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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】仲介装置および仲介方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/06 20060101AFI20230901BHJP
   A63F 9/14 20060101ALI20230901BHJP
   A63F 9/24 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
B25J13/06
A63F9/14 Z
A63F9/24 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019105753
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020026027
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2018151917
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康彦
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 繁次
(72)【発明者】
【氏名】丸山 佳彦
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-178960(JP,A)
【文献】特開2015-173978(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0291764(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0238366(US,A1)
【文献】ANDERSSON, Russell L.,Aggressive Trajectory Generator for a Robot Ping-Pong Player,IEEE Control Systems Magazine,Volume 9, Issue 2,1989年02月,pp. 15-20,https://www.worldrobotsummit.org/download/rulebook-Assembly_Challenge.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
A63F 9/14
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの操作端末から、又は、少なくとも1つの操作端末と少なくとも1つのコンピュータとから、前記操作端末又は前記コンピュータに各々対応し且つ所定の作業又は所定の競技を実行する少なくとも2つの産業用ロボットを操作するための操作信号を受信する処理と、
前記操作信号に基づき前記少なくとも2つの産業用ロボットに前記所定の作業又は前記所定の競技を実行させる処理と、
撮像装置によって撮像された前記少なくとも2つの産業用ロボットによる前記作業又は前記競技の現場の画像を前記操作端末の操作者が有する表示装置に表示させる処理と、
前記操作者の前記表示装置に前記作業又は前記競技への参加を勧誘するための開催画面を表示させる処理と
所定の評価要素に基づき前記操作者の操作レベルを判定する処理と、を実行し、
前記所定の評価要素は、
前記所定の作業を実行する場合には、前記所定の作業の完了に要した時間、前記所定の作業の出来栄え、又は、操作者による前記操作端末の同一の一連操作が所定時間内に行われた回数であり、
前記所定の競技を実行する場合には、前記所定の競技における勝敗が決まるのに要した時間、又は、操作者による前記操作端末の同一の一連操作が所定時間内に行われた回数である、仲介装置。
【請求項2】
前記産業用ロボットによる前記作業又は前記競技に対して評価を付与する観戦装置から前記評価を受け取り、前記評価に基づき前記操作者の操作レベルを判定する、請求項に記載の仲介装置。
【請求項3】
前記操作者による前記作業又は前記競技への参加を受け付け、前記操作端末と前記産業用ロボットとの接続を行う、請求項1又は2に記載の仲介装置。
【請求項4】
前記操作者の前記操作端末からの連絡に応じて前記操作端末と前記産業用ロボットとの接続を切断する、請求項1乃至の何れか1項に記載の仲介装置。
【請求項5】
