(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】表面結合剤および基材表面の処理方法
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20230901BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20230901BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20230901BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230901BHJP
【FI】
C09D201/00
C23C28/00 A
C09D5/00 D
C09D7/63
(21)【出願番号】P 2022126978
(22)【出願日】2022-08-09
【審査請求日】2022-08-09
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522318184
【氏名又は名称】柏群科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BO CHYN TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】簡志勝
(72)【発明者】
【氏名】范志宏
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/009873(WO,A1)
【文献】特開2016-121348(JP,A)
【文献】特開平4-318192(JP,A)
【文献】特開2000-204485(JP,A)
【文献】特開2002-321310(JP,A)
【文献】特開昭60-218485(JP,A)
【文献】特開昭61-266241(JP,A)
【文献】米国特許第4428987(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
C23C 28/00
C09D 5/00
C09D 7/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアゾール化合物及びイミダゾール化合物を含む、非金属基材の表面付着力を向上するための表面結合剤。
【請求項2】
前記トリアゾール化合物は、ベンゾトリアゾール及び5-メチルベンゾトリアゾールから選ばれる少なくとも1つを含み、前記イミダゾール化合物は、イミダゾール、ジヒドロイミダゾール及び1,2-ジメチルイミダゾールから選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載の表面結合剤。
【請求項3】
ピリジン化合物をさらに含む、請求項1に記載の表面結合剤。
【請求項4】
前記ピリジン化合物は、2-メチルピリジン及び2-メルカプトピリジンから選ばれる少なくとも1つを含む、請求項3に記載の表面結合剤。
【請求項5】
前記トリアゾール化合物及び前記イミダゾール化合物の濃度は、それぞれ0.05g/L~50g/Lの間にある、請求項1に記載の表面結合剤。
【請求項6】
前記ピリジン化合物の濃度は、0.05g/L~50g/Lの間にある、請求項3に記載の表面結合剤。
【請求項7】
ジメチルアセトアミドをさらに含む、請求項1に記載の表面結合剤。
【請求項8】
前記ジメチルアセトアミドの濃度は、5mL/L~100mL/Lの間にある、請求項7に記載の表面結合剤。
【請求項9】
前記表面結合剤は、酸類化合物を含まない、請求項1に記載の表面結合剤。
【請求項10】
金属基材の表面付着力の向上用である、請求項1に記載の表面結合剤。
【請求項11】
無機酸化合物及び有機酸化合物の少なくとも1つをさらに含む、請求項10に記載の表面結合剤。
【請求項12】
前記無機酸化合物は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項11に記載の表面結合剤。
【請求項13】
前記有機酸化合物は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、アクリル酸、ブテン酸、メタクリル酸、エタン二酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、桂皮酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、グリシン、酒石酸、クエン酸、スルファミン酸、β-クロロプロピオン酸、ニコチン酸、アスコルビン酸、ヒドロキシトリメチル酢酸及びレブリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項11に記載の表面結合剤。
【請求項14】
エタノールアミン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメトキシエタンからなる群から選ばれる少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の表面結合剤。
【請求項15】
