IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

特許7341010引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット
<>
  • 特許-引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット 図1
  • 特許-引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット 図2
  • 特許-引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット 図3
  • 特許-引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット 図4
  • 特許-引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット 図5
  • 特許-引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット 図6
  • 特許-引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット 図7
  • 特許-引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネット
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/956 20170101AFI20230901BHJP
   A47B 88/407 20170101ALI20230901BHJP
【FI】
A47B88/956
A47B88/407
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019176789
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021052872
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】奈良 太
(72)【発明者】
【氏名】手塚 歩
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-157323(JP,U)
【文献】特開2017-192593(JP,A)
【文献】特開平08-242949(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03141158(DE,A1)
【文献】国際公開第2008/023397(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/956
A47B 88/407
A47B 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口し、引き出しを前後方向にスライド可能に支持する引き出し収容部に固定される固定部と、
前記固定部と接続され、前記引き出し収容部に収容された前記引き出しの前板の後面と接触する規制部と、を有し、
前記固定部は、前記引き出し収容部に固定する固定具が挿通される複数の孔部を有し、
前記複数の孔部は、前後方向に間隔をあけて設けられ、それぞれ前後方向に延びる長孔である引き出し位置調整部材。
【請求項2】
前記規制部は、前記前板の後面と前記前板の後面に固定されたパッキンを介して接触するように構成され、
前記パッキンを前記前板に固定する固定具が接触しないように配置される空部が形成されている請求項1に記載の引き出し位置調整部材。
【請求項3】
引き出しと、
前記引き出しを前後方向にスライド可能に支持する引き出し収容部と、
前記引き出し収容部に収容された前記引き出しの前後方向の位置を調整する引き出し位置調整部材と、を有し、
前記引き出し位置調整部材は、
前記引き出し収容部に固定される固定部と、
前記固定部と接続され、前記引き出し収容部に収容された前記引き出しの前板の後面と接触する規制部と、を有し、
前記固定部は、前記引き出し収容部に固定する固定具が挿通される複数の孔部を有し、
前記複数の孔部は、前後方向に間隔をあけて設けられ、それぞれ前後方向に延びる長孔である引き出し付きキャビネット。
【請求項4】
他のキャビネットと横方向に隣接して設けられる請求項3に記載の引き出し付きキャビネット。
【請求項5】
複数の引き出しが上下方向に並んで設けられ、
前記引き出し位置調整部材は、前記複数の引き出しのうちの最上段の引き出しに取り付けられている請求項3または4に記載の引き出し付きキャビネット。
【請求項6】
