(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 35/00 20060101AFI20230901BHJP
H05B 47/00 20200101ALI20230901BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230901BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20230901BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230901BHJP
【FI】
H01H35/00 D
H05B47/00
F21V23/00 113
F21V23/00 115
F21V23/04
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019021903
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原野 良彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 久也
(72)【発明者】
【氏名】林 勇太
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 扶美
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-036822(JP,A)
【文献】特開2008-108637(JP,A)
【文献】特開2000-057873(JP,A)
【文献】特開2010-135161(JP,A)
【文献】特開2015-162454(JP,A)
【文献】特開2015-035307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/04
H01H 35/00
H05B 47/00
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付枠を利用して造営材に固定されるスイッチ装置であって、
手動操作される操作部と、
前記操作部を通して物理量を検知する検知部と、
前記検知部を収容する器体と、
を備え、
前記操作部は、前記器体に対して回転可能に支持される操作ハンドルを有し、
前記操作ハンドルは、板状の操作部本体を有し、
前記操作部本体の前面に保護層が設けられており、
前記検知部は、前記操作ハンドルに内蔵されない、
スイッチ装置。
【請求項2】
取付枠を利用して造営材に固定されるスイッチ装置であって、
手動操作される操作部と、
前記操作部を通して物理量を検知する検知部と、
前記検知部を収容する器体と、
を備え、
前記操作部は、前記器体に対して前記器体の前面と平行する軸を中心に回転可能に支持される操作ハンドルを有し、手動操作されたときに前記器体の前面に対して変位し、
前記検知部は、可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知し、かつ前記操作ハンドルに内蔵されず、
前記器体の前方から見て、前記検知部が前記電磁波を受波する受波面と前記軸が重なるように、前記操作部が前記器体の前面に配置されている、
スイッチ装置。
【請求項3】
取付枠を利用して造営材に固定されるスイッチ装置であって、
手動操作される操作部と、
前記操作部を通して物理量を検知する検知部と、
前記検知部を収容する器体と、
を備え、
前記操作部は、前記器体に対して回転可能に支持される操作ハンドルを有し、
前記検知部は、可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知し、かつ前記操作ハンドルに内蔵されず、
前記操作部は、前記電磁波を前記検知部に収束させるレンズを有する、
スイッチ装置。
【請求項4】
可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知する前記検知部を一つ以上備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記操作部が手動操作されたとき、及び前記検知部の検知する前記物理量が所定の条件に合致したときに負荷の制御動作を行う制御回路を更に備え、
前記検知部は、人体から放射される赤外線を検知することによって検知領域内の人の存在を検知し、
前記制御回路は、前記検知部が人の存在を検知したときに前記物理量が前記所定の条件に合致したと判定して前記制御動作を行う、
請求項
4記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記操作部が手動操作されたとき、及び前記検知部の検知する前記物理量が所定の条件に合致したときに負荷の制御動作を行う制御回路を更に備え、
前記検知部は、可視光を検知し、
前記制御回路は、前記検知部が検知する前記可視光のレベルが所定のしきい値以下であるときに前記物理量が前記所定の条件に合致したと判定して前記制御動作を行う、
請求項
4又は5記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記操作部は、板状の操作部本体を有し、
前記操作部は、前記操作部本体が前記器体の前面に向かう向きの力を受けているときに基準位置から前記器体の前面に近付く向きに回転し、前記操作部本体が前記器体の前面に向かう向きの力を受けなくなると前記器体の前面から離れる向きに回転して前記基準位置に復帰する、
請求項
2記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記器体は、取付枠に取り付け可能な取付部を一つ以上有し、
前記取付枠を介して造営面に取り付けられる、
請求項1~
7のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記検知部が人の存在を検知したときに前記負荷である照明負荷を消灯状態から点灯状態に切り替える前記制御動作を行い、前記検知部が人の存在を検知しなくなったときに前記照明負荷を点灯状態から消灯状態に切り替える前記制御動作を行う、請求項
5記載のスイッチ装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記検知部が人の存在を検知しなくなってから所定の遅延時間が経過するまで前記照明負荷を点灯状態に維持し、かつ、前記所定の遅延時間が経過してから前記照明負荷を点灯状態から消灯状態に切り替える前記制御動作を行う、
請求項
9記載のスイッチ装置。
【請求項11】
可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知する前記検知部を一つ以上備え、
前記操作部は、板状の操作部本体を有し、
前記操作部本体は、前記電磁波に対する透過率が異なる複数の部位を有する、
