(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】レーザモジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/024 20060101AFI20230901BHJP
H01S 5/02208 20210101ALI20230901BHJP
H01S 5/0236 20210101ALI20230901BHJP
【FI】
H01S5/024
H01S5/02208
H01S5/0236
(21)【出願番号】P 2022565081
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2021034323
(87)【国際公開番号】W WO2022113491
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2020195659
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】大森 弘治
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/009172(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/225128(WO,A1)
【文献】特開2002-107594(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009086(WO,A1)
【文献】特開2019-159220(JP,A)
【文献】特開平09-321383(JP,A)
【文献】米国特許第08483249(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ素子を備えたレーザモジュールであって、
前記レーザ素子の正電極に電気的に接続された第1ブロックと、
前記第1ブロックに重ね合わされた絶縁シートと、
前記絶縁シートを挟んで前記第1ブロックに重ね合わされ、前記レーザ素子の負電極に電気的に接続された第2ブロックとを備え、
前記第1ブロックと前記第2ブロックとの重ね合わせ面には、第1接着面及び第2接着面がそれぞれ設けられ、
前記絶縁シートには、厚み方向に貫通する開口孔が設けられ、
前記第1ブロック及び前記第2ブロックは、前記第1接着面及び前記第2接着面、
及び前記絶縁シートの前記開口孔の周縁部で囲まれた塗布空間に塗布された接着剤で接着され
、
前記絶縁シートには、前記塗布空間の内部と外部とに連通する連通路が設けられることを特徴とするレーザモジュール。
【請求項2】
請求項
1において、
前記第1ブロック及び前記第2ブロックのうち少なくとも一方には、前記塗布空間の内部と外部とに連通する排気孔が設けられることを特徴とするレーザモジュール。
【請求項3】
請求項1乃至
2において、
前記第1接着面及び前記第2接着面のうち少なくとも一方には、窪み部が設けられることを特徴とするレーザモジュール。
【請求項4】
請求項
1乃至
2において、
前記第2ブロックには、前記塗布空間に連通する注入孔が設けられることを特徴とするレーザモジュール。
【請求項5】
請求項1乃至
4のうち何れか1つにおいて、
前記接着剤は、前記絶縁シートよりも熱伝導性が高いことを特徴とするレーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体レーザ素子が配設された下部電極ブロックと、半導体レーザ素子を上方から覆うように設けられた上部電極ブロックとを、固定ねじで締結するようにした半導体レーザ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の発明では、固定ねじが緩んだ場合に、上部電極ブロックが半導体レーザ素子から離れて電気的に接触しなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本願発明者は、上部電極ブロックと下部電極ブロックとの重ね合わせ位置の周縁部に沿って接着剤を塗布することで、2つのブロックを接着剤で固定することを検討した。しかしながら、2つのブロックの周縁部に接着剤を塗布しただけでは、接着面積を十分に確保し難いため、2つのブロックの接着面積をさらに大きくしたいと考えた。