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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】ボイラ装置
(51)【国際特許分類】
   F23J 1/02 20060101AFI20230901BHJP
   F23H 3/02 20060101ALI20230901BHJP
   F22B 37/48 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
F23J1/02 Z
F23H3/02 B
F22B37/48 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020035375
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021139519
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年10月に第6回国際2世代納帳エキスポ展で本願発明に係るボイラ装置を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】302040227
【氏名又は名称】伊藤 鋼一
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 鋼一
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-167010(JP,U)
【文献】実開昭53-016685(JP,U)
【文献】特開2014-228262(JP,A)
【文献】特開2008-096026(JP,A)
【文献】特開2002-071119(JP,A)
【文献】米国特許第6220190(US,B1)
【文献】特開2020-008248(JP,A)
【文献】特開2003-262323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 1/02
F23H 3/02
F22B 37/48
F23J 1/06
F23H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された燃料を蓄積する貯留槽と、
前記貯留槽の下方に設けられ、前記貯留槽から到来する燃料を燃焼させる燃焼室と、
水を流して湯を沸かすために前記燃焼室の側壁に設けられた間隙により構成される水流路を含む湯沸部と、
前記燃焼室の底部に設けられた床ブロックと、
前記床ブロックの上部に設けられ、前記燃料が燃焼した灰が積もる上面を有するブロックであって、側部に水を流入させる流入口と水を流出させる流出口とが設けられ、前記流入口と前記流出口間を連絡し、前記ブロック内においてジグザグに形成された水の流路を有するブロックにより構成される水冷ブロックと
前記燃料が前記燃焼室において燃焼しているときには、前記床ブロック上で前記水冷ブロックを揺らす揺動駆動手段と
を具備することを特徴とするボイラ装置。
【請求項2】
前記床ブロックには、レールが形成されており、
前記水冷ブロックには、前記レールを移動するための移動機構が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のボイラ装置。
【請求項3】
前記レールの長手方向の一方側における前記燃焼室の側部には、前記水冷ブロックが出入りする第1の開口部が形成され、
前記燃焼室の側部であって、前記第1の開口部に対向する位置に、前記燃料の燃焼により生成される灰を前記燃焼室の外へ押し出すための第2の開口部が形成され、
前記第1の開口部より前記燃焼室の外側には、前記水冷ブロックを前記第1の開口部を介して引き出し及び引き戻す移動駆動手段が設けられ、
前記第2の開口部より前記燃焼室の外側には、押し出された灰を粉砕するクラッシャが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のボイラ装置。
【請求項4】
前記湯沸部の水及びお湯が流れる経路と、前記水冷ブロックの内部を流れる水及びお湯の経路とは、別の独立した経路となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のボイラ装置。
【請求項5】
