(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】ドロス除去装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20230901BHJP
【FI】
B23K26/70
(21)【出願番号】P 2020118916
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599100659
【氏名又は名称】株式会社生澤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128141
【氏名又は名称】飯田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】生澤 晃
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-086248(JP,A)
【文献】特開2014-124685(JP,A)
【文献】特開2014-213340(JP,A)
【文献】特開2006-110632(JP,A)
【文献】特開平11-239896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを複数の剣山側凸部で支持する剣山に付着したドロスを除去するドロス除去装置であって、
シャフトと、
前記シャフトを中心として回動自在に前記シャフトで支持されると共に、複数の前記剣山側凸部が連なる方向に前記剣山側凸部の上面上を走行可能に構成される少なくとも一つの走行側車輪部と、
前記走行側車輪部の隣りにおいて、前記走行側車輪部の回動に連動して前記シャフトを中心として回動可能に前記シャフトで支持される少なくとも一つのドロス除去側車輪部と、
前記ドロス除去側車輪部の所定の位置を起点として、前記シャフトの中心軸に対して直交する直交方向に凸となると共に、前記シャフトを旋回中心として旋回可能に構成されるドロス除去側凸部と、
を備え、
前記シャフトの軸方向(以下、シャフト軸方向と呼ぶ。)を向く前記剣山側凸部の側面を起点として前記剣山側凸部の近傍において前記シャフト軸方向に広がる、前記剣山側凸部に隣接する領域を隣接近傍領域と定義した場合、
前記走行側車輪部が前記剣山側凸部の前記上面上を走行する時、前記ドロス除去側凸部は、旋回して前記隣接近傍領域を通過するよう設けられ、且つ、前記ドロス除去側凸部が前記隣接近傍領域を通過する時、前記剣山側凸部に付着した前記ドロスに衝突して、前記ドロスを前記剣山側凸部から除去するように構成されることを特徴とする、
ドロス除去装置。
【請求項2】
前記走行側車輪部は、前記シャフト軸方向における厚みが前記剣山側凸部の厚み以下の円環部材により構成されることを特徴とする、
請求項1に記載のドロス除去装置。
【請求項3】
前記ドロス除去側凸部は、前記シャフト軸方向の周りの前記ドロス除去側車輪部の外縁の周方向に複数設けられることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のドロス除去装置。
【請求項4】
複数の前記走行側車輪部と複数の前記ドロス除去側車輪部が相互に接触しつつ、前記シャフト軸方向に交互に並列に配置されることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載のドロス除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工の対象となるワークを支持する剣山に付着したドロスを除去するドロス除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、剣山(スキッド)で支持されたワークをレーザー加工する際、剣山に付着するドロスを除去する装置として、支持軸で回転自在に支持される、ピニオンのような構成の起動回転体と、回転ブラシ本体と、ブラシと、を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。起動回転体の凹凸部が剣山(スキッド)の凹凸部に噛み合いながら、起動回転体は、進行方向に進んでいく。その際、回転ブラシ本体が回転し、ブラシは、剣山(スキッド)の凹凸部の両側面を擦る。これにより、剣山(スキッド)の凹凸部の両側面に付着したドロスを除去する。つまり、上記装置では、ドロスに対するブラシの摩擦力によりドロスを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記説明したように、上記装置はドロスに対するブラシの摩擦力によりドロスを除去するところ、ブラシの摩擦力は弱いため、剣山(スキッド)上における上記装置の一回又は二回程度の走行では、剣山(スキッド)の凹凸部の両側面に強固に付着しているドロスを除去することが難しい。つまり、剣山(スキッド)の凹凸部の両側面に強固に付着しているドロスを除去するのに、剣山(スキッド)上において上記装置を何回も走行させる必要がある。
