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特許7340771生体検知装置、生体検知方法、記録媒体、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】生体検知装置、生体検知方法、記録媒体、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06M 11/00 20060101AFI20230901BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20230901BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230901BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230901BHJP
   G01S 13/524 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
G06M11/00 Z
A61B5/11 110
G08B21/02
G08B25/04 K
G01S13/524
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019056121
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2019207680
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2018101698
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】井上 謙一
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-11597(JP,A)
【文献】特開平7-237837(JP,A)
【文献】特開昭51-139369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06M 1/00 - 15/00
G06T 1/00
G06T 7/00
A61B 5/11
G08B 21/02
G08B 25/04
G01S 13/524
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信する受信器と、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出する抽出回路と、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数する計数回路と、
前記検知エリア内に存在する前記生体の予定数を取得する取得回路と、
前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致するか否かを検証し出力する検証回路と、
前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサを移動させる移動器と、
を備える生体検知装置。
【請求項2】
前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に検知漏れを通知する通知器をさらに備える、
請求項1に記載の生体検知装置。
【請求項3】
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信する受信器と、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出する抽出回路と、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数する計数回路と、
前記検知エリア内に存在する前記生体の予定数を取得する取得回路と、
前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致するか否かを検証し出力する検証回路と、
を備え、
前記少なくとも1つの非接触センサは、指向性を有する状態である指向性モードと指向性を有しない状態である無指向性モードとを切り替えることができるように構成され、
前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサに対して前記指向性モードで動作するように指示する制御器をさらに備える、
生体検知装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの非接触センサが前記指向性モードであるとき、前記少なくとも1つの非接触センサは、第1の指向性を有する第1の状態及び前記第1の指向性と異なる第2の指向性を有する第2の状態で前記検知エリアを測定し、
前記受信器は、前記第1の状態での前記測定結果である第1の測定結果及び前記第2の状態での前記測定結果である第2の測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信し、
前記抽出回路は、前記第1の測定結果から第1の生体信号を抽出し、前記第2の測定結果から第2の生体信号を抽出し、
前記計数回路は、前記第1の生体信号から第1の生体の数を計数し、前記第2の生体信号から第2の生体の数を計数し、
前記検証回路は、前記第1の生体の数と前記第2の生体の数との合計が前記予定数と一致するか否かを検証する、
請求項3に記載の生体検知装置。
【請求項5】
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信する受信器と、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出する抽出回路と、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数する計数回路と、
前記検知エリア内に存在する前記生体の予定数を取得する取得回路と、
前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致するか否かを検証し出力する検証回路と、
を備え、
前記少なくとも1つの非接触センサは、複数の非接触センサを備え、
前記受信器は、前記複数の非接触センサの各々から前記測定結果を受信し、
前記抽出回路は、前記複数の非接触センサの各々について、前記測定結果から前記生体信号を抽出し、
前記計数回路は、前記複数の非接触センサの各々について、前記生体信号から前記生体の数を計数し、
前記検証回路は、前記複数の非接触センサの中で、前記生体の数が前記予定数と一致する非接触センサが少なくとも1つあるか否かをさらに検証する、
生体検知装置。
【請求項6】
前記複数の非接触センサの各々は、前記検知エリアの測定が可能な状態である動作モードと前記検知エリアの測定を行わずに待機している状態であるアイドルモードとを切り替えることができるように構成され、
前記生体検知装置は、前記複数の非接触センサのうち、前記生体の数と前記予定数とが一致しない非接触センサに対して、前記アイドルモードとなるように指示する制御器をさらに備える、
請求項5に記載の生体検知装置。
【請求項7】
前記制御器は、前記複数の非接触センサのうち、前記アイドルモードである非接触センサに対して、定期的に前記動作モードとなるように指示する、
請求項6に記載の生体検知装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの非接触センサは、ドップラーレーダーである、
