(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】フレキシブル基板及びその加工方法、加工システム
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20230901BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
H05K3/00 J
H05K3/00 L
H05K1/02 B
(21)【出願番号】P 2018560874
(86)(22)【出願日】2018-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2018093094
(87)【国際公開番号】W WO2019024626
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】201710660238.0
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲ウェイ▼▲ユン▼
(72)【発明者】
【氏名】承 天一
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106935596(CN,A)
【文献】特開2011-248072(JP,A)
【文献】特開2015-226051(JP,A)
【文献】特開2011-048374(JP,A)
【文献】特開2010-258232(JP,A)
【文献】特開平10-255924(JP,A)
【文献】特開2007-227597(JP,A)
【文献】特開2016-082070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0120767(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板の加工方法であって、
フレキシブル基板の第1の
寸法変化量を測定することと、
前記フレキシブル基板を基材基板に積層するように前記フレキシブル基板に第1の付勢力を付勢することと、
積層する工程の後に、前記フレキシブル基板は集積回路板又はフレキシブル配線板に接合することと、を含み、
前記フレキシブル基板に付勢した第1の圧力と前記フレキシブル基板が受圧されて生じた受圧
寸法変化量との間の第1の対応関係及び前記第1の
寸法変化量に基づき、前記フレキシブル基板の第2の
寸法変化量が前記第1の
寸法変化量の少なくとも一部を補償するように前記第1の付勢力を選択し、同一の方向において、前記第1の
寸法変化量と前記第2の
寸法変化量の一方が収縮量であり、他方が拡張量であり、
前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合することには、
前記フレキシブル基板の第2の
寸法変化量を測定することが含まれ、
接合する過程において前記フレキシブル基板に付勢した温度と前記フレキシブル基板が受熱して生じた受熱
寸法変化量との間の第2の対応関係及び前記第2の
寸法変化量に基づき、前記フレキシブル基板の第3の
寸法変化量が少なくとも前記第2の
寸法変化量を補償するように、前記フレキシブル基板に接合する時に受けた温度を選択するフレキシブル基板の加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載のフレキシブル基板の加工方法であって、
前記フレキシブル基板を剛性基板から剥離することをさらに含み、
前記第1の
寸法変化量は前記フレキシブル基板を剛性基板から剥離する時に生じた収縮量であるフレキシブル基板の加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載のフレキシブル基板の加工方法であって、
レーザ剥離工程により前記フレキシブル基板を前記剛性基板から剥離するフレキシブル基板の加工方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のフレキシブル基板の加工方法であって、
前記第1の付勢力は前記フレキシブル基板がバックフィルムの貼付過程に受けた圧力であり、
前記第2の
寸法変化量は前記フレキシブル基板がバックフィルムの貼付過程に生じた
寸法変化量であるフレキシブル基板の加工方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のフレキシブル基板の加工方法であって、
前記フレキシブル基板に付勢した第1の圧力と前記フレキシブル基板の受圧
寸法変化量との間の第1の対応関係を作ることをさらに含むフレキシブル基板の加工方法。
【請求項6】
請求項5に記載の前記フレキシブル基板の加工方法であって、前記フレキシブル基板に付勢した第1の圧力と前記フレキシブル基板の受圧
寸法変化量との間の第1の対応関係を作ること、前記フレキシブル基板の第2の
寸法変化量が前記第1の圧力に従う変化曲線を取得すること、又は、前記フレキシブル基板の第2の
寸法変化量を大きさの順に従って複数の区分に分け、そのうち、それぞれの前記区分は1つの前記第1の圧力に対応することが含まれるフレキシブル基板の加工方法。
【請求項7】
請求項1に記載のフレキシブル基板の加工方法であって、
前記フレキシブル基板の第3の
寸法変化量が少なくとも前記第2の
寸法変化量を補償するように、前記接合する過程において前記フレキシブル基板に付勢した温度に基づき、前記接合する過程において前記フレキシブル基板に付勢した第2の圧力を選択することがさらに含まれるフレキシブル基板の加工方法。
【請求項8】
請求項1又は7に記載のフレキシブル基板の加工方法であって、
前記フレキシブル基板に付勢した温度と前記フレキシブル基板の第3の
寸法変化量との間の第2の対応関係を作ることがさらに含まれるフレキシブル基板の加工方法。
【請求項9】
請求項1に記載のフレキシブル基板の加工方法であって、前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合することには、
前記フレキシブル基板と集積回路板又はフレキシブル配線板の入力/出力パッドを予定方向に対して一定の角度を傾斜し、前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板の入力/出力パッドに合わせて接合するように、予定方向に従って前記入力/出力パッドを移動することが含まれるフレキシブル基板の加工方法。
【請求項10】