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つのブロックの接着面積を十分に確保して、ブロック同士を安定して固定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、レーザ光を出射するレーザ素子を備えたレーザモジュールであって、前記レーザ素子の正電極に電気的に接続された第1ブロックと、前記第1ブロックに重ね合わされた絶縁シートと、前記絶縁シートを挟んで前記第1ブロックに重ね合わされ、前記レーザ素子の負電極に電気的に接続された第2ブロックとを備え、前記第1ブロックと前記第2ブロックとの重ね合わせ面には、第1接着面及び第2接着面がそれぞれ設けられ、前記絶縁シートには、厚み方向に貫通する開口孔が設けられ、前記第1ブロック及び前記第2ブロックは、前記第1接着面及び前記第2接着面、及び前記絶縁シートの前記開口孔の周縁部で囲まれた塗布空間に塗布された接着剤で接着され、前記絶縁シートには、前記塗布空間の内部と外部とに連通する連通路が設けられることを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、第1ブロックと第2ブロックとは、絶縁シートを挟んで重ね合わされる。第1ブロックと第2ブロックとの重ね合わせ面には、第1接着面及び第2接着面がそれぞれ設けられる。接着剤は、第1接着面及び第2接着面に塗布される。第1ブロック及び第2ブロックは、接着剤で接着される。
【0009】
このように、第1ブロック及び第2ブロックの重ね合わせ面に第1接着面及び第2接着面を設け、第1接着面及び第2接着面を接着剤で接着するようにしたから、接着面積を十分に確保して、第1ブロック及び第2ブロックを安定して固定することができる。
【0011】
第1の発明では、絶縁シートに開口孔が設けられる。塗布空間は、第1ブロックの第1接着面、第2ブロックの第2接着面、及び絶縁シートの開口孔の周縁部で囲まれる。接着剤は、塗布空間に塗布される。
【0012】
これにより、塗布空間に塗布された接着剤は、開口孔の内部で広がるので、接着面積を大きくすることができる。また、開口孔の内部で広がった接着剤は、絶縁シートの開口孔の周縁部でせき止められるので、塗布空間から漏れ出すのを抑えることができる。
【0014】
第2の発明では、絶縁シートには、連通路が設けられる。連通路は、塗布空間の内部と外部とに連通する。連通路は、例えば、絶縁シートの一部を切り欠くことで形成される。
【0015】
これにより、塗布空間に接着剤を塗布することで押し出される空気を、絶縁シートの連通路から逃がし、接着剤をスムーズに広げることができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1ブロック及び前記第2ブロックのうち少なくとも一方には、前記塗布空間の内部と外部とに連通する排気孔が設けられることを特徴とする。
【0017】
第2の発明では、第1ブロック及び第2ブロックのうち少なくとも一方には、排気孔が設けられる。排気孔は、塗布空間の内部と外部とに連通する。
【0018】
これにより、塗布空間に接着剤を塗布することで押し出される空気を、絶縁シートの連通路から逃がし、接着剤をスムーズに広げることができる。
【0019】
第3の発明は、第1乃至2の発明のうち何れか1つにおいて、前記第1接着面及び前記第2接着面のうち少なくとも一方には、窪み部が設けられることを特徴とする。
【0020】
第3の発明では、第1接着面及び第2接着面のうち少なくとも一方に窪み部が設けられる。接着剤は、窪み部に塗布される。
【0021】
これにより、窪み部に塗布された接着剤は、窪み部の内部で広がるので、接着面積を大きくすることができる。また、窪み部の内部で広がった接着剤は、窪み部の周壁部でせき止められるので、塗布空間から漏れ出すのを抑えることができる。
【0022】
第4の発明は、第1乃至2の発明のうち何れか1つにおいて、前記第1ブロック及び前記第2ブロックのうち少なくとも一方には、前記塗布空間に連
通する注入孔が設けられることを特徴とする。
【0023】
第4の発明では、第1ブロック及び第2ブロックのうち少なくとも一方には、注入孔が設けられる。注入孔は、塗布空間に連通する。
【0024】
このような構成とすれば、第1ブロック及び第2ブロックを重ね合わせた状態で、注入孔から接着剤を注入することができる。これにより、第1ブロック及び第2ブロックの隙間から接着剤が漏れ出すのを抑えることができる。
【0025】
第5の発明は、第1乃至4の発明のうち何れか1つにおいて、前記接着剤は、前記絶縁シートよりも熱伝導性が高いことを特徴とする。
【0026】
第5の発明では、接着剤の熱伝導性を、絶縁シートよりも高くすることで、レーザ素子で生じた熱を接着剤から放熱させることができる。
【0027】
