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▶ エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッドの特許一覧

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  • 特許-MEMSマイクロフォン 図1
  • 特許-MEMSマイクロフォン 図2
  • 特許-MEMSマイクロフォン 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】MEMSマイクロフォン
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/04 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
H04R19/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022192863
(22)【出願日】2022-12-01
(65)【公開番号】P2023109697
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】202220231023.3
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】石正雨
(72)【発明者】
【氏名】王琳琳
(72)【発明者】
【氏名】張叡
【審査官】上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102740204(CN,A)
【文献】特開2014-057175(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108616799(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00ー31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックチャンバーを有する基板と、前記基板に設けられた容量システムとを備え、前記容量システムが、バックプレートと、前記バックプレートに対向して設けられた振動板とを有し、前記振動板が前記基板に固定され、前記バックプレートの前記基板に近い側に位置するMEMSマイクロフォンであって、
前記バックプレートは、中間部と、前記中間部を囲んで前記基板に固定された固定部とを有し、
前記固定部は、前記中間部よりも厚さが厚く、
前記固定部は、前記基板から離れる第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有し、前記第1面は、前記中間部に接続された第1弧面を含み、前記第1弧面は、前記基板から離れる方向に突出しており、
前記固定部は、本体部と、前記本体部に積層された絶縁層とを有し、前記絶縁層は、前記固定部の第1面に接続されており、
前記本体部と絶縁層とは、同種の材料である、
ことを特徴とするMEMSマイクロフォン。
【請求項2】
前記第1面は、前記第1弧面に接続された第2弧面をさらに含み、前記第2弧面は、前記基板から離れる方向に突出している、
ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項3】
前記本体部と前記中間部とは、厚さが同じである、
ことを特徴とする請求項に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項4】
前記本体部と絶縁層とは、一体構造または別体構造である、
ことを特徴とする請求項に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項5】
前記絶縁層は、中空環状構造である、
ことを特徴とする請求項に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項6】
前記本体部と絶縁層とは、形状が同じである、
ことを特徴とする請求項に記載のMEMSマイクロフォン。
【請求項7】
前記第1面と第2面とは、形状が同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSマイクロフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響分野に関し、特にMEMS(微小電気機械システム)マイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル通信技術は急速に発展しており、消費者は、例えば携帯電話、インターネットが利用できる携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または専用通信ネットワークの通信を行う他のデバイスなどの移動体通信機器を使用することが増えてきており、その中でマイクロフォンは重要な部品の一つであり、特にMEMSマイクロフォンである。
【0003】
微小電気機械システム(Micro―Electro―Mechanical System:MEMS)マイクロフォンは、マイクロマシン加工技術を利用して作製された電気音響変換器であり、それは、体積が小さく、周波数レスポンスがよく、ノイズが低いなどの特徴を持っている。電子機器の小型化、軽量化が進むにつれて、MEMSマイクロフォンはこれらの機器にますます広く利用されるようになってきている。
【0004】
関連技術におけるMEMSマイクロフォンは、バックチャンバーを有する基板と、前記基板に設けられた容量システムとを備え、前記容量システムは、バックプレートと、前記バックプレートに対向して設けられた振動板とを有し、バックプレートは、中間部と、基板に接続された固定部と、中間部と固定部とを接続する接続部とを有し、接続部は、中間部および固定部に対して垂直であり、すなわち、バックプレートと基板とは、直角に直接接続されており、MEMSマイクロフォンが大きな音圧を受けると、直角に接続されている箇所に応力が集中して、バックプレートが破断しやすくなり、バックプレートの信頼性が低下する。
【0005】
