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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】FGFR阻害剤及びその医薬品の用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20230901BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230901BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20230901BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61P35/00
A61P43/00
A61K31/53
A61K31/5377
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020508589
(86)(22)【出願日】2018-08-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 CN2018100638
(87)【国際公開番号】W WO2019034076
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】201710698086.3
(32)【優先日】2017-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506417359
【氏名又は名称】石薬集団中奇制薬技術(石家庄)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSPC ZHONGQI PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY(SHIJIAZHUANG)CO.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.896,Zhongshan East Road,High-Tech Zone,Shijiazhuang,Hebei,050035,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】王一▲カイ▼
(72)【発明者】
【氏名】張楊
(72)【発明者】
【氏名】陳正霞
(72)【発明者】
【氏名】陳琳琳
(72)【発明者】
【氏名】馮韜
(72)【発明者】
【氏名】黄榮新
(72)【発明者】
【氏名】李秋
(72)【発明者】
【氏名】李徳堯
(72)【発明者】
【氏名】孫繼奎
(72)【発明者】
【氏名】徐洋洋
(72)【発明者】
【氏名】李▲ジエ▼
(72)【発明者】
【氏名】黎健
(72)【発明者】
【氏名】陳曙輝
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500307(JP,A)
【文献】特表2015-508087(JP,A)
【文献】特表2015-500315(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008844(WO,A1)
【文献】特表2009-514882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される、化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化1】
式中、mが1又は2から選択され、
Lが、単結合、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基から選択され、
が、H、ハロゲン原子、OH、NHから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基或いはC1-3ヘテロアルキル基から選択され、
が、H、F、Cl、Br、I、OH、NHから選択され、
が、H、ハロゲン原子、OH、NH、CNから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基或いはC1-3ヘテロアルキル基から選択され、
が、H、ハロゲン原子、OH、NH、CNから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基或いはC1-3ヘテロアルキル基から選択され、
が、H、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3ヘテロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、或いは4~6員のヘテロシクロアルキル基から選択され、
が、H、ハロゲン原子、OH、NHから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基から選択され、
Rが、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、Me、CF、N(CH
【化2】
から選択され
前記C1-3ヘテロアルキル基、4~6員のヘテロシクロアルキル基における「ヘテロ」がそれぞれ独立して、-NH-、N、-O-、-S-から選択され、
以上の場合では、前記「ヘテロ」の数がそれぞれ独立して、1、2又は3から選択される。
【請求項2】
前記Rは、H、ハロゲン原子、OH、NHから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基或いはC1-3アルコキシル基から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記Rが、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、Me、
【化3】
から選択される、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
前記Rが、H、ハロゲン原子、OH、NH、CNから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルコキシル基或いはC1-3アルキルアミノ基から選択される、請求項1-3の何れかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
前記Rが、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、Me、CF
【化4】
から選択される、請求項4に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
前記Rが、H、ハロゲン原子、OH、NH、CNから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルコキシル基或いはC1-3アルキルアミノ基から選択される、請求項1-3の何れかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
前記Rが、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、Me、CF
【化5】
から選択される、請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
前記RがH、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルキルアミノ基或いはモルホリニル基から選択される、請求項1-3の何れかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
前記RがH、Me、Et、
【化6】
から選択される、請求項8に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
前記RがH、F、Cl、Br、I、OH、NH、Meから選択される、請求項1-3の何れかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
前記Lが単結合、
【化7】
から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
前記構造
【化8】

【化9】
から選択される、請求項9又は11に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
前記構造
【化10】

【化11】
から選択される、請求項1、3又は5に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
以下式から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1-13の何れかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
【化12】
式中、R、R、R、R、R、RとLが請求項1-12の意味と同じである。
【請求項15】
以下式から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項14に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
【化13】
式中、R、R、R、R、R、RとLが請求項1-12の意味と同じである。
【請求項16】
以下の群から選択される、化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【化14】
【請求項17】
以下の群から選択される、請求項16に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【化15】
【化16】
【請求項18】
請求項1-17の何れかに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩のFGFR関連疾患を治療するための医薬品の製造への使用
【請求項19】
前記FGFR関連疾患が固形腫瘍である、請求項18に記載の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年8月15日に出願された、中国出願CN201710698086.3に基づく優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、FGFR阻害剤、及びFGFR関連疾患を治療するための医薬品の製造への応用に関する。特に、本発明は、式(I)で表される化合物及びその薬学的に許容可能な塩に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、線維芽細胞増殖因子(FGF)のシグナル伝達の受容体であり、そのファミリーはFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4の4種類からなる。線維芽細胞増殖因子受容体は、細胞外領域の免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、細胞内領域のチロシンキナーゼドメインから構成される糖タンパク質である。線維芽細胞増殖因子(FGF)は、これらの受容体(FGFR)を介して、細胞増殖、細胞分化、細胞移動、血管新生などの多くの生理学的調節プロセスで重要な役割を果たす。FGFシグナル伝達経路の異常(過剰発現、遺伝子増幅、遺伝子変異、染色体転座など)が腫瘍細胞の増殖、移動、浸潤、血管形成などの多くの病理学的プロセスに直接に繋がるという多くの証拠はある。そのため、FGFRは重要な治療標的の一種類として注目されている。
【0004】
特許文献1には、参照化合物1と参照化合物2を含む、FGFRに対して阻害活性を有する一連の化合物が記載されている。特許文献2~4には、本発明のようなベンゾチオフェン構造や参照化合物3を含む、FGFRに対して阻害活性を有する一連の化合物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/008844号
【文献】国際公開第2013/124316号
【文献】国際公開第2013/087647号
【文献】米国特許出願公開第2013-0158000号明細書
【発明の概要】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【化1】
前記C1-3ヘテロアルキル基、4~6員のヘテロシクロアルキル基における「ヘテロ」は、それぞれ独立して、-NH-、N、-O-、-S-から選択され、
以上の何れかの形態では、ヘテロ原子又はヘテロ原子団の数は、それぞれ独立して、1、2又は3から選択される。
【0007】
本発明のある形態において、前記Rは、H、ハロゲン原子、OH、NHから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基或いはC1-3アルコキシル基から選択され、Rは、本発明の定義と同じである。
【0008】
本発明のある形態において、前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、Me、
【化2】
から選択される。
【0009】
本発明のある形態において、前記Rは、H、ハロゲン原子、OH、NH、CNから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルコキシル基或いはC1-3アルキルアミノ基から選択され、Rは本発明の定義と同じである。
【0010】
本発明のある形態において、前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、Me、CF
【化3】
から選択される。
【0011】
本発明のある形態において、前記Rは、H、ハロゲン原子、OH、NH、CNから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルコキシル基或いはC1-3アルキルアミノ基から選択され、Rは本発明の定義と同じである。
【0012】
本発明のある形態において、前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、Me、CF
【化4】
から選択される。
【0013】
本発明のある形態において、前記Rは、H、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルキルアミノ基或いはモルホリニル基から選択され、Rは本発明の定義と同じである。
【0014】
本発明のある形態において、前記Rは、H、Me、Et、
【化5】
から選択される。
【0015】
本発明のある形態において、前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、Meから選択される。
【0016】
本発明のある形態において、前記Lは、単結合、
【化6】
から選択される。
【0017】
本発明のある形態において、前記構造
【化7】
は、
【化8】
から選択される。
【0018】
本発明のある形態において、前記構造
【化9】
は、
【化10】
から選択される。
【0019】
本発明のある形態において、前記Rは、H、ハロゲン原子、OH、NHから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基或いはC1-3アルコキシル基から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0020】
本発明のある形態において、前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、Me、
【化11】
から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0021】
本発明のある形態において、前記Rは、H、ハロゲン原子、OH、NH、CNから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルコキシル基或いはC1-3アルキルアミノ基から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0022】
本発明のある形態において、前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、Me、CF
【化12】
から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0023】
本発明のある形態において、前記Rは、H、ハロゲン原子、OH、NH、CNから選択され、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルコキシル基或いはC1-3アルキルアミノ基から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0024】
本発明のある形態において、前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、Me、CF
【化13】
から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0025】
本発明のある形態において、前記Rは、H、又は、1、2又は3個のR基で置換されてもよいC1-3アルキル基、C1-3アルキルアミノ基或いはモルホリニル基から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0026】
本発明のある形態において、前記Rは、H、Me、Et、
【化14】
から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0027】
本発明のある形態において、前記Rは、H、F、Cl、Br、I、OH、NH、Meから選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0028】
本発明のある形態において、前記Lは、単結合、
【化15】
から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0029】
本発明のある形態において、前記構造
【化16】
は、
【化17】
から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0030】
本発明のある形態において、前記構造
【化18】
は、
【化19】
から選択され、その他の変量は、前記と同じである。
【0031】
本発明のある形態において、以下式から選択され前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供し、
【化20】
式中、R、R、R、R、R、RとLは、前記と同じ意味である。
【0032】
本発明のある形態において、以下式から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供し、
