(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】溶着検出装置及び溶着検出方法
(51)【国際特許分類】
H01H 47/00 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
H01H47/00 C
(21)【出願番号】P 2019234596
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516026734
【氏名又は名称】株式会社アウルソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】片山 真一
(72)【発明者】
【氏名】辻 博司
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/045226(WO,A1)
【文献】特開2011-135767(JP,A)
【文献】特開2013-73824(JP,A)
【文献】特開2017-135035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷と前記負荷に交流電力を供給する電源との接続を開閉するメインリレーの溶着を検出する溶着検出装置であって、
電流を検出する検出素子を含み、前記電源と前記メインリレーを接続する第1ラインと前記負荷と前記メインリレーを接続する第2ラインとに接続される第1回路と、
前記第1回路に直流電流を供給する第1回路電源と、
前記第1回路に接続され、前記第1ラインと前記第2ライン間の電圧差を検出する第2回路と、
を備え、
前記第1回路は、前記メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときに、前記第1回路電源からの電流が前記メインリレーを経由して前記検出素子に流れたか否かに基づいて前記メインリレーの溶着を検出し、
前記第2回路は、前記メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときにおいて、前記第1ラインと前記第2ライン間に電圧差が生じているときにのみ前記第1回路を遮断する、
溶着検出装置。
【請求項2】
前記第1回路は、前記第1ラインとの接続を開閉する第1リレーと、前記第2ラインとの接続を開閉する第2リレーとをさらに含む、
請求項1に記載の溶着検出装置。
【請求項3】
溶着検出装置は、前記負荷に交流電力を供給する前記電源を第1系統電源及び第2系統電源の一方から他方に切り替える切替装置に設けられ、
前記切替装置は、前記メインリレーを含み、
前記メインリレーは、前記第1系統電源と前記負荷との接続を開閉する第1メインリレーと、前記第2系統電源と前記負荷との接続を開閉する第2メインリレーとを含む、
請求項1又は2に記載の溶着検出装置。
【請求項4】
負荷と前記負荷に交流電力を供給する電源との接続を開閉するメインリレーの溶着を検出する溶着検出装置の溶着検出方法であって、
前記溶着検出装置は、
電流を検出する検出素子を含み、前記電源と前記メインリレーを接続する第1ラインと前記負荷と前記メインリレーを接続する第2ラインとに接続される第1回路と、
前記第1回路に直流電流を供給する第1回路電源と、
を備え、
前記メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときに、前記第1回路電源からの電流が前記メインリレーを経由して前記検出素子に流れたか否かに基づいて前記メインリレーの溶着を検出するステップと、
前記メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときにおいて、前記第1ラインと前記第2ライン間に電圧差が生じているときにのみ前記第1回路を遮断するステップとを備える、溶着検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶着検出装置及び溶着検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リレーの接点が溶着しているか否かを検出する方法としては、リレーにかかる電圧を監視してリレーの溶着を検出する手段が一般的であるが、この方法では、電圧が印加されていないときに、リレーの溶着を正確に検出することができない。そこで、特許文献1には、リレーが開状態に制御されているときに、リレーを介して流れる電流の有無を検出素子で検出することによってリレーの溶着を検出する溶着検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、負荷に接続する電源を単相3線式の交流電源から別の交流電源に切り替える切替装置に上記の溶着検出装置を用いる場合、溶着検出装置が溶着を誤検出するおそれがある。具体的には、