請求項1に記載の表面結合剤と、基材の表面とを接触させることにより、前記基材の表面と前記基材の表面を覆う層との付着力を向上させることを含み、
前記基材は金属基材又は非金属基材であり、前記基材の表面を覆う層は金属層又は非金属層である、
基材の表面を処理する方法。
【請求項16】
前記金属基材及び前記金属層を形成する材料は、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム及びその合金からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非金属基材及び前記非金属層を形成する材料は、ガラス、ポリイミド膜、プリプレグ、画像化可能な誘電体、画像化可能な樹脂、ソルダーマスク、エッチングフォトレジスト又はシリコンウェーハである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
スピンコーティング、浸漬又はスプレーの方式により、前記表面結合剤と前記基材の表面とを接触させる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記表面結合剤と前記基材の表面とを接触させるとき、反応温度は20℃~60℃との間にある、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記表面結合剤と前記基材の表面とを接触させるとき、反応時間は30秒~900秒との間にある、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記基材の表面は、予め粗面化処理されていない表面である、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記表面結合剤は、予め10%~20%まで希釈した後、前記基材の表面と接触させる、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記表面結合剤が前記基材の表面と接触した後、水洗で余分な表面結合剤を洗浄し、そして前記基材を熱乾燥することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面結合剤及びそれを使用する基材表面の処理方法に関し、特に表面結合剤を使用し、非金属面(たとえばガラス、シリコンウェーハ、ポリイミド(PI)膜等の表面)及び金属面(たとえば銅と銅合金、鋳鉄、アルミニウム、鋼、ニッケル、亜鉛、ニッケル鉄合金等の表面)を処理することで、基材の表面とフォトレジスト、インク又は追加される金属層(スパッタリング、蒸着等の方式で形成されるもの)等の塗布材料との付着力を向上する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、基材表面と塗布材料との付着力を向上するために、基材表面を予めに粗面化処理する方法が採用される。例えば、プリント回路基板の粗面化銅箔上にフォトレジストを形成し、そして露光によりフォトレジストに特定の形状を与え、一部の銅箔表面を露出させ、そして露出した銅をエッチングで除去し、フォトレジストを除去した後、エッチングで除去されなかった銅を保留し、プリント回路基板上に望ましい銅回路パターンを形成する。
【0003】
しかしながら、粗面化処理を採用すれば、粗い銅表面はそのまま回路パターン上に存在し、高周波かつ高速で伝送する情報伝送経路では、通常回路の表面で発生する「表皮効果」のため、回路の表面は平坦性でないと、信号が悪くなるという問題が生じる。また、粗面化処理は通常汚染された廃水を伴うので、環境保護という問題も存在する。一方、回路パターンの微細化、縮小化につれ、粗面化処理の銅表面とパターン化フォトレジストとの付着力に関る問題は一層深刻となる。したがって、高周波かつ高速での伝送に向かう時代において、業界では、基材導体の表面を粗面化しない方法で回路を製造することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、表面処理組成物を用いて予め金属表面を処理する方法が知られているが、先行技術が開示する表面処理組成物は、表面処理組成物による基材表面の過度の腐食や不均一な腐食、又は付着力の向上効果がはっきりと見えない等の問題がまだ存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明は、非金属基材の表面付着力を向上するための、トリアゾール化合物及びイミダゾール化合物を含む、表面結合剤を提供する。
【0006】
1つの具体的実施態様において、前記トリアゾール化合物はベンゾトリアゾール及び5-メチルベンゾトリアゾールから選ばれる少なくとも1つを含み、前記イミダゾール化合物はイミダゾール、ジヒドロイミダゾール及び1,2-ジメチルイミダゾールから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0007】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤はピリジン化合物をさらに含み、また、もう1つの具体的実施態樣において、前記ピリジン化合物は2-メチルピリジン及び2-メルカプトピリジンから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0008】