【化21】
式中、R、R、R、R、R、RとLは、前記と同じ意味である。
【0033】
本発明では、その他の形態は、前記の形態を任意的に組み合わせたものである。
【0034】
本発明は、更に以下の群から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する:
【化22】
【0035】
本発明のある形態において、以下の群から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する:
【化23】
【化24】
【0036】
本発明は、治療有効量の前記化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担持体を含む医薬組成物を提供する。
【0037】
本発明はさらに、前記の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、又は前記の組成物のFGFR関連疾患を治療するための医薬品の製造への応用を提供する。
【0038】
本発明のある形態において、前記FGFR関連疾患は固形腫瘍である。
【発明の効果】
【0039】
(発明の効果)
本発明の化合物は、野生型及び変異型FGFRに対してより高い阻害活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(発明を実施するための形態)
(関連する定義)
本発明において、特に明記しない限り、明細書で記載している用語や語句は、以下の意味を有する。特定の用語や語句は、特別な定義がなければ、不明確又は不明瞭と見なされるべきではなくて、通常の意味として理解すべきである。商品名が記載されている場合、対応する市販品又はその有効成分を指すものとして理解する。本明細書で使用される「薬学的に許容可能」という用語や語句は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性や刺激性がなくて、且つアレルギー反応及びその他の問題や合併症を起こさなくて、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物、及び/又は投薬形態の意味を指して、妥当な利点・欠点の比率の意味にも繋がる。
【0041】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本発明の特定の置換基を有する化合物と非毒性の酸又は塩基と反応させ調製した、本発明の化合物の塩を指す。本発明の化合物は酸性の官能基を有する場合、純溶液又は適切な不活性溶媒中に充分な量の塩基と中性化反応させて、塩基付加塩が得られる。薬学的に許容可能な塩基付加塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アンモニア塩又はマグネシウム塩又は類似の塩類が挙げられる。本発明の化合物は塩基性の官能基を有する場合、純溶液又は適切な不活性溶媒中に充分な量の酸と中性化反応させて、酸付加塩が得られる。薬学的に許容可能な酸付加塩として、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭化水素塩、リン酸塩、一価リン酸塩、二価リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、ヨウ化水素酸塩、亜リン酸塩などの無機酸の塩類、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などの有機酸の塩類が挙げられ、更に、アミノ酸の塩(例えばアルギニン塩など)、グルクロン酸塩などの有機酸の塩類(Berge et al. 「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19(1977)を参照)が挙げられる。本発明の化合物は酸性及び塩基性の官能基を有する場合、前記の塩基付加塩又は酸付加塩に転化することができる。
【0042】
好ましくは、従来の方法で付加塩を塩基又は酸と接触させた後、遊離の化合物を単離することによって、中性型の遊離化合物を再生することが出来る。遊離化合物は、対応の塩の形態と比べて、極性溶媒への溶解度などの物理的性質において、異なる。
【0043】
本発明では、「薬学的に許容可能な塩」は、前記の遊離化合物と酸又は塩基とを反応させ、得られた本発明の化合物の誘導体である。薬学的に許容可能な塩は、アミンなどの塩基の無機酸の塩類又は有機酸の塩類、カルボン酸などの酸のアルカリ金属塩又は有機塩などが挙げられ、これらに限定されない。薬学的に許容可能な塩は、慣用の非毒性塩又は遊離化合物の第四級アンモニウム塩、例えば非毒性無機酸塩又は有機酸塩を含む。慣用の非毒性塩は、無機酸又は有機酸から誘導した塩類を含むが、これらに限定されない。前記の無機酸又は有機酸は、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸塩、炭酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトース、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシル、ヒドロキシナフタレン、イセチオン酸、乳酸、乳糖、ドデシルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、イミノ二酢酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択されるものである。
【0044】
本発明では、「薬学的に許容可能な塩」は、通用の方法で、酸性及び塩基性の官能基を有する遊離化合物から調製することができる。一般的には、遊離酸形式又は遊離塩基形式の化合物と化学量論量の適切な塩基又は酸とを水又は有機溶媒又はこれらの混合物中で反応させることにより、本発明の塩を調製することができる。一般的に、エチルエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。
【0045】
本発明の化合物は、特定の幾何学的形態又は立体異性形態で存在することができる。本発明には、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオ異性体、(D)-異性体、(L)異性体、それらのラセミ混合物、及びその他の混合物、例えば鏡像異性体又はジアステレオ異性体に富化された混合物などの混合物を含む、全てのそのような化合物及び混合物が包含される。追加の不斉炭素原子は、アルキル基などの置換基に存在してもよい。全てのこのような異性体、及びそれらの混合物は、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0046】
特に明記しない限り、「エナンチオマー」又は「光学異性体」という用語は、互いに鏡像の関係になっている立体異性体を指す。
【0047】
特に明記しない限り、「シス・トランス異性体」又は「幾何異性体」という用語は、二重結合又は環形成炭素原子における単結合が自由に回転できないことによって誘導した異性体を指す。
【0048】
特に明記しない限り、「ジアステレオ異性体」という用語は、分子内が2つ以上のキラル中心を有しているが、分子の間に互いに鏡像の関係になっていない立体異性体を指す。
【0049】
特に明記しない限り、「(D)」又は「(+)」は、右旋を表し、「(L)」又は「(-)」は、左旋を表し、「(DL)」又は「(±)」は、ラセミ体を表す。
【0050】
【化25】
【0051】
本発明の化合物は、特定の形態で存在することができる。特に明記しない限り、用語「互変異性体」又は「互変異性体形態」は、異なる官能性異性体が室温で動的平衡にあり、かつ互いに急速に変換され得ることを意味する。互変異性体が可能であれば(例えば、溶液中)、互変異性体の化学平衡を達成することができる。例えば、プロトン互変異性体(proton tautomer)(プロトトロピック互変異性体(prototropic tautomer)としても知られる)は、プロトン移動による相互変換形式を含み、例えばケト-エノール異性及びイミン-エナミン異性を含む。原子価互変異性体(valence tautomer)は、結合性電子の再組織化による互いの変換形式を含む。そのうち、ケト-エノール異性の具体的な実例は、ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オンとの2つの互変異性体間の相互変換である。
【0052】
特に明記しない限り、「1つの異性体に富む」、「異性体に富む」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマーに富む」という用語は、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満で、かつ当該異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であることを意味する。
【0053】
特に明記しない限り、「異性体過剰率」又は「エナンチオマー過剰率」という用語とは、2つの異性体間の相対百分率の差又は2つのエナンチオマー間の相対百分率の差を指す。例えば、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が90%であり、もう1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が10%であると、異性体過剰率又はエナンチオマー過剰率(ee値)が80%となる。
【0054】
キラル合成又はキラル試薬又はその他の通常技術により光学活性の(R)-と(S)-エナンチオマー及びD-とL-エナンチオマーを製造することができる。本発明のある化合物の1種のエナンチオマーを調製するために、不斉合成又はキラル補助剤の誘導作用により製造することができ、ここで得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助基が分割して要望の純なエナンチオマーを提供することができる。又は、分子の中に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシル基)を含む場合、適当な光学活性の酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成した後、当分野に公知の常法でジアステレオマーを分離した後、回収して純なエナンチオマーが得られる。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常に、クロマトグラフィー法により完成される。前記クロマトグラフィー法は、キラル固定相を用いて、任意的に化学誘導法と組み合わせた方法(例えば、アミンによりカルバメートを生成する)である。本発明の化合物は、当該化合物を構成する一つ又は複数の原子に非天然割合の原子同位体を含むことができる。例えば、トリチウム(H)、ヨード-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位体を使って化合物を表記することができる。本発明の化合物のすべての同位体で構成された変換は、放射性がある否かを問わず、すべて本発明の範囲内に含まれる。
【0055】
「任意」又は「任意的に」という用語とは、その後に記述する事件や状況が発生する可能性があるが、発生しなくてもよいことを意味する。また、当該用語の意味は、前記事件や状況が発生する場合、及び前記事件や状況が発生しない場合を含む。
【0056】
「置換された」又は「置換されている」という用語は、特定の原子上の任意の1つ又は複数の水素原子が置換基により置換されたことを指し、前記水素原子は、重水素及び水素の変体を含むことができ、特定の原子の原子価状態が正常で、且つ置換され得られた化合物が安定であればよい。置換基がオキシ基(即ち、=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。オキソ置換は、アリール環に発生しない。「任意的に置換された」又は「任意的に置換されている」という用語は、置換されてもよく、置換されなくてもよいことを意味する。特に明記しない限り、置換基の種類及び数は、化学的に実現可能であれば任意であってもよい。
【0057】
任意の変量(例えば、R)は、化合物の組成又は構造で1回以上現れる場合、いずれの状況において独立に定義される。従って、例えば、1つの基が0-2個のRに置換された場合、前記基は、多くとも2個のRで任意的に置換されてよく、かついずれの状況においてもRが独立に選択される基である。さらに、置換基及び/又はその変体の組み合せは、その組み合せで安定した化合物が生成される場合のみ、許容される。
【0058】
一つの連結基の数が0である場合、例えば、-(CRR)-は、前記連結基が単結合であることを表す。
【0059】
そのうち、ある変量が単結合から選択される場合、それに連結した二つの基は、互いに直接連結されていることを表し、例えば、A-L-Zの中でLは、単結合を表す場合、当該構造が実にA-Zであることを表す。
【0060】
ある置換基が空いている場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、A-Xの中でXが空いている場合、当該構造が実にAであることを表す。1つの置換基が1つの環上の複数の原子に結合できる場合、当該置換基は当該環上の任意の原子に結合できる。
【化26】
前記連結基、置換基及び/又はその変体の組合せは、そのような組合せで安定した化合物が生成される場合のみ、許容される。
【0061】
特に明記しない限り、「環」は、置換された又は置換されていないシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、ヘテロシクロアルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。前記環は、単環、ビ環、スピロ環、縮合環又は架橋環を含む。環における原子の数は通常的に環の員数として定義され、例えば「5~7員環」は、5~7個の原子が囲んで配列されることを意味する。特に明記しない限り、前記環は、任意的に1~3個のヘテロ原子を含む。したがって、「5~7員環」は、例えば、フェニル基、ピリジン及びピペリジル基を含み、一方、用語「5~7員ヘテロシクロアルキル環」は、ピリジル基及びピペリジル基を含むが、フェニル基を含まない。用語「環」は、少なくとも一つの環を含む環系をさらに含み、ここで、各々の「環」は独立的に前記定義に合致する。
【0062】
特に明記しない限り、用語「ヘテロ環」又は「ヘテロ環基」は、ヘテロ原子又はヘテロ原子団を含む安定した単環、二重環又は三重環を指し、これらは飽和、部分的不飽和、又は不飽和(芳香族)のものであってもよい。これらは、炭素原子と独立的にN、O及びSから選択される1、2、3又は4個の環形成ヘテロ原子とを含み、前記任意のヘテロ環が一つのベンゼン環に縮合して二重環を形成することができる。窒素原子と硫黄原子は任意的に酸化されることができる(すなわち、NOとS(O)p、pは1又は2である)。窒素原子は、置換又は未置換のものであることができる(すなわち、N又はNRであり、ただしRは、H、又は本文で定義された別の置換基である)。前記ヘテロ環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子のペンダント基に附着することで安定した構造を形成することができる。形成された化合物が安定したものであれば、本文で記載のヘテロ環は、炭素位置又は窒素位置で置換を発生することができる。ヘテロ環の窒素原子は任意的に四級化される。好ましい態様として、ヘテロ環におけるS及びO原子の合計数が1を超えた場合、このようなヘテロ原子は互いに隣接しない。別の好ましい態様として、ヘテロ環におけるS原子及びO原子の合計数は1を超えない。本文では、用語「芳香族ヘテロ環基」又は「ヘテロアリール」は、安定した5、6、7員の単環又は二重環、又は7、8、9又は10員の二重環ヘテロ環基の芳香環を指し、詳しくは、炭素原子と独立的にN、OとSから選択される1、2、3又は4個の環形成ヘテロ原子とを含む。窒素原子は、置換又は未置換のものであることができる(すなわち、N又はNRであり、ただしRは、H、又は本文で定義された別の置換基である)。窒素と硫黄ヘテロ原子は任意的に酸化されることができる(すなわち、NOとS(O)p、pは1又は2である)。なお、芳香ヘテロ環におけるS及びO原子の合計数は1を超えない。架橋環も、ヘテロ環の定義に含まれる。一つ又は複数の原子(すなわち、C、O、N又はS)が二つの隣接しない炭素原子又は窒素原子を連結する場合、架橋環が形成される。好ましい架橋基は、一つの炭素原子、二つの炭素原子、一つの窒素原子、二つの窒素原子及び一つの炭素-窒素基を含むが、これらに限定されない。なお、一つの架橋基が、単環を三重環に変換させる。架橋環において、環上の置換基は、架橋基に出現することができる。
【0063】
ヘテロ環式化合物の実例は、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリジニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメン、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、ヒドロキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、ベンゾキサンチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、イソチアゾリルチエニル、チエノオキサゾリル、チエノチアゾリル、チエノイミダゾリル、チエニル、トリアジニル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル、1H-1,2,4-トリアゾリル、4H-1,2,4-トリアゾリルとキサンテニルが挙げられ、これらに限定されない。ヘテロ環式化合物の実例はさらに、縮合環式及びスピロ環式の化合物を含む。
【0064】
