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特許7341005成形品取出システムのティーチング方法及び成形品取出機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】成形品取出システムのティーチング方法及び成形品取出機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/42 20060101AFI20230901BHJP
   B29C 33/44 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
B29C45/42
B29C33/44
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019165791
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021041624
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000138473
【氏名又は名称】株式会社ユーシン精機
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 文武
(72)【発明者】
【氏名】白崎 篤司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 一貴
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-290154(JP,A)
【文献】特開2000-317949(JP,A)
【文献】特開2007-326270(JP,A)
【文献】特開2019-014251(JP,A)
【文献】特開2003-117961(JP,A)
【文献】特開2007-326318(JP,A)
【文献】特開2018-176720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定フレームと、
前記固定フレームに沿って移動する移動フレームと、
取出ヘッドのアタッチメントを備え、前記移動フレームに移動可能に保持されて成形機の金型内に進入する進入フレームと、
予め設定した動作シーケンスに従って前記移動フレーム及び前記進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した前記成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、
前記金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮影した撮像画像を表示部に表示する画像表示装置を備え、
前記動作制御部には、作業者が前記画像表示装置に表示された前記撮像画像を見ながら前記進入フレームの位置を変えて前記動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている成形品取出システムのティーチング方法であって、
前記撮像装置を、取出動作が開始されるときに、前記金型の上方または斜め上方から前記金型及びその周囲を撮像することができ、しかも前記進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで前記金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置するように配置し、
前記画像表示装置は、前記成形機の前記開閉方向に延びる仮想中心を含んで前記開閉方向と前記垂直方向に延びる第2の仮想平面に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部が前記表示部に表示される前記撮像画像に含まれるように画像表示を実行し、
前記ティーチング実行部を用いて、前記撮像画像に含まれる前記一対の基準対称構造部の中間位置に、前記撮像範囲の中心が位置するように、前記進入フレームの位置を変えることにより、取出動作における前記進入フレームの横行位置を決定することを特徴とする成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項2】
前記一対の基準対称構造部は、一対のガイドピン、一対のタイバー、固定金型の一対の外殻エッジ、可動金型の一対の外殻エッジまたはプラテンの一対の外殻エッジである請求項1に記載の成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項3】
前記画像表示装置は、前記表示部の表示画面上に、該表示画面の中心を示す中心マークを表示し、
前記中心マークの位置に前記中間位置と前記撮像範囲の中心が位置するように前記進入フレームの位置を変える請求項1に記載の成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項4】
前記画像表示装置は、前記表示部の前記表示画面の中心から直交するX方向及びY方向に延びる一定の間隔の目盛り(インジケータ)を前記表示画面に表示することを特徴とする請求項3に記載の成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項5】
既存の成形品取出機に、前記撮像装置を設置し、