請求項1に記載のフレキシブル基板の加工方法であって、前記第1の
寸法変化量及び/又は第2の
寸法変化量を自動光学計測装置によって測定するフレキシブル基板の加工方法。
【請求項11】
フレキシブル基板の加工システムであって、
前記フレキシブル基板の第1の
寸法変化量を計測するように配置される計測器と、
前記フレキシブル基板を基材基板に積層するように、前記フレキシブル基板に第1の付勢力を付勢するように設置されるコントローラと、
前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合するように配置されるアダプタと、を含み、
前記フレキシブル基板に付勢した第1の圧力と前記フレキシブル基板が受圧されて生じた受圧
寸法変化量との間の第1の対応関係及び前記第1の
寸法変化量に基づき、前記フレキシブル基板の第2の
寸法変化量が前記第1の
寸法変化量の少なくとも一部を補償するように、前記第1の付勢力を選択し、同一の方向において、前記第1の
寸法変化量と前記第2の
寸法変化量の一方が収縮量であり、他方が拡張量であり、
前記計測器は前記フレキシブル基板の第2の
寸法変化量を計測するようにも配置され、
前記コントローラは、接合する過程において前記フレキシブル基板に付勢した温度と前記フレキシブル基板が受熱して生じた受熱
寸法変化量との間の第2の対応関係及び前記第1の
寸法変化量と第2の
寸法変化量に基づき、前記フレキシブル基板の第3の
寸法変化量が少なくとも前記第2の
寸法変化量を補償するように、前記フレキシブル基板に接合する時に受けた温度を選択するようにも配置されるフレキシブル基板の加工システム。
【請求項12】
請求項11に記載のフレキシブル基板の加工システムであって、
前記フレキシブル基板を剛性基板から剥離するように設置される剥離具を含み、前記第1の
寸法変化量は前記フレキシブル基板を剛性基板から剥離する時に生じた収縮量であるフレキシブル基板の加工システム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のフレキシブル基板の加工システムであって、
前記フレキシブル基板にバックフィルムを貼付するように設置されるバックフィルム貼付具を含み、
前記第1の圧力は前記フレキシブル基板がバックフィルム貼付の過程に受けた圧力であり、
前記第2の
寸法変化量は前記フレキシブル基板がバックフィルム貼付の過程に生じた
寸法変化量であるフレキシブル基板の加工システム。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載のフレキシブル基板の加工システムであって、
前記フレキシブル基板が受けた第1の圧力と前記フレキシブル基板により生じた第2の
寸法変化量との間の第1の対応関係を記憶するように配置されるメモリをさらに含むフレキシブル基板の加工システム。
【請求項15】
請求項11に記載のフレキシブル基板の加工システムであって、
前記コントローラは、前記接合する過程において前記フレキシブル基板に付勢した温度に基づいて前記接合する過程において前記フレキシブル基板に付勢する第2の圧力を選択するようにも配置されるフレキシブル基板の加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年8月4日に出願された中国出願番号201710660238.0号に基づくものであって、ここに上述の中国特許出願に開示された全ての内容を本出願の一部として援用する。
【0002】
本開示の実施例はフレキシブル基板及びその加工方法、加工システムに関する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブル表示装置は、フレキシブル材料により制作された変形可能で湾曲可能な表示装置であり、消費電力も体積も小さく、ポータブルであるなどのメリットがあり、次世代の表示技術になれる。フレキシブル表示装置は携帯電話、タブレット、テレビ、ノートパソコンなど多種の電子製品に応用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、フレキシブル基板の第1の膨張量を測定することと、前記フレキシブル基板を基材基板に積層するように前記フレキシブル基板に第1の付勢力を付勢することと、を含み、前記フレキシブル基板に付勢した第1の圧力と前記フレキシブル基板が受圧されて生じた受圧膨張量との間の第1の対応関係及び前記第1の膨張量に基づき、前記フレキシブル基板の第2の膨張量が前記第1の膨張量の少なくとも一部を補償するように前記第1の付勢力を選択する。
【0005】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、さらに前記フレキシブル基板を剛性基板から剥離することをさらに含み、前記第1の膨張量は前記フレキシブル基板を剛性基板から剥離する時に生じた収縮量である。
【0006】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法において、レーザ剥離工程により前記フレキシブル基板を前記剛性基板から剥離する。
【0007】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、前記第1の付勢力は前記フレキシブル基板がバックフィルムの貼付過程に受けた圧力であり、前記第2の膨張量は前記フレキシブル基板がバックフィルムの貼付過程に生じた膨張量である。
【0008】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、前記フレキシブル基板に付勢した第1の圧力と前記フレキシブル基板の受圧膨張量との間の第1の対応関係を作ることをさらに含む。
【0009】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、前記フレキシブル基板に付勢した第1の圧力と前記フレキシブル基板の受圧膨張量との間の第1の対応関係を作ること、前記フレキシブル基板の第2の膨張量が前記第1の圧力に従う変化曲線を取得すること、又は、前記フレキシブル基板の第2の膨張量を大きさの順に従って複数の区分に分け、そのうち、それぞれの前記区分は1つの前記第1の圧力に対応することが含まれる。
【0010】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、前記積層工程の後に、前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合することがさらに含まれる。
