(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-30
(45)【発行日】2023-09-07
(54)【発明の名称】欠陥検査の装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
G01N21/956 A
(21)【出願番号】P 2022540752
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2020090989
(87)【国際公開番号】W WO2021135044
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】201911388673.8
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522261477
【氏名又は名称】上海集成電路研発中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI IC R & D CENTER CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 497, Gaosi Road, Zhangjiang Hi-Tech Park, Pudong Shanghai 201210, China
(73)【特許権者】
【識別番号】522261488
【氏名又は名称】上海先綜検測有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ALITECS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 406-A, 4th Floor No. 444 East Jiangwan Road, Hongkou District Shanghai 200081, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】玉虫 秀一
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ちぇん▼
(72)【発明者】
【氏名】趙 宇航
(72)【発明者】
【氏名】李 銘
(72)【発明者】
【氏名】盧 意飛
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬飛
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200541(JP,A)
【文献】特開2003-177101(JP,A)
【文献】特開2011-048393(JP,A)
【文献】特開2017-138250(JP,A)
【文献】特開2016-145715(JP,A)
【文献】特開平09-210917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01N 23/00 - G01N 23/2276
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01B 15/00 - G01B 15/08
H01L 21/64 - H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ情報データ、デジタル
データ及び/又は画像データを有する検査結果データ及び操作流れ制御データを含むデータを入力/出力することに用いられる主制御インターフェイスモジュールと、
被検査対象を搭載し、被検査対象がステージの移動に伴って移動するステージと、
前記ステージに搭載された前記被検査対象を照明する照明モジュールと、
前記照明モジュールで照明された前記被検査対象の表面を撮像し、画像信号を出力する撮像モジュールと、
前記被検査対象の位置情報を計測する位置計測モジュールと、
前記位置情報に基づいて前記被検査対象が前記撮像モジュールの一画素分動いたときにタイミングパルスを発生し、タイミングパルスの誤差を補正することによって、当該タイミングパルスを1クロック遅らせて出力し、前記被検査対象の表面を撮像するタイミング発生モジュールと、
前記画像信号に基づいて前記被検査対象の欠陥を検査する画像処理モジュールとを含
み、
前記位置計測モジュールは、リニアイメージセンサーを含み、
前記タイミング発生モジュールは、
