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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】包装ケース、物品包装体、及び、包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20230901BHJP
   B65D 5/32 20060101ALI20230901BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20230901BHJP
   B65D 81/05 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
B65D5/50 101Z
B65D5/32 B
B65D77/26
B65D81/05
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019128366
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021014274
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000106715
【氏名又は名称】ザ・パック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 大気
(72)【発明者】
【氏名】北山 博文
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-220838(JP,A)
【文献】米国特許第03666166(US,A)
【文献】国際公開第2017/199403(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3143157(JP,U)
【文献】特開2018-002170(JP,A)
【文献】米国特許第05833131(US,A)
【文献】米国特許第03445051(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/50
B65D 77/26
B65D 81/05
B65D 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内底壁、前記内底壁の端縁から、物品の収容空間を第1方向について相互間に挟んで立つように曲げ起こされる対向一対の第1側壁、及び、各前記第1側壁における前記内底壁とは反対側の端縁から当該内底壁と各々が対向して延出するように折り曲げられる一対の天井側板、が設けられた内装部材と、
前記収容空間に配置される物品を前記内底壁ごと内側に収めて覆うことで、当該物品を当該内底壁に固定する固定シートと、
前記内底壁における前記収容空間とは反対側の裏面に前記固定シートを間に挟んで重ねられる外底壁、前記第1方向と交差する第2方向について前記収容空間を相互間に挟んで立つように前記外底壁の端縁から曲げ起こされる対向一対の第2側壁、及び、各前記第2側壁における前記外底壁とは反対側の端縁から前記天井側板に各々が重ねられて延出するように折り曲げられて前記収容空間を閉じる一対の天井扉壁、が設けられた外装部材と、
を備え、
前記内装部材には、少なくとも前記内底壁における中央寄りの位置を前記第1方向及び/又は前記第2方向に沿って延在し、前記固定シートで前記内底壁に固定された前記物品の取外しの際に折り曲げられて当該取外しを補助する折曲げ罫線が設けられており、
前記天井扉壁と前記外底壁との少なくとも一方の壁における、前記第2方向に沿った側縁には、前記内装部材の前記一対の天井側板及び/又は前記内底壁において前記少なくとも一方の壁に覆われる壁面部分を露出させるように凹んだ凹部が設けられており、
前記物品が固定済みの前記内装部材が前記外装部材の内側に収められて閉じられた一対の前記天井扉壁、前記内装部材における対向一対の前記第1側壁、及び、前記外装部材における前記外底壁に、亘って貼り渡されて封緘する封緘テープが、前記一対の天井側板及び/又は前記内底壁において前記凹部から露出した露出壁面にも貼付されることを特徴とする包装ケース。
【請求項2】
前記内装部材に設けられた前記折曲げ罫線は、少なくとも2列が同方向に延在していることを特徴とする請求項1に記載の包装ケース。
【請求項3】
前記折曲げ罫線は、少なくとも2列が前記第2方向に互いに離間するように凸に湾曲する円弧形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の包装ケース。
【請求項4】
前記内底壁には、前記物品に相応するスリット及び/又は切欠き部が設けられており、
前記固定シートは、前記スリット及び/又は前記切欠き部に収まった状態の前記物品を前記内底壁ごと覆うことを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の包装ケース。
【請求項5】
物品と、
請求項1~のうち何れか一項に記載の包装ケースと、
前記物品が固定済みの前記内装部材が前記外装部材の内側に収められて閉じられた一対の前記天井扉壁、前記内装部材における対向一対の前記第1側壁、前記外装部材における前記外底壁、及び前記露出壁面に、亘って貼り渡されて封緘する封緘テープと、
を備えたことを特徴とする物品包装体。
【請求項6】
請求項1~のうち何れか一項に記載の包装ケースを用いて物品を包装する包装方法であって、
前記内装部材における前記内底壁に前記物品を前記固定シートで固定する固定工程と、
前記外装部材を、前記物品を固定済みの前記内装部材に外装する外装工程と、
前記内装部材に外装済みの前記外装部材における一対の前記天井扉壁、前記内装部材に
