(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/10 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
H01G9/10 E
(21)【出願番号】P 2018225164
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 大輔
(72)【発明者】
【氏名】蓮 道雄
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-263287(JP,A)
【文献】特開2011-207976(JP,A)
【文献】国際公開第2008/136175(WO,A1)
【文献】特開2008-189816(JP,A)
【文献】特開2001-031817(JP,A)
【文献】特開2018-019048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/10
H01G 11/80
H01M 50/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子と、開口部を有し、かつ前記コンデンサ素子を収容するケースと、前記開口部を封口する封口部材とを備え、
前記封口部材は、前記開口部にはめ込まれた弾性部材を備え、
前記弾性部材は、高分子成分と、粒子とを含み、
前記高分子成分は、少なくともブチルゴムを含み、
前記粒子は、カオリンおよびタルクを含み、
前記カオリンの平均粒子径は、4μm以下であり、
前記カオリンおよび前記タルクの総量に占める前記タルクの割合は、30質量%以下である、電解コンデンサ。
【請求項2】
前記カオリンの平均粒子径は、1.5μm以上である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記カオリンの量は、前記高分子成分100質量部に対して、70質量部以上150質量部以下である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記カオリンは、焼成カオリンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記弾性部材中の前記ブチルゴムの含有量は、20質量%以上60質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記粒子中、前記カオリンの量が最も多い、請求項1~5のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記弾性部材は、さらに老化防止剤を含み、
前記老化防止剤の量は、前記高分子成分100質量部に対して0.5質量部以上6.0質量部以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
前記老化防止剤は、ヒンダードフェノール化合物を含む、請求
項7に記載の電解コンデンサ。
【請求項9】
前記コンデンサ素子は、導電性高分子を含む固体電解質を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性部材を備える封口部材を用いた電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
電解コンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子を収容するケースと、ケースの開口部を封口する封口部材とを備えている。封口部材は、ケースの開口部にはめ込まれる弾性部材を備えており、この弾性部材は、ゴムやゴム状高分子などの弾性材料で構成される。弾性部材には、例えば、充填剤、加硫剤、補強剤、老化防止剤などの添加剤が添加されることがある(特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-274011号公報
【文献】国際公開第2008/136175号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高温環境下で電解コンデンサを使用する場合、弾性部材の熱劣化が顕著になる。従来の弾性部材では、高温環境下での熱劣化を十分に抑制することは難しく、弾性部材にクラックが発生することがある。クラックの発生を抑制するには、弾性部材の硬度を低くすることが有利である。しかし、弾性部材の硬度を低くすると、リフロー時に弾性部材が膨れ易くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、コンデンサ素子と、開口部を有し、かつ前記コンデンサ素子を収容するケースと、前記開口部を封口する封口部材とを備え、
前記封口部材は、前記開口部にはめ込まれた弾性部材を備え、
前記弾性部材は、高分子成分と、粒子とを含み、
前記高分子成分は、少なくともブチルゴムを含み、
前記粒子は、少なくともカオリンを含み、
