(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】ひび修復方法及びひび修復システム
(51)【国際特許分類】
E01C 23/00 20060101AFI20230901BHJP
E01C 23/01 20060101ALI20230901BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
E01C23/00 A
E01C23/01
E04G23/02 B
(21)【出願番号】P 2019159477
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2018166261
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(73)【特許権者】
【識別番号】518317340
【氏名又は名称】株式会社ジメント
(73)【特許権者】
【識別番号】518316491
【氏名又は名称】有限会社サン技研
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】田邉 将之
(72)【発明者】
【氏名】岡島 寛
(72)【発明者】
【氏名】上農 康弘
(72)【発明者】
【氏名】上農 悟司
(72)【発明者】
【氏名】船木 英一
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 龍彦
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-184313(JP,A)
【文献】特開2003-049403(JP,A)
【文献】特開平08-013414(JP,A)
【文献】特開2005-115687(JP,A)
【文献】特開2017-067485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/00
E01C 23/01
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひびにシール剤を注入するひび修復方法であって、
ひび検出部が、前記ひびを検出するひび検出ステップと、
注入計画部が、検出された前記ひびに対して、シール剤を注入する注入位置及び注入量を決定する注入計画ステップと、
ひび修復装置が備える注入処理部が、前記注入位置に前記注入量のシール剤を注入する注入処理ステップを含
み、
前記ひび修復装置は、さらに、
新規シール剤を保持する新規シール剤保持部と、
前記注入処理部に前記新規シール剤を供給するシール剤供給部を備え、
前記シール剤供給部は、
前記新規シール剤を融解処理して融解シール剤とする融解処理部と、
前記融解シール剤を保持する融解シール剤保持部を備え、
前記注入処理ステップにおいて、
前記注入処理部が、前記融解シール剤を注入する処理を行いつつ、
前記融解処理部が、前記新規シール剤を融解処理して前記融解シール剤保持部に保持させる、ひび修復方法。
【請求項2】
前記ひび修復装置は、さらに、前記注入処理部を移動させる移動部を備え、
前記注入計画ステップにおいて、
前記注入計画部は、複数の注入位置、及び、前記各注入位置に対応する注入量を決定して、前記注入処理部が前記各注入位置を経由する移動ルートを決定し、
前記移動ルートに沿って融解処理を行う複数の融解位置、及び、前記各融解位置に対応する融解処理量を決定し、
前記注入処理ステップにおいて、
前記移動部が、前記注入処理部を前記移動ルートに沿って移動させつつ、
前記注入処理部が、前記各注入位置において、前記注入量の前記融解シール剤を注入し、
前記融解処理部が、前記各融解位置において、前記融解処理量の前記新規シール剤を融解処理する、請求項
1記載のひび修復方法。
【請求項3】
ひびにシール剤を注入するひび修復方法であって、
ひび検出部が、前記ひびを検出するひび検出ステップと、
注入計画部が、検出された前記ひびに対して、シール剤を注入する注入位置及び注入量を決定する注入計画ステップと、
ひび修復装置が備える注入処理部が、前記注入位置に前記注入量のシール剤を注入する注入処理ステップを含み、
前記注入計画ステップにおいて、前記注入計画部が、検出された前記ひびに対して、複数のシール剤のうちの注入するシール剤、並びに、シール剤を注入する注入位置及び注入量を決定し、
前記注入処理ステップにおいて、前記注入処理部が、前記注入計画ステップにおいて決定されたシール剤を、前記注入位置に、前記注入量を注入する
、ひび修復方法。
【請求項4】
前記ひび修復装置は、さらに、
前記複数のシール剤を保持する新規シール剤保持部と、
前記注入処理部に前記シール剤を供給するシール剤供給部を備え、
前記複数のシール剤は、加熱型新規シール剤と、常温型シール剤を含み、
