(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置及びブレーキ制御装置の接続方法
(51)【国際特許分類】
B60T 15/36 20060101AFI20230831BHJP
B61H 13/34 20060101ALI20230831BHJP
B60T 15/02 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B60T15/36 A
B61H13/34
B60T15/02
(21)【出願番号】P 2022112580
(22)【出願日】2022-07-13
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】黒光 将
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-112307(JP,A)
【文献】特開2005-067312(JP,A)
【文献】米国特許第5454399(US,A)
【文献】特表2022-523032(JP,A)
【文献】特開2007-265395(JP,A)
【文献】特開2013-234627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00-17/22
B61H 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体源から供給される流体が入力される入力ポートと、入力された前記流体の流量又は圧力を調整してブレーキ装置を作動させるための流体を出力する出力ポートと、を備える複数の調整弁を備え、
各前記調整弁は、前記入力ポートと接続される入力流路と、前記出力ポートに接続され前記調整弁から出力された前記流体が流れる信号流路と、を含む空気流路が形成されたバックプレートをそれぞれ備え、
前記バックプレート同士は、互いの前記空気流路が連通するように接続される
ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記バックプレート同士の間に設けられ、一方の前記バックプレートの前記空気流路と他方の前記バックプレートの前記空気流路とを接続する接続流路を有する接続プレートを備える
請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記接続プレートは、異なる流路が形成された板材が積層されたプレートである
請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記バックプレートには、一組の前記入力流路が形成され、
接続された前記バックプレートのうち端部に位置する前記バックプレートの前記一組の入力流路同士を連通し、前記端部に位置するバックプレートの前記空気流路に蓋をする連通プレートを備える
請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
各前記調整弁は、前記バックプレートに共通の前記入力流路と前記信号流路とを備え、
前記バックプレートは、前記各調整弁の機能に応じて、前記入力ポートと前記入力流路とを接続する第1接続路と、前記出力ポートと前記信号流路とを接続する第2接続路と、を備える
請求項1~4のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記ブレーキ装置は、鉄道車両の各車輪に対して設けられ、台車毎に制御され、
前記調整弁の一つは、第1ブレーキ装置を作動させる電磁弁の集まりである第1電磁弁群と、第2ブレーキ装置を作動させる電磁弁の集まりである第2電磁弁群と、を備え、
前記第1電磁弁群及び前記第2電磁弁群は、1つの前記バックプレートに設けられ、
前記第1電磁弁群の前記入力ポート及び前記第2電磁弁群の前記入力ポートは、前記バックプレートに形成された一組の前記入力流路のそれぞれに接続される
請求項5に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記ブレーキ装置は、鉄道車両の各車輪に対して設けられ、車両毎に制御され、
前記調整弁の一つは、前記鉄道車両の一両に設けられる全ての前記ブレーキ装置を作動させる電磁弁の集まりである電磁弁群を備え、
前記電磁弁群の入力ポートは、前記入力流路に接続される
請求項5に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
流体源から供給される流体が入力される入力ポートと、入力された前記流体の流量又は圧力を調整してブレーキ装置を作動させるための流体を出力する出力ポートと、を備える複数の調整弁を備え、
