(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】温度制御方法、エアロゾル発生装置及びエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20230831BHJP
【FI】
A24F40/57
(21)【出願番号】P 2022500937
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2020100610
(87)【国際公開番号】W WO2021008406
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】201910635439.4
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520095670
【氏名又は名称】上海新型煙草制品研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 祥林
(72)【発明者】
【氏名】▲聶▼ 斌
(72)【発明者】
【氏名】▲陸▼ ▲聞▼杰
(72)【発明者】
【氏名】瞿 江洪
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/068821(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108618207(CN,A)
【文献】特表2015-507477(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109043665(CN,A)
【文献】特表2015-524260(JP,A)
【文献】特表2013-545474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0245550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出素子と、エアロゾル発生基体を加熱するための加熱素子と、を備えるエアロゾル発生装置に用いられる温度制御方法であって、
第一段階では、
前記加熱素子が初期温度から第一温度に上昇するように制御することと、
第二段階では、
前記加熱素子が
前記第一温度から第二温度に降下するように制御することと、
第三段階では、
前記加熱素子が
前記第二温度で恒温動作するように制御し、もし
前記検出素子が吸引を検出すると、
前記加熱素子が第三温度に上昇するように制御することと、を含
み、
前記第三段階では、もし前記検出素子が第一予め設定時間内に吸引を検出すると、前記加熱素子が前記第二温度で前記第一予め設定時間だけ恒温するように制御した後、さらに、前記加熱素子が前記第三温度に上昇するように制御し、
もし前記検出素子が前記第一予め設定時間内に吸引を検出しないと、前記加熱素子が前記第二温度で前記第三段階が終了するまで動作し続けるように制御することを特徴とする温度制御方法。
【請求項2】
前記第一予め設定時間の長さは
前記第三段階から
前記エアロゾル発生基体の
前記第二温度で生じたエアロゾル量が不足し始めるまでの時間の長さに等しいことを特徴とする請求項
1に記載の温度制御方法。
【請求項3】
予め設定した総吸引回数を検出した場合、前記第三段階を終了させる請求項1または2に記載の温度制御方法。
【請求項4】
前記第一温度、前記第二温度及び前記第三温度は前記エアロゾル発生基体がエアロゾルを発生させる温度よりも高い、且つ前記エアロゾル発生基体の燃焼温度よりも低いことを特徴とする請求項1または2に記載の温度制御方法。
【請求項5】
前記第一温度及び/又は前記第三温度は200~500℃の間にあり、及び/又は前記第二温度は180~350℃の間にあることを特徴とする請求項1または2に記載の温度制御方法。
【請求項6】
検出素子と、エアロゾル発生基体を加熱するための加熱素子と、を備えるエアロゾル発生装置に用いられる温度制御方法であって、
第一段階では、前記加熱素子が初期温度から第一温度に上昇するように制御することと、
第二段階では、前記加熱素子が前記第一温度から第二温度に降下するように制御することと、
第三段階では、前記加熱素子が前記第二温度で恒温動作するように制御し、もし前記検出素子が吸引を検出すると、前記加熱素子が第三温度に上昇するように制御することと、を含み、
前記第三段階
は複数の工程に分かれ、工程毎に予め設定時間の長さ、予め設定した吸引回数及び予め設定した温度が独立して設置され、いずれか1つの工程において、
前記加熱素子が当該工程の予め設定した温度で恒温動作するように制御し、当該工程の予め設定時間内に当該工程の予め設定した吸引回数を検出すると、当該工程を終了させ、温度を上昇させ、次の工程に入