前記注入処理ステップにおいて、
前記注入処理部が前記加熱型新規シール剤を注入するならば、
前記シール剤供給部が備える融解処理部が前記加熱型新規シール剤を融解処理して融解シール剤とし、
前記注入処理部が前記融解シール剤を注入し、
前記注入処理部が前記常温型シール剤を注入するならば、
前記注入処理部が前記常温型シール剤を注入する、請求項
3記載のひび修復方法。
【請求項5】
ひびにシール剤を注入するひび修復方法であって、
ひび検出部が、前記ひびを検出するひび検出ステップと、
注入計画部が、検出された前記ひびに対して、シール剤を注入する注入位置及び注入量を決定する注入計画ステップと、
ひび修復装置が備える注入処理部が、前記注入位置に前記注入量のシール剤を注入する注入処理ステップを含み、
作業特定部が、前記注入処理部が前記注入処理ステップにおけるシール剤の注入処理、及び、他に行ったシール剤の注入処理を特定して作業特定データを得る作業特定ステップを含み、
前記注入計画ステップにおいて、前記注入計画部は、新たに検出されたひびに対して、以前に得られた前記作業特定データを参照して、シール
剤を注入する注入位置及び注入量を決定する
、ひび修復方法。
【請求項6】
ひびにシール剤を注入するひび修復方法であって、
ひび検出部が、前記ひびを検出するひび検出ステップと、
注入計画部が、検出された前記ひびに対して、シール剤を注入する注入位置及び注入量を決定する注入計画ステップと、
ひび修復装置が備える注入処理部が、前記注入位置に前記注入量のシール剤を注入する注入処理ステップを含み、
作業特定部が、前記注入処理部が行った、前記注入処理ステップにおけるシール剤の注入処理に加えて、他のシール剤の注入処理を特定して作業特定データを得る作業特定ステップと、
作業検証部が、前記作業特定データにおけるシール剤の注入処理の妥当性を評価する作業評価ステップを含む
、ひび修復方法。
【請求項7】
ひびにシール剤を注入するひび修復システムであって、
ひび検出部と、注入計画部と、注入処理部と、移動部を備え、
前記ひび検出部は、前記ひびを検出し、
前記注入計画部は、検出された前記ひびに対してシール剤を注入する注入位置及び注入量を決定し、
前記移動部は、前記注入処理部を前記注入位置に移動させ、
前記注入処理部は、前記注入位置に前記注入量のシール剤を注入
し、
当該ひび修復システムは、さらに、
新規シール剤を保持する新規シール剤保持部と、
前記注入処理部に前記新規シール剤を供給するシール剤供給部を備え、
前記シール剤供給部は、
前記新規シール剤を融解処理して融解シール剤とする融解処理部と、
前記融解シール剤を保持する融解シール剤保持部を備え、
前記注入処理部が、前記融解シール剤を注入する処理を行いつつ、前記融解処理部が、前記新規シール剤を融解処理して前記融解シール剤保持部に保持させる、ひび修復システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ひびにシール剤を注入して修復するひび修復方法及びひび修復システムに関する。
【背景技術】
【0002】
舗装道路、建設物の壁面及び屋上などには、経年や地震などによって、ひび割れ、わだち割れ、穴などが生じる(生じた裂け目などを「ひび」という。)。近年、ひびが生じても、道路管理費予算の削減などにより、アスファルトの敷き直しなどの補修工事が十分に行われなくなっている。
【0003】
ひびにシール剤を注入することで、ひびの進行を遅らせることができる。そのため、シール剤注入工法の重要性が高まっている。特許文献1には、損傷した路面を充填材料によって補修する車両が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にあるように、従来のシール剤の充填作業は、一度に大量のシール剤を融解し、ひびに注入していた。実際には、人が、やかんなどを用いて注入していた。
【0006】
しかしながら、このような手法では、ひびに対して、必要以上にシール剤を注入してしまうことも多く、施工後の路面が凹凸になり、車両走行時の騒音の発生原因ともなっていた。このように、作業を人手に頼らざるを得ない上に、工事単価が安いため、施工業者にとっては請け負うモチベーションが低くなり、工事の入札では不調や不落が多くなっている。
【0007】
そこで、本願発明は、道路などに生じたひびに対して、点検から補修までを一貫して自動的に実現することに適したひび修復方法等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の第1の観点は、ひびにシール剤を注入するひび修復方法であって、ひび検出部が、前記ひびを検出するひび検出ステップと、注入計画部が、検出された前記ひびに対して、シール剤を注入する注入位置及び注入量を決定する注入計画ステップと、ひび修復装置が備える注入処理部が、前記注入位置に前記注入量のシール剤を注入する注入処理ステップを含む。