既存のコントローラまたは携帯通信端末器を前記画像表示装置として用いることを特徴とする請求項1に記載の成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項6】
前記撮像装置は、取り外し可能、取付位置変更可能または引き抜き方向に姿勢変更可能に設けられている請求項1に記載の成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項7】
固定フレームと、
前記固定フレームに沿って移動する移動フレームと、
取出ヘッドのアタッチメントを備え、前記移動フレームに移動可能に保持されて成形機の型内に進入する進入フレームと、
予め設定した動作シーケンスに従って前記移動フレーム及び前記進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した前記成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、
前記金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮影した撮像画像を表示部に表示する画像表示装置を備え、
前記動作制御部には、作業者が前記画像表示装置に表示された前記撮像画像を見ながら前記進入フレームの位置を変えて前記動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている成形品取出システムのティーチング方法であって、
前記撮像装置を、取出動作が開始されるときに、前記金型の上方または斜め上方から前記金型及びその周囲を撮像することができ、しかも前記進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで前記金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置する仮想配置位置からオフセットした位置を前記撮像装置の配置位置として定め、
前記画像表示装置は、前記成形機の前記開閉方向に延びる仮想中心を含んで前記開閉方向と前記垂直方向に延びる第2の仮想平面に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部が前記表示部に表示される前記撮像画像に含まれるように画像表示を実行し、
前記ティーチング実行部は、前記撮像画像に含まれる一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲の中心が位置するように、進入フレームの位置を変えた後、前記撮像範囲の中心の位置と前記アタッチメント取付部の中心の位置との差分をオフセット移動量として前記表示部に表示させるとともに、前記オフセット移動量分だけ前記進入フレームを移動させて前記進入フレームの取出動作における横行位置を決定する際に、前記進入フレームを移動させた量分を前記オフセット移動量の表示から減少させることを特徴とする成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項8】
前記一対の基準対称構造部は、一対のガイドピン、一対のタイバー、固定金型の一対の外殻エッジ、可動金型の一対の外殻エッジまたはプラテンの一対の外殻エッジである請求項7に記載の成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項9】
固定フレームと、
前記固定フレームに沿って移動する移動フレームと、
取出ヘッドのアタッチメントを備えて前記移動フレームに移動可能に保持されて成形機の型内に進入する進入フレームと、
予め設定した動作シーケンスに従って前記移動フレーム及び前記進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した前記成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、
前記金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮影した撮像画像を表示部に表示する画像表示装置を備え、
前記動作制御部には、作業者が前記画像表示装置に表示された前記撮像画像を見ながら前記進入フレームの位置を変えながら前記動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている成形品取出機であって、
前記撮像装置は、取出動作が開始されるときに、前記金型の上方または斜め上方から前記金型及びその周囲を撮像することができ、しかも前記進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで前記金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置するように配置されており、
前記画像表示装置は、成形機の前記開閉方向に延びる仮想中心を含んで前記開閉方向と前記垂直方向に延びる第2の仮想平面に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部が前記表示部に表示される前記撮像画像に含まれるように画像表示を実行するように構成されており、
前記ティーチング実行部は、前記撮像画像に含まれる前記一対の基準対称構造部の中間位置に、前記撮像範囲の中心が位置するように、前記進入フレームの位置を変えることにより、取出動作における前記進入フレームの横行位置を決定できるように構成されていることを特徴とする成形品取出機。