請求項1から7のいずれか1項に記載の生体検知装置。
【請求項9】
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
を含み、
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサを移動させることをさらに含む生体検知方法。
【請求項10】
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
を含み、
前記少なくとも1つの非接触センサは、指向性を有する状態である指向性モードと指向性を有しない状態である無指向性モードとを切り替えることができるように構成され、
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサに対して前記指向性モードで動作するように指示することをさらに含む生体検知方法。
【請求項11】
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
を含み、
前記少なくとも1つの非接触センサは、複数の非接触センサを備え、
前記受信することにおいて前記複数の非接触センサの各々から前記測定結果を受信し、
前記抽出することにおいて前記複数の非接触センサの各々について、前記測定結果から前記生体信号を抽出し、
前記計数することにおいて前記複数の非接触センサの各々について、前記生体信号から前記生体の数を計数し、
前記検証することにおいて前記複数の非接触センサの中で、前記生体の数が前記予定数と一致する非接触センサが少なくとも1つあるか否かをさらに検証する生体検知方法。
【請求項12】
生体を検知するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記プログラムが前記コンピュータによって実行されるときに、
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
が実行され、
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサを移動させることがさらに実行されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】
生体を検知するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記プログラムが前記コンピュータによって実行されるときに、
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
が実行され、
前記少なくとも1つの非接触センサは、指向性を有する状態である指向性モードと指向性を有しない状態である無指向性モードとを切り替えることができるように構成され、
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサに対して前記指向性モードで動作するように指示することがさらに実行されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
生体を検知するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記プログラムが前記コンピュータによって実行されるときに、
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
が実行され、
前記少なくとも1つの非接触センサは、複数の非接触センサを備え、
前記受信することにおいて前記複数の非接触センサの各々から前記測定結果を受信し、
前記抽出することにおいて前記複数の非接触センサの各々について、前記測定結果から前記生体信号を抽出し、
前記計数することにおいて前記複数の非接触センサの各々について、前記生体信号から前記生体の数を計数し、
前記検証することにおいて前記複数の非接触センサの中で、前記生体の数が前記予定数と一致する非接触センサが少なくとも1つあるか否かをさらに検証することが実行されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】
生体を検知するためのコンピュータ実行可能なプログラムであって、
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
をコンピュータに実行させ、
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサを移動させることをさらに実行させるプログラム。
【請求項16】
生体を検知するためのコンピュータ実行可能なプログラムであって、
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
をコンピュータに実行させ、
前記少なくとも1つの非接触センサは、指向性を有する状態である指向性モードと指向性を有しない状態である無指向性モードとを切り替えることができるように構成され、
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサに対して前記指向性モードで動作するように指示することをさらに実行させるプログラム。
【請求項17】
生体を検知するためのコンピュータ実行可能なプログラムであって、
少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアへ向けて探知波を送信した際の反射波を測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、
前記測定結果から生体の体動を示す生体信号を抽出すること、
前記生体信号から前記検知エリア内に存在する前記生体の数を計数すること、及び
前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証し出力すること、
をコンピュータに実行させ、
前記少なくとも1つの非接触センサは、複数の非接触センサを備え、
前記受信することにおいて前記複数の非接触センサの各々から前記測定結果を受信し、
前記抽出することにおいて前記複数の非接触センサの各々について、前記測定結果から前記生体信号を抽出し、
前記計数することにおいて前記複数の非接触センサの各々について、前記生体信号から前記生体の数を計数し、
前記検証することにおいて前記複数の非接触センサの中で、前記生体の数が前記予定数と一致する非接触センサが少なくとも1つあるか否かをさらに検証することを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触センサを用いた生体検知装置、生体検知方法、記録媒体、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、生体検知技術を応用した各種のシステムが実用化されている。例えば、保育所、介護施設、病院などにおける入所者を対象とした見守りシステムは、生体検知技術の応用例である。対象者の見守りにおいては、人同士の干渉及び死角などの影響を最小化して、検知エリア内の対象者を適切に検知する必要がある。
【0003】