各前記調整弁は、前記入力ポートと接続される入力流路と、前記出力ポートに接続され前記調整弁から出力された前記流体が流れる信号流路と、を含む空気流路が形成されたバックプレートをそれぞれ備えるブレーキ制御装置の接続方法であって、
前記バックプレート同士を互いの前記空気流路が連通するように接続する接続ステップと、
接続された前記バックプレートを固定する固定ステップと、を含む
ブレーキ制御装置の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置及びブレーキ制御装置の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のブレーキ制御装置は、圧力制御部から出力されたブレーキ指令信号(電気信号)に応じたブレーキ指令圧(空気圧)を出力する電磁弁と、この電磁弁が出力するブレーキ指令圧を制御圧として、これに基づく容量増幅を行ってブレーキ装置に出力する中継弁とを備えている。また、ブレーキ制御装置は、乗客や貨物等の積載荷重に応じた圧力変化を検出し、その検出出力を中継弁に提供する応荷重弁を備えている。電磁弁には、中継弁、複式逆止弁、応荷重弁を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のブレーキ制御装置では、中継弁、複式逆止弁、応荷重弁等の電磁弁の空気通路を備えるプレートを備え、このプレートが弁体を備えた弁ブロック又は管座に固定されている。このプレートによって電磁弁と弁ブロックの位置を自由に設計可能である。しかしながら、弁体の種類や数が変わる度に必要な配管が変わるため、管座やプレートを設計しなおす必要があり、設計作業が煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するブレーキ制御装置は、流体源から供給される流体が入力される入力ポートと、入力された前記流体の流量又は圧力を調整してブレーキ装置を作動させるための流体を出力する出力ポートと、を備える複数の調整弁を備え、各前記調整弁は、前記入力ポートと接続される入力流路と、前記出力ポートに接続され前記調整弁から出力された前記流体が流れる信号流路と、を含む空気流路が形成されたバックプレートをそれぞれ備え、前記バックプレート同士は、互いの前記空気流路が連通するように接続される。
【0006】
上記構成によれば、共通の空気流路を備えるバックプレートにより各調整弁の流路が接続される。このため、調整弁の組み合わせが変更されても調整弁に備えられたバックプレートによって空気流路を接続することができ、新たな配管設計が不要である。よって、設計作業が容易である。
【0007】
上記ブレーキ制御装置について、前記バックプレート同士の間に設けられ、一方の前記バックプレートの前記空気流路と他方の前記バックプレートの前記空気流路とを接続する接続流路を有する接続プレートを備えることが好ましい。
【0008】
上記ブレーキ制御装置について、前記接続プレートは、異なる流路が形成された板材が積層されたプレートであることが好ましい。
上記ブレーキ制御装置について、前記バックプレートには、一組の前記入力流路が形成され、接続された前記バックプレートのうち端部に位置する前記バックプレートの前記一組の入力流路同士を連通し、前記端部に位置するバックプレートの前記空気流路に蓋をする連通プレートを備えることが好ましい。
【0009】
上記ブレーキ制御装置について、各前記調整弁は、前記バックプレートに共通の前記入力流路と前記信号流路とを備え、前記バックプレートは、前記各調整弁の機能に応じて、前記入力ポートと前記入力流路とを接続する第1接続路と、前記出力ポートと前記信号流路とを接続する第2接続路と、を備えることが好ましい。
【0010】
上記ブレーキ制御装置について、前記ブレーキ装置は、鉄道車両の各車輪に対して設けられ、台車毎に制御され、前記調整弁の一つは、第1ブレーキ装置を作動させる電磁弁の集まりである第1電磁弁群と、第2ブレーキ装置を作動させる電磁弁の集まりである第2電磁弁群と、を備え、前記第1電磁弁群及び前記第2電磁弁群は、1つの前記バックプレートに設けられ、前記第1電磁弁群の前記入力ポート及び前記第2電磁弁群の前記入力ポートは、前記バックプレートに形成された一組の前記入力流路のそれぞれに接続されることが好ましい。
【0011】
上記ブレーキ制御装置について、前記ブレーキ装置は、鉄道車両の各車輪に対して設けられ、車両毎に制御され、前記調整弁の一つは、前記鉄道車両の一両に設けられる全ての前記ブレーキ装置を作動させる電磁弁の集まりである電磁弁群を備え、前記電磁弁群の入力ポートは、前記入力流路に接続されることが好ましい。
【0012】