【請求項10】
固定フレームと、
前記固定フレームに沿って移動する移動フレームと、
取出ヘッドのアタッチメントを備え、前記移動フレームに移動可能に保持されて成形機の型内に進入する進入フレームと、
予め設定した動作シーケンスに従って前記移動フレーム及び前記進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した前記成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、
前記金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮影した撮像画像を表示部に表示する画像表示装置を備え、
前記動作制御部には、作業者が前記画像表示装置に表示された前記撮像画像を見ながら前記進入フレームの位置を変えて前記動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている成形品取出機であって、
前記撮像装置は、取出動作が開始されるときに、前記金型の上方または斜め上方から前記金型及びその周囲を撮像することができ、しかも前記進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで前記金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置する仮想配置位置からオフセットした位置を前記撮像装置の配置位置として定められており、
前記画像表示装置は、成形機の前記開閉方向に延びる仮想中心を含んで前記開閉方向と前記垂直方向に延びる第2の仮想平面に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部が前記表示部に表示される前記撮像画像に含まれるように画像表示を実行するように構成されており、
前記ティーチング実行部は、前記撮像画像に含まれる一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲の中心が位置するように、進入フレームの位置を変えた後、前記撮像範囲の中心の位置と前記アタッチメント取付部の中心の位置との差分を前記オフセット移動量として前記表示部に表示させるとともに、前記オフセット移動量分だけ前記進入フレームを移動させて前記進入フレームの取出動作における横行位置を決定する際に、前記進入フレームを移動させた量分を前記オフセット移動量の表示から減少させるように構成されていることを特徴とする成形品取出
【請求項11】
前記一対の基準対称構造部は、一対のガイドピン、一対のタイバー、固定金型の一対の外殻エッジ、可動金型の一対の外殻エッジ及びプラテンの一対の外殻エッジの少なくとも一つである請求項10に記載の成形品取出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機から成形品を取り出す成形品取出機を操作しながらその動作を教示する成形品取出システムのティーチング方法及び成形品取出機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
成形品取出機では、取出ヘッドを用いて成形機の金型内の製品取出位置で成形品を受取り、この成形品を成形機外の製品開放位置に開放するという動作を繰り返し行う。この取出ロボットの動作は、いわゆるティーチングプログラムにより教示されている。製品を吸着する際、通常、横行方向(型の開閉方向及び上下方向と直交する方向)・引抜方向(型の開閉方向)・上下方向の三方向の位置決めを行うことで、成形品取出機の進入フレームの先端に取り付けられた取出ヘッドを、金型に近づける教示を行う必要がある。最終的には、成形品に対する適切な位置(例えば成形品の中心)に対して、ヘッドの吸着部または把持部(一般的にはヘッド中心)を合わせるようにヘッドを押しつけ、吸着面とのズレが無いように調整する必要がある。成形品の中心に取出ヘッドの中心を位置合わせする際に、引抜・上下方向は成形機の長手方向に対する側面の操作位置から目視で調整可能だが、横行方向に関しては「奥行き」が存在するため、目視での調整がやりにくく、ときに金型とヘッドが接触してしまったりすることが有る。したがって、従来は作業者の技能に依存したり、成形機の上に登り、下方向の目線から横行方向の位置合わせをすることが多かった。しかし、このような教示方法では転落の危険性があり、作業時間も冗長化してしまう。また作業者の技能に依存してしまう。
【0003】
そこで特開2018-114752号公報に記載された成形品取出システムのティーチング方法では、固定フレームの周囲及び移動フレームの周囲の画像を撮像する複数の撮像装置と、複数の撮像画像が撮像した画像(動画及び静止画の両方を含む )画像を統合して得た統合撮像画像を表示する画像表示装置を備えており、作業者は、画像表示装置に表示された統合撮像画像を見ながら動作シーケンスのティーチングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-114752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、複数台の撮像装置を必要とする上、統合撮像画像を見ながら進入フレームのアタッチメント取付部と金型との横行方向の位置関係を特定しなければならず、ティーチング作業が難しい。