おける対向一対の前記第1側壁、前記外装部材における前記外底壁、及び前記露出壁面に、亘って封緘テープを張り渡して封緘する封緘工程と、
を備えたことを特徴とする包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装ケース、物品包装体、及び包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば通信販売等における物品の包装に関し、物品が固定される内装部材に外装部材が組み合わされて箱状に構成される包装ケースが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この包装ケースは、シュリンクフィルムで内装部材に物品が固定され、外装部材がカバーとして内装部材に被せられる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-079971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の包装ケースでは、内装部材に物品を固定したシュリンクフィルムが外装部材から露出した状態となる。このように露出したシュリンクフィルムは、包装後の外観を損なうだけでなく、搬送中にシュリンクフィルムが破損して包装ケースにおける物品保護性能の低下を招く恐れもある。
【0005】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、包装後の良好な外観と高い物品保護性能を得ることができる包装ケース、物品包装体、及び包装方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の包装ケースは、内底壁、前記内底壁の端縁から、物品の収容空間を第1方向について相互間に挟んで立つように曲げ起こされる対向一対の第1側壁、及び、各前記第1側壁における前記内底壁とは反対側の端縁から当該内底壁と各々が対向して延出するように折り曲げられる一対の天井側板、が設けられた内装部材と、前記収容空間に配置される物品を前記内底壁ごと内側に収めて覆うことで、当該物品を当該内底壁に固定する固定シートと、前記内底壁における前記収容空間とは反対側の裏面に前記固定シートを間に挟んで重ねられる外底壁、前記第1方向と交差する第2方向について前記収容空間を相互間に挟んで立つように前記外底壁の端縁から曲げ起こされる対向一対の第2側壁、及び、各前記第2側壁における前記外底壁とは反対側の端縁から前記天井側板に各々が重ねられて延出するように折り曲げられて前記収容空間を閉じる一対の天井扉壁、が設けられた外装部材と、を備え、前記内装部材には、少なくとも前記内底壁における中央寄りの位置を前記第1方向及び/又は前記第2方向に沿って延在し、前記固定シートで前記内底壁に固定された前記物品の取外しの際に折り曲げられて当該取外しを補助する折曲げ罫線が設けられており、前記天井扉壁と前記外底壁との少なくとも一方の壁における、前記第2方向に沿った側縁には、前記内装部材の前記一対の天井側板及び/又は前記内底壁において前記少なくとも一方の壁に覆われる壁面部分を露出させるように凹んだ凹部が設けられており、前記物品が固定済みの前記内装部材が前記外装部材の内側に収められて閉じられた一対の前記天井扉壁、前記内装部材における対向一対の前記第1側壁、及び、前記外装部材における前記外底壁に、亘って貼り渡されて封緘する封緘テープが、前記一対の天井側板及び/又は前記内底壁において前記凹部から露出した露出壁面にも貼付されることを特徴とする。
【0007】
本発明の包装ケースによれば、外装部材は、内底壁の裏面に固定シートを間に挟んで外底壁が重ねられた状態で内装部材に対し外装される。その結果、固定シートが外装部材から露出することがないので、固定シートの露出による外観の毀損や、搬送中における固定シートの破損による物品保護性能の低下が抑えられる。このように、本発明の包装ケースによれば、包装後の良好な外観と高い物品保護性能を得ることができる。また、本発明の包装ケースによれば、内底壁が折曲げ罫線に沿って折り曲げられることで、固定シートや内底壁と物品との間に隙間が開くこととなり、物品の取外しの際の作業性を向上させることもできる。
【0008】
ここで、本発明の包装ケースにおいて、前記内装部材に設けられた前記折曲げ罫線は、少なくとも2列が同方向に延在していることが好適である。
【0009】
この構成によれば、内底壁の折り曲げ時に、固定シートや内底壁と物品との間により広範囲に亘って隙間を開けることができ、物品の取外しの際の作業性を更に向上させることができる。
【0010】
また、上記の好適な構成において、前記折曲げ罫線は、少なくとも2列が前記第2方向に互いに離間するように凸に湾曲する円弧形状を有していることが一層好適である。
【0011】
この構成によれば、例えば物品を固定する固定シートが内底壁を第2方向に縮めるような力を発生させたとしても、円弧形状で2列の折曲げ罫線がこのような力に抗することができる。これにより、物品取出し前に折曲げ罫線で内底壁が折れ曲がってしまう等といった不用意な変形を抑えることができる。
【0012】
また、本発明の包装ケースにおいて、前記内底壁には、前記物品に相応するスリット及び/又は切欠き部が設けられており、前記固定シートは、前記スリット及び/又は前記切欠き部に収まった状態の前記物品を前記内底壁ごと覆うことが好適である。
【0013】
この構成によれば、物品は、固定シートを挟んで外装部材の外底壁に載置されることとなるので、包装後の包装ケースにおける外底壁の面外方向の寸法について、内底壁の厚み分、縮小させることができる。
【0014】