上記課題を解決するブレーキ制御装置の接続方法は、流体源から供給される流体が入力される入力ポートと、入力された前記流体の流量又は圧力を調整してブレーキ装置を作動させるための流体を出力する出力ポートと、を備える複数の調整弁を備え、各前記調整弁は、前記入力ポートと接続される入力流路と、前記出力ポートに接続され前記調整弁から出力された前記流体が流れる信号流路と、を含む空気流路が形成されたバックプレートをそれぞれ備えるブレーキ制御装置の接続方法であって、前記バックプレート同士を互いの前記空気流路が連通するように接続する接続ステップと、接続された前記バックプレートを固定する固定ステップと、を含む。
【0013】
上記方法によれば、共通の空気流路を備えるバックプレートにより各調整弁の流路が接続される。このため、調整弁の組み合わせが変更されても調整弁に備えられたバックプレートによって調整弁の流路を接続することができ、新たな配管設計が不要である。よって、設計作業が容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設計作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ブレーキ制御装置の第1実施形態の構成を示す正面図である。
【
図2】同実施形態のブレーキ制御装置の空気部の構成を示す拡大正面図である。
【
図3】(a)同実施形態の調整弁モジュールのバックプレートの空気流路を示す正面図である、(b)同実施形態の調整弁モジュールのバックプレートの空気流路を示す右側面図である。
【
図4】(a)同実施形態の調整弁モジュールのバックプレートの空気流路を示す正面図である、(b)同実施形態の調整弁モジュールのバックプレートの空気流路を示す右側面図である。
【
図5】(a)同実施形態の調整弁モジュールの接続プレートを示す正面図である、(b)同実施形態の調整弁モジュールの接続プレートの構成を示す部分拡大正面図である。
【
図6】(a)~(e)同実施形態の調整弁モジュールの接続プレートの構成を示す右側面図である。
【
図7】同実施形態のブレーキ制御装置の空気経路の概略構成を示すブロック図である。
【
図8】ブレーキ制御装置の第2実施形態の構成を示す正面図である。
【
図9】同実施形態のブレーキ制御装置の空気部の構成を示す拡大正面図である。
【
図10】同実施形態のブレーキ制御装置の空気経路の概略構成を示すブロック図である。
【
図11】ブレーキ制御装置の空気部のモジュールの変形例を示す正面図である。
【
図12】ブレーキ制御装置の空気部のモジュールの変形例を示す正面図である。
【
図13】ブレーキ制御装置の空気部のモジュールの変形例を示す正面図である。
【
図14】ブレーキ制御装置の空気部のモジュールの変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図7を参照して、ブレーキ制御装置の第1実施形態について説明する。ブレーキ制御装置は、鉄道車両のブレーキ装置を制御することで鉄道車両を制動する。ブレーキ装置は、鉄道車両の各車輪に対して設けられる。第1実施形態のブレーキ制御装置1は、鉄道車両の車両毎に設けられ、同じ車両に設けられたブレーキ装置を全て制御する。
【0017】
(ブレーキ制御装置1)
図1に示すように、ブレーキ制御装置1は、空気部2と、電気部3と、を備えている。ブレーキ制御装置1は、直方体状のケース4を備えている。ケース4は、空気部2と電気部3とを収容している。ケース4内の下部に空気部2が位置し、ケース4内の上部に電気部3が位置している。ケース4の図中右側の側面には、鉄道車両の制御装置(図示略)と接続される接続部5が設けられている。空気部2は、流体源であるタンク(図示略)から供給された圧縮空気の流量又は圧力を調整して、圧縮空気をブレーキ装置(図示略)に供給する。空気部2には、複数の調整弁11が設けられている。電気部3は、ブレーキコントローラ71を備えている。ブレーキコントローラ71は、空気部2に設けられた複数の調整弁11を電気的に制御することで空気部2を制御する。空気部2と電気部3とは、接続線(図示略)によって電気的に接続されている。
【0018】
(空気部2)
図2に示すように、空気部2は、異なる機能を持った複数の調整弁モジュール10を備えている。調整弁モジュール10は、調整弁11とバックプレート20とを備えたモジュールである。バックプレート20は、板状であって、空気流路23が設けられている。各調整弁11は、バックプレート20に設けられた取付穴21に複数のねじ12が締結されることによってバックプレート20に固定されている。空気部2は、図中右から応荷重弁モジュール30と、電磁弁モジュール40と、中継弁モジュール50と、を備えている。これらモジュールの両端には、バックプレート20の側面の空気流路23を塞ぐ塞ぎプレート80が設けられ、ボルト13とナット14とによって固定されている。ボルト13がバックプレート20に設けられた貫通孔である固定孔22に挿通されて、ボルト13にナット14が締結されている。調整弁モジュール10同士の間には、接続プレート60が挟まれている。接続プレート60は、一方のバックプレート20の空気流路23と他方のバックプレート20の空気流路23とを接続する接続流路を有する。