前記表示装置に全ての前記産業用ロボットを含む現場の画像を表示させる、請求項1乃至の何れか1項に記載の仲介装置。
【請求項6】
前記操作端末として、コントローラが接続されたゲーム装置から前記操作信号を受信する、請求項1乃至の何れか1項に記載の仲介装置。
【請求項7】
少なくとも2つの操作端末から、又は、少なくとも1つの操作端末と少なくとも1つのコンピュータとから、前記操作端末又は前記コンピュータに各々対応し且つ所定の作業又は所定の競技を実行する少なくとも2つの産業用ロボットを操作するための操作信号を受信する工程と、
前記操作信号に基づき前記少なくとも2つの産業用ロボットに前記所定の作業又は前記所定の競技を実行させる工程と、
撮像装置によって撮像された前記少なくとも2つの産業用ロボットによる前記作業又は前記競技の現場の画像を前記操作端末の操作者が有する表示装置に表示させる工程と、
前記操作者の前記表示装置に前記作業又は前記競技への参加を勧誘するための開催画面を表示させる工程と
所定の評価要素に基づき前記操作者の操作レベルを判定する工程と、を備え
前記所定の評価要素は、
前記所定の作業を実行する場合には、前記所定の作業の完了に要した時間、前記所定の作業の出来栄え、又は、操作者による前記操作端末の同一の一連操作が所定時間内に行われた回数であり、
前記所定の競技を実行する場合には、前記所定の競技における勝敗が決まるのに要した時間、又は、操作者による前記操作端末の同一の一連操作が所定時間内に行われた回数である、仲介方法。
【請求項8】
前記産業用ロボットによる前記作業又は前記競技に対して評価を付与する観戦装置から前記評価を受け取り、前記評価に基づき前記操作者の操作レベルを判定する工程を備える、請求項に記載の仲介方法。
【請求項9】
前記操作者による前記作業又は前記競技への参加を受け付け、前記操作端末と前記産業用ロボットとの接続を行う、請求項7又は8に記載の仲介方法。
【請求項10】
前記操作者の前記操作端末からの連絡に応じて前記操作端末と前記産業用ロボットとの接続を切断する、請求項乃至の何れか1項に記載の仲介方法。
【請求項11】
前記表示装置に全ての前記産業用ロボットを含む現場の画像を表示させる、請求項乃至10の何れか1項に記載の仲介方法。
【請求項12】
前記操作端末としてコントローラが接続されたゲーム装置から前記操作信号を受信する、請求項乃至11の何れか1項に記載の仲介方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作者による操作端末の操作に基づき各産業用ロボットを動作させる仲介装置および仲介方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の操作者がコントローラを操作してロボット同士で戦闘を行わせるゲームシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のゲームシステムにおいては、同じ構成のロボットを複数の操作者がコントローラでそれぞれ遠隔操作することで、直径5m程度の円形バトルフィールド内で上記ロボット同士を対戦させるようになっている。
【0003】
上記ゲームシステムにおけるロボットは優劣判定部を備えている。この優劣判定部は、体力値演算部により演算された体力値が0になったか否かおよび制限時間が経過したか否かを常時監視しており、ロボットの体力値が0になったことを検出した場合には、そのロボットは敗北したと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-000286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、企業等における人手不足が問題となりつつある昨今、急がれているのが省力化や自動化である。そこで期待が集まっているのが産業用ロボットである。産業用ロボットは多くの産業の人手不足を補うことができる。したがって、産業用ロボットをより普及させる必要があるが、当該普及には産業用ロボットに対する世の中の関心をより高める必要がある。しかしながら、上記従来のシステムは、単にゲームの優劣を判定しているだけであり、産業用ロボットに対する関心の向上を実現するものとは言い難い。
【0006】
