(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】キメラ抗原レセプター分子の制御的発現のためのレンチウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20230901BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230901BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230901BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230901BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230901BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20230901BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230901BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20230901BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230901BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/31
A61K35/17
A61K35/12
A61P35/00
A61P37/06
(21)【出願番号】P 2020156063
(22)【出願日】2020-09-17
(62)【分割の表示】P 2017524110の分割
【原出願日】2015-07-24
【審査請求日】2020-09-29
(32)【優先日】2015-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517024881
【氏名又は名称】テラベクティ
【氏名又は名称原語表記】THERAVECTYS
(73)【特許権者】
【識別番号】517024870
【氏名又は名称】インスティテュ キュリー
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT CURIE
(73)【特許権者】
【識別番号】517024892
【氏名又は名称】センター ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ サイエンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(73)【特許権者】
【識別番号】518059934
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】SORBONNE UNIVERSITE
(73)【特許権者】
【識別番号】517024917
【氏名又は名称】インスティテュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル(アイエヌエスイーアールエム)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE (INSERM)
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【氏名又は名称】内田 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100137512
【氏名又は名称】奥原 康司
(72)【発明者】
【氏名】アゴーゲ,ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】ティバルディ,ロレンソ
(72)【発明者】
【氏名】エヴェン-デルモ,クレルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】トルベツコイ,ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ペレス,フランク
(72)【発明者】
【氏名】アミゴレーナ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ボッシュ,セシル
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/059173(WO,A2)
【文献】特表2012-529278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0071414(US,A1)
【文献】国際公開第2013/126733(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02147683(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0032173(US,A1)
【文献】特表2010-509233(JP,A)
【文献】Nat. Methods, 2012,Vol.9, No.5,pp.493-498
【文献】Clin. Cancer Res., 2012,Vol.18, No.23,pp.6436-6445
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)キメラ抗原レセプターをコードする、核酸分子、核酸ベクターまたはレンチウイルスベクターであって、
前記キメラ抗原レセプターが、
結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;
ストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片、または配列番号6の少なくとも90アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメインを含む、核酸分子、核酸ベクターまたはレンチウイルスベクターと、
b)ストレプトアビジンタンパク質配列を含むフックと
を含む、単離された細胞。
【請求項2】
a)キメラ抗原レセプターを発現する、ベクターまたはレンチウイルスベクター粒子であって、
前記キメラ抗原レセプターが、
結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;
ストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片、または配列番号6の少なくとも90アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメインを含む、ベクターまたはレンチウイルスベクター粒子と、
b)ストレプトアビジンタンパク質配列を含むフックと
を含む、単離された細胞。
【請求項3】
免疫系の細胞である、請求項1または請求項2に記載の単離された細胞。
【請求項4】
(i)T細胞、または
(ii)NK細胞
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項5】
哺乳動物細胞である、請求項1から4のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項6】
前記結合ドメインが、単鎖Fv抗体またはナノボディを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項7】
前記フックが、配列番号31または配列番号32のアミノ酸配列を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項8】
前記ベクター、レンチウイルスベクターまたはレンチウイルスベクター粒子が、β2-ミクログロブリン、ユビキチン、MHCIまたはMHCIIプロモーターを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項9】
前記キメラ抗原レセプターが、配列番号46、配列番号48または配列番号50のいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項10】
前記キメラ抗原レセプターとストレプトアビジンタンパク質配列を含むフックとが単一の核酸分子、核酸ベクターまたはレンチウイルスベクターに含められる、請求項1および3から9のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項11】
前記キメラ抗原レセプターとストレプトアビジンタンパク質配列を含むフックとが単一のベクターまたはレンチウイルスベクター粒子に含められる、請求項2から9のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項12】
ヒトにおける免疫応答の誘導に使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項13】
腫瘍および癌の治療に使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項14】
自己免疫性疾患の治療に使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項15】
筋肉内投与、静脈内投与、関節内投与または腫瘍内投与によりヒトに投与される、請求項12から14のいずれか一項に記載の単離された細胞。
【請求項16】
前記細胞の投与に続いて、ビオチンが前記ヒトに投与される、請求項15に記載の単離された細胞。
【請求項17】
細胞においてキメラ抗原レセプターを発現させるための方法であって、
キメラ抗原レセプターの発現を可能とする条件下で、
キメラ抗原レセプターをコードする核酸分子、核酸ベクターまたはレンチウイルスベクター、またはキメラ抗原レセプターを発現するベクターを、細胞内で発現すること、または
キメラ抗原レセプターを発現するレンチウイルスベクター粒子で細胞を形質導入することを含み、
前記キメラ抗原レセプターが、
結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;
ストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片、または配列番号6の少なくとも90アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメイン
を含
み、
前記細胞が、ストレプトアビジンタンパク質配列を含むフックを含む、方法。
【請求項18】
前記キメラ抗原レセプターを採取または単離することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞をビオチンで処理する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記T細胞が初代T細胞である、請求項4に記載の単離された細胞。
【請求項21】
前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項5に記載の単離された細胞。
【請求項22】
前記細胞がT細胞である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えワクチン技術の分野の発明であり、治療および予防ワクチンとして使用することができるレンチウイルスベクターの改良に関する。当該ベクターは、他のベクターに比べて改良された免疫応答の誘導を提供する。
【背景技術】
【0002】
組換えワクチンは、改変ウイルスを作製するためのウイルスゲノムの改変を可能にする組換えDNA技術の進歩に伴い開発されてきた。このようにして、宿主で特異的免疫応答を発生させるために、感染または伝達すると標的細胞で発現される免疫原性タンパク質をコードするように遺伝子配列を非病原性ウイルスに導入することは可能であった。
【0003】
このようなワクチンは、ワクチン技術における大きな進歩となっている(Kutzlerら、Nat Rev Genet、9(10):776~788頁、2008)。特に、これらは伝統的なワクチンに比べて、生(弱毒化)ウイルスを回避し、不活化ワクチンの製造に伴うリスクを排除する利点を有する。
【0004】
改変レトロウイルス(レトロウイルスベクター)を用いる遺伝子送達は、1980年代前半にMannら(Cell、33(1):153~9頁、1983)により紹介された。最も一般的に使用されるオンコレトロウイルスベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)に基づく。該ウイルスは、ポリタンパク質Gag、PolおよびEnvが作製される単純なゲノムを有し、ウイルスの複製にトランスで必要とされる(Breckpotら、2007、Gene Ther、14(11):847~62頁;Heら 2007、Expert Rev Vaccines、6(6):913~24頁)。シスで通常必要とされる配列は、長末端反復配列(LTR)ならびにこの近接:組み込みに必要とされる逆方向反復(IRまたはatt部位)、パッケージング配列Ψ、トランスポートRNA結合部位(プライマー結合部位、PBS)、および逆転写に関与する幾つかの付加配列(LTR内の反復R、およびプラス鎖開始に必要なポリプリントラクト、PPT)である。複製欠損レトロウイルスベクターを生成するには、一般に、gag、pol、およびenv遺伝子を完全に欠失させ、発現カセットと置き換える。
【0005】
レンチウイルスゲノムに由来するレトロウイルスベクター(すなわちレンチウイルスベクター)は、他のウイルス系に比べて幾つかの利点を示すため、遺伝子治療および免疫療法目的の両方に対する有望なツールとして現れた。特に、レンチウイルスベクター自体毒性でなく、他のレトロウイルスと異なりレンチウイルスは、非分裂細胞、特に樹状細胞を形質導入することができ(Heら 2007、Expert Rev Vaccines、6(6):913~24頁)、内因性経路を通じた抗原提示を可能にする。
【0006】
レンチウイルスは、遺伝子組成の類似性、複製の分子機構、および該ウイルスの宿主との生物学的相互作用により連結される。レンチウイルスは、長期の不顕性感染後に知らぬ間に始まりゆっくりと進行するスロー病(slow disease)症候群の病原体として最もよく知られ、故に、レンチウイルスは「スロー」ウイルスと呼ばれている(Narayanら、1989、J Gen Virol、70(7):1617~39頁)。レンチウイルスは、全てのレトロウイルスと同じ基本構成を有するが、インビボでのレンチウイルス複製において重要な役割を果たすアクセサリー遺伝子(例えば、vif、vpr、vpu、nef、tat、およびrev)の存在のためより複雑である。
【0007】
レンチウイルスはレトロウイルス科のスローウイルス属に相当し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ウマ感染性脳炎ウイルス(EIAV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)およびネコ免疫不全ウイルス(FIV)を含む。レンチウイルスは宿主中でいつまでも持続し得、生涯にわたる感染の過程において可変的な速度で継続的に複製し得る。宿主における該ウイルスの持続複製は、宿主防御を回避する該ウイルスの能力に依存する。
【0008】
組換え組み込みレンチウイルスベクターの設計は、レンチウイルスのシス作用性配列とトランス作用性配列の分離に基づく。非分裂細胞への効率的な形質導入は、レンチウイルスゲノム中の2つのシス作用性配列、セントラルポリプリントラクト(central polypurine tract)(cPPT)およびセントラルターミネーション配列(central termination sequence)(CTS)の存在を必要とする。これらは、樹状細胞(DC)を含む非分裂細胞の核への遺伝子移入の効率を最大化する、セントラルDNA「フラップ」と呼ばれる3本鎖DNA構造の形成をもたらす(Zennouら、2000、Cell、101(2)173~85頁;Arhelら、2007、EMBO J、26(12):3025~37頁)。
【0009】
樹状細胞は、主な機能が抗原を提示し免疫応答を開始することである抗原提示細胞(APC)の主要なクラスを構成するため、抗原提示に最も重要である。
【0010】
免疫応答を生じるには、抗原タンパク質が細胞によりペプチドに処理され、該ペプチドが主要組織適合遺伝子複合体タンパク質(MHC)により細胞表面に示されなければならない。循環APCは、ペプチド-MHC複合体を流入領域リンパ節でT細胞に提示し、該リンパ節で該複合体はT細胞受容体と相互作用し、共刺激シグナルと共にT細胞を活性化する。
【0011】
様々な研究が、レンチウイルスベクターの接種はDCによる抗原提示、および抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL;CD8+T細胞)の強い活性化をもたらすことを示している。したがって、レンチウイルスベクターは、遺伝子導入および免疫療法適用のために少なくとも10年間操作されてきた。
【0012】
ベクターは、通常、CMVプロモーターのようなエンハンサーを含む強力な構成的プロモーターを含む。Micheliniら、Vaccine 27(34):4622~29頁(2009);Karwaczら、J.Virol.83(7):3094~3103頁(2009);Negriら、Molecular Therapy 15(9):1716~23頁(2007);およびBuffaら、J.General Virology 87:1625~1634頁(2006)。
【0013】
レンチウイルスベクターは、LTR U3配列の除去により安全性が改善され、LTR内にもともと存在するウイルスプロモーターおよびエンハンサー配列を完全に欠く「自己不活性化」ベクターをもたらした。
【0014】
レンチウイルスベクターを含有するレンチウイルス粒子は、種々のDNAプラスミド、すなわち
(i)パッケージングプラスミド(少なくともGag、Pol Rev、Tatおよび、幾つかの場合ではトランスファー構築物のパッケージングに必要な構造タンパク質および酵素タンパク質を発現する);
(ii)プロウイルストランスファープラスミド(発現カセットならびにパッケージング、逆転写、および組み込みに必要なHIVシス作用性因子を含有する);ならびに
(iii)エンベロープコードプラスミド(ほとんどの場合、幅広い種類の細胞、特に、DCを含む主要組織適合(MHC)抗原提示細胞(APC)を標的にすることができる混合粒子(偽型)の形成を可能にするタンパク質である、水疱性口内炎ウイルスの糖タンパク質(VSV.G))
によりHEK 293Tヒト培養細胞などを一過性トランスフェクションしたときに組換え技術により作製することができる。
【0015】
この手順は、トランスフェクト細胞によるレンチウイルス粒子ベクターの一過性産生を得られるようにする。しかし、レンチウイルス粒子ベクターは、パッケージング遺伝子、プロウイルスコードDNA、およびエンベロープ遺伝子を細胞ゲノムに安定に挿入して、細胞により継続的に産生することもできる。これは、一過性トランスフェクションを必要とせずに細胞によるレンチウイルス粒子ベクターの継続的産生を可能にする。当然のことながら、これらの手順の組み合わせが使用されてもよく、DNA/プラスミドの幾つかは細胞ゲノムに組み込まれ、他は一過性トランスフェクションにより提供される。
【0016】
非組み込みレンチウイルスベクターは、特にワクチン接種目的での挿入変異事象に関連した潜在的発癌のリスクを軽減するように設計されている。非組み込みレンチウイルスベクターの例は、Coutantら、PLOS ONE 7(11):e48644(2102)、Karwaczら、J.Virol.83(7):3094~3103頁(2009)、Negriら、Molecular Therapy 15(9):1716~1723頁(2007);Huら、Vaccine 28:6675~6683頁(2010)に示されている。結果的に、非組込みレンチウイルスベクター系は、組み込み系と比較して挿入変異誘発の潜在的リスクを軽減することができることが報告されている。 Huら、Vaccine 28:6675~6683頁(2010)。
【0017】
さらに、自己不活性化レンチウイルスベクターにおけるウイルスプロモーターおよびエンハンサー配列の3’LTRのU3領域における欠失は、内因性プロモーター活性化の可能性を制限する。この安全性に対する懸念により、X連鎖(SCID-X1遺伝子)重症免疫不全症の稀な形態に罹患している子どもにモロニーウイルスベースのレトロウイルスベクターを用いて行われた、1998~1999年に実施されたSCID-X1遺伝子治療試験から得られた経験を直接検討する(Cavazzana-Calvoら、2000、Science.、288(5466):669~72頁)。この試験中、ヒトLM02癌原遺伝子のすぐ近くでのモロニー由来レトロウイルスベクターの組み込みの結果、子ども9名中4名が白血病を発症した(Hacein-Bey-Abinaら、2008、J.Clin. Invest.、118(9):3132~3142頁)。悪性腫瘍は、LM02癌原遺伝子へのウイルスU3プロモーター/エンハンサーの近接の結果であることが示された。よって、安全性は、レンチベクターのヒトへの投与の際の主な懸念である。
【0018】
エンハンサーは、転写活性化因子として離れて作用することができるシス作用性配列である。エンハンサーは、様々な細胞タイプ、特にDCにおいて導入遺伝子強発現を得るのに最も効率的であると思われるため、ウイルス由来ベクターで幅広く使用されている(Chinnasamyら、2000、Hum Gene Ther 11(13):1901~9頁;Rouasら、2008、Cancer Gene Ther 9(9):715~24頁;Kimuraら、2007、Mol Ther 15(7):1390~9頁;Gruhら、2008、J Gene Med 10(1)21~32頁)。しかし、挿入変異の安全性問題を考えると、このような転写エンハンサー配列は、エンハンサー近接効果による挿入変異のリスクをなくすためにレンチウイルスベクター構築物から欠失させるべきである。このエンハンサー近接効果は、挿入変異の圧倒的に最も多い機構であり、遺伝子導入後の腫瘍形成事象のヒトまたは動物症例において記載された唯一の効果である。
【0019】
よって、ウイルスエンハンサーは含まないが、免疫原性ペプチドをコードする導入遺伝子の十分な発現、できればCMVプロモーターを用いる場合に観察されるのと同じ程度の発現を可能にするレトロウイルス、特にレンチウイルスベクターを開発する必要がある。
【0020】
主要組織適合遺伝子複合体クラスII遺伝子(MHCクラスII)(Kimuraら、2007、Mol Ther 15(7):1390~9頁)およびデクチン-2遺伝子(Lopesら、2008、J Virol 82(1):86~95頁)に由来するDC特異的プロモーターによるウイルスプロモーターの置換について報告している最近の研究がある。Lopesらにおいて使用されたデクチン-2遺伝子プロモーターは、推定エンハンサーおよびアデノウイルス保存配列(アデノウイルスプロモーター中の逆方向末端反復)を含有する(Bonkabaraら、2001、J.Immunology、167:6893~6900頁)。Kimuraらにより使用されたMHCクラスII遺伝子プロモーターは、いずれの既知のエンハンサーも含有しない。
【0021】
けれども、エンハンサーがなければ、MHCクラスIIプロモーターは、静脈内投与された場合には、DCでは十分な導入遺伝子発現をもたらさないことが見出された。特に、MHCクラスIIプロモーターを含むレンチウイルスベクターは、CMVプロモーター/エンハンサーで観察された免疫応答と対照的に、免疫応答性C57BL/6マウスで免疫反応を引き起こさなかった。マウスに注射後、組み込みおよび持続的導入遺伝子発現は観察されたが、MHCクラスIIプロモーターを通じて転写されたレンチウイルスベクターは、ワクチン接種ブースト後でさえ抗原特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球応答を刺激しなかった。したがって、これらの研究の著者らは、MHCクラスIIプロモーターの使用は、免疫療法との関連ではなく遺伝子置換療法のように発現の持続性が求められる適用にのみ対象となると結論付けた。注目すべきことには、MHCクラスIIプロモーターはほとんどの細胞種において発現が乏しい。
【0022】
よって、MHCクラスIIプロモーターは、IV注入を介した抗原に対する免疫応答の誘導に関してレンチウイルスベクターの適切なプロモーターではない。さらに、デクチン-2プロモーターは、ほとんどの細胞種において発現が乏しく、エンハンサーを含有するようである。よって、デクチン-2プロモーターは、安全性の理由のため、レンチウイルスベクターの良好なプロモーターではない。
【0023】
好ましくは、免疫療法においてレンチウイルスベクターは、所望の特異的免疫応答を誘発する導入遺伝子の有効な発現を提供する。これは、樹状細胞などのAPCにおいて発現が高レベルであることを必要とする。
【0024】