【0019】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、バックプレート20には、共通の空気流路23が形成されている。空気流路23は、バックプレート20の長辺と長辺とを結ぶ複数の貫通孔である。空気流路23は、タンクから供給された圧縮空気が流れる第1入力流路L1及び第2入力流路L2の2個を備えている。第1入力流路L1は、バックプレート20の図中上端部寄りに設けられている。第2入力流路L2は、バックプレート20の図中下端部寄りに設けられている。また、空気流路23は、調整弁11から出力された圧縮空気の少なくとも一方が流れる第1信号流路S1、第2信号流路S2、第3信号流路S3、及び第4信号流路S4の4個を備えている。バックプレート20には、3個の固定孔22が設けられている。第1信号流路S1、第2信号流路S2、第3信号流路S3、及び第4信号流路S4と3個の固定孔22とは、繋がっていない。バックプレート20は、例えばアルミ材であって、引き抜き成形によって空気流路23も含めて成形される。なお、バックプレート20は、押し出し成形によって空気流路23も含めて成形してもよい。このような成型方法であれば、加工工数を低減して、コストを削減することができる。また、バックプレート20は、板材に貫通孔をドリル等で形成してもよい。また、第1信号流路S1、第2信号流路S2、第3信号流路S3、及び第4信号流路S4には、調整弁11に入力される圧縮空気が流れてもよい。
【0020】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、バックプレート20は、共通の空気流路23に加えて、バックプレート20に固定される調整弁11に合わせて調整弁11と接続される複数の接続路が形成される。例えば、第1接続路25は、調整弁11の入力ポートと第2入力流路L2とを接続する。第2接続路26は、調整弁11の入力ポートと第2信号流路S2とを接続する。第3接続路27は、調整弁11の入力ポートと第3信号流路S3とを接続する。第4接続路28は、調整弁11の出力ポートとバックプレート20の背面とを接続している。第5接続路29は、調整弁11の排出ポートとバックプレート20の背面とを接続している。バックプレート20には、第1入力流路L1にタンクから圧縮空気を供給する供給路24が設けられている。なお、各バックプレート20に設けられる接続路及び供給路は、各調整弁11に合わせて数と位置とが異なる。第1接続路25、第2接続路26、第3接続路27は、第1接続路として機能する。また、第4接続路28は、第2接続路として機能する。
【0021】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、接続プレート60は、3枚のプレートをブレージングシート62,64で接合したプレートである。第1接続プレート61と第2接続プレート63との間にブレージングシート62が設けられ、第2接続プレート63と第3接続プレート65との間にブレージングシート64が設けられる。ブレージングシート62,64は、ろう接により接続するシートである。
【0022】
図6(a)~
図6(e)に示すように、第1接続プレート61、第2接続プレート63、及び第3接続プレート65には、バックプレート20と同様に、第1入力流路L1、第2入力流路L2、第1信号流路S1、第2信号流路S2、第3信号流路S3、及び第4信号流路S4が形成されている。接続プレート60は、異なる流路が形成された板材が積層されたプレートである。例えば、第2接続プレート63のように第2信号流路S2と第3信号流路S3とを繋ぎ、第3接続プレート65のように第2信号流路S2を塞ぐことで空気流路23の接続先を変更することができる。接続プレート60において空気流路23の接続先を変更することができるので、バックプレート20内に空気流路23の接続先を変更するための流路を形成しなくてよい。
【0023】
図7に示すように、応荷重弁モジュール30の応荷重弁31には、車両に掛かる荷重を計測する4個の応荷重センサAS1,AS2,AS3,AS4からの空気圧信号がそれぞれ入力される。応荷重センサAS1,AS2,AS3,AS4から空気圧信号を入力する接続路は、応荷重弁モジュール30のバックプレート20の第1信号流路S1、第2信号流路S2、第3信号流路S3、及び第4信号流路S4にそれぞれ接続される。応荷重弁モジュール30は、第1信号流路S1、第2信号流路S2、第3信号流路S3、及び第4信号流路S4の空気圧をそれぞれ検出する圧力センサPS1,PS2,PS3,PS4を備えている。