前記リニアイメージセンサーのピクセルサイズ(ΔX)を加算し、トリガー座標X
T
を出力する加算器と、
被検査対象の位置情報X
L
に基づいて速度vを求める微分器と、
前記位置情報X
L
と前記加算器の出力値の大小関係を比較し、トリガー信号Trgを生成する比較器と、
前記トリガー座標X
T
、トリガー信号Trg、位置情報X
L
及び速度vを入力とし、所定の演算の(X
T
+ΔX-X
L
)/vを実行し、1クロック遅延時間を獲得する演算器と、
前記クロック遅延時間に基づいて1クロック遅延させるディレイパルスを出力する遅延ユニットと、
そのディレイパルスの立下りを検出し、前記撮像モジュールをスタートさせて前記被検査対象の表面を撮像し、前記位置情報X
L
のアップデート周波数は、前記リニアイメージセンサーのタイミングパルス周波数よりも大きく、前記遅延ユニットの動作周波数は、前記位置情報X
L
のアップデート周波数より大きい立下り検出ユニットとを含む
ことを特徴とする欠陥検査の装置。
【請求項2】
前記リニアイメージセンサーは、時間遅延積分型イメージセンサーであることを特徴とする請求項
1に記載の欠陥検査の装置。
【請求項3】
前記被検査対象は、半導体ウェハであることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査の装置。
【請求項4】
前記照明モジュールは、ブロードバンド照明方式又は輝線を有するナローバンド照明方式を用いて照明光路を形成する深紫外線光源を含むことを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査の装置。
【請求項5】
前記位置計測モジュールは、レーザー測長器を含むことを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査の装置。
【請求項6】
位置計測モジュールを用いて被検査対象の位置情報を計測するステップS1と、
前記位置情報に基づき、前記被検査対象が撮像モジュールの一画素分動いたときにタイミングパルスを発生し、タイミング発生モジュールが、タイミングパルスの誤差を補正することによって、当該タイミングパルスを1クロック遅らせて出力するステップS2と、
1クロック遅延させる前記タイミングパルスに基づき、前記被検査対象の表面を撮像し、画像信号を出力するステップS3と、
前記画像信号に基づいて前記被検査対象の欠陥を検査するステップS4とを含
み、
前記ステップS2は、
リニアイメージセンサーのピクセルサイズ(ΔX)を加算し、トリガー座標X
T
を出力するステップS21と、
位置情報X
L
と加算器の出力値の大小関係を比較し、トリガー信号Trgを生成するステップS22と、
前記トリガー座標X
T
、トリガー信号Trg、位置情報X
L
及び速度vを入力とし、所定の演算の(X
T
+ΔX-X
L
)/vを実行し、1クロック遅延時間を獲得するステップS23と、
前記クロック遅延時間に基づいて1クロック遅延させるディレイパルスを出力するステップS24と、
ディレイパルスの立下りを検出し、撮像モジュールをスタートさせて被検査対象の表面を撮像し、前記位置情報X
L
のアップデート周波数は、前記リニアイメージセンサーのタイミングパルス周波数よりも大きく、遅延ユニットの動作周波数は、前記位置情報X
L
のアップデート周波数より大きいステップS25とを含む
ことを特徴とする欠陥の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造技術分野に関し、より具体的には、欠陥検査の装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体欠陥検査システムにおいては、ウェハ(被検査対象)が搭載されているステージの位置検出には、通常、レーザー干渉計を使用しているが、時間遅延積分型(TDI)センサーによりウェハの試料を撮像する際に、ステージの一定の移動量毎にトリガーパルス(「タイミングパルス」ともいう)を発生させる必要がある。
【0003】
図1は、日本特許(特開2003-177101)による、ウェハのパターン欠陥を検出するために用いられる欠陥検査装置を示している。当該装置は、ウェー表面の欠陥の位置と画像を検出するための装置である。
【0004】
図に示すように、
