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特許7340935車両内でバッテリを構造的に一体化するためのバッテリ構成
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  • 特許-車両内でバッテリを構造的に一体化するためのバッテリ構成 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】車両内でバッテリを構造的に一体化するためのバッテリ構成
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20230901BHJP
   B64D 41/00 20060101ALI20230901BHJP
   B64D 47/00 20060101ALI20230901BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20230901BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20230901BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20230901BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20230901BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20230901BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20230901BHJP
   B60R 16/04 20060101ALN20230901BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
B64D41/00
B64D47/00
B64G1/66 B
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/643
H01M10/653
H01M10/6551
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M10/6561
H01M10/6567
H01M50/213
H01M50/249
H01M50/264
H01M50/289 101
B60R16/04 B
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019022579
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2019194972
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】10 2018 202 114.7
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】316013415
【氏名又は名称】エアバス ディフェンス アンド スペース ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS DEFENCE AND SPACE GMBH
【住所又は居所原語表記】Willy-Messerschmitt-Strasse 1,82024 Taufkirchen,Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】509125888
【氏名又は名称】エアバス ヘリコプターズ ドイチェランド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ジマーマン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター シェイベル
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2011/148641(JP,A1)
【文献】特開2011-253746(JP,A)
【文献】特開2015-204280(JP,A)
【文献】特開2011-151013(JP,A)
【文献】特開2016-091959(JP,A)
【文献】特開2014-197452(JP,A)
【文献】特開2007-095483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148889(US,A1)
【文献】特開2008-204990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
B64D 47/00
B64G 1/66
B64D 41/00
H01M 10/613
H01M 10/643
H01M 10/6551
H01M 10/653
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/6554
H01M 10/615
H01M 10/6567
H01M 10/6561