そこで、本発明は、産業用ロボットに対する関心を従来よりも向上することができる仲介装置および仲介方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の仲介装置は、少なくとも2つの操作端末から、又は、少なくとも1つの操作端末と少なくとも1つのコンピュータとから、前記操作端末又は前記コンピュータに各々対応し且つ所定の作業又は所定の競技を実行する少なくとも2つの産業用ロボットを操作するための操作信号を受信する処理と、前記操作信号に基づき前記少なくとも2つの産業用ロボットに前記所定の作業又は前記所定の競技を実行させる処理と、撮像装置によって撮像された前記少なくとも2つの産業用ロボットによる前記作業又は前記競技の現場の画像を前記操作端末の操作者が有する表示装置に表示させる処理と、を実行するものである。
【0008】
本発明に従えば、操作者は、表示装置に表示された産業用ロボットによる作業又は競技の現場の画像(静止画および動画を含む)を視認しながら、自身が所有する操作端末により産業用ロボットを遠隔操作することで当該産業用ロボットに作業又は競技を行わせることができる。これにより、操作者は、自宅や外出先等において産業用ロボットを身近に操作することができる。このことによって、産業用ロボットに対する関心を従来よりも向上することができる。したがって、産業用ロボットを操作する人が増え、産業用ロボットの普及が促進されることが期待される。
【0009】
上記発明において、仲介装置は、所定の評価要素に基づき前記操作者の操作レベルを判定してもよい。
【0010】
上記構成に従えば、操作者の操作スキルを把握することができる。これにより、産業用ロボットを高スキルで操作できる操作者を確保し易くなり、このような操作者に対してロボット遠隔操作の仕事を依頼するといったビジネスモデルを構築することもできる。
【0011】
上記発明において、仲介装置は、前記産業用ロボットによる前記作業又は前記競技に対して評価を付与する観戦装置から前記評価を受け取り、前記評価に基づき前記操作者の操作レベルを判定してもよい。
【0012】
上記構成に従えば、産業用ロボットによる作業(例えば塗装作業)の出来ばえについては、人によって感覚的な捉え方が異なるため、そのような評価に基づき操作者の操作レベルを多様に判定することができる。また、公開して観戦させることによって、世間のロボットに対する関心およびロボット操作についての関心を高めることができる。
【0013】
上記発明において、仲介装置は、前記操作者の前記表示装置に前記作業又は前記競技への参加を勧誘するための開催画面を表示させてもよい。
【0014】
上記構成に従えば、操作者は、表示装置における表示を視認することによって、産業用ロボットによる作業又は競技に参加し易くなる。
【0015】
上記発明において、仲介装置は、前記操作者による前記作業又は前記競技への参加を受け付け、前記操作端末と前記産業用ロボットとの接続を行ってもよい。
【0016】
上記構成に従えば、操作者は好きな時に自由に産業用ロボットによる作業又は競技に参加することができる。
【0017】
上記発明において、仲介装置は、前記操作者の前記操作端末からの連絡に応じて前記操作端末と前記産業用ロボットとの接続を切断してもよい。
【0018】
上記構成に従えば、操作者は仲介装置に連絡することにより、抜けたい時に遠隔操作から抜けることができる。
【0019】
上記発明において、仲介装置は、前記表示装置に全ての前記産業用ロボットを含む現場の画像を表示させてもよい。
【0020】
上記構成に従えば、操作者は相手側のロボットの作業進捗や競技状況を視認することができる。
【0021】
上記発明において、仲介装置は、前記操作端末として、コントローラが接続されたゲーム装置から前記操作信号を受信してもよい。
【0022】
上記構成に従えば、操作者は、専用の操作端末を購入しないで済むし、自宅等からロボットを容易に遠隔操作することができるようになる。
【0023】
本発明の仲介方法は、少なくとも2つの操作端末から、又は、少なくとも1つの操作端末と少なくとも1つのコンピュータとから、前記操作端末又は前記コンピュータに各々対応し且つ所定の作業又は所定の競技を実行する少なくとも2つの産業用ロボットを操作するための操作信号を受信する工程と、前記操作信号に基づき前記少なくとも2つの産業用ロボットに前記所定の作業又は前記所定の競技を実行させる工程と、撮像装置によって撮像された前記少なくとも2つの産業用ロボットによる前記作業又は前記競技の現場の画像を前記操作端末の操作者が有する表示装置に表示させる工程と、を備えるものである。
【0024】