前記引き出し収容部は、前記引き出しの側方に配置される側板と、
前記側板に取り付けられて前記引き出しを前後方向にガイドするガイドレールと、を有し、
前記引き出し位置調整部材は、前記ガイドレールの下方において前記側板に固定されている請求項3乃至5のいずれか一項に記載の引き出し付きキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
引き出しと、引き出しを収容可能な引き出し収容部と、備える引き出し付きキャビネットが、シンクを備えるシンク付きキャビネットと横方向に隣接して設けられたキッチンが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなキッチンでは、引き出しの前板と、シンク付きキャビネットの幕板とが横方向に隣接していて、引き出しが引き出し収容部に収容された状態となると、前板の前面が幕板の前面とが面一に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-100470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、施工誤差などにより引き出し収容部に収容された状態の引き出しの前板と幕板とが前後方向にずれてしまう虞がある。また、引き出しが引き出し収容部に収容されると引き出し収容部に取り付けられたパッキンに接触する場合、パッキンの経年劣化により、引き出しが引き出し収容部に収容される位置が変わってしまい、前板と幕板とが前後方向にずれてしまう虞がある。前板と幕板とが前後方向にずれてしまうと、前板の前面と幕板の前面とが面一とならない虞がある。
【0005】
そこで、本開示は、引き出し収容部に収容された状態の引き出しにおける前板の前後方向の位置を調整することができる引き出し位置調整部材および引き出し付きキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る引き出し位置調整部材は、前方に開口し、引き出しを前後方向にスライド可能に支持する引き出し収容部に固定される固定部と、前記固定部と接続され、前記引き出し収容部に収容された前記引き出しの前板の後面と接触する規制部と、を有し、前記固定部は、前記引き出し収容部に固定する固定具が挿通される複数の孔部を有し、前記複数の孔部は、前後方向に間隔をあけて設けられ、それぞれ前後方向に延びる長孔である
【0007】
本発明に係る引き出し付きキャビネットは、引き出しと、前記引き出しを前後方向にスライド可能に支持する引き出し収容部と、前記引き出し収容部に収容された前記引き出しの前後方向の位置を調整する引き出し位置調整部材と、を有し、前記引き出し位置調整部材は、前記引き出し収容部に固定される固定部と、前記固定部と接続され、前記引き出し収容部に収容された前記引き出しの前板の後面と接触する規制部と、を有し、前記固定部は、前記引き出し収容部に固定する固定具が挿通される複数の孔部を有し、前記複数の孔部は、前後方向に間隔をあけて設けられ、それぞれ前後方向に延びる長孔である
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】引き出し付きキャビネットが設けられたキッチンの一例を示す斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のB-B線断面図である。
図4図2のC部分拡大図である。
図5図4のD-D線断面図である。
図6】引き出し位置調整部材の斜視図である。
図7】引き出し位置調整部材の側面図である。
図8】引き出し位置調整部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本実施形態による引き出し付きキャビネット1は、シンクやコンロが一体に設けられたキッチン11に設けられている。キッチン11は、シンクを備えるシンクキャビネット12およびコンロを備えるコンロキャビネット13が引き出し付きキャビネット1に隣接して設けられ、これらのキャビネットの上に天板14が設けられている。本実施形態による引き出し位置調整部材2は、引き出し付きキャビネット1に取り付けられている。引き出し位置調整部材2が設けられる引き出し付きキャビネット1は、新設のキャビネットであってもよいし、既設のキャビネットであってもよい。
【0010】
以下の説明では、キッチン11の使用時に使用者とキッチン11とが対向する水平方向を前後方向(図面のYの矢印が示す方向)と称し、キッチン11に対して使用者がいる側を前側、使用者に対してキッチン11がある側を後側と称する。前後方向に直交する水平方向を横方向(図面のXの矢印が示す方向)と称する。キッチン11は、横方向の一方側から他方側に向かって、シンクキャビネット12、引き出し付きキャビネット1、コンロキャビネット13の順に配列されている。
