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特許7340949車両飛び込まれ警告装置及び警告情報管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】車両飛び込まれ警告装置及び警告情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/00 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
G08B21/00 U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019074354
(22)【出願日】2019-04-09
(65)【公開番号】P2020173565
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】511113785
【氏名又は名称】株式会社ミライト・ワン
(73)【特許権者】
【識別番号】310009672
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・メンテナンス東名株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信
(72)【発明者】
【氏名】國岡 達也
(72)【発明者】
【氏名】白石 裕一
(72)【発明者】
【氏名】朝日 理登
(72)【発明者】
【氏名】大塚 日出喜
(72)【発明者】
【氏名】山中 洋嗣
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055286(JP,A)
【文献】特開2009-251637(JP,A)
【文献】特開2013-218618(JP,A)
【文献】特開2018-092554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-21/24
G08G1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な走行手段と、
平面アレイアンテナを備え、前記走行手段に搭載されて該走行手段の後方を走行する車両の前記平面アレイアンテナから予め設定された設定距離だけ離れた位置における速度を検知可能なパルスレーダ方式のドップラーレーダと、
前記ドップラーレーダが検知した前記平面アレイアンテナから設定距離だけ離れた位置における前記車両の速度が予め設定された設定速度以上であるときに警告信号を出力する監視部と、
前記監視部から出力された警告信号が入力されると警告を発する警告発生部と、を有し、
前記走行手段が自動車であり、
前記自動車の後部に衝突緩衝部材が設けられ、前記ドップラーレーダが前記衝突緩衝部材に配置されている、ことを特徴とする車両飛び込まれ警告装置。
【請求項2】
前記平面アレイアンテナの向きを調整可能なレーダ方位調整装置を備えている、請求項1に記載の車両飛び込まれ警告装置。
【請求項3】
前記走行手段の速度が入力される速度入力部を有し、
前記監視部は、前記平面アレイアンテナが検知した該平面アレイアンテナから設定距離だけ離れた位置における前記車両の前記平面アレイアンテナに対する相対速度が、前記設定速度から前記速度入力部に入力された前記走行手段の速度を引いた速度以上であるときに警告信号を出力する、請求項1または2に記載の車両飛び込まれ警告装置。
【請求項4】
前記警告発生部が、ヘルメットに装着されて、前記監視部から出力された警告信号が入力されると前記ヘルメットに打撃を加える打撃発生装置を備えている、請求項1~の何れか1項に記載の車両飛び込まれ警告装置。
【請求項5】
前記監視部から出力された警告信号を無線で前記警告発生部に向けて送信する、請求項1~の何れか1項に記載の車両飛び込まれ警告装置。
【請求項6】
前記設定距離を変更する設定距離変更部と、前記設定速度を変更する設定速度変更部と、を備えている、請求項1~の何れか1項に記載の車両飛び込まれ警告装置。
【請求項7】
監視センターに設けられた警告情報受信部と、
請求項1~の何れか1項に記載の車両飛び込まれ警告装置と、
前記監視部から出力された警告信号が無線で入力されると、インターネットを介して前記警告信号を前記警告情報受信部に転送する警告信号転送装置と、
前記監視センターに設けられ、前記警告情報受信部により受信した前記警告信号と前記警告信号転送装置の位置情報とを関連付けて管理する管理手段と、を有することを特徴とする警告情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者を車両の飛込みから保護するための車両飛び込まれ警告装置及び警告情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両が走行する道路の所定の車線上において工事等の作業を行なう場合には、円錐形のパイロン等を当該作業が行われる車線に配置して、車両の侵入を禁止する作業エリアを設定するのが一般的である。
【0003】
