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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】古紙処理装置
(51)【国際特許分類】
   D21C 5/02 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
D21C5/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019054543
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020153040
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】雑賀 理通
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-125289(JP,A)
【文献】実開平02-099998(JP,U)
【文献】特開2012-162841(JP,A)
【文献】特開2017-115259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を水とともに攪拌して得られる繊維含有液を貯留する貯留部と、
前記貯留部に設けられ、前記貯留部から前記繊維含有液を取り出す取出部と、
前記貯留部に貯留する前記繊維含有液の液位を検出する液位検出部と、
前記繊維含有液に所定の処理を施すよう制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記貯留部からの繊維含有液の取出量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を下回ったと判断する古紙処理装置。
【請求項2】
前記取出量は、前記貯留部から前記繊維含有液を取り出す取出ポンプの駆動量、及び、前記貯留部へ供給される前記繊維含有液または前記水の少なくともいずれかの液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる請求項1に記載の古紙処理装置。
【請求項3】
前記貯留部へ前記液体を供給する供給部を備え、
前記制御部は、前記供給部から前記貯留部へ供給される前記液体の供給量に基づき前記液体を処理する請求項1または請求項2に記載の古紙処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、前記貯留部への前記液体の供給量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される前記繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を上回ったと判断する請求項に記載の古紙処理装置。
【請求項5】
前記供給量は、前記貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量、及び、前記貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる請求項または請求項に記載の古紙処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記貯留部に残存する繊維含有液の残存量に基づき前記繊維含有液を処理する請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の古紙処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記残存量と前記貯留部へ前記繊維含有液または前記水の少なくともいずれかの液体を供給する供給部からの供給量の合計から前記取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を下回ったと判断する請求項に記載の古紙処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量及び前記貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値と前記残存量との合計値から、
取出ポンプの駆動量及び前記貯留部から取り出される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値を差し引いた値が所定値に達したとき、
貯留部に貯留するパルプ液が前記液位検出部の設置位置を下回ったと判断する請求項に記載の古紙処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、前記残存量と前記供給量の合計から前記取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を上回ったと判断する請求項7に記載の古紙処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、前記貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量及び前記貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値と前記残存量との合計値から、
取出ポンプの駆動量及び前記貯留部から取り出される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかの値から得られる値を差し引いた値が所定値に達したとき、
前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を上回ったと判断する請求項に記載の古紙処理装置。
【請求項11】
前記液位検出部には、静電容量式センサーが含まれる請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の古紙処理装置。
【請求項12】
前記液位検出部には、フロート式センサーが含まれる請求項11に記載の古紙処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
古紙処理装置に関し、下記特許文献1には、古紙の分量を計測し、得られた分量から調製可能な再生紙の枚数を算出し、前記枚数の範囲内で、予め設定した稼働時間内に調製できる再生紙の枚数を算定する。そして、算定結果を操作パネル等に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5511341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の装置では、古紙を水とともに攪拌して得られる繊維含有液を貯留する貯留部が記載されている。貯留部に貯留する前記繊維含有液の液位を検出する液位検出部でエラーが発生した場合、貯留部から液体が溢れ、床などを汚す恐れがある。また、繊維含有液の濃度を適切に管理できなくなり、得られる再生紙の厚さが安定しなくなることがある。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、液位検出部でエラーが発生した場合であっても、貯留部から液体が溢れるのを防止し、繊維濃度を適切に管理可能な古紙処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる古紙処理装置は、古紙を水とともに攪拌して得られる繊維含有液を貯留する貯留部と、前記貯留部に設けられ、前記貯留部から前記繊維含有液を取り出す取出部と、前記貯留部に貯留する前記繊維含有液の液位を検出する液位検出部と、前記繊維含有液に所定の処理を施すよう制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記貯留部からの繊維含有液の取出量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を下回ったと判断する。
【0008】
また、前記各構成において、前記取出量は、前記貯留部から前記繊維含有液を取り出す取出ポンプの駆動量、及び、前記貯留部へ供給される前記繊維含有液または前記水の少なくともいずれかの液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる。
【0009】
また、前記各構成において、前記貯留部へ前記液体を供給する供給部を備え、前記制御部は、前記供給部から前記貯留部へ供給される前記液体の供給量に基づき前記液体を処理する。
【0010】
また、前記構成において、前記制御部は、前記液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、前記貯留部への前記液体の供給量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される前記繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を上回ったと判断する。
【0011】
また、前記各構成において、前記供給量は、前記貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量、及び、前記貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる。
【0012】
また、前記各構成において、制御部は、前記貯留部に残存する繊維含有液の残存量に基づき前記繊維含有液を処理する。
【0013】
また、前記構成において、前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記残存量と前記貯留部へ前記繊維含有液または前記水の少なくともいずれかの液体を供給する供給部からの供給量の合計から前記取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を下回ったと判断する。
【0014】
また、前記各構成において、前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量及び前記貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値と前記残存量との合計値から、取出ポンプの駆動量及び前記貯留部から取り出される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値からを差し引いた値が所定値に達したとき、貯留部に貯留するパルプ液が前記液位検出部の設置位置を下回ったと判断する。
【0015】
また、前記構成において、前記制御部は、前記液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、前記残存量と前記供給量の合計から前記取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を上回ったと判断する。
【0016】
また、前記各構成において、前記制御部は、液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、前記貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量及び前記貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値と前記残存量との合計値から、取出ポンプの駆動量及び前記貯留部から取り出される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかの値から得られる値を差し引いた値が所定値に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を上回ったと判断する。
【0017】
また、前記各構成において、前記液位検出部には、静電容量式センサーが含まれる。
【0018】
また、前記構成において、前記液位検出部には、フロート式センサーが含まれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる古紙処理装置によれば、前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記貯留部からの繊維含有液の取出量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を下回ったと判断するので、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位を適正に判断可能である。
【0021】
そして、前記取出量は、前記貯留部から前記繊維含有液を取り出す取出ポンプの駆動量、及び、前記貯留部へ供給される前記繊維含有液または前記水の少なくともいずれかの液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる場合は、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0022】
また、前記貯留部へ前記液体を供給する供給部を備え、前記制御部は、前記供給部から前記貯留部へ供給される前記液体の供給量に基づき前記液体を処理する場合は、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位を適正に判断可能である。
【0023】
