(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】双方向DC/DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
(21)【出願番号】P 2019181562
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅史
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/004825(WO,A1)
【文献】特開2018-133964(JP,A)
【文献】特開2018-061336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入出力端および第2入出力端と、
1次巻線および2次巻線を有する絶縁トランスと、
一方側が前記第1入出力端に接続され、他方側が前記絶縁トランスの前記1次巻線に接続される第1フルブリッジ回路と、
一方側が前記絶縁トランスの前記2次巻線が接続され、他方側が前記第2入出力端に接続される第2フルブリッジ回路と、
前記第1フルブリッジ回路と前記絶縁トランスとの間の第1インダクタおよび前記絶縁トランスと前記第2フルブリッジ回路との間の第2インダクタからなるインダクタと、
前記第1フルブリッジ回路および前記第2フルブリッジ回路を制御する制御部と、
を備え、前記第1フルブリッジ回路から前記第2フルブリッジ回路への順方向電力伝送と前記第2フルブリッジ回路から前記第1フルブリッジ回路への逆方向電力伝送とを行う双方向DC/DCコンバータであって、
前記順方向電力伝送時に、
前記第1入出力端の第1電圧によって前記インダクタに流れるインダクタ電流を増加させる第1モードと、
前記第1電圧と前記第1入出力端からみた前記第2入出力端の第2電圧との電圧差によって前記第2入出力端から充電電流を出力する第2モードと、
前記充電電流の出力を継続させて前記第2電圧によって前記インダクタ電流を減少させる第3モードと、を有し、
前記第1フルブリッジ回路および前記第2フルブリッジ回路は、いずれも4つのスイッチ手段で構成され、前記スイッチ手段は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとを含み、
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、
前記第1フルブリッジ回路の一方のレグの前記スイッチング素子および前記第2フルブリッジ回路の前記スイッチング素子をターンオンさせて、前記第1入出力端を前記第2フルブリッジ回路で短絡させ、
前記第2モードにおいて、前記第2フルブリッジ回路の前記スイッチング素子をオフさせて、前記第2フルブリッジ回路をダイオードブリッジとして動作させ、
前記第3モードにおいて、前記第2入出力端を前記第1フルブリッジ回路で短絡させ
、
前記第1モードの期間は、前記第2フルブリッジ回路の前記スイッチング素子のターンオンからターンオフまでの第1期間であり、
前記第3モードの期間は、前記第1フルブリッジ回路の他方のレグの前記スイッチング素子のターンオンから前記第1フルブリッジ回路の前記一方のレグの前記スイッチング素子のターンオフまでの第2期間であり、
前記第2モードの期間は、前記第1フルブリッジ回路の前記一方のレグの前記スイッチング素子のオン期間から前記第1期間、前記第2期間および部分共振による電荷の転流が生じる期間を除いた期間である
ことを特徴とする双方向DC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記逆方向電力伝送時に、
前記第2電圧によって前記インダクタ電流を増加させる第4モードと、
前記第2入出力端からみた前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差によって前記第1入出力端から充電電流を出力する第5モードと、
前記充電電流の出力を継続させて前記第1電圧によって前記インダクタ電流を減少させる第6モードと、を有し、
前記制御部は、
前記第4モードにおいて、
前記第2フルブリッジ回路の一方のレグの前記スイッチング素子および前記第1フルブリッジ回路の前記スイッチング素子をターンオンさせて、前記第2入出力端を前記第1フルブリッジ回路で短絡させ、
前記第5モードにおいて、前記第1フルブリッジ回路の前記スイッチング素子をオフさせて、前記第1フルブリッジ回路をダイオードブリッジとして動作させ、
前記第6モードにおいて、前記第1入出力端を前記第2フルブリッジ回路で短絡させ
、
前記第4モードの期間は、前記第1フルブリッジ回路の前記スイッチング素子のターンオンからターンオフまでの第3期間であり、
前記第6モードの期間は、前記第2フルブリッジ回路の他方のレグの前記スイッチング素子のターンオンから前記第2フルブリッジ回路の前記一方のレグの前記スイッチング素子のターンオフまでの第4期間であり、