また、本発明の包装ケースにおいて、前記天井扉壁と前記外底壁との少なくとも一方の壁における、前記第2方向に沿った側縁には、前記内装部材において当該壁に覆われる壁面部分を露出させるように凹んだ凹部が設けられており、前記物品が固定済みの前記内装部材が前記外装部材の内側に収められて閉じられた一対の前記天井扉壁、前記内装部材における対向一対の前記第1側壁、及び、前記外装部材における前記外底壁に、亘って貼り渡されて封緘する封緘テープが、前記露出壁面にも貼付されることも好適である。
【0015】
この構成によれば、天井扉壁、第1側壁、及び外底壁に加え、外装部材の凹部から露出した壁面部分にも封緘テープが貼付されるので、この封緘テープによる高い固定強度を得ることができる。
【0016】
また、本発明の包装ケースにおいて、前記内装部材における前記第1側壁の側縁には、当該内装部材が前記外装部材の内側に収められた際に当該外装部材における前記第2側壁の側縁に当接するように突出し、前記第1側壁の、前記外装部材の内側への倒れ込みを抑える第1突片が設けられていることも好適である。
【0017】
この構成によれば、内装部材における第1突片の外装部材における第2側壁への当接により第1側壁の倒れ込みを抑えることで、包装ケースの形状を良好に保つことができる。
【0018】
また、本発明の包装ケースにおいて、前記内装部材における前記第1側壁の前記天井側板が設けられた端縁には、当該端縁で前記天井側板が折り曲げられた際に前記第1側壁に沿って延出するように切起こされ、当該内装部材が前記外装部材の内側に収められた際に当該外装部材における前記天井扉壁の前記第2方向に沿った側縁に当接することで、前記第1側壁の、前記外装部材の内側への倒れ込みを抑える第2突片が設けられていることも好適である。
【0019】
この構成によれば、内装部材における第2突片の外装部材における天井扉壁への当接により第1側壁の倒れ込みを抑えることで、包装ケースの形状を良好に保つことができる。
【0020】
また、本発明の包装ケースにおいて、前記内装部材における前記内底壁の前記第1方向に沿った側縁の、前記第1側壁寄りの端部には、前記第2方向に突出した第3突片が設けられ、前記外装部材における前記外底壁と前記第2側壁との境界には、前記内装部材が前記外装部材の内側に収められる際に前記第3突片が嵌入されることで、当該内装部材の前記第1方向への位置ズレを抑えるストッパ切込みが設けられていることも好適である。
【0021】
この構成によれば、内装部材における第3突片の外装部材におけるストッパ切込みへの嵌入により内装部材の位置ズレを抑えることで、包装ケースの形状を良好に保つことができる。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明の物品包装体は、物品と、上述した本発明の包装ケースと、前記物品が固定済みの前記内装部材が前記外装部材の内側に収められて閉じられた一対の前記天井扉壁、前記内装部材における対向一対の前記第1側壁、及び、前記外装部材における前記外底壁に、亘って貼り渡されて封緘する封緘テープと、を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明の物品包装体によれば、上述した本発明の包装ケースを用いていることから、包装後の良好な外観と高い物品保護性能を得ることができる。また、物品の取外しの際の作業性を向上させることもできる。
【0024】
また、上記目的を達成するために、本発明の包装方法は、上述した本発明の包装ケースを用いて物品を包装する包装方法であって、前記内装部材における前記内底壁に前記物品を前記固定シートで固定する固定工程と、前記外装部材を、前記物品を固定済みの前記内装部材に外装する外装工程と、前記内装部材に外装済みの前記外装部材における一対の前記天井扉壁、前記内装部材における対向一対の前記第1側壁、及び、前記外装部材における前記外底壁に、亘って封緘テープを張り渡して封緘する封緘工程と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
本発明の包装方法によれば、上述した本発明の包装ケースを用いて包装を行うことから、包装後の良好な外観と高い物品保護性能を得ることができる。また、物品の取外しの際の作業性を向上させることもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、包装後の良好な外観と高い物品保護性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態にかかる包装ケース及び物品包装体の斜視図である。
図2図1に示されている包装ケース及び物品包装体を、図1中の矢印V11方向から見た斜視図である。
図3図1に示されている包装ケース及び物品包装体を、外装部材が開かれた状態で示す斜視図である。
図4図1図3に示されている内装部材の展開図である。
図5図1図3に示されている外装部材の展開図である。
図6】物品の固定工程を示す模式図である。
図7】外装部材の外装工程を示す模式図である。
図8】封緘テープによる封緘工程を示す模式図である。
図9】物品の取外しを補助するために内装部材の折曲げ罫線が折り曲げられる様子を示す模式図である。
図10】第2実施形態における内装部材を示す展開図である。
図11図10に示されている内装部材の内底壁への物品の固定状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、包装後の良好な外観と高い物品保護性能を得ることができる包装ケース、物品包装体、及び包装方法の一実施形態について説明する。まず、第1実施形態について説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる包装ケース及び物品包装体の斜視図である。また、図2は、図1に示されている包装ケース及び物品包装体を、図1中の矢印V11方向から見た斜視図である。そして、図3は、図1に示されている包装ケース及び物品包装体を、外装部材が開かれた状態で示す斜視図である。図1図3には、これらの図で共通のX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。