B60R 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの円筒状のバッテリ(1)と、
記少なくとも1つの円筒状のバッテリ(1)がその長手軸方向の両側においてバッテリホルダ(3)を介して保持される2つの支持用冷却プレート(2)と、
前記2つの冷却プレート(2)を互いに連結する複数の連結ロッド(4)と、を有する、車両、航空機、船舶または宇宙船(100)内バッテリ(1)を実装するためのバッテリ構成(10)。
【請求項2】
1つの冷却プレート(2)が、それぞれシェアピン(5)を介して1つのバッテリホルダ(3)に連結される、請求項1に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項3】
前記シェアピン(5)はプラスチック材料を含む、請求項2に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバッテリ(1)の両側が、前記バッテリホルダ(3)内に嵌合形態で取り付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項5】
前記バッテリホルダ(3)は、前記少なくとも1つのバッテリ(1)の一側を収容するバッテリ受け口(6)を有するプレートの形態である、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項6】
少なくとも1つのバッテリ(1)の両側がそれぞれ電気的に結合される2つの電流コレクタ(12)も有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項7】
前記冷却プレート(2)は、複数の流体チャネル(7)を有する金属材料から一体として作製される、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項8】
前記連結ロッド(4)は金属材料を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項9】
前記バッテリ構成(10)はまた、その間に前記少なくとも1つのバッテリ(1)を有する前記冷却プレート(2)を閉鎖する少なくとも2つの側壁(8)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項10】
前記側壁(8)のうちの少なくとも1つは、複数の冷却リブ(9)を有する熱交換器の形態である、請求項9に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項11】
前記側壁(8)は、バッテリ(1)を間に有する複数の冷却プレート(2)を閉鎖する、請求項9または10に記載のバッテリ構成(10)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリ構成(10)を有する、航空機または宇宙船(100)。
【請求項13】
前記バッテリ構成(10)は、前記少なくとも1つのバッテリを間に有する前記冷却プレート(2)を閉鎖する、少なくとも2つの側壁(8)を介して前記航空機または宇宙船(100)に結合する、請求項12に記載の航空機または宇宙船(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内で、特に航空機または宇宙船内で、バッテリを構造的に一体化するためのバッテリ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は様々な用途で使用可能であるが、本発明および本発明の元になる課題を、旅客機に関してより詳細に説明する。しかし、説明する方法および装置は、異なる車両、および運輸産業のあらゆる分野、例えば、道路車両、鉄道車両、航空機、または船舶に対して同様に使用され得る。
【0003】
再充電可能リチウムイオン電池は、再充電可能なエネルギー貯蔵器として多種多様な技術分野で見ることができる。特に、それらは、電気モビリティにおいて電気自動車およびハイブリッド車両用のエネルギー貯蔵器として使用されている。この目的のために、多くの製造者は複数のバッテリまたはバッテリセルを、いわゆるバッテリパックの形態で車両構造内に、例えば車両本体内に実装している。そのようなバッテリパックまたはバッテリセット、例えば、約20mmの円筒直径、および約100mmの長さを有するリチウムイオン円筒セルでは、個々のセルが数千個、互いに接続される場合がある。
【0004】
しかし、ここで追求される一般的な一体化の概念は、構造の観点からは、航空機に対する技術的要求事項および境界条件を満足させるには常に適切とは限らない。追加の補強手段、例えば追加の補強構造は重量を、従って最終的には燃料消費量を直ちに増加させる。
【0005】
そのようなバッテリを可能な限り効率的に運用するために、典型的な用途においてバッテリの温度制御を積極的に行うことが必要である。航空および宇宙分野においては、動作温度または周囲温度が極めて変動するゆえに、このことが少なからず関連している。バッテリパック内のバッテリの温度を適切に制御するために、例えば、液体および/または気体を、流体チャネルを通して流す冷却プレートなどの装置を使用することが可能である(例えば、特許文献1、および特許文献2を参照。)。そのような冷却装置は、追加的に重量を増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8,383,260(B2)号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0047624(A1)号明細書