請求項1~
10のいずれか1項に記載のスイッチ装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチ装置に関し、より詳細には、人による操作とセンサによる物理量の検知に基づいて負荷を制御するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載のスイッチ装置(熱線センサ付自動スイッチ)を例示する。特許文献1記載の従来例(以下、従来例と略す。)は、交流電源から照明負荷への給電路に設けられ、給電路を開閉することによって照明負荷の制御(点灯と消灯の切替え)を行う。従来例は、壁面などの造営面に埋め込まれる器体と、器体の前面に回動可能に軸支される操作ハンドルと、熱線を検知する熱線センサと、給電路に挿入される開閉素子と、開閉素子を駆動する回路部とを備えている。なお、熱線センサ、開閉素子及び回路部は器体内に収容されている。
【0003】
回路部は、操作ハンドルが押操作されたときにオンする操作スイッチを有する。回路部は、操作スイッチがオンされるごとに開閉素子をオンからオフ及びオフからオンに切り替える。さらに、回路部は、熱線センサによって検知領域内の人の存在が検知されると開閉素子をオフからオンに切り替え、熱線センサによって検知領域内の人の存在が検知されなくなると開閉素子をオンからオフに切り替える。
【0004】
器体は、合成樹脂材料によって直方体状に形成されている。器体の前面における上部に操作ハンドルが配置されている。器体の前面における下部(操作ハンドルの下)にセンサカバーが配置されている。センサカバーは、器体の前面に露出する熱線センサを覆っている。センサカバーは、熱線を透過可能な材料で形成されている。つまり、人体から放射される熱線は、センサカバーを透過して熱線センサで検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来例では、手動操作される操作ハンドルとセンサカバーが器体の前面において、器体の長手方向に沿って並べて配置されている。したがって、意匠性等に配慮して器体を小型化する場合、操作ハンドルを小型化してしまうと手動操作の操作性が低下するおそれがある。
【0007】
本開示の目的は、操作性の低下を抑えつつ小型化を図ることができるスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るスイッチ装置は、取付枠を利用して造営材に固定される。前記スイッチ装置は、手動操作される操作部と、前記操作部を通して物理量を検知する検知部と、前記検知部を収容する器体とを備える。前記操作部は、前記器体に対して回転可能に支持される操作ハンドルを有する。前記操作ハンドルは、板状の操作部本体を有する。前記操作部本体の前面に保護層が設けられている。前記検知部は、前記操作ハンドルに内蔵されない。
本開示の一態様に係るスイッチ装置は、取付枠を利用して造営材に固定される。前記スイッチ装置は、手動操作される操作部と、前記操作部を通して物理量を検知する検知部と、前記検知部を収容する器体と、を備える。前記操作部は、前記器体に対して前記器体の前面と平行する軸を中心に回転可能に支持される操作ハンドルを有し、手動操作されたときに前記器体の前面に対して変位する。前記検知部は、可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知し、かつ前記操作ハンドルに内蔵されない。前記器体の前方から見て、前記検知部が前記電磁波を受波する受波面と前記軸が重なるように、前記操作部が前記器体の前面に配置されている。
本開示の一態様に係るスイッチ装置は、取付枠を利用して造営材に固定される。前記スイッチ装置は、手動操作される操作部と、前記操作部を通して物理量を検知する検知部と、前記検知部を収容する器体と、を備える。前記操作部は、前記器体に対して回転可能に支持される操作ハンドルを有する。前記検知部は、可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知し、かつ前記操作ハンドルに内蔵されない。前記操作部は、前記電磁波を前記検知部に収束させるレンズを有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示のスイッチ装置は、操作性の低下を抑えつつ小型化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るスイッチ装置の回路ブロック図である。
【
図2】
図2Aは、同上のスイッチ装置の前面図である。
図2Bは、同上のスイッチ装置の後面図である。
図2Cは、同上のスイッチ装置の下面図である。
図2Dは、同上のスイッチ装置の右側面図である。
【
図3】
図3は、同上のスイッチ装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のスイッチ装置の縦断面図である。
【
図5】
図5は、同上のスイッチ装置の横断面図である。
【
図6】
図6は、同上のスイッチ装置の操作ハンドルを後面から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、同上のスイッチ装置のレンズユニットの後面図である。
【
図8】
図8は、同上のスイッチ装置のレンズユニット及びレンズカバーを省略した前面図である。
【
図9】
図9は、同上のスイッチ装置を取付枠を利用して壁に取り付けた状態の縦断面図である。
【
図10】
図10は、同上のスイッチ装置の変形例1の回路ブロック図である。
【
図11】
図11Aは、同上のスイッチ装置の変形例2のオフ位置の操作ハンドルの右側面図である。
図11Bは、同上のスイッチ装置の変形例2のオン位置の操作ハンドルの右側面図である。
【
図12】
図12は、同上のスイッチ装置の変形例3の操作ハンドルの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係るスイッチ装置について図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
まず、実施形態に係るスイッチ装置1(以下、スイッチ装置1と略す。)の回路構成を説明する。スイッチ装置1は、
図1に示すように、第1回路ブロック4と、第2回路ブロック5と、端子台6とを有する。
【0013】
端子台6は、四つの端子(第1端子61、第2端子62、第3端子63及び第4端子64)を備える。第1端子61は、交流電源X1(例えば、実効値が100Vの単相2線式の交流電源)の正極(HOT側の電極)と電気的に接続される。第2端子62は、交流電源X1の負極(COLD側の電極)と電気的に接続される。第3端子63は、照明負荷W1(例えば、LED照明器具)の第1電源端子と電気的に接続される。第4端子64は、照明負荷W1の第2電源端子と電気的に接続される。なお、第2端子62と第3端子63は、導体(例えば、電線)を介して電気的に接続されている。