図4に示すように、溶着検出装置90で負荷と電源とを開閉するリレー91の溶着を検出する場合において、中性線Nと電力線L1間の交流100Vの電圧がリレー91に印加されていると、負荷と電源とを接続するライン92からリレー91を介さずに溶着検出装置90に交流電流が流れ込み、その電流が検出素子に流れて、溶着検出装置90がリレー91の溶着を誤検出するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、検出素子に流れる電流の有無によってリレーの溶着を検出する溶着検出装置において、溶着の誤検出を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る溶着検出装置は、負荷と負荷に交流電力を供給する電源との接続を開閉するメインリレーの溶着を検出する。溶着検出装置は、第1回路と、第1回路電源と、第2回路とを備える。第1回路は、電源とメインリレーを接続する第1ラインと、負荷とメインリレーを接続する第2ラインとに接続される。第1回路は、検出素子を含む。第1回路電源は、第1回路に直流電源を供給する。第2回路は、第1回路に接続され、第1ライン記第2ライン間の電圧差を検出する。第1回路は、メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときに、第1回路電源からの電流がメインリレーを経由して検出素子に流れたか否かに基づいてメインリレーの溶着を検出する。第2回路は、メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときにおいて、第1ラインと第2ライン間に電圧差が生じているときにのみ第1回路を遮断する。
【0007】
この溶着検出装置では、メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときにおいて、第1ラインと第2ライン間に電圧差が生じているときにのみ第2回路によって第1回路を遮断して、第1回路の検出素子を無効にする。すなわち、メインリレーに電圧が印加されている場合において、電源の交流電流が第2ラインからメインリレーを介さずに第1回路に流れ込むことを防止できる。このため、電源の交流電流が第2ラインからメインリレーを介さずに第1回路に流れ込み、その電流が検出素子に流れて溶着検出回路がメインリレーの溶着を誤検出することを防止することができる。
【0008】
第1回路は、第1ラインとの接続を開閉する第1リレーと、第2ラインとの接続を開閉する第2リレーとをさらに含んでもよい。
【0009】
溶着検出装置は、負荷に交流電力を供給する電源を第1系統電源及び第2系統電源の一方から他方に切り替える切替装置に設けられてもよい。切替装置は、メインリレーを含んでもよい。メインリレーは、第1系統電源と負荷との接続を開閉する第1メインリレーと、第2系統電源と負荷との接続を開閉する第2メインリレーとを含んでもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る溶着検出方法は、負荷と負荷に交流電力を供給する電源との接続を開閉するメインリレーの溶着を検出する。溶着検出装置は、第1回路と、第1回路電源と、を備える。第1回路は、電流を検出する検出素子を含み、電源とメインリレーを接続する第1ラインと負荷とメインリレーを接続する第2ラインとに接続される。第1回路電源は、第1回路に直流電流を供給する。溶着検出方法は、メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときに、第1回路電源からの電流が前記メインリレーを経由して前記検出素子に流れたか否かに基づいて前記メインリレーの溶着を検出するステップと、メインリレーが閉状態から開状態に制御されたときにおいて、第1ラインと第2ライン間に電圧差が生じているときにのみ第1回路を遮断するステップとを備える。
【0011】
本発明によれば、検出素子に流れる電流の有無によってリレーの溶着を検出する溶着検出装置において、溶着の誤検出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】溶着検出装置が組み込まれた電源切替装置の構成を模式的に示した図である。