【0006】
本発明の目的は、撮像装置の設置位置を工夫することと、成形機が本来有する構造と金型が本来有する構造の特徴を利用することにより、1台の撮像装置を用いて、横行方向のティーチングを行える成形品取出システムのティーチング方法と成形品取出機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明でティーチングする成形品取出システムは、固定フレームと、固定フレームに沿って移動する移動フレームと、取出ヘッドのアタッチメントを備えて移動フレームに移動可能に保持されて成形機の型内に進入する進入フレームと、予め設定した動作シーケンスに従って移動フレーム及び進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、撮像装置が撮影した撮像画像を表示部に表示する画像表示装置を備えている。動作制御部には、作業者が画像表示装置に表示された撮像画像を見ながら進入フレームの位置を変えながら動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている。
【0008】
本発明の成形品取出システムのティーチング方法では、撮像装置を、取出動作が開始されるときに、金型の上方または斜め上方から金型及びその周囲を撮像することができ、しかも進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置するように配置する。ここで「取出動作が開始されるとき」とは、進入フレームが型の上方に位置して、下降を開始するときである。撮像装置は、進入フレームを移動させる移動ベース、進入フレーム、または、進入フレームの先端に位置する姿勢制御装置若しくはヘッド取付部を含むアタッチメント取付部または取出しヘッドに、取り付けることができる。撮像装置は、少なくとも開いた金型とその周辺が撮れればよく、直下を向いている必要は無い。本発明では、撮像装置の画像中心即ち撮像範囲の中心は、アタッチメント取付部の横行位置となる。すなわちアタッチメント取付部が横行方向に移動するのに追随して、常に撮像範囲の横行方向の中心は、アタッチメント取付部の中心が横行方向に到達する位置となる。
【0009】
また画像表示装置は、成形機の開閉方向に延びる仮想中心を含んで開閉方向と垂直方向に延びる第2の仮想平面に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部(具体的には、一対のガイドピン、一対のタイバー、固定金型の一対の外殻エッジ、可動金型の一対の外殻エッジ、またはプラテンの一対の外殻エッジ)が表示部に表示される撮像画像に含まれるように画像表示を実行する。そしてティーチング実行部を用いて、撮像画像に含まれる一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲の中心が位置するように、進入フレームの位置を変えることにより、取出動作における進入フレームの横行位置を決定する。
【0010】
アタッチメント取付部の横行方向の位置調整をする際は、アタッチメント取付部がタイバー間をくぐり、金型に接触しないようにしながら、「成形品の中心」に例えば取出ヘッドの吸着部の中心を合わせることになる。実際の基準点は、金型の中心(ノズルセンタ)となる。しかし、金型内部の形状は千差万別で複雑な形状を有しており、目視でもカメラ画像による画像認識でも、「基準点」としては確認し辛く上からは、影になり見えにくいときがある。金型の開閉をサポートするガイドピン、成形機の開閉をサポートするタイバーの中間位置はノズルセンタ、すなわち金型の中心と同じ位置にある。また金型やプラテンの外殻エッジも、その中心も金型の中心と同じ位置にある。そこで本発明では、一対の基準対称構造部(一対のガイドピン、一対のタイバー、固定金型の一対の外殻エッジ、可動金型の一対の外殻エッジ、またはプラテンの一対の外殻エッジ)の中間位置に、撮像範囲の中心が位置するようにする。ここで中間位置とは、一対の基準対称構造部の間隔が1/2になる位置である。このようにすると中間位置が横行位置の基準点になるので、進入フレームの位置を変えることにより、取出動作における進入フレームの横行位置を簡単に決定することができる。
【0011】
本発明の方法によれば、撮像装置の撮像範囲の中心を進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置するように配置し、一対のタイバー等の一対の基準対称構造部を目視または検出して、その中間位置を設定する。そして撮像範囲の中心を一対のタイバー等の中間位置に合わせることで、アタッチメント取付部の横行方向の位置を決定することができる。本発明によれば、撮像装置から距離を算出する必要は無く、あくまで画像と画面の位置合わせで横行方向の位置決めをすることができる。
【0012】
画像表示装置が、表示部の表示画面上に、該表示画面の中心を示す中心マークを表示し、中心マークの位置に中間位置と撮像範囲の中心が位置するように進入フレームの位置を変えるようにすれば、表示画面を見て、画像と画面の位置合わせで横行方向の位置決めをすることができる。
【0013】
画像表示装置は、表示部の表示画面の中心から直交するX方向及びY方向に延びる一定の間隔の目盛り(インジケータ)を表示画面に表示してもよい。このようにすると、画像認識技術を使ったり、人間がモニタ上でタイバー等の存在を教示する技術は不要となる。