【0014】
第1回路ブロック4は、開閉素子41と、駆動回路42と、直流電源回路43とを備える。
【0015】
直流電源回路43は、第1端子61及び第2端子62を介して交流電源X1から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。直流電源回路43は、例えば、力率改善回路(昇圧チョッパ回路)と、降圧チョッパ回路とを有し、5~15V程度の直流電圧を出力することが好ましい。直流電源回路43は、変換後の直流電圧(以下、制御電圧という。)を駆動回路42及び第2回路ブロック5に供給する。
【0016】
開閉素子41は、端子台6の第1端子61と第4端子64を電気的に接続する電路上に設けられている。開閉素子41は、電磁リレー、半導体リレー又は半導体スイッチング素子で構成される。開閉素子41がオンしているときに第1端子61と第4端子64が電路を介して導通する。一方、開閉素子41がオフしているときに電路が遮断されて第1端子61と第4端子64が導通しない。つまり、開閉素子41がオンしているとき、交流電源X1、照明負荷W1、端子台6及び開閉素子41によって閉回路が形成されて交流電源X1から照明負荷W1に交流電力が供給される。一方、開閉素子41がオフしているとき、交流電源X1、照明負荷W1、端子台6及び開閉素子41によって閉回路が形成されず、交流電源X1から照明負荷W1に交流電力が供給されない。
【0017】
駆動回路42は、後述する制御回路53に制御されて開閉素子41をオン・オフする。
【0018】
第2回路ブロック5は、人体検知センサ51、押しボタンスイッチ52、制御回路53及び表示ランプ54を有する。
【0019】
人体検知センサ51は、いわゆるパッシブ型の赤外線モーションセンサである。赤外線モーションセンサは、複数の焦電素子を有し、複数の焦電素子で受光する赤外線の変化量に応じて、赤外線を放射する人体を検知する。すなわち、人体検知センサ51は、検知領域に人体が存在するときに人体検知信号を出力するように構成されている。
【0020】
押しボタンスイッチ52は、機械式の常開接点と、外部から力を受けたときに常開接点を閉じる(オンする)押しボタン520(
図3参照)とを有する。押しボタンスイッチ52の常開接点に制御電圧が印加される。
【0021】
表示ランプ54は、例えば、赤色光を放射するLED(Light Emitting Diode)チップと、緑色光を放射するLEDチップを有する。表示ランプ54は、制御回路53の制御の元で赤色光及び緑色光を択一的に放射する。
【0022】
制御回路53は、マイクロコントローラで構成されている。制御回路53は、複数の入力ポート及び出力ポートを有する。第1の入力ポートに人体検知センサ51が電気的に接続され、第2の入力ポートに押しボタンスイッチ52が電気的に接続されている。つまり、人体検知センサ51が人体を検知すると、第1の入力ポートにハイレベルの信号(人体検知信号)が入力される。また、押しボタンスイッチ52がオフしているときは第2の入力ポートの入力電圧がハイレベル(制御電圧)に維持されているが、押しボタンスイッチ52がオンすると第2の入力ポートの入力電圧がローレベルに変化する。ゆえに、制御回路53は、第2の入力ポートの入力電圧がハイレベルからローレベルに変化したときに押しボタンスイッチ52から操作信号が入力されたと判定する。
【0023】
制御回路53の第1の出力ポートには駆動回路42が電気的に接続される。制御回路53は、第1の出力ポートから制御信号を出力する。駆動回路42は、制御回路53から制御信号を受け取ると開閉素子41を駆動する。
【0024】
制御回路53の第2の出力ポートには表示ランプ54が電気的に接続される。制御回路53は、第2の出力ポートから駆動信号を出力して表示ランプ54を発光させる。
【0025】
制御回路53の制御動作を更に詳しく説明する。制御回路53は、開閉素子41がオフしている状況(照明負荷W1が消灯している状況)において、第2の入力ポートに操作信号が入力されると、第1の出力ポートから制御信号を出力して駆動回路42に開閉素子41をオンさせる。また、制御回路53は、照明負荷W1が消灯している状況において、人体検知センサ51から第1の入力ポートに人体検知信号が入力されると、第1の出力ポートから制御信号を出力して駆動回路42に開閉素子41をオンさせる。開閉素子41がオンすることにより、照明負荷W1が点灯する。
【0026】
制御回路53は、照明負荷W1が消灯している状況においては、表示ランプ54から緑色光を放射させることにより、周囲が暗い状況においてもスイッチ装置1の位置を視認しやすくする。また、制御回路53は、照明負荷W1が点灯している状況においては、表示ランプ54から赤色光を放射させることにより、照明負荷W1が点灯中であることを表示する。
【0027】
一方、制御回路53は、照明負荷W1が点灯している状況において、第2の入力ポートに操作信号が入力されると、第1の出力ポートから制御信号を出力して駆動回路42に開閉素子41をオフさせる。また、制御回路53は、照明負荷W1が点灯している状況において、人体検知センサ51から第1の入力ポートに人体検知信号が入力されなくなると、第1の出力ポートから制御信号を出力して駆動回路42に開閉素子41をオフさせる。開閉素子41がオフすることにより、照明負荷W1が消灯する。
【0028】
ここで、制御回路53は、照明負荷W1の点灯中に人体検知信号の入力が停止した場合、マイクロコントローラに内蔵されたタイマを起動し、タイマの計時時間が所定の遅延時間に達したときに制御信号を出力しても構わない。ただし、制御回路53は、タイマの計時時間が遅延時間に達する前に第1の入力ポートに人体検知信号が再度入力されれば、タイマを再起動して計時時間をリセットすることが好ましい。さらに、制御回路53は、タイマの計時時間が遅延時間に達する前に第2の入力ポートに操作信号が入力されると、タイマを停止し、かつ、制御信号を出力して開閉素子41をオフすることが好ましい。
【0029】
なお、制御回路53は、第1の制御動作と第2の制御動作を択一的に選択して実行しても構わない。制御回路53は、例えば、短時間(例えば、500ミリ秒)に操作信号が複数回(例えば、2回)入力されたときに第1の制御動作と第2の制御動作を交互に選択することが好ましい。
【0030】
制御回路53は、第1の制御動作を実行する場合、人体検知センサ51の人体検知信号に応じて照明負荷W1の点灯・消灯を切り替える。また、制御回路53は、第2の制御動作を実行する場合、人体検知センサ51の人体検知信号に関係なく、押しボタンスイッチ52からの操作信号の入力に応じて照明負荷W1の点灯・消灯を切り替える。
【0031】
次に、スイッチ装置1の構造について、
図2~
図8を参照して詳細に説明する。ただし、以下の説明においては、特に断りのない限り、
