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  • 特許-絶縁継手 図1
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  • 特許-絶縁継手 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】絶縁継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 25/02 20060101AFI20230901BHJP
   F16L 19/03 20060101ALI20230901BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
F16L25/02
F16L19/03
F16J15/10 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019198110
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021071164
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591196887
【氏名又は名称】大平洋特殊鋳造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】金子 康志
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-180821(JP,A)
【文献】特開2008-248983(JP,A)
【文献】実開昭64-032448(JP,U)
【文献】特許第6526937(JP,B1)
【文献】特開2010-019408(JP,A)
【文献】特開2007-120523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 25/02
F16L 19/03
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体に対して所定の絶縁部材を介して袋ナットが設けられ、給水器具に設けられている雄ネジ付きの接続口に前記袋ナットを螺合させて前記給水器具に前記継手本体を接続するようになっている絶縁継手であって、
前記継手本体は胴部を備えると共に端部に拡径したフランジ部が形成され、
前記袋ナットはその頭部に前記フランジ部より大径の開口部が開けられて該開口部から前記継手本体に挿入され、
前記絶縁部材はその一部が切断されたリング状に形成されて前記袋ナットの内周面に形成されている環状溝部に収納されており、前記袋ナットがスライドされると、前記絶縁部材の端面が直接前記フランジ部の端面に面接触して係止され、それによって前記袋ナットの前記継手本体からの抜けが防止されており、
前記絶縁継手は、前記継手本体に対して前記絶縁部材と前記袋ナットとが前記フランジ部側から前記胴部に挿入され、前記絶縁部材が前記環状溝部に入れられるようにして組み立てられており、
前記絶縁部材はポリアセタールもしくは強化繊維入り樹脂からなると共にその断面形状が方形に形成され、前記環状溝部の壁面と前記フランジ部の端面は前記継手本体の軸に対して垂直面になっていることを特徴とする絶縁継手。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁継手において、前記絶縁部材は切断部分において一方の端部近傍と他方の端部近傍とがそれぞれ一部が所定長さで切り取られ、該切り取られた部分同士が互いに重ね合わされ、それによって全体として連続したリング状に形成されていることを特徴とする絶縁継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手本体と袋ナットとを備え埋設給水配管等に接続されるようになっている継手であって、継手本体と袋ナットとが異種金属からなり、これらが絶縁されて腐食が防止されるようになっている絶縁継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浄水場、配水場等から供給される上水は配水管によって配水され、配水管からサドル付分水栓を介して分岐している給水管によって各住宅に供給されるようになっている。サドル付分水栓と給水管は継手を介して接続されているが、給水管には、止水栓や水道メータ等が介装されこれらと給水管も必要により継手によって接続されている。継手は継手本体と、継手本体に設けられている袋ナットとを備えており、例えばサドル分水栓のボールケース分水口に袋ナットを締め付けると、サドル分水栓に継手を接続できるようになっている。ところで継手本体は鋳鉄、ステンレス等から形成されている一方で、袋ナットは異種金属である青銅等から形成されている。周知のように金属には固有の電位があり、異種金属同士が接触していると電位差が生じて腐食の原因になる。給水管は湿った土中に埋設されているので継手は腐食が進行しやすい。そこで、継手本体と袋ナットの間に樹脂等の絶縁体からなるいわゆる止め線が設けられ、異種金属同士の接触が防止されて腐食しにくくなっている絶縁継手が提供されている。