クラッシャの下方から廃棄物貯蔵所へ、粉砕された灰を搬送する搬送手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のボイラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、RPFを燃料として用いることができるボイラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックのリサイクルの観点から、非塩素系の廃プラスチック、紙、木屑などを原料とした高カロリーのリサイクル固形燃料であるRPFがボイラ燃料として用いられている。
【0003】
このRPFは、燃料として高カロリーであり低価格であることから多く用いられるようになってきているものの、高カロリーであるが故に、燃焼室が高温となりこの温度で施設にダメージを与えることがないようにボイラ装置の設計を行う必要がある。また、RPFが焼却されて残る灰は、クリンカと称される固い塊状の固体となるため、燃焼炉の底部に固着して、それ以降の燃焼の妨げになるという問題が生じる。
【0004】
特許文献1には、流動床燃焼室を備えるボイラが開示されている。このボイラにおいては、室の底における入口ヘッダと燃焼室の頂上における出口室との間で冷却流体が循環するように、超臨界値圧力に耐える複数のチューブを、上記燃焼室の壁のまわりに配置している。
【0005】
特許文献2には、灰を自動的に排出するように、灰の排出装置が設けられたボイラが開示されている。
【0006】
特許文献3には、蛇行状の高温ガス流路内に多数本の水管を配設するに当り、流通路の屈曲部分には水管を配設することなく空隙部を形成させることにより、流通路内におけるガスの流通を円滑にさせ各水管に対し均等に高温ガスが接触することができるようにすることが開示されている。
【0007】
また、特許文献3では、燃焼時に発生した灰は、水胴18の両側に設けた灰出し用のコンベアによって外部へ送り出される。このコンベアの先端よりシュート内へ落下した灰は、上段のダンパー25上へ集積される。下段のダンパーが閉塞状態となると、上段のダンパーが開いてその上の灰を下段のダンパーへ落下させることにより、貯留室23へ落下される。この構成により常に一方のダンパーが閉塞されており、コンベア22の先端から灰が上段のダンパー下段のダンパーの順で受け止められて貯留室に送り込まれ、灰が外気側へ漏れ出ることを防止する構成が開示されている。
【0008】
また、特許文献4には、燃焼室の側壁に沿って設けられた水タンク、上記側壁の外に設けられたファンに連設された熱交換器に接続され、上記燃焼室に延びる一次空気と二次空気の導入管路を有するターボボイラが開示されている。
【0009】
このターボボイラは、上記燃焼室の下方にスロットルを有しており、このスロットル内部に冷却水の流路を形成してある。
【0010】
更に、特許文献5には、燃焼室に水冷却底部を備えたボイラが開示されている。また、このボイラは、灰除去装置を備えるものでもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特表平9-500442号公報
【文献】特開2008-261527号公報
【文献】特開昭54-31802号公報
【文献】特開昭62-94701号公報
【文献】特開昭59-15701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のボイラの構造では、RPFなどのような高カロリーの燃料を用いることは困難であり、また、灰が固化する特性を有する燃料を用いたボイラを実現することは困難である。本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的は、高温度となる燃焼室を適切に冷却することが可能なボイラ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るボイラ装置は、投入された燃料を蓄積する貯留槽と、前記貯留槽の下方に設けられ、前記貯留槽から到来する燃料を燃焼させる燃焼室と、水を流して湯を沸かすために前記燃焼室の側壁に設けられた間隙により構成される水流路を含む湯沸部と、前記燃焼室の底部に設けられた床ブロックと、前記床ブロックの上部に設けられ、前記燃料が燃焼した灰が積もる上面を有するブロックであって、側部に水を流入させる流入口と水を流出させる流