図3に矢印で示す前後、左右及び上下の各方向をスイッチ装置1の前後、左右及び上下の各方向と定義する。
【0032】
スイッチ装置1は、第1回路ブロック4、第2回路ブロック5及び端子台6を内部に収容する器体2と、器体2の前面に器体2に対して回転可能に支持される操作ハンドル3とを備える(
図3参照)。
【0033】
器体2は、前面が開放されている箱状のボディ20と、ボディ20の前端に取り付けられるカバー21を有する。
【0034】
ボディ20は、合成樹脂材料によって、前面が開放された有底の角筒状に形成されている。ボディ20の底面(後面)に四つの電線挿入穴200が設けられている(
図2B参照)。これら四つの電線挿入穴200は、ボディ20の底面において上下方向に一列に並んでいる。また、これら四つの電線挿入穴200は、端子台6の四つの端子穴66と一対一に対向している(
図2B参照)。端子台6は、ボディ20内に収容されている。端子台6は、4極のねじ式端子台であり、直方体状の本体60内に四つのコンタクト(不図示)を収容している(
図3参照)。四つの端子穴66は本体60の底面(後面)に設けられている。また、本体60の側面(右側面)には4本の端子ねじ65が配置されている。端子台6は、各端子穴から挿入される電線の導体を端子ねじ65とコンタクトで挟むことにより、コンタクトと導体を電気的かつ機械的に接続する。
【0035】
ボディ20の後端部分201は、ボディ20の後端部分201以外の部分よりも左右方向の幅寸法が狭くなっている(
図2B及び
図2C参照)。後端部分201の右側面には、四つの操作穴202が上下方向に一列に並ぶように設けられている(
図2D参照)。これら四つの操作穴202は、後端部分201に収容された端子台6の4本の端子ねじ65の頭部と一対一に対向している。つまり、端子台6の各端子ねじ65は、後端部分201の各操作穴202を通して、ドライバなどの工具によって回転させられる。
【0036】
また、ボディ20の左右両側面には放熱用の複数のスリット203が形成されている(
図2B、
図2D及び
図3参照)。さらに、ボディ20の上下両側面における前端に三角柱状の突起204が設けられている(
図3参照)。
【0037】
第1回路ブロック4は、直角四辺形状の第1回路基板40を有する。第1回路基板40の表面400(右側面)に端子台6、開閉素子41、直流電源回路43などが実装されている(
図3参照)。第1回路ブロック4は、第1回路基板40の表面400をボディ20の右側面に対向させるようにしてボディ20内に収容される(
図4参照)。
【0038】
第2回路ブロック5は、八角形状の第2回路基板50を有する。第2回路基板50の表面500(前面)に人体検知センサ51、押しボタンスイッチ52、制御回路53、表示ランプ54が実装されている(
図3参照)。
【0039】
人体検知センサ51は、円筒形状のケース510を有する(
図3参照)。ケース510の前面に正方形状の窓511が開口している。ただし、窓511は、赤外線を透過可能な材料で形成される窓板512で塞がれている。ケース510内に複数(例えば、四つ)の焦電素子513が収容されている(
図4及び
図5参照)。これら複数の焦電素子513は、窓511を通してケース510内に入射する赤外線を受光する。
【0040】
人体検知センサ51は、第2回路基板50の表面500の中央に実装されている。押しボタンスイッチ52は、第2回路基板50の表面500の下部に実装されている。表示ランプ54は、第2回路基板50の表面500の上部に実装されている。制御回路53は、第2回路基板50の表面500の人体検知センサ51と表示ランプ54の間に実装されている。
【0041】
第2回路ブロック5は、第2回路基板50の表面500を前方に向けるようにしてボディ20内に収容される。第2回路ブロック5は、ボディ20内において第1回路ブロック4の前方に配置される(
図4参照)。なお、第1回路ブロック4と第2回路ブロック5は、電線又は端子板(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0042】
カバー21は、カバー本体210、一対の縦片211、一対の横片212、一対の組立片213、立壁214を有する(
図3参照)。カバー本体210は、中央に開口部215を有する長方形の枠状に形成されている。
【0043】
立壁214は、八角形の筒状に形成されている。立壁214は、カバー本体210の前面において、開口部215の縁に沿って前方へ突出している。また、立壁214の開口部215に臨む下面から操作片2141が上向きに突出している(
図3参照)。操作片2141は、前後方向から見てT字状に形成されている。操作片2141は、立壁214との結合部分を支点として、前後方向にたわみ可能となるように立壁214に支持されている。なお、操作片2141の前面には、円柱状のリブ2142が一体に形成されている(
図4参照)。
【0044】
一対の縦片211は、カバー本体210の左右両端からそれぞれ前方に突出している(
図3参照)。各縦片211は、上下方向の両端から中央に向かって徐々に幅が広くなっている(
図2D参照)。各縦片211の長手方向(上下方向)の中央には円形の軸受穴2110が設けられている(
図3参照)。なお、立壁214において、一対の軸受穴2110と対向する部位に凹部2140が形成されている。
【0045】
一対の横片212は、カバー本体210の上下両端からそれぞれ前方に突出している(
図3及び
図4参照)。上側の横片212の上面から一対の取付爪2120が上向きに突出している。下側の横片212の下面からも一対の取付爪2120が下向きに突出している(
図2A及び
図3参照)。
【0046】
一対の組立片213は、カバー本体210の後面における上下両端から後方に向かって突出している(
図2D及び
図3参照)。一対の組立片213は、それぞれ四角形状に形成されている(
図2C参照)。各組立片213の中央には、厚み方向(
上下方向)に貫通する四角形状の組立穴2130が設けられている(
図2C及び
図3参照)。
【0047】
カバー21の上側の組立片213の組立穴2130に、ボディ20の上側の突起204がはまる。また、カバー21の下側の組立片213の組立穴2130に、ボディ20の下側の突起204がはまる。つまり、一対の組立片213のそれぞれの組立穴2130にボディ20の一対の突起204が一つずつはまることによって、ボディ20とカバー21結合されて器体2が構成されている(
図2C及び
図4参照)。なお、器体2の前面において、カバー21の開口部215から第2回路ブロック5の表面500が露出している。また、カバー21のリブ2142の後面と、第2回路ブロック5の押しボタンスイッチ52の押しボタン520が前後方向に沿って対向(又は接触)している(
図4参照)。
【0048】
操作ハンドル3は、ハンドル本体30と、ハンドルカバー31と、レンズユニット32と、操作体33とを有する(