【発明の概要】
【0007】
このような背景に対して、本発明は多数のバッテリセルを、車両内に効率的かつ軽量な形で一体化するための解決策を発見するという目的に基づいている。
【0008】
本発明によると、この目的は、請求項1の特徴を有するバッテリ構成によって、および請求項12の特徴を有する航空機または宇宙船によって達成される。
【0009】
したがって、車両内バッテリを実装するためのバッテリ構成が提供される。バッテリ構成は、少なくとも1つの円筒状のバッテリと、バッテリホルダを介して少なくとも1つの円筒状のバッテリの長手軸方向の両側を保持する2つの支持用冷却プレートと、2つの冷却プレートを互いに連結する複数の連結ロッドとを備える。
【0010】
本発明によるバッテリ構成を有する航空機および宇宙船も提供される。
【0011】
本発明の元になる発想の1つは、冷却プレートを、熱的機能に加えて構造的機能をも受け持つように多機能化することである。その一方、冷却プレートはバッテリの温度を制御するために、すなわち、特にバッテリが発生する熱を放熱するために使用される。他方では、本発明による冷却プレートは構造部材として使用され、こうすることで、バッテリ構成または車両の構造的完全性に寄与する。本発明によるバッテリ構成、従ってバッテリ自体は、この目的のための2つの冷却プレートによって支持される。この構成を引張応力に対して補強するために、追加の連結ロッドが使用される。しかし、圧縮力および剪断力も、少なくとも1つのバッテリまたはバッテリセルを通して直接伝達される場合があり、少なくとも1つのバッテリが負荷の少なくとも一部を負担する場合がある。これにより、追加の構造補強部材を節約することが可能になり、ひいては部材数が、最終的には重量が最適化される。観点を変えると、これらの手段を用いて、重量に依存する、バッテリ構成または車両のエネルギー密度またはパワー密度を改善することができる。さらに、バッテリ構成を介して負荷を伝達することができるので、バッテリ構成は、既存の構造をある程度は置き換えることができる。
【0012】
本発明の意味におけるバッテリは、一般の再充電可能な電気貯蔵要素である。これは2次電池、すなわち2次要素という意味の個々の貯蔵要素、再充電可能なバッテリセル、バッテリセルなどであってもよい。しかし、原則として、本発明によるバッテリは同様に、相互接続した2次電池および/または相互接続した貯蔵要素、すなわち2次電池を含むバッテリを含む。本発明の意味におけるバッテリは、特に再充電可能なリチウムイオン電池を含む。特に、円筒状のバッテリまたはバッテリセルを収容するために、バッテリホルダが設計され得る。
【0013】
有利な構成および発展が、さらなる従属請求項から、および図面を参照して明細書から明らかとなる。
【0014】
一発展形態によると、1つの冷却プレートが1つのバッテリホルダに、それぞれがシェアピンを介して連結し得る。この場合、シェアピンは、特にバッテリまたは冷却プレートに作用する剪断力を吸収するために使用される。代替としてまたは加えて、バッテリホルダは別の形態で、例えば、接着剤または溶接接続などの一体的な材料接続を用いて冷却プレートに連結することができる。
【0015】
一発展形態によると、シェアピンはプラスチック材料を含んでもよい。特に、シェアピンはプラスチック材料から作製されてもよい。プラスチック材料を選択することにより、金属材料を有する変形形態と比較して重量を節約することができる。多くの用途で生じる剪断力は、例えばバッテリ構成に作用する引張力および/または圧縮力よりもかなり低いので、プラスチック材料は重量的に効率のよい解決策を提供する。さらに、このようにして、少なくとも1つのバッテリの電気的接続との電気的短絡が排除される。
【0016】
一発展形態によると、少なくとも1つのバッテリは両側をバッテリホルダ内に嵌合形態で取り付けることができる。例えば、バッテリホルダはプラスチックから作製してもよい。嵌合連結により、公差が最大限に回避される。しかし、原則として、代替的実施形態が同様に提供される。例えば、バッテリは片側または両側が伝導性のばねを介して電流コレクタに結合してもよく、バッテリを別のやり方で、従来では通例であるような、例えば溶接接続を用いて電流コレクタに接続する必要はない。他方では、そのようなばねは、公差を自動的に補償する。少なくとも1つのバッテリを、例えば熱伝導性接着剤を用いてバッテリホルダに締結してもよい。しかし、少なくとも1つのバッテリを締結する目的で、原則として、機械式ホルダおよび/または機械式プラグイン、クリック機構および/またはスナップ機構などが同様に提供される。
【0017】