前記カオリンの平均粒子径は、4μm以下である、電解コンデンサに関する。
【発明の効果】
【0006】
電解コンデンサにおいて、弾性部材の熱劣化を抑制することができるとともに、リフロー時の弾性部材の膨れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。
【
図2】上記実施形態に係るコンデンサ素子の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
電解コンデンサは、例えば、自動車のエンジンルーム内など、高温環境下での使用が想定されることがある。コンデンサ素子を収容するケースの開口部は、弾性部材をはめ込むことで封口されているが、弾性部材はブチルゴムなどの高分子成分で構成されているため、耐熱性が十分ではなく、高温環境下では酸化劣化する。具体的には、高温環境下では、熱の作用により、弾性部材を構成する高分子成分(ブチルゴムなどの有機ポリマーなど)からラジカルが発生し、酸素が付加して、この付加体がさらに有機ポリマーをラジカルに変換する。これらが繰り返されるうちに、有機ポリマーのポリマー鎖が短くなる。短くなった有機ポリマーは熱の作用により蒸散するため、弾性部材が脆くなる。
【0009】
弾性部材に老化防止剤を添加すると、老化防止剤からプロトンラジカルが供給されるため、有機ポリマーのラジカルを捕捉して、酸化劣化を抑制することができる。しかし、高温環境下では、老化防止剤が揮発してしまい、十分なラジカル捕捉効果が得られない。特に、ブチルゴムは酸化劣化し易いため、ブチルゴムを含む弾性部材では老化防止剤の添加による熱劣化の抑制効果には限界がある。
【0010】
また、電解コンデンサでは、コンデンサ素子をケースに収容して封口する際、ケースの開口部に弾性部材をはめ込むため、弾性部材には大きな応力が加わることになる。弾性部材に応力が加わった状態で、弾性部材が熱劣化すると、クラックが発生し易くなる。
【0011】
弾性部材には、充填剤が添加されることがある。ブチルゴムを含む弾性部材に平均粒子径が大きな充填剤を含有させると、平均粒子径が小さな充填剤を用いる場合に比べてクラックが発生し易くなる。これは、平均粒子径が大きな充填剤が存在することで、弾性部材を形成する際にブチルゴムの架橋密度が高まり難く、酸化分解によりポリマー鎖が短くなり易いためと考えられる。平均粒子径が大きな充填剤を用いる場合でも、充填剤の含有量を少なくすれば、架橋密度を高め易くなり、架橋密度の低下はある程度抑制されると考えられる。しかし、リフロー時の弾性部材が膨れ易くなる。なお、弾性部材の充填剤としては、タルクが知られている。しかし、タルクの場合には、クラックの抑制とリフロー時の弾性部材の膨れの抑制とはトレードオフの関係にあり、双方を抑制することは難しいことが分かった。通常、弾性部材中の充填剤の含有量を多くすると、弾性部材の硬度が高まり、リフロー時の膨れは抑制される。しかし、タルクの場合には、弾性部材中のタルクの含有量を多くしても、弾性部材の硬度を十分に高くできず、リフロー時の膨れを抑制することは困難であることが分かった。
【0012】
本発明の一側面に係る電解コンデンサは、コンデンサ素子と、開口部を有し、かつコンデンサ素子を収容するケースと、開口部を封口する封口部材とを備える。封口部材は、開口部にはめ込まれた弾性部材を備える。弾性部材は、高分子成分と、粒子とを含む。高分子成分は、少なくともブチルゴムを含む。粒子は、少なくともカオリンを含む。カオリンの平均粒子径は、4μm以下である。
【0013】
少なくともブチルゴムを含む高分子成分を含む弾性部材に、平均粒子径が4μm以下のカオリンを用いることで、ブチルゴムを含む高分子成分の架橋密度を高めることができる。そのため、高温環境下で高分子成分が酸化分解したとしても、ある程度の架橋密度を確保することができる。これにより、弾性部材の熱劣化を抑制することができる。その結果、弾性部材にクラックが発生するのを抑制できる。また、カオリンを弾性部材に含有させることでリフロー時の膨れも抑制できる。特に、平均粒子径の小さなカオリンを用いることで、弾性部材中のカオリンの充填量を高めることもできるため、リフロー時の膨れに対して高い抑制効果を確保することができる。
【0014】
以下、本発明を実施形態に基づいて、より具体的に説明する。ただし、以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図であり、
図2は、同電解コンデンサに係るコンデンサ素子の一部を展開した概略図である。
【0016】
電解コンデンサは、例えば、コンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を収容する円筒状のケース11と、ケース11の開口部を塞ぐ弾性部材12からなる封口部材と、弾性部材12に対向する座板13と、弾性部材12の貫通孔12aから導出され、座板13を貫通するリード線14A、14Bと、リード線とコンデンサ素子10の電極とを接続するリードタブ15A、15Bとを備える。ケース11の開口端近傍は、内側に絞り加工されており、開口端は弾性部材12に対してかしめるようにカール加工されている。また、ケース11の、弾性部材12の側壁に対向する部分には、ケース11が絞り加工(具体的には横絞り加工)により縮径された領域11aが形成されている。