【0030】
本実施形態の包装ケース100は、例えば通信販売等における物品150の包装に関し、物品150が固定される内装部材110に外装部材130が組み合わされて構成される。また、物品包装体1は、この包装ケース100で物品150が包装されて封緘テープ160で封緘されたものである。
【0031】
包装ケース100は、内装部材110と、固定シート120と、外装部材130と、を備えている。
【0032】
内装部材110は、段ボール紙で形成され、図3に示されているように物品150が固定された状態で折り曲げ形成される部材である。
【0033】
図4は、図1図3に示されている内装部材の展開図である。この図4にも、図1図3と共通のX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。
【0034】
内装部材110は、内底壁111、第1側壁112、及び天井側板113が設けられ、展開状態で長方形状を有する部材となっている。内底壁111は、物品150が載置される長方形状の壁部位である。第1側壁112は、内底壁111におけるX軸に沿った対向一対の端縁111aから、物品150の収容空間VM11をY軸に沿った第1方向D11について相互間に挟んで立つように曲げ起こされる一対の長方形状の壁部位である。また、天井側板113は、各第1側壁112における内底壁111とは反対側の端縁112aから内底壁111と各々が対向して延出するように折り曲げられる一対の長方形の壁部位である。また、内装部材110は、図4に段目マークM11で示すように段ボールの段目が第1方向D11に沿うように形成されている。
【0035】
ここで、この内装部材110には、一方の天井側板113における第1側壁112とは反対側の端縁113aから他方の天井側板113における同様の端縁113aにかけて次のような折曲げ罫線114が形成されている。この折曲げ罫線114は、2列の円弧状罫線114aと、直線状罫線114bと、を有している。
【0036】
円弧状罫線114aは、一方の第1側壁112における天井側板113との境界をなす端縁112aから、他方の第1側壁112における同様の端縁112aにかけて、2列に形成されている。円弧状罫線114aは、上記の一対の端縁112aの相互間を、内底壁111における中央寄りの位置を第1方向D11に沿って延在するように2列が設けられている。そして、これら2列の円弧状罫線114aは、第1方向D11と交差する、X軸に沿った第2方向D12に互いに離間するように凸に湾曲する円弧形状を有している。
【0037】
また、直線状罫線114bは、円弧状罫線114aの端部から各天井側板113における第1側壁112とは反対側の端縁113aまで直線状に延在するように、一対の天井側板113それぞれに1列ずつ設けられている。
【0038】
内装部材110にこのように設けられた折曲げ罫線114は、固定シート120で内底壁111に固定された物品150の取外しの際に折り曲げられて当該取外しを補助する。この取外しの際の折り曲げについては、後で別図を用いて説明する。
【0039】
図3に示されている固定シート120は、筒状に形成されて、収容空間VM11に配置される物品150を内底壁111ごと内側に収めて第2方向D12に覆うことで、物品150を内底壁111に固定する部材である。固定シート120は、加熱されると収縮する樹脂製のシュリンクフィルムで筒状に形成されたものである。固定シート120は、余裕を持たせて大径筒状に形成された後、物品150を内底壁111ごと内側に収めるように覆って加熱収縮されることで、図3に示さている展張状態で物品150を内底壁111に固定する。
【0040】
外装部材130も、内装部材110と同様に段ボール紙で形成され、図3に示されているように物品150が固定された内装部材110を内側に収めるように折り曲げ形成される部材である。
【0041】
図5は、図1図3に示されている外装部材の展開図である。この図5にも、図1図3と共通のX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。
【0042】
外装部材130は、外底壁131、第2側壁132、及び天井扉壁133が設けられ、展開状態で長方形状を有する部材となっている。外底壁131は、内装部材110の内底壁111における収容空間VM11とは反対側の裏面に固定シート120を間に挟んで重ねられる長方形状の壁部位となっている。この外底壁131に、物品150を固定済みの内装部材110の内底壁111が載置される。第2側壁132は、第1方向D11と交差する第2方向D12について収容空間VM11を相互間に挟んで立つように、外底壁131におけるY軸に沿った対向一対の端縁131aから曲げ起こされる一対の長方形状の壁部位である。天井扉壁133は、各第2側壁132における外底壁131とは反対側の端縁132aから、内装部材110の天井側板113に各々が重ねられて延出するように折り曲げられて収容空間VM11を閉じる一対の扉壁部位である。ここで、天井扉壁133のうちの一方が他方よりも第2方向D12に長尺の長尺扉壁133aであり、他方が短尺扉壁133bとなっている。一対の天井扉壁133は、短尺扉壁133bが長尺扉壁133aの上に重なるように閉じられる。また、外装部材130は、図5に段目マークM12で示すように段ボールの段目が第2方向D12に沿うように形成されている。
【0043】