【0014】
また既存の成形品取出機に、撮像装置を設置し、既存のコントローラまたは携帯通信端末器を画像表示装置として用いるようにしてもよい。このようにすると、既存の成形品取出機に対しても本発明の方法を適用することができる。
【0015】
撮像装置は、取り外し可能、取付位置変更可能または引き抜き方向に姿勢変更可能に設けられていてもよい。このようにすれば、横行方向にずれていなければ、撮像装置は必ず真下を向いている必要はないので、撮像装置が邪魔な場合は、撮像装置を取り外したり、位置調整できる。またティーチングが終わったら撮像装置を引抜方向に一気に傾けて、周囲の監視に使うこともできる。
【0016】
本発明の方法は、撮像装置を、取出動作が開始されるときに、金型の上方または斜め上方から金型及びその周囲を撮像することができ、しかも進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置する仮想配置位置からオフセットした位置を撮像装置の配置位置として定める。画像表示装置は、成形機の開閉方向に延びる仮想中心を含んで開閉方向と垂直方向に延びる第2の仮想平面に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部が表示部に表示される撮像画像に含まれるように画像表示を実行する。そして、ティーチング実行部は、撮像画像に含まれる一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲の中心が位置するように(撮像範囲の中心が第2の仮想平面に合致するまで)、進入フレームの位置を変えた後、撮像範囲の中心の位置とアタッチメント取付部の中心の位置との差分をオフセット移動量として表示部に表示させるとともに、オフセット移動量分だけ進入フレームを移動させて進入フレームの取出動作における横行位置を決定する際に、進入フレームを移動させた量分をオフセット移動量の表示から減少させる。
【0017】
このようにすると作業者は、表示部に表示されたオフセット移動量の表示を減少させてゼロにするように進入フレームを移動させることにより、撮像装置をオフセットして配置した場合でも、あくまで画像と画面の位置合わせで進入フレームの横行方向の位置決めをすることができる。
【0018】
本発明の成形品取出機は、固定フレームと、固定フレームに沿って移動する移動フレームと、取出ヘッドのアタッチメントを備えて移動フレームに移動可能に保持されて成形機の型内に進入する進入フレームと、予め設定した動作シーケンスに従って移動フレーム及び進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、撮像装置が撮影した撮像画像を表示部に表示する画像表示装置を備え、動作制御部には、作業者が前記画像表示装置に表示された撮像画像を見ながら進入フレームの位置を変えながら動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている。撮像装置は、取出動作が開始されるときに、金型の上方または斜め上方から金型及びその周囲を撮像することができ、しかも進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置するように配置されている。画像表示装置は、成形機の開閉方向に延びる仮想中心を含んで開閉方向と垂直方向に延びる第2の仮想平面に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部が表示部に表示される撮像画像に含まれるように画像表示を実行するように構成されている。そしてティーチング実行部は、撮像画像に含まれる一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲の中心が位置するように、進入フレームの位置を変えることにより、取出動作における進入フレームの横行位置を決定できるように構成されている。本発明の成形品取出機によれば、撮像装置から距離を算出する必要は無く、あくまで画像と画面の位置合わせで横行方向の位置決めをすることができる。
【0019】
撮像装置が、取出動作が開始されるときに、金型の上方または斜め上方から金型及びその周囲を撮像することができ、しかも進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置する仮想配置位置からオフセットした位置を撮像装置の配置位置として定められている場合の成形品取出機にも本発明を適用できる。この場合、画像表示装置は、成形機の前記開閉方向に延びる仮想中心を含んで開閉方向と垂直方向に延びる第2の仮想平面に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部が表示部に表示される撮像画像に含まれるように画像表示を実行するように構成されている。またティーチング実行部は、撮像画像に含まれる一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲の中心が位置するように、進入フレームの位置を変えた後、撮像範囲の中心の位置とアタッチメント取付部の中心の位置との差分をオフセット移動量として表示部に表示させるとともに、オフセット移動量分だけ進入フレームを移動させて進入フレームの取出動作における横行位置を決定する際に、進入フレームを移動させた量分をオフセット移動量の表示から減少させるように構成されている。このようにすると撮像装置をオフセットして配置した場合でも、あくまで画像と画面の位置合わせで進入フレームの横行方向の位置決めをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態の方法を適用する成形品取出機を成形機の固定プラテンの上に実装した状態の斜視図である。