【
図2】溶着検出装置の回路図を模式的に示した図である。
【
図3】メインリレー、第1リレー及び第2リレーが動作するタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図4】溶着検出装置の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一態様に係る溶着検出装置10が組み込まれた電源切替装置1の構成を模式的に示した図である。電源切替装置1は、負荷2に交流電力を供給する電源を第1系統電源及び第2系統電源の一方から他方に切り替える。具体的には、停電などの障害によって商用電源Aから負荷2への交流電力の供給が遮断された場合に、負荷2に交流電力を供給する電源を商用電源Aから別の商用電源、或いは自立電源Bに切り替える。自立電源Bは、例えば太陽光発電システムによって生成された電力による電源である。
【0014】
本実施形態における電源切替装置1は、負荷2に交流電力を供給する電源を商用電源A及び自立電源Bの一方から他方に切り替える。商用電源A及び自立電源Bは、単相3線式の交流電源である。単相3線式では、中性線Nを基準に電力線L1,L2にAC100Vの電圧がかかっている。
【0015】
電源切替装置1はメインリレー3a,3bと、メインリレー4a,4bと、制御部5と、を備えている。メインリレー3a,3b,4a,4bは、a接点のラッチングリレーである。メインリレー3a,3b,4a,4bは、負荷2と負荷2に交流電力を供給する電源との接続を開閉する。メインリレー3a,3bは、第1メインリレーの一例であり、メインリレー4a,4bは、第2メインリレーの一例である。なお、メインリレー3a,3b,4a,4bは、ラッチング以外のリレーであってもよい。例えば、コイルが励磁されている間だけ接点の開状態或いは閉状態が維持されるリレーであってもよい。
【0016】
メインリレー3a,3bは、商用電源Aと負荷2との接続を開閉する。メインリレー3aは、商用電源Aの電力線L1と負荷2との接続を開閉する。メインリレー3bは、商用電源Aの電力線L2と負荷2との接続を開閉する。メインリレー4a,4bは、自立電源Bと負荷2との接続を開閉する。メインリレー4aは、自立電源Bの電力線L1と負荷2との接続を開閉する。メインリレー4bは、自立電源Bの電力線L2と負荷2との接続を開閉する。なお、メインリレーを中性線N上に配置して、中性線N上に配置されたメインリレーによっても商用電源Aおよび自立電源Bと負荷2との接続を開閉するように構成してもよい。
【0017】
制御部5は、メインリレー3a,3b,4a,4bを開閉制御する。制御部5は、メインリレー3aとメインリレー3bを同時に開閉制御する。制御部5は、メインリレー4aとメインリレー4bを同時に開閉制御する。例えば、商用電源Aから負荷2に交流電力を供給する場合は、制御部5は、メインリレー3a,3bを閉状態に制御し、メインリレー4a,4bを開状態に制御する。なお、中性線Nにもメインリレーを設けて、中性線Nに設けられたメインリレーをメインリレー3a,3b,4a,4bに連動して開閉制御するように構成してもよい。
【0018】
制御部5は、負荷2に接続する電源を商用電源Aから自立電源Bに切り替えるときは、メインリレー3a,3bを閉状態から開状態に制御し、メインリレー4a,4bを開状態から閉状態に制御する。反対に、負荷2に接続する電源を自立電源Bから商用電源Aに切り替えるときは、制御部5は、メインリレー3a,3bを閉状態から開状態に制御し、メインリレー4a、4bを開状態から閉状態に制御する。制御部5は、例えば、商用電源Aから負荷2への交流電力の供給が遮断されたことを検出すると、メインリレー3a,3bを閉状態から開状態に制御し、メインリレー4a,4bを開状態から閉状態に制御する。
【0019】
溶着検出装置10は、電源切替装置1が負荷2に接続する電源を切り替えるときに、メインリレー3a,3b,4a,4bの溶着を検出する。例えば、負荷2に接続する電源を商用電源Aから自立電源Bに切り替えるときは、メインリレー3a、3bを閉状態から開状態にし、メインリレー3a、3bの溶着を検出する。そしてメインリレー3a、3bの溶着が検出されなければ、制御部5がメインリレー4a、4bを開状態から閉状態に制御する。本実施形態では、1つの溶着検出装置10によって、全てのメインリレー3a,3b,4a,4bの溶着を検出可能に構成されている。なお、溶着検出装置10をメインリレー3a,3b,4a,4bに個別に設けて、メインリレー3a,3b,4a,4bの溶着を個別に検出するように構成してもよい。