従来、上記のような所定場所に設置されて移動しない作業エリアで作業をする作業者を車両の飛込みから保護するための車両飛び込まれ警告装置として、作業エリアに平面アレイアンテナを備えたドップラーレーダを設置し、このドップラーレーダにより、他の車線を走行している車両を検知することなく、作業エリアが設置された車線を当該作業エリアに向けて走行してくる車両の平面アレイアンテナから予め設定された設定距離だけ離れた位置における速度を正確に検知し、当該車両の速度が予め設定された設定速度以上であるときに作業者に向けて警告を発して車両が作業エリアに飛び込む虞があることを警告する構成のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-192145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の車両飛び込まれ警告装置は、所定場所に設置されて場所が移動しない作業エリアで作業を行う作業者に対して当該作業エリアへの車両の飛込みを警告することはできるが、例えば、道路の清掃作業や道路標識の敷設作業のように道路の路側帯において当該道路に沿って移動しながら作業を行う場合や、大型施設の建築現場等の比較的広いエリア内をあるルートに沿って移動しながら作業を行う場合など、移動しながら作業を行う作業者に対して当該作業エリアへの車両の飛込みを警告する用途には用いることができないものであった。
【0006】
本発明の目的は、このような点を解決することを課題とするものであり、その目的は、移動しながら作業を行う作業者を車両の飛込みから保護することが可能な車両飛び込まれ警告装置及び警告情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両飛び込まれ警告装置は、走行可能な走行手段と、平面アレイアンテナを備え、前記走行手段に搭載されて該走行手段の後方を走行する車両の前記平面アレイアンテナから予め設定された設定距離だけ離れた位置における速度を検知可能なパルスレーダ方式のドップラーレーダと、前記ドップラーレーダが検知した前記平面アレイアンテナから設定距離だけ離れた位置における前記車両の速度が予め設定された設定速度以上であるときに警告信号を出力する監視部と、前記監視部から出力された警告信号が入力されると警告を発する警告発生部と、を有し、前記走行手段が自動車であり、前記自動車の後部に衝突緩衝部材が設けられ、前記ドップラーレーダが前記衝突緩衝部材に配置されている、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の車両飛び込まれ警告装置は、上記構成において、前記平面アレイアンテナの向きを調整可能なレーダ方位調整装置を備えているのが好ましい。
【0011】
本発明の車両飛び込まれ警告装置は、上記構成において、前記走行手段の速度が入力される速度入力部を有し、前記監視部は、前記平面アレイアンテナが検知した該平面アレイアンテナから設定距離だけ離れた位置における前記車両の前記平面アレイアンテナに対する相対速度が、前記設定速度から前記速度入力部に入力された前記走行手段の速度を引いた速度以上であるときに警告信号を出力するのが好ましい。
【0012】
本発明の車両飛び込まれ警告装置は、上記構成において、前記警告発生部が、ヘルメットに装着されて、前記監視部から出力された警告信号が入力されると前記ヘルメットに打撃を加える打撃発生装置を備えているのが好ましい。
【0013】
本発明の車両飛び込まれ警告装置は、上記構成において、前記監視部から出力された警告信号を無線で前記警告発生部に向けて送信するのが好ましい。
【0014】
本発明の車両飛び込まれ警告装置は、上記構成において、前記設定距離を変更する設定距離変更部と、前記設定速度を変更する設定速度変更部と、を備えているのが好ましい。
【0015】
本発明の警告情報管理システムは、監視センターに設けられた警告情報受信部と、上記何れかの車両飛び込まれ警告装置と、前記監視部から出力された警告信号が無線で入力されると、インターネットを介して前記警告信号を前記警告情報受信部に転送する警告信号転送装置と、前記監視センターに設けられ、前記警告情報受信部により受信した前記警告信号と前記警告信号転送装置の位置情報とを関連付けて管理する管理手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動しながら作業を行う作業者を車両の飛込みから保護することが可能な車両飛び込まれ警告装置及び警告情報管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態である車両飛び込まれ警告装置の使用例を概略で示す説明図である。
図2図1に示す車両飛び込まれ警告装置において、自動車の後部に設けられた衝突緩衝部材の上部にドップラーレーダを配置した場合を示す説明図である。
図3図1に示す車両飛び込まれ警告装置において、自動車の後部に設けられた衝突緩衝部材の内部にドップラーレーダを配置した場合を示す説明図である。
図4図1に示すドップラーレーダをレーダ方位調整装置とともに示す斜視図である。
図5図1に示す車両飛び込まれ警告装置のブロック図である。
図6図5に示す設定基板の詳細を示す説明図である。
図7】レーダ方位調整装置のチルト機能を示す説明図である。
図8】レーダ方位調整装置のパン機能を示す説明図である。
図9】(a)は山越えの際にレーダ方位調整装置のチルト機能によりドップラーレーダを下方に向けた状態を示す説明図であり、(b)は谷越えの際にレーダ方位調整装置のチルト機構によりドップラーレーダを上方に向けた状態を示す説明図である。
