(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】歩行支援装置
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
A61H3/04
(21)【出願番号】P 2022558924
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 JP2021034874
(87)【国際公開番号】W WO2022091656
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】柏木 雄毅
(72)【発明者】
【氏名】山田 和範
(72)【発明者】
【氏名】渡部 真悠
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-047206(JP,A)
【文献】特開2019-205817(JP,A)
【文献】特開2020-039695(JP,A)
【文献】特表2018-512245(JP,A)
【文献】特開2011-207277(JP,A)
【文献】特開2016-187485(JP,A)
【文献】特開平09-285497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部にかかるロール方向のモーメントを検知する荷重検知部と、
を備え
、
前記ハンドル高さ調整部は、
前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている所定期間において、前記荷重検知部によって検知された前記ロール方向の前記モーメントを取得し、
取得した前記所定期間の前記モーメントの分散値又は最大値が閾値より小さい場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、
取得した前記所定期間の前記モーメントの分散値又は最大値が閾値以上である場合、前記ハンドル部を上昇又は下降させる、
歩行支援装置。
【請求項2】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部
と、
を備え、
前記ハンドル高さ調整部は、
前記ユーザが前記ハンドル部を把持して直立した状態、又は前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記ハンドル部を上昇又は下降させ、
前記ハンドル部が上昇又は下降している間に、前記荷重検知部によって検知された下方向にかかる前記荷重を取得し、
取得した下方向にかかる前記荷重が所定の範囲内になった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項3】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部
と、
を備え、
前記ハンドル高さ調整部は、
前記ユーザが前記ハンドル部を把持して直立した状態、又は前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記荷重検知部によって検知された下方向にかかる前記荷重を取得し、
取得した下方向にかかる前記荷重が所定の値以上の場合、前記ハンドル部を上昇させ、
取得した下方向にかかる前記荷重が前記所定の値未満になった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項4】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部と、
前記ハンドル部にかかる荷重と、肘の角度とを対応付けた肘角度情報を予め記憶する肘角度情報記憶部と、
を備え、
前記ハンドル高さ調整部は、
前記ユーザが前記ハンドル部を把持して直立した状態、又は前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記ハンドル部を上昇又は下降させ、
前記ハンドル部が上昇又は下降している間に、前記荷重検知部によって検知された垂直方向にかかる前記荷重を取得し、
取得した垂直方向にかかる前記荷重に対応付けられている前記肘の角度を前記肘角度情報記憶部から取得し、
取得した前記肘の角度が所定の角度になった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項5】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部
と、
を備え、
前記ハンドル高さ調整部は、
前記荷重検知部によって検知された上方向及び下方向にかかる前記荷重を取得し、
取得した上方向にかかる前記荷重が閾値以上である場合、前記ハンドル部を上昇させ、
取得した下方向にかかる前記荷重が閾値以上である場合、前記ハンドル部を下降させ、
前記ハンドル部が上昇又は下降している間に、前記荷重検知部によって検知された上方向又は下方向にかかる前記荷重を取得し、
取得した上方向又は下方向にかかる前記荷重が所定の値以下になった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項6】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ユーザの体の複数の部位の所定空間上の位置を検出する位置検出部と、
人が最適な高さの前記ハンドル部を把持したときの前記人の体の前記複数の部位の前記所定空間上の位置関係を示す姿勢情報を予め記憶する姿勢情報記憶部と、
を備え、
前記ハンドル高さ調整部は、
前記ユーザが前記ハンドル部を把持して直立した状態、又は前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記ハンドル部を上昇又は下降させ、
前記ハンドル部が上昇又は下降している間に、前記位置検出部によって検出された前記複数の部位の前記所定空間上の位置を取得し、
取得した前記複数の部位の前記所定空間上の位置の位置関係が、前記姿勢情報記憶部に記憶されている前記位置関係と同じになった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項7】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ユーザにかかる運動負荷を検知する運動負荷検知部
と、
を備え、
前記ハンドル高さ調整部は、
前記ハンドル部の高さを複数の高さのそれぞれに変更し、
前記ハンドル部の高さを変更した後、前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記運動負荷検知部によって検知された前記運動負荷を取得し、
前記複数の高さのうち、取得した前記運動負荷が最大になるときの高さを前記ハンドル部の高さに決定する、
歩行支援装置。
【請求項8】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル高さ調整部によって前記ハンドル部の高さが自動的に調整された後、前記ハンドル部の高さの前記ユーザによる補正を受け付ける補正受付部と、
前記補正受付部によって受け付けられた補正値を記憶する補正値記憶部と、
を備え、
前記ハンドル高さ調整部は、前記補正値記憶部に前記補正値が記憶されている場合、決定した前記ハンドル部の高さに前記補正値を加算する、
歩行支援装置。
【請求項9】
さらに、前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル昇降機構又は前記回転体を制御する安全制御部を備える、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の歩行支援装置。
【請求項10】
前記安全制御部は、前記ハンドル部を昇降させる際に、前記回転体を停止させる、
請求項
9記載の歩行支援装置。
【請求項11】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル昇降機構又は前記回転体を制御する安全制御部と、
前記ユーザが前記ハンドル部を把持しているか否かを検知するハンドル把持検知部
と、
を備え、
前記安全制御部は、前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル把持検知部によって前記ユーザが前記ハンドル部を把持していることが検知された場合、前記ハンドル部の昇降を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項12】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル昇降機構又は前記回転体を制御する安全制御部と、
前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部
と、
を備え、
前記安全制御部は、右方向にかかる荷重と左方向にかかる荷重との差分が閾値以上である場合、前記ハンドル部の昇降を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項13】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル昇降機構又は前記回転体を制御する安全制御部と、
前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部
と、
を備え、
前記安全制御部は、上方向にかかる荷重が閾値以上である場合、又は下方向にかかる荷重が閾値以上である場合、前記ハンドル部の昇降を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項14】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル昇降機構又は前記回転体を制御する安全制御部と、
を備え、
前記ハンドル部の昇降方向は、鉛直方向に対して傾いており、
前記安全制御部は、前記ハンドル部を上昇させる際に、前記歩行支援装置を前進させ、前記ハンドル部を下降させる際に、前記歩行支援装置を後進させる、
歩行支援装置。
【請求項15】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル昇降機構又は前記回転体を制御する安全制御部と、
前記回転体の回転数を検知する回転数検知部
と、
を備え、
前記安全制御部は、前記回転数検知部によって検知される前記回転数が閾値以上である場合、前記ハンドル部の昇降を停止させる、
歩行支援装置。
【請求項16】
本体部と、
前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、
前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、
前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、
アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、
前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、
前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル昇降機構又は前記回転体を制御する安全制御部と、
前記歩行支援装置の加速度を検知する加速度検知部
と、
を備え、
前記安全制御部は、前記加速度検知部によって検知される前記加速度が閾値以上である場合、前記ハンドル部の高さが、前記歩行支援装置が安定する所定の高さになるように、前記ハンドル部を昇降させる、
歩行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの歩行を支援する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者などのユーザの歩行を支援しながら身体能力を向上させる歩行支援ロボットがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザの歩行を支援しつつ、ハンドル荷重に応じて移動する歩行支援ロボットが開示されている。特許文献1に示す歩行支援ロボットは、歩行支援ロボットのハンドル部にかかるハンドル荷重を検知部によって検知し、検知部で検知したハンドル荷重に応じて、当該歩行支援ロボットを移動装置によって移動し、ハンドル荷重の変化に基づいてユーザの足位置を推定し、足位置の情報に基づいて、ユーザに与える負荷を設定する。
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、ハンドル部の高さを自動的に調整することについては開示されておらず、更なる改善が必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、安定してユーザの歩行を支援することができるとともに、ユーザの身体能力をより効果的に向上させることができる技術を提供することを目的とするものである。
【0007】
本開示の一態様に係る歩行支援装置は、本体部と、前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、を備える。
【0008】
本開示によれば、安定してユーザの歩行を支援することができるとともに、ユーザの身体能力をより効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る歩行支援装置の構成を示す外観図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するためのフローチャートである。
【
図4】本開示の実施の形態2に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本開示の実施の形態2に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するためのフローチャートである。
【
図6】本開示の実施の形態3に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】本開示の実施の形態3に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートである。
【
図8】本開示の実施の形態3に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【
図9】本開示の実施の形態4に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】本開示の実施の形態4に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートである。
【
図11】本開示の実施の形態4に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【
図12】本開示の実施の形態5に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図13】本開示の実施の形態5に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートである。
【
図14】本開示の実施の形態5に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【
図15】本開示の実施の形態6に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図16】本開示の実施の形態6に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するためのフローチャートである。
【
図17】本開示の実施の形態7に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図18】本開示の実施の形態7に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートである。
【
図19】本開示の実施の形態7に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【
図20】本開示の実施の形態8に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図21】本開示の実施の形態8に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するためのフローチャートである。
【
図22】本開示の実施の形態9に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図23】本開示の実施の形態9に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートである。
【
図24】本開示の実施の形態9に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【
図25】本開示の実施の形態10に係る歩行支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図26】本開示の実施の形態10に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートである。
【
図27】本開示の実施の形態10に係る歩行支援装置による歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
歩行支援装置におけるハンドル部の適切な高さは、ユーザによって異なる。歩行支援装置のハンドル部の高さがユーザに最適な高さではない場合、安定してユーザの歩行を支援することが困難であり、ユーザの身体能力をより効果的に向上させることが困難である。そのため、歩行支援装置のハンドル部の高さは、ユーザ毎に調整する必要がある。しかしながら、上記の従来技術には、ハンドル部の高さを自動的に調整することについては開示されていない。
【0011】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る歩行支援装置は、本体部と、前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部と、前記ユーザに与える負荷を設定する負荷設定部と、前記負荷設定部によって設定された前記負荷に基づいて、回転体を制御して歩行支援装置を移動させる移動制御部と、アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構と、前記ハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するハンドル高さ調整部と、を備える。