【0005】
また、上記装置の起動回転体がピニオンのような構成なのは、起動回転体の凹凸部と剣山(スキッド)の凹凸部を噛み合わせながら、起動回転体を進行方向に進めるためである。しかしながら、剣山(スキッド)の凹凸部のサイズと起動回転体の凹凸部のサイズが異なる場合、両者の間で噛み合いが起きない状態になる。このため、起動回転体が剣山(スキッド)の凹凸部上を走行する際、起動回転体の凹凸部のうち、凸部の先端面が剣山(スキッド)の凹凸部に間欠的に接触して走行する状態となる。結果、起動回転体は、剣山(スキッド)の凹凸部上をガタつきながら走行せざるを得ない。これを回避するのに、剣山(スキッド)の凹凸部のサイズ毎に、噛み合いが生じるサイズの起動回転体を備えた装置を複数個用意するとなると、コストがかかると共に、装置の管理個数が多くなる。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、剣山に付着したドロスを衝突力により除去することができるドロス除去装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、本発明のドロス除去装置は、ワークを複数の剣山側凸部で支持する剣山に付着したドロスを除去するドロス除去装置であって、シャフトと、前記シャフトを中心として回動自在に前記シャフトで支持されると共に、複数の前記剣山側凸部が連なる方向に前記剣山側凸部の上面上を走行可能に構成される少なくとも一つの走行側車輪部と、前記走行側車輪部の隣りにおいて、前記走行側車輪部の回動に連動して前記シャフトを中心として回動可能に前記シャフトで支持される少なくとも一つのドロス除去側車輪部と、前記ドロス除去側車輪部の所定の位置を起点として、前記シャフトの中心軸に対して直交する直交方向に凸となると共に、前記シャフトを旋回中心として旋回可能に構成されるドロス除去側凸部と、を備え、前記シャフトの軸方向(以下、シャフト軸方向と呼ぶ。)を向く前記剣山側凸部の側面を起点として前記剣山側凸部の近傍において前記シャフト軸方向に広がる、前記剣山側凸部に隣接する領域を隣接近傍領域と定義した場合、前記走行側車輪部が前記剣山側凸部の前記上面上を走行する時、前記ドロス除去側凸部は、旋回して前記隣接近傍領域を通過するよう設けられ、且つ、前記ドロス除去側凸部が前記隣接近傍領域を通過する時、前記剣山側凸部に付着した前記ドロスに衝突して、前記ドロスを前記剣山側凸部から除去するように構成されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のドロス除去装置において、前記走行側車輪部は、前記シャフト軸方向における厚みが前記剣山側凸部の厚み以下の円環部材により構成されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のドロス除去装置において前記ドロス除去側凸部は、前記シャフト軸方向の周りの前記ドロス除去側車輪部の外縁の周方向に複数設けられることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のドロス除去装置において、複数の前記走行側車輪部と複数の前記ドロス除去側車輪部が相互に接触しつつ、前記シャフト軸方向に交互に並列に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のドロス除去装置によれば、剣山に付着したドロスを衝突力により除去することができる。結果、剣山上における走行回数が少なくても、剣山に付着したドロスを確実に除去することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態におけるドロス除去装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるドロス除去装置の側面図及び正面図である。
【
図3】(A)は、本発明の実施形態におけるドロス除去装置を、ドロスが付着した剣山に使用した際の側面図である。(B)は、本発明の実施形態におけるドロス除去装置を、ドロスが付着した剣山に使用した際の正面図である。
【
図4】(A)は、レーザー加工の対象となるワークを支持する剣山の斜視図である。(B)は、ドロスが付着した剣山の一部領域の斜視図である。
【
図5】(A),(B)は、ドロスが付着した剣山において、本発明の実施形態におけるドロス除去装置の動作を時系列に並べた図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1~