一発展形態によると、バッテリホルダは、少なくとも1つのバッテリの一側を収容するために、バッテリ受け口を有するプレートの形態であってもよい。例えば、各バッテリホルダは、例えば接着剤による接続、および/または、ねじ接続、プラグイン接続もしくはリベット接続などを介して、取り外し可能にまたは取り外し不可能に、対応する冷却プレートに締結されることとしてもよい。取り付けのために、最初に少なくとも1つのバッテリの一側が、1つの冷却プレートのバッテリホルダの中に導入され、締結され得る。第2のステップでは、第2の冷却プレートのバッテリホルダを取り付けることができ、少なくとも1つのバッテリの反対側が次のバッテリホルダの中に導入されるように、構造体と共に差し込まれ得る。
【0018】
一発展形態によると、2つの電流コレクタが提供され、そこに少なくとも1つのバッテリの両側がそれぞれ電気的に接続することとしてもよい。例えば、バッテリホルダが接着接合し得るバスバー、例えば銅レールをそれぞれ、各冷却プレートに適用することができる(例えば、バッテリホルダはプラスチックを有してもよく、および/または、プラスチックから作製されてもよい)。バッテリホルダはまた、対応する電流コレクタに至る貫通孔または経路開口部を有して設計されたバッテリ受け口を有してもよい。少なくとも1つのバッテリを、例えば従来のやり方でバスバーに溶接することもできるし、または別のやり方でバスバーに電気的に結合させることもできる。金属製冷却プレートの場合に、冷却プレートと、電流コレクタまたはバスバーとの間の電気的短絡を回避するために、電気絶縁層を電流コレクタの下方で冷却プレートに適用することもできる。バッテリの具体的な電気配線および接続は、当業者に周知の任意の所望の方法、例えば直列回路および/または並列回路として実施することができる。
【0019】
一発展形態によると、冷却プレートは複数の流体チャネルを有する金属材料から一体として作製することができる。他方では、バッテリホルダは、軽量化の目的でプラスチック、または別の軽量材料から形成することができる。例えば、冷却プレートは金属、金属合金、金属材料、および/またはこれら材料の組合せから作製してもよい。一具体例では、冷却プレートはチタンから作製される。冷却プレートを作製するために、例えば付加的方法を使用することが可能であり、それにより、冷却プレートが、特別な労力、追加の取り付け工程、または手作業の必要なしに、完全に一体化した形態で作製することができる。原則として、冷却プレートは付加的方法が知られた、あらゆる材料または材料の組合せから作製することができる。
【0020】
一般的に「3Dプリンティング法」とも呼ばれる生成的または付加的生産方法では、対象物の数値化された幾何学モデルから開始して、1つまたは複数の開始材料が互いの上に層状に順次積層され、硬化される。例えば選択的レーザ溶解法(SLM)の場合、粉末形態のモデル材料を基材に適用し、局所レーザ照射によって意図したとおりに融解させることにより、部品がモデル材料、例えばプラスチックまたは金属から層として構築され、従って冷却後に固体の凝集した部品が得られる。3Dプリンティングは、極めて大きな設計自由度をもたらし、特に従来方法を用いて作製できなかったか、相当の労力を要して作製できた対象物を、適度な労力で作製することが可能になる。この理由から、3Dプリンティング法は現在、工業デザイン、自動車産業、航空および宇宙産業、または、個別部品の適切な小規模および大規模な生産のためにリソース効率の高い工程チェーンが使用される工業製品開発の全般において、一般に普及している。
【0021】
3Dプリンティング法は、本発明の場合に特に有利である。なぜなら、部品の外形に合わせた特別な生産工具を必要とせずに、3次元部品をキャスティング法で作製することができるからである。これにより、極めて効率的で、材料を節約し、時間を節約する、要素および部品の生産工程が可能になる。そのような3Dプリンティング法は特に航空および宇宙分野で有利である。なぜなら、特定の意図された目的に合致する非常に多くの異なる部品が使われる3Dプリンティング法において、低価格で、短い生産リードタイムで、かつ生産に必要な生産設備の複雑さをほとんど要さずに作製することができるからである。本出願の意味における3Dプリンティング法は、全ての生成的および付加的生産方法を含み、この方法では、所定形状の対象物が、幾何学的モデルに基づき、液体および粉末または中性的形状の半製品などの無形材料、例えばテープまたはワイヤの形態の材料から、特別な生成的生産システムにおいて化学的および/または物理的工程を用いて作製される。本出願の意味における3Dプリンティング法は、この場合、開始材料が所定形状で層状に順次構築される付加的工程を使用する。
【0022】
一発展形態によると、連結ロッドは金属材料を含み得る。特に、連結ロッドは金属材料から作製されてもよい。例えば、連結ロッドは金属、金属合金、金属材料、および/またはこれら材料の組合せを含んでもよく、かつ/またはこれらから作製してもよい。このようにして、連結ロッドは、それに応じて、比較的大きな引張および/または圧縮負荷を吸収するための、堅牢な設計を有することができる。
【0023】
一発展形態によると、少なくとも2つの側壁を設けることも可能であり、それにより少なくとも1つのバッテリを間に有する冷却プレートが閉鎖される。側壁は、例えばプラスチック、セラミック材料、金属材料、またはこれら材料の組み合わせから作製してもよい。従って、原則として側壁は、ある程度は冷却プレートと相互作用してバッテリ構成のハウジングを形成するが、少なくとも冷却プレートも構造的役割を担うことができる。