【0017】
コンデンサ素子10は、
図2に示すような巻回体から作製される。巻回体は、リードタブ15Aと接続された陽極部21と、リードタブ15Bと接続された陰極部22と、セパレータ23とを備える。
図2で示す巻回体は、電解質を備えていない半製品である。
【0018】
陽極部21および陰極部22は、セパレータ23を介して巻回されている。巻回体の最外周は、巻止めテープ24により固定される。なお、
図2は、巻回体の最外周を止める前の、一部が展開された状態を示している。
【0019】
陽極部21は、表面が凹凸を有するように粗面化された金属箔を具備し、凹凸を有する金属箔上に化成皮膜が形成されている。コンデンサ素子10では、化成皮膜の表面の少なくとも一部に、固体電解質が付着している。固体電解質は、陰極部22の表面および/またはセパレータ23の表面の少なくとも一部を被覆していてもよい。電解コンデンサは、固体電解質が形成されたコンデンサ素子10を、ケース11に収容し、ケース11の開口を封口部材で封口することにより作製される。電解液を用いる場合には、電解液は、コンデンサ素子10とともにケース11に収容される。
【0020】
(封口部材)
封口部材は、弾性部材12を備えており、コンデンサ素子10を収容するケースの開口部に弾性部材12をはめ込んだ状態で開口部を封口する。弾性部材12は、高分子成分と、粒子とを含む。粒子は、少なくともカオリンを含み、カオリンの平均粒子径は4μm以下である。
【0021】
高分子成分は、少なくともブチルゴム(第1高分子成分)を含有すればよく、さらにブチルゴム以外の高分子成分(第2高分子成分)を含むこともできる。高分子成分としては、絶縁性のものが使用される。ブチルゴムを用いることで、弾性部材における気体および/または液体の透過を抑制でき、高い封止性を確保することができる。なお、特許文献1のように、弾性部材の高分子成分に主にエチレンプロピレンゴムを用いると、気体および液体を透過し易く、電解コンデンサの電気的な特性が劣化する虞がある。
【0022】
弾性部材12中のブチルゴムの含有量は、例えば、10質量%以上であり、20質量%以上が好ましい。ブチルゴムの含有量は、例えば、70質量%以下であり、60質量%以下が好ましい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。ブチルゴムの含有量がこのような範囲である場合、気体および/または液体の透過を抑制でき、高い封止性を確保することができる。
【0023】
第2高分子成分としては、例えば、イソプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロンゴムなど)などが挙げられる。第2高分子成分は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。高分子成分全体(第1高分子成分および第2高分子成分の合計質量)に占める第2高分子成分の比率は、例えば、50質量%未満であり、30質量%以下が好ましく、10質量%以下または5質量%以下であってもよい。
【0024】
カオリンとしては、アルミニウムを含有するケイ酸塩化合物が使用される。一般的なカオリン(カオリナイト)は、Al4Si4O10(OH)8で表される三斜晶系の含水物が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、ケイ酸塩化合物は、含水物であってもよく、無水物(例えば、焼成物)であってもよい。無水物(焼成カオリンなど)は、粒径が小さく、水分を含まない。そのため、無水物を用いると、弾性部材の熱劣化が抑制され易く、クラックの発生を抑制する効果がさらに高まる。
【0025】
カオリンの平均粒子径は、4μm以下であれば、熱劣化を抑制することができ、クラックの発生を抑制できる。また、リフロー時の弾性部材の膨れも抑制される。カオリンの平均粒子径は、例えば、1μm以上である。平均粒子径が、1.5μm以上の場合には、弾性部材中での分散性が高まるため、熱劣化を抑制する効果が高まり、耐クラック性をさらに向上できる。また、リフロー時の高い耐膨れ性も確保できる。
【0026】
本明細書中、平均粒子径は、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置を用いた体積基準の粒度分布における50%平均粒子径(D50)である。また、平均粒子径は、弾性部材12から取り出した粒子の電子顕微鏡写真から求めてもよい。例えば、まず、弾性部材12の粒子以外の成分を溶剤に溶解させたり、熱により除去したりして、無機物の粒子を回収する。回収した粒子の電子顕微鏡写真において、任意の粒子を選択し、粒子の外縁で囲まれる領域の面積と同じ面積の円の直径を粒子径として計測する。同様にして、任意に選択した複数個(例えば、10個)の粒子の粒子径を求め、平均化することにより平均粒子径を求めることができる。なお、弾性部材12に2種類以上の粒子が含まれる場合には、カオリン粒子は、例えば、エネルギー分散型X線分析(EDX)により粒子の組成を分析することにより第2粒子と区別される。
