(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】感震システム
(51)【国際特許分類】
G01V 1/00 20060101AFI20230901BHJP
G01V 1/28 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
G01V1/00 D
G01V1/28
(21)【出願番号】P 2019180464
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】中里 直人
(72)【発明者】
【氏名】穴太 聖哉
(72)【発明者】
【氏名】平賀 優介
(72)【発明者】
【氏名】森畑 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 博久
(72)【発明者】
【氏名】久米村 秀明
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-025714(JP,A)
【文献】特開2008-170415(JP,A)
【文献】特開2017-194362(JP,A)
【文献】特開2018-179978(JP,A)
【文献】特開2004-069310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00
G01V 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震に起因する振動を検知し、当該振動についての情報である振動情報を出力する第1感震センサと、
前記第1感震センサよりも多く設置され、地震に起因する振動を検知し当該振動についての情報である振動情報を出力する複数の第2感震センサであって、振動の検知精度が当該第1感震センサよりも低い複数の第2感震センサと、
前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、当該第1感震センサ、当該第2感震センサの各々の設置箇所における揺れの大きさを把握し、当該揺れの大きさが表示された画面を生成する処理手段と、
を備え、
前記処理手段は、
前記第2感震センサ間の各々の離間距離に基づき、離間距離が予め定められた離間距離よりも小さい関係にある2つの当該第2感震センサを特定する処理を行い、離間距離が
当該予め定められた離間距離よりも小さい関係にある
当該2つ
の第2感震センサが存在する場合、
当該2つ
の第2感震センサの各々から出力される前記振動情報に基づき把握した2つの前記揺れの大きさの平均値が前記画面に含まれるようにする、
感震システム。
【請求項2】
前記第1感震センサは、外部から供給される電力で作動し、前記第2感震センサの各々は、自身が有する電池で作動する請求項1に記載の感震システム。
【請求項3】
前記第2感震センサは、可搬型の感震センサである請求項1に記載の感震システム。
【請求項4】
単位面積当たりの前記第2感震センサの設置数の方が、単位面積当たりの前記第1感震センサの設置数よりも大きい請求項1に記載の感震システム。
【請求項5】
前記処理手段は、前記画面のうちの前記設置箇所に対応する箇所に前記揺れの大きさが表示された当該画面を生成する請求項1に記載の感震システム。
【請求項6】
前記処理手段は、前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、当該第1感震センサ、当該第2感震センサが設置された領域に対する前記地震の影響を把握する請求項1に記載の感震システム。
【請求項7】
地震に起因する振動を検知し、当該振動についての情報である振動情報を出力する第1感震センサと、
前記第1感震センサよりも多く設置され、地震に起因する振動を検知し当該振動についての情報である振動情報を出力する複数の第2感震センサであって、個々の消費電力が当該第1感震センサよりも小さい複数の第2感震センサと、
前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、当該第1感震センサ、当該第2感震センサの各々の設置箇所における揺れの大きさを把握し、当該揺れの大きさが表示された画面を生成する処理手段と、
を備え、
前記処理手段は、
前記第2感震センサ間の各々の離間距離に基づき、離間距離が予め定められた離間距離よりも小さい関係にある2つの当該第2感震センサを特定する処理を行い、離間距離が
当該予め定められた離間距離よりも小さい関係にある
当該2つ
の第2感震センサが存在する場合、
当該2つ
の第2感震センサの各々から出力される前記振動情報に基づき把握した2つの前記揺れの大きさの平均値が前記画面に含まれるようにする、
感震システム。
【請求項8】
