(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】収納シミュレーション装置、収納シミュレーション方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20230901BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20230901BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20230901BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06F30/10
G06F30/13
(21)【出願番号】P 2019140145
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】荒田 俊彦
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072575(JP,A)
【文献】特開2004-005197(JP,A)
【文献】特開2002-297723(JP,A)
【文献】特開平05-201503(JP,A)
【文献】特開2018-036821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 30/00 - 30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シミュレーション対象の住宅の居住者の属性を取得する属性取得部と、
前記住宅が有する収納部が存在する位置及び収納部の種別をと含む前記収納部を特定する複数の要素を含む収納部データを取得する収納データ取得部と、
住宅の収納部へ収納する複数の収納対象物の識別情報と、属性毎に仮定された所有量とを互いに関連付けた収納対象物データから、前記居住者の属性と関連付けられる識別情報及び所有量を取得し、当該居住者の仮想所有物として特定する所有物特定部と、
各仮想所有物の使用及び収納の頻度に応じて設定された前記複数の要素の優先順位を含む収納ルールデータを収納ルールデータ記憶部から読み出し、前記収納部データが含む収納部から前記仮想所有物を配置する収納部を、前記収納ルールデータの前記優先順位の高い順で選択することにより、収納のシミュレーションを実行するシミュレーション部と、
を備える収納シミュレーション装置。
【請求項2】
前記シミュレーション部は、前記仮想所有物を配置する収納部の選択の際、優先順位が高い要素の収納部が複数あるとき、当該複数の収納部を特定する各要素の優先順位を考慮して、前記仮想所有物を配置する収納部を選択する
請求項1に記載の
収納シミュレーション装置。
【請求項3】
前記収納ルールデータは、前記要素の優先順位として、異なる要素間での優先順位である第1の優先順位と、同一の要素間での優先順位である第2の優先順位とを含み、
前記シミュレーション部は、仮想所有物を配置する収納部の選択の際、第1の優先順位が同一の要素の収納部が複数あるとき、第2の優先順位が高い要素の収納部を、収納対象物を配置する収納部として選択する
請求項1に記載の
収納シミュレーション装置。
【請求項4】
前記シミュレーション部は、前記収納部データで特定される収納部に、複数の前記仮想所有物が収納可能か否かを判定する
請求項1乃至3のいずれか1に記載の収納シミュレーション装置。
【請求項5】
前記シミュレーション部は、前記収納部データで特定される収納部に収納可能な前記仮想所有物の数、前記収納部に収納不可能な前記仮想所有物の数、又は、前記収納部に収納可能な仮想所有物の割合の少なくともいずれかを求める
請求項1乃至3のいずれか1に記載の収納シミュレーション装置。
【請求項6】
前記シミュレーション部の結果を出力する出力処理部をさらに備える、
請求項1乃至5のいずれか1に記載の収納シミュレーション装置。
【請求項7】
前記収納データ取得部は、複数の収納部データを取得し、
前記シミュレーション部は、前記複数の収納部データについてそれぞれシミュレーションを実行し、
前記出力処理部は、複数のシミュレーションの結果を比較して出力する
請求項6に記載の収納シミュレーション装置。
【請求項8】
前記複数の要素は、収納部における仮想所有物の収納方法である収納形態をさらに含む
請求項1乃至7のいずれか1に記載の収納シミュレーション装置。
【請求項9】
前記属性は、前記対象の住宅に居住する全ての人員の構成及び年代を含む
請求項1乃至8のいずれか1に記載の収納シミュレーション装置。
【請求項10】
前記収納対象物データに含まれる所有量の変更条件を受け付ける変更受付部をさらに備え、
前記シミュレーション部は、前記変更受付部が受け付けた変更条件に応じて変更した量の仮想所有物を前記収納部に収納するシミュレーションを実行する
請求項1乃至9のいずれか1に記載の
収納シミュレーション装置。
【請求項11】
コンピュータにおいて、シミュレーション対象の住宅の居住者の属性を取得するステップと、
前記コンピュータにおいて、前記住宅が有する収納部が存在する位置及び収納部の種別をと含む前記収納部を特定する複数の要素を含む収納部データを取得するステップと、
前記コンピュータにおいて、住宅の収納部へ収納する複数の収納対象物の識別情報と、属性毎に仮定された所有量とを互いに関連付けた収納対象物データから、前記居住者の属性と関連付けられる識別情報及び所有量を取得し、当該居住者の仮想所有物として特定するステップと、
前記コンピュータにおいて、各仮想所有物の使用及び収納の頻度に応じて設定された前記複数の要素の優先順位を含む収納ルールデータを収納ルールデータ記憶部から読み出し、前記収納部データが含む収納部から前記仮想所有物を配置する収納部を、前記収納ルールデータの前記優先順位の高い順で選択することにより、収納のシミュレーションを実行するステップと、
を含む収納シミュレーション方法。
【請求項12】
コンピュータに、請求項11に記載の方法を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所有物を収納部に収納する際のシミュレーションを実行する収納シミュレーション装置、収納シミュレーション方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な分野でシミュレーションが利用される。例えば、物の製造場面、建築物等の建築場面等においても、事前にシミュレーションすることで、製造前や建築前に完成後の状態を予測可能としたり、作業を容易化することができる。具体的には、住宅等の収納家具等についてもシミュレーションにより、レイアウトの検証作業を実行する技術もある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1に記載されるような、予めサイズ等が規定される複数のユニットの組み合わせであれば、各ユニットの配置場所を特定することも比較的容易である。この特許文献1に記載の方法では、予め、収納物を収納するユニットを選択し、これらのユニットを組み合わせることによりシミュレーションを実行する。すなわち、この方法では、一カ所で使用する収納物を特定のユニットに収納し、組み合わせている。
【0004】
ところが、特許文献1に記載の方法は、異なる複数の場所に存在する収納部に、使用目的、形状、収納形態等の異なる複数の収納対象物を収納するシミュレーションに用いることはできない。例えば、単に、サイズのみを考慮したシミュレーション方法で収納された収納対象物を使用する場合、必ずしも使い勝手が良いとはいえない。
【0005】
特許文献2の方法では、住宅全体の収納部について、部屋毎に家族の人数毎の収納部の収納容積を定めている。一方、靴は玄関に収納し、料理用具はキッチンに収納する等のように、物によっては特定の部屋に収納することが必要な場合もあるが、必ずしもその必要はない。例えば、使い勝手が良いように収納することができればよく、特定の場所に収納する必要がない物もある。このような場合、必ず各部屋に所定以上の収納容量を必要とするのではなく、各部屋の収納部を合わせて最終的に物の使い勝手が良いことが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-284763号公報