出口とが設けられ、前記流入口と前記流出口間を連絡し、前記ブロック内においてジグザグに形成された水の流路を有するブロックにより構成される水冷ブロックと前記燃料が前記燃焼室において燃焼しているときには、前記床ブロック上で前記水冷ブロックを揺らす揺動駆動手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るボイラ装置では、前記床ブロックには、レールが形成されており、前記水冷ブロックには、前記レールを移動するための移動機構が備えられていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るボイラ装置では、前記レールの長手方向の一方側における前記燃焼室の側部には、前記水冷ブロックが出入りする第1の開口部が形成され、前記燃焼室の側部であって、前記第1の開口部に対向する位置に、前記燃料の燃焼により生成される灰を前記燃焼室の外へ押し出すための第2の開口部が形成され、前記第1の開口部より前記燃焼室の外側には、前記水冷ブロックを前記第1の開口部を介して引き出し及び引き戻す移動駆動手段が設けられ、前記第2の開口部より前記燃焼室の外側には、押し出された灰を粉砕するクラッシャが設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るボイラ装置では、前記湯沸部の水及びお湯が流れる経路と、前記水冷ブロックの内部を流れる水及びお湯の経路とは、別の独立した経路となっていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るボイラ装置では、クラッシャの下方から廃棄物貯蔵所へ、粉砕された灰を搬送する搬送手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のボイラ装置によれば、床ブロックの上部に設けられ、上記燃料が燃焼した灰が積もる上面を有するブロックであって、側部に水を流入させる流入口と水を流出させる流出口とが設けられ、上記流入口と上記流出口間を連絡し、上記ブロック内においてジグザグに形成された水の流路を有するブロックにより構成される水冷ブロックを備えるために、燃焼室の底部を的確に冷却してボイラの適切な運転を確保することが可能である。
【0019】
また、本発明のボイラ装置によれば、燃料が上記燃焼室において燃焼しているときには、床ブロック上で上記水冷ブロックを揺らす揺動駆動手段を備えているので、燃料が燃えて灰となり床ブロックに落下した場合に、床ブロックが揺れており、灰が固化しても床ブロックにこびり付いてクリンカとなる可能性が少なく、除去して燃焼炉内を広く使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るボイラ装置の実施形態を示す正面図。
図2】本発明に係るボイラ装置の実施形態を示す左側面図。
図3】本実施形態におけるボイラ装置の燃焼室の冷却構造及び灰処理機構の一例を示す要部断面図。
図4】本実施形態におけるボイラ装置の燃焼室の冷却構造及び灰処理機構の要部の平面図。
図5図4のI-I断面図。
図6図4のII-II断面図。
図7】本実施形態におけるボイラ装置において生じたクランカと称される固形の灰塊を粉砕し、粉砕された灰を搬送する搬送手段の一例を示す要部断面図。
図8】本実施形態におけるボイラ装置において採用されるサイクロン部分の構成を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下添付図面を参照して、本発明に係るボイラ装置の実施形態を説明する。各図において、同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明に係るボイラ装置の実施形態におけるサイクロンを含まない部分の正面図を示し、図2に、本発明に係るボイラ装置の実施形態におけるサイクロンを含まない部分の左側面の一部透視図を示す。これらの図に明らかなように、最上位位置に四角推台を逆さにした外形状のホッパ10が設けられている。
【0022】
ホッパ10は図1の上下方向に延びる、例えば、4本の柱11と、各柱11の間を上記ホッパ10の高さの中央より少し下がった位置で結合する4本の上部支持枠棒12により支えられている。より具体的には、ホッパ10の前方の2か所に設けられた凹部13へ、上部支持枠棒12に設けられた支持棒14が伸びており、この支持棒14によりホッパ10が支えられている。