また、前記制御部は、前記液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、前記貯留部への前記液体の供給量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される前記繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を上回ったと判断する場合は、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0024】
また、前記供給量は、前記貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量、及び、前記貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる場合は、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0025】
また、前記制御部は、前記貯留部に残存する繊維含有液の残存量に基づき前記繊維含有液を処理する場合は液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0026】
また、前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記残存量と前記貯留部へ前記繊維含有液または前記水の少なくともいずれかの液体を供給する供給部からの供給量の合計から前記取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を下回ったと判断する場合は、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0027】
また、前記制御部は、前記液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、前記貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量及び前記貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値と前記残存量との合計値から、取出ポンプの駆動量及び前記貯留部から取り出される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値を差し引いた値が所定値に達したとき、貯留部に貯留するパルプ液が前記液位検出部の設置位置を下回ったと判断する場合は、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0028】
また、前記制御部は、前記液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、前記残存量と前記供給量の合計から前記取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が前記液位検出部の設置位置を上回ったと判断する場合は、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0029】
また、前記制御部は、液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、流量計の計測値から得られる値の合計値から、取出ポンプの駆動量から得られる値を差し引いた値が所定値に達したとき、前記貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を上回ったと判断する場合は、液位検出部でエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0030】
また、前記液位検出部には、静電容量式センサーが含まれる場合は、静電容量式センサーでエラーが発生したとき貯留部の液位をより適正に判断可能である。
【0031】
また、前記液位検出部には、フロート式センサーが含まれる場合は、フロート式センサーによって貯留部から液体が溢れるのを抑止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態にかかる古紙処理装置の構成概略図である。
図2】前記古紙処理装置の古紙供給部及びパルプ製造部の斜視図である。
図3】前記古紙供給部及びパルプ製造部の正面図である。
図4】前記古紙供給部及びパルプ製造部の縦断面図である。
図5】前記古紙処理装置の脱墨部の斜視図である。
図6】前記脱墨部の正面図である。
図7】前記脱墨部の平面図である。
図8】前記脱墨部の縦断面図である。
図9】前記古紙処理装置の抄紙部の構成概略図である。
図10】前記古紙処理装置の廃液処理部の正面図である。
図11】前記古紙処理装置の制御部のブロック図である。
図12】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図13】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図14】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図15】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図16】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図17】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図18】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図19】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図20】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
図21】前記古紙処理装置の制御部のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、古紙処理装置1の構成概略図である。古紙処理装置1は、古紙供給部2、古紙処理部20及び制御部8を備える。古紙処理部20は、古紙Uに所定の処理を施す。制御部8は、古紙供給部2及び古紙処理部20の動作を制御する。制御部8は、古紙Uを水とともに攪拌して得られる繊維含有液に所定の処理を施すよう古紙処理部20を制御する。
【0034】
本実施形態では、古紙処理部20が、古紙Uを離解して繊維含有液を製造し、得られた繊維含有液を抄紙して再生紙Rを製造する製紙装置である場合について説明する。古紙処理部20は、パルプ製造部3、希釈部4、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7、廃液処理部9を備える。
今回には関係ないですが古紙処理装置として乾燥部がありません。
また、脱墨部へ抄紙部を通さず水を供給するラインがありません。
【0035】
パルプ製造部3と希釈部4の間、脱墨部5と抄紙部6の間、抄紙部6とパルプ製造部3の間、抄紙部6と希釈部4の間、脱墨部5と廃液処理部9の間、バルブ133と廃液処理部9の間、及び、廃液処理部9には、第1-7ポンプ11-17が設置される。第1-7ポンプ11-17はいずれも本発明の取出しポンプを構成する。
【0036】
第1ポンプ11は、貯留部としてのパルプ製造部3の攪拌槽29から繊維含有液を取り出す。第2ポンプ12は、貯留部としての脱墨処理部54から繊維含有液を取り出す。第3,4ポンプ13、14は、いずれも貯留部としての白水タンク66から繊維含有液を取り出す。第5ポンプ15は、貯留部としての凝集部55から繊維含有液を取り出す。第6ポンプ16は、貯留部としての脱墨処理部54からバルブ133を介して繊維含有液を取り出す。第7ポンプ17は、貯留部としての廃液タンク92から繊維含有液としての廃液を取り出す。
【0037】
更に、第1-6ポンプ11-16は、いずれも本発明の供給ポンプを構成する。第1ポンプ11は、希釈部4を介して、貯留部としての脱墨処理部54へ繊維含有液を供給する。第2ポンプ12は、貯留部として白水タンク66へ繊維含有液を供給する。第3ポンプ13は、貯留部としての攪拌槽29へ繊維含有液または水を供給する。第4ポンプ14は、貯留部としての脱墨処理部54へ、希釈部4を介して、繊維含有液または水を供給する。第5、6ポンプ15、16は、貯留部としての廃液タンク92へ繊維含有液を供給する。
【0038】
第1-7ポンプ11-17の種類は、ともに、容積式、非容積式及び特殊型のいずれを使用してもよい。よって、第1-7ポンプ11-17は、チューブポンプ、遠心ポンプ、渦巻ポンプ、タービンポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプ、カスケードポンプ、ピストンポンプ、フランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ウイングポンプ、ギヤーポンプ、偏心ポンプ、スクリューポンプ、スネークポンプ等を設置可能である。これらのうち、チューブポンプを用いることが好ましい。チューブポンプを用いることによってバルブを設置することなく、繊維含有液を所定のタイミングで下流側へ移送可能である。チューブポンプに替えて他のポンプを用いる場合には、配管の途中にバルブを設ける構成とする。
【0039】
また、古紙処理装置1は第1-4流量計121-124を備える。第1-4流量計121-124はいずれも本発明の流量計を構成する。第1流量計121は、貯留部としての攪拌槽29へ供給される繊維含有液または水の少なくともいずれかの液体の流量を計測する。第2流量計122は、貯留部としての脱墨処理部54へ供給される繊維含有液または水の少なくともいずれかの液体の流量を計測する。第3流量計122は、貯留部としての白水タンク66へ供給される水の流量を計測する。第4流量計124は、貯留部としての脱墨処理部54へ供給される水の流量を計測する。
【0040】
第1、第2流量計121,122は、容積流量計または質量流量計のいずれも用いることが可能である。具体的には、第1、2流量計121,122は、渦式、容積式、タービン式、コリオリ式、超音波式、電磁式、面積式、差圧式等を用いることができる。
【0041】
(古紙供給部)
図2は、古紙供給部2及びパルプ製造部3の斜視図、図3は、古紙供給部2及びパルプ製造部3の正面図、図4は、古紙供給部2及びパルプ製造部3の内部構造を示す縦断面図である。古紙供給部2は、古紙収容部24及び計測部25を備えている。古紙収容部24は、古紙Uを収容する。
【0042】
(パルプ製造部)
パルプ製造部3は、古紙Uを水とともに攪拌し、パルプ液を製造する。このパルプ液は、繊維含有液を構成する。繊維含有液は、古紙Uを水とともに攪拌して得られる繊維を含む液体である。パルプ製造部3は、攪拌槽29、第1供給部28、攪拌手段31及び液位検出部68を備える。
【0043】
攪拌槽29は、古紙Uに加水し攪拌処理する。攪拌槽29は、繊維含有液を貯留する貯留部を構成する。攪拌槽29の形状及び大きさは、特に限定されないが、攪拌効率が良好な点から有底で略円筒状または多角形筒状に形成されたものを用いることが好ましい。図2-4では、一例として、攪拌槽29が正八角形筒状に形成された場合を示す。また、攪拌槽29は、離解処理効率及び装置の小型化の観点から、内径が30mm~2000mm、より好ましくは300mm~1500mm程度、容量が0.4L~5000L、より好ましくは7L~100L程度の大きさのものを用いることができる。
【0044】
図2-4に示すように、攪拌槽29の内壁面には、複数の邪魔板33を設けている。邪魔板33は、攪拌槽29内に貯留する液体を適正に攪拌し、攪拌翼41の空気を巻き込みながらの回転を抑制するものであれば、その形状及び設置位置、個数につき特に限定されない。図3-5においては、一例として、三角柱状に形成された邪魔板33を攪拌槽29の高さ方向略中央部となる内壁面の複数箇所に突設してなるものを示している。
【0045】
攪拌槽29の底部には、パルプ液取出部34が設けられる。パルプ液取出部34は、本発明の取出部を構成する。パルプ液取出部34は、貯留部としての攪拌槽29に設けられ、貯留部から繊維含有液を取り出す。繊維含有液は、繊維や水等を含有する。繊維含有液は、攪拌槽29の内部で古紙Uを水とともに攪拌し、離解処理することにより製造される。
【0046】
パルプ液取出部34には、配管101の一端部が接続されている。配管101の途中には、第1ポンプ11が設置されている。パルプ液取出部34の開口32には、攪拌槽29に混入した異物が下流側へ送られるのを抑制する異物流出抑制部38が設けられる。
【0047】
異物流出抑制部38は、パルプ液取出部34の円形の開口32の周縁上の一点より他点に架け渡される架設部材39を備える。架設部材39の形状は、特に限定されず、棒状、円柱状、角柱状、球状、塊状等に形成可能である。このうち、パルプ液が異物流出抑制部38の設置されたパルプ液取出部34を容易に通過し、下流側へ移送できる点で、棒状、円柱状または角柱状に形成することが好ましい。
【0048】
また、架設部材39の軸径が所定値より小さく形成されることが好ましい。架設部材39は、1本であってもよく複数設置されてもよい。架設部材39が複数設置される場合、これらを十字状に設置してもよく、所定角度で交差させ設置してもよく、更に平行としてもよい。これらのうち特に、架設部材39は、パルプ液取出部34の開口32の直径方向に配設されることが、異物を効率よく係止し、下流側への流出を抑制可能である点で好ましい。
【0049】