圧力センサPS1,PS2,PS3,PS4は、応荷重センサAS1,AS2,AS3,AS4から入力された空気圧信号の空気圧をそれぞれ検出することができる。圧力センサPS1,PS2,PS3,PS4は、ブレーキコントローラ71に接続され、検出した空気圧をブレーキコントローラ71に出力する。応荷重弁31は、タンク6から供給された圧縮空気を応荷重に合わせた流量に変更して電磁弁モジュール40に出力する。すなわち、応荷重弁31の入力ポート31Aは、第2入力流路L2に接続されている。これにより第2入力流路L2から応荷重弁31にタンク6からの圧縮空気が入力される。応荷重弁31の出力ポート31Bは、信号流路の一つである第3信号流路S3に接続されている。第3信号流路S3は、応荷重弁モジュール30において、応荷重センサAS3に連通される通路と、応荷重弁31に連通される通路とに分離している。応荷重弁31の排出ポート31Cはバックプレート20の背面に接続され、圧縮空気が外部に排出される。なお、図中の「EX」は、外部への排出を意味している。
【0024】
電磁弁モジュール40は、第1電磁弁41と、第2電磁弁42と、第3電磁弁43と、を備えている。第1電磁弁41及び第2電磁弁42は、ブレーキコントローラ71に電気的に接続されて、ブレーキコントローラ71によって制御される。第3電磁弁43は、非常用電磁弁であって、非常ブレーキ指令線に電気的に接続されて、非常ブレーキ指令によって制御される。第1電磁弁41は、弁体を開閉することによってタンク6から供給された圧縮空気の供給と停止とを切り替える。第2電磁弁42は、弁体の開閉の間隔を変更することによって第1電磁弁41から供給された圧縮空気の一部を排出することで供給量を調整する。第3電磁弁43は、非常用弁であって、弁体の位置を切り替えることによって応荷重弁モジュール30から供給された圧縮空気の供給とブレーキ装置7に供給された圧縮空気の排出とを切り替える。第3電磁弁43は、非常時にブレーキ装置7に供給された圧縮空気を排出する。第1電磁弁41の入力ポート41Aは、第2入力流路L2に接続されている。第1電磁弁41の出力ポート41Bは、第4信号流路S4に接続されている。第2電磁弁42の入力ポート42Aは、第4信号流路S4に接続されている。第2電磁弁42の排出ポート42Bはバックプレート20の背面に接続され、圧縮空気が外部に排出される。第3電磁弁43の入力ポート43Aは、第3信号流路S3に接続されている。第3電磁弁43の出力ポート43Bは、第2信号流路S2に接続されている。第3電磁弁43の排出ポート43Cはバックプレート20の背面に接続され、圧縮空気が外部に排出される。第1電磁弁41と、第2電磁弁42と、第3電磁弁43と、の集まりは、第1電磁弁群に相当する。
【0025】
中継弁モジュール50は、中継弁51を備えている。中継弁51は、電磁弁モジュール40の第1電磁弁41から供給された圧縮空気の流量を、応荷重弁モジュール30から電磁弁モジュール40の第3電磁弁43を介して供給された圧縮空気の圧力に応じて増幅してブレーキ装置7を作動させるための圧縮空気を供給する。中継弁51の第1入力ポート51Aは、第2入力流路L2に接続されている。中継弁51の第2入力ポート51Bは、第2信号流路S2に接続されている。中継弁51の第3入力ポート51Cは、第4信号流路S4に接続されている。中継弁51の出力ポート51Dは、第4接続路28に接続されている。第4接続路28は、バックプレート20の背面からブレーキ装置7の接続管に接続される。中継弁51の排出ポート51Eは、第5接続路29に接続されている。第5接続路29はバックプレート20の背面に接続され、圧縮空気が外部に排出される。中継弁モジュール50は、第4信号流路S4の空気圧を検出する圧力センサPS5を備えている。圧力センサPS5は、第4信号流路S4の空気圧を検出する。また、中継弁モジュール50は、第4接続路28の空気圧を検出する圧力センサPS6を備えている。圧力センサPS6は、第4接続路28の空気圧を検出する。圧力センサPS5,PS6は、ブレーキコントローラ71に接続され、検出した空気圧をブレーキコントローラ71に出力する。
【0026】
(接続方法)
応荷重弁モジュール30のバックプレート20、電磁弁モジュール40のバックプレート20、中継弁モジュール50のバックプレート20同士は、互いの空気流路23が連通するように接続される(接続ステップに相当する)。このとき、バックプレート20同士の間には、接続プレート60が挟まれる。また、これらバックプレート20の両端には塞ぎプレート80が配置され、バックプレート20の側面の空気流路23が塞がれる。続いて、接続されたバックプレート20、接続プレート60、塞ぎプレート80同士をボルト13とナット14とによって固定する(固定ステップに相当する)。