レンチウイルスベクターにより形質導入された細胞は、より高度の安全性を提供するために免疫応答により排除されることも好ましい。すなわち、導入遺伝子に対して生じた免疫応答は、レンチウイルスベクターにより形質導入される細胞を排除するのに十分な宿主における免疫応答を誘発することができる。形質導入細胞の排除は、宿主におけるレンチウイルスベクターの持続性、および該ベクターの起こり得る副次的影響を排除する。形質導入細胞が排除されるためには、発現は、非樹状細胞において免疫応答による排除を可能にするレベルで求められる。よって、抗原の適切な発現が望まれる。
【0025】
同時に、プロモーターは、ナイーブおよび記憶T細胞の活性化に関与する重要な細胞(すなわち、樹状細胞)による免疫刺激を最大化すべきであり、悪性腫瘍をもたらす幹細胞における挿入変異および遺伝毒性のリスクを最小化すべきである。故に、プロモーターは、樹状および他の細胞において十分に高い活性を有するべきであるが、エンハンサーを含有すべきでない。これらの基準に基づき、CMVプロモーターなどのウイルスプロモーターは、強力なエンハンサーが存在するため理想ではない。これらの基準は、次のように要約される:
最大の免疫応答を誘導するための、樹状細胞を含む抗原提示細胞における高発現;
誘導された免疫応答による排除に十分な他の形質導入細胞タイプにおける発現;および
挿入による影響を回避するためのエンハンサーエレメントの欠如。
【0026】
キメラ抗原レセプター(CAR)は抗原の組換えレセプターである。Sadelainら、Cancer Discov.2013年4月3(4):388~398頁。それらは、典型的には天然の細胞表面抗原を標的とする組換えレセプターである。同文献。CARは、認識されるペプチドプロセッシングまたはHLA発現を必要としない分子と結合する。同文献。CARは、CD3-ζまたはFcレセプターγとCD8、CD4、CD25またはCD16との間のキメラ分子を含む、T細胞増殖および活性化の可能性を単独で有することが示されている。CARの抗原結合部分は、一般に、抗体由来のscFv、ライブラリーから選択されるFab、または天然レセプターリガンドのいずれかである。Han EQら、J Hematol Oncol、6:47、2013。
【0027】
CARは、CD19、HER2、GD2、PSMAを含む多くの異なる細胞表面分子に対して生成されており、多くは臨床試験中である。Davilaら、Onco Immunology 1:9、1577~1583頁;2012。CARの最も有望な臨床転帰は、CD19を標的とする自己CAR改変T細胞で治療された患者において見られた。Maus MVら、123(17):2625~35頁、2014。
【0028】
CARを発現するT細胞のインビボでの排除が研究されている。ヒトT細胞は、カスパーゼ9の誘導性活性化に依存する自殺遺伝子を含むCD20-CARを発現するようにレンチウイルスベクターで遺伝子改変されている。Buddeら、PLoS ONE 8(12):e82742(2013)。このレンチベクターは、T細胞における発現を得るためにヒトEF1αプロモーターを使用した。自殺ヒューズの活性化により、インビトロおよびインビボの両方で形質導入されたT細胞が効率良く除去された。同文献。
【0029】
有害事象を防止し、発現が止まった後にシステムを再起動できるようにするために、細胞の表面でCARの発現を素早く止めることができる方が良いであろう。よって、ヒトの治療のために改良されたベクターおよび方法に対する必要性が当技術分野に存在する。本発明は、当技術分野におけるこれらの必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【0030】
本発明は、CARをコードする核酸分子およびベクター、ならびに当該核酸分子およびベクターの作製方法および使用方法を包含する。一実施形態では、本発明は、結合ドメイン;膜貫通ドメイン;好ましくはストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック(hook)結合ドメイン;および配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメインを含むキメラ抗原レセプターを包含する。
【0031】
一実施形態では、本発明は、結合ドメイン;膜貫通ドメイン;ストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメインを含むキメラ抗原レセプターを発現するレンチウイルスベクターを包含する。
【0032】
一実施形態では、本発明は、結合ドメイン;膜貫通ドメイン;好ましくはストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメインを含むキメラ抗原レセプターをコードする核酸ベクターを包含する。
【0033】
一実施形態では、本発明は、結合ドメイン;膜貫通ドメイン;好ましくはストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメインを含むキメラ抗原レセプターをコードするレンチウイルスベクター粒子を包含する。
【0034】
一実施形態では、前記キメラ抗原レセプターまたは前記レンチウイルスベクターまたは前記核酸ベクターまたは前記レンチウイルスベクター粒子は、単鎖Fv抗体または単一ドメイン抗体(すなわち、ナノボディ)を含む。
【0035】
一実施形態では、前記ベクターは、配列番号31または配列番号32のアミノ酸配列を含むフックをコードする。
【0036】
一実施形態では、前記ベクターは、β2-ミクログロブリン、Ubi、EF1α、MHCIまたはMHCIIプロモーターを含む。一実施形態では、ベクターはDNAである。
【0037】
一実施形態では、前記レンチウイルスベクター粒子は、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質を含む。一実施形態では、前記レンチウイルスベクター粒子は、HIV-1サブタイプD GagおよびPolタンパク質を含む。
【0038】
一実施形態では、本発明は、本発明のベクターを含む単離された細胞を包含する。
【0039】
本発明は、ヒトにおいて免疫応答を誘導するための、本発明のいずれかのキメラ抗原レセプターまたはレンチウイルスベクターまたは核酸ベクターまたはレンチウイルスベクター粒子の使用を包含する。
【0040】
本発明は、ヒトにおいて免疫応答を誘導するための方法であって、前記レンチウイルスベクター粒子またはキメラ抗原レセプターをコードする前記レンチウイルスベクター粒子によって形質導入された細胞をヒトに投与する工程、および場合によってその後ヒトにビオチンを投与する工程を含む方法を包含する。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記キメラ抗原レセプターまたは前記レンチウイルスベクターまたは前記核酸ベクターは、配列番号45、配列番号47または配列番号49のいずれかのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、前記キメラ抗原レセプターは、配列番号46、配列番号48または配列番号50のいずれかのアミノ酸配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記レンチウイルスベクターまたは前記核酸ベクターは、配列番号42のアミノ酸配列をさらにコードし、または配列番号43および/または配列番号44の核酸配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】図に示すプロモーターを有するレンチベクターからのHEK293TおよびBDCM細胞におけるGFP発現を示す。
【
図2】biogps.orgのデータセットを用いて分析した様々なプロモーターの細胞特異的発現を示す。発現レベルは、骨格筋における発現(=1.0)に対して正規化したものである。
【
図3】ヒトユビキチン、MHCクラスI、MHCクラスII、およびβ2ミクログロブリン(β2m)プロモーターを有する様々なレンチベクターからのT細胞におけるCARの発現を示す。
【
図4】フック-ストレプトアビジンをコードするベクターおよび+/-ビオチンの用量漸増による、フック-ストレプトアビジンに融合したコドン最適化VSV-Gタンパク質をコードするシュードタイピングベクターによる力価を示す。
【
図5】CAR-RUSHの構造および発現を示す。A)設計された3つのCAR-RUSH構造のスキーム。CAR-RUSHは、4-1BBおよびCD3ゼータ細胞内ドメインを表す第2世代のCARである。CAR-RUSHの特異性は、SBP(ストレプトアビジン結合タンパク質)領域の存在下に存在し、ストレプトアビジンに結合したHOOKタンパク質と相互作用し、結果として小胞体における保持を可能にする。SBP1、SBP2およびSBP3の違いは、膜貫通ドメインと4-1BBの間、または4-1BBとCD3ゼータの間、またはC末端のそれぞれに置かれたSBP領域の位置にある。B)FACSによって分析されたCAR陽性Tリンパ球の中央値蛍光強度を示すMFI。細胞をMOI10で形質導入し、形質導入後3日目に分析した。ヒストグラムで報告されたMFI値は、バックグラウンドに相当する非形質導入細胞からmfiを差し引くことによって正規化される。すべてのCAR陽性T細胞は、同等のMFIを示し、第2世代CAR-CD19(ポジティブコントロール)は、試験した他のコンストラクトよりも3倍高いMFIを示した。3種のCAR-RUSH(SBP1、SBP2およびSBP3)タンパク質はすべて、非常に類似したMFIを示し、それゆえ細胞表面で同様のレベルで発現された。
【
図6】HOOK-ストレプトアビジンをコードするレンチベクターによる同時形質導入およびビオチン処理後のCAR-RUSHコンストラクトの発現および反応を示す。FACSによって分析されたCAR陽性Tリンパ球のパーセンテージ(A)および中央値蛍光強度を示すMFI(B)。細胞は、HOOK-ストレプトアビジン(MOI5)をコードするレンチベクターおよびCAR-SBP(MOI5)をコードするレンチベクターで同時形質導入した。これは最終総MOI10に相当する。ビオチンを同時形質導入の時点で加え、形質導入後3日目に細胞を分析した。ヒストグラムで報告されたパーセンテージおよびMFI値は、バックグラウンドに相当する非形質導入細胞から値を差し引くことによって得た。CAR-RUSHコンストラクトは、ビオチンを培地に添加した後に特異的に低い割合で発現された。これは、共形質導入の状況において、CAR-RUSHがHOOKタンパク質によって効率良く保持され、ビオチン媒介誘導のみによって細胞膜に提示され得たことを示唆する。
【
図7】CAR-RUSHバイシストロン性コンストラクトの発現および反応を示す。FACSによって分析されたCAR陽性Tリンパ球のパーセンテージおよび中央値蛍光強度を示すMFI。細胞を10(A)または30(B)のMOIで形質導入し、形質導入後3日目に分析した。ビオチンは形質導入時に加えた。ヒストグラムで報告されたパーセンテージおよびMFI値は、バックグラウンドに相当する非形質導入細胞からの値を差し引くことによって得た。SBP1-CD19およびSBP3-CD19 CAR-RUSHコンストラクトは、培地中にビオチンを添加した場合にのみ細胞表面に発現を示した。これは、CAR-RUSHがビオチンの非存在下でHOOK-ストレプトアビジンタンパク質によって特異的に保持され、ビオチンの送達後にRUSH調節システムはその輸送とその原形質膜上での発現を誘導したことを示唆する。SBP1-CD19およびSBP3-CD19 CAR-RUSHコンストラクトは、培地中にビオチンを添加すると細胞表面での発現を示した。高いMOI(MOI=30)では、ビオチンの非存在下でさえ、SBP1-CD19は細胞表面でわずかな発現を示した。これらの結果を考慮すると、CAR-RUSHは、ビオチンの非存在下でHOOKストレプトアビジンタンパク質によって大きく保持されていると考えられた。さらに、予想されたように、ビオチン送達は、原形質膜へのその輸送およびそれらの発現を誘導した。
【
図8】CAR-RUSHシステムスイッチ評価(OFF/ON)を示す。精製したT細胞を、CAR-RUSHシステムをコードするレンチベクターで0日目に形質導入し、ビオチンを同時に添加したものまたは添加しないものを作製した。3日目に、T細胞表面のCARの発現についてフローサイトメトリーによってT細胞を分析した。FACSによって分析された1つの代表的なドナーからのCAR陽性Tリンパ球のパーセンテージ(A)および中央値蛍光強度を示すMFI(B)。CAR-RUSHコンストラクトを10または20のMOIで形質導入し、同時にビオチンを添加し、形質導入後3日目にT細胞を細胞表面のCAR発現について分析した。この実験の背後にある理論的根拠は、ビオチン送達時のCAR-RUSHコンストラクトの誘導の動力学およびビオチン誘導物質の非存在下でのCAR-RUSH保持の効率を研究することであった。上のパネルに示すように、CAR陽性T細胞の割合が低いことが検出され、CAR-RUSHコンストラクトに依存して、その効果はビオチン添加に依存するかまたは独立していた。分析したCAR-RUSHコンストラクトに依存して、CAR陽性T細胞の割合が低いことが検出された。CAR-SBP1およびCAR-SBP2について、細胞表面でのCAR-RUSH発現を誘導するビオチンの能力が検出された。CAR-SBP3は、ビオチンの存在下および非存在下の両方でわずかなCAR発現を示した。
【
図9】CAR-RUSHシステムスイッチ評価(OFF/ON/OFF)を示す。精製したT細胞をCAR-RUSHシステムをコードするレンチベクターで0日目に形質導入し、ビオチンを同時に添加したものまたは添加しないものを作製した。3日目に、一連のウェルを、ビオチンの存在下および非存在下の両方でCARの発現についてフローサイトメトリーによって分析した。CARの発現をオフにするCAR陽性細胞の能力をモニターするために、他の一連のウェルを洗浄し、ビオチンを含むまたは含まない培養物に戻した。次いで、7日目にT細胞をT細胞表面でのCAR発現について分析した。FACSによって分析され、健康なドナー32に由来するCAR陽性Tリンパ球のパーセンテージ(A)および中央値蛍光強度を示すMFI(B)。CAR-RUSHコンストラクトをMOI10で形質導入し、3日目のビオチンの再添加または非添加後の形質導入後7日目に細胞表面のCAR発現について分析した。A)に示されるように、CAR陽性T細胞の割合が低いことが検出された。ビオチンは、CAR-SBP2およびCAR-SBP3の両方について細胞外表面でCAR-RUSH発現を誘導し、特にCAR-SBP3については、3日目の洗浄およびビオチン再添加後にCAR発現が再び誘導された。FACSにより分析され、健康なドナー31由来のCAR陽性Tリンパ球のパーセンテージ(C)および中央値蛍光強度を示すMFI(D)。CAR-RUSHコンストラクトをMOI20で形質導入し、3日目のビオチンの再添加または非添加後の形質導入後7日目に細胞表面でのCAR発現について分析した。試験した3種すべてのCAR-RUSHは、CAR陽性細胞の割合が低かった。さらに、ビオチンの存在下および非存在下の両方においてCAR発現を示したCAR-SBP1を除いて、0日目および/または7日目にビオチンを添加した条件下でCAR-RUSHが排他的に発現した。
【
図10】car-cd19の第2世代およびその構成要素のアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す。a)ヌクレオチド配列(配列番号39)、b)アミノ酸配列(配列番号51)、およびc)シグナル配列、cd19 sCfV、cd8ヒンジ、膜貫通ドメイン、4-1bbおよびcd3Z配列を示す特徴。
【
図11】バイシストロン性フックストレプトアビジン-IRES-CAR-SBP-CD19第2世代コンストラクトの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の詳細な説明
キメラ抗原レセプター(CAR)をコードする種々のレンチベクターコンストラクトを、T細胞でのCARの発現のために作製した。どのプロモーターがヒトT細胞における発現に最も適しているのかは不明であった。プロモーターを比較するために、腎細胞株および樹状細胞株に、種々のプロモーターから緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するレンチウイルスベクターを形質導入した。ヒトEF1αプロモーターは、樹状細胞株BDCMにおいて最も強力なプロモーターであることが判明した(
図1)。このプロモーターはまた、腎細胞株293Tにおいても非常に強力であった。様々なプロモーターの細胞特異的発現を、biogps.orgのデータセットを用いて分析した(
図2)。このデータセットから、T細胞におけるEF1αプロモーターの発現は、BDCA+細胞における発現に類似している。実際、ヒトEF1αプロモーターは、活性化されたヒトT細胞においてCARを発現するために既に使用されていた。Buddeら、PLoS ONE 8(12):e82742(2013)。
【0045】
異なる細胞種における発現の差に基づいて、どのプロモーターがヒトT細胞におけるCARの発現に成功裏に使用され得るかは明らかではなかった。ヒトユビキチンMHC I、MHC IIおよびβ2ミクログロブリン(β2m)プロモーターを、ヒトT細胞におけるCARの発現に対する適合性について評価した。予期しないことに、これらプロモーターすべてがヒトT細胞で機能することが判明した(
図3A~C)。
【0046】
CAR T細胞を生成する最良の条件を見出すために、T細胞形質導入およびCAR発現に影響を与える可能性のあるいくつかのパラメータを試験した(例えば、MOI、インキュベーション時間、プロモーター、T細胞活性化および精製戦略)。
【0047】
バックグラウンド(非形質転換(UTD)コントロールにおけるCAR+細胞の%)を減じた後、24時間目(MOI=10および30でのUBCベクター)、96時間目(MOI=3のβ2MベクターおよびMOI=3および10のUBCベクター)および8日目(MOI=30のβ2Mベクターおよび試験したMOIごとのUBCベクター)に、CAR+細胞を検出した。96時間目および8日目で、非形質導入リンパ球と比較して高い割合(約30%)のCAR-CD19陽性細胞が見られた。7日目に、生存CD3+集団を分析すると、非形質導入リンパ球と比較して高い割合(約70%)のCAR-CD19陽性細胞が見られた。
【0048】
いくつかのドナーではCAR-CD19の強力な発現が見られた(CD3陽性リンパ球の最大70%)。MOI=3であってもCAR発現が見られた。しかしながら、高い割合のCAR陽性細胞は、遅い時点(この実験では7日目)で達成された。興味深いことに、ドナー間のCAR発現は可変的であった。CAR-CD19については、CD3陰性細胞がCAR-CD19を発現しなかったので、発現はCD3陽性集団に限定されていた。
【0049】
フック-ストレプトアビジン配列を、VSV-Gとの融合体として、コドン最適化VSV-Gタンパク質をコードするシュードタイピングベクターにクローニングした。このベクターを、GFPをコードするレンチベクターおよび漸増用量のフック-ストレプトアビジンコードベクターを用いた同時形質移入により評価した。ERにおけるVSVタンパク質の保持による力価の低下は見られなかった(
図4)。免疫蛍光試験は、ERにおけるVSVタンパク質の保持の欠如を示した。これは、VSVタンパク質単独について見られる結果と対照的である。Nature Methods 9(5):493~500頁(2102)。したがって、CAR発現がフック-ストレプトアビジンシステムで調節されるか否かは不明であった。
【0050】
細胞内ドメイン間の様々な位置にストレプトアビジン結合タンパク質(SBP)を有するCAR-CD19またはCAR-CD19のT細胞の表面での発現を評価して、SBP配列の存在がCAR発現を改変しているか否かを調べた。様々な位置にSBPを有するCAR-CD19+を、β2mプロモーターの制御下でレンチウイルスベクターにクローニングした。
【0051】
ヒトT細胞にレンチウイルスベクターを形質導入し、CD19の発現を細胞表面で評価した。CAR-CD19-SBPはT細胞の表面で発現され、CAR-CD19と比較してMFIがわずかに低下する(
図5)。
【0052】
細胞内ドメイン間の様々な位置にSBPを有するCAR-CD19レンチベクターを、フック-ストレプトアビジンの存在下で評価した。ヒトT細胞を、CAR-CD19-SBPを発現するレンチベクターおよびフック-ストレプトアビジンを発現するレンチベクターにより同時形質導入し、形質導入細胞の割合およびMFIをビオチンの添加の前または後に評価した。フック-ストレプトアビジンおよびCAR-CD19-SBPは、ヒトT細胞において共発現され得ることが判明した。フック-ストレプトアビジンの存在は、T細胞の小胞体中にCAR-CD19-SBPを保持することができ、培地中のビオチンの添加により、CAR-CD19の放出および細胞表面でのその発現が誘導された(
図6)。
【0053】
次いで、いくつかのレンチベクターを、様々な場所にSBPを含むCARとフックの両方を含むように構築した(
図11)。コンストラクトは、フックストレプトアビジンに連結されたβ2mプロモーター、続いて3つの異なる位置にSBPを有するCAR-CD19に連結されたIRESを含んでいた。
【0054】
種々のドナーからのヒトT細胞にレンチウイルスベクターを形質導入し、CAR-CD19-SBPの発現をビオチンの存在下および非存在下で細胞の表面で評価した。フック-IRES-CAR-CD19-SBPはヒトT細胞で発現された。フック-ストレプトアビジンの発現は、その位置にかかわらず、T細胞の小胞体中にCAR-CD19-SBPを保持することができた。培地中のビオチンの添加は、その位置にかかわらず、CAR-CD19の放出および細胞表面での発現を誘導した(
図7)。
【0055】
本発明は、CARをコードするレンチウイルスベクター、および宿主、特にヒトにおける免疫応答の誘導のためのそれらの使用を包含する。
【0056】
本発明のタンパク質、組成物、方法および他の実施形態を開示および説明する前に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないと理解されるべきである。明細書および添付の特許請求の範囲において、文脈から明らかに否定されない限り、単数形は複数の参照対象を包含すると理解されることに留意しなければならない。
【0057】
本明細書において、「含む(comprising)」という用語は、「含める(including)」または「含有する(containing)」と同義であり、包括的又は開放式(open-ended)であり、追加の記載されていないメンバー、要素または方法ステップを排除しない。
【0058】
本開示内容において、アミノ酸の完全な名称は、それぞれの標準的な3文字および1文字の略語と交換可能に使用される。疑いが生じないように、それらは以下の通りである:アラニン(Ala、A)、アルギニン(Arg、R)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、システイン(Cys、C)、グルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、グリシン(Gly、G)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、ロイシン(Leu、L)、リジン(Lys、K)、メチオニン(Met、M)、フェニルアラニン(Phe、F)、プロリン(Pro、P)、セリン(Ser、S)、スレオニン(Thr、T)、トリプトファン(Trp、W)、チロシン(Tyr、Y)、バリン(Val、V)。
【0059】
本明細書において、「インビトロ」という用語は、生物(例えば、動物、植物または微生物)内でなく、人工的環境、例えば試験管又は反応容器中、細胞培養液中、ペトリ皿中等で起こる事象を指す。
【0060】
本明細書において、「インビボ」という用語は、生物(例えば、動物、植物または微生物)内で起こる事象を指す。
【0061】
本明細書において、「単離された」という用語は、(1)それが(自然の中でまたは実験環境で)最初に生産された時に付随していた成分の少なくとも一部から分離された、並びに(2)人の手によって生産、調製、および/または製造された、物質または実体を指す。単離された物質および/または実体は、それらに最初に付随していたその他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上から分離され得る。いくつかの実施形態では、単離された作用剤は、約80%超、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書において、他の成分を実質的に含まない場合、物質は「純粋」である。
【0062】
単離された核酸、タンパク質、ポリペプチドおよび抗体を含む本発明の「単離された」生成物は、天然の産物ではない(すなわち、「天然には存在しない」)。むしろ、本発明の「単離された」核酸、タンパク質、ポリペプチドおよび抗体は、「人工」生成物である。本発明の「単離された」生成物は、天然の生成物と「顕著に異なる」または「有意に異なる」ものとすることができる。非限定的な例として、単離された核酸は、精製され、組換えられ、合成され、標識され、および/または固体基質に結合され得る。そのような核酸は、天然に生じる核酸と顕著に異なるか、または著しく異なる可能性がある。さらなる非限定的な例として、本発明の「単離された」タンパク質、ポリペプチドおよび抗体は、精製され、組換えられ、合成され、標識され、および/または固体基質に結合され得る。そのようなタンパク質、ポリペプチドおよび抗体は、天然に存在するタンパク質、ポリペプチドおよび抗体と顕著に異なるか、または著しく異なる可能性がある。