更に、攪拌槽29の底部には異物取出部37が設けられる。異物取出部37は、攪拌槽29内に貯留する混合液中に、離解困難な異物が混入していた場合、そのような異物を取りだす。異物取出部37は、攪拌槽29の底部のパルプ液取出部34の設置箇所とは異なる位置に設けられる。異物取出部37の開口30には、蓋体40が設けられる。蓋体40は、古紙Uの離解処理中には、異物取出部37を閉塞するとともに、離解処理によって製造されたパルプ液がパルプ液取出部34から取り出された後に、開口30を開放し、異物と水との混合液を異物取出部37へと流入させることができる。
【0050】
第1供給部28は、攪拌槽29の上部側壁に設けられている。第1供給部28は本発明の供給部を構成する。第1供給部28は、貯留部としての攪拌槽29へ水道水等の水、または繊維含有液としての白水のうち少なくともいずれかの液体を供給する。第1供給部28には、図1に示す配管103の一方の端部が接続される。配管103の他方の端部は、抄紙部6の白水タンク66に接続される。配管103の途中には第3ポンプ13が設置される。また、配管103には第1流量計121及び第1バルブ131が設置される。図示省略するが、第1供給部28または配管103は、水道水等の浄水を供給する配管が別途接続される構成としてもよい。
【0051】
また、攪拌槽29の上部側壁には脱墨剤供給部26が設置される。脱墨剤供給部26は、第1供給部28の隣に設置される。脱墨剤供給部26は、後段の脱墨部5での脱墨処理の際に必要となる脱墨剤を供給する。
【0052】
攪拌手段31は、攪拌軸42、駆動部43及び攪拌翼41を備える。攪拌軸42は、攪拌槽29の平面視略中心位置に設置される。そして、攪拌軸42の上部には、動力を伝達するためのプーリ46が設置され、ベルト47、プーリ48により駆動部43に連結されている。
【0053】
駆動部43は、モータを備える。駆動部43は、ベルト47、プーリ46,48からなる動力伝達機構45を介して攪拌軸42を回転駆動し、これより攪拌翼41を正逆両方向に回転駆動する。
攪拌翼41は、攪拌槽29の下部に設置される。攪拌翼41は、古紙Uを第1供給部28から供給された水とともに攪拌し離解する。攪拌翼41は、攪拌軸42の下部に固定されている。
【0054】
攪拌翼41の攪拌槽29内における設置高さは、攪拌槽29の大きさにもよるが、攪拌槽29の底面から10mm~100mm程度の位置に設けることが好ましい。攪拌翼41の位置を攪拌槽29の底面から10mmより高くすることで、離解処理の際、古紙Uを、攪拌翼41の下方に容易に潜り込ませることができ、古紙Uを攪拌翼41により切断できるので古紙パルプを容易に製造することができる。また、攪拌翼41の位置を攪拌槽29の底面から100mmより低くすることで、少量の古紙Uを離解処理する際、攪拌翼41を古紙U及び第1供給部28からの水を含む混合液中に浸漬可能な高さとし、攪拌翼41の空気を巻き込みながらの回転を防止することができる。
【0055】
攪拌翼41の厚さは、0.3mm~10mm程度が好ましく、0.5mm~7mm程度とすることがより好ましい。攪拌翼41の厚さが0.3mm以上であることにより、攪拌槽29内に貯留する古紙U、水等の液体を十分に攪拌することができ、10mm以下であることより、古紙Uを攪拌翼41によって効率よく切断し、パルプ液を製造できる。
【0056】
液位検出部68は、攪拌槽29内の液位を検出する。攪拌槽29に設置される液位検出部68は、本発明の液位検出部を構成する。この液位検出部68は、貯留部としての攪拌槽29に貯留する繊維含有液としてのパルプ液の液位を検出する。液位検出部68は、第1液位検出部681、第2液位検出部682、第3液位検出部683を備える。第1液位検出部681は、攪拌槽29の上部に設置される。第1液位検出部681は、攪拌槽29へ貯留可能な最大量の液体が貯留されたときの液位を検出する。
【0057】
第2液位検出部682は、攪拌槽29の側壁の高さの半分よりやや下となる中位の高さに設置される。第2液位検出部682は繊維濃度が非常に高い状態において攪拌翼41によってパルプ液を良好に攪拌することが困難となる液位を検出する。
【0058】
第3液位検出部683は、攪拌翼41の設置位置と略同じ高さに設けられる。第3液位検出部683の設置位置より液位が低くなるとパルプ液を攪拌できなくなるためパルプ液中の繊維が沈殿する。
【0059】
第1-3液位検出部681-683は、静電容量式、超音波式、電極式、差圧式、光学式、レーザー式、振動式等用いることができる。これらのうち、メンテナンスが容易で、耐久性が硬く、安価な静電容量式が好ましい。
【0060】
(希釈部)
希釈部4はパルプ製造部3と脱墨部5の間に設けられる。希釈部4では、配管101内を流通するパルプ液に希釈液を追加する。希釈部4は、第2供給部44を備える。第2供給部44は本発明の供給部を構成する。第2供給部44は、希釈部4で希釈液を供給することで、貯留部としての脱墨処理部54へ水、または繊維含有液としての白水のうち少なくともいずれかの液体を供給する。
【0061】
第2供給部44は、配管104により白水タンク66に接続される。配管104の途中には第4ポンプ14が設置される。また、配管104には第2流量計122及び第2バルブ132が設置される。尚、第2流量計122は必ずしも設置されなくてもよく、省略することも可能である。第2供給部44または配管104には、水道水等の浄水を供給する図示しない配管が別途接続される構成としてもよい。
【0062】
(脱墨部)
図5は脱墨部5の斜視図、 図6は脱墨部5の正面図、図7は平面図、図8図7のA-A矢視断面図を示す。脱墨部5は、パルプ液を脱墨処理する。脱墨部5は、脱墨槽51及び流入部56を備えている。
【0063】
脱墨槽51は、有底略円筒状に形成される。脱墨槽51は、脱墨処理部54、空気供給部58、ブレード53、受泡部73、凝集部55及び脱墨液取出部57を備える。脱墨処理部54は、平面視略U字状に形成される。脱墨処理部54は、凝集部55の外側に設けられる。凝集部55は脱墨槽51の平面視略中央部に設けられる。
脱墨処理部54は本発明の貯留部を構成する。脱墨処理部54は、繊維含有液としてのパルプ液を貯留する。脱墨処理部54では、パルプ液が脱墨処理される。空気供給部58は、脱墨処理部54の下部に設置される。空気供給部58は脱墨処理部54内に空気を供給する。
【0064】
ブレード53は、脱墨槽51の上方に設置される。ブレード53はモータ555の駆動により回転される。ブレード53は、平面視略円形の脱墨槽51の中心を軸心として回転される。ブレード53は、脱墨処理により生じた泡沫をかき寄せる。受泡部73は、ブレード53によってかき寄せられた泡沫を受け止め、凝集部55へと案内する。
【0065】
凝集部55は、ブレード53によりかき寄せられた泡沫を収容する。凝集部55には、添加部551、攪拌羽根552、凝集液検出部553及び取出部554が設けられる。添加部551は、泡沫に凝集剤を添加する。攪拌羽根552はモータ555の駆動により回転される。モータ555の駆動力は、図示しない切り替え機構によって、ブレード53と攪拌羽根552と個別に回転するよう切り替えられる。攪拌羽根552は、泡沫を凝集剤とともに攪拌する。これより泡沫は消泡され、凝集される。そして、泡沫は、所定の粘度を有する凝集液となる。凝集液は繊維を含む繊維含有液である。
【0066】
凝集液検出部553は、凝集部55の液位を検出する。凝集液検出部553は、本発明の液位検出部を構成する。凝集液検出部553は、貯留部としての凝集部55に貯留する繊維含有液としての凝集液の液位を検出する。
【0067】
凝集液取出部554は、凝集部55の底部に設けられる。凝集液取出部554は、配管105に接続される。配管105の途中は、第5ポンプ15が設置される。第5ポンプ15が駆動されると、凝集液を凝集部55から取り出される。凝集液取出部554は、本発明の取出部を構成する。凝集液取出部554は、貯留部としての凝集部55に設けられ、貯留部から繊維含有液としての凝集液を取り出す。
【0068】
脱墨液取出部57は、脱墨処理部54の底部に設けられる。脱墨液取出部57は、脱墨処理後のパルプ液を取り出す。脱墨液取出部57は、本発明の取出部を構成する。脱墨液取出部57は、貯留部としての脱墨処理部54に設けられ、貯留部から繊維含有液としての脱墨後のパルプ液を取り出す。脱墨液取出部57には、配管102が接続されている。配管102の途中には、第2ポンプ12及び第3バルブ133が設置されている。第2ポンプ12の駆動により脱墨処理部54の液体が取り出される。第3バルプ133は三方弁により構成される。第3バルブを切り替えることで、配管102を流通する液体は配管106へ流入される。配管106は廃液処理部9に接続される。配管106には第6ポンプ16が設置される。
【0069】
流入部56は、脱墨槽51の上部外方に設置される。流入部56は、パルプ液を脱墨処理部54へ流入させる。流入部56と脱墨処理部54とは連通部561で連通している。流入部56 には、パルプ液の液位を検出する脱墨液検出部59が設けられる。脱墨液検出部59は、本発明の液位検出部を構成する。脱墨液検出部59は、貯留部としての脱墨処理部54に貯留する繊維含有液としてのパルプ液の液位を検出する。制御部8は、脱墨液検出部59により検出される流入部56におけるパルプ液の液位を基に、これと略同じ液位となる脱墨処理部54の液位を予測する。
【0070】
脱墨処理部54では、泡の存在によって液位を検出することが困難となる。しかし、流入部56の液位から脱墨処理部54の液位予測することで、脱墨処理部54の液位を適正に把握可能となる。
【0071】
また、脱墨処理部54には、水道水等の浄水を供給する供給部70が設けられる。供給部70には、配管110の一端が接続される。配管110の他端は、浄水の供給源に接続される。配管110には、第4流量計124が設置される。
【0072】
(抄紙部)
図9は抄紙部6の構成概略図である。抄紙部6は、ヘッドボックス61、ワイヤー部62、脱水部63、乾燥部64、白水タンク66を備えている。ヘッドボックス61は、保留部611、流入部614及び流出部615を備えている。保留部611は箱状に形成される。流入部614は、保留部611の下部に設けられる。流入部614には配管102が接続される。配管102は保留部611の下部に接続されている。流出部615は、パルプ液を保留部611から溢流させ、ワイヤー部62へ流出させる。
【0073】
ワイヤー部62は、抄き網621を備えている。抄き網621は、無端状のメッシュベルトにより構成され、複数のローラ622に掛け渡される。同図において、右側のローラ622aは、ワイヤー駆動部623に連結され、ワイヤー駆動部623の駆動により抄き網621が周回走行する。
【0074】
抄き網621の上面に、ヘッドボックス61の流出部615からパルプ液を流出させ、抄き網621で水切りして繊維の層をなす湿紙Wを形成する。抄き網621の内方には、上側を走行する抄き網621の網目から流下する水を受ける受水部624を設けている。受水部624は白水タンク66に接続され、受水した水を白水タンク66へ導くようになっている。
【0075】
脱水部63は、吸水ベルト631を有する。吸水ベルト631は、フェルト等により構成され、複数のローラ632及びプレスローラ634bに掛け渡されている。この吸水ベルト631は、抄き網621から転移させた湿紙Wを搬送するとともに、湿紙Wを脱水する。
【0076】
乾燥部64は、乾燥ベルト641、カンバス642、乾燥ローラ643を有する。乾燥ベルト641は、吸水ベルト631から転移された湿紙Wを搬送する。この乾燥ベルト641は、ローラ645、プレスローラ634a及び乾燥ローラ643に掛け渡されている。
【0077】
吸水ベルト631と乾燥ベルト641との接触部分に、脱水手段633を設けている。脱水手段633は一対のプレスローラ634a,634bからなり、該一対のプレスローラ634a,634bで、吸水ベルト631と乾燥ベルト641との間に挟んだ湿紙Wを押圧して脱水する。脱水手段633を通過した湿紙Wは、吸水ベルト631から乾燥ベルト641に転移される。
【0078】
図9において、上側のプレスローラ634aは、プレス駆動部637に連結され、プレス駆動部637の駆動により回転し、下側のプレスローラ634bは上側のプレスローラ634aの回転に伴って従動回転する。そして、両プレスローラ634a,634bの回転に伴って、吸水ベルト631及び乾燥ベルト641を走行させる。
【0079】
カンバス642は、網状をなす樹脂製であり、複数のローラ646に掛け渡され、展張されている。カンバス642は、乾燥ベルト641との間で湿紙Wを挟持して搬送し、乾燥ベルト641を介して乾燥ローラ643に湿紙Wを圧接させて乾燥させる。図9において、右側の上のローラ646aは、カンバス駆動部647に連結され、カンバス駆動部647の駆動によりカンバス642が周回走行する。
【0080】
乾燥ローラ643は複数の支持軸650により回転自在に支持される。乾燥ローラ643の内部には加熱手段648を備えている。加熱手段648としては電熱ヒータ等を用いることができる。また、乾燥ローラ643には、接触式の温度センサ649を設けており、この温度センサ649により乾燥ローラ643の表面温度を検出する。
【0081】
白水タンク66は浄水または白水を貯留する。白水タンク66は、受水部624に接続される。受水部624は、白水タンク66へ白水を供給する供給部を構成する。また、白水タンク66には、水道水等の浄水を供給する供給部65が設けられる。供給部65には、配管107の一端が接続される。配管107の他端は、浄水の供給源に接続される。配管107には、第3流量計123が設置される。更に、白水タンク66の底部には、白水タンク66内に貯留する白水または浄水のいずれかの液体を取り出す取出部67が設けられる。取出部67には、配管103が接続される。