【0009】
本願発明の第2の観点は、第1の観点のひび修復方法であって、前記ひび修復装置は、さらに、新規シール剤を保持する新規シール剤保持部と、前記注入処理部に前記新規シール剤を供給するシール剤供給部を備え、前記シール剤供給部は、前記新規シール剤を融解処理して融解シール剤とする融解処理部と、前記融解シール剤を保持する融解シール剤保持部を備え、前記注入処理ステップにおいて、前記注入処理部が、前記融解シール剤を注入する処理を行いつつ、前記融解処理部が、前記新規シール剤を融解処理して前記融解シール剤保持部に保持させる。
【0010】
本願発明の第3の観点は、第2の観点のひび修復方法であって、前記ひび修復装置は、さらに、前記注入処理部を移動させる移動部を備え、前記注入計画ステップにおいて、前記注入計画部は、複数の注入位置、及び、前記各注入位置に対応する注入量を決定して、前記注入処理部が前記各注入位置を経由する移動ルートを決定し、前記移動ルートに沿って融解処理を行う複数の融解位置、及び、前記各融解位置に対応する融解処理量を決定し、前記注入処理ステップにおいて、前記移動部が、前記注入処理部を前記移動ルートに沿って移動させつつ、前記注入処理部が、前記各注入位置において、前記注入量の前記融解シール剤を注入し、前記融解処理部が、前記各融解位置において、前記融解処理量の前記新規シール剤を融解処理する。
【0011】
本願発明の第4の観点は、第1の観点のひび修復方法であって、前記注入計画ステップにおいて、前記注入計画部が、検出された前記ひびに対して、複数のシール剤のうちの注入するシール剤、並びに、シール剤を注入する注入位置及び注入量を決定し、前記注入処理ステップにおいて、前記注入処理部が、前記注入計画ステップにおいて決定されたシール剤を、前記注入位置に、前記注入量を注入する。
【0012】
本願発明の第5の観点は、第4の観点のひび修復方法であって、前記ひび修復装置は、さらに、前記複数のシール剤を保持する新規シール剤保持部と、前記注入処理部に前記シール剤を供給するシール剤供給部を備え、前記複数のシール剤は、加熱型新規シール剤と、常温型シール剤を含み、前記注入処理ステップにおいて、前記注入処理部が前記加熱型新規シール剤を注入するならば、前記シール剤供給部が備える融解処理部が前記加熱型新規シール剤を融解処理して融解シール剤とし、前記注入処理部が前記融解シール剤を注入し、前記注入処理部が前記常温型シール剤を注入するならば、前記注入処理部が前記常温型シール剤を注入する。
【0013】
本願発明の第6の観点は、第1から第5のいずれかの観点のひび修復方法であって、作業特定部が、前記注入処理部が前記注入処理ステップにおけるシール剤の注入処理、及び、他に行ったシール剤の注入処理を特定して作業特定データを得る作業特定ステップを含み、前記注入計画ステップにおいて、前記注入計画部は、新たに検出されたひびに対して、以前に得られた前記作業特定データを参照して、シール材を注入する注入位置及び注入量を決定する。
【0014】
本願発明の第7の観点は、第1から第6のいずれかの観点のひび修復方法であって、作業特定部が、前記注入処理部が行った、前記注入処理ステップにおけるシール剤の注入処理に加えて、他のシール剤の注入処理を特定して作業特定データを得る作業特定ステップと、作業検証部が、前記作業特定データにおけるシール剤の注入処理の妥当性を評価する作業評価ステップを含む。
【0015】
本願発明の第8の観点は、ひびにシール剤を注入するひび修復システムであって、ひび検出部と、注入計画部と、注入処理部と、移動部を備え、前記ひび検出部は、前記ひびを検出し、前記注入計画部は、検出された前記ひびに対してシール剤を注入する注入位置及び注入量を決定し、前記移動部は、前記注入処理部を前記注入位置に移動させ、前記注入処理部は、前記注入位置に前記注入量のシール剤を注入する。
【0016】
なお、融解処理部は、新規シール剤に対して、テープヒーターなどを利用して加熱処理を行ってもよく、誘導加熱方式を利用して加熱処理を行ってもよい。ここで、誘導加熱方式を利用する場合、新規シール剤は、金属が混入されたものであってもよく、注入処理ステップにおいて、検証部が、ひびに注入された融解シール剤に混入された金属を検出して融解シール剤の注入状態を検出するものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の各観点によれば、舗装道路などに生じたひびに対して、検出からシール剤注入までを自動的に実現することができる。さらに、加熱型のシール剤を使用する場合に、注入処理を行いつつ新規シール剤を自動的に融解処理することにより、事前に大量のシール剤を融解して保持する必要がなくなり、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)本願発明の実施の形態に係るひび修復システム1の構成の一例を示すブロック図、並びに、(b)ひび修復システム1の動作、(c)シール剤の注入処理、及び、(d)シール剤の融解処理の一例を示すフロー図である。