【0027】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)共通の空気流路23を備えるバックプレート20により各調整弁11の流路が接続される。このため、調整弁11の組み合わせが変更されても調整弁11に備えられたバックプレート20によって空気流路23を接続することができ、新たな配管設計が不要である。よって、設計作業が容易である。
【0028】
(1-2)バックプレート20を設計変更せずに、接続プレート60を替えることで、バックプレート20間の流路の接続を自由に変更することができる。
(1-3)接続プレート60の板材の組み合わせを替えることで、バックプレート20間の流路の接続を自由に変更することができる。
【0029】
(1-4)バックプレート20に各調整弁11の機能に応じて、入力ポートと入力流路及び入力流路とを接続する第1接続路と、出力ポートと信号流路とを接続する第2接続路と、を備える。このため、共通の入力流路及び信号流路に加えて第1接続路及び第2接続路を備えることで、調整弁11毎にバックプレート20を予め用意することができ、新たな配管設計が不要である。
【0030】
(1-5)電磁弁群が鉄道車両の一両に対して設けられる。このため、鉄道車両の一両に設けられるブレーキ装置7に1つの電磁弁群によって同じように圧縮空気を供給することができる。
【0031】
(第2実施形態)
以下、
図8~
図10を参照して、ブレーキ制御装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態のブレーキ制御装置は、鉄道車両の台車毎に設けられ、同じ台車に設けられたブレーキ装置を全て制御する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0032】
(ブレーキ制御装置1)
図8に示すように、ブレーキ制御装置1は、空気部2と、電気部3と、を備えている。ブレーキ制御装置1は、直方体状のケース4を備えている。ブレーキ制御装置1は、2個の台車に設けられるブレーキ装置を制御する。
【0033】
(空気部2)
図9に示すように、空気部2は、異なる機能を持った複数の調整弁モジュール10を備えている。調整弁モジュール10は、調整弁11とバックプレート20とを備えたモジュールである。バックプレート20は、板状であって、空気流路23が設けられている。各調整弁11は、バックプレート20に設けられた取付穴21に複数のねじ12が締結されることによってバックプレート20に固定されている。空気部2は、図中右から応荷重弁モジュール30と、電磁弁モジュール140と、中継弁モジュール150と、を備えている。これらモジュールの右端には、バックプレート20の側面の空気流路23を塞ぐ塞ぎプレート80が設けられる。これらモジュールの左端には、空気流路23を塞ぐとともに、第1入力流路L1と第2入力流路L2とを連通する連通プレート90が設けられる。これらモジュールは、ボルト13とナット14とによって固定されている。ボルト13がバックプレート20に設けられた貫通孔である固定孔22に挿通されて、ボルト13にナット14が締結されている。調整弁モジュール10同士の間には、接続プレート60が挟まれている。接続プレート60は、一方のバックプレート20の空気流路23と他方のバックプレート20の空気流路23とを接続する接続流路を有する。
【0034】
図10に示すように、応荷重弁モジュール30は、第1実施形態と同様の構成である。
電磁弁モジュール140は、第1電磁弁41と、第2電磁弁42と、第3電磁弁43と、の第1電磁弁群に加え、第4電磁弁44と、第5電磁弁45と、を備えている。第1電磁弁41と、第2電磁弁42と、第3電磁弁43とは、第1実施形態と同様の構成である。第4電磁弁44及び第5電磁弁45は、ブレーキコントローラ71に電気的に接続されて、ブレーキコントローラ71によって制御される。第4電磁弁44は、弁体を開閉することによってタンク6から供給された圧縮空気の供給と停止とを切り替える。第5電磁弁45は、弁体の開閉の間隔を変更することによって第4電磁弁44から供給された圧縮空気の一部を排出することで供給量を調整する。第4電磁弁44の入力ポート44Aは、第1入力流路L1に接続されている。第4電磁弁44の出力ポート44Bは、第1信号流路S1に接続されている。第5電磁弁45の入力ポート45Aは、第1信号流路S1に接続されている。第5電磁弁45の排出ポート45Bはバックプレート20の背面に接続され、圧縮空気が外部に排出される。第4電磁弁44と、第5電磁弁45と、の集まりは、第2電磁弁群に相当する。第1電磁弁群及び第2電磁弁群は、1つのバックプレート20に設けられ、第1電磁弁群の入力ポート41A及び第2電磁弁群の入力ポート44Aは、バックプレート20に形成された一組の第1入力流路L1と第2入力流路L2にそれぞれ接続されている。
【0035】