ここで、この外装部材130には、天井扉壁133と外底壁131とのそれぞれにおける、第2方向D12に沿った一対の側縁に、内装部材110において各壁に覆われる壁面部分を露出させるように凹んだ凹部が設けられている。天井扉壁133のうちの長尺天井壁133aにおける一対の側縁133a-1のそれぞれには長尺側凹部133a-2が形成され、短尺天井壁133bにおける一対の側縁133b-1のそれぞれには短尺側凹部133b-2が形成されている。天井扉壁133が閉じられると、長尺側凹部133a-2と短尺側凹部133b-2とが繋がって一側縁につき1つの凹部を形作る。また、外底壁131における一対の側縁131bのそれぞれには底壁側凹部131cが形成されている。包装ケース100が形成されて天井扉壁133が閉じられたとき、その天井扉壁133に対する平面視において、底壁側凹部131cは、長尺側凹部133a-2と短尺側凹部133b-2とが繋がった1つの凹部と略重なる位置に形成されている。
【0044】
また、内装部材110の各第1側壁112では、図4の展開状態では第1方向D11に沿い、図1図3に示す折曲げ状態では内底壁111や外底壁131の面外方向D13(Z軸方向)に沿った一対の側縁112bに第1突片112cが設けられている。第1突片112cは、4箇所の側縁112bそれぞれの略全幅に亘って第2方向D12に突出しており、内装部材110が外装部材130の内側に収められた際に外装部材130における第2側壁132の側縁132bに当接する。この当接により、第1突片112cは、第1側壁112の、外装部材130の内側への倒れ込みを抑える。
【0045】
また、内装部材110における第1側壁112の天井側板113が設けられた端縁112aには第2突片112dが設けられている。第2突片112dは、図4の展開状態で端縁112aから天井側板113へと凸形状に形成された切込みの内側の部分に当り、端縁112aで天井側板113が折り曲げられた際に第1側壁112に沿って延出するように切起こされる部位である。第2突片112dは、1つの第1側壁112に2箇所ずつ、合計で4箇所に設けられている。これら4箇所の第2突片112dは、内装部材110が外装部材130の内側に収められた際に、外装部材130の長尺天井壁133aにおける側縁133a-1及び短尺天井壁133bにおける側縁133b-1に当接する。ここで、各側縁133a-1,133b-1には、第2突片112dを受ける受け凹部133a-3,133b-3が、4箇所の第2突片112dそれぞれに対応する位置に設けられている。各第2突片112dは、各受け凹部133a-3,133b-3に嵌入した状態で側縁133a-1,133b-1に当接する。この当接により、第2突片112dは、第1側壁112の、外装部材130の内側への倒れ込みを抑える。
【0046】
また、内装部材110における内底壁111の第1方向D11に沿った側縁111bの、第1側壁112寄りの両端部には、第2方向D12に突出した第3突片111cが設けられている。他方、外装部材130における外底壁131と第2側壁132との境界をなす端縁131aには、内装部材110が外装部材130の内側に収められる際に第3突片111cが嵌入されるストッパ切込み131dが設けられている。内装部材110には第3突片111cが4箇所に設けられ、外装部材130には、これに対応してストッパ切込み131dが4箇所に設けられている。第3突片111cがストッパ切込み131dに嵌入されることで、内装部材110の第1方向D11への位置ズレが抑えられる。
【0047】
以上に説明した包装ケース100を用いて物品150を包装し、図1及び図2に示されている物品包装体1を構成する包装方法が、以下に説明する手順で行われる。
【0048】
この包装方法では、まず、内装部材110における内底壁111に物品150を固定シート120で固定する固定工程が実行される。
【0049】
図6は、物品の固定工程を示す模式図である。
【0050】
固定工程では、まず、展開状態の内装部材110における内底壁111の上に物品150が載置される。そして、余裕を持たせて大径筒状にシュリンクフィルムで形成された固定シート120が、その内側に物品150を載せた内底壁111を収めるように被せられる。その後、固定シート120が加熱収縮されて展張状態となることで、物品150が内底壁111に固定される。
【0051】
この固定工程に続き、外装部材130を、物品150を固定済みの内装部材110に外装する外装工程が実行される。
【0052】
図7は、外装部材の外装工程を示す模式図である。
【0053】
外装工程では、まず、固定シート120で物品150が固定された展開状態の内装部材110が、展開状態の外装部材130の上に重ねられる。このとき、展開状態で長方形状の内装部材110と、同じく展開状態で長方形状の外装部材130とが、図7に示されているように互いに直交するクロス配置となるように、内装部材110の内底壁111が外装部材130の外底壁131の上に載置される。このとき、各部材における段ボール紙の段目が各部材の長手方向に向いているので、内装部材110の内底壁111と外装部材130の外底壁131は、各段目が互いに直交するように重ねられ、物品150の重量を支える部分で高い強度を得ることができる。
【0054】
その後、内装部材110において、矢印V12で示すように、一対の第1側壁112が曲げ起こされるとともに一対の天井側板113が折り曲げられる。続いて、外装部材130において、矢印V13で示すように、一対の第2側壁132が曲げ起こされるとともに一対の天井扉壁133が折り曲げられる。これらの曲げ起こしと折り曲げにより、包装ケース100が図1及び図2に示されている矩形箱状に構成される。
【0055】
この外装工程に続き、矩形箱状の包装ケース100を封緘テープ160で封緘する封緘工程が実行される。
【0056】
図8は、封緘テープによる封緘工程を示す模式図である。
【0057】