【0024】
一発展形態によると、側壁のうちの少なくとも1つは、複数の冷却リブを有する熱交換器の形態であってもよい。この実施形態では、対応する側壁を、特に金属材料から設計することが好適である。冷却リブは、バッテリが発生する熱を外部に放熱するために特に有利である。
【0025】
一発展形態によると、側壁は、バッテリを間に有する複数の冷却プレートを閉鎖することができる。一般に、バッテリを間に保持する2つの冷却プレートのセットのそれぞれを、バッテリモジュールと解釈することができる。例えば、複数のそのようなバッテリモジュールを互いに組み合わせて、個々のセルを多数有するバッテリセットを形成することができる。この場合、複数のバッテリモジュールは側壁によって閉鎖される。
【0026】
一発展形態によると、バッテリ構成は、少なくとも2つの側壁を介して航空機または宇宙船に結合することができ、側壁は、少なくとも1つのバッテリを間に有する冷却プレートを閉鎖する。例えば、側壁は車両に結合させるための締結点および/または締結装置、例えば突出部、孔などを有してもよい。従って、本発明のこの構成では、側壁は対応する車両に対する取り付けインタフェースとして使用される。したがって、この実施形態では、ロード経路が個々のバッテリまたはバッテリセルから、バッテリホルダを介して冷却プレートに、冷却プレートから側壁を介して車両まで延びている。
【0027】
上記構成および発展形態は、有用であれば任意の所望の形態で互いに組み合わせることができる。本発明のさらなる可能な構成、発展形態、および実現形態はまた、例示的実施形態に関して前述したまたは後述する発明の特徴の、明示的に言及していない組み合わせを含む。特に、当業者はまた、本発明の基本形のそれぞれに対して改善または追加として個別の態様を追加するであろう。
【0028】
本発明を、概略図で示す例示的実施形態を元に、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による、バッテリ構成の個別部品の概略断面図を示す。
図2図1のバッテリ構成を取り付けた状態の概略断面図を示す。
図3図2のバッテリ構成の概略斜視図を示す。
図4】追加の側壁を有する、図2のバッテリ構成の概略斜視図を示す。
図5】本発明の別の実施形態による、バッテリ構成の概略斜視図を示す。
図6図1から5のバッテリ構成のうちの1つを有する航空機の概略的側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付の図面は、本発明の実施形態のさらなる理解を提供することを意図している。図面は実施形態を図示し、かつ明細書に関連して、本発明の原理および概念を説明するために使用される。他の実施形態および言及した多くの利点が、図を参照して明らかになる。図面内の要素は、互いに必ずしも縮尺通りに示されていない。
【0031】
図面の図において、同一の、機能的に同一の、および同一に機能する要素、特徴、および構成要素は、他の記載がない限り、それぞれ同じ参照符号を付与している。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による、バッテリ構成10の個別部品の概略断面図を示し、図2および図3は、取り付けた状態での図1のバッテリ構成を示す(図3はバッテリ単体の簡略化した形態のみを示す)。
【0033】
図6に概略的に示すように、バッテリ構成10は、バッテリ1を車両内、特に航空機100(例えば旅客機)内に構造的に一体化するために使用される。バッテリ構成10は、複数のバッテリ1(例えば単独のリチウムイオン・バッテリセル)を備え、バッテリはバッテリホルダ3を介して、両側が2つの支持用冷却プレート2の間で保持される。この場合、冷却プレート2は、流体、すなわち気体および/または液体を伝達するように設計された、複数の流体チャネル7を有する。バッテリ構成10はまた、2つの冷却プレート2を互いに連結する複数の連結ロッド4と、冷却プレート2をバッテリホルダ3に結合する複数のシェアピン5を備える。連結ロッド4およびシェアピン5の取り付けのために、冷却プレート2およびバッテリホルダ3は、適宜設計された貫通孔13を有し、貫通孔をピンおよびロッドが通過できるようになっている。締結のために、様々な手段を探求することができる。例えば、連結ロッド4および/またはシェアピン5は、接着剤を使用して冷却プレート2またはバッテリホルダ3に接着接合することができる。別の例では、連結ロッド4および/またはシェアピン5は、例えば、外ねじ山を有してもよく、ねじ山に締結ナット14をねじ込むことができる。加えてまたは代替として、貫通孔13は対応する内ねじ山を備えてもよい。個々の構成要素が、どのように互いに連結され得るかの複数の解決策が、当業者には明らかになるであろう。例えば、バッテリホルダ3は加えて、冷却プレート2に接着接合され得る。
【0034】