【0003】
絶縁継手は、継手本体と袋ナットの間に絶縁体からなる止め線が設けられているが、その構造は複雑になっているので製造コストが若干大きくなっている。これは、継手本体から袋ナットが抜けないように、継手本体の端面には拡径したフランジ部を形成する必要があると共に、この継手本体と袋ナットの間に環状の止め線を設ける必要があるからである。そこで一般的な絶縁継手において、継手本体はフランジ部と本体部とを別部品から形成するようにし、フランジ部には雄ネジを、本体部には雌ネジを形成している。絶縁継手の組立は、まず継手本体の本体部に袋ナットを挿入し、引き続いて止め線を挿入する。そして最後にフランジ部を本体部に螺合させるようにして絶縁継手を組み立てる。このように組み立てるとフランジ部と本体部とからなる継手本体と、袋ナットとの間に絶縁体である止め線が介在されることになるが、確実に絶縁されるよう止め線のずれを防止する所定の部品を設ける場合もある。このように継手本体は2部品以上から構成しなければならないし、組立に手間がかかるので、製造コストが若干大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-248983号公報
【0005】
特許文献1には、継手本体を単一の部品から構成し、従って部品点数が少なく製造コストが小さい絶縁継手が提案されている。特許文献1に記載の絶縁継手50は、図4の(A)に示されているように、単一の部品からなる継手本体51と、この継手本体51に設けられている袋ナット53と、これらの間に設けられている絶縁部材54とから構成されている。継手本体51の端面にはフランジ部55が形成されているが、このフランジ部55の径は、袋ナット53の最小の径の部分よりも小さい。従って袋ナット53はフランジ部55によって妨げられることなく、継手本体51の胴部58に挿入したり継手本体51から取り外ししたりできるようになっている。絶縁部材54はポリアセタール等の樹脂からなり、図4の(B)に示されているように、割リング状に形成されている。絶縁部材54の内径はフランジ部55の外径より小さいが、割リングを広げれば継手本体51に装着することができる。袋ナット53の内周面には絶縁部材54を収納するための環状の段部57が形成されている。この絶縁継手51は次のようにして組み立てられる。まず、袋ナット53を胴部58に達するまで継手本体51に挿入する。次いで、絶縁部材54を押し広げながら継手本体51のフランジ部55から挿入する。胴部58において絶縁部材54を袋ナット53の段部57に嵌め込む。絶縁部材54が嵌め込まれた袋ナット53は、絶縁部材54の分だけ内径が小さくなる。これによって袋ナット53のフランジ部55からの抜けが防止されている。なお、袋ナット53に嵌め込まれた絶縁部材54には、図4の(C)に示されているように、第1のテーパ面60、第2のテーパ面61が形成されており、袋ナット53を抜こうとすると、第1のテーパ面60に袋ナット53の段部57のテーパ面が面接触し、そして第2のテーパ面61に継手本体51のフランジ部55のテーパ面が面接触することになる。特許文献1によると、これら第1、2のテーパ面60、61は、絶縁継手50の軸に対して45度~80度、より好ましくは60度±10度になるように傾斜している。このように第1、2のテーパ面60、61を傾斜させているのは、袋ナット53に抜に方向の力が作用するとき、矢印64、65で示されているように継手本体51のフランジ部55と袋ナット53とから力が作用することになるが、それによって生じるせん断力で絶縁部材54が破壊されないようにするためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の絶縁継手は、部品点数が少なく組立も容易である。従って製造コストは小さく優れていると言える。しかしながら解決すべき課題も見受けられる。具体的には、2点の課題が見受けられる。