【文献】特開2004-126746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、所有物を収納部に収納する際、物の使い勝手を考慮したシミュレーションを実行する収納シミュレーション装置、収納シミュレーション方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の収納シミュレーション装置は、シミュレーション対象の住宅の居住者の属性を取得する属性取得部と、住宅が有する収納部が存在する位置及び収納部の種別をと含む収納部を特定する複数の要素を含む収納部データを取得する収納データ取得部と、住宅の収納部へ収納する複数の収納対象物の識別情報と所有量とを属性毎に仮定して、互いに関連付けた収納対象物データを、属性取得部にて取得された居住者の属性に基づいて取得し、当該居住者の仮想所有物として特定する所有物特定部と、各仮想所有物の使用及び収納の頻度に応じて設定された複数の要素の優先順位を含む収納ルールデータを収納ルールデータ記憶部から読み出し、収納部データが含む収納部から仮想所有物を配置する収納部を、収納ルールデータの優先順位の高い順で選択することにより、収納のシミュレーションを実行するシミュレーション部と、を備える。
【0009】
これらの概括的かつ特定の態様は、システム、方法、及びコンピュータプログラム、並びに、それらの組み合わせにより、実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の収納シミュレーション装置、収納シミュレーション方法及びプログラムによれば、収納のシミュレーションをする際、収納対象物毎の使い勝手を考慮したシミュレーションを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示に係る収納シミュレーション装置の概念図である。
【
図2】本開示に係る収納シミュレーション装置のブロック図である。
【
図3】シミュレーション装置で使用する収納部データの一例である。
【
図4】
図3の収納部データと対応する間取り図の一例である。
【
図5】シミュレーション装置で利用する収納対象物データの一例である。
【
図6】シミュレーション装置で利用する収納ルールデータの一例である。
【
図7】
図6の収納ルールデータを説明する図である。
【
図8】属性データの入力に使用される画面データの一例である。
【
図9A】収納部データである収納部の種類と数の入力に使用される画面データの一例である。
【
図9B】
図3Aに示す画面データに収納部の種類と数が入力された一例である。
【
図10A】収納部データである収納部のサイズの入力に使用される画面データの一例である。
【
図10B】
図5Aに示す画面データに収納部のサイズが入力された一例である。
【
図11】各収納部での収納可能数と、シミュレーションの状態を説明する一例である。
【
図12】シミュレーション処理の結果を表示するための結果出力画面の一例である。
【
図13】シミュレーション処理の結果を表示するための結果出力画面の他の例である。
【
図14】シミュレーション処理の結果を表示するための結果出力画面の他の例である。
【
図15】シミュレーション処理の結果を表示するための結果出力画面の他の例である。
【
図16】シミュレーション装置におけるシミュレーション方法を説明するフローチャートである。
【
図17】
図16におけるシミュレーション処理を説明するフローチャートである。
【
図18】シミュレーション処理の結果を表示するための結果出力画面の変形例である。
【
図19】シミュレーション処理の結果を表示するための結果出力画面の他の変形例である。
【
図20】シミュレーション処理の結果を表示するための結果出力画面の他の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の基礎となった知見]
近年、様々な収納のシミュレーション方法がある。しかし、実際の住宅では、物を収納する場所は、一カ所に限定されない。このため、ある部屋に必要な収納容積は、他の部屋の収納部の形態や大きさに影響を受ける。その結果、予め部屋毎の必要収納容積を決めても実際に人が居住した際に必要とされる収納容積とは大きく乖離する。
【0013】
したがって、住宅の収納部の全体で収納可能な量を定量的に把握し、収納の状態を評価したい場合において、全ての収納部に関する状態の把握や評価が困難であった。また、複数パターンの収納部の差は、従来、単に目視により行っており、その差を定量的に把握することも困難であった。
【0014】
本開示は、住宅の収納部における収納対象物の収納をシミュレーションする収納シミュレーション装置、収納シミュレーション方法、及びプログラムを提供する。これにより、収納対象物毎の使い勝手を加味したシミュレーションを実行することができる。
【0015】
[実施形態]
以下に、図面を用いて本開示における実施形態を、図面を適宜参照しながら説明する。ただし、詳細な説明において、従来技術および実質的に同一の構成に関する説明のうち不必要な部分は省略されることもある。これは、説明を簡単にするためである。また、以下の説明および添付の図面は、当業者が本開示を充分に理解できるよう開示されるのであって、特許請求の範囲の主題を限定することを意図されていない。
【0016】
本開示に係る、収納シミュレーション装置、収納シミュレーション方法、及びプログラムは、利用者が所有すると仮定された対象物を利用者の実際又は仮設計された住宅の収納部に収納するシミュレーションを実行するものである。例えば、
図1に示すように、収納シミュレーション装置1は、利用者20が居住する住宅の収納に関するシミュレーションを実行し、利用者20の所有物が収納される程度を仮想データとして示すことできる。また例えば、収納シミュレーション装置1は、住宅のリフォーム等を提案する提案者であるユーザ21が提案するリフォーム後の住宅について、利用者20の所有物の収納の程度を新たな仮想データとして示すことができる。なお、以下の説明では、ユーザ21は、リフォームの提案をする提案者であるものとして説明するが、それ以外であってもよい。例えば、収納シミュレーション装置1は、住宅を販売する販売者であるユーザが使用し、販売する住宅の収納部に、利用者20の所有物がどのように収納されるかを仮想データとして示すものとしてもよい。
【0017】
本開示において、「住宅」とは、人が住むための家であり、その種別は問わない。例えば、戸建て住宅及び集合住宅を含むものとする。なお、ここでは、住宅に居住する家族の属性毎にシミュレーションを実行するため、複数世帯が独立性を保って1軒の建物内に居住する二世帯住宅については、別々にシミュレーションする前提で説明する。
【0018】
以下の説明において、
図1に示すように、収納シミュレーション装置1がシミュレーション対象とする住宅に、実際住む人又は住む可能性のある人を「利用者」又は「居住者」として説明する。具体的には、利用者20として説明する。また、「利用者」及び「居住者」は、
図1に示すように、複数人のグループすなわち家族をまとめて示す場合もあり、また、家族のうちの一人を示す場合もあるものとする。
【0019】
「提案者」は、収納シミュレーション装置1に情報等を入力して操作し、また、利用者20に新たな収納部の条件を含むリフォームを提案するリフォーム業者等とする。具体的には、この「提案者」を、ユーザ21として説明する。なお、以下の説明において、収納シミュレーション装置1には、ユーザ21が各データを入力する例で説明するが、これは一例であって、この方法に限定されない。
【0020】