図5は発明を実施する形態の一例であって、図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成は図に示す従来のものと同様である。
【0014】
<全体構成>
本発明の実施形態におけるドロス除去装置1は、レーザー加工の対象となる(図示しない)ワークを支持する剣山100(
図4(A)参照)に付着したドロス200(
図4(B)参照)を除去するものである。本実施形態におけるドロス除去装置1は、
図1及び
図2に示すように、走行機構2と、ドロス除去部3と、操作部4と、を備える。
【0015】
なお、
図4(A),(B)に示すように、剣山100は、複数の剣山側凸部110を有する板状の剣山片120が並列に複数並んで構成される。ワークは、複数の剣山側凸部110の先端で支持される。ワークがレーザーで加工される際、飛散するドロス200が剣山100に付着する。ドロス200は、
図4(B)に示すように、例えば、剣山側凸部110又は剣山片120の側面111や、上面112に付着する。なお、本実施形態において剣山側凸部110又は剣山片120の側面111は、剣山片120の配列方向Bを向く。このため、隣接する上記側面111は、剣山片120の配列方向Bにおいて対向する。本実施形態において上記側面111は、例えば、平面により構成されるが、これに限定されるものではなく、凸面及び/又は凹面、その他の態様の面により構成されていてもよい。凸面及び凹面は、例えば、曲面及び/又は平面で構成される。
【0016】
<走行機構>
走行機構2は、
図3(A),(B)に示すように、複数の剣山側凸部110が連なる剣山側凸部連設方向Aに、複数の剣山側凸部110の上面112上(剣山片120の上面上:以下同様)を走行するためのものである。走行機構2は、シャフト20と、走行側車輪部21と、を有する。
【0017】
走行側車輪部21は、
図2に示すように、シャフト20を中心としてシャフト20で回動自在に支持される。具体的に走行側車輪部21は、(図示しない)軸受け部材を介してシャフト20で回動自在に支持される。そして、走行側車輪部21は、
図3(A),(B)に示すように、複数の剣山側凸部110の上面112上を走行する。
【0018】
なお、複数の剣山側凸部110が連なる剣山片120の上面112は、山面(凸面)と谷面(凹面)が交互に連続する、剣山側凸部連設方向Aに延びる凹凸面として構成される。その凹凸面上をスムーズに走行可能とするため、走行側車輪部21は、
図2及び
図3(A)に示すように、円環状の円環部材21Aにより構成されることが好ましい。円環部材21Aとは、中心にシャフト20を通す貫通孔を有する円盤部材を指す。走行側車輪部21が外周に凹凸面を有するピニオンのようなピニオン体で構成される場合、剣山片120及びピニオン体の凹凸面の形状・サイズによっては、互いの凹凸面が噛み合わない。この場合、ピニオン体の凹凸面のうち、凸面の先端面が剣山片120の凹凸面に間欠的に接触して走行する状態となる。結果、ピニオン体は、ガタつきながら走行せざるを得ない。しかしながら、走行側車輪部21が円環部材21Aにより構成されれば、剣山片120の凹凸面がどのような形状・サイズであっても、剣山片120の上面112(凹凸面:以下同様)上をスムーズに走行させることができる。そして、剣山片120の上面112上を走行すると、走行側車輪部21は、剣山片120の上面112上に付着したドロス200を押し潰したり、衝突したりして破壊することができる。
【0019】
なお、円環部材21Aは、剣山側凸部110の厚みと略同じ程度の厚みを有することが好ましいが、剣山側凸部110の厚みよりも薄くても良い。なお、走行側車輪部21が剣山側凸部110の上面112上を走行する際、シャフト20は、
図3(B)に示すように、剣山片120の配列方向Bに延びるような姿勢となる。
【0020】
また、シャフト20及び走行側車輪部21の材質は、金属が好ましい。
【0021】
<除去部>
ドロス除去部3は、走行機構2が剣山側凸部110の上面112上を走行する際、剣山100に付着したドロス200を除去するものである。ドロス除去部3は、
図2に示すように、例えば、ドロス除去側車輪部30と、ドロス除去側凸部31と、を有する。
【0022】
ドロス除去側車輪部30は、シャフト20の軸方向(以下、シャフト軸方向と呼ぶ。)Cにおける走行側車輪部21の隣りにおいて、シャフト20を中心として走行側車輪部21と共に回動可能にシャフト20に支持される。具体的にドロス除去側車輪部30は、走行側車輪部21と同様に、(図示しない)軸受け部材を介してシャフト20で回動自在に支持される。つまり、ドロス除去側車輪部30は、走行側車輪部21に従動してシャフト20の周りを回動する。ドロス除去側車輪部30が走行側車輪部21に連結されれば、ドロス除去側車輪部30は上記のように動作する。また、ドロス除去側車輪部30は、