第1の課題は、袋ナット53の絶縁本体51からの抜けの可能性が若干残っている点である。前記したように第1、2のテーパ面60、61に袋ナット53やフランジ部55の所定の面が面接触するので袋ナット53は継手本体51から抜けにくくはなっている。しかしながら、第1、2のテーパ面60、61は傾斜しているので、強い力が作用して絶縁部材54が変形すると、袋ナット53やフランジ部55の所定の面が第1、2のテーパ面60、61を滑って袋ナット53が抜け落ちる可能性がある。さらには絶縁部材54が割リング状に形成されていることによっても抜けが発生し易くなっている。割リング状に形成されているので、絶縁部材54に、図4の(B)において矢印67、68で示されているようが偶力が作用すると、ねじれが生じる。絶縁部材54にねじれが生じると、図4の(C)において示されている矢印64、65の力は、円周上の一部に偏って集中し、その部分から抜けが発生し易いからである。第2の課題は、絶縁部材54の耐久性、つまり破断に対する耐性についてである。絶縁部材54は矢印64、65の力が作用するとせん断力が作用するが、図4の(C)において符号70、71の箇所において応力集中し易くなっている。すなわち、絶縁部材54はこの部分から破断する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記したような問題点を解決した絶縁継手を提供することを目的とし、具体的には、部品点数が少なく、かつ組立が容易で製造コストが小さいにも拘わらず、異種金属である継手本体と袋ナットとの絶縁を確保し、かつ袋ナットの継手本体からの抜けを実質的に完全に防止し、絶縁するための部材の破壊も防止されている、絶縁継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、継手本体に対して所定の絶縁部材を介して袋ナットが設けられた絶縁継手を対象とする。継手本体はその端部に拡径したフランジ部を形成し、袋ナットはその頭部にフランジ部より大径の開口部を開けて該開口部から継手本体に挿入する。絶縁部材はその一部が切断されたリング状に形成する。そして袋ナットの内周面に環状溝部を形成し、絶縁部材はこの環状溝部内に収納する。そうすると袋ナットがスライドされるとき、絶縁部材の端面がフランジ部の端面に面接触して係止され、袋ナットの継手本体からの抜けが防止される。本発明は、絶縁部材についてその断面形状が方形になるように形成し、そして環状溝部の壁面とフランジ部の端面は継手本体の軸に対して垂直面になるように形成する。また、絶縁継手の切断部分は所定の重ね代で重ね合わされるようにし、全体として連続したリング状になるように形成する。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、継手本体に対して所定の絶縁部材を介して袋ナットが設けられ、給水器具に設けられている雄ネジ付きの接続口に前記袋ナットを螺合させて前記給水器具に前記継手本体を接続するようになっている絶縁継手であって、前記継手本体は胴部を備えると共に端部に拡径したフランジ部が形成され、前記袋ナットはその頭部に前記フランジ部より大径の開口部が開けられて該開口部から前記継手本体に挿入され、前記絶縁部材はその一部が切断されたリング状に形成されて前記袋ナットの内周面に形成されている環状溝部に収納されており、前記袋ナットがスライドされると、前記絶縁部材の端面が直接前記フランジ部の端面に面接触して係止され、それによって前記袋ナットの前記継手本体からの抜けが防止されており、前記絶縁継手は、前記継手本体に対して前記絶縁部材と前記袋ナットとが前記フランジ部側から前記胴部に挿入され、前記絶縁部材が前記環状溝部に入れられるようにして組み立てられており、前記絶縁部材はポリアセタールもしくは強化繊維入り樹脂からなると共にその断面形状が方形に形成され、前記環状溝部の壁面と前記フランジ部の端面は前記継手本体の軸に対して垂直面になっていることを特徴とする絶縁継手として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の絶縁継手において、前記絶縁部材は切断部分において一方の端部近傍と他方の端部近傍とがそれぞれ一部が所定長さで切り取られ、該切り取られた部分同士が互いに重ね合わされ、それによって全体として連続したリング状に形成されていることを特徴とする絶縁継手として構成される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、継手本体に対して所定の絶縁部材を介して袋ナットが設けられ、サドル付分水栓、止水栓、水道メータ等の給水器具に設けられている雄ネジ付きの接続口に袋ナットを螺合させて給水器具に継手本体を接続するようになっている絶縁継手を対象としている。