り、
前記第三段階では、いずれか1つの工程において、もし当該工程の予め設定時間内に、検出した吸引回数が当該工程の予め設定した吸引回数よりも小さければ、前記第三段階が終了するまで前記加熱素子が当該工程の予め設定した温度で恒温動作するように制御することを特徴とす
る温度制御方法。
【請求項7】
前記第三段階では、隣接する2つの工程の予め設定した温度の差値が15℃以下であることを特徴とする請求項
6に記載の温度制御方法。
【請求項8】
前記第三段階では、後の工程中の予め設定した吸引回数が先行工程中の予め設定した吸引回数以下であることを特徴とする請求項
6に記載の温度制御方法。
【請求項9】
予め設定した総吸引回数を検出した場合、
前記第三段階を終了させることを特徴とする請求項
6~8のいずれか1項に記載の温度制御方法。
【請求項10】
前記第一温度、
前記第二温度及び
前記第三温度は
前記エアロゾル発生基体がエアロゾルを発生させる温度よりも高い、且つ
前記エアロゾル発生基体の燃焼温度よりも低いことを特徴とする請求項
6~8のいずれか1項に記載の温度制御方法。
【請求項11】
前記第一温度及び/又は
前記第三温度は200~500℃の間にあり、及び/又は前記第二温度は180~350℃の間にあることを特徴とする請求項
6~8のいずれか1項に記載の温度制御方法。
【請求項12】
制御素子と、検出素子と、エアロゾル発生基体を加熱するための加熱素子と、を備え、前記制御素子は前記加熱素子のエネルギー供給を制御することで、請求項1~11のいずれか1項に記載の温度制御方法を実現することを特徴とするエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記検出素子は、
前記加熱素子の温度を検出して、
前記加熱素子の温度変化によって吸引動作が発生したか否かを判断するための温度検出素子であり、
又は、前記検出素子は、気流流動によって吸引動作が発生したか否かを判断する気流検出素子であることを特徴とする請求項12に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のエアロゾル発生装置及びエアロゾル発生基体を備えることを特徴とするエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生技術分野に関し、特に、温度制御方法、エアロゾル発生装置及びエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人々の健康に対する関心が日々高まるにつれて、人々はみんな伝統的な巻きタバコを吸うのが健康に対して一定の危害を及ぼすことに気づき、伝統的な巻きタバコの健康及び環境への影響という問題は世界各国に重視されつつある。タバコメーカはいずれも消費者に危害がより低いタバコ製品を提供することに取り組んでおり、近年、加熱式非燃焼型タバコ製品はタバコ消費の新たな形式として、徐々に市場に受け入れられ、大多数の国の巻きタバコ消費者にますます受け入れられている。現在、市販されている加熱式非燃焼型タバコ喫煙具の加熱体昇温制御は、単一の形式を呈している。一般に、消費者がエアロゾル化用タバコを挿入したかどうか、吸引動作の有無を問わず、設計者はいずれも同一の温度プロファイルの制御方式を採用しているため、浪費や空焚きのリスクを引き起こし易い。また、これらの加熱式非燃焼型喫煙具の温度プロファイルも消費者の吸引行為及びそれとマッチングするエアロゾル化用タバコによって単独に設計されておらず、消費者の吸引体験を低下させる。
【0003】
したがって、如何に吸引体験のより良い温度制御方法を提供するかは本分野の早急に解決しなければならない技術課題になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術課題は如何に吸引体験のより良い温度制御方法を提供するかである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、検出素子と、エアロゾル発生基体を加熱するための加熱素子と、を備えるエアロゾル発生装置に用いられる温度制御方法であって
第一段階では、加熱素子が初期温度から第一温度に上昇するように制御することと、
第二段階では、加熱素子が第一温度から第二温度に降下するように制御することと、
第三段階では、加熱素子が第二温度で恒温作動するように制御し、もし検出素子が吸引を検出すると、加熱素子が第三温度に上昇するように制御することと、を含む温度制御方法を提供する。
【0006】
さらには、第三段階では、もし検出素子が第一予め設定時間内に吸引を検出すると、加熱素子が第二温度で第一予め設定時間だけ恒温するように制御した後、更に、加熱素子が第三温度に上昇するように制御する。
【0007】