図3参照)。
【0049】
ハンドル本体30は、枠部300、第1前壁301、第2前壁302、補強バー304、一対の突片305及び一対の軸306を有する(
図3参照)。
【0050】
枠部300は、一対の縦壁3001と一対の横壁3002を有して角すい台状に形成されている。ただし、枠部300は、赤外線の透過率及び可視光の透過率(全光線透過率)がほぼゼロである合成樹脂材料で形成されることが好ましい。
【0051】
第1前壁301及び第2前壁302は、それぞれ枠部300の前面に設けられている。第1前壁301は、枠部300の前面において、上側の横壁3002から一対の縦壁3001の上下方向の中央よりも上の位置までを覆っている。第2前壁302は、枠部300の前面において、下側の横壁3002から一対の縦壁3001の上下方向の中央よりも下の位置までを覆っている。ただし、第2前壁302の上下方向の長さは、第1前壁301の上下方向の長さのおよそ半分である。しかして、枠部300の前面には、第1前壁301の下縁、第2前壁302の上縁及び一対の縦壁3001の前縁に囲まれた四辺形状の窓303が開口している(
図3及び
図8参照)。なお、第2前壁302の後面から円筒状の保持部3020が突出している(
図4及び
図6参照)。
【0052】
第1前壁301及び第2前壁302は、赤外線の透過率がほぼゼロであり、かつ、全光線透過率が数十%(例えば、70%)以上である合成樹脂材料で形成されることが好ましい。
【0053】
補強バー304は、棒状に形成され、一対の縦壁3001の前面に架け渡されている。また、補強バー304は、前方から見て枠部300の窓303を上下方向に二等分する位置に配置されている(
図8参照)。
【0054】
一対の突片305は、半長円形の板状に形成されている(
図3及び
図6参照)。各突片305は、各縦壁3001の上下方向の中央から後方へ突出している。右側の突片305の右側面から円柱状の軸306が右方向に突出している。また、左側の突片305の左側面から円柱状の軸306が左方向に突出している。
【0055】
なお、補強バー304、一対の突片305及び一対の軸306は、枠部300と同様に、赤外線の透過率及び全光線透過率がほぼゼロである合成樹脂材料で形成されることが好ましい。
【0056】
操作体33は、コイルばねで構成されている。操作体33の長手方向(コイルばねの軸方向)の一端(前端)がハンドル本体30の保持部3020にはめ込まれて保持される(図4参照)。
【0057】
レンズユニット32は、ベース部320及び複数のレンズ321を有する。ベース部320は、長方形の板状に形成されている。ただし、ベース部320の後面の周縁には、後方に突出する周壁322が一体に形成されている(
図4参照)。
【0058】
ベース部320の後面に、複数(図示例では10個)のレンズ321が一体に形成されている(
図4~
図7参照)。ただし、以下の説明では、10個のレンズ321を第1~第5のレンズ321A~321E及び第6~第10のレンズ321F~321Jと呼ぶ場合がある。
【0059】
第1~第5のレンズ321A~321Eは、左右方向に一列に並んでいる。中央の第3のレンズ321Cは、フレネルレンズの一部分である(
図7参照)。第1のレンズ321A、第2のレンズ321B、第4のレンズ321D及び第5のレンズ321Eは、長径及び短径が異なるだ円状の複数の溝が入れ子状に配置されて擬似的なフレネルレンズを形成している。第1~第5のレンズ321A~321Eは、前方から入射する赤外光を第3のレンズ321Cの後方の焦点に集光するように構成されている。
【0060】
第6~第10のレンズ321F~321Jは、第1~第5のレンズ321A~321Eの下に左右方向に一列に並んでいる。中央の第8のレンズ321Hは、フレネルレンズの一部分である(
図7参照)。第6のレンズ321F、第7のレンズ321G、第9のレンズ321I及び第10のレンズ321Jは、長径及び短径が異なる複数の半だ円状又は4分の1のだ円状の溝が入れ子状に配置されて擬似的なフレネルレンズを形成している。第6~第10のレンズ321F~321Jは、前方から入射する赤外光を第3のレンズ321Cの焦点に集光するように構成されている。
【0061】
なお、ベース部320と10個のレンズ321と周壁322は、赤外線の透過率及び全光線透過率がそれぞれ数十%(例えば、80%)以上である合成樹脂材料で形成されることが好ましい。ただし、レンズ321を形成する合成樹脂材料の赤外線の透過率が数十%(例えば、80%)以上であれば、ベース部320を形成する合成樹脂材料の赤外線の透過率が数%以下であっても構わない。
【0062】
レンズユニット32は、複数のレンズ321を窓303に挿入するようにしてハンドル本体30の前面に取り付けられる(
図3~
図6参照)。なお、周壁322の上下両端の後面に、それぞれ円柱状の突部323がそれぞれ設けられている(
図7)。これらの突部323は、枠部300の一対の横壁3002の前面に設けられた凹部3003(
図3参照)にはめ込まれる。しかして、レンズユニット32は、複数の突部323のそれぞれが複数の凹部3003に一つずつはめ込まれることによって、ハンドル本体30の枠部300に位置決めされる。
【0063】
窓303に対して、第1~第5のレンズ321A~321Eは補強バー304の上方に挿入され、第6~第10のレンズ321F~321Jは補強バー304の下方に挿入される(
図8参照)。補強バー304は、ベース部320の後面における第1~第5のレンズ321A~321Eと第6~第10のレンズ321F~321Jの間の部位に接触している(
図4参照)。つまり、操作ハンドル3が人の手又は指で押されたときのレンズ321の変形(たわみ)を補強バー304によって抑制することができる。
【0064】
ハンドルカバー31は、長方形の板状に形成されている(
図3参照)。ハンドルカバー31は、レンズユニット32の前面に取り付けられる(
図4参照)。ハンドルカバー31は、レンズユニット32の前面に汚れが付着すること、及びレンズユニット32の前面に傷が付くことなどを防いでいる。なお、ハンドルカバー31は、赤外線の透過率が数十%(例えば、90%)以上、かつ、全光線透過率が数十%(例えば、30%)以下の合成樹脂材料(例えば、ポリオレフィン系の樹脂材料)で形成されることが好ましい。
【0065】
操作ハンドル3は、カバー21の一対の軸受穴2110にハンドル本体30の一対の軸306が一つずつはめ込まれることによって器体2の前面を覆うように器体2に取り付けられる(
図4~
図6参照)。操作ハンドル3は、一対の軸306を支点として回転可能である。ただし、操作体33の長手方向(コイルばねの軸方向)の他端(後端)にカバー21のリブ2142がはめ込まれている(