電磁弁モジュール140の第2信号流路S2は、電磁弁モジュール140と中継弁モジュール150との間の接続プレート60において第2信号流路S2と第3信号流路S3とに接続される。よって、電磁弁モジュール140の第2信号流路S2の圧縮空気は、中継弁モジュール150の第2信号流路S2と第3信号流路S3とに供給される。
【0036】
中継弁モジュール150は、中継弁51に加え、中継弁52を備えている。中継弁51と中継弁52とは、異なるブレーキ装置7に圧縮空気を供給する。中継弁51は、第1実施形態と同様の構成である。中継弁52は、電磁弁モジュール140の第4電磁弁44から供給された圧縮空気の流量を、応荷重弁モジュール30から電磁弁モジュール140の第3電磁弁43を介して供給された圧縮空気の圧力に応じて増幅してブレーキ装置7を作動させるための圧縮空気を供給する。中継弁52の第1入力ポート52Aは、第1入力流路L1に接続されている。中継弁52の第2入力ポート52Bは、第3信号流路S3に接続されている。中継弁52の第3入力ポート52Cは、第1信号流路S1に接続されている。中継弁52の出力ポート52Dは、第4接続路28に接続されている。中継弁52の第4接続路28は、中継弁51の第4接続路28とは異なる流路である。第4接続路28は、バックプレート20の背面からブレーキ装置7の接続管に接続される。中継弁52の排出ポート52Eは、第5接続路29に接続されている。第5接続路29はバックプレート20の背面に接続され、圧縮空気が外部に排出される。中継弁52の第5接続路29は、中継弁51の第5接続路29とは異なる流路である。中継弁モジュール150は、第1信号流路S1の空気圧を検出する圧力センサPS7を備えている。圧力センサPS7は、第1信号流路S1の空気圧を検出する。また、中継弁モジュール150は、中継弁52に接続される第4接続路28の空気圧を検出する圧力センサPS8を備えている。圧力センサPS8は、中継弁52に接続される第4接続路28の空気圧を検出する。圧力センサPS7,PS8は、ブレーキコントローラ71に接続され、検出した空気圧をブレーキコントローラ71に出力する。
【0037】
(接続方法)
応荷重弁モジュール30のバックプレート20、電磁弁モジュール140のバックプレート20、中継弁モジュール150のバックプレート20同士は、互いの空気流路23が連通するように接続される(接続ステップに相当する)。このとき、バックプレート20同士の間には、接続プレート60が挟まれる。また、これらバックプレート20の右端には塞ぎプレート80が配置され、バックプレート20の側面の空気流路23が塞がれる。これらバックプレート20の左端には連通プレート90が配置され、第1入力流路L1と第2入力流路L2とが連通され、バックプレート20の側面の空気流路23が塞がれる。続いて、接続されたバックプレート20、接続プレート60、塞ぎプレート80、連通プレート90同士をボルト13とナット14とによって固定する(固定ステップに相当する)。
【0038】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)~(1-4)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)連通プレート90によって端部に位置するバックプレート20の一組の第1入力流路L1と第2入力流路L2とを連通するため、一組の第1入力流路L1と第2入力流路L2との一方の入力流路から他方の入力流路に圧縮空気を流すことができる。
【0039】
(2-2)第1電磁弁群及び第2電磁弁群が1つのバックプレート20に設けられ、バックプレート20に形成された一組の第1入力流路L1と第2入力流路L2とにそれぞれ接続される。このため、第1電磁弁群及び第2電磁弁群を容易にバックプレート20に設けることができ、第1電磁弁群及び第2電磁弁群が異なるバックプレート20に設けられる場合と比較してスペースを抑制することができる。
【0040】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0041】
・上記各実施形態では、バックプレート20にボルト13を貫通させて、バックプレート20同士をナット14で固定した。しかしながら、空気流路23が接続されていれば、他の方法でバックプレート20同士を固定してもよい。
【0042】
・上記各実施形態において、バックプレート20の幅(正面視左右方向)は、任意に変更可能である。
・上記各実施形態において、接続プレート60が不要であれば、接続プレート60を省略してもよい。
【0043】
・上記各実施形態において、各調整弁11と接続される信号流路は、複数の信号流路から任意に選択可能である。選択した信号流路に合わせて接続路を形成すればよい。
・上記各実施形態において、各調整弁11と接続される信号流路をバックプレート20に4個設けた。しかしながら、各調整弁11と接続される信号流路をバックプレート20に2個や3個、5個以上設けてもよい。