地震に起因する振動を検知し、当該振動についての情報である振動情報を出力する第1感震センサと、
前記第1感震センサよりも多く設置され、地震に起因する振動を検知し当該振動についての情報である振動情報を出力する複数の第2感震センサであって、検知可能な最も小さい振動が当該第1感震センサよりも大きい複数の第2感震センサと、
前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、当該第1感震センサ、当該第2感震センサの各々の設置箇所における揺れの大きさを把握し、当該揺れの大きさが表示された画面を生成する処理手段と、
を備え、
前記処理手段は、
前記第2感震センサ間の各々の離間距離に基づき、離間距離が予め定められた離間距離よりも小さい関係にある2つの当該第2感震センサを特定する処理を行い、離間距離が
当該予め定められた離間距離よりも小さい関係にある
当該2つ
の第2感震センサが存在する場合、
当該2つ
の第2感震センサの各々から出力される前記振動情報に基づき把握した2つの前記揺れの大きさの平均値が前記画面に含まれるようにする、
感震システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感震システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各地域に設置される地震観測装置で計測震度を算出し、防災センタの支援装置本体に送信する処理が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地震の把握には、一般的に、地震計が用いられることが多く、地震があると、地震計により得られた振動情報を基に、各種の処理が行われる。
ここで、地震計については、設置コストが高い、外部電源が必要であるなどの理由により、その設置数と設置場所が限られやすい。この場合、地震に伴い得られる振動情報の数も限られやすくなる。また、互いに隣接する地震計間の距離に、ばらつきが生じやすくなる。
本発明の目的は、地震に関する処理を行うにあたり、より多くの振動情報に基づきこの地震に関する処理を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される感震システムは、地震に起因する振動を検知し、当該振動についての情報である振動情報を出力する第1感震センサと、前記第1感震センサよりも多く設置され、地震に起因する振動を検知し当該振動についての情報である振動情報を出力する複数の第2感震センサであって、振動の検知精度が当該第1感震センサよりも低い複数の第2感震センサと、前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、前記地震に関する処理を行う処理手段と、を備える感震システムである。
ここで、前記第1感震センサは、外部から供給される電力で作動し、前記第2感震センサの各々は、自身が有する電池で作動することを特徴とすることができる。
また、前記第2感震センサは、可搬型の感震センサであることを特徴とすることができる。
また、単位面積当たりの前記第2感震センサの設置数の方が、単位面積当たりの前記第1感震センサの設置数よりも大きいことを特徴とすることができる。
また、前記第2感震センサの配置間隔のばらつきの方が、前記第1感震センサの配置間隔のばらつきよりも小さいことを特徴とすることができる。
また、前記処理手段は、前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、当該第1感震センサ、当該第2感震センサの各々の設置箇所における揺れの大きさを把握し、当該揺れの大きさが表示された画面を生成することを特徴とすることができる。
また、前記処理手段は、前記画面のうちの前記設置箇所に対応する箇所に前記揺れの大きさが表示された当該画面を生成することを特徴とすることができる。
また、前記処理手段は、前記第2感震センサの各々から出力された振動情報に基づき当該振動情報毎に前記揺れの大きさを把握するとともに、把握した複数の当該揺れの大きさの平均値を取得し、当該平均値が前記画面に表示されるようにすることを特徴とすることができる。
また、前記処理手段は、前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、当該第1感震センサ、当該第2感震センサが設置された領域に対する前記地震の影響を把握することを特徴とすることができる。
【0006】