【0020】
図2は、溶着検出装置10の回路図を模式的に示した図である。溶着検出装置10は、第1回路12と、第1回路電源14と、第2回路16と、を備えている。第1回路12は、商用電源Aの電力線L1とメインリレー3aを接続する第1ライン21と、負荷2とメインリレー3aを接続する第2ライン22とに接続されている。
【0021】
第1回路12は、第1ライン21に接続される第3ライン23と、第2ライン22に接続される第4ライン24とを含む。第3ライン23及び第4ライン24は、1回路電源14に接続されている。第3ライン23には、電流制限抵抗R1,R2が設けられている。また、第4ライン24には、回路を保護するためのダイオードD1が設けられている。
【0022】
第1回路12は、第1リレー12aと、第2リレー12bとを含む。第1リレー12aは、第3ライン23上に設けられており、第1ライン21と第1回路12との接続を開閉する。第2リレー12bは、第4ライン24上に設けられており、第2ライン22と第1回路12との接続を開閉する。第1リレー12a及び第2リレー12bは、例えば制御部5からの制御信号に応じて同時に開閉制御される。第1リレー12a及び第2リレー12bは、メインリレー3aの溶着を検出するときにおいて、開状態から閉状態に制御される。第1リレー12a及び第2リレー12bは、トランジスタやFETなどのスイッチング素子で構成されてもよい。
【0023】
第1回路12は、検出素子30と、トランジスタ31とを含む。検出素子30は、例えばフォトカプラであり、発光ダイオードと、フォトトランジスタとを含む。検出素子30は、第4ライン24に流れる電流を検知する。第1回路12は、第1回路電源14からの電流がメインリレー3aを経由して検出素子30に流れたか否かに基づいてメインリレー3aの溶着を検出する。
【0024】
検出素子30の出力端には、抵抗を介して電源が接続されている。検出素子30に電流が流れなければ、検出素子30はオフ状態となる。すなわち、検出素子30は電源からの電圧が付与された状態にあり、検出素子30から高電圧を表すハイ信号が出力される。一方、検出素子30に電流が流れると、検出素子30がオン状態となり、ロー信号が出力される。検出素子30からロー信号が出力されると、アラームなどの周知の報知手段によってメインリレー3aが溶着していることを報知する。
【0025】
トランジスタ31は、第4ライン24に設けられている。トランジスタ31は、検出素子30と第1回路電源14との間に設けられている。トランジスタ31は、第1回路12が正常に動作するように常にオン状態にあるように制御されている。
【0026】
第1回路電源14は、絶縁DC/DCコンバータによって構成され、第1回路12に直流電流を供給する。第1回路電源14は、
図2に示すように、第3ライン23からメインリレー3aを介して第4ライン24に流れるように第1回路12に直流電流を供給する。
【0027】
第2回路16は、第1回路12に接続され、第1ライン21と第2ライン22間の電圧差を検出する。すなわち、第2回路16は、メインリレー3aの接点間の電圧差を検出する。第2回路16は、メインリレー3aが閉状態から開状態に制御されたときにおいて、第1ライン21と第2ライン22間に電圧差が生じているときにのみ第1回路12を遮断し検出素子30を無効にする。
【0028】
第2回路16は、第3ライン23と第4ライン24とに接続されている。第2回路16は、全波整流41と、平滑回路42と、定電流回路43と、フォトカプラ44とを含む。第1ライン21と第2ライン22間に電圧差が生じているときは、全波整流41、平滑回路42、定電流回路43を介してフォトカプラ44がオフ状態からオン状態になる。フォトカプラ44がオン状態になることで、第1回路12に設けられたトランジスタ31のG-S間が短絡し、トランジスタ31がオン状態からオフ状態になる。これにより、第1回路12が遮断される。
【0029】
次に、
図2及び
図3を参照して、負荷2に接続する電源を商用電源Aから自立電源Bに切り替えるときにおいて、溶着検出装置10がメインリレー3aの溶着を検出するときの動作を説明する。
図3は、メインリレー3a、第1リレー12a及び第2リレー12bが動作するタイミングを示すタイミングチャートである。制御部5は、メインリレー3aを閉状態から開状態に制御した後で、第1リレー12aと第2リレー12bを開状態から閉状態に制御する。これにより、第1回路12が電力線L1に接続される。
【0030】