特に明記しない限り、用語「炭化水素基」又はその下位概念(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基など)は、その自体又は別の一つの置換基の一部として、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素原子団又はその組み合わせを表し、完全飽和(例えば、アルキル基)、一価または多価不飽和(例えば、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基)のものであることができ、単置換、二重置換又は多置換されたものであることができ、1価の基(例えばメチル基)、2価の基(例えばメチレン基)又は多価の基(例えばメテニル基)のものであることができ、2価又は多価原子団を含むことができ、指定された数の炭素原子(例えばC-C12は1個ないし12個の炭素を表し、C1-12はC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11及びC12から選択され、C3-12はC、C、C、C、C、C、C、C10、C11及びC12から選択される)を有する。「炭化水素基」は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含むが、これらに限定されず、前記脂肪族炭化水素基は鎖状及び環状のものを含み、具体的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基を含むが、これらに限定されず、前記芳香族炭化水素基は、ベンゼン、ナフタレンのような6~12員の芳香族炭化水素基を含むが、これらに限定されない。本発明のある態様において、用語「炭化水素基」は、直鎖状又は分岐鎖状の原子団又はそれらの組み合わせを表し、完全飽和、一価または多価不飽和のものであることができ、二価及び多価の原子団を含むことができる。飽和炭化水素原子団の実例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、イソブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル及びn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなど原子団の同族体又は異性体を含むが、これらに限定されない。不飽和炭化水素基は、一つ又は複数の二重結合又は三重結合を有し、その実例は、ビニル、2-プロペニル、ブテニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニル、3-プロピニル、3-ブテニル及びより高級の同族体及び異性体を含むが、これらに限定されない。
【0065】
特に明記しない限り、用語「ヘテロ炭化水素基」又はその下位概念(例えば、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、ヘテロアリール基など)は、その自体又は別の一つの用語と合わせて、安定した直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素原子団又はその組み合わせを表し、一定の数の炭素原子及び少なくとも一つのヘテロ原子によって形成されたものである。本発明のある態様において、用語「ヘテロアルキル基」は、その自体又は別の一つの用語と合わせて、安定した直鎖状、分岐鎖状の炭化水素原子団又はその組成物を表し、一定の数の炭素原子及び少なくとも一つのヘテロ原子によって形成されたものである。一つの典型的な態様において、ヘテロ原子はB、O、N及びSから選択され、その内、窒素原子と硫黄原子は任意的に酸化され、窒素原子は任意的に四級化されることができる。ヘテロ原子又はヘテロ原子団は、ヘテロ炭化水素基の任意の内部位置(前記ヘテロ炭化水素基が分子のその他の部分に結合した位置を含む)に位置することができる。用語「アルコキシ基」、「アルキルアミノ基」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)は、慣用表現に属し、それぞれ一つの酸素原子、アミノ又は硫黄原子を介して分子のその他の部分に結合されるアルキル基を指す。実例は、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-CH-CH=N-OCH及び-CH=CH-N(CH)-CHを含むが、これらに限定されない。多くとも二つのヘテロ原子が連続することができる。例えば、-CH-NH-OCHが挙げられる。
【0066】
特に明記しない限り、用語「シクロ炭化水素基」、「ヘテロシクロ炭化水素基」又はその下位概念(例えば、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、ヘテロシクロアルキニル基など)は、その自体又は別の用語と合わせて、それぞれ環化になった「炭化水素基」、「ヘテロ炭化水素基」を表す。また、ヘテロ炭化水素基又はヘテロシクロ炭化水素基(例えばヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基)の場合、ヘテロ原子は、当該ヘテロ環が分子のその他の部分に附着した位置を占めることができる。シクロ炭化水素基の実例は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-シクロヘキセニル基、3-シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基などを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロ基の非限定的な実例は、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフランインドール-3-イル、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル、1-ピペラジニル及び2-ピペラジニルを含む。
【0067】
特に明記しない限り、用語「アルキル基」は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を表し、単置換(例えば、-CHF)又は多置換されたものであることができ、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)又は多価(例えば、メテニル基)のものであることができる。アルキル基の例としては、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(例えば、n-プロピル基及びイソプロピル基)、ブチル基(例えば、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基)、ペンチル基(例えば、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)などを含む。
【0068】
特に明記しない限り、用語「アルケニル基」は、鎖の任意の位置で1個又は複数個の炭素-炭素二重結合を有するアルキル基を表し、単置換又は多置換されたものであることができ、一価、二価又は多価のものであることができる。アルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、1,3-ブタジエニル基、1,3-ペンタジエニル基、1,3-ヘキサジエニル基などを含む。
【0069】
特に明記しない限り、用語「アルキニル」は、鎖の任意の位置で1個又は複数個の炭素-炭素三重結合を有するアルキル基を表し、単置換又は多置換されたものであることができ、一価、二価又は多価のものであることができる。アルキニル基の例としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基などを含む。
【0070】
特に明記しない限り、用語「シクロアルキル基」は、すべての安定した環状又は多環状の炭化水素基を含み、且つすべての炭素原子が飽和であり、単置換又は多置換されたものであることができ、一価、二価又は多価のものであることができる。これらのシクロアルキル基の実例としては、シクロプロピル基、ノルボルニル基、[2.2.2]ビシクロオクタン、[4.4.0]ビシクロデカンなどを含む。
【0071】
特に明記しない限り、用語「ハロゲン化」又は「ハロゲン」は、そのもの又は他の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を表す。また、用語「ハロゲン化アルキル基」は、単置換ハロゲン化アルキル基又は多置換ハロゲン化アルキル基を含む。例えば、用語「ハロゲン化(C-C)アルキル基」は、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、4-クロロブチル基及び3-ブロモプロピル基などを含むが、これらに限定されない。特に明記しない限り、ハロゲン化アルキル基の実例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基及びペンタクロロエチル基を含むが、これらに限定されない。
【0072】
用語「アルコキシ基」は、酸素架橋を介して結合され、特定数の炭素原子を有する前記アルキル基を表す。特に明記しない限り、C1-6アルコキシル基は、C、C、C、C、C及びCのアルコキシ基を含む。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基及びS-ペンチルオキシ基を含むが、これらに限定されない。
【0073】
本発明の化合物は、当業者が公知した合成方法で製造することができ、下記のような具体的な実施形態、これとその他の化学合成方法との組み合わせの実施形態、及び当業者が公知した同等形態、好ましい実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0074】
本発明で使用された溶媒は、市販によって入手できる。本発明は、下記の略号を使用する。aqは水を表し、HATUはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを表し、EDCはN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を表し、m-CPBAは3-クロロペルオキシ安息香酸を表し、eqは当量、等量を表し、CDIはカルボニルジイミダゾールを表し、DCMはジクロロメタンを表し、PEは石油エーテルを表し、DIADはアゾジカルボン酸ジイソプロピルを表し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、EtOAcは酢酸エチルを表し、EtOHはエタノールを表し、MeOHはメタノールを表し、CBzはベンジルオキシカルボニルを表し、アミンの保護基の一種であり、BOCはtert-ブトキシカルボニルを表し、アミンの保護基の一種であり、HOAcは酢酸を表し、NaCNBHはシアノ水素化ホウ素ナトリウムを表し、r.t.は室温を表し、O/Nは一晩中を表し、THFはテトラヒドロフランを表し、BocOはジ-tert-ブチルジカーボネートを表し、TFAはトリフルオロ酢酸を表し、DIPEAはジイソプロピルエチルアミンを表し、SOClは塩化チオニルを表し、CSは二硫化炭素を表し、TsOHはp-トルエンスルホン酸を表し、NFSIはN-フルオロ-N-(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンイミドを表し、NCSは1-クロロピロリジン-2,5-ジオンを表し、n-BuNFはフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムを表し、iPrOHは2-プロパノールを表し、mpは融点を表し、LDAはリチウムジイソプロピルアミドを表す。
【0075】
化合物は、人工又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアにより命名され、市販される化合物は、販売業者のカタログ名を使用する。
【実施例1】
【0076】
(実施例)
以下は、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明に対して何らかの不利な制限を意図することがない。本文は本発明を詳しく説明して、その具体的な実施形態も公開しているが、当業者にとって、本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない限り、本発明の具体的な実施形態に対して各種の変更及び改良を行うことは、自明である。
【0077】
参考例1:WXR1
【化27】
化合物WXR1は、特許出願WO2015008844に記載されているスキームを参照して合成された。
【0078】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ = 8.40 (d, J = 3.0 Hz, 1 H), 6.93 (d, J = 2.5 Hz, 2 H), 6.74-6.52 (m, 2 H), 6.20-6.16 (m, 1 H), 5.74-5.69 (m, 1 H), 5.45-5.61 (m, 1 H), 4.12-3.90 (m, 2 H), 3.90-3.79 (m, 8H), 2.47-2.30 (m, 2H). MS m/z : 419.1 [M+H]
【0079】
参考例2:WXR2
【化28】
化合物WXR2は、特許出願WO2015008844に記載されているスキームを参照して合成された。
【0080】
H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 8.28 (s, 1H), 6.83 (br s, 2H), 6.60 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 5.65-5.44 (m, 1H), 4.12-3.98 (m, 1H), 3.97-3.88 (m, 2H), 3.83 (s, 6H), 3.82-3.74 (m, 1H), 3.74-3.63 (m, 1H), 2.63-2.53 (m, 1H), 2.51-2.35 (m, 3H), 1.22-1.12 (m, 3H). MS m/z : 421.1 [M+H]
【0081】
参考例3:WXR3
【化29】
【0082】
参考例4:AZD4547の合成
【化30】
AZD4547は、特許出願WO2009153592に記載されているスキームを参照して合成された。
【0083】
H NMR (400 MHz,重水素化メタノール) δ: 7.93 (d, J = 8.8 Hz, 2 H), 7.13 (d, J = 8.8 Hz, 2 H), 6.37 (s, 2 H), 6.33 (s, 1 H), 6.31 (s, 1 H), 4.12-4.09 (m, 2 H), 3.74 (s, 6 H), 3.51-3.48 (m, 2 H), 2.99-2.93 (m, 4 H), 2.84 (t, J = 12.4 Hz, 2 H), 1.42 (d, J = 6.4 Hz, 6 H). MS m/z : 464.4 [M+H]
【0084】
参考例5:BGJ398の合成
【化31】
BGJ398は、特許出願WO2006000420に記載されているスキームを参照して合成された。
【0085】
H NMR (400 MHz,重水素化メタノール) δ: 8.40 (s, 1 H), 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 2 H), 7.09 (d, J = 8.8 Hz, 2 H), 6.82 (s, 1 H), 6.49 (s, 1 H), 3.96 (s, 6 H), 3.86 (d, J = 12.0 Hz, 2 H), 3.69 (d, J = 12.0 Hz, 2 H), 3.43 (s, 3 H), 3.33-3.20 (m, 4 H), 3.08 (t, J = 12.4 Hz, 2 H), 1.42 (t, J = 7.2 Hz, 3 H). MS m/z : 560.1 [M+H]
【0086】
参考例6:JNJ493
【化32】
JNJ493は、上海Haoyuanバイオテクノロジー株式会社から購入した。(CAS: 1346242-81-6)。
【0087】
H NMR (400MHz,重水素化メタノール) H NMR (400MHz, 重水素化クロロホルム) δ: 8.86 (s, 1H), 8.41 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.77 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.35 (dd, J = 2.4, 9.3 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.53-6.43 (m, 3H), 4.08-3.97 (m, 5H), 3.80 (s, 6H), 2.97 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.90-2.78 (m, 1H), 1.10 (d, J = 6.4 Hz, 6H). MS m/z : 447.2 [M+H]
【0088】
参考例7:WXR4
【化33】
化合物WXR4は、特許出願US20140142084に記載されているスキームを参照して合成された。
【0089】
H NMR (400 MHz,重水素化メタノール) H NMR (400 MHz, 重水素化クロロホルム) δ: 8.41 (s, 2 H), 8.13 (s, 1 H), 7.86 (s, 1 H), 6.98 (t, J = 8.3 Hz, 1 H), 5.25 (s, 2 H), 4.34 (t, J = 5.0 Hz, 2 H), 3.95 (t, J = 5.3 Hz, 2 H), 3.91 (s, 6 H). MS m/z : 408.1 [M+H]
【0090】
中間体A1:
【化34】
【0091】
合成スキーム:
【化35】
【0092】
ステップ1:化合物A1-1の合成
室温で、4-アミノ-7-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン(3.00g、14.1mmol、1.00eq)を1,4-ジオキサン(40mL)と水(8mL)の混合溶液に溶解してから、N-Boc-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-ピナコールホウ酸エステル(4.36g、14.8mmol、1.05eq)、リン酸カリウム(8.97g、42.2mmol、3.00eq)及び1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン塩化パラジウム(1.03g、1.41mmol、0.10eq)を混合溶液に順に添加した。窒素保護下で、反応液を80℃に加熱し、2時間撹拌した。反応終了後、反応液を25℃に冷却し、水20mLに注いだ。形成された黒色の固体をろ過により回収した後、ジクロロメタン/メタノール(100mL、5/1)の混合溶液に溶解し、再度ろ過した。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下でロータリーエバポレーターにより有機溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物を酢酸エチル(30mL)でスラリー化し、ろ過して化合物A1-1を得た。
【0093】
LCMS (ESI) m/z: 302.1 [M+H]H NMR (400 MHz,重水素化クロロホルム) δ = 8.05 (s, 1H), 6.98-6.84 (m, 1H), 6.72-6.54 (m, 2H), 4.67-4.49 (m, 2H), 4.44-4.30 (m, 2H).