図4参照)。したがって、操作ハンドル3は、操作体33のばね力によってハンドル本体30の下部を器体2の前面から離す向きに押され、ハンドル本体30の上部(上側の横壁3002)がカバー21の上側の横片212に当たる位置(基準位置)で静止する(
図4参照)。
【0066】
操作ハンドル3の下部が後ろ向きに押されると、ハンドル本体30の下部を器体2の前面に近付ける向きに操作ハンドル3が回転(正回転)する。操作ハンドル3の回転に伴い、カバー21の操作片2141が操作体33のばね力を受けて後ろ向きにたわむ。操作片2141が後ろ向きにたわむことにより、押しボタンスイッチ52の押しボタン520が操作片2141に押されて押しボタンスイッチ52がオンする。そして、操作ハンドル3の下部が押されなくなると、操作体33のばね力で操作ハンドル3が回転(逆回転)して基準位置に復帰し、操作片2141も元の状態に戻ることで押しボタンスイッチ52がオフする。
【0067】
また、前方から見て操作ハンドル3のハンドル本体30の窓303の内側に人体検知センサ51が存在している(
図8参照)。ゆえに、人体検知センサ51は、ハンドルカバー31及びハンドル本体30の窓303を通して、人体から放射される赤外線を受光して当該人体を検知することができる。
【0068】
したがって、スイッチ装置1は、人体検知センサ51を操作ハンドル3の後ろに隠すことにより、操作ハンドル3と人体検知センサ51を上下方向又は左右方向に並べる場合に比べて、操作ハンドル3の大きさを変えずに小型化を図ることができる。その結果、スイッチ装置1は、(操作ハンドル3の)操作性の低下を抑えつつ小型化を図ることができる。
【0069】
ここで、操作ハンドル3が基準位置に静止しているとき、第3のレンズ321Cと人体検知センサ51のケース510の窓511が左右方向及び上下方向において重なっている(
図8参照)。さらに、操作ハンドル3が基準位置に静止しているとき、第3のレンズ321Cの焦点は、前後方向において人体検知センサ51の受光面(窓板512の前面)とほぼ一致する(
図4参照)。したがって、検知領域内に存在する人体から放射される赤外線を複数のレンズ321によって人体検知センサ51の窓511に集光(収束)させることができる。その結果、スイッチ装置1は、人体検知センサ51の検知領域の拡大を図ることができる。
【0070】
また、スイッチ装置1では、ハンドル本体30の第1前壁301及び第2前壁302によって不要な赤外線を遮蔽することにより、人体検知センサ51の誤検知の発生を抑制することができる。特に、スイッチ装置1では、人体検知センサ51の受光面(窓511)を、ハンドル本体30の窓303の上下方向の中央位置(補強バー304の位置)よりも上に配置している(
図8参照)。そのため、スイッチ装置1では、例えば、照明器具の照明光に含まれる赤外線が人体検知センサ51の受光面に入射しにくくなるので、人体検知センサ51の誤検知の発生を更に抑制することができる。
【0071】
さらに、スイッチ装置1では、複数のレンズ321のそれぞれと一対一に対応した複数の検知範囲によって検知領域を形成することにより、人体の僅かな動きを人体検知センサ51で検知することができる。その結果、スイッチ装置1は、検知領域内に滞在する人(人体)を検知しない可能性を低下させることができる。
【0072】
ここで、ハンドルカバー31を形成する合成樹脂材料の全光線透過率が数十%以下であるので、操作ハンドル3越しに人体検知センサ51が透けて見えにくい。その結果、スイッチ装置1は、操作ハンドル3越しに人体検知センサ51が透けて見えることによる外観品質の低下を抑制することができる。
【0073】
ところで、スイッチ装置1は、取付枠7を利用して造営材(例えば、壁材8)に設けられる埋込穴80に埋め込むように配置される(
図9参照)。取付枠7は、合成樹脂材料により、中央に窓穴70を有する長方形の枠状に形成されている。取付枠7は、窓穴70を挟んで対向する一対の側片71を有する。一対の側片71のそれぞれに、器体2の複数(四つ)の取付爪2120がそれぞれ一つずつはめ込まれる取付穴72が設けられている。
【0074】
しかして、四つの取付爪2120のそれぞれが四つの取付穴72に一つずつはめ込まれることにより、器体2を窓穴70に挿通した状態でスイッチ装置1が取付枠7に取り付けられる(
図9参照)。そして、器体2の一部を埋込穴80に埋め込んだ状態で取付枠7が壁材8の表面に固定(ねじ止め)されることにより、スイッチ装置1が造営面(壁面)に埋め込まれて配置される。
【0075】
なお、スイッチ装置1において、人体検知センサ51はパッシブ型の赤外線モーションセンサに限定されない。例えば、人体検知センサ51は、ミリ波帯の電波を利用するアクティブ型の電波センサであっても構わない。
【0076】
次に、スイッチ装置1の幾つかの変形例について図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する変形例のスイッチ装置1は、上述した実施形態のスイッチ装置1と基本的な構成が共通している。したがって、実施形態のスイッチ装置1と共通する構成要素には同一の符号を付すことにより、図示並びに説明を省略する。
【0077】
まず、変形例1のスイッチ装置1を説明する。変形例1のスイッチ装置1は、
図10に示すように、人体検知センサ51と明るさセンサ55の二つの検知部を備えている。
【0078】
明るさセンサ55は、フォトダイオード又はフォトトランジスタなどの受光素子によって可視光を電気量(例えば、電流)に変換することにより、受光素子の受光光量(明るさ)を検知する。明るさセンサ55の出力(出力電流)は、電流・電圧変換器(不図示)によって電圧(検出電圧)に変換されて制御回路53の入力ポート(第3の入力ポート)に入力される。
【0079】
制御回路53は、第3の入力ポートに入力する検出電圧を所定のしきい値と比較する。検出電圧がしきい値以上の場合、制御回路53は、第1の入力ポートに人体検知信号が入力されても制御動作を行わない。検出電圧がしきい値未満の場合、制御回路53は、第1の入力ポートに人体検知信号が入力されると制御動作を行う。つまり、制御回路53は、検出電圧がしきい値以上の場合は照明負荷W1を点灯する必要がないと判断し、人体検知信号の入力を無視して制御動作を行わない。一方、検出電圧がしきい値未満の場合、制御回路53は、人体検知信号が入力されると照明負荷W1を消灯状態から点灯状態に切り替える。ただし、変形例1のスイッチ装置1は、人体検知センサ51を備えずに明るさセンサ55のみを備えてもよい。なお、明るさセンサ55は、第2回路ブロック5の第2回路基板50の表面500に実装されることが好ましい。
【0080】
上述のように変形例1のスイッチ装置1は、明るさセンサ55の検出する明るさが照明負荷W1の照明を必要としない場合に照明負荷W1を無駄に点灯させないことで省エネルギ化を図ることができる。
【0081】
続いて、変形例2のスイッチ装置1を説明する。変形例2のスイッチ装置1では、操作ハンドル3がオフ位置(