【0011】
引き出し付きキャビネット1は、3つの引き出し31,32,33と、前方に開口し3つの引き出し31,32,33をそれぞれ前後方向にスライド可能に支持する引き出し収容部4と、を有している。3つの引き出し31,32,33は、それぞれ前方に引き出されて引き出し収容部4の前方に位置すると物品を出し入れ可能な状態となり、後方に押されると引き出し収容部4の内部に収容された状態となる。引き出しが引き出し収容部4の内部に収容された状態を収容状態と称する。3つの引き出し31,32,33は、上下方向に並んで配置されている。3つの引き出し31,32,33を上から下に向かって第1引き出し31、第2引き出し32、第3引き出し33と称する。本実施形態では、3つの引き出し31,32,33は、それぞれ収容状態となると、第1引き出し31の前面と第2引き出し32の前面とが略面一に配置され、第3引き出し33の前面が第1引き出し31の前面および第2引き出し32の前面よりも後に配置される。第1引き出し31の前板37は、シンクキャビネット12の幕板121およびコンロキャビネット13のコンロ131と横方向に隣接し、それぞれの前面が略面一に配置される。
【0012】
図2および図3に示すように、引き出し収容部4は、一対のキャビネット側板41と、キャビネット背板42と、台輪43と、を有している。一対のキャビネット側板41は、横方向に離れて配置されている。キャビネット背板42は、一対のキャビネット側板41の後端部を連結している。台輪43は、一対のキャビネット側板41の下端部を連結している。引き出し収容部4の上部には、天板14(図1参照)が設置される。
【0013】
一対のキャビネット側板41は、平板状に形成され、板面が横方向を向く鉛直面となる向きに配置されている。一対のキャビネット側板41は、第1引き出し31および第2引き出し32が設けられる上部側が、第3引き出し33が設けられる下部側よりも前方に突出している(図2参照)。一対のキャビネット側板41には、互いに対向する面に第1引き出し31を前後方向に移動可能に支持する第1ガイドレール44、第2引き出し32を前後方向に移動可能に支持する第2ガイドレール45、および第3引き出し33を前後方向に移動可能に支持する第3ガイドレール46が取り付けられている。一対のキャビネット側板41それぞれの互いに対向する面を第1側面411と称する。図4および図5に示すように、一対のキャビネット側板41の前端面412には、上下方向の略全体にわたって第1パッキン413が取り付けられている。
【0014】
図2および図3に戻り、3つの引き出し31,32,33は、それぞれ、上方に開口する箱状に形成されている。3つの引き出し31,32,33は、それぞれ、一対の引き出し側板34と、引き出し背板35と、引き出し底板36と、前板37と、を有している。一対の引き出し側板34は、横方向に離れて配置されている。引き出し背板35は、一対の引き出し側板34の後端部を連結している。引き出し底板36は、一対の引き出し側板34の下端部を連結している。前板37は、一対の引き出し側板34および引き出し底板36の前に設けられている。3つの引き出し31,32,33それぞれの一対の引き出し側板34には、ガイドレール44,45,46に沿って設けられている。3つの引き出し31,32,33は、それぞれローラ38がガイドレール44,45,46に沿って移動することで、前後方向に移動するように構成されている。
【0015】
前板37は、板面が長方形の平板状に形成され、板面が前後方向を向く鉛直面となる向きに配置される。図3に示すように、前板37の横方向の一方側の端部371は、横方向の一方側の引き出し側板34よりも横方向の一方側に突出している。前板37の横方向の他方側の端部372は、横方向の他方側の引き出し側板34よりも横方向の他方側に突出している。図2に示すように、前板37の下端部373は、一対の引き出し側板34および引き出し底板36よりも下方に突出している。前板37の後面374における下端部分には、横方向の略全体にわたって第2パッキン39(パッキン)が取り付けられている。本実施形態では、第2パッキン39は、ステープル391(図5参照)で前板37に固定されている。
【0016】
図3に示すように、3つの引き出し31,32,33は、それぞれ、引き出し収容部4に支持されると、前板37の横方向の一方側の端部371が横方向の一方側のキャビネット側板41の前端面412の前に配置され、前板37の横方向の他方側の端部372が横方向の他方側のキャビネット側板41の前端面412の前に配置される。3つの引き出し31,32,33は、収容状態となると、前板37の後面374が第1パッキン413と接触する。図2に示すように、3つの引き出し31,32,33は、引き出し収容部4に支持されると、前板37の下端部373がそれぞれを支持するガイドレール44,45,46の下方に位置している。