図2に示すように、円環状に構成されることが好ましい。なお、円環状の形状とは、中心にシャフト20を通す貫通孔を有する円盤状の形状を指すものである。
【0023】
本実施形態において走行側車輪部21及びドロス除去側車輪部30は、シャフト軸方向Cに沿って、交互に複数並ぶようにシャフト20に取り付けられる。このように構成すれば、
図3(B)に示すように、相互に隣接する複数の剣山片120に対してドロス除去装置1をセットすることができる。これにより、1回の操作で相互に隣接する複数の剣山片120に付着したドロス200を同時に除去することができる。
【0024】
ただし、これに限定されるものではなく、走行側車輪部21及びドロス除去側車輪部30は、それぞれ少なくとも一つあればよい。ただし、剣山側凸部110又は剣山片120の両側面111に付着したドロス200を除去する観点からすると、走行側車輪部21の両側にドロス除去側車輪部30が設けられる態様が好ましい。
【0025】
ドロス除去側凸部31は、
図2に示すように、ドロス除去側車輪部30の所定の位置を起点として、シャフト軸方向C(中心軸)に対して直交する直交方向(
図2では、円環状のドロス除去側車輪部30の径方向)に凸となると共に、シャフト20を旋回中心として旋回可能に構成される。本実施形態においてドロス除去側凸部31は、円環状のドロス除去側車輪部30の径方向の外縁30Aを起点としてドロス除去側車輪部30の径方向外側に向かって凸となる。そして、ドロス除去側凸部31は、円環状のドロス除去側車輪部30の外縁30Aの周方向に沿って複数設けられる。
図2においてドロス除去側凸部31は、外縁30Aの周方向に沿って等間隔に離して設けられているが、これに限定されるものではなく、不等間隔であってもよい。
【0026】
また、
図2においてドロス除去側凸部31は、径方向外側に進むに従ってドロス除去側凸部31の幅方向の幅が小さくなるテーパー状に構成されているが、これに限定されるものではなく、径方向外側に進むに従ってドロス除去側凸部31の幅方向の幅が大きくなってもよいし、ドロス除去側凸部31の幅方向の幅が等幅であってもよい。なお、ドロス除去側凸部31の幅方向とは、円環状のドロス除去側車輪部30の径方向及び厚み方向の双方に直交する。また、
図1~
図5では、ドロス除去側凸部31の先端は尖っているが、ドロス除去装置1の使用者の安全性を考慮して、ドロス除去側凸部31の先端を径方向外側に凸となる曲面状にして丸みをつけてもよいし、正面から見て台形になるようにドロス除去側凸部31の先端を平面状にしてもよい。
【0027】
そして、
図3(A),(B)に示すように、シャフト軸方向Cを向く剣山側凸部110又は剣山片120の側面111を起点として剣山側凸部110の近傍においてシャフト軸方向Cに広がる、剣山側凸部110に隣接する領域を隣接近傍領域Rと定義した場合、走行側車輪部21が剣山側凸部110の上面112上を走行する時、ドロス除去側凸部31は、剣山側凸部連設方向Aに進みつつ、旋回して隣接近傍領域Rを通過するよう設けられる。ドロス除去側凸部31が隣接近傍領域Rを通過するようにするには、走行側車輪部21の厚みを剣山片120の厚みとほぼ同じにして、ドロス除去側車輪部30と走行側車輪部21とを接触させて連結することが好ましい。また、複数のドロス除去部3を設ける場合、剣山片120の厚みとほぼ同じ厚みを有する走行側車輪部21は、スペーサとしても機能し、ドロス除去側凸部31が旋回した際、確実に隣接近傍領域Rを通過するように、ドロス除去側凸部31を位置決めすることができる。なお、本発明では、ドロス除去側凸部31が隣接近傍領域Rを通過するように旋回すると共に、ドロス除去側車輪部30が走行側車輪部21と連動して回転するように構成されている態様の全てが含まれる。
【0028】
そして、ドロス除去側凸部31が隣接近傍領域Rを通過する時、
図3(A)の楕円領域Sに示すように、剣山側凸部110又は剣山片120の側面111に付着したドロス200に、ドロス除去側凸部31が旋回方向に衝突する。ドロス除去側凸部31に衝突されたドロス200は破壊され、剣山側凸部110から落下する。
【0029】
なお、ドロス除去側車輪部30及びドロス除去側凸部31は、一体形成されてもよいし、それぞれが別部材として独立して構成され、互いに連結されて構成されてもよい。また、ドロス除去側車輪部30は、走行側車輪部21と一体形成されてもよいし、それぞれが別部材として独立して構成され、互いに連結されて構成されてもよい。特に、ドロス除去側車輪部30及びドロス除去側凸部31が1つのユニットとして一体形成され、走行側車輪部21(円環部材21A)が別部材として独立して構成される場合、所定のユニットのドロス除去側凸部31の損傷がひどい場合、そのユニットを新たなユニットに交換すれば、引き続きドロス除去装置1を正常な状態で使用することができる。走行側車輪部21(円環部材21A)が損傷した場合も同様に、その走行側車輪部21(円環部材21A)だけを交換すれば、引き続きドロス除去装置1を正常な状態で使用することができる。