本発明の仲介装置は、少なくとも2つの操作端末から、又は、少なくとも1つの操作端末と少なくとも1つのコンピュータとから、前記操作端末又は前記コンピュータに各々対応し且つ所定の作業又は所定の競技を実行する少なくとも2つの産業用ロボットを操作するための操作信号を受信する手段と、前記操作信号に基づき前記少なくとも2つの産業用ロボットに前記所定の作業又は前記所定の競技を実行させる手段と、撮像装置によって撮像された前記少なくとも2つの産業用ロボットによる前記作業又は前記競技の現場の画像を前記操作端末の操作者が有する表示装置に表示させる手段と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、産業用ロボットに対する関心を従来よりも向上することができる仲介装置および仲介方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るロボット操作システムの構成を示すブロック図である。
図2図1のゲーム装置に接続されるコントローラの外観図である。
図3】(a)は図1のサーバ装置の制御部の構成を示すブロック図であり、(b)は(a)の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
図4】2つのロボットに塗装作業を競わせている様子を示す図である。
図5】(a)は操作者の表示装置に表示される参加勧誘表示の一例を示す図であり、(b)は操作者の表示装置に表示される塗装作業の現場を示す図である。
図6】2つのロボットにビリヤードをプレイさせている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る仲介装置を有するロボット操作システムについて、図面を参照しながら説明する。以下に説明する仲介装置は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0028】
本実施形態においては、仲介装置の構成および機能がサーバ装置に割り当てられる態様について説明を行うが、その割り当てはこれに限定されるものではない。仲介装置の構成および機能を操作者が有するゲーム装置に割り当ててもよいし、産業用ロボットに割り当ててもよい。
【0029】
本実施形態のロボット操作システム1は、少なくとも2人の操作者(例えばゲームプレイヤ)が、公知の各種ゲーム装置に接続されたコントローラを用いて通信ネットワークを介して対応する産業用ロボットを遠隔操作することで、当該産業用ロボット同士に所定の作業の遂行を競わせるものである。
【0030】
所定の作業とは、後述するように例えば塗装作業であってもよいし、その他にも例えばピッキング作業や弁当盛り付け作業、溶接作業等であってもよい。所定の作業は、その過程の少なくとも一部に作業(一定の目的および計画のもとに身体又は知能を使ってする仕事)を有するものであればよい。
【0031】
図1は、本実施形態におけるロボット操作システム1の構成を説明するブロック図である。ロボット操作システム1は、例えばインターネットやLAN等の通信ネットワーク4を介して相互に通信可能なサーバ装置(仲介装置に相当)2、少なくとも2つのゲーム装置3、少なくとも2つの産業用ロボット5、および1又は複数の観戦装置6を含む。産業用ロボット5は、例えば垂直多関節型ロボット、水平多関節型ロボット、パラレルリンク型ロボット、極座標ロボット、円筒座標型ロボット、直角座標型ロボット等の産業用ロボットで構成され、アンテナ等の無線通信機能を有する。なお、ゲーム装置3の数と産業用ロボット5の数とは同じである。
【0032】
ゲーム装置3は、インターネット通信などの通信部32を備え、通信ネットワーク4に接続することができる。ゲーム装置3は、たとえば据え置き型のゲーム装置または携帯型ゲーム装置である。後述のコントローラ38が接続されたゲーム装置3が操作端末に相当する。操作端末は、公知の各種ゲーム装置の他に、例えば携帯情報端末(PDA(Personal Data Assistant))、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット、およびロボット専用遠隔操作器を含む。
【0033】
ゲーム装置3は、図1に示すようにバス30上に制御部31、通信部32、およびハードディスクまたはメモリーカード等の記憶部33を備える。制御部31は、後述のコントローラ38の操作に基づき産業用ロボット5を通信ネットワーク4を介して動作させ、当該産業用ロボット5に所定の作業を実行させる。このような制御部31は、CPU310、ROM(フラッシュメモリ)311、RAM312、画像プロセッサ313、音声プロセッサ314、および操作部315を備えている。
【0034】