他の観点から捉えると、本発明が適用される感震システムは、地震に起因する振動を検知し、当該振動についての情報である振動情報を出力する第1感震センサと、前記第1感震センサよりも多く設置され、地震に起因する振動を検知し当該振動についての情報である振動情報を出力する複数の第2感震センサであって、個々の消費電力が当該第1感震センサよりも小さい複数の第2感震センサと、前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、前記地震に関する処理を行う処理手段と、を備える感震システムである。
さらに、他の観点から捉えると、本発明が適用される感震システムは、地震に起因する振動を検知し、当該振動についての情報である振動情報を出力する第1感震センサと、前記第1感震センサよりも多く設置され、地震に起因する振動を検知し当該振動についての情報である振動情報を出力する複数の第2感震センサであって、検知可能な最も小さい振動が当該第1感震センサよりも大きい複数の第2感震センサと、前記第1感震センサが出力した振動情報および前記複数の第2感震センサが出力した振動情報に基づき、前記地震に関する処理を行う処理手段と、を備える感震システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地震に関する処理を行うにあたり、より多くの振動情報に基づきこの地震に関する処理を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】サーバ装置のハードウェア構成の一例を説明する図である。
【
図3】サーバ装置の機能構成の例を示した図である。
【
図4】第1感震センサの機能構成の例を示した図である。
【
図5】第2感震センサの機能構成の例を示した図である。
【
図7】感震システムにて実施される処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【
図9】震度情報の平均値を表示した画面の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、感震システム1の構成例を示した図である。
本実施形態の感震システム1は、クラウドネットワーク3に接続された各種の端末や機器で構成されている。
図1では、クラウドネットワーク3に接続される端末、機器の例として、管理者等が操作する端末装置20、振動情報を受信するサーバ装置30、第1感震センサ40、第2感震センサ50が設けられている。
【0010】
第1感震センサ40は、複数設けられ、また、互いに異なる箇所に設置されている。さらに、第1感震センサ40の各々は、外部から供給される電力で作動する(外部電源で作動する)。
第1感震センサ40の各々は、地震に起因する振動を検知し、この振動についての情報である振動情報を出力する。付言すると、第1感震センサ40の各々は、自身が設置された地点における振動についての情報である振動情報を出力する。
【0011】
第2感震センサ50も、複数設けられ、また、互いに異なる箇所に設置されている。さらに、第2感震センサ50の各々は、自身が有する電池で作動する。
第2感震センサ50の各々は、地震に起因する振動を検知しこの振動についての情報である振動情報を出力する。付言すると、第2感震センサ50の各々は、自身が設置された地点における振動についての情報である振動情報を出力する。
第1感震センサ40、第2感震センサ50から出力された振動情報は、サーバ装置30へ送信され、サーバ装置30が、この振動情報を受信する。
【0012】
なお、本実施形態では、第2感震センサ50の方が、第1感震センサ40よりも多く設置されている。
また、第2感震センサ50の配置間隔の方が、第1感震センサ40の配置間隔よりも小さく、かつ、第2感震センサ50の配置間隔のばらつきの方が、第1感震センサ40の配置間隔のばらつきよりも小さくなっている。より具体的には、本実施形態では、互いに隣接する第2感震センサ50の配置間隔のばらつきの方が、互いに隣接する第1感震センサ40の配置間隔のばらつきよりも小さくなっている。より具体的には、本実施形態では、互いに隣接する第2感震センサ50の配置間隔の平均二乗誤差の方が、互いに隣接する第1感震センサ40の配置間隔の平均二乗誤差よりも小さくなっている。また、本実施形態では、単位面積当たりの第2感震センサ50の設置数の方が、単位面積当たりの第1感震センサ40の設置数よりも大きくなっている。
【0013】
また、本実施形態では、第2感震センサ50の振動の検知精度の方が、第1感震センサ40の振動の検知精度よりも低くなっている。
ここで、「第2感震センサ50の振動の検知精度の方が、第1感震センサ40の振動の検知精度よりも低い」とは、第2感震センサ50により得られる振動情報の誤差の方が、第1感震センサ40により得られる振動情報の誤差よりも大きいことを指す。
【0014】
図2は、サーバ装置30のハードウェア構成の一例を説明する図である。