ここで、絶縁シートは、例えば、ポリイミドで構成される。接着剤は、例えば、エポキシ性樹脂で構成される。エポキシ性樹脂には、50~95重量パーセントのフィラーを含有するのが好ましい。フィラーは、例えば、窒化アルミで構成される。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、2つのブロックの接着面積を十分に確保して、ブロック同士を安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本実施形態1に係るレーザモジュールの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、レーザモジュールの構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、レーザモジュールの構成を示す側面断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態2に係るレーザモジュールの構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、レーザモジュールの構成を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、レーザモジュールの構成を示す側面断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態3に係るレーザモジュールの構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、レーザモジュールの構成を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、第2ブロックの第2接着面の構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、レーザモジュールの構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
《実施形態1》
図1及び
図2に示すように、レーザモジュール1は、第1ブロック10と、冷却ブロック30と、第2ブロック20と、レーザ素子40と、絶縁シート45とを有する。
【0032】
第1ブロック10は、導電性を有する。第1ブロック10は、主に銅(Cu)で構成される。第1ブロック10では、銅製のブロックに対して、ニッケル(Ni)と金(Au)とが順番にメッキされる。
【0033】
第1ブロック10は、第1段差部11を有する。第1段差部11は、レーザ光Lの出射方向(
図1に矢印線で示す方向)の側の上面が段差状に切り欠かれた形状となっている。第1段差部11の上面には、第1接着面12が設けられる。第1接着面12には、後述する接着剤50が塗布される(
図3参照)。
【0034】
第1ブロック10は、第1端子孔13を有する。第1端子孔13は、第1ブロック10における出射方向とは反対側の上面に設けられる。第1端子孔13には、図示しない電源の正極が接続される。
【0035】
第1ブロック10における第1段差部11の上面には、絶縁シート45が重ね合わされる。絶縁シート45は、例えば、ポリイミドで構成される。絶縁シート45は、厚み方向に貫通する開口孔46を有する。開口孔46は、絶縁シート45の中央部に開口している。絶縁シート45には、連通路47が設けられる。連通路47は、絶縁シート45の周縁部の一部を切り欠くことで形成される。
【0036】
第2ブロック20は、絶縁シート45を挟んで第1ブロック10に重ね合わされる。第2ブロック20は、導電性を有する。第2ブロック20は、主に銅(Cu)で構成される。第2ブロック20では、銅製のブロックに対して、ニッケル(Ni)と金(Au)とが順番にメッキされる。
【0037】
第2ブロック20は、第2段差部21を有する。第2段差部21は、レーザ光Lの出射方向とは反対側の下面が段差状に切り欠かれた形状となっている。第2段差部21の下面には、第2接着面22が設けられる。第2接着面22には、後述する接着剤50が塗布される(
図3参照)。
【0038】
第2ブロック20は、第2端子孔23を有する。第2端子孔23は、第2ブロック20における出射方向の側の上面に設けられる。第2端子孔23には、図示しない電源の負極が接続される。
【0039】
冷却ブロック30は、第1ブロック10の下面に重ね合わされる。冷却ブロック30は、主に銅(Cu)で構成される。冷却ブロック30は、複数の板材を積層させてブロック状に構成される。詳しくは後述するが、冷却ブロック30の内部には、冷却媒体が流れる内部流路35が設けられる(
図3参照)。
【0040】
冷却ブロック30におけるレーザ光Lの出射方向の側の端部は、第2ブロック20よりも出射方向の前方に延びる。冷却ブロック30の端部の上面には、サブマウント41が載置される。
【0041】
サブマウント41は、導電性を有する。サブマウント41は、主に銅タングステン合金(CuW)で構成される。サブマウント41には、レーザ素子40が載置される。レーザ素子40は、下面が正電極であり、上面が負電極である。
【0042】