対象者を適切に検知することが重要とされる局面は、見守りには限られない。例えば、特許文献1の集客情報提供システムでは、展示会などにおいて個々の来訪者が携行する移動局の位置を同定することによってブースごとの来訪者を適切に検知し、ブースごとの混雑情報を来訪者に提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-245213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、対象者の検知漏れのリスクを低減する生体検知装置、生体検知方法、記録媒体、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る生体検知装置は、少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアを測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信する受信器と、前記測定結果から生体信号を抽出する抽出回路と、前記生体信号から前記検知エリア内に存在する生体の数を計数する計数回路と、前記検知エリア内に存在する前記生体の予定数を取得する取得回路と、前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致するか否かを検証する検証回路と、を備える。
【0007】
なお、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の生体検知装置によれば、計数された生体の数と予定数との不一致によって、対象者の検知漏れを発見して、検知漏れに対処するための処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る生体検知装置の一応用例を示す概念図である。
図2図2は、実施の形態1に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る非接触センサの測定結果の一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態1に係る測定状況の一例を説明する概念図である。
図5図5は、実施の形態1に係る生体検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態1に係る測定結果の一例を示すグラフである。
図7図7は、実施の形態1に係る生体信号の一例を示すグラフである。
図8図8は、実施の形態1に係る測定状況の他の一例を説明する図である。
図9図9は、実施の形態1に係る測定結果の他の一例を示すグラフである。
図10図10は、実施の形態1に係る生体信号の他の一例を示すグラフである。
図11図11は、実施の形態2に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図12図12は、実施の形態2に係る生体検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施の形態3に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図14図14は、実施の形態3に係る非接触センサの測定結果の一例を示す図である。
図15図15は、実施の形態3に係る測定状況の一例を説明する概念図である。
図16図16は、実施の形態3に係る生体検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、実施の形態3に係る生体信号の一例を示すグラフである。
図18図18は、実施の形態4に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図19図19は、実施の形態4に係る生体検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、実施の形態5に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図21図21は、実施の形態5に係る生体検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図22図22は、実施の形態に係る生体検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1の集客情報提供システムでは、来訪者が移動局を携行していることを前提として、移動局の位置を同定することにより、ブースごとの来訪者を適切に検知している。
【0011】
しかしながら、保育所及び介護施設などでの見守りでは、対象者に移動局を常時携行させることは困難である。見守りの対象者は、しばしば、移動局の携行を忘れる、落とす、意図的に外すなどするためである。移動局の携行を強制するために、移動局を対象者の衣類に埋め込むか、または対象者の体に直接貼り付けてもよいが、保育士及び介護士にかかる負担が大きく、対象者の快適性を損なう懸念もある。
【0012】
本発明者は、この課題に対して検討を行い、対象者の検知漏れのリスクを低減する生体検知装置、生体検知方法、記録媒体、およびプログラムに想到した。
【0013】
本開示の一態様に係る生体検知装置は、少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアを測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信する受信器と、前記測定結果から生体信号を抽出する抽出回路と、前記生体信号から前記検知エリア内に存在する生体の数を計数する計数回路と、前記検知エリア内に存在する前記生体の予定数を取得する取得回路と、前記計数回路により計数された前記生体の数
が前記予定数と一致するか否かを検証する検証回路と、を備える。
【0014】
このような構成によれば、非接触センサで対象者を測定して得た測定結果を用いるので、対象者が機材を携行する必要がない。また、非接触センサの測定結果から計数された生体の数が予定数と一致するか否かを検証するので、計数された生体の数と予定数との不一致によって、対象者の検知漏れを発見して、検知漏れに対処するための処理を行うことができる。その結果、対象者の検知漏れのリスクを低減する生体検知装置が得られる。
【0015】
また、前記生体検知装置は、前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に検知漏れを通知する通知器をさらに備えてもよい。
【0016】
このような構成によれば、検知漏れに対処するための処理として、例えば、ユーザーに検知漏れを通知することにより適切な対処を促すことができる。
【0017】
また、前記生体検知装置は、前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサを移動させる移動器をさらに備えてもよい。
【0018】
このような構成によれば、検知漏れが生じたときに非接触センサを移動させることにより、ユーザーの介在なしに検知漏れの解消を図ることができる。
【0019】
また、前記少なくとも1つの非接触センサは、指向性を有する状態である指向性モードと指向性を有しない状態である無指向性モードとを切り替えることができるように構成され、前記生体検知装置は、前記計数回路により計数された前記生体の数が前記予定数と一致しない場合に前記少なくとも1つの非接触センサに対して前記指向性モードで動作するように指示する制御器をさらに備えてもよい。
【0020】
このような構成によれば、検知漏れが生じたときに非接触センサを指向性モードで動作させて対象者を指向性で区別して検知することにより、ユーザーの介在なしに検知漏れの解消を図ることができる。
【0021】