【0094】
ステップ2:化合物A1-2の合成
室温で、水酸化パラジウム(615mg、438μmol)をA1-1(1.20g、3.98mmol、1.00eq)のメタノール(30mL)溶液に加えた。水素ガスで3回置換した後、反応液を50℃に加熱した。50psiの水素ガス下で、反応液を2時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、ろ過して触媒を除去した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去し、A1-2を得た。
【0095】
H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ: 7.80 (s, 1H), 6.86 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 6.53 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 3.96-3.79 (m, 2H), 3.60-3.51 (m, 1H), 3.49-3.38 (m, 2H), 2.39-2.36 (m, 1H), 2.19-2.13 (m, 1H), 1.49 (d, J = 3.6 Hz, 9H).
【0096】
ステップ3:化合物A1の合成
室温で、ヨードスクシンイミド(26.7g、119mmol、3.00eq)をA1-2(12.0g、39.6mmol、1.00eq)のN,N-ジメチルホルムアミド(150mL)溶液にバッチで加えた。反応液を室温で1時間攪拌した後、反応液を氷水(200mL)にゆっくりと加え、固形物を形成させた。ろ過により溶媒を除去し、ろ過ケーキを減圧下でロータリーエバポレーターにより乾燥し、化合物A1を得た。化合物A1をキラル分離(カラム:IC(250mm*50mm、10μm);移動相:[0.1%アンモニア水/エタノール]; B%:30%-30%)して、化合物A1-A(保持時間2.94分)及び化合物A1-B(保持時間3.28分)を得た。
【0097】
中間体A2:
【化36】
【0098】
合成スキーム:
【化37】
【0099】
ステップ1:化合物A2-1の合成
室温で、塩酸/酢酸エチル(4M、20.00mL、6.87eq)をA1(5.00g、11.65mmol、1.00eq)を溶解した酢酸エチル(30mL)の溶液にゆっくり加えた。反応液を2時間攪拌した後、ろ過した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ過ケーキから溶媒を除去して、A2-1塩酸塩を得た。
【0100】
LCMS (ESI) m/z: 329.9 [M+H] H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 8.11 (s, 1H), 7.20 (s, 1H), 4.12 (m, 1H), 3.84 (m, 1H), 3.67-3.54 (m, 1H), 3.51-3.37 (m, 2H), 2.71-2.51 (m, 1H), 2.35-2.27 (m, 1H).
【0101】
ステップ2:化合物A2の合成
0℃で、トリエチルアミン(3.60g、35.55mmol、4.93mL、5.00eq)と塩化アクリロイル(707.88mg、7.82mmol、1.10eq)をA2-1(2.60g、7.11mmol、1.00 eq、塩酸塩)のジクロロメタン(20.00mL)溶液に順に加えた。1時間攪拌した後、反応液を水50mLに注いだ。相分離後、水相をジクロロメタン(20mL×5)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で除去して、A2を得た。
【0102】
LCMS (ESI) m/z: 384.0 [M+H] 、 406.0 [M+Na]
【0103】
中間体A3:
【化38】
【0104】
中間体A1の合成方法を参照した。
【0105】
中間体B1:
【化39】
【0106】
合成スキーム:
7-メトキシ-5-メチルベンゾチオフェン(2.00g、11.22mmol、1.00eq)のテトラヒドロフラン(20.00mL)溶液を-70℃に冷却した。ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(2.5M、8.98mL、2.00eq)を冷却した溶液にゆっくりと滴下した。滴下後、1時間攪拌した。次に、トリイソプロピルボロン酸(2.11g、11.22mmol、1.00eq)を添加した。添加が完了した後、1時間攪拌した。水(10mL)を滴下して反応を停止させた。反応混合物を濃縮して、テトラヒドロフランを除去した。残留物を石油エーテル(50mL)で洗浄し、希塩酸でpH値5に調整した。白色固体が生成した。ろ過後、ろ過ケーキを水(50mL)で洗浄しから、真空下で乾燥して中間体B1を得た。
【0107】
H NMR (400MHz,重水素化クロロホルム) δ = 7.72 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 6.67 (s, 1H), 4.01 (s, 3H), 2.50 (s, 3H)。
【0108】
中間体B2:
【化40】
【0109】
2-ブロモ-5-クロロアニソールから4-クロロ-2-メトキシチオフェノールを調製した(J.O. Jilek et al.,Collection of Czechoslovak Chemical Communications,Vol. 4,1978,p. 1747-175を参照)、B1の合成方法と同じように行って中間体B2を合成した。
【0110】
H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.75 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 6.87 (s, 1H), 4.00 (s, 3H)
【0111】
中間体B3:
【化41】
【0112】
合成スキーム:
【化42】
【0113】
ステップ1:化合物B3-1の合成
室温で、炭酸セシウム(149.24g、458.06mmol、2.00eq)を4-クロロ-2-メトキシチオフェノール(40.00g、229.03mmol、1.00eq)と1-クロロアセトン(31.78g、343.55mmol、1.50eq)のN,N-ジメチルホルムアミド(500.00mL)の溶液に添加した。窒素保護下で16時間攪拌した後、反応液を水250mLに加え、酢酸エチル(100mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(250mL)で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から有機溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル→石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、化合物B3-1を得た。
【0114】
H NMR (400MHz,重水素化クロロホルム) δ = 7.25 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.84-6.80 (m, 1H), 3.80-3.76 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 1.35 (s, 3H)。
【0115】
ステップ2-3:B1の合成方法と同じように行って中間体B3を合成した。
【0116】
H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.25 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.87 (s, 2H),2.41 (s, 3H)。
【0117】
中間体B4:
【化43】
【0118】
化合物B1と化合物B3の合成方法と同じように行って中間体B4を合成した。
【0119】
H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.75 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 6.87 (s, 1H), 4.00 (s, 3H)
【0120】
中間体B5:
【化44】
【0121】
合成スキーム:
【化45】
【0122】
ステップ1:化合物B5-1の合成
室温で、3,5-ジメトキシアニリン(43.00g、280.72mmol、1.00eq)とチオシアン酸アンモニウム(47.01g、617.58mmol、2.20eq)を氷酢酸(500mL)に溶解した。反応液を氷水浴中で10℃に冷却し、液体臭素(43.00g、280.72mmol、1.00eq)を1時間かけてゆっくりと滴下した。反応物を窒素下で16時間撹拌した。反応終了後、反応液を水1000mLに注ぎ、2M NaOH溶液で中和し、pH9に調整し、ジクロロメタン(500mL)で5回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下でロータリーエバポレーターにより溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1→酢酸エチル)で精製し、化合物B5-1を得た。
【0123】
LCMS (ESI) m/z: 210.8 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 6.51 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.22 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.70 (s, 3H)。
【0124】
ステップ2:化合物B5-2の合成
室温で、化合物B5-1(5g、23.78mmol、1eq)をジオキサン溶液(50mL)に加え、更に、室温で亜硝酸イソアミル(4.18g、35.67mmol、4.80mL、1.5eq)を加えた。反応液を90℃に加熱し、窒素保護下で1時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、水100mLに注いだ。得られた混合物をジクロロメタン(20mL)で5回抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで洗浄した後、溶媒を減圧下でロータリーエバポレーターにより除去して、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル→石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、化合物B5-2を得た。
【0125】
LCMS (ESI) m/z: 195.9 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 9.16 (s, 1H), 7.18 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H), 3.90 (s, 3H)。
【0126】
ステップ3:化合物B5の合成
攪拌機と低温温度計を備えた100mLの三口フラスコに、窒素保護下でB5-1(1g、5.12mmol、1eq)とテトラヒドロフラン(20mL)を加えた。温度を-78oCに降下した後、n-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(2.5M、2.46mL、1.2eq)をゆっくりと滴下し、反応システムを-78oCに1時間維持した。続いて、塩化トリブチルスズ(2.4g、7.37mmol、1.98mL、1.44eq)を-78℃でゆっくりと滴下した。滴下終了後、-10℃まで昇温し、1時間反応させた。ロータリーエバポレーターにより反応液からテトラヒドロフランを除去した。1,4-ジオキサンを加えて溶解し、不溶物をろ去した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去し、中間体B5を得た。
【0127】
中間体B6
【化46】
【0128】
合成スキーム:
【化47】
【0129】
ステップ1:化合物B6-1の合成
0℃で、3,5-ジメトキシベンズアルデヒド(125g、752.23mmol、1eq)のアセトニトリル(3000mL)溶液に、1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(532.97g、1.50mol、2eq)を少しずつ添加した。添加完了後、反応物をゆっくりと室温まで加温し、48時間撹拌した。反応終了後、反応液中の固形物をろ別した。溶媒の大部分を減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から除去し、更に1000mLの酢酸エチルで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpH7~8に調整した。最後に、分液漏斗で水相と有機相を分離し、水相を酢酸エチル(1800mL)で3回抽出し、有機相を合わせ、2000mLの飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過し、減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100~200メッシュのシリカゲル、溶離液:石油エーテル/酢酸エチル=1/0~3/1)で精製して、化合物B6-1を得た。
【0130】
ステップ2:化合物B6-2の合成
40℃で、B6-1(10g、49.47mmol、1eq)、メルカプト酢酸メチル(5.78g、54.41mmol、4.94mL、1.1eq)と炭酸カリウム(6.84g、49.47mmol、1eq)のN,N-ジメチルホルムアミド(100mL)溶液を20時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、水400mLを加えた。得られた混合物を200mLの酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去し、粗生成物を得た。粗生成物をシリカフラッシュカラム(ISCO(登録商標); 200gSepaFlash(登録商標)シリカゲル高速カラム、移動相:0-100%酢酸エチル/石油エーテル@ 100mL / min)で精製して、化合物B6-2を得た。
【0131】
ステップ3:化合物B6-3の合成
90℃で、B6-2(5g、18.50mmol、1eq)と水酸化リチウム一水和物(7.76g、185.00mmol、10eq)のジオキサン(50mL)と水(10mL)の混合溶液を18時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、減圧下でロータリーエバポレーターにより有機溶媒を除去した。1M希塩酸でpH6に調整し、得られた混合物を100mLの酢酸エチルで5回抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。減圧下でのロータリーエバポレーターにより溶媒をろ液から除去して、化合物B6-3を得た。
【0132】
H NMR (400MHz,重水素化クロロホルム) δ = 8.18 (s, 1H), 6.68 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.01 (s, 3H), 3.99 (s, 3H).