さらには、もし検出素子が第一予め設定時間内に吸引を検出しないと、加熱素子が第二温度で第三段階が終了するまで動作し続けるように制御する。
【0008】
さらには、第一予め設定時間の長さは第三段階からエアロゾル発生基体の第二温度で生じたエアロゾル量が不足し始めるまでの時間の長さに等しい。
【0009】
さらには、第三段階には若干の工程に分かれ、工程毎に予め設定した時間の長さ、予め設定した吸引回数及び予め設定した温度が独立して設置され、いずれか1つの工程において、加熱素子が当該工程の予め設定した温度で恒温動作するように制御し、当該工程の予め設定時間内に当該工程の予め設定した吸引回数を検出すると、当該工程を終了させ、温度を上昇させ、次の工程に入る。
【0010】
さらには、第三段階では、隣接する2つの工程の予め設定した温度の差値が15℃以下である。
【0011】
さらには、第三段階では、後の工程中の予め設定した吸引回数が先行工程中の予め設定した吸引回数以下である。
【0012】
さらには、第三段階では、いずれか1つの工程において、もし当該工程の予め設定した時間内に、検出した吸引回数が当該工程の予め設定した吸引回数よりも小さければ、第三段階が終了するまで加熱素子が当該工程の予め設定した温度で恒温動作するように制御する。
【0013】
さらには、所定した総吸引回数を検出した場合、第三段階を終了させる。
【0014】
さらには、第一温度、第二温度及び第三温度はエアロゾル発生基体がエアロゾルを発生させる温度よりも高い、且つエアロゾル発生基体の燃焼温度よりも低い。
【0015】
さらには、第一温度及び/又は第三温度は200~500℃の間にあり、及び/又は第二温度は180~350℃の間にある。
【0016】
さらには、本発明は、制御素子と、検出素子と、エアロゾル発生基体を加熱するための加熱素子と、を備え、制御素子は加熱素子のエネルギー供給を制御することで前記の温度制御方法を実現するエアロゾル発生装置を提供した。
【0017】
さらには、検出素子は加熱素子の温度を検出して、加熱素子の温度変化によって吸引動作が発生したか否かを判断するための温度検出素子であり、
又は、検出素子は、気流流動によって吸引動作が発生したか否かを判断する気流検出素子である。
【0018】
さらには、本発明は、前記のエアロゾル発生装置及びエアロゾル発生基体を備えるエアロゾル発生システムを提供した。
【発明の効果】
【0019】
上記のように、本発明では、消費者の吸引行為によって加熱素子の温度変化を制御する。第三段階では、吸引が検出されてこそはじめて加熱素子の温度を上昇させ、消費者が吸引する時にエアロゾルの供給量が需要を常に満足することを保証できると共に、電気エネルギーとエアロゾル発生基体の浪費を避けることもできる。よりインテリジェントな温度制御方法を提供し、消費者の吸引体験を高めた。
【0020】
以下、図面と具体的な実施形態を参照して本発明についてさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明に提供される1つの好ましい実施例の温度制御曲線である。
【
図2】
図2は本発明に提供される別の好ましい実施例の温度制御曲線である。
【
図3】
図3は本発明に提供される他の好ましい実施例の温度制御曲線である。
【
図4】
図4は本発明に提供される更に他の好ましい実施例の温度制御曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、特定の具体的な実施例で本発明の実施形態を説明する。当業者は本明細書に開示した内容から本発明のその他の優れた点及び効果を容易に理解することができる。本発明の記述は好ましい実施例を挙げて本発明を説明するものであるが、これは決してこの発明の特徴が当該実施形態のみに限定されることを表すものではない。まさしく逆であり、実施形態の例を挙げて本発明を説明する目的は、本発明の請求項に基づいて延伸し得るほかの選択又は改良をカバーするためである。本発明を深く理解してもらうために、以下の記述には多くの具体的な詳細が含まれる。本発明はこれらの詳細を使用せずに実施することもできる。なお、本発明の重点を混乱させたり曖昧にしたりすることを避けるために、ある一部の具体的な詳細は記述において省略される。なお、衝突しない場合には、本発明における実施例及び実施例中の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0023】
なお、本明細書では、似ている記号と文字が以下の図面において類似項目を表し、したがって、一旦ある項目が1つの図において定義されると、その後の図においてそれについてさらに定義と解釈を行う必要はない。
【0024】