【0082】
更に、白水タンク66には、白水検出部69が設置される。白水検出部69は、白水タンク66内の浄水または白水の液位を検出する。白水検出部69は、本発明の液位検出部を構成する。この白水検出部69は、貯留部としての白水タンク66に貯留する繊維含有液としての白水の液位を検出する。白水検出部69は、第1白水検出部691、第2白水検出部692及び第3白水検出部693を備える。第2白水検出部692は、白水タンク66の側壁の高さの半分よりやや下となる中位の高さに設置される。第3白水検出部693は白水タンク66の下部に設置される。第1-3白水検出部691-693は、攪拌槽29に設置された第1-第3液位検出部681-683と同様のセンサーを用いることができる。また、第1白水検出部691は、フロートセンサにより構成することも可能である。
【0083】
(仕上げ部)
図1に示す仕上げ部7は、図示しないカレンダー部及びカット部を有しており、カレンダー部は紙の平坦度を上げるための複数のプレスローラ(図示省略)を備え、カット部は紙を所定のシートサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。
(廃液処理部)
廃液処理部9は、脱墨部5の下方に設けられる。廃液処理部9は、脱墨部5から移送された凝集液から繊維等の固形分を分離する処理を行う。廃液処理部9は、濾過部91、廃液タンク92、及び、繊維収容箱94を備える。濾過部91は凝集液を濾過し、圧搾する。図10,11では、濾過部91が例えばスクリュープレス97と網96とを備える場合を示す。しかし、濾過部91はこれに限定されず、これらに替えて脱水ロールや遠心装置等他の機構を備えてもよい。
【0084】
廃液タンク92は濾過部91において凝集液から分離された液体である廃液が収容される。廃液には網96を通過した繊維が含まれている。廃液タンク92には廃液検出部95が設けられる。廃液検出部95は、廃液タンク92の液位を検出する。廃液検出部95は、本発明の液位検出部を構成する。廃液検出部95は、貯留部としての廃液タンク92に貯留する繊維含有液としての廃液の液位を検出する。
【0085】
廃液検出部95は第1廃液検出部951及び第2廃液検出部952を備える。第1廃液検出部951と第2廃液検出部952とは、上下に所定量離間して設置される。第1廃液検出部951は廃液タンク92の上部に設置される。第1廃液検出部951は廃液が上限まで達したことを検出する。第2廃液検出部952は廃液タンク92の下部に設置される。第2廃液検出部952は、第1廃液検出部95より低い位置に設置される。第2廃液検出部952は廃液タンク92の液位が、装置の外部へ排出すべき所定値に達したことを検出する。繊維収容箱94は、濾過され、スクリュープレス97で圧搾された繊維含有物を収容する。
【0086】
また、廃液タンク92には配管108が接続される。配管108からは、水道水等の浄水が供給される。配管108には、第7ポンプ17が設置される。第7ポンプ17の駆動により、廃液タンク92の廃液は配管108から装置の外部へ排出される。
【0087】
(制御部)
制御部8は、CPU81や記憶部等を備え、古紙供給部2、パルプ製造部3、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7の動作を制御する。図11に示すように、制御部8は、CPU81に設定する機能回路として、古紙供給機能部810、パルプ製造機能部811、脱墨機能部812、抄紙機能部813、仕上げ機能部814を備える。
【0088】
古紙供給機能部810は、古紙供給部2の動作を制御する。パルプ製造機能部811は、パルプ製造部3の動作を制御する。脱墨機能部812は、脱墨部5の動作を制御する。抄紙機能部813は、抄紙部6の動作を制御する。仕上げ機能部814は、仕上げ部7の動作を制御する。
【0089】
更に、制御部8は、CPU81に設定する他の機能回路として、自動機能部816、再生機能部821、洗浄機能部822、稼動準備機能部823、停止準備機能部824、エラー対応機能部825を有している。
【0090】
自動機能部816は、稼働開始から稼働停止までの工程を逐次実行する。再生機能部821は古紙Uを再生処理する動作を制御する。洗浄機能部822は、再生処理の前または後に、主としてパルプ製造部3、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7及びこれらを接続する配管、バルブ等に、白水タンク内の白水または浄水により構成される洗浄液を供給し、洗浄処理する動作を制御する。洗浄液は繊維を含んだ繊維含有液である。稼動準備機能部823は、古紙処理装置1の準備動作を行う。停止準備機能部824は、古紙処理装置1の稼働停止のための準備を行う。
【0091】
エラー対応機能部825は、液位検出部の液位検出結果を基に、液位検出部がエラー発生したかどうかを予測する。そして、エラー対応機能部825が、液位検出部でエラー発生していると予測される場合に、繊維含有液または水の少なくともいずれかの液体に所定の処理を施すよう制御する。その際、エラー対応機能部825は、前記液体の貯留部からの取出量、貯留部での残存量、貯留部への供給量等に基づき、その後の処理を実行する。
【0092】
エラー対応機能部825は、液位検出部の検出結果と、取出部から取り出された繊維含有液の取出量との少なくともいずれかに基づき繊維含有液または浄水の少なくともいずれかの液体を処理する。エラー対応機能部825は、液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、貯留部からの繊維含有液の取出量が所定量に達したとき、貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を下回ったと判断する。この取出量は、貯留部から繊維含有液を取り出す取出ポンプの駆動量及び、貯留部へ供給される液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる。
【0093】
エラー対応機能部825は、供給部から貯留部へ供給される繊維含有液または浄水の少なくともいずれかの液体の供給量に基づき前記液体を処理する。エラー対応機能部825は、液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、貯留部への液体の供給量が所定量に達したとき、貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を上回ったと判断する。この供給量は、貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量、及び、貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる。
【0094】
エラー対応機能部825は、貯留部に残存する繊維含有液の残存量に基づ記繊維含有液を処理する。エラー対応機能部825は、液位検出部が液位有りの状態を維持したままで、残存量と貯留部へ繊維含有液または水の少なくともいずれかの液体を供給する供給部からの供給量の合計から、取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を下回ったと判断する。
【0095】
エラー対応機能部825は、貯留部へ前記液体を供給する供給ポンプの駆動量、及び、貯留部へ供給される前記液体の流量を計測する流量計の計測値の少なくともいずれかから得られる値と、残存量との合計値から、取出ポンプの駆動量から得られる値を差し引いた値が所定値に達したとき、貯留部に貯留するパルプ液が所定量を下回ったと判断する。
【0096】
エラー対応機能部825は、液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、残存量と供給量の合計から取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を上回ったと判断する。エラー対応機能部825は、液位検出部が液位無しの状態を維持したままで、流量計の計測値から得られる値の合計値から、取出ポンプの駆動量から得られる値を差し引いた値が所定値に達したとき、貯留部に貯留される繊維含有液の液位が所定値を上回ったと判断する。
【0097】
(稼働制御)
以上のような制御部8による稼働開始から停止までの制御は、図12に示すフローシートに沿って行う。つまり、停止状態900から準備動作910、古紙Uの供給動作920、再生動作930、洗浄処理940、稼働停止準備950の各工程を経て古紙処理装置1の稼働停止960となる。
【0098】
準備動作910は、ユーザが古紙処理装置1の電源を投入したときに実行される。準備動作910では、図14に示すように、白水タンク66へ浄水を注水する911。尚、白水タンク66を介さず浄水を第1供給部28から直接攪拌槽29へ供給できる構成とした場合には、白水タンク66への注水911の動作を省略することができる。また、白水タンク66への注水911を、ユーザが古紙処理開始の操作を行った後に実行することとしてもよい。これより、電源投入後すぐに古紙処理または洗浄処理を開始しない場合に、白水タンク66に注水したままの状態が継続されるのを防止できる。
【0099】
次に、原料としての古紙Uが図2に示す古紙収容部24に収容されると、古紙供給機能部810は、計測部25により古紙Uの分量を計測する912。計測部25は、重量計測機器により、古紙Uと古紙収容部24との合計の重量を計測する。古紙Uのみの重量は、重量計測機器の計測値から、予め設定された古紙収容部24の重量を差し引くことで算出可能である。準備動作機能部823は、古紙Uの重量から稼働停止時刻を算出し、操作パネルに表示する913。
【0100】
古紙Uの供給動作では、ユーザが古紙Uの再生処理を開始するための操作を行ったとき、古紙供給機能部810によって底板27をスライドし、古紙投入口としての古紙収容部24の底部分を開放する921。古紙供給機能部810は、底板27の開放後、所定時間経過するまでそのまま放置する922。
【0101】
そして、古紙収容部24内の古紙Uが下方の攪拌槽29の内部へ自重により落下するのを待つ。古紙Uの攪拌槽29への供給動作はこれで完了となる。底板27を一度に全開まで開放する場合、古紙Uの供給時間は比較的短い時間となる。底板27を水平方向へスライドする長さを調整することで、古紙収容部24に収容された古紙Uを複数回に分けて攪拌槽29へ供給してもよい。
【0102】
古紙Uの攪拌槽29への供給後、空となった古紙収容部24の重量を、計測部25によって再度計測する。古紙供給前後の計測値の差分を取ることで、実際に攪拌槽29へ供給された古紙Uの分量を取得することができる。そして、古紙Uの供給エラーの有無を確認する923。
【0103】
古紙供給機能部810が、古紙Uの収容されない空の状態の古紙収容部24の重量を計測して得られた値が、予め設定した所定値以上である場合、古紙供給機能部810は古紙Uの供給が適正に行われなかったと判断する。即ち、底板27を開放しても、自重により落下されずに古紙収容部24に残存したままの古紙Uがある場合、古紙収容部24の重量が空の状態より重くなる。
【0104】
また、古紙収容部24における底板27の位置を検出可能に構成した場合、古紙供給機能部810は、底板27が完全には閉止できないときに古紙Uが底板27と側壁の間に挟持されるなどして、古紙Uの攪拌槽29への供給が適正に行われなかったと判断することもできる924。
【0105】
このような場合、古紙供給機能部810は、再度底板27を開放する方向へスライドさせる。これより、古紙Uの自重による落下を再度試みる925。1回目の底板27のスライド動作によって立てた状態で収容された古紙Uが底板27等に挟持されたときは、古紙Uが二つ折りに折目が形成されるなどしている。このため再度の底板27の開放により古紙Uを確実に落下させることができる。
【0106】
更に、底板27の開放途中や、底板27を閉止した状態で、古紙処理装置1の電源が切られたときには、底板27の開放前に計測した古紙Uの計測値を記憶部に記憶しておく。その後電源が投入され、復旧動作または準備動作が実行されるとき、底板27を開放し、そして閉止させてから用紙重量を再計測する。記憶しておいた計測値と再計測した値との差分から投入量を算出することができる。
【0107】
図13に示す古紙の再生動作930では、パルプ製造機能部811、脱墨機能部812、抄紙機能部813、仕上げ機能部814で、それぞれパルプ製造部3と脱墨部5と抄紙部6と仕上げ部7を制御して古紙Uの再生動作を行う。
【0108】
制御部8は、再生機能部821により古紙Uの再生動作を開始する。再生機能部821は、パルプ製造機能部811によって計測部25の計測値に基づき、第1供給部28から攪拌槽29へ離解処理に必要な量の離解用の液体を供給する941。第1供給部28から供給される離解用の液体は白水タンク66内の繊維含有液または浄水である。白水タンク66に貯留する液体は、第3ポンプ13の駆動により攪拌槽29へ供給される。その際、再生機能部821は、第1バルブ131を開放する。尚、第1供給部28から供給される液体は、白水タンク66からの供給に替えて水道源から供給される浄水を用いてもよい。第1供給部28から攪拌槽29へ供給される水の流量は第1流量計121で計測される。