図2】撮像装置が撮影した画像の一例を示す図である。
図3】本実施の形態で用いる成形品取出機の制御系の構成を示すブロック図である。
図4】撮像範囲の中心を説明するために用いる図である。
図5】一対の対称構造部の説明に用いる図である。
図6】(A)及び(B)は、表示部の表画面の例を示す図である。
図7】撮像装置をオフセットした場合に本発明の方法を適用する場合のフローチャートである。
図8】表示部にオフセット移動量を示す場合の一例を示す画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の成形品取出システム及びそのティーチング方法の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態の方法を適用する成形品取出機1を成形機の固定プラテン3の上に実装した状態の斜視図である。なお図1においては、成形機のダイプレートの部分を抜粋し且つ一部透明なものとして表示してある。成形機の固定プラテン3には、固定金型5と中間金型7が固定されており、可動プラテン9には可動金型11が固定されている。そして固定プラテン3と可動プラテン9との間には、可動プラテン9の移動をガイドする4本のタイバー13A乃至13Dが配置されている。4本のタイバー13A乃至13Dは、等間隔をあけて配置されており、4本のタイバー13A乃至13Dの中心を通る仮想中心線は固定金型5及び可動金型11の中心(ノズルセンタ)を通っている。また固定金型5,中間金型7及び可動金型11は、それぞれガイドピン15A乃至15Dによりガイドされている。4本のガイドピン15A乃至15Dも、等間隔をあけて配置されており、4本のガイドピン15A乃至15Dの中心を通る仮想中心線も固定金型5及び可動金型11の中心(ノズルセンタ)を通っている。
【0023】
成形品取出機1は、横行フレーム23と、制御ボックス25と、引き抜きフレーム27と、ランナ用昇降ユニット29と、成形品吸着用昇降ユニット31とを備えている。横行フレーム23は、図示しない成形機の長手方向に水平に直交したX軸方向に延設される片持ビーム構造を有している。制御ボックス25は、横行フレーム23に支持されており、走行体26はサーボ機構に含まれるACサーボモータ(図示していない)を駆動源として横行フレーム23に沿ってX軸方向に進退する。可動フレームである引き抜きフレーム27は、走行体26に基部が取り付けられており、成形機の長手方向と平行なY軸方向に延びている。引き抜きフレーム27には、ランナ用昇降ユニット29及び成形品吸着用昇降ユニット31がサーボ機構に含まれる図示していないACサーボモータを駆動源としてY軸方向に移動可能に走行体35及び33を介して支持されている。引き抜きフレーム27の基部には、制御ボックス28が装着されている。
【0024】
ランナ用昇降ユニット29は、引き抜きフレーム27に移動可能に支持された走行体35にZ軸方向に昇降する昇降フレーム37を備えた構造を有している。走行体35は、図示しないACサーボモータにより駆動されてY軸方向に移動する。昇降フレーム37は、ACサーボモータ39によって上下方向(Z軸方向)に昇降する。昇降フレーム37は、廃棄されるランナを保持するアタッチメントとしてのチャック41を備えている。
【0025】
また成形品吸着用昇降ユニット31に含まれる走行体33は、図示していないACサーボモータにより引き抜きフレーム27上をY軸方向に移動する。成形品吸着用昇降ユニット31はACサーボモータ46によって上下方向(Z軸方向)に昇降する進入フレームとしての昇降フレーム45と、昇降フレーム45の下端に設けられた姿勢制御装置を構成する反転ユニット47とを備えている。反転ユニット47には、破線で示した取出ヘッド48が装着される。引き抜きフレーム27は、横方向(X軸方向)に延びる横行フレーム23に沿って横方向に移動する。そして引き抜きフレーム27には、上下方向(Z軸方向)及び横方向と直交する前後方向(Y軸方向)に移動する昇降フレーム37,45が、前後方向に移動可能に装着されている。
【0026】
本実施の形態では、走行体33の下面にモニタ用カメラとしての撮像装置49が設置されている。この撮像装置49は、成形金型(5,7,11)の上方または斜め上方から金型及びその周囲を撮像することができる位置に設置されている。図2は、撮像装置49が撮影した画像の一例を示している。図3は、本実施の形態で用いる成形品取出機の制御系の構成を示すブロック図である。図3に示すように、この制御系は、撮像装置49と、動作制御部51と表示部57を含む画像表示装置55を含んでいる。動作制御部51は、動作シーケンスに従って制御ボックス25,28に制御指令を送信する。また本実施の形態の動作制御部51は、作業者が画像表示装置55の表示部57に表示された撮像画像を見ながら進入フレームを構成する昇降フレーム45の位置を変えながら動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部53を含んでいる。