図1は、符号29で示されたタイミング発生モジュールを示している。当該タイミング発生モジュールは、レーザー干渉計の出力データと目標(被検査対象)位置の関係に基づいてタイミングパルスを発生し、即ち、当該出力データと目標とする位置を比較し、位置情報が目標位置を超えた場合に一定間隔で位置情報が送られて来る。
【0005】
しかしながら、上記の方法でタイミングパルスを発生させる場合、位置計測回路のデータ出力間隔程度の誤差を発生してしまい、最も高速な位置計測回路を使用しても、この誤差がシステムの要求仕様に足りない場合がある。特に、ウェハが搭載されているステージの移動速度が上がると、通常のレーザー干渉計の出力インターバルでは、十分な精度のタイミングパルスを発生させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術における上述した欠陥を克服するために、本発明は、ウェハが搭載されているステージの移動速度が上がっても、通常のレーザー干渉計の出力インターバルで、十分な精度のタイミングパルスを発生させることができる、ウェハ欠陥検査装置及びその検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を実現するために、本発明の技術案は、欠陥検査の装置を提供する。
【0008】
当該欠陥検査の装置は、ユーザ情報データ、デジタル及び/又は画像データを有する検査結果データ及び操作流れ制御データを含むデータを入力/出力することに用いられる主制御インターフェイスモジュールと、
被検査対象を搭載し、被検査対象が前記ステージの移動に伴って移動するステージと、
前記ステージに搭載された前記被検査対象を照明する照明モジュールと、
前記照明モジュールで照明された前記被検査対象の表面を撮像し、画像信号を出力する撮像モジュールと、
前記被検査対象の位置情報を計測する位置計測モジュールと、
前記位置情報に基づいて前記被検査対象が前記撮像モジュールの一画素分動いたときにタイミングパルスを発生し、タイミングパルスの誤差を補正することによって、当該タイミングパルスを1クロック遅らせて出力し、前記被検査対象の表面を撮像するタイミング発生モジュールと、
前記画像信号に基づいて前記被検査対象の欠陥を検査する画像処理モジュールとを含む。
【0009】
更に、前記位置計測モジュールは、リニアイメージセンサーを含む。
【0010】
更に、前記タイミング発生モジュールは、
前記リニアイメージセンサーのピクセルサイズ(ΔX)を加算し、トリガー座標XTを出力する加算器と、
被検査対象の位置情報XLに基づいて速度vを求める微分器と、
前記位置情報XLと前記加算器の出力値の大小関係を比較し、トリガー信号Trgを生成する比較器と、
前記第一のトリガー座標XT、トリガー信号Trg、位置情報XL及び速度vを入力とし、所定の演算の(XT+ΔX-XL)/vを実行し、1クロック遅延時間を獲得する演算器と、
前記クロック遅延時間に基づいて1クロック遅延させるディレイパルスを出力する遅延ユニットと、
ディレイパルスの立下りを検出し、前記撮像モジュールをスタートさせて前記被検査対象の表面を撮像し、前記位置情報XLのアップデート周波数は、前記リニアイメージセンサーのタイミングパルス周波数よりも大きく、前記遅延ユニットの動作周波数は、前記位置情報XLのアップデート周波数より大きい立下り検出ユニットとを含む。
【0011】
更に、前記位置情報XLのアップデート周波数は、10MHzであり、前記リニアイメージセンサーのタイミングパルス周波数は、3MHzであり、前記遅延ユニットの動作周波数は、300MHzである。
【0012】
更に、前記リニアイメージセンサーは、時間遅延積分型イメージセンサーである。
【0013】
更に、前記被検査対象は、半導体ウェハである。
【0014】
更に、前記照明モジュールは、ブロードバンド照明方式又は輝線を有するナローバンド照明方式を用いて照明光路を形成する深紫外線光源を含む。
【0015】
更に、前記位置計測モジュールは、レーザー測長器を含む。
【0016】
上述した目的を実現するために、本発明の技術案は、欠陥の検査方法を提供する。当該方法は、
位置計測モジュールを用いて被検査対象の位置情報を計測するステップS1と、
前記位置情報に基づき、前記被検査対象が撮像モジュールの一画素分動いたときにタイミングパルスを発生し、前記タイミング発生モジュールは、タイミングパルスの誤差を補正することによって、当該タイミングパルスを1クロック遅らせて出力するステップS2と、