CPU310はゲーム装置3の各部の動作を制御する。ROM311には、ゲーム装置3の基本プログラム等が記憶されている。記憶部33には、遠隔操作によりロボットを動作させるためのプログラム(遠隔操作プログラム)や、各種ゲームを実行するためのプログラム(ゲームプログラム)等が記憶されている。RAM312には、CPU310がゲームプログラムを実行する際に使用されるワークエリアが設定される。なお、本実施形態では、記憶部33における上記遠隔操作プログラムの記憶は必須であるが、上記ゲームプログラムの記憶は必須ではない。
【0035】
画像プロセッサ313は、ゲーム画面を生成可能なGPU(Graphics Processing Unit)を備える。画像プロセッサ313には、ビデオRAM(VRAM)34が接続される。このVRAM34には表示装置35が接続されている。表示装置35は、後述の撮像装置CAにより撮像された、複数の産業用ロボット5による作業の現場の動画や静止画を通信部32を介して取得し表示する。なお、画像プロセッサ313は、CPU310の指示に従ってゲーム空間を生成する。表示装置35は、上記ゲーム空間における画像をゲーム画面として表示する機能も有する。
【0036】
音声プロセッサ314は、ゲーム音声を生成するDSP(Digital Signal Processor)を備える。音声プロセッサ314は、生成したゲーム音声をD/Aコンバータを含むアンプ36に送信する。アンプ36は、この音声信号を増幅してスピーカ37に送信する。
【0037】
操作部315には、コントローラ38が接続されている。コントローラ38は、十字ボタン、プッシュスイッチ、ジョイスティック、マウス、キーボードおよびタッチパネルなどを含む。また、操作部315は、ユーザによるコントローラ38を介した操作信号を検出し、その操作信号をCPU310に送信する。
【0038】
通信部32は、通信ネットワーク4を介して産業用ロボット5との間で通信を行う。操作者は自身が所有するコントローラ38を操作することで、制御部31が通信部32を介して産業用ロボット5に動作指令を出す。これにより、操作者によるコントローラ38の操作により、産業用ロボット5が遠隔操作される。
【0039】
また、制御部31は、データ通信によってゲーム装置3とサーバ装置2との間で通信を行うことにより、ゲーム進行を実行し又はゲームプログラムのダウンロードなどを行う。
【0040】
図2図1のゲーム装置3に接続されるコントローラ38の外観図である。図2に示すように、コントローラ38は略U字形をしている。操作者は、両翼部のハンドル101L,101Rを左右両手で把持して操作する。コントローラ38の左右上面には操作ボタン群110,120、アナログスティック112,122が設けられており、コントローラ38の右前面にはR1ボタン111、左前面にはL1ボタン121がそれぞれ設けられている。操作ボタン群110およびアナログスティック112は操作者の右手親指で操作され、操作ボタン群120およびアナログスティック122は操作者の左手親指で操作される。また、R1ボタン111、L1ボタン121は、それぞれ操作者の右手人指し指、左手人指し指で操作される。コントローラ38は、さらに操作ボタン群110と操作ボタン群120との間にタッチパッド130を備えている。
【0041】
サーバ装置2は、図3(a)に示すように、例えばマイクロコントローラ、MPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLC(Programmable Logic Controller)、コンピュータ、又はパーソナルコンピュータ等で構成される制御部20を備えている。このような制御部20は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、および通信部25を備える。CPU21はサーバ装置2の各部の動作を制御する。ROM22には、サーバ装置2の基本プログラム等が記憶されている。記憶部24には、後記のレベル判定部26、勧誘部27、計測部28、受付部40、および切断部41を機能的に実現するためのプログラム等が記憶されている。なお、制御部20は集中制御を行う単独の演算器で構成されてもよく、分散制御を行う複数の演算器で構成されてもよい。また、レベル判定部26、勧誘部27、計測部28、受付部40、および切断部41を、論理回路等を用いたハードウエアにより実現してもよく、上記のようにソフトウェアと論理回路等を用いたハードウエアとの組み合わせによって実現してもよい。
【0042】
図3(b)に示すように、サーバ装置2の制御部20は、機能的構成として、レベル判定部26、勧誘部27、計測部28、受付部40、および切断部41を有している。サーバ装置2における制御部20と記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働によって、レベル判定部26、勧誘部27、計測部28、受付部40、および切断部41が機能的に実現される。