情報処理装置の一例としてのサーバ装置30は、装置全体の動作を制御する制御ユニット101と、情報を記憶するハードディスクドライブ102と、LAN(=Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現するネットワークインターフェース103とを有している。
【0015】
制御ユニット101は、CPU(=Central Processing Unit)111と、基本ソフトウェアやBIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)112と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)113とを有している。CPU111はマルチコアでもよい。また、ROM112は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。制御ユニット101は、いわゆるコンピュータである。
【0016】
ハードディスクドライブ102は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体にデータを読み書きする装置である。もっとも、不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリや磁気テープでもよい。
この他、サーバ装置30は、必要に応じ、キーボード、マウス等の入力デバイス、液晶ディスプレイ等の表示デバイスも備える。
制御ユニット101と、ハードディスクドライブ102と、ネットワークインターフェース103は、バス104や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0017】
図3は、サーバ装置30の機能構成の例を示した図である。
サーバ装置30には、地震情報取得部31、振動情報取得部32、処理部33、および、情報格納部34が設けられている。
地震情報取得部31、振動情報取得部32、および、処理部33は、例えば、制御ユニット101(
図2参照)によるプログラムの実行により実現される。また、情報格納部34は、例えば、ハードディスクドライブ102により実現される。
【0018】
地震情報取得部31は、地震の発生の有無等を発信する外部サーバにアクセスして、地震の有無についての情報を取得し、地震があったか否かの判断を行う。
振動情報取得部32は、第1感震センサ40、第2感震センサ50から出力された振動情報を取得する。
処理手段の一例としての処理部33は、第1感震センサ40が出力した振動情報および第2感震センサ50が出力した振動情報に基づき、地震に関する処理を行う。
情報格納部34は、地震に関する各種の情報を記憶する。
【0019】
図4は、第1感震センサ40の機能構成の例を示した図である。
本実施形態の第1感震センサ40は、振動検知部41、位置情報取得部42、処理部43、電源部44、送受信部45、および、情報格納部46を備える。
【0020】
振動検知部41は、いわゆる地震計により構成され、第1感震センサ40が設置されている箇所における振動の情報である振動情報を取得し出力する。
より具体的には、振動検知部41には、振動に応じて物理的に揺れ動く可動体(不図示)と、この可動体の位置を検知する検知センサ(不図示)とが設けられており、可動体の位置を検知することで、地震等に起因する振動を検知する。
【0021】
位置情報取得部42は、第1感震センサ40が設置されている箇所の位置情報を取得し出力する。この位置情報取得部42は、例えば、GPSセンサを含んで構成され、GPS衛星からの電波を受信して第1感震センサ40の位置情報を取得する。
なお、位置情報は、例えば、第1感震センサ40の設置時に、作業者が、第1感震センサ40に対して手動で位置情報を登録してもよい。
登録されたこの位置情報は、情報格納部46に格納される。この場合、位置情報取得部42は、この情報格納部46から、第1感震センサ40の位置情報を取得し出力する。
処理部43は、CPU、ROM、RAMにより構成され、ROM等に格納されているプログラムを実行して、予め定められた処理を実行する。
【0022】
電源部44は、第1感震センサ40の各機能部への電力の供給を行う。本実施形態では、この電源部44に対して、外部から電力が供給される構成となっており、第1感震センサ40では、各機能部に対して、外部からの電力が供給される。
付言すると、本実施形態では、第1感震センサ40は、外部から供給される電力で作動するようになっている。
【0023】
送受信部45は、既存の各種の通信インターフェースにより構成され、サーバ装置30への情報の送信や、サーバ装置30からの情報の受信を行う。