また、前記少なくとも1つの非接触センサが前記指向性モードであるとき、前記少なくとも1つの非接触センサは、第1の指向性を有する第1の状態及び前記第1の指向性と異なる第2の指向性を有する第2の状態で前記検知エリアを測定し、前記受信器は、前記第1の状態での前記測定結果である第1の測定結果及び前記第2の状態での前記測定結果である第2の測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信し、前記抽出回路は、前記第1の測定結果から第1の生体信号を抽出し、前記第2の測定結果から第2の生体信号を抽出し、前記計数回路は、前記第1の生体信号から第1の生体の数を計数し、前記第2の生体信号から第2の生体の数を計数し、前記検証回路は、前記第1の生体の数と前記第2の生体の数との合計が前記予定数と一致するか否かを検証してもよい。
【0022】
このような構成によれば、異なる指向性に基づいて異なる方位にいる対象者を区別して計数するので、対象者の検知漏れをより正確に発見することができる。
【0023】
また、前記少なくとも1つの非接触センサは、複数の非接触センサを備え、前記受信器は、前記複数の非接触センサの各々から前記測定結果を受信し、前記抽出回路は、前記複数の非接触センサの各々について、前記測定結果から前記生体信号を抽出し、前記計数回路は、前記複数の非接触センサの各々について、前記生体信号から前記生体の数を計数し、前記検証回路は、前記複数の非接触センサの中で、前記生体の数が前記予定数と一致する非接触センサが少なくとも1つあるか否かをさらに検証してもよい。
【0024】
このような構成によれば、複数の非接触センサで対象者を測定して得た測定結果を用いるので、対象者の検知漏れが生じにくくなる。また、計数された生体の数が予定数と一致する非接触センサが少なくとも1つあるか否かを検証するので、すべての非接触センサで計数結果と予定数とが不一致となることで、対象者の検知漏れを発見できる。その結果、検知漏れの過剰な通知を抑制しつつ、対象者の検知漏れのリスクを低減する生体検知装置が得られる。
【0025】
また、前記複数の非接触センサの各々は、前記探知エリアの測定が可能な状態である動作モードと前記探知エリアの測定を行わずに待機している状態であるアイドルモードとを切り替えることができるように構成され、前記生体検知装置は、前記複数の非接触センサのうち、前記生体の数と前記予定数とが一致しない非接触センサに対して、前記アイドルモードとなるように指示する制御器をさらに備えてもよい。
【0026】
このような構成によれば、予定数の対象者を検知できていない非接触センサをアイドル状態にすることにより、省電力化とともに対象者の電磁波の被ばく量を低減できる。
【0027】
また、前記制御器は、前記複数の非接触センサのうち、前記アイドルモードである非接触センサに対して、定期的に前記動作モードとなるように指示してもよい。
【0028】
このような構成によれば、対象者が移動するなどして予定数の対象者を検知可能になった非接触センサをふたたび動作させることができるので、対象者を継続的かつ適切に検知できる。
【0029】
また、前記少なくとも1つの非接触センサは、ドップラーレーダーであってもよい。
【0030】
このような構成によれば、ドップラーレーダーを用いることにより、対象物までの距離と対象物の動きとを安定的に測定できるので、生体の検知性能に優れた生体検知装置が得られる。
【0031】
本開示の一態様に係る生体検知方法は、少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアを測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、前記測定結果から生体信号を抽出すること、前記生体信号から前記検知エリア内に存在する生体の数を計数すること、及び前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証すること、を含む。
【0032】
このような方法によれば、非接触センサで対象者を測定して得た測定結果を用いるので、対象者が機材を携行する必要がない。また、非接触センサの測定結果から計数された生体の数が予定数と一致するか否かを検証するので、対象者の検知漏れは計数された生体の数と予定数との不一致によって発見される。その結果、対象者の検知漏れのリスクを低減する生体検知方法が得られる。
【0033】
本開示の一態様に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、生体を検知するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムが前記コンピュータによって実行されるときに、少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアを測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、前記測定結果から生体信号を抽出すること、前記生体信号から前記検知エリア内に存在する生体の数を計数すること、及び前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証すること、が実行される。
【0034】
本開示の一態様に係るプログラムは、生体を検知するためのコンピュータ実行可能なプログラムであって、少なくとも1つの非接触センサを用いて検知エリアを測定することにより得られた測定結果を、前記少なくとも1つの非接触センサから受信すること、前記測定結果から生体信号を抽出すること、前記生体信号から前記検知エリア内に存在する生体の数を計数すること、及び前記計数することにおいて計数された前記生体の数が、前記生体の数の予定数と一致するか否かを検証すること、をコンピュータに実行させる。
【0035】
このような構成によれば、上述と同様の効果を有する生体検知方法を、コンピュータに実行させることができる。
【0036】
本開示において、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部、またはブロック図における機能ブロックの全部または一部は、例えば、半導体装置、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路によって実行され得る。LSIまたはICは、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、1つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIまたはICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、もしくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
【0037】
さらに、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部の機能または操作は、ソフトウェア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウェアは1つまたは複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウェアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウェアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システムまたは装置は、ソフトウェアが記録されている1つまたは複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、および必要とされるハードウェアデバイス、例えばインターフェースを備えていてもよい。