図10】本発明の一実施の形態である警告情報管理システムの構成を概略で示す説明図である。
図11図10に示す警告情報管理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に例示説明する。
【0019】
本発明の車両飛び込まれ警告装置は、例えば、道路の清掃作業や道路標識の敷設作業のように道路の路側帯において当該道路に沿って移動しながら作業を行う場合や、大型施設の建築現場等の比較的広いエリア内をあるルートに沿って移動しながら作業を行う場合など、移動しながら作業を行う作業者に対して当該作業エリアへの車両の飛込みを警告する用途に用いられるものである。
【0020】
図1には、本発明の一実施の形態である車両飛び込まれ警告装置1を、道路2の路側帯2aを当該道路2に沿って移動しながら清掃作業や道路標識の敷設作業等の作業を行う場合において、隣接する走行車線2b、2cを走行する車両(自動車)3a、3bが路側帯2aに浸入して当該作業エリア4(作業者5が作業を行っているエリア)に飛び込む可能性が生じた場合(図1では、車両3aが作業エリア4に飛び込む可能性がある場合を示す)に、作業者5に車両3aが作業エリア4に飛び込む虞があることを警告して車両3aの飛込みから作業者5を保護する用途に用いた場合を示す。
【0021】
この場合、車両飛び込まれ警告装置1は、路側帯2aを道路2に沿って移動しながら、後方に設定距離Lだけ離れた位置において路側帯2a上を作業エリア4に向けて所定の設定速度以上で走行する車両3aの有無を監視し、当該位置において設定速度以上の速度で作業エリア4に近づく車両3を検知したときに、作業エリア4で作業する作業者5に対して警告を発し、作業者5の作業エリア4の外への退避を促すように作動する。これにより、万一、車両3aが作業エリア4に飛び込んでも、当該車両3aの飛込みから作業者5を保護することができる。
【0022】
車両飛び込まれ警告装置1は、走行手段としての自動車10、ドップラーレーダ20及び警告発生部30を有している。
【0023】
自動車10は運転者11により運転されて道路2や建築現場等を走行することができるものである。本実施の形態において、自動車10は、作業者5が道路2の路側帯2aを移動しながら当該路側帯2aの清掃作業や道路標識の敷設作業等の作業を行う際に、作業者5の後方において路側帯2aを所定の速度で走行して後続の車両3a、3bに作業中であることを表示する作業支援車である。自動車10は、その後端に、作業中であることを表示する表示板や警告灯を設けた構成とすることもできる。
【0024】
自動車10の後部の右側部分には略直方体形状の衝突緩衝部材12が設けられている。路側帯2aを走行しながら作業を行う自動車10は、走行車線2b、2cに近い後部の右側部分に車両の追突を受け易い。そのため、自動車10の後部の右側部分に衝突緩衝部材12が設けられた構成とすることで、車両に追突された際の衝撃を衝突緩衝部材12によって効果的に吸収することができる。
【0025】
ドップラーレーダ20は、四角いケース21の外側に平面アレイアンテナ22が取り付けられて1つのユニットに構成されており、自動車10に搭載されて自動車10とともに移動するようになっている。本実施の形態では、図2に示すように、ドップラーレーダ20は自動車10の後部に設けられた衝突緩衝部材12の上に配置されている。なお、ドップラーレーダ20は、図3に示すように、自動車10の後部に設けられた衝突緩衝部材12の内部に配置するようにしてもよい。
【0026】
図4に示すように、平面アレイアンテナ22は平坦なアンテナ表面22aを有し、その内部に格子状に配列された多数のアンテナ素子(放射素子)を備えた構成となっている。
【0027】
図5に示すように、ドップラーレーダ20は、ケース21の内部に、平面アレイアンテナ22に接続されたレーダ制御部23、情報処理部24、速度入力部25、無線送信部26、レーダ操作基板27、スイッチング電源28および外部機器40との通信用のUSB変換器29を備えている。
【0028】
ドップラーレーダ20はパルスレーダ方式となっており、レーダ制御部23から平面アレイアンテナ22の各アンテナ素子に一定の励振条件で給電することにより、平面アレイアンテナ22からそのアンテナ表面22aに垂直な方向に向けて指向性の高いパルス波を発信することができる。また、ドップラーレーダ20は、発信したパルス波の反射波を平面アレイアンテナ22で受信することができる。
【0029】
なお、ドップラーレーダ20は24GHzのパルス波を発するものとすることができるが、例えば19GHzのパルス波を発するものとするなど、その周波数は特に限定されない。
【0030】
スイッチング電源28にはAC100Vの電源コネクタ28aが接続されており、この電源コネクタ28aを電源に接続することにより、スイッチング電源28を介してレーダ制御部23、情報処理部24、無線送信部26及びレーダ操作基板27等に電力が供給されるようになっている。
【0031】
また、ドップラーレーダ20が工場から出荷される際には、例えばパーソナルコンピュータ等の外部機器40がUSB変換器29に接続され、当該ドップラーレーダ20の種々の機能の初期設定が行なわれる。