【0133】
ステップ4:化合物B6-4の合成
200℃で、B6-3(2.4g、9.37mmol、1eq)、酸化第一銅(2.68g、18.73mmol、1.91mL、2eq)とキノリン(20mL)の混合物を1時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した。反応液に酢酸エチル50mLを加え、1M希塩酸でpH6に調整した。分液ロートで分液後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過した。ロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカフラッシュカラム((ISCO(登録商標); 24gSepaFlash(登録商標)シリカゲル高速カラム、移動相:0-100%酢酸エチル/石油エーテル@ 35mL / min)で精製して、化合物B6-4を得た。
【0134】
H NMR (400MHz,重水素化クロロホルム) δ = 7.47-7.41 (m, 1H), 7.41-7.35 (m, 1H), 6.57 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.98 (s, 3H)。
【0135】
ステップ5:化合物B6の合成
中間体B6-4を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って化合物B6を合成した。
【0136】
H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.80 (s, 1H), 6.74 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.95 (s, 3H).
【0137】
中間体B7
【化48】
【0138】
7-メトキシベンゾフランを出発原料として、中間体B1の合成方法と同じように行って中間体B7を合成した。
H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.34 (s, 1H), 7.25-7.11 (m, 2H), 6.91 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.12-3.91 (m, 3H)
【0139】
中間体B8
【化49】
【0140】
合成スキーム:
【化50】
【0141】
ステップ1:化合物B8-1の合成
室温で、テトラヒドロフラン(100mL)と4-ブロモクロトン酸エチル(10.0g、51.80mmol、7.14mL、1.00eq)を乾燥しておいた250mLフラスコに加え、混合物を25℃で撹拌した。KCO(14.32g、103.61mmol、2.00eq)とモルホリン(4.74g、54.39mmol、4.79mL、1.05eq)を25℃で加え、混合物を25℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応液をゆっくりと水(50mL)に注いだ。混合物を酢酸エチル(50ml)で3回抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカフラッシュカラム(石油エーテル/酢酸エチル=10:1-3:1)で精製し、化合物B8-1を得た。
【0142】
H NMR (400MHz,重水素化クロロホルム) δ = 7.27-6.88 (m, 1H), 6.00-5.95 (m, 1H), 4.15 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.75-3.59 (m, 4H), 3.12-3.10 (m, 2H), 2.51-2.31 (m, 4H), 1.35-1.09 (m, 3H)
【0143】
ステップ2:化合物B8の合成
清潔な100mlの三口フラスコで、化合物B8-1(1g、5.02mmol、1eq)を25℃でメタノール(20ml)と水(10mL)に溶解した後、混合物の攪拌を開始した。反応液を0℃に冷却した。前記の反応液にNaOH(602.27mg、15.06mmol、3eq)を加えた。反応液を25℃に加熱した。1時間攪拌した後、反応液を減圧下でロータリーエバポレーターにより濃縮した。固体が沈殿した。固体をジクロロメタン/メタノール(10/1)に浸し、ろ過した。ろ液を濃縮して、化合物B8を得た。
【0144】
1H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.04-6.85 (m, 1H), 6.43-6.23 (m, 1H), 4.02-4.00 (m, 4H), 3.94-3.81 (m, 2H), 3.57-3.36 (m, 2H), 3.27-3.17 (m, 2H)
【0145】
中間体B9
【化51】
【0146】
7-メトキシベンゾチオフェンを出発原料として、中間体B1の合成方法と同じように行って中間体B9を合成した。
【0147】
H NMR (400MHz、 DMSO-d) δ = 7.95-7.79 (m, 1H), 7.61-7.39 (m, 1H), 7.37-7.24 (m, 1H), 6.99-6.83 (m, 1H), 3.96-3.87 (m, 3H)
【0148】
実施例1と2:化合物WX001(WX001AとWX001B)の合成
【化52】
【0149】
ステップ1:化合物WX001-1の合成
室温で、化合物B1(777.25mg、3.50mmol、2.50eq)、炭酸ナトリウム(296.77mg、2.80mmol、2.00eq)及びテトラ(トリフェニルホスフィン)パラジウム(161.78mg、140.00μmol、0.10eq)を化合物A1(600.00mg、1.40mmol、1.00eq)のエチレングリコールジメチルエーテル(9mL)/エタノール(3mL)/水(0.5mL)の混合溶液に順に添加した。窒素置換を3回行った後、90℃に加温し、5時間攪拌した後、室温まで冷却し、水30mLに注いだ。得られた混合物をジクロロメタン(10mL)で5回抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。減圧下でロータリーエバポレーターにより溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1~1/3)で精製し、WX001-1を得た。
【0150】
LCMS (ESI) m/z: 480.2 [M+H]、502.2 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール)δ = 7.91 (s, 1H), 7.27 (s, 2H), 6.77 (s, 1H), 6.70 (s, 1H), 4.00 (s, 3H), 3.96-3.90 (m, 2H), 3.64-3.50 (m, 3H), 2.49 (s, 3H), 2.44-2.36 (m, 2H), 1.50 (s, 9H)。
【0151】
ステップ2:化合物WX001-2の合成
室温で、塩酸酢酸エチルの溶液(4M、2.00mL、9.51eq)をWX001-1(350.00mg、729.79μmol、1.00eq)の酢酸エチル(2mL)溶液にゆっくりと滴下した。混合物を1時間撹拌し、ろ過して固体を得た。固体を減圧下で乾燥して、化合物WX001-2の塩酸塩を得た。
【0152】
LCMS (ESI) m/z: 380.1 [M+H]+、H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 8.17 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.12-7.06 (m, 1H), 6.84 (s, 1H), 4.12-4.06 (m, 1H), 4.02 (s, 3H), 3.92-3.82 (m, 2H), 3.67-3.58 (m, 2H), 2.66-2.60 (m, 1H), 2.51 (s, 3H), 2.39-2.32 (m, 1H)。
【0153】
ステップ3:化合物WX001(WX001AとWX001B)の合成
0℃で、ジイソプロピルエチルアミン(258.56mg、2.00mmol、349.41μL、4.00eq)と塩化アクリロイルのジクロロメタン溶液(0.25M、1.80mL、0.90eq)をWX001-2の塩酸塩(200.00mg、500.16μmol、1.00eq)のジクロロメタン(4.00mL)溶液に添加し、5分間攪拌した。反応液を2mLの水に注いだ。相分離後、水相をジクロロメタン(1mL)で3回抽出した。有機相を合わせ、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物を薄層分取プレート(ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製し、化合物WX001を得た。化合物WX001をカラムでキラル分離し((カラム:AS(250mm*30mm、5μm);移動相:[0.1%アンモニア水エタノール]; B%:40%-40%))、WX001A(保持時間:6.16分)とWX001B(保持時間:6.98分)を得た。保持時間は次の分析カラムで測定した:カラム:Chiralpak AS-3 150x4.6mm ID、3μm、移動相:A:二酸化炭素B:メタノール(0.05%ジエチルアミン)、40%B、流速:2.5mL/分、カラム温度:35℃。
【0154】
WX001A、LCMS (ESI) m/z: 434.2 [M+H]、 456.1[M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.75 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.12-7.04 (m, 2H), 6.61 (s, 1H), 6.56-6.40 (m, 2H), 6.20-6.15 (m, 1H), 5.65-5.60 (m, 1H), 4.11-3.94 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.81-3.38 (m, 4H), 2.48-2.26 (m, 4H), 2.22-1.93 (m, 1H).
【0155】
WX001B、LCMS (ESI) m/z: 434.2 [M+H]、 456.1[M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) H NMR (400 MHz,重水素化メタノール) δ = 7.75 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.08 (s, 2H), 6.61 (s, 1H), 6.54 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.41-6.51 (m, 1H), 6.20-6.16 (m, 1H), 5.66-5.42 (m, 1H), 4.09-3.96 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.80-3.38 (m, 4H), 2.44-2.25 (m, 4H), 2.21-1.99 (m, 1H)。
【0156】
実施例3:化合物WX001Cの合成
【化53】
【0157】
中間体A1-BとB1を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。WX001Aと合わせて、SFC(化合物WX001のSFC分析方法、保持時間:6.14分)で同定し、WX001Aであった。
【0158】
実施例4:化合物WX002Aの合成
【化54】
【0159】
中間体A1-BとB2を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
【0160】
LCMS (ESI) m/z: 454.1 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.81 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 6.82 (s, 1H), 6.64 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.58-6.50 (m, 1H), 6.22-6.17 (m, 1H), 5.68-5.63 (m 1H), 4.20-3.93 (m, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.77-3.44 (m, 3H), 2.52-2.31 (m, 1H), 2.27-2.05 (m, 1H)。
【0161】
実施例5:化合物WX002Bの合成
【化55】
【0162】
中間体A1-Aと中間体B2を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
【0163】
LCMS (ESI) m/z: 454.1 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.81 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 6.81 (s, 1H), 6.63 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.58-6.50 (m, 1H), 6.22-6.17(m, 1H), 5.74-5.56 (m, 1H), 4.18-3.92 (m, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.81-3.59 (m, 2H), 3.57-3.42 (m, 1H), 2.50-2.30 (m, 1H), 2.28-2.02 (m, 1H)。
【0164】
実施例6:化合物WX003の合成
【化56】
【0165】
中間体A3と中間体B1を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
【0166】
LCMS (ESI) m/z: 448.1 [M+H] 470.2 [M+Na]H NMR (400 MHz,重水素化メタノール) δ = 7.83-7.76 (m, 1H), 7.15 (s, 2H),6.75-6.68 (m, 1H), 6.66 (s, 1H), 6.61 (s, 1H), 6.14-6.06 (m, 1H), 5.68-5.58 (m, 1H), 4.42-4.27 (m, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.40-3.27 (m, 2H), 3.08-2.83 (m, 2H), 2.37 (s, 3H), 2.13-2.02 (m, 1H), 1.86-1.72 (m, 2H), 1.63-1.54 (m, 1H)。
【0167】
実施例7と8:化合物WX004(WX004A、WX004B)の合成
【化57】
【0168】
中間体A2と中間体B4を出発原料として、実施例1のステップ1と同じように行って合成した。合成した生成物をカラムでキラル分割し((カラム:AS(250mm*30mm、10μm)、移動相:[0.1%アンモニア水/メタノール]; B%:40%-40%))、化合物WX004A(保持時間:5.58分)及びWX004B(保持時間:6.14分)を得た。保持時間は次の分析カラムで測定した:カラム:Chiralpak AS-3 150x4.6mm ID、3μm、移動相:A:二酸化炭素、B:メタノール(0.05%ジエチルアミン)、40%B、流速:2.5mL /分、カラム温度:35℃。
【0169】
WX004A、LCMS (ESI) m/z: 448.2 [M+H] 470.2 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 6.81 (s, 1H), 6.73-6.57 (m, 2H), 6.34-6.33 (m, 1H), 5.80-5.75 (m, 1H), 4.32-4.12 (m, 1H), 4.11-3.95 (m, 4H), 3.93-3.72 (m, 2H), 3.70-3.64 (m, 1H), 2.64-2.42 (m, 4H), 2.39-2.16 (m, 4H).