図11A参照)とオン位置(
図11B参照)の二つの位置の間で回転可能である。操作ハンドル3は、オフ位置で手動操作されるとオン位置まで回転し、オン位置で手動操作されるとオフ位置まで回転する。
【0082】
操作ハンドル3と器体2の前面の間に、2本の反転ばね10(図示は1本のみ)と2枚の反転板11(図示は1枚のみ)が配置されている(
図11A及び
図11B参照)。各反転板11は、器体2に設けられたV字状の溝205に収められる。各反転ばね10は、それぞれコイルばねからなる。各反転ばね10の軸方向の一端(前端)がハンドル本体30に固定される。各反転ばね10の軸方向の他端(後端)が反転板11の前端に引っ掛けられる。各反転ばね10のばね力によって各反転板11の後端が溝205の底206に押し当てられる。なお、各反転板11は、底206に当たっている後端を支点として上下方向に回転可能である。
【0083】
しかして、操作ハンドル3がオフ位置にあるとき、ハンドル本体30の枠部300の上部(上側の横壁3002)が器体2の前面に当たることによって操作ハンドル3がオフ位置で静止する(
図11A参照)。オフ位置の操作ハンドル3が押し操作されると、反転ばね10を圧縮しながら操作ハンドル3が回転する。そして、操作ハンドル3の回転に伴って反転板11も回転し、ハンドル本体30の枠部300の下部(下側の横壁3002)が器体2の前面に当たることによって操作ハンドル3がオン位置で静止する(
図11B参照)。
【0084】
上述のように変形例2のスイッチ装置1では、操作ハンドル3がオン位置にあるとき、制御回路53が人体検知センサ51の人体検知信号を無視して照明負荷W1を点灯状態に維持することができる。一方、操作ハンドル3がオフ位置にあるとき、変形例2のスイッチ装置1では、制御回路53が人体検知センサ51の人体検知信号に応じて照明負荷W1を点滅させることができる。
【0085】
最後に、変形例3のスイッチ装置1を説明する。変形例3のスイッチ装置1は、器体2の前面に対して操作ハンドル3が前後方向に平行移動するように構成されている。
【0086】
操作ハンドル3の上下両端と器体2の前面の間に、それぞれ少なくとも1本の復帰ばね12が配置されている(
図12参照)。復帰ばね12はコイルばねからなる。復帰ばね12の軸方向の一端(前端)がハンドル本体30に固定される。復帰ばね12の軸方向の他端(後端)が器体2の前面に固定される。なお、カバー21の軸受穴2110は、前後方向を長手方向とする長円形状に形成されている。
【0087】
操作ハンドル3は、復帰ばね12のばね力によって器体2の前面から離れる方向(前方向)に押されており、軸306が軸受穴2110の前端に当たる位置(基準位置)で静止する(
図12参照)。操作ハンドル3が押し操作されると、復帰ばね12を圧縮しながら操作ハンドル3が後方へ移動し、操作体33及び操作片2141(いずれも不図示)を介して押しボタンスイッチ52がオンする。そして、操作ハンドル3が押し操作されなくなると、復帰ばね12のばね力によって操作ハンドル3が基準位置に復帰する。
【0088】
上述のように変形例3のスイッチ装置1では、操作ハンドル3を押しボタンのように操作することができる。なお、操作ハンドル3は、器体2の前面と平行にスライド操作されるように構成されてもよい。あるいは、操作ハンドル3は、器体2の前面に垂直な軸を中心に回転操作されるように構成されてもよい。また、操作ハンドル3の表面にタッチスイッチが設けられ、当該タッチスイッチに対するタッチ操作によって制御回路53が開閉素子41をオン・オフさせてもよい。なお、人体検知センサが小型化された場合には、操作ハンドル3に人体検知センサを内蔵することも可能になると考えられるが、実施形態において例示した人体検知センサ51を操作ハンドル3に内蔵することはできない。
【0089】
上述のように第1の態様に係るスイッチ装置(1)は、手動操作される操作部(操作ハンドル3)と、操作部を通して所定の物理量を検知する検知部(人体検知センサ51;明るさセンサ55)とを備える。第1の態様に係るスイッチ装置(1)は、操作部が手動操作されたとき、及び検知部の検知する物理量が所定の条件に合致したときに負荷(照明負荷W1)の制御動作を行う制御回路(53)と、箱状に形成されて制御回路を収容する器体(2)とを備える。操作部は、板状の操作部本体(ハンドル本体30の第1前壁301、第2前壁302及びレンズユニット32のベース部320)を有し、器体(2)の前方から操作部本体によって検知部を覆うように器体(2)に取り付けられる。検知部は、操作部本体に設けられた透過部(ハンドル本体30の窓303及びレンズユニット32のベース部320)を通して物理量を検知する。
【0090】
第1の態様に係るスイッチ装置(1)は、検知部を操作部本体の後ろに隠すことにより、操作部と検知部を前後方向と交差する方向に並べる場合に比べて、操作部の大きさを変えずに小型化を図ることができる。その結果、第1の態様に係るスイッチ装置(1)は、(操作部の)操作性の低下を抑えつつ小型化を図ることができる。
【0091】
第2の態様に係るスイッチ装置(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係るスイッチ装置(1)において、可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知する検知部を一つ以上備えることが好ましい。
【0092】
第2の態様に係るスイッチ装置(1)は、検知部に電磁波を検知させることにより、周囲の明るさ、人の存否などに応じた制御動作を制御回路(53)に行わせることができる。
【0093】
第3の態様に係るスイッチ装置(1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係るスイッチ装置(1)において、検知部は、人体から放射される赤外線を検知することによって検知領域内の人の存在を検知することが好ましい。制御回路(53)は、検知部が人の存在を検知したときに物理量が所定の条件に合致したと判定して制御動作を行うことが好ましい。
【0094】
第3の態様に係るスイッチ装置(1)は、検知領域内における人の存否に応じた制御動作を制御回路(53)に行わせることにより、負荷(例えば、照明負荷)の無駄な電力消費を抑えて省エネルギ化を図ることができる。
【0095】
第4の態様に係るスイッチ装置(1)は、第2又は第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係るスイッチ装置(1)において、検知部は、可視光を検知することが好ましい。制御回路(53)は、検知部が検知する可視光のレベルが所定のしきい値以下であるときに物理量が所定の条件に合致したと判定して制御動作を行うことが好ましい。
【0096】