前記第5モードの期間は、前記第2フルブリッジ回路の前記一方のレグの前記スイッチング素子のオン期間から前記第3期間、前記第4期間および部分共振による電荷の転流が生じる期間を除いた期間である
ことを特徴とする請求項1に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、絶縁トランスの1次側および2次側の双方にフルブリッジ回路を備えたDAB(Dual Active Bridge)方式の双方向DC/DCコンバータが知られている。DAB方式の双方向DC/DCコンバータは、回路トポロジが左右対象であるため双方向に電力を制御することができ、双方向でソフトスイッチングを行うことができる。また、DAB方式の双方向DC/DCコンバータは、上記のとおり双方にフルブリッジ回路を備えるため大電力化が可能であり、入出力の電圧差の自由度が高く、絶縁トランス(特に、高周波絶縁トランス)の漏れ磁束が問題にならない等の利点がある。
【0003】
一方で、DAB方式の双方向DC/DCコンバータは、動作モードのサイクル中に電力の逆流が発生するモードが存在するため、電力伝送効率が低下するという問題がある。さらに、DAB方式の双方向DC/DCコンバータは、軽負荷時にソフトスイッチングできない領域が存在し、入出力電圧の状態によっては逆向きのインダクタ電流により貫通電流が発生するという問題がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
図7に、従来のDAB方式の双方向DC/DCコンバータ200を示す(但し、駆動回路を含む制御部は省略)。双方向DC/DCコンバータ200は、絶縁トランスTR1の1次側に第1インダクタL1を介して第1フルブリッジ回路201を備え、絶縁トランスTR1の2次側に第2インダクタL2を介して第2フルブリッジ回路202を備える。第1フルブリッジ回路201には第1電源E1が接続され、第2フルブリッジ回路202には第2電源E2が接続される。
【0005】
第1フルブリッジ回路201および第2フルブリッジ回路202を構成する各スイッチ手段SW1~SW8は、スイッチング素子Q1~Q8と、スイッチング素子Q1~Q8に逆並列接続されたダイオードD1~D8とを含む。
【0006】
図8に、双方向DC/DCコンバータ200の順方向電力伝送時の各モード(Mode1-1~Mode4)におけるインダクタ電流iLの波形およびスイッチング素子Q1~Q8のタイミングチャートを示す。なお、
図8では、説明を簡単にするために、スイッチング素子Q1とQ2、スイッチング素子Q4とQ3、スイッチング素子Q6とQ5、スイッチング素子Q7とQ8の双方がオフとなる期間(デッドタイム)は表示していない。
【0007】
図9に、双方向DC/DCコンバータ200の1次側からみた等価回路を用いて、順方向電力伝送時に正方向のインダクタ電流iLが流れる場合の(A)Mode1-2における電流経路、(B)Mode2における電流経路、(C)Mode3-1における電流経路を示す。なお、制御部を除く双方向DC/DCコンバータ200の構成は
図1と共通し、絶縁トランスTR1の変圧比をn1/n2とすると、L=L1+(n1/n2)
2×L2であり、V2’=V2×(n1/n2)である。
【0008】
図9(A)に示すMode1-2では、スイッチング素子Q1、Q4、Q6、Q7がオンしているので、第1電源E1と第2電源E2とが直列接続となり、第1電源E1と第2電源E2は共に放電状態になる。第1電源E1の電圧V1と第2電源E2の電圧V2’がインダクタLに印加され、インダクタ電流iLは増加する。
【0009】
図9(B)に示すMode2では、スイッチング素子Q6、Q7がターンオフして、スイッチング素子Q5、Q8がターンオンするので、スイッチング素子Q6、Q7を流れる電流はスイッチング素子Q5、Q8に流れる。第1電源E1は放電状態のまま、第2電源E2が充電状態になる。第1電源E1の電圧V1と第2電源E2の電圧V2’の差の電圧によるインダクタ電流iLは増加または減少する。
【0010】
図9(C)に示すMode3-1では、スイッチング素子Q1、Q4がターンオフする。インダクタ電流iLはMode2のときと同じ方向に流れるので、ダイオードD2、D3が導通する。第1電源E1と第2電源E2は、共に充電状態になる。第1電源E1の電圧V1と第2電源E2の電圧V2’がインダクタLに逆方向に印加され、インダクタ電流iLは減少する。インダクタ電流iLが負方向の場合(Mode3-2~Mode1-1)も同様である。
【0011】
上記のように双方向DC/DCコンバータ200では、第1電源E1と第2電源E2とが共に放電状態になるモード(Mode1-2、Mode3-2)が存在する。順方向電力伝送時は第1電源E1から第2電源E2への電力伝送(第2電源E2の充電)を目的とするため、Mode1-2およびMode3-2は電力の逆流が発生するモードに相当し、第2電源E2の放電分だけ電力伝送効率が低下する。なお、逆方向電力伝送時も、同様に電力の逆流が発生するモードが存在し、電力伝送効率が低下する。