【0038】
以下、本開示の一態様に係る生体検知装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0039】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る生体検知装置の応用例を示す概念図であり、一例として、保育所において幼児を検知する見守りシステムを表している。見守りシステム1における生体検知装置は、1つ以上(図1では3つ)の非接触センサ2を用いて、対象者である1名以上(図1では12名)の幼児3を検知する。
【0041】
見守りシステム1では、例えば、個々の幼児3の呼吸または心拍を検知することにより、幼児3全員が健全であることを確認する。そのため、見守りシステム1では、幼児3全員が個別に検知されることが重要となる。
【0042】
見守りシステム1における生体検知装置は、非接触センサ2による測定結果から検知エリア内の幼児3を計数し、計数した幼児3の数が予定数と一致しない場合、検知漏れに対処するための処理を行う。検知漏れに対処するための処理は、例えば、生体検知装置のユーザーへ検知漏れを通知して適切な対処を促すことであってもよい。例えば、保育所の場合は、保育士へ検知漏れを通知し、幼児3の状態の目視確認などを行うとしてもよい。
【0043】
図2は、生体検知装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図2には、生体検知装置10とともに、非接触センサ70が示されている。非接触センサ70は、生体検知装置10に含まれてもよい。非接触センサ70は、図1での非接触センサ2に対応する。
【0044】
まず、非接触センサ70について説明する。非接触センサ70は、検知エリア内にある対象物までの距離と対象物の動きとを非接触で測定する。非接触センサ70は、例えば、ドップラーレーダーで構成される。ドップラーレーダーは、検知エリアへ向けて探知波である超音波または電磁波を送信し、対象物からの反射波を受信することによって対象物までの距離と対象物の動きとを非接触で測定する。簡明のため、非接触センサ70は、探知波の送信指向性および反射波の受信指向性のいずれの指向性も制御しない無指向性モードで対象物を測定することとする。
【0045】
図3は、非接触センサ70の測定結果の一例を示す図である。図3に示されるように、非接触センサ70の測定結果110は、レンジビン111ごとの反射強度112と位相回転量113とで構成される。
【0046】
レンジビン111は、非接触センサ70から対象物までの距離の離散的な計測結果を表し、探知波の送信から反射波の受信までの片道時間に対応する。レンジビン111の幅、すなわち距離の分解能は、例えば、探知波がパルス幅0.5ナノ秒のミリ波帯の電波である場合、7.5センチメートルである。反射強度112は、反射波の強度であり、対応するレンジビンに対象物が存在する確度を表す。位相回転量113は、反射波の探知波に対する位相の変化量であり、その時間変化は対象物の相対速度に対応する。ここで、対象物の相対速度とは、非接触センサ70から対象物を見た視線方向の速度成分を意味する。
【0047】
生体検知装置10について説明を続ける。再び図2を参照して、生体検知装置10は、受信器11、抽出回路12、計数回路13、取得回路14、検証回路15および通知器16を備えている。
【0048】
受信器11は、非接触センサ70により検知エリア内の対象物を測定して得た測定結果を受信する。測定結果は、対象物までの距離と対象物の動きとを表してもよい。抽出回路12は、測定結果から生体信号を抽出する。計数回路13は、抽出された生体信号から検知エリア内の生体を計数する。
【0049】
取得回路14は、検知エリア内に存在する生体の予定数を取得する。検証回路15は、計数された生体の数が予定数と一致するか否かを検証し検証結果を出力する。通知器16は、計数された生体の数が予定数と一致しない場合に検知漏れを通知する。
【0050】
生体検知装置10は、例えば、プロセッサ、メモリ、通信回路などを有するコンピュータシステムで構成される。図2に示される生体検知装置10の個々の構成要素は、例えば、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することによって果たされるソフトウェア機能であってもよい。
【0051】
次に、上述のように構成された生体検知装置10の動作を、測定状況の具体例に基づいて説明する。
【0052】
図4は、測定状況の一例を説明する概念図である。図4は、天井Eに非接触センサ70が配置され、床Fに4人の対象者A、B、C、Dがいる状況を模式的に示している。図4において、隣接する同心円の間の領域はレンジビンを表し、同心円の径方向に付された数字はレンジビンの番号を表している。レンジビンは、立体的には、全方位に広がる同心球殻状の領域である。
【0053】
図5は、生体検知装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0054】
生体検知装置10は、図4の測定状況において、図5のフローチャートに従って、次のように動作する。
【0055】
取得回路14は、予定数を取得する(S110)。予定数は、検知エリア内に存在することが予定された生体の数であり、生体検知装置10によって検知されるべき対象者の数を示す。例えば、保育所にあっては、取得回路14は、来所している幼児の数を出欠管理システムから取得してもよく、また、保育士が入力した数値を端末装置から取得してもよい。図4の例では、予定数4が取得される。
【0056】
受信器11は、非接触センサ70から測定結果を受信し(S121)、抽出回路12は、測定結果から生体信号を抽出する(S122)。
【0057】
図6は、図4の測定状況に対応する測定結果の一例を表すグラフである。図6の例では、第7、第8、第11、第15のレンジビンにおいて、対象者A、B、C、Dからの反射波による反射強度と、対象者A、B、C、Dの呼吸及び心拍などの体動に由来する位相回転量とがそれぞれ検知されている。
【0058】
図7は、図6の測定結果の時系列から抽出される生体信号の一例を示すグラフである。生体信号は、例えば、反射強度と、位相回転量の時系列に含まれる特定の周波数成分の大きさとに基づくスコアであり、レンジビンごとに生体が存在する確度を表す。上記した反射強度は、対象物が存在する確度を表し、対象物には非生体も含まれる。また、上記した特定の周波数成分の大きさは、対象物が生体である確度を表す。特定の周波数成分とは、呼吸または心拍による数Hz以下の体動に対応した周波数成分であり、例えば、位相回転量の時系列から、ローパスフィルタまたはトレンド除去フィルタを用いて取得される。
【0059】
図7の例では、第7、第8、第11、第15のレンジビンにおいて、生体信号が抽出されている。生体信号は、単純には、生体があるかないかを示す2値信号であってもよい。
【0060】
なお、非接触センサ70の距離の分解能が十分に高ければ、反射強度のピークを有するレンジビンの変動から対象者の体表の変位を把握することもできる。この場合、対象者の体表の変位の時系列、つまり、反射強度のピークを有するレンジビンの変動に含まれる呼吸または心拍による周波数成分に基づいて、生体信号を求めてもよい。
【0061】
再び図5を参照して、計数回路13は、抽出された生体信号から検知エリア内の生体の数を計数する(S123)。生体の数は、例えば、閾値より大きい生体信号が抽出されたレンジビンの数によって計数されてもよく、また、生体信号のグラフに現れるピークの数によって計数されてもよい。図7の例では、生体の数は4と計数される。
【0062】
検証回路15は、計数された生体の数が予定数と一致するか否かを検証する(S124)。計数された生体の数が予定数と一致しない場合(S124でNO)、通知器16は検知漏れを通知する(S180)。通知器16は、例えば保育所にあっては、保育士が携行する携帯端末または保育所内に設置された表示器などを介して、音、振動、光などの適宜の態様で、検知漏れを通知してもよい。図4の測定状況では、予定数4に対し生体が4と計数されるため、検知漏れは通知されることなく、生体検知装置10は生体の検知を続行する。
【0063】
次に、図4とは異なる測定状況における生体検知装置10の動作について説明する。
【0064】
図8は、測定状況の他の一例を説明する概念図である。図8の測定状況は、図4の測定状況と比べて、非接触センサ70の対象者A、B、C、Dに対する位置が異なっている。
【0065】
図9は、図8の測定状況に対応する測定結果の一例を表すグラフである。図9の例では、第7、第9のレンジビンにおいて、対象者B、C、対象者A、Dに由来する反射強度と位相回転量とがそれぞれ検知され、第8のレンジビンにおいて、床Fに由来する反射強度が検知されている。床Fは静止しているため、床Fに由来する位相回転量は検知されない。
【0066】
非接触センサ70が無指向性モードで対象物を測定する場合、同じ第7のレンジビンに存在する対象者B、Cからの反射波は互いに混ざり合うので、第7のレンジビンの反射強度と位相回転量とから対象者B、Cを区別して検知することはできない。同様に、第9のレンジビンの反射強度と位相回転量とから対象者A、Dを区別して検知することはできない。つまり、図8の測定状況は、非接触センサ70が対象者A、B、C、D全員を個別に検知できない検知漏れの状態の一例である。
【0067】
図10は、図9の測定結果の時系列から抽出される生体信号の一例を示すグラフである。図10の例では、第7、第9のレンジビンにおいて、生体信号が抽出されている。第8のレンジビンでは、位相回転量が検知されないため、生体信号は抽出されていない。図10の例では、生体の数は2と計数される。
【0068】
図8の測定状況では、予定数4に対し生体の数が2と計数されるため、計数された生体の数と予定数との不一致によって検知漏れが発見される。通知器16は、ユーザーに検知漏れを通知することにより適切な対処を促す。
【0069】
なお、検知漏れが生じる状況は、図8の例には限られない。例えば、図4の測定状況にあっても、対象者の移動(例えば、寝返りなど)によって、複数の対象者が同一のレンジビンに入り、検知漏れの状態が発生し得ることに注意する。その場合も、通知器16は、ユーザーに検知漏れを通知することにより適切な対処を促すことができる。
【0070】
このように、生体検知装置10によれば、非接触センサ70で対象者を測定して得た測定結果を用いるので、対象者が機材を携行する必要がない。また、非接触センサ70の測定結果から計数された生体の数が予定数と一致するか否かを検証するので、計数された生体の数と予定数との不一致によって、対象者の検知漏れを発見して、検知漏れに対処するための処理を行うことができる。例えば、ユーザーに検知漏れを通知することにより適切な対処を促してもよい。その結果、対象者の検知漏れのリスクを低減する生体検知装置が得られる。
【0071】
(実施の形態2)
検知漏れが発見された場合に生体検知装置が行う処理は、ユーザーに対する検知漏れの通知には限られない。
【0072】
実施の形態2では、非接触センサを移動させる移動器を備え、検知漏れが発見された場合に非接触センサを移動させて検知漏れの解消を図る生体検知装置について説明する。なお、先行する実施の形態で説明した構成要素およびステップと同一の構成要素およびステップは同一の符号で参照し、重複する説明を適宜省略する。
【0073】
図11は、実施の形態2に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図11の生体検知装置20では、図2の生体検知装置10と比べて、移動器27が追加され、通知器16が省略される。
【0074】
移動器27は、非接触センサ70を移動させる移動装置である。図11では、非接触センサ70の移動を白矢印で表している。移動器27は、特には限定されないが、例えば、非接触センサ70を移動可能に保持する保持部と、動力源と、制御器とで構成されてもよい(図示せず)。保持部は、例えば、ダクトレール、または傾斜、回転、直動などの各種の動きが可能な可動ステージであり、動力源は、例えば、電気モーターである。
【0075】
図12は、生体検知装置20の動作の一例を示すフローチャートである。図12に示される生体検知装置20の動作では、図5の生体検知装置10の動作と比べて、ステップS130からS134が追加され、ステップS180が省略される。
【0076】
生体検知装置20では、生体検知装置10と同様、検知漏れがあるか否かが予定数に基づいて判定される(S110からS124)。ステップS110からS124の内容および適用される測定状況は、実施の形態1で説明したとおりである。
【0077】
検知漏れが発見された場合(S124でNO)、移動器27に指令して非接触センサ70を移動させる(S130)。つまり、生体検知装置20では、ユーザーの代わりに移動器27に対して検知漏れを通知しているとも言える。非接触センサ70を移動することにより、測定状況が変化して検知漏れが解消される可能性がある。
【0078】
非接触センサ70を移動した後、検知漏れがあるか否かを再度判定し(S131からS134)、検知漏れが解消されるまで、センサの移動と検知漏れの判定とを繰り返す(S130からS134)。なお、図示はしていないが、移動器27の可動域の全域で非接触センサ70を移動しても検知漏れが解消されない場合、ユーザーに検知漏れを通知してもよい。
【0079】
このように、生体検知装置20によれば、検知漏れが発見された場合に非接触センサ70を移動させることにより、ユーザーの介在なしに検知漏れの解消を図ることができる。
【0080】
(実施の形態3)
検知漏れに対処するために生体検知装置が行う処理は、ユーザーに対する検知漏れの通知および非接触センサの移動には限られない。
【0081】
実施の形態3では、無指向性モードと指向性モードとを有する非接触センサを用いて、無指向性モードで検知漏れが発見された場合に、指向性モードに切り替えて検知漏れの解消を図る生体検知装置について説明する。なお、先行する実施の形態で説明した構成要素およびステップと同一の構成要素およびステップは同一の符号で参照し、重複する説明を適宜省略する。
【0082】
図13は、実施の形態3に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図13の生体検知装置30では、図2の生体検知装置10と比べて、検証回路15に代えて検証回路35が設けられ、制御器38が追加される。また、非接触センサ70に代えて非接触センサ80が設けられる。
【0083】
非接触センサ80は、制御器38からの制御に応じて切り替え可能な無指向性モードと指向性モードを有する。
【0084】
無指向性モードは、探知波の送信指向性および反射波の受信指向性のいずれの指向性も制御しないモードである。無指向性モードにおいて、非接触センサ80は、前述した非接触センサ70と同じ動作を行う。
【0085】