【0027】
弾性部材中のカオリンの量は、高分子成分100質量部に対して、70質量部以上が好ましく、100質量部以上がさらに好ましい。カオリンの量がこのような範囲である場合、リフロー時の膨れを抑制する効果をさらに高めることができる。高分子成分100質量部に対するカオリンの量は、150質量部以下が好ましく、120質量部以下がより好ましい。カオリンの量がこのような範囲である場合、クラックを抑制する効果をさらに高めることができる。
【0028】
弾性部材12は、カオリン(第1粒子)に加え、他の充填剤(第2粒子)を含むことができる。第2粒子としては、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、および/またはアルミナなどが挙げられる。弾性部材12が第2粒子を含む場合でも、カオリンの含有量に応じて上記のようなカオリンの効果を得ることができる。第2粒子のうち、タルクを用いると、ブチルゴムの架橋が促進されるため、高分子成分の熱劣化を抑制する効果が高まり、クラックをより効果的に抑制できる。そのため、第2粒子として、少なくともタルクを用いることが好ましい。
【0029】
カオリン(第1粒子)と第2粒子(タルクなど)との総量に占める第2粒子の比率は、例えば、50質量%以下が好ましく、50質量%未満が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。また、粒子中、カオリンの量を最も多くすることも好ましい。これらの場合、カオリンによる効果がより発揮され易く、高い耐クラック性を確保しながらも、リフロー時の弾性部材12の膨れを抑制する効果をさらに高めることができる。カオリン単独で高い効果が得られるため、第2粒子の比率の下限は特に制限されないが、例えば、1質量%以上としてもよい。
【0030】
弾性部材12は、必要に応じて、添加剤(老化防止剤、補強剤(カーボンブラックなど)、架橋剤、架橋促進剤、分散助剤、改質材、加硫剤、加硫助剤、および/または加工助剤など)を含んでもよい。中でも、弾性部材12が老化防止剤を含む場合、弾性部材12の熱劣化がさらに抑制され、耐クラック性をより高めることができる。
【0031】
老化防止剤としては、公知のものを利用できる。老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、リン系老化防止剤などが挙げられる。老化防止剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。より高い耐クラック性を確保する観点からは、ヒンダードフェノール化合物を用いることが好ましい。
【0032】
中でも、ヒンダードフェノール化合物は、フェノール骨格において、フェノール性ヒドロキシ基に隣接する2つの置換位置(第1置換位置および第2置換位置)に、それぞれ、第1ヒンダード基および第2ヒンダード基を有するものが好ましい。これらのヒンダード基は、それぞれ、少なくとも1つの第三級炭素を含んでおり、各ヒンダード基は、第三級炭素の1つが、上記の置換位置に結合して、ヒンダードフェノール化合物では第四級炭素になっている。具体的には、第1および第2ヒンダード基の第三級炭素の1つは、それぞれ、第1置換位置および第2置換位置に直接結合している。このような構造のヒンダードフェノール化合物は、第1置換位置や第2置換位置に、水素原子、または置換基の第一級炭素もしくは第二級炭素が結合している場合と比べて、耐熱性が高く、高温(例えば、155℃)でも分解が抑制され、質量変化がほとんどない。そのため、高温環境下でも、弾性部材中にヒンダードフェノール化合物が残存して、ラジカル捕捉機能を発揮するため、高分子成分の熱劣化を抑制することができる。よって、弾性部材12が、ケースの開口端が押し付けられることで弾性部材12に応力が加わったり、ケースの絞り加工等により弾性部材12に応力が加わったりした状態で、高温環境下に晒されても、クラックの発生を抑制できる。
【0033】
第1および第2ヒンダード基は、それぞれ、立体障害が大きな置換基であり、少なくとも1つの第三級炭素を含んでいればよく、2つ以上の第三級炭素を含んでいてもよい。各ヒンダード基としては、t-ブチル基、1,1-ジメチル-プロピル基、メシチル基などが例示される。ヒンダードフェノール化合物の入手が容易で、高い熱劣化抑制効果が得られる観点からは、第1および第2ヒンダード基の双方がt-ブチル基である場合が好ましい。
【0034】