【0109】
そして、再生機能部821がパルプ製造機能部811により駆動部43を駆動することで、動力伝達機構45を介して、攪拌軸42が回転される。攪拌軸42の回転に伴って、攪拌翼41は、所定方向に所定時間にわたり回転される942。これより、攪拌槽29内に貯留する古紙Uは水とともに攪拌され、離解され、パルプ液が得られる。パルプ液は繊維を含有する繊維含有液である。
【0110】
離解処理の完了後、再生機能部821は脱墨剤供給部26より脱墨剤を供給する943。そして、再生機能部821は、1回目の希釈処理を開始する944。希釈処理では、再生機能部821は、第1供給部28より攪拌槽29へ希釈液を供給する。希釈液は、白水タンク66に貯留する白水または浄水である。このため再生機能部821は、第3ポンプ13を駆動する。白水タンク66内の白水は、繊維を含有する繊維含有液である。尚、希釈液は、白水タンク66から供給される白水または浄水に替えて、水道源から供給される浄水としてもよい。
【0111】
第1供給部28から攪拌槽29へ供給される希釈液の流量は第1流量計121で計測される。第1流量計121の計測値は記憶部に記憶される。その後、第1液位検出部681がパルプ液の液位を検出すると、再生機能部821は、1回目の希釈処理が完了したと判断する。そして、再生機能部821は、希釈液の供給を停止する。1回目の希釈処理では、再生機能部821はパルプ液の繊維濃度を第1濃度となるよう調整する。
【0112】
そして、再生機能部821は第1ポンプ11を駆動する。第1ポンプ11の駆動によりパルプ液取出部34から第1濃度のパルプ液が取り出される945。取出されたパルブ液は下流側の希釈部4へ移送される。
【0113】
第1ポンプ11の駆動量は記憶部に記憶される。再生機能部821は、第1ポンプ11の駆動量から、攪拌槽29から取り出したパルプ液の量を予測する。記憶部には、第1ポンプ11の駆動量に対応する攪拌槽29からのパルプ液の取出量が予め記憶されている。
【0114】
再生機能部821は、パルプ液が第2液位検出部682の設置位置である第2液位まで低下したかどうか確認する946。パルプ液取出部34から所定量のパルプ液が取り出されると、攪拌槽28のパルプ液は第2液位まで低下する。このとき、第2液位検出部682は液位を検出し、パルプ液有りから無しへ変化する。この第2液位検出部682の検出信号の変化を受信すると、再生機能部821はパルプ液の第1濃度での取り出しの完了と判断する。そして、再生機能部821は、攪拌槽29に残存する第1濃度のパルプ液に対し、2回目の希釈処理を開始する947。この2回目の希釈の際にも、再生機能部821は第1ポンプ11の駆動を継続し、パルプ液の攪拌槽29からの取り出し動作を継続する。
【0115】
攪拌槽29での2回目の希釈処理において、再生機能部821は、第1供給部28からあらかじめ設定された所定量の希釈液を攪拌槽29に供給する。このため再生機能部821は、第3ポンプ13を駆動する。攪拌槽29へ実際に供給された希釈液の量は、第1流量計121で計測され、記憶部に記憶される。
【0116】
この攪拌槽29での2回目の希釈処理によってパルプ液を更に希釈し、液位を上昇させる。これより、パルプ液は、攪拌翼41により適正に攪拌可能な状態とされる。希釈によってパルプ液の繊維濃度は徐々に低下し、パルプ液の粘度も低下する。このため、第1ポンプ11の駆動による下流側へ移送がより容易となる。
【0117】
2回目の希釈で、再生機能部821は、第1流量計121の計測値から、所定量の希釈液が攪拌槽29に供給されたと判断すると、希釈液の供給を停止する。尚、2回目の希釈の際の希釈液の供給量は第1流量計121の計測値に替えて、例えば、白水タンク66から攪拌槽29へ希釈液を供給するための第3ポンプ13の駆動量を基に予測してもよい。また、希釈処理完了を判断するための第4液位検出部684を設置してもよい。この場合、第4液位検出部684の検出結果を基に、2回の希釈処理の完了を判断できる。
【0118】
再生機能部821は、希釈液の供給停止後も第1ポンプ11の駆動を継続する。その後、パルプ液の取り出し動作により攪拌槽29の液位が低下し、再度、第2液位検出部682がパルプ液の有りから無しへ変化したとき、再生機能部821は3回目の希釈を開始する。以降同様に、第2液位検出部682がパルプ液の有りから無しへ変化するごとに、所定量の希釈液の供給動作を繰り返す。
【0119】
攪拌槽29への所定量の希釈液の供給動作は、所定回数実施することがあらかじめ設定されている。所定回数の希釈動作の完了後948も、攪拌槽29内のパルプ液の取り出しは継続される。攪拌槽29の液位が第2液位検出部682設置位置を下回り、その後、第3液位検出部683の設置位置である第3液位に至ると、第3液位検出部683がパルプ液有りから無しへ変化する949。このとき、再生機能部821は、攪拌槽29から取り出すべき略全てのパルプ液を取り出したと判断する。そして、再生機能部821は、第1ポンプ11を停止する950。
【0120】
希釈部4では、パルプ製造部3から取り出されたパルプ液に希釈液が追加される。希釈液は、白水タンク66に貯留する白水または浄水である。再生機能部821は、第2バルブ132を開放し、第4ポンプ14を駆動する。白水タンク66内の白水は、繊維を含有する繊維含有液である。尚、希釈液は、白水タンク66から供給される白水または浄水に替えて水道源から供給される浄水としてもよい。
【0121】
希釈部4においてパルプ液が希釈されることで、パルプ液は、脱墨に適する所定の繊維濃度に調整される。各段階で追加される希釈液の量は、記憶部に予め記憶されている。攪拌槽29での2回の希釈処理開始以降は、攪拌槽29内のパルプ液の繊維濃度が次第に低下していく。これに伴い、希釈部4において、パルプ液に追加される希釈液の量は、徐々に少なくされる。
【0122】
このように、希釈部4において、パルプ液に追加される希釈液の量が、該パルプ液の繊維濃度に応じて加減されることにより、脱墨部5へ流入するパルプ液の繊維濃度が、脱墨に適する所定の繊維濃度となるよう維持可能である。
【0123】
脱墨部5では、パルプ液が流入部56より脱墨処理部54に流入される。そして、脱墨処理が行われる932。その際、脱墨処理部54内に収容されたパルプ液に、空気供給部58から空気が供給される。脱墨処理部54のパルプ液の液位は流入部56に設置した脱墨液検出部59の検出結果を基に管理される。
【0124】
脱墨処理によって脱墨処理部54の上部に浮上した泡沫は、ブレード53によって受泡部73へ向けてかき寄せられる。受泡部73にかき寄せられた泡沫は、攪拌槽51の中心部へ移動し、凝集部55へ流入する。
【0125】
凝集部55に流入した泡沫は、所定のタイミングで添加部551より凝集剤が添加される。そして、所定時間に渡り攪拌羽根552が回転される。これより泡沫は凝集され、凝集液となる。凝集剤を添加するタイミングは、例えば、脱墨処理開始から所定時間経過後とすることができ、また、凝集液検出部553が泡沫の液位を検出した後とすることもできる。そして、攪拌羽根552は、凝集剤添加前に回転されることで、消泡に用いてもよく、凝集剤の添加の前後で常時回転してもよく、間欠回転してもよい。
【0126】
凝集液または泡沫の液位が凝集液検出部553の設置位置に至ると、凝集液検出部553により検出される。再生機能部821は、凝集剤の添加後に、凝集液検出部553が液位無しから有りへの変化したとき、第5ポンプ15を駆動する。尚、第5ポンプ15常時駆動することも可能である。第5ポンプ15を常時駆動することで、凝集部55を空の状態を維持できる。第5ポンプ15の駆動によって、凝集液は、凝集液取出部554から取り出される。取り出された凝集液は廃液処理部9へ移送される。
【0127】
廃液処理部9に送られた凝集液は、濾過部91において濾過される。濾過により凝集液から分離された廃液は廃液タンク92に収容される。廃液検出部95が廃液タンク92内の廃液の液位を検出すると、第7ポンプ17が所定時間にわたり駆動される。第7ポンプ17の駆動により所定量の廃液が、装置の外部へ排出される。スクリュープレス97は廃液処理部9に凝集液が流入した後常時回転される。スクリュープレス97の回転により固形分は圧搾され、繊維含有物となり、繊維収容箱94に貯められる。繊維含有箱94内の繊維含有物はユーザーによって廃棄される。
【0128】
脱墨液検出部59が液位を検出すると、再生機能部821は脱墨処理完了と判断する。そして、再生機能部821は第2ポンプ12を駆動する。これより、脱墨処理により得られた脱墨後のパルプ液が脱墨液取出部57より取り出され、下流側の抄紙部6へ送られる。尚、制御部は、脱墨処理の完了を判断する際、脱墨液検出部59の検出結果に替えて、第1ポンプ11の駆動時間が所定時間に達したとき等としてもよい。脱墨液検出部59の検出結果を用いることで、空気が混入するなどして第1ポンプ11がパルプ液を適正に移送できていない場合であっても脱墨処理部54の液位をより精度よく把握できる。
【0129】
抄紙部6では、脱墨後のパルプ液がヘッドボックス61へ流入される。そして、パルプ液は流出部615から抄き網621上面へ供給され、均一な繊維の層である湿紙Wが形成される933。抄き網621から流下した水は、受水部624に受け止められ、白水タンク66に収容される。
【0130】
白水タンク66へ収容された白水は、必要により、インク、トナー等の分離、薬剤の添加、中和処理等が施される。白水タンク66の液位は、白水検出部69によって検出される。希釈部4で希釈液が必要とされるとき、第4ポンプ14が駆動され、第2バルブ132が開放される。また、第2流量計122で希釈液の流量が計測される。白水は希釈部4へ送られ、希釈液として再度利用される。また、パルプ製造部3で離解用の液体又は希釈液が必要とされるとき、第1バルブ131が開放され、第3ポンプ13が駆動される。これより、白水はパルプ製造部3へ循環される。白水は第1供給部28から攪拌槽29に供給される。
【0131】
図9に示す抄き網621上に形成された湿紙Wは、抄き網621と吸水ベルト631との当接部分で吸水ベルト631へ転移され、吸水ベルト631により湿紙Wに含まれる水分が吸収されて脱水される。湿紙Wが脱水手段633の設置箇所に至ると、吸水ベルト631と乾燥ベルト641との間に該湿紙Wが挟まれた状態で、一対のプレスローラ634a,634bによって両側より押圧され脱水されるとともに、吸水ベルト631から乾燥ベルト641へ転移される。
【0132】
乾燥ベルト641に転移された湿紙Wは、カンバス642との間に挟まれ、この状態で乾燥ローラ643に乾燥ベルト641を介して圧接され、乾燥される。乾燥ローラ643の表面温度は、温度センサ649によって検出され、検出結果を基に予め設定した所定温度に維持される。
【0133】
乾燥部64を出た仕上げ前の再生紙Rは図示しない複数のプレスローラの間に通され、これにより、仕上げ前の再生紙Rの平坦度を向上させ、更に、裁断刃で所定のシートサイズに裁断して再生紙Rが完成される。
【0134】
抄紙部6において最終段階で抄紙され、乾燥された湿紙Wは、仕上げ部7において再生紙Rとして取得されずに、再生紙Rのサイズより小さく裁断される。
【0135】
(洗浄動作)
古紙Uの再生動作930の後、洗浄機能部822は、装置内部を洗浄処理する940。攪拌槽29の洗浄処理の際、洗浄機能部822が、白水タンク66内の白水または浄水を洗浄液として第1供給部28から攪拌槽29へ供給する。第1液位検出部681が洗浄液の液位を検出すると、洗浄機能部822は、洗浄液の供給を停止する。尚、洗浄液の供給を停止するタイミングは、第1液位検出部681による液位検出に替えて、第2液位検出部682が液位を検出したときとしてもよい。これより洗浄液の節約が可能となる。
【0136】
その後、洗浄機能部822は攪拌翼41を正逆回転する。これより、攪拌槽29の内部が洗浄される。使用後の洗浄液は、洗浄廃液となる。洗浄廃液は繊維を含んだ繊維含有液である。洗浄廃液は、パルプ液取出し部34から取出される。取り出された洗浄廃液は、脱墨部5を介して廃液処理部9へ送られ、順次廃液処理が行われ廃棄される。
【0137】
再生機能部821は、必要により、洗浄処理の後、次回の再生動作のために、白水タンク66内の白水または浄水を離解用の液体として第1供給部28から攪拌槽29へ供給する制御を行ってもよい。白水タンク66内の白水を次回の離解用の液体に用いることで、白水の有効利用が可能となり、節水となる。また、次回の離解処理開始時における離解用の液体の供給時間を短縮することができる。
【0138】
脱墨部5を洗浄する際、洗浄機能部822は、脱墨槽51へ白水タンク66内の白水または浄水を洗浄液として供給する。その際、洗浄機能部822は、第4ポンプ14を駆動する。洗浄液は、配管104を流通し、第2バルブ132、希釈部4を介して配管101に流入し、脱墨槽51へ送られる。脱墨液検出部59が洗浄液の液位を検出すると、洗浄機能部822は第4ポンプ14を停止する。洗浄液は脱墨槽51に満杯まで満たされた状態となる。その後、所定時間にわたり空気供給部58から空気が供給される。脱墨槽51の内壁に付着した繊維は洗浄液により洗浄される。尚、洗浄機能部822は、白水タンク66内の白水または浄水を用いて脱墨槽51を洗浄するのに替えて、供給部70から供給される水道水等の浄水を用いて脱墨槽51を洗浄してもよい。供給部70から脱墨槽51へ供給される洗浄液の流量は第4流量計124によって計測される。
【0139】
洗浄処理により生じた洗浄廃液は脱墨液取出部57から全て取り出される。第2ポンプ12の駆動により脱墨処理部54から取出された洗浄廃液は、第3バルブ133を切り替えることで、配管102から配管106を経て廃液処理部9へ移送される。