この実施形態では、冷却プレート2は支持構造部材として使用され、バッテリ1を航空機100内に保持し固定するだけでなく、航空機100を構造的に補強するためにも使用される。この場合、引張力または圧縮力、および剪断力に対する安定性が、冷却プレート2を互いに、かつバッテリホルダ3に接続する連結ロッド4およびシェアピン5によって実現される。本実施形態では、冷却プレート2は、付加的方法を用いてチタンまたはチタン合金から、すなわち高強度を有し密度が比較的低い非常に安定した材料から一体的に作製することが有利である。この場合、3Dプリンティング法により、貫通孔13および流体チャネル7を含む冷却プレート2を完全に1つのプロセス工程で作製することが可能になり、従来方法を用いたとしたら、最善であっても相当の労力を要して可能であろう。連結ロッド4は同様に、金属材料、例えば同様にチタンまたはチタン合金から形成される。対照的に、シェアピン5には、本例示的実施形態では、重量を軽減する目的で、プラスチック材料が提供される。
【0035】
バッテリホルダ3はまた、バッテリ受け口6を有し、個々のバッテリ1の各々を正確に嵌合して収容する。バッテリ受け口6は、例えば1つまたは複数の円筒状バッテリ1を収容するために、円筒状であってもよい。バッテリ1は、例えば、円形セルの形状で、例えば電気自動車の分野でしばしば使用される、既知のタイプのリチウムイオン2次電池であってもよい。原則として、各バッテリ1は、例えば熱伝導性接着剤または機械式ホルダを用いてバッテリ受け口6内に締結され得る。電流コレクタ12、例えば銅レールなどのバスバーは、各バッテリホルダ3と、対応する冷却プレート2との間にそれぞれ配置され、その結果、対応するバッテリ1がバッテリ受け口6の内部で電気的に接続することができる。この目的のために、バッテリは、例えばバスバーに溶接され得る。電気的短絡を回避する目的で、絶縁層11も、対応する冷却プレートと電流コレクタ12との間に設けられる。バッテリホルダ3は、高熱伝導性を有する材料からプレートの形態で作製してもよい。
【0036】
この例示的実施形態では、冷却プレート2はバッテリ1の温度を冷却するか、または温度を制御するために使われるだけではない。また、バッテリ1は冷却プレート2を介して固定されている。この場合、冷却プレート2は、支持機能または補強機能を有する構造部材であり、多機能である。これにより、高性能の構造補強部材の重量を、最終的には燃料を節約することが可能になる。冷却プレート2はまた、発生した熱または電力損失を放散させるために、別個の外部熱交換器(図示せず)と接続させることができる。
【0037】
図4は、2つの追加の側壁8を有する、図2および図3のバッテリ構成10の概略斜視図を示す。2つの側壁8が、バッテリ1を間に有する冷却プレート2をハウジングのような形で取り囲み、バッテリ構成10を航空機100内に取り付けるか、または結合するためにも使用される。この目的のために、側壁8は(締結用)突出部15を有する。バッテリ1によって発生する熱を放熱させるため、側壁8も、少なくとも部分的に冷却用リブ9を有するように設計されている。冷却プレート2と同様に、側壁8も金属材料、例えばチタンから作製されてもよい。
【0038】
図5は、純粋に一例として、本発明の別の実施形態による完全に組み立てたバッテリ構成10を示し、複数のバッテリ1が複数の冷却プレート2によって保持されている。この場合、基本的な構造は図1から図4の構造に対応し得る。それに応じて、バッテリ1はまた、冷却プレート2および側壁8によって、ハウジングのような形で取り囲まれている。従って、ロード経路が個々のバッテリ1またはバッテリセルから、バッテリホルダ3を介して冷却プレート2に、冷却プレート2から側壁8を介して航空機100まで延びている。しかし、図5は、バッテリ1の2つのモジュールを例示し、バッテリは各々が2つの冷却プレート2の間に保持されている。これは、複数のそのようなモジュールまたは類似のモジュールを、原則として、非常に多数のバッテリ1を設置することなく、側壁8によって取り囲み得ることを示すことを意図している。
【0039】
前述の詳細な説明では、図示の非柔軟性を改善する目的で、様々な特徴が1つまたは複数の例に組み合わされている。しかし、上記説明は例示に過ぎず、決して制限的な性質のものではないことが、ここで明らかであろう。それは、様々な特徴および例示的実施形態の、全ての代替形態、修正形態、および等価物をカバーする役割を担う。当業者が上記説明を考慮すれば、当業者の技術的知見を元に、多くの他の例が直ちにかつ直接的に明らかとなるであろう。
【0040】
例示的実施形態は、本発明の基礎をなす原理、およびその実際の適用可能性を最良の方法で提示することができるように、選択し説明してきた。その結果、当業者は、意図した使用目的に関して、本発明およびその様々な例示的実施形態を、最適に修正および利用することができる。請求の範囲および明細書において、用語「含む」および「有する」は、対応する用語「備える」に対して中立的な言語学的概念として使用される。さらに、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「1つの(one)」の使用は、このように記載された特徴および構成要素の複数を原則として除外してはならない。
【符号の説明】
【0041】
1 バッテリ
2 冷却プレート
3 バッテリホルダ
4 連結ロッド
5 シェアピン
6 バッテリ受け口
7 流体チャネル
8 側壁
9 冷却リブ
10 バッテリ構成
11 絶縁体
12 電流コレクタ
13 (貫通)孔
14 締結ナット
15 突出部
100 航空機
図1
図2
図3
図4
図5
図6