【0011】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合することには、前記フレキシブル基板の第2の膨張量を測定することがさらに含まれ、前記接合過程において前記フレキシブル基板に付勢した温度と前記フレキシブル基板が受熱して生じた受熱膨張量との間の第2の対応関係及び前記第2の膨張量に基づき、前記フレキシブル基板の第3の膨張量が少なくとも前記第2の膨張量を補償するように、前記フレキシブル基板に接合する時に受けた温度を選択する。
【0012】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、前記フレキシブル基板の第3の膨張量が少なくとも前記第2の膨張量を補償するように、前記接合過程において前記フレキシブル基板に付勢した温度に基づき、前記接合過程において前記フレキシブル基板に付勢した第2の圧力を選択することがさらに含まれる。
【0013】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法は、前記フレキシブル基板に付勢した温度と前記フレキシブル基板の第3の膨張量との間の第2の対応関係を作ることがさらに含まれる。
【0014】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法において、前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合することには、前記フレキシブル基板と集積回路板又はフレキシブル配線板の入力/出力パッドを予定方向に対して一定の角度を傾斜し、前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板の入力/出力パッドに合わせて接合するように、予定方向に従って前記入力/出力パッドを移動することが含まれる。
【0015】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法において、前記第1の膨張量及び/又は第2の膨張量を自動光学計測装置によって測定する。
【0016】
本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板は、前記何れか1項に記載の加工方法により得る。
【0017】
本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムは、前記フレキシブル基板の第1の膨張量を計測するように配置される計測器と、前記フレキシブル基板を基材基板に積層するように、前記フレキシブル基板に第1の付勢力を付勢するように設置されるコントローラと、を含み、前記フレキシブル基板に付勢した第1の圧力と前記フレキシブル基板が受圧されて生じた受圧膨張量との間の第1の対応関係及び前記第1の膨張量に基づき、前記フレキシブル基板の第2の膨張量が前記第1の膨張量の少なくとも一部を補償するように、前記第1の付勢力を選択する。
【0018】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムは、前記フレキシブル基板を剛性基板から剥離するように設置される剥離具を含み、前記第1の膨張量は前記フレキシブル基板を剛性基板から剥離する時に生じた収縮量である。
【0019】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムは、前記フレキシブル基板にバックフィルムを貼付するように設置されるバックフィルム貼付具を含み、前記第1の圧力は前記フレキシブル基板がバックフィルム貼付の過程に受けた圧力であり、前記第2の膨張量は前記フレキシブル基板がバックフィルム貼付の過程に生じた膨張量である。
【0020】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムは、前記フレキシブル基板が受けた第1の圧力と前記フレキシブル基板により生じた第2の膨張量との間の第1の対応関係を記憶するように配置されるメモリをさらに含む。
【0021】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムにおいて、前記フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合するように配置されるアダプタをさらに含む。
【0022】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムにおいて、前記計測器は前記フレキシブル基板の第2の膨張量を計測するようにも配置され、前記コントローラは、前記接合過程において前記フレキシブル基板に付勢した温度と前記フレキシブル基板が受熱して生じた受熱膨張量との間の第2の対応関係及び前記第1の膨張量と第2の膨張量に基づき、前記フレキシブル基板の第3の膨張量が少なくとも前記第2の膨張量を補償するように、前記フレキシブル基板に接合する時に受けた温度を選択するようにも配置される。
【0023】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムにおいて、前記コントローラは、前記接合過程において前記フレキシブル基板に付勢した温度に基づいて前記接合過程において前記フレキシブル基板に付勢する第2の圧力を選択するようにも配置される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の実施例の構成を明瞭に説明するために、以下に実施例の図面に対して簡単に説明する。明らかに、下記記載における図面は単に単に本開示における一部の実施例に関するものだけであり、本開示を限定するものではない。
【
図1】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工方法のフロー図である。
【
図2】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の剥離工程の模式図である。
【
図3】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板のバックフィルム貼付工程の模式図である。
【
図4】本開示の一つの実施例で提供される他のフレキシブル基板の加工方法のフロー図である。
【