【0012】
このように電力の逆流が発生するモードが存在することから、双方向DC/DCコンバータ200では、充放電可能な両電源(第1電源E1および第2電源E2)が必要になる。そのため、第2フルブリッジ回路202に第2電源E2を接続する代わりに抵抗負荷を接続する場合は、第2フルブリッジ回路202と抵抗負荷との間にコンデンサを設け、Mode1-2およびMode3-2において当該コンデンサを放電させることで対応する必要がある。さらに、起動時はコンデンサの電圧が0[V]であるため、特殊な対応が必要になる。
【0013】
また、双方向DC/DCコンバータ200では、ソフトスイッチングの成立条件として、Mode1-2の終了時にインダクタ電流iLが正で、Mode2への移行時(過渡時)にスイッチ手段SW5~SW8のコンデンサ(寄生容量および/または外付けのコンデンサ)が充放電可能となる必要があり、またMode2の終了時にインダクタ電流iLが正で、Mode3-1への移行時(過渡時)にスイッチ手段SW1~SW4のコンデンサ(寄生容量および/または外付けのコンデンサ)が充放電可能となる必要がある。
【0014】
位相角をθとし(
図8参照)、昇圧比をk(=V2’/V1)とすると、ソフトスイッチングの成立条件は、
θ>(π/2)(1-k)
θ>(π/2)(1-1/k)
となる。このことから、昇圧比kが1以外では、ソフトスイッチングが不成立となる領域が存在することが分かる。具体的には、軽負荷時にソフトスイッチングできない領域が存在する。なお、逆方向電力伝送時も、同様に軽負荷時にソフトスイッチングできない領域が存在する。
【0015】
続いて、入出力電圧の状態によって貫通電流が発生する問題について説明する。
図10(A)に示すように、Mode2の終了時において、1次側の電圧V1に対し2次側の電圧V2’が大きい場合、インダクタ電流iLが負になり、ダイオードD1、D4に順方向電流が流れる。
【0016】
ダイオードD1、D4が導通した状態でMode3-1へ移行し、スイッチング素子Q2、Q3がターンオンすると、ダイオードD1、D4の逆接続時間(逆回復時間)に、
図10(B)に示す電流経路で貫通電流が流れる。貫通電流が流れると、第1電源E1が、ダイオードD1およびスイッチング素子Q2の経路とスイッチング素子Q3およびダイオードD4の経路とで短絡されるため、過大な短絡電流が瞬時に流れる。その場合、スイッチ手段SW1~SW4が破損あるいは焼損するという重大な問題が生じるおそれがある。
【0017】
以上のとおり、DAB方式の双方向DC/DCコンバータ200は、動作モードのサイクル中に電力の逆流が発生するモード(Mode1-2、Mode3-2)が存在するため、電力伝送効率が低下するという問題がある。さらに、DAB方式の双方向DC/DCコンバータ200は、軽負荷時にソフトスイッチングできない領域が存在し、入出力電圧の状態によっては逆向きのインダクタ電流iLにより貫通電流が発生するという問題がある。なお、これら2つの問題に対して、対策も提案されているが(例えば、非特許文献2参照)、制御対象が増えるため、最適値の発見手法が複雑になり、簡単に求めることは困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【文献】平地克也、“平地研究室技術メモNo.20150214 DAB方式の重要な公式の導出”、[online]、2015年2月14日、舞鶴高専、[令和1年8月29日検索]、インターネット<URL:http://hirachi.cocolog-nifty.com/kh/files/20150214-1.pdf>
【文献】平地克也、“平地研究室技術メモNo.20181112A DABコンバータの2つの短所とその対策”、2015年1月6日、舞鶴高専、[令和1年9月10日検索]、インターネット<URL:http://hirachi.cocolog-nifty.com/kh/files/20181112-1A.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、複雑な制御をすることなく、電力が逆流するモードの発生、ソフトスイッチングができない領域の発生、および貫通電流の発生を防止することが可能な双方向DC/DCコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明に係る双方向DC/DCコンバータは、
第1入出力端および第2入出力端と、
1次巻線および2次巻線を有する絶縁トランスと、
一方側が前記第1入出力端に接続され、他方側が前記絶縁トランスの前記1次巻線に接続される第1フルブリッジ回路と、
一方側が前記絶縁トランスの前記2次巻線が接続され、他方側が前記第2入出力端に接続される第2フルブリッジ回路と、