1クロック遅延させる前記タイミングパルスに基づき、前記被検査対象の表面を撮像し、画像信号を出力するステップS3と、
前記画像信号に基づいて前記被検査対象の欠陥を検査するステップS4とを含む。
【0017】
更に、前記ステップS2は、
前記リニアイメージセンサーのピクセルサイズ(ΔX)を加算し、トリガー座標XTを出力するステップS21と、
前記位置情報XLと前記加算器の出力値の大小関係を比較し、トリガー信号Trgを生成するステップS22と、
前記トリガー座標XT、トリガー信号Trg、位置情報XL及び速度vを入力とし、所定の演算の(XT+ΔX-XL)/vを実行し、1クロック遅延時間を獲得するステップS23と、
前記クロック遅延時間に基づいて1クロック遅延させるディレイパルスを出力するステップS24と、
ディレイパルスの立下りを検出し、前記撮像モジュールをスタートさせて前記被検査対象の表面を撮像し、前記位置情報XLのアップデート周波数は、前記リニアイメージセンサーのタイミングパルス周波数よりも大きく、前記遅延ユニットの動作周波数は、前記位置情報XLのアップデート周波数より大きいステップS25とを含む。
【0018】
上述した技術案から分かるように、本発明は、位置計測回路の出力レートよりもはやく、システムの要求仕様を満足する速度で動作するカウンター回路を追加してタイミングパルスの誤差を補正する。つまり、タイミングパルス発生ユニットは、タイミングが遅れた時間分を平均インターバルから減じた時間分待ってからパルスを出力する。
【0019】
本発明は、タイミングパルスの精度を改善することによって、画像の分解能を改善し、遅い出力レートの位置情報を使っても、正確なトリガーパルスを発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来技術による、欠陥検査装置の構造模式図である。
【
図2】本発明の実施形態による、欠陥検査装置の構造模式図である。
【
図3】本発明の実施形態による、タイミング発生モジュールの模式図である。
【
図4】本発明の実施形態による、それぞれのパルスを説明する時間系列模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を更に詳しく説明する。
【0022】
以下の本発明の具体的な実施形態においては、
図2は、本発明による半導体ウェハの欠陥検査装置100の構造模式図である。当該欠陥検査装置100は、通常、主制御インターフェイスモジュール、ステージ、照明モジュール、撮像モジュール、画像処理モジュール、位置計測モジュール及びタイミング発生モジュールを主に含む。
【0023】
本発明の実施形態においては、
図2に示すように、主制御インターフェイスモジュール9は、装置全体の操作を制御するために用いられ、即ち、ユーザ情報データ、デジタル及び/又は画像データを有する検査結果データ及び操作流れ制御データを含むデータを入力/出力することに用いられる。具体的には、主制御インターフェイスモジュール9は、表示装置10、入力モジュール11、記憶モジュール12及び外部ネットワーク13に接続されている。表示装置10は、検査情報を表示するために用いられる。入力装置11は、ユーザ情報の取り込みを行う。記憶モジュール12は、検査結果データ及び操作流れ制御データを記憶して管理する。外部ネットワーク13は、上位コンピュータや他の検査装置と検査データや操作流れ制御データの送受信を行う。
【0024】
本発明の実施形態においては、照明モジュールは、前記ステージに搭載されている前記被検査対象を照明するために用いられる。
図2に示すように、照明モジュールは、キセノン光源14、波長フィルタ15a、偏光ビームスプリッタ(PBS)15、λ/4板16及び対物レンズ17を含む。
【0025】
一つの好ましい実施形態においては、当該半導体ウェハの欠陥検査装置100は、照明モジュールが深紫外線(Deep Ultra Violet、DUVと略称される)を用いる光学型パターン欠陥検査装置である。当該DUV光線としては、200~400nmのようなブロードバンド照明であっても良いし、輝線を有するナローバンド照明であっても良い。
図2に示すように、キセノン光源又は水銀キセノン光源14から発せられた光線が波長フィルタ15aにより帯域制限を受け、輝線を有するナローバンド照明のDUV光線を形成する。
【0026】