図5A】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板に付勢した第1の圧力とそれが生じた受圧膨張量との関係の模式図である。
【
図5B】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板に付勢した第1の圧力とそれが生じた受圧膨張量との関係の模式図である。
【
図6】本開示の一つの実施例で提供される他のフレキシブル基板の加工方法のフロー図である。
【
図7A】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の接合工程の模式図である。
【
図7B】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の接合工程の模式図である。
【
図8A】本開示の一つの実施例で提供される他のフレキシブル基板の接合工程のフロー図である。
【
図8B】本開示の一つの実施例で提供される他のフレキシブル基板の接合工程のフロー図である。
【
図9A】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の接合過程においてフレキシブル基板に付勢した温度とそれが生じた受熱膨張量との関係の模式図である。
【
図9B】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の接合過程においてフレキシブル基板に付勢した温度とそれが生じた受熱膨張量との関係の模式図である。
【
図10A】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムの模式図である。
【
図10B】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムの模式図である。
【
図10C】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムの模式図である。
【
図10D】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムの模式図である。
【
図10E】本開示の一つの実施例で提供されるフレキシブル基板の加工システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施例の目的、構成及びメリットをより明瞭にするために、以下は本開示の実施例における図面に基づき、本開示の実施例における構成を明瞭で完全的な説明をする。明らかに、説明する実施例は本開示の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。説明する本開示の実施例に基づき、当業者が創意工夫を用いず取得できるあらゆる他の実施例はみな本開示の保護範囲に含まれる。
【0026】
別途に定義が無い限り、本開示に使用される技術用語又は科学用語は本開示の所属分野において一般知識を持つ人が理解する通常の意味になる。本開示に使用される「第1の」、「第2の」及び類似する表現は順番、数又は重要性を区別するのもではなく、単にそれぞれの構成部分を区別するためである。「含まれる」又は「含む」などの表現は、素子が素子を含むことを意味し、他の素子や物品を排除しない。「連結」又は「接続」などの用語は物理的又は機械的な連結に限らず、電気的な連結も含まれ、直接にでも間接にでも以上のようになる。「上」「下」「左」「右」などは、単に相対的な位置関係を示し、説明する対象の絶対位置が変化されると、当該相対位置が対応的に変化されることもある。
【0027】
本開示の発明者の研究によると、フレキシブル表示装置の制作ベース、例えばポリイミド(PI)などが製造工程の過程において収縮が発生しやすく、フレキシブルベースをフレキシブル配線板(Chip on FPC、COF)又は集積回路板(Integrated circuit、IC)に接合する過程において、各フレキシブルベースの膨張差により、フレキシブルベースがCOF又はICに接合困難になるなどの問題が生じてしまう。従来の接合手段により、フレキシブル基板の膨張量を一定の程度に補償するが、補償される範囲が限られるため、生産工程の需要を満たすことが困難である。
【0028】
本開示の少なくとも1つの実施例でフレキシブル基板の加工方法が提供され、フレキシブル基板の第1の膨張量を測定することと、フレキシブル基板を基材基板に積層するようにフレキシブル基板に第1の付勢力を付勢することと、を含み、フレキシブル基板に付勢した第1の圧力とフレキシブル基板が受圧されて生じた受圧膨張量との間の第1の対応関係及び第1の膨張量に基づき、フレキシブル基板の第2の膨張量が第1の膨張量の少なくとも一部を補償するように第1の付勢力を選択する。
【0029】
本開示の少なくとも1つの実施例で前記いずれかの加工方法により得るフレキシブル基板が提供される。
【0030】
本開示の少なくとも1つの実施例でフレキシブル基板の加工システムが提供され、フレキシブル基板の第1の膨張量を計測するように配置される計測器と、フレキシブル基板を基材基板に積層するように、フレキシブル基板に第1の付勢力を付勢するように設置されるコントローラと、を含み、フレキシブル基板に付勢した第1の圧力とフレキシブル基板が受圧されて生じた受圧膨張量との間の第1の対応関係及び第1の膨張量に基づき、フレキシブル基板の第2の膨張量が第1の膨張量の少なくとも一部を補償するように、第1の付勢力を選択する。
【0031】
以下は具体的な実施例によって本開示のフレキシブル基板及びその加工方法、加工システムを説明する。
【0032】
例えば、フレキシブル表示装置に応用するフレキシブルベースの製造は、通常、剛性基板を支持部として、剛性基板に、例えば、ポリイミド(PI)など各機能層を提供し(例えば塗布、蒸着など)、駆動アレイ回路などを製造し、その後、フレキシブルベースを剛性基板から剥離する。剥離工程の後、通常、フレキシブルベースに制御信号などを提供するように、熱圧着手段により異方性導電ペーストを用いてフレキシブルベースをフレキシブル配線板(COF)又は集積回路板(IC)に接合する。フレキシブルベースが剛性基板から剥離される過程において収縮量が常に生じるため、後続のフレキシブルベースがフレキシブル配線板又は集積回路板に接合する過程において、フレキシブルベースの膨張量(拡張量又は収縮量)が比較的に大きく、又は大量生産する際に各フレキシブルベースの膨張量の差が比較的に大きいため、フレキシブルベースがCOF又はICアライメントに合わすことも接合することも難しくなる。従来の接合手段により、フレキシブル基板の膨張量を一定の程度に補償するが、補償される範囲が限られるため、生産工程の需要を満たすことが困難である。