そして本発明において、継手本体はその端部に拡径したフランジ部が形成され、袋ナットはその頭部にフランジ部より大径の開口部が開けられて該開口部から継手本体に挿入され、絶縁部材はその一部が切断されたリング状に形成されて袋ナットの内周面に形成されている環状溝部に収納されており、袋ナットがスライドされると、絶縁部材の端面がフランジ部の端面に面接触して係止され、それによって袋ナットの継手本体からの抜けが防止されている。つまり部品点数が少なく、かつ組立が容易な絶縁継手になっており、製造コストは小さくて済む。そして本発明によると、絶縁部材はその断面形状が方形に形成され、そして環状溝部の壁面とフランジ部の端面は継手本体の軸に対して垂直面になっている。そうすると、袋ナットが抜け方向にスライドされるとき、絶縁部材とフランジ部の端面とが、そして絶縁部材と環状溝部の壁面とが、それぞれ垂直面同士で当接することになる。そうすると当接面で滑りが発生することがなく、袋ナットの継手本体からの抜けが実質的に完全に防止される。さらに絶縁部材は断面形状が方形になっているので応力集中の度合いは小さく、破断されやすい箇所はない。つまり絶縁部材の耐久性が高いという本発明に特有の効果が得られる。他の発明によると、絶縁部材は切断部分において一方の端部近傍と他方の端部近傍とがそれぞれ一部が所定長さで切り取られ、該切り取られた部分同士が互いに重ね合わされ、それによって全体として連続したリング状に形成されている。つまり切断部分が所定長さの重ね代で重ねられている。そうすると、絶縁部材において切断部分近傍において偶力が作用しても、絶縁部材にねじれは生じにくくなっている。つまり絶縁部材は変形しにくい。従って、袋ナットの継手本体からの抜けは強固に防止されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る絶縁継手を示す正面断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る絶縁継手に設けられている止め線を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る絶縁継手を組み立てる方法を模式的に示す図で、その(A)~(F)は組立の各工程における絶縁継手の一部を示す正面断面図である。
図4】従来例を示す図で、その(A)は従来の絶縁継手の正面断面図、その(B)は絶縁部材の斜視図、その(C)はその(A)におけるZ部分を拡大して示す、従来の絶縁継手の一部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の実施の形態に係る絶縁継手1は、図1に示されているように、鋳鉄、ステンレス等からなる継手本体2と、この継手本体2に設けられている所定の構造からなる第1の接続部3と、次に説明する本発明に特有の構造を備えた第2の接続部4とから構成されている。第1の接続部3は、いわゆるワンタッチ継手と呼ばれるものでその構造は周知なので詳しくは説明しないが、継手本体2に対して螺合される袋ナット6と、ゴム等からなるパッキン7と、パッキン7を押さえると共にこれを締め付けるカバー9と、止め金具10と、この止め金具10に設けられている止め金具ボール11、11、…とから構成されている。従って、図には示されていないが、給水管をこの第1の接続部3に適当な位置まで挿入し、袋ナット6を締め付けると止め金具ボール11、11が給水管に締め付けられて給水管を接続できるようになっている。
【0013】
第2の接続部4は、サドル付分水栓、止水栓、水道メータ等の給水器具に接続する接続部であり、給水器具に設けられている、雄ネジが形成された接続口に接続するようになっている。第2の接続部4は、継手本体2と、この継手本体2に設けられている袋ナット13と、止め線すなわち絶縁ストッパ14と、パッキン15とから構成されている。継手本体2は、その端部に拡径したフランジ部17が形成されており、このフランジ部17の内側の端面18は継手本体2の軸に対して垂直面になっており、後で説明する絶縁ストッパ14の所定の端面が面接触するようになっている。継手本体2には、このフランジ部17に連続して所定の外径からなる円筒状の段部19が形成され、さらに中心寄りは外径が小さい胴部21になっている。
【0014】