第4の態様に係るスイッチ装置(1)は、例えば、可視光のレベル(周囲の明るさ)に応じて制御回路(53)に照明負荷の点滅を制御させることにより、無駄な電力消費を抑えて省エネルギ化を図ることができる。
【0097】
第5の態様に係るスイッチ装置(1)は、第1~第4の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第5の態様に係るスイッチ装置(1)において、操作部本体の前面に保護層(ハンドルカバー31)が設けられていることが好ましい。
【0098】
第5の態様に係るスイッチ装置(1)は、保護層によって操作部本体の前面に汚れが付着すること及び傷が付くことなどを防ぐことができる。
【0099】
第6の態様に係るスイッチ装置(1)は、第1~第5の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第6の態様に係るスイッチ装置(1)において、操作部は、手動操作されたときに器体(2)の前面に対して変位することが好ましい。
【0100】
第6の態様に係るスイッチ装置(1)は、操作部の変位に応じて制御回路(53)に操作部の手動操作を検出させることができる。
【0101】
第7の態様に係るスイッチ装置(1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係るスイッチ装置(1)において、操作部は、器体(2)の前面と平行する軸(306)を中心に回転することが好ましい。
【0102】
第7の態様に係るスイッチ装置(1)は、操作部を回転させて制御回路(53)に操作部の手動操作を検出させることができる。
【0103】
第8の態様に係るスイッチ装置(1)は、第7の態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係るスイッチ装置(1)において、操作部は、操作部本体が器体(2)の前面に向かう向きの力を受けているときに基準位置から器体(2)の前面に近付く向きに回転することが好ましい。さらに、操作部は、操作部本体が器体(2)の前面に向かう向きの力を受けなくなると器体(2)の前面から離れる向きに回転して基準位置に復帰することが好ましい。
【0104】
第8の態様に係るスイッチ装置(1)は、手動操作されるときを除いて操作部が常に基準位置にあるので、検知部と操作部本体の位置関係を一定に保つことができる。
【0105】
第9の態様に係るスイッチ装置(1)は、第7又は第8の態様との組合せにより実現され得る。第9の態様に係るスイッチ装置(1)において、検知部は、可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知することが好ましい。操作部は、器体(2)の前方から見て、電磁波を受波する検知部の受波面と軸(306)が重なるように、操作部が器体(2)の前面に配置されていることが好ましい。
【0106】
第9の態様に係るスイッチ装置(1)は、操作部が回転して変位したときに操作部と検知部の受波面との位置関係の変化を抑えて検知部の検知性能の低下を抑制することができる。
【0107】
第10の態様に係るスイッチ装置(1)は、第1~第9の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第10の態様に係るスイッチ装置(1)において、検知部は、可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知することが好ましい。操作部は、電磁波を検知部に収束させるレンズ(321)を有することが好ましい。
【0108】
第10の態様に係るスイッチ装置(1)は、レンズ(321)によって検知部の検知領域の拡大を図ることができる。
【0109】
第11の態様に係るスイッチ装置(1)は、第1~第10の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第11の態様に係るスイッチ装置(1)において、器体(2)は、取付枠(7)に取り付け可能な取付部(取付爪2120)を一つ以上有し、取付枠(7)を介して造営面に取り付けられることが好ましい。
【0110】
第11の態様に係るスイッチ装置(1)は、取付枠(7)を利用して造営面に容易に取り付けることができる。
【0111】
第12の態様に係るスイッチ装置(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第12の態様に係るスイッチ装置(1)において、制御回路(53)は、検知部が人の存在を検知したときに負荷である照明負荷(W1)を消灯状態から点灯状態に切り替える制御動作を行うことが好ましい。制御回路(53)において、検知部が人の存在を検知しなくなったときに照明負荷を点灯状態から消灯状態に切り替える前記制御動作を行う。
【0112】
第12の態様に係るスイッチ装置(1)は、検知領域内における人の存否に応じた制御動作を制御回路(53)に行わせることにより、照明負荷の無駄な電力消費を抑えて省エネルギ化を図ることができる。
【0113】
第13の態様に係るスイッチ装置(1)は、第12の態様との組合せにより実現され得る。第13の態様に係るスイッチ装置(1)において、制御回路(53)は、検知部が人の存在を検知しなくなってから所定の遅延時間が経過するまで照明負荷を点灯状態に維持することが好ましい。制御回路(53)は、所定の遅延時間が経過してから照明負荷を点灯状態から消灯状態に切り替える制御動作を行うことが好ましい。
【0114】
第13の態様に係るスイッチ装置(1)は、検知部が人の動きを検知する場合において、検知部が静止している人の存在を検知しなくなっても遅延時間が経過するまでは照明負荷を消灯しないことにより、利便性の向上を図ることができる。
【0115】
第14の態様に係るスイッチ装置(1)は、第1~第13の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第14の態様に係るスイッチ装置(1)は、可視光、赤外光及び電波のいずれかの電磁波を検知する検知部を一つ以上備えることが好ましい。操作部本体は、電磁波に対する透過率が異なる複数の部位(第1前壁301、第2前壁302、ハンドルカバー31)を有することが好ましい。
【0116】
第14の態様に係るスイッチ装置(1)は、操作部本体で不要な電磁波をカットすることにより、検知部における誤検知の抑制を図ることができる。
【符号の説明】
【0117】
1 スイッチ装置
2 器体
3 操作ハンドル(操作部)
7 取付枠
30 ハンドル本体
31 ハンドルカバー(保護層)
32 レンズユニット
51 人体検知センサ(検知部)
53 制御回路
55 明るさセンサ(検知部)
301 第1前壁(操作部本体)
302 第2前壁(操作部本体)
303 窓(透過部)
306 軸
320 ベース部(操作部本体;透過部)
321 レンズ
2120 取付爪(取付部)
W1 照明負荷(負荷)