なお、本実施形態では、送受信部45は、いわゆる無線通信で、サーバ装置30との情報の送受信を行うが、有線通信で、サーバ装置30との情報の送受信を行ってもよい。
情報格納部46は、メモリカード等の情報記憶装置により構成され、振動に関する各種の情報や、第1感震センサ40の位置情報を記憶する。
【0024】
図5は、第2感震センサ50の機能構成の例を示した図である。
本実施形態の第2感震センサ50は、振動検知部51、位置情報取得部52、処理部53、電源部54、送受信部55、および、情報格納部56を備える。
【0025】
振動検知部51は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)の技術を利用した加速度センサにより構成され、第2感震センサ50が設置されている箇所における振動の情報である振動情報を取得し出力する。第2感震センサ50では、このようにMEMSを利用するため、第2感震センサ50の小型化、軽量化が可能になっている。
付言すると、本実施形態では、第2感震センサ50は、可搬型の感震センサであり、様々な箇所への設置が容易となっている。これに対し、第1感震センサ40は、据え置き型の感震センサとなっており、第2感震センサ50に比べ、設置に手間を要する。
【0026】
位置情報取得部52は、第2感震センサ50が設置されている箇所の位置情報を取得し出力する。この位置情報取得部52は、例えば、GPSセンサを含んで構成され、GPS衛星からの電波を受信して第2感震センサ50の位置情報を取得する。
なお、位置情報は、例えば、第2感震センサ50の設置時に、作業者が、第2感震センサ50に対して手動で位置情報を登録してもよい。
登録されたこの位置情報は、情報格納部56に格納される。この場合、位置情報取得部52は、この情報格納部56から、第2感震センサ50の位置情報を取得し出力する。
処理部53は、CPU、ROM、RAMにより構成され、ROM等に格納されているプログラムを実行して、予め定められた処理を実行する。
【0027】
電源部54は、第2感震センサ50の各機能部への電力の供給を行う。この電源部54は、電池であり、本実施形態の第2感震センサ50の各々は、外部からの電力供給を受けずに、自立して作動するようになっている。
付言すると、本実施形態では、第2感震センサ50の各々は、自身が有する電池で作動するようになっている。
【0028】
送受信部55は、既存の各種の通信インターフェースにより構成され、サーバ装置30への情報の送信や、サーバ装置30からの情報の受信を行う。
なお、本実施形態では、送受信部55は、いわゆる無線通信で、サーバ装置30との情報の送受信を行うが、有線通信で、サーバ装置30との情報の送受信を行ってもよい。
情報格納部56は、メモリカード等の情報記憶装置により構成され、振動に関する各種の情報や、第2感震センサ50の位置情報を記憶する。
【0029】
ここで、本実施形態では、上記のとおり、第2感震センサ50の振動の検知精度の方が、第1感震センサ40の振動の検知精度よりも低くなっている。
また、本実施形態では、複数設けられた第2感震センサ50の個々の消費電力の方が、同じく複数設けられた第1感震センサ40の個々の消費電力よりも小さくなっている。
【0030】
さらに、本願発明では、第2感震センサ50にて検知可能な最も小さい振動が、第1感震センサ40にて検知可能な最も小さい振動よりも大きくなっている。
付言すると、本実施形態では、第1感震センサ40の方が、第2感震センサ50よりも、より小さい振動の検知を行えるようになっている。
【0031】
より具体的には、本実施形態では、第2感震センサ50は、
図6(検知される振動を示した図)にて示す、振幅Aを超える振幅の振動の検知を行えるが、この振幅Aよりも小さい振幅の振動の検知は行えない。
これに対し、第1感震センサ40は、振幅Aよりも小さい振幅の振動の検知を行えるようになっている。
【0032】
図7は、本実施形態の感震システム1にて実施される処理の流れの一例を示したフローチャートである。
本実施形態では、まず、サーバ装置30の地震情報取得部31が、一定時間毎に、地震があったか否かの判断を行う(ステップS101)。
具体的には、地震情報取得部31は、数秒おきなどの予め定められた時間毎に、地震の発生の有無等を発信する外部サーバにアクセスして、地震の有無についての情報を取得し、地震があったか否かの判断を行う。
なお、本実施形態では、外部サーバにアクセスして地震があったか否かの判断を行う場合を一例に説明したが、これに限らず、地震情報取得部31は、例えば、第1感震センサ40や、第2感震センサ50からの出力に基づき、地震があったか否かの判断を行ってもよい。
【0033】
そして、地震情報取得部31が、地震があったと判断した場合、振動情報取得部32が、情報格納部34(