【0170】
WX004B、LCMS (ESI) m/z: 448.2 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.78 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 6.69 (s, 1H), 6.63-6.44 (m, 2H), 6.22-6.17 (m, 1H), 5.73-5.54 (m, 1H), 4.24-4.01 (m, 1H), 4.00-3.89 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.80-3.60 (m, 2H), 3.57-3.44 (m, 1H), 2.52-2.32 (m, 4H), 2.30-2.10 (m, 4H)。
【0171】
実施例9:化合物WX005の合成
【化58】
中間体A1-A、B3を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
【0172】
LCMS (ESI) m/z: 490.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.80 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.87 (s, 1H), 6.67-6.49 (m, 2H), 6.25-6.03 (m, 1H), 5.70-5.59 (m, 1H), 4.24-4.00 (m, 1H), 3.99-3.85 (m, 3H), 3.83-3.60 (m, 2H), 3.58-3.41 (m, 1H), 3.40-3.26 (m, 1H), 2.50-2.34 (m, 1H), 2.32-2.19 (m, 1H), 2.17 (s, 3H)。
【0173】
実施例10:化合物WX006Aの合成
【化59】
【0174】
合成スキーム:
【化60】
【0175】
ステップ1-2:化合物WX006A-2の合成
中間体A1-B、B1を出発原料として、実施例1のステップ1とステップ2と同じように行って合成した。
【0176】
ステップ3:化合物WX006Aの合成
0℃で、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(68.56mg、180.31μmol、1.50eq)を2-ブチン酸(10.11mg、120.21μmol、1.00eq)のジクロロメタン溶液(2.00mL)に添加し、30分間攪拌した。0℃で、化合物WX006A-2(50.00mg、120.21μmol、1.00eq、HCl)とトリエチルアミン(36.49mg、360.63μmol、49.99μL、3.00eq)を反応液に加え、ゆっくり20℃に加熱し、16時間攪拌した。反応終了後、反応液をジクロロメタン10mLで希釈し、水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物を薄層分取プレート(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)で単離して、化合物WX006Aを得た。
【0177】
LCMS (ESI) m/z: 446.1 [M+H]、 468.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.78 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.13 (s, 2H), 6.64 (s, 1H), 6.59 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 3.98-3.74 (m, 5H), 3.69-3.55 (m, 2H), 3.47-3.34 (m, 1H), 2.46-2.31 (m, 4H), 2.22-2.07 (m, 1H), 1.93 (d, J = 9.2 Hz, 3H)
【0178】
実施例11:化合物WX006Bの合成
【化61】
中間体A1-A、B1を出発原料として、実施例1、実施例9の合成方法と同じように行って合成した。
【0179】
LCMS (ESI) m/z: 446.1 [M+H]、 468.0 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.78 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.13 (s, 2H), 6.64 (s, 1H), 6.59 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 4.00-3.73 (m, 5H), 3.70-3.51 (m, 2H), 3.45-3.34 (m, 1H), 2.36 (s, 4H), 2.23-2.06 (m, 1H), 1.93 (d, J = 9.2 Hz, 3H)
【0180】
実施例12と13:化合物WX007(WX007A、WX007B)の合成
【化62】
【0181】
中間体WX001-2とオレイン酸を出発原料として、実施例9のステップ3と同じように行って合成した。合成した生成物をカラムでキラル分割し((カラム:AS(250mm*30mm、10μm)、移動相:[0.1%アンモニア水/エタノール]; B%:45%-45%))、化合物WX007A(保持時間:1.70分)及びWX007B(保持時間:2.02分)を得た。保持時間は次の分析カラムで測定した:カラム:Chiralpak AS-H 150*4.6mm I.D.、5μm、移動相:二酸化炭素中40%エタノール(0.05%ジエチルアミン)、流速:3mL/分、カラム温度:40℃。
【0182】
WX007A、LCMS (ESI) m/z: 491.2 [M+H]、 513.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.76 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.09 (s, 2H), 6.79-6.67 (m, 1H), 6.62 (s, 1H), 6.55 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.37-6.32 (m, 1H), 4.12-3.92 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.81-3.72 (m, 1H), 3.70-3.39 (m, 3H), 3.07-2.99 (m, 2H), 2.39-2.25 (m, 4H), 2.16 (s, 3H), 2.15 (s, 3H), 2.12-1.99 (m, 1H)
【0183】
WX007B、LCMS (ESI) m/z: 491.2 [M+H]、 513.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.76 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.10 (s, 2H), 6.79-6.68 (m, 1H), 6.63 (s, 1H), 6.56 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.38-6.33 (m, 1H), 4.15-3.94 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.83-3.71 (m, 1H), 3.69-3.40 (m, 3H), 3.06-3.03 (m, 2H), 2.40-2.32 (m, 4H), 2.17 (s, 3H), 2.15 (s, 3H), 2.12-1.97 (m, 1H)
【0184】
実施例14:化合物WX008 の合成
【化63】
【0185】
合成スキーム:
【化64】
【0186】
ステップ1:WX008-1の合成
-60℃で、窒素保護下で、メチルリチウム(1.6M、616.10μL、1.05eq)を4-アミノ-7-ブロモ-ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン(0.2g、938.81μmol、1eq)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液に15分以内に滴下し、30分反応後、n-ブチルリチウム(2.5M、413.08μL、1.1eq)を反応液にゆっくり滴下した。反応液を-60℃~-40℃で1時間撹拌し、次にN-BOC-3-ピロリドン(347.77mg、1.88mmol、2eq)を反応液に加えた。反応液をゆっくりと20℃に加温し、16時間攪拌した。反応液を0℃に冷却し、水1mLを加えて反応を停止させた。反応液を5mLの水で希釈し、酢酸エチル(5mL)で3回抽出した。有機相を10mLの飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下でロータリーエバポレーターにかけ、粗生成物として化合物WX008-1を得た。粗生成物を次の反応に直接使用した。
【0187】
LCMS (ESI) m/z: 319.9 [M+H]
【0188】
ステップ2:WX008-2の合成
中間体WX008-1を出発原料として、A1の合成方法と同じように行って合成した。
【0189】
LCMS (ESI) m/z: 446.0 [M+H]
【0190】
ステップ3-5:WX008の合成
中間体WX008-2を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
【0191】
LCMS (ESI) m/z: 432.1 [M+H]、 450.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.81 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.77 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.65 (s, 1H), 6.63-6.44 (m, 1H), 6.24-6.19 (m, 1H), 5.72-5.57 (m, 1H), 4.17-3.93 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.85-3.56 (m, 2H), 2.86-2.61 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.34-2.20 (m, 1H)
【0192】
実施例15と16:化合物WX009AとWX009Bの合成
【化65】
【0193】
中間体A1、B1とシアノ酢酸を出発原料として、実施例1と実施例9の合成方法と同じように行って化合物WX009を合成した。SFCでの分離(カラム:AD(250mm*30mm、10μm);移動相:[0.1%アンモニア水・イソプロパノール]; B%:55%-55%)により、化合物WX009A(保持時間:5.08分)と化合物WX009B( 保持時間:7.89分)を得た。保持時間は次の分析カラムで測定した:カラム:Chiralpak AD-3 50 * 4.6mm ID、3μm、移動相:二酸化炭素中の40%イソプロパノール(0.05%エチレンジアミン)、流量:4mL/min、カラム温度:40°C。
【0194】
WX009A:LCMS (ESI) m/z: 447.2[M+H]、 469.1[M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.79 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 1.6 Hz, 2H), 6.75-6.54 (m, 2H), 4.05-3.93 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.70-3.59 (m, 1H), 3.56-3.39 (m, 2H), 2.48-2.33 (m, 4H), 2.25-2.01 (m, 1H)。
【0195】
WX009B:LCMS (ESI) m/z: 447.2[M+H]、 469.4[M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.79 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 1.6 Hz, 2H), 6.74-6.51 (m, 2H), 4.10-3.91 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.71-3.59 (m, 1H), 3.58-3.40 (m, 2H), 2.50-2.27 (m, 4H), 2.26-1.99 (m, 1H)。
【0196】
実施例17:化合物WX010の合成
【化66】
【0197】
合成スキーム:
【化67】
【0198】
ステップ1:化合物WX010-1の合成
攪拌機を備えた100mLの3つ口フラスコに、窒素の保護下で、化合物A1(1.10g、2.56mmol、1eq)、ヨウ化第一銅(97.53mg、512.00μmol、0.2eq)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(359.44mg、512.00μmol、0.2eq)、トリエチルアミン(1.04g、10.24mmol、1.43mL、4eq)と1,4-ジオキサン(5mL)を順に加えた後、新鮮な調製した化合物B5(2.48g、5.12mmol、2eq)を追加した。窒素置換を3回行った後、100℃のオイルバスに入れ、12時間反応させた。反応終了後、不溶物をろ別し、ろ液を減圧下でロータリーエバポレーターにかけて粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=3/1→酢酸エチル)にかけて、生成物WX010-1を得た。
【0199】
LCMS (ESI) m/z: 467.1 [M+H]
【0200】
ステップ2と3:化合物WX010の合成
中間体WX010-1を出発原料として、実施例1のステップ2とステップ3の合成方法と同じように行って合成した。
【0201】
LCMS (ESI) m/z: 473.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.86 (s, 1H), 7.09-6.93 (m, 2H), 6.70-6.64 (m, 1H), 6.55 (s, 1H), 6.37-6.31 (m, 1H), 5.82-5.79 (m, 1H), 4.34-4.09 (m, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.89-3.83 (m, 5H), 3.82-3.69 (m, 1H), 3.68-3.55 (m, 1H), 2.62-2.41 (m, 1H), 2.38-2.12 (m, 1H)
【0202】
実施例18と19:WX011(WX011AとWX011B)の合成
【化68】
【0203】
合成スキーム:
【化69】
【0204】
ステップ1:化合物WX011-1の合成
tert-ブチル(1H-ピロール-1-イル)カーバメート(25.00g、137.20mmol、1.00eq)のアセトニトリル(200.00mL)溶液を0°Cに冷却し、クロロスルホニルイソシアネート(20.39g、144.06mmol、12.51mL、1.05eq)をシリンジで反応液にゆっくりと滴下した。30分間攪拌した後、沈殿物が形成された。0℃で45分間攪拌を続けた後、N,N-ジメチルホルムアミド(14.84g、203.05mmol、15.62mL、2.50eq)をシリンジで反応液に滴下し、反応液中の沈殿物が消えた。同温度で45分間攪拌を続けた後、反応液をゆっくり25℃に加温して反応を終了させた。反応液を200mLの氷水にゆっくり注いだ。混合物を200mLの酢酸エチルで抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、更にシリカゲルで充填された砂コア漏斗でろ過した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去し、化合物WX011-1を得た。
【0205】
ステップ2:化合物WX011-2の合成
-30℃で、ジブロモヒダントイン(10.69g、37.40mmol、0.50eq)をWX011-1(15.50g、74.80mmol、1.00eq)のアセトニトリル(150mL)溶液にバッチで加えた。反応液をゆっくりと25℃に加温し、2時間撹拌した。反応終了後、反応液を水100mLに加え、水相を酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、100mLの飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下でロータリーエバポレーターにかけ、粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=9/1-1/1)で精製して、化合物WX011-2を得た。
【0206】
1H NMR (400MHz, CDCl): δ = 7.23 (brs, 1H), 6.85 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 1.44 (s, 9H)。
【0207】
ステップ3:化合物WX011-3の合成
窒素雰囲気下で、WX011-2(5.30g、18.52mmol、1.0eq)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液を-60℃に冷却した。反応液に臭化メチルマグネシウム(3mol/Lテトラヒドロフラン溶液、6.80mL、20.38mmol、1.1eq)をゆっくり滴下し、30分間攪拌した。次に、n-ブチルリチウム(2.0mol/Lのn-ヘキサン溶液、14.80mL、37.05mmol、2.0eq)を反応液に滴下した。反応液の内温を-40℃~-60℃に保持しながら、1時間攪拌した。パラホルムアルデヒド(1.67g、18.52mmol、1.0eq)を反応液に加えた。得られた混合物を室温に加温し、一晩攪拌した。反応終了後、反応液を飽和食塩水100mLにゆっくり注いだ。得られた混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を100mLの飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。その後、ろ液を減圧下でロータリーエバポレーターにかけ、粗生成物を得た。粗生成物をシリカフラッシュカラム(ISCO(登録商標); 220gSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、移動相0-50%酢酸エチル/石油エーテル@ 100mL / min)で精製して、化合物WX011-3を得た。