【0032】
図1に示すように、ドップラーレーダ20は、自動車10の後部に、平面アレイアンテナ22のアンテナ表面22aを自動車10の後方(進行方向とは反対側)に向けて配置されている。このように配置されたドップラーレーダ20は、レーダ制御部23によりその作動が制御されることで、パルスレーダ方式のマスキングによって、自動車10の後方を走行する車両3aの、平面アレイアンテナ22から予め設定された設定距離Lだけ離れた位置における速度を検知することができる。このとき、平面アレイアンテナ22は指向性の高いパルス波を発信するので、ドップラーレーダ20は、自動車10が路側帯2aを走行している場合において、走行車線2bを走行する車両3bの速度を誤って検知することなく、路側帯2aを自動車10に向けて走行する車両3aの速度のみを検知することができる。つまり、ドップラーレーダ20が発信するパルス波は、設定距離Lにおいて路側帯2aの幅の範囲内に収まる程度の指向性を有している。このようにして、ドップラーレーダ20は、自動車10が路側帯2aを走行している場合において、自動車10の後方において路側帯2aを走行している車両3aのみを検知対象として、その平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における速度を検知することができる。
【0033】
なお、ドップラーレーダ20は、パルス波(電波)を用いて車両3aの速度を検知するものであるので、降雨時や降雪時などの気象状況が悪い状況においても車両3aの速度を正確に検知することができる。
【0034】
また、上記のように、本実施の形態では、車両3aの追突を受け易い自動車10の後部の右側部分に設けられた衝突緩衝部材12にドップラーレーダ20を配置するようにしているので、ドップラーレーダ20によって自動車10に追突する虞のある車両3aすなわち作業エリア4に飛び込む虞のある車両3aの速度及び設定距離Lを精度よく検知することができる。
【0035】
なお、自動車10に搭載されるドップラーレーダ20の位置は、上記のように自動車10の後部の右側部分に設けられた衝突緩衝部材12に配置するのが好ましいが、自動車10の後方において路側帯2aを走行する車両3aの速度及び設定距離Lを検知することができる位置であれば、当該位置は種々変更可能である。
【0036】
情報処理部24はレーダ制御部23に接続され、レーダ制御部23を介してドップラーレーダ20が検知した、平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における車両3aの速度が入力される。また、情報処理部24は、機能ブロックとして監視部24aを有している。監視部24aは、ドップラーレーダ20が検知した平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における車両3aの速度が、予め設定された設定速度V以上であるときに、無線送信部26に向けて警告信号を出力するようになっている。
【0037】
ここで、ドップラーレーダ20は自動車10に搭載されているので、自動車10が速度vaで路側帯2aに沿って走行している場合には、ドップラーレーダ20により検知される車両3aの速度は自動車10と車両3aの相対速度、すなわち車両3aの実際の速度(対地速度)v0から自動車10の速度vaを引いた速度(v0-va)となる。そのため、自動車10が速度vaで路側帯2aに沿って走行している場合には、平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における車両3aの速度v0が、予め設定された設定速度V以上(v0≧V)であることを検知する際に、自動車10の速度vaを加味して当該検知を行う必要がある。
【0038】
そこで、本実施の形態の車両飛び込まれ警告装置1では、自動車10の速度vaが入力される速度入力部25を設け、監視部24aは、自動車10が速度vaで路側帯2aに沿って走行している場合に、平面アレイアンテナ22が検知した平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における車両3aの平面アレイアンテナ22に対する速度(v0-va)が、設定速度Vから速度入力部25に入力された自動車10の速度vaを引いた速度(V-va)以上であるときに警告信号を出力する構成となっている。すなわち、速度入力部25に自動車10の速度vaが入力されると、監視部24aは、速度入力部25に入力された自動車10の速度vaに基づいて設定速度を(V-va)に補正し、平面アレイアンテナ22が検知した車両3aの速度(v0-va)が補正された設定速度(V-va)以上であるときに、無線送信部26に向けて警告信号を出力するように構成されている。これにより、自動車10が走行している場合であっても、作業エリア4に接近する車両3aの平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における実際の速度(対地速度)v0が所定の設定速度V以上となって、当該車両3aが作業エリア4に飛び込む虞があることを正確に検知することができる。
【0039】