封緘工程では、封緘テープ160が、矢印V14で示すように、内装部材110に外装済みの外装部材130における一対の天井扉壁133、内装部材110における対向一対の第1側壁112、及び、外装部材130における外底壁131に、亘って貼り渡される。このとき、封緘テープ160は、長尺側凹部133a-2と短尺側凹部133b-2が繋がって形成される天井側の一対の凹部の一方から他方へと、長尺天井壁133aに重ねられた短尺天井壁133bの端縁の上に貼付される。さらに、封緘テープ160は、その両端側が、対向一対の第1側壁112から底壁側凹部131cへと貼り渡されて外底壁131の外壁面に至る。このような貼り渡しにより、封緘テープ160は、天井扉壁133、天井側の凹部から露出した天井側板113の露出壁面、第1側壁112、底壁側凹部131cから露出した内底壁111の露出壁面、及び外底壁131に貼付される。包装ケース100に対するこの封緘工程を経て、図1及び図2に示さている物品包装体1が完成する。
【0058】
以上に説明した第1実施形態の包装ケース100、物品包装体1、及び包装方法によれば、外装部材130は、内底壁111の裏面に固定シート120を間に挟んで外底壁131が重ねられた状態で内装部材110に対し外装される。その結果、固定シート120が外装部材130から露出することがないので、固定シート120の露出による外観の毀損や、搬送中における固定シート120の破損による物品保護性能の低下が抑えられる。このように、本実施形態によれば、包装後の良好な外観と高い物品保護性能を得ることができる。
【0059】
ここで、本実施形態では、内装部材110には物品150の取外しの際に折り曲げられて取外しを補助する折曲げ罫線114が設けられている。
【0060】
図9は、物品の取外しを補助するために内装部材の折曲げ罫線が折り曲げられる様子を示す模式図である。
【0061】
ここにいう物品150の取出しとは、物品包装体1を受け取った通信販売等の顧客が、包装を解いて物品150を取出すことである。封緘テープ160を剥がして外装部材130を取り除いた後、顧客は、内装部材110に固定シート120で固定された物品150をこの内装部材110から取り外すこととなる。このとき、図9に矢印V15で示すように、内装部材110が折曲げ罫線114で、物品150側を内側とした内折に折り曲げられる。
【0062】
この折り曲げにより、固定シート120、内底壁111、物品150の相互間に隙間が開くこととなり、物品150の取外しの際の作業性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、内装部材110に設けられた折曲げ罫線114のうちの内底壁111と一対の第1側壁112に設けられた部分は、2列が互いに同方向となる第1方向D11沿って延在している。
【0064】
この構成によれば、内底壁111の折り曲げ時に、固定シート120や内底壁111と物品150との間により広範囲に亘って隙間を開けることができ、物品150の取外しの際の作業性を更に向上させることができる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、包装中は梱包作業者の経験を問わず組立て作業が容易であるため、作業効率性の向上を図ることができる。包装後は良好な外観と高い物品保護性能を得ることができ、開梱時は物品150を速やかに取り出すことができる。
【0066】
また、本実施形態では、折曲げ罫線114のうち内底壁111と一対の第1側壁112に設けられた部分が、第2方向D12に互いに離間するように凸に湾曲する円弧形状を有した2列の円弧状罫線114aとなっている。
【0067】
ここで、図3図6、及び図7に示されているように展張状態で物品150を内装部材110の内底壁111に固定する固定シート120は、内底壁111を第2方向D12に縮めるような力を発生させている。このとき、内底壁111を通過して折曲げ罫線114の大部分を占める2列の円弧状罫線114aが、第2方向D12の外側に向かって凸の円弧形状となっているので上記のような力に抗することができる。これにより、物品150の取出し前に折曲げ罫線114で内底壁111が折れ曲がってしまう等といった不用意な変形を抑えることができる。
【0068】
また、本実施形態では、天井扉壁133と外底壁131との両方の側縁に凹部が設けられており、封緘テープ160が、これらの凹部からの露出壁面にも貼付される。
【0069】
この構成によれば、天井扉壁133、第1側壁112、及び外底壁131に加え、外装部材130の凹部から露出した壁面部分にも封緘テープ160が貼付されるので、この封緘テープ160による高い固定強度を得ることができる。
【0070】
また、本実施形態では、内装部材110における第1側壁112の側縁112bには、外装部材130における第2側壁132の側縁132bに当接する第1突片112cが設けられている。
【0071】
この構成によれば、第1突片112cの第2側壁132への当接により第1側壁112の、外装部材130の内側への倒れ込みを抑えることで、包装ケース100、つまりは物品包装体1の形状を良好に保つことができる。
【0072】
また、本実施形態では、内装部材110における第1側壁112の天井側の端縁112aには、外装部材130における天井扉壁133の側縁に当接する第2突片112dが設けられている。
【0073】
この構成によれば、第2突片112dの天井扉壁133への当接により第1側壁112の、外装部材130の内側への倒れ込みを抑えることで、包装ケース100、つまりは物品包装体1の形状を良好に保つことができる。
【0074】
また、本実施形態では、内装部材110における内底壁111の側縁111bの端部には第3突片111cが設けられている。そして、外装部材130における外底壁131と第2側壁132との境界には第3突片111cが嵌入されるストッパ切込み131dが設けられている。
【0075】