【0012】
この構成によれば、ユーザに負荷を与えるとともにユーザの歩行を支援する歩行支援装置のハンドル部の高さがユーザ毎に自動的に調整されるので、安定してユーザの歩行を支援することができるとともに、ユーザの身体能力をより効果的に向上させることができる。
【0013】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザに応じた前記ハンドル部の高さとを対応付けたユーザ情報を予め記憶するユーザ情報記憶部と、さらに、前記ユーザを認識するユーザ認識部と、を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ユーザ認識部によって認識された前記ユーザの前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記ハンドル部の高さを前記ユーザ情報記憶部から取得し、取得した前記高さに応じて前記ハンドル部を昇降させてもよい。
【0014】
この構成によれば、ユーザが認識され、認識されたユーザのユーザ識別情報に対応付けられているハンドル部の高さが取得され、取得された高さに応じてハンドル部が昇降される。したがって、ユーザに応じて予め記憶されているハンドル部の高さに自動的に調整することができる。
【0015】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、前記ユーザの身長とを対応付けたユーザ情報を予め記憶するユーザ情報記憶部と、さらに、身長と、前記身長に応じた前記ハンドル部の高さとを対応付けたハンドル情報を予め記憶するハンドル情報記憶部と、さらに、前記ユーザを認識するユーザ認識部と、を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ユーザ認識部によって認識された前記ユーザの前記ユーザ識別情報に対応付けられている前記ユーザの身長を前記ユーザ情報記憶部から取得し、取得した前記身長に対応付けられている前記ハンドル部の高さを前記ハンドル情報記憶部から取得し、取得した前記高さに応じて前記ハンドル部を昇降させてもよい。
【0016】
この構成によれば、ユーザが認識され、認識されたユーザの身長に対応付けられているハンドル部の高さが取得され、取得された高さに応じてハンドル部が昇降される。したがって、ユーザの身長に応じて予め記憶されているハンドル部の高さに自動的に調整することができる。
【0017】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部にかかるロール方向のモーメントを検知する荷重検知部を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている所定期間において、前記荷重検知部によって検知された前記ロール方向の前記モーメントを取得し、取得した前記所定期間の前記モーメントの分散値又は最大値が閾値より小さい場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、取得した前記所定期間の前記モーメントの分散値又は最大値が閾値以上である場合、前記ハンドル部を上昇又は下降させてもよい。
【0018】
ユーザが歩行支援装置を押して歩いている所定期間に、検知されたロール方向のモーメントの分散値又は最大値が閾値より小さい場合、ユーザの歩行は安定しているといえる。そのため、所定期間のモーメントの分散値又は最大値が閾値より小さい場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定される。また、ユーザが歩行支援装置を押して歩いている所定期間に、検知されたロール方向のモーメントの分散値又は最大値が閾値以上である場合、ユーザの歩行は不安定であるといえる。そのため、所定期間のモーメントの分散値又は最大値が閾値以上である場合、ハンドル部が上昇又は下降される。そして、ハンドル部が上昇又は下降された後、ユーザが歩行支援装置を押して歩いている所定期間に検知されたロール方向のモーメントが再度取得される。したがって、ユーザの歩行が安定しているときの高さにハンドル部を自動的に調整することができる。
【0019】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ユーザが前記ハンドル部を把持して直立した状態、又は前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記ハンドル部を上昇又は下降させ、前記ハンドル部が上昇又は下降している間に、前記荷重検知部によって検知された下方向にかかる前記荷重を取得し、取得した下方向にかかる前記荷重が所定の範囲内になった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させてもよい。
【0020】
この構成によれば、ユーザがハンドル部を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置を押して歩いている状態において、ハンドル部が上昇又は下降される。そして、ハンドル部が上昇又は下降している間に、ハンドル部の下方向にかかる荷重が所定の範囲内になった場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定され、ハンドル部の上昇又は下降が停止される。したがって、ハンドル部の下方向にかかる荷重が、ユーザに最適な所定の範囲内になった場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定されるので、ハンドル部の高さをユーザに最適な高さに自動的に調整することができる。
【0021】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ユーザが前記ハンドル部を把持して直立した状態、又は前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記荷重検知部によって検知された下方向にかかる前記荷重を取得し、取得した下方向にかかる前記荷重が所定の値以上の場合、前記ハンドル部を上昇させ、取得した下方向にかかる前記荷重が前記所定の値未満になった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇を停止させてもよい。
【0022】
この構成によれば、ユーザがハンドル部を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置を押して歩いている状態において、ハンドル部の下方向にかかる荷重が所定の値以上の場合、ハンドル部が上昇される。そして、ハンドル部の下方向にかかる荷重が所定の値未満になった場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定されるので、ハンドル部の高さをユーザに最適な高さに自動的に調整することができる。
【0023】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部と、さらに、前記ハンドル部にかかる荷重と、肘の角度とを対応付けた肘角度情報を予め記憶する肘角度情報記憶部と、を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ユーザが前記ハンドル部を把持して直立した状態、又は前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記ハンドル部を上昇又は下降させ、前記ハンドル部が上昇又は下降している間に、前記荷重検知部によって検知された垂直方向にかかる前記荷重を取得し、取得した垂直方向にかかる前記荷重に対応付けられている前記肘の角度を前記肘角度情報記憶部から取得し、取得した前記肘の角度が所定の角度になった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させてもよい。
【0024】
この構成によれば、ユーザがハンドル部を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置を押して歩いている状態において、ハンドル部が上昇又は下降される。そして、ハンドル部が上昇又は下降している間に、ハンドル部の垂直方向にかかる荷重に対応するユーザの肘の角度が所定の角度になった場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定され、ハンドル部の上昇又は下降が停止される。したがって、ユーザの肘の角度が、ユーザに最適な所定の角度になった場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定されるので、ハンドル部の高さをユーザに最適な高さに自動的に調整することができる。
【0025】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記荷重検知部によって検知された上方向及び下方向にかかる前記荷重を取得し、取得した上方向にかかる前記荷重が閾値以上である場合、前記ハンドル部を上昇させ、取得した下方向にかかる前記荷重が閾値以上である場合、前記ハンドル部を下降させ、前記ハンドル部が上昇又は下降している間に、前記荷重検知部によって検知された上方向又は下方向にかかる前記荷重を取得し、取得した上方向又は下方向にかかる前記荷重が所定の値以下になった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させてもよい。
【0026】
この構成によれば、ユーザがハンドル部を上方に引き上げる動作を行うことにより、上方向に荷重がかかり、ユーザがハンドル部を下方に押し下げる動作を行うことにより、下方向に荷重がかかる。ユーザが上方又は下方に力を加えていたハンドル部から手を離すことにより、ハンドル部の上方向又は下方向にかかる荷重が0に近くなる。したがって、ユーザは、ハンドル部を上方に引き上げ、自身が最適であると感じる高さになるとハンドル部から手を離す。また、ユーザは、ハンドル部を下方に押し下げ、自身が最適であると感じる高さになるとハンドル部から手を離す。これにより、ユーザが最適であると感じる高さにハンドル部の高さを調整することができる。
【0027】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ユーザの体の複数の部位の所定空間上の位置を検出する位置検出部と、さらに、人が最適な高さの前記ハンドル部を把持したときの前記人の体の前記複数の部位の前記所定空間上の位置関係を示す姿勢情報を予め記憶する姿勢情報記憶部と、を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ユーザが前記ハンドル部を把持して直立した状態、又は前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記ハンドル部を上昇又は下降させ、前記ハンドル部が上昇又は下降している間に、前記位置検出部によって検出された前記複数の部位の前記所定空間上の位置を取得し、取得した前記複数の部位の前記所定空間上の位置の位置関係が、前記姿勢情報記憶部に記憶されている前記位置関係と同じになった場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させてもよい。
【0028】
この構成によれば、ユーザがハンドル部を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置を押して歩いている状態において、ハンドル部が上昇又は下降される。そして、ハンドル部が上昇又は下降している間に、ユーザの体の複数の部位の所定空間上の位置が取得され、取得された複数の部位の所定空間上の位置の位置関係が、予め記憶されている位置関係と同じになった場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定され、ハンドル部の上昇又は下降が停止される。したがって、ユーザの体の複数の部位の所定空間上の位置の位置関係が、ユーザに最適な所定の位置関係になった場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定されるので、ハンドル部の高さをユーザに最適な高さに自動的に調整することができる。
【0029】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ユーザにかかる運動負荷を検知する運動負荷検知部を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ハンドル部の高さを複数の高さのそれぞれに変更し、前記ハンドル部の高さを変更した後、前記ユーザが前記歩行支援装置を押して歩いている状態において、前記運動負荷検知部によって検知された前記運動負荷を取得し、前記複数の高さのうち、取得した前記運動負荷が最大になるときの高さを前記ハンドル部の高さに決定してもよい。
【0030】
この構成によれば、ハンドル部の高さが変更された後、ユーザが歩行支援装置を押して歩いている状態において、検知された運動負荷が取得され、複数の高さのうち、取得された運動負荷が最大になるときの高さがハンドル部の高さに決定される。したがって、ユーザにかかる運動負荷が最大になるときの高さがハンドル部の高さに決定されるので、ハンドル部の高さをユーザに最適な高さに自動的に調整することができる。
【0031】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部の高さが快適な高さであるか否かの前記ユーザによる入力を受け付ける入力受付部を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記ハンドル部を上昇又は下降させ、前記ハンドル部の高さが快適な高さであると入力された場合、そのときの高さを前記ハンドル部の高さに決定し、前記ハンドル部の上昇又は下降を停止させてもよい。
【0032】
この構成によれば、ハンドル部が上昇又は下降し、ハンドル部の高さが快適な高さであるか否かのユーザによる入力が受け付けられ、ハンドル部の高さが快適な高さであると入力された場合、そのときの高さがハンドル部の高さに決定されるので、ハンドル部の高さをユーザに最適な高さに自動的に調整することができる。
【0033】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル高さ調整部によって前記ハンドル部の高さが自動的に調整された後、前記ハンドル部の高さの前記ユーザによる補正を受け付ける補正受付部と、さらに、前記補正受付部によって受け付けられた補正値を記憶する補正値記憶部と、を備え、前記ハンドル高さ調整部は、前記補正値記憶部に前記補正値が記憶されている場合、決定した前記ハンドル部の高さに前記補正値を加算してもよい。
【0034】
この構成によれば、ハンドル部の高さが自動的に調整された後、ハンドル部の高さのユーザによる補正が受け付けられ、受け付けられた補正値が補正値記憶部に記憶される。そして、補正値記憶部に補正値が記憶されている場合、決定されたハンドル部の高さに補正値が加算される。したがって、決定されたハンドル部の高さをユーザの好みの高さに自動的に補正することができる。
【0035】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル昇降機構又は前記回転体を制御する安全制御部を備えてもよい。
【0036】
この構成によれば、ハンドル部が昇降する際に、安全性が向上するようにハンドル昇降機構又は回転体が制御されることにより、ハンドル部を安全に昇降させることができる。
【0037】
また、上記の歩行支援装置において、前記安全制御部は、前記ハンドル部を昇降させる際に、前記回転体を停止させてもよい。
【0038】
この構成によれば、ハンドル部が昇降する際に、回転体が停止されるので、歩行支援装置が停止した状態で、ハンドル部を安全に昇降させることができる。
【0039】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ユーザが前記ハンドル部を把持しているか否かを検知するハンドル把持検知部を備え、前記安全制御部は、前記ハンドル部を昇降させる際に、前記ハンドル把持検知部によって前記ユーザが前記ハンドル部を把持していることが検知された場合、前記ハンドル部の昇降を停止させてもよい。
【0040】
この構成によれば、ハンドル部が昇降する際に、ユーザがハンドル部を把持していることが検知された場合、ハンドル部の昇降が停止されるので、ユーザがハンドル部を把持していないときにハンドル部を昇降させることができ、ハンドル部を安全に昇降させることができる。
【0041】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部を備え、前記安全制御部は、右方向にかかる荷重と左方向にかかる荷重との差分が閾値以上である場合、前記ハンドル部の昇降を停止させてもよい。
【0042】
この構成によれば、ハンドル部の右方向にかかる荷重と左方向にかかる荷重との差分が閾値以上である場合、すなわち、ハンドル部に物が掛けられている場合、ハンドル部の昇降が停止されるので、ハンドル部に物が掛けられてないときにハンドル部を昇降させることができ、ハンドル部を安全に昇降させることができる。
【0043】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記ハンドル部にかかる荷重を検知する荷重検知部を備え、前記安全制御部は、上方向にかかる荷重が閾値以上である場合、又は下方向にかかる荷重が閾値以上である場合、前記ハンドル部の昇降を停止させてもよい。
【0044】
この構成によれば、ハンドル部の上方向にかかる荷重が閾値以上である場合、又は下方向にかかる荷重が閾値以上である場合、ハンドル部の昇降が停止されるので、ハンドル部が上昇中又は下降中に物に接触した場合に、ハンドル部が上昇又は下降し続けるのを防止することができる。
【0045】
また、上記の歩行支援装置において、前記ハンドル部の昇降方向は、鉛直方向に対して傾いており、前記安全制御部は、前記ハンドル部を上昇させる際に、前記歩行支援装置を前進させ、前記ハンドル部を下降させる際に、前記歩行支援装置を後進させてもよい。