【0063】
本明細書において用いる「ペプチド」という用語は、短いポリペプチド、例えば典型的には約50個未満のアミノ酸、より典型的には約30個未満のアミノ酸を含むものを指す。本明細書で用いるこの用語は、構造的、したがって生物学的機能を模倣するアナログおよび模倣物(mimetics)を包含する。
【0064】
「ポリペプチド」という用語は、天然に生じるおよび非天然に生じる、両方のタンパク質およびその断片、変異体、誘導体、およびアナログを包含する。ポリペプチドは、単量体であっても多量体であってもよい。さらに、ポリペプチドは、それぞれが1または複数の別個の活性を有する複数の異なるドメインを含み得る。誤解を避けるために記すと、「ポリペプチド」は2アミノ酸以上の任意の長さであり得る。
【0065】
「単離されたタンパク質」または「単離されたポリペプチド」という用語は、その起源または由来する源に基づいて、(1)天然状態においてそれに伴う天然に付随する成分が付随していないタンパク質またはポリペプチド、(2)天然には見出されない純度で存在し、その純度は他の細胞材料の存在に関連して決定され得る、タンパク質またはポリペプチド(例えば、同じ種に由来する他のポリペプチドを含まない)、(3)異なる種の細胞から発現されるタンパク質またはポリペプチド、あるいは(4)天然に生じないタンパク質またはポリペプチド(例えば、これは、天然に見出されるポリペプチドの断片であるか、天然には見出されないアミノ酸のアナログ若しくは誘導体または標準的ペプチド結合以外の結合を含む)、である。したがって、化学的に合成されるまたはそれが天然に生じる細胞とは異なる細胞系において合成されるポリペプチドは、その天然の付随成分から「単離され」ている。ポリペプチドまたはタンパク質はまた、当該技術分野で周知のタンパク質精製技術を用いた単離により、天然付随成分を実質的に含まないようにすることができる。これらの定義から、「単離された」とは、そのように記載されたタンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはオリゴペプチドが、それが合成された細胞から物理的に取り出されていることを必ずしも必要としない。
【0066】
タンパク質またはポリペプチドは精製することができる。好ましくは、精製されたタンパク質またはポリペプチドは、純度が50%、75%、85%、90%、95%、97%、98%または99%超である。本発明の状況において、純度が50%(等)を超える精製タンパク質とは、他のタンパク質を50%(等)未満含む精製タンパク質試料を意味する。例えば、タンパク質を含む試料は、それが1%未満の混入宿主細胞タンパク質を含有する場合、99%純粋であり得る。
【0067】
本明細書で用いる「ポリペプチド断片」という用語は、天然に存在するタンパク質などの完全長ポリペプチドと比較して、欠失、例えばアミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するポリペプチドを指す。一実施形態では、ポリペプチド断片は、断片のアミノ酸配列が天然に存在する配列中の対応する位置と同一である連続配列である。断片は通常、少なくとも5、6、7、8、9もしくは10アミノ酸長、少なくとも12、14、16もしくは18アミノ酸長、少なくとも20アミノ酸長、少なくとも25、30、35、40もしくは45アミノ酸、少なくとも50もしくは60アミノ酸長、少なくとも70アミノ酸長、または少なくとも100アミノ酸長である。
【0068】
「融合タンパク質」という用語は、異種アミノ酸配列に結合したポリペプチドまたは断片を含むポリペプチドを指す。融合タンパク質は、2つ以上の異なるタンパク質に由来し得る2つ以上の所望の機能的要素を含むように構築できるので有用である。融合タンパク質は、目的のポリペプチドに由来する少なくとも10連続アミノ酸、少なくとも20もしくは30アミノ酸、少なくとも40、50もしくは60アミノ酸、または少なくとも75、100もしくは125アミノ酸を含む。融合タンパク質中に含まれる異種ポリペプチドは通常、少なくとも6アミノ酸長、少なくとも8アミノ酸長、または少なくとも15、20もしくは25アミノ酸長である。IgG Fc領域等のより大きなポリペプチドとさらに緑色蛍光タンパク質(「GFP」)発色団含有タンパク質等のタンパク質全体を含む融合物は特に有用である。融合タンパク質は、異なるタンパク質またはペプチドをコードする核酸配列とインフレームでポリペプチドまたはその断片をコードする核酸配列を構築し、次いで融合タンパク質を発現させることにより、組換え的に生産することができる。あるいは、融合タンパク質は、ポリペプチドまたはその断片を別のタンパク質に架橋結合することにより化学的に生産することができる。
【0069】
本明細書で使用される「組換え」とは、生体分子、例えば遺伝子もしくはタンパク質、または生物を指してもよい。「組換え」という用語は、クローニングされたDNA単離物、化学的に合成されたポリヌクレオチド、または異種系によって生物学的に合成されたポリヌクレオチド、ならびにそのような核酸によってコードされるタンパク質またはポリペプチドおよび/またはRNAに関して使用され得る。「組換え」核酸は、天然に連結されていないヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに連結された核酸である。「組換え」タンパク質またはポリペプチドは、(1)天然ではそれが連結していないアミノ酸またはポリペプチドに連結しているタンパク質またはポリペプチド、および/または(2)組換え核酸の転写および/または翻訳によって生成されたタンパク質またはポリペプチド、であってよい。したがって、微生物によって合成されたタンパク質は、例えば細胞内に存在する組換え核酸から合成されたmRNAから合成される場合、組換え体である。「組換え」細胞は、「組換え」生体分子を含む細胞である。例えば、「組換え」核酸を含むT細胞は「組換え」細胞である。
【0070】
「ポリヌクレオチド」、「核酸分子」、「核酸」または「核酸配列」という用語は、長さが少なくとも10塩基のヌクレオチドの重合体形態を指す。この用語には、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムもしくは合成のDNA)およびRNA分子(例えば、mRNAまたは合成RNA)、ならびに非天然ヌクレオチドアナログ、非天然ヌクレオシド間結合または両方を含むDNAまたはRNAのアナログが含まれる。核酸は任意の形態的コンホメーションであり得る。例えば、核酸は、一本鎖、二本鎖、三本鎖、四本鎖、部分的二本鎖、分岐鎖、ヘアピン、環状、または南京錠型(padlocked)コンホメーションであり得る。核酸(ポリヌクレオチドとも呼ばれる)は、RNA、cDNA、ゲノムDNAおよび上記の合成形態および混合重合体のセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含み得る。それらは、化学的または生化学的に改変されてよく、あるいは当業者には容易に理解されるように、非天然または誘導体化ヌクレオチド塩基を含んでいてもよい。そのような改変には、例えば、標識、メチル化、1つ以上の天然ヌクレオチドの類似体による置換、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメートなど)、荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、ペンダント部分(例えば、ポリペプチド)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート化剤、アルキル化剤、および修飾結合(例えば、アルファアノマー核酸など)のようなヌクレオチド間修飾が含まれる。また、水素結合および他の化学的相互作用を介して指定された配列に結合する能力においてポリヌクレオチドを模倣する合成分子も含まれる。そのような分子は当該分野で公知であり、例えば、ペプチド結合が分子の骨格中のリン酸結合を置換する分子を含む。他の修飾には、例えば、リボース環が架橋部分または「ロックされた」核酸に見られる修飾のような他の構造を含むアナログが含まれ得る。
【0071】
「合成」RNA、DNAまたは混合重合体とは、細胞の外側で作製されたもの、例えば化学的に合成されたものである。
【0072】
本明細書において、「核酸断片」という用語は、全長参照ヌクレオチド配列と比べて欠失、例えば5’末端または3’末端の欠失を有する核酸配列を指す。一実施形態では、核酸断片は、断片のヌクレオチド配列が天然配列中の対応する位置と同一である連続配列である。いくつかの実施形態では、断片は少なくとも10、15、20もしくは25ヌクレオチド長、または少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140もしくは150ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、核酸配列の断片はオープンリーディングフレーム配列の断片である。いくつかの実施形態では、そのような断片は、オープンリーディングフレームヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質のポリペプチド断片(本明細書で定義)をコードする。
【0073】
核酸は精製することができる。好ましくは、精製された核酸は、純度が50%、75%、85%、90%、95%、97%、98%または99%超である。本発明の状況において、純度が少なくとも50%である精製核酸とは、他の核酸を50%未満含む精製核酸試料を意味する。例えば、プラスミドの試料は、それが1%未満の混入バクテリアDNAを含有する場合、99%純粋であり得る。
【0074】
本明細書において、生物のゲノム中の内因性核酸配列(またはその配列にコードされるタンパク質生産物)は、異種配列が内因性核酸配列に隣接して配置される場合、本明細書中で「組換え型」と見なされる。この文脈で、異種配列とは、内因性核酸配列に天然には隣接していない配列であり、異種配列自体は内因性(同じ宿主細胞またはその子孫を起源とする)であっても、外因性(異なる宿主細胞またはその子孫を起源とする)であってもよい。例えば、宿主細胞のゲノム中の遺伝子の天然プロモーターを(例えば相同組換えにより)あるプロモーター配列に置換して、この遺伝子の発現パターンが変わるようにしてよい。この時、この遺伝子は、それに天然で隣接する配列の少なくとも一部から分離されているので、「組換え型」になる。
【0075】
核酸はまた、ゲノム中の対応する核酸に天然に起こらない任意の修飾を含む場合、「組換え型」と見なされる。例えば、内因性コード配列は、例えばヒトの介入により、人為的に導入された挿入、欠失または点変異を含む場合、「組換え型」と見なされる。「組換え核酸」はさらに、異種部位の宿主細胞染色体中に組み込まれた核酸およびエピソームとして存在する核酸コンストラクトを含む。
【0076】
本明細書において、参照核酸配列の「縮重変異体」という語句は、標準的な遺伝暗号に従って翻訳されて、参照核酸配列から翻訳されるのと同じアミノ酸配列を提供できる核酸配列を包含する。「縮重オリゴヌクレオチド」または「縮重プライマー」という用語は、必ずしも配列が同一ではないが1または複数の特定のセグメント内で互いに相同である標的核酸配列にハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドを示すために使用される。
【0077】
核酸配列の文脈における「パーセント配列同一性」または「同一」という用語は、対応が最大となるようにアラインメントした時に同じである2つの配列中の残基を指す。配列同一性比較の長さは、少なくとも約9ヌクレオチド、一般的に少なくとも約20ヌクレオチド、より一般的には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約32、さらにより典型的には少なくとも約36以上のヌクレオチドの一続きにわたり得る。ヌクレオチド配列同一性の測定に用いることができる複数の異なるアルゴリズムが当該技術分野で知られている。例えば、ポリヌクレオチド配列は、Wisconsin Packageバージョン10.0(Genetics Computer Group(GCG)、Madison、Wis)に含まれるプログラムであるFASTA、GapまたはBestfitを用いて比較することができる。FASTAは、クエリー配列とサーチ配列の間で最も重複する領域のアラインメントおよびパーセント配列同一性を提供する。Pearson、Methods Enzymol.183:63~98頁(1990)。例えば、核酸配列間のパーセント配列同一性は、参照により本明細書に援用するGCGバージョン6.1に提供されているように、FASTAをデフォルトのパラメーター(word size:6、スコアリングマトリックスにNOPAMファクター)で用いてまたはGapをデフォルトのパラメーターで用いて決定することができる。あるいは、コンピュータープログラムBLAST(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403~410頁(1990);GishおよびStates、Nature Genet.3:266~272頁(1993);Maddenら、Meth.Enzymol.266:131~141頁(1996);Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389~3402頁(1997);ZhangおよびMadden、Genome Res.7:649~656頁(1997))、特にblastpまたはtblastn(Altschulら、Nucleic Acids Res.25:3389~3402頁(1997))を用いて配列を比較することができる。
【0078】
本明細書において、「発現調節配列」とは、それらが作用可能に連結されているコード配列の発現に影響を与えるポリヌクレオチド配列を指す。発現調節配列は、核酸配列の転写、転写後事象および翻訳を調節する配列である。発現調節配列としては、適切な転写の開始配列、終結配列、プロモーター配列およびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えばスプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を高める配列(例えば、リボソーム結合部位);タンパク質安定性を高める配列;および、所望される場合、タンパク質の分泌を増大させる配列が含まれる。そのような調節配列の性質は宿主生物に応じて異なり、原核生物では、そのような調節配列としては通常、プロモーター、リボソーム結合部位および転写終結配列が含まれる。「調節配列」という用語は、最低限、発現にその存在が必須であるあらゆる成分を包含することが意図され、その存在が有利である付加的成分、例えばリーダー配列および融合パートナー配列をさらに包含し得る。
【0079】
本明細書において、「機能的に連結した(operativel linked)」または「作用可能に連結した(operably linked)」発現調節配列とは、目的の遺伝子を調節するための目的の遺伝子に発現調節配列が隣接している連鎖および目的の遺伝子を調節するためにトランスにまたは離れて作用する発現調節配列を指す。
【0080】
本明細書において、「ベクター」とは、それに連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すことが意図される。ベクターの1種が「プラスミド」であり、これは通常、付加的なDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指すが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅によりまたは環状プラスミドの制限酵素処理により得られるもの等の線状二本鎖分子も含む。他のベクターとしては、コスミド、バクテリア人工染色体(BAC)および酵母人工染色体(YAC)が含まれる。別の種類のベクターは、付加的DNAセグメントがウイルスゲノム中にライゲーションされ得るウイルスベクターである(以下にさらに詳細に説明)。ある特定のベクターは、それらが導入された宿主細胞中で自律的に複製できる(例えば、宿主細胞中で機能する複製起源を有するベクター)。他のベクターは、宿主細胞への導入後に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得、それにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが作用可能に連結されている遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターを本明細書中では「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と呼ぶ。組み込みコスミドベクターpYUB412は「ベクター」の例である。
【0081】
本明細書において、「組換え宿主細胞」(または単に「組換え細胞」または「宿主細胞」)という用語は、組換えベクター等の組換え核酸が導入された細胞を指すことが意図される。場合によっては、「細胞」という語は、細胞の種類を特定する名前で置き換えられる。例えば、「組換え微生物」とは、微生物宿主細胞である組換え宿主細胞である。このような用語は、特定の対象細胞を指すだけでなく、そのような細胞の子孫も指すことが意図されると理解されるべきである。変異または環境の影響に起因して次の世代で特定の修飾が起こり得るので、そのような子孫は、事実上、親細胞と同一でないことがあるが、それでも本明細書において「組換え宿主細胞」、「組換え細胞」および「宿主細胞」という用語の範囲に含まれる。組換え宿主細胞は、培養中で成長させた単離された細胞または細胞株であってもよく、生きた組織または生物中にある細胞であってもよい。
【0082】
本明細書において、「哺乳動物」という用語は、分類学的クラス哺乳動物の任意のメンバー、例えば胎盤性哺乳動物および有袋類哺乳動物を指す。したがって、「哺乳動物」には、ヒト、霊長類、家畜および実験哺乳動物が含まれる。哺乳動物の例としては、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ラマ、ウシ、霊長類、ブタ、および任意の他の哺乳動物が含まれる。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、トランスジェニック哺乳動物、遺伝子操作された哺乳動物およびクローン化された動物の少なくとも1つである。
【0083】
キメラ抗原レセプター
本発明は、細胞外抗原結合ドメイン(結合ドメイン)、ヒンジおよび膜貫通ドメイン(膜貫通ドメイン);フック結合ドメイン;および細胞内シグナル伝達ドメイン(活性化ドメイン)を含むキメラ抗原レセプター(CAR)を包含する。CARは、これらドメインのそれぞれの1つ、2つ、3つまたはそれ以上を含むことができる。
【0084】
本発明は、本明細書中に列挙される特定のポリペプチドおよびその断片の可能なすべての組み合わせを個々に包含する。
【0085】
本発明は、フック結合ドメインを含むCARを包含する。「フック結合ドメイン」は、細胞内の「フック」タンパク質に直接的または間接的に可逆的に結合するドメインであり、その結合によりCARが適切な条件下で小胞体(ER)またはゴルジから出るのが妨げられる。
【0086】
一実施形態では、フック結合ドメインは、ストレプトアビジン結合ペプチド(SBP)を含み、これにより、コアストレプトアビジンを持つフックタンパク質に結合することができる。ビオチンは、SBPを打ち負かすことによってフック結合ドメインを含むCARをフックから解放する。次いで、CARは細胞膜に移動することができる。
【0087】
好ましくは、RUSH(retention using selective hooks)システムと呼ばれるシステムを使用することができる。Boncompainら、Nat.Methods 9:493~498頁、2012が出典明記によって本明細書中に援用される。
【0088】
好ましくは、フック結合ドメインは、アミノ酸配列:MDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREP(配列番号1)を含むか、あるいは、核酸配列:ATGGACGAGAAAACCACCGGCTGGCGGGGAGGCCACGTGGTGGAAGGACTGGCCGGCGAGCTGGAACAGCTGCGGGCCAGACTGGAACACCACCCCCAGGGCCAGAGAGAGCCC(配列番号2)によってコードされる。
【0089】
そのN末端およびC末端で欠失したより短いSBP断片を、同一の有効性で使用してもよい。Barrette-Ng,I.H.、S.C.Wu、W.M.Tjia、S.L.WongおよびK.K.Ng.2013、「The structure of the SBP-Tag-streptavidin complex reveals a novel helical scaffold bridging binding pockets on separate subunits」、Acta crystallographica.Section D、Biological crystallography 69:879~887頁を参照のこと。
【0090】
フック結合ドメインの一実施形態は、国際公開公報2010/142785に記載されており、これは出典明記により本明細書に援用される。FKBPF-K506結合ドメイン12(FKBPI2)は、FKBP-ラパマイシン結合タンパク質(FRAP)をフックとして使用することができる。この実施形態では、相互作用は、FKBP12とFRAPとの間の相互作用を媒介することができ、特にFKI012、FK-CsAおよびラパマイシンからなる群から選択することができるラパマイシンまたはその類似体の存在下でのみ起こる。
【0091】
一実施形態において、フック結合ドメインは、CARの細胞質内領域に位置する。他の実施形態では、フック結合ドメインは、他の位置、すなわち、異なる細胞質内エレメント間(例えば、膜貫通領域と第一の共刺激エレメントとの間)または異なる共刺激エレメント間のすべての接合部に位置する。
【0092】
本発明は、ヒトポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む結合ドメインを含むCARを含む。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、F(ab’)2およびFab断片などの断片、一本鎖可変フラグメント(scFv)、一ドメイン抗体フラグメント(VHHまたはナノボディ、好ましくは、ラクダ科動物)、および二価および三価の抗体断片(ダイアボディおよびトリアボディ)が挙げられる。
【0093】
好ましくは、抗体は一本鎖Fv抗体またはナノボディである。
【0094】
一実施形態では、抗体は単一特異性である。一実施形態では、抗体は、2、3または4つのポリペプチドに対して多重特異性である。好ましくは、抗体は二重特異性である。
【0095】
抗体は、合成、モノクローナル、またはポリクローナルであってよく、当技術分野でよく知られる技術によって作製されうる。そのような抗体は、(非特異的結合とは対照的に)抗体の抗原結合部位を介してヒトタンパク質に特異的に結合する。ヒトタンパク質、ポリペプチド断片およびペプチドは、それと免疫反応する抗体を産生する際の免疫原として使用することができる。ヒトタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドは、抗体の形成を誘発する抗原決定基またはエピトープを含む。
【0096】
これらの抗原決定基またはエピトープは、直鎖または立体配座(不連続)のいずれかでありうる。直鎖エピトープは、ポリペプチドのアミノ酸の単一セクションから構成され、立体構造または不連続エピトープは、タンパク質折りたたみ時に近接してもたらされるポリペプチド鎖の異なる領域からのアミノ酸セクションから構成される(CA Janeway,Jr.およびP.Travers、Immuno Biology 3:9(Garland Publishing Inc.、第2版、1996)参照)。折り畳まれたタンパク質は複雑な表面を有するため、利用可能なエピトープの数は非常に多い。しかしながら、タンパク質の立体配座および立体障害のために、エピトープに実際に結合する抗体の数は、利用可能なエピトープの数よりも少ない(CA Janeway,Jr.およびP.Travers、Immuno Biology 2:14(Garland Publishing Inc.、第2版、1996))。エピトープは、当該分野で知られる任意の方法によって同定することができる。
【0097】
したがって、本発明の一態様は、ヒトタンパク質の抗原性エピトープに関する。そのようなエピトープは、以下に詳細に記載するように、抗体、特にモノクローナル抗体を産生するために有用である。
【0098】
抗体は、約107M-1以上のKaでヒトタンパク質またはポリペプチドに結合する場合、特異的に結合すると定義される。結合相手または抗体の親和性は、例えばScatchardら、Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660(1949)に記載されるものなどの従来技術を用いて容易に決定することができる。