【0208】
H NMR (400 MHz、 DMSO-d6): δ = 10.77 (brs, 1H), 7.09 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.97 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.28 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 1.45 (s, 9H)。
【0209】
ステップ4:化合物WX011-4の合成
室温で、塩化水素/ジオキサン溶液(12mL)を化合物WX011-3(4.70g、19.81mmol、1eq)に加えた。5時間攪拌した後、反応液にメタノール(60mL)を加えた。得られた混合物を一晩攪拌した。最後に、リン酸カリウム(42.05g、198.10mmol、10eq)と酢酸ホルムアミジン(10.31g、99.05mmol、5eq)を反応液に加えた後、得られた混合物を65℃に加温し、20時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、ろ過した。ろ液を濃縮し、シリカフラッシュカラム(ISCO(登録商標); 220gSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、移動相0-3%メタノール/ジクロロメタン@ 100 mL / min)で精製して、化合物WX011-4を得た。
【0210】
LCMS (ESI) m/z: 178.9 [M+H]H NMR (400 MHz、 DMSO-d6) δ = 7.78 (s, 1H), 7.69 (brs, 2H), 7.58 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.42 (s, 2H), 3.26 (s, 3H)
【0211】
ステップ5:化合物WX011-5の合成
-30℃で、ジブロモヒダントイン(1.85g、6.46mmol、0.50eq)をバッチでWX011-4(2.30g、12.91mmol、1.00eq)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に加えた。反応液を15℃で16時間攪拌した。反応液を濃縮し、シリカフラッシュカラム(ISCO(登録商標); 40gSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、移動相0-10%ジクロロメタン/メタノール@ 60 mL / min)で精製して、WX011-5を白色固体として得た。
【0212】
LCMS (ESI) m/z: 256.8 [M+H]、1H NMR (400MHz、 DMSO-d6) δ = 7.92 (s, 1H), 7.88 (brs, 1H), 7.04 (s, 1H), 4.42 (s, 2H), 3.27 (s, 3H)。
【0213】
ステップ6:化合物WX011-6の合成
室温で、WX011-5(6.40g、24.89mmol、1.00eq)を1,4-ジオキサン(100mL)と水(20mL)の混合溶液に溶解した。次に、N-Boc-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-ピナコールホウ酸エステル(7.35g、24.89mmol、1.00eq)、リン酸カリウム(15.85g、74.68mmol、3.00eq)及び1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセンパラジウムクロリド(1.82g、2.49mmol、0.10eq)を混合溶液に順に加えた。窒素保護下で、反応液を80℃に加熱し、16時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、100mLの水にゆっくりと注いだ。混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下でロータリーエバポレーターにかけ、化合物WX011-6を得た。
【0214】
LCMS (ESI) m/z: 346.0 [M+H]
【0215】
ステップ7:化合物WX011-7の合成
室温で、水酸化パラジウム(65.05mg、463.24μmol、0.1eq)をWX011-6(1.60g、4.63mmol、1.00eq)のメタノール(30mL)溶液に加えた。水素ガスで3回置換した後、反応液を50℃に加熱し、50psiの水素ガス下で16時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、ろ過して触媒を除去した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去して、WX011-7を得た。
【0216】
LCMS (ESI) m/z: 348.1 [M+H]
【0217】
ステップ8:化合物WX011-8の合成
室温で、ブロモスクシンイミド(563.55mg、3.17mmol、1.10eq)をバッチでWX011-7(1.00g、2.88mmol、1.00eq)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に加えた。反応液を20℃で1時間攪拌した後、反応液を酢酸エチル(50mL)に加えた。得られた混合物を水30mL及び飽和食塩水30mLで順次に1回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下でロータリーエバポレーターにかけ、化合物WX011-8を得た。
【0218】
LCMS (ESI) m/z: 425.9 [M+H]
【0219】
ステップ9:化合物WX011-9の合成
室温で、化合物WX011-8(1.25g、5.63mmol、1.50eq)、フッ化セシウム(2.85g、18.77mmol、5.00eq)、及びクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2,4,6-トリイソプロピル-1,1-ビフェニル)[2-(2-アミノ-1,1-ビフェニル)]パラジウム(II)(295.3mg、375.32μmol、0.10eq)を化合物WX001-9(1.60mg、3.75mmol、1.00eq)のテトラヒドロフラン(20mL)/水(2mL)の混合溶液に順に添加した。窒素で3回置換した後、混合物を60℃に加熱し、16時間攪拌し、室温に冷却し、30mLの水に注いだ。得られた混合物をジクロロメタン(10mL)で3回抽出し、有機相を合わ、10mLの飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から除去して、化合物WX011-9を得た。
【0220】
LCMS (ESI) m/z: 524.1 [M+H]
【0221】
ステップ10:化合物WX011-10の合成
室温で、塩酸酢酸エチルの溶液(4M、20.00mL)をWX011-9(1.60g、3.06mmol、1.00eq)に加えた。混合物を1時間撹拌し、ろ過して、固体を得た。得られた固体を減圧下で乾燥して、化合物WX011-10の塩酸塩を得た。
【0222】
LCMS (ESI) m/z: 424.1 [M+H]
【0223】
ステップ11:化合物WX011の合成
0°Cで、塩化アクリロイル(216.44mg、2.39mmol、1.00eq)をトリエチルアミン(2.42g、23.91mmol、10.00eq)とWX011-10塩酸塩(1.10g、2.39mmol、1.00eq)のジクロロメタン(10mL)溶液に加えた。混合物を60分間撹拌し、反応液を25mLのジクロロメタンに注いだ。有機相を水(25mL)で2回洗浄した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。減圧下でロータリーエバポレーターによりろ液から溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物を薄層分取プレート(酢酸エチル)で精製し、化合物WX011を得た。化合物WX011はカラムでキラル分割され((カラム:AD(250mm*30mm、5μm);移動相:[0.1%アンモニア水エタノール]; B%:45%-45%))、WX011A(保持時間:0.58分)及びWX011B(保持時間:0.74分)を得た。保持時間は次の分析カラムで測定した:カラム:Chiralpak AD-3 50 * 4.6mm ID、3μm、移動相:二酸化炭素中の40%イソプロパノール(0.05%エチレンジアミン)、流量:4mL / min、カラム温度: 40oC。
【0224】
WX011A、LCMS (ESI) m/z: 478.1 [M+H]、 500.1 [M+Na]H NMR (400MHz、 CDCl3) δ: 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 6.62 (s, 1H), 6.51-6.30 (m, 2H), 5.68-5.60 (m, 1H), 5.47 (2H, brs), 4.34 (s, 2H), 4.18-3.78 (m, 7H), 3.65-3.48 (m, 1H), 3.22 (d, J = 10.0 Hz, 3H), 2.85-2.65 (m, 1H), 2.44 (s, 3H).
【0225】
WX011B、LCMS (ESI) m/z: 478.1 [M+H]、 500.0 [M+Na]H NMR (400MHz、 CDCl3) δ: 7.84 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 6.62 (s, 1H), 6.51-6.30 (m, 2H), 5.68-5.60 (m, 1H), 5.42 (2H, brs), 4.34 (s, 2H), 4.15-3.72 (m, 7H), 3.62-3.48 (m, 1H), 3.22 (d, J = 10.4 Hz, 3H), 2.90-2.65 (m, 1H), 2.44 (s, 3H)。
【0226】
実施例20:化合物WX012の合成
【化70】
【0227】
合成スキーム:
【化71】
中間体WX011-10を出発原料として、実施例9の合成方法と同じように行って合成した。
【0228】
LCMS (ESI) m/z: 490.0 [M+H]、 512.0 [M+Na]H NMR (400MHz、 CDCl3) δ = 7.90-7.80 (m, 1H), 7.22-7.18 (m, 1H), 7.16 (s, 1H), 6.65-6.60 (m, 1H), 6.57 (brs, 2H), 4.38-4.30 (m, 2H), 4.20-3.90 (m, 6H), 3.89-3.70 (m, 1H), 3.68-3.38 (m, 1H), 3.28-3.18 (m, 3H), 2.80-2.65 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 2.18-2.08 (m, 1H), 1.98-1.85 (m, 3H)。
【0229】
実施例21:化合物WX013の合成
【化72】
中間体A1-AとB6を出発原料として、WX001の合成方法と同じように行って合成した。
【0230】
LCMS (ESI) m/z: 470.1 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.79 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 6.72-6.54 (m, 2H), 4.09-3.91 (m, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 3.85-3.72 (m, 1H), 3.67-3.37 (m, 4H), 2.32-2.25 (m, 2H), 1.05-1.00 (m, 3H)
【0231】
実施例22:化合物WX014の合成
【化73】
中間体A1-BとB6を出発原料として、WX001の合成方法と同じように行って合成した。
【0232】
LCMS (ESI) m/z: 468.1 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.90 (br s, 1H), 7.31 (br d, J=10.0 Hz, 1H), 6.83-6.69 (m, 2H), 6.69-6.55 (m, 1H), 6.39-6.21 (m, 1H), 5.83-5.70 (m, 1H), 4.69 (br d, J=2.0 Hz, 1H), 4.28-4.04 (m, 1H), 3.99 (d, J = 3.6 Hz, 3H), 3.97 (d, J = 2.4 Hz, 4H), 3.89-3.70 (m, 2H), 3.64-3.54 (m, 1H), 2.63-2.42 (m, 1H), 2.33-2.13 (m, 2H)。
【0233】
実施例23:化合物WX015の合成
【化74】
中間体A1-AとB6を出発原料として、WX001の合成方法と同じように行って合成した。
【0234】
LCMS (ESI) m/z: 468.1 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.79 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.65-6.60 (m, 2H), 6.56-6.47 (m, 1H), 6.28-6.03 (m, 1H), 5.74-5.57 (m, 1H), 4.17-3.97 (m, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 3.77-3.59 (m, 2H), 3.50-3.38 (m, 1H), 23.07-2.96 (m, 1H), 2.47-2.31 (m, 1H), 2.20-2.01 (m, 1H)。
【0235】
実施例24:化合物WX016の合成
【化75】
中間体A1-BとB6を出発原料として、WX001の合成方法と同じように行って合成した。
【0236】
LCMS (ESI) m/z: 470.1 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.79 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 6.71-6.49 (m, 2H), 4.06-3.78 (m, 8H), 3.68-3.58 (m, 1H), 3.57-3.34 (m, 3H), 3.15-3.05 (m, 1H), 2.24-1.98 (m, 2H), 1.07-1.00 (m, 3H)。
【0237】
実施例25:化合物WX017の合成
【化76】
中間体A1-AとB7を出発原料として、WX001の合成方法と同じように行って合成した。
【0238】
LCMS (ESI) m/z: 404.2 [M+H]、 426.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.74 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.12-7.02 (m, 2H), 6.97-6.88 (m, 2H), 6.79 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.59-6.50 (m, 1H), 6.24-6.10 (m, 1H), 5.70-5.64 (m, 1H), 4.28-3.94 (m, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.84-3.45 (m, 3H), 3.20-3.18 (m, 1H), 2.49-2.31 (m, 1H), 2.24-2.01 (m, 1H)
【0239】
実施例26:化合物WX018の合成
【化77】
【0240】
中間体A1-BとB1を出発原料として、WX001の合成方法と同じように行って合成した。
【0241】
LCMS (ESI) m/z: 436.1 [M+H]、 458.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.76 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.10 (s, 2H), 6.67-6.61 (m, 1H), 6.56 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.97-3.89 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.65-3.55 (m, 1H), 3.53-3.30 (m, 2H), 3.20-3.18 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.33-2.16 (m, 3H), 2.15-1.98 (m, 1H), 1.07-0.97 (m, 3H)
【0242】
実施例27:化合物WX019の合成
【化78】
中間体A1-AとB1を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
【0243】
LCMS (ESI) m/z: 436.1 [M+H]、 458.1 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.78 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.14-7.10 (m, 2H), 6.64 (s, 1H), 6.58 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 4.03-3.91 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.66-3.57 (m, 1H), 3.55-3.32 (m, 2H), 3.21-3.18 (m, 1H), 2.45-2.32 (m, 4H), 2.28 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.19-2.01 (m, 1H), 1.05-1.01 (m, 3H).