1つの具体的実施態様において、前記トリアゾール化合物、前記イミダゾール化合物及び前記ピリジン化合物の濃度は、それぞれ0.05g/L~50g/Lの間にある。
【0009】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤は、触媒としてのジメチルアセトアミドをさらに含み、また、もう1つの具体的実施態樣において、前記ジメチルアセトアミドの濃度は5mL/L~100mL/Lの間にある。
【0010】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤は酸類化合物を含まない。
【0011】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤は、金属基材の表面付着力の向上用であり得、また、もう1つの具体的実施態樣において、前記表面結合剤は、無機酸化合物及び有機酸化合物の少なくとも1つをさらに含む。
【0012】
1つの具体的実施態様において、前記無機酸化合物は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0013】
1つの具体的実施態様において、前記有機酸化合物は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、アクリル酸、ブテン酸、メタクリル酸、エタン二酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、桂皮酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、グリシン、酒石酸、クエン酸、スルファミン酸、β-クロロプロピオン酸、ニコチン酸、アスコルビン酸、ヒドロキシトリメチル酢酸及びレブリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0014】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤は、エタノールアミン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメトキシエタンからなる群から選ばれる少なくとも1つをさらに含む。
【0015】
本発明は、本発明の表面結合剤と基材の表面とを接触させることにより、前記基材の表面と前記基材の表面を覆う層との付着力を向上することを含み、前記基材は金属基材又は非金属基材であり、前記基材の表面を覆う層は金属層又は非金属層である、基材の表面を処理する方法をさらに提供する。
【0016】
1つの具体的実施態様において、前記金属基材と金属層の材料は、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム及びその合金からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。1つの具体的実施態様において、前記非金属基材と非金属層の材料は、ガラス、ポリイミド膜、プリプレグ、画像化可能な誘電体、画像化可能な樹脂、ソルダーマスク、エッチングフォトレジスト又はシリコンウェーハである。
【0017】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤は、スピンコーティング、浸漬又はスプレーの方式により、基材の表面と接触する。
【0018】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤と前記基材の表面とを接触させるとき、反応温度は20℃~60℃との間にある。
【0019】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤と前記基材の表面とを接触させるとき、反応時間は30秒~900秒との間にある。
【0020】
1つの具体的実施態様において、前記基材の表面は予めに粗面化処理されていない表面である。
【0021】
1つの具体的実施態様において、前記表面結合剤は予めに10%~20%まで希釈した後、基材の表面と接触する。
【0022】
1つの具体的実施態様において、本発明の基材の表面を処理する方法は、前記表面結合剤と前記基材の表面と接触した後、水洗で余分な表面結合剤を洗浄し、そして前記基材を熱乾燥することを行うことをさらに含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の表面結合剤は、以下の特徴を有する。
1.表面結合剤は基材の表面上に施用して有機層を形成させることにより、予めに粗面化処理されていない基材表面とその上を覆う材料との付着力を効果的に向上して、その上を覆う材料の脱落、剥離を予防する。
2.粗面化処理(例えばブラッシング、サンドブラスト、ミクロエッチング等)のプロセスを免除することができるので、粗面化処理の廃棄物(重金属廃水、腐食性のある強酸等)の発生を予防できるとともに、基材表面がよりよい平坦性を備える。