速度入力部25に入力される自動車10の速度vaは、ある固定値とすることができる。例えば、自動車10が路側帯2aを一定の速度で走行し、作業者5が当該自動車10の前方において移動しながら作業を行う場合には、速度入力部25に上記速度を固定値として入力することができる。この場合、補正された設定速度は固定値となり、平面アレイアンテナ22が検知した車両3aの速度が当該固定値と比較される。
【0040】
速度入力部25に入力される自動車10の速度vaは、速度センサ等により検知した自動車10の実際の速度とすることもできる。この場合、補正された設定速度は、自動車10の速度の変化に応じて変化する変動値となり、平面アレイアンテナ22が検知した車両3aの速度が当該変動値と比較される。この構成によれば、自動車10の速度が変化した場合であっても、作業エリア4に接近する車両3aの平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における実際の速度(対地速度)v0が所定の設定速度V以上であることを正確に検知することができる。
【0041】
無線送信部26は、情報処理部24から警告信号が入力されると、当該警告信号を無線で警告発生部30に向けて発信する。
【0042】
警告発生部30は、無線受信部31において無線送信部13から無線で発信された警告信号を受信し、警告信号を受信したときに作業者5に対して警告を発する。つまり、監視部24aにより、ドップラーレーダ20が検知した平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における車両3aの速度が、予め設定された設定速度V以上であることが検知されると、無線送信部26から警告発生部30に向けて警告信号が送信され、警告発生部30により作業者5に対して警告が発せられる。
【0043】
なお、無線送信部26と無線受信部31との間における警告信号の無線通信としては、例えばZigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信やLPWA(Low Power, Wide Area)等の特定小電力無線などの種々の規格ないし方式等の無線通信を採用することができる。
【0044】
本実施の形態においては、警告発生部30は、情報処理部32と打撃発生装置33とを備えている。情報処理部32は、無線受信部31と打撃発生装置33との間に設けられ、打撃発生装置33は、作業者5が頭部に装着したヘルメット50に装着されている。無線受信部31が警告信号を受信すると、当該警告信号が情報処理部32により処理され、情報処理部32からの指令により打撃発生装置33が作動する。打撃発生装置33が作動すると、打撃発生装置33によりヘルメット50に打撃が加えられ、当該打撃による振動及び打撃音によって作業者5は車両3aに飛び込まれる虞が有るとの警告を認識することができる。
【0045】
このように、警告発生部30を、打撃発生装置33を備えた構成としたことにより、例えば高速道路のように車両の走行音等による騒音が大きい環境下においても、作業者5に警告を確実に認識させることができる。
【0046】
また、上記のように、監視部24aから出力された警告信号を、無線送信部26と無線受信部31とを用いて無線により警告発生部30に送信する構成としたことにより、警告発生部30を作業者5に装着する構成としても、作業者5の作業性を損なうことなく作業者5に対して警告を効果的に認識させることができる。
【0047】
なお、警告発生部30は、例えば、作業者5の腕(手首)に装着される腕時計型端末に構成され、警告信号が入力されると振動発生部が作動して振動が発生する構成のものとするなど、作業者5に警告を認識させることが可能な構成であれば、種々の構成のものを採用することができる。また、警告発生部30は、作業者5ではなく自動車10に装着されて作業者5に対して警告を発生する、サイレンや回転灯、フラッシュライト、警告ブザー等であってもよく、また、これらを複数組み合わせたものとしてもよい。
【0048】
また、路側帯2aに設定された作業エリア4で作業する作業者5に加えて、自動車10の運転者11にも、作業者5と同様のヘルメット50及び打撃発生装置33を備えた警告発生部30を装着するのが好ましい。これにより、自動車10の運転者11に、当該自動車10に車両3aが飛び込む虞が有るとの警告を認識させて、運転者11を車両3aの飛込みから保護することができる。
【0049】
車両飛び込まれ警告装置1は、警告発生部30に加えて、作業エリア4に飛び込む虞がある車両3aに対して警告を発する警告装置を備えた構成とすることもできる。本実施の形態では、ドップラーレーダ20のケース21の上に警告装置として警告灯60が設けられている。警告装置を備えた構成とすることにより、車両3aの運転者に対して作業エリア4への飛込みの虞が有ることを警告して、当該車両3aの作業エリア4への飛び込みを抑制することができる。
【0050】
上記構成を有する車両飛び込まれ警告装置1は、作業エリア4で作業する作業者5のヘルメット50に警告発生部30を装着しておき、自動車10が路側帯2aを道路2に沿って移動しながら、平面アレイアンテナ22から後方に設定距離Lだけ離れた位置において路側帯2a上を作業エリア4に向けて所定の設定速度以上で走行する車両3aの有無を監視し、当該位置において設定速度以上の速度で作業エリア4に近づく車両3を検知したときに、作業エリア4で作業する作業者5の警告発生部30に警告を発生させることで、作業エリア4への車両3aの飛込みに対して作業者5を保護することができる。