【0033】
本開示の少なくとも1つの実施例でフレキシブル基板の加工方法が提供される。
図1に示したように、当該方法にステップS101~S102が含まれる
【0034】
ステップS101:フレキシブル基板の第1の膨張量を測定する。
【0035】
本実施例において、第1の膨張量はフレキシブル基板がその製造過程における任意の工程に生じた膨張量であってもよく、例えば、フレキシブル基板を製造する際にフレキシブル基板を剛性基板から剥離する時に生じた膨張量であってもよく、フレキシブル基板が剛性基板から剥離された後、剛性基板の支持が無くなるため、当該剥離工程におけるフレキシブル基板が生じた膨張量は、通常、収縮量である。
【0036】
例えば、
図2に示したように、本実施例において、例えば、レーザ剥離工程によりフレキシブル基板20を剛性基板10から剥離してよく、レーザ剥離工程において、レーザのエネルギーによりフレキシブル基板20と剛性基板10との間のバッファ層を分解してフレキシブル基板20と剛性基板10とを分離する技術的効果を含んでもよい。
図2に示したように、レーザビームによりフレキシブル基板20が剥離する部位を順次に照射し、フレキシブル基板20と剛性基板10とを分離する。勿論、本実施例において、他の剥離工程を用いてもよく、本開示における実施例はこれを限定しない。
【0037】
本実施例において、膨張量に対する測定は、例えば、自動光学計測(AOI)装置を用い、剥離工程前後のフレキシブル基板の寸法変化を測定してさらにフレキシブル基板の膨張量数値を計算して得ることができる。本実施例において、他の膨張量の測定手段を用いてもよく、本開示における実施例はこれを限定しない。
【0038】
ステップS102:フレキシブル基板を基材基板に積層するように、フレキシブル基板に第1の付勢力を付勢する。
【0039】
本実施例において、フレキシブル基板20を基材基板50に積層するように、フレキシブル基板20に第1の付勢力を付勢する。
図3はフレキシブル基板20のバックフィルム貼付工程の1つの例示的な模式図である。
図3に示したように、ローラで圧延する手段によりバックフィルム30をフレキシブル基板20に貼付け、この際、例えば、フィルムがロール(図示しない)に巻き取られ、且つ、ロールをフレキシブル基板の運動に追従させてフィルム30を次第に排出し、粘着剤によりバックフィルム30とフレキシブル基板20とを貼付ける。本実施例において、当該第1の付勢力は、フレキシブル基板20がバックフィルム30の貼付過程においてローラがフレキシブル基板20に付勢した鉛直下向きの圧力であってよく、当該圧力はフレキシブル基板20の受圧膨張量を生じ、即ち、第2の膨張量であり、当該第2の膨張量は、通常、拡張量である。そのため、バックフィルム貼付工程において、フレキシブル基板20が受圧されて生じた拡張量は、フレキシブル基板20が剥離工程に生じた収縮量を一定の程度に補償できる。
【0040】
本実施例において、例えば、フレキシブル基板20に付勢した第1の圧力とフレキシブル基板20が受圧されて生じた受圧膨張量との間の第1の対応関係及び第1の膨張量の大きさに基づき、フレキシブル基板20の第2の膨張量が第1の膨張量の少なくとも一部を補償するように、フレキシブル基板20に付勢する第1の付勢力を選択することができる。そのため、フレキシブル基板20の膨張量が減少され、又は生産過程における各フレキシブル基板20の膨張量の差が小さくされる。本実施例において、第1の対応関係に応じて適宜な第1の付勢力を選択することにより、第2の膨張量の大きさが効果的に調整され、さらに第2の膨張量が第1の膨張量の大きさを補償することを調整される。
【0041】
本実施例におけるもう1つの例示において、
図4に示したように、当該フレキシブル基板の加工方法は、ステップ101の前に以下のステップS100を含んでもよい。
【0042】
ステップS100:フレキシブル基板に付勢した第1の圧力とフレキシブル基板の受圧膨張量との間の第1の対応関係を作る。
【0043】
本例示において、第1の対応関係は、例えば、フレキシブル基板の第1の膨張量を測定する前に取得してもよい。当該第1の対応関係は、例えば、フレキシブル基板の第2の膨張量が第1の圧力に従う変化曲線であってよい。当該曲線を取得する際、フレキシブル基板に付勢した第1の圧力を次第に変化すると共に、フレキシブル基板が当該圧力で生じた膨張量を測定してよく、最終的に
図5Aに示した膨張量-圧力曲線を得る。又は、当該第1の対応関係は、例えば、フレキシブル基板の第2の膨張量を大きさの順に従って複数の区分に分けてもよく、そのうち、それぞれの区分は1つの第1の圧力に対応する。例えば、
図5Bに示したように、大きさの順に従って第2の膨張量はA
min-A
1、A
1~A
2、A
2-A
3……A
n-A
maxなど複数の区分に分けられ、且つ、それぞれの膨張量区分は1つの圧力値に対応し、即ち、P1、P2、P3……Pmであり、そのうち、それぞれの膨張量区分が対応する圧力値は、例えば、当該区分内におけるある膨張量が対応する圧力値であってよく、例えば、膨張量区分内における膨張量の中間値が対応する圧力値又は平均値であってよい。
【0044】
また、第2の膨張量の区分の大きさ及び数量は、生産の状況に応じて調節することができる。例えば、生産の量が多い場合、比較的に大きい第2の膨張量区分、つまり比較的に小さい第2の膨張量区分数量を用いることができるため、それぞれのフレキシブル基板の膨張量に対して圧力を選択する過程が簡素化され、生産時間を短縮することができる。又、例えば、生産の量が比較的に少ない場合、比較的に小さい第2の膨張量区分、つまり、比較的に大きい第2の膨張量区分数量を用い、さらに、
図5Aに示した第2の膨張量と第1の圧力とが一々対応する関係を有する膨張量-圧力曲線により、それぞれのフレキシブル基板の膨張量に対して圧力を選択することができ、圧力値に対する選択をより精確にし、フレキシブル基板の膨張量を効果的に制御する技術的効果を奏する。
【0045】
本実施例におけるもう1つの例示において、
図6に示したように、当該フレキシブル基板の加工方法は
図1又は
図4に示した方法に比べ、さらに以下のステップS103を含んでもよい。
【0046】
ステップS103:フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合する。