【0043】
ここで、図4に示すように、所定の作業として例えば塗装作業を2つの産業用ロボット5に実行させ、産業用ロボット5同士の間で作業開始から作業完了までに要した時間を競わせる場合について説明する。
【0044】
産業用ロボット5は、塗装装置本体である塗装ガン206と、移動装置であるマニピュレータ204と、後述のノズル207から吐出される塗料等の液体を塗装ガン206に供給する供給装置202と、マニピュレータ204の動作を制御する制御装置(ロボットコントローラ)201とを備えている。また、産業用ロボット5の近傍には、ワーク211を設置する設置台210が配置されている。なお、ワーク211の表面212を変色性物質を含む材料で構成し、塗装ガン206のノズル207から液体としての水をワーク211の表面212に吐出することで、当該表面212において水で濡れた部分を変色させて色付けするようにしてもよい。
【0045】
制御装置201は、プロセッサを備えており、格納されたプログラムや外部から入力される各種信号の解読・演算処理などをプロセッサで行い、マニピュレータ204の動作制御、各種出力ポートからの信号出力などをつかさどる。
【0046】
塗装ガン206はマニピュレータ204の手首205に取り付けられている。ノズル207は塗装ガン206の先端部を構成しており、そこから塗料が吐出される。塗装ガン206は、駆動装置203によってノズル207からの塗料の吐出のON・OFFが制御され、また吐出量も制御される。この駆動装置5は制御装置201により制御される。
【0047】
塗装を施されるワーク211は設置台210上に設置されている。マニピュレータ204が動作することにより、ノズル207はこのワーク211の表面212の近傍を移動しつつ、その表面212に対して塗料を吐出する。これにより、ワーク211の表面212に塗装が行われる。
【0048】
このように塗装作業等の作業を行う2つの産業用ロボット5は互いに近接して配置される。また、2つの産業用ロボット5に作業を行わせている現場はカメラ等の撮像装置CAにより撮像される。なお、図4では各産業用ロボット5に対応して撮像装置CAを設置している例を挙げたが、1つの撮像装置CAにより2つの産業用ロボット5が塗装作業を行っている現場を撮像してもよい。
【0049】
このような塗装作業を産業用ロボット5に競わせる場合、最初に、サーバ装置2の勧誘部27は、操作者のゲーム装置3の表示装置35に、作業への参加を勧誘するための表示を行わせる。この場合、図5(a)に示すように、表示装置35の表示画面35aには、「現在、参加できます!」等の、操作者に対して作業への参加を勧誘するメッセージ等が表示される。なお、上述の通り、本実施形態のロボット操作システム1は産業用ロボット5同士に所定の作業の遂行を競わせるものであるため、上記メッセージは、自身のゲーム装置3を通信ネットワーク4に接続している操作者が少なくとも2人いる場合に表示される。なお、サーバ装置2は上記メッセージをEメール等の他の手段によってゲーム装置3に送信するように構成してもよい。
【0050】
各操作者は表示装置35の表示画面35aを視認して産業用ロボット5による塗装作業に参加する場合には、コントローラ38の所定操作を行うことで参加意志を示す信号をサーバ装置2に送信することができる。サーバ装置2の受付部40は、操作者による作業への参加を受け付け、通信ネットワーク4を介してゲーム装置3と産業用ロボット5との接続を行う。この場合、サーバ装置2は操作者に所定のIDを付与し、当該操作者とIDとの対応関係を記憶してもよい。操作者はIDを入力することで上記参加を行うことができる。各操作者は自身のゲーム装置3が通信ネットワーク4を介して産業用ロボット5に接続された後、コントローラ38を操作することにより、対応する産業用ロボット5に塗装作業を行わせることができる。この場合、サーバ装置2の計測部28は作業開始から作業完了までに要した時間を計測する。また、サーバ装置2の制御部20は、計測部28により計測された作業開始から現在までの経過時間を、後述するように表示装置35の表示画面35aに表示させる。なお、産業用ロボット5の制御装置(ロボットコントローラ)201は、コントローラ38の各操作に基づく信号を変換した動作信号により産業用ロボット5の各動作を制御する。これにより、操作者はコントローラ38を操作することで産業用ロボット5に塗装作業における動作を行わせることができる。
【0051】