本発明の目的、技術手段及び優れた点をよりはっきりさせるために、以下、図参照して本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0025】
図1~4に示すように、本発明は、エアロゾル発生装置が検出素子と、エアロゾル発生基体を加熱するための加熱素子と、を備えるエアロゾル発生装置に用いられる温度制御方法を提供し、当該温度制御方法は、
第一段階iでは、加熱素子が初期温度T
0から第一温度T
1に上昇するように制御することと、
第二段階iiでは、加熱素子が第一温度T
1から第二温度T
2に降下するように制御することと、
第三段階iiiでは、加熱素子が第二温度T
2で恒温動作するように制御し、もし検出素子が吸引を検出すると、加熱素子が第三温度T
3に上昇するように制御することと、を含む。
【0026】
さらには、前記の3つの段階のいずれにおいても、エアロゾル発生基体がエアロゾルを生じることができる。
【0027】
その中で、第一温度T1、第二温度T2及び第三温度T3について、加熱されるエアロゾル発生基体に基づいて設定することができ、一般に、エアロゾル発生基体がエアロゾルを発生させる温度よりも高い、且つエアロゾル発生基体の燃焼温度よりも低い。
【0028】
さらには、エアロゾル発生基体の急速予熱を実現し、エアロゾル発生装置が吸引に応答する時間を短縮させるために、第一温度T1を高く設置する必要があり、選択可能な範囲は200~500℃であり、好ましくは、250~450℃であり、更に好ましくは、300~450℃であり、最も好ましくは、350~400℃である。
【0029】
さらには、エアロゾル発生基体中のエアロゾルの十分な放出を促進し、浪費を避けるために、第三温度T3は、選択可能な範囲が200~500℃の間にあり、好ましくは、250~450℃であり、更に好ましくは、300~450℃であり、最も好ましくは、350~400℃である。
【0030】
さらには、エアロゾル発生基体におけるエアロゾル放出の一致性を保証し、好ましくない匂いが生じるのを避けるために、第二温度T2は、好ましくは、180~400℃の間に設置され、更に好ましくは、200~350℃である。
【0031】
さらには、第一段階iと第二段階iiの持続時間に特に限定されることなく、具体的なエアロゾル発生基体に基づいて設定することができ、第一段階iの持続時間は加熱素子が初期温度T0から第一温度T1に上昇する時間(即ちt0からt1までの期間)であり、吸引に速く対応するために、第一段階の持続時間をできるだけ短縮させることができる。好ましくは、第一段階の持続時間は5秒~20秒の間にある。第二段階iiの持続時間は加熱素子が第一温度T1から第二温度T2に降下する時間(即ちt1からt2までの期間)であり、好ましくは、第二段階iiの持続時間は1秒~20秒の間にある。
【0032】
さらには、エアロゾル発生基体の発生可能な具体的なエアロゾルの量に基づいて総吸引回数を確定し、所定した総吸引回数を検出すると、第三段階iiiを終了させる。
【0033】
さらには、正常でない使用を避けるために、例えば、加熱素子を制御して加熱し始めた後、消費者が吸引を行わない場合に、所定した総吸引回数を検出できないときに、エアロゾル発生基体の発生可能な具体的なエアロゾルの量に基づいて第三段階iiiの総持続時間を設定することができ、もし所定した総吸引回数を検出していないが、第三段階iiiの持続時間が設定した第三段階iiiの総持続時間に到達した場合、第三段階iiiを終了させる。
【0034】
好ましくは、前記第三段階iiiの持続時間は30秒~120秒の間にあり、所定した総吸引回数は5~30回であり、更に好ましくは、10~25回である。
【0035】
さらには、本発明の1つの好ましい実施例において、
図1に示すように、温度制御方法は、
第一段階iでは、第一段階の持続時間内(即ちt
0からt
1までの期間内)に、加熱素子が初期温度T
0から第一温度T
1に上昇することと、
第二段階iiでは、第二段階の持続時間内(即ちt
1からt
2までの期間内)に、加熱素子が第一温度T
1から第二温度T
2に降下することと、
第三段階iiiでは、加熱素子が第二温度T
2で恒温動作するように制御し、もし検出素子が第一予め設定時間内(即ちt
2からt
3’
までの期間内)に吸引を検出すると、加熱素子がt
3’
からt
3までの期間内に第二温度T
2から第三温度T
3に上昇するように制御することと、を含む。
【0036】
本発明の別の好ましい実施例において、
図2に示すように、もし検出素子が第一予め設定時間(即ちt
2からt
3’
までの期間内)に吸引を検出しないと、加熱素子がt
3’
からt
3までの期間内に第三段階iiiが終了するまで第二温度T
2で動作し続けるように制御する。
【0037】