前記第1フルブリッジ回路と前記絶縁トランスとの間の第1インダクタおよび前記絶縁トランスと前記第2フルブリッジ回路との間の第2インダクタからなるインダクタと、
前記第1フルブリッジ回路および前記第2フルブリッジ回路を制御する制御部と、
を備え、前記第1フルブリッジ回路から前記第2フルブリッジ回路への順方向電力伝送と前記第2フルブリッジ回路から前記第1フルブリッジ回路への逆方向電力伝送とを行う双方向DC/DCコンバータであって、
前記順方向電力伝送時に、
前記第1入出力端の第1電圧によって前記インダクタに流れるインダクタ電流を増加させる第1モードと、
前記第1電圧と前記第1入出力端からみた前記第2入出力端の第2電圧との電圧差によって前記第2入出力端から充電電流を出力する第2モードと、
前記充電電流の出力を継続させて前記第2電圧によって前記インダクタ電流を減少させる第3モードと、を有し、
前記第1フルブリッジ回路および前記第2フルブリッジ回路は、いずれも4つのスイッチ手段で構成され、前記スイッチ手段は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードとを含み、
前記制御部は、
前記第1モードにおいて、前記第1入出力端を前記第2フルブリッジ回路で短絡させ、
前記第2モードにおいて、前記第2フルブリッジ回路の前記スイッチング素子をオフさせて、前記第2フルブリッジ回路をダイオードブリッジとして動作させ、
前記第3モードにおいて、前記第2入出力端を前記第1フルブリッジ回路で短絡させることを特徴とする。
【0021】
この構成では、インダクタ電流を増加させる第1モードにおいて第1入出力端を第2フルブリッジ回路で短絡させるため、2次側で放電は生じない。すなわち、この構成によれば、動作モードのサイクル中に電力の逆流が発生するモードは存在せず、順方向電力伝送時において電流は1次側から2次側にのみ流れる。したがって、電力の逆流により電力伝送効率が低下するという問題は生じない。
【0022】
この構成では、上記のとおり電力の逆流が発生するモードは存在しないので、必ずしも充放電可能な両電源(第1入出力端に接続する第1電源および第2入出力端に接続する第2電源)を必要としない。例えば、第2フルブリッジ回路に第2電源を接続する代わりに抵抗負荷を接続することができ、しかも、起動時に特殊な対応(処理)を必要としない。
【0023】
この構成では、入出力端間の電圧差によって第2入出力端から充電電流を出力する第2モードの開始時に、常にインダクタ電流が正になるので、常にソフトスイッチングが成立する。すなわち、この構成によれば、軽負荷時および2次側が抵抗負荷での起動時であっても、ソフトスイッチングが可能になる。
【0024】
この構成では、第1電圧に対し第1入出力端からみた第2電圧が大きくなり、第2モード時にインダクタ電流がゼロになっても、第2モードでは第2フルブリッジ回路をダイオードブリッジとして動作させているので、インダクタ電流が負になることはない。すなわち、この構成によれば、逆向きのインダクタ電流による貫通電流は発生しない。
【0025】
上記双方向DC/DCコンバータは、
前記逆方向電力伝送時に、
前記第2電圧によって前記インダクタ電流を増加させる第4モードと、
前記第2入出力端からみた前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差によって前記第1入出力端から充電電流を出力する第5モードと、
前記充電電流の出力を継続させて前記第1電圧によって前記インダクタ電流を減少させる第6モードと、を有し、
前記制御部は、
前記第4モードにおいて、前記第2入出力端を前記第1フルブリッジ回路で短絡させ、
前記第5モードにおいて、前記第1フルブリッジ回路の前記スイッチング素子をオフさせて、前記第1フルブリッジ回路をダイオードブリッジとして動作させ、
前記第6モードにおいて、前記第1入出力端を前記第2フルブリッジ回路で短絡させることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、DAB方式の利点を生かしつつ、複雑な制御をすることなく、電力が逆流するモードの発生、ソフトスイッチングができない領域の発生、および貫通電流の発生を防止することが可能な双方向DC/DCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る双方向DC/DCコンバータを示す図である。
【
図2】本発明に係る双方向DC/DCコンバータの等価回路を示す図である。
【
図3】本発明に係る双方向DC/DCコンバータのインダクタ電流および各スイッチング素子の状態を示す図である。
【
図4】本発明に係る双方向DC/DCコンバータの各モード(Mode1-2-2~2-2)における電流経路を示す図である。
【
図5】本発明に係る双方向DC/DCコンバータの各モード(Mode3-1-1~3-2-1)における電流経路を示す図である。
【