メインリレー3aが溶着している場合は、
図3に破線で示すように、第1回路電源14からの直流電流が第3ライン23からメインリレー3aを介して検出素子30に流れる。これにより、検出素子30からロー信号が出力されて、アラームなどの報知手段によって溶着が報知される。
【0031】
メインリレー3aが溶着していない場合は、第1回路電源14からの直流電流が検出素子30に流れない。このため、検出素子30はオフ状態のままであり、検出素子30からはハイ信号が出力され続けることになる。これにより、制御部5はメインリレー3aが溶着していないと判断して、メインリレー4aを開状態から閉状態に制御して、負荷2に接続する電源を商用電源Aから自立電源Bに切り替える。なお、実際には、メインリレー3bについても、同様の方法により溶着検出装置10でメインリレー3bが溶着していないことを判断してから負荷2に接続する電源を切り替える。
【0032】
ここで、メインリレー3aが溶着してない場合であって、中性線Nを基準に電力線L1に100Vの電圧がかかっている場合は、第1ライン21と第2ライン22間に交流100Vの電圧差が生じる。このため、第1回路12を電力線L1に接続したときに、交流100Vの電流が逆流して、
図2に2点鎖線で示すように、第2ライン22側から第1回路12の第3ライン23に電流が流れ込み、その電流が検出素子30に流れて、溶着検出装置10がメインリレー3aの溶着を誤検出するおそれがある。
【0033】
このような誤検出を防止するために、第1ライン21と第2ライン22間に100Vの電圧差が生じているときは、第2回路16によって第1回路12を遮断する。詳細には、第1ライン21と第2ライン22間に電圧差(ここでは、例えば100Vの電圧差)が生じているときは、第2回路16のフォトカプラ44がオン状態となる。そして、フォトカプラ44をオン状態にすることで、トランジスタ31を強制的にオン状態からオフ状態にして、第1回路12を遮断する。これにより、交流100Vの電流が検出素子30に流れ込むことを防止できる。すなわち、検出素子30のオフ状態が維持されて、検出素子30からはハイ信号が出力され続けることになるので、その結果、溶着検出装置10が溶着を誤検出することを防止できる。
【0034】
なお、第1ライン21と第2ライン22間に電圧差が生じていなければ、交流100Vの電流が逆流して第2ライン22側から第1回路12に流れ込むことがないので、前述したように、第1回路12を用いて第1回路電源14からの直流電流が検出素子30に流れたか否かによってメインリレー3aの溶着を検出する。
【0035】
負荷2に接続する電源を自立電源Bから商用電源Aに切り替えるときの溶着検出装置10の動作については、溶着を検出するメインリレー(この場合は、メインリレー4a,4b)が異なるのみであり、メインリレー3aの溶着を検出するときの動作と同じであるため、説明を省略する。
【0036】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0037】
前記実施形態では、検出素子30に電流が流れることでメインリレー3aが溶着していることを検出していたが、例えば、検出素子30に電流が流れないことでメインリレー3aが溶着していることを検出するように溶着検出装置10を構成してもよい。
【0038】
前記実施形態では、電源切替装置1が負荷2に交流電力を供給する電源を商用電源A及び自立電源Bの一方から他方に切り替える構成を例示したが、電源切替装置1が切り替える電源は、前記実施形態に限定されるものではない。負荷2に交流電力を供給する電源を第1系統電源及び第2系統電源の一方から他方に切り替える構成であればよい。例えば、電源切替装置1は、商用電源Aとバックアップ電源とを切り替える構成であってもよいし、必ずしも商用電源でなくてもよい。
【0039】
前記実施形態では、電源切替装置1に溶着検出装置10を採用した構成を例示したが、溶着検出装置10の用途は特に限定されない。溶着検出装置10は様々な装置や回路に採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、検出素子に流れる電流の有無によってリレーの溶着を検出する溶着検出装置において、溶着の誤検出を防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
2 負荷
3a,3b,4a,4b メインリレー
10 溶着検出装置
12 第1回路
14 第1回路電源
16 第2回路
30 検出素子
21 第1ライン
22 第2ライン