図3参照)から振動情報を読み出して、この振動情報を取得する(ステップS102)。
付言すると、本実施形態では、情報格納部34に、第1感震センサ40、第2感震センサ50から出力された振動情報が格納される構成となっている。振動情報取得部32は、情報格納部34からこの振動情報を読み出して、第1感震センサ40、第2感震センサ50から出力された振動情報を取得する。
【0034】
より具体的には、振動情報取得部32は、情報格納部34に格納されている振動情報であって、地震があったと地震情報取得部31が判断したときを基準として予め定められた期間だけ遡ったとき以降に情報格納部34に格納された振動情報を取得する。
付言すると、振動情報取得部32は、地震が発生した際に第1感震センサ40、第2感震センサ50が出力した振動情報を、情報格納部34から読み出して取得する。
【0035】
次いで、本実施形態では、処理部33が、第1感震センサ40が出力した振動情報、第2感震センサ50が出力した振動情報に基づき(情報格納部34から読み出した振動情報に基づき)、上記の地震に関する処理を行う(ステップS103)。
具体的には、本実施形態の処理部33は、第1感震センサ40が出力した振動情報、第2感震センサ50が出力した振動情報に基づき、各地の揺れの大きさが表示された画面を生成する。
【0036】
より具体的には、処理部33は、第1感震センサ40、第2感震センサ50の各々の設置箇所における揺れの大きさが表示された画面を生成する。
より具体的には、処理部33は、画面の生成にあたっては、まず、第1感震センサ40が出力した振動情報および第2感震センサ50が出力した振動情報に基づき、第1感震センサ40、第2感震センサ50の各々の設置箇所における揺れの大きさを把握する。
【0037】
より具体的には、処理部33は、予め定められた計算式等を用い、第1感震センサ40、第2感震センサ50により得られた振動情報から、震度などの揺れの大きさを把握する。
そして、処理部33は、
図8(処理部33が生成する画面を示した図)に示すように、この揺れの大きさが表示された画面を生成する。
【0038】
ここで、
図8にて示す画面では、第1感震センサ40、第2感震センサ50の設置箇所の各々に対応する箇所に、揺れの大きさが表示されている。
より具体的には、本実施形態では、揺れの大きさとして、震度情報が表示されている。付言すると、本実施形態では、第1感震センサ40、第2感震センサ50の設置箇所の各々に対応する箇所に、震度情報が表示されている。
なお、本実施形態では、震度情報を、小数点以下第一位まで表示している。
【0039】
図8に示す例では、符号8Aで示す箇所が、第1感震センサ40の設置箇所となっている。本実施形態では、この設置箇所の各々に、第1感震センサ40が得た振動情報に基づき得られた震度情報が表示されている。
また、
図8に示す例では、それ以外の箇所が、第2感震センサ50の設置箇所となっている。本実施形態では、この設置箇所の各々に、第2感震センサ50が得た振動情報に基づき得られた震度情報が表示されている。
【0040】
ここで、第2感震センサ50を設置せず、第1感震センサ40のみを設置する場合、感震センサの設置数が限られやすくなる。また、感震センサの設置場所が限られやすくなる。
より具体的には、第1感震センサ40は、いわゆる地震計であり、設置コストが高く、また、外部電源が必要であり、設置数が限られやすい。また、設置場所の間隔が均等になりにくい(互いに隣接する設置場所の間隔がばらつきやすい)。この場合、
図8にて示した画面を生成しようとしても、表示される震度情報の数が少なくなりやすい。また、表示される振動情報の表示場所に偏りが生じやすい。
【0041】
これに対し、本実施形態の第2感震センサ50は、安価、小型、低消費電力であり、第1感震センサ40に比べ、数多く設置できる。また、第1感震センサ40に比べ、設置場所の制約を受け難い。そして、この場合、第2感震センサ50は、設置間隔のばらつきが小さい状態で設置できるようになる。
そして、この場合、
図8に示すように、震度情報の表示件数が多く、且つ、震度情報の表示間隔のばらつきが小さい画面を生成できるようになり、より細かい領域毎に、震度の把握を行えるようになる。
【0042】
なお、処理部33は、震度情報が表示された画面を生成するにあたり、把握した複数の震度情報(揺れの大きさ)の平均値を取得し、この平均値が画面に表示されるようにしてもよい。
付言すると、本実施形態では、処理部33は、第2感震センサ50の各々から出力された振動情報に基づき、振動情報毎に震度情報を生成して、この震度情報を複数把握するが、この際、処理部33は、把握した複数のこの震度情報の平均値をさらに取得するようにし、この平均値を画面に表示するようにしてもよい。
【0043】