指向性モードは、探知波の送信指向性および反射波の受信指向性の少なくとも一方の指向性を制御するモードである。指向性モードにおいて、非接触センサ80は、同じレンジビンの互いに異なる方向に存在する複数の対象物を、指向性で区別して検知できる。
【0086】
指向性は、例えば、アレイアンテナを用いたビーム形成処理によって制御される。ビーム形成処理とは、アンテナ信号をアンテナ素子ごとの複素係数で重み付けする(つまり、アンテナ信号の振幅および位相をアンテナ素子ごとに調整する)ことで、所望の方向にビームおよびヌルを形成する処理である。ビームおよびヌルは、アンテナゲインが大きい方向および小さい方向をそれぞれ意味する。
【0087】
図14は、非接触センサ80が指向性モードで対象物を測定する場合の測定結果の一例を示す図である。なお、非接触センサ80が無指向性モードで対象物を測定する場合の測定結果は、図3の測定結果と同様のため、説明を省略する。
【0088】
図14に示されるように、指向性モードでの測定結果310は、指向性311ごとかつレンジビン312ごとの反射強度313と位相回転量314とで構成される。指向性311は、互いに異なる指向性を識別する番号である。レンジビン312は、非接触センサ80から対象物までの距離を表す。反射強度313は、対応する指向性のビーム方向に存在する対象物からの反射波の強度であり、対応するビーム方向の対応するレンジビンに対象物が存在する確度を表す。位相回転量314は、反射波の探知波に対する位相回転量であり、対象物の相対速度を表す。
【0089】
なお、測定結果310のうち1つの指向性に対応する部分は、図3の無指向性での測定結果と同一の形式であり、抽出回路12および計数回路13によって、無指向性での測定結果と同様に処理される。
【0090】
次に、上述のように構成された生体検知装置30の動作を、測定状況の具体例に基づいて説明する。
【0091】
図15は、測定状況の一例を説明する概念図である。図15の測定状況は、図8の測定状況と比べて、無指向性モードと指向性モードとを切り替え可能な非接触センサ80を用いている点が異なる。
【0092】
図15には、非接触センサ80が指向性モードで対象物を測定する際に、非接触センサ80が示す2種類の指向性であるアンテナゲインが模式的に示されている。第1の指向性(実線)では、対象者A、Bの方向にビームが形成され、対象者C、Dの方向にヌルが形成されている。第2の指向性(点線)では、対象者C、Dの方向にビームが形成され、対象者A、Bの方向にヌルが形成されている。これにより、第1の指向性では対象者A、Bのみが検知され、第2の指向性では対象者C、Dのみが検知される。このように、指向性モードによれば、同じレンジビンにいる複数の対象者を指向性で区別して検知することができる。
【0093】
図16は、生体検知装置30の動作の一例を示すフローチャートである。図16に示される生体検知装置30の動作では、図5の生体検知装置10の動作と比べて、ステップS120、S140からS144が追加される。
【0094】
生体検知装置30では、生体検知装置10と同様、検知漏れがあるか否かが予定数に基づいて判定される(S110、S121からS124)。この判定は、制御器38が非接触センサ80に無指向性モードを指示することにより(S120)、無指向性モードでの測定結果に基づいて行われる。無指向性モードは、ビーム形成処理を行わないので、指向性モードに比べて、測定結果の安定性、計算処理量の削減、および消費電力の削減に優れている。そのため、無指向性モードで検知漏れがないと判定された場合(S124でYES)、指向性モードでの処理は実行されない。
【0095】
無指向性モードで検知漏れが発見された場合(S124でNO)、制御器38は非接触センサ80に指向性モードを指示する(S140)。非接触センサ80は、指示に応じて、例えば、図15に示される複数の指向性を順次形成し、形成した指向性ごとに対象物を測定する。受信器11は、非接触センサ80から複数の指向性での測定結果を受信する(S141)。
【0096】
抽出回路12は、測定結果から指向性ごとに生体信号を抽出する(S142)。計数回路13は、抽出された生体信号から指向性ごとに生体の数を計数する(S143)。
【0097】
図17は、図15の測定状況において抽出される指向性ごとの生体信号の一例を示すグラフである。図17の例では、第1の指向性(実線)および第2の指向性(点線)の各々で、第7、第9のレンジビンにおいて生体信号が抽出されている。第1の指向性および第2の指向性の各々で、生体の数は2と計数される。
【0098】
検証回路35は、指向性ごとに計数された生体の数を合算し、合算された生体の数が予定数と一致するか否かを検証する(S144)。合算された生体の数が予定数と一致しない場合(S144でNO)、通知器16は検知漏れを通知する(S180)。図15の測定状況の例では、指向性モードにより、同じ第7のレンジビンにいる対象者B、Cおよび同じ第9のレンジビンにいる対象者A、Dが指向性で区別して計数され合算される。その結果、合算結果が予定数と一致することとなり、検知漏れの通知は行われない。
【0099】
このように、生体検知装置30によれば、無指向性モードで検知漏れが発見された非接触センサ80を指向性モードで動作させるので、同じ距離にいる対象者を指向性で区別して検知することにより、ユーザーの介在なしに検知漏れの解消を図ることができる。
【0100】
(実施の形態4)
対象者の検知に用いる非接触センサは1つとは限られない。対象者の測定には、複数の非接触センサを用いてもよい。
【0101】
実施の形態4では、複数の非接触センサで対象者を測定して得た測定結果を用いて生体を検知する生体検知装置について説明する。なお、先行する実施の形態で説明した構成要素およびステップと同一の構成要素およびステップは同一の符号で参照し、重複する説明を適宜省略する。
【0102】
図18は、実施の形態4に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図18の生体検知装置40では、図2の生体検知装置10と比べて、検証回路15に代えて検証回路45が設けられる。また、複数の非接触センサ70が用いられる。複数の非接触センサ70は、生体検知装置40に含まれてもよい。
【0103】
図19は、生体検知装置40の動作の一例を示すフローチャートである。図19に示される生体検知装置40の動作では、図5の生体検知装置10の動作と比べて、ステップS124が省略され、ステップS111、S160、S170が追加される。
【0104】
生体検知装置40では、非接触センサ70を1つ選択し(S111)、選択した非接触センサ70の測定結果から生体の数を計数する処理(S121からS123)を、すべての非接触センサ70が選択されるまで繰り返す(S160)。
【0105】
すべての非接触センサ70について生体の数が計数されると(S160でYES)、検証回路45は、少なくとも1つの非接触センサ70で計数結果が予定数と一致するか否かを検証する。計数結果が予定数と一致する非接触センサ70が少なくとも1つある場合(S170でYES)、検知漏れは通知されることなく、生体検知装置40は生体の検知を続行する。すべての非接触センサ70で計数結果が予定数と一致しない場合(S170でNO)、通知器16は検知漏れを通知する(S180)。
【0106】
このように、生体検知装置40によれば、複数の非接触センサ70で対象者を測定して得た測定結果を用いるので、対象者の検知漏れが生じにくくなる。また、計数された生体の数が予定数と一致する非接触センサ70が少なくとも1つあるか否かを検証するので、すべての非接触センサ70で計数結果と予定数とが不一致となることで、対象者の検知漏れを発見できる。その結果、検知漏れの過剰な通知を抑制しつつ、対象者の検知漏れのリスクを低減できる。