【0140】
更に、必要により、洗浄機能部822は、脱墨槽51から洗浄液が取り出された後、空気供給部58に向けて上方より洗浄液を噴射する。これより、空気供給部58の空気供給穴に繊維等が詰まった状態で脱墨処理を終了し、繊維が乾燥して目詰まりを起こすのを回避することができる。
【0141】
脱墨液検出部59が洗浄液の液位を検出した後、洗浄機能部822は、所定時間第4ポンプ14の駆動を継続することとしてもよい。これより洗浄液は脱墨処理部54から凝集部55へ流入する。攪拌羽根552の回転によって、凝集部55の内壁や底面、凝集液検出部553等を洗浄可能である。必要により、添加部551より凝集剤が添加され、洗浄廃液を凝集させてもよい。凝集部55の洗浄廃液は第5ポンプ15の駆動により廃液処理部9へ移送され、廃液処理される。
【0142】
また、凝集部55の内壁に向けて洗浄液が噴射される。必要により攪拌羽根552が回転される。その後、生じた洗浄廃液は、凝集液取出部554から廃液処理部9へ送られ、処理される。
【0143】
抄紙部6を洗浄する際、洗浄機能部822は、第2ポンプ12を逆回転させる。そして、再生動作終了時に保留部611に残存するパルプ液を、配管102へ返戻させる。これは、再生動作終了間際のパルプ液をヘッドボックス61から抜き取って、ヘッドボックス61の内部を空にするためである。ヘッドボックス61の底部にパルプ液抜き取り用の開口部を設けている場合には、この開口部によってヘッドボックス61内の最終のパルプ液を抜き取ってもよい。ヘッドボックス61から配管102へ返戻されたパルプ液は第3バルブ13を切り替えることで、配管106を通り廃液処理部9へ送られる。
【0144】
保留部611に残存していたパルプ液が抜き取られた後、洗浄機能部822は、ヘッドボックス61の保留部611の内壁、流入部613や流出部615、抄き網621、吸水ベルト631、プレスローラ634a、634b等へ白水タンク66内の白水または浄水による洗浄液を噴射する。これより、ヘッドボックス61、ワイヤー部62、脱水部63の洗浄を行う。生じた洗浄廃液は残存パルプ液と同様に、配管102、第3バルブ133、配管106を介し廃液処理部9へ送られる。
【0145】
洗浄処理は、古紙Uの再生動作前、または古紙Uの再生動作と同時進行で実施することも可能である。洗浄処理を古紙Uの再生動作の前に実施する場合には、準備動作910の前後、または準備動作910と同時進行で、ポンプ11~16や配管101~105などの残水を浄水で洗浄する。生じた洗浄廃液は装置の外部へ排出される。これより、得られる再生紙Rの品質をより高い状態に維持できる。
【0146】
洗浄処理を古紙Uの再生動作と同時進行で行う場合、装置の稼働時間を短縮できる。パルプ製造部3の洗浄処理を、古紙Uの再生動作と同時進行で行うときは、攪拌槽29からのパルプ液の取出し完了直後に、攪拌槽29の内壁や攪拌翼41を洗浄処理する。攪拌槽29からのパルプ液の取出し完了は、第3液位検出部683による液位の検出に基づいて判断する。このように再生動作途中でパルプ製造部2の洗浄処理を実施する場合、攪拌槽29内に残存する繊維をより効果的に除去できる。
【0147】
脱墨部5の洗浄処理を、古紙Uの再生動作と同時進行で行うときは、脱墨槽51からパルプ液が全て下流側へ取り出された後に開始される。このタイミングで洗浄機能部822は、第4ポンプ14を駆動する。洗浄液は、脱墨槽51へ供給され、内部が洗浄される。
【0148】
抄紙部6の洗浄処理を、古紙Uの再生動作と同時進行で行うときは、脱墨部5の洗浄開始と同じタイミングで抄紙部6の洗浄を開始する。このとき、洗浄機能部822は、第2ポンプ12を逆回転させ、保留部611に残存するパルプ液を全て抜き取る。その後、ワイヤー部62及び脱水部63から湿紙Wの後端部分が乾燥部64へ全て移送された状態で、洗浄機能部822は、抄紙部6の各部に洗浄液を噴射する。
【0149】
再生紙Rとして製造できる湿紙Wの後端部が未だ乾燥部64で乾燥途中である間は、古紙Uの再生動作と、抄紙部6の一部の洗浄処理は同時に実施されることとなる。
【0150】
古紙Uの再生動作930及び各部の洗浄処理940が全て完了すると、停止準備部824は、停止準備950へ移る。停止準備950では、加熱手段648への通電を停止する操作を行う。そして、温度センサ649で測定する乾燥ローラ643の表面温度が設定温度以下になったか否かの判断を行う。
【0151】
このように、制御部8は、洗浄機能部822によってパルプ製造部3と脱墨部5と抄紙部6を制御し、洗浄処理を行なうことで、装置の各部を常に清浄な状態に保つことができ、その結果として再生紙の品質を維持することができる。
【0152】
(エラー発生時の対応)
次に、液位検出部が何らかの不具合によって、適正に液位を検出できなかった場合の対応について以下に説明する。古紙Uの再生動作において、パルプ製造部3の1回目の希釈処理の際、再生機能部821は、第1液位検出部681の液位検出を基に第1濃度への希釈完了を判断する。そして、再生機能部821は、第1供給部28からの希釈液の供給を停止する。この第1液位検出部681が何らかの理由により正常に作動せず、パルプ液の液位を検出できなかった場合、エラー対応機能部825はエラーの発生を把握し、これに対応する。
【0153】
この第1液位検出部681のエラー発生時には、エラー対応機能部825は、第1供給部28から攪拌槽29へ供給される白水または浄水の少なくともいずれかの液体の供給量に基づきパルプ液を処理する。このときの処理としては、希釈液による希釈処理が挙げられる。エラー対応機能部825は、希釈処理を停止するかどうかの判断を液体の供給量に基づき決定する。
【0154】
パルプ液の供給量は、例えば、所定時点からの単位時間当たりの流量の積算値とすることができる。所定時点は、希釈処理開始時点、離解処理開始時点等種々のタイミングを用いることができる。
【0155】
エラー対応機能部825は、図18に示すように、攪拌槽29への希釈液の供給開始後971、第1液位検出部681が液位無しかどうかを確認する972。第1液位検出部681が液位有りを検出すると、希釈液の供給が停止される974。第1液位検出部681が液位無しの状態を維持したままのとき、希釈液の供給量が所定量に達したどうか確認する973。希釈液の供給量が所定量に達していない場合は第1液位検出部681の監視に戻る。希釈液の供給量が所定量に至ったとき、エラー対応機能部825は、攪拌槽29に貯留されるパルプ液の液位が所定値を上回ったと判断する。そして、希釈液の供給が停止される974。供給量の閾値は、希釈処理開始時点のパルプ液に、第1液位検出部681の設置位置まで希釈液を追加するために必要となる量と同じにすることができる。
【0156】
エラー対応機能部825は希釈処理の際、第1流量計121の計測値を監視する。そして、第1流量計121の計測値が予め設定した所定値に至ると、第1液位検出部681が液位を検出していなくても、攪拌槽29内のパルプ液の液位が第1液位検出部681の設置位置に達したと判断する。よって、液位検出部でエラーが発生した場合であっても、繊維含有液の濃度が濃くなり過ぎたり、薄くなり過ぎたりするのを防ぐことができ、繊維濃度を適切に管理できる。
【0157】
液位検出部68のエラーを判断するための供給量の閾値を、必要な希釈液の量より多くなるよう設定してもよい。供給量の閾値を、液位検出部68の設置位置まで希釈液を追加するために必要となる量に、例えば、10Lといった所定量加算した値とすることができる。また、必要な希釈液量に対し、1%等所定割合だけ多い量とすることもできる。
【0158】
液体の供給量は、攪拌槽29へ液体を供給する第3ポンプ13の駆動量、及び、攪拌槽29へ供給される液体の流量を計測する第1流量計121の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる。エラー対応機能部825は、第1液位検出部681の液位検出の有無を監視しつつ、第1液位検出部681が液位未検出のままで希釈処理を継続する。第1流量計121の計測値が必要な希釈液量より多い所定値に至ったときに第1液位検出部121のエラーで発生が発生したと判断する。そして、第1流量計121の計測値を基に、希釈処理完了の判断をする。このように供給量の設定値を、調整することで、第1液位検出部681を優先的に用い、第1液位検出部681のエラー発生時に、第1流量計121の計測値を利用するよう制御可能である。
【0159】
また、これに替えて、第1流量計121のみに基づき希釈完了を判断しても構わない。その場合、エラー対応機能部825は第1流量計121の計測値が所定値に至ると、第1液位検出部681の液位検出の有無にかかわらず希釈処理が完了したと判断をする。
【0160】
さらに、第1液位検出部681及び第1流量計121の双方を用いるが、第1流量計121の計測値を第1液位検出部681より優先して利用してもよい。すなわち、通常は第1流量計121の計測値を基に希釈完了を判断する。第1流量計121がエラー発生し、必要な希釈液量として予め設定した値に第1流量計121の計測値が至る前に、第1液位検出部681が液位を検出したときには、これを基に希釈完了と判断することも可能である。
【0161】
この第1流量計13の計測値に替えて、または加えて、エラー対応機能部825は、第3ポンプ13の駆動量を監視し、第3ポンプ13の駆動量が予め設定した所定値に至ると、攪拌槽29内のパルプ液の液位が第1液位検出部681の設置位置に達したと判断することも可能である。このとき、第1液位検出部681の検出結果、第1流量計121の計測値、第3ポンプ13の駆動量のうちいずれを優先させることも可能である。更に、これらのうち少なくともいずれか1つが、液位が第1液位検出部681の設置位置に至ったと判断したときに後段の処理を行うこともできる。
【0162】
1回目の希釈処理の際、第1液位検出部681に加え、第2液位検出部682でもエラーが発生した場合には、以下のように対応する。第2液位検出部682がパルプ液無しのまま第1流量計121の計測値または第3ポンプ13の駆動量が所定値に至ると、エラー対応機能部825は、第1液位検出部681及び第2液位検出部682の双方がエラー発生したと判断する。そして、エラー対応機能部825は次の処理へ移行する。次の処理としてエラー対応機能部825は、第1濃度のパルプ液の取出しを開始する。
【0163】
第2液位検出部682がパルプ液無しを検出している状態で、第1液位検出部681がパルプ液有りを検出した場合、エラー対応機能部825は、第1液位検出部681は適正に液位を検出しており、第2液位検出部682はエラー発生したと判断する。この場合、エラー対応機能部825は、攪拌槽29の液位が第1液位検出部681の設置位置にあるとして後段の処理を行う。
【0164】
1回目の希釈処理後、攪拌槽29から第1濃度のパルプ液を取り出す際、再生機能部821は、第2液位検出部682がパルプ液有りから無しへ変化したことの検出信号に基づいて、第1濃度のパルプ液の取り出し完了と判断する。このときもし、第2液位検出部682が攪拌槽29内の液位を検出できず、パルプ液の液位が第2液位検出部682の設置高さを下回ったにも関わらず、その検出信号を制御部8に送信しなかった場合には、適正なタイミングで2回目の希釈処理を開始できなくなる。
【0165】
このように第2液位検出部682が何らかの理由により正常に作動せず、パルプ液の液位を検出できなかった場合に、エラー対応機能部825はエラーの発生を把握し、これに対応する。この取出し処理の際には、エラー対応機能部825は、第2液位検出部682の検出結果と、パルプ液取出部34から取り出されたパルプ液の取出量との少なくともいずれかに基づき、2回目の希釈処理を開始する。
【0166】
エラー対応機能部825は、図19に示すように、攪拌槽29からの取出し処理の開始後981、第2液位検出部682が液位有りかどうかを確認する982。第2液位検出部682が液位無しを検出すると、2回目の希釈処理が開始される984。第2液位検出部682が液位有りの状態を維持したままのとき、攪拌槽29からのパルプ液の取出量が所定量に達したどうか確認する983。パルプ液の取出量が所定量に達していない場合は第2液位検出部682の監視に戻る。取出量が所定量に至ったとき、攪拌槽29に貯留されるパルプ液の液位が所定値を下回ったと判断する。そして、希釈処理が開始される984。この取出量は、攪拌槽29からパルプ液を取り出す第1ポンプ11の駆動量から得られる値が含まれる。
【0167】
エラー対応機能部825は、第1ポンプ11の駆動量を用いてパルプ液の取出量を予測する。エラー対応機能部825は、予測した取出量を、取出し開始時点の攪拌槽29のパルプ液の残存量から順次差し引くことで、攪拌槽29のパルプ液量を把握する。
【0168】
エラー対応機能部825は、図21に示すように、攪拌槽29からの取出し処理の開始後1001、第2液位検出部682が液位有りかどうかを確認する1002。第2液位検出部682が液位無しを検出すると、3回目の希釈処理が開始される1004。第2液位検出部682が液位有りの状態を維持したままのとき、攪拌槽29からの現時点での残存量が所定量に達したどうか確認する1003。現時点での残存量は、例えば2回目の希釈処理開始時点といった所定時点での残存量と、前記所定時点からの第1供給部28からの希釈液の供給量とを合計し、前記所定時点からの取出量を差し引くことで得られる。現時点の残存量が所定量に達していない場合は第2液位検出部682の監視に戻る。残存量が所定量に至ったとき、攪拌槽29に貯留されるパルプ液の液位が所定値を下回ったと判断する。そして、3回目の希釈処理が開始される1004。