3.適用される基材及びその上を覆う層の種類は幅広く、ガラス、ポリイミド膜、プリプレグ、画像化可能な誘電体、画像化可能な樹脂、ソルダーマスク、エッチングフォトレジスト及びシリコンウェーハ等の非金属と、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム及びその合金の金属とを含む。
4.表面結合剤で形成される有機層は透明かつ無色であり、基材表面の表面色を変えることがなく、銅を基材として使用する場合、銅の表面の色差はなく、AOIテストに有利である。
5.表面結合剤は再加工性があり、本発明の表面結合剤を繰り返して使用しても依然として優れた効果がある。
6.表面結合剤で処理後の基材表面に形成した有機層は疎水性を有し、銅を基材として使用する場合、引き続き発生するビアホールにソルダーレジストインクを塗布するによって発生するインクのブローホールという問題を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図4】本発明の表面結合剤の実施例17~19の試験結果である。
【
図5】本発明の表面結合剤の実施例17~19の試験結果である。
【
図6】本発明の表面結合剤の実施例17~19の試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書における割合関係の変更およびサイズの調整は、本発明が奏しうる効果および達成できる目標に影響を与えることない限り、本発明で開示されている技術的内容を拡大できる範囲内にあることは理解される。同時に、本明細書で引用されている「上」などの用語は、説明の便宜上のものであり、本発明の実施可能の範囲を制限するために使用されるものではない。その相対的な関係の変更または調整も、技術的内容に質的な変更がない限り、本発明の実施可能の範囲とみなす。
【0026】
本発明の表面結合剤は、トリアゾール化合物及びイミダゾール化合物を含む。
【0027】
トリアゾール化合物とイミダゾール化合物は、基材表面と塗布材料との間の付着力を向上するための主要成分であり、それらは基材表面上に有機層を形成する。トリアゾール化合物は、例えばベンゾトリアゾール及び5-メチルベンゾトリアゾール等であり、イミダゾール化合物は、例えばイミダゾール、ジヒドロイミダゾール及び1,2-ジメチルイミダゾール等である。トリアゾール化合物とイミダゾール化合物は、架橋配位子とすることができ、N-1及びN-3を配位原子とし、基材表面上の原子及び塗布材料の原子にそれぞれ連接して結合を形成することで、基材表面と塗布材料を架橋する効果を達成する。
【0028】
本発明の表面結合剤はピリジン化合物をさらに含み、それは、基材表面と塗布材料との付着力を向上するための次要成分とする。ピリジン化合物は、例えば2-メチルピリジン及び2-メルカプトピリジン等である。
【0029】
表面結合剤において、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物及びピリジン化合物の濃度は、それぞれ0.05g/L~50g/Lの間にあり、0.1g/L~40g/Lの間にあり、0.25g/L~30g/Lの間にあり、0.5g/L~25g/Lの間にあり、又は1g/L~25g/Lの間にあり、濃度は例えば0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50g/Lであってもよいが、これに限定されないこれに限定されない。
【0030】
付着力を向上する化合物の総濃度は0.05g/L~200g/Lの間にあってもよく、0.1g/L~200g/Lの間にあってもよく、1g/L~150g/Lの間にあってもよく、10g/L~100g/Lの間にあってもよく、又は25g/L~100g/Lの間にあってもよい。濃度は、例えば0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200g/Lであってもよいが、これに限定されない。
【0031】
トリアゾール化合物、イミダゾール化合物及びピリジン化合物を溶媒に溶解させることで、表面結合剤を調製する。溶媒の種類は限定がなく、適切な濃度で溶解させる溶媒であればよい。1つの具体的実施態様において、溶媒は水であり、他の実施態樣には、溶媒は他の有機溶媒であってもよく、また、同時に有機溶媒及び水を含んでもよい。
【0032】
溶媒として、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クレゾール及びクロロベンゼン等の芳香族類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノール及びシクロヘキサノール等の脂肪族アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及び二プロピレングリコール等のジオール類;グリセロール;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びジエチレングリコールモノフェニルエーテル等のジオールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びジエチレングリコールジプロピルエーテル等のジオールジエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のジオールモノアセテート類;ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、2-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシアミルアセテート、3-メトキシアミルアセテート、4-メトキシアミルアセテート、2-メチル-3-メトキシアミルアセテート、3-メチル-3-メトキシアミルアセテート、3-メチル-4-メトキシアミルアセテート及び4-メチル-4-メトキシアミルアセテート等のジオール類のモノエーテルモノアセテート類;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチル、メチル-3-メトキシプロピオン酸エステル、エチル-3-メトキシプロピオン酸エステル、エチル-3-エトキシプロピオン酸エステル、エチル-3-プロポキシプロピオン酸エステル、プロピル-3-メトキシプロピオン酸エステル、イソプロピル-3-メトキシプロピオン酸エステル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセチル酢酸メチル、アセチル酢酸エチル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル及びγ-ブチロラクトン等のエステル類;N,N,N’,N’-テトラメチル尿素、N-メチル-2-ピロリジンケトン、N,N-ジメチルカルボキサミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリンケトン及びジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性有機溶媒を選択して使用してもよい。1つの具体的実施態様において、溶媒は、例えば、水及びジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
【0033】
本発明の表面結合剤は、触媒をさらに含んでもよく、触媒の種類には制限はなく、具体的には、ジメチルアセトアミドを挙げることができる。触媒は、表面結合剤と基材表面との間の作用を加速し、処理時間を短縮し、プロセスの制御に有利である。触媒の濃度は5mL/L~100mL/Lの間にあってもよく、濃度は、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mL/Lであるが、これに限定されない。
【0034】
本発明の表面結合剤のpH値は、一般的に7~8の間にあってもよいが、これに限定されない。pH値は、例えば7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0であってもよい。上記表面結合剤のpH値は、酸類化合物を含まないときに測定されたものである、即ち、本発明の表面結合剤は、無機酸及び/又は有機酸を含まなくてもよい。しかしながら、他の具体的実施態樣において、本発明の表面結合剤は無機酸化合物をさらに含んでもよい。それは、表面結合剤のpH値が調整できる一方、無機酸化合物はミクロエッチングの効果を有してもよく、基材の表面に極微細な腐食跡を形成して、塗布材料との接触面積を増加し、付着力を向上してもよい。
【0035】
無機酸化合物の種類にとくに制限することはなく、例えば硫酸、塩酸、硝酸及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよい、無機酸混合物を使用するとき、各酸は任意の適切な割合で組み合わせてもよい。1つの具体的実施態様において、表面結合剤には硫酸を含む。
【0036】
無機酸化合物の濃度は50g/L~400g/Lの間にあってもよく、濃度は、例えば50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400g/Lあってもよいが、これに限定されない。
【0037】
他の具体的実施態樣において、本発明の表面結合剤は有機酸化合物をさらに含んでもよく、それは上記の無機酸化合物のように表面結合剤のpH値を調整することができる一方、有機酸化合物はミクロエッチングの効果を有してもよく、基材の表面に極微細な腐食跡を形成して、塗布材料との接触面積を増加し、付着力を向上してもよい。
【0038】
有機酸化合物の種類にはとくに制限することはなく、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、シュウ酸、アクリル酸、ブテン酸、メタクリル酸、エタン二酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、桂皮酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、グリシン、酒石酸、クエン酸、スルファミン酸、β-クロロプロピオン酸、ニコチン酸、アスコルビン酸、ヒドロキシトリメチル酢酸及びレブリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよく、有機酸混合物を使用するとき、各酸は任意の適切な割合で組み合わせてもよい。1つの具体的実施態様において、表面結合剤には酢酸を含む。