図6】本発明に係る双方向DC/DCコンバータにおいて、第1入出力端からみた第2電圧が第1電圧よりも大きい場合におけるインダクタ電流を示す図である。
【
図7】従来の双方向DC/DCコンバータを示す図である。
【
図8】従来の双方向DC/DCコンバータのインダクタ電流および各スイッチング素子の状態を示す図である。
【
図9】従来の双方向DC/DCコンバータの各モード(Mode1-2~3-1)における電流経路を示す図である。
【
図10】従来の双方向DC/DCコンバータにおける貫通電流の発生を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る双方向DC/DCコンバータの実施形態について説明する。
【0029】
図1に、本発明の一実施形態に係る双方向DC/DCコンバータ100を示す。双方向DC/DCコンバータ100は、絶縁トランスTR1と、絶縁トランスTR1の1次側に設けられた第1インダクタL1、第1フルブリッジ回路101、第1平滑コンデンサC9および第1入出力端T1と、絶縁トランスTR1の2次側に設けられた第2インダクタL2、第2フルブリッジ回路102、第2平滑コンデンサC10および第2入出力端T2と、制御部103とを備える。
【0030】
絶縁トランスTR1は、1次巻線および2次巻線を有する。1次巻線と2次巻線は同極性であり、1次巻線と2次巻線の巻数比は、n1:n2である。絶縁トランスTR1は、例えば、高周波絶縁トランスである。
【0031】
第1インダクタL1は、絶縁トランスTR1の1次巻線と第1フルブリッジ回路101との間に配置される。第1インダクタL1は、絶縁トランスTR1の漏れインダクタおよび/または外付けのインダクタである。
【0032】
第1フルブリッジ回路101は、4つのスイッチ手段SW1~SW4で構成される。各スイッチ手段SW1~SW4は、スイッチング素子Q1~Q4と、スイッチング素子Q1~Q4に逆並列接続されたダイオードD1~D4とを含む。また、各スイッチ手段SW1~SW4は、スイッチング素子Q1~Q4に並列接続された不図示のコンデンサC1~C4を含む。
【0033】
スイッチング素子Q1~Q4は、電力用半導体スイッチング素子である。スイッチング素子Q1~Q4として、例えば、バイポーラトランジスタ、MOSFET(金属酸化膜半導体型電界効果トランジスタ)またはIGBT(絶縁ゲートトランジスタ)等のパワートランジスタが使用される。ダイオードD1~D4は、スイッチング素子Q1~Q4の寄生ダイオードおよび/または外付けのダイオードである。不図示のコンデンサC1~C4は、スイッチング素子Q1~Q4の寄生容量および/または外付けのコンデンサである。
【0034】
第1フルブリッジ回路101では、スイッチング素子Q1、Q2が直列接続され、スイッチング素子Q3、Q4が直列接続されている。スイッチング素子Q1、Q2の接続点は、第1インダクタL1を介して絶縁トランスTR1の1次巻線の一端に接続され、スイッチング素子Q3、Q4の接続点は、1次巻線の他端に接続される。スイッチング素子Q1、Q3の各々の両電流路端のうち、スイッチング素子Q2、Q4との接続点と反対側の電流路端が互いに接続され、スイッチング素子Q2、Q4の各々の両電流路端のうち、スイッチング素子Q1、Q3との接続点と反対側の電流路端が互いに接続されている。
【0035】
スイッチング素子Q1、Q3の接続点およびスイッチング素子Q2、Q4の接続点は、第1平滑コンデンサC9を介して第1入出力端T1に接続される。第1平滑コンデンサC9の一端(+側)は第1入出力端T1の高電位側に接続され、第1平滑コンデンサC9の他端(-側)は第1入出力端T1の低電位側に接続される。第1入出力端T1には、第1電源E1が接続される。なお、第1入出力端T1間の電圧を第1電圧V1とし、第1入出力端T1への入力電流を第1電流I1とする。
【0036】
第2インダクタL2は、絶縁トランスTR1の2次巻線と第2フルブリッジ回路102との間に配置される。第2インダクタL2は、絶縁トランスTR1の漏れインダクタおよび/または外付けのインダクタである。
【0037】
第2フルブリッジ回路102は、4つのスイッチ手段SW5~SW8で構成される。各スイッチ手段SW5~SW8は、スイッチング素子Q5~Q8と、スイッチング素子Q5~Q8に逆並列接続されたダイオードD5~D8とを含む。また、各スイッチ手段SW5~SW8は、スイッチング素子Q5~Q8に並列接続された不図示のコンデンサC5~C8を含む。
【0038】
スイッチング素子Q5~Q8は、スイッチング素子Q1~Q4と同様に、電力用半導体スイッチング素子である。ダイオードD5~D8は、スイッチング素子Q5~Q8の寄生ダイオードおよび/または外付けのダイオードである。不図示のコンデンサC5~C8は、スイッチング素子Q5~Q8の寄生容量および/または外付けのコンデンサである。
【0039】