【0047】
本実施例において、例えば、以下の手段が用いられる。つまり、フレキシブル基板と集積回路板又はフレキシブル配線板の入力/出力パッドを予定方向に対して一定の角度を傾斜し、フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板の入力/出力パッドに合わせて接合するように、予定方向に従って前記入力/出力パッドを移動することにより、フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合する。
【0048】
図7A~
図7Bは本実施例で提供されるフレキシブル基板の接合工程の模式図である。本実施例において、
図7Aと7Bに示したように、フレキシブル基板20と集積回路板又はフレキシブル配線板40の入力/出力パッド群(PG1、PG2、PG3、PG4、そのうち、それぞれの入力/出力パッド群に2つの入力/出力パッドが含まれる)を予定方向RLに対して一定の角度を傾斜し、例えば、PG2とPG4が位置する直線L3は予定方向RLに対して第1の角度となり、第1の点(P2、P4)に合わせ、PG1とPG3が位置する直線L4は予定方向RLに対して第2の角度となり、第2の点に合わせる(P1、P3)。
【0049】
先ず、フレキシブル基板20を集積回路板又はフレキシブル配線板40の入力/出力パッド群に、
図7Aに示したように初歩的に合わせ、フレキシブル基板20が集積回路板又はフレキシブル配線板40の入力/出力パッドに一々対応するようにさせ、それからは
図7Bに示したy軸校正を行い、即ち、予定方向RLに従って入力/出力パッド群(PG1、PG2、PG3、PG4)を移動し、フレキシブル基板20を集積回路板又はフレキシブル配線板40の入力/出力パッドに一々対応して接合するようにする。
【0050】
なお、フレキシブル基板20と集積回路板又はフレキシブル配線板40の入力/出力パッド群の数量はさらに多くてもよく、そのうち、それぞれの入力/出力パッド群における入力/出力パッドも生産の状況に応じて調整でき、前記実施例は単に例示的な説明である。
【0051】
本実施例において、フレキシブル基板の第2の膨張量が第1の膨張量を補償したため、フレキシブル基板の膨張量が比較的に小さい範囲内まで減少され、又は第2の膨張量と第1の膨張量とが相殺されて合計膨張量がゼロ又はほぼゼロにされることにより、フレキシブル基板の合計膨張量が減少され、フレキシブル基板20をより容易に集積回路板又はフレキシブル配線板40の入力/出力パッド合わせる。また、大量生産する際、フレキシブル基板の第2の膨張量は第1の膨張量を補償したため、各フレキシブル基板の膨張量の差が小さくされ、各フレキシブル基板の膨張量を一定の所定範囲内に制御し、さらに後続の接合工程を容易にするようにさせ、前記接合方法によりフレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合する。
【0052】
例えば、フレキシブル基板の合計膨張量の公差が以下のようである。即ち、以下の通りである。
σtotal=(σA2+σB2+σC2)1/2
【0053】
そのうち、σAはフレキシブル基板剥離工程に生じた膨張量の公差であり、σBはフレキシブル基板バックフィルム貼付工程に生じた膨張量の公差であり、σCはフレキシブル基板接合工程に生じた膨張量の公差である。本開示の実施例における方法によりフレキシブル基板の膨張量を補償した後、σAとσBが合併してσ(A+B)になるため、フレキシブル基板の合計膨張量の公差が以下のようになる。即ち、以下の通りである。
σtotal*=(σ(A+B)2+σC2)1/2
【0054】
よって、σtotal*はσtotalより小さいのである。
【0055】
本実施例において、フレキシブル基板は膨張量が補償された後、一定の膨張量が依然として存在する場合、接合する過程において、フレキシブル基板の膨張量によるフレキシブル基板と、集積回路板又はフレキシブル配線板の入力/出力パッドとの間の位置差をさらに減少するために、1つの例示において、
図8Aを参照し、フレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合する工程には、以下のステップS301~S302をさらに含んでもよい。即ち、以下の通りである。
【0056】
ステップS301:フレキシブル基板の第2の膨張量を測定する。
【0057】
本実施例において、フレキシブル基板の第2の膨張量はフレキシブル基板が剥離工程とバックフィルム貼付工程とを行った後に生じた膨張量である。第2の膨張量に対する測定は、例えば、自動光学計測装置によって、剥離工程とバックフィルム貼付工程とを行う前後のフレキシブル基板の寸法変化を測定することにより、さらにフレキシブル基板の第2の膨張量の数値を得る。勿論、本実施例は他の膨張量測定手段を用いても良く、本開示はこれを限定しない。
【0058】
ステップS302:熱圧着の手段によりフレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合する。
【0059】
本実施例において、熱圧着の手段により異方性導電ペースト(ACF)を用いてフレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合する。当該熱圧着接合工程において、通常、接合する過程に採用される異方性導電ペーストのフレキシブル程度は温度により決められるため、実際の生産上の需要に応じて適宜な温度を選択した後、異方性導電ペーストのフレキシブル程度に基づいて対応する接合圧力を選択することができる。本実施例において、例えば、接合過程においてフレキシブル基板に付勢した温度とフレキシブル基板が受熱して生じた受熱膨張量との間の第2の対応関係及び第2の膨張量の数値に基づいて、フレキシブル基板を接合する時に受けた温度を選択し、フレキシブル基板が接合過程に取得した受熱膨張量、つまり、第3の膨張量が少なくとも第2の膨張量を補償するようにさせる。
【0060】
本実施例において、フレキシブル基板に温度を付勢すると共に、フレキシブル基板に第2の圧力も付勢する。本実施例において、第2の圧力はフレキシブル基板が接合過程に受けた圧力であり、当該圧力の大きさは通常0.25~0.35Mpaである。本実施例において、例えば、接合過程においてフレキシブル基板に付勢した温度に基づいて前記フレキシブル基板に付勢する第2の圧力を選択し、接合過程においてフレキシブル基板が受けた温度と圧力とを共に作用させてフレキシブル基板の第3の膨張量を生じるようにさせ、当該第3の膨張量は少なくともフレキシブル基板が例えば、剥離工程とバックフィルム貼付工程後に生じた第2の膨張量を補償し、フレキシブル基板の合計膨張量をさらに減少し、生産過程において各フレキシブル基板の間の膨張量の差を小さくする。