【
図2】
図1(a)のひび修復システム1の動作の具体例を示す。
【
図3】
図1(a)のひび検出部31が撮影した画像を利用したひび検出処理の具体例を示す。
【
図4】
図1の融解処理部27の具体的な構成の一例を示す。
【
図5】本願発明の実施の形態に係るひび修復システムの構成の他の一例を示すブロック図である。
【
図6】本願発明の実施の形態に係るひび修復システムの構成の他の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
図1は、(a)本願発明の実施の形態に係るひび修復システム1の構成の一例を示すブロック図、並びに、(b)ひび修復システム1の動作、(c)シール剤の注入処理、及び、(d)シール剤の融解処理の一例を示すフロー図である。
図2は、ひび修復システム1の動作の具体例を示す。
図3は、
図1(a)のひび検出部31が撮影した画像を利用したひび検出処理の具体例を示す。
図4は、
図1の融解処理部27の具体的な構成の一例を示す。
【0021】
ひび修復システム1は、ひび修復装置3(本願請求項の「ひび修復装置」の一例)と、サーバ5を備える。
【0022】
ひび修復装置3は、測定部11と、注入計画記憶部13と、シール剤供給部15(本願請求項の「シール剤供給部」の一例)と、注入処理部17(本願請求項の「注入処理部」の一例)と、制御部19と、検証部21(本願請求項の「検証部」の一例)と、移動部23(本願請求項の「移動部」の一例)を備える。
【0023】
シール剤供給部15は、新規シール剤保持部25(本願請求項の「新規シール剤保持部」の一例)と、融解処理部27(本願請求項の「融解処理部」の一例)と、融解シール剤保持部29(本願請求項の「融解シール剤保持部」の一例)を備える。
【0024】
サーバ5は、ひび検出部31(本願請求項の「ひび検出部」の一例)と、注入計画部33(本願請求項の「注入計画部」の一例)を備える。
【0025】
ひび修復システム1は、対象物7に生じたひび9を自動的に検出して修復する。対象物7は、例えば、舗装道路、建設物の壁面及び屋上などである。対象物7には、経年や地震などによって、ひび割れ、わだち割れ、穴などが生じる。生じた裂け目などが、ひび9である。
【0026】
注入処理部17は、ひび9に、シール剤を充填して補修することにより、ひび9の進行を遅らせて、舗装構造の性能低下を予防する。対象物7は、例えば、アスファルト(例えば、舗装道路の表層など)や、コンクリートである。アスファルトの場合、シール剤は、加熱型(例えば、ポリマー改質アスファルトやブローンアスファルトなど)と常温型(例えば、樹脂系材料、アスファルト乳剤系材料など)がある。加熱型は、加熱して融解処理を行って注入処理を行う。常温型は、融解処理を行わずに注入処理を行う。加熱型を使用するか常温型を使用するかは、ひび割れの幅や深さに応じて選択することができる。
【0027】
ひび修復システム1は、加熱型のシール剤を使用して、ひび9の修復をする。
図1(b)、
図2及び
図3を参照して、ひび修復システム1の動作の具体的な一例を説明する。
【0028】
ひび修復装置3には、修復処理を開始する前に、作業者が、新規シール剤を用意しておく。新規シール剤は、加熱型の場合には融解処理がなされていないシール剤である。新規シール剤保持部25は、新規シール剤を保持する。融解処理部27は、事前に、一定量の新規シール剤に対して融解処理を行って融解シール剤(融解処理がなされたシール剤)を得る。融解シール剤保持部29は、融解シール剤を保持する。
【0029】
注入処理部17は、融解シール剤保持部29が保持する融解シール剤をひび9に注入して充填する。
【0030】
移動部23は、ひび修復装置3及び注入処理部17を移動させる。移動部23は、例えば、ひび修復装置3をタイヤなどで移動させたり、注入処理部17をレールなどでひび修復装置3の上で移動させたりすることで、実現することができる。
【0031】
図2(a)は、ひび修復装置3の具体的な構成の一例を示す。シール剤を自動的に注入する処理を行う自動注入機が、2本のレール上をX軸方向に移動し、レール間をY軸方向に移動することにより、2軸ステージを用いて装置上で移動することができる。また、装置全体も、4個のタイヤによって移動することができる。
【0032】
自動注入機は、測定機器(カメラなど)、情報処理装置(PCなど)、シール剤注入のためのチューブポンプとノズル、シール剤を加熱するシール剤加熱装置などを備える。ノズルは、2軸ステージ及びタイヤを用いて注入位置に移動することができる。
【0033】
測定部11は、例えばカメラ及び超音波センサである。移動部23がひび修復装置3を移動させつつ、測定部11は、対象物7を撮影及び測定して、ひび9の外観を撮影し、ひび9の深さを測定する(ステップSTA1)。
図2(b)は、測定部11が対象物7を撮影したものである。
【0034】
続いて、ひび検出部31は、測定部11が撮影した画像及び超音波センサの測定結果を使用して、ひび9の有無を検出し、ひび9がある場合にはその幅及び深さを検出する(ステップSTA2)。
図2(c)は、ひび検出部31が検出したひびを示す。なお、サーバ5は、
図2(d)に示すように、作業者が使用する情報処理端末(スマートフォンやタブレットなど)に、検出したひびを表示し、作業者がひびを追加したり削除したり変更したりするなどの修正作業を行ってもよい。
【0035】
図3は、
図1(a)のひび検出部31が撮影した画像を利用したひび検出処理の具体例を示す。
図3(a)は、撮影したオリジナル画像である。ひび検出部31は、この画像に対して、ノイズ除去・規格化・特徴量抽出を行い、ひびの有無とひびの幅を検出する。例えば、
図3(b)は、幾何学変換を行った画像であり、(c)は、モノクロ変換を行った画像である。(d)は、2値化した値を示す。(e)は、検出したひびを示す。例えば、(d)によりひびの全体像を検出し、(e)にあるように各ひびの法線での中心を検出してひびのルートを検出し、ルート上の各点での法線によりひびの幅を検出することができる。
【0036】
続いて、注入計画部33は、注入計画を決定する(ステップSTA3)。
【0037】
例えば、ひび検出部31が検出したひび9に対して、シール剤を注入する注入位置と、各注入位置での注入量を決定する。そして、注入処理部17が各注入位置を経由する移動ルートを決定する。移動ルートは、例えば、ひび修復装置3の移動量が最小となり、そして、注入処理部17の移動量が最小となるものである。これにより、移動ルートに沿って注入処理部17が移動した場合に、注入処理により、シール剤を使用するタイミングと使用する量が決まる。そして、注入処理部17が移動ルートに沿って移動した場合に、融解処理部27が新規シール剤を融解処理するタイミングと溶解処理する量を決定する。融解処理するタイミングは、例えば、注入処理部17が移動ルートに沿って移動した場合の注入処理部17の位置に応じて特定することができる。
【0038】
注入計画部33が決定した、注入処理部17の移動ルート、注入処理部17が注入処理を行う注入位置及び注入量、並びに、融解処理部27が融解処理を行う融解位置及び融解処理量を特定するデータを、注入計画データという。注入計画データでは、注入処理部17の移動ルートの各点に対応して、注入処理を行う場合には注入位置及び注入量が、融解処理を行う場合には融解位置及び融解処理量が決められている。例えば、移動部23がひび修復装置3を通常の速度で移動ルートに沿って移動させた場合に、注入処理部17が注入量を注入処理するときに、融解シール剤が、融解シール剤保持部29をあふれず、かつ、不足しないように、融解処理部27が融解処理量を融解処理し終わるように、事前に融解処理を行う。
【0039】
融解シール剤保持部29は、融解シール剤を保持する。ひび修復装置3において、制御部19はサーバ5と通信を行って注入計画データを得て、注入計画記憶部13に記憶する。ひび修復装置3は、注入計画データに従って修復処理を行う(ステップSTA4)。
【0040】
図1(c)を参照して、注入処理の一例を説明する。融解シール剤保持部29は、融解シール剤を保持する。移動部23は、注入計画データの移動ルートに従い、注入処理部17を移動させる(必要であれば、ひび修復装置3も移動させる。)(ステップSTB1)。注入処理部17は、注入計画データに従い、ひび9に対して、注入位置に、注入量の融解シール剤を注入処理する(ステップSTB2)。検証部21は、融解シール剤がひび9に充分に注入処理されたか否かを検証する(ステップSTB3)。そして、制御部19は、注入計画データにおける注入計画がすべて実行されたか否かを判断する(ステップSTB4)。すべて実行されたのであれば処理を終了し、まだ実行されていない部分があるならばステップSTB1に戻る。
【0041】
ステップSTB3において、検証部21は、測定部11がひび9においてシール剤が注入されずに生じた空洞を検出したり、注入処理後に生じた溶解シール剤の凹凸を検出したりすることにより、注入漏れを検証してもよい。また、例えば誘導加熱方式により融解処理を行うためにシール剤には金属が含まれているならば、その金属を測定することにより、ひび9に注入された融解シール剤を検出して、注入された融解シール剤とひび検出部31が検出したひびの幅及び深さとを比較して、充分に融解シール剤が注入されたか否かを検証してもよい。
【0042】