【0039】
有機酸化合物の濃度は5g/L~100g/Lの間にあってもよく、濃度は、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100g/Lであってもよいが、これに限定されない。
【0040】
有機酸化合物、無機酸化合物等の酸類化合物を添加する場合、本発明の表面結合剤のpH値は大幅に降低し、例えば、pHが4未満、3未満、又は2未満であるが、これに限定されない。具体的に、有機酸及び/又は無機酸を添加する時の表面結合剤のpH値は3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0であってもよい。本発明の表面結合剤は酸類化合物を含まないとき、通常非金属の基材表面での使用に適しており、本発明の表面結合剤は酸類化合物を含むとき、通常金属の基材表面上での使用に適しているが、これに限定されない。
【0041】
本発明の表面結合剤は、エタノールアミン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメトキシエタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの他の成分をさらに含んでもよい。本発明の目的を阻害しない限り、それぞれの添加剤を添加してもよく、例えば、pH調整剤、分散剤、界面活性剤、防腐剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤及び著色剤等が挙げられる。
【0042】
本発明は、基材の表面を洗浄すること、表面結合剤と基材の表面とを接触させること、必要に応じて水で余分な表面結合剤を洗浄すること、及び熱乾燥又は光固化を行うことでその基材の表面上に有機層を形成すること含む、基材の表面を処理する方法を提供する。表面結合剤で基材表面を処理することにより、前記基材と前記基材の表面を覆う材料との付着力を向上させる。
【0043】
基材の表面の洗浄は有機溶媒又は酸性清潔剤を使用することにより完成でき、具体的には、例えば硫酸、リン酸等の溶液、イソプロパノールを使用してもよいが、これに限定されない。
【0044】
基材の表面を洗浄した後、表面結合剤と基材の表面とを接触させる。接触の方法は特に限定されるものではなく、スパッタリング、蒸着、浸す又は浸漬、スピンコーティング、又はスプレー等の方法を採用することができ、必要に応じて適切な接触方法を選択することができる。有機層を均一に形成する点から、浸す又は浸漬処理を優先的に選択することができる。
【0045】
本発明の表面結合剤が適用できる基材の種類は幅広く、金属基材であっても非金属基材であってもよい。また、引き続き、基材の表面を覆う層の種類も幅広く、金属層であっても非金属層であってもよい。金属基材及び金属層の材料は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム及びその合金等であり、非金属基材及び非金属層の材料は、例えばガラス、ポリイミド膜、プリプレグ、画像化可能な誘電体、画像化可能な樹脂、ソルダーマスク、エッチングフォトレジスト及びシリコンウェーハ等であってもよい。表面結合剤を使用することで、基材の表面付着力を大幅に強化するので、基材の表面は予め粗面化処理されていない表面であってもよい。
【0046】
浸漬処理を採用するとき、表面結合剤の温度は、好ましくは20℃~60℃の間にあり、より好ましくは30℃~50℃の間にある。浸漬時間は、好ましくは60秒~900秒の間にあり、より好ましくは60秒~600秒の間にある。浸漬処理後、通常必要に応じての水洗工程を行い、最後に乾燥工程を行う。
【0047】
スプレー処理を採用するとき、表面結合剤の温度は、好ましくは20℃~60℃の間にあり、より好ましくは30℃~50℃の間にある。スプレー圧力は、好ましくは0.01MPa~0.3MPaの間にあり、スプレー時間は15~600秒の条件下で処理を行い、より好ましくは、スプレー圧力が0.05MPa~0.2MPa、且つスプレー時間が30~300秒の条件下で処理を行う。通常、浸漬処理の後に必要に応じて水洗工程を行うことで、余分な表面結合剤を洗浄し、最後に熱乾燥又は光固化工程を進行し、その表面結合剤で基材の表面上に有機層を形成させる。
【0048】
1つの具体的実施態様において、本発明の表面結合剤は、基材の表面と接触する前に、10%~20%の希釈濃度に希釈してもよい。
【0049】
本発明の表面結合剤は、基材の表面と接触した後、基材の表面上に有機層を形成し、この有機層は透明且つ疎水性である。また、この有機層は極めて薄く、目で視認しにくいので、基材の表面上に水を滴下することにより、水と表面との接触角が大きく、水滴状として見えるかどうかを観察して、有機層が正常に形成されたかどうかを確認することができる。
【0050】