「収納部」とは、住宅に予め備えられる収納スペースであり、様々なタイプがある。例えば、「収納部」の一例として、クローゼット、物入れ、フロアキャビネット、吊戸棚、カップボード、リネン庫、靴箱等の種類が挙げられ、それぞれ収納の目的、形態、収納方法等が異なる。各種類に関する定義については、ここでは説明を省略する。これら「収納部」は、例えば、複数の棚や引き出しが含まれることにより、複数の収納領域に分割されることがある。例えば、靴箱といわれる収納部では、靴を配置するため、大きな箱に、上段、中段、下段等のように複数の棚板で区分けされていることがある。このような上段、中断及び下段等のような収納部の各領域についても「収納部」とし、必要に応じて「収納領域」又は「収納部(収納領域)」として説明する。なお、以下の説明においては、「収納部」には、住宅に建築又は改築後に配置される移動可能な本棚や箪笥等の収納家具は含まないものとして説明するが、これに限定されない。例えば、これらの移動可能な家具を含んでシミュレーション可能としてもよい。
【0021】
「収納対象物」とは、利用者20の所有物のうち、住宅の収納部に収納する対象となる物である。例えば、利用者20の所有物のうち、靴や衣類等は収納部への収納対象であるため、収納対象物となる。一方、利用者20の所有物であっても、例えば、ソファーやベッド等の大型家具、冷蔵庫や洗濯機等の大型家電等の収納部への収納対象でない所有物については、収納対象物ではない。なお、大型の家具や家電であっても、対象の住宅がそれらを収納する収納部を備える場合、収納対象物としてシミュレーションすることができる。
【0022】
図2を用いて、本開示に係る収納シミュレーション装置1の構成について説明する。収納シミュレーション装置1は、制御部11、記憶部12、入力部13及び出力部14等を備え、各部がバス16によって接続される情報処理装置である。また、収納シミュレーション装置1は、通信インタフェース(通信I/F)15を備え、外部の装置との間でデータ通信を実行可能としてもよい。
【0023】
制御部11は、収納シミュレーション装置1全体の制御を司るコントローラである。例えば、制御部11は、記憶部12に記憶されるシミュレーションプログラムPを読み出して実行することにより、属性取得部111、収納データ取得部112、所有物特定部113、シミュレーション部114及び出力処理部115としての処理を実現する。また、制御部11は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、制御部11は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現することができる。
【0024】
記憶部12は種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部12は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部12には、制御部11が実行するシミュレーションプログラムPの他、識別情報で使用する情報や識別情報付与のために取得された種々の情報等が格納される。例えば、記憶部12は、属性データ121、収納部データ122、収納対象物データ123及び収納ルールデータ124を記憶する。
【0025】
入力部13は、操作やデータの入力に利用される操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォン等の入力手段である。出力部14は、処理結果やデータの出力に利用されるディスプレイ、スピーカ等の出力手段である。通信I/F15は、外部の装置(図示せず)とのデータ通信を可能とするためのインタフェース回路(モジュール)である。
【0026】
なお、収納シミュレーション装置1は、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。また、記憶部12に記憶されるデータの一部は外部の記憶装置に記憶され、外部の記憶装置から読み出して使用する構成であってもよい。
【0027】
属性データ121は、収納シミュレーション装置1がシミュレーションの対象とする住宅の居住者である利用者20に関する情報である。例えば、属性は、対象の住宅に居住する全ての人員の構成及び年代を含む。属性は、居住者の「人数」、「性別」、「続柄」、「年齢」、「職業」等の具体的な情報であってもよい。また、属性は、居住者である家族の「人数」とその家族の「ライフステージ」等の情報であってもよい。「ライフステージ」とは、新婚期、育児期、教育期、子独立期、老夫婦期等の居住者である家族の段階を特定する情報である。人はこのような属性に応じて生活で必要な物が異なるため、この属性を利用して、居住者の所有する所有物及びその量を特定することができる。なお、仮に、居住者の他、単身赴任や就学等のために下宿をしている等で一時的にその住宅を不在とする家族がいる場合、それらの情報を追加情報として含むこともできる。それらの追加情報により、収納対象物の量の特定をより正確に特定することが可能であるためである。
【0028】
収納部データ122は、住宅が有する収納部を特定する複数の要素を含むデータである。収納部データ122は、具体的には、シミュレーション対象の住宅の収納部に関するデータである。
図3に示す収納部データ122の一例では、収納部の識別情報である「番号」及び「収納部名」、収納部が存在する住宅の位置を特定する情報である「部屋名」、収納部の位置毎に収納部に付された識別情報である「ブロック」、収納部の種別を特定する情報である「タイプ」、収納部での収納の方法を特定する情報である「収納形態」、収納部の床からの高さに関する情報である「高さ」、及び、収納部の収納容量を特定するサイズに関する情報である「寸法」を含む。
【0029】
図3の収納部データ122は、例えば、
図4に示す一例の住宅の収納部に関するデータである。
図3に示す住宅は、「1 玄関」、「2 リビングダイニング(LD)」、「3 キッチン」、「4 洗面所(洗面)」、及び、「5 洋室(洋室1)」の5カ所の部屋に収納が設けられる。玄関には、3個の収納部が存在するため、それぞれ、ブロックA~Cの識別情報を付与し、これらを、
図4において「玄A」~「玄C」と表わす。また、洋室には、4個の収納部が存在するため、それぞれ、ブロックA~Dの識別情報を付与し、これらを、
図4において、「洋室A」~「洋室D」と表す。さらに、リビングダイニング(LD)、キッチン(K)及び洗面所には、それぞれ1個の収納部のみが存在し、それぞれブロックAの識別情報を付与し、これらをそれぞれ、「LD A」、「K A」、「洗面A」と表す。なお、
図4の図は、各収納部がどの部屋に位置するかのみを明確にするためのものであり、各収納部のサイズ等は、
図3に示すサイズ等と整合していない。
【0030】
図3の例において、玄関のブロックAの収納部は、タイプは「靴箱」であり、「低」・「中」・「高」と3段の収納領域に区分されるものである。また、それぞれの収納領域には「1」~「3」の番号が付される。また、この収納部の収納形態は、「棚」であり、具体的には、棚板に収納対象物である靴を配置する。なお、収納形態が「床」である場合、床に収納対象物を配置することにより収納する方法を特定し、「パイプ」である場合、「パイプ」にハンガー等を用いて衣類を吊す収納方法を特定する。
図3に示すように、収納部データ122では、各収納部が有する収納領域毎に、「収納形態」、「高さ」及び「寸法」が特定される。
【0031】
収納対象物データ123は、住宅の収納部へ収納する複数の収納対象物の識別情報と、属性毎に仮定された所有量とを互いに関連付けたデータである。例えば、収納対象物データ123は、各家族構成の利用者20が有する一般的な収納対象物とその所有量に関する情報であって、例えば、同一の構成の複数の家庭の収納対象物とその所有量の平均によって得られたデータ等である。また、収納対象物データ123では、各家族構成の利用者の各収納対象物を収納する際の好ましい収納順序を特定する優先順位を含むことができる。
【0032】
図5に示す収納対象物データ123の一例では、収納対象物の識別情報である「所有物名称」、収納対象物を数える際の「単位」、収納対象物の単位当たりのサイズである「単位量寸法(mm)」、収納対象物をどのように収納部に収納するか特定する「収納方法」、収納対象物を各利用者が所有する最大数や所有数の差等を特定する情報である「所有類型」、家族構成毎の各収納対象物の収納場所を選択する際に好ましい順序を特定する情報である「収納優先順位」、該当の家族構成の場合に一般的に各収納対象物について所有すると仮定される最低限必要であるとされる量である「所有量1(必要量)」、及び、該当の家族構成の場合に各収納対象物について所有量が多い場合にもこの程度の収納量があれば十分満足されると仮定される量である「所有量2(十分量)」を含む。