図1(d)を参照して、融解処理の一例を説明する。注入処理部17は、融解シール剤保持部29が保持する融解シール剤を使用して注入処理を行う。新規シール剤保持部25は、融解処理が行われる前の新規シール剤を保持する。融解処理部27は、注入計画データに従い、注入処理部17が移動ルートに沿って移動して各融解位置となると、対応する融解処理量の新規シール剤に対して融解処理を行い、融解シール剤を得る(ステップSTC1)。融解シール剤保持部29は、融解シール剤を保持する(ステップSTC2)。制御部19は、注入計画データにおける注入計画がすべて実行されたか否かを判断する(ステップSTB4)。すべて実行されたのであれば処理を終了し、まだ実行されていない部分があるならばステップSTB1に戻る。
【0043】
図4は、
図1の融解処理部27の具体的な構成の一例を示す。この例では、融解処理部27は、誘導加熱方式を用いて加熱処理を行う。(a)にあるように、融解処理部27はコイル内にるつぼが置かれている。誘導加熱は、金属を非接触で自己発熱させるもので、るつぼに、金属の被加熱物を入れてコイルに交流電源を入力すると、被加熱物を加熱する。(a)~(c)では、新規シール剤には、シール剤に金属を混入させ、混入された金属に対して誘導加熱により加熱することにより、シール剤を加熱して融解処理を実現する。これにより、注入処理をしつつ融解処理を実現して、従来のように事前に大量のシール剤を融解することなく、シール剤の自動注入処理を実現している。(b)にあるように、るつぼの底には、融解処理後のシール剤が流れ出る穴がある。(c)にあるように、るつぼの上から新規シール剤を入れて融解処理を行い、るつぼの底の穴から融解シール剤が流れ出る。
【0044】
他方、金属を混入しない場合や、金属の混入量が不足する場合には、(d)及び(e)にあるように、格子状の金属を利用し、格子状の金属を加熱することにより、融解処理を実現してもよい。また、融解処理部27に金属板付加部及び金属板除去部を設け、金属板付加部が新規シール剤を金属板で囲ったり新規シール剤に金属板を挿入したりし、融解処理部27による誘導加熱方式を用いた加熱処理後に、金属板除去部が金属板を除去してもよい。
【0045】
なお、融解処理部27は、るつぼの外側にテープヒーターを巻き付けるなどにより、テープヒーターを利用して加熱処理を行い、融解処理を行ってもよい。
【0046】
図2(e)にあるように、ひび修復装置は、サーバと通信を行って注入計画を受信する。
図2(f)にあるように、ひび修復装置の自動注入機は移動しつつ、注入処理を行う。すなわち、区間Aでは、ひび修復装置が静止した状態で、自動注入機が2軸ステージ上を移動して注入処理を行う。他方、区間Bは、ひび修復装置が止まったままでは自動注入機が届かない。そのため、ひび修復装置をタイヤで移動させ、そして自動注入機が2軸ステージ上を移動して注入処理を行う。
図2(g)にあるように、検証部は、検証処理を行い、作業者の情報処理端末に注入漏れの部分を表示する。
図2(h)にあるように、測定部11は、作業後の状況を撮影する。
【0047】
図5は、本願発明の実施の形態に係るひび修復システムの構成の他の一例を示すブロック図である。この例では、ひび9に対して、複数のシール剤のうちの一つを注入する。この例では、ひび9の幅や大きさや深さに応じて、加熱型のシール剤と、常温型のシール剤を使い分ける場合について説明する。
【0048】
図5では、
図1と同じものについては、同じ符号を付している。
図1のひび修復システム1と
図5のひび修復システム41の違いは、ひび修復装置3とひび修復装置43の構成が異なる。
図1のひび修復装置3と
図5のひび修復装置43の違いは、シール剤供給部15の新規シール剤保持部25と、シール剤供給部45の新規シール剤保持部47の構成が異なる。
図1では、加熱型のシール剤を使用するために、新規シール剤保持部25は、融解処理がなされていない状態の新規シール剤を保持するものである。他方、
図5では、加熱型と常温型のシール剤を使用するため、新規シール剤保持部47において、加熱型のシール剤を使用する場合の新規シール剤(融解処理がなされていない状態のもの)を保持する第1新規シール剤保持部49と、常温型のシール剤を使用する場合の常温型のシール剤を保持する第2新規シール剤保持部51を備える。
【0049】
融解処理部27は、事前に、第1新規シール剤保持部49に保持された加熱型の新規シール剤に対して融解処理を行って融解シール剤(融解処理がなされたシール剤)を得る。融解シール剤保持部29は、融解シール剤を保持する。
【0050】
注入処理部17は、加熱型のシール剤を使用して注入処理を行う場合、融解シール剤保持部29が保持する融解シール剤をひび9に注入して充填する。常温型のシール剤を使用して注入処理を行う場合、第2新規シール剤保持部51が保持する常温型のシール剤をひび9に注入して充填する。
【0051】