【0051】
つまり、路側帯2aを走行する車両3aが平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置に達すると、ドップラーレーダ20により当該位置における車両3aの速度が検知される。そして、検知した車両3aの速度が予め設定された設定速度以上であれば、監視部24aから警告信号が出力され、警告発生部30が作動して作業者5に警告が発せられる。
【0052】
ここで、ドップラーレーダ20が車両3aの速度を検知する位置つまり設定距離Lと、監視部24aが警告信号を発する閾値となる車両3aの速度つまり設定速度は、当該車両3aが設定距離Lの位置から作業エリア4に達して当該作業エリア4に飛び込む前に、警告発生部30が発する警告を受けた作業者5が作業エリア4外の安全な場所に退避することができる値に設定される。したがって、ドップラーレーダ20により、作業エリア4に飛び込む虞がある速度で走行する車両3aを検知し、この検知結果に基づいて警告発生部30から作業者5に警告を発することで、作業者5に作業エリア4外への退避を促して、車両3aの作業エリア4内への飛込みに対して作業者5を保護することができる。
【0053】
このように、本実施の形態の車両飛び込まれ警告装置1では、ドップラーレーダ20により作業エリア4に飛び込むおそれがある車両3aを検知し、警告発生部30により作業者5に当該飛込みを警告するようにしたので、車両3aの作業エリア4内への飛込みに対して作業者5を保護することができる。
【0054】
また、本実施の形態の車両飛び込まれ警告装置1では、ドップラーレーダ20は、平面アレイアンテナ22を備えるとともにパルスレーダ方式によるマスキングによって平面アレイアンテナ22から設定距離Lだけ離れた位置における車両3aの速度を検知可能な構成であるので、複数の走行車線2b、2cが設けられた道路2の路側帯2aで作業が行われている場合においても、ドップラーレーダ20によって、走行車線2b、2c上の車両3bの速度を検知することなく、路側帯2a上を走行する車両3aの速度のみを正確に検知し、検知した車両3aの速度が設定速度以上であるときに警告発生部30に警告を発生させることができる。したがって、作業エリア4が設けられた路側帯2aを走行する車両3aの当該作業エリア4への飛込みを精度よく検知することができる。
【0055】
さらに、本発明の車両飛び込まれ警告装置1では、ドップラーレーダ20は自動車10に搭載されており、作業エリア4に設置する必要がないので、ドップラーレーダ20を設置するための道路占有許可を取得する必要がなく、その運用が容易である。また、走行手段を自動車10としたことにより、運転者11が自動車10を運転することで、ドップラーレーダ20を容易に作業者5とともに移動させることができ、その運用が容易である。
【0056】
車両飛び込まれ警告装置1は、レーダ操作基板27を操作することにより、ドップラーレーダ20が車両3aの速度を検知する設定距離L及び監視部24aが警告を発する閾値となる車両3aの速度つまり設定速度を変更することができる。
【0057】
図6に示すように、レーダ操作基板27は、設定距離変更部としての距離設定スイッチ27aを備えており、この距離設定スイッチ27aを操作することにより、ドップラーレーダ20が車両3aの速度を検知する位置つまり設定距離Lを変更することができる。本実施の形態においては、距離設定スイッチ27aの操作により、設定距離Lを、7m、30m、40mおよび50mの4つの距離のうちの1つに選択的に変更することができる。より具体的には、距離設定スイッチ27aを押すたびに選択する設定距離Lを、7m、30m、40m、50mの順で順次変更することができる。レーダ操作基板27には距離設定スイッチ27aの左側に各設定距離Lに対応する4つのLEDランプが並べて設けられており、選択された設定距離Lに対応するLEDランプが点灯することで、操作者は選択した設定距離Lを認識することができる。
【0058】
また、レーダ操作基板27は、設定速度変更部としての速度設定スイッチ27bを備えており、この速度設定スイッチ27bを操作することにより、監視部24aが警告を発する閾値となる車両3aの速度つまり設定速度を変更することができる。本実施の形態においては、速度設定スイッチ27bの操作により、設定速度を、10km/h、50km/h、60km/hおよび70km/hの4つの速度のうちの1つに選択的に変更することができる。より具体的には、速度設定スイッチ27bを押すたびに選択する設定速度を、10km/h、50km/h、60km/h、70km/hの順で順次変更することができる。レーダ操作基板27には速度設定スイッチ27bの左側に各設定速度に対応する4つのLEDランプが並べて設けられており、選択された設定速度に対応するLEDランプが点灯することで、操作者は選択した設定速度を認識することができる。
【0059】
なお、レーダ操作基板27の操作は、ケース21の平面アレイアンテナ22とは反対側に設けた裏蓋を開けて行う構成とすることができるが、レーダ操作基板27の距離設定スイッチ27a、速度設定スイッチ27b及び各LEDランプをケース21の表面に配置した構成とすることもできる。また、ドップラーレーダ20の異常時に、距離設定スイッチ27aに対応した4つのLEDランプおよび速度設定スイッチ27bに対応した4つのLEDランプの全てが点滅する構成とすることもできる。