第1ブロック10及び第2ブロック20は、ネジ55によって締結される。第2ブロック20とネジ55との間には、絶縁ブッシュ56が挟み込まれる。第2ブロック20は、第1ブロック10及び冷却ブロック30に対して電気的に絶縁される。第1ブロック10と第2ブロック20とは、接着剤50で接着される(
図3参照)。第1ブロック10及び冷却ブロック30は、図示しないネジによって締結される。
【0043】
図3にも示すように、第1ブロック10は、冷却ブロック30及びサブマウント41を介して、レーザ素子40の下面と電気的に接続される。第1ブロック10は、レーザ素子40の正電極に電気的に接続する電極ブロックとしての機能を有する。
【0044】
第2ブロック20は、バンプ42を介してレーザ素子40の上面と電気的に接続される。第2ブロック20は、レーザ素子40の負電極に電気的に接続する電極ブロックとしての機能を有する。
【0045】
〈接着構造について〉
以下、第1ブロック10及び第2ブロック20を接着剤50で接着するための構成について説明する。
【0046】
図3に示すように、第1接着面12及び第2接着面22は、第1ブロック10、絶縁シート45、及び第2ブロック20を重ね合わせた状態で、絶縁シート45の開口孔46に露出している。
【0047】
レーザモジュール1の内部には、接着剤50を塗布する塗布空間Sが形成される。塗布空間Sは、第1ブロック10の第1接着面12、第2ブロック20の第2接着面22、及び絶縁シート45の開口孔46の周縁部に囲まれた空間で構成される。
【0048】
絶縁シート45には、連通路47が設けられる(
図2参照)。連通路47は、塗布空間Sの内部と外部とに連通する。第2ブロック20には、注入孔25が設けられる。注入孔25は、塗布空間Sに連通する。
【0049】
第2ブロック20の注入孔25から注入された接着剤50は、塗布空間Sに塗布される。塗布空間Sに塗布された接着剤50は、塗布空間Sの内部で広がるので、接着面積を大きくすることができる。
【0050】
また、塗布空間Sの内部で広がった接着剤50は、絶縁シート45の開口孔46の周縁部でせき止められる。これにより、接着剤50が塗布空間Sから漏れ出すのを抑えることができる。
【0051】
また、塗布空間Sに接着剤50を塗布することで押し出される空気を、絶縁シート45の連通路47から逃がすことで、接着剤50をスムーズに広げることができる。
【0052】
塗布空間Sの内部で広がった接着剤50が硬化することで、第1ブロック10の第1接着面12と、第2ブロック20の第2接着面22とが接着される。
【0053】
ここで、接着剤50は、例えば、エポキシ性樹脂で構成される。エポキシ性樹脂には、50~95重量パーセントのフィラーを含有するのが好ましい。フィラーは、例えば、窒化アルミで構成される。
【0054】
エポキシ性樹脂で構成された接着剤50は、ポリイミドで構成された絶縁シート45よりも熱伝導性が高くなっている。これにより、レーザ素子40で生じた熱を、接着剤50から放熱させることができる。
【0055】
〈内部流路について〉
レーザモジュール1は、レーザ素子40の正電極から負電極に向かって電流が流れると、レーザ素子40の側面の発光面からレーザ光Lを出射する。このとき、レーザ素子40で生じた熱は、第1ブロック10、第2ブロック20、及び冷却ブロック30へ伝わる。
【0056】
図3に示すように、冷却ブロック30には、内部流路35が設けられる。冷却ブロック30は、複数の板材が積層されて構成される。複数の板材のそれぞれには、内部流路35の一部を構成する孔(図示省略)が形成される。複数の板材を積層させ、複数の孔同士を連通させることで、内部流路35が一体的に形成される。
【0057】
冷却ブロック30は、供給孔31と、排出孔32とを有する。供給孔31及び排出孔32は、内部流路35に連通している。供給孔31には、図示しないチラーユニットによって外部から冷却媒体が供給される。冷却媒体は、例えば水である。供給孔31は、冷却媒体を内部流路35に供給する。なお、
図3では、冷却媒体の流れを矢印線で示している。
【0058】
供給孔31から内部流路35に供給された冷却媒体は、レーザ素子40の下側位置まで流れた後、図示しない流路を通って排出孔32に向かって流れる。
【0059】
排出孔32は、内部流路35から外部に冷却媒体を排出して、冷却媒体を図示しないチラーユニットに戻す。
【0060】
以上のように、本実施形態に係るレーザモジュール1によれば、第1ブロック10及び第2ブロック20の重ね合わせ面に第1接着面12及び第2接着面22を設け、第1接着面12及び第2接着面22を接着剤50で接着するようにしている。これにより、接着面積を十分に確保して、第1ブロック10及び第2ブロック20を安定して固定することができる。