具体的には、本発明の表面結合剤は、銅板、銅箔基板のような金属基材の表面と接触してもよく、例えば銅板、銅箔基板等の基材を、本発明の表面結合剤を含む浴に浸漬することにより、この基材の表面上に有機層を形成させ、そしてこの有機層上にフォトレジストのポリマーのような塗覆材料をさらに形成して、この有機層を塗覆材料と基材との間に位置させてもよい。一方、表面結合剤がガラス、ポリイミド膜等の非金属基材の表面と接触して、有機層を形成し、そしてニッケル、クロム、銅等の金属層をメッキして、この有機層を金属層と基材との間に位置させてもよい。
【0051】
以下、特定の具体的な実施例により、本発明の実施方式を説明する。当業者は、本明細書が開示する内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解できる。
【実施例】
【0052】
試験例1
実施例1の表面結合剤は、ベンゾトリアゾール、イミダゾール及びジヒドロイミダゾール等の付着力を向上させる化合物を含む。室温下、粗面化処理されていない銅板を実施例1の表面結合剤に15分間浸漬し、表面結合剤で銅表面を処理し、そして水洗、乾燥して、銅の表面にドライフィルムフォトレジスト(ドライフィルムフォトレジストE9500、長興材料工業株式会社から購入)を塗布/成膜した。3%のNaOH溶液をフィルム剥離液とし、フォトレジストを塗布した銅板をフィルム剥離液に浸漬し、操作温度を50℃とし、銅表面からのフォトレジストの剥離を観察し、フォトレジストの剥離面積が30%に達した時間を記録した。
【0053】
実施例2~7は実施例1と同様な工程で試験を行い、ただし、表面結合剤の組成、表面結合剤の浸漬時間等のパラメーターは下記表1に示すように調整した。比較例1は表面結合剤を浸漬せず、粗面化処理されていない銅板をそのままフィルム剥離液に浸漬した。
【0054】
実施例1~7及び比較例1の表面結合剤の組成、表面結合剤の浸漬時間及びフォトレジストの剥離時間を下記表1に示す。表面結合剤の原液組成において、ベンゾトリアゾールの濃度は3g/L~30g/Lの間にあり、イミダゾールの濃度は0.5g/L~5g/Lの間にあり、ジヒドロイミダゾールの濃度は0.5g/L~5g/Lの間にあり、2-メチルピリジンの濃度は3g/L~30g/Lの間にあり、5-メチルベンゾトリアゾールの濃度は0.5g/L~5g/Lの間にあり、1,2-ジメチルイミダゾールの濃度は0.5g/L~5g/Lの間にあり、2-メルカプトピリジンの濃度は0.5g/L~5g/Lの間にあり、ジメチルアセトアミドの濃度は5mL/L~50mL/Lの間にあった。表面結合剤で基材表面を処理する前に、原液を水で20%に希釈してから処理を行った。
【0055】
【0056】
上記の表1の結果からわかるように、銅の表面は、実施例1の表面結合剤の処理により、銅表面からのフォトレジストの剥離時間を緩和し、1分01秒から2分02秒まで延長することができた。結果は、実施例1の表面結合剤は銅の表面とフォトレジストとの付着力を効果的に向上できることを示す。一方、実施例6の結果は、表面結合剤における付着力を向上する化合物の種類を増やすとともに、銅の表面とフォトレジストとの付着力の向上効果もより顕著に示し、銅表面からのフォトレジストの剥離時間が3分29秒まで大幅に延長された。また、実施例7に示すように、表面結合剤の浸漬時間を3分間に短縮しても、銅表面からのフォトレジストの剥離時間は依然として3分18秒に維持され、表面結合剤を未使用の比較例1よりはるかに優れている。
【0057】
試験例2
実施例8~15において、厚さ1ozの銅箔基板(FR-4、南亜プラスチック工業株式会社から購入)を用意し、酸性洗浄剤で銅箔表面を洗浄した後、室温下で銅箔基板を表面結合剤に浸漬させた。この表面結合剤はベンゾトリアゾール、イミダゾール、ジヒドロイミダゾール、2-メチルピリジン、5-メチルベンゾトリアゾール、1,2-ジメチルイミダゾール及び2-メルカプトピリジン等の表面付着力を向上する化合物、及びジメチルアセトアミドを含む。また、表面結合剤の原液の各成分の割合は試験例1の通りであり、そして水洗、乾燥、さらに銅箔表面上にドライフィルムフォトレジスト(ドライフィルムフォトレジストE9500、長興材料工業株式会社から購入)を塗布/成膜し、厚さ25μmのフォトレジストを形成し、10*10で合計100個の丸点パターンのフォトレジストを露光した。その中で、各丸点パターンの直径は50μmであり、且つ各丸点の間隔は50μmであり、引き続き濃度が1%(即ち10g/L)の炭酸ナトリウム溶液を現像液とし、スプレーの方式でフォトレジストを現像し、温度を30℃に制御し、圧力を30psiとし、スプレー処理時間を60秒とし、そして水洗、乾燥し、最後にフォトレジストの丸点パターンの保留状況を観察した。比較例2では、表面結合剤を浸漬せず、銅箔基板をそのままフォトレジストを塗布させた後、露光、現像、水洗及び乾燥した。実施例8~15及び比較例2のパラメーター及び結果は下記の表2に示す。
【0058】
【0059】
丸点の数量の存留割合が高いほど、銅箔表面とフォトレジストとの付着力がよいことを示す。表2の結果において、表面結合剤を使用しない比較例2において、その完整な丸点の数量は僅か71個である。一方、表面結合剤を使用する実施例8~15において、その完整な丸点の数量は最大92個であり、また、浸漬時間の増加及び希釈濃度の増加とともに、完整な丸点の数量はさらに最大100個となり、歩留まりは極めて優れていた。