【0030】
また、ドロス除去側車輪部30及びドロス除去側凸部31の材質は、金属であることが好ましい。特に、ドロス除去側凸部31は、金属のうち、ドロス200との衝突でも容易に変形しない材質が好ましい。
【0031】
以上のようにドロス200を衝撃力で落とす本実施形態におけるドロス除去装置1は、従来のブラシでドロス200を擦ることにより摩擦力で落とすようなタイプの装置と比べて、格段に少ない走行回数でドロス200を除去することができる。
【0032】
<操作部>
操作部4は、走行機構2及びドロス除去部3を操作するものである。本実施形態において操作部4は、
図2に示すように、シャフト保持部40と、把持部41と、を有する。シャフト保持部40は、シャフト20を保持するものである。本実施形態におけるシャフト保持部40は、
図2に示すように、2つの連結部42と、架設部43と、を有する。2つの連結部42は、シャフト20の両端、又はその近傍において、シャフト20に連結される部分である。架設部43は、一方の連結部42から他方の連結部42へ架け渡す部分である。本実施形態においてシャフト保持部40は、コの字形状をしている。
【0033】
把持部41は、シャフト保持部40を起点としてシャフト20から離れる方向(例えば、シャフト軸方向Cに直交する方向)に延びる部分であり、ドロス除去装置1の使用者が把持する部分である。本実施形態において把持部41は、棒状に形成され、架設部43の中央領域からシャフト20と反対側に、シャフト軸方向Cに直交する方向に沿って延びる。
【0034】
<ドロス除去装置の動作>
図5を参照して、本実施形態におけるドロス除去装置1により剣山100に付着したドロス200を除去する際の動作について改めて説明する。まず、
図5(A)に示すように、走行側車輪部21を剣山側凸部110の上面112に載置する。この状態から把持部41を把持する使用者は、走行機構2及びドロス除去部3を剣山側凸部連設方向Aの前方側A1に押すと、走行側車輪部21はシャフト20周りにおいて回転して剣山側凸部110の上面112上を走行する。
【0035】
この際、走行側車輪部21は、剣山側凸部110の上面112に付着したドロス200を押し潰したり、衝突したりする。これにより、剣山側凸部110の上面112に付着したドロス200は、破壊され、剣山側凸部110から落下する。
【0036】
また、
図5(B)に示すように、それと同時に、ドロス除去側車輪部30は、走行側車輪部21の回転に連動して同方向に回転しつつ、走行側車輪部21と共に、剣山側凸部連設方向Aの前方側A1に進む。そして、ドロス除去側凸部31は、シャフト20を旋回中心としてシャフト20の周りを旋回する。ドロス除去側凸部31は、隣接近傍領域Rを通過する時、その隣接近傍領域Rに位置するドロス200に衝突する。ドロス200に衝突するのは、ドロス除去側凸部31の旋回方向の先頭側面31Aである。
【0037】
ドロス除去側凸部31が先頭側面31Aにおいてドロス200に衝突すると、ドロス200は破壊されて、落下する。ドロス除去側車輪部30の周方向に並ぶ各ドロス除去側凸部31は、この動作を進行方向において並ぶドロス200に対して行う。
【0038】
以上のようにして、剣山100に付着したドロス200は、破壊されて剣山100から除去される。なお、以上では、ドロス除去装置1を剣山側凸部連設方向Aの前方側A1に走行させる場合について説明したが、さらに、ドロス除去装置1を剣山側凸部連設方向Aの後方側A2にも移動させてもよい。つまり、ドロス除去装置1を剣山側凸部連設方向Aに繰り返し往復移動させるように操作すれば、剣山100に付着したドロス200を容易に除去することができる。
【0039】
尚、本発明のドロス除去装置1は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1 ドロス除去装置
2 走行機構
3 ドロス除去部
4 操作部
20 シャフト
21 走行側車輪部
21A 円環部材
30 ドロス除去側車輪部
30A 外縁
31 ドロス除去側凸部
31A 先頭側面
40 シャフト保持部
41 把持部
42 連結部
43 架設部
100 剣山
110 剣山側凸部
111 剣山側凸部の側面
112 剣山側凸部の上面
120 剣山片
200 ドロス
A 剣山側凸部連設方向
B 配列方向
C シャフト軸方向
R 隣接近傍領域