ブロードバンド照明では、ウェハの薄膜干渉による色むらを低減する効果がある。一方、輝線を有するナローバンド照明では、光学系の色収差を精度良く補正でき、解像度が向上する効果がある。
【0027】
当該実施形態においては、DUV光源をランプ光源としたが、本発明の他の実施形態においては、高輝度のレーザー光源を用いても良い。例えば、YAGレーザー(λ=532nm)と非線形光学素子を組み合わせて、第2高調波である266nmを用いることができる。
【0028】
本発明の実施形態においては、被検査対象の表面の画像信号は、撮像モジュールにより完成され、照明モジュールで照明された前記被検査対象の表面を撮像し、画像信号を出力し、当該画像信号は、製造工程において完成された被検査対象の表面に欠陥があるかどうかを処理して判断する。従来技術と同じく、撮像モジュールは、対物レンズ17、λ/4板16、偏光ビームスプリッタ15、結像レンズ19及びリニアイメージセンサー20等を含んでも良い。
【0029】
以下、撮像モジュールの光学系を説明する。
図2に示すように、波長フィルタ15aにより帯域制限を受けた後にS偏光を形成し、当該S偏光は、偏光ビームスプリッタ15において下方に反射し、λ/4板16を通過して円偏光となる。対物レンズ17によりウェハ18(「被検査対象」ともいう)に照明された光線は、ウェハ表面で反射して、λ/4板16を再び通過することにより、P偏光となり、偏光ビームスプリッタ15に反射される。上述したような光学系の配置により、検出光量の激減が防止可能となる。
【0030】
次に、結像レンズ19により当該反射光を受け取り、ウェハ表面の拡大光学像がリニアイメージセンサー20上に形成される。このリニアイメージセンサー20が撮像したウェハ表面の拡大光学像は、検出画像信号として、画像処理装置32に入力されて欠陥の検査が行なわれる。また、当該検査結像光路は、一つの分岐を更に有し、結像レンズ19及び偏光ビームスプリッタ15により分離されたもう一つの反射光の画像がTV撮像ユニット21に提供される。当該撮像ユニット21は、検査画像信号に対してアライメント、欠陥検査を行うもう一つの画像処理装置22に接続されている。
【0031】
本発明の実施形態においては、ステージは、被検査対象を搭載するために用いられ、前記被検査対象が前記ステージの移動に伴って移動する。具体的には、ステージは、上から下へ積層されている。ウェハチャック23、Zステージ30、Θステージ24、Xステージ25及びYステージ26を含む。被検査対象(ウェハ)18は、ウェハチャック23により真空吸着され、平坦化されることによって、検査待ちのウェハ18とウェハチャック23が相対的に移動することを防止する。ウェハチャック23は、積層されているZステージ30、Θステージ24、Xステージ25及びYステージ26に搭載される。ウェハがウェハチャック23に取り付けられた後、Θステージ24のアライメントを実行し、整列して形成されたウェハ配列の並ぶ方向をXステージ25の走査方向に一致させて、検査動作中、固定される必要がある。
【0032】
検査動作中は、Xステージ25が紙面に向かって左右に移動し、折り返し時にYステージ26が紙面に直交方向にステップ移動する。ここで、ウェハ(Die、Diceの単数形)とは、ウェハ18に回路パターンを焼き付け、さいの目(Dice)状に切り分けて得られる一枚一枚の半導体チップのことをいう。
【0033】
本発明の実施形態においては、ステージ制御コンピュータ27は、制御信号によりΘステージ24、Xステージ25及びYステージ26の移動を制御する。位置計測モジュールは、前記被検査対象の位置情報を計測するために用いられる。好ましくは、位置計測モジュールは、レーザー測長器であっても良く、例えば、レーザー測長器28は、Xステージ25の位置情報(すなわち、ウェハ18のXステージ25走査方向の位置情報)を計測することができる。
【0034】
タイミング発生回路200(「タイミング発生装置」ともいう)は、レーザー測長器28(「位置計測回路」ともいう)から出力される位置情報(XL)に基づき、リニアイメージセンサー20の画素を示すスタートタイミング信号(「タイミングパルス」ともいう)を発生させる。即ち、タイミングパルスは、リニアイメージセンサー20に送信されて、画像信号が読み出される。
【0035】