【0033】
「単位量寸法」は、各収納対象物の一般的な寸法や、一般的な寸法よりも若干大きめな寸法である。ここで、寸法としては、衣類用ケース等のように、収納対象物が収納状態で使用するものであるとき、使用状態を考慮した「幅」、「奥行き」及び「高さ」を考慮して各値を設定する。なお、仮に、収納状態において左右前後どのような向きでも良い場合、その旨を補足情報として収納対象物データ123に付加するようにしてもよい。また、布団のように、広げて使うが、収納の際には折りたたむように、使用状態と収納状態とでサイズが異なる場合、収納状態での寸法とする。
【0034】
「収納方法」としては、収納対象物を収納する際に収納部にどのように配置するかを定めた物である。例えば、物を収納する際、掛ける、積み上げる、並べる等が挙げられる。したがって、ここでは、「収納方法」を、『収納対象物の形状の変化の有無』及び『収納対象物の上に他の収納対象物を積み上げて収納可能か否かの情報』を用いて、「有形積み上げ可」、「有形積み上げ不可」、「無形積み上げ可」、「無形積み上げ不可」に分類し、それぞれ、例えば、「1」~「4」の番号で管理する。「有形積み上げ可」は、衣類用ケース、小物用収納ケース、布団、スタッキングボックス等の収納時における形状が固定であり、収納の際に、この収納物対象物の上に、同一の種類の別の収納対象物を積み上げ可能である物の収納方法の分類である。「有形積み上げ不可」は、ヒーター、靴、扇風機、ひな人形等の収納時における形は固定であるが、収納の際に、この収納対象物の上に別の収納対象物を積み上げできない物の収納方法の分類である。「無形積み上げ可」は、下着、タオル、シャツ、セーター等、収納時における形状が固定されず、収納の際に、この収納対象物の上に、同一の種類の別の収納対象物積み上げ可能である物の収納方法の分類である。「無形積み上げ不可」は、食品、洗剤のストック類等の収納時における形状が固定されず、収納の際に、この収納対象物の上に別の収納対象物を積み上げできない物の収納方法の分類である。なお、上記分類は、収納のシミュレーションを目的に設定されたものであり、その収納対象物が、「有形」、「無形」、「積み上げ可」、「積み上げ不可」とされていても、厳密な意味で有形又は無形でない場合や、積み上げ可能または不可能でない場合もあり得る。
【0035】
「所有類型」の分類としては、例えば、「世帯毎の所有量の差が大きい物」と「世帯毎の所有量の差が小さい物」等が挙げられ、それぞれ、例えば、「0」又は「1」の番号で特定することができる。「世帯毎の所有量の差が大きい物」の一例は、靴、衣類、本等の趣味嗜好により、所有量が変動するものである。「世帯毎の所有量の差が小さい物」の一例は、掃除機、ひな人形、クリスマスツリー等の各世帯の所有量が一定であるものである。
【0036】
「優先順位」は、複数の収納対象物について、どの収納対象物を優先して収納すべきかについて予め定められた順位である。この優先順位は、各収納対象物の出し入れの頻度、各収納対象物を仮に収納しない場合に部屋の外観に与える影響等を考慮して予め設定された順序である。
【0037】
この収納シミュレーション装置1では、収納対象物データ123で規定される「必要量」が、対象の利用者が各所有物について所有すると仮定される量とする。
【0038】
図5の例において、「靴」の単位は「足」であり、寸法は「200×300×180」である。また、「靴」の収納方法の分類は「2」であり、所有類型の分類は「1」であり、収納に関する優先順位は、それぞれシニアが「1」、ファミリー1が「4」、ファミリー2が「2」である。さらに、靴の所有量1は、シニアが「36」であり、靴の所有量2は、シニアが「48」である。
【0039】
図5の例において、家族構成として、「シニア」、「ファミリー1」、「ファミリー2」の3種類の構成が挙げられるがこれに限定されない。なお、例えば、「ファミリー1」は夫婦と小学生の子供が2人いる家族である場合、「ファミリー2」は夫婦と高校生の子供が1人いる家族である場合等、その家族の人数と年代毎に区分される構成である。
【0040】
図5の例では、「ファミリー1」の家族構成の場合、1番目「扇風機」、2番目「ヒーター」、3番目「衣類用ケース」、4番目「靴」、5番目「吊るす衣類」の順序で収納するシミュレーションを実行することが規定される。また、「ファミリー2」の家族構成の場合、1番目「靴」、2番目「吊るす衣類」、3番目「衣類用ケース」、4番目「扇風機」、5番目「ヒーター」の順序で収納するシミュレーションを実行することが規定される。
【0041】
収納ルールデータ124は、所有物の使用及び収納の頻度に応じて設定された所有物の配置位置とする収納部の選択に利用する要素の優先順位を含むデータである。また、収納ルールデータ124は、要素の優先順位として、異なる要素間での優先順位である第1の優先順位と、同一の要素間での優先順位である第2の優先順位とを含むことができる。また、収納ルールデータ124は、「要素」として、収納部の存在する位置、収納部の種別、及び、収納部における仮想所有物の収納方法である収納形態を含むことができる。
【0042】
例えば、
図6に示すように、収納ルールデータ124は、「靴」を収納する収納部の選択に関する異なる要素間の優先順位である第1の優先順位として、1番が「収納形態」、2番が「タイプ」、3番が「部屋」、4番が、5番が「ブロック」であることが規定される。また、「靴」の「収納形態」の要素内での優先順位である第2の優先順位としては、1番が「棚」、2番が「床」であることが規定される。同様に、例えば、「靴」の「タイプ」の第2の優先順位は、1番の「靴箱」のみが規定される。さらに、「靴」の「部屋」の第2の優先順位は、1番が「玄関」、2番が「廊下」であることが規定される。また、「高さ」の第2優先順位は、「中」、「低」、「高」であることが規定される。
【0043】
図6に示すように靴の収納部の第1の優先順位と第2の優先順位が定められる場合に、シミュレーションで収納部が選択する例を
図7に示す。具体的なシミュレーションの処理については、後述するが、第1の優先順位の上位順であって、かつ、第2の優先順位の上位順で収納部が選択される。まず、第1の優先順位が高い要素であって、その要素内で第2の優先順位が高い順で収納部を選択する。
図7に示す例では、「靴」については、選択順位1の「棚」、「靴箱」、「玄関」、「中」及び「ブロック」で特定される収納部(収納領域)から選択される。
【0044】
属性取得部111は、シミュレーション対象の住宅の居住者の属性を取得する。属性は、上述したように、収納シミュレーション装置1がシミュレーションの対象とする住宅の居住者に関する情報である。また、属性取得部111は、取得した属性を属性データ121として、記憶部12に記憶させる。
【0045】
属性取得部111は、例えば、出力部14に
図8に示すような入力画面W1を表示し、入力部13を介してユーザ21により、各入力ボックスb11~b14に必要な情報が入力されることで、これを属性として取得する。入力ボックスb12には、新規入力する利用者20の氏名を入力する。ここで、利用者20が複数人により構成される家族である場合、家族の代表者の氏名を入力すればよい。また、入力ボックスb13には、家族の人数を入力する。ここで、入力ボックスb13は、キーボード等で数字を直接入力する方式であっても、複数の数字の候補から選択する方式であってもよい。さらに、入力ボックスb14では、利用者20である家族のライフステージを選択する。そして、例えば、ユーザ21により、入力終了のボタンb15が押下されることにより、属性取得部111は、入力されたデータを取得することができる。
【0046】