【0046】
この構成によれば、ハンドル部の昇降方向が、鉛直方向に対して傾いている場合、ハンドル部が上昇する際に、歩行支援装置が前進し、ハンドル部が下降する際に、歩行支援装置が後進する。したがって、ハンドル部が上昇する際に、ハンドル部の上昇に応じて歩行支援装置が前進することにより、ユーザがハンドル部に押されなくなり、ユーザの転倒を防止することができる。また、ハンドル部が下降する際に、ハンドル部の下降に応じて歩行支援装置が後進することにより、ユーザがハンドル部に引っ張られなくなり、ユーザの転倒を防止することができる。
【0047】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記回転体の回転数を検知する回転数検知部を備え、前記安全制御部は、前記回転数検知部によって検知される前記回転数が閾値以上である場合、前記ハンドル部の昇降を停止させてもよい。
【0048】
この構成によれば、回転体の回転数が検知され、検知される回転数が閾値以上である場合、すなわち、歩行支援装置が移動している場合、ハンドル部の昇降が停止されるので、歩行支援装置が停止した状態で、ハンドル部を安全に昇降させることができる。
【0049】
また、上記の歩行支援装置において、さらに、前記歩行支援装置の加速度を検知する加速度検知部を備え、前記安全制御部は、前記加速度検知部によって検知される前記加速度が閾値以上である場合、前記ハンドル部の高さが、前記歩行支援装置が安定する所定の高さになるように、前記ハンドル部を昇降させてもよい。
【0050】
この構成によれば、歩行支援装置の加速度が検知され、検知される加速度が閾値以上である場合、ハンドル部の高さが、歩行支援装置が安定する所定の高さになるように、ハンドル部が昇降される。したがって、歩行支援装置が急に動くことで、歩行支援装置が倒れるのを防止することができる。
【0051】
また、本開示は、以上のような特徴的な構成を備える歩行支援装置として実現することができるだけでなく、歩行支援装置が備える特徴的な構成に対応する特徴的な処理を実行する歩行支援方法などとして実現することもできる。また、このような歩行支援方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記の歩行支援装置と同様の効果を奏することができる。
【0052】
本開示の他の態様に係る歩行支援方法は、本体部と、前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部とを備える歩行支援装置における歩行支援方法であって、前記ユーザに与える負荷を設定し、設定した前記負荷に基づいて、回転体を制御して前記歩行支援装置を移動させ、アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整する。
【0053】
本開示の他の態様に係る歩行支援プログラムは、本体部と、前記本体部に設けられ、ユーザが把持可能なハンドル部とを備える歩行支援装置により前記ユーザの歩行を支援するための歩行支援プログラムであって、前記ユーザに与える負荷を設定し、設定した前記負荷に基づいて、回転体を制御して前記歩行支援装置を移動させ、アクチュエータを有し、前記ハンドル部を昇降させるハンドル昇降機構を制御し、前記ハンドル部の高さを自動的に調整するようにコンピュータを機能させる。
【0054】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0055】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る歩行支援装置1の構成を示す外観図である。
【0056】
図1に示す歩行支援装置1は、本体部2、ハンドル部3、制御部4、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9及び前輪部10を備える。
【0057】
本体部2は、他の構成部材を支持するとともにユーザが歩行する際の荷重を支えることができるような剛性を有するフレームにより構成される。
【0058】
ハンドル部3は、本体部2の上部に設けられており、ユーザにより把持可能である。ハンドル部3の形状は、歩行中のユーザの両手により把持しやすい形状に形成されている。
【0059】
制御部4は、本体部2に内蔵されている。制御部4は、マイクロプロセッサ及びメモリにより実現される。メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。
【0060】
ハンドル昇降機構6は、本体部2に内蔵されている。ハンドル昇降機構6は、電動アクチュエータ(アクチュエータ)を有し、ハンドル部3を昇降させる。電動アクチュエータは、モータと、モータの回転運動を直線運動に変換するボールネジとを備える。ハンドル昇降機構6は、ハンドル部3を上昇させるとともに、ハンドル部3を下降させる。これにより、ハンドル部3の高さが調整される。なお、ハンドル部3が昇降する昇降方向は、鉛直方向に対してユーザ側に傾いている。
【0061】
ICカードリーダ7は、ハンドル部3に内蔵されている。ICカードリーダ7は、NFC(Near Field Communication)により、非接触でICカードに記憶された情報を読み出す。ICカードは、ユーザを識別するためのユーザID(ユーザ識別情報)を予め記憶している。ユーザは、自身のユーザIDが記憶されたICカードをICカードリーダ7に近づける。これにより、ICカードリーダ7は、近くにあるICカードからユーザIDを取得する。
【0062】
荷重センサ8は、本体部2とハンドル部3との接合部分に内蔵されている。荷重センサ8は、ハンドル部3にかかる荷重を検知する。荷重センサ8は、ハンドル部3をユーザが把持することにより、ユーザがハンドル部3にかける荷重を検知する。具体的には、ユーザがハンドル部3を把持して歩行するときに、ユーザはハンドル部3に荷重をかける。荷重センサ8は、ユーザがハンドル部3にかける荷重の向き及び大きさを検知する。
【0063】
荷重センサ8は、互いに直交する三軸方向にかかる力、及び三軸の軸回りのモーメントをそれぞれ検出可能な六軸力センサである。互いに直交する三軸とは、歩行支援装置1の左右方向に延在するx軸、歩行支援装置1の前後方向に延在するy軸、及び歩行支援装置1の高さ方向に延在するz軸である。三軸方向にかかる力とは、x軸方向にかかる力Fx、y軸方向にかかる力Fy、及びz軸方向にかかる力Fzである。実施の形態1では、力Fxのうち右方向にかかる力を+Fxとし、左方向にかかる力を-Fxとしている。力Fyのうち前方向にかかる力を+Fyとし、後方向にかかる力を-Fyとしている。Fz方向のうち歩行面に対して鉛直下方向にかかる力を-Fzとし、歩行面に対して鉛直上方向にかかる力を+Fzとしている。三軸の軸回りのモーメントとは、x軸の軸回り(ピッチ方向)のモーメントMx、y軸の軸回り(ロール方向)のモーメントMy、及びz軸の軸回り(ヨー方向)のモーメントMzである。
【0064】
移動部5は、本体部2の後方下部に設けられた一対の回転体51と、一対の回転体51をそれぞれ駆動制御する一対の駆動部52とを備える。
【0065】
2つの回転体51は、本体部2の下部から後方に延びる2つの後脚部の先端に設けられている。2つの回転体51は、本体部2を自立させた状態で支持し、それぞれ駆動部52により回転駆動される車輪である。実施の形態1では、駆動部52により回転体51が回転し、歩行支援装置1を移動させる。具体的には、2つの回転体51は、歩行支援装置1を自立させた姿勢を保った状態で、本体部2を前方向又は後方向に移動させる。
【0066】
駆動部52は、荷重センサ8によって検知された荷重に基づいて、回転体51を駆動する。
【0067】
移動部5は、本体部2を移動させる。移動部5は、荷重センサ8で検知された荷重(力及びモーメント)の大きさ及び向きに基づいて、本体部2を移動させる。
【0068】
移動部5は、荷重センサ8によって+Fyの力が検知された場合、本体部2を前方向に移動させる。即ち、荷重センサ8によって+Fyの力が検知された場合、歩行支援装置1は前進動作を行う。歩行支援装置1が前進動作を行っている間、荷重センサ8によって検知される+Fyの力が大きくなると、移動部5は、歩行支援装置1の前方向への移動の速度を上げる。一方、歩行支援装置1が前進動作を行っている間、荷重センサ8によって検知される+Fyの力が小さくなると、移動部5は、歩行支援装置1の前方向への移動速度を下げる。
【0069】
移動部5は、荷重センサ8によって-Fyの力が検知された場合、本体部2を後方向に移動させる。即ち、荷重センサ8によって-Fyの力が検知された場合、歩行支援装置1は後退動作を行う。歩行支援装置1が後退動作を行っている間、荷重センサ8によって検知される-Fyの力が大きくなると、移動部5は、歩行支援装置1の後方向への移動の速度を上げる。一方、歩行支援装置1が後退動作を行っている間、荷重センサ8によって検知される-Fyの力が小さくなると、移動部5は、歩行支援装置1の後方向への移動速度を下げる。
【0070】
移動部5は、荷重センサ8によって+Fyの力と+Mzのモーメントとが検知された場合、本体部2を右方向に旋回移動させる。即ち、荷重センサ8によって+Fyの力と+Mzのモーメントが検知された場合、歩行支援装置1は右旋回動作を行う。歩行支援装置1が右旋回動作を行っている間、荷重センサ8によって検知される+Mzのモーメントが大きくなると、歩行支援装置1の旋回半径が小さくなる。また、歩行支援装置1が右旋回動作を行っている間、荷重センサ8で検知される+Fyの力が大きくなると、旋回速度が大きくなる。
【0071】
移動部5は、荷重センサによって+Fyの力と-Mzのモーメントとが検知された場合、本体部2を左方向に旋回移動させる。即ち、荷重センサ8によって+Fyの力と-Mzのモーメントが検知された場合、歩行支援装置1は左旋回動作を行う。歩行支援装置1が左旋回動作を行っている間、荷重センサ8によって検知される-Mzのモーメントが大きくなると、歩行支援装置1の旋回半径が小さくなる。また、歩行支援装置1が左旋回動作を行っている間、荷重センサ8によって検知される+Fyの力が大きくなると、旋回速度が大きくなる。
【0072】
なお、移動部5の制御は、上述した例に限定されない。移動部5は、例えば、Fy及びFzの力に基づいて、歩行支援装置1の前進動作及び後退動作を制御してもよい。また、移動部5は、例えば、Mx又はMyのモーメントに基づいて、歩行支援装置1の旋回動作を制御してもよい。また、移動速度を算出するために用いるハンドル荷重は、前方向(+Fy)の荷重、又は下方向(-Fz)の荷重であってもよいし、前方向(+Fy)の荷重と下方向(-Fz)の荷重とを組み合わせた荷重であってもよい。
【0073】
なお、前記実施例では荷重センサ8の値をもとに回転体51が駆動制御されているが、必ずしも荷重センサ8の値を必要とせず、ユーザの負荷設定値及びモータからのフィードバック値をもとに回転体51が駆動制御されてもよい。
【0074】
タッチパネル9は、種々の情報を表示するとともに、ユーザによる情報の入力を受け付ける。
【0075】
前輪部10は、本体部2の前方下部に設けられ、一対の回転体(車輪)を有している。2つの回転体は、本体部2の下部から前方に延びる2つの前脚部の先端に設けられている。前輪部10は、1つの回転体(車輪)を有していてもよい。
【0076】
ここで、
図1に示す制御部4の詳細な構成について説明する。
【0077】
図2は、本開示の実施の形態1に係る歩行支援装置1の構成を示すブロック図である。
【0078】
図2に示す制御部4は、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25及び安全制御部26を備える。
【0079】
ユーザ情報記憶部25は、ユーザを識別するためのユーザID(ユーザ識別情報)と、ユーザに応じたハンドル部3の高さとを対応付けたユーザ情報を予め記憶する。なお、ユーザ情報は、ハンドル部3の高さだけでなく、ユーザに関する種々の情報をユーザIDに対応付けてもよい。例えば、ユーザ情報は、ユーザIDと、ユーザの年齢、性別、身長、及び体重とを対応付けてもよい。また、例えば、ユーザ情報は、ユーザIDと、ユーザの歩行履歴とを対応付けてもよい。歩行履歴は、例えば、歩行速度、歩行時間、及び歩行距離を含む。また、例えば、ユーザ情報は、ユーザIDと、ユーザに与える負荷とを対応付けてもよい。
【0080】
負荷設定部21は、ユーザに与える負荷を設定する。負荷設定部21は、ユーザ情報記憶部25に記憶されているユーザに与える負荷を取得して設定する。負荷設定部21は、ユーザ情報に基づいて負荷を設定する。例えば、負荷設定部21は、ユーザに与える負荷の大きさに応じて、歩行支援装置1の移動部5の駆動力を低下させてもよい。具体的には、負荷設定部21は、荷重センサ8によって検知された荷重を補正することによって、移動部5の駆動力を制御し、ユーザに与える負荷を制御している。移動部5は、荷重センサ8によって検知された荷重に応じた移動速度で移動する。このため、負荷設定部21は、荷重を補正することによって、移動部5の移動速度を変更することができる。
【0081】
移動制御部22は、負荷設定部21によって設定された負荷に基づいて、回転体51を制御して歩行支援装置1を移動させる。
【0082】
ユーザ認識部24は、歩行支援装置1を利用するユーザを認識する。ユーザ認識部24は、ICカードリーダ7からユーザIDを取得し、取得したユーザIDと、ユーザ情報記憶部25に記憶されているユーザIDとが一致するか否かを判定する。取得したユーザIDと、ユーザ情報記憶部25に記憶されているユーザIDとが一致する場合、ユーザ認識部24は、歩行支援装置1を利用するユーザが、予め登録されているユーザであると認識し、ユーザIDをハンドル高さ調整部23に出力する。一方、取得したユーザIDと、ユーザ情報記憶部25に記憶されているユーザIDとが一致しない場合、ユーザ認識部24は、歩行支援装置1を利用するユーザが、予め登録されているユーザではないと認識し、歩行支援装置1の利用を禁止する画面をタッチパネル9に表示させる。なお、ユーザ認識部24は、歩行支援装置1を利用するユーザが、予め登録されているユーザではないと認識した場合、ユーザ情報の登録を促す画面をタッチパネル9に表示させてもよい。
【0083】
ハンドル高さ調整部23は、ハンドル昇降機構6を制御し、ハンドル部3の高さを自動的に調整する。ハンドル高さ調整部23は、ユーザ認識部24によって認識されたユーザのユーザIDに対応付けられているハンドル部3の高さをユーザ情報記憶部25から取得し、取得した高さに応じてハンドル部3を昇降させる。
【0084】
安全制御部26は、ハンドル部3を昇降させる際に、ハンドル昇降機構6又は回転体51を制御する。本実施の形態1において、安全制御部26は、ハンドル部3を昇降させる際に、回転体51を停止させる、安全制御部26は、ハンドル昇降機構6がハンドル部3を昇降させる前に、回転体51を停止させるように移動制御部22へ指示する。移動制御部22は、回転体51を停止させるための駆動停止信号を移動部5へ出力する。移動部5の駆動部52は、駆動停止信号を取得すると、回転体51の駆動を停止し、歩行支援装置1を移動させないようにする。
【0085】
続いて、本開示の実施の形態1に係る歩行支援装置1による歩行支援処理について説明する。
【0086】
図3は、本開示の実施の形態1に係る歩行支援装置1による歩行支援処理について説明するためのフローチャートである。
【0087】
まず、ステップS1において、ユーザ認識部24は、ICカードリーダ7からユーザIDを取得する。
【0088】
なお、本実施の形態1では、ユーザ認識部24は、ICカードリーダ7によって読み取られたユーザIDを取得しているが、本開示は特にこれに限定されず、ユーザIDが記録された2次元コードを読み取ることによりユーザIDを取得してもよい。また、ユーザ認識部24は、カメラによりユーザの顔を撮像し、撮像された顔画像に対応付けられたユーザIDをユーザ情報記憶部25から取得してもよい。また、ユーザ認識部24は、マイクによりユーザの声を取得し、取得した声に対応付けられたユーザIDをユーザ情報記憶部25から取得してもよい。
【0089】
また、ユーザ認識部24は、ユーザ情報が予め登録されているユーザの名前のリストをタッチパネル9に表示させ、リストの中から自身の名前の選択を受け付けさせてもよい。ユーザ認識部24は、選択された名前に対応付けられたユーザIDをユーザ情報記憶部25から取得してもよい。
【0090】
次に、ステップS2において、ユーザ認識部24は、ICカードリーダ7から取得したユーザIDに基づいて、歩行支援装置1を利用するユーザを認識する。取得したユーザIDと、ユーザ情報記憶部25に記憶されているユーザIDとが一致する場合、ユーザ認識部24は、歩行支援装置1を利用するユーザが、予め登録されているユーザであると認識し、ユーザIDをハンドル高さ調整部23に出力する。
【0091】
次に、ステップS3において、ハンドル高さ調整部23は、ユーザ認識部24によって認識されたユーザのユーザIDに対応付けられているハンドル部3の高さをユーザ情報記憶部25から取得する。
【0092】
次に、ステップS4において、安全制御部26は、回転体51を停止させる、安全制御部26は、回転体51を停止させるように移動制御部22へ指示する。移動制御部22は、回転体51を停止させるための駆動停止信号を移動部5へ出力する。移動部5の駆動部52は、駆動停止信号を取得すると、回転体51の駆動を停止し、歩行支援装置1を移動させないようにする。
【0093】
次に、ステップS5において、ハンドル高さ調整部23は、取得した高さに応じてハンドル部3を昇降させる。ハンドル高さ調整部23は、取得した高さに対応する位置にハンドル部3を昇降させるためのハンドル昇降信号をハンドル昇降機構6へ出力する。ハンドル昇降機構6は、ハンドル高さ調整部23から取得したハンドル昇降信号に基づいて、ハンドル部3を昇降させる。
【0094】
次に、ステップS6において、安全制御部26は、回転体51の停止を解除する、安全制御部26は、回転体51の停止を解除するように移動制御部22へ指示する。移動制御部22は、回転体51の停止を解除するための停止解除信号を移動部5へ出力する。移動部5の駆動部52は、停止解除信号を取得すると、回転体51の駆動を開始し、歩行支援装置1を移動可能にする。
【0095】
次に、ステップS7において、負荷設定部21は、ユーザに与える負荷を設定する。負荷設定部21は、ユーザ認識部24によって認識されたユーザのユーザIDに対応付けられている負荷情報をユーザ情報記憶部25から取得し、取得した負荷情報を移動制御部22に出力する。