【0169】
エラー対応機能部825は、第2液位検出部682が液位を検出しないままの状態で、第1ポンプ11の駆動量が予め設定した所定値に至ったとき、第2液位検出部682の検出エラーが発生したと判断する。このとき、攪拌槽29のパルプ液量が、第2液位検出部682設置位置を下回っていることが予想されるからである。そして、エラー対応機能部825は、2回目の希釈処理を実行し、攪拌槽29への希釈液の供給を開始する。これより、第2液位検出部682が適切に液位を検出できなくても希釈処理できる。
2回目以降の希釈開始
【0170】
2回目以降の希釈の際にも1回目と同様に、エラー対応機能部825は、第1流量計121の計測値及び第3ポンプ13の駆動量から希釈液の供給量を把握する。また、2回目以降の希釈処理において、エラー対応機能部825は、所定時点の攪拌槽29に貯留するパルプ液の残存量を把握し、これに基づきパルプ液を希釈処理する。エラー対応機能部825は、所定時点からの第1ポンプ11の駆動量を用いてパルプ液の取出量を予測する。所定時点は、2回目若しくは1回目の希釈処理の開始時点、取出し処理の開始時点、または離解処理開始時点等用いることができる。
【0171】
2回目の希釈処理の完了は、第1流量計121の計測値または第3ポンプ13の駆動量を基に判断する。これらに替えて、希釈処理完了を判断するための液位検出部を別途設置してもよい。このように2回目以降の希釈処理の完了を判断するために第4液位検出部684を設置するとき、エラー対応機能部825は当該第4液位検出部684のエラー発生を以下のように把握し、対応する。
【0172】
エラー対応機能部825は、所定時点の攪拌槽29のパルプ液の残存量、所定時点からの攪拌槽29への希釈液の供給量及び所定時点からのパルプ液の取出量に基づき希釈液の供給処理を実施する。所定時点は、上記と同様に、いくつかのタイミングを設定可能である。例えば、所定時点は、2回目の希釈処理開始時点等とすることができる。
【0173】
エラー対応機能部825は、図20に示すように、攪拌槽29への2回目の希釈液の供給開始後991、第4液位検出部684が液位無しかどうかを確認する992。第4液位検出部684が液位有りを検出すると、希釈液の供給を停止する994。第4液位検出部684が液位無しの状態を維持したままのとき、希釈液の供給量が所定量に達したどうか確認する993。液位無しの状態を維持したままで、2回目の希釈処理開始時点でのパルプ液の残存量と、2回目の希釈処理開始からの第1供給部28からの液体の供給量の合計から、2回目の希釈処理開始からのパルプ液取出部34からの取出量を差し引くことで得られる現時点での残存量が所定量に達したどうか確認する973。
【0174】
現時点の残存量が所定量に達したとき、エラー対応機能部825は、攪拌槽29に貯留されるパルプ液の液位が所定値を上回ったと判断する。エラー対応機能部825は、第4液位検出部684が液位無しの状態を維持したままで、第1流量計121の計測値または第3ポンプ13の駆動量から得られる希釈液の供給量の合計値から、第1ポンプ11の駆動量から得られる取出量を差し引いた値が所定値に達したとき、攪拌槽29に貯留されるパルプ液の液位が所定値を上回ったと判断する。これより、2回の希釈処理の完了を判断できる。
【0175】
2回目の希釈完了後、パルプ液の取出しを継続し、液位が第2液位検出部682の設置位置まで低下すると、3回目の希釈処理を開始する。エラー対応機能部825は、第2液位検出部682が液位有りの状態を維持したままで、所定時点での攪拌槽29のパルプ液の残存量と、所定時点からの希釈液の供給量との合計から、所定時点からのパルプ液の取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、攪拌槽29に貯留されるパルプ液の液位が所定値を下回ったと判断する。所定時点は上記と同様である。
【0176】
エラー対応機能部825は、第2液位検出部682が液位有りの状態を維持したままで、所定時点におけるパルプ液の残存量と、第1流量計121の計測値から得られる所定時点からの供給量との合計値から、所定時点からの第1ポンプ11の駆動量から得られる取出量を差し引いた値が所定値に達したとき、攪拌槽29に貯留するパルプ液が所定量を下回ったと判断する。
【0177】
記憶部には、例えば、2回目の希釈処理開始時点からの第1流量計121の計測値及び第3ポンプ13の駆動量を基にしてそれぞれ予測される供給量、及び2回目の希釈処理開始時点からの第1ポンプ11の駆動量を基に予測される取出量が記憶されている。エラー対応機能部825は、予測した供給量及び取出量と、2回目の希釈処理開始時点の攪拌槽29のパルプ液の残存量から攪拌槽29の液位を得る。尚、供給量は、第1流量計121の計測値及び第3ポンプ13の駆動量のいずれか一方からの予測値を用いてもよく、双方を平均するなど何らかの演算を施して得られる値を用いてもよい。得られた液位の予測値が、あらかじめ設定した所定値に至ったにもかかわらず、第2液位検出部682が液位を検出しないとき、エラーが発生したと判断する。
【0178】
より詳しくは、エラー対応機能部825は、2回目の希釈処理開始から所定時間にわたり、希釈液の供給及びパルプ液の取出しの双方を実施する。所定量の希釈液の供給が完了すると、第3ポンプ13が停止される。第1ポンプ11の駆動は継続され、パルプ液の取出処理のみが行われる。そして、2回目の希釈処理開始時点または2回目の希釈処理完了時点からの第1ポンプ11の駆動量が所定値に至ると、エラー対応機能部825は、攪拌槽29の液位が第2液位検出部682の設置位置を下回ったと判断する。このとき、第2液位検出部682が液位有りから無しに変化しない場合、制御部は、第2液位検出部682のエラー発生と判断する。
【0179】
エラー対応機能部825は、第2液位検出部682のエラー発生時の対応として、攪拌槽29の残存量、第1流量計121の計測値、第3ポンプ13の駆動量、及び第1ポンプ11の駆動量から次の処理へ移行する。そして、第3ポンプ13を駆動し、3回目の希釈処理を実行する。これより、第2液位検出部682が適切に液位を検出できなくても3回目の希釈処理を開始できる。
【0180】
以降同様に、攪拌槽29内のパルプ液の残存量、攪拌槽29への希釈液の供給量及び攪拌槽29からパルプ液の取出量を基に、攪拌槽29の液位を予測する。そして、第2液位検出部682がエラー発生しているかどうかを判断する。パルプ液の希釈処理と取出し処理との双方を並行してまたは個別に実施しているときに、第2液位検出部682がエラーとなっても、エラー対応機能部825は適正に処理を実行できる。
【0181】
第2液位検出部682でエラーが発生したと判断したときの対応で、予測した液位を基にその後複数回希釈処理を実施する場合を説明した。しかし、これに替えて、エラー対応機能部825は、エラー発生時には、希釈処理を断念するよう制御してもよい。その場合、エラー対応機能部825は第2液位検出部682がエラー発生したと判断した後に、希釈液を供給せずにパルプ液の取り出しを継続する。
【0182】
その後、攪拌槽29内のパルプ液の液位が第3液位検出部683に検出された時点でパルプ液の取り出し完了とする。このように2回目以降の希釈処理の実施を断念した場合、希釈部4へ送られるパルプ液はすべて第1濃度となる。よって、この濃度に応じた必要な量の希釈液が希釈部4において追加される。
【0183】
第3液位検出部683がパルプ液の液位を適正に検出することができず、エラー発生した場合にも、エラー対応機能部825はエラー発生時の対応を取る。エラー対応機能部825は、第3液位検出部683の検出結果と、パルプ液取出部34から取り出されたパルプ液の取出量との少なくともいずれかに基づきパルプ液を処理する。この取出量は、所定時点からの量である。所定時点は上記と同様であり、例えば、全ての希釈処理が終了時点から、または第2液位検出部682の液位検出した時点からの取出量等とすることができる。
【0184】
エラー対応機能部825は、第3液位検出部683が液位有りの状態を維持したままで、攪拌槽39からのパルプ液の所定時点からの取出量が所定量に達したとき、攪拌槽29に貯留されるパルプ液の液位が所定値を下回ったと判断する。取出量には、攪拌槽29からパルプ液を取り出す第1ポンプ11の駆動量から得られる値が含まれる。
【0185】
また、エラー対応機能部825は、上記した第2液位検出部682のエラー発生時と同様、所定時点で攪拌槽29に残存するパルプ液の残存量及び所定時点からのパルプ液の取出量の少なくともいずれかを基にエラーの発生を判断することもできる。
【0186】
攪拌槽29からのパルプ液の取出し完了の判断をする際、エラー対応機能部825は、所定時点での攪拌槽29のパルプ液の量及び該所定時点からの第1ポンプ11の駆動量を監視する。これよりエラー対応機能部825はパルプ液の攪拌槽29からの取出量を把握する。得られた取出量から、攪拌槽29内に残存するパルプ液の量を予測する。エラー対応機能部825は、第3液位検出部683が液位を検出しないままの状態で、第1ポンプ11の駆動量が予め設定した所定値に至ると第3液位検出部683の検出エラーが発生したと判断する。そして、エラー対応機能部825はエラー発生時の対応を取り、第1ポンプ11の駆動を停止する。これより、パルプ液の取り出しが完了される。また、必要により、次回の離解処理の準備のための給水または攪拌槽29内部の洗浄処理が実施される。
【0187】
脱墨部5に設置された脱墨液検出部58が何らかの不具合で適切に液位を検出できなかった場合、制御部8は、脱墨部5へ最初に流入したパルプ液の脱墨処理の完了し、抄紙部6への移送処理を適切に開始できなくなる。また、抄紙部6へ移送されるべき脱墨後のパルプ液が凝集部55へ流入し、廃棄されてしまう。そこで、エラー対応機能部825は脱墨液検出部58のエラーの発生を把握し、これに対応する。エラー対応機能部825は、パルプ製造部3から移送され、脱墨処理部54に貯留されるパルプ液の量と、第2供給部44から配管101及び流入部56を介して脱墨処理部54へ供給されるパルプ液または水の少なくともいずれかの液体の供給量に基づきパルプ液を次工程へ移送処理する。
【0188】
エラー対応機能部825は、脱墨液検出部59が液位無しの状態を維持したままで、希釈部4から脱墨処理部54へ移送される希釈後のパルプ液の量が所定量に達したとき、脱墨処理部54に貯留されているパルプ液の液位が所定値を上回ったと判断する。供給量は、脱墨処理部54へ希釈液を供給する第4ポンプ14の駆動量、及び、脱墨処理部54へ供給される希釈液の流量を計測する第2流量計122の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる。
【0189】
まず、エラー対応機能部825は、第1ポンプ11の駆動量から、脱墨処理部54へ流入するパルプ液の量を把握する。第1ポンプ11の駆動量は、パルプ製造部3から取り出され、脱墨部5へ送られるパルプ液の量を把握するために用いられる。次に、制御部は、第2流量計122の計測値または第4ポンプ14の駆動量の少なくともいずれかから、希釈部4でパルプ液に順次追加される希釈液の量を把握する。
【0190】
そして、このパルプ製造部3からのパルプ液の量と、希釈部4で追加された希釈液の量との合計値が、脱墨処理部54で貯留するパルプ液の量に相当するとみなされる。パルプ液及び希釈液の脱墨処理部54への流入量は、いずれも単位時間当たりの数値で把握される。脱墨処理部54への流入開始からの単位時間当たりの流量の積算値が、脱墨処理部54の貯留量となる。
【0191】
必要により、脱墨処理中に、泡沫としてブレード73によってかき寄せられ、凝集部55へ回収されるパルプ液の量が、脱墨処理部54に貯留するパルプ液の量から差し引かれてもよい。凝集部55へ回収されるパルプ液の量は、実験データ等を基に設定され予め記憶部に記憶されている。
【0192】
脱墨液検出部59のエラーが発生した判断すると、エラー対応機能部825は、第2ポンプ12を駆動する。これより、脱墨液検出部59が検出エラーとなっても、脱墨処理の完了を把握することができる。そして、脱墨後のパルプ液を後段の抄紙部5へ適正に移送処理できる。
【0193】
凝集液検出部553が液位を検出することができなかった場合には、凝集液が所定の液位に達しているにもかかわらず、これに対応する処理が開始できなくなる。この場合、エラー対応機能部825は、第1ポンプ11の駆動量と、第2流量計122の計測値または第4ポンプ14の駆動量の少なくともいずれかとを基に、凝集液または泡沫の少なくともいずれかの量を予測する。記憶部には、実験等により得られた第1ポンプ11の駆動量と、第2流量計122の計測値または第4ポンプ14の駆動量の少なくともいずれかとの双方に対応する凝集部55の液位の予測値が記憶されている。
【0194】
エラー対応機能部825は、凝集液検出部553が液位無しの状態を維持したままで、凝集部55への繊維含有液としての泡沫の供給量の予測値が所定量に達したとき、凝集部55に貯留される泡沫乃至凝集液の液位が所定値を上回ったと判断する。そして、エラー対応機能部825は、凝集液検出部553が凝集液の検出エラーが発生したと判断する。
【0195】
凝集液検出部553のエラー発生時の対応では、エラー対応機能部825は、必要により、凝集剤の添加処理を実行する。またエラー対応機能部825は必要により攪拌羽根552を所定時間回転し、攪拌処理を行う。凝集液検出部553が液位を検出したときに凝集液を取り出す設定である場合、エラー対応機能部825は凝集液を凝集液取出部554から取り出し、廃液処理部9へ送る。