【0060】
上記のように、ドップラーレーダ20を、車両3aの速度を検知する設定距離L及び監視部24aが警告を発する閾値となる車両3aの設定速度を変更可能な構成とすることにより、この車両飛び込まれ警告装置1を種々の道路2に設けられる作業エリア4に適用させることができる。
【0061】
車両飛び込まれ警告装置1は、平面アレイアンテナ22の向きを調整可能なレーダ方位調整装置70を備えた構成とすることができる。レーダ方位調整装置70としては、パン機構をチルト機構とを備えた構成のものを採用することができる。
【0062】
図4に示すように、本実施の形態においては、ドップラーレーダ20はレーダ方位調整装置70の上に設置されている。レーダ方位調整装置70は、衝突緩衝部材12に固定された基板71、基板71に重ねて配置されたチルト板72及びチルト板72に重ねて配置されたパン板73を備えている。
【0063】
基板71の上面には自動車10の前後方向に向けて所定の曲率で湾曲する凹曲面71aが設けられ、チルト板72の下面には凹曲面71aと同一の曲率で自動車10の前後方向に向けて湾曲する凸曲面72aが設けられている。基板71とチルト板72は、凹曲面71aと凸曲面72aとを接触させて重ねて配置されている。このような構成により、図7に示すように、基板71の凹曲面71aに対して凸曲面72aを摺動させながらチルト板72を基板71に対して自動車10の後方側に向けて移動させることで、ドップラーレーダ20の向きを上方に調整することができる。反対に、基板71の凹曲面71aに対して凸曲面72aを摺動させながらチルト板72を基板71に対して自動車10の前方側に向けて移動させることで、ドップラーレーダ20の向きを下方に調整することができる。
【0064】
パン板73はチルト板72に対して、その中心に垂直に配置された図示しない回動軸によって回動自在に連結されている。このような構成により、図8に示すように、パン板73をチルト板72に対して左右に回動させることで、ドップラーレーダ20の向きを自動車10の左右方向に調整することができる。
【0065】
レーダ方位調整装置70を有することにより、自動車10へのドップラーレーダ20の搭載位置、坂道やカーブなどの道路2の状況の変化に応じて、ドップラーレーダ20の向きを適宜調整することができる。
【0066】
例えば、図1に示すように、ドップラーレーダ20が自動車10の後部の右側部分に搭載されている場合には、レーダ方位調整装置70のパン機能によりドップラーレーダ20の向きを左側に調整して、平面アレイアンテナ22が発するレーダの照射方位を、路側帯2aを走行する車両3aを確実に捉えつつ走行車線2b、2cを走行する車両3bを補足しない向きに設定することができる。また、道路2のカーブ等に応じて、当該方向を適宜左右に調整することもできる。
【0067】
また、図9(a)に示すように、自動車10が山越えをする際には、レーダ方位調整装置70のチルト機能によりドップラーレーダ20の向きを下向きに調整して、平面アレイアンテナ22が発するレーダの照射方位を、山の手前を走行する車両3aに向けることができる。反対に、図9(b)に示すように、自動車10が谷越えをする際には、レーダ方位調整装置70のチルト機能によりドップラーレーダ20の向きを上向きに調整して、平面アレイアンテナ22が発するレーダの照射方位を、谷の手前を走行する車両3aに向けることができる。自動車10が山越え、谷越えをする際においても、必要に応じて適宜、レーダ方位調整装置70のパン機能によりドップラーレーダ20の向きを左右方向に調整することもできる。
【0068】
以上の通り、レーダ方位調整装置70によりドップラーレーダ20の向きを上下方向及び左右方向に任意に調整することが可能な構成とすることにより、必要に応じて適宜ドップラーレーダ20の向きを調整することを可能として、作業エリア4に飛び込む虞のない車両3aが誤検知されることを防止して、作業エリア4に飛び込む虞がある車両3aのみをドップラーレーダ20により正確に検知することができる。
【0069】
また、レーダ方位調整装置70として、基板71、チルト板72及びパン板73を備えた構成のものを用いたことにより、ドップラーレーダ20の向きを精度よく微調整することを可能として、作業エリア4に飛び込む虞がある車両3aのみをドップラーレーダ20により正確に検知することができる。
【0070】
レーダ方位調整装置70は、例えば自動車10の運転席に設けられた調整装置を用いて遠隔操作が可能な構成とすることができる。これにより、運転者11が自動車10を運転しながら、運転者11ないし助手席の作業者等が調整装置を用いてドップラーレーダ20の向きを適宜調整することが可能となるので、より容易にドップラーレーダ20の向きを調整することが可能となる。この場合、自動車10の後部にカメラを装着し、当該カメラにより撮影した自動車10の後方画像を運転席に設けたモニタ等に表示する構成とするのが好ましい。これにより、当該モニタにより自動車10の後方の様子を確認しつつ必要に応じてドップラーレーダ20の向きを遠隔操作により調整することが可能となる。