続いて、注入計画部33は、注入計画を決定するときに、ひび9に対して、使用するシール剤と、シール剤を注入する注入位置と、各注入位置での注入量を決定する。
【0052】
使用するシール剤は、例えば、ひび9の幅や大きさや深さなどにより決定してもよい。また、ひび9の位置に応じて、使用するシール剤を決定してもよい。例えば、舗装道路において、一般に、中央部は高く、端は低いように、高低差がある。例えば、中央部では、高いために水はすぐに流れるが、自動車などが通過するために耐久性が求められる。他方、端は、自転車や歩行者などが通行するが、低いために水が留まりやすい。このように、ひび9の位置に応じて、使用するシール剤を変更してもよい。また、異なるひびに対して異なるシール剤を使用して、各ひびの状況に応じて適切なシール剤を使用するようにしてもよい。
【0053】
例えば、ひび検出部31が検出したひび9に対して、そして、注入処理部17が各注入位置を経由する移動ルートを決定する。これにより、移動ルートに沿って注入処理部17が移動した場合に、注入処理により、シール剤を使用するタイミングと使用する量が決まる。そして、加熱型のシール剤を使用する場合には、注入処理部17が移動ルートに沿って移動した場合に、融解処理部27が新規シール剤を融解処理するタイミングと溶解処理する量を決定する。
【0054】
注入計画部33が決定した、注入処理部17の移動ルート、注入処理部17が注入処理を行う注入位置及び注入量、並びに、加熱型のシール剤を使用する場合に融解処理部27が融解処理を行う融解位置及び融解処理量を特定するデータを、注入計画データという。
【0055】
ひび修復装置3において、制御部19はサーバ5と通信を行って注入計画データを得て、注入計画記憶部13に記憶する。ひび修復装置3は、注入計画データに従って修復処理を行う。
【0056】
移動部23は、注入計画データの移動ルートに従い、注入処理部17を移動させる。注入処理部17は、注入計画データに従い、ひび9に対して、注入位置に、注入量のシール剤を注入処理する。加熱型のシール剤を使用する場合には融解シール剤保持部29の融解シール剤を使用し、常温型のシール剤を使用する場合には第2新規シール剤保持部51の常温型のシール剤を使用する。検証部21は、融解シール剤がひび9に充分に注入処理されたか否かを検証する。
【0057】
加熱型のシール剤を使用する場合、融解処理部27は、注入計画データに従い、注入処理部17が移動ルートに沿って移動して各融解位置となると、第1新規シール剤保持部49の加熱型の新規シール剤に対して、対応する融解処理量を融解処理し、融解シール剤を得る。融解シール剤保持部29は、融解シール剤を保持する。
【0058】
なお、常温型のシール剤のみを使用する場合、
図5において、第1新規シール剤保持部49、融解処理部27、及び、融解シール剤保持部29を省略する構成とし、注入計画部33は、注入処理部17の移動ルートと注入位置と注入量を決定して、注入処理部17が、第2新規シール剤保持部51の常温型のシール剤を使用して、各注入位置において注入量を注入すればよい。
【0059】
図6は、本願発明の実施の形態に係るひび修復システムの構成の他の一例を示すブロック図である。この例では、以前に行った修復処理に関するデータを利用して、対象物57のひび59に対して、シール剤の注入処理などを行うことについて説明する。
【0060】
図6のひび修復システム51におけるひび修復装置53が備える測定部61、注入計画記憶部63、シール剤供給部67、注入処理部69、制御部71、検証部73及び移動部75は、基本的に、それぞれ、
図1のひび修復システム1におけるひび修復装置3が備える測定部11、注入計画記憶部13、シール剤供給部15、注入処理部17、制御部19、検証部21及び移動部23と同様に動作する。同様に、シール剤供給部67が備える融解処理部77、新規シール剤保持部79及び融解シール剤保持部81は、基本的に、それぞれ、シール剤供給部15が備える融解処理部27、新規シール剤保持部25及び融解シール剤保持部29と同様に動作する。
【0061】
図6のひび修復装置53は、さらに、作業特定部65を備える。作業特定部65は、作業特定データを生成する。作業特定データは、ひび修復装置53がひびに対して行った修復作業を特定するデータである。
【0062】
図6のサーバ55は、さらに、作業特定データ記憶部87と、作業分析部89と、作業検証部91と、作業見積部93を備える。作業特定データ記憶部87は、作業特定部65が生成した作業特定データを記憶する。作業分析部89は、以前に収集されたものを含めて、作業特定データを分析する。例えば、ディープラーニングなどによる学習処理などを利用して実現してもよい。
【0063】