本実施形態においては、線形で移動するステージ(Xステージ25)を例とし、タイミング発生モジュール200に対して例示する説明を行い、即ち、特定の座標間隔でステージに搭載されている被検査対象の位置情報を出力することを完成する。当該Xステージ25は、Zステージ30、Θステージ24及びYステージ26に類似的に応用することができ、ここでは、繰り返して説明しない。
【0036】
また、ステージ制御コンピュータ27は、内部ネットワーク33を用いて全体制御部9に接続し、ウェハレイアウト情報等をダウンロードし、検査位置を識別することに用いられる。
【0037】
以下、結像過程を説明する。
図2に示すように、Xステージの一定の移動量毎にタイミング信号を発生させ、リニアイメージセンサー20を駆動する。リニアイメージセンサー20の読み取りとXステージの移動量を同期させるために、二次元画像を順に撮像することができる。また、時間遅延積分型(TDI-CCD)イメージセンサーをリニアイメージセンサー20として用いることによって、高速走査におけるS/Nを向上できる。
【0038】
TDIセンサー(Time Delayed and Integration)は、複数の1次元
イメージセンサーを2次元に配列した構造を有し、各1次元イメージセンサーの出力を定めた時間遅延し、被検査対象の同一位置を撮像した隣接する1次元イメージセンサーから出力した画像を加算していくことにより、検出光量の増加を図ったものである。
【0039】
自動焦点モジュールは、検出光学ユニット47および自動焦点コンピュータ39を含む。検出光学ユニット47は、撮像位置近傍の複数点の高さを検出し、自動焦点コンピュータ39に検出信号を送信する。自動焦点コンピュータ39は、検出した高さと予め設定された制御目標との偏差に基づき、Zステージ30の制御量48を演算し、Zステージ30の移動を制御する。
【0040】
自動焦点コンピュータ39は、内部ネットワーク33により主制御インターフェイスモジュール9と接続され、検査モード、レビューモード等のような動作モードの切り替え、および自動焦点用操作流れ制御データの送受信が行われる。また、ステージ制御コンピュータ27からウェハスタート信号40およびステージ折り返し信号41が入力される。さらに、検査中の自動焦点ON/OFF信号のようなリアルタイム性の高い制御信号43がステージ制御コンピュータ27から送信される。
【0041】
図3は、本発明の実施形態による、タイミング発生モジュール200の配置模式図である。タイミング発生モジュール200は、位置計測回路28から出力された位置情報X
Lを受信し、後述したタイミングパルスを生成してリニアイメージセンサー20に出力する。
【0042】
従来技術と異なり、本発明の実施形態においては、タイミング発生モジュール200は、ピクセルサイズ(ΔX)などを加算する加算器210と、位置情報(XL)から速度(dXL/dt=v)を求める微分器220と、位置情報(XL)と加算器210の出力値の大小関係を比較する比較器(Comparator)230と、所定の演算を行う演算器240と、遅延(Delay)を計算する遅延ユニット250と、ディレイパルスを入力として、タイミングパルスを出力する立下り検出回路260を備える。
【0043】
ここでは、位置情報XLのアップデート周波数(10MHz=100nsec)は、リニアイメージセンサー20のタイミングパルス周波数(3MHz=約333nsec)よりも速い。また、遅延ユニット250は、300MHz(約3nsec)で動作する。
【0044】
即ち、タイミング発生モジュールは、タイミングパルスの誤差を補正することによって、前記タイミングパルスを1クロック分遅らせて出力し、前記被検査対象の表面を撮像する。
【0045】
加算器210、比較器230及び演算器240を詳しく説明する。
【0046】
加算器の出力XTは、画素のトリガー座標(「従来のタイミングパルス」ともいう」を表し、位置情報XLを読んだ時刻に比較されXT<XLとなった時にタイミングパルス(「従来のタイミングパルス」ともいう)を発生させ、このパルスはリニアイメージセンサー20に送信され、画像信号の読み出しに用いられる。
【0047】
本発明の実施形態においては、加算器210は、リニアイメージセンサー20の画素の大きさ(ピクセルサイズ、ΔX)、加算器210の一つ前の出力(XT)及び比較器230から出力されたトリガー信号(Trg)に基づき、新たなトリガー座標XTを出力する。
【0048】