【0061】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0062】
図4及び
図5に示すように、第1ブロック10は、導電性を有する。第1ブロック10の上面には、第1接着面12が設けられる。第1ブロック10は、載置面15を有する。載置面15は、第1ブロック10の上面の一部が窪むことで形成される。載置面15は、第1ブロック10の上面におけるレーザ光Lの出射方向(
図4に矢印線で示す方向)の側の端部に設けられる。
【0063】
載置面15には、サブマウント41が載置される。サブマウント41には、レーザ素子40が載置される。レーザ素子40は、下面が正電極であり、上面が負電極である。
【0064】
レーザ素子40の正電極は、サブマウント41を介して第1ブロック10と電気的に接続される。レーザ素子40の負電極は、バンプ42を介して第2ブロック20と電気的に接続される(
図6参照)。
【0065】
第1ブロック10の上面には、絶縁シート45が設けられる。絶縁シート45には、開口孔46が設けられる。第2ブロック20は、絶縁シート45を挟んで第1ブロック10に重ね合わされる。
【0066】
第2ブロック20は、導電性を有する。第2ブロック20の下面には、第2接着面22が設けられる。
【0067】
冷却ブロック30は、第1ブロック10における載置面15とは反対側に重ね合わされる。冷却ブロック30は、主にステンレス(SUS)で構成される。冷却ブロック30では、ステンレス製のブロックに対して、ニッケル(Ni)と金(Au)とが順番にメッキされる。
【0068】
詳しくは後述するが、第1ブロック10と冷却ブロック30との間には、冷却媒体が流れる内部流路35が設けられる(
図6参照)。
【0069】
第1ブロック10、第2ブロック20、及び冷却ブロック30は、ネジ55によって締結される。第2ブロック20とネジ55との間には、絶縁ブッシュ56が挟み込まれる。第2ブロック20は、第1ブロック10及び冷却ブロック30に対して電気的に絶縁される。第1ブロック10と第2ブロック20とは、接着剤50で接着される(
図6参照)。
【0070】
〈接着構造について〉
図6に示すように、レーザモジュール1の内部には、接着剤50を塗布する塗布空間Sが形成される。塗布空間Sは、第1ブロック10の第1接着面12、第2ブロック20の第2接着面22、及び絶縁シート45の開口孔46の周縁部に囲まれた空間で構成される。
【0071】
第2ブロック20には、注入孔25と、排気孔26とが設けられる。注入孔25は、塗布空間Sに連通する。排気孔26は、塗布空間Sに連通する。なお、第1ブロック10に排気孔26を設けるようにしてもよい。
【0072】
第2ブロック20の注入孔25から注入された接着剤50は、塗布空間Sに塗布される。塗布空間Sに塗布された接着剤50は、塗布空間Sの内部で広がるので、接着面積を大きくすることができる。
【0073】
また、塗布空間Sの内部で広がった接着剤50は、絶縁シート45の開口孔46の周縁部でせき止められる。これにより、接着剤50が塗布空間Sから漏れ出すのを抑えることができる。
【0074】
また、塗布空間Sに接着剤50を塗布することで押し出される空気を、排気孔26から逃がすことで、接着剤50をスムーズに広げることができる。
【0075】
塗布空間Sの内部で広がった接着剤50が硬化することで、第1ブロック10の第1接着面12と、第2ブロック20の第2接着面22とが接着される。
【0076】
〈内部流路について〉
図6に示すように、第1ブロック10には、内部流路35が設けられる。内部流路35は、第1ブロック10の下面の一部が窪むことで形成される。内部流路35は、載置面15の反対側の面から後方(
図6で左方)に向かって延びる。
【0077】
第1ブロック10には、複数のフィン36が設けられる。フィン36は、第1ブロック10における載置面15の反対側の面から立設している。フィン36は、板状に形成され、レーザ光Lの出射方向に沿って延びる。複数のフィン36は、厚み方向に互いに間隔をあけて内部流路35に配置される。
【0078】
このように、第1ブロック10に複数のフィン36を設けることで、第1ブロック10の放熱面積を増やすようにしている。
【0079】
冷却ブロック30は、第1ブロック10における載置面15の反対側に重ね合わされる。第1ブロック10及び冷却ブロック30の間には、内部流路35が設けられる。
【0080】
冷却ブロック30は、複数の供給孔31と、排出孔32とを有する。供給孔31及び排出孔32は、内部流路35に連通している。供給孔31には、図示しないチラーユニットによって外部から冷却媒体が供給される。冷却媒体は、例えば水である。供給孔31は、冷却媒体を内部流路35に供給する。なお、
図6では、冷却媒体の流れを矢印線で示している。
【0081】