【0099】
ポリクローナル抗体は、当技術分野においてよく知られる手順を用いて、様々な供給源、例えばウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウスまたはラットから容易に作製することができる。一般に、適切にコンジュゲートされた精製ヒトタンパク質またはポリペプチドは、典型的には、非経口注射によって宿主動物に投与される。免疫原性は、アジュバント、例えば、フロイント完全または不完全アジュバントの使用によって増強してもよい。追加免疫化後、少量の血清試料を採取し、ヒトタンパク質またはポリペプチドに対する反応性について試験する。このような測定に有用な種々のアッセイの例としては、Antibodies:A Laboratory Manual、Harlow and Lane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988に記載されるもの;ならびに、向流免疫電気泳動(CIEP)、ラジオイムノアッセイ、ラジオイムノ沈降、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ドットブロットアッセイおよびサンドイッチアッセイなどの手順が含まれる。米国特許第4376110号および第4486530号を参照のこと。
【0100】
モノクローナル抗体は、よく知られる手順を用いて容易に調製することができる。例えば、米国特許第RE32011号、第4902614号、第4543439号、第4411993号;Monoclonal Antibodies,Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses、Plenum Press、Kennett、McKeamおよびBechtol(編)、1980に記載されている手順を参照のこと。
【0101】
例えば、マウスなどの宿主動物は、単離され精製されたヒトタンパク質またはコンジュゲートされたヒトポリペプチド、例えば、前記特定のアミノ酸を含むかまたはそれからなるペプチドを、およそ3週間間隔で少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回腹腔内投与されうる。次いで、マウス血清を、従来のドットブロット技術または抗体捕捉(ABC)によってアッセイして、どの動物が融合するために最も適切かを決定する。およそ2~3週間後、マウスに、ヒトタンパク質またはポリペプチドの静脈内ブーストを与える。その後、マウスを屠殺し、確立されたプロトコールに従って、Ag8.653(ATCC)などの市販の骨髄腫細胞と脾臓細胞を融合した。簡潔に述べると、骨髄腫細胞を培地中で数回洗浄し、マウス脾臓細胞と約3個の脾臓細胞と1個の骨髄腫細胞の比で融合させる。融合剤は、当技術分野で使用される任意の適切な薬剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であってよい。融合細胞を選択的に増殖させる培地を含むプレートに融合物をプレーティングする。次いで融合細胞を約8日間増殖させうる。得られたハイブリドーマからの上清を回収し、最初にヤギ抗マウスIgでコーティングしたプレートに加える。洗浄後、標識されたヒトタンパク質またはポリペプチドなどの標識を各ウェルに加え、続いてインキュベーションする。その後、陽性ウェルを検出することができる。陽性クローンをバルク培養で増殖させ、続いて上清をプロテインAカラム(ファルマシア)で精製する。
【0102】
本発明のモノクローナル抗体は、出典明記によって本明細書中に援用されるAlting-Meesら、「Monoclonal Antibody Expression Libraries: A Rapid Alternative to Hybridomas」、Strategies in Molecular Biology 3:1~9頁(1990)に記載されるものなどの、代替的な技術を用いて製造されうる。同様に、特異的結合抗体をコードする遺伝子の可変領域を組み込むために、組換えDNA技術を用いて結合パートナーを構築することができる。そのような技術は、Larrickら、Biotechnology、7:394(1989)に記載されている。
【0103】
このような抗体の抗原結合断片(これは、従来の技術によって製造されうる)も本発明に包含される。このような断片の例としては、FabおよびF(ab’)2断片が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子工学技術によって製造された抗体断片および誘導体もまた提供される。
【0104】
本発明のモノクローナル抗体には、キメラ抗体、例えばネズミ科モノクローナル抗体のヒト化バージョンが含まれる。そのようなヒト化抗体は、知られる技術によって調製することができ、抗体をヒトに投与する場合、免疫原性が低下するという利点を提供する。一実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体は、ネズミ抗体の可変領域(またはその抗原結合部位のみ)およびヒト抗体由来の定常領域を含む。あるいは、ヒト化抗体断片は、ネズミ科モノクローナル抗体の抗原結合部位およびヒト抗体由来の可変領域断片(抗原結合部位を欠く)を含みうる。キメラおよびさらなる改変モノクローナル抗体の製造のための手順には、Riechmannら(Nature 332:323頁、1988)、Liu ら(PNAS 84:3439頁、1987)、Larrick ら(Bio/Technology 7:934頁、1989)およびWinterおよびHarris(TIPS 14:139、May、1993)に記載されているものが含まれる。抗体をトランスジェニックで作製する手順は、英国特許第2272440号、米国特許第5569825号および第5545806号に見られる。
【0105】
標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができるヒトおよび非ヒト部分の両方を含むキメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの、遺伝子工学的方法によって産生された抗体を使用することができる。このようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野で知られる標準的なDNA技術を用いて、例えばRobinsonら、国際公開公報87/02671;Akiraら、欧州特許出願0184187;Taniguchi、M.、欧州特許出願0171496;Morrisonら、欧州特許出願0173494;Neubergerら、PCT国際公開公報86/01533;Cabillyら、米国特許第4816567号;Cabillyら、欧州特許出願第0125023号;Betterら、Science 240:1041~1043頁、1988;Liuら、PNAS 84:3439~3443頁、1987;Liuら、J.Immunol.139:3521~3526頁、1987;Sunら、PNAS 84:214~218頁、1987;Nishimuraら、Canc.Res.47:999~1005頁、1987;Woodら、Nature、314:446~449頁、1985;およびShawら、J.Natl.Cancer Inst.80:1553~1559頁、1988;Morrison、S.L.、Science 229:1202~1207頁、1985;Oiら、BioTechniques 4:214、1986;Winter、米国特許第5225539号;Jonesら、Nature 321:552 525、1986;Verhoeyanら、Science 239:1534、1988;およびBeidlerら、J.Immunol.141:4053~4060頁、1988に記載の方法を用いた遺伝工学技術によって製造されうる。
【0106】
免疫グロブリンライブラリーは、好ましくは糸状ファージに由来するディスプレイパッケージの集団によって発現されて、抗体ディスプレイライブラリーを形成することができる。抗体ディスプレイライブラリーを作製する際に特に使用しやすい方法および試薬の例は、例えば、Ladnerら、米国特許第5223409号;Kangら、国際公開公報92/18619;Dowerら、国際公開公報91/17271;Winterら、国際公開公報92/20791;Marklandら、国際公開公報92/15679;Breitlingら、国際公開公報93/01288;McCaffertyら、国際公開公報92/01047;Garrardら、国際公開公報92/09690;Ladnerら、国際公開公報90/02809;Fuchsら、(1991)Bio/Technology 9:1370~1372頁;Hayら、(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81~85頁;Huseら、(1989)Science 246:1275~1281頁;Griffthsら、(1993)上掲;Hawkinsら、(1992)J Mol Biol 226:889~896頁;Clacksonら、(1991)Nature 352:624~628頁;Gramら、(1992)PNAS 89:3576~3580頁;Garradら、(1991)Bio/Technology 9:1373~1377頁;Hoogenboomら、(1991)Nuc Acid Res 19:4133~4137頁;および、Barbasら、(1991)PNAS 88:7978~7982頁に見られる。ディスプレイパッケージ(例えば、糸状ファージ)の表面上に表示されると、抗体ライブラリーをスクリーニングして、ヒトタンパク質またはポリペプチドに結合する抗体を発現するパッケージを同定および単離する。好ましい実施形態では、ライブラリーの一次スクリーニングは、固定化ヒトタンパク質またはポリペプチドによるパンニングを含み、固定化ヒトタンパク質またはポリペプチドに結合する抗体を発現するディスプレイパッケージが選択される。
【0107】
合成および半合成の抗体に関連して、そのような用語は、抗体フラグメント、アイソタイプスイッチド抗体、ヒト化抗体(例えば、マウス-ヒト、ヒト-マウス)、ハイブリッド、多特異性を有する抗体、および完全に合成された抗体様分子を包含するが、これらに限定されない。
【0108】
本発明は、CD3-ζまたはFc受容体γアミノ酸配列を含む活性化ドメインを含むCARを包含する。出典明記によってここに援用されるSadelainら、Cancer Discov.2013年4月、3(4):388~398頁を参照。本発明はさらに、CD3-ζ鎖と、CD28、4-1BB(CD137)、DAP10、OX40(CD134)、ICOS、CD27またはCD40Lのような共刺激レセプターの細胞質ドメインを含む活性化ドメインを含むCARを包含する。上掲。
【0109】
好ましくは、CARは、T細胞活性化活性を有する以下のアミノ酸配列の少なくとも1つの少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、150または200アミノ酸の断片を含む。
【0110】
CD3-ζ
MKWKALFTAA ILQAQLPITE AQSFGLLDPK LCYLLDGILF IYGVILTALF LRVKFSRSAD APAYQQGQNQ LYNELNLGRR EEYDVLDKRR GRDPEMGGKP QRRKNPQEGL YNELQKDKMA EAYSEIGMKG ERRRGKGHDG LYQGLSTATK DTYDALHMQA LPPR (配列番号3)
【0111】
CD28:
MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSC KYSYNLFSRE FRASLHKGLD SAVEVCVVYG NYSQQLQVYS KTGFNCDGKL GNESVTFYLQ NLYVNQTDIY FCKIEVMYPP PYLDNEKSNG TIIHVKGKHL CPSPLFPGPS KPFWVLVVVG GVLACYSLLV TVAFIIFWVR SKRSRLLHSD YMNMTPRRPG PTRKHYQPYA PPRDFAAYRS (配列番号4)
【0112】
4-1BB(CD137):
MGNSCYNIVA TLLLVLNFER TRSLQDPCSN CPAGTFCDNN RNQICSPCPP NSFSSAGGQR TCDICRQCKG VFRTRKECSS TSNAECDCTP GFHCLGAGCS MCEQDCKQGQ ELTKKGCKDC CFGTFNDQKR GICRPWTNCS LDGKSVLVNG TKERDVVCGP SPADLSPGAS SVTPPAPARE PGHSPQIISF FLALTSTALL FLLFFLTLRF SVVKRGRKKL LYIFKQPFMR PVQTTQEEDG CSCRFPEEEE GGCEL (配列番号5)
【0113】
DAP10:
MIHLGHILFL LLLPVAAAQT TPGERSSLPA FYPGTSGSCS GCGSLSLPLL AGLVAADAVA SLLIVGAVFL CARPRRSPAQ EDGKVYINMP GRG (配列番号6)
【0114】
OX40(CD134):
MCVGARRLGR GPCAALLLLG LGLSTVTGLH CVGDTYPSND RCCHECRPGN GMVSRCSRSQ NTVCRPCGPG FYNDVVSSKP CKPCTWCNLR SGSERKQLCT ATQDTVCRCR AGTQPLDSYK PGVDCAPCPP GHFSPGDNQA CKPWTNCTLA GKHTLQPASN SSDAICEDRD PPATQPQETQ GPPARPITVQ PTEAWPRTSQ GPSTRPVEVP GGRAVAAILG LGLVLGLLGP LAILLALYLL RRDQRLPPDA HKPPGGGSFR TPIQEEQADA HSTLAKI (配列番号:7)
【0115】
ICOS:
MKSGLWYFFLFCLRIKVLTGEINGSANYEMFIFHNGGVQILCKYPDIVQQFKMQLLKGGQILCDLTKTKGSGNTVSIKSLKFCHSQLSNNSVSFFLYNLDHSHANYYFCNLSIFDPPPFKVTLTGGYLHIYESQLCCQLKFWLPIGCAAFVVVCILGCILICWLTKKKYSSSVHDPNGEYMFMRAVNTAKKSRLTDVTL (配列番号:8)
【0116】
CD27:
MARPHPWWLCVLGTLVGLSATPAPKSCPERHYWAQGKLCCQMCEPGTFLVKDCDQHRKAAQCDPCIPGVSFSPDHHTRPHCESCRHCNSGLLVRNCTITANAECACRNGWQCRDKECTECDPLPNPSLTARSSQALSPHPQPTHLPYVSEMLEARTAGHMQTLADFRQLPARTLSTHWPPQRSLCSSDFIRILVIFSGMFLVFTLAGALFLHQRRKYRSNKGESPVEPAEPCHYSCPREEEGSTIPIQEDYRKPEPACSP (配列番号:33)
【0117】
CD40L(CD154):
MIETYNQTSPRSAATGLPISMKIFMYLLTVFLITQMIGSALFAVYLHRRLDKIEDERNLHEDFVFMKTIQRCNTGERSLSLLNCEEIKSQFEGFVKDIMLNKEETKKENSFEMQKGDQNPQIAAHVISEASSKTTSVLQWAEKGYYTMSNNLVTLENGKQLTVKRQGLYYIYAQVTFCSNREASSQAPFIASLCLKSPGRFERILLRAANTHSSAKPCGQQSIHLGGVFELQPGASVFVNVTDPSQVSHGTGFTSFGLLKL (配列番号:34)
【0118】
様々な実施形態において、CARは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号:33または配列番号:34のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは95%より多く、より好ましくは99%より多くの同一性を共有する、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、150または200アミノ酸の断片を含む。
【0119】
様々な実施形態において、CARの活性化ドメインは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号:33または配列番号:34のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは95%より多く、より好ましくは99%より多くの同一性を共有する、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、150または200アミノ酸の断片の1つ、2つ、3つまたはそれ以上を含む。
【0120】
本発明は、膜貫通(TM)ドメイン、好ましくは少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、150または200アミノ酸の断片、最も好ましくはCD28、CD3z、CD8、CD4、FcRγ、TM領域の少なくとも1つのものを含む。
【0121】
CARは精製されうる。好ましくは、精製されたCARは、純度が50%、75%、85%、90%、95%、97%、98%または99%超である。本発明の文脈において、純度が50%(等)超である精製されたCARは、50%(等)未満の他のタンパク質を含有する精製されたCAR試料を意味する。例えば、宿主細胞から精製された組換えCARの試料は、それが1%未満の混入宿主細胞タンパク質を含有する場合、99%純粋であり得る。
【0122】
好ましい実施形態において、CARは、配列番号46、配列番号48または配列番号50のいずれかのアミノ酸配列をコードする。
【0123】
特に好ましいCARは、シグナル配列、CD19 ScFv、CD8ヒンジ、膜貫通ドメイン、4-1BBおよび/またはCD3z配列を含む、
図11に示されるCARの構成要素のいずれかをコードするものを含む。他の好ましいCARには、配列番号44-50のCARの構成要素のいずれかをコードするものが含まれる。特に好ましいCARは、別の結合領域によって置換されたCD19 ScFvドメインを有する。
【0124】
核酸
本発明は、CARをコードする核酸を包含する。核酸は、一本鎖または二本鎖でありうる。核酸は、RNA分子またはDNA分子でありうる。好ましい核酸は、本明細書に詳述される配列番号の少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする。本発明は、ベクターに挿入された本発明の単離された核酸を包含する。
【0125】
一実施形態では、核酸配列は、配列番号2の核酸配列を含む。一実施形態では、核酸配列は、以下の核酸配列の1つまたはそれ以上を含む。
HOOK:(CORE+HA TAG+他の配列)
ATGCACCGGAGGAGATCACGCTCTTGTAGGGAGGACCAGAAACCTGTCACCGGTGACCCTAGCAAAGACTCAAAAGCTCAGGTGTCCGCTGCCGAGGCTGGCATTACTGGAACATGGTACAATCAGCTCGGGAGCACCTTTATTGTGACTGCTGGAGCCGATGGAGCCCTCACCGGAACATACGAATCTGCTGTGGGAAACGCCGAATCACGGTACGTCCTCACTGGCCGATACGATAGTGCCCCTGCCACCGACGGATCTGGGACTGCCCTGGGATGGACTGTCGCTTGGAAAAACAACTACCGGAATGCTCATTCTGCCACAACATGGAGTGGACAGTACGTGGGAGGCGCTGAGGCTAGAATCAATACACAGTGGCTGCTCACATCTGGCACAACCGAGGCAAATGCTTGGAAATCCACCCTGGTGGGACATGACACATTCACCAAAGTGAAACCCTCCGCCGCTTCAATCGATGCCGCCAAAAAAGCCGGAGTCAACAACGGCAATCCTCTGGATGCCGTCCAGCAGGTCGACTATCCGTACGACGTACCAGACTACGCAGTCGGACCGATGGACGATCAGAGGGACCTCATTAGCAACAACGAACAGCTGCCTATGCTGGGACGGCGACCTGGAGCCCCTGAATCCAAATGCTCTAGGGGAGCACTGTACACTGGCTTCTCCATTCTCGTGACACTGCTGCTGGCCGGGCAGGCTACTACTGCTTACTTCCTGTACCAGCAGCAGGGGCGGCTGGACAAACTCACTGTGACATCTCAGAACCTCCAGCTGGAAAATCTGAGGATGAAACTGCCCAAACCCCCTAAACCCGTGTCCAAAATGAGGATGGCCACACCTCTGCTCATGCAGGCACTGCCAATGGGAGCCCTGCCCCAGGGGCCCATGCAGAATGCCACCAAGTATGGCAACATGACAGAGGACCATGTGATGCACCTGCTCCAGAATGCTGACCCCCTGAAGGTGTACCCGCCACTGAAGGGGAGCTTCCCGGAGAACCTGAGACACCTTAAGAACACCATGGAGACCATAGACTGGAAGGTCTTTGAGAGCTGGATGCACCATTGGCTCCTGTTTGAAATGAGCAGGCACTCCTTGGAGCAAAAGCCCACTGACGCTCCACCGAAAGAGTCACTGGAACTGGAGGACCCGTCTTCTGGGCTGGGTGTGACCAAGCAGGATCTGGGCCCAGTCCCCATGTGA (配列番号35)。
コアストレプトアビジン:
GACCCTAGCAAAGACTCAAAAGCTCAGGTGTCCGCTGCCGAGGCTGGCATTACTGGAACATGGTACAATCAGCTCGGGAGCACCTTTATTGTGACTGCTGGAGCCGATGGAGCCCTCACCGGAACATACGAATCTGCTGTGGGAAACGCCGAATCACGGTACGTCCTCACTGGCCGATACGATAGTGCCCCTGCCACCGACGGATCTGGGACTGCCCTGGGATGGACTGTCGCTTGGAAAAACAACTACCGGAATGCTCATTCTGCCACAACATGGAGTGGACAGTACGTGGGAGGCGCTGAGGCTAGAATCAATACACAGTGGCTGCTCACATCTGGCACAACCGAGGCAAATGCTTGGAAATCCACCCTGGTGGGACATGACACATTCACCAAAGTGAAACCCTCCGCCGCTTCAATCGATGCCGCCAAAAAAGCCGGAGTCAACAACGGCAATCCTCTGGATGCCGTCCAGCAG (配列番号36)。
HA TAG:TATCCGTACGACGTACCAGACTACGCA (配列番号37)。
【0126】
好ましい核酸は、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、150、200、300、400、500または600ヌクレオチドである。
【0127】
核酸は精製されうる。好ましくは、精製された核酸は、純度が50%、75%、85%、90%、95%、97%、98%または99%超である。本発明の文脈において、純度が50%超である精製された核酸は、50%未満の他のタンパク質を含有する精製された核酸試料を意味する。例えば、宿主バクテリアから精製されたプラスミドの試料は、それが1%未満の混入バクテリアDNAを含有する場合、99%純粋であり得る。
【0128】
特に好ましい核酸には、以下のものが含まれる。
CAR_CD19 第2世代:1518bp