第2フルブリッジ回路102では、スイッチング素子Q5、Q6が直列接続され、スイッチング素子Q7、Q8が直列接続されている。スイッチング素子Q5、Q6の接続点は、第2インダクタL2を介して絶縁トランスTR1の2次巻線の一端に接続され、スイッチング素子Q7、Q8の接続点は、2次巻線の他端に接続される。スイッチング素子Q5、Q7の各々の両電流路端のうち、スイッチング素子Q6、Q8との接続点と反対側の電流路端が互いに接続され、スイッチング素子Q6、Q8の各々の両電流路端のうち、スイッチング素子Q5、Q7との接続点と反対側の電流路端が互いに接続されている。
【0040】
スイッチング素子Q5、Q7の接続点およびスイッチング素子Q6、Q8の接続点は、第2平滑コンデンサC10を介して第2入出力端T2に接続される。第2平滑コンデンサC10の一端(+側)は第2入出力端T2の高電位側に接続され、第2平滑コンデンサC10の他端(-側)は第2入出力端T2の低電位側に接続される。第2入出力端T2には、第2電源E2が接続される。なお、第2入出力端T2間の電圧を第2電圧V2とし、第2入出力端T2からの出力電流を第2電流I2とする。
【0041】
制御部103は、制御回路とスイッチング素子Q1~Q8の駆動回路とを含む。制御回路は、例えば、マイコンまたはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の制御ICによって構成され、スイッチング素子Q1~Q8の制御指令信号(例えば、PWM信号)を生成する。駆動回路は、制御回路で生成された制御指令信号に基づいて、スイッチング素子Q1~Q8をオン/オフさせる。
【0042】
本実施形態にかかる双方向DC/DCコンバータ100は、制御部103の制御下で、第1フルブリッジ回路101から第2フルブリッジ回路102への順方向電力伝送と、第2フルブリッジ回路102から第1フルブリッジ回路101への逆方向電力伝送とを行う。上記のように、本実施形態の双方向DC/DCコンバータ100は、DAB方式の双方向DC/DCコンバータ200と同様の回路トポロジを有する。
【0043】
なお、本実施形態では、第1電源E1および第2電源E2はバッテリーで表しているが、交流電源に接続された双方向AC/DCコンバータ等の充放電可能な電源を用いてもよく、また、順方向電力伝送のみ行う場合は、第2電源E2の代わりに抵抗負荷を用いることができ、逆方向電力伝送のみ行う場合は、第1電源E1の代わりに抵抗負荷を用いることができる。
【0044】
図2に、双方向DC/DCコンバータ100の1次側(第1電源側、すなわち第1入出力端T1側)から見た等価回路図を示す。同図において、インダクタL、1次側から見た第2電圧V2’および1次側から見た第2電流I2’は次式の値となる。
【数1】
【数2】
【数3】
【0045】
図3に、双方向DC/DCコンバータ100の順方向電力伝送時の各モード(Mode1-2-2~Mode1-2-1)におけるインダクタ電流iLの波形およびスイッチング素子Q1~Q8のタイミングチャートを示す。
【0046】
同図において、インダクタ電流iLは、
図2の等価回路のインダクタLを流れる電流であり、1次側から2次側への方向を正方向とする。なお、図および説明を簡単にするためMode2-1、Mode2-2、Mode4-1およびMode4-2では、第1電圧V1と第2電圧V2’とが等しいものとしたが、これに限定するものではない。例えば、第1電圧V1と第2電圧V2’の関係がV1>V2’の場合は、Mode2-2およびMode4-2のインダクタ電流iLは増加する波形となり、V1<V2’の場合は減少する波形となる。
【0047】
双方向DC/DCコンバータ100は、動作モードとして、Mode1-2-2、Mode2-1、Mode2-2、Mode3-1-1、Mode3-1-2、Mode3-2-1、Mode3-2-2、Mode4-1、Mode4-2、Mode1-1-1、Mode1-1-2、およびMode1-2-1を有する。
【0048】
図4および
図5に、双方向DC/DCコンバータ100の等価回路を用いて、順方向電力伝送時に正方向のインダクタ電流iLが流れる場合の各モード(Mode1-2-2~Mode3-2-1)における電流経路を示す。
【0049】
図4(A)に示すMode1-2-2では、スイッチング素子Q4がオンしており、スイッチング素子Q1、Q7がターンオンする。第1入出力端T1すなわち第1電源E1は、インダクタLを経由して2次側の第2フルブリッジ回路102で短絡される。これにより、第1電源E1は放電状態となり、第1電源E1の第1電圧V1によって正方向のインダクタ電流iLが増加する。その結果、インダクタLにエネルギーが蓄積される。Mode1-2-2は、本発明の「第1モード」に相当する。
【0050】
図4(B)に示すMode2-1では、スイッチング素子Q7がターンオフする。スイッチング素子Q7がターンオフすると、スイッチング素子Q8に並列接続された不図示のコンデンサC8に蓄積された電荷が、ダイオードD7、D8を経由して部分共振し、第2電源E2に転流する。