【0027】
この例では、撮像装置49は、成形金型(5,7,11)の真上から金型及びその周囲を撮像している。図4に概念的に示すように、撮像装置49は、昇降フレーム45の先端に設けられたアタッチメント取付部としての反転ユニット47の中心を含んで金型の開閉方向(Y方向)と垂直方向(Z方向)の両方向に延びる第1の仮想平面S1内に撮像範囲IRの中心Coが位置するように走行体33の下面に取付けられている。なお撮像装置49は、進入フレームを構成する昇降フレーム45を移動させる走行体(移動ベース)33だけでなく、進入フレームを構成する昇降フレーム45自身に、取り付けることができる。撮像装置49は、少なくとも開いた金型とその周辺が撮像範囲IRに入ればよく、必ずしも直下を向いている必要は無い。本実施の形態では、撮像装置49の画像中心即ち撮像範囲IRの中心Coが、反転ユニット47(アタッチメント取付部)の中心の横行位置となる。すなわち反転ユニット47(アタッチメント取付部)が横行方向に移動するのに追随して、常に撮像範囲IRの横行方向の中心Coは、反転ユニット47(アタッチメント取付部)の中心が横行方向に到達する位置となる。
【0028】
また画像表示装置55は、成形機の開閉方向に延びる仮想中心CLを含んで開閉方向と垂直方向に延びる第2の仮想平面S2(図2図5参照)に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部、例えば、一対のガイドピン15A,15B、一対のタイバー13A,13B、固定金型5の一対の外殻エッジ5eg、可動金型(7,11)の一対の外殻エッジ(7eg,11eg)またはプラテン3の一対の外殻エッジ3egが表示部57に表示される撮像範囲IRに含まれるように画像表示を実行する。そして図3に示すように、ティーチング実行部53を用いて、撮像範囲IRに含まれる一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲IRの中心Coが位置するように、昇降フレーム45(進入フレーム)の位置を変えることにより、取出動作における昇降フレーム45(進入フレーム)の横行位置を決定する。
【0029】
反転ユニット47(アタッチメント取付部)の横行方向の位置調整をする際は、反転ユニット47(アタッチメント取付部)がタイバー13A,13B間をくぐり、金型5,7に接触しないようにしながら、「成形品の中心」に例えば取出ヘッド48の吸着部の中心を合わせることになる。実際の基準点は、金型の中心(ノズルセンタ)となる。しかし、金型内部の形状は千差万別で複雑な形状を有しており、目視でもカメラ画像による画像認識でも、「基準点」としては確認し辛く上からは、影になり見えにくいときがある。金型の開閉をサポートするガイドピン15A,15B、成形機の開閉をサポートするタイバー13A,13Bの中間位置はノズルセンタ、すなわち金型の中心と同じ位置にある。また金型5,7,11やプラテン3の外殻エッジ3egも、その中心も金型の中心と同じ位置にある。そこで本実施の形態では、一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲の中心が位置するようにする。ここで中間位置とは、図2に示すように、一対の基準対称構造部の間隔が1/2になる位置である。このようにすると中間位置が横行位置の基準点になるので、昇降フレーム45(進入フレーム)の位置を変えることにより、取出動作における進入フレームの横行位置を簡単に決定することができる。
【0030】
撮像装置49の撮像範囲IRの中心Coを昇降フレーム45の反転ユニット47(アタッチメント取付部)の中心を含んで金型の開閉方向(Y方向)と垂直方向(Z方向)の両方向に延びる第1の仮想平面S1内に撮像範囲IRの中心Coが位置するように撮像装置49を配置し、一対のタイバー13A,13B等の一対の基準対称構造部を目視または検出して、その中間位置を設定する。そして撮像範囲IRの中心Coを一対のタイバー13A,13B等の中間位置に合わせることで、反転ユニット47(アタッチメント取付部)の横行方向の位置を決定することができる。本実施の形態によれば、撮像装置49から距離を算出する必要は無く、あくまで画像と画面の位置合わせで横行方向(X方向)の位置決めをすることができる。
【0031】
図6(A)に示すように、画像表示装置55が、表示部57の表示画面上に、該表示画面の中心を示す中心マークMを表示し、中心マークMの位置に一対のタイバー13A,13B等の中間位置に合わせるように、すなわち撮像範囲IRの中心Coが中心マークMに位置するように昇降フレーム45の位置を変えるようにすれば、表示画面を見て、画像と画面の位置合わせで横行方向(X方向)の位置決めをすることができる。
【0032】
なお画像表示装置55は、図6(B)に示すように、表示部57の表示画面の中心から直交するX方向及びY方向に延びる一定の間隔の目盛り(インジケータ)IMを表示画面に表示してもよい。このようにすると、画像認識技術を使ったり、人間がモニタ上でタイバー等の存在位置を教示する技術は不要となる。このようなインジケータを用いると、引き抜き方向の位置合わせも、表示部57の画像を見ながら行うことができる。
【0033】