ATGGCCCTGCCTGTGACAGCCCTGCTGCTGCCCCTGGCTCTCCTGCTGCATGCCGCCAGACCCGCTAGCGACATCCAGATGACCCAGACCACCAGCAGCCTGAGCGCCAGCCTGGGCGACAGAGTGACCATCAGCTGCCGGGCCAGCCAGGACATCAGCAAGTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACCAGCCGGCTCCACAGCGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCAGCGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACAGGAAGATATCGCTACCTACTTCTGTCAGCAAGGCAACACCCTGCCCTACACCTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCACCGGCGGAGGCGGAAGTGGAGGTGGAGGATCTGGCGGCGGAGGCTCCGAAGTGAAGCTGCAGGAAAGCGGCCCTGGCCTCGTGGCCCCTAGCCAGAGCCTGTCCGTGACCTGTACCGTGTCCGGCGTGTCCCTGCCCGACTACGGCGTGTCCTGGATCAGACAGCCTCCCAGAAAGGGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATCTGGGGCAGCGAGACAACCTACTACAACAGCGCCCTGAAGTCCCGGCTGACCATCATCAAGGACAACAGCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGCAGACCGACGACACCGCCATCTACTACTGCGCCAAGCACTACTACTACGGCGGCAGCTACGCCATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGCCATATGGCCCTGAGCAACAGCATCATGTACTTCAGCCACTTCGTGCCCGTGTTTCTGCCCGCCAAGCCCACCACCACCCCTGCCCCTAGACCTCCCACCCCAGCCCCAACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCCCTGCGGCCCGAAGCCTGTAGACCTGCTGCCGGCGGAGCCGTGCACACCAGAGGCCTGGATATCTACATCTGGGCCCCTCTGGCCGGCACCTGTGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACAAAGCGGGGCAGAAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCATTCATGCGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAAGAGGACGGCTGCAGCTGCCGGTTCCCCGAGGAAGAGGAAGGCGGCTGCGAACTGCCCAAGCTGTGCTACCTGCTGGACGGCATCCTGTTCATCTATGGCGTGATCCTGACCGCCCTGTTCCTGAGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCCGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCCAGCGGCGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGCGGAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTAC (配列番号39)
CAR_CD19第3世代:1641bp
ATGGCCCTGCCTGTGACAGCCCTGCTGCTGCCCCTCGCTCTGCTGCTGCATGCCGCCAGACCCGCTAGCGACATCCAGATGACCCAGACCACCAGCAGCCTGAGCGCCAGCCTGGGCGACAGAGTGACCATCAGCTGCCGGGCCAGCCAGGACATCAGCAAGTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACCAGCCGGCTCCACAGCGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCAGCGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACAGGAAGATATCGCTACCTACTTCTGTCAGCAAGGCAACACCCTGCCCTACACCTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCACCGGCGGAGGCGGAAGTGGAGGGGGAGGATCTGGCGGCGGAGGCTCCGAAGTGAAGCTGCAGGAAAGCGGCCCTGGCCTGGTGGCCCCTAGCCAGAGCCTGTCCGTGACCTGTACCGTGTCCGGCGTGTCCCTGCCCGACTACGGCGTGTCCTGGATCAGACAGCCCCCCAGAAAGGGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATCTGGGGCAGCGAGACAACCTACTACAACAGCGCCCTGAAGTCCCGGCTGACCATCATCAAGGACAACAGCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGCAGACCGACGACACCGCCATCTACTACTGCGCCAAGCACTACTACTACGGCGGCAGCTACGCCATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGCCATATGGCCCTGAGCAACAGCATCATGTACTTCAGCCACTTCGTGCCCGTGTTTCTGCCCGCCAAGCCCACCACCACCCCTGCCCCTAGACCTCCCACCCCAGCCCCAACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCCCTGAGGCCCGAAGCCTGTAGACCTGCTGCCGGCGGAGCCGTGCACACCAGAGGCCTGGATATCTACATCTGGGCCCCTCTGGCCGGCACCTGTGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACCCGGTCCAAGCGGAGCAGACTGCTGCACTCCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCTGGCCCCACCCGGAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCCGGGACTTCGCCGCCTACAGAAGCAAGCGGGGCAGAAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGCGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAAGAGGACGGCTGCAGCTGCCGGTTCCCCGAGGAAGAGGAAGGCGGCTGCGAACTGCCCAAGCTGTGCTACCTGCTGGACGGCATCCTGTTCATCTATGGCGTGATCCTGACCGCCCTGTTCCTGAGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGCAGAGGCCGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCTCAGCGGCGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGCGGAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTAC (配列番号40)
【0129】
特に好ましい核酸には、シグナル配列、CD19 ScFv、CD8ヒンジ、膜貫通ドメイン、4-1BBおよび/またはCD3z配列を含む、
図9に示されるCARの構成要素のいずれかを含むかまたはコードするものが含まれる。他の好ましい核酸には、配列番号45~50のCARの構成要素のいずれかを含むかまたはコードするものが含まれる。
【0130】
いくつかの実施形態では、核酸は、プロモーター、好ましくはUBCまたはβ2Mに作動可能に連結されたフック、およびIRESに作動可能に連結されたフック結合タンパク質を含むCARを含む。好ましい実施形態において、フックはストレプトアビジンタンパク質、好ましくはコアストレプトアビジンであり、フック結合タンパク質はストレプトアビジン結合タンパク質である。
【0131】
ベクター
本発明は、CARおよびフック結合ドメインをコードするベクターを包含する。好ましいベクターは、核酸配列を含むか、または本明細書に詳述される配列番号の少なくとも1つのアミノ酸配列をコードする。
【0132】
ベクターは、「フック」をさらにコードしうる。「フック」は、直接的または間接的にCAR内のフック結合ドメインを可逆的に結合することによって、フック結合ドメインを含むCARが小胞体(ER)またはゴルジ体から出るのを妨げるタンパク質である。
【0133】
保持は、タンパク質のトポロジーおよび相互作用ドメインによるタグ付けの方向に依存して、ERの内腔またはその細胞質面で起こりうる。出典明記により本明細書に援用されるBoncompainら、Current Protocols in Cell Biology 15.19.1-15.19.16、2012年12月。
【0134】
いくつかの実施形態では、ERのためのフックは、ERに局在するが、微小管に結合することができない間質相互作用分子1(STIM1-NN;I型タンパク質)の変異体、N末端アルギニンベースのモチーフを有する主要組織適合複合体(Ii;II型タンパク質)のヒト不変鎖のアイソフォーム;またはC末端ER保持シグナル(Lys-Asp-Glu-Leu;KDEL)を含む。出典明記により本明細書に援用されるBoncompainら、Nat.Methods 9:493~498頁、2012。フックは、フック結合タンパク質に依存して、それらの腔内または細胞質ドメイン内のコアストレプトアビジンに融合することができる。上掲。
図1。
【0135】
他の実施形態において、ゴルジ体のためのフックは、細胞質ゴルジフックとして使用されるゴルジン-84でありうる。上掲。
【0136】
好ましくは、フックは、ストレプトアビジンタンパク質配列、最も好ましくはコアストレプトアビジンを含む。出典明記により本明細書に援用される米国特許第5672691号。
【0137】
好ましくは、フックは、以下のストレプトアビジンタンパク質配列の1つを含む。
MDPSKDSKAQVSAAEAGITGTWYNQLGSTFIVTAGADGALTGTYESAVGNAESRYVLTGRYDSAPATDGSGTALGWTVAWKNNYRNAHSATTWSGQYVGGAEARINTQWLLTSGTTEANAWKSTLVGHDTFTKVKPSAASIDAAKKAGVNNGNPLDAVQQ (配列番号31)、または、
MDPSKDSKAQVSAAEAGITGTWYNQLGSTFIVTAGADGALTGTYESAVGNAESRYTLTGRYDSAPATDGSGTALGWRVAWKNNYRNAHSATTWSGQYVGGAEARINTQWTLTSGTTEANAWKSTLRGHDTFTKVKPSAASIDAAKKAGVNNGNPLDAVQQ (配列番号32)、または、
MHRRRSRSCREDQKPVTGDPSKDSKAQVSAAEAGITGTWYNQLGSTFIVTAGADGALTGTYESAVGNAESRYVLTGRYDSAPATDGSGTALGWTVAWKNNYRNAHSATTWSGQYVGGAEARINTQWLLTSGTTEANAWKSTLVGHDTFTKVKPSAASIDAAKKAGVNNGNPLDAVQQVDYPYDVPDYAVGPMDDQRDLISNNEQLPMLGRRPGAPESKCSRGALYTGFSILVTLLLAGQATTAYFLYQQQGRLDKLTVTSQNLQLENLRMKLPKPPKPVSKMRMATPLLMQALPMGALPQGPMQNATKYGNMTEDHVMHLLQNADPLKVYPPLKGSFPENLRHLKNTMETIDWKVFESWMHHWLLFEMSRHSLEQKPTDAPPKESLELEDPSSGLGVTKQDLGPVPM (配列番号42)。
【0138】
好ましくは、フックは以下のヌクレオチド配列によってコードされる。
ATGCACCGGAGGAGATCACGCTCTTGTAGGGAGGACCAGAAACCTGTCACCGGTGACCCTAGCAAAGACTCAAAAGCTCAGGTGTCCGCTGCCGAGGCTGGCATTACTGGAACATGGTACAATCAGCTCGGGAGCACCTTTATTGTGACTGCTGGAGCCGATGGAGCCCTCACCGGAACATACGAATCTGCTGTGGGAAACGCCGAATCACGGTACGTCCTCACTGGCCGATACGATAGTGCCCCTGCCACCGACGGATCTGGGACTGCCCTGGGATGGACTGTCGCTTGGAAAAACAACTACCGGAATGCTCATTCTGCCACAACATGGAGTGGACAGTACGTGGGAGGCGCTGAGGCTAGAATCAATACACAGTGGCTGCTCACATCTGGCACAACCGAGGCAAATGCTTGGAAATCCACCCTGGTGGGACATGACACATTCACCAAAGTGAAACCCTCCGCCGCTTCAATCGATGCCGCCAAAAAAGCCGGAGTCAACAACGGCAATCCTCTGGATGCCGTCCAGCAGGTCGACTATCCGTACGACGTACCAGACTACGCAGTCGGACCGATGGACGATCAGAGGGACCTCATTAGCAACAACGAACAGCTGCCTATGCTGGGACGGCGACCTGGAGCCCCTGAATCCAAATGCTCTAGGGGAGCACTGTACACTGGCTTCTCCATTCTCGTGACACTGCTGCTGGCCGGGCAGGCTACTACTGCTTACTTCCTGTACCAGCAGCAGGGGCGGCTGGACAAACTCACTGTGACATCTCAGAACCTCCAGCTGGAAAATCTGAGGATGAAACTGCCCAAACCCCCTAAACCCGTGTCCAAAATGAGGATGGCCACACCTCTGCTCATGCAGGCACTGCCAATGGGAGCCCTGCCCCAGGGGCCCATGCAGAATGCCACCAAGTATGGCAACATGACAGAGGACCATGTGATGCACCTGCTCCAGAATGCTGACCCCCTGAAGGTGTACCCGCCACTGAAGGGGAGCTTCCCGGAGAACCTGAGACACCTTAAGAACACCATGGAGACCATAGACTGGAAGGTCTTTGAGAGCTGGATGCACCATTGGCTCCTGTTTGAAATGAGCAGGCACTCCTTGGAGCAAAAGCCCACTGACGCTCCACCGAAAGAGTCACTGGAACTGGAGGACCCGTCTTCTGGGCTGGGTGTGACCAAGCAGGATCTGGGCCCAGTCCCCATGTGA (配列番号43)。
【0139】
いくつかの実施形態では、配列番号31または配列番号32のaa49のグリシンがバルク残基(例えばスレオニン)で置換され、SBP結合親和性に影響を及ぼさずにビオチン結合親和性を低下させる。出典明記により本明細書に援用されるWuら、PLoS ONE 8(7):e69530(2013)。ビオチンよりSBP結合をさらに好むように、別の突然変異を導入することもできる(突然変異S27A)。
【0140】
いくつかの実施形態では、ベクターは、プロモーター、好ましくはUBCまたはβ2Mに作動可能に連結されたフック、およびIRESに作動可能に連結されたフック結合タンパク質を含むCARを含む。
【0141】
好ましいIRESヌクレオチド配列は、以下の通りである。
GCCCCTCTCCCTCCCCCCCCCCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAATAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGAAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATAAGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACGCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTTAGTCGAGGTTAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAA (配列番号44)
【0142】
好ましい実施形態において、フックはストレプトアビジンタンパク質、好ましくはコアストレプトアビジンであり、フック結合タンパク質はストレプトアビジン結合タンパク質である。好ましいベクターは、以下のヌクレオチドまたはアミノ酸配列のいずれかを含むレンチベクターである。
【0143】
CAR-CD19第2世代-SBP1(nt):
ATGGCCCTGCCTGTGACAGCCCTGCTGCTGCCCCTGGCTCTCCTGCTGCATGCCGCCAGACCCGCTAGCGACATCCAGATGACCCAGACCACCAGCAGCCTGAGCGCCAGCCTGGGCGACAGAGTGACCATCAGCTGCCGGGCCAGCCAGGACATCAGCAAGTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACCAGCCGGCTCCACAGCGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCAGCGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACAGGAAGATATCGCTACCTACTTCTGTCAGCAAGGCAACACCCTGCCCTACACCTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCACCGGCGGAGGCGGAAGTGGAGGTGGAGGATCTGGCGGCGGAGGCTCCGAAGTGAAGCTGCAGGAAAGCGGCCCTGGCCTCGTGGCCCCTAGCCAGAGCCTGTCCGTGACCTGTACCGTGTCCGGCGTGTCCCTGCCCGACTACGGCGTGTCCTGGATCAGACAGCCTCCCAGAAAGGGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATCTGGGGCAGCGAGACAACCTACTACAACAGCGCCCTGAAGTCCCGGCTGACCATCATCAAGGACAACAGCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGCAGACCGACGACACCGCCATCTACTACTGCGCCAAGCACTACTACTACGGCGGCAGCTACGCCATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGCCATATGGCCCTGAGCAACAGCATCATGTACTTCAGCCACTTCGTGCCCGTGTTTCTGCCCGCCAAGCCCACCACCACCCCTGCCCCTAGACCTCCCACCCCAGCCCCAACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCCCTGCGGCCCGAAGCCTGTAGACCTGCTGCCGGCGGAGCCGTGCACACCAGAGGCCTGGATATCTACATCTGGGCCCCTCTGGCCGGCACCTGTGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACCACCGGTATGGACGAGAAAACCACCGGCTGGCGGGGAGGCCACGTGGTGGAAGGACTGGCCGGCGAGCTGGAACAGCTGCGGGCCAGACTGGAACACCACCCCCAGGGCCAGAGAGAGCCCAAGCGGGGCAGAAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGCGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAAGAGGACGGCTGCAGCTGCCGGTTCCCCGAGGAAGAGGAAGGCGGCTGCGAACTGCCCAAGCTGTGCTACCTGCTGGACGGCATCCTGTTCATCTACGGCGTGATCCTGACCGCCCTGTTCCTGAGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCCGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCCAGCGGCGGAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGCGGAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTAC (配列番号45)
【0144】
CAR-CD19第2世代-SBP1(aa):
MALPVTALLLPLALLLHAARPASDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSGGGGSGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSHMALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITTGMDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREPKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELPKLCYLLDGILFIYGVILTALFLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLY (配列番号46)
【0145】
CAR-CD19第2世代-SBP2(nt):
ATGGCCCTGCCTGTGACAGCCCTGCTGCTGCCCCTGGCTCTCCTGCTGCATGCCGCCAGACCCGCTAGCGACATCCAGATGACCCAGACCACCAGCAGCCTGAGCGCCAGCCTGGGCGACAGAGTGACCATCAGCTGCCGGGCCAGCCAGGACATCAGCAAGTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACCAGCCGGCTCCACAGCGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCAGCGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACAGGAAGATATCGCTACCTACTTCTGTCAGCAAGGCAACACCCTGCCCTACACCTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCACCGGCGGAGGCGGAAGTGGAGGTGGAGGATCTGGCGGCGGAGGCTCCGAAGTGAAGCTGCAGGAAAGCGGCCCTGGCCTCGTGGCCCCTAGCCAGAGCCTGTCCGTGACCTGTACCGTGTCCGGCGTGTCCCTGCCCGACTACGGCGTGTCCTGGATCAGACAGCCTCCCAGAAAGGGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATCTGGGGCAGCGAGACAACCTACTACAACAGCGCCCTGAAGTCCCGGCTGACCATCATCAAGGACAACAGCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGCAGACCGACGACACCGCCATCTACTACTGCGCCAAGCACTACTACTACGGCGGCAGCTACGCCATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGCCATATGGCCCTGAGCAACAGCATCATGTACTTCAGCCACTTCGTGCCCGTGTTTCTGCCCGCCAAGCCCACCACCACCCCTGCCCCTAGACCTCCCACCCCAGCCCCAACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCCCTGCGGCCCGAAGCCTGTAGACCTGCTGCCGGCGGAGCCGTGCACACCAGAGGCCTGGATATCTACATCTGGGCCCCTCTGGCCGGCACCTGTGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACAAAGCGGGGCAGAAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGCGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAAGAGGACGGCTGCAGCTGCCGGTTCCCCGAGGAAGAGGAAGGCGGCTGCGAGCTGACCGGTATGGACGAGAAAACCACCGGCTGGCGGGGAGGCCACGTGGTGGAAGGACTGGCCGGCGAGCTGGAACAGCTGCGGGCCAGACTGGAACACCACCCCCAGGGCCAGAGGGAACCCCCCAAGCTGTGCTACCTGCTGGACGGCATCCTGTTCATCTACGGCGTGATCCTGACCGCCCTGTTCCTGAGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCCGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCCAGCGGCGGAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGCGGAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTAC (配列番号47)