【0051】
図4(C)に示すMode2-2では、インダクタLに蓄積されたエネルギーにより、インダクタ電流iLが正方向に流れ続ける。スイッチング素子Q5~Q8がオフしているので、第2フルブリッジ回路102はダイオードブリッジとして動作し、電流はダイオードD5、D8を経由して流れる。第1電源E1は放電状態のまま、第2電源E2が充電状態になる。
【0052】
上記のとおり、Mode2-2では、第2フルブリッジ回路102がダイオード整流となるので、第2入出力端T2からは正方向のインダクタ電流iLによる充電電流しか出力されない。Mode2-2は、入出力端T1、T2間の電圧差(V1-V2’)によって第2入出力端T2から充電電流を出力する本発明の「第2モード」に相当する。
【0053】
図5(A)に示すMode3-1-1では、スイッチング素子Q4がターンオフする。スイッチング素子Q4がターンオフすると、スイッチング素子Q3に並列接続された不図示のコンデンサC3に蓄積された電荷が、ダイオードD4、D3を経由して部分共振し、第1電源E1に転流する。
【0054】
図5(B)に示すMode3-1-2では、スイッチング素子Q3がZVS(ゼロボルトスイッチング)すなわちソフトスイッチングでターンオンする。スイッチング素子Q3がターンオンすると、第2入出力端T2すなわち第2電源E2は、インダクタLを経由して1次側の第1フルブリッジ回路101で短絡される。インダクタLに蓄積されたエネルギーによって、充電電流の出力が継続され、第2電源E2の充電状態が継続される。その結果、第2電源E2の第2電圧V2’によってインダクタ電流iLが減少する。Mode3-1-2は、本発明の「第3モード」に相当する。
【0055】
図5(C)に示すMode3-2-1では、スイッチング素子Q1がターンオフする。スイッチング素子Q1がターンオフすると、スイッチング素子Q2に並列接続された不図示のコンデンサC2に蓄積された電荷が、ダイオードD2、D1を経由して部分共振し、第1電源E1に転流する。
【0056】
以降、Mode3-2-2~Mode1-2-1では、正方向にインダクタ電流iLが流れる場合の各モード(Mode1-2-2~Mode3-2-1)に対して第1フルブリッジ回路101および第2フルブリッジ回路102を構成する直列接続されたスイッチング素子Q1~Q8のオン・オフが入れ替わった状態になっているため、インダクタ電流iLが負方向になるが、双方向DC/DCコンバータ100の状態はMode1-2-2~Mode3-2-1と同じになる。
【0057】
すなわち、Mode3-2-2では、第1電源E1が第2フルブリッジ回路102で短絡され、第1電圧V1によって負方向のインダクタ電流iLが増加する。Mode4-1では、部分共振による電荷の転流が生じる。Mode4-2では、第2フルブリッジ回路102がダイオードブリッジとして動作し、第1電圧V1と第2電圧V2’との差の電圧により第2電源E2が充電状態となる。
【0058】
Mode1-1-1では、部分共振による電荷の転流が生じる。Mode1-1-2では、第2電源E2が第1フルブリッジ回路101で短絡され、第2電源E2の充電状態が継続されて、第2電源E2の第2電圧V2’によって負方向のインダクタ電流iLが減少する。Mode1-2-1では、部分共振による電荷の転流が生じる。
【0059】
以上のように、双方向DC/DCコンバータ100では、順方向電力伝送時において電流は1次側から2次側にのみ流れるので、動作モードのサイクル中に電力の逆流が発生するモードは存在しない。したがって、双方向DC/DCコンバータ100では、電力の逆流により電力伝送効率が低下するという問題は生じない。
【0060】
また、上記のとおり電力の逆流が発生するモードは存在しないので、例えば、第2フルブリッジ回路102に第2電源E2を接続する代わりに抵抗負荷を接続することができ、しかも、起動時に特殊な対応(処理)を必要としない。
【0061】
なお、逆方向電力伝送時における動作モードは、順方向電力伝送時と同様(伝送の向きを変えたもの)であるため、容易に類推できるので、詳細な説明を省略するが、逆方向電力伝送時における双方向DC/DCコンバータ100では、電流は2次側から1次側にのみ流れるので、動作モードのサイクル中に電力の逆流が発生するモードは存在しない。
【0062】
すなわち、双方向DC/DCコンバータ100は、逆方向電力伝送時において、第2電圧によってインダクタ電流iLを増加させるモード(本発明の「第4モード」に相当)と、第4モードの次のモードであり部分共振による電荷の転流が生じるモードと、第2電源E2側すなわち第2入出力端T2側からみた第1電圧と第2電圧との電圧差によって第1入出力端T1から充電電流を出力するモード(本発明の「第5モード」に相当)と、第5モードの次のモードであり部分共振による電荷の転流が生じるモードと、充電電流の出力を継続させて(第2電源E2側からみた)第1電圧によってインダクタ電流iLを減少させるモード(本発明の「第6モード」に相当)と、第6モードの次のモードであり部分共振による電荷の転流が生じるモードを有する。