さらには、第一予め設定時間の長さを第三段階からエアロゾル発生基体が第二温度T2で発生したエアロゾル量が不足し始めるまでの期間の長さに設定してもよい。その中で、「エアロゾル量が不足し始める」とは、吸引者が第二温度で当該エアロゾル発生基体を吸引する過程の中で確定したエアロゾル量が吸引の需要を満たさない時の時間を指す。実際には、異なる消費者のエアロゾル量への需要が異なっているので、実情に応じて同一のエアロゾル発生装置内に異なる第一予め設定時間の長さを有する温度制御システムを複数設置することができる。又は、一連の異なる第一予め設定時間の長さを有するエアロゾル発生装置を生産してもよい。好ましくは、当該第一予め設定時間の長さは20~90秒でもよく、更に好ましくは、30~60秒である。
【0038】
さらには、伝統的な加熱式非燃焼型喫煙具の温度制御方法では、いずれも加熱曲線を予め設定し、消費者の吸引頻度に基づいて変えることはない。消費者の吸引頻度が比較的高い場合、加熱工程が進むにつれて、加熱素子の周囲のエアロゾル発生基体によるエアロゾルが速く放出し尽くされることになり、加熱素子から遠いエアロゾル発生基体の受熱が不足し、エアロゾルの放出量が少なく、放出の速度が遅く、後期のエアロゾル発生基体全体から生じるエアロゾル量がだんだんと消費者の需要を満足できなくなる。相対的に、もし消費者の吸引頻度が低いが、やはり予め設定した温度に基づいて加熱を行って、生じるエアロゾル量が消費者の需要を超えると、電気エネルギーとエアロゾル発生基体を浪費することになる。
【0039】
本願において、予め設定した時間内に予め設定した吸引回数に達したか否かによって加熱素子の温度を上昇させるかどうかを確定し、よりインテリジェントな加熱曲線を提供している。
【0040】
本願の他の1つの好ましい実施例において、第三段階iiiには若干の工程に分かれ、工程毎に予め設定した時間の長さ、予め設定した吸引回数及び予め設定した温度が独立して設置され、いずれか1つの工程において、加熱素子が当該工程の予め設定した温度で恒温動作するように制御し、当該工程の予め設定した時間内に当該工程内の吸引回数が予め設定した吸引回数に達したと検出すると、当該工程を終了させ、温度を上昇させ、次の工程に入る。
【0041】
具体的には、
図3に示すように、
第一段階iでは、第一段階の持続時間内(即ちt
0からt
1までの期間内)に、加熱素子が初期温度T
0から第一温度T
1上昇し、
第二段階iiでは、第二段階の持続時間内(即ちt
1からt
2までの期間内)に、加熱素子が第一温度T
1から第二温度T
2に降下し、
第三段階iiiでは、n個の工程を含み、第一工程iii
1において、加熱素子が第二温度T
2(同時に第一工程iii
1の予め設定温度T
3.1でもある)で恒温動作するように制御し、もし第一工程の予め設定時間内(即ちt
2からt
3.1’
までの期間内)に第一工程の予め設定した吸引回数(第一工程の予め設定した吸引回数を検出した時間点はt
3.1である)を検出すると、直ちに第一工程iii
1を終了させ、第一工程iii
1の持続時間がt
2からt
3.1までの期間になり、続いて温度を第二工程の予め設定温度T
3.2に上昇させ、第二工程iii
2に入り、
第二工程iii
2において、加熱素子が第二工程の予め設定温度T
3.2で恒温動作するように制御し、もし第二工程の予め設定時間内(即ちt
3.1からt
3.2’
までの期間内)に第二工程の予め設定した吸引回数(第二工程の予め設定した吸引回数を検出した時間点はt
3.2である)を検出すると、直ちに第二工程iii
2を終了させ、第二工程の持続時間がt
3.1からt
3.2までの期間になり、続いて温度を第三工程iii
3の予め設定温度T
3.3に上昇させ、第三工程iii
3に入り、
……
第n-1個の工程iii
n-1において、加熱素子が第n-1工程iii
n-1の予め設定温度T
3.n-1で恒温動作するように制御し、もし第n-1工程の予め設定時間(即ちt
3.n-2からt
3.n-1’
までの期間)内に第n-1工程の予め設定した吸引回数(第n-1工程の予め設定した吸引回数を検出した時間点はt
3.n-1である)を検出すると、直ちに第n-1工程iii
n-1を終了させ、第n-1工程の持続時間がt
3.n-2からt
3.n-1までの期間になり、続いて温度を第n工程iii
nの予め設定温度T
3.nに上昇させ、第n工程iii
nに入り、
第n工程iii
nにおいて、加熱素子が第n工程iii
nの予め設定温度T
3.nで恒温動作するように制御し、もし予め設定した総吸引回数を検出すると、第三段階iiiを終了させる。
【0042】