【0061】
本例示において、
図8Bに示したように、フレキシブル基板が集積回路板又はフレキシブル配線板に接合する工程に以下のステップを含んでもよい。即ち、以下の通りである。
【0062】
ステップS300:フレキシブル基板に付勢した温度とフレキシブル基板の第3の膨張量との間の第2の対応関係を作る。
【0063】
本例示において、第2の対応関係は、フレキシブル基板の第2の膨張量を測定する前に得られる。当該第2の対応関係は、例えば、フレキシブル基板の第3の膨張量が温度に従って変化する変化曲線であっても良く、当該曲線を取得する際、フレキシブル基板に付勢した温度を次第に変化すると共に、フレキシブル基板が当該温度で生じた膨張量を測定すべきであり、最終的に
図9Aに示した温度-圧力曲線を取得する。又は、当該第2の対応関係は、例えば、大きさの順に従ってフレキシブル基板の第3の膨張量を複数の区分に分けてもよく、そのうち、それぞれの区分は1つの温度に対応する。例えば、
図9Bに示したように、第3の膨張量は、大きさの順に従ってB
min-B
1、B
1~B
2、B
2-B
3……B
n-B
maxなど複数の区分に分けられ、且つ、それぞれの膨張量区分は1つの温度値に対応する。即ち、T1、T2、T3……Tm、そのうち、それぞれの膨張量区分が対応した温度値は、例えば、当該区分内におけるある膨張量が対応する温度値であってもよく、例えば、膨張量区分内の膨張量中間値に対応する温度値であってもよい。
【0064】
また、第3の膨張量の区分の大きさ及び数量は、生産状況に応じて調節できる。例えば、生産量が多い場合、比較的に多い第2の膨張量区分、即ち、比較的に少ない第2の膨張量区分の数量を採用することにより、それぞれのフレキシブル基板の膨張量に対して温度を選択する過程を簡素化にし、生産時間を短縮することができる。さらに例えば、生産量が比較的に少ない場合、比較的に少ない第3の膨張量区分、即ち、比較的に多い第3の膨張量区分の数量、さらに
図9Aに示した第3の膨張量が温度と一々対応する関係を有する膨張量-温度曲線により、それぞれのフレキシブル基板の第2の膨張量に対して温度を選択し、温度値に対する選択はより精確になり、さらにフレキシブル基板の膨張量を効果的に制御する技術的効果を奏する。
【0065】
例えば、フレキシブル基板の合計膨張量の公差は以下のようになる。即ち、以下の通りである。
σtotal=(σA2+σB2+σC2)1/2
【0066】
そのうち、σAはフレキシブル基板剥離工程に生じた膨張量の公差であり、σBはフレキシブル基板バックフィルム貼付工程に生じた膨張量の公差であり、σCはフレキシブル基板接合工程に生じた膨張量の公差である。前記例示的な方法によってフレキシブル基板の膨張量をもう一回補償した後、σA、σBとσCはσ(A+B+C)に合併するため、フレキシブル基板の合計膨張量の公差が以下のようになる。即ち、以下の通りである。
σtotal**=(σ(A+B+C)2)1/2
【0067】
よって、σtotal**はσtotalより小さい。
【0068】
以上により、本開示の実施例で提供されたフレキシブル基板の加工方法により、フレキシブル基板が生産過程に生じた膨張量を減少し、フレキシブル基板が大量生産される際に各フレキシブル基板の間の膨張量の差を減少し、各フレキシブル基板の膨張量を一定の範囲内に制御することによりフレキシブル基板の後続の製造過程を容易にすることができ、例えば、フレキシブル基板の膨張量を比較的に小さい範囲内に制御する場合、生産の通常手段によりフレキシブル基板の接合工程を行うことができるため、通常手段により接合工程を行う適用範囲が広げられる。
【0069】
本開示における少なくとも1つの実施例でフレキシブル基板が提供され、前記いずれか1つの加工方法により得られる。当該フレキシブル基板の膨張量が生産過程において効果的に制御される一方、当該フレキシブル基板は後続の生産工程をより便利に行い、例えば、集積回路板又はフレキシブル配線板により容易に接合、又はより精確に接合され、接合効果が良くなる一方、当該フレキシブル基板の合計膨張量が少なく、一定の所定範囲内に制御されるため、大量生産の時、各フレキシブル基板の膨張量がより平均になり、差もより小さくなる。
【0070】
本開示の少なくとも1つの実施例でフレキシブル基板の加工システムが提供され、
図10Aに示したように、当該加工システム100は計測器101とコントローラ102を含む。計測器101はフレキシブル基板の第1の膨張量を測定するように配置され、コントローラ102は、フレキシブル基板を基材基板に積層するようにフレキシブル基板に第1の付勢力を付勢するように配置される。本実施例において、計測器101は、例えば、自動光学計測装置であってよく、当該自動光学計測装置は剥離工程を行う前後のフレキシブル基板の寸法変化を測定して計算することによりフレキシブル基板の膨張量数値を得る。勿論、本実施例は他の膨張量計測器を用いてもよく、本開示はこれを限定しない。コントローラ102は、例えば、プロセッサを含んでもよく、当該プロセッサは中央処理装置、マイクロプロセッサ、プログラマブルロジックコントローラなどであってもよく、コンピュタのコードや指令を実行することができる。
【0071】
本実施例において、コントローラ102は、フレキシブル基板に付勢した第1の圧力とフレキシブル基板が受圧して生じた受圧膨張量との間の第1の対応関係及び第1の膨張量の大きさに基づき、フレキシブル基板の受圧膨張量、即ち、第2の膨張量が第1の膨張量の少なくとも一部を補償するように第1の付勢力を選択するように設置することができる。そのうち、第1の圧力とフレキシブル基板が受圧して生じた受圧膨張量との間の第1の対応関係について前記実施例を参照してよく、ここでは贅言しない。
【0072】
本実施例のもう1つの例示において、
図10Bに示したように、フレキシブル基板の加工システムは、例えば、剥離具103を含んでもよく、剥離具103はフレキシブル基板を剛性基板から剥離することができ、この際、フレキシブル基板の第1の膨張量は、つまりフレキシブル基板が剛性基板から剥離される時に生じた収縮量である。例えば、当該剥離具103はレーザ剥離具であってもよく、ステージ、レーザ光源など等を含み、反射鏡などの光路制御素子などを含んでもよい。