【0044】
・上記各実施形態では、において、モジュールを3個としたが、モジュールの組み合わせは2個以上で任意に選択可能である。例えば、応荷重弁モジュール30を省略してもよい。また、ブレーキ制御装置1は、複式逆止弁とバックプレート20とを備えた複式逆止弁モジュールを備えてもよい。
【0045】
・上記各実施形態において、
図11に示されるように、空気フィルタモジュール160をブレーキ制御装置1に備えてもよい。空気フィルタモジュール160は、空気フィルタ161と、空気流路23が設けられたバックプレート20と、を備える。空気フィルタ161は、タンク6から供給された圧縮空気から異物を除去する。
【0046】
・上記各実施形態において、
図12に示されるように、圧力スイッチモジュール170をブレーキ制御装置1に備えてもよい。圧力スイッチモジュール170は、圧力スイッチ171と、空気流路23が設けられたバックプレート20と、を備える。圧力スイッチ171は、入力流路の圧力や信号流路の圧力が閾値以上や閾値以下であるときに信号を出力する。
【0047】
・上記各実施形態において、
図13に示されるように、圧力センサモジュール180をブレーキ制御装置1に備えてもよい。圧力センサモジュール180は、圧力センサ181と、空気流路23が設けられたバックプレート20と、を備える。圧力センサ181は、入力流路の圧力や信号流路の圧力を検出する。
【0048】
・上記各実施形態において、
図14に示されるように、検圧モジュール190をブレーキ制御装置1に備えてもよい。検圧モジュール190は、検圧栓191と、コック192と、空気流路23が設けられたバックプレート20と、を備える。検圧栓191は、入力流路や信号流路に検圧センサを挿し込むことで圧力を測定することができる栓である。コック192は、圧力を測定する流路に圧縮空気を供給又は停止するものである。
【0049】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0050】
・上記各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0051】
L1…第1入力流路
L2…第2入力流路
S1…第1信号流路
S2…第2信号流路
S3…第3信号流路
S4…第4信号流路
1…ブレーキ制御装置
2…空気部
3…電気部
4…ケース
5…接続部
6…タンク
7…ブレーキ装置
10…調整弁モジュール
11…調整弁
12…ねじ
13…ボルト
14…ナット
20…バックプレート
21…取付穴
22…固定孔
23…空気流路
24…供給路
25…第1接続路
26…第2接続路
27…第3接続路
28…第4接続路
29…第5接続路
30…応荷重弁モジュール
31…応荷重弁
31A…入力ポート
31B…出力ポート
31C…排出ポート
40…電磁弁モジュール
41…第1電磁弁
41A…入力ポート
41B…出力ポート
42…第2電磁弁
42A…入力ポート
42B…排出ポート
43…第3電磁弁
43A…入力ポート
43B…出力ポート
43C…排出ポート
44…第4電磁弁
44A…入力ポート
44B…出力ポート
45…第2電磁弁
45A…入力ポート
45B…排出ポート
50…中継弁モジュール
51…中継弁
51A…第1入力ポート
51B…第2入力ポート
51C…第3入力ポート
51D…出力ポート
51E…排出ポート
52…中継弁
52A…第1入力ポート
52B…第2入力ポート
52C…第3入力ポート
52D…出力ポート
52E…排出ポート
60…接続プレート
61…第1接続プレート
62…ブレージングシート
63…第2接続プレート
64…ブレージングシート
65…第3接続プレート
66…接続流路
71…ブレーキコントローラ
80…塞ぎプレート
90…連通プレート
140…電磁弁モジュール
150…中継弁モジュール
160…空気フィルタモジュール
161…空気フィルタ
170…圧力スイッチモジュール
171…圧力スイッチ
180…圧力センサモジュール
181…圧力センサ
190…検圧モジュール
191…検圧栓
192…コック
【要約】
【課題】設計作業が容易であるブレーキ制御装置及びブレーキ制御装置の接続方法を提供する。
【解決手段】ブレーキ制御装置は、タンクから供給される圧縮空気が入力される入力ポートと、入力された圧縮空気の流量又は圧力を調整してブレーキ装置を作動させるための圧縮空気を出力する出力ポートと、を備える複数の調整弁11を備える。各調整弁11は、入力ポートと接続される入力流路と、出力ポートに接続され調整弁から出力された圧縮空気が流れる信号流路と、を含む空気流路が形成されたバックプレート20を備える。バックプレート20同士は、互いの空気流路が連通するように接続される。
【選択図】
図2