弾性部材12に含まれるヒンダードフェノール化合物は、ソックスレー抽出器により、弾性部材12を、加熱下(例えば、80℃にて)、溶媒(アセトンなど)で抽出処理して得られる抽出物を、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS分析)することにより、同定することができる。なお、比較的高分子量の化合物は、GC-MS分析に代えて、液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS分析)により同定してもよい。
【0035】
ヒンダードフェノール化合物の分子量は、300以上3000以下であることが好ましく、400以上2000以下または450以上1500以下であることがさらに好ましい。分子量がこのような範囲であるヒンダードフェノール化合物は、均一に分散し易いことに加え、高温(例えば、155℃)における重量変化が少ない。高温における質量変化が少ないことで、弾性部材12が高温環境下に晒されても、揮発せず、老化防止効果を発揮して、弾性部材12の熱劣化の抑制効果をさらに高めることができる。
なお、分子量は、GC-MS分析またはLC-MS分析により求められる。なお、比較的高分子量の化合物では、平均分子量(重量平均分子量)が上記の分子量の範囲であればよい。
【0036】
ヒンダードフェノール化合物が、プロトンラジカルを発生させ易いと、ブチルゴムを含む高分子成分から生成されるラジカルを捕捉する効果が高まる。プロトンラジカルは、ヒンダードフェノール化合物からプロトンラジカルが引き抜かれることで生成するフェノールラジカルが安定であるほど、発生し易く、この場合、高分子成分の熱劣化を抑制する効果が高まる。このような観点からは、ヒンダードフェノール化合物のフェノールラジカル生成反応熱は、82kcal/mol(≒343kJ/mol)以下であることが好ましく、81kcal/mol(≒339kJ/mol)以下または80kcal/mol(≒335kJ/mol)以下であることがさらに好ましい。
【0037】
なお、ヒンダードフェノール化合物のフェノールラジカル生成反応熱(Hr)は、次式により算出される。
Hr(kcal/mol)=Er-(E0+Ep)
(式中、Erは、ヒンダードフェノール化合物のラジカル状態のエネルギーであり、E0は、ヒンダードフェノール化合物がラジカルになる前の状態のエネルギーであり、Epは、プロトンラジカルのエネルギーである。)
【0038】
Er、E0、およびEpの各エネルギーは、それぞれ、密度汎関数法により求められる。密度汎関数の計算には、ガウシアン社製の第一原理分子軌道法計算プログラムGaussian09,Revision E.01が用いられる。密度汎関数としては、Becke、Lee.Yang、およびParrにより提案された、B3LYP密度汎関数(A.D.Becke,J.Chem.Phys.98(1993)5648;C.Lee,W. Yang,R.G.Parr,Phys.Rev.B 37(1988)785)が用いられる。基底関数としては、6-31G*基底関数(R.Ditchfield,W.J.Hehre,およびJ.A.Pople,J.Chem.Phys.,54(1971)724.)が用いられる。なお、開殻状態であるラジカルのエネルギーは、制限開殻法による値を用いる。
安定化エネルギーは、各エネルギーの単位Haを、kcal/molに換算して求められる。
【0039】
ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2’-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]などが挙げられる。
ヒンダードフェノール化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
弾性部材12に含まれる老化防止剤(ヒンダードフェノール化合物など)の量は、高分子成分100質量部に対して、0.5質量部以上6.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上4.0質量部以下であることがさらに好ましい。老化防止剤の量がこのような範囲である場合、老化防止剤によるラジカル捕捉効果が発揮され易くなり、弾性部材12の熱劣化抑制の効果をさらに高めることができる。また、適度な硬度を確保し易くなり、リフロー時に弾性部材12が膨れたり、弾性部材12を形成する際に加硫が阻害されたりすることを抑制できる。
【0041】
弾性部材12は、ケース11の開口部の形状に対応する形状(例えば、円盤状などのディスク状など)を有している。ケース11の開口部は、開口端をカール加工し、開口端が弾性部材12に直接または間接的に押し付けられることにより封口される。
【0042】
弾性部材12は、ケース11の開口を塞ぐように形成されるが、通常、コンデンサ素子10から電流を取り出すためのリード線14A,14Bおよびリードタブ15A,15Bからなるリードを貫通させる貫通孔12aを備えている。貫通孔12a部分において、弾性部材12とリードとの間には隙間ができないようにする必要があるため、弾性部材12の貫通孔12aの周囲には、リードに押されて応力が加わることになる。そのため、一般には、このような貫通孔を有する弾性部材は、高温環境下ではクラックが入り易い。本実施形態では、上記の平均粒子径を有するカオリンを弾性部材12に含有させることで、高分子成分の熱劣化が抑制されるため、弾性部材12が貫通孔12aを有する場合でも、クラックの発生を抑制できる。