【0060】
試験例3
表面結合剤でガラス基板の表面をスプレー処理した。そのとき、この表面結合剤は、ベンゾトリアゾール、イミダゾール、ジヒドロイミダゾール、2-メチルピリジン、5-メチルベンゾトリアゾール、1,2-ジメチルイミダゾール及び2-メルカプトピリジン等の表面付着力を向上する化合物、及びジメチルアセトアミドを含む。実施例16として、その表面結合剤の原液の各成分の割合は試験例1の通りであり、また水で原液を20%に希釈して使用した。そして、このガラス基板の表面上に、数本並列で並んでおり、且つ幅が2μmであり、厚さが20μmである長条状フォトレジスト(圧模パラメーター:成膜温度90℃、成膜圧力3kg、成膜速度2m/min)を設計して形成し、試験例2の条件で露光、現像を行った。結果として、現像後のフォトレジストは浮離および脱落の発生がない、即ち、表面結合剤はガラス表面とフォトレジストとの付着力を効果的に向上させることを示した。
【0061】
試験例4
比較例3~5としては、ポリイミド膜をイソプロパノール(IPA)で5分間処理した後、水洗、乾燥し、そしてポリイミド膜の表面に厚さ100nmのクロム層をスパッタリングし、さらに厚さ500nmの銅層をスパッタリングした。さらに3M#610テープをコーティングの表面に貼り付け、テープとコーティングとの間の泡を除去した後、テープの貼り付け後1分間内に90度で垂直に引く方式で3秒未満の速度で速やかにコーティング表面からテープを引き、コーティングの剥離状況を觀察した。そのとき、3M#600、3M610テープの初期粘性は32oz/inchであり、約357g/cmである。
適用:CID A-A-113, Type 1, Class B, 3M Brand Premium Transparent Film Tape 600, 3M Brand Premium Cellophane Tape 610
根拠:IPC-TM-650number2.4.1/2.4.1.1/2.4.1.3/2.4.1.4/2.4.28/2.4.28.1
【0062】
図1~
図3の結果は、表面結合剤を使用しない場合、テープ下の金属コーティングの剥離面積は70~99%までとなることを示し、ポリイミド膜と金属コーティングとの付着力は不十分であり、テープの剥離力に抵抗できないことを示した。
【0063】
一方、実施例17~19としては、ポリイミド膜を界面活性剤で5分間処理した後に水洗し、そして表面結合剤に5分間浸漬した後、水洗して乾燥することにより、表面結合剤でポリイミド膜の表面を処理した。そのとき、この表面結合剤はベンゾトリアゾール、イミダゾール、ジヒドロイミダゾール、2-メチルピリジン、5-メチルベンゾトリアゾール、1,2-ジメチルイミダゾール及び2-メルカプトピリジン等の表面付着力を向上する化合物及びジメチルアセトアミドを含み、表面結合剤の原液の各成分の割合は、試験例1の通りであり、水で原液を20%に希釈して使用し、その後、水洗し、乾燥し、直流スパッタリング(功率600W)を使用して、厚さ100nmのクロム層、厚さ500nmの銅層をスパッタリングして金属コーティングとした。最後に3M 610テープで金属コーティングを貼り付け、前記の方法で金属コーティングの剥離状況を試験した。
【0064】
図4~
図6の結果は、表面結合剤を使用してポリイミド膜の表面を処理した後、テープ下の金属コーティングの剥離面積は1%未満であることを示し、これは、ポリイミド膜表面を表面結合剤により処理した後、金属層との優れる結合を実現することができ、テープの剥離力を抵抗できることを示した。
【0065】
上記の内容により、本発明の表面結合剤は基材表面を処理することができ、基材表面に有機層を形成させることで、予めに粗面化処理されていない基材表面と塗布材料との付着力を効果的に向上させることができ、塗布材料の脱落、剥離を防止できることを理解することができる。粗面化処理プロセスが排除できるので、プロセスコストを低減するとともに、粗面化処理の廃棄物(重金属廃水、腐食性強酸等)の発生を防止することができる。また、適用可能な基材及び塗布材料の種類が幅広く、再加工性もあり、本発明の表面結合剤を繰り返して使用しても依然として優れた効果が得られる。
【0066】
上記の実施形態は、本発明の原理および効果を説明するために使用されるが、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に変更を加えることができる。したがって、権利の保護の範囲および後述する特許出願の範囲が記載されている。
【0067】
本発明に開示されている技術的内容を拡大できる範囲内で、さまざまな技術的特徴(具体的実施形態及び実施例に開示されているものなど)を互いに自由に組み合わせて、新しいまたはより良い技術的な解決策を形成することができるが、ただ簡潔のために繰り返して説明しないことを理解されたい。また、本発明で開示されている端値によって形成される数値の範囲では、数値が上限と下限の間にある限り、つまり、この文書で開示されている範囲に含まれている限り、エンドポイントまたは他の数値で形成されるサブ範囲は、当然、本発明で開示されている範囲内に含まれる。