また、過去に情報を入力したことのある利用者20の場合、入力ボックスb11に氏名を入力することで、記憶部12に記憶される属性データ121から利用者20の属性を読み出し可能とすることができる。なお、ここで入力する情報は、氏名の以外の識別情報としてもよい。すなわち、属性取得部111が属性データ121に、利用者20毎に識別符号等の識別情報を付すことで、後にこの識別情報をキーとして、利用者20の属性を特定可能とすることができる。
【0047】
収納データ取得部112は、住宅が有する収納部を特定する複数の要素を含む収納部データ122を取得し、記憶部12に記憶させる。例えば、収納データ取得部112は、出力部14に
図9Aに示すような入力画面W2を表示し、入力部13を介してユーザ21により、収納数選択ボックスb21で対象の住宅の収納部を選択させる。また、収納タイプ選択ボックスb22で各収納部のタイプを選択させる。
【0048】
図9Bに示す例では、玄関に「靴箱」、「クローゼット(CL)」、「靴箱」の合計3個の収納部があり、リビングダイニング(LD)に「フロアキャビネット」が1個あり、キッチン(K)に「カップボード」が1個あり、洗面所(洗面)に「リネン個」が1個あり、洋室1に「クローゼット」、「押入れ」、2個の「物入」の合計4個の収納部があることが分かる。そして、ユーザ21は、入力部13を利用して必要なデータを選択すると、入力終了ボタンb23を押下する。これにより、収納データ取得部112は、入力されたデータを収納部データ222とするとともに、さらに必要なデータを入力させるため、出力部14に、例えば、
図10Aに示すような入力画面W3を表示する。
【0049】
例えば、
図10Aに示す例では、異なる複数の収納部のサイズを入力するための入力部b31~b33を含む。
図10Aでは、
図9Bで入力された複数の収納部のうち、一部の収納部の情報を入力する入力部b31~b33のみしか示されていないが、例えば、スクロール等の操作によって、全ての収納部の情報を入力させることができる。
【0050】
具体的には、
図10Bに示す一例のように、収納部の収納容量を特定するため、収納部の幅、奥行き、高さ等のサイズを入力する。これにより、
図3に示すような 収納部データ122が記憶部12に記憶される。
【0051】
例えば、収納データ取得部112は、同一の利用者20に対し、複数の収納部データ122を取得し、異なる識別番号を付して管理することができる。例えば、収納データ取得部112は、現在の収納部に関する収納部データ122と、リフォーム案の間取りに関する収納部データ122とを取得することができる。また、収納データ取得部112は、複数のリフォーム案の間取りに関する収納部データ122をそれぞれ取得することができる。これにより、収納シミュレーション装置1では、複数の収納部に関するシミュレーション結果を比較することができる。
【0052】
所有物特定部113は、収納対象物データを記憶部12から読み出し、属性取得部111が取得した利用者20の属性と関連付けられる識別情報で特定される複数の収納対象物を当該利用者20の「仮想所有物」として特定する。ここで、所有物特定部113は、属性毎に仮想所有物を特定するため、属性が同一の利用者20は、同一量の仮想所有物を有するものとして特定する。すなわち、実際に利用者20が所有する所有物をデータ化することは困難であるため、所有物特定部113は、収納対象物データ123において属性と関連付けて登録される対象物を、利用者20が所有すると仮定し、その後のシミュレーション処理では、この仮想所有物をもとに処理が実行される。なお、利用者は、仮想所有物以外にも、収納対象ではない所有物(例えば、大型家具や大型家電等)を所有すると仮定されるが、これらは収納部への収納対象でなく、収納シミュレーションの結果に与える影響は小さいものとし、このような所有物は、仮想所有物には含まれない。
【0053】
シミュレーション部114は、収納ルールデータ124を記憶部12から読み出し、収納部データ122が含む収納部から、仮想所有物を配置する収納部を、優先順位の高い順で選択することにより、収納のシミュレーションを実行する。
【0054】
シミュレーション部114は、仮想所有物を配置する収納部の選択の際、優先順位が高い要素の収納部が複数あるとき、複数の収納部を特定する各要素の優先順位を考慮して、仮想所有物を配置する収納部を選択する。また、シミュレーション部114は、仮想所有物を配置する収納部の選択の際、第1の優先順位が同一の要素の収納部が複数あるとき、第2の優先順位が高い要素の収納部を、収納対象物を配置する収納部として選択する。
【0055】
具体的には、シミュレーション部114は、
図6及び
図7に示すように、第1の優先順位が高い順に複数の要素を並べ、選択順位を特定する。そして、第2の優先順位が高い順に並べて特定される収納部に収納対象物を配置可能なスペースがあるとき、シミュレーション部114は、これを、収納対象物を配置する収納部として選択する。また、配置可能なスペースがないとき、シミュレーション部114は、第1の優先順位が低い要素の第2の優先順位を下げて、収納対象物を配置する収納部を選択する。それでも配置可能なスペースがないときには、第1の優先順位の低い順で第2の優先順位を下げて、収納物を配置する収納部を探索する。
【0056】
『選択順位1』
例えば、
図7の例では、シミュレーション部114は、まず、「選択順位1」の「収納形態:棚、タイプ:靴箱、部屋:玄関、高さ:中、ブロック:A」で特定される収納部を選択する。
【0057】
『選択順位2』
そして、「選択順位1」の収納部に収納対象物を配置可能なスペースがないとき、シミュレーション部114は、第1の優先順位が低い要素「ブロック」の第2の優先順位を下げ、ブロック「B」となった「選択順位2」の収納部を選択する。
【0058】
『選択順位3』
「選択順位2」の収納部に収納対象物を配置可能なスペースがないとき、シミュレーション部114は、再び「ブロック」の第2の優先順位を下げ、ブロック「C」となった「選択順位3」の収納部を選択する。
【0059】
『選択順位4』
「選択順位3」の収納部に収納対象物を配置可能なスペースがないとき、「ブロック」の第2優先順位は下げられないため、シミュレーション部114は、第1の優先順位が次に低い要素「高さ」の第2の優先順位を下げ、高さ「中」を選択対象とする。このとき、シミュレーション部114は、「高さ」を変更したことにより「ブロック」の第2優先順位の高いものから選択対象とする。したがって、シミュレーション部114は、「選択順位4」の「収納形態:棚、タイプ:靴箱、部屋:玄関、高さ:低、ブロック:A」で特定される収納部を選択する。
【0060】
『選択順位5』
そして、「選択順位4」の収納部に収納対象物を配置可能なスペースがないとき、シミュレーション部114は、「ブロック」の第2の優先順位を下げ、ブロック「B」となった「選択順位5」の収納部を選択する。
【0061】
『選択順位6』
「選択順位5」の収納部に収納対象物を配置可能なスペースがないとき、シミュレーション部114は、再び「ブロック」の第2の優先順位を下げ、ブロック「C」となった「選択順位3」の収納部を選択する。
【0062】
『選択順位7』
「選択順位6」の収納部に収納対象物を配置可能なスペースがないとき、シミュレーション部114は、第1の優先順位が次に低い要素「高さ」の第2の優先順位を下げ、高さ「高」を選択対象とする。そして、シミュレーション部114は、「選択順位7」の「収納形態:棚、タイプ:靴箱、部屋:玄関、高さ:低、ブロック:A」で特定される収納部を選択する。
【0063】
図11は、各収納部での収納可能数と、シミュレーション部114においてシミュレーションの過程で得られた各収納部の収納数とを説明する一例である。
図11に示すように、各収納部(収納領域)では、それぞれ、収納部データ122から予め特定されるサイズから収納可能数が特定される。シミュレーション部114は、各収納部に対し、仮想収納物の配置スペースとして選択すると、各収納部に配置する仮想収納物の数を収納数とする。また、シミュレーション部114は、各収納部の収納数を合計することで、全収納部で収納可能な仮想収納物の数を特定することができる。例えば、靴箱の中段に1足の靴のみ収納可能な場合もあれば、5足の靴が収納可能である場合もある。したがって、収納部での収納可能数を利用することで、収納部のサイズと仮想収納物のサイズを考慮した適切なシミュレーションが可能となる。
