、第2の電流路の二次スイッチをオンに切り替えることとを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
例36:高電圧二次出力から第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させることが、クロスオーバー期間中に高電圧二次出力からより低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させることを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
例37:高電圧二次出力から第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させることが、ダイオードの蓄積された電荷を減らすことを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
例38:高電圧二次出力から第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させることが、より低い電圧の二次出力に迂回電流を提供することを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
例39:高電圧二次出力から第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に二次電流を迂回させることが、ダイオードを介して高電圧二次出力に二次電流を提供することと、同時に第2の電流路における、より低い電圧の二次出力に迂回電流を提供することとを含む、前述の例のいずれか1つに記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6