【0096】
次に、ステップS8において、移動制御部22は、荷重センサ8によって検知された荷重(力及びモーメント)の大きさ及び向きと、ユーザに与える負荷を示す負荷情報とに基づいて、回転体51を制御する。すなわち、移動制御部22は、荷重センサ8によって検知された荷重(力及びモーメント)の大きさ及び向きと、ユーザに与える負荷を示す負荷情報とに基づいて、ユーザの移動方向及び移動速度を算出する。そして、移動制御部22は、算出した移動方向及び移動速度に応じた回転体51の回転量を算出し、算出した回転量で駆動するための駆動信号を移動部5へ出力する。移動部5の駆動部52は、移動制御部22からの駆動信号に応じて、回転体51を駆動する。
【0097】
このように、ユーザに負荷を与えるとともにユーザの歩行を支援する歩行支援装置1のハンドル部3の高さがユーザ毎に自動的に調整されるので、安定してユーザの歩行を支援することができるとともに、ユーザの身体能力をより効果的に向上させることができる。
【0098】
なお、本実施の形態1では、安全制御部26は、ハンドル部3を昇降させる際に、回転体51を停止させるように移動制御部22へ指示しているが、本開示は特にこれに限定されない。移動部5が物理ブレーキを有している場合、安全制御部26は、ハンドル部3を昇降させる際に、物理ブレーキをかけるように移動制御部22へ指示してもよい。移動制御部22は、物理ブレーキをかけるためのブレーキ作動信号を移動部5へ出力してもよい。移動部5は、ブレーキ作動信号を取得すると、物理ブレーキを作動し、歩行支援装置1を移動させないようにしてもよい。
【0099】
また、実施の形態1において、歩行支援装置1は、ユーザがハンドル部3を把持しているか否かを検知するハンドル把持検知部を備えてもよい。安全制御部26は、ハンドル部3を昇降させる際に、ハンドル把持検知部によってユーザがハンドル部3を把持していることが検知された場合、ハンドル部3の昇降を停止させてもよい。
【0100】
また、実施の形態1において、安全制御部26は、荷重センサ8によって検知された右方向にかかる荷重と左方向にかかる荷重とを取得し、右方向にかかる荷重と左方向にかかる荷重との差分が閾値以上であるか否かを判定してもよい。安全制御部26は、右方向にかかる荷重と左方向にかかる荷重との差分が閾値以上である場合、ハンドル部3の昇降を停止させてもよい。
【0101】
また、実施の形態1において、安全制御部26は、荷重センサ8によって検知された上方向にかかる荷重又は下方向にかかる荷重を取得し、上方向にかかる荷重が閾値以上であるか否か、又は下方向にかかる荷重が閾値以上であるか否かを判定してもよい。安全制御部26は、上方向にかかる荷重が閾値以上である場合、又は下方向にかかる荷重が閾値以上である場合、ハンドル部3の昇降を停止させてもよい。これにより、例えば、ハンドル部3が上昇中に天井に接触した場合に、ハンドル部3が上昇し続けるのを防止することができる。
【0102】
また、実施の形態1において、歩行支援装置1は、ハンドル昇降機構6が有するモータに印加される電圧を検知する電圧検知部又はハンドル昇降機構6が有するモータに印加される電流を検知する電流検知部を備えてもよい。安全制御部26は、電圧検知部によって検知される電圧が閾値以上であるか否か、又は電流検知部によって検知される電流が閾値以上であるか否かを判定してもよい。安全制御部26は、電圧検知部によって検知される電圧が閾値以上である場合、又は電流検知部によって検知される電流が閾値以上である場合、ハンドル部3の昇降を停止させてもよい。
【0103】
また、実施の形態1において、安全制御部26は、ハンドル部3を上昇させる際に、歩行支援装置1を前進させ、ハンドル部3を下降させる際に、歩行支援装置1を後進させてもよい。本実施の形態1において、ハンドル部3の昇降方向は、鉛直方向に対して傾いている。そのため、ユーザがハンドル部3を把持している場合、歩行支援装置1が停止した状態で、ハンドル部3が上昇すると、ユーザはハンドル部3に押されることになる。そこで、ハンドル部3を上昇させる際に、ハンドル部3の上昇に応じて歩行支援装置1を前進させることにより、ユーザがハンドル部3に押されなくなり、ユーザの転倒を防止することができる。
【0104】
また、実施の形態1において、歩行支援装置1は、回転体51の回転数を検知する回転数検知部を備えてもよい。安全制御部26は、回転数検知部によって検知される回転数が閾値以上であるか否かを判定してもよい。安全制御部26は、回転数検知部によって検知される回転数が閾値以上である場合、ハンドル部3の昇降を停止させてもよい。
【0105】
また、実施の形態1において、歩行支援装置1は、歩行支援装置1の加速度を検知する加速度検知部を備えてもよい。安全制御部26は、加速度検知部によって検知される加速度が閾値以上であるか否かを判定してもよい。安全制御部26は、加速度検知部によって検知される加速度が閾値以上である場合、ハンドル部3の高さが、歩行支援装置1が安定する所定の高さになるように、ハンドル部3を昇降させてもよい。歩行支援装置1が安定する所定の高さは、歩行支援装置1の形状により予め決められている。歩行支援装置1が急加速した場合、歩行支援装置1が転倒するおそれがある。しかしながら、加速度が閾値以上である場合、ハンドル部3の高さが、歩行支援装置1が安定する所定の高さに変更されるので、歩行支援装置1が転倒するのを防止することができる。
【0106】
また、実施の形態1において、歩行支援装置1は、ハンドル部3の高さとタッチパネル9の角度とを予め対応付けて記憶する角度記憶部と、ハンドル部3の高さに応じてタッチパネル9の角度を調整する角度調整部とを備えてもよい。タッチパネル9がハンドル部3に取り付けられている場合、ハンドル部3が上昇又は下降すると、タッチパネル9も上昇又は下降する。このとき、タッチパネル9の角度が一定である場合、ハンドル部3の高さが変化することにより、ユーザは、タッチパネル9の画面を見難くなる。そこで、角度調整部は、ハンドル部3の高さに対応付けられているタッチパネル9の角度を角度記憶部から取得し、調整されたハンドル部3の高さに応じてタッチパネル9の角度を変更してもよい。
【0107】
また、角度調整部は、ユーザの身長とハンドル部3の高さとに応じてタッチパネル9の角度を調整してもよい。この場合、角度記憶部は、身長とハンドル部3の高さとタッチパネル9の角度とを予め対応付けて記憶してもよい。角度調整部は、予め記憶されているユーザの身長と調整されたハンドル部3の高さとに応じてタッチパネル9の角度を変更してもよい。
【0108】
また、実施の形態1において、荷重センサ8は、ユーザがハンドル部3から手を離している状態で、荷重センサ8の荷重値を検知することにより、荷重センサ8のキャリブレーションを行ってもよい。
【0109】
また、実施の形態1において、ハンドル部3の高さは、複数段階に変更可能であり、複数の歩行支援装置それぞれのハンドル部3の高さは、互いに異なる高さに調整されてもよい。これにより、例えば、複数の歩行支援装置が同一施設内にある場合、複数の歩行支援装置を重ねて収納することが可能となる。
【0110】
(実施の形態2)
実施の形態1では、ハンドル高さ調整部23は、ユーザIDに対応付けられているハンドル部3の高さをユーザ情報記憶部25から取得している。これに対し、実施の形態2では、ハンドル高さ調整部は、ユーザの身長に対応付けられているハンドル部3の高さをハンドル情報記憶部から取得する。
【0111】
図4は、本開示の実施の形態2に係る歩行支援装置1Aの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Aの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0112】
歩行支援装置1Aは、本体部2、ハンドル部3、制御部4A、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9及び前輪部10を備える。
【0113】
図4に示す制御部4Aは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23A、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25A、安全制御部26及びハンドル情報記憶部27を備える。
【0114】
ユーザ情報記憶部25Aは、ユーザを識別するためのユーザIDと、ユーザの身長とを対応付けたユーザ情報を予め記憶する。
【0115】
ハンドル情報記憶部27は、身長と、身長に応じたハンドル部3の高さとを対応付けたハンドル情報を予め記憶する。
【0116】
ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ認識部24によって認識されたユーザのユーザIDに対応付けられているユーザの身長をユーザ情報記憶部25Aから取得する。また、ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ情報記憶部25Aから取得した身長に対応付けられているハンドル部3の高さをハンドル情報記憶部27から取得する。そして、ハンドル高さ調整部23Aは、ハンドル情報記憶部27から取得したハンドル部3の高さに応じてハンドル部3を昇降させる。
【0117】
続いて、本開示の実施の形態2に係る歩行支援装置1Aによる歩行支援処理について説明する。
【0118】
図5は、本開示の実施の形態2に係る歩行支援装置1Aによる歩行支援処理について説明するためのフローチャートである。
【0119】
ステップS11~ステップS12の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0120】
次に、ステップS13において、ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ認識部24によって認識されたユーザのユーザIDに対応付けられているユーザの身長をユーザ情報記憶部25Aから取得する。
【0121】
次に、ステップS14において、ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ情報記憶部25Aから取得したユーザの身長に対応付けられているハンドル部3の高さをハンドル情報記憶部27から取得する。
【0122】
ステップS15~ステップS19の処理は、
図3に示すステップS4~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0123】
なお、ユーザ情報記憶部25Aは、ユーザを識別するためのユーザIDと、ユーザの年齢とを対応付けたユーザ情報を予め記憶してもよい。この場合、制御部4Aは、年齢と、一般的な平均身長とを対応付けた身長情報を予め記憶する身長情報記憶部をさらに備えてもよい。ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ認識部24によって認識されたユーザのユーザIDに対応付けられているユーザの年齢をユーザ情報記憶部25Aから取得してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ情報記憶部25Aから取得した年齢に対応付けられている平均身長を身長情報記憶部から取得してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Aは、身長情報記憶部から取得した平均身長に対応付けられているハンドル部3の高さをハンドル情報記憶部27から取得してもよい。そして、ハンドル高さ調整部23Aは、ハンドル情報記憶部27から取得したハンドル部3の高さに応じてハンドル部3を昇降させてもよい。
【0124】
また、ユーザ情報記憶部25Aは、ユーザを識別するためのユーザIDと、ユーザの性別及び年齢とを対応付けたユーザ情報を予め記憶してもよい。この場合、制御部4Aは、性別及び年齢と、一般的な平均身長とを対応付けた身長情報を予め記憶する身長情報記憶部をさらに備えてもよい。ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ認識部24によって認識されたユーザのユーザIDに対応付けられているユーザの性別及び年齢をユーザ情報記憶部25Aから取得してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ情報記憶部25Aから取得した性別及び年齢に対応付けられている平均身長を身長情報記憶部から取得してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Aは、身長情報記憶部から取得した平均身長に対応付けられているハンドル部3の高さをハンドル情報記憶部27から取得してもよい。そして、ハンドル高さ調整部23Aは、ハンドル情報記憶部27から取得したハンドル部3の高さに応じてハンドル部3を昇降させてもよい。
【0125】
また、ユーザ情報記憶部25Aは、ユーザを識別するためのユーザIDと、ユーザの性別及び年齢とを対応付けたユーザ情報を予め記憶してもよい。また、ハンドル情報記憶部27は、性別及び年齢と、ハンドル部3の高さとを対応付けたハンドル情報を予め記憶してもよい。この場合、ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ認識部24によって認識されたユーザのユーザIDに対応付けられているユーザの性別及び年齢をユーザ情報記憶部25Aから取得してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Aは、ユーザ情報記憶部25Aから取得した性別及び年齢に対応付けられているハンドル部3の高さをハンドル情報記憶部27から取得してもよい。そして、ハンドル高さ調整部23Aは、ハンドル情報記憶部27から取得したハンドル部3の高さに応じてハンドル部3を昇降させてもよい。
【0126】
(実施の形態3)
実施の形態1では、ハンドル高さ調整部23は、ユーザIDに対応付けられているハンドル部3の高さをユーザ情報記憶部25から取得している。これに対し、実施の形態3では、ハンドル高さ調整部は、ユーザが歩行支援装置を押して歩いている所定期間において、荷重センサによって検知されたロール方向のモーメントを取得し、取得した所定期間のモーメントの分散値又は最大値が閾値より小さい場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定する。
【0127】
図6は、本開示の実施の形態3に係る歩行支援装置1Bの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Bの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態3において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0128】
歩行支援装置1Bは、本体部2、ハンドル部3、制御部4B、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9及び前輪部10を備える。
【0129】
図6に示す制御部4Bは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23B、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25及び安全制御部26を備える。
【0130】
荷重センサ8は、ハンドル部3にかかる荷重を検知する。荷重センサ8は、ハンドル部3にかかるロール方向のモーメントを検知する。
【0131】
ハンドル高さ調整部23Bは、ユーザが歩行支援装置1Bを押して歩いている所定期間において、荷重センサ8によって検知されたロール方向のモーメントを取得する。ハンドル高さ調整部23Bは、取得した所定期間のモーメントの分散値又は最大値が閾値より小さい場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定する。一方、ハンドル高さ調整部23Bは、取得した所定期間のモーメントの分散値又は最大値が閾値以上である場合、ハンドル部3を上昇又は下降させる。
【0132】
続いて、本開示の実施の形態3に係る歩行支援装置1Bによる歩行支援処理について説明する。
【0133】
図7は、本開示の実施の形態3に係る歩行支援装置1Bによる歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートであり、
図8は、本開示の実施の形態3に係る歩行支援装置1Bによる歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【0134】
ステップS21~ステップS22の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0135】
次に、ステップS23において、ハンドル高さ調整部23Bは、初期高さに応じてハンドル部3を昇降させる。制御部4Bは、初期高さを予め記憶している。初期高さは、例えば、ハンドル部3の上限高さと下限高さとの中間の高さであってもよいし、ハンドル部3の上限高さであってもよいし、ハンドル部3の下限高さであってもよい。ハンドル高さ調整部23Bは、初期高さに対応する位置にハンドル部3を昇降させるためのハンドル昇降信号をハンドル昇降機構6へ出力する。ハンドル昇降機構6は、ハンドル高さ調整部23から取得したハンドル昇降信号に基づいて、ハンドル部3を昇降させる。
【0136】
なお、タッチパネル9は、ユーザによる初期高さの入力を受け付けてもよい。ユーザは、手動でハンドル部3の高さを初期高さに変更してもよい。
【0137】
また、ハンドル高さ調整部23Bは、初期高さに応じてハンドル部3を昇降させずに、現在のハンドル部3の高さからステップS24以降の処理を行ってもよい。この場合、ステップS23の処理は不要となる。
【0138】
次に、ステップS24において、移動制御部22は、ユーザが歩行を開始したか否かを判定する。移動制御部22は、回転体51が回転を開始したことを検知した場合、ユーザが歩行を開始したと判定し、回転体51が回転を開始したことを検知していない場合、ユーザが歩行を開始していないと判定する。
【0139】
ここで、ユーザが歩行を開始していないと判定された場合(ステップS24でNO)、ユーザが歩行を開始するまで、ステップS24の判定処理が行われる。
【0140】