【0064】
このように、シミュレーション部114は、各要素の第1の優先順位と第2の優先順位とが高い順で収納部を選択する。これにより、収納に最適な収納部を選択しながらシミュレーションを実行することが可能となる。なお、
図7に示すのは、靴の収納のシミュレーションで収納部を選択する手順の一例である。すなわち、シミュレーション部114は、仮想所有物の種別毎に、このようなシミュレーションを実行することになる。
【0065】
シミュレーション部114は、上述したようなシミュレーションにおいて、収納部データ122で特定される収納部に、複数の仮想所有物が収納可能か否かを判定することができる。例えば、シミュレーション部114は、
図7を用いて上述したような方法により、所有物特定部113が特定した利用者20の全ての仮想所有物を配置する収納部を選択することができた場合、全ての仮想所有物を収納可能と判定し、収納部に配置することのできない仮想所有物があるとき、一部の仮想所有物を収納不可と判定し、シミュレーション結果とする。
【0066】
これにより、利用者20は、例えば、リフォームの際にどの程度収納を増減することが好ましいかを把握することが可能となる。また、これにより、例えば、利用者は、どの程度、利用者の所有物を増減することが好ましいかを把握することが可能となる。このとき、利用者20は、単に収納部全体の容量ではなく、仮想所有物の種別毎に、その収納量がどの程度であるかを把握することができる。
【0067】
また、シミュレーション部114は、収納部データ122で特定される収納部に収納可能な仮想所有物の数、収納部に収納不可能な仮想所有物の数、又は、収納部に収納可能な仮想所有物の割合の少なくともいずれかを求めることができる。例えば、シミュレーション部114は、
図7を用いて上述したような方法により、仮想所有物を配置するとして選択された収納部の数、選択できなかった収納部の数をシミュレーション結果とする。または、シミュレーション部114は、選択された収納部の割合をシミュレーション結果とする。これにより、利用者20は、例えば、リフォームの際にどの程度収納を増減することが好ましいかを把握することが可能となる。また、これにより、例えば、利用者は、どの程度、利用者の所有物を増減することが好ましいかを把握することが可能となる。この場合も、利用者20は、仮想所有物の種別毎に、その収納量がどの程度であるかを把握することができる。
【0068】
シミュレーション部114は、複数の収納部データについてそれぞれシミュレーションを実行することが可能であり、複数のシミュレーション結果の比較をすることができる。これにより、利用者20は、例えば、リフォームにより、どの程度収納量が増減するかを把握することが可能となる。また、複数のリフォーム案において、どの程度収納量が異なるのかを把握することが可能となる。この場合も、利用者20は、仮想所有物の種別毎の収納量の差を把握することができる。
【0069】
出力処理部115は、シミュレーション部114の結果を出力する。例えば、出力処理部115は、出力部14に、
図12に示すような結果出力画面W5を表示させることができる。結果出力画面W5は、例えば、仮想所有物について、対象の住宅で収納可能な量である「収納可能量」と、「必要量(必要収容量)」と、「十分量(十分収納量)」とを表示部b51に含む。具体的には、表示部b51において、実線で「必要量」を示し、破線で「十分量」を示す。また、結果出力画面W5は、仮想所有物が各収納部(収納領域)にそれぞれどれだけ収納可能であるかを示すグラフを表示部b52に含む。さらに、結果出力画面W5は、各収納部(収納領域)の収納可能数と仮想所有物の収納数とを示すリストを表示部b53に含む。
【0070】
また、出力処理部115は、
図13に示すような結果出力画面W6を出力部14に表示させてもよい。
図13に示す結果出力画面W6は、収納対象物に関する、
図12の結果出力画面W5の表示部b51に示される「収納可能量」(棒グラフ)、「必要量」(実線)及び「十分量」(破線)の関係を含むものである。例えば、
図13の例では、「靴」については、収納可能量が「必要量」及び「十分量」をともに超えている。一方、「吊す衣類」については、収納可能量が「必要量」を超えているが、「十分量」については超える量ではないことがわかる。また、
図13で破線部に囲まれる「衣装用ケース」、「本」、「DVD」、「食品ストック」及び「日用品ストック」については、収納可能量が「必要量」を下回るものである。したがって、これらについては、住宅内に収納スペースがない可能性が高いことがわかる。なお、
図13中で、「ヒーター」、「ひな人形」、「クリスマスツリー」及び「掃除機」に関し「十分量」を表す破線が見えないのは、「十分量」が「必要量」と同一で重なっているためである。例えば、これらは、各家庭で1個分の収納スペースのみで十分であると考えられ、必要量と十分量とが同一であるためである。
【0071】
リフォーム提案の際等、複数のパターンを比較する場合、出力処理部115は、例えば、
図14に示すような結果出力画面W7を出力部14に表示させてもよい。
図14に示す結果出力画面W7の例では、上段に現在の住宅での収納部に関するシミュレーション結果として得られた収納可能量を示し、下段に提案される案での収納部に関するシミュレーション結果として得られた収納可能量を比較する例を示す。
図14の各収納部に関する情報は、
図12の表示部b51で説明した情報と同一の構成の情報である。
【0072】
また、出力処理部115は、例えば、
図15に示すような結果出力画面W8を出力部14に表示させてもよい。
図15に示す結果出力画面は、左側に現在の住宅での収納部を把握する間取り図と、シミュレーション結果として得られた収納可能量の概要を示すグラフであり、右側に、提案される案での収納部を把握する間取り図と、シミュレーション結果として得られた収納可能量の概要を示すグラフである。
図15に示す各グラフは、例えば、ユーザ21によって指定された特定の収納対象物に関する収納量の増減を示す。
【0073】
このように、収納シミュレーション装置1では、単に収納部の収納容量のみを考慮するのではなく、実際の使い勝手を考慮した収納ルールにしたがってシミュレーションを実行することができる。また、収納のシミュレーション結果が可視化されることにより、ユーザ21は、利用者20に収納に関する課題点、使い勝手、改善方針、変更による効果等について説明しやすくなる。また、利用者20にとっても、可視化されるため、収納部の状態が定量的に評価され、現在の問題点、変更で改善される点等が把握しやすくなる。
【0074】
〈収納シミュレーション方法〉
次に、
図16及び
図17に示すフローチャートを用いて、収納シミュレーション装置1で実行される収納シミュレーション方法について説明する。
【0075】
まず、
図16のフローチャートに示すように、属性取得部111は、収納のシミュレーションを希望する利用者20の属性を取得し、属性データ121として記憶部12に記憶させる(S1)。属性取得部111は、例えば、ユーザ21が利用者20と会話をしながら入力部13を介して入力された属性を取得してもよい。または、属性取得部111は、利用者20自身によって入力部13を介して入力された属性を取得してもよい。なお、
図8を用いて上述したように、属性取得部111が過去に利用者20に関する属性を取得し、記憶部12において属性データ121として登録されているとき、属性取得部111は、利用者20の氏名や登録番号等を取得し、属性データ121を参照することで、収納のシミュレーションを希望する利用者を特定してもよい。
【0076】
また、収納データ取得部112は、シミュレーションの対象である住宅の収納部に関する収納データを取得する(S2)。収納データ取得部112も、例えば、ユーザ21が利用者20と会話をしながら入力部13を介して入力または選択された情報を取得してもよい。または、属性取得部111は、利用者20自身によって入力部13を介して入力または選択された属性を取得してもよい。