【0023】
ホッパ10の下方には、貯留槽20が設けられており、更に、その下方には、一次燃焼室30が設けられている。ホッパ10と貯留槽20との間には、開閉扉装置40が設けられている。開閉扉装置40は、正面から見て左右に開閉する扉41A、41Bと、この扉41A、41Bを開閉する扉水平移動機構42A、42Bと、扉41A、41B及び扉水平移動機構42A、42Bを上下移動させる扉上下移動機構43A、43Bを備えている。
【0024】
扉41A、41Bは、例えば中空の平板であり、扉41A、41Bの前面の端部下側には、回転車44A、44Bが設けられ、また、扉41A、41Bの背面の端部下側には、回転車45A、45Bが設けられている。
【0025】
回転車44A、44Bは、モータ46A、46Bと駆動ベルト47A、47Bにより結合され、回転車45A、45Bは、モータ48A、48Bと駆動ベルト49A、49Bにより結合されている。
【0026】
回転車44A、44Bの直下には、これら回転車44A、44Bに接して、回転車44A、44Bがその上を回転移動するための一条のレール51が設けられている。また、回転車45A、45Bの直下には、回転車45A、45Bに接して、回転車45A、45Bがその上を回転移動するための一条のレール52が設けられている。
【0027】
レール51は、貯留槽20の外側部に取り付けられた台53A、53Bに設けられたシリンダ54A、54Bと結合され、上下に移動される。また、レール52は、貯留槽20の外側部に取り付けられた台55A、55Bに設けられたシリンダ56A、56Bと結合され、上下に移動される。図2に示されているモータ57は、シリンダ54A、56Aを伸縮させる。モータ57と対の位置に設けられている図示しないモータは、シリンダ54B、56Bを伸縮させる。シリンダ54A、56Aは、扉上下移動機構43Aのメインの構成要素であり、シリンダ54B、56Bは、扉上下移動機構43Bのメインの構成要素である。
【0028】
以上のように構成された開閉扉装置40においては、モータ46A、46Bと、モータ48A、48B及びモータ57と、モータ57と対の図示しないモータとは、図示しないコントローラにより制御されて動作する。図1図2の状態は、扉41A、41Bが、貯留槽20の上部開口部を閉じている状態を示している。
【0029】
そこで、ボイラ装置へ燃料の投入を行うために、モータ57と、このモータ57と対の図示しないモータへ、シリンダ54A、54B及びシリンダ56A、56Bの伸長を行うべく、図示しないコントローラから制御信号が送られる。これにより、モータ57と図示しないモータが回転され、上記シリンダ54A、54B及びシリンダ56A、56Bが伸長される。これによって、レール51、52が上昇し、回転車44A、44B及び回転車45A、45Bと共に扉41A、41Bが上昇する。この結果、扉41A、41Bが、貯留槽20の上部開口部から上昇して離れる。
【0030】
上記シリンダ54A、54B及びシリンダ56A、56Bが所定距離だけ伸長したときに、コントローラからモータ57と図示しないモータの回転を止める制御信号が送出され、扉41A、41Bの上昇が止まる。このとき、モータ46A、46Bと、モータ48A、48Bに対し扉41A、41Bが開放する方向への回転を指示する制御信号がコントローラから送出される。この制御信号に基づきモータ46A、46Bと、モータ48A、48Bが回転し、扉41Aが図1の左方へ移動し、扉41Bが図1の右方へ移動し扉41A、41Bが開放状態となる。このとき、扉41A、41Bの端側壁がレール51、52に設けられたストッパ58A、58B、59A、59Bに当接して扉41A、41Bの移動は停止する。
【0031】
上記のように扉41A、41Bが開放した状態において、ホッパ10から燃料が投入されると、ホッパ10の底部が開口しているため、燃料はホッパ10を通過して扉41A、41Bの開放しているエリアを通り、貯留槽20と一次燃焼室30へ到り、一次燃焼室30から貯留槽20へと蓄積されてゆく。所望の量の燃料がホッパ10から投入され、一次燃焼室30と貯留槽20へと蓄積されると、扉41A、41Bが左右に開いた状態から閉成した状態へと上記とは逆の動作によって戻される。更に、扉41A、41Bが閉成した後には、レール51、52が上記動作とは逆の動作によって下降される。この結果、扉41A、41Bが、貯留槽20の上部開口部を閉じている図1図2の状態へ復旧する。