一方、ユーザが歩行を開始したと判定された場合(ステップS24でYES)、ステップS25において、荷重センサ8は、ハンドル部3にかかる荷重を検知する。このとき、荷重センサ8は、ロール方向のモーメントを検知する。
【0141】
次に、ステップS26において、ハンドル高さ調整部23Bは、荷重センサ8によって検知されたロール方向のモーメントを取得する。
【0142】
次に、ステップS27において、ハンドル高さ調整部23Bは、ユーザが歩行を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、例えば、30秒である。なお、ハンドル高さ調整部23Bは、ユーザが所定距離歩行したか否かを判定してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Bは、ユーザが所定歩数歩行したか否かを判定してもよい。歩数は、検知された荷重の変化に基づき算出することが可能である。
【0143】
ここで、ユーザが歩行を開始してから所定時間が経過していないと判定された場合(ステップS27でNO)、ステップS25に処理が戻る。
【0144】
一方、ユーザが歩行を開始してから所定時間が経過したと判定された場合(ステップS27でYES)、ステップS28において、ハンドル高さ調整部23Bは、所定時間内に検知されたロール方向のモーメントの分散値を算出する。
【0145】
次に、ステップS29において、ハンドル高さ調整部23Bは、算出した分散値が閾値より小さいか否かを判定する。所定時間内に検知されたロール方向のモーメントの分散値が閾値より小さい場合、ユーザの歩行は安定しているといえ、所定時間内に検知されたロール方向のモーメントの分散値が閾値以上である場合、ユーザの歩行は不安定であるといえる。
【0146】
ここで、算出した分散値が閾値より小さいと判定された場合(ステップS29でYES)、ステップS30において、ハンドル高さ調整部23Bは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定する。なお、ハンドル高さ調整部23Bは、決定したハンドル部3の高さをユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部25に記憶してもよい。
【0147】
ステップS31~ステップS32の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0148】
算出した分散値が閾値以上であると判定された場合(ステップS29でNO)、ステップS33において、ハンドル高さ調整部23Bは、分散値の判定が初回の判定であるか否かを判定する。
【0149】
ここで、分散値の判定が初回の判定であると判定された場合(ステップS33でYES)、ステップS34において、ハンドル高さ調整部23Bは、ハンドル部3を所定の高さ上昇させる。所定の高さは、例えば、5センチメートルである。ハンドル高さ調整部23Bは、ハンドル部3を所定の高さ上昇させるためのハンドル昇降信号をハンドル昇降機構6へ出力する。ハンドル昇降機構6は、ハンドル高さ調整部23Bから取得したハンドル昇降信号に基づいて、ハンドル部3を所定の高さ上昇させる。ハンドル部3が所定の高さ上昇した後、ステップS24に処理が戻る。
【0150】
なお、本実施の形態3では、ステップS34において、ハンドル高さ調整部23Bは、ハンドル部3を所定の高さ上昇させているが、本開示は特にこれに限定されず、ハンドル部3を所定の高さ下降させてもよい。
【0151】
一方、分散値の判定が初回の判定ではないと判定された場合(ステップS33でNO)、ステップS35において、ハンドル高さ調整部23Bは、今回算出した分散値が前回算出した分散値より大きいか否かを判定する。なお、制御部4Bは、過去に算出した分散値を記憶している。
【0152】
ここで、今回算出した分散値が前回算出した分散値より大きいと判定された場合(ステップS35でYES)、ステップS36において、ハンドル高さ調整部23Bは、前回とは逆方向にハンドル部3を所定の高さ移動させる。所定の高さは、例えば、5センチメートルである。なお、制御部4Bは、過去にハンドル部3を移動させた方向を記憶している。例えば、前回ハンドル部3が上昇しており、今回算出した分散値が前回算出した分散値より大きいと判定された場合、ハンドル高さ調整部23Bは、ハンドル部3を所定の高さ下降させる。また、例えば、前回ハンドル部3が下降しており、今回算出した分散値が前回算出した分散値より大きいと判定された場合、ハンドル高さ調整部23Bは、ハンドル部3を所定の高さ上昇させる。前回とは逆方向にハンドル部3が所定の高さ移動した後、ステップS24に処理が戻る。
【0153】
なお、ハンドル高さ調整部23Bは、前回とは逆方向にハンドル部3を予め決められた所定の高さ移動させているが、本開示は特にこれに限定されず、今回算出した分散値と前回算出した分散値との差分の大きさに応じた高さだけ、前回とは逆方向にハンドル部3を移動させてもよい。すなわち、今回算出した分散値と前回算出した分散値との差分が大きければ、ハンドル部3を移動させる長さも長くなり、今回算出した分散値と前回算出した分散値との差分が小さければ、ハンドル部3を移動させる長さも短くなる。
【0154】
一方、今回算出した分散値が前回算出した分散値以下であると判定された場合(ステップS35でNO)、ステップS37において、ハンドル高さ調整部23Bは、前回と同じ方向にハンドル部3を所定の高さ移動させる。所定の高さは、例えば、5センチメートルである。例えば、前回ハンドル部3が上昇しており、今回算出した分散値が前回算出した分散値以下であると判定された場合、ハンドル高さ調整部23Bは、ハンドル部3を所定の高さ上昇させる。また、例えば、前回ハンドル部3が下降しており、今回算出した分散値が前回算出した分散値以下であると判定された場合、ハンドル高さ調整部23Bは、ハンドル部3を所定の高さ下降させる。前回と同じ方向にハンドル部3が所定の高さ移動した後、ステップS24に処理が戻る。
【0155】
なお、ハンドル高さ調整部23Bは、前回と同じ方向にハンドル部3を予め決められた所定の高さ移動させているが、本開示は特にこれに限定されず、今回算出した分散値と前回算出した分散値との差分の大きさに応じた高さだけ、前回と同じ方向にハンドル部3を移動させてもよい。すなわち、今回算出した分散値と前回算出した分散値との差分が大きければ、ハンドル部3を移動させる長さも長くなり、今回算出した分散値と前回算出した分散値との差分が小さければ、ハンドル部3を移動させる長さも短くなる。
【0156】
このように、本実施の形態3では、所定時間歩行したユーザのロール方向のモーメントの分散値が算出され、算出された分散値が閾値より小さい場合、ユーザのハンドル部3の高さが現在のハンドル部3の高さに決定される。一方、算出された分散値が閾値以上である場合、ハンドル部3の高さが変更される。このとき、分散値の判定が初回の判定であれば、ハンドル部3は、所定の高さ上昇又は下降される。分散値の判定が初回の判定ではなく、かつ今回算出された分散値が前回算出された分散値より大きい場合、前回とは逆方向にハンドル部3の高さが変更される。また、分散値の判定が初回の判定ではなく、かつ今回算出された分散値が前回算出された分散値以下である場合、前回と同じ方向にハンドル部3の高さが変更される。
【0157】
なお、本実施の形態3では、ハンドル高さ調整部23Bは、所定時間内に検知されたロール方向のモーメントの分散値を算出しているが、本開示は特にこれに限定されず、所定時間内に検知されたロール方向のモーメントの最大値を算出してもよい。そして、ハンドル高さ調整部23Bは、算出した最大値が閾値より小さいか否かを判断してもよい。算出した最大値が閾値より小さいと判定された場合、ハンドル高さ調整部23Bは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定してもよい。
【0158】
また、本実施の形態3において、ハンドル高さ調整部23Bは、所定時間内に検知された上下方向にかかる荷重の変動の差分を算出してもよい。ハンドル部3の高さがユーザに適していない場合、ユーザがハンドル部3にもたれかかる度合いが強くなる。そのため、上下方向にかかる荷重の変動の差分により、ユーザが安定して歩行しているか否か(ユーザが真っ直ぐ歩行しているか否か)の判定が可能となる。そして、ハンドル高さ調整部23Bは、算出した差分が閾値より小さいか否かを判断してもよい。算出した差分が閾値より小さいと判定された場合、ハンドル高さ調整部23Bは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定してもよい。
【0159】
また、本実施の形態3において、ハンドル高さ調整部23Bは、所定時間内に検知されたロール方向のモーメントを取得するのではなく、所定時間内に検知された左右の回転体51の回転数を取得してもよい。この場合、歩行支援装置1Bは、左右の回転体51の回転数を検知する回転数検知部をさらに備えてもよい。ハンドル高さ調整部23Bは、所定時間内に検知された左右の回転体51の回転数の差分を算出してもよい。ハンドル部3の高さがユーザに適していない場合、ユーザは真っ直ぐ歩行することが困難になる。ユーザが真っ直ぐ歩行している場合、左右の回転体51の回転数は略同じになり、ユーザが真っ直ぐ歩行していない場合、左右の回転体51の回転数は異なる。そのため、左右の回転体51の回転数の差分により、ユーザが安定して歩行しているか否か(ユーザが真っ直ぐ歩行しているか否か)の判定が可能となる。そして、ハンドル高さ調整部23Bは、算出した差分が閾値より小さいか否かを判断してもよい。算出した差分が閾値より小さいと判定された場合、ハンドル高さ調整部23Bは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定してもよい。
【0160】
また、本実施の形態3において、ハンドル高さ調整部23Bは、所定時間内に検知されたロール方向のモーメントの分散値又は最大値が閾値より小さいという条件、所定時間内に検知された上下方向にかかる荷重の変動の差分が閾値より小さいという条件、及び所定時間内に検知された左右の回転体51の回転数が閾値より小さいという条件のうちの少なくとも1つを満たす場合、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定してもよい。
【0161】
また、上記のステップS23、ステップS34、ステップS36及びステップS37において、ハンドル部3を上昇又は下降させる際に、安全制御部26は、回転体51を停止させてもよい。ハンドル高さ調整部23Bは、回転体51(歩行支援装置1B)が停止した状態で、ハンドル部3を上昇又は下降させてもよい。
【0162】
また、ハンドル高さ調整部23Bは、歩行支援装置1Bを用いたユーザの歩行中に、ハンドル部3を上昇又は下降させてもよい。
【0163】
また、本実施の形態3において、歩行支援装置1Bがハンドル高さ調整部23Bを備えているが、本開示は特にこれに限定されず、歩行支援装置1Bとネットワークを介して通信可能に接続されたサーバがハンドル高さ調整部23Bを備えてもよい。この場合、歩行支援装置1Bは通信部をさらに備える。この通信部は、荷重センサ8によって取得されたデータをサーバへ送信するとともに、ハンドル部3を昇降させるための指示をサーバから受信してもよい。
【0164】
(実施の形態4)
実施の形態4では、ハンドル部が上昇又は下降している間に、荷重センサによって検知された下方向にかかる荷重を取得し、取得した下方向にかかる荷重が所定の範囲内になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定する。
【0165】
図9は、本開示の実施の形態4に係る歩行支援装置1Cの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Cの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態4において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0166】
歩行支援装置1Cは、本体部2、ハンドル部3、制御部4C、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9及び前輪部10を備える。
【0167】
図9に示す制御部4Cは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23C、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25及び安全制御部26を備える。
【0168】
ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置1Cを押して歩いている状態において、ハンドル部3を上昇又は下降させる。ハンドル高さ調整部23Cは、ハンドル部3が上昇又は下降している間に、荷重センサ8によって検知された下方向にかかる荷重を取得する。ハンドル高さ調整部23Cは、取得した下方向にかかる荷重が所定の範囲内になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させる。
【0169】
なお、所定の範囲とは、例えば、ハンドル部3の高さがユーザに最適である際にハンドル部3の下方向にかかる所定の荷重に対して±0.5N(ニュートン)を加算した範囲である。
【0170】
続いて、本開示の実施の形態4に係る歩行支援装置1Cによる歩行支援処理について説明する。
【0171】
図10は、本開示の実施の形態4に係る歩行支援装置1Cによる歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートであり、
図11は、本開示の実施の形態4に係る歩行支援装置1Cによる歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【0172】
ステップS41~ステップS42の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであり、ステップS43の処理は、
図7に示すステップS23の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0173】
次に、ステップS44において、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態において、ハンドル部3を一定の速度で連続的に上昇させる。なお、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態であることは、ユーザがハンドル部3を把持していることを検知するとともに、回転体51が回転していないことを検知することにより、判定することが可能である。
【0174】
また、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザが歩行支援装置1Cを押して歩いている状態において、ハンドル部3を一定の速度で連続的に上昇させてもよい。この場合、移動制御部22は、ユーザが歩行を開始したか否かを判定してもよい。
【0175】
次に、ステップS45において、荷重センサ8は、ハンドル部3にかかる荷重を検知する。このとき、荷重センサ8は、少なくとも下方向にかかる荷重を検知する。
【0176】
次に、ステップS46において、ハンドル高さ調整部23Cは、荷重センサ8によって検知された下方向にかかる荷重を取得する。
【0177】
次に、ステップS47において、ハンドル高さ調整部23Cは、取得した下方向にかかる荷重が所定の範囲であるか否かを判定する。ここで、取得した下方向にかかる荷重が所定の範囲であると判定された場合(ステップS47でYES)、ステップS48において、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定する。なお、ハンドル高さ調整部23Cは、決定したハンドル部3の高さをユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部25に記憶してもよい。
【0178】
また、ハンドル高さ調整部23Cは、取得した下方向にかかる荷重が所定の値であるか否かを判定してもよい。取得した下方向にかかる荷重が所定の値であると判定された場合、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定してもよい。
【0179】
次に、ステップS49において、ハンドル高さ調整部23Cは、ハンドル部3の上昇を停止させる。
【0180】
ステップS50~ステップS51の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0181】
一方、取得した下方向にかかる荷重が所定の範囲ではないと判定された場合(ステップS47でNO)、ステップS52において、ハンドル高さ調整部23Cは、ハンドル部3の高さが上限高さであるか否かを判定する。
【0182】
ここで、ハンドル部3の高さが上限高さではないと判定された場合(ステップS52でNO)、ステップS44に処理が戻る。
【0183】
一方、ハンドル部3の高さが上限高さであると判定された場合(ステップS52でYES)、ステップS53において、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態において、ハンドル部3を一定の速度で連続的に下降させる。
【0184】
また、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザが歩行支援装置1Cを押して歩いている状態において、ハンドル部3を一定の速度で連続的に下降させてもよい。
【0185】
ステップS54~ステップS57の処理は、
図10に示すステップS45~ステップS48の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0186】
次に、ステップS58において、ハンドル高さ調整部23Cは、ハンドル部3の下降を停止させる。
【0187】
ステップS59~ステップS60の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0188】
一方、取得した下方向にかかる荷重が所定の範囲ではないと判定された場合(ステップS56でNO)、ステップS61において、ハンドル高さ調整部23Cは、ハンドル部3の高さが下限高さであるか否かを判定する。
【0189】