【0063】
逆方向電力伝送時における制御部103は、第4モードにおいて第2入出力端T2を第1フルブリッジ回路101で短絡させ、第5モードにおいて第1フルブリッジ回路101をダイオードブリッジとして動作させ、第6モードにおいて第1入出力端T1を第2フルブリッジ回路102で短絡させる。
【0064】
続いて、順方向電力伝送時におけるスイッチング素子Q1~Q8のソフトスイッチングの成立条件について説明する。
【0065】
以下では、ω=2πf=2π/T、昇圧比k=V2’/V1、位相角θ=θ1+θ2(0<θ<π、θ2=mθ、0<m<1)とする。ここで、fは動作周波数、θ1はインダクタ電流iLが増加する期間、θ2はインダクタ電流iLが減少する期間である。デッドタイムについては、十分に短いため無視する。
【0066】
また、
図3に示すように時刻t
1をMode1-2-2の開始時刻、時刻t
2をMode2-1の開始時刻、時刻t
3をMode3-1-1の開始時刻、時刻t
4をMode3-2-1の開始時刻とする。また、時刻t
1におけるインダクタ電流をi(t
1)とすると、i(t
1)=0である。
【0067】
ソフトスイッチングが成立するための条件として、Mode2-1の開始時刻すなわちMode1-2-2の終了時刻である時刻t
2におけるインダクタ電流i(t
2)≧0であることから、以下の(4)式を得る。
【数4】
【0068】
また、ソフトスイッチングが成立するための条件として、Mode3-1-1の開始時刻すなわちMode2-2の終了時刻である時刻t
3におけるインダクタ電流i(t
3)≧0であることから、以下の(5)式を得る。
【数5】
【0069】
k<1(V2’<V1)の場合、(4)式および(5)式により、常にソフトスイッチングが成立する。
【0070】
また、k>1(V2’>V1)の場合、(5)式により、以下の(6)式を得る。
【数6】
【0071】
k>1の場合、上記(6)式がソフトスイッチングの成立条件になる。Mode2-2では、第2フルブリッジ回路102がダイオード整流となるので、負方向のインダクタ電流iLは流れない。すなわち、i(t3)<0になることはないため、(6)式は常に成立する。
【0072】
i(t3)=0の場合、Mode2-2の終了時からMode3-1-1、Mode3-1-2、Mode3-2-1まで、インダクタ電流iLは流れない。このため、上記期間でのスイッチングは、ゼロ電流スイッチングとなり損失は発生せず、ソフトスイッチングとなる。
【0073】
図6に、k>1(V2’>V1)の場合であって、Mode2-2の終了時にインダクタ電流i(t
3)=0となる場合におけるインダクタ電流iLの波形例を示す。
【0074】
Mode2-2の途中で、インダクタ電流iLは減少してゼロになった後、負方向に流れようとする。しかしながら、負方向の電流は第2フルブリッジ回路102のダイオードD5、D8に対して逆方向電流となるため、インダクタ電流iLは負方向には流れない。
【0075】
このため、Mode3-1-2においてスイッチング素子Q3がターンオンしても、双方向DC/DCコンバータ100では、従来のDAB方式で発生するような貫通電流が流れることはない。なお、同様に同図のMode4-2における波形から分かるように、インダクタ電流iLが負の場合も、インダクタ電流iLはゼロになった後、正方向に流れることはないので、貫通電流が流れることはない。
【0076】
結局、本実施形態に係る双方向DC/DCコンバータ100によれば、DAB方式の利点を生かしつつ、複雑な制御をすることなく、電力が逆流するモードの発生、ソフトスイッチングができない領域の発生、および逆向きのインダクタ電流iLによる貫通電流の発生をいずれも防止することできる。
【0077】
以上、本発明に係る双方向DC/DCコンバータの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0078】
本発明の双方向DC/DCコンバータは、順方向電力伝送時に、第1入出力端の第1電圧によってインダクタに流れるインダクタ電流を増加させる第1モードと、第1電圧と1次側からみた第2入出力端の第2電圧との電圧差によって第2入出力端から充電電流を出力する第2モードと、充電電流の出力を継続させて第2電圧によってインダクタ電流を減少させる第3モードと、を有し、第1モードにおいて第1入出力端を第2フルブリッジ回路で短絡させ、第2モードにおいて第2フルブリッジ回路をダイオードブリッジとして動作させ、第3モードにおいて第2入出力端を第1フルブリッジ回路で短絡させるのであれば、適宜構成を変更できる。
【符号の説明】
【0079】
100 双方向DC/DCコンバータ
101 第1フルブリッジ回路
102 第2フルブリッジ回路
103 制御部