さらには、工程毎の予め設定時間の長さと予め設定した吸引回数は同一であってもよいし、異なってもよい。具体的なエアロゾル発生基体のエアロゾル放出の状況に基づいて設定することができる。予め設定した吸引回数は、好ましくは、1~10回であり、更に好ましくは、2~5回であり、予め設定時間の長さは、好ましくは、3~30秒であり、更に好ましくは、5~20秒である。さらには、第三段階では、吸引時間の増加につれて、加熱素子の周囲のエアロゾル発生基体によるエアロゾルが放出し尽くされる。加熱素子から遠いエアロゾル発生基体の受熱が不足し、エアロゾル放出量が少なく、放出の速度が遅い。毎回吸引するエアロゾル量が需要を満足することを保証するために、後の工程中の予め設定した吸引回数が先行工程中の予め設定した吸引回数以下でなければならない。
さらには、エアロゾル発生基体中のエアロゾル放出量の一致性を保証するために、前後2つの工程の予め設定温度の差値が15℃以下である。
【0043】
さらには、本発明の更に他の1つの好ましい実施例では、前記いずれか1つの工程において、もし当該工程の予め設定時間内に、検出した吸引回数が当該工程の予め設定した吸引回数よりも小さければ、第三段階が終了するまで加熱素子が当該工程の予め設定温度で恒温動作するように制御する。
【0044】
例を挙げて言えば、
図4に示すように、第三段階iiiでは、第一工程iii
1において、加熱素子が第二温度T
2で恒温動作するように制御し、もし第一工程iii
1の予め設定時間内(即ちt
2からt
3.1’
までの期間内)に第一工程の予め設定した吸引回数を検出すると、直ちに第一工程iii
1を終了させ、第一工程iii
1の持続時間がt
2からt
3.1までの期間になり、続いて温度が第二工程iii
2の予め設定温度T
3.2に上昇させ、第二工程iii
2に入る。
【0045】
第二工程iii2において、加熱素子が第二工程iii2の予め設定温度T3.2で恒温動作するように制御し、もし第二工程iii2の予め設定時間内(即ちt
3.1からt
3.2’
までの期間内)に第二工程の予め設定した吸引回数を検出していないと、第三段階iiiが終了するまで加熱素子が第二工程iii2の予め設定温度T2で恒温動作するように制御する。この時、第三段階には2つの工程しか含まない。
【0046】
上記2つの好ましい実施例から理解できるのは、前記の「第三段階では、n個の工程を含み」のnは1以上であり、nの上限は特に限定されておらず、予め設定した総吸引回数に達するまでの実際の工程数によって確定される。
【0047】
上記の技術手段によれば、第三段階では、吸引頻度に基づいて加熱素子の温度を次第に上昇させるように制御し、吸引頻度が比較的高い場合、加熱素子の温度上昇が比較的速く、生じたエアロゾル量が高いレベルに保持される。吸引頻度が比較的低い場合、加熱素子の温度が上昇せず又は上昇が遅く、生じたエアロゾルが低いレベルに保持され、浪費を避ける。
【0048】
本願において、消費者の吸引によって温度曲線の変化を制御し、消費者が連続して吸引する場合、エアロゾル発生基体によるエアロゾル量が消費者の需要を満足することを保証できると共に、消費者の吸引頻度が比較的低い場合、電気エネルギーをさらに節約し、エアロゾル発生基体の浪費を避けることもできる。
【0049】
さらには、本発明は、制御素子と、検出素子と、エアロゾル発生基体を加熱するための加熱素子と、を備え、制御素子が加熱素子へのエネルギー供給を制御することで、前記いずれか1つの温度制御方法を実現するエアロゾル発生装置をさらに提供する。
【0050】
さらには、検出素子は従来技術における既存の如何なる吸引動作を検出する検出素子であってもよい。例えば、加熱素子の温度を検出して、加熱素子の温度変化によって吸引動作の有無を判断し、加熱素子の温度が突然著しく降下したことを検出した場合、一回の吸引動作と判断するための温度検出素子であってもよい。
【0051】
また、検出素子は気流流動によって吸引動作が発生したか否かを判断する気流検出素子であってもよい。
【0052】
さらには、本発明は前記のエアロゾル発生装置及びエアロゾル発生基体を備えるエアロゾル発生システムをさらに提供する。
【0053】
本発明では、消費者の吸引行為に基づいて加熱素子の温度変化を制御する。第三段階では、吸引を検出してこそはじめて加熱素子の温度を上昇させ、消費者が吸引する時エアロゾルの供給量が常に需要を満足することを保証できると共に、電気エネルギーとエアロゾル発生基体の浪費を避けることもできる。よりインテリジェントな温度制御方法を提供し、消費者の吸引体験を高めた。
【0054】
本発明のいくつかの好ましい実施形態を参照することで、本発明について図示と記述を行ったが、当業者は、以上の内容が具体的な実施形態を合わせて本発明について行ったさらなる詳しい説明であることが分かるべき、本発明の具体的な実施はこれらの説明のみに限定されると認定してはいけない。当業者は、本発明の主旨と範囲を逸脱することなく、若干の簡単な推断・演繹又は取替えを含めて、形式上及び詳細においてそれに対し種々の変更を行うことができる。