各産業用ロボット5に塗装作業を競わせている際には、表示装置35は全ての産業用ロボット5(本実施形態では2つの産業用ロボット5)を含む現場の動画を表示する。具体的には、図5(b)に示すように、表示装置35の表示画面35aに、撮像装置CAにより撮像された、自身のゲーム装置3に対応する産業用ロボット5の作業現場の動画が表示されると共に、相手のゲーム装置3に対応する産業用ロボット5の作業現場の動画が表示される。図5(b)では、自身のゲーム装置3に対応する産業用ロボット5の塗装作業の進捗の方が、相手のゲーム装置3に対応する産業用ロボット5の塗装作業の進捗よりも早い例を示している。また、表示装置35の表示画面35aには、塗装作業完了の目標時間や塗装作業の開始から現在までの経過時間等も表示されてもよい。なお、図5(b)の表示画面35aでは、撮像装置CAにより撮像される産業用ロボット5および設置台210の画像の表示は省略している。
【0052】
各産業用ロボット5による塗装作業が終了すると、レベル判定部26は、産業用ロボット5の塗装作業に関する所定の評価要素に基づき操作者の操作レベルを判定する。評価要素としては、例えば塗装作業のような作業の場合、作業完了に要した時間や作業の出来栄え等を採用することができる。塗装作業の出来ばえとは、例えば塗装の色合いや鮮明さ、枠線からのはみだし具合等を含むものである。
【0053】
また、上記のようにレベル判定部26により操作者の操作レベルが判定されるように構成したが、このような構成に加えて、図1に示すように通信ネットワーク4を介してサーバ装置2に接続可能な1又は複数の観戦装置6を設けることができる。この観戦装置6は、産業用ロボット5の作業状況の動画を表示できる表示部を有する機器、例えば携帯情報端末(PDA(Personal Data Assistant))、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、およびタブレットのうちの何れか、或いは単なる入力装置で構成される。このような構成において、遠方にいる視聴者や作業現場に集まった観衆は、例えば産業用ロボット5の塗装作業の出来具合に対して観戦装置6を用いて点数(評価)を付与することができる。点数はサーバ装置2に送信され、レベル判定部26はその評価に基づき操作者の操作レベルを判定してもよい。産業用ロボット5による塗装作業の出来ばえについては、人によって感覚的な捉え方が異なるため、そのような評価に基づき操作者の操作レベルを多様に判定することができる。また、このように公開して観戦させることによって、世間のロボットに対する関心およびロボット操作についての関心を高めることができる。
【0054】
また、例えば、塗装作業に要した時間帯ごとに対応付けされた複数の操作レベルを記憶部24に予め記憶させておいてもよい。この場合、レベル判定部26は勝者に対して具体的な操作レベルを認定すると共に、敗者に対しても具体的な操作レベルを認定する。つまり、勝者だけでなく、敗者に対しても所定の操作レベルが認定されるように構成してもよい。
【0055】
切断部41は、操作者のゲーム装置3からの連絡に応じて当該ゲーム装置3と産業用ロボット5との接続を切断する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のロボット操作システム1におけるサーバ装置2によれば、操作者は、表示装置35に表示された産業用ロボット5による作業の現場の画像(静止画および動画を含む)を視認しながら、自身が所有するコントローラ38により産業用ロボット5を遠隔操作することで当該産業用ロボット5に作業を行わせることができる。これにより、操作者は、自宅や外出先等において産業用ロボット5を身近に操作することができる。このことによって、産業用ロボット5に対する関心を従来よりも向上することができる。したがって、産業用ロボット5を操作する人が増え、産業用ロボット5の普及が促進されることが期待される。
【0057】
また、本実施形態では、所定の評価要素に基づき操作者の操作レベルが判定されるので、当該操作者の操作スキルを把握することができる。これにより、産業用ロボット5を高スキルで操作できる操作者を確保し易くなり、このような操作者に対してロボット遠隔操作の仕事を依頼するといったビジネスモデルを構築することもできる。
【0058】
また、本実施形態では、仲介装置であるサーバ装置2がレベル判定部25を有していることにより、産業用ロボット5を高スキルで操作できる操作者の情報を収集し易くなる。
【0059】