ここで、ハンドル部3の高さが下限高さではないと判定された場合(ステップS61でNO)、ステップS53に処理が戻る。
【0190】
一方、ハンドル部3の高さが下限高さであると判定された場合(ステップS61でYES)、ステップS62において、ハンドル高さ調整部23Cは、ハンドル部3の高さを初期高さに決定する。すなわち、ハンドル高さ調整部23Cは、ハンドル部3を上限高さから下限高さに移動させても、下方向にかかる荷重が所定の範囲にならなかった場合、ハンドル部3の高さを初期高さに決定する。
【0191】
ステップS63の処理は、
図7に示すステップS23の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0192】
なお、本実施の形態4では、ハンドル高さ調整部23Cは、ハンドル部3を初期高さから上限高さまで上昇させた後、ハンドル部3を下降させているが、本開示は特にこれに限定されず、ハンドル部3を初期高さから下限高さまで下降させた後、ハンドル部3を上昇させてもよい。
【0193】
また、本実施の形態4において、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザが歩行支援装置を押して直線的に歩いている状態において、ハンドル部3を一定の速度で連続的に上昇又は下降させ、下方向にかかる荷重を取得してもよい。ハンドル高さ調整部23Cは、左方向にかかる荷重と右方向にかかる荷重とが同じである場合、又は左右の回転体51の回転数が同じである場合、ユーザが歩行支援装置を押して直線的に歩いていると判定することが可能である。ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザが歩行支援装置を押して直線的に歩いている場合、下方向にかかる荷重を取得してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザが歩行支援装置を押して直線的に歩いていない場合、下方向にかかる荷重を取得しなくてもよい。
【0194】
また、本実施の形態4において、歩行支援装置1Cがハンドル高さ調整部23Cを備えているが、本開示は特にこれに限定されず、歩行支援装置1Cとネットワークを介して通信可能に接続されたサーバがハンドル高さ調整部23Cを備えてもよい。この場合、歩行支援装置1Cは通信部をさらに備える。この通信部は、荷重センサ8によって取得されたデータをサーバへ送信するとともに、ハンドル部3を昇降させるための指示をサーバから受信してもよい。
【0195】
また、本実施の形態4において、ハンドル高さ調整部23Cは、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置1Cを押して歩いている状態において、荷重センサ8によって検知された下方向にかかる荷重を取得してもよい。そして、ハンドル高さ調整部23Cは、取得した下方向にかかる荷重が所定の値以上の場合、ハンドル部3を上昇させ、取得した下方向にかかる荷重が所定の値未満になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇を停止させてもよい。
【0196】
(実施の形態5)
実施の形態5では、ハンドル高さ調整部は、ハンドル部が上昇又は下降している間に、荷重センサによって検知された垂直方向にかかる荷重を取得し、取得した垂直方向にかかる荷重に対応付けられている肘の角度を取得し、取得した肘の角度が所定の角度になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定する。
【0197】
図12は、本開示の実施の形態5に係る歩行支援装置1Dの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Dの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態5において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0198】
歩行支援装置1Dは、本体部2、ハンドル部3、制御部4D、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9及び前輪部10を備える。
【0199】
図12に示す制御部4Dは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23D、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25、安全制御部26及び肘角度情報記憶部28を備える。
【0200】
肘角度情報記憶部28は、ハンドル部3にかかる荷重と、肘の角度とを対応付けた肘角度情報を予め記憶する。
【0201】
本実施の形態5において、肘の角度とは、例えば、肘を頂点とし、肘から鉛直下方向に伸びる直線と、肘から手に伸びる直線とがなす角度である。
【0202】
なお、肘の角度とは、例えば、肘を頂点とし、肘から肩に伸びる直線(上腕)と、肘から手に伸びる直線(前腕)とがなす角度であってもよい。また、肘の角度とは、例えば、肘を頂点とし、肘から肩に伸びる直線を肩とは逆の方向に延長した直線と、肘から手に伸びる直線(前腕)とがなす角度であってもよい。また、肘の角度とは、例えば、肘を頂点とし、肘から鉛直上方向に伸びる直線と、肘から手に伸びる直線とがなす角度であってもよい。また、肘の角度とは、例えば、手を頂点とし、手から肘に伸びる直線と、水平線とがなす角度であってもよい。
【0203】
ユーザが歩行支援装置1Dを押す際に最適な肘の角度(肘を頂点とし、肘から鉛直下方向に伸びる直線と、肘から手に伸びる直線とがなす角度)は、例えば30度である。垂直方向にかかる荷重と肘の角度とには相関がある。そのため、肘の角度は、垂直方向にかかる荷重から推定することができる。
【0204】
ハンドル高さ調整部23Dは、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置1Dを押して歩いている状態において、ハンドル部3を上昇又は下降させる。ハンドル高さ調整部23Dは、ハンドル部3が上昇又は下降している間に、荷重センサ8によって検知された垂直方向にかかる荷重を取得する。ハンドル高さ調整部23Dは、取得した垂直方向にかかる荷重に対応付けられている肘の角度を肘角度情報記憶部28から取得する。ハンドル高さ調整部23Dは、取得した肘の角度が所定の角度になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させる。
【0205】
続いて、本開示の実施の形態5に係る歩行支援装置1Dによる歩行支援処理について説明する。
【0206】
図13は、本開示の実施の形態5に係る歩行支援装置1Dによる歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートであり、
図14は、本開示の実施の形態5に係る歩行支援装置1Dによる歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【0207】
ステップS71~ステップS72の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであり、ステップS73の処理は、
図7に示すステップS23の処理と同じであり、ステップS74の処理は、
図10に示すステップS44の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0208】
次に、ステップS75において、荷重センサ8は、ハンドル部3にかかる荷重を検知する。このとき、荷重センサ8は、少なくとも垂直方向にかかる荷重を検知する。
【0209】
次に、ステップS76において、ハンドル高さ調整部23Dは、荷重センサ8によって検知された垂直方向にかかる荷重を取得する。
【0210】
次に、ステップS77において、ハンドル高さ調整部23Dは、取得した垂直方向にかかる荷重に対応付けられている肘の角度を肘角度情報記憶部28から取得する。なお、肘の角度は、例えば、肘を頂点とし、肘から鉛直下方向に伸びる直線と、肘から手に伸びる直線とがなす角度である。
【0211】
次に、ステップS78において、ハンドル高さ調整部23Dは、取得した肘の角度が所定の角度であるか否かを判定する。なお、所定の角度は、例えば、30度である。
【0212】
ここで、取得した肘の角度が所定の角度であると判定された場合(ステップS78でYES)、ステップS79において、ハンドル高さ調整部23Dは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定する。なお、ハンドル高さ調整部23Dは、決定したハンドル部3の高さをユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部25に記憶してもよい。
【0213】
次に、ステップS80において、ハンドル高さ調整部23Dは、ハンドル部3の上昇を停止させる。
【0214】
ステップS81~ステップS82の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0215】
一方、取得した肘の角度が所定の角度ではないと判定された場合(ステップS78でNO)、ステップS83において、ハンドル高さ調整部23Dは、ハンドル部3の高さが上限高さであるか否かを判定する。
【0216】
ステップS83~ステップS84の処理は、
図10及び
図11に示すステップS52~ステップS53の処理と同じであり、ステップS85~ステップS89の処理は、
図13に示すステップS75~ステップS79の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0217】
次に、ステップS90において、ハンドル高さ調整部23Dは、ハンドル部3の下降を停止させる。
【0218】
ステップS91~ステップS92の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0219】
一方、取得した肘の角度が所定の角度ではないと判定された場合(ステップS88でNO)、ステップS93において、ハンドル高さ調整部23Dは、ハンドル部3の高さが下限高さであるか否かを判定する。
【0220】
ステップS93~ステップS95の処理は、
図11に示すステップS61~ステップS63の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0221】
なお、本実施の形態5では、ハンドル高さ調整部23Dは、ハンドル部3を初期高さから上限高さまで上昇させた後、ハンドル部3を下降させているが、本開示は特にこれに限定されず、ハンドル部3を初期高さから下限高さまで下降させた後、ハンドル部3を上昇させてもよい。
【0222】
また、本実施の形態5において、歩行支援装置1Dがハンドル高さ調整部23D及び肘角度情報記憶部28を備えているが、本開示は特にこれに限定されず、歩行支援装置1Dとネットワークを介して通信可能に接続されたサーバがハンドル高さ調整部23D及び肘角度情報記憶部28を備えてもよい。この場合、歩行支援装置1Dは通信部をさらに備える。この通信部は、荷重センサ8によって取得されたデータをサーバへ送信するとともに、ハンドル部3を昇降させるための指示をサーバから受信してもよい。
【0223】
(実施の形態6)
実施の形態6では、ハンドル高さ調整部は、上方向にかかる荷重が閾値以上である場合、ハンドル部を上昇させ、下方向にかかる荷重が閾値以上である場合、ハンドル部を下降させ、ハンドル部が上昇又は下降している間に、上方向又は下方向にかかる荷重が所定の値以下になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定する。
【0224】
図15は、本開示の実施の形態6に係る歩行支援装置1Eの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Eの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態6において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0225】
歩行支援装置1Eは、本体部2、ハンドル部3、制御部4E、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9及び前輪部10を備える。
【0226】
図15に示す制御部4Eは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23E、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25及び安全制御部26を備える。
【0227】
ハンドル高さ調整部23Eは、荷重センサ8によって検知された上方向及び下方向にかかる荷重を取得する。ハンドル高さ調整部23Eは、取得した上方向にかかる荷重が閾値以上である場合、ハンドル部3を上昇させる。ハンドル高さ調整部23Eは、取得した下方向にかかる荷重が閾値以上である場合、ハンドル部3を下降させる。ハンドル高さ調整部23Eは、ハンドル部3が上昇又は下降している間に、荷重センサ8によって検知された上方向又は下方向にかかる荷重を取得する。ハンドル高さ調整部23Eは、取得した上方向又は下方向にかかる荷重が所定の値以下になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させる。
【0228】
なお、実施の形態6では、ハンドル高さ調整部23Eは、取得した上方向又は下方向にかかる荷重が0になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させる。
【0229】
続いて、本開示の実施の形態6に係る歩行支援装置1Eによる歩行支援処理について説明する。
【0230】
図16は、本開示の実施の形態6に係る歩行支援装置1Eによる歩行支援処理について説明するためのフローチャートである。
【0231】
ステップS101~ステップS102の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0232】
次に、ステップS103において、荷重センサ8は、ハンドル部3にかかる荷重を検知する。このとき、荷重センサ8は、少なくとも上方向及び下方向にかかる荷重を検知する。ユーザがハンドル部3を上方に引き上げる動作を行うことにより、上方向に荷重がかかり、ユーザがハンドル部3を下方に押し下げる動作を行うことにより、下方向に荷重がかかる。
【0233】
次に、ステップS104において、ハンドル高さ調整部23Eは、荷重センサ8によって検知された上方向及び下方向にかかる荷重を取得する。
【0234】
次に、ステップS105において、ハンドル高さ調整部23Eは、取得した上方向にかかる荷重が閾値以上であるか否かを判定する。
【0235】
ここで、取得した上方向にかかる荷重が閾値以上であると判定された場合(ステップS105でYES)、ステップS106において、ハンドル高さ調整部23Eは、ハンドル部3を一定の速度で連続的に上昇させる。
【0236】
次に、ステップS105において、ハンドル高さ調整部23Eは、取得した上方向にかかる荷重が0であるか否かを判定する。ユーザが上方に引き上げていたハンドル部3から手を離すことにより、ハンドル部3の上方向にかかる荷重が0になる。ここで、取得した上方向にかかる荷重が0ではないと判定された場合(ステップS107でNO)、ステップS106に処理が戻る。なお、ハンドル高さ調整部23Eは、ハンドル部3の高さが上限高さになった場合、ハンドル部3の上昇を停止させてもよい。
【0237】
一方、取得した上方向にかかる荷重が0であると判定された場合(ステップS107でYES)、ステップS108において、ハンドル高さ調整部23Eは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定する。なお、ハンドル高さ調整部23Eは、決定したハンドル部3の高さをユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部25に記憶してもよい。
【0238】
次に、ステップS109において、ハンドル高さ調整部23Eは、ハンドル部3の上昇を停止させる。すなわち、ユーザは、ハンドル部3を上方に引き上げ、自身が最適であると感じる高さになるとハンドル部3から手を離す。これにより、ハンドル部3は、ユーザが最適であると感じる高さに調整される。
【0239】
ステップS110~ステップS111の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0240】
一方、取得した上方向にかかる荷重が閾値以上ではないと判定された場合(ステップS105でNO)、ステップS112において、ハンドル高さ調整部23Eは、取得した下方向にかかる荷重が閾値以上であるか否かを判定する。
【0241】
ここで、取得した下方向にかかる荷重が閾値以上ではないと判定された場合(ステップS112でNO)、ステップS103に処理が戻る。
【0242】
一方、取得した下方向にかかる荷重が閾値以上であると判定された場合(ステップS112でYES)、ステップS113において、ハンドル高さ調整部23Eは、ハンドル部3を一定の速度で連続的に下降させる。
【0243】
次に、ステップS114において、ハンドル高さ調整部23Eは、取得した下方向にかかる荷重が0であるか否かを判定する。ユーザが下方に押し下げていたハンドル部3から手を離すことにより、ハンドル部3の下方向にかかる荷重が0になる。ここで、取得した下方向にかかる荷重が0ではないと判定された場合(ステップS114でNO)、ステップS113に処理が戻る。なお、ハンドル高さ調整部23Eは、ハンドル部3の高さが下限高さになった場合、ハンドル部3の下降を停止させてもよい。
【0244】
一方、取得した下方向にかかる荷重が0であると判定された場合(ステップS114でYES)、ステップS115において、ハンドル高さ調整部23Eは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定する。なお、ハンドル高さ調整部23Eは、決定したハンドル部3の高さをユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部25に記憶してもよい。
【0245】