図9は、震度情報の平均値を表示した画面の一例を示している。
この
図9では、離間距離が予め定められた離間距離よりも小さい関係にある2つの第2感震センサ50から出力された振動情報に基づき得られた2つの震度情報から、この2つの震度情報の平均値を取得し、この平均値を表示した場合を例示している。なお、ここでは、「離間距離」とは、水平方向における離間距離のことを指す。
より具体的には、本実施形態では、
図8の符号8Bで示すように、互いに接近して配置された2つの第2感震センサ50が存在するが、この2つの第2感震センサ50の各々が得た振動情報に基づき得られた2つの震度情報(「4.2」,「4.0」)の平均値を取得し、
図9では、符号9Aで示すように、この平均値(「4.1」)を表示している。
【0044】
本実施形態では、上記の通り、第2感震センサ50の検知精度が第1感震センサ40の検知精度よりも低く、1つの第2感震センサ50毎に、震度情報を表示する形態では、本来の震度情報から大きく外れた震度情報が表示されるおそれがある。
本実施形態のように震度情報の平均値を表示する場合は、1つの第2感震センサ50毎に震度情報を表示する場合に比べ、本来の震度情報から大きく外れた震度情報が表示されることが起きにくくなる。
【0045】
なお、この例では、2つの震度情報の平均値が表示される場合を説明したが、表示形態はこれに限られない。
例えば、3つの震度情報や4つの震度情報に基づき、平均値を取得し、この平均値が表示されるようにしてもよいし、5つを超えるより多くの震度情報に基づき、平均値を取得し、この平均値が表示されるようにしてもよい。
また、例えば、予め定められた一定の領域毎に、各領域に含まれる第2感震センサ50により得られた震度情報の平均値を取得するようにし、領域毎に、震度情報の平均値を表示するようにしてもよい。
【0046】
なお、処理部33が生成した上記の画面は、例えば、端末装置20(
図1参照)に送信され、端末装置20に設けられたディスプレイ(表示装置)に表示される。
また、その他に、処理部33が生成した上記の画面は、例えば、ユーザの求めに応じ、このユーザが有するPC(Personal Computer)に送信するようにし、このPCのディスプレイ(表示装置)に表示されるようにしてもよい。
【0047】
また、処理部33は、上記の画面の生成処理の他に、例えば、第1感震センサ40、第2感震センサ50が設置された領域に対する地震の影響を把握するようにしてもよい。
より具体的には、処理部33は、第1感震センサ40が出力した振動情報および第2感震センサ50が出力した振動情報に基づき、
図1の符号1Aで示す領域に対する地震の影響を把握するようにしてもよい。
【0048】
より具体的には、処理部33は、この場合、まず、第1感震センサ40、第2感震センサ50が設置された領域1Aの地盤についての情報を、情報格納部34(
図3参照)や外部サーバ(不図示)等から取得する。
そして、処理部33は、この地盤についての情報と、第1感震センサ40が出力した振動情報および第2感震センサ50が出力した振動情報とに基づき、この領域1Aに対する地震の影響を把握する。
【0049】
より具体的には、例えば、処理部33は、領域1Aの地盤が軟地盤であるかあるいは硬地盤であるかの情報を取得する。
そして、処理部33は、この軟地盤であるかあるいは硬地盤であるかの情報と、第1感震センサ40、第2感震センサ50により得られた振動情報とに基づき、領域1Aに対する地震の影響を把握する。
より具体的には、処理部33は、例えば、領域1Aの地盤が軟地盤である場合には、地震の影響が大であり建物の倒壊のおそれがあることを示す情報を出力する。また、処理部33は、例えば、領域1Aの地盤が硬地盤である場合には、地震の影響は小であり、建物の倒壊のおそれが無いことを示す情報を出力する。
【0050】
また、処理部33は、第1感震センサ40が出力した振動情報および第2感震センサ50が出力した振動情報に基づき、他の処理を行ってもよい。
例えば、処理部33は、第1感震センサ40、第2感震センサ50が出力した振動情報に基づき、領域1Aにおける地盤の変位を推定し、この地盤の変位の情報を出力してもよい。
【0051】
また、その他に、処理部33は、例えば、
図8にて示した画面を生成するにあたり、実際に得られた震度情報に基づき、補間処理を行い、2つの第2感震センサ50間に位置する中間地点おける震度や、第1感震センサ40と第2感震センサ50との間に位置する中間地点における震度を把握するようにし、把握したこの震度についても画面に表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…感震システム、33…処理部、40…第1感震センサ、50…第2感震センサ