【0077】
さらに、所有物特定部113は、記憶部12で記憶される収納対象物データ123を読み出し、属性取得部111が取得した属性の利用者20が、所有すると仮定される仮想所有物を特定する(S3)。
【0078】
続いて、シミュレーション部114は、シミュレーション処理を実行する(S4)。このシミュレーション処理については、
図17のフローチャートに詳細を示す。
【0079】
図17に示すように、まず、シミュレーション部114は、配置場所が決定していない仮想所有物を選択する(S11)。具体的には、シミュレーション部114は、収納対象物データ123で規定される収納優先順位が高い順で、収納部の配置場所が決定されていない仮想所有物を選択する。例えば、
図5の収納対象物データ123の例で、利用者20が「シニア」である場合、収納優先順位の高い「靴」がはじめに仮想所有物として選択される。
【0080】
続いて、シミュレーション部114は、ステップS11で選択された対象の仮想所有物を配置する収納部の選択に利用する要素の優先順位を抽出する(S12)。例えば、ステップS11で仮想所有物「靴」が選択されたとき、
図6の例では、靴と関連付けられる第1優先順位及び第2優先順位が抽出される。
【0081】
また、シミュレーション部114は、ステップS12で抽出された優先順位を利用して、優先順位の高い要素で特定される収納部(収納範囲)を選択する(S13)。例えば、
図7の例では、「選択順位1」の要素で特定される収納部が選択される。
【0082】
そして、選択された収納部に仮想所有物を収納可能なスペースが存在する場合(S14でYES)、シミュレーション部114は、選択された収納部に仮想配置する(S15)。例えば、
図11を用いて上述したように、シミュレーション部114は、対象の収納部に収納されたものとしてカウントする。
【0083】
一方、選択された収納部に仮想所有物を収納可能なスペースが存在しない場合(S14でNO)、シミュレーション部114は、優先順位が低い収納部が存在するか否かを判定する(S16)。
【0084】
優先順位が低い収納部が存在する場合(S16でYES)、シミュレーション部114は、次に優先順位が高い要素で特定される収納部を選択し(S17)、再びステップS14の処理を実行する。例えば、
図7の例では、「選択順位1」の要素で特定される収納部に仮想所有物を収納可能でない場合、シミュレーション部114は、次に優先順位が高い「選択順位2」の要素で特定される収納部を選択する。
【0085】
また、優先順位が低い収納部が存在しない場合(S16)、シミュレーション部114は、対象の仮想所有物は、収納不可能であると特定される(S18)。
【0086】
仮に、全ての仮想所有物について処理が終了していない場合(S19でNO)、シミュレーション部114は、ステップS11の処理に戻り、次の仮想所有物が選択されて同様にステップS11~S18の処理が繰り返される。
【0087】
一方、全ての仮想所有物について処理が終了された場合(S19でYES)、シミュレーション処理は終了となる。すなわち、
図16のステップS4が終了することになる。
【0088】
シミュレーション処理が終了すると、出力処理部115は、シミュレーション処理結果を出力する(S5)。出力処理部115は、例えば、
図12乃至
図15を用いて上述したような結果出力画面W5~W7を出力部14に表示させる。これにより、ユーザ21は、利用者20に収納の状態を説明しやすくなる。また、利用者20にとっても、収納の状態が把握しやすくなる。なお、他の収納部データについてもシミュレーションが必要である場合、ステップS2~S6の処理を繰り返す。
【0089】
このように、上述したシミュレーション方法では、単に収納部の収納容量のみを考慮するのではなく、実際の使い勝手を考慮した収納ルールにしたがってシミュレーションを実行することができる。また、収納のシミュレーション結果が可視化されることにより、ユーザ21は、利用者20に収納に関する課題点、使い勝手、改善方針、変更による効果等について説明しやすくなる。また、利用者20にとっても、可視化されるため、収納部の状態が定量的に評価され、現在の問題点、変更で改善される点等が把握しやすくなる。
【0090】
[効果及び補足]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。そこで、以下、他の実施形態を例示する。
【0091】
《変形例》
(1)収納部マスタデータ
上述の例では、収納データ取得部112が、ユーザ21による数値入力によって各収納部のサイズを取得する例で説明したが、これに限定されない。例えば、収納部の型が規定されている場合がある。このような場合、収納部の型番号と、その型番号の収納部のサイズとが関連付けられる収納部マスタデータを予め記憶部12に記憶させることで、収納データ取得部112は、ユーザ21によって指定された型番号のサイズを収納部マスタデータから抽出し、シミュレーション処理に使用することができる。
【0092】
(2)所有量の変更
上述の例では、所有物特定部113は、記憶部12に記憶される収納対象物データ123で規定される量の各収納対象物を利用者が所有するものと想定していたが、所有量をユーザ21又は利用者20によって修正するようにしてもよい。例えば、収納シミュレーション装置1は、収納対象物データ123に含まれる所有量の変更条件を受け付ける変更受付部をさらに備える。また、シミュレーション部114は、変更受付部が受け付けた変更条件に応じて変更した量の仮想所有物を収納部に収納するシミュレーションを実行する。例えば、収納対象物データ123に明らかに利用者が所有しない収納対象物が含まれている場合、利用者の実際の所有量と大きく異なる場合に、これを変更することで、より正確なシミュレーションを実現することができる。
【0093】
(3)優先順位
図5を用いて上述した例では、優先順位は、家族構成毎に予め設定されるものとして表すが、これに限定されない。例えば、家族に含まれる「各個人の属性」や入力部を介して取得する「家族又は各個人の考え方」等に応じて優先順位を調整したり、優先順位を導くようにしてもよい。「各個人の属性」とは、属性データ121で特定される対象の住宅の居住者の情報である。「各個人の属性」は、例えば、年齢性別、職業、家で働くか否か、趣味等である。また、「家族又は個人の考え方」とは、例えば、「物の所有についての考え方」や「片付けについての考え方」を含む。「物の所有についての考え方」の例としては、「何かあったときのためになるべく多く所有しておきたい」、「必要最低限あればよい」等である。また、「片付けについての考え方」とは、例えば、「常に完璧に片づけておくべき」、「少々なら散らかっていても構わない」等である。
これらの情報から、収納シミュレーション装置1は、例えば、所定の数式等を用いて各収納対象物を収納する優先順位を導くことができる。具体的には、事前に複数の人を対象にアンケート、統計解析(例えば、数量化理論I類等)を行い、各収納対象物を収納すべき度合いを目的変数として各個人の属性や考え方の質的情報を説明変数とする数式の予測モデルを予め作成する。そして、アンケート等で得られた各個人の属性や考え方の質的情報を代入し、収納対象物を収納すべき度合いのスコアを算出する。そして、各収納対象物を収納すべき度合いのスコアが高いものを優先順位が高いものとする。具体的には、スコアの降順で優先順位を導く。
【0094】
(4)結果出力画面
出力処理部115が出力する結果出力画面の一例を
図12~15を用いて上述したが、これに限定されない。例えば、出力処理部115は、例えば、
図18~20に示すような結果出力画面W9~W11を出力部14に表示させてもよい。
図18に示す結果出力画面W9は、左側に現在の住宅での収納部を把握する間取り図と、シミュレーション結果として得られた各収納部における各対象物の収納量の概要を示すグラフであり、右側に、提案される案での収納部を把握する間取り図と、シミュレーション結果として得られた各収納部における各対象物の収納量の概要を示すグラフである。これによると、各収納部に何がどの程度収容されるか、また、提案される収納部ではどのように改善されるかを把握可能となる。