また、本実施形態では、表示装置35において全ての産業用ロボット5を含む現場の動画が表示されるので、操作者は相手側の産業用ロボット5の作業進捗を視認することができる。これにより、操作者は作業における集中力や情熱を高めることができることが期待される。
【0060】
また、本実施形態では、サーバ装置2の制御部20は塗装作業への参加を勧誘するための表示を表示装置35に行わせる勧誘部27を備えることで、操作者は表示装置35の表示画面35aにおける勧誘表示を視認して塗装作業に参加し易くなる。
【0061】
また、本実施形態では、操作者のゲーム装置3からの連絡に応じて、サーバ装置2の切断部41により当該ゲーム装置3と産業用ロボット5との接続が切断されるように構成されている。これにより、操作者は、抜けたい時に遠隔操作から抜けることができる。
【0062】
さらに、本実施形態では、操作端末として、コントローラ38が接続されたゲーム装置3を採用することで、操作者は、専用の操作端末を購入しないで済むし、自宅等から産業用ロボット5を容易に遠隔操作することができるようになる。
【0063】
(他の実施形態)
上記実施形態では、各産業用ロボット5に所定の作業としての塗装作業を競わせる態様について説明したが、以下では各産業用ロボット5にスポーツやゲーム(マッチ)をはじめとする所定の競技を競わせる。
【0064】
図6は2つの産業用ロボット5Aに所定の競技としてのビリヤードをプレイさせている様子を示す図である。なお、図6において図4と同じ構成要素には同一符号を付与し、その説明を省略する。
【0065】
図6に示すように、マニピュレータ204の手首205にはハンド208が取り付けられている。このハンド208には、ビリヤードの球を打つためのキュー209が把持されている。制御装置201による制御によってマニピュレータ204が動作することにより、ビリヤードテーブル上の球をキュー209により打つことができる。各産業用ロボット5によるビリヤード競技が終了すると、レベル判定部26はビリヤード競技に係る評価要素に基づき操作者の操作レベルを判定する。この評価要素としては、例えば、勝敗が決まるのに要した時間やポケットに落とすことができた的玉の個数、ショットの正確さ(例えば、手玉を直接又は間接的に当てることができた的玉の個数)等を採用することができる。なお、図6のビリヤードテーブルの一部を断面図としている。
【0066】
上記所定の競技には、例えばテニスや野球のようなボールゲーム、走・跳・投の陸上競技、剣道や柔道のような格闘競技、スキーやスケートのような氷雪上の競技、競泳や飛び込みのような水上競技、ヨットやボートのような舟のスポーツ、自転車や自動車のような車のスポーツ、競技ダンス、および知的競技である将棋や囲碁等が含まれる。
【0067】
また、上記実施形態では、複数の操作者のコントローラ38により産業用ロボット5,5Aの操作信号が与えられる態様について説明したが、他の実施形態としては、少なくとも1つの操作端末と少なくとも1つのコンピュータ(AI等を含む)とにより、産業用ロボット5,5Aの操作信号が与えられる。すなわち、操作者の相手側の少なくとも一つはコンピュータとなる。上記コンピュータはサーバ装置2が備えるが、これに限らず、ゲーム装置3又は産業用ロボット5,5Aが備えてもよい。
【0068】
以上のような場合でも、上記実施形態と同様に産業用ロボット5,5Aに対する関心を従来よりも向上することができる。したがって、産業用ロボット5,5Aを操作する人が増え、産業用ロボット5,5Aの普及が促進されることが期待される。
【0069】
また、上記実施形態の産業用ロボット5,5Aを自走式のロボットとして構成してもよい。それにより、産業用ロボット5,5Aの動作範囲を広げることができる。
【0070】
さらに、レベル判定部26は、操作者によるコントローラ38の同一の一連操作が所定時間内に行われた回数に基づき操作者の操作レベルを判定してもよい。一般的に、所定時間内におけるコントローラ38の同一の一連操作が多いほど、操作レベルが高いと考えられるためである。これにより、操作者の操作スキルをより高い精度で把握することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 ロボット操作システム
2 サーバ装置(仲介装置)
3 ゲーム装置(操作端末)
4 通信ネットワーク
5,5A 産業用ロボット
6 観戦装置
26 レベル判定部
27 勧誘部
28 計測部
31 制御部
35 表示装置
38 コントローラ(操作端末)
40 受付部
41 切断部
CA 撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6