【0043】
封口部材は、弾性部材12のみで構成してもよく、弾性部材12に加え、他の部材を含んでもよい。例えば、弾性部材は、外側の表面に樹脂層が形成されていてもよい。この場合、封口部材は、弾性部材と樹脂層とを含む。
【0044】
(ケース11)
コンデンサ素子10を収容するケース11の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。コンデンサ素子10を収容した後、ケース11の開口部は、封口部材で封止される。ケース11は、円筒形などの筒型であり、図示例のように底部を有するものであってもよい。有底ケースを用いる場合には、1つの開口部を封口部材で封止すればよい。また、筒型のケースの両端部(つまり、筒型の長さ方向(または軸方向)の両端部)が開口している場合には、双方の開口部を封口部材で封止してもよい。
【0045】
ケース11にコンデンサ素子10を収容して、ケース11の開口部に封口部材の弾性部材12をはめ込んだ後、ケース11は、弾性部材12の側壁に対して縮径されて押し付けられた状態となる。この縮径により、封口部材が固定されるとともに、弾性部材12とケース11の側壁との間の密閉性を高めることができる。縮径は、筒状のケース11を外側から弾性部材12の側壁に対して絞り加工(具体的には、横絞り加工)することにより行なわれる。縮径により弾性部材12には応力が加わることになるが、応力が加わった状態で、弾性部材12が高温に晒されると弾性部材12の熱劣化が顕著になる。本実施形態では、このように縮径により弾性部材12に応力が加わり易い場合でも、弾性部材12が上記のような平均粒子径を有するカオリンを含むことで、高分子成分の熱劣化が抑制されるため、クラックの発生を抑制することができる。
【0046】
なお、弾性部材12がはめ込まれた部分において、ケース11を弾性部材12の側壁に対して縮径すると、この縮径された領域11aでは、ケース11の外径が他の部分に比べて小さくなる。この弾性部材12の側壁に対応する部分で、ケース11の外径が他の部分に比べて小さくなっている領域を、縮径された領域とする。
【0047】
(コンデンサ素子10)
コンデンサ素子10は、誘電体層(化成皮膜)を有する陽極部と、陰極部と、陽極部と陰極部との間に介在するセパレータと、誘電体層に接触した電解質と、を備える。
【0048】
(陽極部)
陽極部としては、例えば、表面が粗面化された金属箔や金属焼結体が挙げられる。陽極部を構成する金属の種類は特に限定されないが、誘電体層の形成が容易である点から、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンなどの弁作用金属、または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。
【0049】
金属箔表面の粗面化は、公知の方法により行うことができる。粗面化により、金属箔の表面に、複数の凹凸が形成される。粗面化は、例えば、金属箔をエッチング処理することにより行うことが好ましい。エッチング処理は、例えば、直流電解法または交流電解法などにより行ってもよい。
【0050】
(誘電体層)
誘電体層は、陽極部の表面に形成される。具体的には、誘電体層は、粗面化された金属箔の表面に形成されるため、陽極部の表面の孔や窪み(ピット)の内壁面に沿って形成される。
【0051】
誘電体層の形成方法は特に限定されないが、陽極部を化成処理することにより形成することができる。化成処理は、例えば、金属箔をアジピン酸アンモニウム溶液などの化成液に浸漬することにより行ってもよい。化成処理では、必要に応じて、金属箔を化成液に浸漬した状態で、電圧を印加してもよい。
【0052】
通常は、量産性の観点から、大判の弁作用金属などで形成された金属箔に対して、粗面化処理および化成処理が行われる。その場合、処理後の箔を所望の大きさに裁断することによって、誘電体層が形成された陽極部が準備される。
【0053】
(陰極部)
陰極部には、例えば、金属箔が使用される。金属の種類は特に限定されないが、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属または弁作用金属を含む合金を用いることが好ましい。陰極部には、必要に応じて、粗面化および/または化成処理を行ってもよい。粗面化および化成処理は、例えば、陽極部について記載した方法などにより行なうことができる。
【0054】
(セパレータ)
セパレータとしては、特に制限されず、例えば、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、アラミドなどの芳香族ポリアミド)の繊維を含む不織布などを用いてもよい。
【0055】