次に、ステップS116において、ハンドル高さ調整部23Eは、ハンドル部3の下降を停止させる。すなわち、ユーザは、ハンドル部3を下方に押し下げ、自身が最適であると感じる高さになるとハンドル部3から手を離す。これにより、ハンドル部3は、ユーザが最適であると感じる高さに調整される。
【0246】
(実施の形態7)
実施の形態7では、ハンドル高さ調整部は、ハンドル部が上昇又は下降している間に、ユーザの体の複数の部位の所定空間上の位置を取得し、取得した複数の部位の所定空間上の位置の位置関係が、予め記憶されている人が最適な高さのハンドル部を把持したときの人の体の複数の部位の所定空間上の位置関係と同じになった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定する。
【0247】
図17は、本開示の実施の形態7に係る歩行支援装置1Fの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Fの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態7において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0248】
歩行支援装置1Fは、本体部2、ハンドル部3、制御部4F、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9、前輪部10及びカメラ11を備える。
【0249】
図17に示す制御部4Fは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23F、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25、安全制御部26、位置検出部29及び姿勢情報記憶部30を備える。
【0250】
カメラ11は、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置1Fを押して歩いている状態において、ユーザを撮像する。カメラ11は、ユーザを撮像することにより動画像データを取得する。カメラ11は、歩行支援装置1Fに設けられていてもよいし、歩行支援装置1Fの外部に設けられていてもよい。カメラ11は、有線又は無線により歩行支援装置1Fと接続されてもよい。
【0251】
位置検出部29は、カメラ11によって出力された動画像データを取得する。位置検出部29は、ユーザの体の複数の部位の所定空間上の位置を検出する。所定空間は、例えば、2次元空間又は3次元空間である。
【0252】
位置検出部29は、カメラ11から取得した動画像データからユーザの骨格を示す骨格データを抽出する。骨格データは、ユーザの関節等を示す複数の特徴点(部位)の座標と、各特徴点を繋ぐ直線とで表される。位置検出部29は、2次元画像データから人の特徴点の座標を検出するソフトウエア(例えば、OpenPose又は3D-pose-baseline)を利用してもよい。
【0253】
位置検出部29は、ユーザの画像を含む2次元画像データから骨格データを抽出する。例えば、骨格データは、頭を示す特徴点、両肩の中央を示す特徴点、右肩を示す特徴点、右肘を示す特徴点、右手を示す特徴点、左肩を示す特徴点、左肘を示す特徴点、左手を示す特徴点、腰を示す特徴点、右股関節を示す特徴点、右膝関節を示す特徴点、右足首関節を示す特徴点、右つま先を示す特徴点、左股関節を示す特徴点、左膝関節を示す特徴点、左足首関節を示す特徴点、及び左つま先を示す特徴点を含む。
【0254】
動画像データは、複数の2次元画像データで構成される。位置検出部29は、動画像データを構成する複数の2次元画像データのそれぞれから時系列の骨格データを抽出する。なお、位置検出部29は、全フレームの2次元画像データから骨格データを抽出してもよいし、所定フレーム毎の2次元画像データから骨格データを抽出してもよい。また、本実施の形態7では、ユーザに最適なハンドル部3の高さが決定される。そのため、位置検出部29はユーザの上肢の骨格データ(右肩を示す特徴点、右肘を示す特徴点、右手を示す特徴点、左肩を示す特徴点、左肘を示す特徴点、及び左手を示す特徴点)のみを抽出してもよい。
【0255】
姿勢情報記憶部30は、人が最適な高さのハンドル部3を把持したときの人の体の複数の部位の所定空間上の位置関係を示す姿勢情報を予め記憶する。例えば、姿勢情報記憶部30は、右肩を示す特徴点、右肘を示す特徴点及び右手を示す特徴点の2次元空間上の位置関係を示す姿勢情報を予め記憶してもよい。右肩を示す特徴点、右肘を示す特徴点及び右手を示す特徴点の2次元空間上の位置関係は、例えば、右肘を示す特徴点を頂点とし、右肩を示す特徴点と右肘を示す特徴点とを結ぶ直線と、右肘を示す特徴点と右手を示す特徴点とを結ぶ直線とがなす右肘角度である。
【0256】
また、例えば、姿勢情報記憶部30は、左肩を示す特徴点、左肘を示す特徴点及び左手を示す特徴点の2次元空間上の位置関係を示す姿勢情報を予め記憶してもよい。左肩を示す特徴点、左肘を示す特徴点及び左手を示す特徴点の2次元空間上の位置関係は、例えば、左肘を示す特徴点を頂点とし、左肩を示す特徴点と左肘を示す特徴点とを結ぶ直線と、左肘を示す特徴点と左手を示す特徴点とを結ぶ直線とがなす左肘角度である。
【0257】
ハンドル高さ調整部23Fは、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置1Fを押して歩いている状態において、ハンドル部3を上昇又は下降させる。
【0258】
ハンドル高さ調整部23Fは、ハンドル部3が上昇又は下降している間に、位置検出部29によって検出された複数の部位の所定空間上の位置を取得する。ハンドル高さ調整部23Fは、ハンドル部3が上昇又は下降している間に、位置検出部29によって検出された右肩を示す特徴点、右肘を示す特徴点、右手を示す特徴点、左肩を示す特徴点、左肘を示す特徴点、及び左手を示す特徴点の2次元空間上の位置を取得する。
【0259】
ハンドル高さ調整部23Fは、取得した複数の部位の所定空間上の位置の位置関係を算出する。例えば、ハンドル高さ調整部23Fは、取得した右肩を示す特徴点、右肘を示す特徴点、右手を示す特徴点、左肩を示す特徴点、左肘を示す特徴点、及び左手を示す特徴点の2次元空間上の位置から、右肘角度又は左肘角度を位置関係として算出する。
【0260】
ハンドル高さ調整部23Fは、取得した複数の部位の所定空間上の位置の位置関係が、姿勢情報記憶部30に記憶されている位置関係と同じになった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させる。例えば、ハンドル高さ調整部23Fは、取得した右肩を示す特徴点、右肘を示す特徴点、右手を示す特徴点、左肩を示す特徴点、左肘を示す特徴点、及び左手を示す特徴点の2次元空間上の位置から算出される右肘角度又は左肘角度が、姿勢情報記憶部30に記憶されている右肘角度又は左肘角度と同じになった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させる。
【0261】
続いて、本開示の実施の形態7に係る歩行支援装置1Fによる歩行支援処理について説明する。
【0262】
図18は、本開示の実施の形態7に係る歩行支援装置1Fによる歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートであり、
図19は、本開示の実施の形態7に係る歩行支援装置1Fによる歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【0263】
ステップS121~ステップS122の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであり、ステップS123の処理は、
図7に示すステップS23の処理と同じであり、ステップS124の処理は、
図10に示すステップS44の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0264】
次に、ステップS125において、位置検出部29は、ユーザの体の複数の部位の所定空間上の位置を検出する。このとき、位置検出部29は、カメラ11から取得した動画像データからユーザの骨格を示す骨格データを抽出し、ユーザの右肩、右肘、右手、左肩、左肘及び左手の2次元空間上の位置を検出する。
【0265】
次に、ステップS126において、ハンドル高さ調整部23Fは、位置検出部29によって検出された複数の部位の所定空間上の位置の位置関係を算出する。このとき、ハンドル高さ調整部23Fは、位置検出部29によって検出された右肩、右肘、右手、左肩、左肘及び左手の2次元空間上の位置から、右肘角度又は左肘角度を位置関係として算出する。なお、カメラ11がユーザを撮像する角度によっては、ユーザの右肩、右肘、右手、左肩、左肘及び左手の全ての位置が検出されない可能性がある。そのため、ハンドル高さ調整部23Fは、右肘角度及び左肘角度の両方を算出してもよいし、右肘角度及び左肘角度のいずれか一方を算出してもよい。
【0266】
次に、ステップS127において、ハンドル高さ調整部23Fは、算出した位置関係が、姿勢情報記憶部30に記憶されている位置関係と同じであるか否かを判定する。このとき、ハンドル高さ調整部23Fは、算出した右肘角度及び左肘角度のいずれか一方が、姿勢情報記憶部30に記憶されている右肘角度及び左肘角度のいずれか一方と同じであるか否かを判定する。
【0267】
ここで、算出した位置関係が、記憶されている位置関係と同じであると判定された場合(ステップS127でYES)、ステップS128において、ハンドル高さ調整部23Fは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定する。なお、ハンドル高さ調整部23Fは、決定したハンドル部3の高さをユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部25に記憶してもよい。
【0268】
次に、ステップS129において、ハンドル高さ調整部23Fは、ハンドル部3の上昇を停止させる。
【0269】
ステップS130~ステップS131の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0270】
一方、算出した位置関係が、記憶されている位置関係と同じではないと判定された場合(ステップS127でNO)、ステップS132において、ハンドル高さ調整部23Fは、ハンドル部3の高さが上限高さであるか否かを判定する。
【0271】
ステップS132~ステップS133の処理は、
図10及び
図11に示すステップS52~ステップS53の処理と同じであり、ステップS134~ステップS137の処理は、
図18に示すステップS125~ステップS128の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0272】
次に、ステップS138において、ハンドル高さ調整部23Fは、ハンドル部3の下降を停止させる。
【0273】
ステップS139~ステップS140の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0274】
一方、算出した位置関係が、記憶されている位置関係と同じではないと判定された場合(ステップS136でNO)、ステップS141において、ハンドル高さ調整部23Fは、ハンドル部3の高さが下限高さであるか否かを判定する。
【0275】
ステップS141~ステップS143の処理は、
図11に示すステップS61~ステップS63の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0276】
なお、本実施の形態7では、ハンドル高さ調整部23Fは、ハンドル部3を初期高さから上限高さまで上昇させた後、ハンドル部3を下降させているが、本開示は特にこれに限定されず、ハンドル部3を初期高さから下限高さまで下降させた後、ハンドル部3を上昇させてもよい。
【0277】
また、本実施の形態7では、位置検出部29は、カメラ11から取得された動画像データに基づいて骨格データを抽出しているが、本開示は特にこれに限定されず、モーションキャプチャシステムを用いて骨格データを抽出してもよい。モーションキャプチャシステムは、光学式、磁気式、機械式及び慣性センサ式のいずれであってもよい。例えば、光学式モーションキャプチャシステムは、関節部分にマーカを貼り付けたユーザをカメラで撮影し、撮影した画像からマーカの位置を検出する。位置検出部29は、モーションキャプチャシステムによって検出された位置データから、ユーザの骨格データを取得する。
【0278】
また、モーションキャプチャシステムは、深度センサ及びカラーカメラを備えてもよく、映像からユーザの関節点の位置情報を自動的に抽出し、ユーザの姿勢を検出してもよい。この場合、ユーザは、マーカを貼り付ける必要はない。
【0279】
また、本実施の形態7において、歩行支援装置1Fがハンドル高さ調整部23F及び位置検出部29を備えているが、本開示は特にこれに限定されず、歩行支援装置1Fとネットワークを介して通信可能に接続されたサーバがハンドル高さ調整部23F及び位置検出部29を備えてもよい。この場合、歩行支援装置1Fは通信部をさらに備える。この通信部は、カメラ11によって取得されたデータをサーバへ送信するとともに、ハンドル部3を昇降させるための指示をサーバから受信してもよい。
【0280】
(実施の形態8)
実施の形態8では、ハンドル高さ調整部は、ハンドル部3の高さを複数の高さのそれぞれに変更した後、ユーザが歩行支援装置を押して歩いている状態において、検知された運動負荷を取得し、複数の高さのうち、取得した運動負荷が最大になるときの高さをハンドル部3の高さに決定する。
【0281】
図20は、本開示の実施の形態8に係る歩行支援装置1Gの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Gの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態8において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0282】
歩行支援装置1Gは、本体部2、ハンドル部3、制御部4G、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9、前輪部10及び生体センサ12を備える。
【0283】
図20に示す制御部4Gは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23G、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25、安全制御部26及び運動負荷記憶部31を備える。
【0284】
生体センサ12は、ユーザにかかる運動負荷を検知する。運動負荷は、例えば、心拍数である。
【0285】
生体センサ12は、歩行支援装置1Gに搭載され、人の生体情報を非接触で測定する電波センサである。生体センサ12は、マイクロ波を人に照射し、反射波のドップラーシフトから、生体センサ12と人との間の微小な距離変化を計測することで、人の生体情報を測定する。生体情報は、例えば、呼吸数及び心拍数などを含む。
【0286】
なお、本実施の形態8では、歩行支援装置1Gは非接触型の電波センサを生体センサ12として備えているが、ユーザにかかる運動負荷を検知可能なセンサであれば、電波センサに限定されない。を生体センサ12は、例えば、接触型のセンサであってもよい。を生体センサ12は、例えば、腕に装着するウェアラブル端末であってもよく、ウェアラブル端末に設けられた接触型のセンサが、ユーザの心拍数等の生体情報を測定してもよい。
【0287】
ハンドル高さ調整部23Gは、ハンドル部3の高さを複数の高さのそれぞれに変更する。ハンドル高さ調整部23Gは、ハンドル部3の高さを変更した後、ユーザが歩行支援装置1Gを押して歩いている状態において、生体センサ12によって検知された運動負荷を取得する。
【0288】
運動負荷記憶部31は、ハンドル部3の複数の高さと、複数の高さのそれぞれにおいて、ユーザが歩行支援装置1Gを押して歩いていた際に、生体センサ12によって検知された運動負荷とを対応付けて記憶する。ハンドル高さ調整部23Gは、取得した運動負荷を、ハンドル部3の高さに対応付けて運動負荷記憶部31に記憶する。
【0289】
ハンドル高さ調整部23Gは、複数の高さのうち、取得した運動負荷が最大になるときの高さをハンドル部3の高さに決定する。ハンドル高さ調整部23Gは、運動負荷記憶部31に記憶された複数の運動負荷のうち、最大である運動負荷に対応付けられている高さを、ユーザの最適なハンドル部3の高さに決定する。
【0290】
続いて、本開示の実施の形態8に係る歩行支援装置1Gによる歩行支援処理について説明する。
【0291】
図21は、本開示の実施の形態8に係る歩行支援装置1Gによる歩行支援処理について説明するためのフローチャートである。
【0292】
ステップS151~ステップS152の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであり、ステップS153~ステップS154の処理は、
図7に示すステップS23~ステップS24の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0293】
ユーザが歩行を開始したと判定された場合(ステップS154でYES)、ステップS155において、生体センサ12は、ユーザの心拍数を検知する。
【0294】
次に、ステップS156において、ハンドル高さ調整部23Gは、ユーザが歩行を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間は、例えば、1分である。ここで、ユーザが歩行を開始してから所定時間が経過していないと判定された場合(ステップS156でNO)、ステップS155に処理が戻る。
【0295】
一方、ユーザが歩行を開始してから所定時間が経過したと判定された場合(ステップS156でYES)、ステップS157において、ハンドル高さ調整部23Gは、生体センサ12によって検知されたユーザの心拍数を取得する。
【0296】
次に、ステップS158において、ハンドル高さ調整部23Gは、現在のハンドル部3の高さと、取得したユーザの心拍数とを対応付けて運動負荷記憶部31に記憶する。
【0297】
次に、ステップS159において、ハンドル高さ調整部23Gは、予め決められている複数の高さの全てで心拍数を検知したか否かを判定する。
【0298】