【0095】
図19に示す結果出力画面W10は、左側に現在の住宅での収納部を把握する間取り図と、その中で選択された収納部のシミュレーション結果として得られた収納量を表すイラストとを関連付け、右側に、提案される案での収納部を把握する間取り図と、その中で選択された収納部のシミュレーション結果として得られた収納量を表すイラストとを関連付けるものである。これによると、各収納部に何がどの程度収容されるか、また、提案される収納部ではどのように改善されるかを把握可能となる。
【0096】
図20に示す結果出力画面W11は、左側下部に現在の住宅での収納部を把握する間取り図と、左側上部にこれらの収納部に対する評価結果を表すグラフとを関連付け、右側下部に現在の住宅での収納部を把握する間取り図と、左側上部にこれらの収納部の評価結果を表すグラフとを関連付けるものである。
図20の例では、評価として、「収納量適正度」、「負担軽減度」及び「片付きやすさ」がどの程度であるかを表す。「収納量適正度」は、シミュレーションの結果、収納したい所有物のうち、どの程度の量を収納可能であるかを表す度合いである。「負担軽減度」は、シミュレーションの結果、仮想所有物が収納される収納部の高さに応じて求められる収納の際の負担の度合いを表す度合いである。「片付きやすさ」は、シミュレーションの結果、仮想収納物が収納される収納部と、その仮想収納物を使用する場所との距離に応じて求められる仮想収納物の使用及び収納のしやすさの度合いを表す度合いである。これによると、収納部の改善の程度を定量的に把握可能となる。
【0097】
《実施形態の概要》
(1)本開示の収納シミュレーション装置は、シミュレーション対象の住宅の居住者の属性を取得する属性取得部と、住宅が有する収納部が存在する位置及び収納部の種別をと含む収納部を特定する複数の要素を含む収納部データを取得する収納データ取得部と、住宅の収納部へ収納する複数の収納対象物の識別情報と、属性毎に仮定された所有量とを互いに関連付けた収納対象物データから、居住者の属性と関連付けられる識別情報及び所有量を取得し、居住者の仮想所有物として特定する所有物特定部と、各仮想所有物の使用及び収納の頻度に応じて設定された複数の要素の優先順位を含む収納ルールデータを収納ルールデータ記憶部から読み出し、収納部データが含む収納部から仮想所有物を配置する収納部を、収納ルールデータの優先順位の高い順で選択することにより、収納のシミュレーションを実行するシミュレーション部とを備える。
【0098】
これにより、収納対象物毎の使い勝手を考慮した収納のシミュレーションを実行することができる。
【0099】
(2)(1)のシミュレーション装置において、シミュレーション部は、仮想所有物を配置する収納部の選択の際、優先順位が高い要素の収納部が複数あるとき、当該複数の収納部を特定する各要素の優先順位を考慮して、仮想所有物を配置する収納部を選択することができる。
【0100】
これにより、収納対象物毎の使い勝手を考慮した収納のシミュレーションを実行することができる。
【0101】
(3)(1)のシミュレーション装置において、収納ルールデータは、要素の優先順位として、異なる要素間での優先順位である第1の優先順位と、同一の要素間での優先順位である第2の優先順位とを含み、シミュレーション部は、仮想所有物を配置する収納部の選択の際、第1の優先順位が同一の要素の収納部が複数あるとき、第2の優先順位が高い要素の収納部を、収納対象物を配置する収納部として選択することができる。
【0102】
これにより、収納対象物毎の使い勝手を考慮した収納のシミュレーションを実行することができる。
【0103】
(4)(1)~(3)のシミュレーション装置において、シミュレーション部は、収納部データで特定される収納部に、複数の仮想所有物が収納可能か否かを判定することができる。
【0104】
これにより、わかりやすいシミュレーション結果を提供することができる。
【0105】
(5)(1)~(3)のシミュレーション装置において、シミュレーション部は、収納部データで特定される収納部に収納可能な仮想所有物の数、収納部に収納不可能な仮想所有物の数、又は、収納部に収納可能な仮想所有物の割合の少なくともいずれかを求めることができる。
【0106】
これにより、わかりやすいシミュレーション結果を提供することができる。
【0107】
(6)(1)~(5)のシミュレーション装置は、シミュレーション部の結果を出力する出力処理部をさらに備えることができる。
【0108】
これにより、ユーザや利用者に、収納の状態や変化が把握しやすくさせることができる。
【0109】
(7)(6)の収納シミュレーション装置は、収納データ取得部は、複数の収納部データを受け付け、シミュレーション部は、複数の収納部データについてそれぞれシミュレーションを実行し、出力処理部は、複数のシミュレーションの結果を比較して出力することができる。
【0110】
これにより、複数の収納パターンの差を把握しやすくさせることができる。
【0111】
(8)(1)~(7)のシミュレーション装置は、複数の要素に、収納部における仮想所有物の収納方法である収納形態をさらに含むことができる。
【0112】
これにより、シミュレーションにおいて、各収納対象物の使い勝手を考慮することができる。
【0113】
(9)(1)~(8)のシミュレーション装置は、属性は、対象の住宅に居住する全ての人員の構成及び年代を含むことができる。
【0114】
これにより、利用者毎の収納対象物を仮定し、シミュレーションを実行することができる。
【0115】
(10)(1)~(9)のシミュレーション装置は収納対象物データに含まれる所有量の変更条件を受け付ける変更受付部をさらに備え、シミュレーション部は、変更受付部が受け付けた変更条件に応じて変更した量の仮想所有物を収納部に収納するシミュレーションを実行することができる。
【0116】
これにより、利用者毎の収納対象物を仮定し、シミュレーションを実行することができる。
【0117】
(11)本開示の収納シミュレーション方法は、シミュレーション対象の住宅の居住者の属性を取得するステップと、住宅が有する収納部が存在する位置及び収納部の種別をと含む収納部を特定する複数の要素を含む収納部データを取得するステップと、 住宅の収納部へ収納する複数の収納対象物の識別情報と、属性毎に仮定された所有量とを互いに関連付けた収納対象物データから、居住者の属性と関連付けられる識別情報及び所有量を取得し、居住者の仮想所有物として特定するステップと、各仮想所有物の使用及び収納の頻度に応じて設定された複数の要素の優先順位を含む収納ルールデータを収納ルールデータ記憶部から読み出し、収納部データが含む収納部から仮想所有物を配置する収納部を、収納ルールデータの優先順位の高い順で選択することにより、収納のシミュレーションを実行するステップとを含む。
【0118】
これにより、収納対象物毎の使い勝手を考慮した収納のシミュレーションを実行することができる。
【0119】
(12)本開示のプログラムは、(11)の方法を実現させる。
【0120】
これにより、収納対象物毎の使い勝手を考慮した収納のシミュレーションを実行することができる。
【0121】
本開示の全請求項に記載の画像処理装置及び画像処理方法は、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、及びプログラムとの協働などによって、実現される。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示の収納シミュレーション装置、収納シミュレーション方法及びプログラムは、住宅における収納対象物の収納部へのシミュレーションに有用である。
【符号の説明】
【0123】
1 収納シミュレーション装置
11 制御部
111 属性取得部
112 収納データ取得部
113 所有物特定部
114 シミュレーション部
115 出力処理部
12 記憶部
121 属性データ
122 収納部データ
123 収納対象物データ
124 収納ルールデータ
13 入力部
14 出力部
15 通信I/F
P シミュレーションプログラム