【0107】
(実施の形態5)
対象者の検知に用いる複数の非接触センサがアイドルモードを有する場合、検知漏れが生じた非接触センサをアイドルモードに移行させてもよい。
【0108】
実施の形態5では、複数の非接触センサのうち、計数された生体の数が予定数と一致しない非接触センサをアイドルモードにする生体検知装置について説明する。なお、先行する実施の形態で説明した構成要素およびステップと同一の構成要素およびステップは同一の符号で参照し、重複する説明を適宜省略する。
【0109】
図20は、実施の形態5に係る生体検知装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図20の生体検知装置50では、図18の生体検知装置40と比べて、検証回路45に代えて検証回路55が設けられ、制御器58が追加される。また、複数の非接触センサ70に代えて複数の非接触センサ90が設けられる。複数の非接触センサ90は、生体検知装置50に含まれてもよい。
【0110】
非接触センサ90は、制御器58からの制御に応じて切り替え可能な動作モードとアイドルモードとを有する。非接触センサ90は、動作モードにおいて探知波を送信して対象物を測定し、また、アイドルモードにおいて探知波の送信を停止して、動作モードが指示されるまで待機する。
【0111】
図21は、生体検知装置50の動作の一例を示すフローチャートである。図21に示される生体検知装置50の動作は、図19の生体検知装置40の動作と比べて、ステップS111、S160がステップS112、S161に変更され、ステップS124、S150が追加される。
【0112】
生体検知装置50では、動作モードにある非接触センサ90を1つ選択し(S112)、選択した非接触センサ90の測定結果から生体の数を計数する(S121からS123)。計数された生体の数が予定数と一致しない場合(S124でNO)、選択した非接触センサ90に、アイドルモードに切り替えるように指示する(S150)。この処理を、動作モードにあるすべての非接触センサ90が選択されるまで繰り返す(S161)。
【0113】
動作モードにあるすべての非接触センサ90について生体が計数されると(S161でYES)、検証回路55は、少なくとも1つの非接触センサ90で計数結果が予定数と一致するか否かを検証する。計数結果が予定数と一致する非接触センサ90が少なくとも1つある場合(S170でYES)、検知漏れは通知されることなく、生体検知装置50は生体の検知を続行する。すべての非接触センサ90で計数結果が予定数と一致しない場合(S170でNO)、通知器16は検知漏れを通知する(S180)。
【0114】
すべての非接触センサ90には、定期的に動作モードが指示される(S190)。動作モードの指示は、例えば、ループカウンタにより所定回数のループごとに1回に行ってもよく、タイマーにより定期的(例えば、数秒から数分に1回)行ってもよい。これにより、対象者が移動するなどして対象者全員を検知可能になった非接触センサ90をふたたび動作モードにできるので、対象者を継続的かつ適切に検知できる。
【0115】
このように、生体検知装置50によれば、複数の非接触センサ90で対象者を検知するので、対象者の検知漏れが生じにくくなる。また、予定数の対象者を検知していない非接触センサ90をアイドルモードに移行させるので、省電力化とともに対象者の電磁波の被ばく量を低減できる。
【0116】
(実施の形態6)
対象者の検知に用いる複数の非接触センサが無指向性モードと指向性モードとを有していてもよい。この場合、複数の非接触センサの各々に対して実施の形態3で説明した制御を行う。
【0117】
実施の形態6では、複数の非接触センサのうち、無指向性モードで計数された生体の数が予定数と一致しない非接触センサを、指向性モードに切り替えて検知漏れの解消を図る生体検知装置について説明する。なお、先行する実施の形態で説明した構成要素およびステップと同一の構成要素およびステップは同一の符号で参照し、重複する説明を適宜省略する。
【0118】
実施の形態6に係る生体検知装置60の機能的な構成は、図20の生体検知装置50の機能的な構成と実質的に同一である。実施の形態6では、複数の非接触センサ90の各々は、制御器58からの制御に応じて切り替え可能な無指向性モードと指向性モードとを有していることとする。複数の非接触センサ90は、生体検知装置60に含まれてもよい。
【0119】
図22は、生体検知装置60の動作の一例を示すフローチャートである。図22に示される生体検知装置60の動作では、図16の生体検知装置30の動作と比べて、ステップS144が省略され、ステップS111、S160、S171が追加される。
【0120】
生体検知装置60では、非接触センサ90を1つ選択する(S111)。選択した非接触センサ90について、生体検知装置30と同様、無指向性モードでの測定結果から生体を計数し(S120からS123)、検知漏れがあれば、さらに指向性モードでの測定結果から生体の数を計数する(S140からS143)。この処理を、すべての非接触センサ90が選択されるまで繰り返す(S160)。
【0121】
すべての非接触センサ90について生体が計数されると(S160でYES)、検証回路55は、少なくとも1つの非接触センサ90で計数結果または合算結果が予定数と一致するか否かを検証する。計数結果または合算結果が予定数と一致する非接触センサ90が少なくとも1つある場合(S171でYES)、検知漏れは通知されることなく、生体検知装置60は生体の検知を続行する。すべての非接触センサ90で計数結果および合算結果のいずれもが予定数と一致しない場合(S171でNO)、通知器16は検知漏れを通知する(S180)。
【0122】
このように、生体検知装置60によれば、複数の非接触センサ90で対象者を検知するので、対象者の検知漏れが生じにくくなる。また、生体検知装置30と同様、無指向性モードで検知漏れが発見された非接触センサ90を指向性モードで動作させるので、同じ距離にいる対象者を指向性で区別して検知することにより、ユーザーの介在なしに検知漏れの解消を図ることができる。
【0123】
なお、本開示の実施の形態のいずれにおいても、非接触センサは、天井に配置した例を示したが、これに限定されない。必要に応じて信号の補正を行うなどして、天井以外の位置に設置してもよい。
【0124】
以上、本開示の実施の形態に係る生体検知装置、生体検知方法、記録媒体、およびプログラムについて説明したが、本開示は、個々の実施の形態には限定されない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示の生体検知装置、生体検知方法、記録媒体、およびプログラムは、例えば、保育所、介護施設、病院などにおける見守りシステムなど、生体を検知する応用に広く利用できる。
【符号の説明】
【0126】
10、20、30、40、50、60 生体検知装置
11 受信器
12 抽出回路
13 計数回路
14 取得回路
15、35、45、55 検証回路
16 通知器
27 移動器
38、58 制御器
70、80、90 非接触センサ
110、310 測定結果
111、311 レンジビン
112、313 反射強度
113、314 位相回転量
311 指向性
図1
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