この構成によれば、第3突片111cのストッパ切込み131dへの嵌入により外装部材130に対する内装部材110の位置ズレを抑えることで、包装ケース100、つまりは物品包装体1の形状を良好に保つことができる。
【0076】
(第2実施形態)
次に説明する第2実施形態は、内装部材における内底壁の形状が、上述した第1実施形態と異なっている。以下では、この第2実施形態について、第1実施形態との相違点に注目して説明し、同一点については図示及び説明を割愛する。
【0077】
図10は、第2実施形態における内装部材を示す展開図であり、図11は、図10に示されている内装部材の内底壁への物品の固定状態を示す図である。尚、図10及び図11では、図1図9に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素については、図1図9と同じ符号を付し、重複説明を省略する。また、図10及び図11にも、第1実施形態と同様のX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。
【0078】
第2実施形態における内装部材210では、内底壁211には、物品150に相応する切欠き部211dが設けられている。この切欠き部211dは、長方形状の内底壁211の形状に倣って長方形状の孔となっている。また、内装部材210では、第1実施形態における折曲げ罫線144が切欠き部211dによって中抜きされた形状の折曲げ罫線214が設けられている。天井側板113の形成部分は、第1実施形態と同様に第1方向に1列で直線状に延在した直線状罫線114bである。他方、内底壁211及び第1側壁112の形成部分は、第1実施形態における第2方向D12に互いに離間するように凸に湾曲する2列の円弧状罫線114aが、切欠き部211dによって中抜きされた中抜き円弧状罫線214aとなっている。
【0079】
また、この第2実施形態でも、内装部材210を形成する段ボール紙の段目は、第1実施形態と同様の段目マークM11で示すように第1方向D11に沿っている。この方向は、内底壁211において最も細い部分の延在方向となっており、段目はこの延在方向に沿ったものとなっている。これにより、この最も細い部分の強度が高められている。
【0080】
固定シート120は、図11に示されているように、切欠き部211dに収まった状態の物品150を内底壁211ごと第2方向D12に覆う。これにより、物品150は、内底壁211に対して浮いた状態で、展張状態の固定シート120によって表裏から挟まれて保持されることとなる。このとき、固定シート120によって、内底壁211は、2本存在する上記の最も細い部分を第2方向D12に互いに近づけるような力を受ける。切欠き部211dの大きさや形状は、このような力に抗して内底壁211の形状を維持できる大きさや形状となっている。
【0081】
以上に説明した第2実施形態によっても、内装部材210の切欠き部211d以外の構造が第1実施形態と同様であることから、包装後の良好な外観と高い物品保護性能を得ることができ、物品の取外しの際の作業性を向上させることもできることは言うまでもない。
【0082】
ここで、本実施形態では、内装部材210に切欠き部211dが設けられ、この切欠き部211dに収まった状態で物品150が固定シート120により内底壁211に固定される。その結果、物品150は、固定シート120を挟んで外装部材130の外底壁131に載置されることとなるので、包装後の包装ケース、つまりは物品搬送体における外底壁131の面外方向の寸法について、内底壁211の厚み分、縮小させることができる。
【0083】
このように、本実施形態によれば、包装中は梱包作業者の経験を問わず組立て作業が容易であるため、作業効率性の向上を図ることができる。包装後は良好な外観と高い物品保護性能を得ることができ、開梱時は物品150を速やかに取り出すことができる。さらに包装ケース100の寸法縮小により包装材料の省資源化を図ることが可能である。
【0084】
尚、前述した第1及び第2実施形態は代表的な形態を示したに過ぎず、これらの実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、種々変形して実施することができる。
【0085】
例えば、前述した第1及び第2実施形態では、矩形箱状の包装ケース100や物品包装体1が例示されている。しかしながら、包装ケースや物品包装体の形状は、矩形箱状に限るものではなく、対向一対の第1側壁と対向一対の第2側壁とが互いに対向方向が交差するように並ぶ形状であれば具体的な箱形状を問うものではない。例えば8角柱形状や、上記の4側壁以外の側壁が曲面状に形成された箱形状等であってもよい。
【0086】
また、前述した第1及び第2実施形態では、封緘テープ160が外底壁131の一部に掛かるように貼付される包装ケース100や物品包装体1が例示されている。しかしながら、封緘テープの貼付形状はこれに限るものではなく、例えば、天井側と同様に、外底壁についても第1方向に横断するように貼り渡してもよい。
【0087】
また、前述した第1及び第2実施形態では、外装部材130における一対の天井扉壁133が長尺扉壁133aと短尺扉壁133bで構成される包装ケース100や物品包装体1が例示されている。しかしながら、一対の天井扉壁はこれに限るものではなく、例えば互いに同長の扉壁としてもよい。
【0088】
また、前述した第1及び第2実施形態では、熱収縮するシュリンクフィルムで形成されて物品150を内底壁111,211に固定する筒状の固定シート120が例示されている。しかしながら、固定シートは、これに限るものではなく、その具体的な材質等を問うものではない。更に、固定シートの形状は筒状に限らず、内装部材の内底壁に収容した物品を覆うようにシートが配置されておればよく、その形状や配置方法は問わない。例えば、帯状に形成した固定シートの一端を内底壁の裏面に接着し、他端側を引張って物品を内底壁ごと内側に収めて巻き付けるように覆い、その他端を内底壁の裏面に接着する等といった形態等でもよい。また、物品の取出し補助のために、固定シートに、破り易いようにミシン目等を設けておくこととしてもよい。