【0073】
本実施例におけるもう1つの例示において、
図10Cに示したように、フレキシブル基板の加工システムは、例えば、バックフィルム貼付器104を含んでもよく、バックフィルム貼付器104はフレキシブル基板にバックフィルムを貼付ける。この際、第1の圧力は、即ち、フレキシブル基板がバックフィルムの貼付過程に受けた圧力であり、第2の膨張量は、即ち、フレキシブル基板がバックフィルムを貼付過程に生じた膨張量であり、当該膨張量は、通常、拡張量である。従って、バックフィルムの貼付過程に生じた拡張量はフレキシブル基板が剛性基板から剥離される時に生じた収縮量を補償することができ、フレキシブル基板の合計膨張量を小さくする。例えば、バックフィルム貼付器104はローラ圧貼付装置であり、ステージ、ローラなどを含んでもよく、貼付けられたバックフィルムは、例えばロールに巻き取られて保存され、作業する過程において次第に排出される。
【0074】
本実施例におけるもう1つの例示において、
図10Dに示したように、フレキシブル基板の加工システムに、例えばメモリ105を含んでもよく、メモリ105はフレキシブル基板が受けた第1の圧力とフレキシブル基板が生じた第2の膨張量との間の第1の対応関係を記憶する。従って、コントローラ102はメモリ105に記憶された第1の対応関係及び第1の膨張量の大きさに基づいて第1の付勢力を選択することができ、フレキシブル基板の第2の膨張量を効果的に調節することができ、さらにフレキシブル基板の第2の膨張量が第1の膨張量の大きさを補償するように制御する。当該メモリは、例えば、磁気記憶媒体、半導体記憶媒体などを含んでもよく、本開示における実施例はこれを限定しない。
【0075】
本実施例におけるもう1つの例示において、
図10Eに示したように、フレキシブル基板の加工システムは、例えば、アダプタ106を含んでもよく、アダプタ106はフレキシブル基板を集積回路板又はフレキシブル配線板に接合する。具体的な接合手段は実施例一と同じであり、ここでは贅言しない。アダプタ106は熱圧着アダプタであってもよく、例えば、ステージ、接着剤注入装置、圧板又は圧子などを含む。
【0076】
本実施例において、フレキシブル基板の接合過程において、計測器101はフレキシブル基板の第2の膨張量も測定する。この場合、コントローラ102は、接合する過程においてフレキシブル基板に付勢した温度とフレキシブル基板が受熱して生じた受熱膨張量との間の第2の対応関係及び第2の膨張量の大きさに基づき、フレキシブル基板の第3の膨張量が少なくとも第2の膨張量を補償するように、フレキシブル基板に接合する時に受けた温度を選択するようにも設置される。また、コントローラ102は、接合する過程においてフレキシブル基板に付勢した温度に基づいて、接合する過程においてフレキシブル基板に付勢した第2の圧力を選択するようにも配置される。この際、メモリ105はフレキシブル基板が受けた温度とフレキシブル基板が生じた第3の膨張量との間の第2の対応関係も記憶できる。従って、コントローラ102はメモリ105に記憶された第2の対応関係と第3の膨張量の大きさに基づき、温度を合理に選択し、フレキシブル基板の第3の膨張量が第2の膨張量の少なくとも一部を補償するようにすることにより、接合過程におけるフレキシブル基板の膨張量に対する調節を完成する。
【0077】
以上により、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されたフレキシブル基板の加工システムは、実施本開示の実施例で提供されたフレキシブル基板の加工方法を実施することができ、フレキシブル基板の膨張量を効果的に調節する技術的効果を奏する。
【0078】
本開示の少なくとも1つの実施例でフレキシブル基板及びその加工方法、加工システムが提供され、下記少なくとも1つの有益効果を有する。即ち、以下の通りである。
【0079】
(1)本開示の少なくとも1つの実施例で提供されたフレキシブル基板の加工方法は、フレキシブル基板が生産する過程に生じた膨張量を効果的に調整することができ、フレキシブル基板の膨張量を少なくし、大量生産する際に生産過程における各フレキシブル基板の間の膨張量差を小さくし、各フレキシブル基板の膨張量を一定の所定範囲内にする。
(2)本開示の少なくとも1つの実施例で提供されたフレキシブル基板の加工方法は、フレキシブル基板が生産過程に受けた圧力及び温度とフレキシブル基板が生じた膨張量との間の対応関係を作り、且つ、当該関係に基づいてターゲット的にフレキシブル基板の膨張量を調節し、フレキシブル基板の膨張量を効果的に制御する。
(3)本開示の少なくとも1つの実施例で提供されたフレキシブル基板の加工方法は、フレキシブル基板の膨張量が補償された後にフレキシブル基板の接合過程を行い、接合の過程をより容易、又はより精確にし、接合効果をより良いにする。
(4)本開示の少なくとも1つの実施例で提供されたフレキシブル基板の加工システムは、当該システムは本開示の実施例で提供されたフレキシブル基板の加工方法を実施することができ、フレキシブル基板の膨張量を調節する技術的効果を奏する。
【0080】
なお、
(1)本開示の実施例の図面は本開示の実施例で関る構成しか関らず、他の構造については、通常設計を参照する。
(2)明瞭にするために、本開示の実施例を説明する図面において、層又は領域の厚さが拡大又は縮小され、つまり、これらの図面は実際の比例に従って作成したものではない。なお、例えば層、膜、領域又は基板などの素子は、他の素子の「上」又は「下」に位置されると説明された際、当該素子は「直接に」他の素子の「上」又は「下」に位置されてもよい、中央素子が存在してもよいのである。
(3)かち合わなければ、本開示の実施例及び実施例でおける特徴は、互いに組合せて新しい実施例を得てもよいのである。
【0081】
前記内容は単に本開示の具体的な実施例であり、本開示の保護範囲はこれに限らず、本分野に詳しい当業者が本開示に披露した範囲内において容易に想到できる変化又は取替は、みな本開示の保護範囲に含まれるべきである。そのため、本開示の保護範囲は請求項の保護範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0082】
10 剛性基板
20 フレキシブル基板
30 フィルム
40 フレキシブル配線板
50 基材基板
100 加工システム
101 計測器
102 コントローラ
103 剥離具
104 バックフィルム貼付器
105 メモリ
106 アダプタ