【0032】
図2に示されているように、一次燃焼室30の後部には、この一次燃焼室30と略同容積の箱型の二次燃焼室60が接続され、二次燃焼室60の上部には、三次燃焼室65が積層接続され、三次燃焼室65の上部には、煙突70が接続されている。一次燃焼室30と二次燃焼室60とは、連絡路61により接続されている。一次燃焼室30は概ね方形であり、この一次燃焼室30の内周囲側壁は着火口31などを除き、湯沸部として利用される間隙32が形成されている。また、貯留槽20との連絡部分である天井部分にも、湯沸部として利用される間隙により構成される水流路を形成しても良い。
【0033】
二次燃焼室60の内部側壁と底部及び天井部の殆どの部分は、湯沸部として利用される間隙62が形成されている。一次燃焼室30の間隙32と、二次燃焼室60の間隙62とは、連絡路61の間隙61Aにより接続されている。一次燃焼室30の前面における最下部には、間隙32と間隙62と間隙61Aへ水を供給するための給水管33及び給水口34が設けられ、間隙32へと連通している。給水口34は、図示しない水道の蛇口に接続される。また、間隙32と間隙62と天井部分の間隙62Aにおいて燃焼の熱により水が熱せられて生じるお湯は、例えば、二次燃焼室60の裏面側(一次燃焼室30の前面と反対側)における上部に設けられた排水管63と排水口64から排出される。排水口64から排出されたお湯は所要の施設へ送られ、利用される。
【0034】
なお、この実施形態では、三次燃焼室65の天井部分に湯沸部を僅かに設けているが、二次燃焼室60において設けられた間隙62と間隙62Aと同様に天井部分の位置にも湯沸部としての間隙により構成される水流路を設けても良い。この場合、排水管63と排水口64は、三次燃焼室65の裏面側(一次燃焼室30の前面と反対側)における上部乃至中部に設けられると好適である。
【0035】
更に、熱交換器を煙突70内に設けても良い。この熱交換器の給水口を給水管33に連絡する間隙32に結合することができ、この熱交換器により得られるお湯を間隙32や間隙62等のお湯と合流させて排水管63へ排出することができる。
【0036】
また、一次燃焼室30と二次燃焼室60を繋ぐ連絡路61には、火格子71が設けられており、この火格子71を介して二次燃焼室60の入口には、火力設定用の耐熱レンガ72が積層されて設けられている。この耐熱レンガ72によって二次燃焼室60の入口に生じる燃焼ガス流路の断面積を調整することができ、当該ボイラ装置に必要な火力を得るための燃焼ガス流路の断面積となるように設計して耐熱レンガ72の積層高さを調整して設けることになる。更に、火力調整のために、一次燃焼室30と二次燃焼室60と三次燃焼室65とには、必要に応じて空気取入口や燃焼補助用のバーナなどを適宜設けることができる。
【0037】
図3は、本実施形態におけるボイラ装置の燃焼室の冷却構造及び灰処理機構の一例を示す。図3において、ボイラ装置の正面側は、図の奥側である。一次燃焼室30の底面には、複数の床ブロック34が敷き詰められて設けられている。1つの床ブロック34は、直方体形状の例えばステンレスブロックであり、一次燃焼室30の底面に、熱膨張を考慮して隣接のブロック同士が数ミリ程度の間隙を有した状態で配置され、底面に例えばネジ等により固定される。
【0038】
敷き詰められた複数の床ブロック34の上には、水冷ブロック35が図3の左右に移動可能に設けられる。水冷ブロック35は、例えば耐火レンガにより構成される上部ブロック35Uと例えばステンレスにより構成される下部ブロック35Dが上下に積層され相互に結合された構造を有する。
【0039】
下部ブロック35Dは、平面図を図4に示し、図4のI-I断面図を図5に示し、図4のII-II断面図を図6に示すように、上面に上部ブロック35Uと結合するためのリブ36Rが設けられている。また、上部ブロック35Uの例えば左側部の両端部には、水を流入させる流入口36Aと水を流出させる流出口36Bとが設けられている。流入口36Aと流出口36Bとの間は、上部ブロック35U内にジグザグに形成された水を通すための例えば断面が円形の流路36Cにより連絡している。
【0040】
流入口36Aに接続されたホース37Aと結合リング38Aは、図示しない水供給管を介して水道などの水供給源に接続されている。流出口36Bに接続されたホース37Bと結合リング38Bは、所要の施設へ送られる湯供給管に接続して、排出された湯を利用するようにしても良い。