【0146】
CAR-CD19第2世代-SBP2(aa):
MALPVTALLLPLALLLHAARPASDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSGGGGSGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSHMALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELTGMDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREPPKLCYLLDGILFIYGVILTALFLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLY (配列番号48)
【0147】
CAR-CD19第2世代-SBP3(nt):
ATGGCCCTGCCTGTGACAGCCCTGCTGCTGCCCCTGGCTCTCCTGCTGCATGCCGCCAGACCCGCTAGCGACATCCAGATGACCCAGACCACCAGCAGCCTGAGCGCCAGCCTGGGCGACAGAGTGACCATCAGCTGCCGGGCCAGCCAGGACATCAGCAAGTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACCAGCCGGCTCCACAGCGGCGTGCCCAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCAGCGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACAGGAAGATATCGCTACCTACTTCTGTCAGCAAGGCAACACCCTGCCCTACACCTTCGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCACCGGCGGAGGCGGAAGTGGAGGTGGAGGATCTGGCGGCGGAGGCTCCGAAGTGAAGCTGCAGGAAAGCGGCCCTGGCCTCGTGGCCCCTAGCCAGAGCCTGTCCGTGACCTGTACCGTGTCCGGCGTGTCCCTGCCCGACTACGGCGTGTCCTGGATCAGACAGCCTCCCAGAAAGGGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATCTGGGGCAGCGAGACAACCTACTACAACAGCGCCCTGAAGTCCCGGCTGACCATCATCAAGGACAACAGCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGCAGACCGACGACACCGCCATCTACTACTGCGCCAAGCACTACTACTACGGCGGCAGCTACGCCATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGCCATATGGCCCTGAGCAACAGCATCATGTACTTCAGCCACTTCGTGCCCGTGTTTCTGCCCGCCAAGCCCACCACCACCCCTGCCCCTAGACCTCCCACCCCAGCCCCAACAATCGCCAGCCAGCCTCTGTCCCTGCGGCCCGAAGCCTGTAGACCTGCTGCCGGCGGAGCCGTGCACACCAGAGGCCTGGATATCTACATCTGGGCCCCTCTGGCCGGCACCTGTGGCGTGCTGCTGCTGAGCCTGGTGATCACAAAGCGGGGCAGAAAGAAGCTGCTGTACATCTTCAAGCAGCCCTTCATGCGGCCCGTGCAGACCACCCAGGAAGAGGACGGCTGCAGCTGCCGGTTCCCCGAGGAAGAGGAAGGCGGCTGCGAACTGCCCAAGCTGTGCTACCTGCTGGACGGCATCCTGTTCATCTACGGCGTGATCCTGACCGCCCTGTTCCTGAGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCCGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCCAGCGGCGGAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGCGGAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACACCGGTATGGACGAGAAAACCACCGGCTGGCGGGGAGGCCACGTGGTGGAAGGACTGGCCGGCGAGCTGGAACAGCTGCGGGCCAGACTGGAACACCACCCCCAGGGCCAGAGGGAACCC (配列番号49)
【0148】
CAR-CD19第2世代-SBP3(aa):
MALPVTALLLPLALLLHAARPASDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGGGGSGGGGSGGGGSEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSHMALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELPKLCYLLDGILFIYGVILTALFLRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYTGMDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREP (配列番号50)
【0149】
ベクターは発現ベクターであってよい。ベクターはプラスミドベクターであってもよい。好ましくは、ベクターはレンチウイルスベクターである。
【0150】
本発明の文脈内では「レンチウイルスベクター」は、シス作用性レンチウイルスRNAまたはDNA配列を含み、トランスで提供されるレンチウイルスタンパク質(例えば、Gag、Pol、および/またはEnv)を必要とする導入遺伝子による宿主細胞の形質導入のための非複製ベクターを意味する。レンチウイルスベクターは、機能性Gag、Pol、およびEnvタンパク質の発現を欠く。レンチウイルスベクターは、前記レトロウイルスベクターの作製または開発の段階に応じてRNAまたはDNA分子の形態で存在してもよい。
【0151】
レンチウイルスベクターは、プラスミドなどの組換えDNA分子の形態にあってもよい。レンチウイルスベクターは、レンチウイルスおよび他のタンパク質の複合体内のRNA分子などのレンチウイルスベクター粒子の形態であってもよい。典型的には、改変または組換えレンチウイルス粒子に相当するレンチウイルス粒子ベクターは、一本鎖RNAの2つのコピーからなるゲノムを含む。これらのRNA配列は、宿主細胞ゲノムに挿入された二本鎖DNA配列(プロウイルスベクターDNA)からの転写により得ることができ、または形質転換された宿主細胞でのプラスミドDNA(プラスミドベクターDNA)の一過性発現から得ることができる。
【0152】
好ましくは、レンチウイルスベクター粒子は、組み込みのための能力を有する。したがって、それらは機能的インテグラーゼタンパク質を含む。非組み込みベクター粒子は、レンチウイルスベクター粒子の組み込み能力の大部分またはすべてを除去する1つ以上の突然変異を有する。例えば、非組み込みベクター粒子は、組み込む能力の低下を引き起こすレンチウイルスpol遺伝子によってコードされるインテグラーゼに突然変異を含むことができる。対照的に、組み込みベクター粒子は、レンチウイルスベクター粒子の組み込み能力の大部分またはすべてを除去する突然変異を含まない機能的インテグラーゼタンパク質を含む。
【0153】
レンチウイルスベクターは、レンチウイルス、特にヒト免疫不全ウイルス(HIV-1またはHIV-2)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ウマ感染性脳炎ウイルス(EIAV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)およびネコ免疫不全ウイルス(FIV)に由来し、病原性に関与する遺伝的決定基を除去し、治療効果を得るのに有用な新たな決定基を導入するために改変される。
【0154】
このようなベクターは、シスおよびトランス作用性配列の分離に基づく。複製欠損ベクターを生成するために、トランス作用性配列(例えば、gag、pol、tat、rev、およびenv遺伝子)を欠失させ、導入遺伝子をコードする発現カセットに置き換えることができる。
【0155】
非分裂細胞への効率的な組み込みおよび複製は、通常、レンチウイルスゲノムの中心に2つのシス作用性配列、セントラルポリプリントラクト(cPPT)およびセントラルターミネーション配列(CTS)の存在を必要とする。これらは、セントラルDNA「フラップ」と呼ばれる3本鎖DNA構造の形成をもたらし、該フラップは、樹状細胞などの非分裂細胞の核孔での組み込み前複合体の脱コート、および核への発現カセットの効率的な移入のためのシグナルとして作用する。
【0156】
ある実施形態において、本発明は、特に、欧州特許出願EP2169073号に記載されているようなcPPT/CTS配列と呼ばれるセントラルポリプリントラクトおよびセントラルターミネーション配列を含むレンチウイルスベクターを包含する。
【0157】
宿主細胞ゲノムへのベクタープロウイルスDNA配列の組み込みに関与する長末端反復配列(LTR)などのさらなる配列は、通常はシスで存在する。ベクターは、例えば前記LTRのドメインU3(ΔU3)中のLTR配列を変異させて得ることができる(Miyoshi Hら、1998、J Virol.72(10):8150~7頁;Zuffereyら、1998、J Virol 72(12):9873~80頁)。
【0158】
好ましくは、ベクターはエンハンサーを含まない。ある実施形態において、本発明は、3’LTR中のプロモーターおよびエンハンサー配列を除去している変異U3領域(ΔU3)を好ましくは有するLTR配列を含むレンチウイルスベクターを包含する。
【0159】
パッケージング配列Ψ(プサイ)は、ポリヌクレオチド配列のキャプシド形成を助けるためにベクター粒子に取り込まれてもよい(Kesslerら、2007、Leukemia、21(9):1859~74頁;Paschenら、2004、Cancer Immunol Immunother 12(6):196~203頁)。
【0160】
ある実施形態において、本発明は、レンチウイルスパッケージング配列Ψ(プサイ)を含むレンチウイルスベクターを包含する。
【0161】
トランスポートRNA結合部位もしくはプライマー結合部位(PBS)またはウッドチャック転写後調節エレメント(Woodchuck PostTranscriptional Regulation Element)(WPRE)などのさらなる追加の機能性配列も、インビボで導入遺伝子のより安定な発現を得るために、有利には本発明のレンチウイルスベクターポリヌクレオチド配列に含まれてもよい。
【0162】
ある実施形態において、本発明は、PBSを含むレンチウイルスベクターを包含する。ある実施形態において、本発明は、WPREおよび/またはIRESを含むレンチウイルスベクターを包含する。
【0163】
よって、好ましい実施形態において、レンチウイルスベクターは、少なくとも1つのcPPT/CTS配列、1つのΨ配列、1つの(好ましくは2つの)LTR配列、およびβ2mまたはクラスIMHCプロモーターの転写制御下で導入遺伝子を含む発現カセットを含む。
【0164】
プロモーター
本発明は、T細胞、好ましくはヒトT細胞でのレンチベクターからのCARの高発現を促進するためのプロモーターの使用を包含する。好ましいプロモーターは、ヒトユビキチン、MHCクラスI、MHCクラスII、およびβ2ミクログロブリン(β2m)プロモーターである。
【0165】
様々な実施形態において、プロモーターは、樹状細胞を含む抗原提示細胞において高発現を促進する。好ましくは、プロモーターは、挿入の影響を避けるためにエンハンサー要素を欠いている。
【0166】
最も好ましくは、プロモーターはCMVプロモーター/エンハンサーではない。好ましくは、プロモーターはデクチン-2またはMHCIIプロモーターではない。
【0167】
様々な哺乳類(ヒト)のMHCクラスIプロモーターの配列を以下に示す。
HLA-A2(MHC I):
attggggagtcccagccttggggattccccaactccgcagtttcttttctccctctcccaacctatgtagggtccttcttcctggatactcacgacgcggacccagttctcactcccattgggtgtcgggtttccagagaagccaatcagtgtcgtcgcggtcgcggttctaaagtccgcacgcacccaccgggactcagattctccccagacgccgagg (配列番号9)
HLA-B7(MHC I):
ggggaggcgcagcgttggggattccccactcccctgagtttcacttcttctcccaacttgtgtcgggtccttcttccaggatactcgtgacgcgtccccacttcccactcccattgggtattggatatctagagaagccaatcagcgtcgccgcggtcccagttctaaagtccccacgcacccacccggactcagag (配列番号10)
HLA-Cw5(MHC I):
cactggggaggcgccgcgttgaggattctccactcccctcagtttcacttcttctcccaacctgcgtcgggtccttcttcctgaatactcatgacgcgtccccaattcccactcccattgggtgtcgggttctagagaagccaatcagcgtctccgcagtcccggtctaaagtccccagtcacccacccggactcagattctccccagacgccgag (配列番号11)
HLA-E(MHC I):
taagaactgctgattgctgggaaactctgcagtttcccgttcctctcgtaacctggtcatgtgtccttcttcctggatactcatgacgcagactcagttctcattcccaatgggtgtcgggtttctagagaagccaatcagcgtcgccacgactcccgactataaagtccccatccggactcaagaagttctcaggactcagagg (配列番号12)
HLA-F(MHC I):
aggccccgaggcggtgtctggggttggaaggctcagtattgagaattccccatctccccagagtttctctttctctcccaacccgtgtcaggtccttcatcctggatactcataacgcggccccatttctcactcccattgggcgtcgcgtttctagagaagccaatcagtgtcgccgcagttcccaggttctaaagtcccacgcaccccgcgggactcatatttttcccagacgcggaggttggggtcatg (配列番号13)
【0168】
ヒトβ2ミクログロブリンプロモーターの配列を以下に示す。
aacatcacgagactctaagaaaaggaaactgaaaacgggaaagtccctctctctaacctggcactgcgtcgctggcttggagacaggtgacggtccctgcgggccttgtcctgattggctgggcacgcgtttaatataagtggaggcgtcgcgctggcgggcattcctgaagctgacagcattcgggccgag (配列番号14)
【0169】
ヒトユビキチン(Ubi)プロモーターの配列を以下に示す。
ggcctccgcgccgggttttgggcctcccgcgggcgcccccctcctcacggcgagcgctgccacgtcagacgaagggcgcagcgagcgtcctgatccttccgcccggacgctcaggacagcggcccgctgctcataagactcggccttagaaccccagtatcagcagaaggacattttaggacgggacttgggtgactctagggcactggttttctttccagagagcggaacaggcgaggaaaagtagtcccttctcggcgattctgcggagggatctccgtggggcggtgaacgccgatgattatataaggacgcgccgggtgtggcacagctagttccgtcgcagccgggatttgggtcgcggttcttgtttgtggatcgctgtgatcgtcacttggtgagtagcgggctgctgggctggccggggctttcgtggccgccgggccgctcggtgggacggaagcgtgtggagagaccgccaagggctgtagtctgggtccgcgagcaaggttgccctgaactgggggttggggggagcgcagcaaaatggcggctgttcccgagtcttgaatggaagacgcttgtgaggcgggctgtgaggtcgttgaaacaaggtggggggcatggtgggcggcaagaacccaaggtcttgaggccttcgctaatgcgggaaagctcttattcgggtgagatgggctggggcaccatctggggaccctgacgtgaagtttgtcactgactggagaactcggtttgtcgtctgttgcgggggcggcagttatggcggtgccgttgggcagtgcacccgtacctttgggagcgcgcgccctcgtcgtgtcgtgacgtcacccgttctgttggcttataatgcagggtggggccacctgccggtaggtgtgcggtaggcttttctccgtcgcaggacgcagggttcgggcctagggtaggctctcctgaatcgacaggcgccggacctctggtgaggggagggataagtgaggcgtcagtttctttggtcggttttatgtacctatcttcttaagtagctgaagctccggttttgaactatgcgctcggggttggcgagtgtgttttgtgaagttttttaggcaccttttgaaatgtaatcatttgggtcaatatgtaattttcagtgttagactagtaaattgtccgctaaattctggccgtttttggcttttttgttagaccgatc (配列番号38)
【0170】
ヒトHLA-DRαプロモーターの配列を以下に示す。
gtctagaagtcagattggggttaaagagtctgtccgtgattgactaacagtcttaaatacttgatttgttgttgttgttgtcctgtttgtttaagaactttacttctttatccaatgaacggagtatcttgtgtcctggaccctttgcaagaacccttcccctagcaacagatgcgtcatctcaaaatatttttctgattggccaaagagtaattgatttgcattttaatggtcagactctattacaccccacattctcttttcttttattcttgtctgttctgcctcactcccgagctc (配列番号41)
【0171】
様々な実施形態において、レンチウイルスベクターは、β2m、Ubi、MHCIIまたはMHCクラスIプロモーターを含む。好ましくは、MHCクラスIプロモーターはHLA-A2プロモーター、HLA-B7プロモーター、HLA-Cw5プロモーター、HLA-FまたはHLA-Eプロモーターである。様々な実施形態では、プロモーター配列は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号38または配列番号41のプロモーター配列と90%超、好ましくは95%超、より好ましくは99%超の同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、BDCA+樹状細胞におけるプロモーターの発現は、骨格筋細胞におけるそのプロモーターの発現の少なくとも10、12、15、20、25、30、35、40、50または60倍である。
【0173】
一実施形態では、本発明は、微生物または腫瘍抗原の発現を方向付ける樹状細胞特異的プロモーターを含むレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子であって、前記レンチウイルスベクター粒子は、HEK293T細胞よりもBDCM細胞において抗原の発現が高い、レンチウイルスベクター粒子を包含する。
【0174】
本発明は、エンハンサーを含まないプロモーターを含むレンチウイルスベクターを包含する。
【0175】
本発明は、MHCクラスI(MHCI)、Ubi、EF1αまたはβ2ミクログロブリン(β2m)プロモーターのレンチウイルスベクターへの挿入を包含する。本明細書で使用される「MHCクラスI(MHCI)プロモーター」または「β2ミクログロブリンプロモーター」または「MHCクラスII(MHCII)」または「ヒトユビキチンプロモーター」は、天然または合成のMHCクラスIプロモーターまたはβ2ミクログロブリンプロモーターまたは MHCクラスIIプロモーターまたはヒトユビキチンプロモーターを含む。「MHCクラスIプロモーター」なる用語は、β2mプロモーターを含まない。
【0176】
一実施形態では、プロモーターを含むレンチウイルスベクター粒子は、HEK293T細胞よりもBDCM細胞においてより高い発現を示す。
【0177】
プロモーターは、天然に生じるプロモーターであってよい。天然に生じるプロモーターの例は、ヒトβ2m、HLA-A2、HLA-B7、HLA-Cw5、HLA-E、HLA-F、HLA-DRαおよびユビキチン遺伝子プロモーターである。
【0178】
これらの天然に生じるMHCIプロモーターは通常、MHCクラスIタンパク質をコードする遺伝子、またはゲノムデータベース(例えば:NCBIポリヌクレオチドデータベースhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/guide/dna-rna)中のこのようなタンパク質を推定的にコードすると見なされる遺伝子のプロモーター領域からクローン化または複製される。β2mおよびクラスI MHCタンパク質は両方とも、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)に進入する。
【0179】
これらの遺伝子によりコードされるタンパク質は、ほぼすべての細胞タイプにおいて見出される。MHCIタンパク質は通常、白血球の膜の表面に存在し、ここでβ2ミクログロブリン(β2m)と結合する。これらの結合タンパク質の役割は、内因性供給源由来のペプチドをCD8+T細胞に提示することである。よってこれらは、抗原特異的免疫応答の生成に中心的な役割を果たす。MHCクラスIタンパク質は、多年の間広く研究および記載されてきたため、この遺伝子は十分に特徴付けされ、およびBLAST方法(Altschul,S.F.ら(1990).Basic local alignment search tool.J.Mol.Biol.215(3):403~410頁)などの配列比較ツールを用いて検出可能である。
【0180】
MHCクラスIプロモーターは、樹状細胞を含む抗原提示細胞で強力に活性化される能力のほか、他のヒト体組織の大部分において強度を低下させる能力を共有する。
【0181】
本発明のプロモーターは、1つまたは複数のSp1およびETs結合部位などのさらなる調節エレメントを含有することができる。好ましい実施形態において、MHCクラスIプロモーターは、2つのSp1結合部位および1つのEts結合部位を含有する。他の実施形態において、Ap1および/またはAp2部位がプロモーターにさらに含有される。
【0182】
好ましいプロモーターは、天然に生じるヒトβ2m、HLA-A2、HLA-B7、HLA-Cw5、HLA-E、およびHLA-Fプロモーターである。
【0183】
プロモーターはまた、合成であってもよい。合成プロモーターには、プロモーターの個々の成分を集積(アセンブル)するために分子生物学的手法を用いて合成されるプロモーター、または分子生物学的手法を用いる自然発生プロモーターに由来するプロモーターが含まれる。
【0184】
様々な実施形態において、合成プロモーターは、β2m、Ubi、MHCクラスIIまたはMHCクラスIの遺伝子プロモーター(例えば配列番号9~14、38または41)と90%超、好ましくは95%超、より好ましくは99%超、または100%の同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0185】
MHCクラス遺伝子の転写は、通常は2つの主要な調節エレメント:インターフェロン刺激応答エレメント(ISRE)およびSXYモジュール(W/S、X1X2/部位αおよびY/エンハンサーB調節エレメントを包含する)により媒介される。Van den Elsen、Immunogenetics(1998)48:208~211頁を参照のこと。
【0186】
これらの調節プロモーターエレメントは、転写開始部位のヌクレオチド-220から-95上流に広がる領域に局在化される。これらは、MHCクラスI遺伝子の組織特異的転写およびサイトカイン誘導転写を媒介する。