コンデンサ素子は、公知の方法により作製することができる。例えば、コンデンサ素子は、誘電体層を形成した陽極部と陰極部とを、セパレータを介して重ね合わせた後、陽極部と陰極部との間に導電性高分子層を形成することにより作製してもよい。誘電体層を形成した陽極部と陰極部とを、セパレータを介して巻回することにより、
図2に示されるような巻回体を形成し、陽極部と陰極部との間に導電性高分子層を形成することにより作製してもよい。巻回体を形成する際、リードタブ15A,15Bを巻き込みながら巻回することにより、
図2に示すように、リード線14A,14Bを巻回体から植立させてもよい。
【0056】
陽極部、陰極部およびセパレータのうち、巻回体の最外層に位置するもの(
図2では、陰極部22)の外側表面の端部は、巻止めテープで固定される。なお、陽極部を大判の金属箔を裁断することによって準備した場合には、陽極部の裁断面に誘電体層を設けるために、巻回体などの状態のコンデンサ素子に対し、さらに化成処理を行ってもよい。
【0057】
電解質としては、電解液や固体電解質を用いることができ、固体電解質と電解液とを併用してもよい。
【0058】
固体電解質は、例えば、マンガン化合物や導電性高分子を含む。導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびこれらの誘導体などを用いることができる。導電性高分子を含む固体電解質は、例えば、原料モノマーを誘電体層上で化学重合および/または電解重合することにより、形成することができる。あるいは、導電性高分子が溶解した溶液、または、導電性高分子が分散した分散液を、誘電体層に塗布することにより、形成することができる。
【0059】
電解液としては、非水溶媒であってもよく、非水溶媒とこれに溶解させたイオン性物質(溶質、例えば、有機塩)との混合物であってもよい。非水溶媒は、有機溶媒でもよく、イオン性液体でもよい。非水溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、スルホラン、γ-ブチロラクトン、N-メチルアセトアミドなどを用いることができる。有機塩としては、例えば、マレイン酸トリメチルアミン、ボロジサリチル酸トリエチルアミン、フタル酸エチルジメチルアミン、フタル酸モノ1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、フタル酸モノ1,3-ジメチル-2-エチルイミダゾリニウムなどが挙げられる。
【0060】
弾性部材12は、ケース11の開口部の形状に対応する形状(例えば、円盤状などのディスク状など)を有している。ケース11の開口部は、開口端をカール加工し、開口端が弾性部材12に直接または間接的に押し付けられることにより封口される。
【0061】
弾性部材12は、ケース11の開口を塞ぐように形成されるが、通常、コンデンサ素子10から電流を取り出すためのリード線14A,14Bおよびリードタブ15A,15Bからなるリードを貫通させる貫通孔12aを備えている。貫通孔12a部分において、弾性部材12とリードとの間には隙間ができないようにする必要があるため、弾性部材12の貫通孔12aの周囲には、リードに押されて応力が加わることになる。そのため、一般には、このような貫通孔を有する弾性部材は、高温環境下ではクラックが入り易い。本実施形態では、上記のようなヒンダードフェノール化合物を弾性部材12に含有させることで、高分子成分の熱劣化が抑制されるため、弾性部材12が貫通孔12aを有する場合でも、クラックの発生を抑制できる。
【0062】
封口部材は、弾性部材12のみで構成してもよく、弾性部材12に加え、他の部材を含んでもよい。例えば、弾性部材は、外側の表面に樹脂層が形成されていてもよい。この場合、封口部材は、弾性部材と樹脂層とを含む。
【0063】
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
《サンプルA1~A4およびB1~B4》
本サンプルでは、定格電圧35V、定格静電容量270μFの巻回型の電解コンデンサ(直径10mm×長さ10mm)を作製した。以下に、電解コンデンサの具体的な製造方法について説明する。
【0065】
(コンデンサ素子の作製)
表面を粗面化したAl箔に、アジピン酸アンモニウム溶液を用いて化成処理し、誘電体層を形成した。得られた陽極部を所定サイズに裁断した。陽極部と陰極部としてのAl箔に、それぞれ、リードタブを接続し、陽極部と陰極部とをセパレータを介して巻回し、外側表面を巻止めテープで固定することで巻回体を作製した。このとき、リードタブおよびリードタブと一体化したリード線は、巻回体より引き出した状態で、リードタブを巻き込みながら巻回した。巻回体に、さらにアジピン酸アンモニウム溶液を用いて再度化成処理した。
【0066】
所定容器に収容されたポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸と水とを含む導電性高分子分散体に巻回体を5分間浸漬し、その後、導電性高分子分散体から巻回体を引き上げた。次に、高分子分散体を含浸した巻回体を、150℃の乾燥炉内で20分間乾燥させ、導電性高分子を巻回体の陽極部と陰極部との間に付着させた。このようにして、コンデンサ素子を完成させ、直径10mm×長さ10mmの有底円筒状のケースに収容した。