【0041】
上記のように水冷ブロック35に対する水供給の経路と、一次燃焼室30及び二次燃焼室60及び三次燃焼室65の湯沸部に対する水供給の経路とを独立させることにより、それぞれの目的に合わせた水供給を行うことができ、燃焼室の底部を的確に冷却してボイラの適切な運転を確保することが可能である。
【0042】
図5に示すように、上記床ブロック34には、レール22が形成されており、上記水冷ブロック35の底部には、上記レール22を移動するための車輪や凹溝などの移動機構23が備えられている。
【0043】
一次燃焼室30には、水冷ブロック35を油圧シリンダ80側(上記レール22の長手方向の一方側)に引き出すための第1の開口部24が形成されている。また、上記一次燃焼室30の側部であって、上記第1の開口部24に対向する位置に、上記燃料の燃焼により生成される灰を上記一次燃焼室30の外へ押し出すための第2の開口部25が形成されている。
【0044】
水冷ブロック35における流入口36Aと流出口36Bとが形成されている側部には、穴が形成された結合片38が設けられている。この結合片38には、例えば油圧シリンダ80におけるロッド81に設けられたジョイント部82が結合されている。油圧シリンダ80は、上記第1の開口部24より上記一次燃焼室30の外側には、上記水冷ブロック35を上記第1の開口部24を介して引き出し及び引き戻す移動駆動手段として機能する。
【0045】
燃料が上記一次燃焼室30及びに貯留槽20に投入されるときには、油圧シリンダ80によって水冷ブロック35は一次燃焼室30内において床ブロック34に重なった位置にあり、第1の開口部24及び第2の開口部25は実質的に閉じられた状態にある、着火口31に着火バーナが配置され着火されると、着火口31から着火バーナが退避され、燃料の燃焼が続けられる。一次燃焼室30における燃焼の結果発生した可燃性ガスは、二次燃焼室60と三次燃焼室65へ到り、ここにおいて可燃ガスの燃焼が起き、燃焼が継続される。
【0046】
一次燃焼室30内、二次燃焼室60と三次燃焼室65における燃焼が生じているときには、給水口39及び給水管33から供給した水は一次燃焼室30の間隙32と、間隙61Aと間隙62において熱せられてお湯となり、排水管63と排水口64から排出される。また、ホース37Aを介して流入口36Aから水冷ブロック35の内部の流路36Cへ供給された水は、直接的には下部ブロック35Dを冷却し水冷ブロック35を間接的に冷却してお湯となって流出口36Bから排出される。このような燃焼と冷却が行われている間においては、油圧シリンダ80は、コントローラの制御によりロッド81を図の左右に僅かな距離だけ常時移動させ、上記床ブロック34上で上記水冷ブロック35を揺らしている。このように、油圧シリンダ80は、上記燃料が上記一次燃焼室30において燃焼しているときには、上記床ブロック34上で上記水冷ブロック35を揺らす揺動駆動手段として機能している。
【0047】
レール22は、第1の開口部24の外に設けられているレール22Aと繋がっており、第2の開口部25の外に設けられているレール22Bと繋がっている。レール22Bは、例えば筒状の灰排出部26の底部に形成された排出口26Aまで延びている。排出口26Aの下方には、クラッシャ27が設けられている。クラッシャ27は、円柱形状を有する2枚の歯車が噛み合わされ回転する如く配置した構造を有している。円柱形状を有する2枚の歯車の一方をモータ28により回転させる。本実施形態では、燃料としてRPFを用いることができるため、この燃料の燃焼によってプラスチックなどを焼却したときに生じるクランカと称される固形の灰塊が生じることが予測される。そこで、このクラッシャ27における円柱体の2本の噛み合わせ部分に、固形の灰塊を投入することにより、固形の灰塊は粉々に粉砕された灰となって落下する。
【0048】
図7に示す通り、本実施形態では、クラッシャ27の下方から廃棄物搬出車両85へ、粉砕された灰を搬送する搬送手段としてのスプリングコンベア86が設けられている。
【0049】