【0089】
また、前述した第1及び第2実施形態では、2列で第1方向D11に延在する円弧状罫線114a,214と第1方向D11に延在する1列の直線状罫線114bとを有する折曲げ罫線114,214を内装部材110,210に設ける形態が例示されている。しかしながら、折曲げ罫線はこれに限るものではない。即ち、折曲げ罫線は、少なくとも内底壁における中央寄りの位置に設けられるものであれば、内底壁以外の部位への形成の有無、折曲げ罫線の具体的な本数や形状等を問うものではない。例えば、内底壁にのみ折曲げ罫線を設け、第1側壁や天井側板には設けないこととしてもよく、本数は1本でも3本以上であってもよい。また、折曲げ罫線を、円弧形状や直線状以外の、例えば台形状等としてもよい。また、折曲げ罫線の延在方向についても、内装部材における第1側壁の対向方向である第1方向に限るものではなく、この第1方向と交差する第2方向に延在させてもよい。また、2本以上の折曲げ罫線を設ける際に、一部の折曲げ罫線を第1方向に延在させ、他の折曲げ罫線を第2方向に延在させることとしてもよい。ただし、折曲げ罫線114,214として少なくとも2列で同方向に延在している円弧状罫線114a,214aを設けることで物品150の取外しの際の作業性を向上させることができる点は上述した通りである。また、折曲げ罫線114,214として少なくとも2列の円弧状罫線114a,214aを設けることで物品取出し前の不用意な変形を抑えることができる点も上述した通りである。
【0090】
また、前述した第2実施形態では、内底壁211に切欠き部211dが設けられ、固定シート120が、切欠き部211dに収まった状態の物品150を内底壁211ごと覆う形態が例示されている。しかしながら、第1実施形態のように内底壁には如何なる切欠き部等も設けないこととしてもよい。ただし、内底壁211に切欠き部211dを設けて物品150をその中に収めて固定することで、内底壁211の厚み分、包装ケース100や物品包装体1の寸法を縮小させることができる点は上述した通りである。尚、物品に相応して設けられ内側に物品を収めることが可能であれば、内底壁に設けるものは切欠き部に限るものではなく、スリットであってもよい。
【0091】
また、前述した第2実施形態では、内底壁211に設ける切欠き部211dを長方形状としたが、その具体的な形状等を問うものではない。例えば、円形や楕円形の切欠き部を設け、展張状態の固定シートからの力に対する耐久性を向上させてもよい。
【0092】
また、前述した第1実施形態では、天井扉壁133と外底壁131に凹部が設けられ、封緘テープ160が、各凹部からの露出壁面にも貼付される形態が例示されている。しかしながら、天井扉壁や外底壁に如何なる凹部も設けないこととしてもよい。ただし、このような凹部を設けることで封緘テープ160による高い固定強度を得ることができる点は上述した通りである。
【0093】
また、前述した第1実施形態では、天井扉壁133と外底壁131との両方に凹部を設けることとしたが、何れか一方の壁のみに凹部を設けることとしてもよい。
【0094】
また、前述した第1及び第2実施形態では、内装部材110,210の第1側壁112に倒れ込みを抑えるための第1突片112c及び第2突片112dが設けられた形態が例示されている。しかしながら、第1側壁には、如何なる突片も設けないこととしてもよい。ただし、これらの第1突片112c及び第2突片112dを設けることで、包装ケース100や物品包装体1の形状を良好に保つことができる点は上述した通りである。
【0095】
また、前述した第1及び第2実施形態では、第1側壁112に第1突片112c及び第2突片112dの両方を設けることとしたが、何れか一方の突片のみを設けることとしてもよい。また、各突片を設ける場合の、具体的な形状や数を問うものでもない。
【0096】
また、前述した第1実施形態では、内装部材110の内底壁111に第3突片111cが設けられ、外装部材130に第3突片111cが嵌入されることで内装部材110の位置ズレを抑えるストッパ切込み131dが設けられた形態が例示されている。しかしながら、上記のような第3突片やストッパ切込みを設けないこととしてもよい。ただし、第3突片111cやストッパ切込131dみを設けることで、包装ケース100や物品包装体1の形状を良好に保つことができる点は上述した通りである。
【0097】
また、前述した第1実施形態では、第3突片111cやストッパ切込み131dを各々4箇所ずつ設けることとしたが、その具体的な形状や数を問うものではない。
【符号の説明】
【0098】
1 物品包装体
100 包装ケース
110,210 内装部材
111,211 内底壁
111a,112a,131a,132a 端縁
111b,112b,131b,132b,133a-1,133b-1 側縁
111c 第3突片
112 第1側壁
112c 第1突片
112d 第2突片
113 天井側板
114,214 折曲げ罫線
114a 円弧状罫線
114b 直線状罫線
120 固定シート
130 外装部材
131 外底壁
131c 底壁側凹部
131d ストッパ切込み
132 第2側壁
133 天井扉壁
133a 長尺扉壁
133a-2 長尺側凹部
133a-3,133b-3 受け凹部
133b 短尺扉壁
133b-2 短尺側凹部
150 物品
160 封緘テープ
211d 切欠き部
214a 中抜き円弧状罫線
D11 第1方向
D12 第2方向
D13 面外方向
M11,M12 段目マーク
VM11 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11