注入計画部85は、ひび検出部83により検出されたひびに対して、作業分析部89による分析を利用して、注入計画を作成する。例えば、ひび検出部83は、ひび割れを検知するとともに、ひび割れの長さやひびの幅も測量する。注入計画部85は、充填すべきひびの距離やシール材の量を算出する。
【0064】
ここで、例えば、作業特定データにおいて、移動部75による移動処理、注入処理部69による注入処理などを特定しておく。作業分析部89が、特定の形状のひびに対して、ある方向から注入した場合に比較して、同様の形状のひびに対して別の方向から注入した場合には修正処理が少なかったこと、移動について、傾斜の上側からアプローチした場合に比較して、同様の形状のひびに対して別の方向から注入した場合にはシール剤が安定して注入できたこと、などを分析する。そして、注入計画部85が、移動部75による移動処理を決定したり、注入処理部69におけるシール剤の注入方向や注入量を決定したりしてもよい。
【0065】
また、例えば、作業特定データにおいて、ひびが検出された位置(緯度・経度・高度など)を特定しておく。作業分析部89が、ひびが検出された位置から、注入するシール剤の複数の種類や量などを分析する。注入計画部85が、ひびが検出された位置から、注入処理部69におけるシール剤の注入方向や注入量を決定したりしてもよい。例えば、同じような地域であっても、高度や車の通過量などが異なれば、道路の使用状況は異なる。そのため、同じ地域にある道路であっても、最適なシール剤の種類及び量は異なる。従来は、作業効率を考慮すれば同じシール剤を大量に融解して使用せざるを得なかった。本実施例によれば、道路の使用状況による最適なシール剤の違いを反映させることができる。
【0066】
作業検証部91は、ひび59に対して作業特定部65が作成した作業特定データを、以前に作成された作業特定データや注入計画部85による注入計画を用いて検証する。作業特定データは、使用したシール剤の量(及び/又は、注入計画において計画されたシール剤の量に対する残量)を特定しておく。従来、使用するシール剤を事前に予測し、それに基づいて工事費用などを見積もっていた。実際に修復作業で使用するシール剤は、これから異なる。そうすると、業者は、多く使用量を見積っておいて、実際にはシール剤の使用量を抑えてシール剤を余らせ、2回目以降は、以前に余ったシール剤を使いまわして有利な入札条件として、新たな業者の参入を阻止しようとすることが予測される。このような不誠実な業者が、実際には有利になるリスクが生じていた。本実施例によれば、ひび修復装置53により機械的に修復処理を実現することができ、作業特定データにより修復処理を検証することができる。
【0067】
作業検証部91は、ひび検出部83により検出されたひびに対して、以前に作成された作業特定データや注入計画部85による注入計画を用いて、作業及び費用を見積もる。この場合、ひびは、測定部61により測定されたものでもよく、他の装置により測定されたものでもよい。現在は、作業内容は、シール剤を注入する、という漠然とした事項を特定するに留まる。しかしながら、例えば、どのシール剤を、どのタイミングで、特定の量を注入するかによって、作業の精度は異なる。このような知見を蓄積し、これを活かしていく仕組みを構築するとともに、それを改善することなどができなかった。結果として、作業内容を評価する費用とはならなかった。本実施例によれば、ひび修復装置53による修復処理を基準として、作業内容の最低レベルを規定するとともに、優れた作業内容を評価した料金体系を作成することができる。
【0068】
なお、測定部61が注入作業時にもひび修復装置53及び周囲の状況を測定し、移動部75による移動処理や注入処理部69による注入処理の効率やロバスト性が高まるように制御してもよい。
【0069】
また、注入処理部69が注入処理を行っているときに、例えば測定部61がひび59を撮影するなどによってシール剤の注入状況を測定してもよい。注入計画部85は、例えば、注入計画に従って注入処理をしたときに測定部61がシール剤を撮影できるタイミングを予測する。検証部73は、注入計画部85の注入計画に従って、測定部61が注入されたシール剤を測定できるか否かを検証してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1,41,51 ひび修復システム、3,43,53 ひび修復装置、5,55 サーバ、7,57 対象物、9,59 ひび、11,61 測定部、13,63 注入計画記憶部、15,45,67 シール剤供給部、17,69 注入処理部、19,71 制御部、21,73 検証部、23,75 移動部、25,47,79 新規シール剤保持部、27,77 融解処理部、29,81 融解シール剤保持部、31,83 ひび検出部、33,85 注入計画部、49 第1新規シール剤保持部、51 第2新規シール剤保持部、65 作業特定部、87 作業特定データ記憶部、89 作業分析部、91 作業検証部、93 作業見積部