前述の通り、燃料が上記一次燃焼室30及びに貯留槽20に蓄積されて、着火口31に着火バーナが配置され着火されると、着火口31から着火バーナが退避され、燃料の燃焼が続けられる。この結果、燃料が燃え尽きると、適当な冷却期間がとられる。この冷却期間の後には、灰の取り出しが行われる。即ち、油圧シリンダ80は、コントローラの制御によりロッド81を引き戻す。これにより、上記水冷ブロック35が第1の開口部24から外部の油圧シリンダ80側へ引き出される。このとき、第1の開口部24を水冷ブロック35が通過するため、一次燃焼室30の底部(床ブロック34)に灰が落下し、水冷ブロック35の上には灰は殆ど乗っていない。次に、油圧シリンダ80は、コントローラの制御によりロッド81を第2の開口部25側へ押し出し、水冷ブロック35の先端を灰排出部26の底部に形成された排出口26Aの近くまで移動させる。水冷ブロック35の先端が一次燃焼室30を通過するとき、一次燃焼室30の底部の灰を押し出し、灰排出部26の底部に形成された排出口26Aへと運ぶ。落下した灰はクラッシャ27における円柱体の2本の噛み合わせ部分に到り、固形の灰塊は粉々に粉砕された灰となって落下する。粉砕され落下した灰はスプリングコンベア86によって廃棄物搬出車両85へと搬送される。更に、油圧シリンダ80は、コントローラの制御によりロッド81を第1の開口部24側へ押し出し、水冷ブロック35の先端が一次燃焼室30を超えて第1の開口部24の外側に到るまで移動させる。以下上述と同様に油圧シリンダ80の動作が繰り返され、一次燃焼室30の全ての灰が外部へ排出される。
【0050】
また、図8に示すように、煙突70へと到る煙を処理するために、二次燃焼室60に隣接して、ブロア66とサイクロン90が設けられている。サイクロン90の上部はサイクロン煙突91となっており、ブロア66により送られた高速空気が本管67を介いてサイクロン煙突91の中心部に送られる。また、ブロア66により送られた高速空気の一部は本管67から分岐する分岐管68を介して煙突70の上部へ送られる。
【0051】
上記分岐管68が煙突70と結合する位置と対向する煙突70の側壁には、サイクロン90の上部に繋がる連結管94が設けられており、煙突70からの煙がサイクロン90側へ送られる構成となっている。サイクロン90は上端から高さの3分の1程度が同一径の円筒状をなし、それより下部においては、下方へ向かうほど細径の円錐台形状となっており、最下部には集塵器92が取り付けられている。
【0052】
サイクロン90の上端から高さの3分の1程度が同一径の円筒状をなしている部分の円筒内には、連結管94から到来する煙が円筒部の壁部に当たって円筒の中心部に螺旋状の気流を発生するように空間を斜めに区分する仕切板93が複数取り付けられ、各仕切板93により区分された空間は楔状に構成される。各仕切板93には、サイクロン90の管の中心から同心円上に気流孔が形成され、円筒の中心部に螺旋状の気流を発生させ、円筒の最外部に上昇気流が発生される。この気流によって煙突70からの煙の重い成分は底部の集塵器92に回収される一方、軽い煙は上昇気流によって上昇しサイクロン煙突91を介して排出される。
【符号の説明】
【0053】
10 ホッパ 11 柱
12 上部支持枠棒 13 凹部
14 支持棒 20 貯留槽
22、22A、22B レール 23 移動機構
24 第1の開口部 25 第2の開口部
26 灰排出部 26A 排出口
27 クラッシャ 28 モータ
30 一次燃焼室 31 着火口
32 間隙 33 給水管
34 床ブロック 35 水冷ブロック
35D 下部ブロック 35U 上部ブロック
36A 流入口 36B 流出口
36C 流路 36R リブ
37A、37B ホース 38 結合片
38A、38B 結合リング 39 給水口
40 開閉扉装置 41A、41B 扉
42A 扉水平移動機構 43A 扉上下移動機構
43B 扉上下移動機構 44A、45A 回転車
46A、48A、57 モータ 47A、49A 駆動ベルト
51、52 レール 53A、55A 台
54A、54B、56A シリンダ 58A ストッパ
60 二次燃焼室 61 連絡路
63 排水管 64 排水口
65 三次燃焼室 66 ブロア
67 本管 68 分岐管
70 煙突 71 火格子
72 耐熱レンガ 80 油圧シリンダ
81 ロッド 82 ジョイント部
85 廃棄物搬出車両 86 スプリングコンベア
90 サイクロン 91 サイクロン煙突
92 集塵器 93 仕切板
94 連結管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8