【0067】
(電解液の含浸)
ケース内に電解液を注液し、減圧雰囲気(40kPa)中でコンデンサ素子に電解液を5分間含浸させた。電解液は、γ-ブチロラクトンおよびとエチレングリコールとを含む溶媒に、フタル酸とトリエチルアミンとを溶解させることにより調製した。
【0068】
(コンデンサ素子の封止)
図1に示すような弾性部材12からなる封口部材の貫通孔12aに、コンデンサ素子10から導出されたリードタブ15A,15Bを貫通させ、リードタブ15A,15Bにそれぞれ一体化されたリード線14A,14Bを弾性部材12の外側に引き出した。この状態で、弾性部材12を、ケース11の開口部に嵌め込み、横絞り加工を施して、弾性部材12を固定した。ケース11の開口端部をカール加工することにより、コンデンサ素子10を弾性部材12からなる封口部材で封止した。
【0069】
弾性部材12としては、ブチルポリマー、ヒンダードフェノール化合物、表1に示す粒子、架橋剤、および添加剤を混練し、金型を用いて貫通孔12aを有する円盤状に加硫成形したものを用いた。添加剤としては、補強材(カーボンブラック)、架橋促進剤、分散助剤(ステアリン酸)および改質材(シランカップリング剤)を用いた。なお、弾性部材12の各成分の量は、高分子成分としてブチルゴム100質量部に対して、ヒンダードフェノール化合物1質量部、粒子100質量部とした。ヒンダードフェノール化合物としては、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](Hr=76.8kcal/mol(≒321.3kJ/mol)、分子量1178)を用いた。
【0070】
《評価》
(熱劣化(耐クラック))
下記の手順で、弾性部材の熱劣化を評価した。
サンプルの電解コンデンサを、165℃の環境下に静置し、500時間経過した後に、弾性部材のクラック長を求めた。クラック長は、弾性部材12の、ケース11から外部に露出している表面において観察される最も長いクラックについて、両端部間の直線距離を計測することにより求めた。クラックの発生状態は、クラック長の大きさに基づき下記の基準で評価した。
○:クラック長が0.2mm以下である。
△:クラック長が0.2mmを超え0.7mm以下である。
×:クラック長が0.7mmを超える。
【0071】
(リフロー時の耐膨れ性)
各サンプルの電解コンデンサを10個ずつ準備した。そして、各電解コンデンサについて、
図1中のα1およびβ1の長さをマイクロゲージにより測定した。その後、電解コンデンサを、200℃に加熱した状態で5分間放置し、加熱後の
図1中のα2およびβ2の長さを測定した。そして、下記式より封口部材の膨れ量を求めた。
膨れ量(mm)=(β2-β1)-(α2-α1)
10個の膨れ量の平均値を求め、下記の基準で耐膨れ性を評価した。
○:膨れ量が0.2mm以下である。
△:膨れ量が0.2mmを超え0.3mm以下である。
×:膨れ量が0.3mmを超える。
結果を表1に示す。
【0072】
【0073】
《サンプルA5~A7》
ブチルゴム100質量部に対する粒子(焼成カオリン)の量を、表2に示すように変更した。これ以外は、サンプルA1と同様に弾性部材および電解コンデンサを作製し、評価を行なった。
サンプルA5~A7の結果を表2に示す。表2には、サンプルA1の結果も合わせて示す。
【0074】
【0075】
《サンプルA8~A10》
粒子として、焼成カオリンとタルク(D50:20.0μm)とを表3に示す質量比で用いた。これ以外は、サンプルA1と同様に弾性部材および電解コンデンサを作製し、評価を行なった。
サンプルA8~A10の結果を表3に示す。表3には、サンプルA1およびB2の結果も合わせて示す。
【0076】
【0077】
《サンプルA11~A15》
ブチルゴム100質量部に対するヒンダードフェノール化合物(老化防止剤)の量を表4に示すように変更したこと以外、サンプルA1と同様に弾性部材および電解コンデンサを作製し、評価を行なった。
サンプルA11~A15の結果を表4に示す。表4には、サンプルA1の結果も合わせて示す。
【0078】
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る電解コンデンサでは、ケースの開口を封止する封口部材を構成する弾性部材の熱劣化が抑制されるともにリフロー時の弾性部材の膨れも抑制される。そのため、電解コンデンサは、自動車のエンジンルーム内での利用など、高温(例えば、100℃や150℃を超えるような温度)で利用される用途に適している。
【符号の説明】
【0080】
10:コンデンサ素子、11:ケース、11a:縮径された領域、12:弾性部材、13:座板、14A,14B:リード線、15A,15B:リードタブ、21:陽極部、22:陰極部、23:セパレータ、24:巻止めテープ