なお引き抜き方向(Y方向)の位置合わせ及び上下方向(Z方向)の位置合わせは、作業者が、成形機が置かれている床面の上に立って金型間の空間内における取出ヘッド48の位置を見ることにより、位置決めすることができる。なおこの位置決め作業は、従来のティーチング作業において行われていることである。本発明の方法によれば、従来、正確にできなかった横行方向(X方向)の位置決め作業を正確に行える。
【0034】
また既存の成形品取出機に、撮像装置49を設置し、既存のコントローラまたは携帯通信端末器を画像表示装置として用いるようにしてもよい。このようにすると、既存の成形品取出機に対しても本発明の方法を適用することができる。
【0035】
撮像装置は、取り外し可能、取付位置変更可能または引き抜き方向に姿勢変更可能に設けられていてもよい。このようにすれば、横行方向にずれていなければ、撮像装置は必ず真下を向いている必要はないので、撮像装置が邪魔な場合は、撮像装置を取り外したり、位置調整できる。またティーチングが終わったら撮像装置を引抜方向に一気に傾けて、周囲の監視に使うこともできる。
【0036】
[変型例]
本発明の方法は、撮像装置49を、取出動作が開始されるときに、金型(5,7,11)の上方または斜め上方から金型及びその周囲を撮像することができ、しかも昇降フレーム45(進入フレーム)の反転ユニット47(アタッチメント取付部)の中心を含んで金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面S1から開閉方向(Y方向)と垂直方向(Z方向)の両方向と直交する横行方向(X方向)に所定量だけ撮像範囲IRの中心Coがずれるように(オフセットするように)配置する場合にも適用できる。
【0037】
図7は、このような場合に本発明の方法を実施する場合に、ティーチング実行部53で用いるコンピュータプログラムのアルゴリスムの一部を示すフローチャートである。また図8は、表示部57にオフセット移動量OFを示す場合の一例を示す画像の模式図である。画像表示装置55は、成形機の開閉方向に延びる仮想中心を含んで開閉方向と垂直方向に延びる第2の仮想平面(S2)に対して対称な位置にある一対の基準対称構造部(例えば、一対のガイドピン15A,15B、一対のタイバー13A,13B、固定金型5の一対の外殻エッジ5eg、可動金型(7,11)の一対の外殻エッジ(7eg,11eg)またはプラテン3の一対の外殻エッジ3eg)が表示部57に表示される撮像範囲IRに含まれるように画像表示を実行する。そして、ティーチング実行部53は、撮像範囲IRに含まれる一対の基準対称構造部の中間位置に、撮像範囲の中心Coが位置するように(撮像範囲IRの中心Coが第2の仮想平面S2に合致するまで)、昇降フレーム45(進入フレーム)の位置を変える(ステップST1)。その後、撮像範囲IRの中心Coの位置とアタッチメント取付部(反転ユニット47)の中心の位置との間に差分があれば、ステップST3に進み、差分がなければ終了する(ステップST2)。撮像範囲IRの中心Coの位置とアタッチメント取付部(反転ユニット47)の中心の位置との間に差分があれば、オフセット移動量OFとして表示部57に表示させる(ステップST3)。この差分があるか否かは、設計段階で判っているが、公知の画像診断技術を用いて求めることもできる。そしてオフセット移動量OF分だけ昇降フレーム45(進入フレーム)を移動させて昇降フレーム45(進入フレーム)の取出動作における横行位置を決定する(ステップST4)。この際に、昇降フレーム45(進入フレーム)を移動させた量分をオフセット移動量OFの表示から減少させる。作業者は、表示部57に表示されたオフセット移動量OFの表示を減少させてゼロにするように昇降フレーム45(進入フレーム)を移動させることにより(ステップST4)、撮像装置49をオフセットして配置した場合でも、あくまで画像と画面の位置合わせで昇降フレーム45(進入フレーム)の横行方向の位置決めをすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の方法によれば、撮像装置の撮像範囲の中心を進入フレームのアタッチメント取付部の中心を含んで金型の開閉方向と垂直方向の両方向に延びる第1の仮想平面内に撮像範囲の中心が位置するように配置し、一対のタイバー等の一対の基準対称構造部を目視または検出して、その中間位置を設定し、撮像範囲の中心を一対のタイバー等の中間位置に合わせることで、アタッチメント取付部の横行方向の位置を決定することができる。したがって本発明によれば、撮像装置から距離を算出する必要は無く、あくまで画像と表示部の画面の位置合わせで横行方向の位置決めをすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 成形品取出機
3 固定プラテン
5 固定金型
7 中間金型
9 可動プラテン
11 可動金型
13A乃至13D タイバー
15A乃至15D ガイドピン
23 横行フレーム(固定フレーム)
25 制御ボックス
27 引き抜きフレーム(移動フレーム)
28 制御ボックス
29 ランナ用昇降ユニット
31 成形品吸着用昇降ユニット
33,35 走行体
45 昇降フレーム(進入フレーム)
47 反転ユニット(アタッチメント取付部)
48 取出ヘッド
49 撮像装置
51 動作制御部
53 ティーチング実行部
55 画像表示装置
57 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8