【0244】
実施例28:化合物WX020の合成
【化79】
中間体WX010-2を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
【0245】
LCMS (ESI) m/z: 453.1 [M+H]
【0246】
実施例29:化合物WX021の合成
【化80】
中間体A1-B、B6とオレイン酸を出発原料として、実施例1と実施例9の合成方法と同じように行って合成した。
【0247】
LCMS (ESI) m/z: 525.1 [M+H]、 547.0 [M+Na]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.91 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.93-6.80 (m, 1H), 6.79-6.65 (m, 2H), 6.53-6.47 (m, 1H), 4.28-4.06 (m, 1H), 4.06-3.91 (m, 6H), 3.90-3.70 (m, 2H), 3.69-3.52 (m, 1H), 3.32-3.28 (m, 1H), 3.27-3.09 (m, 2H), 2.59-2.40 (m, 1H), 2.38-2.28 (m, 6H), 2.28-2.16 (m, 1H)
【0248】
実施例30:化合物WX022の合成
【化81】
中間体A1-A、B6とオレイン酸を出発原料として、実施例1と実施例9の合成方法と同じように行って合成した。
【0249】
LCMS (ESI) m/z: 525.2 [M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 7.78 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 6.80-6.66 (m, 1H), 6.65-6.53 (m, 2H), 6.50-6.39 (m, 1H), 4.18-3.94 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 3.83-3.58 (m, 3H), 3.56-3.42 (m, 1H), 3.10 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.48-2.36 (m, 1H), 2.34 (s, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.25-2.03 (m, 1H)。
【0250】
実施例31:化合物WX023Aの合成
【化82】
中間体A1-B、B1とB8を出発原料として、実施例1と実施例9の合成方法と同じように行って合成した。
【0251】
LCMS (ESI) m/z: 533.5[M+H]H NMR (400MHz,重水素化クロロホルム) δ = 7.97 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.25-7.17 (m, 2H), 7.04-6.82 (m, 1H), 6.73-6.55 (m, 2H), 6.37-6.31 (m, 1H), 5.81 (br s, 2H), 4.34-4.11 (m, 1H), 4.10-3.94 (m, 4H), 3.91-3.86 (m, 1H), 3.81-3.59 (m, 6H), 3.17 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.60-2.38 (m, 8H), 2.30-2.14 (m, 1H)。
【0252】
実施例32:化合物WX023Bの合成
【化83】
中間体A1-A、B1とB8を出発原料として、実施例1と実施例9の合成方法と同じように行って合成した。
【0253】
LCMS (ESI) m/z: 533.2[M+H]H NMR (400MHz,重水素化クロロホルム) δ = 7.96 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.25-7.17 (m, 2H), 7.00-6.84 (m, 1H), 6.73-6.60 (m, 2H), 6.42-6.28 (m, 1H), 5.87 (br s, 2H), 4.25-4.10 (m, 1H), 4.09-3.95 (m, 4H), 3.90-3.78 (m, 1H), 3.77-3.59 (m, 6H), 3.26-3.12 (m, 2H), 2.62-2.39 (m, 8H), 2.31-2.15 (m, 1H)。
【0254】
実施例33:化合物WX024の合成
【化84】
中間体A1-AとB9を出発原料として、実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
【0255】
LCMS (ESI) m/z: 420.1[M+H]H NMR (400MHz,重水素化メタノール) δ = 8.12 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.56-7.45 (m, 2H), 7.43-7.31 (m, 1H), 7.04-6.87 (m, 2H), 6.72-6.54 (m, 1H), 6.35-6.21 (m, 1H), 5.80-5.68 (m, 1H), 4.25-4.02 (m, 2H), 4.00 (s, 3H), 3.95-3.71 (m, 2H), 3.68-3.56 (m, 1H), 2.64-2.43 (m, 1H), 2.41-2.17 (m, 1H)。
【0256】
実施例34:化合物WX025の合成
【化85】
中間体A1-BとB5を出発原料として、実施例15、実施例16と実施例1の合成方法と同じように行って合成した。
LCMS (ESI) m/z: 451.0[M+H]H NMR (400MHz,重水素化クロロホルム) δ = 7.94 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.60-6.38 (m, 3H), 5.76-5.69 (m, 1H), 4.31-4.13 (m, 1H), 4.11-3.86 (m, 7H), 3.80-3.54 (m, 3H), 2.70-2.38 (m, 1H), 2.31-2.22 (m, 1H)。
【0257】
【表A】
【0258】
【表B】
【0259】
【表C】
【0260】
【表D】
【0261】
【表E】
【0262】
実験例1:in vitroで野生型キナーゼへの阻害活性の評価
33P同位体標識キナーゼ活性試験(Reaction Biology Corp)を使用してIC50値を測定し、試験化合物のヒトFGFR1及びFGFR4に対する阻害能力を評価した。
【0263】
緩衝液条件:20 mM Hepes(pH 7.5)、10 mM MgCl、1 mM EGTA、0.02%Brij35、0.02 mg / ml BSA、0.1 mM Na3VO4、2 mM DTT、1%DMSO。
【0264】
試験ステップ:試験化合物を室温でDMSOに溶解し、10 mM溶液を調製した。基質を新鮮な緩衝液に溶解し、そこに使用のキナーゼを加え、均一に混合した反応液を得た。音響法(Echo 550)を用いて、前記均一に混合した反応液に、試験化合物を溶解したDMSO液を加えた。反応液中の化合物濃度は、それぞれ10μM、3.33μM、1.11μM、0.370μM、0.123μM、41.2nM、13.7nM、4.57nM、1.52nM、0.508nM、又は10μM、2.50μM、0.62μM、0.156μM、39.1nM、9.8nM、2.4nM、0.61nM、0.15nM、0.038nMであった。15分インキュベーションの後、33P-ATP(活性0.01μCi/μl、対応濃度は表1に示されている)を添加して反応を開始した。FGFR1、FGFR4、及びそれぞれの基質のカテゴリー番号、ロット番号、及び反応液の濃度に関する情報を表1に示した。室温で120分間反応させた後、反応液をP81イオン交換ろ紙(Whatman#3698-915)に滴下した。0.75%リン酸溶液でろ紙を繰り返し洗浄した後、ろ紙上に残ったリン酸化基質の放射性を測定した。キナーゼ活性データは、試験化合物下のキナーゼ活性とブランク群(DMSOのみを含む)におけるキナーゼ活性の比較により表された。Prism4ソフトウェア(GraphPad)を使用してカーブフィッティングによってIC50値を得た。実験結果を表2に示した。
【0265】
【表1】
【0266】
【表2】
【0267】
結論:本発明の化合物は、野生型キナーゼに対して良好な阻害活性を示した。
【0268】
実験例2:in vitroでの変異キナーゼへの阻害活性の評価
33P同位体標識キナーゼ活性試験(Reaction Biology Corp)を使用してIC50値を測定し、試験化合物のFGFR変異株に対する阻害能力を評価した。
【0269】
緩衝液条件:20 mM Hepes(pH 7.5)、10 mM MgCl、1 mM EGTA、0.02%Brij35、0.02 mg / ml BSA、0.1 mM Na3VO4、2 mM DTT、1%DMSO。
【0270】
試験ステップ:試験化合物を室温でDMSOに溶解し、10mM溶液を調製した。基質を新鮮な緩衝液に溶解し、そこに使用のキナーゼを加え、均一に混合した反応液を得た。音響法(Echo 550)を用いて、前記均一に混合した反応液に、試験化合物を溶解したDMSO液を加えた。反応液中の化合物濃度は、それぞれ10μM、3.33μM、1.11μM、0.370μM、0.123μM、41.2nM、13.7nM、4.57nM、1.52nM、0.508nM、又は10μM、2.50μM、0.62μM、0.156μM、39.1nM、9.8nM、2.4nM、0.61nM、0.15nM、0.038nMであった。15分インキュベーションの後、33P-ATP(活性0.01μCi/μl、対応濃度は表1に示されている)を添加して反応を開始した。FGFR1、FGFR4、及びそれぞれの基質のカテゴリー番号、ロット番号、及び反応液の濃度に関する情報を表3に示した。室温で120分間反応させた後、反応液をP81イオン交換ろ紙(Whatman#3698-915)に滴下した。0.75%リン酸溶液でろ紙を繰り返し洗浄した後、ろ紙上に残ったリン酸化基質の放射性を測定した。キナーゼ活性データは、試験化合物下のキナーゼ活性とブランク群(DMSOのみを含む)におけるキナーゼ活性の比較により表された。Prism4ソフトウェア(GraphPad)を使用してカーブフィッティングによってIC50値を得た。実験結果を表4に示した。
【0271】
【表3】
【0272】
【表4】
【0273】
結論:本発明の化合物は、野生型FGFR及び変異型FGFRに対して良好な阻害活性を示した。
【0274】
実験例3:化合物の薬物動態の評価
【0275】
実験目的:マウス体内で化合物の薬物動態を測定した。
【0276】
実験材料:
Balb/c マウス(雌)
【0277】
実験手順:
標準的なプロトコルに従って、げっ歯類動物に対して、静脈内注射及び経口投与で化合物を投与した後の薬物動態プロファイルを測定した。試験化合物を透明な溶液として調製し、単回の静脈内注射及び経口投与でマウスに投与した。静脈内注射用の溶媒は、10%DMSO/10%solutol/80%水で、経口投与用の溶媒は、0.5%ナトリウムカルボキシメチルセルロース+0.2%Tweenであった。24時間以内の全血サンプルを採取した。すべての血液サンプルを、0.5M K2-EDTA抗凝固剤が既に添加された、ラベル付けのプラスチック製の遠心チューブに添加した。血液サンプルを採取した後、血液サンプルを4℃、3000gで10分間遠心分離し、上澄の血漿を回収した直後、ドライアイスに入れ、-20℃以下に保った。LC-MS/MS分析方法を使用して血中濃度を定量的に分析し、ピーク濃度、ピーク時間、クリアランスレート、半減期、曲線下面積、バイオアベイラビリティなどの薬物動態パラメータを計算した。
【0278】
実験結果:
【0279】
【表5】
【0280】
結論:本発明の化合物は、マウス体内で優れた薬物動態を示した。