【0187】
MHCクラスI遺伝子プロモーターのISREは通常、インターフェロン調節因子(IRF)ファミリーメンバーに対する結合部位を含有している。ゆえに、インターフェロン調節因子(IRF)ファミリーメンバーに結合することはMHCクラスIプロモーターの特性である。これは、例えば、ゲルシフトアッセイにより検証することができる。
【0188】
別の調節エレメント、エンハンサーA(核内転写因子κB(NF-κB)に対する結合部位を含有する)は、ほとんどの場合で存在する。よって、核内転写因子κB(NF-κB)に結合することはMHCクラスIプロモーターの特性である。これは、例えば、ゲルシフトアッセイにより検証することができる。
【0189】
ISREに加えて、MHCクラスIプロモーターは通常、合わせてSXYモジュールと呼ばれる3つの調節エレメント:SまたはWボックス、X1/CREX2ボックスまたは部位α、およびYボックスまたはエンハンサーBからなる保存された上流配列モチーフの別のセットを共有する。このSXYモジュールは通常、調節因子X(RFX;RFX5、RFXB/ANKおよびRFXAPからなる)、cAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)/活性化転写因子(ATF)、および核内因子Y(NFY)を含有する多タンパク質複合体により協同的に結合され、これらの遺伝子のトランス活性化を駆動するエンハンセオソームとして作用する。よって、これらの因子に結合することはMHCクラスIプロモーターの特性である。これは、例えば、ゲルシフトアッセイにより検証することができる。
【0190】
対照的に、MHCクラスIIプロモーターはエンハンサーAもISREエレメントも表示しない(Van den Elsen,P.J.ら、1998、Immunogenetics. 48:208~221頁)。さらに、RFXサブユニットの1つまたはCIITAにおける変異による重症複合免疫不全、裸リンパ球症候群(BLS)を有する患者から確立された細胞株を用いた研究により例証されているように、MHCクラスII遺伝子調節においてRFXおよびCIITAは極めて重要であることが見出されている(DeSandro,A.ら、1999、Am J Hum Genet、65:279~286頁)。また、CIITAまたはRFXサブユニットの1つのどちらかの欠如は、それぞれMHCエンハンセオソームの機能および会合(アセンブル)に影響を及ぼし、MHCクラスIIの欠如およびMHCクラスI転写レベルの低下をもたらす(Van den Elsen,P.J.ら 2004、Current Opinion in Immunology、16:67~75頁)。
【0191】
一実施形態では、本発明は、本発明のCARの発現を指示するレンチウイルスベクターに、本発明のプロモーター、特にβ2m、Ubi、MHCクラスIIまたはMHCクラスIプロモーターを挿入することを含む方法を包含する。この方法は、DNAフラップ配列のような、本明細書に記載の他の核酸要素のいずれかを挿入することをさらに含むことができる。
【0192】
単離した細胞
本発明は、本発明のCARをコードするベクターおよびレンチウイルスベクター粒子を含む、細胞、特に免疫系の細胞を包含する。好ましくは、細胞は、TαβおよびTγδ細胞またはNK細胞を含むT細胞である。
【0193】
一実施形態では、細胞は、細胞ゲノムに組み込まれたベクターを含む。一実施形態では、細胞は、CARを一過的に発現するベクターを含む。一実施形態では、細胞は、CARをコードするレンチウイルスベクター粒子を産生する。
【0194】
様々な実施形態において、本発明は、CARをコードするベクターおよびレンチウイルスベクター粒子を含む細胞株、細胞集団、または細胞培養物を包含する。
【0195】
レンチウイルスベクター粒子
本発明は、レンチウイルスベクター粒子の製造方法を提供する。レンチウイルスベクター粒子(またはレンチウイルス粒子ベクター)は、ウイルスタンパク質と会合したレンチウイルスベクターを含む。ベクターは好ましくは組み込みベクターである。
【0196】
一実施形態では、レンチウイルスベクター粒子は、本発明のCARをコードする。
【0197】
ある実施形態において、レンチウイルスベクター粒子は、HIV-1 GagおよびPolタンパク質を含む。好ましくは、レンチウイルスベクター粒子は、サブタイプD、特にHIV-1NDK、GagおよびPolタンパク質を含む。
【0198】
この方法のある実施形態によれば、レンチベクター粒子は、DNAプラスミドで形質転換された宿主細胞において得られる。
このようなDNAプラスミドは、
-細菌複製起源(例えば、pUC ori)、
-選別のための抗生物質耐性遺伝子(例えば、KanR)、およびより特定すると
-β2m、Ubi、MHCクラスIIまたはMHCクラスIプロモーターに転写的に連結されたCARをコードする少なくとも1つの核酸を含むレンチウイルスベクター
を含みうる。
【0199】
このような方法により、以下のステップ:
i)適切な宿主細胞にレンチウイルスベクターを核酸移入するステップと、
ii)前記宿主細胞に、レトロウイルス(好ましくはレンチウイルス)の少なくとも構造的およびポリメラーゼ(+インテグラーゼ)活性をコードするウイルスDNA配列を含有するパッケージングプラスミドベクターを核酸移入するステップと(このようなパッケージングプラスミドは当技術分野で記載されている(Dullら、1998、J Virol、72(11):8463~71頁;Zuffereyら、1998、J Virol 72(12):9873~80頁))、
iii)前記レンチウイルスベクターの発現およびレンチウイルスベクター粒子へのパッケージングを得るために、前記核酸移入した宿主細胞を培養するステップと、
iv)前記培養宿主細胞におけるステップiii)の発現およびパッケージングの結果生じるレンチウイルスベクター粒子を回収するステップと
を含む、本発明に係る組換えベクター粒子の作製が可能となる。
【0200】
種々の理由のため、得られたレトロウイルス粒子をシュードタイピングする、すなわち特異的粒子エンベロープタンパク質を付加または置換することが有用であり得る。例えば、これは、組換え粒子を天然粒子または他の組換え粒子と区別するために、異なるエンベロープタンパク質を有するのに有利であり得る。ワクチン接種戦略の問題において、レンチウイルスに対して既に免疫を生じている後者の場合、シュードタイピングされた粒子ベクターは免疫系を免れる可能性が高い。疾患に対して患者を免疫するのに類似の粒子ベクターの連続注射が必要とされる場合、これは特に有用である。
【0201】
本発明のレトロウイルス粒子をシュードタイピングするために、宿主細胞は、ウイルスエンベロープタンパク質、好ましくはVSV-Gエンベロープタンパク質をコードする1つまたは幾つかのエンベロープDNAプラスミドでさらにトランスフェクトされ得る。
【0202】
適切な宿主細胞は、好ましくは、例えばHEK細胞株のようなヒト培養細胞株である。
【0203】
あるいは、ベクター粒子の作製方法は、ゲノムが1つまたは複数の以下の成分、すなわち、レンチウイルスベクターDNA配列、パッケージング遺伝子、およびエンベロープ遺伝子で安定に形質転換されている宿主細胞において実施される。このようなDNA配列は、ベクター配列の転写を可能にし、および粒子産生速度を向上させる追加のプロモーターを含む本発明によるプロウイルスベクターに類似していると見なすことができる。
【0204】
好ましい実施形態において、宿主細胞は、全細胞を膨潤または死滅させることなしにウイルス粒子を培地中で連続的に産生することができるようにさらに改変される。ウイルス粒子を作製するためのこのような手法に関しては、Strangら、2005、J Virol 79(3):1165~71頁;Relanderら、2005、Mol Ther 11(3):452~9頁;Stewartら、2009、Gene Ther、16(6):805~14頁;およびStuartら、2011、Hum gene Therを参照することができる。
【0205】
本発明のある目的物は、レンチウイルス粒子ベクターで形質転換された宿主細胞からなる。
【0206】
レンチウイルス粒子ベクターは、以前に定義されているように、以下のエレメントを含みうる。
-cPPT/CTSポリヌクレオチド配列と、
-β2m、UbiまたはMHCIプロモーターの制御下でCARをコードする核酸、および場合により、上に記載されたさらなるエレメントの1つ。
【0207】
好ましくは、レンチベクター粒子は、106、2×106、5×106、107、2×107、5×107、108、2×108、5×108または109TUの用量である。
【0208】
細胞でCARを発現させるための方法
本発明は、細胞、好ましくはT細胞、好ましくは増殖したT細胞においてCARを発現させるための方法を包含する。この方法は、CARの発現を可能にし、好ましくはT細胞を増殖させる条件下で、本発明のレンチウイルスベクターまたはレンチウイルス粒子ベクターで細胞を形質導入することを含む。
【0209】
細胞は、好ましくは哺乳動物細胞、特にヒト細胞である。特にヒト非分裂細胞が好ましい。
【0210】
好ましくは、細胞は初代T細胞またはNK細胞である。
【0211】
この方法は、CARを採取または単離することをさらに含みうる。
【0212】
レンチウイルスベクターまたはレンチウイルス粒子ベクターは、好ましくは、本発明のプロモーターを含む。
【0213】
一実施形態では、この方法は、細胞をビオチンで処理してCARをフックから解放することを含む。好ましくは、細胞をビオチンで、少なくとも0.2、0.4、0.8、1.6、2.5、5、10、20、40または80μMの初期濃度で処理する。
【0214】
一実施形態では、本発明は、CARを発現するための方法であって、β2m、UbiまたはMHCIプロモーターをレンチウイルスベクターに挿入して、CARをコードする核酸の発現を指示することと、細胞、好ましくはTまたはNK細胞を、プロモーターを含むベクターてに形質導入することと、場合によっては少なくとも0.2、0.4、0.8、1.6、2.5、5、10、20、40または80μMの初期濃度のビオチンで細胞を処理することを含む方法を包含する。
【0215】
レンチウイルスベクターの治療的使用
本発明は、さらに、ベクターにコードされたCARとの免疫学的反応の発生または改善を誘導または促進することができる治療用組成物またはワクチンの調製のための、本発明に係るレンチウイルスベクターの、特にレンチウイルスベクター粒子の形態での使用に関する。
【0216】
本発明は、ヒトへのレンチウイルスベクター(または「レンチベクター」)の投与方法を包含する。好ましくは、レンチベクター粒子は、機能的インテグラーゼタンパク質を含む組み込みレンチベクター粒子である。
【0217】
好ましい投与様式には、改変T細胞の再注入、好ましくは静脈内または関節内投与、最も好ましくは腫瘍内投与が含まれる。
【0218】
一実施形態では、本発明は、ヒトにおける免疫応答を誘導するための方法であって、機能的インテグラーゼタンパク質およびレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子をT細胞またはNK細胞に投与することと、改変された細胞をヒトに投与することであって、このとき組み込みレンチウイルスベクターは、CARの発現を指示するプロモーターを含むことと、CARとの免疫学的反応を生じさせることを含む方法を包含する。
【0219】
本発明はまた、腫瘍および癌に対する治療プロトコールにおいて使用され得、特に、癌および腫瘍に対する免疫療法またはワクチン接種療法のためのプロトコールにおいて使用されうる。
【0220】
本発明はさらに、先に定義したレンチウイルスベクターを含む免疫原性組成物に関する。
【0221】
本発明の免疫原性組成物は、ベクターおよびベクター粒子にcPPTおよびCTS配列を含み、標的細胞におけるベクターゲノムの核内導入を誘導または刺激することが好ましい。
【0222】
逆転写の間、cPPTおよびCTS配列は、DNA三重鎖と呼ばれる3本鎖DNA構造の形成を誘導し、これがDNAベクター配列の核内取り込みを刺激する。好ましくは、ベクターは、CARと、レトロウイルスまたはレトロウイルス様起源のレトロ転写、発現およびキャプシド形成の制御シグナルを含む。
【0223】
本発明に係るレンチウイルスベクターは、Tリンパ球および/または他の免疫細胞の特異性および機能を方向転換する能力を有する。それらは、特定の腫瘍抗原または自己免疫疾患のような他の病態に関連する抗原を標的とするT細胞を迅速に生成することができる。
【0224】
本発明のレンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターを細胞、好ましくはT細胞またはNK細胞に投与すること、細胞を宿主に投与すること、およびTリンパ球および/または他の免疫細胞の特異性および機能を方向転換する特定の免疫応答を生成することを含む、免疫応答を誘導する方法および治療方法において使用することができる。
【0225】
本発明の免疫原性組成物の特別な利点は、Tリンパ球および他の免疫細胞の特異性および機能を、ベクターまたはベクター粒子中のCARが指向する複数の抗原に対して方向転換するために使用できることである。
【0226】
結果として、本発明は、治療的ワクチン接種プロトコルにおいて使用され得る組成物を包含する。
【0227】
特に、該組成物は、アジュバント、他の免疫原性組成物、化学療法、または任意の他の治療的処置と組み合わせて使用することができる。
【0228】
本発明は、機能的インテグラーゼタンパク質およびレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含有する、ヒトへの投与のための組成物であって、前記レンチウイルスベクターのDNAは、CARを含むかまたはCARからなるアミノ酸の発現を方向付けるプロモーターを含む、組成物を包含する。
【0229】
一実施形態では、本発明は、結合ドメイン;膜貫通ドメイン;好ましくはストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化フラグメントを含む活性化ドメインを含むキメラ抗原レセプターをコードするレンチウイルスベクター、または当該レンチウイルスベクターによって形質導入された細胞を、好ましくは筋肉内投与を介してヒトに投与することを包含する。好ましくは、レンチウイルスベクターは、好ましくはストレプトアビジンタンパク質を含む、最も好ましくは配列番号32、配列番号33またはアミノ酸49にグリシンから好ましくはトレオニンへの変異を有する前記配列番号の変異体を含むフックを包含する。好ましくは、フック結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含むか、または配列番号2の核酸配列によってコードされる。
【0230】
本方法は、ビオチンをヒトに投与してCARをERまたはゴルジ体から放出させる工程をさらに含むことができる。好ましくは、ビオチンは、少なくとも0.2、0.4、0.8、1.6、3.2、5、10、20、40または80μMの初期濃度で投与される。
【0231】
よって、本発明の種々の実施形態を記載してきたが、本明細書における開示は例示のみであること、ならびに様々な他の代替、適合、および変更が本発明の範囲内で行われ得ることが当業者により留意されるべきである。したがって、本発明は、本明細書に例証されている特定の実施形態に限定されない。
【実施例】
【0232】
実施例1.分子構造
pTRIPΔU3-CMV-GFP(15)のプロウイルス領域のPCR増幅は、SpeIおよびXbaI制限酵素部位をそれぞれ含む順方向(5'-CTTACTAGTTGGAAGGGCTAATTCACTCCCAAC-3';配列番号15)および逆方向(5'-CATTCTAGAACTGCTAGAGATTTTCCACACTG-3';配列番号16)オリゴヌクレオチドを用いて行った。得られた断片を消化し、MluI部位が欠失しているpVAX-1プラスミド(インビトロジェン、Lifetech)のSpeI部位とXbaI部位との間にクローニングした。得られたプラスミドをpFLAP-CMV-GFPと命名した。SV40配列は、pTRIPΔU3-CMV-GFPプラスミド(5'-TACCCCGGGCCATGGCCTCCAAAAAAGCCTCCTCACTACTTC-3'(配列番号17)および5'-ACTCCCGGGTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCC-3'(配列番号18)オリゴヌクレオチドを使用)からPCRによって増幅し、pFLAP-CMV-GFPのPml1部位にクローニングし、得られたプラスミドをpFLAP-CMV-GFP-SVと命名した。CMVプロモーターは、MluIおよびBamHI部位をそれぞれ含む順方向(5'-TACACGCGTGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGG-3';配列番号19)および逆方向(5'-CGTGGATCCGATCGCGGTGTCTTCTATGGAGGTCAAAAC-3';配列番号20)オリゴヌクレオチドで増幅した。得られた断片を、pFlap-CMV-GFP-SVのMluIとBamHI部位との間にクローニングして戻し、レンチウイルスベクター内のプロモーターの置換を容易にした。次いでプロモーターを、β2mプロモーターのための5'-GCCGGCGCGCCGAGAAACCCTGCAGGGAATTCCC-3'(配列番号21)および5'-CGTGGATCCGATCGCTCGGCCCGAATGCTGTCAGCTTCAGG-3'(配列番号22)にてHEK293T細胞DNAからPCRにより増幅し、pFLAP-CMV-GFP-SVのMluIとBamH1部位との間にクローニングしてpFlap-β2m-SVを作製した。増幅されたβ2mプロモーター配列は以下の通りである。GAGAAACCCTGCAGGGAATTCCCCAGCTGTAGTTATAAACAGAAGTTCTCCTTCTGCTAGGTAGCATTCAAAGATCTTAATCTTCTGGGTTTCCGTTTTCTCGAATGAAAAATGCAGGTCCGAGCAGTTAACTGGCGGGGGCACCATTAGCAAGTCACTTAGCATCTCTGGGGCCAGTCTGCAAAGCGAGGGGGCAGCCTTAATGTGCCTCCAGCCTGAAGTCCTAGAATGAGCGCCCGGTGTCCCAAGCTGGGGCGCGCACCCCAGATCGGAGGGCGCCGATGTACAGACAGCAAACTCACCCAGTCTAGTGCATGCCTTCTTAAACATCACGAGACTCTAAGAAAAGGAAACTGAAAACGGGAAAGTCCCTCTCTCTAACCTGGCACTGCGTCGCTGGCTTGGAGACAGGTGACGGTCCCTGCGGGCCTTGTCCTGATTGGCTGGGCACGCGTTTAATATAAGTGGAGGCGTCGCGCTGGCGGGCATTCCTGAAGCTGACAGCATTCGGGCCGAG (配列番号23)。CARは合成して、pFlop-β2m-SVのBamHIとXhoI部位との間に、GFP遺伝子の代わりにクローニングすることができる。
【0233】
例えば、pFlap-β2m-GFP-SVは、BamHIおよびXhoIにより消化することができ、マルチクローニングサイト(SalI、SacII、NdeI、AscIおよびNheI制限部位を有するMCS)を含むDNAリンカーを、これらの部位の間に、GFP遺伝子の代わりにクローニングし、CARをコードする核酸配列を挿入させる。
【0234】
パッケージングプラスミドpTHV-GP-Nは、PCR(5'-atgcatgcgtcgacctcgagttaatcctcatcctgtctacttgccac-3'(配列番号24)および5'-gcatgcatcggccggggcggcgactgGTgagagGCCACCatgggtgcgagagcgtcagtattaag-3'(配列番号25)を有するオリゴヌクレオチドを使用)によりHIV-1 NDKゲノムを増幅することにより構築した。得られた断片をEagIおよびSalI制限酵素で消化し、Eag1-SalI断片を予め除去したp8.74パッケージングプラスミド(15)に挿入した。
【0235】
水疱性口内炎ウイルスインディアナ(GenBank#CAX62728.1、ニュージャージーGenBank#CAX62729.1)およびコカール(GenBank#CAX62731.1)株に対応するコドン最適化遺伝子を合成することにより、シュードタイピングプラスミドを作製した。次いで、これらの遺伝子をEcoR1およびBamHIで消化し、pVAX1プラスミド(インビトロジェン、Lifetech)の対応する制限部位の間にクローニングした。
【0236】
プラスミドは、Nucleobond Xtra Maxi EFカラムを用いて、製造者(マッハライ・ナーゲル)の指示に従って製造することができる。
【0237】
実施例2 レンチウイルス製造
R&D生産物:ベクターは、以前に記載されているように(25)、HEK293Tの一時的なリン酸カルシウムトランスフェクションによって製造されうる。HEK293T(ヒト胚性腎細胞株、ATCC CRL-11268(Grahamら、1977))細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS、PAA)、1%L-グルタミン(ユーロビオ)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(ライフテクノロジーズギブコ)および1%ピルビン酸ナトリウム(ライフテクノロジーズギブコ)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM/高変法、ハイクローン)中で維持した。細胞株は37℃、5%CO2の加湿した大気中の保温器に維持した。標準的なリン酸カルシウム沈殿プロトコールを用いてHEK293T細胞の一過性形質転換によりレンチウイルスベクターを製造した。10mlの完全培養培地を含む10cm2組織培養皿(BDファルコン)に7×106のHEK293T細胞を播き、5%CO2の加湿大気、37℃の恒温槽に24時間維持し、接着させた。各ベクターの製造のために、一つの組織培養皿は以下のように形質転換する:レンチウイルス主鎖プラスミドpFlap-プロモーター-CAR_CD19(10μg)、pThV-Env1コード化エンベローププラスミド(2μg)およびpThV-GPパッケージ化プラスミド(10μg)を、353μlの滅菌水(ライフテクノロジーズギブコ)および125μlのCaCl2(フルカ)と混合した。次いで、DNA混合液を500μlの37℃に予め温めたHBS2×、pH=7.3に少しずつ加え、得られた1mlの沈殿物を細胞の培養培地に加えた。次いで形質転換した細胞を37℃、5%CO2でインキュベートした。培地は、形質転換から24時間後に、血清を含まない回収培地7mlと交換し、さらに24時間後にウイルス上清を回収し、2500rpmで5分間遠心分離により浄化した。収穫された浄化バルク(210mL)を、MgCl2(シグマアルドリッチ)の存在下でDNアーゼ(ロッシュ)にて30分間処理して、残りのトランスフェクションDNAを避け、22000rpm、4℃で1時間遠心分離して超濃縮した。各ベクターペレットを70μlのPBS-ラクトース(40mg/L)に再懸濁し、プールし、30μLを等分し、-70℃±10℃で保存する。
【0238】
製品特性評価および薬剤リリースのために、品質試験は、ワクチンに関する規制テキストに従って実施することができる:欧州薬局方(第6.16節)によるワクチンに要求される品質管理「guideline on quality, non-clinical and clinical aspects of live recombinant viral vectored vaccines」(EMA/CHMP/141697/2009)、「guideline on development and manufacture of lentiviral vectors」(CHMP/BWP/2458/03);遺伝子治療医薬製品に関する規制文書:欧州薬局方(第5.14節)によるヒトの使用のための遺伝子導入医薬製品に要求される品質管理、「note for guidance on the quality, preclinical and clinical aspects of gene transfer medicinal products」(CHMP/BWP/3088/99)に定義される遺伝子治療製品に特異的な品質管理品質管理;バイオテクノロジー製品に関する規制文書(ICH Q5AからICH Q5E);欧州薬局方(セクション7.0)に従って非経口製剤に要求される品質管理。
【0239】
実施例3 レンチウイルスベクター力価