複数の供給孔31から内部流路35に供給された冷却媒体は、複数のフィン36の間に供給され、内部流路35の上面に沿って下流側に流れる。
【0082】
排出孔32は、冷却ブロック30における内部流路35の下流側に開口している。排出孔32は、内部流路35から外部に冷却媒体を排出して、冷却媒体を図示しないチラーユニットに戻す。
【0083】
《実施形態3》
図7及び
図8に示すように、第1ブロック10は、第1段差部11を有する。第1段差部11は、レーザ光Lの出射方向(
図7に矢印線で示す方向)の側の上面が段差状に切り欠かれた形状となっている。第1段差部11の上面には、第1窪み部14が設けられる。第1窪み部14は、第1ブロック10の上面の一部が窪むことで形成される。第1窪み部14の底部には、第1接着面12が設けられる。
【0084】
第1ブロック10における第1段差部11の上面には、絶縁シート45が重ね合わされる。第2ブロック20は、絶縁シート45を挟んで第1ブロック10に重ね合わされる。
【0085】
図9にも示すように、第2ブロック20は、第2段差部21を有する。第2段差部21は、レーザ光Lの出射方向とは反対側の下面が段差状に切り欠かれた形状となっている。第2段差部21の下面には、第2窪み部24が設けられる。第2窪み部24は、第2ブロック20の下面の一部が窪むことで形成される。第2窪み部24の底面には、第2接着面22が設けられる。
【0086】
冷却ブロック30は、第1ブロック10の下面に重ね合わされる。冷却ブロック30は、主に銅(Cu)で構成される。冷却ブロック30は、複数の板材を積層させてブロック状に構成される。冷却ブロック30の内部には、冷却媒体が流れる内部流路35が設けられる(
図10参照)。
【0087】
冷却ブロック30の端部の上面には、サブマウント41が載置される。サブマウント41には、レーザ素子40が載置される。レーザ素子40は、下面が正電極であり、上面が負電極である。
【0088】
第1ブロック10及び第2ブロック20は、ネジ55によって締結される。第1ブロック10と第2ブロック20との間には、絶縁シート45が挟み込まれる。第2ブロック20は、第1ブロック10に対して電気的に絶縁される。第1ブロック10と第2ブロック20とは、接着剤50で接着される(
図10参照)。第1ブロック10及び冷却ブロック30は、図示しないネジによって締結される。
【0089】
図10にも示すように、第1ブロック10は、バンプ42及びサブマウント41を介して、レーザ素子40の下面と電気的に接続される。第2ブロック20は、バンプ42を介してレーザ素子40の上面と電気的に接続される。
【0090】
〈接着構造について〉
以下、第1ブロック10及び第2ブロック20を接着剤50で接着するための構成について説明する。
【0091】
図10に示すように、第1ブロック10、絶縁シート45、及び第2ブロック20を重ね合わせた状態では、第1窪み部14の第1接着面12と、第2窪み部24の第2接着面22が対向して配置される。
【0092】
レーザモジュール1の内部には、接着剤50を塗布する塗布空間Sが形成される。塗布空間Sは、第1ブロック10の第1窪み部14の周壁部及び第1接着面12と、第2ブロック20の第2窪み部24の周壁部及び第2接着面22と、絶縁シート45の周縁部とに囲まれた空間で構成される。
【0093】
第2ブロック20には、注入孔25が設けられる。注入孔25は、塗布空間Sに連通する。
【0094】
第2ブロック20の注入孔25から注入された接着剤50は、塗布空間Sに塗布される。塗布空間Sに塗布された接着剤50は、塗布空間Sの内部で広がるので、接着面積を大きくすることができる。
【0095】
また、塗布空間Sの内部で広がった接着剤50は、第1窪み部14及び第2窪み部24の周壁部でせき止められる。これにより、接着剤50が塗布空間Sから漏れ出すのを抑えることができる。
【0096】
塗布空間Sの内部で広がった接着剤50が硬化することで、第1ブロック10の第1接着面12と、第2ブロック20の第2接着面22とが接着される。
【0097】
なお、冷却ブロック30の内部流路35について、前記実施形態1と同様の構成であるため、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本開示は、2つのブロックの接着面積を十分に確保して、ブロック同士を安定して固定することができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0099】
1 レーザモジュール
10 第1ブロック
12 第1接着面
14 第1窪み部
20 第2ブロック
22 第2接着面
24 第2窪み部
25 注入孔
26 排気孔
40 レーザ素子
45 絶縁シート
46 開口孔
47 連通路
50 接着剤
L レーザ光
S 塗布空間