【0196】
廃液タンク92において、廃液検出部95が何らかの理由により正常に作動せず、液位を検出できなかった場合、エラー対応機能部825は凝集液の供給量を基にエラーの発生を判断し、その対応を取る。凝集液は、第5ポンプ15の駆動により凝集部55から廃液タンク92へ供給される。凝集部55は、廃液タンク92へ凝集液を供給するための供給部を構成する。エラー対応機能部825は、廃液検出部95が液位無しの状態を維持したままで、廃液処理部9への凝集液の供給量が所定量に達したとき、廃液タンク92に貯留される廃液の液位が所定値を上回ったと判断する。凝集液の供給量は、廃液タンク92へ凝集液を供給する第5ポンプ15の駆動量から得られる値が含まれる。
【0197】
凝集液は、濾過部91において濾過される。廃液タンク92へ供給される廃液の量は、第5ポンプ15の駆動により廃液処理部9へ移送される凝集液の量から、濾過部91で順次分離される一定量を差し引かれた値となる。濾過部91において凝集液から分離される量は、実験データ等を基に設定され、記憶部に記憶されている。
【0198】
エラー対応機能部825は、第5ポンプ15の駆動量が予め設定した所定値に至ったとき、廃液タンク92の液位が第2廃液検出部952の設置位置に至ると予測する。このとき第2廃液検出部952が液位無しのままである場合に、エラー対応機能部825はエラー発生と判断する。エラー対応機能部825は第7ポンプ17を所定時間にわたり駆動する。第7ポンプ17の駆動により所定量の廃液が、装置の外部へ排出される。第5ポンプ15の駆動量に基づき、所定の低民具で第7ポンプ17を駆動することで、廃液タンク92から廃液が溢れることを防止できる。
【0199】
白水タンク66において、白水検出部69が何らかの理由により正常に作動せず、白水タンク66に貯留する液体の液位を検出できなかった場合、エラー対応機能部825はエラー発生時の対応を取る。エラー対応機能部825は、白水タンク66へ供給される液体の供給量に基づき白水タンク66に貯留する液体を処理する。供給量は、供給部65から白水タンク66へ供給される浄水の量、及び受水部624から白水タンク66へ供給される白水の量が含まれる。白水タンク66の液体の処理としては、当該液体をパルプ製造部3や希釈部4、脱墨部5等各部へ移送する処理や、白水タンク66へ白水または浄水のいずれかの液体を供給する動作を停止する処理が含まれる。
【0200】
エラー対応機能部825は、白水検出部69が液位無しの状態を維持したままで、白水タンク66への浄水または白水の供給量が所定量に達したとき、白水タンク66に貯留される液体の液位が所定値を上回ったと判断する。この供給量は、第3流量計123の計測値から得られる値が含まれる。また、供給量には、第2ポンプ12の駆動量から得られる値が含まれる。
【0201】
第2ポンプ12は、脱墨部5から抄紙部6へパルプ液を移送する。エラー対応機能部825は第2ポンプ12の駆動量を基に、脱墨部5から抄紙部6へ移送されるパルプ液の量を予測する。そして、エラー対応機能部825は、抄紙部6へ移送されたパルプ液から湿紙Wが形成される際に、抄き網621から流下し、白水タンク66へ回収される白水の量を予測する。白水タンク66へ回収される白水の量は、実験等から得ることができる。記憶部には、第2ポンプ12の駆動量に対応して、白水タンク66へ回収される白水の量が記憶されている。
【0202】
例えば、第2白水検出部692が液位無しのままで、第2ポンプ12の駆動量または第3流量計123の計測値が予め設定した所定値に至ると、エラー対応機能部825は、第2白水検出部のエラーが発生したと判断する。そして、エラー対応機能部825は、供給部65からの浄水の供給停止処理をするか、第3ポンプ13の駆動による液体の取出し処理をする等必要な処理を実行する。
【0203】
エラー対応機能部825は、新たに白水タンク66へ回収されたことが予測される白水の量と、白水タンク66に既に貯留し、残存している浄水または白水の量とから、現時点の白水タンク66の液位を把握することもできる。供給量と残存量との双方の予測値を合計して得られる液位が、あらかじめ設定した所定値を超えるとき、白水検出部69が白水タンク66の液位を検出できなかったと判断する。そして、エラー対応機能部825は、エラー発生時の対応を取る。
【0204】
エラー発生時の対応として、制御部は、白水タンク66への白水の流入を停止する。このため、エラー対応機能部825は、第2ポンプ12の駆動を一時的に停止する。このとき、必要により第2ポンプ12の停止と同時に第1ポンプ12を停止することが好ましい。第2ポンプ12の停止により、抄紙部6へのパルプ液の移送は中断される。そして、湿紙Wの形成は中断され、白水タンク66への白水の流入が中断される。
【0205】
エラー対応機能部825は第2ポンプ12の一時的な停止に替えて、白水タンク66内の液体を廃液処理部9へ移送するよう制御してもよい。白水タンク66内の液体を廃液処理部9へ移送するためには、白水タンク66から廃液処理部9へ液体を移送するための配管109、ポンプ18及びバルブ134等が必要である。
【0206】
エラー対応機能部825は、バルブ134を開放し、ポンプ18を駆動する。白水タンク66の液体は、配管109を流通し、廃液処理部9へ移送される。そしてこの液体は、濾過部91で固形分が分離され、廃液タンク92に廃液として収容される。このように、第2ポンプ12の停止に替えて白水タンク66の液体を廃液処理部9へ移送することで、抄紙動作を継続可能である。
【0207】
また、エラー対応機能部825は、白水検出部69の検出結果と、取出部67から取り出された浄水または白水の取出量との少なくともいずれかに基づき、浄水または白水のいずれかの液体を処理する。液体の処理は、白水タンク66からの液体の取出し処理、液体の各部への移送処理、これらの液体の供給部65や受水部624からの液体追加処理等が挙げられる。
【0208】
白水検出部69が液位有りの状態を維持したままで、白水タンク66からの液体の所定時点からの取出量が、所定量に達したとき、エラー対応機能部825は、白水タンク66の液位が所定値を下回ったと判断する。所定時点は、例えば第1白水検出部691または第2白水検出部692が液位を検出することで白水タンク66の液位が所定値に達したとき、パルプ製造部3で離解処理を開始したとき、第1ポンプ11を駆動開始し、パルプ製造部3から脱墨部4へパルプ液が移送され、希釈部4で希釈処理開始したとき、第2ポンプ12の駆動を開始し、脱墨部5から抄紙部6へのパルプ液の供給を開始したとき等挙げられる。
【0209】
取出量は、白水タンク66から液体を取り出す第3ポンプ13または第4ポンプ14の少なくともいずれかの駆動量から得られる値が含まれる。
【0210】
更に、エラー対応機能部825は、白水タンク66に残存する繊維含有液の残存量に基づき浄水または白水を処理する。エラー対応機能部825は、白水検出部69が液位有りの状態を維持したままで、所定時点の浄水または白水のいずれかの液体の残存量と、第3流量計123の計測値から得られる所定時点からの供給量との合計値から、第3、4ポンプ13,14の駆動量から得られる所定時点からの取出量を差し引いた値が所定値に達したとき、白水タンク66に貯留する液体が所定量を下回ったと判断する。
【0211】
エラー対応機能部825は、白水検出部69が液位無しの状態を維持したままで、所定時点の残存量と所定時点からの第3供給部65からの供給量との合計から、白水取出部67からの取出量を差し引いた量が所定量に達したとき、白水タンク66に貯留される液体の液位が所定値を上回ったと判断する。エラー対応機能部825は、白水検出部69が液位無しの状態を維持したままで、所定時点の残存量と、第3流量計123の計測値から得られる所定時点からの供給量との合計値から、第3,4ポンプ13,14の駆動量から得られる取出量を差し引いた値が所定値に達したとき、白水タンク66に貯留される液体の液位が所定値を上回ったと判断する。
【0212】
白水タンク66に既に白水または浄水のいずれかの液体が貯留されている場合には、第3流量計123の所定時点からの計測値と、第3、4ポンプ13,14の所定時点からの駆動量を基に得られる白水タンク66から取り出された水の量とから、現時点の白水タンク66の液位を予測する。これより、白水タンク66が溢れるのを回避できるだけでなく、白水タンク66が空になるのも回避できる。
【0213】
(洗浄時のエラー)
上述したエラー発生時の対応は、古紙Uの再生動作に関するものである。これらは、洗浄処理を行う際にも同様に実施可能である。すなわち、攪拌槽29を洗浄する際、洗浄液が第1液位検出部681に検出されると洗浄機能部822は洗浄液の供給を停止する。このとき第1液位検出部681または第2液位検出部682がエラーとなり、洗浄液の液位を検出できなかった場合には、第1流量計121の計測値から得られる値を基に、攪拌槽29の液位を把握する。
【0214】
第1流量計121の計測値が所定値を超えたとき、エラー対応機能部825は、第1液位検出部681または第2液位検出部682で検出エラーが発生したと判断する。そして、エラー対応機能部825は、第3ポンプ13を停止し、洗浄液の供給を停止する。
【0215】
その後、エラー対応機能部825は、攪拌翼41を正逆回転し、攪拌槽29の内部を洗浄する。生じた洗浄廃液は、パルプ液取出し部34から取出される。洗浄廃液の取出しの際、第2液位検出部682または第3液位検出部683が洗浄廃液の液位を適正に検出することができず、エラー発生した場合に、エラー対応機能部825はエラー発生時の対応を取る。この第2液位検出部682または第3液位検出部683のエラー発生時の対応において、エラー対応機能部825は、第1ポンプ11の駆動量をから得られる値を用いる。
【0216】
エラー対応機能部825は、第1ポンプ11の駆動量から洗浄廃液の攪拌槽29からの取出量を予測する。予測した取出量を、洗浄廃液の取出し開始時点で攪拌槽29内に貯留する洗浄廃液の量から差し引くことで、攪拌槽29に残存する洗浄廃液の量を把握する。第2液位検出部682または第3液位検出部683が液位有りのままの状態で、第1ポンプ11の駆動量から得られた洗浄廃液の取出量が、例えば取り出し開始時の洗浄廃液の量に50Lといった所定値を加算した値を超えたとき、エラー対応機能部825は、第2液位検出部682または第3液位検出部683の検出エラーが発生したと判断する。
【0217】
脱墨部5を洗浄する際、脱墨液検出部59がエラー発生し、洗浄液の液位を検出することができなかったとき、洗浄機能部822は洗浄液の供給を適正なタイミングで停止できなくなる。そこで、エラー対応機能部825は、供給部としての配管101から貯留部としての脱墨処理部54へ供給される洗浄液の供給量に基づきこの洗浄液を処理する。
【0218】
液位検出部としての脱墨液検出部59が、液位無しの状態を維持したままで、貯留部としての脱墨処理部54への洗浄液の供給量が、予め記憶しておいた所定量に達したとき、エラー対応機能部825は、貯留部としての脱墨処理部54に貯留される洗浄液の液位が所定値を上回ったと判断する。
【0219】
洗浄液の供給量は、脱墨処理部54へ洗浄液を供給する第4ポンプ14の駆動量、及び、脱墨処理部54へ供給される洗浄液の流量を計測する第2流量計122の計測値の少なくともいずれかから得られる値が含まれる。
【0220】
ヘッドボックス61の洗浄処理の際、第6ポンプ16が駆動され、洗浄廃液が廃液タンク92へ移送される。ヘッドボックス61の内部の洗浄に用いられ、生じた洗浄廃液は、第2ポンプ12が逆回転されると、配管102へ導かれ、第3バルブ133、配管106を介して廃液タンク92へ移送される。エラー対応機能部825は、供給部としての配管102から廃液タンク92へ供給される繊維を含んだ洗浄廃液の供給量に基づき、廃液を処理する。
【0221】
エラー対応機能部825は、廃液検出部92が液位無しの状態を維持したままで、廃液タンク92への廃液の供給量が所定量に達したとき、廃液タンク92に貯留される廃液の液位が所定値を上回ったと判断する。この供給量は、廃液タンク92へ洗浄廃液を供給する供給ポンプとしての第2ポンプ12の駆動量から得られる値が含まれる。エラー対応機能部825は、廃液タンク92に残存する繊維含有液の残存量に基づき前記繊維含有液を処理する。
【0222】
尚、上記実施形態では、液位検出部のエラー発生が古紙Uの再生動作、または装置内部の洗浄動作のいずれかで発生した場合を説明した。これに加えて、装置のメンテナンスを行う際にも同様に対応可能である。メンテナンスの際、各機構部や配管、バルブ等で液漏れがあるかどうかを確認することがある。このとき液漏れ確認用の液体が装置内部で循環される。制御部は、攪拌槽、脱墨処理部、凝集部、白水タンク、廃液タンク等で液位検出部が液位を検出するまで確認用の液体を供給する。液位検出部でエラー発生したときは、洗浄動作の場合と同様に、確認用液体の各部からの取出量、供給量、残存量等に基づき液位を判断可能である。
【0223】
また、古紙処理装置1は脱墨部5を備えたが、脱墨部5を省略しても構わない。また、抄紙部6は吸水ベルト631を備えたが、吸水ベルト631を備えず、抄き網から乾燥ベルトまたは乾燥ドラムに湿紙を移送し、乾燥する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0224】
1 古紙処理装置、8 制御部。
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