ここで、複数の高さの全てで心拍数を検知したと判定された場合(ステップS159でYES)、ステップS160において、ハンドル高さ調整部23Gは、運動負荷記憶部31を参照し、ユーザのハンドル部3の高さを、複数の高さのうち、最も大きい心拍数に対応付けられている高さに決定する。なお、ハンドル高さ調整部23Gは、決定したハンドル部3の高さをユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部25に記憶してもよい。
【0299】
ステップS161~ステップS162の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0300】
一方、複数の高さの全てで心拍数を検知していないと判定された場合(ステップS159でNO)、ステップS163において、ハンドル高さ調整部23Gは、複数の高さのうち、心拍数が検知されていない高さに、ハンドル部3の高さを変更する。
【0301】
なお、本実施の形態8において、運動負荷は、心拍数であるが、本開示は特にこれに限定されない。運動負荷は、歩行距離、歩行時間、歩行速度、又はユーザが歩行支援装置1Gを押す力(進行方向の荷重)であってもよい。ハンドル高さ調整部23Gは、ユーザのハンドル部3の高さを、複数の高さのうち、歩行距離が最長になるときのハンドル部3の高さに決定してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Gは、ユーザのハンドル部3の高さを、複数の高さのうち、歩行時間が最長になるときのハンドル部3の高さに決定してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Gは、ユーザのハンドル部3の高さを、複数の高さのうち、歩行速度が最速になるときのハンドル部3の高さに決定してもよい。また、ハンドル高さ調整部23Gは、ユーザのハンドル部3の高さを、複数の高さのうち、進行方向の荷重が最大になるときのハンドル部3の高さに決定してもよい。
【0302】
また、本実施の形態8において、歩行支援装置1Gがハンドル高さ調整部23G及び運動負荷記憶部31を備えているが、本開示は特にこれに限定されず、歩行支援装置1Gとネットワークを介して通信可能に接続されたサーバがハンドル高さ調整部23G及び運動負荷記憶部31を備えてもよい。この場合、歩行支援装置1Gは通信部をさらに備える。この通信部は、生体センサ12によって取得されたデータをサーバへ送信するとともに、ハンドル部3を昇降させるための指示をサーバから受信してもよい。
【0303】
(実施の形態9)
実施の形態9では、ハンドル高さ調整部は、ハンドル部3の高さが快適な高さではないと入力された場合、ハンドル部を上昇又は下降させ、ハンドル部3の高さが快適な高さであると入力された場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定する。
【0304】
図22は、本開示の実施の形態9に係る歩行支援装置1Hの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Hの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態9において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0305】
歩行支援装置1Hは、本体部2、ハンドル部3、制御部4H、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9及び前輪部10を備える。
【0306】
図22に示す制御部4Hは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23H、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25及び安全制御部26を備える。
【0307】
タッチパネル9は、ハンドル部3の高さが快適な高さであるか否かのユーザによる入力を受け付ける。
【0308】
ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3を上昇又は下降させる。ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3の高さが快適な高さであると入力された場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させる。
【0309】
続いて、本開示の実施の形態9に係る歩行支援装置1Hによる歩行支援処理について説明する。
【0310】
図23は、本開示の実施の形態9に係る歩行支援装置1Hによる歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートであり、
図24は、本開示の実施の形態9に係る歩行支援装置1Hによる歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【0311】
ステップS171~ステップS172の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであり、ステップS173の処理は、
図7に示すステップS23の処理と同じであり、ステップS174の処理は、
図10に示すステップS44の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0312】
次に、ステップS175において、タッチパネル9は、現在のハンドル部3の高さが快適な高さであるか否かのユーザによる入力を受け付ける。例えば、タッチパネル9は、現在のハンドル部3の高さが快適な高さであることを示す高さ決定ボタンを表示する。ユーザは、現在のハンドル部3の高さが快適な高さである場合に、タッチパネル9に表示された高さ決定ボタンをタッチする。
【0313】
次に、ステップS176において、ハンドル高さ調整部23Hは、現在のハンドル部3の高さが快適な高さであることを示す高さ決定ボタンがタッチされたか否かを判定する。
【0314】
ここで、高さ決定ボタンがタッチされたと判定された場合(ステップS176でYES)、ステップS177において、ハンドル高さ調整部23Hは、ユーザのハンドル部3の高さを現在のハンドル部3の高さに決定する。なお、ハンドル高さ調整部23Hは、決定したハンドル部3の高さをユーザIDに対応付けてユーザ情報記憶部25に記憶してもよい。
【0315】
次に、ステップS178において、ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3の上昇を停止させる。
【0316】
ステップS179~ステップS180の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0317】
一方、高さ決定ボタンがタッチされていないと判定された場合(ステップS176でNO)、ステップS181において、ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3の高さが上限高さであるか否かを判定する。
【0318】
ステップS181~ステップS182の処理は、
図10及び
図11に示すステップS52~ステップS53の処理と同じであり、ステップS183~ステップS185の処理は、
図23に示すステップS175~ステップS177の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0319】
次に、ステップS186において、ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3の下降を停止させる。
【0320】
ステップS187~ステップS188の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0321】
一方、高さ決定ボタンがタッチされていないと判定された場合(ステップS184でNO)、ステップS189において、ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3の高さが下限高さであるか否かを判定する。
【0322】
ステップS189~ステップS191の処理は、
図11に示すステップS61~ステップS63の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0323】
なお、本実施の形態9では、ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3を初期高さから上限高さまで上昇させた後、ハンドル部3を下降させているが、本開示は特にこれに限定されず、ハンドル部3を初期高さから下限高さまで下降させた後、ハンドル部3を上昇させてもよい。
【0324】
また、本実施の形態9では、現在のハンドル部3の高さに対するユーザによる入力がフィードバックされ、最適なハンドル部3の高さが決定されるが、本開示は特にこれに限定されない。歩行支援装置1Gは、ユーザの生体情報を検知する生体センサを備えてもよい。ハンドル高さ調整部23Hは、生体センサによって検知された生体情報から、ユーザの感情状態値を算出してもよい。感情状態値は、覚醒度と感情価とを示す2次元座標で表される。ハンドル高さ調整部23Hは、2次元座標上における感情状態値を算出してもよい。2次元座標は、例えば、ラッセルの円環図である。覚醒度は、-1.0(鎮静)から+1.0(覚醒)までの値で示され、感情価は、-1.0(不快)から+1.0(快適)までの値で示される。歩行支援装置1Gは、算出される感情価が快適になるときのハンドル部3の高さを最適な高さとして決定してもよい。
【0325】
また、本実施の形態9において、ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3が上昇又は下降している間に、ハンドル部3の高さが快適な高さであると入力された場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させているが、本開示は特にこれに限定されない。ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3が上昇又は下降した後、ハンドル部3の高さが快適な高さであると入力された場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定してもよい。すなわち、ユーザは、ハンドル部3を上昇又は下降させ、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させた後、歩行支援装置1Gを押して歩いてみる。そして、ユーザの歩行終了後に、タッチパネル9は、ハンドル部3の高さが快適な高さであるか否かのユーザによる入力を受け付けてもよい。ハンドル高さ調整部23Hは、ハンドル部3の高さが快適な高さであると入力された場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定してもよい。
【0326】
(実施の形態10)
実施の形態10では、ハンドル高さ調整部によってハンドル部3の高さが自動的に調整された後、ハンドル部3の高さのユーザによる補正が受け付けられ、受け付けられた補正値が記憶される。
【0327】
図25は、本開示の実施の形態10に係る歩行支援装置1Iの構成を示すブロック図である。なお、歩行支援装置1Iの外観は、
図1に示す歩行支援装置1の外観と同じである。また、実施の形態10において、実施の形態1と同じ構成については同じ参照符号を付し、説明を省略する。
【0328】
歩行支援装置1Iは、本体部2、ハンドル部3、制御部4I、移動部5、ハンドル昇降機構6、ICカードリーダ7、荷重センサ8、タッチパネル9及び前輪部10を備える。
【0329】
図25に示す制御部4Iは、負荷設定部21、移動制御部22、ハンドル高さ調整部23I、ユーザ認識部24、ユーザ情報記憶部25、安全制御部26及び補正値記憶部32を備える。
【0330】
タッチパネル9は、ハンドル高さ調整部23Iによってハンドル部3の高さが自動的に調整された後、ハンドル部3の高さのユーザによる補正を受け付ける。タッチパネル9は、補正受付部の一例である。
【0331】
補正値記憶部32は、タッチパネル9によって受け付けられた補正値を記憶する。補正値が+3センチメートルであれば、ハンドル部3は3センチメートル上昇され、補正値が-3センチメートルであれば、ハンドル部3は3センチメートル下降される。
【0332】
ハンドル高さ調整部23Iは、ユーザがハンドル部3を把持して直立した状態、又はユーザが歩行支援装置1Iを押して歩いている状態において、ハンドル部3を上昇又は下降させる。ハンドル高さ調整部23Iは、ハンドル部3が上昇又は下降している間に、荷重センサ8によって検知された下方向にかかる荷重を取得する。ハンドル高さ調整部23Iは、取得した下方向にかかる荷重が所定の範囲内になった場合、そのときの高さをハンドル部3の高さに決定し、ハンドル部3の上昇又は下降を停止させる。
【0333】
また、ハンドル高さ調整部23Iは、タッチパネル9によって受け付けられたハンドル部3の高さのユーザによる補正に応じて、ハンドル部3を昇降させる。ハンドル高さ調整部23Iは、タッチパネル9によってハンドル部3の上昇が指示された場合、ハンドル部3を上昇させる。ハンドル高さ調整部23Iは、タッチパネル9によってハンドル部3の下降が指示された場合、ハンドル部3を下降させる。
【0334】
また、ハンドル高さ調整部23Iは、補正値記憶部32に補正値が記憶されている場合、決定したハンドル部3の高さに補正値を加算する。
【0335】
続いて、本開示の実施の形態10に係る歩行支援装置1Iによる歩行支援処理について説明する。
【0336】
図26は、本開示の実施の形態10に係る歩行支援装置1Iによる歩行支援処理について説明するための第1のフローチャートであり、
図27は、本開示の実施の形態10に係る歩行支援装置1Iによる歩行支援処理について説明するための第2のフローチャートである。
【0337】
ステップS201~ステップS202の処理は、
図3に示すステップS1~ステップS2の処理と同じであり、ステップS203の処理は、
図7に示すステップS23の処理と同じであり、ステップS204~ステップS209の処理は、
図10に示すステップS44~ステップS49の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0338】
次に、ステップS210において、ハンドル高さ調整部23Iは、補正値記憶部32に補正値が記憶されているか否かを判定する。
【0339】
ここで、補正値記憶部32に補正値が記憶されていないと判定された場合(ステップS210でNO)、ステップS211において、タッチパネル9は、ハンドル部3の高さのユーザによる補正を受け付ける。例えば、タッチパネル9は、ハンドル部3を上昇させるための上昇ボタンと、ハンドル部3を下降させるための下降ボタンとを表示する。ユーザは、タッチパネル9に表示された上昇ボタンと下降ボタンとのいずれかをタッチする。ハンドル高さ調整部23Iは、タッチパネル9に表示された上昇ボタンがタッチされている間、ハンドル部3を上昇させ、上昇ボタンがタッチされなくなると、ハンドル部3の上昇を停止させる。また、ハンドル高さ調整部23Iは、タッチパネル9に表示された下降ボタンがタッチされている間、ハンドル部3を下降させ、下降ボタンがタッチされなくなると、ハンドル部3の下降を停止させる。これにより、ユーザは、ハンドル高さ調整部23Iによって自動的に調整された現在のハンドル部3の高さを、自身が快適であると感じる高さに補正することができる。
【0340】
次に、ステップS212において、ハンドル高さ調整部23Iは、タッチパネル9によって受け付けられた補正値を補正値記憶部32に記憶する。
【0341】
一方、補正値記憶部32に補正値が記憶されていると判定された場合(ステップS210でYES)、ステップS213において、ハンドル高さ調整部23Iは、補正値記憶部32に記憶されている補正値に応じてハンドル部3を昇降させる。
【0342】
ステップS214~ステップS215の処理は、
図3に示すステップS7~ステップS8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0343】
一方、取得した下方向にかかる荷重が所定の範囲ではないと判定された場合(ステップS207でNO)、ステップS216において、ハンドル高さ調整部23Iは、ハンドル部3の高さが上限高さであるか否かを判定する。
【0344】
ステップS216~ステップS217の処理は、
図10及び
図11に示すステップS52~ステップS53の処理と同じであり、ステップS218~ステップS222の処理は、
図11に示すステップS54~ステップS58の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0345】
また、ステップS223~ステップS228の処理は、
図26に示すステップS210~ステップS215の処理と同じであり、ステップS229~ステップS231の処理は、
図11に示すステップS61~ステップS63の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0346】
なお、本実施の形態10では、ハンドル高さ調整部23Iは、実施の形態4と同じハンドル部3の高さの自動調整を行っているが、本開示は特にこれに限定されず、実施の形態1~3,5~9と同じハンドル部3の高さの自動調整を行ってもよい。
【0347】
また、実施の形態2~10における安全制御部26の動作は、実施の形態1における安全制御部26の動作と同じである。
【0348】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0349】
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0350】
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0351】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0352】
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0353】
本開示に係る技術は、安定してユーザの歩行を支援することができるとともに、ユーザの身体能力をより効果的に向上させることができるので、ユーザの歩行を支援する技術に有用である。