【0017】
図4および図5に示すように、引き出し位置調整部材2は、収容状態の第1引き出し31の前後方向の位置を規制するように構成されている。引き出し位置調整部材2は、一対のキャビネット側板41それぞれの第1側面411における前端部近傍で、第1ガイドレール44の下方に取り付けられている。引き出し位置調整部材2は、収容状態の第1引き出し31の前板37の後面374と接触するように構成されている。本実施形態では、引き出し位置調整部材2は、収容状態の第1引き出し31の前板37の後面374に取り付けられた第2パッキン39と接触する。すなわち、引き出し位置調整部材2は、収容状態の第1引き出し31の前板37の後面374と第2パッキン39を介して接触する。
【0018】
引き出し位置調整部材2は、キャビネット側板41に取り付けられた姿勢で前後方向に対称な形状に形成されている。横方向の一方のキャビネット側板41に取り付けられる引き出し位置調整部材2と、横方向の他方のキャビネット側板41に取り付けられる引き出し位置調整部材2とは、同じ形状の部材が用いられていて、鉛直軸回りに180°回転させ、前後を逆にすることで左右対称の形状となっている。以下の引き出し位置調整部材2の説明では、引き出し位置調整部材2が横方向の一方側のキャビネット側板41に取り付けられた姿勢であるものとして、上記の横方向、前後方向を用いて説明する。
【0019】
引き出し位置調整部材2は、樹脂などで成形されている。図4図8に示すように、引き出し位置調整部材2は、固定部21と、規制部22と、を有している。固定部21は、キャビネット側板41の第1側面411(図4図5参照)に沿って取り付けられている。規制部22は、固定部21から横方向の他方側に突出し、収容状態の第1引き出し31の前板37の後面374(図4図5参照)と接触するように構成されている。
【0020】
固定部21は、平板状に形成され、板面が横方向を向く鉛直面となる向きでキャビネット側板41に固定される。固定部21は、前後方向に長い形状に形成されている。固定部21には、横方向に貫通する2つの孔部211が前後方向に間隔をあけて設けられている。2つの孔部211は、前後方向に長い長孔となっている。
【0021】
規制部22は、上板部23と、第1突出板部24と、第1凸部25と、第2突出板部26と、第2凸部27と、を有している。上板部23は、固定部21の上縁部から横方向の他方側に突出している。第1突出板部24は、上板部23の前縁部から下方に突出している。第1凸部25は、第1突出板部24の前面から前方に突出している。第2突出板部26は、上板部23の後縁部から下方に突出している。第2凸部27は、第2突出板部26の後面から後方に突出している。
【0022】
上述しているが、引き出し位置調整部材2は、前後方向に対称な形状に形成されている。第1突出板部24と、第2突出板部26とは前後方向に対称である。第1凸部25と第2凸部27とは、前後方向に対称である。後述する第1空部28と第2空部29とは、前後方向に対称である。上板部23における固定部21と接続されている横方向の一方側の部分を第1上板部231とし、第1上板部231よりも横方向の他方側で固定部21と離れる部分を第2上板部232と称する。第2上板部232は、第1上板部231よりも前後方向に長く形成され、第1上板部231よりも前方および後方に突出している。第2上板部232の前縁部および後縁部は、横方向に直線状に延びている。
【0023】
第1突出板部24は、第2上板部232の前縁部から下方に突出していて、前面が前方を向く鉛直面となっている。第1凸部25は、第1突出板部24の前面における横方向の一方側の縁部から前方に突出している。第1凸部25は、上下方向に長く、第1突出板部24の高さと略同じ長さに形成されている。第1凸部25の前端面251、すなわち先端面は、前方を向く鉛直面となっている。引き出し位置調整部材2は、第1突出板部24の第1凸部25よりも横方向の他方側の部分の前側で、かつ第1凸部25の横方向の他方側に第1空部28(空部)を形成している。
【0024】
第2突出板部26は、第2上板部232の後縁部から下方に突出していて、後面が後方を向く鉛直面となっている。第2凸部27は、第1突出板部24の後面における横方向の一方側の縁部から後方に突出している。第2凸部27は、上下方向に長く、第2突出板部26の高さと略同じ長さに形成されている。第2凸部27の後端面271、すなわち先端面は、後方を向く鉛直面となっている。引き出し位置調整部材2は、第2突出板部26の第2凸部27よりも横方向の他方側の部分の後側で、かつ第2凸部27の横方向の他方側に第1空部29(空部)を形成している。
【0025】