【0071】
なお、レーダ方位調整装置70は、手動によりドップラーレーダ20の向きを調整する構成とすることもできる。
【0072】
また、レーダ方位調整装置70は、ドップラーレーダ20の高さ方向の位置を調整する機能を備えたものとすることもできる。この場合、レーダ方位調整装置70は、例えばドップラーレーダ20をパン板73等に対してスライド式に上下方向に移動させることが可能な構成とすることができる。レーダ方位調整装置70を、ドップラーレーダ20の高さ方向の位置を調整可能な構成とすることにより、ドップラーレーダ20を、作業エリア4に飛び込む虞がある車両3aをより正確に検知することができる配置として、その検知精度を高めることができる。
【0073】
図10に示すように、車両飛び込まれ警告装置1を用いて作業が行われる道路2には、警告信号転送装置80が設置されている。警告信号転送装置80は、車両飛び込まれ警告装置1の監視部24aから出力された警告信号を、監視センター90に設けられた警告情報受信部91に転送するものである。
【0074】
図11に示すように、警告信号転送装置80は、無線受信部81、情報処理部82及び広域無線通信を行う通信インターフェース部83を有している。
【0075】
警告信号転送装置80は、無線受信部81において車両飛び込まれ警告装置1の監視部24aから出力された警告信号を無線で受信することができる。警告信号転送装置80は、警告信号を無線で受信すると、その警告信号を情報処理部82で処理し、通信インターフェース部83において無線でインターネット100に接続し、当該インターネット100介して警告信号を警告情報受信部91に転送する。
【0076】
監視センター90には管理手段92が設けられており、警告信号転送装置80から転送されて警告情報受信部91に受信された警告信号と警告信号転送装置80の位置情報とが関連付けられて管理手段92に入力される。管理手段92は、多数の場所で行われる作業において用いられている車両飛び込まれ警告装置1から転送されてくる上記情報を蓄積することで、どのエリアで警告が発生したかを管理する。
【0077】
車両飛び込まれ警告装置1、警告信号転送装置80、警告情報受信部91及び管理手段92により、本実施の形態の警告情報管理システムが構成される。本実施の形態の警告情報管理システムによれば、管理手段92に蓄積した情報に基づいて、警告が発生し易い道路の形状や地形等を分析することができ、これに基づき作業者5の安全性を高めることができる。
【0078】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0079】
例えば、前記実施の形態においては、監視部24aから警告発生部30に無線で警告信号を送信するようにしているが、監視部24aと警告発生部30とを有線で接続した構成とすることもできる。この場合、監視部24aから出力された警告信号は、無線送信部26を介さず警告発生部30に直接入力される。
【0080】
また、ドップラーレーダ20は、録画機能を有するビデオカメラを備えた構成とすることもできる。このカメラとしては、所謂ドライブレコーダなど、所定の加速度以上の衝撃を受けると、その衝撃を受ける前の所定時間の範囲の動画像または衝撃を受ける前後の所定時間の範囲の動画像を保存するカメラを用いるのが好ましい。ドップラーレーダ20をこのようなカメラを備えた構成とすることにより、作業エリア4に車両3aが飛び込んだ際に、その車両3aの飛込みの様子をカメラにより記録して、当該飛込みの原因究明等に利用することができる。
【0081】
さらに、前記実施の形態においては、ドップラーレーダ20を、自動車10の後部の右側部分に設けられた衝突緩衝部材12に配置するようにしているが、これに限らず、他の部分に配置するようにしてもよい。
【0082】
さらに、前記実施の形態においては、レーダ方位調整装置70を、基板71、チルト板72及びパン板73を備えた構成のものとしたが、これに限らず、ドップラーレーダ20の向きを調整可能なものであれば、異なる構成ないし方式のものを採用することもできる。
【符号の説明】
【0083】
1 車両飛び込まれ警告装置
2 道路
2a 路側帯
2b 走行車線
2c 走行車線
3a 車両
3b 車両
4 作業エリア
5 作業者
10 自動車
11 運転者
12 衝突緩衝部材
20 ドップラーレーダ
21 ケース
22 平面アレイアンテナ
22a アンテナ表面
23 レーダ制御部
24 情報処理部
24a 監視部
25 速度入力部
26 無線送信部
27 レーダ操作基板
27a 距離設定スイッチ(設定距離変更部)
27b 速度設定スイッチ(設定速度変更部)
28 スイッチング電源
28a 電源コネクタ
29 USB変換器
30 警告発生部
31 無線受信部
32 情報処理部
33 打撃発生装置
40 外部機器
50 ヘルメット
60 警告灯
70 レーダ方位調整装置
71 基板
71a 凹曲面
72 チルト板
72a 凸曲面
73 パン板
80 警告信号転送装置
81 無線受信部
82 情報処理部
83 通信インターフェース部
90 監視センター
91 警告情報受信部
92 管理手段
100 インターネット
L 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11