そこで、上記の問題を解決するために、改良されたMEMSマイクロフォンを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、信号対雑音比の良いMEMSマイクロフォンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために提供されるMEMSマイクロフォンは、バックチャンバーを有する基板と、前記基板に設けられた容量システムとを備え、前記容量システムは、バックプレートと、前記バックプレートに対向して設けられた振動板とを有し、前記振動板は前記基板に固定され、前記バックプレートの前記基板に近い側に位置し、前記バックプレートは、中間部と、前記中間部を囲んで前記基板に固定された固定部とを有し、前記固定部は、前記中間部よりも厚さが大きく、前記固定部は、前記基板から離れる第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有し、前記第1面は、前記中間部に接続された第1弧面を含み、前記第1弧面は、前記基板から離れる方向に突出している。
【0008】
好ましくは、前記第1面は、前記第1弧面に接続された第2弧面をさらに含み、前記第2弧面は、前記基板から離れる方向に突出している。
【0009】
好ましくは、前記固定部は、本体部と、前記本体部に積層された絶縁層とを有し、前記絶縁層は、前記固定部の第1面に接続されている。
【0010】
好ましくは、前記本体部と前記中間部とは、厚さが同じである。
【0011】
好ましくは、前記本体部と絶縁層とは、同種の材料である。
【0012】
好ましくは、前記本体部と絶縁層とは、異なる材料である。
【0013】
好ましくは、前記本体部と絶縁層とは、一体構造または別体構造である。
【0014】
好ましくは、前記絶縁層は、中空環状構造である。
【0015】
好ましくは、前記本体部と絶縁層とは、形状が同じである。
【0016】
好ましくは、前記第1面と第2面とは、形状が同じである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るMEMSマイクロフォンは、関連技術に比べて、バックプレートの本体部に絶縁層を積層することで、バックプレートにおける基板と接続された固定部の剛性を高め、バックプレートに小さなスクイズフィルムダンパ(squeeze film damping)を持たせ、バックプレートの信頼性を改善し、MEMSマイクロフォンに良好な信号対雑音比を持たせる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができ、そのうち、
図1図1は、本発明の実施例に係るMEMSマイクロフォンの構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施例に係るMEMSマイクロフォンの分解図である。
図3図3は、図1のAA線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて進歩的な労働をしない前提に得られた他の全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0020】
図1図2および図3を参照して、本発明のMEMSマイクロフォン100は、バックチャンバー11を有する基板10と、前記基板10に設けられた容量システム32とを備える。容量システム32は、バックプレート20と、前記バックプレート20に対向して設けられた振動板30とを有し、バックプレート20及び振動板30は、いずれも前記基板10に固定され、前記振動板30は、バックプレート20の前記基板10に近い側に位置している。
【0021】
前記バックプレート20は、中間部21と、この中間部21を囲んで前記基板10に固定された固定部22とを有し、前記中間部21は複数の貫通孔210が設けられ、かつ、前記中間部21の振動板30の振動方向への投影が全て前記振動板30内に位置し、前記固定部22は、前記基板10から離れる第1面2211と、前記第1面2211に対向する第2面2212とを有し、前記第1面2211は、前記中間部21に接続された第1弧面22111と、前記第1弧面22111を囲んで第1弧面22111に接続された第2弧面22112とを含み、前記第1弧面22111及び第2弧面22112は、いずれも前記基板10から離れる方向に突出している。第1弧面22111及び第2弧面22112は、バックプレート20の基板10との接続箇所における応力分布を改善することができ、MEMSマイクロフォン100の性能を向上させることができる。好ましくは、前記第1面2211および第2面2212の形状は同じである。
【0022】
本実施形態では、前記固定部22の厚さが前記中間部21の厚さよりも大きいことにより、バックプレート20の剛性を大きくして、同じ音圧においてより小さい応力を発生させることができ、これによりバックプレート20の信頼性を高める。
【0023】
具体的には、前記固定部22は、本体部221と、前記本体部221に積層された絶縁層222とを有し、前記本体部221と前記中間部21とは、厚さが同じである。導電層を設ける場合よりも、絶縁層222の厚さを高くすることができ、バックプレート20の剛性を大きくし、バックプレート20の信頼性を高める上でより有利となる。本体部221は、絶縁層222と同種の材料であってもよく、本体部221と絶縁層222とは、一体成形された一体構造であってもよく、別体構造であってもよい。他の実施形態では、本体部221は、絶縁層222とは異なる材料であってもよい。
【0024】
また、絶縁層222は中空環状構造であり、好ましくは、絶縁層222の形状は本体部221の形状と同じであり、バックプレート20の剛性をより良く大きくすることができる。
【0025】
本発明に係るMEMSマイクロフォン100は、バックプレート20の本体部221に絶縁層222を積層することで、バックプレート20における基板10と接続された固定部22の剛性を高め、バックプレート20に小さなスクイズフィルムダンパ(squeeze film damping)を持たせ、MEMSマイクロフォン100に良好な信号対雑音比を持たせる。
【0026】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
図1
図2
図3