引き出し位置調整部材2は、第1リブ51と、第2リブ52と、第3リブ53と、を有している。第1リブ51は、規制部22の上板部23と第1突出板部24とに接続されている。第2リブ52は、規制部22の上板部23と第2突出板部26とに接続されている。第3リブ53は、規制部22の上板部23と固定部21とに接続されている。これらの第1リブ51、第2リブ52、第3リブ53は、引き出し位置調整部材2の強度を確保するために設けられている。
【0026】
第1リブ51は、板面が三角形の板状に形成されている。第1リブ51は、板面が横方向を向く姿勢で、上板部23の下面と第1突出板部24の後面とがなす角部に設けられている。第1リブ51は、三角形の3辺に対応する3つの縁部のうちの1つの縁部が上板部23の下面と接続され、他の1つの縁部が第1突出板部24の後面と接続されている。第1リブ51は、横方向に間隔をあけて2つ設けられている。第2リブ52は、板面が三角形の平板状に形成されている。第2リブ52は、板面が横方向を向く姿勢で、上板部23の下面と第2突出板部26の前面とがなす角部に設けられている。第2リブ52は、三角形の3辺に対応する3つの縁部のうちの1つの縁部が上板部23の下面と接続され、他の1つの縁部が第2突出板部26の前面と接続されている。第2リブ52は、横方向に間隔をあけて2つ設けられている。第3リブ53は、板面が三角形の平板状に形成されている。第3リブ53は、板面が前後方向を向く姿勢で、上板部23の下面と固定部21の横方向の他方側の面とがなす角部に設けられている。第3リブ53は、三角形の3辺に対応する3つの縁部のうちの1つの縁部が上板部23の下面と接続され、他の1つの縁部が固定部21の横方向の他方側の面と接続されている。第3リブ53は、横方向に間隔をあけて2つ設けられている。これらのリブは、長孔と干渉しない位置に形成されている。
【0027】
引き出し位置調整部材2は、第1凸部25の前端面251が、収容状態の第1引き出し31の第2パッキン39の後面392(図4図5参照)に配置されるようにキャビネット側板41に固定される。引き出し位置調整部材2は、固定部21の横方向の一方側の面がキャビネット側板41の第1側面411に当接した状態で、孔部211に挿入されたネジで第1引き出し31側板に固定される。孔部211が前後方向に延びる長孔であるため、長孔の長さ範囲で引き出し位置調整部材2の取付位置を調整することができる。
【0028】
収容状態の第1引き出し31は、前板37の後面374が第1パッキン413と接触するとともに、前板37の後面374に取り付けられた第2パッキン39が引き出し位置調整部材2の第1凸部25の前端面251と接触する。これにより、収容状態の第1引き出し31は、後方への移動が規制される。引き出し位置調整部材2は、第1パッキン413が経年劣化により前後方向の寸法が小さくなった場合でも、第1凸部25の前端面251が収容状態の第1引き出し31の前板37の後面374と接触することを維持できる耐久性を有することが好ましい。引き出し位置調整部材2の第1突出板部24の第1凸部25よりも横方向の他方側の部分の前側で、かつ第1凸部25の横方向の他方側に形成された第1空部28には、第2パッキン39を前板37に固定しているステープル391(固定具)が第1突出板部24および第1凸部25と接触しないように配置されるように構成されている。
【0029】
上記の実施形態による引き出し位置調整部材2は、引き出し収容部4に取り付けられて、収容状態の第1引き出し31の前板37の後面374と接触する規制部22を有している。このため、規制部22の引き出し収容部4への取付位置を調整することで、収容状態の第1引き出し31の前板37の前後方向の位置を調整することができる。
【0030】
上記の実施形態による引き出し付きキャビネット1は、引き出し位置調整部材2が設けられている。これにより、規制部22の引き出し収容部4への取付位置を調整することで、収容状態の第1引き出し31の前板37の前後方向の位置を調整することができる。
【0031】
上記の実施形態による引き出し位置調整部材2は、固定部21を引き出し収容部4に固定するための固定具が挿通される長孔(孔部211)を有している。これにより、長孔の長さ範囲内で引き出し付きキャビネット1に対する引き出し位置調整部材2の取付位置を容易に調整することができる。
【0032】
上記の実施形態による引き出し位置調整部材2は、収容状態の第1引き出し31の前板37の後面374に第2パッキン39を介して接触するように構成されている。これにより、引き出し位置調整部材2と前板37とが直接接触する場合と比べて、引き出し位置調整部材2と前板37とが接触する際の音を低減させることができる。上記の実施形態による引き出し位置調整部材2は、第2パッキン39を前板37に固定しているステープル391が接触しないように配置される第1空部28が形成されている。これにより、引き出し位置調整部材2とステープル391とが接触して音が生じることを防止することができる。