本発明の実施形態においては、比較器230は、加算器210の出力値(XT)と位置情報(XL)の大小関係をリアルタイムで比較し、XLがXTよりも大きい場合(XT<XL)にトリガー信号(Trg)を出力する。演算器240は、予めΔXの値を保持しており、トリガー座標XT、位置情報XL及び速度vを入力とし、トリガー信号Trgに基づいて(XT+ΔX-XL)/vの演算を実行する。
【0049】
<第1実施形態>
図4は、本発明の実施形態による、それぞれのパルスを説明する時間系列模式図である。本実施形態においては、位置情報X
Lのアップデート周波数は、10MHzである。このため、位置情報X
Lの取得時刻は、100nsecの等間隔である。ステージ(本実施形態の場合、Xステージ)は、約333nsec間隔で一画素分だけ動くように設定されている。
【0050】
タイミングパルスの出力時刻は、理想的には一画素分だけ動いた時に出したい。これを従来のタイミングパルス出力時刻として
図4に示す。
【0051】
従来の技術においては比較器の出力時刻をタイミングパルスとしているので、本来のタイミングパルスとの間で誤差Mが生じる。この誤差Mは、1/3画素分のぼけに相当する。本実施形態では、これを約1/10~1/100程度にすることが目標である。
【0052】
そこで、本実施形態では、従来のタイミングパルスを1クロック遅らせて、利用することにする。このために必要なのがディレイパルスであり、当該ディレイパルスは、遅延ユニット250により生成されることができる。
【0053】
ディレイパルスの出力時刻を取得するために、まず、計算するためには、演算器240により所定の演算(XT+ΔX-XL)/vを求めて1クロック遅延時間を取得する。次に、遅延ユニット250が、誤差(M)にさらに(XT+ΔX-XL)/v分だけ遅延させる。このようにして、ディレイパルスのパルス幅を計算する。
【0054】
そして、立下り検出経路260は、ディレイパルスの立下りを検出し、本実施形態のタイミングパルスを出力する。このようにして、従来のタイミングパルスを1クロック遅らせて、利用することが可能になる。
【0055】
本発明の実施形態により、遅延ユニット250の動作周波数が300MHzであり、位置計測回路28の出力位置情報XLのアップデート周波数は、10MHZであり、遅延ユニット250は、300MHz(約3nsec)で動作し、タイミングパルスの誤差を1クロック分遅らせることで補正する。具体的な一例は、タイミングが遅れた時間分(誤差M)を平均インターバルから減じた時間分(XT+ΔX-XL)/v待ってからタイミングパルスを出力することである。
【0056】
以下、欠陥の検査方法を簡単に説明する。本発明の実施形態においては、位置計測モジュールを用いて被検査対象の位置情報を計測するステップS1と、 前記位置情報に基づき、前記被検査対象が撮像モジュールの一画素分動いたときにタイミングパルスを発生し、前記タイミング発生モジュールは、タイミングパルスの誤差を補正することによって、当該タイミングパルスを1クロック遅らせて出力するステップS2と、1クロック遅延させる前記タイミングパルスに基づき、前記被検査対象の表面を撮像し、画像信号を出力するステップS3と、前記画像信号に基づいて前記被検査対象の欠陥を検査するステップS4とを具体的に含むことができる。
【0057】
当該欠陥検査の方法のステップS2は、前記リニアイメージセンサーのピクセルサイズ(ΔX)を加算し、トリガー座標XTを出力するステップS21と、
前記位置情報XLと前記加算器の出力値の大小関係を比較し、トリガー信号Trgを生成するステップS22と、
前記トリガー座標XT、トリガー信号Trg、位置情報XL及び速度vを入力とし、所定の演算の(XT+ΔX-XL)/vを実行し、1クロック遅延時間を獲得するステップS23と、
前記クロック遅延時間に基づいて1クロック遅延させるディレイパルスを出力するステップS24と、
ディレイパルスの立下りを検出し、前記撮像モジュールをスタートさせて前記被検査対象の表面を撮像し、前記位置情報XLをアップデートする周波数は、前記リニアイメージセンサーのタイミングパルス周波数よりも大きく、前記遅延ユニットの動作周波数は、前記位置情報XLのアップデート周波数より大きいステップS25とを具体的に含むことができる。
【0058】
上述した内容は、本発明の好ましい実施形態に過ぎない。これらの実施形態は、本発明の特許請求の範囲を制限しない。本発明の明細書及び図面の内容を用いて行われた等価構造の変化は、同じ理由で何れも本発明の特許請求の範囲に属する。