qPCR反応:HEK293T細胞を培養培地を含む6ウェルプレート(BDファルコン)に播種し、37℃、5%CO2、加湿で4時間インキュベートする。細胞は、レンチウイルスベクターの3連続希釈物で形質導入される。インキュベートの72時間後、細胞を回収し、形質導入されたHEK293T細胞ペレットを生成する。形質導入された細胞ペレットから全ゲノムDNAをQIAGEN QIAamp DNAミニキットハンドブックに基づく方法を用いて抽出する。プロウイルス定量は、Taqman qPCRを用いて行う。増幅は、Master Mix(Fermentas Thermo Scientific)、Flap A(CCCAAGAACCCAAGGAACA;配列番号26)およびFlap S(AGACAA GATAGAGGAAGAGCAAAAC;配列番号27)プライマーおよびLENTI TMプローブ(6FAM-AACCATTAGGAGTAGCACCCACCAAGG-BBQ;配列番号52)にて行った。アクチン遺伝子(同じMix、アクチンA-CGGTGAGGATCTTCATGAGGTAGT-(配列番号28)、アクチンS -AACACCCCAGCCATGTACGT-(配列番号29)プライマーおよびHUMURA ACT TMプローブ-6FAM-CCAGCCAGGTCCAGACGCAGGA-BBQ-(配列番号30)の定量により正規化を行った。両方の反応は、MasterCycler Ep Realplex S(エッペンドルフ、50℃で2分、95℃で10分、そして95℃で15秒および63℃で1分を40サイクル)で達成する。分析はMasterCycler Ep Realplexソフトウエアで行った。
【0240】
実施例4 調製されたCAR
CARをコードするレンチウイルスベクターを作製した。CAR_CD19第2および第3世代配列(配列番号39および配列番号40)は、GeneArt(Lifetech)から購入し、必要とするプロモーターに応じてpFlap-ΔU3-β2m-GFP、pFlap-ΔU3-HLA-A2-GFP、pFlap-ΔU3-HLA-DRα-GFPまたはpFlap-ΔU3-UBC-GFPのBamHIとXhoI制限部位との間のGFP遺伝子を置換してクローニングした。
【0241】
CARは、3つの異なる位置でSBPとの融合タンパク質として生成した。レンチウイルスベクターは、コアストレプトアビジンタンパク質に融合したERのためのフックを含むようにさらに改変した。プロモーターはβ2mプロモーターであった。
【0242】
これらのレンチウイルスベクターは、癌のインビトロおよび動物モデルにおいて使用されるであろう。ビオチンは、ERからの放出を試験するために40μM(より高濃度および低濃度の滴定を伴う)の初期濃度で投与される。最初に、CARの細胞表面への移動(結合ドメインの代わりに、またはシグナル配列と結合ドメインとの間のGFP)をインビトロで分析する。次に、動物モデル(マウスおよびラット)において、CAR-T細胞の注入および動物からの細胞(GFP)表面での移動の評価によって同様のことを行う。
【0243】
フック結合ドメイン(SBP)を含む「第二世代」CAR(2つの細胞質内活性化ドメイン)および「第三世代」CAR(3つの細胞質内活性化ドメイン)コンストラクトの両方が生成される。最初に、評価された結合ドメインは、抗CD19、抗PDL-1、抗PD1、抗ヘッジホッグ、抗CD123、および抗CD123/CD33であろう。
【0244】
CARMIN1.0:CD19(CD19+白血病およびリンパ腫の場合)、LMP-1および-2(EBV誘発性白血病の場合)に対して指向性のある第2世代(CD3_および4-1BB共シグナル伝達ドメインを含む)および第3世代(CD3_、CD28および4-1BBドメインを含む)のCARをコードするレンチウイルスベクターの開発。レンチウイルスベクターは、T細胞におけるCARの最適発現を可能にし、CAR-T細胞の有効性への影響が調査中である。血液悪性腫瘍をベンチマークとして用いることができる。
【0245】
CARMIN2.0:フックを介して小胞体(ER)の膜に固定されたWタンパク質と、CAR構造内に導入されたその結合パートナーYに基づいたスイッチオン/オフシステムの開発。X-フック(例えば、ストレプトアビジン)とY(例えば、ストレプトアビジン-結合タンパク質)-CARとの間の相互作用により、ER内部にCARが保持される。Zタンパク質(例えば、ビオチン)の添加は、YではなくZへのXの結合の平衡を置き換え、したがってERからのCARの放出と細胞質膜へのその発現を導く。CARの放出は、Z枯渇(またはアンタゴニスト)により停止し、残りの細胞はZ誘導物質の再導入によって容易に再活性化されうる。
【0246】
フックとCARは1つのレンチベクターにベクトル化し、臨床の場で使用されうる(b2m-HOOK-IRES-CAR)。評価は、不死化細胞(HEK293T、Jurkat、HeLa)および初代細胞(T細胞)の両方でインビトロで行うことができる。このシステムは、CAR-T細胞の安全性を増加させる。スイッチ可能なCD19-CAR系は、発現についてインビトロで、そして有効性についてインビボで評価することができる。
【0247】
現在までに使用されているscFvのほとんどはマウス起源である。これらのネズミ科scFvに対する中和抗体は、CARの有効性を制限しうる。別法として、発明者らは、抗体のヒトVHドメインと高度に相同であり、高い抗原結合能力を示すので、結合ドメインとして使用されうるラクダナノボディを開発する。結合ドメインとしてHer2に対して指向性のあるナノボディを含有する第2世代CARにより概念実証を行う。これらの技術プラットフォームは、CAR設計、製造および評価における柔軟性および反応性が可能になるので、最適なCAR-T細胞が生成される。この差別化された誘導的および可逆的(オン/オフ)CAR T細胞技術は、患者のベッドサイド(自動化プロセス)で提供されることを目指している。
【0248】
実施例5 ヒトT細胞における発現
末梢血単核細胞(PBMC)をフィコール(Ficoll)上の密度勾配遠心分離によって末梢血から精製した。PBMC洗浄後、Pan T細胞単離キット(ミルテニー)を用いて、陰性磁気選択(すなわち、不要な細胞を磁気的に標識し、T細胞をそのままにしたもの)でCD3+T細胞を精製した。この工程は、高度に精製されたT細胞集団を得るために必要とされる。この単離工程後に得られた収量に基づき、ヒトT細胞(TexMACS培地、ミルテニー)の培養および増殖のために開発された最適化無血清細胞培養培地中で107~108T細胞を2.5×106/mlで培養した。これらのT細胞は、ミルテニーのT細胞活性化/増殖キットによって活性化される。このキットは、抗ビオチンMACSiBead粒子およびヒトCD2、CD3およびCD28に対するビオチン化抗体からなる。ビオチン化抗体を負荷した抗ビオチンMACSiBead粒子を用いて抗原提示細胞を模倣し、T細胞を活性化する。T細胞の最適な活性化は、2つの細胞あたり1つの負荷された抗ビオチンMACSiBead粒子を使用することによって達成される。T細胞を3日間活性化する。次いで活性化T細胞の形質導入を4のMOIで行う。このMOI値は1つのT細胞が4つのレンチウイルス粒子形質導入単位と共にインキュベートされることを意味する。CAR発現は、ビオチン化ヤギ抗マウスIgGでマウスCD19結合ドメインを染色し、続いてフィコエリトリンにコンジュゲートしたストレプトアビジンにて染色することにより、フローサイトメトリーの48または72時間のレンチウイルス粒子添加により評価した。T細胞亜集団は、CD3、CD4およびCD8の染色によって特徴付けた。これにより、T細胞の表面上のCARの特異的検出が可能になった。T細胞の生存および増殖を可能にするTexMACS培地を用いて全プロセスを実施した。
【0249】
実施例6 CAR-RUSHの構造と発現
適格な血液は、フランスの血液機関(Etablissement Francais du Sang(ランジス、フランス))から入手した。末梢血単核細胞(PBMC)をフィコール(リンパ球分離培地、ユーロビオ)密度勾配分離によって精製した。次いで、T細胞を、Pan T細胞単離キット(ミルテニー)を用いた磁気単離によってPBMCから精製した。T細胞は製造者の指示に従って分離した。T細胞を、TexMACS培地(ミルテニー)中37℃/5%CO2で2.5×106細胞/mlの濃度で培養物に入れ、ミルテニーのT細胞活性化/増殖キット(製造業者の指示によって調製した抗CD2/CD3/CD28ナノ粒子)によりビーズ:T細胞比1:2で3日間活性化した。活性化後、T細胞を回収し、計数し、37℃/5%CO2で24ウェルプレート中のTexMACS培地中で培養した。形質導入は、異なるMOIのレンチウイルスベクターをウェルに直接添加することによって行った。試験した種々のレンチウイルスベクターは、(i)4-1BBおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む第2世代の抗CD19 CAR;(ii)3つの異なる位置(CAR-SBP1、CAR-SBP2、CAR-SBP3)のストレプトアビジン結合タンパク質を含む同じベクターとした。
【0250】
MOIに応じて各ウェルに添加するベクターの容量を、以下のように計算した:添加する量(μl)=(MOI×細胞の数(百万)/ベクターの濃度(導入単位/ml))×1000。
【0251】
3.109TU/ml[添加するベクター量(μl)=(10×0.2×106/3×109)×1000=0.51μl]のベクター力価で10のMOIで200000細胞を形質導入した。ヒト組換えIL-2(ミルテニー)を、形質導入の日に50IU/mlで加えた。3日目に、形質導入されたT細胞を回収し、DPBS1×で十分に洗浄し、96ウェルプレートで目的の分子の免疫染色を行った。最初に、T細胞を、eFluor780にコンジュゲートした生存色素(Fixable Viability Dye、イーバイオサイエンシス)と共にインキュベートし、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーションは、アジドフリーおよびタンパク質フリーのDPBS1×中で行った。次に細胞をDPBS1×で洗浄し、次いでビオチン化ヤギ抗マウスIgG(Fab’)2(ジャクソン イムノリサーチ)と共に4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をautoMACSランニングバッファー(ミルテニー)で洗浄し、フィコエリトリンにコンジュゲートしたストレプトアビジン(ジャクソン イムノリサーチ)とPE-Cy7にコンジュゲートしたマウス抗ヒトCD3(BDバイオサイエンシス)との混合物を用いて3回目のインキュベーションを行った。インキュベーションを4℃で30分間行った。この3回目のインキュベーション後、細胞をautoMACSランニングバッファーで洗浄し、CellFIX(BDバイオサイエンシス)で固定した後、MACSQuant分析装置(ミルテニー)で取得した。フローサイトメトリーデータは、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。
【0252】
実施例7 フック-ストレプトアビジンをコードするレンチベクターによる同時形質導入後のCAR-RUSHコンストラクトの発現および挙動と、ビオチン処理
適格な血液は、フランスの血液機関(Etablissement Francais du Sang(ランジス、フランス))から入手した。末梢血単核細胞(PBMC)をフィコール(リンパ球分離培地、ユーロビオ)密度勾配分離によって精製した。次いで、T細胞を、Pan T細胞単離キット(ミルテニー)を用いた磁気単離によってPBMCから精製した。T細胞は製造者の指示に従って分離した。T細胞を、TexMACS培地(ミルテニー)中37℃/5%CO2で2.5×106細胞/mlの濃度で培養物に入れ、ミルテニーのT細胞活性化/増殖キット(製造業者の指示によって調製した抗CD2/CD3/CD28ナノ粒子)によりビーズ:T細胞比1:2で3日間活性化した。
【0253】
活性化後、T細胞を回収し、計数し、37℃/5%CO2で24ウェルプレート中のTexMACS培地中で培養した。同時形質導入は、異なるMOIのレンチウイルスベクターをウェルに直接添加することによって行った。試験した2つのレンチウイルスベクターは、(i)フック-ストレプトアビジンベクター、および(ii)3つの異なる位置(CAR-SBP1、CAR-SBP2、CAR-SBP3)のストレプトアビジン結合タンパク質を有する、4-1BBおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む第2世代の抗CD19 CARとした。
【0254】
MOIに応じて各ウェルに添加する各ベクターの容量を、以下のように計算した:添加する量(μl)=(MOI×細胞の数(百万)/ベクターの濃度(導入単位/ml))×1000。
【0255】
ヒト組換えIL-2(50IU/ml、ミルテニー)およびビオチン(40μM、シグマ-アルドリッヒ)を形質導入の日に加えた。
【0256】
3日目に、形質導入されたT細胞を回収し、DPBS1×で十分に洗浄し、96ウェルプレートで目的の分子の免疫染色を行った。最初に、T細胞を、eFluor780にコンジュゲートした生存色素(Fixable Viability Dye、イーバイオサイエンシス)と共にインキュベートし、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーションは、アジドフリーおよびタンパク質フリーのDPBS1×中で行った。次に細胞をDPBS1×で洗浄し、次いでビオチン化ヤギ抗マウスIgG(Fab’)2(ジャクソン イムノリサーチ)と共に4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をautoMACSランニングバッファー(ミルテニー)で洗浄し、フィコエリトリンにコンジュゲートしたストレプトアビジン(ジャクソン イムノリサーチ)とPE-Cy7にコンジュゲートしたマウス抗ヒトCD3(BDバイオサイエンシス)との混合物を用いて3回目のインキュベーションを行った。インキュベーションを4℃で30分間行った。この3回目のインキュベーション後、細胞をautoMACSランニングバッファーで洗浄し、CellFIX(BDバイオサイエンシス)で固定した後、MACSQuant分析装置(ミルテニー)で取得した。フローサイトメトリーデータは、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。
【0257】
実施例8 CAR-RUSHバイシストロン性コンストラクトの発現および挙動
適格な血液は、フランスの血液機関(Etablissement Francais du Sang(ランジス、フランス))から入手した。末梢血単核細胞(PBMC)をフィコール(リンパ球分離培地、ユーロビオ)密度勾配分離によって精製した。次いで、T細胞を、Pan T細胞単離キット(ミルテニー)を用いた磁気単離によってPBMCから精製した。T細胞は製造者の指示に従って分離した。T細胞を、TexMACS培地(ミルテニー)中37℃/5%CO2で2.5×106細胞/mlの濃度で培養物に入れ、ミルテニーのT細胞活性化/増殖キット(製造業者の指示によって調製した抗CD2/CD3/CD28ナノ粒子)によりビーズ:T細胞比1:2で3日間活性化した。
【0258】
活性化後、T細胞を回収し、計数し、37℃/5%CO2で24ウェルプレート中のTexMACS培地中で培養した。形質導入は、異なるMOIのレンチウイルスベクターをウェルに直接添加することによって行った。試験した異なるレンチウイルスベクターは、(i)「典型的な」第2世代抗CD19CAR、(ii)フック-ストレプトアビジン、IRES、および3つの異なる位置(フック-IRES-CAR-SBP1、フック-IRES-CAR-SBP2、フック-IRES-CAR-SBP3)のストレプトアビジン結合タンパク質を有する、4-1BBおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む第2世代の抗CD19 CARを含む3つのコンストラクトとした。
【0259】
MOIに応じて各ウェルに添加する各ベクターの容量を、以下のように計算した:添加する量(μl)=(MOI×細胞の数(百万)/ベクターの濃度(導入単位/ml))×1000。
【0260】
試験した異なるMOIは、実験に応じて10、20または30とした。
【0261】
ヒト組換えIL-2(50IU/ml、ミルテニー)およびビオチン(40μM、シグマ-アルドリッヒ)を形質導入の日に加えた。
【0262】
3日目および7日目に、形質導入されたT細胞を回収し、DPBS1×で十分に洗浄し、96ウェルプレートで目的の分子の免疫染色を行った。最初に、T細胞を、eFluor780にコンジュゲートした生存色素(Fixable Viability Dye、イーバイオサイエンシス)と共にインキュベートし、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーションは、アジドフリーおよびタンパク質フリーのDPBS1×中で行った。次に細胞をDPBS1×で洗浄し、次いでビオチン化ヤギ抗マウスIgG(Fab’)2(ジャクソン イムノリサーチ)と共に4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をautoMACSランニングバッファー(ミルテニー)で洗浄し、フィコエリトリンにコンジュゲートしたストレプトアビジン(ジャクソン イムノリサーチ)とPE-Cy7にコンジュゲートしたマウス抗ヒトCD3(BDバイオサイエンシス)との混合物を用いて3回目のインキュベーションを行った。インキュベーションを4℃で30分間行った。この3回目のインキュベーション後、細胞をautoMACSランニングバッファーで洗浄し、CellFIX(BDバイオサイエンシス)で固定した後、MACSQuant分析装置(ミルテニー)で取得した。フローサイトメトリーデータは、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。
【0263】
実施例9 CAR-RUSHシステムのスイッチ評価(オフ/オン/オフ)
適格な血液は、フランスの血液機関(Etablissement Francais du Sang(ランジス、フランス))から入手した。末梢血単核細胞(PBMC)をフィコール(リンパ球分離培地、ユーロビオ)密度勾配分離によって精製した。次いで、T細胞を、Pan T細胞単離キット(ミルテニー)を用いた磁気単離によってPBMCから精製した。T細胞は製造者の指示に従って分離した。T細胞を、TexMACS培地(ミルテニー)中37℃/5%CO2で2.5×106細胞/mlの濃度で培養物に入れ、ミルテニーのT細胞活性化/増殖キット(製造業者の指示に従って調製した抗CD2/CD3/CD28ナノ粒子)によりビーズ:T細胞比1:2で3日間活性化した。
【0264】
活性化後、T細胞を回収し、計数し、37℃/5%CO2で24ウェルプレート中のTexMACS培地中で培養した。形質導入は、異なるMOIのレンチウイルスベクターをウェルに直接添加することによって行った。試験した異なるレンチウイルスベクターは、(i)「典型的な」第2世代抗CD19CAR、(ii)フック-ストレプトアビジン、IRES、および3つの異なる位置(フック-IRES-CAR-SBP1、フック-IRES-CAR-SBP2、フック-IRES-CAR-SBP3)のストレプトアビジン結合タンパク質を有する、4-1BBおよびCD3ζ細胞内ドメインを含む第2世代の抗CD19 CARを含む3つのコンストラクトとした。
【0265】
MOIに応じて各ウェルに添加するベクターの容量を、以下のように計算した:添加する量(μl)=(MOI×細胞の数(百万)/ベクターの濃度(導入単位/ml))×1000。
【0266】
試験した異なるMOIは10および20とした。
【0267】
ヒト組換えIL-2(50IU/ml、ミルテニー)およびビオチン(40μM、シグマ-アルドリッヒ)を形質導入の日に加えた。
【0268】
3日目に、細胞を洗浄して、ビオチンを40μMで添加して、あるいは添加しないで、CAR-SBP発現を再誘導した。
【0269】
7日目に、形質導入されたT細胞を回収し、DPBS1×で十分に洗浄し、96ウェルプレートで目的の分子の免疫染色を行った。最初に、T細胞を、eFluor780にコンジュゲートした生存色素(Fixable Viability Dye、イーバイオサイエンシス)と共にインキュベートし、4℃で30分間インキュベートした。インキュベーションは、アジドフリーおよびタンパク質フリーのDPBS1×中で行った。次に細胞をDPBS1×で洗浄し、次いでビオチン化ヤギ抗マウスIgG(Fab’)2(ジャクソン イムノリサーチ)と共に4℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をautoMACSランニングバッファー(ミルテニー)で洗浄し、フィコエリトリンにコンジュゲートしたストレプトアビジン(ジャクソン イムノリサーチ)とPE-Cy7にコンジュゲートしたマウス抗ヒトCD3(BDバイオサイエンシス)との混合物を用いて3回目のインキュベーションを行った。インキュベーションを4℃で30分間行った。この3回目のインキュベーション後、細胞をautoMACSランニングバッファーで洗浄し、CellFIX(BDバイオサイエンシス)で固定した後、MACSQuant分析装置(ミルテニー)で取得した。
【0270】
実施形態
1. キメラ抗原レセプターであって、
結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;
ストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメイン
を含む、キメラ抗原レセプター。
2. レンチウイルスベクターであって、
結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;
ストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメイン
を含むキメラ抗原レセプターを発現する、レンチウイルスベクター。
3. 核酸ベクターであって、
結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;
ストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメイン
を含むキメラ抗原レセプターをコードする、核酸ベクター。
4. 前記結合ドメインが、単鎖Fv抗体またはナノボディを含む、実施形態1に記載のキメラ抗原レセプター、または実施形態2に記載のレンチウイルスベクター、または実施形態3に記載の核酸ベクター。
5. 前記ベクターが、配列番号31または配列番号32のアミノ酸配列を含むフックをコードする、実施形態2に記載のレンチウイルスベクター、または実施形態3に記載の核酸ベクター。
6. 前記ベクターが、β2-ミクログロブリン、ユビキチン、MHCIまたはMHCIIプロモーターを含む、実施形態2から5のいずれか一項に記載のベクター。
7. 前記ベクターがDNAである、実施形態2から6のいずれか一項に記載のベクター。
8. レンチウイルスベクター粒子であって、
結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;
ストレプトアビジン結合ペプチドを含むフック結合ドメイン;および
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号33または配列番号34の少なくとも100アミノ酸のT細胞活性化断片を含む活性化ドメイン
を含むキメラ抗原レセプターをコードする、レンチウイルスベクター粒子。
9. 前記結合ドメインが、単鎖Fv抗体またはナノボディを含む、実施形態8に記載のレンチウイルスベクター粒子。
10. 前記レンチウイルスベクター粒子が、配列番号31または配列番号32のアミノ酸配列を含むフックをコードする、実施形態8に記載のレンチウイルスベクター粒子。
11. 前記レンチウイルスベクター粒子が、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質を含む、実施形態8から10のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター粒子。
12. 前記レンチウイルスベクター粒子が、HIV-1サブタイプD GagおよびPolタンパク質を含む、実施形態8から10のいずれか一項に記載のレンチウイルスベクター粒子。
13. 実施形態2から7のいずれか一項に記載のベクターを含む単離された細胞。
14. ヒトにおいて免疫応答を誘導するための、実施形態1から12のいずれか一項に記載のキメラ抗原レセプターまたはレンチウイルスベクターまたは核酸ベクターまたはレンチウイルスベクター粒子の使用。
15. ヒトにおいて免疫応答を誘導するための方法であって、実施形態8から12のいずれか一項に記載の前記レンチウイルスベクター粒子または前記レンチウイルスベクター粒子によって形質導入された細胞をヒトに筋肉内投与する工程、およびその後ヒトにビオチンを投与する工程を含む方法。
16. 配列番号45、配列番号47または配列番号49のいずれかのヌクレオチド配列を含む、実施形態1に記載のキメラ抗原レセプター、または実施形態2に記載のレンチウイルスベクター、または実施形態3に記載の核酸ベクター。
17. 前記キメラ抗原レセプターが、配列番号46、配列番号48または配列番号50のいずれかのアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のキメラ抗原レセプター、または実施形態2に記載のレンチウイルスベクター、または実施形態3に記載の核酸ベクター。
18. 配列番号42のアミノ酸配列をさらにコードするか、または配列番号43および/または配列番号44の核酸配列を含む、実施形態16または17のレンチウイルスベクターまたは核酸ベクター。
【配列表】