【0033】
上記の実施形態による引き出し付きキャビネット1は、シンクキャビネット12と横方向に隣接して設けられ、第1引き出し31の前板37がシンクキャビネット12の幕板121と横方向に隣接して設けられている。引き出し付きキャビネット1は、引き出し位置調整部材2が設けられていることにより、収容状態の第1引き出し31の前板37の前後方向の位置を調整することができるため、収容状態の第1引き出し31の前板37をシンクキャビネット12の幕板121と面一に設置することができる。
【0034】
上記の実施形態による引き出し付きキャビネット1は、3つの引き出し31,32,33のうちの最上段の第1引き出し31に引き出し位置調整部材2が設けられている。一般に、引き出し付きキャビネット1に引き出しが上下方向に並んで設けられている場合、上から2段目よりも下側の引き出しには、前板37の傾きを調整する機構が設けられているが、最上段の引き出しには、このような機構が設けられていない。上記の実施形態による引き出し付きキャビネット1では、引き出し位置調整部材2が設けられていることにより、第1引き出し31の収容状態の前後方向の位置を調整することができる。
【0035】
上記の実施形態による引き出し付きキャビネット1では、引き出し位置調整部材2は、ガイドレールの下方において側板に固定されるため、引き出し位置調整部材2の位置決めや設置を容易に行うことができる。
【0036】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0037】
例えば、上記の実施形態では、引き出し位置調整部材2は、固定部21を引き出し収容部4に固定するための固定具が挿通される孔部211が前後方向に延びる長孔であるが、長孔でなくてもよい。固定部21は、固定具以外に接着材などによって引き出し収容部4に固定されてもよい。引き出し位置調整部材2が固定される位置は、適宜設定されてよい。
【0038】
上記の実施形態による引き出し位置調整部材2は、収容状態の第1引き出し31の前板37の後面374に第2パッキン39を介して接触するように構成されている。これに対し、引き出し位置調整部材2は、第2パッキン39を介さずに第1引き出し31の前板37の後面374と直接接触するように構成されていてもよい。上記の実施形態による引き出し位置調整部材2は、第2パッキン39を前板37に固定しているステープル391が接触しないように配置される第1空部28が形成されているが、このような空部が形成されていなくてもよい。引き出し位置調整部材2がステープル391などの固定具と接触してもよいし、引き出し位置調整部材2がステープル391などの固定具と前後方向に重ならないように設けられていてもよい。
【0039】
上記の実施形態による引き出し付きキャビネット1には、3つの引き出し31,32,33のうちの最上段の第1引き出し31に引き出し位置調整部材2が設けられている。これに対し、引き出し付きキャビネット1に、第2引き出し32や第3引き出し33の位置を調整するように引き出し位置調整部材2が設けられていてもよい。引き出し付きキャビネット1に設けられる引き出しの数は、適宜設定されてよい。引き出し付きキャビネット1は、引き出し位置調整部材2によって前後方向の位置が調整される引き出しが設けられていれば、引き出し以外の、例えば、前方に開口した棚や、引き戸や開き戸が設けられた収納などが設けられていてもよい。
【0040】
上記の実施形態による引き出し付きキャビネット1は、シンクキャビネット12と横方向に隣接して設けられ、第1引き出し31の前板37がシンクキャビネット12の幕板121と横方向に隣接して設けられている。これに対し、引き出し付きキャビネット1は、シンクキャビネット12と隣接せずに単体で設けられていてもよいし、複数の引き出し付きキャビネット1が隣接して設けられていてもよい。上記の実施形態による引き出し付きキャビネット1は、キッチン11以外に設けられるキャビネットに採用されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 引き出し付きキャビネット、2 引き出し位置調整部材、4 引き出し収容部、21 固定部、22 規制部、28 第1空部(空部)、31 第1引き出し(引き出し) 、32 第2引き出し、33 第3引き出し、37 前板、39 第2パッキン(パッキン)、41 キャビネット側板(側板)、44 第1ガイドレール(ガイドレール)、211 孔部、374 後面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8