袋ナット13は、接続する給水器具の接続口と同種の金属から形成されており、例えば砲金からなる。袋ナット13には雌ネジが形成されており、給水器具の接続口の雄ネジに螺合するようになっている。本実施の形態において袋ナット13はその頭部が開口しており、その内径は継手本体2のフランジ部17よりわずかに大きい。従って、袋ナット13はフランジ部17に妨げられることなく、継手本体2の胴部21に挿入できる。袋ナット13には、開口部近傍においてその内周面に環状の溝部すなわち環状溝部23が形成されている。この環状溝部23は次に説明する絶縁ストッパ14を収納する溝になっている。環状溝部23の溝の壁面24は絶縁ストッパ14の端面が面接触するようになっており、軸に対して垂直面になっている。
【0015】
絶縁ストッパ14は、異種金属である継手本体2と袋ナット13の間に設けられ、これらを絶縁する絶縁部材である。そして絶縁部材であると共に袋ナット13の継手本体2からの抜けを防止する係止部材にもなっている。従って、絶縁ストッパ14は弾性と高い強度を備えた絶縁体から形成する必要があり、本実施の形態においてはポリアセタールから形成されている。絶縁ストッパ14は、図2に示されているように、一部が切断されたリング状を呈している。本実施の形態に係る絶縁ストッパ14はいくつか特徴があるが、第1の特徴はその断面形状が方形になっている点である。図2における上面側の端面26と裏面側の端面27はそれぞれ継手本体2のフランジ部17の端面18と袋ナット13の環状溝部23の壁面24とに面接触するようになっている。第2の特徴は、リングの切断箇所が所定の重ね代で重ねられており、それによって実質的に連続したリング状になっている点である。詳しく説明すると、切断箇所において絶縁ストッパ14の一方の端部は、リング幅の略1/2の幅で所定の長さの円弧だけ延長している。他方の端部も同様にリング幅の略1/2の幅で所定の長さの円弧だけ延長しているが、一方の端部からの延長している円弧に干渉しない位置で延長している。従って、これら一方と他方の延長している円弧部分同士が、互いに重なり合っている。従って、符号29、30のように絶縁ストッパ14に対して偶力が作用しても、絶縁ストッパ14のねじれが防止されている。なお、絶縁ストッパ14は外部からの力が作用していない状態においては、その内径は継手本体2のフランジ部17の外径より小さく、その外径は袋ナット13の環状溝部23より若干大きい。
【0016】
本実施の形態に係る絶縁継手1の第2の接続部4は容易に組み立てることができる。まず図3の(A)に示されているように、継手本体2に対して絶縁ストッパ14を挿入する。絶縁ストッパ14の内径はフランジ部17の外径より小さいので、リングの切断部分を広げて径を大きくして挿入する。そして図3の(B)に示されているように、絶縁ストッパ14を胴部21に待機させる。図3の(C)に示されているように、袋ナット13を継手本体2に挿入し、継手本体2の胴部21に位置させる。図3の(D)に示されているように、絶縁ストッパ14をその径が小さくなるように変形させて袋ナット13の環状溝部23内に挿入する。そうすると、図3の(E)に示されているように、絶縁ストッパ14の弾性力によって絶縁ストッパ14は環状溝部23内でしっかりと固定される。袋ナット13をスライドさせると、図3の(F)に示されているように、絶縁ストッパ14の内周面が継手本体2の段部19上をスライドして、絶縁ストッパ14の端面がフランジ部17の端面に当接する。すなわち袋ナット13は抜けが防止される。本実施の形態においては、絶縁ストッパ14は断面形状が方形になっており、フランジ部17の端面18と環状溝部23の壁面24は軸に対して垂直面になっているので、それぞれの面同士は垂直に面接触することになる。これによって袋ナット13に強い抜き方向の力が作用しても袋ナット13が継手本体2から抜けにくくなっている。パッキン15を挿入して第2の接続部4の組立が完了する。
【0017】
本実施の形態に係る絶縁継手1は色々な変形が可能である。例えば、本実施の形態においては第1の接続部3はいわゆるワンタッチ継手から構成されているように説明したが、他の継手から構成してもよい。また絶縁ストッパ14は、ポリアセタールからなるように説明したが、必要によりグラスファイバー等の強化繊維入り樹脂から形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 絶縁継手 2 継手本体
3 第1の接続部 4 第2の接続部
6 袋ナット 13 袋ナット
14 絶縁ストッパ 15 パッキン
17 フランジ部 18 端面
19 段部 21 胴部
23 環状溝部 24 壁面
図1
図2
図3
図4